伸張度測定装置、伸張度測定システム及びコンピュータプログラム
【課題】使用前のローラ間の距離を予め設定することなく、チェーンの伸張度を測定することができる伸張度測定装置、伸張度測定システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】三つ以上のピン72、72、・・・、72の画像に基づいて、相隣る二つのピン間距離P1、P2をそれぞれ算出する。算出された二つのピン間距離P1、P2の内、長い距離が内リンク81のピッチであり、短い距離が外リンク71のピッチである。外リンク71は伸張せず、内リンク81のみが伸張するので、外リンク71のピッチに対する両ピッチ間の差分の割合をチェーンの伸張度とする。
【解決手段】三つ以上のピン72、72、・・・、72の画像に基づいて、相隣る二つのピン間距離P1、P2をそれぞれ算出する。算出された二つのピン間距離P1、P2の内、長い距離が内リンク81のピッチであり、短い距離が外リンク71のピッチである。外リンク71は伸張せず、内リンク81のみが伸張するので、外リンク71のピッチに対する両ピッチ間の差分の割合をチェーンの伸張度とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の内リンクと外リンクとを交互につないでスプロケットに掛け廻し、両端を継手リンクで連結して物品の搬送又は動力の伝達を行うチェーンにあっては、定期的なメンテナンスの際に、継手リンクを取り除いてスプロケットからチェーンを外した後、チェーンの長さを測定して初期の長さと使用後の長さとの差分が基準値に達した場合、チェーンを交換して事故の発生を防止していた。しかし、このような方法ではチェーンの取り外し・取り付けの作業に多くの時間と労力とを要し、またチェーンが配設された設備の操業を長時間停止しなければならないという問題があった。
【背景技術】
【0002】
そのため特許文献1には次のような方法が開示されている。チェーンに備えられた複数のローラの内、2つのローラの周面にチェーンの長手方向へ長い光ビームを照射し、光ビームを照射した部分を撮像して、両者の輪郭部分を示す円弧状の2つの像を得、チェーンの長手方向に平行であり、前記像と2箇所で交わる直線とそれぞれの像との交点を特定し、特定した交点に基づいてローラの中心位置をコンピュータにて算定し、算定した両中心位置の間の距離に基づいて、チェーンの伸長度を検出する。当該方法を用いることによって、チェーンを取り外すことなく、チェーンの伸長度を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−332342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述した方法にあっては、使用前のチェーンにおける2つのローラ間の距離をコンピュータに予め設定しておく必要があり、使用前の2つのローラ間の距離が不明な場合には、チェーンの伸張度を検出することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、使用前のローラ間の距離を予め設定することなく、チェーンの伸張度を測定することができる伸張度測定装置、伸張度測定システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る伸張度測定装置は、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を測定する伸張度測定装置において、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る伸張度測定装置は、前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る伸張度測定装置は、前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る伸張度測定装置は、前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る伸張度測定システムは、前述した伸張度測定装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、前記伸張度測定装置と、前記伸張度算定手段にて算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻を記憶するサーバとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバに記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバに記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記サーバから前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る伸張度測定システムは、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを端末装置にて撮像し、撮像した前記チェーンの画像に基づいて、前記チェーンの伸長度をサーバにて算出する伸張度測定システムであって、前記サーバは、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記端末装置は、前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記端末装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、前記サーバは、算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻とを記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を算出する手段として機能させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段、算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段及び算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出し、外リンクのピッチ及び内リンクのピッチを算出する。そして算出した外リンクのピッチ及び内リンクのピッチに基づいて、チェーンの伸張度を算出する。
【0024】
本発明においては、三つのピンを撮像した場合、二つのピン間距離(外リンクのピッチ及び内リンクのピッチ)が算出される。チェーンの構造上、チェーンの使用前後で外リンクの寸法はほとんど変化しないが、使用後の内リンクの寸法は使用前に比べて伸張する。そのため算出された二つのピン間距離の内、長い距離が内リンクのピッチであり、短い距離が外リンクのピッチである。また使用前における外リンクのピッチ及び内リンクのピッチは互いに略等しいので、外リンクのピッチに対する両ピッチ間の差分の割合がチェーンの伸張度となる。
【0025】
本発明においては、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、三つ以上のピン間距離を算出する。そして算出された各ピン間距離を線形関係にある係数によって補正し、チェーンを斜めに撮像することによるピン間距離の誤差を修正する。
【0026】
本発明においては、チェーンの伸張度を出力して作業者又はユーザに認識させる。
【0027】
本発明においては、算出したチェーンの伸張度を、チェーンを撮像した位置及び時刻と共にサーバに記憶し、チェーンの状態を綿密に管理する。
【0028】
本発明においては、チェーンを設置した位置とユーザが使用するコンピュータ(外部装置)とを対応付けて、測定したチェーンの伸張度をサーバからユーザが使用するコンピュータへ送信し、前記伸張度をユーザに報告する。
【0029】
本発明においては、チェーンの伸張度が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、ユーザにチェーンの交換を促す。
【0030】
本発明においては、チェーンの伸張度の時間変化率が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、チェーンに異常が発生している可能性をユーザに報知する。
【発明の効果】
【0031】
本発明にあっては、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出する。そして算出した外リンクのピッチ及び内リンクのピッチに基づいて、チェーンの伸張度を算出するので、使用前のピン間距離を予め設定せずとも、チェーンの伸張度を測定することができる。
【0032】
本発明にあっては、外リンクのピッチ及び内リンクのピッチを算出する。三つのピンを撮像した場合、二つのピン間距離(外リンクのピッチ及び内リンクのピッチ)が算出される。チェーンの構造上、チェーンの使用前後で外リンクの寸法はほとんど変化しないが、使用後の内リンクの寸法は使用前に比べて伸張する。そのため算出された二つのピン間距離の内、長い距離が内リンクのピッチであり、短い距離が外リンクのピッチである。また使用前における外リンクのピッチ及び内リンクのピッチは互いに略等しいので、外リンクのピッチに対する両ピッチ間の差分の割合がチェーンの伸張度となり、使用前のピン間距離を予め設定せずとも、チェーンの伸張度を測定することができる。
【0033】
本発明にあっては、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、三つ以上のピン間距離を算出し、算出したピン間距離を線形関係にある係数によって補正する。そのためチェーンを斜め方向から撮像することによってチェーンの画像に歪みが生じた場合でも、画像の歪みによるピン間距離の誤差が修正され、外リンクのピッチ及び内リンクのピッチを正確に算出して、チェーンの伸張度を正確に求めることができる。
【0034】
本発明にあっては、ユーザはチェーンの伸張度を確実に認識することができ、チェーンが交換時期にあるのか否かを直ちに認識することができる。
【0035】
本発明にあっては、算出したチェーンの伸張度を、チェーンを撮像した位置及び時刻と共にサーバに記憶して、チェーンの状態を綿密に管理し、チェーンに対する適切な処置を講じることができる。
【0036】
本発明にあっては、チェーンを設置した位置とユーザが使用するコンピュータ(外部装置)とを対応付けて、測定したチェーンの伸張度をサーバからユーザが使用するコンピュータへ送信し、前記伸張度をユーザに報告するので、ユーザは交換時期にあるチェーンを確実に認識することができる。
【0037】
本発明にあっては、チェーンの伸張度が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、交換時期にあるチェーンの交換をユーザに促すことができる。
【0038】
本発明にあっては、チェーンの伸張度の時間変化率が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、チェーンに異常が発生している可能性をユーザに報知して、チェーンの交換及びチェーンの使用中止などをユーザに促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】チェーンを略示する分解図である。
【図2】チェーンと実施の形態1に係る伸張度測定システムの端末装置とを略示する斜視図である。
【図3】伸張度測定システムの構成を示すブロック図である。
【図4】データベースに記憶された管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図5】チェーンの伸張度を算出する第1方法及び第2方法を説明する説明図である。
【図6】端末装置のCPU21による第1方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
【図7】端末装置のCPU21による第2方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
【図8】サーバのCPU41による管理処理を説明するフローチャートである。
【図9】実施の形態2に係る伸張度測定システムの端末装置のCPUによるチェーンの伸張度を表示する処理を説明するフローチャートである。
【図10】サーバのCPUによる伸張度算出処理及び管理処理を説明するフローチャートである。
【図11】サーバのCPUによる伸張度算出処理及び管理処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る伸張度測定システムを示す図面に基づいて詳述する。図1はチェーンを略示する分解図である。
図中80は内リンクであり、内リンク80は、互いに対向する二つの内プレート81、81を備える。内プレート81は長円形の平板部材からなり、該平板部材の両端部に2つの穴を開設してある。一方の内プレート81の二つの穴に、円筒状の二つのブシュ82、82の一端部をしまりばめし、他方の内プレート81の二つの穴に、ブシュ82、82の他端部をしまりばめして、二つの内プレート81、81を連結している。各ブシュ82、82には環状のローラ85、85が回転自在に外嵌してある。
【0041】
内リンク80は、外リンク70の内側に配してある。外リンク70は、互いに対向する二つの外プレート71、71を備える。外プレート71は、内プレート81と略同じ寸法の長円形の平板部材からなり、該平板部材の両端部に二つの穴を開設してある。外プレート71に開設した穴の直径は、内プレート81の穴よりも小さい。一方の外プレート71、71の二つの穴に、円柱状のピン72、72の一端部をしまりばめしてある。円柱状のピン72の直径はブシュ82の内径よりも小さく、二つの円柱状のピン72、72は、それぞれ別の内リンク80、80のブシュ82、82に挿通してある。そして他方の外プレート71、71の二つの穴に、円柱状のピン72、72の他端部をしまりばめして、内リンク80を挟むようにして、外プレート71、71を連結している。このように外リンク70と内リンク80とを連結する操作を繰り返し、チェーン10が環状に組み立ててある。
【0042】
図2はチェーン10と実施の形態1に係る伸張度測定システムの端末装置とを略示する斜視図、図3は伸張度測定システムの構成を示すブロック図である。
チェーン10は、図示しないスプロケットに掛け廻してある。チェーン10は、スプロケットの駆動によって図2の矢符にて示す方向に移動している。なおピン72の端部は外プレート71から適長突出しており、突出したピン72の端部には、チェーン10を撮像した場合にピン72と周囲とを識別することができるように、塗料が塗布してある。作業者は、チェーン10を端末装置(伸張度測定装置)20にて撮像する。
【0043】
端末装置20は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)21と、制御プログラムなどのデータを記憶する書換え可能なROM(Resd Only Memory)22と、演算処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Randam Access Memory)23と、レンズ及びCCD(ChargeCoupled Device)を備える撮像部24と、他の機器との通信を行うための通信I/F(InterFace)25と、文字及び画像などを表示する表示部26と、作業者の操作を受け付ける操作部27と、時刻を計測するリアルタイムクロック28と、端末装置の位置を計測するGPS(Global Positioning System)29とを備える。端末装置の前記各構成要素は、内部バスによって相互に接続されている。なお撮像部24は、チェーン10の移動速度に対して充分に速い速度で撮像できるように構成してあり、チェーン10が移動している場合でも、チェーン10を明瞭に撮像することができる。
【0044】
CPU21は、必要に応じて通信I/F25を介して後述するサーバ40から、アプリケーションプログラムをROM22に記憶(ダウンロード)する。CPU21は、RAM23を作業領域として、ROM22に記憶されたアプリケーションプログラムをRAM23に読出し、撮像部24から入力される撮像データに基づいて後述する伸張度算出処理を実行し、算出されたチェーン10の伸張度を撮像データと共に、通信I/F25を介してサーバに送信する。またCPU21は、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置を通信I/F25を介してサーバ40に送信する。またCPU21は、伸張度を示す情報を表示部26に表示させる。
【0045】
サーバ40は、演算処理を行うCPU41と、制御プログラムなどのデータを記憶する書換え可能なROM42と、演算処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM43と、他の機器との通信を行うための通信I/F44と、データベース45とを備える。
【0046】
CPU41は、ROM42に記憶されたアプリケーションプログラムを通信I/F44を介して端末装置20に送信する。またCPU41は、RAM43を作業領域として、ROM42に記憶された管理プログラムをRAM43に読出し、後述する管理処理を行う。CPU41は、通信I/F44を介して、端末装置20から伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信し、データベース45に記憶する。またCPU41は、通信I/F44を介して管理コンピュータ50と通信する。なお管理コンピュータ50は、チェーン10を使用するユーザのコンピュータであり、例えばユーザの社内に設置してあるPC(Personal Computer) 及びユーザが所有する携帯端末などが挙げられる。
【0047】
図4は、データベース45に記憶された管理テーブルの一例を示す概念図である。図4の(a)は、撮像位置及びチェーンIDなどを記憶し、チェーン10を識別する識別テーブルであり、図4の(b)は、撮像位置に対応付けて撮像時刻及び伸張度などを記憶し、チェーン10の状態を個別に把握する個別テーブルである。
【0048】
図4(a)に示すように、識別テーブルは、チェーン10を撮像した撮像位置、チェーンID、チェーン10を使用するユーザ名、チェーン10を納入した納入先、管理コンピュータ50のアドレスを示す送付先アドレス、撮像データの記憶場所を示す撮像データアドレスを記憶している。なおチェーンID、ユーザ名、納入先、送付先アドレス及び撮像データアドレスの欄には、撮像位置に対応付けてチェーンID、ユーザ名、納入先、送付先アドレス及び撮像データアドレスがそれぞれ記憶される。
【0049】
図4(b)に示すように、個別テーブルは、チェーン10を撮像した撮像時刻、チェーン10の伸張度、チェーン10の交換時期であるか否かを示す交換フラグ、及びチェーン10に異常が発生しているか否かを示す警告フラグなどを記憶している。なお撮像時刻、伸張度、交換フラグ及び警告フラグは、撮像位置に対応付けてある。また初期状態において、交換フラグ及び警告フラグには、それぞれ0(交換時期にないことを示す値及び異常が発生していないことを示す値)が設定してある。
【0050】
前記端末装置20のCPU21は、撮像したチェーン10の画像に基づいてチェーン10の伸張度を算出する。図5はチェーン10の伸張度を算出する第1方法及び第2方法を説明する説明図である。
【0051】
チェーン10の伸張度を算出する第1方法について説明する。
三つ以上並んだピン72、72、・・・、72を含むようにチェーン10を撮像し、撮像したチェーン10の画像を二値化する。そして、隣り合う三つのピン72、72、・・・、72の位置を抽出し、ピン間の画素数を求め、ピン間距離P1及びP2を求める(図5参照)。なお前述したようにピン72の端部には、ピン72と周囲と識別するための塗料が塗布してあり、ピン72の位置の抽出は確実に行われる。
【0052】
次にP1とP2とを比較し、長い距離を内リンク81のピッチとし、短い距離を外リンク71のピッチとする。当該比較は、ピン72とブシュ82とが摩耗することによって内リンク81のみが伸張したように視認されることに基づく。
【0053】
そして内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとの差分を求め、外リンク71のピッチに対する前記差分の割合(チェーン10の伸張度)を求める。例えばP2が内リンク81のピッチであり、P1が外リンク71のピッチである場合には、以下の(a)式によってチェーン10の伸張度が求められる。
{(P2−P1)/P1}・100・・・・(a)
【0054】
次にチェーン10の伸張度を算出する第2方法について説明する。まず四つ以上並んだピン72、72、・・・、72を含むようにチェーン10を撮像し、撮像したチェーン10の画像を二値化する。そして、隣り合う四つのピン72、72、・・・、72の位置を抽出し、ピン間の画素数を求め、ピン間距離P1、P2及びP3を求める(図5参照)。
【0055】
次に、チェーン10に正対せずに、チェーン10を斜め方向から撮像した場合を考慮して、ピン間距離P1、P2及びP3に乗算するための補正係数α、β及びγを求める。補正係数α、β及びγが満たすべき条件は、(1)補正係数α、β及びγは線形関係にあること、及び(2)P1・α=P3・γの関係にあることである。
【0056】
条件(1)は、チェーン10を斜め方向から撮像した場合を考慮することに基づく。条件(2)は、連続する四つのピン72、72、・・・、72を撮像した場合、P1・αとP3・γとは、いずれも外リンク71、71の長さを示すか又は内リンク81、81の長さを示すことに基づく。
【0057】
次にP2・βと、P1・α又はP3・γとを比較し、長い距離を内リンク81のピッチとし、短い距離を外リンク71のピッチとする。当該比較は、ピン72とブシュ82とが摩耗することによって内リンク81のみが伸張するように視認されることに基づく。
【0058】
そして内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとの差分を求め、外リンク71のピッチに対する前記差分の割合(チェーン10の伸張度)を求める。例えばP1・α及びP3・γが内リンク81のピッチであり、P2・βが外リンク71のピッチである場合には、以下の(b)式によってチェーン10の伸張度が求められる。
{(P1・α−P2・β)/P2・β}・100・・・・(b)
またP1・α及びP3・γが外リンク71のピッチであり、P2・βが内リンク81のピッチである場合には、以下の(c)式によってチェーン10の伸張度が求められる。
{(P2・β−P1・α)/P1・α}・100・・・・(c)
なお上記(b)式、(c)式におけるP1・αはP3・γに置換することができる。
【0059】
上記第1方法又は第2方法に基づいて端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出する。
図6は、端末装置20のCPU21による第1方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
【0060】
端末装置20のCPU21は、操作部27の操作によって伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されたか否かを判定し(ステップS1)、伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。伸張度算出処理の開始を示す信号が入力された場合(ステップS1:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像部24から撮像データが入力されたか否かを判定し(ステップS2)、撮像データが入力されるまで待機する(ステップS2:NO)。撮像部24から撮像データが入力された場合(ステップS2:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像した画像を二値化し(ステップS3)、連続する三つのピンの位置を抽出してピン間距離P1及びP2を算出する(ステップS4)。
【0061】
そして端末装置20のCPU21は、P1とP2とを比較し、内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとを求める(ステップS5)。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出する(ステップS6)。このとき端末装置20のCPU21は、前述した(a)式によってチェーン10の伸張度を算出する。
【0062】
次に端末装置20のCPU21は、算出したチェーン10の伸張度を表示する指令を表示部26に送信する(ステップS7)。前記指令を受信した表示部26はチェーン10の伸張度を表示する。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度、撮像データ、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置をサーバ40に送信する(ステップS8)。
【0063】
図7は、端末装置20のCPU21による第2方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
端末装置20のCPU21は、操作部27の操作によって伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されたか否かを判定し(ステップS11)、伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS11:NO)。伸張度算出処理の開始を示す信号が入力された場合(ステップS11:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像部24から撮像データが入力されたか否かを判定し(ステップS12)、撮像データが入力されるまで待機する(ステップS12:NO)。撮像部24から撮像データが入力された場合(ステップS12:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像した画像を二値化し(ステップS13)、連続する四つのピンの位置を抽出してピン間距離P1、P2及びP3を算出する(ステップS14)。
【0064】
そして端末装置20のCPU21は、前述した方法で補正係数α、β及びγを算出し(ステップS15)、算出した補正係数α、β及びγをピン間距離P1、P2及びP3にそれぞれ乗算する(ステップS16)。次に端末装置20のCPU21は、P2・βと、P1・α又はP3・γとを比較し、内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとを求める(ステップS17)。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出する(ステップS18)。このとき端末装置20のCPU21は、前述した(a)式又は(b)式によってチェーン10の伸張度を算出する。
【0065】
次に端末装置20のCPU21は、算出したチェーン10の伸張度を表示する指令を表示部26に送信する(ステップS19)。前記指令を受信した表示部26はチェーン10の伸張度を表示する。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度、撮像データ、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置をサーバ40に送信する(ステップS20)。
【0066】
上述したように、第1方法又は第2方法に基づいて端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出し、チェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置をサーバ40に送信する。サーバ40は、チェーン10に関する情報を管理する。図8はサーバ40のCPU41による管理処理を説明するフローチャートである。
【0067】
サーバ40のCPU41は、端末装置20からチェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信したか否かを判定し(ステップS21)、チェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信するまで待機する(ステップS21:NO)。チェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信した場合(ステップS21:YES)、サーバ40のCPU41は、受信した撮像位置が既に識別テーブルに記憶されているか否かを判定する(ステップS22)。受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合(ステップS22:NO)、サーバ40のCPU41は、チェーンIDなどを入力する指示を端末装置20に送信する(ステップS23)。なお受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合、チェーンID、ユーザ名、納入先及び送付先アドレス(以下チェーンIDなどという)は識別テーブルに記憶されていない。
【0068】
そしてサーバ40のCPU41は、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了したか否かを判定し(ステップS24)、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了するまで待機する(ステップS24:NO)。端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了した場合、サーバ40のCPU41は、データベース45に撮像位置、チェーンIDなどを記憶する(ステップS25)。このときサーバ40のCPU41は、撮像位置及びチェーンIDなどを識別テーブルに記憶し、データベース45の記憶領域の内、使用していない記憶領域を示すアドレスを撮像データアドレスとして識別テーブルに記憶する。またサーバ40のCPU41は、受信した撮像時刻及びチェーン10の伸張度を撮像位置に対応した個別テーブルに記憶し、撮像データアドレスが示すデータベース45の記憶領域に画像データを記憶する。
【0069】
受信した撮像位置が既に識別テーブルに記憶されている場合(ステップS22:YES)、サーバ40のCPU41は、撮像時刻及びチェーン10の伸張度を撮像位置に対応した個別テーブルに追記し、撮像データアドレスが示すデータベース45の記憶領域に画像データを記憶する(ステップS25)。なお撮像時刻及びチェーン10の伸張度は、管理処理を行う都度、個別テーブルに追記されてデータベース45に蓄積される。
【0070】
次にサーバ40のCPU41は、個別テーブルに記憶(追記)した最新の伸張度が所定値Pを超過しているか否かを判定する(ステップS26)。なお所定値Pは、ピン72の直径、ブシュ82の内径、チェーン10の長さ及びスプロケットの直径などチェーンの物理的な状態に影響する値に基づいて定められ、予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに記憶した最新の伸張度が所定値Pを超過している場合(ステップS26:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10の交換時期であることを示す値)を設定する(ステップS27)。そしてサーバ40のCPU41は、個別テーブルを参照し、前記最新の伸張度と前回記憶した伸張度との差分を、両伸張度に対応する撮像時刻の差分で除して、伸張度の時間変化率を算出し、算出した時間変化率が所定値Qを超過したか否かを判定する(ステップS28)。なお所定値Qは、ピン72の直径、ブシュ82の内径、チェーン10の長さ及びスプロケットの直径などチェーンの物理的な状態に影響する値に基づいて定められ、予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに追記した最新の伸張度が所定値Pを超過していない場合(ステップS26:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS28へ処理を進める。
【0071】
算出した時間変化率が所定値Qを超過している場合(ステップS28:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10に異常が発生していることを示す値)を設定する(ステップS29)。そしてサーバ40のCPU41は、データベース45を参照する(ステップS30)。算出した時間変化率が所定値Qを超過していない場合(ステップS28:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS30へ処理を進める。
【0072】
そしてサーバ40のCPU41は、チェーン10の伸張度、撮像データ、位置情報及び撮像時刻を管理コンピュータ50に送信する。また最新の撮像時刻に対応する交換フラグが1である場合に、チェーン10の交換を促すメッセージを管理コンピュータ50に送信し、最新の撮像時刻に対応する警告フラグが1である場合に、チェーン10に異常が発生していることを示すメッセージを管理コンピュータ50に送信する(ステップS31)。なお最新の撮像時刻に対応する交換フラグが1である場合及び最新の撮像時刻に対応する警告フラグが1である場合に、サーバ40のCPU41が、チェーン10の交換を促すメッセージ及びチェーン10に異常が発生していることを示すメッセージを端末装置20に更に送信する構成としても良い。この場合、ステップS21において、端末装置20を識別する情報を更に受信する構成とすることは言うまでもない。
【0073】
実施の形態1に係る伸張度測定システムにあっては、三つ以上並んだ前記ピン72、72、・・・、72の画像に基づいて、相隣る二つのピン間距離P1、P2をそれぞれ算出し、外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチを算出する。三つのピン72、72、72を撮像した場合、二つのピン間距離P1、P2(外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチ)が算出される。チェーン10の構造上、チェーン10の使用前後で外リンク71の寸法はほとんど変化しないが、使用後の内リンク81の寸法は使用前に比べて伸張する。そのため算出された二つのピン間距離P1、P2の内、長い距離が内リンク81のピッチであり、短い距離が外リンク71のピッチである。また使用前における外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチは互いに略等しいので、外リンク71のピッチに対する両ピッチ間の差分の割合がチェーン10の伸張度となり、使用前のピン間距離を予め設定せずとも、チェーン10の伸張度を測定することができる。
【0074】
また四つ以上の前記ピン72の画像に基づいて、三つのピン間距離P1〜P3を算出し、算出したピン間距離P1〜P3を線形関係にある係数α、β、γによって補正する。そのためチェーン10を斜め方向から撮像することによってチェーン10の画像に歪みが生じた場合でも、画像の歪みによるピン間距離P1〜P3の誤差が修正され、外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチを正確に算出して、チェーン10の伸張度を正確に求めることができる。
【0075】
また作業者又はユーザは表示部26を介して、チェーン10の伸張度を確実に認識することができ、チェーン10が交換時期にあるのか否かを直ちに認識することができる。
【0076】
また算出したチェーン10の伸張度を、チェーン10を撮像した撮像位置及び撮像時刻と共にサーバ40に記憶して、チェーン10の状態を綿密に管理し、チェーン10に対する適切な処置を講じることができる。
【0077】
またチェーン10を設置した位置(撮像位置)とチェーン10のユーザが使用する管理コンピュータ50(外部装置)とを対応付けて、測定したチェーン10の伸張度をサーバ40から管理コンピュータ50へ送信し、前記伸張度をユーザに報告するので、ユーザは交換時期にあるチェーン10を確実に認識することができる。
【0078】
またチェーン10の伸張度が所定値を超過した場合に、サーバ40から管理コンピュータ50にその旨送信し、交換時期にあるチェーン10の交換をユーザに促すことができる。
【0079】
またチェーン10の伸張度の時間変化率が所定値を超過した場合に、サーバ40から管理コンピュータ50にその旨送信し、チェーン10に異常が発生している可能性をユーザに報知して、チェーン10の交換及びチェーン10の使用中止などをユーザに促すことができる。
【0080】
なお実施の形態1に係る伸張度測定システムは、三つのピン間距離P1〜P3に対して補正を行っているが、四つ以上のピン間距離に対して補正を行う構成であっても良い。また実施の形態1に係る伸張度測定システムはピン72の端部に塗料を塗布しているが、チェーン10を撮像した場合にピン72と周囲とを識別することができる構成であれば良く、塗料の塗布に代えて、ピン72の端部に鏡面加工を施しても良い。またアプリケーションプログラムをサーバ40からROM22に記憶(ダウンロード)するときに、ユーザ認証を行っても良い。またサーバ40からROM22にアプリケーションプログラムをダウンロードすることなく、予めROM22にアプリケーションプログラムを記憶していても良い。
【0081】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る伸張度測定システムを示す図面に基づいて詳述する。実施の形態2に係る伸張度測定システムにあっては、端末装置20はチェーン10の撮像データを撮像位置及び撮像時刻と共にサーバ40に送信する。そしてサーバ40にてチェーンの伸張度を算出し、算出した伸張度を端末装置20に返信して、端末装置20の表示部26に伸張度を表示する。
【0082】
図9は、端末装置20のCPU21によるチェーン10の伸張度を表示する処理を説明するフローチャートである。
【0083】
端末装置20のCPU21は、操作部27の操作によって伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されたか否かを判定し(ステップS41)、伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS41:NO)。伸張度算出処理の開始を示す信号が入力された場合(ステップS41:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像部24から撮像データが入力されたか否かを判定し(ステップS42)、撮像データが入力されるまで待機する(ステップS42:NO)。
【0084】
撮像部24から撮像データが入力された場合(ステップS42:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像データ、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置をサーバ40に送信する(ステップS43)。
【0085】
そして端末装置20のCPU21は、サーバ40からチェーン10の伸張度を示すデータが返信されたか否かを判定し(ステップS44)、チェーン10の伸張度を示すデータが返信されるまで待機する(ステップS44:NO)。チェーン10の伸張度を示すデータが返信された場合(ステップS44:YES)、端末装置20のCPU21は、表示部26にチェーン10の伸張度を表示する(ステップS45)。
【0086】
図10及び図11はサーバ40のCPU41による伸張度算出処理及び管理処理を説明するフローチャートである。
サーバ40のCPU41は、端末装置20から撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信したか否かを判定し(ステップS51)、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信するまで待機する(ステップS51:NO)。撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信した場合(ステップS51:YES)、サーバ40のCPU41は、受信した撮像位置が既に識別テーブルに記憶されているか否かを判定する(ステップS52)。受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合(ステップS52:NO)、サーバ40のCPU41は、チェーンIDなどを入力する指示を端末装置20に送信する(ステップS53)。なお受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合、チェーンID、ユーザ名、納入先及び送付先アドレス(以下チェーンIDなどという)は識別テーブルに記憶されていない。
【0087】
そしてサーバ40のCPU41は、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了したか否かを判定し(ステップS54)、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了するまで待機する(ステップS54:NO)。端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了した場合(ステップS54:YES)、サーバ40のCPU41は、データベース45に撮像位置、チェーンIDなどを記憶する(ステップS55)。
【0088】
このときサーバ40のCPU41は、撮像位置及びチェーンIDなどを識別テーブルに記憶し、データベース45の記憶領域の内、使用していない記憶領域を示すアドレスを撮像データアドレスとして識別テーブルに記憶する。またサーバ40のCPU41は、受信した撮像時刻を撮像位置に対応した個別テーブルに記憶し、撮像データアドレスが示すデータベース45の記憶領域に画像データを記憶する。
【0089】
次にサーバ40のCPU41は、撮像した画像を二値化し(ステップS56)、連続する四つのピンの位置を抽出してピン間距離P1、P2及びP3を算出する(ステップS57)。
【0090】
そしてサーバ40のCPU41は、前述した第2方法で補正係数α、β及びγを算出し(ステップS58)、算出した補正係数α、β及びγをピン間距離P1、P2及びP3にそれぞれ乗算する(ステップS59)。次にサーバ40のCPU41は、P2・βと、P1・α又はP3・γとを比較し、内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとを求める(ステップS60)。そしてサーバ40のCPU41は、チェーン10の伸張度を算出する(ステップS61)。このときサーバ40のCPU41は、前述した(a)式又は(b)式によってチェーン10の伸張度を算出する。
【0091】
次にサーバ40のCPU41は、算出したチェーン10の伸張度を示すデータを端末装置20に返信する(ステップS62)。そしてサーバ40のCPU41は、データベース45を参照し、算出したチェーン10の伸張度を撮像位置及び撮像時刻に対応した個別テーブルの伸張度の欄に記憶する(ステップS63)。
【0092】
次にサーバ40のCPU41は、個別テーブルに記憶した最新の伸張度が所定値Pを超過しているか否かを判定する(ステップS64)。なお所定値Pは予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに追記した最新の伸張度が所定値Pを超過している場合(ステップS64:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10の交換時期であることを示す値)を設定する(ステップS65)。
【0093】
そしてサーバ40のCPU41は、個別テーブルを参照し、前記最新の伸張度と前回記憶した伸張度との差分を、両伸張度に対応する撮像時刻の差分で除して、伸張度の時間変化率を算出し、算出した時間変化率が所定値Qを超過したか否かを判定する(ステップS66)。なお所定値Qは予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに追記した最新の伸張度が所定値Pを超過していない場合(ステップS64:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS66へ処理を進める。
【0094】
算出した時間変化率が所定値Qを超過している場合(ステップS66:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10に異常が発生していることを示す値)を設定する(ステップS67)。そしてサーバ40のCPU41は、データベース45を参照する(ステップS68)。算出した時間変化率が所定値Qを超過していない場合(ステップS66:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS68へ処理を進める。
【0095】
そしてサーバ40のCPU41は、チェーン10の伸張度、撮像データ、位置情報及び撮像時刻を管理コンピュータ50に送信する。また最新の撮像時刻に対応する交換フラグが1である場合に、チェーン10の交換を促すメッセージを管理コンピュータ50に送信し、最新の撮像時刻に対応する警告フラグが1である場合に、チェーン10に異常が発生していることを示すメッセージを管理コンピュータ50に送信する(ステップS69)。
【0096】
実施の形態2に係る伸張度測定システムにあっては、サーバ40でチェーン10の伸張度を算出するので、端末装置20の負担が軽減される。
【0097】
なお実施の形態2に係る伸張度測定システムは、第2方法にてチェーン10の伸張度を算出しているが、第1方法にてチェーン10の伸張度を算出する構成であっても良い。その場合、三つ以上の前記ピン72、72、・・・、72の画像に基づいて、相隣る二つのピン間距離P1、P2をそれぞれ算出し、外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチを算出する。そして外リンク71のピッチに対する両ピッチ間の差分の割合(チェーン10の伸張度)を算出する。
【0098】
実施の形態2に係る伸張度測定システムの構成の内、実施の形態1に係る伸張度測定システムと同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0099】
以上説明した実施の形態1及び2に係る伸張度測定システムは本発明の例示であって、本発明は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
80 内リンク
82 ブシュ
70 外リンク
72 ピン
10 チェーン
20 端末装置(伸張度測定装置)
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 撮像部
25 通信I/F
26 表示部(表示手段)
27 操作部
28 リアルタイムクロック
29 GPS
40 サーバ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 通信I/F
45 データベース
50 管理コンピュータ(外部装置)
【技術分野】
【0001】
複数の内リンクと外リンクとを交互につないでスプロケットに掛け廻し、両端を継手リンクで連結して物品の搬送又は動力の伝達を行うチェーンにあっては、定期的なメンテナンスの際に、継手リンクを取り除いてスプロケットからチェーンを外した後、チェーンの長さを測定して初期の長さと使用後の長さとの差分が基準値に達した場合、チェーンを交換して事故の発生を防止していた。しかし、このような方法ではチェーンの取り外し・取り付けの作業に多くの時間と労力とを要し、またチェーンが配設された設備の操業を長時間停止しなければならないという問題があった。
【背景技術】
【0002】
そのため特許文献1には次のような方法が開示されている。チェーンに備えられた複数のローラの内、2つのローラの周面にチェーンの長手方向へ長い光ビームを照射し、光ビームを照射した部分を撮像して、両者の輪郭部分を示す円弧状の2つの像を得、チェーンの長手方向に平行であり、前記像と2箇所で交わる直線とそれぞれの像との交点を特定し、特定した交点に基づいてローラの中心位置をコンピュータにて算定し、算定した両中心位置の間の距離に基づいて、チェーンの伸長度を検出する。当該方法を用いることによって、チェーンを取り外すことなく、チェーンの伸長度を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−332342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述した方法にあっては、使用前のチェーンにおける2つのローラ間の距離をコンピュータに予め設定しておく必要があり、使用前の2つのローラ間の距離が不明な場合には、チェーンの伸張度を検出することができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、使用前のローラ間の距離を予め設定することなく、チェーンの伸張度を測定することができる伸張度測定装置、伸張度測定システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る伸張度測定装置は、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を測定する伸張度測定装置において、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る伸張度測定装置は、前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る伸張度測定装置は、前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る伸張度測定装置は、前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る伸張度測定システムは、前述した伸張度測定装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、前記伸張度測定装置と、前記伸張度算定手段にて算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻を記憶するサーバとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバに記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバに記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記サーバから前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る伸張度測定システムは、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを端末装置にて撮像し、撮像した前記チェーンの画像に基づいて、前記チェーンの伸長度をサーバにて算出する伸張度測定システムであって、前記サーバは、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記端末装置は、前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記端末装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、前記サーバは、算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻とを記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る伸張度測定システムは、前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を算出する手段として機能させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段、算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段及び算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出し、外リンクのピッチ及び内リンクのピッチを算出する。そして算出した外リンクのピッチ及び内リンクのピッチに基づいて、チェーンの伸張度を算出する。
【0024】
本発明においては、三つのピンを撮像した場合、二つのピン間距離(外リンクのピッチ及び内リンクのピッチ)が算出される。チェーンの構造上、チェーンの使用前後で外リンクの寸法はほとんど変化しないが、使用後の内リンクの寸法は使用前に比べて伸張する。そのため算出された二つのピン間距離の内、長い距離が内リンクのピッチであり、短い距離が外リンクのピッチである。また使用前における外リンクのピッチ及び内リンクのピッチは互いに略等しいので、外リンクのピッチに対する両ピッチ間の差分の割合がチェーンの伸張度となる。
【0025】
本発明においては、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、三つ以上のピン間距離を算出する。そして算出された各ピン間距離を線形関係にある係数によって補正し、チェーンを斜めに撮像することによるピン間距離の誤差を修正する。
【0026】
本発明においては、チェーンの伸張度を出力して作業者又はユーザに認識させる。
【0027】
本発明においては、算出したチェーンの伸張度を、チェーンを撮像した位置及び時刻と共にサーバに記憶し、チェーンの状態を綿密に管理する。
【0028】
本発明においては、チェーンを設置した位置とユーザが使用するコンピュータ(外部装置)とを対応付けて、測定したチェーンの伸張度をサーバからユーザが使用するコンピュータへ送信し、前記伸張度をユーザに報告する。
【0029】
本発明においては、チェーンの伸張度が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、ユーザにチェーンの交換を促す。
【0030】
本発明においては、チェーンの伸張度の時間変化率が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、チェーンに異常が発生している可能性をユーザに報知する。
【発明の効果】
【0031】
本発明にあっては、三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出する。そして算出した外リンクのピッチ及び内リンクのピッチに基づいて、チェーンの伸張度を算出するので、使用前のピン間距離を予め設定せずとも、チェーンの伸張度を測定することができる。
【0032】
本発明にあっては、外リンクのピッチ及び内リンクのピッチを算出する。三つのピンを撮像した場合、二つのピン間距離(外リンクのピッチ及び内リンクのピッチ)が算出される。チェーンの構造上、チェーンの使用前後で外リンクの寸法はほとんど変化しないが、使用後の内リンクの寸法は使用前に比べて伸張する。そのため算出された二つのピン間距離の内、長い距離が内リンクのピッチであり、短い距離が外リンクのピッチである。また使用前における外リンクのピッチ及び内リンクのピッチは互いに略等しいので、外リンクのピッチに対する両ピッチ間の差分の割合がチェーンの伸張度となり、使用前のピン間距離を予め設定せずとも、チェーンの伸張度を測定することができる。
【0033】
本発明にあっては、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、三つ以上のピン間距離を算出し、算出したピン間距離を線形関係にある係数によって補正する。そのためチェーンを斜め方向から撮像することによってチェーンの画像に歪みが生じた場合でも、画像の歪みによるピン間距離の誤差が修正され、外リンクのピッチ及び内リンクのピッチを正確に算出して、チェーンの伸張度を正確に求めることができる。
【0034】
本発明にあっては、ユーザはチェーンの伸張度を確実に認識することができ、チェーンが交換時期にあるのか否かを直ちに認識することができる。
【0035】
本発明にあっては、算出したチェーンの伸張度を、チェーンを撮像した位置及び時刻と共にサーバに記憶して、チェーンの状態を綿密に管理し、チェーンに対する適切な処置を講じることができる。
【0036】
本発明にあっては、チェーンを設置した位置とユーザが使用するコンピュータ(外部装置)とを対応付けて、測定したチェーンの伸張度をサーバからユーザが使用するコンピュータへ送信し、前記伸張度をユーザに報告するので、ユーザは交換時期にあるチェーンを確実に認識することができる。
【0037】
本発明にあっては、チェーンの伸張度が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、交換時期にあるチェーンの交換をユーザに促すことができる。
【0038】
本発明にあっては、チェーンの伸張度の時間変化率が所定値を超過した場合に、サーバからユーザのコンピュータにその旨送信し、チェーンに異常が発生している可能性をユーザに報知して、チェーンの交換及びチェーンの使用中止などをユーザに促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】チェーンを略示する分解図である。
【図2】チェーンと実施の形態1に係る伸張度測定システムの端末装置とを略示する斜視図である。
【図3】伸張度測定システムの構成を示すブロック図である。
【図4】データベースに記憶された管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図5】チェーンの伸張度を算出する第1方法及び第2方法を説明する説明図である。
【図6】端末装置のCPU21による第1方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
【図7】端末装置のCPU21による第2方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
【図8】サーバのCPU41による管理処理を説明するフローチャートである。
【図9】実施の形態2に係る伸張度測定システムの端末装置のCPUによるチェーンの伸張度を表示する処理を説明するフローチャートである。
【図10】サーバのCPUによる伸張度算出処理及び管理処理を説明するフローチャートである。
【図11】サーバのCPUによる伸張度算出処理及び管理処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る伸張度測定システムを示す図面に基づいて詳述する。図1はチェーンを略示する分解図である。
図中80は内リンクであり、内リンク80は、互いに対向する二つの内プレート81、81を備える。内プレート81は長円形の平板部材からなり、該平板部材の両端部に2つの穴を開設してある。一方の内プレート81の二つの穴に、円筒状の二つのブシュ82、82の一端部をしまりばめし、他方の内プレート81の二つの穴に、ブシュ82、82の他端部をしまりばめして、二つの内プレート81、81を連結している。各ブシュ82、82には環状のローラ85、85が回転自在に外嵌してある。
【0041】
内リンク80は、外リンク70の内側に配してある。外リンク70は、互いに対向する二つの外プレート71、71を備える。外プレート71は、内プレート81と略同じ寸法の長円形の平板部材からなり、該平板部材の両端部に二つの穴を開設してある。外プレート71に開設した穴の直径は、内プレート81の穴よりも小さい。一方の外プレート71、71の二つの穴に、円柱状のピン72、72の一端部をしまりばめしてある。円柱状のピン72の直径はブシュ82の内径よりも小さく、二つの円柱状のピン72、72は、それぞれ別の内リンク80、80のブシュ82、82に挿通してある。そして他方の外プレート71、71の二つの穴に、円柱状のピン72、72の他端部をしまりばめして、内リンク80を挟むようにして、外プレート71、71を連結している。このように外リンク70と内リンク80とを連結する操作を繰り返し、チェーン10が環状に組み立ててある。
【0042】
図2はチェーン10と実施の形態1に係る伸張度測定システムの端末装置とを略示する斜視図、図3は伸張度測定システムの構成を示すブロック図である。
チェーン10は、図示しないスプロケットに掛け廻してある。チェーン10は、スプロケットの駆動によって図2の矢符にて示す方向に移動している。なおピン72の端部は外プレート71から適長突出しており、突出したピン72の端部には、チェーン10を撮像した場合にピン72と周囲とを識別することができるように、塗料が塗布してある。作業者は、チェーン10を端末装置(伸張度測定装置)20にて撮像する。
【0043】
端末装置20は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)21と、制御プログラムなどのデータを記憶する書換え可能なROM(Resd Only Memory)22と、演算処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Randam Access Memory)23と、レンズ及びCCD(ChargeCoupled Device)を備える撮像部24と、他の機器との通信を行うための通信I/F(InterFace)25と、文字及び画像などを表示する表示部26と、作業者の操作を受け付ける操作部27と、時刻を計測するリアルタイムクロック28と、端末装置の位置を計測するGPS(Global Positioning System)29とを備える。端末装置の前記各構成要素は、内部バスによって相互に接続されている。なお撮像部24は、チェーン10の移動速度に対して充分に速い速度で撮像できるように構成してあり、チェーン10が移動している場合でも、チェーン10を明瞭に撮像することができる。
【0044】
CPU21は、必要に応じて通信I/F25を介して後述するサーバ40から、アプリケーションプログラムをROM22に記憶(ダウンロード)する。CPU21は、RAM23を作業領域として、ROM22に記憶されたアプリケーションプログラムをRAM23に読出し、撮像部24から入力される撮像データに基づいて後述する伸張度算出処理を実行し、算出されたチェーン10の伸張度を撮像データと共に、通信I/F25を介してサーバに送信する。またCPU21は、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置を通信I/F25を介してサーバ40に送信する。またCPU21は、伸張度を示す情報を表示部26に表示させる。
【0045】
サーバ40は、演算処理を行うCPU41と、制御プログラムなどのデータを記憶する書換え可能なROM42と、演算処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM43と、他の機器との通信を行うための通信I/F44と、データベース45とを備える。
【0046】
CPU41は、ROM42に記憶されたアプリケーションプログラムを通信I/F44を介して端末装置20に送信する。またCPU41は、RAM43を作業領域として、ROM42に記憶された管理プログラムをRAM43に読出し、後述する管理処理を行う。CPU41は、通信I/F44を介して、端末装置20から伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信し、データベース45に記憶する。またCPU41は、通信I/F44を介して管理コンピュータ50と通信する。なお管理コンピュータ50は、チェーン10を使用するユーザのコンピュータであり、例えばユーザの社内に設置してあるPC(Personal Computer) 及びユーザが所有する携帯端末などが挙げられる。
【0047】
図4は、データベース45に記憶された管理テーブルの一例を示す概念図である。図4の(a)は、撮像位置及びチェーンIDなどを記憶し、チェーン10を識別する識別テーブルであり、図4の(b)は、撮像位置に対応付けて撮像時刻及び伸張度などを記憶し、チェーン10の状態を個別に把握する個別テーブルである。
【0048】
図4(a)に示すように、識別テーブルは、チェーン10を撮像した撮像位置、チェーンID、チェーン10を使用するユーザ名、チェーン10を納入した納入先、管理コンピュータ50のアドレスを示す送付先アドレス、撮像データの記憶場所を示す撮像データアドレスを記憶している。なおチェーンID、ユーザ名、納入先、送付先アドレス及び撮像データアドレスの欄には、撮像位置に対応付けてチェーンID、ユーザ名、納入先、送付先アドレス及び撮像データアドレスがそれぞれ記憶される。
【0049】
図4(b)に示すように、個別テーブルは、チェーン10を撮像した撮像時刻、チェーン10の伸張度、チェーン10の交換時期であるか否かを示す交換フラグ、及びチェーン10に異常が発生しているか否かを示す警告フラグなどを記憶している。なお撮像時刻、伸張度、交換フラグ及び警告フラグは、撮像位置に対応付けてある。また初期状態において、交換フラグ及び警告フラグには、それぞれ0(交換時期にないことを示す値及び異常が発生していないことを示す値)が設定してある。
【0050】
前記端末装置20のCPU21は、撮像したチェーン10の画像に基づいてチェーン10の伸張度を算出する。図5はチェーン10の伸張度を算出する第1方法及び第2方法を説明する説明図である。
【0051】
チェーン10の伸張度を算出する第1方法について説明する。
三つ以上並んだピン72、72、・・・、72を含むようにチェーン10を撮像し、撮像したチェーン10の画像を二値化する。そして、隣り合う三つのピン72、72、・・・、72の位置を抽出し、ピン間の画素数を求め、ピン間距離P1及びP2を求める(図5参照)。なお前述したようにピン72の端部には、ピン72と周囲と識別するための塗料が塗布してあり、ピン72の位置の抽出は確実に行われる。
【0052】
次にP1とP2とを比較し、長い距離を内リンク81のピッチとし、短い距離を外リンク71のピッチとする。当該比較は、ピン72とブシュ82とが摩耗することによって内リンク81のみが伸張したように視認されることに基づく。
【0053】
そして内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとの差分を求め、外リンク71のピッチに対する前記差分の割合(チェーン10の伸張度)を求める。例えばP2が内リンク81のピッチであり、P1が外リンク71のピッチである場合には、以下の(a)式によってチェーン10の伸張度が求められる。
{(P2−P1)/P1}・100・・・・(a)
【0054】
次にチェーン10の伸張度を算出する第2方法について説明する。まず四つ以上並んだピン72、72、・・・、72を含むようにチェーン10を撮像し、撮像したチェーン10の画像を二値化する。そして、隣り合う四つのピン72、72、・・・、72の位置を抽出し、ピン間の画素数を求め、ピン間距離P1、P2及びP3を求める(図5参照)。
【0055】
次に、チェーン10に正対せずに、チェーン10を斜め方向から撮像した場合を考慮して、ピン間距離P1、P2及びP3に乗算するための補正係数α、β及びγを求める。補正係数α、β及びγが満たすべき条件は、(1)補正係数α、β及びγは線形関係にあること、及び(2)P1・α=P3・γの関係にあることである。
【0056】
条件(1)は、チェーン10を斜め方向から撮像した場合を考慮することに基づく。条件(2)は、連続する四つのピン72、72、・・・、72を撮像した場合、P1・αとP3・γとは、いずれも外リンク71、71の長さを示すか又は内リンク81、81の長さを示すことに基づく。
【0057】
次にP2・βと、P1・α又はP3・γとを比較し、長い距離を内リンク81のピッチとし、短い距離を外リンク71のピッチとする。当該比較は、ピン72とブシュ82とが摩耗することによって内リンク81のみが伸張するように視認されることに基づく。
【0058】
そして内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとの差分を求め、外リンク71のピッチに対する前記差分の割合(チェーン10の伸張度)を求める。例えばP1・α及びP3・γが内リンク81のピッチであり、P2・βが外リンク71のピッチである場合には、以下の(b)式によってチェーン10の伸張度が求められる。
{(P1・α−P2・β)/P2・β}・100・・・・(b)
またP1・α及びP3・γが外リンク71のピッチであり、P2・βが内リンク81のピッチである場合には、以下の(c)式によってチェーン10の伸張度が求められる。
{(P2・β−P1・α)/P1・α}・100・・・・(c)
なお上記(b)式、(c)式におけるP1・αはP3・γに置換することができる。
【0059】
上記第1方法又は第2方法に基づいて端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出する。
図6は、端末装置20のCPU21による第1方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
【0060】
端末装置20のCPU21は、操作部27の操作によって伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されたか否かを判定し(ステップS1)、伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。伸張度算出処理の開始を示す信号が入力された場合(ステップS1:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像部24から撮像データが入力されたか否かを判定し(ステップS2)、撮像データが入力されるまで待機する(ステップS2:NO)。撮像部24から撮像データが入力された場合(ステップS2:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像した画像を二値化し(ステップS3)、連続する三つのピンの位置を抽出してピン間距離P1及びP2を算出する(ステップS4)。
【0061】
そして端末装置20のCPU21は、P1とP2とを比較し、内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとを求める(ステップS5)。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出する(ステップS6)。このとき端末装置20のCPU21は、前述した(a)式によってチェーン10の伸張度を算出する。
【0062】
次に端末装置20のCPU21は、算出したチェーン10の伸張度を表示する指令を表示部26に送信する(ステップS7)。前記指令を受信した表示部26はチェーン10の伸張度を表示する。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度、撮像データ、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置をサーバ40に送信する(ステップS8)。
【0063】
図7は、端末装置20のCPU21による第2方法に基づいた伸張度算出処理を説明するフローチャートである。
端末装置20のCPU21は、操作部27の操作によって伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されたか否かを判定し(ステップS11)、伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS11:NO)。伸張度算出処理の開始を示す信号が入力された場合(ステップS11:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像部24から撮像データが入力されたか否かを判定し(ステップS12)、撮像データが入力されるまで待機する(ステップS12:NO)。撮像部24から撮像データが入力された場合(ステップS12:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像した画像を二値化し(ステップS13)、連続する四つのピンの位置を抽出してピン間距離P1、P2及びP3を算出する(ステップS14)。
【0064】
そして端末装置20のCPU21は、前述した方法で補正係数α、β及びγを算出し(ステップS15)、算出した補正係数α、β及びγをピン間距離P1、P2及びP3にそれぞれ乗算する(ステップS16)。次に端末装置20のCPU21は、P2・βと、P1・α又はP3・γとを比較し、内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとを求める(ステップS17)。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出する(ステップS18)。このとき端末装置20のCPU21は、前述した(a)式又は(b)式によってチェーン10の伸張度を算出する。
【0065】
次に端末装置20のCPU21は、算出したチェーン10の伸張度を表示する指令を表示部26に送信する(ステップS19)。前記指令を受信した表示部26はチェーン10の伸張度を表示する。そして端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度、撮像データ、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置をサーバ40に送信する(ステップS20)。
【0066】
上述したように、第1方法又は第2方法に基づいて端末装置20のCPU21は、チェーン10の伸張度を算出し、チェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置をサーバ40に送信する。サーバ40は、チェーン10に関する情報を管理する。図8はサーバ40のCPU41による管理処理を説明するフローチャートである。
【0067】
サーバ40のCPU41は、端末装置20からチェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信したか否かを判定し(ステップS21)、チェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信するまで待機する(ステップS21:NO)。チェーン10の伸張度、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信した場合(ステップS21:YES)、サーバ40のCPU41は、受信した撮像位置が既に識別テーブルに記憶されているか否かを判定する(ステップS22)。受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合(ステップS22:NO)、サーバ40のCPU41は、チェーンIDなどを入力する指示を端末装置20に送信する(ステップS23)。なお受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合、チェーンID、ユーザ名、納入先及び送付先アドレス(以下チェーンIDなどという)は識別テーブルに記憶されていない。
【0068】
そしてサーバ40のCPU41は、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了したか否かを判定し(ステップS24)、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了するまで待機する(ステップS24:NO)。端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了した場合、サーバ40のCPU41は、データベース45に撮像位置、チェーンIDなどを記憶する(ステップS25)。このときサーバ40のCPU41は、撮像位置及びチェーンIDなどを識別テーブルに記憶し、データベース45の記憶領域の内、使用していない記憶領域を示すアドレスを撮像データアドレスとして識別テーブルに記憶する。またサーバ40のCPU41は、受信した撮像時刻及びチェーン10の伸張度を撮像位置に対応した個別テーブルに記憶し、撮像データアドレスが示すデータベース45の記憶領域に画像データを記憶する。
【0069】
受信した撮像位置が既に識別テーブルに記憶されている場合(ステップS22:YES)、サーバ40のCPU41は、撮像時刻及びチェーン10の伸張度を撮像位置に対応した個別テーブルに追記し、撮像データアドレスが示すデータベース45の記憶領域に画像データを記憶する(ステップS25)。なお撮像時刻及びチェーン10の伸張度は、管理処理を行う都度、個別テーブルに追記されてデータベース45に蓄積される。
【0070】
次にサーバ40のCPU41は、個別テーブルに記憶(追記)した最新の伸張度が所定値Pを超過しているか否かを判定する(ステップS26)。なお所定値Pは、ピン72の直径、ブシュ82の内径、チェーン10の長さ及びスプロケットの直径などチェーンの物理的な状態に影響する値に基づいて定められ、予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに記憶した最新の伸張度が所定値Pを超過している場合(ステップS26:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10の交換時期であることを示す値)を設定する(ステップS27)。そしてサーバ40のCPU41は、個別テーブルを参照し、前記最新の伸張度と前回記憶した伸張度との差分を、両伸張度に対応する撮像時刻の差分で除して、伸張度の時間変化率を算出し、算出した時間変化率が所定値Qを超過したか否かを判定する(ステップS28)。なお所定値Qは、ピン72の直径、ブシュ82の内径、チェーン10の長さ及びスプロケットの直径などチェーンの物理的な状態に影響する値に基づいて定められ、予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに追記した最新の伸張度が所定値Pを超過していない場合(ステップS26:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS28へ処理を進める。
【0071】
算出した時間変化率が所定値Qを超過している場合(ステップS28:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10に異常が発生していることを示す値)を設定する(ステップS29)。そしてサーバ40のCPU41は、データベース45を参照する(ステップS30)。算出した時間変化率が所定値Qを超過していない場合(ステップS28:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS30へ処理を進める。
【0072】
そしてサーバ40のCPU41は、チェーン10の伸張度、撮像データ、位置情報及び撮像時刻を管理コンピュータ50に送信する。また最新の撮像時刻に対応する交換フラグが1である場合に、チェーン10の交換を促すメッセージを管理コンピュータ50に送信し、最新の撮像時刻に対応する警告フラグが1である場合に、チェーン10に異常が発生していることを示すメッセージを管理コンピュータ50に送信する(ステップS31)。なお最新の撮像時刻に対応する交換フラグが1である場合及び最新の撮像時刻に対応する警告フラグが1である場合に、サーバ40のCPU41が、チェーン10の交換を促すメッセージ及びチェーン10に異常が発生していることを示すメッセージを端末装置20に更に送信する構成としても良い。この場合、ステップS21において、端末装置20を識別する情報を更に受信する構成とすることは言うまでもない。
【0073】
実施の形態1に係る伸張度測定システムにあっては、三つ以上並んだ前記ピン72、72、・・・、72の画像に基づいて、相隣る二つのピン間距離P1、P2をそれぞれ算出し、外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチを算出する。三つのピン72、72、72を撮像した場合、二つのピン間距離P1、P2(外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチ)が算出される。チェーン10の構造上、チェーン10の使用前後で外リンク71の寸法はほとんど変化しないが、使用後の内リンク81の寸法は使用前に比べて伸張する。そのため算出された二つのピン間距離P1、P2の内、長い距離が内リンク81のピッチであり、短い距離が外リンク71のピッチである。また使用前における外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチは互いに略等しいので、外リンク71のピッチに対する両ピッチ間の差分の割合がチェーン10の伸張度となり、使用前のピン間距離を予め設定せずとも、チェーン10の伸張度を測定することができる。
【0074】
また四つ以上の前記ピン72の画像に基づいて、三つのピン間距離P1〜P3を算出し、算出したピン間距離P1〜P3を線形関係にある係数α、β、γによって補正する。そのためチェーン10を斜め方向から撮像することによってチェーン10の画像に歪みが生じた場合でも、画像の歪みによるピン間距離P1〜P3の誤差が修正され、外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチを正確に算出して、チェーン10の伸張度を正確に求めることができる。
【0075】
また作業者又はユーザは表示部26を介して、チェーン10の伸張度を確実に認識することができ、チェーン10が交換時期にあるのか否かを直ちに認識することができる。
【0076】
また算出したチェーン10の伸張度を、チェーン10を撮像した撮像位置及び撮像時刻と共にサーバ40に記憶して、チェーン10の状態を綿密に管理し、チェーン10に対する適切な処置を講じることができる。
【0077】
またチェーン10を設置した位置(撮像位置)とチェーン10のユーザが使用する管理コンピュータ50(外部装置)とを対応付けて、測定したチェーン10の伸張度をサーバ40から管理コンピュータ50へ送信し、前記伸張度をユーザに報告するので、ユーザは交換時期にあるチェーン10を確実に認識することができる。
【0078】
またチェーン10の伸張度が所定値を超過した場合に、サーバ40から管理コンピュータ50にその旨送信し、交換時期にあるチェーン10の交換をユーザに促すことができる。
【0079】
またチェーン10の伸張度の時間変化率が所定値を超過した場合に、サーバ40から管理コンピュータ50にその旨送信し、チェーン10に異常が発生している可能性をユーザに報知して、チェーン10の交換及びチェーン10の使用中止などをユーザに促すことができる。
【0080】
なお実施の形態1に係る伸張度測定システムは、三つのピン間距離P1〜P3に対して補正を行っているが、四つ以上のピン間距離に対して補正を行う構成であっても良い。また実施の形態1に係る伸張度測定システムはピン72の端部に塗料を塗布しているが、チェーン10を撮像した場合にピン72と周囲とを識別することができる構成であれば良く、塗料の塗布に代えて、ピン72の端部に鏡面加工を施しても良い。またアプリケーションプログラムをサーバ40からROM22に記憶(ダウンロード)するときに、ユーザ認証を行っても良い。またサーバ40からROM22にアプリケーションプログラムをダウンロードすることなく、予めROM22にアプリケーションプログラムを記憶していても良い。
【0081】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る伸張度測定システムを示す図面に基づいて詳述する。実施の形態2に係る伸張度測定システムにあっては、端末装置20はチェーン10の撮像データを撮像位置及び撮像時刻と共にサーバ40に送信する。そしてサーバ40にてチェーンの伸張度を算出し、算出した伸張度を端末装置20に返信して、端末装置20の表示部26に伸張度を表示する。
【0082】
図9は、端末装置20のCPU21によるチェーン10の伸張度を表示する処理を説明するフローチャートである。
【0083】
端末装置20のCPU21は、操作部27の操作によって伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されたか否かを判定し(ステップS41)、伸張度算出処理の開始を示す信号が入力されるまで待機する(ステップS41:NO)。伸張度算出処理の開始を示す信号が入力された場合(ステップS41:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像部24から撮像データが入力されたか否かを判定し(ステップS42)、撮像データが入力されるまで待機する(ステップS42:NO)。
【0084】
撮像部24から撮像データが入力された場合(ステップS42:YES)、端末装置20のCPU21は、撮像データ、リアルタイムクロック28にて測定された撮像時刻及びGPS29にて測定された撮像位置をサーバ40に送信する(ステップS43)。
【0085】
そして端末装置20のCPU21は、サーバ40からチェーン10の伸張度を示すデータが返信されたか否かを判定し(ステップS44)、チェーン10の伸張度を示すデータが返信されるまで待機する(ステップS44:NO)。チェーン10の伸張度を示すデータが返信された場合(ステップS44:YES)、端末装置20のCPU21は、表示部26にチェーン10の伸張度を表示する(ステップS45)。
【0086】
図10及び図11はサーバ40のCPU41による伸張度算出処理及び管理処理を説明するフローチャートである。
サーバ40のCPU41は、端末装置20から撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信したか否かを判定し(ステップS51)、撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信するまで待機する(ステップS51:NO)。撮像データ、撮像時刻及び撮像位置を受信した場合(ステップS51:YES)、サーバ40のCPU41は、受信した撮像位置が既に識別テーブルに記憶されているか否かを判定する(ステップS52)。受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合(ステップS52:NO)、サーバ40のCPU41は、チェーンIDなどを入力する指示を端末装置20に送信する(ステップS53)。なお受信した撮像位置が識別テーブルに記憶されていない場合、チェーンID、ユーザ名、納入先及び送付先アドレス(以下チェーンIDなどという)は識別テーブルに記憶されていない。
【0087】
そしてサーバ40のCPU41は、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了したか否かを判定し(ステップS54)、端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了するまで待機する(ステップS54:NO)。端末装置20からのチェーンIDなどの入力が終了した場合(ステップS54:YES)、サーバ40のCPU41は、データベース45に撮像位置、チェーンIDなどを記憶する(ステップS55)。
【0088】
このときサーバ40のCPU41は、撮像位置及びチェーンIDなどを識別テーブルに記憶し、データベース45の記憶領域の内、使用していない記憶領域を示すアドレスを撮像データアドレスとして識別テーブルに記憶する。またサーバ40のCPU41は、受信した撮像時刻を撮像位置に対応した個別テーブルに記憶し、撮像データアドレスが示すデータベース45の記憶領域に画像データを記憶する。
【0089】
次にサーバ40のCPU41は、撮像した画像を二値化し(ステップS56)、連続する四つのピンの位置を抽出してピン間距離P1、P2及びP3を算出する(ステップS57)。
【0090】
そしてサーバ40のCPU41は、前述した第2方法で補正係数α、β及びγを算出し(ステップS58)、算出した補正係数α、β及びγをピン間距離P1、P2及びP3にそれぞれ乗算する(ステップS59)。次にサーバ40のCPU41は、P2・βと、P1・α又はP3・γとを比較し、内リンク81のピッチと外リンク71のピッチとを求める(ステップS60)。そしてサーバ40のCPU41は、チェーン10の伸張度を算出する(ステップS61)。このときサーバ40のCPU41は、前述した(a)式又は(b)式によってチェーン10の伸張度を算出する。
【0091】
次にサーバ40のCPU41は、算出したチェーン10の伸張度を示すデータを端末装置20に返信する(ステップS62)。そしてサーバ40のCPU41は、データベース45を参照し、算出したチェーン10の伸張度を撮像位置及び撮像時刻に対応した個別テーブルの伸張度の欄に記憶する(ステップS63)。
【0092】
次にサーバ40のCPU41は、個別テーブルに記憶した最新の伸張度が所定値Pを超過しているか否かを判定する(ステップS64)。なお所定値Pは予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに追記した最新の伸張度が所定値Pを超過している場合(ステップS64:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10の交換時期であることを示す値)を設定する(ステップS65)。
【0093】
そしてサーバ40のCPU41は、個別テーブルを参照し、前記最新の伸張度と前回記憶した伸張度との差分を、両伸張度に対応する撮像時刻の差分で除して、伸張度の時間変化率を算出し、算出した時間変化率が所定値Qを超過したか否かを判定する(ステップS66)。なお所定値Qは予めRAM43に設定してあるものとする。個別テーブルに追記した最新の伸張度が所定値Pを超過していない場合(ステップS64:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS66へ処理を進める。
【0094】
算出した時間変化率が所定値Qを超過している場合(ステップS66:YES)、サーバ40のCPU41は、前記最新の伸張度に対応する交換フラグの欄に1(チェーン10に異常が発生していることを示す値)を設定する(ステップS67)。そしてサーバ40のCPU41は、データベース45を参照する(ステップS68)。算出した時間変化率が所定値Qを超過していない場合(ステップS66:NO)、サーバ40のCPU41は、ステップS68へ処理を進める。
【0095】
そしてサーバ40のCPU41は、チェーン10の伸張度、撮像データ、位置情報及び撮像時刻を管理コンピュータ50に送信する。また最新の撮像時刻に対応する交換フラグが1である場合に、チェーン10の交換を促すメッセージを管理コンピュータ50に送信し、最新の撮像時刻に対応する警告フラグが1である場合に、チェーン10に異常が発生していることを示すメッセージを管理コンピュータ50に送信する(ステップS69)。
【0096】
実施の形態2に係る伸張度測定システムにあっては、サーバ40でチェーン10の伸張度を算出するので、端末装置20の負担が軽減される。
【0097】
なお実施の形態2に係る伸張度測定システムは、第2方法にてチェーン10の伸張度を算出しているが、第1方法にてチェーン10の伸張度を算出する構成であっても良い。その場合、三つ以上の前記ピン72、72、・・・、72の画像に基づいて、相隣る二つのピン間距離P1、P2をそれぞれ算出し、外リンク71のピッチ及び内リンク81のピッチを算出する。そして外リンク71のピッチに対する両ピッチ間の差分の割合(チェーン10の伸張度)を算出する。
【0098】
実施の形態2に係る伸張度測定システムの構成の内、実施の形態1に係る伸張度測定システムと同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0099】
以上説明した実施の形態1及び2に係る伸張度測定システムは本発明の例示であって、本発明は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
80 内リンク
82 ブシュ
70 外リンク
72 ピン
10 チェーン
20 端末装置(伸張度測定装置)
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 撮像部
25 通信I/F
26 表示部(表示手段)
27 操作部
28 リアルタイムクロック
29 GPS
40 サーバ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 通信I/F
45 データベース
50 管理コンピュータ(外部装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を測定する伸張度測定装置において、
三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、
算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、
算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段と
を備えることを特徴とする伸張度測定装置。
【請求項2】
前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の伸張度測定装置。
【請求項3】
前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、
前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、
前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の伸張度測定装置。
【請求項4】
前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の伸張度測定装置。
【請求項5】
請求項1から4に記載の伸張度測定装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、
前記伸張度測定装置と、
前記伸張度算定手段にて算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻を記憶するサーバと
を備えることを特徴とする伸張度測定システム。
【請求項6】
前記サーバに記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の伸張度測定システム。
【請求項7】
前記サーバに記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記サーバから前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項6に記載の伸張度測定システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項6又は7に記載の伸張度測定システム。
【請求項9】
内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを端末装置にて撮像し、撮像した前記チェーンの画像に基づいて、前記チェーンの伸長度をサーバにて算出する伸張度測定システムであって、
前記サーバは、
三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、
算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、
算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段と
を備えることを特徴とする伸張度測定システム。
【請求項10】
前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする請求項9に記載の伸張度測定システム。
【請求項11】
前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、
前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、
前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあること
を特徴とする請求項9又は10に記載の伸張度測定システム。
【請求項12】
前記端末装置は、前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあること
を特徴とする請求項9から11のいずれか一つに記載の伸張度測定システム。
【請求項13】
前記端末装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、
前記サーバは、算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻とを記憶するようにしてあること
を特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載の伸張度測定システム。
【請求項14】
前記サーバは、記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあること
を特徴とする請求項13に記載の伸張度測定システム。
【請求項15】
前記サーバは、記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項14に記載の伸張度測定システム。
【請求項16】
前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項14又は15に記載の伸張度測定システム。
【請求項17】
コンピュータを、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を算出する手段として機能させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段、
算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段及び
算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を測定する伸張度測定装置において、
三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、
算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、
算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段と
を備えることを特徴とする伸張度測定装置。
【請求項2】
前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の伸張度測定装置。
【請求項3】
前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、
前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、
前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の伸張度測定装置。
【請求項4】
前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の伸張度測定装置。
【請求項5】
請求項1から4に記載の伸張度測定装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、
前記伸張度測定装置と、
前記伸張度算定手段にて算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻を記憶するサーバと
を備えることを特徴とする伸張度測定システム。
【請求項6】
前記サーバに記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の伸張度測定システム。
【請求項7】
前記サーバに記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記サーバから前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項6に記載の伸張度測定システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項6又は7に記載の伸張度測定システム。
【請求項9】
内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを端末装置にて撮像し、撮像した前記チェーンの画像に基づいて、前記チェーンの伸長度をサーバにて算出する伸張度測定システムであって、
前記サーバは、
三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段と、
算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段と、
算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段と
を備えることを特徴とする伸張度測定システム。
【請求項10】
前記伸張度算出手段は、前記外リンクのピッチに対する前記内リンクのピッチと前記外リンクのピッチとの差分の割合を算出するようにしてあることを特徴とする請求項9に記載の伸張度測定システム。
【請求項11】
前記ピン間距離算出手段は、四つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、前記ピン間距離を算出するようにしてあり、
前記ピッチ算出手段は、算出された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチを線形関係にある係数によって補正するようにしてあり、
前記伸張度算出手段は、補正された前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出するようにしてあること
を特徴とする請求項9又は10に記載の伸張度測定システム。
【請求項12】
前記端末装置は、前記伸張度算出手段にて算出された前記伸張度を出力するようにしてあること
を特徴とする請求項9から11のいずれか一つに記載の伸張度測定システム。
【請求項13】
前記端末装置は、前記チェーンを撮像した位置を測る測位手段と、前記チェーンを撮像した時刻を計る計時手段とを備えており、
前記サーバは、算出された前記伸張度、前記測位手段にて測った前記位置及び前記計時手段にて計った前記時刻とを記憶するようにしてあること
を特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載の伸張度測定システム。
【請求項14】
前記サーバは、記憶した前記伸張度を前記位置に対応する外部装置に送信するようにしてあること
を特徴とする請求項13に記載の伸張度測定システム。
【請求項15】
前記サーバは、記憶した前記伸張度が所定値を超過している場合に、前記伸張度が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項14に記載の伸張度測定システム。
【請求項16】
前記サーバは、前記時刻及び算出された前記伸張度に基づいて前記伸張度の時間変化率を算出し、算出された前記時間変化率が所定値を超過している場合に、前記時間変化率が所定値を超過したことを示す情報を前記外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする請求項14又は15に記載の伸張度測定システム。
【請求項17】
コンピュータを、内リンクの円筒状のブシュに外リンクのピンを内嵌させて複数の内リンク及び外リンクが交互に連結してあるチェーンを撮像して得られた画像に基づいて、前記チェーンの伸長度を算出する手段として機能させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
三つ以上並んだ前記ピンの画像に基づいて、相隣るピン間距離をそれぞれ算出するピン間距離算出手段、
算出した前記ピン間距離に基づいて前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチをそれぞれ算出するピッチ算出手段及び
算出した前記外リンクのピッチ及び前記内リンクのピッチに基づいて前記チェーンの伸張度を算出する伸張度算出手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−117733(P2011−117733A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272673(P2009−272673)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
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