説明

伝熱複合材、関連するデバイス及び方法

複数の熱分解グラファイト部分と、熱分解グラファイト部分を固化集合体の形態で保持する非炭素質(on-carbonaceous)マトリックスとを含む伝熱複合材。一実施形態では、伝熱複合材は、非炭素質マトリックス内にランダムに分布した多数の熱分解グラファイト部分を含む。別の実施形態では、伝熱複合材が、熱分解グラファイト部分が非炭素質材料を含むシートの層間内に配置された個別の層を含む。さらに別の実施形態では、伝熱複合材が、少なくとも1つの熱分解グラファイト部分を固化集合体の形態で含有する少なくとも1つの非炭素質マトリックスを含有する基板を含む。マトリックスは、熱源から熱を伝達除去するように基板に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱複合材、伝熱デバイス、及びその製造方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2006年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/555688号明細書(2006年10月10日付けで出願された米国特許出願第60/828647号明細書の利益を主張する)の一部継続出願である(それらの開示は、参照により本明細書に援用される)。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス技術の進歩により、かってない程の高速で信号及びデータを処理する電子デバイスがもたらされた。例えばマイクロプロセッサ、メモリデバイス等のような電子及び/又は集積回路(「IC」)デバイスはより小さくなり、その一方で熱放散の要求はより大きくなっている。システムが不安定となる又は損傷するのを防ぐためには、熱を半導体から効果的に除去しなければならない。多くの場合、電子部品の表面からより低温の環境(通常は周囲空気である)に熱を放散させるために、ヒートスプレッダ及び/又はヒートシンクが使用される。
【0004】
パッシブヒートシンクは、高熱伝導性材料を使用して、発熱デバイスから、ボードの能動的に冷却された部分、フィン又は表面等のより低温領域へと熱を逃がす。
【0005】
ヒートスプレッダ及び/又はヒートシンク等の伝熱デバイスを使用して伝導によって電子デバイスから熱を除去することは、当業界における継続的な研究領域である。特許文献1には、アルミニウムのマトリックス内に70容積%〜90容積%のグラファイトを含有する、システムから熱を放散させるためのグラファイト−金属マトリックス複合材部材を含む電子部品ハウジングパッケージが開示されている。特許文献2には、グラファイト層間に埋め込まれたダイアモンドグリットを含む複合材ヒートスプレッダが開示されており、ここでは、アルミニウムの金属マトリックスが固化集合体の形態でグラファイト及びダイアモンドグリットを保持している。この参考文献におけるダイアモンドグリットの使用は、「異方性(anistropic)材料であるグラファイトを、等方性熱伝導をもたらすように設計したヒートスプレッダに利用するのを可能にする」ためのものである。
【0006】
ダイアモンドグリットは、多くの方向において1300W/m/°Kを超える優れた熱伝導率特性を有する。しかしダイアモンドは非常に高価であり、また粉末の形態として使用しなければならないため、熱管理デバイスに使用するには現実的な選択肢ではない。ダイアモンドはまた、多数の小さい粒子又は粉末として複合材に組み込まなければならないため、境界面積が大きい。この莫大な量のダイアモンド粒子はまた、熱が通過するためのより多くの境界面を生じ、これにより熱障壁が形成され、また最終バルク熱伝導率を低下させる。したがって、等方性特性を有する熱管理材料に対する必要性が依然として存在している。本発明は、任意の方向に比較的均一な熱伝導率を有し且つダイアモンドの熱伝導率に近い熱伝導率(最大1000W/m/°K)を有する低密度熱管理デバイスを得るように構成した、金属マトリックス内の熱分解グラファイト(pyrolytic graphite)の超伝導性媒体から本質的に成る伝熱複合材に関する。
【0007】
他のパッシブヒートシンクは、例えば、高真空炉内で炭化水素ガスを分解することによって製造される熱分解グラファイトから形成される高伝導性熱分解グラファイト(thermal pyrolytic graphite)材料を使用して、発熱デバイスから熱を逃す。Momentive Performance Materials Inc.から入手可能な熱分解グラファイト(TPG(登録商標))等の高性能伝導性材料は、アルミニウム等のより低性能の材料よりも比較的高いコストで高伝導率、低密度及び低熱膨張特性をもたらすマクロコンポジット材料である。
【0008】
TPG(登録商標)は、封入材料が強度、剛性及び熱膨張係数に必要な構造を提供すると同時に、高伝導性経路を提供する。しかしながら、構造シェル内に封入されるTPG(登録商標)コアの使用は、高価なプロセスとなり得る。したがって、コスト効率良く優れた熱除去特性をもたらす熱管理材料、例えば、ヒートシンク及びヒートスプレッダに対する必要性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,998,733号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0189647号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、熱除去を必要とする電子デバイス又は同様のシステムから熱エネルギーを放散させるための伝熱複合材を提供する。1つの実施の形態では、本伝熱複合材は、非炭素質マトリックス内に固化集合体の形態で保持された複数の熱分解グラファイト部分を含む。1つの実施の形態では、本伝熱複合材は、非炭素質マトリックス内にランダムに分布した多数の熱分解グラファイト部分を含む。別の実施の形態では、本伝熱複合材は、非炭素質材料を含むシートの層間内に配置された熱分解グラファイト部分の個別の層を含む。さらに別の実施の形態では、本伝熱複合材は、少なくとも1つの熱分解グラファイト部分を含有し、且つ熱源を覆って該熱源から熱を伝達除去するマトリックスの少なくとも1つが、内部に固定される非炭素質材料基板をさらに含む。
【0011】
本発明はさらに、伝熱複合材を構成する方法であって、複数の熱分解グラファイト部分を、非炭素質等方性材料を含有するマトリックス内に配置して集合体又はバルク材料を形成する工程と、非炭素質等方性マトリックス内の熱分解グラファイトの集合体を、該熱分解グラファイト部分を該非炭素質マトリックス内に埋め込むのに十分な温度及び圧力に加熱する工程とを含む、方法に関する。1つの実施の形態では、非炭素質材料マトリックスはアルミニウムシートの層の形態であり、また熱分解グラファイト部分は、アルミニウムシートの層間内に分布する。
【0012】
さらに別の実施の形態では、本発明はまた、伝熱複合材を構成する方法に関し、本方法は、少なくとも1つのマトリックスを基板に固定する工程と、熱源を覆って該熱源から熱を伝達除去するように、基板内にマトリックスを配する工程とを含む。
【0013】
本発明の伝熱複合材は、コスト効率良く(in a cost effective manor)改善され且つ比較的均一な熱伝導率を有する低密度の軽量熱管理システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1A、図1B及び図1Cは、本発明の伝熱デバイスを作製するのに使用する複合材ブロックの種々の実施形態の透視図である。
【図2】熱分解グラファイト部分が非炭素質材料の層間内に分布した状態の本発明の伝熱複合材の別の実施形態の断面図である。
【図3】図3Aは、熱分解グラファイトが周期的なパターンを示す、図2に示した伝熱複合材の別の実施形態の断面図である。 図3Bは、非炭素質材料の層内に埋め込まれた熱分解グラファイト部分の上面図を示す、図2に示した伝熱複合材の実施形態の上面図である。
【図4】少なくとも1つの熱分解グラファイト部分を含むマトリックスが、熱源を覆うように複合材の基板に固定される、伝熱複合材基板内の空のポケット又は空のスロットに関する寸法(dimensions)を示す、伝熱複合材の実施形態の上平面図である。
【図5】図5A〜図5Eは、伝熱複合材の別の実施形態の断面図である。 図5Aは、基板内にスロット及び/又はポケットを有する非炭素質基板の断面図である。 図5Bは、熱分解グラファイト部分(複数可)が基板のスロット及び/又はポケット内に配置されている、図5Aの基板の断面図である。 図5Cは、熱分解グラファイト部分が図5Bの基板内に封入されている、本発明の一実施形態の断面図である。 図5Dは、本発明の一実施形態を固定するように事前形成された区域を有する基板を含む、伝熱複合材の断面図である。 図5Eは、熱伝達のパッシブ領域及びアクティブ領域を有する伝熱複合材を含む、本発明の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で用いる場合、関連する基本的な機能を変更せずに変化させることができる任意の定量的表現を修正するために近似言語を適用することができる。したがって、「実質的に」のような1つ又は複数の用語によって修飾された値は、場合によっては、特定の正確な値に限定されないものとすることができる。本明細書及び特許請求の範囲における全ての範囲は、端点を含み且つ独立に組合せ可能である。本明細書及び特許請求の範囲における数値は、特定の値に限定されるものではなく、その特定の値と異なる値を含み得る。数値は、その記述した値に近似する値を含むのに十分な程度に曖昧であり、当該技術分野において既知の測定法及び/又はその値を測定するのに使用した機器の精度に起因する実験誤差が許容されると理解される。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈によりそうでないことを明記していない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば「熱分解グラファイト部分」又は「熱分解グラファイト粒子」という表現は、そのようなグラファイト部分又はグラファイト粒子の1つ又は複数を含む。
【0017】
本明細書で用いる場合、「部分(part)」という用語は、伝熱複合材内の超伝導性媒体として使用するPG粒子に言及する際には「粒子」と互換的に用いる。本明細書で用いる場合、超伝導性媒体という用語は、a−b方向において300W/m−°K〜1850W/m−°Kの範囲の熱伝導特性(又は、理論熱伝導率)を有する熱分解グラファイト部分を表す。
【0018】
伝熱複合材:本明細書で用いる場合、「熱分解グラファイト」という用語は、「熱分解グラファイト」(「TPG」)、「高配向性熱分解グラファイト」(「HOPG」)又は「圧縮焼鈍熱分解グラファイト」(「CAPG」)と互換的に用いることができ、熱分解グラファイトについての300W/m−°Kから、TPG、HOPG又はCAPGについての1800W/m−°Kまでの範囲にある面内(a−b方向)熱伝導率を有するグラファイト材料に関する。
【0019】
本明細書で用いる場合、「熱源を覆う」という表現は、熱源(例えば、CPU、マイクロチップ等)に対する熱分解グラファイトの位置を説明するのに用いられる。ここで、TPGは、TPGの少なくとも一部及び/又は全てが熱源領域の一部及び/又は全てを覆うように、伝熱複合材に位置付けられるか又は実装される。熱源に対する熱分解グラファイトの位置は、温度勾配がその2つの間に形成されるような位置である。
【0020】
本明細書で用いる場合、「伝熱複合材」という用語は、相変化又は相当の温度変化を伴わずに熱接触する物体から熱を吸収することができる環境をもたらすのに用いられる、デバイス、構成物又は複合材、例えば、システムによって発生する余分な熱を吸収及び放散させる保護デバイス等を規定する。他の例としては、サーマルボード(thermal boards)、ヒートスプレッダ、ヒートシンク、又は電子部品の表面からより低温環境、通常、周囲空気へと熱を放散させるのに用いられる電子パッケージングが挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
熱分解グラファイト(PG)は、真空炉内で非常な高温で炭化水素ガスを分解することによって製造された独特の形態のグラファイトである。得られるものは、a−b方向における300W/m−°K及びc方向における3.5W/m−°Kの面内熱伝導率を有し、理論値に近い密度であり、且つ極めて異方性である超高純度生成物である。TPG、HOPG又はCAPGとは、大きなサイズの結晶子から成り、結晶子が互いに高度に整列又は配向し、且つ良好に配列した炭素層又は高度の好ましい結晶配向を有する特殊な形態の熱分解グラファイトを意味する。一実施形態では、TPGは、c方向に関して20W/m−°Kよりも小さい且つ1500W/m−°Kよりも大きい面内熱伝導率を有する。別の実施形態では、TPGは、その(a−b)平面に関して1700W/m−°Kよりも大きい熱伝導率を有する。
【0022】
熱分解グラファイト(「PG」)は、オハイオ州ストロングスビル所在のGE Advanced Ceramicsから市販されている。熱分解グラファイト材料は、標準又はカスタム寸法で、及び/又は断熱材、ロケットノズル、イオンビームグリッド等にわたる用途に合わせた形態で商品化されている。熱分解グラファイト部分の製造においては、加工処理における寸法誤差及び/又は損傷による不合格PG部分の小片及び断片が存在する。機械加工/穿孔加工による残物のPG部分が存在する。また、層間剥離した又は使用不能な寸法等のPG部分も存在する。それらの部分は通常、破棄され、またランダムな寸法及び形状のものである。本明細書で用いる場合、通常は破棄される部分は、総括的に「回収PG部分」と呼ぶことにする。回収PG部分は、ランダムな配向の数ミクロンから10インチ(最大寸法での)までの範囲にある寸法を有する。回収部分は、ランダムな塊又は断片から立方体、円筒体、半円筒体、正方体、楕円体、半楕円体、楔状体等の特定の幾何学形状にわたる形状を有する。
【0023】
一実施形態では、本発明の伝熱複合材は、超伝導性媒体として回収PG部分を用いる。別の実施形態では、市販の又は「未使用の」PG材料を、超伝導性媒体として使用することができる。第3の実施形態では、回収及び未使用PG材料の混合物が使用される。回収部分を使用する一実施形態では、部分は、破壊して断片とされ、例えば最大寸法では0.5cm未満のPG部分、最小寸法では少なくとも1”の全体的に塊サイズのPG部分、全体的に細長いサイズ(ストリップのような)のPG部分等のような適切な寸法及び形状の範疇に選別することができる。この選別/サイジングは、手作業で行うことができ、又は当該技術分野で既知の分級機を用いて行うことができる。一実施形態では、異なる寸法及び形状の分布を有するPG部分の混合物を使用して、伝熱複合材の等方性を最大にすることができる。
【0024】
一実施形態では、熱分解グラファイト部分は、伝熱複合材の約50容積%よりも大きい量で存在する。幾つかの実施形態では、熱分解グラファイトは、約30容積%〜約95容積%の量で存在し得る。さらに他の実施形態では、熱分解グラファイトは、約40容積%〜約60容積%の量で存在し得る。
【0025】
熱分解グラファイト部分は、例えば様々な金属及び合金又は拡散結合することができる他の材料を含む金属マトリックスのような非炭素質等方性材料を含むマトリックス固化集合体内に組み込まれる。本明細書で用いる場合、拡散結合(diffusion bonded or diffusion bonding)とは、それによって2つの境界面又は2つの材料、例えば熱分解グラファイト部分とマトリックス材料とが、数分〜数時間の範囲にわたる時間での加圧を用いて高温で結合することにより複数の熱分解グラファイト部分を固化集合体内に保持することができるプロセスを意味する。一実施形態では、高温とは、マトリックス材料の絶対融点の約50%〜90%の温度を意味する。
【0026】
一実施形態では、非炭素質等方性材料は、少なくとも50容積%のアルミニウムを含有する金属マトリックスを含む。別の実施形態では、金属マトリックスは、アルミニウムから本質的に成り、アルミニウムは、熱分解グラファイトを濡らすその優れた能力のため金属マトリックスとして用いるのに有効であると実証されている。溶融アルミニウムが熱分解グラファイト元素の周りに浸透すると、アルミニウムは熱分解グラファイトを濡らし、熱分解グラファイトと化学的に結合しながら炭化アルミニウムを形成する。その結果、伝熱複合材内の任意の空隙又はエアポケットは、完全には排除されないとしても著しく最小化されることになる。伝熱複合材内部のエアポケット又は空隙の最小化は、伝熱複合材内部の非常に小さい孔の存在でさえ該伝熱複合材の総熱伝導率を著しく低下させる可能性があるという点で、重要な考慮事項である。したがって一実施形態では、本発明の伝熱複合材では、熱分解グラファイト粒子間に、空隙又は未充填間質スペースが実質的にない。
【0027】
アルミニウムは、本発明の伝熱複合材を作るプロセスで用いるのに一般的に十分低い約660℃の融点を有する。幾つかの実施形態では、その融点をさらに低下させるために、アルミニウム合金が、伝熱複合材のマトリックスとして使用される。一実施形態では、金属マトリックスは、例えば約450℃の融点(約36重量%のMgを有する共晶組成での)を有するAl−Mg合金のようなアルミニウム合金を含む。第2の実施形態では、金属マトリックスは、約577℃の融点(約12.6重量%のSiを有する共晶組成での)を有するAl−Si合金を含む。
【0028】
一実施形態では、さらにアルミニウムバインダにおける銅の使用により、伝熱複合材の総熱伝導率を増大させることができ、言うまでもなく、そのことにより、熱源からの熱の除去における伝熱デバイスの効率を高めることができる。別の実施形態では、マトリックスは、約548℃の融点に関しては、32重量%のCuを有するAl−Cu合金を含む。他の金属もまた、伝熱複合材の総熱伝導率を高めるために使用することができる。例えば、約26重量%のAgを有するAl−Agの金属マトリックスは、約567℃で融解し、熱伝導率を増大させる。別の例は、約7重量%のLiを有するAl−Liであり、約598℃で融解する。
【0029】
比較的低い融点を有するアルミニウム合金を使用することに加えて、一実施形態では、金属マトリックスはまた、そのマトリックスの全体融点を低下させる様々な元素を含むことができる。マトリックスの融点を低下させるための好適な元素としては、Mn、Ni、Sn及びZnが挙げられる。別の実施形態では、本発明の複合材に使用することができる対象の他の材料としては、Fe、Cu、その合金等が挙げられるがそれらに限定されない。
【0030】
本発明の一実施形態では、伝熱複合材が、本明細書において上記で説明したような、非炭素質材料の事前形成された基板を含み、該基板は、本明細書でさらに十分に説明するように、少なくとも1つのPG部分を保持する非炭素質材料を含有するマトリックス中に少なくとも1つの熱分解グラファイト部分を含有する超伝導性モジュール又はアクティブプレサブストレート(active pre-substrates)を使用するように加工することができる。非炭素質材料マトリックスの熱分解グラファイト部分(複数可)は、複合材内に熱伝達の「アクティブ」領域を作製する(図4及び図5Eを参照されたい)。熱除去のアクティブ領域を作製するこれらの超伝導性モジュール又はアクティブプレサブストレートは、領域、例えば、複合材の基板内に作製される「空のポケット」又は「スロット」に取り付けられるか又は据え付けることができる(すなわち、固定される、例えば、エポキシ結合、機械的ねじ止め、はんだ付け、ろう付け、プレス嵌め、圧縮嵌め(compression fitting)、熱間静水圧プレス加工及び拡散結合プロセス、又は他の手段)(図5A〜図5Eを参照されたい)。
【0031】
したがって、種々の寸法、形状及び量の熱分解グラファイトを用いて作製される、伝熱複合材の超伝導性モジュール又はアクティブプレサブストレートしか、プロセス工程、例えば、PGの堆積、PGの焼鈍、又は例えばアルミニウムから成るプレサブストレート内へのTPGの組込みを受けない。このため、本発明の一実施形態によれば、伝熱複合材は、TPGの「アクティブ」領域と、非炭素質材料の事前形成された基板の「パッシブ」領域とを含む。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、伝熱複合材の超伝導性モジュール又はアクティブプレサブストレートの熱分解グラファイト部分(複数可)は、例えば、アルミニウム、銅、AlSiC、ポリマー、熱的に負荷されたポリマー等、及びそれらの混合物で封入又は封止される。
【0033】
したがって、PG(すなわち、熱分解グラファイトは、本明細書で上記に説明したように、PGの単一断片、複数の断片及び/又は層であり得る)を含むアクティブプレサブストレートは、熱源を覆って熱源との温度勾配をもたらし、且つ操作可能及び/又は効果的に熱源から熱を伝達除去するように位置付けられ得る。さらに、本発明の本実施形態における限定された量の熱分解グラファイトの使用は、実質的により効率的且つコスト効率の良い伝熱複合材を提供する。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、伝熱複合材は、非炭素質材料の実質的に平らな事前形成された基板を有する。本明細書でさらに十分に説明するように、少なくとも1つの加工された熱分解グラファイト部分を用いて作製される少なくとも1つの超伝導性モジュール又はアクティブプレサブストレートが、基板に固定される。アクティブプレサブストレートは、部分的及び/又は完全に熱源を覆うように、基板に固定される。本発明のさらに別の実施形態では、実質的に平らな事前形成された基板が、全伝熱複合材の約10容積%〜約50容積%、別の実施形態では、全伝熱複合材の約10容積%〜約30容積%、好ましくは全伝熱複合材の約10容積%〜約30容積%を構成する。本発明のさらに別の実施形態では、PG部分のa−b面が伝熱複合材の表面に対して実質的に平行である。
【0035】
熱分解グラファイト部分を含むアクティブプレサブストレートは、例えば、限定するものではないがエポキシ結合、機械的ねじ止め、はんだ付け、ろう付け、プレス嵌め、圧縮嵌め、熱間静水圧プレス加工及び/又は任意の拡散結合プロセスを含む「結合方法」によって、非炭素質材料の基板に固定及び/又は結合され得る。
【0036】
伝熱複合材を作るプロセス:図1A〜図1Cに示す一実施形態では、複合材の非炭素質等方性材料、例えば金属マトリックス内に、ランダムな寸法及び/又はランダムな形状の熱分解グラファイト粒子がランダムに分布する。既知のように、熱分解グラファイトは、その熱分解グラファイト平面の長さに沿った方向すなわちヒートスプレッダのグラファイト層又は繊維に平行な方向に、優れた熱伝導率、すなわち300W/m−°Kから1700W/m−°Kを超えるまでの(約1800W/m−°Kまでの)熱伝導率を有する。図1A〜図1Cに示すように、熱分解グラファイト粒子は、伝熱複合材内部でランダムな配向を有しており、個々の熱分解グラファイト断片のa−b方向はxy軸に対してランダムな方向になっていることが示されている。しかしながら、図1A〜図1Cに見られるように熱分解グラファイト部分のa−b面が伝熱複合材の表面に対して実質的に平行である配向は、本発明の範囲内である。
【0037】
1つのプロセスの実施形態では、所望の量の熱分解グラファイト部分を、加熱した鋳型内に配置する。次の工程において、溶融金属(アルミニウム等)/合金(又は、別の好適な非炭素質等方性材料)を熱分解グラファイト部分に適用し、部分間の空隙を実質的に充填し、固化集合体を形成する。さらに別の実施形態では、マトリックス内の熱伝導率勾配を可変にするために、熱分解グラファイト部分及び溶融アルミニウムの付加を段階的に行って、各段階で付加する熱分解グラファイト部分の寸法、形状及び/又は量(濃度)を、伝熱マトリックスの種々のセクションで熱伝導率を変化させるように制御することができる。
【0038】
一実施形態では、固化集合体又はマトリックスを形成した後に、次に、出発固化集合体の最終用途及び所望の熱伝導率勾配に応じて、集合体を機械加工するか、切断するか又は薄く切って所望の厚さ又は形状にする。一実施形態では、伝熱マトリックスは、0.5mm〜2cmの範囲の厚さを有するストリップ又はシートに切断される。第2の実施形態では、シートは、1mm〜0.5cmの最終厚さを有する固化伝熱マトリックスから形成される。
【0039】
別のプロセスの実施形態では、図2に示すような伝熱複合材を形成する。この実施形態では、熱分解グラファイト断片又は熱分解グラファイト部分を非炭素質シートの層間内に配置し、その積層シートをホットプレス内に配置して固化マトリックスを形成する。一実施形態では、積層シート(アルミニウムシート間内の熱分解グラファイト部分)をホットプレス内に配置し、450℃〜500℃の温度に加熱する。次に、少なくとも300psi且つ450℃〜500℃の温度で静水圧力を加えて、固化集合体又はマトリックスを形成する。一実施形態では、静水圧プレス加工は、少なくとも500psiで行われる。
【0040】
アルミニウム等の非炭素質シートの数、シートの厚さ、又はシート間内の熱分解グラファイト部分のパレット、量、寸法、形状及び分布は、最終用途並びに利用可能な熱分解グラファイト部分の種類に応じて変化させることができる。一実施形態では、熱分解グラファイト部分は、アルミニウムシートの各層に対して少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が存在するように、シート間で層状化させる。
【0041】
一実施形態では、10ミクロン〜2mmの厚さを有するアルミニウム箔のシートを使用する。第2の実施形態では、5ミル〜25ミルの厚さを有するアルミニウムシートを使用する。第3の実施形態では、複数の層を含む複合材は、少なくとも10ミルの総厚さを有する。第4の実施形態では、適切な量のアルミニウムシートが、1mm〜0.5cmの最終厚さを有する最終複合材マトリックスに使用される。一実施形態では、アルミニウムシートは、1/32インチ〜5/18インチの範囲の表示厚さを有する。第2の実施形態では、アルミニウムシートは、0.025インチの厚さである
図2に示すように、熱分解グラファイト部分は、熱分解グラファイトの断片がその高伝導率平面がアルミニウム合金シートの平面に平行に位置するように配置された層状化配向で、伝熱複合材内部に分布する。図3Aに示すような一実施形態では、PG断片は、その熱伝導率が伝熱複合材の断面にわたって(シートの平面に対して垂直な方向に)比較的均一になるように千鳥状(staggered manner)で及び/又は周期的なパターンで金属のシート間に配置される。図3Bに示すような別の実施形態では、PG断片は、材料の利用可能性に応じて、例えば小さい正方形、断片、塊等のような様々な形状及び幾何学形態のものとする。一実施形態(図示せず)では、比較的均一な寸法及び形状の複数の熱分解グラファイトの断片をアルミニウム(又は、アルミニウム合金)のシート間に配置する。
【0042】
図2の積層マトリックスのさらに別の実施形態では、熱源により近接すると予想される領域にその後使用されるアルミニウムシート間内にはより多くの及び/又はより厚いPG断片を配置し、また熱源からより遠い領域にその後使用されるアルミニウムシート間内にはより少ない断片又はより薄い/より小さいPG断片を配置することによって、伝熱複合材内に可変熱伝導率勾配を選択的に形成することができる。本発明のこの態様は、非常に局所的な区域(例えば「ホットスポット」)から比較的大きな表面積を有するヒートスプレッダに熱を拡散させることが望ましい場合に、有利なものとすることができる。
【0043】
非炭素質等方性材料マトリックス内に熱分解グラファイト部分がランダムに分布した一実施形態では、複合材内の熱分解グラファイト部分の(a−b)平面は、熱分解グラファイトを用いる従来技術の熱管理解決法と同様に、ランダムである、すなわち均一/平行ではない。
【0044】
非炭素質等方性材料マトリックス内に熱分解グラファイト部分がランダムに分布した一実施形態では、本発明の伝熱複合材は、複合材の任意の方向において100W/m−°K〜1000W/m−°Kの範囲の比較的均一な熱伝導率を有する。本明細書で用いる場合、「比較的均一」とは、マトリックス内部の任意の2点間での熱伝導率の変動が25%未満であることを意味する。一実施形態では、伝熱複合材は、マトリックス内部の任意の2点間での熱伝導率の変動が10%未満である。
【0045】
熱分解グラファイトの構成(濃度、寸法、形状、分布等)を注意深く制御した一実施形態では、複合材内の熱伝導率は、特定の熱源の熱膨張係数に整合させるのに役立つように調整することができる。このことは、ヒートスプレッダと熱源とが同様の比率で膨張及び収縮して、熱源とヒートスプレッダとの間の結合が損なわれるのを回避することができるという利点をもたらすことができる。
【0046】
一実施形態によれば、図5C〜図5Eに示すように、熱分解グラファイト部分は、非炭素質材料を含むマトリックスの固化集合体内に組み込まれ、プレサブストレートへと加工され(図5Cを参照されたい)、その後、熱源と重なるように伝熱複合材の事前形成された基板に位置付けられる(図5D及び図5Eを参照されたい)。アクティブ部材は、既に説明したように基板に固定され得る。
【0047】
伝熱マトリックスの用途:本発明の伝熱マトリックスは、様々な熱源(その何れも図に示していないが、CPUに代表されるそのような熱源の例が当業者には既知である)に関連して使用することができる。限定されるものではないが、本発明のヒートスプレッダは、容易に大型の形状に形成できる比較的低コストのヒートスプレッダが望まれる、様々な電気製品からの熱を伝達又は伝導させるのに使用することができる。
【0048】
本明細書に開示した用途に加えて、本発明は、熱源から熱を伝達除去するための冷却システムに関連して使用することができる。
【0049】
伝熱複合材の用途:本発明の伝熱マトリックスは、熱源から熱を伝達除去するための任意のデバイス、システム及び方法に使用することができる。一実施形態では、伝熱マトリックスは、マイクロプロセッサ、メモリデバイス等のような電子及び/又は集積回路(「IC」)デバイスに用いるヒートスプレッダを形成するために使用される。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、アルミニウム、銅、AlSiC等の一般的に使用される材料の多くに対して優れた熱性能を有する特定のパッシブヒートシンク又は「ヒートシンクボード」が意図される。パッシブヒートシンクは、高熱伝導性材料を使用して、発熱デバイスから、ヒートシンクボードの能動的に冷却された部分、フィン又は表面等のより低温領域へと熱を逃す。
【0051】
本発明の一実施形態において、パッシブヒートシンクは、約1550ワット/ケルビンメートルよりも高い熱伝導率を有する、熱焼鈍された熱分解グラファイト(TPG)を含有する複合ボードである。TPGの密度はたいていの金属に対して極めて低いため、本発明で特許請求されたヒートシンクボードは、アルミニウムから作製されるヒートシンク等の多くのヒートシンクよりも軽量であり、宇宙、航空、土壌及び海洋エレクトロニクス市場に確固たる解決法をもたらす。しかしながら、アルミニウム等の一般材料が十分な熱伝導特性を欠くため、大部分のエレクトロニクス産業では依然として熱管理問題に苦慮している。
【実施例】
【0052】
本明細書では、本発明を説明するために実施例を示すが、これら実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0053】
実施例1:オハイオ州ストロングスビル所在のGE Advanced Ceramicsから入手した熱分解グラファイト(TPG)部分を、窒化ホウ素離型剤を噴霧した鋼製金型内に注入する。約577℃の融点を有する溶融Al−Siをその金型内に注入し、同時に加圧し且つ回転鋼製ミキサによって部分と混合する。溶融合金は、両方の熱分解グラファイト部分を濡らし、実質的に全ての部分間の空隙を充填して、固化集合体ヒートスプレッダを形成した。得られたヒートスプレッダの熱伝導率の測定値は、約600W/m−°Kである。ボードの性能は、超伝導性媒体の比率を変化させることによって最終バルク又は局所の熱的性能を調整することができるように設計することができることに留意されたい。
【0054】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、またその要素を均等物で置き換えることができることは、当業者には明らかであろう。本発明は、本発明を実施する最良の態様として開示されている特定の実施形態に限定されることは意図されないが、本発明は、添付された特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが意図される。本明細書中の全ての引用は、参照により本明細書中に明示的に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱複合材であって、
非炭素質材料を含有するマトリックス内に固化集合体の形態で保持された複数の熱分解グラファイト部分を含み、
前記複数の熱分解グラファイト部分が各々、a−b方向における300W/m−°K及びc方向における3.5W/m−°Kの面内熱伝導率を有し、
前記複数の熱分解グラファイト部分のa−b方向が、前記複合材内でランダムに分布している、
伝熱複合材。
【請求項2】
前記非炭素質材料を含有する前記マトリックスが、前記伝熱複合材の全体容積を基準にして50容積%よりも大きい、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項3】
前記非炭素質等方性材料が、前記複数の熱分解グラファイト部分と拡散結合することができる材料を含む、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項4】
前記非炭素質等方性材料が金属マトリックスを含み、前記金属マトリックスが、アルミニウム並びにAl−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beの群から選択されるアルミニウム合金の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項5】
前記金属マトリックスが、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される該金属マトリックスの融点を低下させる少なくとも1つの元素を含む、請求項4に記載の伝熱複合材。
【請求項6】
前記複数の熱分解グラファイト部分が回収熱分解グラファイト部分である、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項7】
前記熱分解グラファイト部分が、熱分解グラファイト、高配向性熱分解グラファイト、圧縮焼鈍熱分解グラファイト、及びそれらの混合物の少なくとも1つを含み、300W/m−°K〜1800W/m−°Kの範囲の面内(a−b方向)熱伝導率を有する、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項8】
前記熱分解グラファイト部分が、ランダムな寸法、ランダムな形状、異なる寸法及び異なる形状の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項9】
前記非炭素質マトリックスが複数の非炭素質シート層を含み、前記複数の熱分解グラファイト部分が前記非炭素質シート層間内に配置される、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項10】
前記非炭素質マトリックスが複数のアルミニウムシート層を含み、前記複数の熱分解グラファイト部分が前記アルミニウムシート層間内に配置され、アルミニウムシートの各層に対して少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が存在する、請求項9に記載の伝熱複合材。
【請求項11】
前記積層シートが、少なくとも400℃の温度で、且つ少なくとも300psiでホットプレス加工される、請求項10に記載の伝熱複合材。
【請求項12】
前記アルミニウムシートの各々が少なくとも10ミルの平均厚さを有する、請求項10に記載の伝熱複合材。
【請求項13】
少なくとも10ミルの厚さを有する、請求項1に記載の伝熱複合材。
【請求項14】
伝熱複合材を作製する方法であって、
各々がa−b方向における300W/m−°K及びc方向における3.5W/m−°Kの面内熱伝導率を有する複数の熱分解グラファイト部分を、非炭素質等方性材料のマトリックス内に配置して、集合体を形成する工程と、
前記非炭素質等方性マトリックス内の熱分解グラファイト部分の前記集合体を、前記複数の熱分解グラファイト部分のa−b方向が前記複合材内にランダムに分布するように該熱分解グラファイト部分を該非炭素質マトリックス内に埋め込むのに十分な温度及び圧力に加熱する工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
前記非炭素質等方性材料が金属を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記金属が、Al−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beから成る群から選択される合金を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属マトリックスが該金属マトリックスの融点を低下させる元素を含み、前記元素が、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記熱分解グラファイト部分が、熱分解グラファイト、高配向性熱分解グラファイト、圧縮焼鈍熱分解グラファイト部分の混合物を含み、300W/m−°K〜1800W/m−°Kの範囲の面内(a−b方向)熱伝導率を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の熱分解グラファイト部分を前記非炭素質マトリックス内に配置する工程が、非炭素質材料を含む層間内に該複数の熱分解グラファイト部分を分布させる工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の伝熱複合材を含む、伝熱デバイス。
【請求項21】
非炭素質材料を含有するマトリックス内に固化集合体の形態で保持された複数の熱分解グラファイト部分を含む、伝熱複合材。
【請求項22】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材の約30容積%〜約95容積%の量で存在する、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項23】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材の約50容積%よりも大きい量で存在する、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項24】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材の約40容積%〜約60容積%の量で存在する、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項25】
前記非炭素質材料が、前記複数の熱分解グラファイト部分と拡散結合することができる材料を含む、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項26】
前記非炭素質材料が等方性金属マトリックスを含む、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項27】
前記金属マトリックスが、アルミニウム並びにAl−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beの群から選択されるアルミニウム合金の少なくとも1つを含む、請求項26に記載の伝熱複合材。
【請求項28】
前記金属マトリックスが、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される該金属マトリックスの融点を低下させる少なくとも1つの元素を含む、請求項27に記載の伝熱複合材。
【請求項29】
前記複数の熱分解グラファイト部分が回収熱分解グラファイト部分である、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項30】
前記熱分解グラファイト部分が、熱分解グラファイト、高配向性熱分解グラファイト、圧縮焼鈍熱分解グラファイト、及びそれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項31】
前記熱分解グラファイト部分が、300W/m−°K〜1800W/m−°Kの範囲の面内(a−b方向)熱伝導率、並びにランダムな寸法及び形状を有する、請求項30に記載の伝熱複合材。
【請求項32】
前記熱分解グラファイト部分の面内(a−b方向)が、前記複合材内でランダムに分布する、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項33】
前記熱分解グラファイト部分の面内(a−b方向)が、前記伝熱複合材の表面に対して実質的に平行である、請求項32に記載の伝熱複合材。
【請求項34】
前記非炭素質マトリックスが複数の非炭素質シート層を含み、前記複数の熱分解グラファイト部分が前記非炭素質シート層間内に配置される、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項35】
前記熱分解グラファイト部分の面内(a−b方向)が、前記伝熱複合材の表面に対して実質的に平行である、請求項34に記載の伝熱複合材。
【請求項36】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材内に周期的なパターンで配置される、請求項35に記載の伝熱複合材。
【請求項37】
前記非炭素質マトリックスが複数のアルミニウムシート層を含み、前記複数の熱分解グラファイト部分が前記アルミニウムシート層間内に配置され、アルミニウムシートの各層に対して少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が存在する、請求項34に記載の伝熱複合材。
【請求項38】
前記熱分解グラファイト部分の面内(a−b方向)が、前記伝熱複合材の表面に対して実質的に平行である、請求項37に記載の伝熱複合材。
【請求項39】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材内に周期的なパターンで配置される、請求項38に記載の伝熱複合材。
【請求項40】
前記シート層が、少なくとも400℃の温度で、且つ少なくとも300psiでホットプレス加工される、請求項34に記載の伝熱複合材。
【請求項41】
前記シート層が、少なくとも5ミルの厚さを有する、請求項34に記載の伝熱複合材。
【請求項42】
前記シート層が1/32インチ〜5/18インチの表示厚さを有する、請求項34に記載の伝熱複合材。
【請求項43】
少なくとも10ミルの厚さを有する、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項44】
伝熱複合材を作製する方法であって、
複数の熱分解グラファイト部分を非炭素質材料のマトリックス内に配置して集合体を形成する工程と、
前記非炭素質マトリックス内の熱分解グラファイト部分の前記集合体を、該熱分解グラファイト部分を該非炭素質マトリックス内に埋め込むのに十分な温度及び圧力に加熱する工程と、
を含む、方法。
【請求項45】
前記非炭素質材料が等方性金属マトリックスを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材の約30容積%〜約95容積%の量で存在する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材の約50容積%よりも大きい量で存在する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材の約40容積%〜約60容積%の量で存在する、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記金属が、Al−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beから成る群から選択される合金を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記金属マトリックスが該金属マトリックスの融点を低下させる元素を含み、前記元素が、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記熱分解グラファイト部分が、熱分解グラファイト、高配向性熱分解グラファイト、圧縮焼鈍熱分解グラファイト部分の混合物を含み、300W/m−°K〜1800W/m−°Kの範囲の面内(a−b方向)熱伝導率を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の熱分解グラファイト部分を前記非炭素質マトリックス内に配置する工程が、非炭素質材料を含む層間内に該複数の熱分解グラファイト部分を分布させる工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
請求項21に記載の伝熱複合材を含む、伝熱デバイス。
【請求項54】
少なくとも1つの熱分解グラファイト部分を含み、且つ熱源を覆って該熱源から熱を伝達除去する前記マトリックスの少なくとも1つが、内部に固定される非炭素質材料基板をさらに含む、請求項21に記載の伝熱複合材。
【請求項55】
前記基板が実質的に平らであり、前記少なくとも1つの熱分解グラファイト部分の面内(a−b方向)が前記伝熱複合材の表面に対して実質的に平行である、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項56】
前記熱分解グラファイト部分(複数可)が、a−b方向における少なくとも約300W/m−°K及びc方向における約20W/m−°K未満の面内熱伝導率を有する、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項57】
前記マトリックスが、エポキシ結合、機械的ねじ止め、はんだ付け、ろう付け、プレス嵌め、圧縮嵌め、熱間静水圧プレス加工及び拡散結合プロセスから成る群から選択される少なくとも1つであるプロセスによって前記基板に固定される、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項58】
前記非炭素質材料の基板が、アルミニウム並びにAl−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beの群から選択されるアルミニウム合金の少なくとも1つを含む等方性金属を含む、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項59】
前記基板が、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される該金属基板の融点を低下させる少なくとも1つの元素を含む、請求項58に記載の伝熱複合材。
【請求項60】
マトリックスが、少なくとも1つの熱分解グラファイト部分と拡散結合することができる非炭素質材料を含む、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項61】
前記マトリックスの前記非炭素質材料が等方性金属マトリックスを含む、請求項60に記載の伝熱複合材。
【請求項62】
前記金属マトリックスが、アルミニウム並びにAl−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beの群から選択されるアルミニウム合金の少なくとも1つを含む、請求項61に記載の伝熱複合材。
【請求項63】
前記金属マトリックスが、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される該金属マトリックスの融点を低下させる少なくとも1つの元素を含む、請求項62に記載の伝熱複合材。
【請求項64】
前記マトリックスの前記少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が、回収熱分解グラファイトである、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項65】
前記熱分解グラファイト部分が、熱分解グラファイト、高配向性熱分解グラファイト、圧縮焼鈍熱分解グラファイトの少なくとも1つを含み、約300W/m−°K〜1800W/m−°Kの範囲の面内(a−b方向)熱伝導率を有する、請求項64に記載の伝熱複合材。
【請求項66】
前記熱分解グラファイト部分(複数可)が、前記伝熱複合材の約10容積%〜約50容積%の範囲の量で存在する、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項67】
前記熱分解グラファイト部分(複数可)が、前記伝熱複合材の約10容積%〜約30容積%の範囲の量で存在する、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項68】
前記熱分解グラファイト部分(複数可)が、前記伝熱複合材の約20容積%〜約30容積%の範囲の量で存在する、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項69】
前記熱分解グラファイト部分(複数可)が、ランダムな寸法、ランダムな形状、異なる寸法及び異なる形状の少なくとも1つを有する、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項70】
前記マトリックスが複数の非炭素質シート層を含み、前記少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が前記非炭素質シート層上及び/又は前記非炭素質シート層間内に配置される、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項71】
前記非炭素質シート層がアルミニウムであり、前記少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が、前記アルミニウムシート層上及び/又は前記アルミニウムシート層間内に配置される、請求項70に記載の伝熱複合材。
【請求項72】
前記少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が、前記伝熱複合材内に周期的なパターンで配置される、請求項70に記載の伝熱複合材。
【請求項73】
前記積層シートが、少なくとも400℃の温度で、且つ少なくとも300psiでホットプレス加工される、請求項71に記載の伝熱複合材。
【請求項74】
前記アルミニウムシートの各々が少なくとも10ミルの平均厚さを有する、請求項71に記載の伝熱複合材。
【請求項75】
少なくとも10ミルの厚さを有する、請求項54に記載の伝熱複合材。
【請求項76】
請求項54に記載の伝熱複合材を構成する方法であって、
少なくとも1つのマトリックスを前記基板に固定する工程と、
熱源を覆って該熱源から熱を伝達除去するように、前記基板内に前記マトリックスを配する工程と、
を含む、方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つの熱分解グラファイト部分が、a−b方向における少なくとも約300W/m−°K及びc方向における約20W/m−°K未満の面内熱伝導率を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
非炭素質材料の前記基板が等方性金属を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記金属基板が、Al−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beから成る群から選択される合金を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記基板が前記金属の融点を低下させる元素を含み、前記元素が、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
マトリックスが、少なくとも1つの熱分解グラファイト部分と拡散結合することができる非炭素質材料を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記マトリックスの前記非炭素質材料が、等方性金属マトリックスを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記金属マトリックスが、アルミニウム並びにAl−Mg、Al−Si、Al−Cu、Al−Ag、Al−Li及びAl−Beの群から選択されるアルミニウム合金の少なくとも1つを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記金属マトリックスが、Mn、Ni、Sn及びZnから成る群から選択される該金属マトリックスの融点を低下させる少なくとも1つの元素を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記熱分解グラファイト部分が、熱分解グラファイト、高配向性熱分解グラファイト、圧縮焼鈍熱分解グラファイトの少なくとも1つを含み、約300W/m−°K〜1800W/m−°Kの範囲の面内(a−b方向)熱伝導率を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
請求項54に記載の伝熱複合材を含む、伝熱デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−503872(P2011−503872A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533101(P2010−533101)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/012543
【国際公開番号】WO2009/061450
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】