説明

伝搬時間測定システム及びそのシステムを動作する方法

キーレスエントリーシステムのような伝搬時間測距システムは、第1の部分(10)と、キーフォッブのような携帯用の装置に実装され得る第2の部分(12)とを有する。双方の部分は、相互に通信を行うための送信及び受信手段(14、22及び26、32)を有する。信号送信及び受信手段は、それぞれの内部信号伝搬パスで予測不可能な信号遅延を導入する。第1の部分は、部分の間での信号の伝搬時間を決定するコントローラ(18)を有する。予測不可能な時間遅延を考慮するために、第1の部分と第2の部分とは、相互に既知の距離内に配置され、既知の距離での伝搬時間が測定され、測定された伝搬時間と既知の距離での理論的な伝搬時間との間の時間差が決定され、測定された伝搬時間及び距離を調整するために使用される。伝搬時間測距システムは、エントリーセキュリティシステムに適用され得るだけでなく、幼児や人員や装置を追跡するシステムのような追跡システムにも適用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝搬時間測定を行うシステムの改善又はその関連と、このようなシステムを使用する用途とに関する。本発明の排他的ではなく特定の用途は、キーレスエントリーシステム(例えば自動車市場で使用されている受動キーレスエントリーシステム)である。
【背景技術】
【0002】
説明の便宜上で、乗物エントリーシステムを参照して本発明を説明する。
【0003】
2002年10月に公開され、http://www.semiconductors.philips.com/acrobat/literature/9397/75010317.pdfで入手可能な文献番号9397 750 10317のPhilips Semiconductorsは、受動キーレスエントリーシステムを開示している。この既知の受動キーレスエントリーシステムのブロック概略図を添付図面の図1に示す。システムは、乗物に取り付けられた第1の部分10と、キーフォッブ(key fob)、アクセスカード又は他の適切な小型装置に組み込まれてもよい携帯用の第2の部分12とを有する。乗物に取り付けられた部分10は、誘導コイルの形式のアンテナ16に結合された信号出力を有する125kHz誘導性送信機14を有する。送信機14は、乗物のドアがロックされている間に少なくとも動作する。マイクロコントローラ18は、誘導性送信機14の出力に結合された入力と、出力ロック/ロック解除装置(図示せず)(ドアロック、トランクロック、ボンネットロック、及びエンジン点火セキュリティ装置等)に結合された入力/出力20と、UHF受信機22に結合された出力とを有するように設けられる。アンテナ24は、受信機に結合される。
【0004】
識別(ID)装置を構成する携帯用の部分12は、3つの直交関係の誘導コイル28を有する3次元有力を有する125kHz LFフロントエンド段26を有する。マイクロコントローラ30は、フロントエンド段26の出力に結合された入力と、アンテナ34を有するUHF送信機32に結合された出力とを有する。携帯用の部分12はまた、バッテリ36に接続する接続と、オン/オフスイッチ38と、起動パターン検出器40と、電力管理段42とを有する。
【0005】
図示のシステムにより、運転手が明示的な動作を必要とせずに、適切な携帯用の部分又はID装置12を単に持ち運ぶことにより認証が認められてロック解除されて、乗物に入ることが可能になる。運転手が乗物の動作範囲(例えば2.5m未満)内に入り、ドアハンドルに手を置くと、誘導性送信機14にチャレンジ信号を生成させる。フロントエンド段26は、携帯性の部分12を起動させるチャレンジ信号を受信する。起動されると、マイクロコントローラ30はチャレンジ信号を分析し、それに指示されていることが満たされると、応答信号がコンパイルされ、必要に応じて暗号化され、UHF受信機22への送信のためにUHF送信機32に渡される。
【0006】
乗物に取り付けられた部分10のマイクロコントローラ18は、UHF受信機22により受信された信号と、内部に格納されている情報とを比較し、認証が成功した場合に、乗物のドアをロック解除する。全体の処理は、始めから終わりまでで数ミリ秒しか要しない。
【0007】
改良として、運転手が乗物の内部へのアクセスを認められると、認証手順が繰り返されてもよく、成功すると、単にスタートボタンを押下することによりエンジンが始動されてもよい。
【0008】
最後に、乗物を離れた後に、単にドアハンドルを押下することにより、乗物がロックされてもよい。ロックの前に、携帯用の部分12が乗物の外にあることを確保するために検査が行われる。
【0009】
このようなシステムの導入以降、“リレーアタック(relay attack)”と呼ばれる不備が発見されている。これにより、携帯用の部分12の送信機32により実現可能なものより大きい距離で送信することができる適切な無線機を備えた2人の人が、乗物の所有者が自分の乗物に入っていると信じるようにシステムをだますことができる。図2は、このようなリレーアタックがどのように実行され得るかを概略的に示している。2つの無線トランシーバ50、56を備えた第1の窃盗犯TF1は、乗物の部分10を含む乗物44に近づき、2つの無線トランシーバ52、54を備えた第2の窃盗犯TF2は、携帯用の部分12を自分で持っている乗物の所有者46に近づく。第1の窃盗犯TF1は、乗物44のドアハンドルを押下し、誘導性送信機14に周波数fを有するチャレンジ信号を生成させる。信号周波数fはトランシーバ50により受信され、周波数f1として第2の窃盗犯TF2により運ばれるトランシーバ52に中継される。信号は、携帯用の部分のフロントエンド段26により検出される周波数fに再変換される。UFH送信機32は、トランシーバ54により取得されて周波数f2としてトランシーバ56に転送される周波数f’を有するUHF信号を送信する。後者のトランシーバは、乗物の部分10の受信機22に送信されてマイクロコントローラ18にドアをロック解除させるUHF周波数f’に信号を逆変換する。必要に応じて、この動作が繰り返され、乗物のエンジンが始動することを可能にする。乗物44の所有者は、乗物が無くなっているのを見つけるために戻るまで、何が起こったのかを認識しない。
【0010】
リレーアタックを克服するために提案されている1つの方法は、乗物の部分10と携帯用の部分12との間の信号の生成と受信との間の過度の時間遅延に対してシステムを敏感にし、ロック及び他のセキュリティ装置の動作を抑制することである。過度の時間遅延は、トランシーバ50、52、54及び56を用いる延長したラウンドトリップ時間を原因として生じる。これらのトランシーバを通じた信号伝搬による更なる伝搬時間を無視して、伝搬時間測定は、乗物に取り付けられた部分と携帯用の部分との間の可変の距離での伝搬を受けるだけでなく、それぞれの乗物及び携帯用の部分の回路を通じた信号により受ける内部遅延をも受ける。狭帯域システムの場合には、これらの内部遅延は、(1)送信機のアンテナ及びIF又はベースバンド部分と、(2)受信機のアンテナ及びIF又はベースバンド部分との間で生じる。2つの種類のこれらの内部遅延(すなわちアナログ遅延及びデジタル遅延)が存在する。アナログ遅延は、信号チェーンにおける個々の要素のグループ遅延により表される。理想的には、グループ遅延は信号の帯域を通じて一定であるべきである。しかし、処理の変化と構成要素の老朽化と温度と電源電圧の変化とを原因として予測不可能な変化を受けるため、この場合でないことがある。
【0011】
対照的に、デジタル遅延は、デジタルゲートを通じた伝搬遅延と、デジタル処理が信号を渡す前に複数クロックパルスを必要とする待ち時間とを有する。伝搬時間を測定する場合に、システムクロックは水晶から得られる可能性が高いため、待ち時間は100万回毎に数回より多く変化することは見込まれない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
伝搬時間測距システムにおいてアナログ遅延とデジタル遅延との影響を軽減することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、第1の部分と第2の部分とを有する時間遅延測定システムを動作する方法が提供され、この部分の双方は、部分により送信及び受信される信号の伝搬パスに回路を有し、回路は伝搬パスで時間遅延を導入し、これらの第1の部分と第2の部分とのうち少なくとも1つは、第1の部分と第2の部分との間での信号の伝搬時間を決定する手段を有し、方法は、相互に既知の距離内に第1の部分と第2の部分とを配置することによりシステムを較正し、第1の部分と第2の部分とがこのように配置されたときの伝搬時間を測定し、測定された伝搬時間と既知の距離での理論的な伝搬時間との間の差を導くことにより、回路の伝搬時間遅延を原因とする測定された伝搬時間での誤差を決定し、後の伝搬時間測定を調整するために誤差を使用することを有する。
【0014】
本発明の第1の態様は、第1の部分が固定であり、第2の部分が携帯用であるキーレスエントリーシステムと、第1の部分が距離決定部として機能するように適合され、第2の部分が追跡される物体により運ばれるように適合された追跡システムと、ローカルで生成された信号に応じたロック可能セキュリティ手段を有し、第1の部分が乗物に取り付けられるように適合され、第2の部分が乗物ユーザにより持ち運ばれる用に適合された乗物セキュリティシステムとを動作する方法を提供する。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、第1の部分と第2の部分とを有する伝搬時間測定を実行するシステムが提供され、この部分の双方は、相互に通信を行う信号送信及び受信手段を有し、信号送信及び受信手段は、それぞれの信号伝搬パスに時間遅延を導入し、第1の部分と第2の部分とのうち少なくとも1つは、部分の間での信号の伝搬時間を決定する手段を有し、第1の部分と第2の部分とが既知の相互の距離内にあることに応じてシステムを較正する手段を更に有し、この手段は、既知の距離で伝搬時間を測定する手段と、測定された伝搬時間と既知の距離での理論的な伝搬時間との間の差を導くことにより、測定された伝搬時間の誤差を決定する手段と、後の伝搬時間測定を調整するために誤差を使用する手段とを有する。
【0016】
本発明の第2の態様は、第1の部分が固定であり、第2の部分が携帯用であるキーレスエントリーシステムと、第1の部分が距離決定部として機能するように適合され、第2の部分が追跡される物体により運ばれるように適合された追跡システムと、ローカルで生成された信号に応じたロック可能セキュリティ手段を有し、第1の部分が乗物に取り付けられるように適合され、第2の部分が乗物ユーザにより持ち運ばれるように適合された乗物セキュリティシステムとを提供する。
【0017】
乗物のエンジンがオン若しくはオフになったとき、乗物の運転手のドアが開いたとき若しくは閉じたとき、又は第2の部分が乗物内の受け口に挿入されたとき若しくは受け口から外されたときに、毎回又はより頻繁ではない間隔で回路を較正/再較正することにより、乗物の部分と携帯用の部分とが製造中に1回較正される場合に比べて、更に正確な伝搬時間が決定されることが可能になる。
【0018】
更に、較正の方法は専門の測定機器の用意を必要としない。このことは、コスト効率のよい方法で実行可能であることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明について、一例として添付図面を参照して説明する。
【0020】
図面において、対応する特徴を示すために同じ参照番号が使用されている。
【0021】
図3を参照すると、図示の受動キーレスエントリーシステムは、図1に図示して図1を参照して説明したものと類似しており、簡潔にするために、既に説明した部分は再び説明しない。
図3において、乗物に取り付けられた第1の部分と携帯用の第2の部分とを通じた信号の伝搬を遅延させるのに寄与するシステムの様々な特徴及びシステムで使用される構成要素を格納するために、データベース60がマイクロコントローラ18に結合されている。
【0022】
図3において、チャレンジ信号は時間T1に送信機41により送信され、時間T2にフロントエンド段26により受信されるものとして図示されている。UHF信号は時間T3に送信機32により送信され、時間T4に受信機により受信される。部分10及び12のクロックが同期しており、内部遅延が存在しないためT2とT3とが同じであることを仮定すると、伝搬時間(TOF:time of flight)は以下に等しくなる。
【0023】
【数1】

しかし、内部のアナログ及びデジタル遅延の存在のため、T2とT3とが異なることを意味し、式(1)は以下のようになる。
【0024】
【数2】

この式では、様々な時間が正確であり、信号は直ちに送信されることを仮定するが、実際にはこの場合でないことがある。従って、T2とT3との間に固定の不変の時間差が存在することを仮定することは、信頼できない。RF信号は約300mm/ナノ秒で進むため、TOFシステムでの送信機と受信機との双方での遅延は、TOFの測定にかなりの量の固定の誤差及び変化する誤差を導く。かなりの量の固定の誤差及び変化する誤差は、1又は2メートル内までの距離測定が望ましい場合に、分解能に悪影響を及ぼし得る。固定の遅延は、信号が各回路を移動する有限の時間を原因として生じ、可変の遅延は、例えば、温度効果(自動車の温度範囲は-40℃〜+85℃である)、構成要素の老朽化、機械的強度、及び電源電圧の変化を原因として生じ得る。最悪の場合には、このような遅延は数百メートルに等しい誤差をTOF計算に追加し得る。更に、製造中にこのような遅延の補償が行われ得るが、このような較正の訂正は、実際に適用され得ない特定の基準に基づく。従って、TOFの真に正確な測定のために、乗物に取り付けられた第1の部分10と携帯用の第2の部分12の存続期間を通じて、較正及び再較正が頻繁且つ定期的に生じる必要がある。
【0025】
本発明による方法は、較正動作が頻繁に(例えば、乗物の使用毎、1日に1回、1週間に1回、又は1ヶ月に1回)実行されることを教示する。
【0026】
較正を実行する1つの方法は、乗物に取り付けられた部分に対して固定の既知の位置に携帯用の部分12を配置することである。2つの部分の間の距離は既知である。誤差は、測定された距離(すなわち、光速度×時間)と既知の距離との比較により決定可能であり、従って、測定された距離−既知の距離=誤差部分である。
【0027】
等価なタイミング誤差は、光速度により除算された距離の誤差である。いずれの場合でも、誤差は、TOF又は距離を計算してロック又は他のセキュリティ装置の動作を動作又は抑制するときにマイクロコントローラにより使用するために、データベース60に格納される。
【0028】
較正/再較正の必要性は、理論的な遅延が625メートルに等しい一方で、各方向の測定された不要な遅延が510メートルに等しいという受動キーレスエントリーシステムの実験室シミュレーションにより示される。
【0029】
誤差部分を決定し、システムを較正する際にこの部分を利用する利点は、専門の測定機器が必要ないという点である。また、固定の遅延及び変化する遅延を個々に決定する複雑性を回避する。しかし、可変の遅延が短い期間で安定していることを仮定する必要がある。簡単且つ安価な較正処理は、頻繁(例えば携帯用の部分12が使用される毎)の再較正を容易にし、これによってシステムの精度の信頼性を維持する。
【0030】
図4は、乗物のダッシュボード62を示している。ホルスター(holster)、スロット又は他の使用簡単な装置64が、携帯用の部分12を保持するためにダッシュボード62に提供される。代替として、他の便利な位置が使用されてもよい。乗物に取り付けられた部分10は、近く(例えば装置64の1メートル未満)に配置される。
【0031】
動作中に、調整された測定伝搬時間は閾値と比較され、比較の結果が許容範囲内であると考えられる場合、マイクロコントローラ18により外部装置の起動信号が出力20で作られる。許容範囲内でないと考えられる場合、起動信号の生成は抑制される。
【0032】
装置64は、乗物に取り付けられた部分10と乗物の電力供給とに結合された電気コネクタを有してもよく、これにより、携帯用の部分12が挿入されると、2つの部分10、12のクロックが同期し、充電可能である場合にはバッテリ36が充電され得る。2つの部分10、12のクロックを同期させることにより、クロックのエッジがちょうど同じ時間に生じることが可能になるため、較正処理において遅延源としてクロックのオフセットを考慮する必要を回避する。
【0033】
図5は、ホルスター、スロット又は他の保持装置を提供する必要なく、乗物内で較正が実行される実施例を示している。ポケット又はハンドバッグ(図示せず)内に存在してもよい携帯用の部分12が乗物の内部に入ると、乗物に取り付けられた部分10の1メートル内にあることが仮定され、較正動作が起動される。
【0034】
誤差は時間変化するため、較正をしばしば行うことが適当である。特に、ユーザが乗物を離れようとしているときに較正を実行することが有利である。この理由は、較正とユーザが乗物に戻ることとの間の時間を最小化し、ドリフトを最小化するためである。較正処理は、エンジンがオフになったこと、運転手のドアが開くこと、携帯用の部分がホルスター、スロット又は他の同様の種類の装置から外れたことに応じて起動されてもよい。
【0035】
較正動作は、測定距離の平均値が得られるように、迅速に連続して複数回繰り返されてもよい。
【0036】
例えば複数の人が同じ乗物にアクセスし、それぞれの人が自分の第2の携帯用の部分12を有するプール車両(pool car)の場合、システムは、固定の第1の部分とそれぞれの携帯用の第2の部分12とをそれぞれ組み合わせた較正値をデータベース60に格納することができなければならない。このようなシステムを実装することができるために、それぞれの第2の部分は、例えばヘッダとしてUHF伝送に含まれる固有のアドレスコードを与えられる。
【0037】
乗物が時たま使用されるため、乗物が盗まれるリスクを低減する場合での較正度を提供するために、特定の臨界パラメータに進行性の変化を導入して、乗物に取り付けられた部分で受ける可変の遅延に影響を与える様々なアルゴリズムが、データベース60に格納されてもよい。一例として、双方の部分のクロックが水晶で制御されている場合、様々な温度で周波数ドリフトを補償するアルゴリズムがデータベース60に格納され、デジタル回路でクロック周波数を訂正するために必要に応じて使用されてもよい。
【0038】
本発明による方法及びシステムは、2003年11月19日に出願された国際特許出願IB03/05289(出願人参照番号PHGB020213WO)に開示及び請求されている無線起動システムと共に使用されてもよい。開示されている無線起動システムは、送信装置と無線装置との間の通信のために繰り返しコードシーケンスを使用する。シーケンスにおけるシンボル若しくはチップの数を変化させることにより、又はシンボル若しくはチップレートを変化させることにより、送信装置と受信装置とで同時にシーケンスの存続時間を変化させることで、無許可の人がコードシーケンスを検出して、コードシーケンスを中継して、受信装置で無許可の起動を実現することを困難にする。
【0039】
伝搬時間測定が使用され得る他の用途は、外出(ショッピング等)時に幼児が遠すぎる場所に迷わないことを確保する際に使用される幼児アラームのような追跡システム、及び病院のような大きい場所で医者と患者と装置とを追跡するシステムがある。親/幼児又は同様の用途では、第1の部分10は親により持ち運ばれ、第2の部分12は幼児に取り付けられる。較正/再較正は、例えば第1の部分と第2の部分とを相互に近く若しくは既知の距離だけ離して並列することにより、又は信号伝搬パスにおける特定の距離に対応する既知の遅延を導入することにより、行われてもよい。
【0040】
この明細書及び特許請求の範囲において、単数の要素は、このような要素の複数の存在を除外しない。更に、“有する”という用語は、記載のもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。
【0041】
この開示を読むことにより、他の変更が当業者に明らかになる。このような変更は、伝搬時間測距システム及びこの構成要素部分の設計、製造及び使用で既に知られており、ここに前述した特徴の代わりに又はこれに加えて使用され得る他の特徴を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】受動キーレスエントリーシステムのブロック概略図
【図2】リレーアタックがどのように実行され得るかを概略的に示す図
【図3】本発明に従って構成された受動キーレスエントリーシステムのブロック概略図
【図4】本発明の一実施例の概略図
【図5】本発明の第2の実施例の概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分と第2の部分とを有する時間遅延測定システムを動作する方法であって、
前記部分の双方は、部分により送信及び受信される信号の伝搬パスに回路を有し、
前記回路は前記伝搬パスで時間遅延を導入し、
前記第1の部分と第2の部分とのうち少なくとも1つは、前記第1の部分と前記第2の部分との間での信号の伝搬時間を決定する手段を有し、
前記方法は、相互に既知の距離内に前記第1の部分と前記第2の部分とを配置し、前記第1の部分と前記第2の部分とがこのように配置されたときの伝搬時間を測定し、前記測定された伝搬時間と既知の距離での理論的な伝搬時間との間の差を導くことにより、前記回路の伝搬時間遅延を原因とする前記測定された伝搬時間の誤差を決定し、後の伝搬時間測定を調整するために誤差を使用することにより前記システムを較正することを有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
較正を複数回繰り返し、平均誤差を決定することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記第2の部分は、前記システムを較正するときに、前記第1の部分に対して実質的に既知の距離にあることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法であって、
前記伝搬時間測定システムは、前記第1の部分が固定であり、前記第2の部分が携帯用であるキーレスエントリーシステムと、前記第1の部分が距離決定部として機能するように適合され、前記第2の部分が追跡される物体により運ばれるように適合された追跡システムと、ローカルで生成された信号に応じたロック可能セキュリティ手段を有し、前記第1の部分が乗物に取り付けられるように適合され、前記第2の部分が乗物ユーザにより持ち運ばれるように適合された乗物セキュリティシステムのうち1つである方法。
【請求項5】
第1の部分と第2の部分とを有する伝搬時間測定を実行するシステムであって、
前記部分の双方は、相互に通信を行う信号送信及び受信手段を有し、
前記信号送信及び受信手段は、それぞれの信号伝搬パスに時間遅延を導入し、
前記第1の部分と前記第2の部分とのうち少なくとも1つは、前記部分の間での信号の伝搬時間を決定する手段を有し、前記第1の部分と前記第2の部分とが既知の相互の距離内にあることに応じて前記システムを較正する手段を更に有し、
前記手段は、既知の距離で前記伝搬時間を測定する手段と、前記測定された伝搬時間と前記既知の距離での理論的な伝搬時間との間の差を導くことにより、前記測定された伝搬時間の誤差を決定する手段と、後の伝搬時間測定を調整するために誤差を使用する手段とを有するシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
較正を複数回繰り返し、平均誤差を決定する手段を有するシステム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のシステムであって、
前記システムを較正するときに、前記第2の部分を前記第1の部分に対して実質的に既知の距離に配置する手段を特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項5ないし7のうちいずれか1項に記載のシステムであって、
調整された測定伝搬時間と閾値とを比較し、前記比較の結果が許容範囲内であると考えられる場合、外部装置を動作する起動信号を生成し、許容範囲内でないと考えられる場合、起動信号の生成を抑制する手段を特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項5ないし8のうちいずれか1項に記載のシステムであって、
前記システムは、前記第1の部分が固定であり、前記第2の部分が携帯用であるキーレスエントリーシステムであるシステム。
【請求項10】
請求項5ないし8のうちいずれか1項に記載のシステムであって、
前記システムは、前記第1の部分が距離決定部として機能するように適合され、前記第2の部分が追跡される物体により運ばれるように適合された追跡システムであるシステム。
【請求項11】
請求項5ないし8のうちいずれか1項に記載のシステムであって、
前記システムは、ローカルで生成された信号に応じたロック可能セキュリティ手段を有し、前記第1の部分が乗物に取り付けられるように適合され、前記第2の部分が乗物ユーザにより持ち運ばれるように適合された乗物セキュリティシステムであるシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、
前記伝搬時間を測定するときに、前記固定の部分に対して実質的に既知の距離に、前記第2の部分を乗物に取り付ける手段を有するシステム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のシステムであって、
前記システムを較正する手段は、乗物のエンジンが始動されたこと、乗物のエンジンがオフになったこと、乗物の運転手のドアが開いたこと、乗物の運転手のドアが閉じたこと、前記第2の部分が乗物内の受け口に挿入されたこと、前記第2の部分が乗物内の受け口から外されたことのうち少なくとも1つに応じるシステム。
【請求項14】
請求項5ないし13のうちいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第1の部分は、複数の第2の部分のそれぞれに対応する較正データを格納する手段を有し、それぞれの第2の部分は、アドレスコードを送信するように適合されたシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−532369(P2007−532369A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501413(P2007−501413)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050696
【国際公開番号】WO2005/088561
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】