説明

伸縮性ウェビング、エアベルト、エアベルト装置

【課題】 車両乗員を拘束する長尺状のエアベルトを構成する伸縮性ウェビングにおいて、ウェビング剛性を確保するとともに、糸同士の間に生じる目ずれの発生や糸のほつれを防止するに有効な技術を提供する。
【解決手段】 車両乗員を拘束する長尺状のエアベルト110を構成する伸縮性ウェビングに関し、当該伸縮性ウェビングの編み糸を、当該編み糸の長手方向に互いに隣接して並行状に延在する第1の繊維体及び第2の繊維体によって構成するとともに、第2の繊維体を第1の繊維体よりも融点が低い低融点繊維によって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において事故の際に乗員を拘束するために用いられるエアベルトの構築技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のエアベルトを備えるエアベルト装置が、例えば下記特許文献1に記載されている。この特許文献1ではエアベルト装置のエアベルト(ウェビング)は、ガスバッグを収容する伸縮性の膨張領域と、リトラクタによって巻き取られる非膨張領域を備え、膨張領域に収容されたガスバッグが車両事故発生の際のガス供給によって膨らみ、これにより膨張したエアベルトを介して車両乗員が拘束されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−260807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のエアベルト装置の設計に際しては、エアベルトに対する要請として、車両事故の際に乗員を拘束可能なウェビング剛性を有するという基本性能に加えて、更に糸同士の間に生じる目ずれの発生や糸のほつれを防止するに有効な性能が必要とされる。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、車両乗員を拘束する長尺状のエアベルトを構成する伸縮性ウェビングにおいて、ウェビング剛性を確保するとともに、糸同士の間に生じる目ずれの発生や糸のほつれを防止するに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、自動車をはじめとする車両において、乗員を拘束する手段として用いられるエアベルトや安全ベルトの構築技術に適用され得る。
【0005】
本発明にかかる伸縮性ウェビングは、車両乗員を拘束する長尺状のエアベルトを構成するウェビングであって、複数の編み糸、挿入糸、横糸、第1のウェビング領域及び第2のウェビング領域を少なくとも備える。
【0006】
複数の編み糸は、ウェビング骨格を形成するべく所定方向に長尺状に延在する部位として構成される。これら複数の編み糸がウェビング全体にわたって配設されることにより、伸縮性ウェビングのウェビング骨格が形成される。ここでいう「所定方向」は、典型的にはエアベルトの長尺方向に合致する。挿入糸は、複数の編み糸に挿入されつつ所定方向に延在する部位として構成される。横糸は、複数の編み糸に挿入されつつ前記所定方向と交差する方向に延在する第1延在部と、第1延在部に連続して所定方向に延在する第2延在部を含む部位として構成される。この横糸の第1延在部が延在する領域が第1のウェビング領域とされ、また横糸の第2延在部が延在し、第1のウェビング領域よりも所定方向と交差する方向に関する伸縮性が高い領域が第2のウェビング領域とされる。
【0007】
なお、編み糸、挿入糸及び横糸に関し、ウェビングを形成するこれらの糸は、本来、規則的ないし不規則的なうねりや曲がりを繰り返しつつ全体としてある方向に延在するのが一般的であるゆえ、各糸の延在態様には、全ての部位において一方向に向いて延在する態様のみならず、多少のうねりや曲がりを伴いつつ全体的に一方向に向いて延在する態様をも広く包含されるものである。従って、例えば挿入糸は、全ての部位において所定方向に延在する構成であってもよいし、或いは多少のうねりや曲がりを伴いつつ全体的に所定方向に延在する構成であってもよい。
【0008】
特に編み糸は、当該挿入糸の長手方向に互いに隣接して並行状に延在する第1の繊維体及び第2の繊維体を有するとともに、第2の繊維体が第1の繊維体よりも融点が低い低融点繊維によって構成される。このような構成において、第2の繊維体は、熱処理時に第1の繊維体に隣接して溶融し、これにより編み糸と挿入糸ないし横糸が熱融着される。すなわち、この第2の繊維体は、編み糸と挿入糸ないし横糸を互いに熱融着させるバインダー(接着剤)としての機能を有する。本発明では、編み糸の当該構成及び機能を挿入糸に対しても同様に付与することができる。なお、編み糸の構成に関しては、第1の繊維体及び第2の繊維体が含まれた単一の繊維糸によってこの編み糸が形成されてもよいし、或いは第1の繊維体としての繊維糸と、第2の繊維体としての繊維糸を抱き合わせることによってのこの編み糸が形成されてもよい。
【0009】
本発明にかかる伸縮性ウェビングのこのような構成によれば、当該伸縮性ウェビングの熱処理時に編み糸が優先的に溶融して、その後に他の挿入糸や横糸とともに固まることで、編み糸の収縮後における断面積が増大して硬くなりウェビング全体としての剛性(耐摩耗性)が高まることとなる。従って、伸縮性ウェビングの糸同士の間に生じる隙間、いわゆる「目ずれ」の発生を防止するとともに、糸のほつれ(「ラン」ともいう)を防止するのに効果的とされる。
【0010】
本発明にかかる更なる形態の伸縮性ウェビングでは、前記の編み糸は、第1の繊維体を構成する第1の繊維糸と、第2の繊維体を構成する第2の繊維糸が互いに隣接して並行状に延在する構成であるのが好ましい。このような構成によれば、挿入糸ないし横糸に対する熱溶着機能を有する編み糸が、第1の繊維糸及び第2の繊維糸による少なくとも2つの繊維糸によって構成された伸縮性ウェビングが提供される。
【0011】
本発明にかかる更なる形態の伸縮性ウェビングでは、前記の編み糸は、糸中心の芯部のまわりが鞘部によって覆われた芯鞘構造糸とされるのが好ましい。このような構成において、芯部が第1の繊維体によって構成され、第1の繊維体に隣接して並行状に延在する第2の繊維体によって鞘部が構成される。このような構成によれば、挿入糸ないし横糸に対する熱溶着機能を有する編み糸が、第1の繊維体及び第2の繊維体による単一の芯鞘構造糸によって構成された伸縮性ウェビングが提供される。
【0012】
本発明にかかるエアベルトは、車両乗員を拘束する長尺状のエアベルトであって、前記の伸縮性ウェビングによって袋状ないし筒状とされたベルト体として構成される。このエアベルトは、当該ベルト体のうちの第2のウェビング領域に、車両事故の際に膨張可能なガスバッグが収容される構成とされる。車両事故の際にこのガスバッグが膨張すると、袋状ベルトはこの膨張にともなって第2のウェビング領域において伸長し、この第2のウェビング領域が車両乗員の前側領域(胸部、肩部、腹部等を含む領域)を拘束することとなる。このような構成によれば、ウェビング全体としての剛性(耐摩耗性)を高め、糸同士の間の目ずれの発生や糸のほつれを防止するのに有効なエアベルトを提供することが可能とされる。
【0013】
本発明にかかるエアベルト装置は、前記のエアベルト、リトラクタ、バックル、タングを少なくとも備える。リトラクタは、エアベルトの巻き取り及び巻き出しを行う機能を有し、リトラクタハウジングにスプールを収容する構成とされる。このリトラクタは、スプールを駆動する駆動機構や当該駆動を制御する制御機構を備えていてもよい。そして、エアベルトに設けられたタング(トング)は、エアベルト装着時において車両に対し固定されたバックルに係合するようになっている。このような構成によれば、ウェビング全体としての剛性(耐摩耗性)を高め、糸同士の間の目ずれの発生や糸のほつれを防止するのに有効なエアベルトを備えたエアベルト装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、車両乗員を拘束する長尺状のエアベルトを構成する伸縮性ウェビングに関し、当該伸縮性ウェビングの編み糸を、当該編み糸の長手方向に互いに隣接して並行状に延在する第1の繊維体及び第2の繊維体によって構成するとともに、第2の繊維体を第1の繊維体よりも融点が低い低融点繊維によって構成することによって、ウェビング剛性を確保するとともに、糸同士の間に生じる目ずれの発生や糸のほつれを防止することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施の形態では、自動車車両に搭載されるエアベルト装置に係り、当該エアベルト装置を構成するのに最適なエアベルト及びその製造方法を提案するものである。
【0016】
まず、図1を参照しながら、本発明における「エアベルト装置」の一実施の形態であるエアベルト装置100の構成について説明する。このエアベルト装置100は、「シートベルト装置」とも称呼される。このエアベルト装置100の概略構成に関しては図1が参照される。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態のエアベルト装置100は、自動車車両に搭載される運転席用のエアベルト装置であり、リトラクタ101、エアベルト110、タング(トング)104、バックル106、ガス発生器107等を主体に構成されている。
【0018】
本実施の形態のリトラクタ101は、リトラクタハウジング101aに少なくとも円筒状のスプール102を収容する構成とされ、このスプール102を介してエアベルト110の巻き取り及び巻き出しを可能とする。スプール102は、バネやモータなどを用いて構成される駆動手段によって駆動される。このリトラクタ101は、図1に示す例では、車両のBピラー10内の収容空間に装着されている。このリトラクタ101が、本発明における「リトラクタ」に対応している。
【0019】
ガス発生器107は、バックル106に連結されており、車両事故発生の際に高圧のガスを発生させるガス発生装置として構成される。このガス発生器107において発生した高圧のガスは、特に図示しないものの、バックル106及びタング104に設けられたガス流通路を通じて、エアベルト110の膨張領域111に収容されたガスバッグ113内に供給が可能とされている。
【0020】
本実施の形態のエアベルト110は、車両乗員Cの拘束または拘束解除に用いられる長尺状のベルトであって、合成繊維製の織物ないし編物によって長尺帯状に形成されたベルト(ウェビング)として構成される。このエアベルト110が、本発明における「エアベルト」に対応している。このエアベルト110は、「乗員拘束用のシートベルト」とも称呼される。
【0021】
このエアベルト110は、車両に対し固定されたリトラクタ101から引き出された状態で、車両乗員Cの乗員肩部領域に設けられたショルダーガイドアンカー103を経由し、タング(トング)104を通ってアウトアンカー105に連結されている。車両に対し固定されたバックル106にタング104が挿入される(係合する)ことによって、車両乗員Cに対しエアベルト110が装着状態とされる。一方、バックル106に対するタング104の係合が解除されることによって、車両乗員Cに対するエアベルト110の装着状態が解除される。ここでいうタング104が本発明における「タング」に対応しており、またここでいうバックル106が本発明における「バックル」に対応している。
【0022】
また、このエアベルト110は、膨張領域111及び非膨張領域112を少なくとも備える伸縮性ウェビングによって形成される。膨張領域111は、エアベルト110の各部位のうち非膨張領域112よりも相対的に伸縮性の高いベルト部分として構成される。詳細については後述するが、この膨張領域111は、ガス発生器107からのガス供給によって膨張が可能なガスバッグ113を収容し、ガスバッグ113の膨張動作に伴って膨張が可能な伸縮性を有する。この膨張領域111は、エアベルト110の装着状態において車両乗員の前側領域(胸部、肩部、腹部等を含む領域)の前方に配設され、膨張したこの膨張領域111が車両事故の際の車両乗員の拘束に供する。一方、非膨張領域112は、膨張領域111以外の非膨張のベルト部分であり、膨張領域111よりも相対的に伸縮性の低いベルト部分として構成される。この非膨張領域112は、膨張領域111に比して伸縮性が低く、或いは殆ど伸縮しない。この非膨張領域112は、スプール102によって巻き取られる被巻き取り部を備える。
【0023】
上記エアベルト110の具体的な構成に関しては、図2〜図5が参照される。図2には、本実施の形態のエアベルト110の部分的な平面図が示される。また、図3には、図2中のエアベルト110のA−A線における断面構造が示され、図4には、図2中のエアベルト110のB−B線における断面構造が示され、図5には、図2中のエアベルト110のC−C線における断面構造が示される。
【0024】
図2に示すように、本実施の形態のエアベルト110は、膨張領域111と、この膨張領域111に連接する非膨張領域112を備える織布(後述するウェビング120)が、筒状ないし袋状に織り上げられ或いは織製された構成であり、全体としては、図3及び図4に示すように、一対の平面部110a,110bを有する扁平物として仕上げられている。図3及び図4に示すように、膨張領域111は、平面部110a,110b間に形成される収容空間110cにガスバッグ113を収容する構成とされる。一方、図5に示すように、非膨張領域112は、平面部110a,110bが互いに密着した構成になっている。
【0025】
上記構成のエアベルト装置100において、車両事故の際にガス発生器107にて発生した高圧のガスは、エアベルト110の膨張領域111に収容されたガスバッグ113内に供給される。これにより、ガスバッグ113が膨張するとともに、このガスバッグ113を収容する膨張領域111は、その伸縮性によってガスバッグ113とともに膨張する。膨張領域111のこの膨張の様子に関しては図6が参照される。この図6には、図2中のエアベルト110が膨張した状態が示される。図6に示すように、エアベルト110は、車両事故の際に膨張領域111が図中の矢印で示す伸長方向に伸長しつつ、車両乗員の前側領域(胸部、肩部、腹部等を含む領域)の前方において膨張し、この膨張領域111によって当該車両乗員が拘束されることとなる。
【0026】
また、本実施の形態のエアベルト110を構成するウェビング120の編み構造に関しては、図7が参照される。図7に示すように、本実施の形態のウェビング120は、複数の編み糸130、挿入糸140及び横糸150を少なくとも備える伸縮性のウェビングとして構成される。ここでいうウェビング120が、本発明における「伸縮性ウェビング」に相当する。
【0027】
各編み糸130は、いずれも同様の編み構造とされており、ウェビング120のウェビング骨格を形成するべくベルト長手方向(図7中の矢印方向)に長尺状に延在する構成とされる。これら複数の編み糸130がウェビング全体にわたって配設されることにより、ウェビング120のウェビング骨格が形成される。ここでいう編み糸130が、本発明における「編み糸」に相当する。挿入糸140は、複数の編み糸130に挿入されつつベルト長手方向に延在する構成とされる。ここでいう挿入糸140が、本発明における「挿入糸」に相当する。横糸150は、複数の編み糸130に挿入されつつベルト長手方向と交差する方向に延在する延在糸を含む構成とされる。ここでいう横糸150が、本発明における「横糸」に相当する。
また、特に図示しないものの、このウェビング120の両縁部分に沿って耳糸が延在しており、これによってウェビング120の両端部分の強度が付与されるように構成されている。
【0028】
なお、本実施の形態の編み糸130、挿入糸140及び横糸150に関し、ウェビングを形成するこれらの糸は、本来、規則的ないし不規則的なうねりや曲がりを繰り返しつつ全体としてある方向に延在するのが一般的であり、各糸は、全ての部位において一方向に向いて延在してもよいし、或いは多少のうねりや曲がりを伴いつつ全体的に一方向に向いて延在してもよい。
【0029】
特に、本実施の形態の横糸150では、非膨張領域112において延在する第1延在部153は、ウェビング120の幅内を複数回往復するように延在するとともに、その殆どの部位がベルト長手方向と交差する方向に延在する構成とされており、これによって高い剛性が確保されている。一方、この横糸150では、膨張領域111において延在する第2延在部154は、その殆どの部位がベルト長手方向に沿って延在する構成とされており、これによって非膨張領域112に比して高い伸縮性が付与されている。膨張領域111におけるこの伸縮構造によって、ガスバッグ113に収容されたガスバッグ113の円滑な膨張動作が許容される。ここでいう第1延在部153が、本発明における「第1延在部」に相当し、またここでいう第2延在部154が、本発明における「第2延在部」に相当する。また、ウェビング120のうち第1延在部153が延在する非膨張領域112が、本発明における「第1のウェビング領域」に相当し、ウェビング120のうち第2延在部154が延在する膨張領域111が、本発明における「第2のウェビング領域」に相当する。
【0030】
ところで、上記エアベルト110を構成するこの種のウェビングにおいては、車両事故の際に乗員を確実に拘束可能な剛性を備えるという基本性能に加えて、糸のほつれ(「ラン」ともいう)の防止や製品幅の低減を図るのに有効なその他の付加性能が要請される。そこで、本発明者は、この種のウェビングにおいて所望の性能を確保するのに有効な構成につき鋭意検討した。その検討の結果、ウェビング120を構成する編み糸130、挿入糸140及び横糸150のそれぞれの構造を以下に説明するように工夫することによって、所望の性能を有するウェビングが得られることとなった。
【0031】
〔編み糸130の構成〕
本実施の形態の編み糸130の構成に関しては図8が参照される。この図8に示すように、編み糸130は、融点の異なる第1の繊維糸131及び第2の繊維糸132が互いに隣接して並行状に延在する構成とされる。この編み糸130を、第1の繊維糸131と第2の繊維糸132を抱き合わせた構成の編み糸と云うこともできる。この編み糸130の典型的な構成として、第1の繊維糸131を融点が255〜260℃程度のポリエステル繊維によって形成し、また第2の繊維糸132を融点が160〜180℃程度の変性ポリエステル繊維(融着糸)によって形成することができる。すなわち、本実施の形態では、第2の繊維糸132は、第1の繊維糸131よりも融点が低く、第1の繊維糸131よりも溶融し易い繊維によって構成される。この変性ポリエステル繊維は、ポリエステル繊維よりも相対的に融点が低く融着性(接着性)を有する低融点ポリエステル繊維とも称呼される。
【0032】
第1の繊維糸131を形成するポリエステル繊維は、典型的にはテレフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンテレフタレートの重合体からなる。一方、第2の繊維糸132を形成する変性ポリエステル繊維(低融点ポリエステル繊維)は、典型的にはテレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンイソフタレートと前記ポリエチレンテレフタレートの共重合体からなる。本実施の形態の編み糸130の第2の繊維糸132を形成する変性ポリエステル繊維の具体的な構成が図9に示される。図9に示すように、この変性ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート中にポリエチレンテレフタレートが点在した構成、すなわち高融点のポリエチレンテレフタレートに、低融点のポリエチレンイソフタレートが混入された共重合体として構成され、特にはポリエチレンイソフタレートの共重合比率が30[%](ポリエチレンテレフタレートが70[%])とされる。ここでいう第1の繊維糸131が、本発明における「第1の繊維体」及び「第1の繊維糸」に相当し、またここでいう第2の繊維糸132が、本発明における「第2の繊維体」及び「第2の繊維糸」に相当する。
【0033】
編み糸130のこのような構成において、ウェビング120の熱成形時に190℃程度の熱処理がなされることによって、第2の繊維糸132のうちポリエチレンテレフタレートよりも相対的に融点が低いポリエチレンイソフタレート(低融点繊維)が優先的に融解し、この融解成分がバインダーとなって編み糸130と他の糸(挿入糸140及び横糸150)とが互いに熱融着される。このとき、本実施の形態では、編み糸130が優先的に溶融して、その後に他の挿入糸140や横糸150とともに固まることで、編み糸130の収縮後における断面積が増大して硬くなりウェビング全体としての剛性が高まることとなる。従ってウェビング120の糸同士の間に生じる隙間、いわゆる「目ずれ」の発生を防止するとともに、ウェビング剛性を高めることができ、特にはスプール102によって巻き取られる非膨張領域112の部分のウェビング剛性を高めることで耐摩耗性(耐久性)向上を図るのに効果的とされる。また、編み糸130が優先的に溶融して、その後に他の挿入糸140や横糸150とともに固まることで、特には膨張領域111における糸のほつれを防止するのに効果的とされる。
【0034】
なお、本実施の形態の編み糸130の構成に関しては図10に示すような変更例を採用することもできる。この図10に示す例では、糸中心を占める芯部130aと、芯部130aのまわりを覆う鞘部130bとによる芯鞘構造糸によって、編み糸130を構成している。この場合、芯部130aを第1の繊維糸131と同様に、融点が255〜260℃程度のポリエステル繊維によって形成し、また鞘部130bを第2の繊維糸132と同様に、融点が160〜180℃程度の変性ポリエステル繊維によって形成することができる。このような構成のウェビングによっても、熱成形時において耐摩耗性向上と糸のほつれ防止を図ることが可能とされる。ここでいう芯部130aが、本発明における「芯部」及び「第1の繊維体」に相当し、またここでいう鞘部130bが、本発明における「鞘部」及び「第2の繊維体」に相当する。
【0035】
〔挿入糸140の構成〕
次に、本実施の形態の挿入糸140の構成に関しては図11が参照される。この図11に示すように、挿入糸140は、融点の異なる第1の繊維糸141及び第2の繊維糸142が互いに隣接して並行状に延在する構成とされる。この挿入糸140を、第1の繊維糸141と第2の繊維糸142を抱き合わせた構成の挿入糸と云うこともできる。この挿入糸140の典型的な構成として、第1の繊維糸141を融点が255〜260℃程度のポリエステル繊維によって形成し、また第2の繊維糸142を融点が160〜180℃程度の変性ポリエステル繊維(融着糸)によって形成することができる。すなわち、本実施の形態では、第2の繊維糸142は、第1の繊維糸141よりも融点が低く、第1の繊維糸141よりも溶融し易い繊維によって構成される。この変性ポリエステル繊維は、ポリエステル繊維よりも相対的に融点が低く融着性(接着性)を有する低融点ポリエステル繊維とも称呼される。
【0036】
第1の繊維糸141を形成するポリエステル繊維は、編み糸130の第1の繊維糸131と同様の構成とされ、典型的にはテレフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンテレフタレートの重合体からなる。一方、第2の繊維糸142を形成する変性ポリエステル繊維(低融点ポリエステル繊維)は、編み糸130の第2の繊維糸132と同様の構成とされ、典型的にはテレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンイソフタレートと前記ポリエチレンテレフタレートの共重合体からなる。本実施の形態の挿入糸140の第2の繊維糸142を形成する変性ポリエステル繊維の具体的な構成が図12に示される。図12に示すように、この変性ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート中にポリエチレンテレフタレートが点在した構成、すなわち高融点のポリエチレンテレフタレートに、低融点のポリエチレンイソフタレートが混入された共重合体として構成され、特にはポリエチレンイソフタレートの共重合比率が30[%](ポリエチレンテレフタレートが70[%])とされる。
【0037】
挿入糸140のこのような構成において、ウェビング120の熱成形時に190℃程度の熱処理がなされることによって、第2の繊維糸142のうちポリエチレンテレフタレートよりも相対的に融点が低いポリエチレンイソフタレート(低融点繊維)が優先的に融解し、この融解成分がバインダーとなって挿入糸140と他の糸(編み糸130及び横糸150)とが互いに熱融着される。このとき、本実施の形態では、挿入糸140が優先的に溶融して、その後に他の編み糸130や横糸150とともに固まることで、挿入糸140の収縮後における断面積が増大して硬くなりウェビング全体としての剛性が高まることとなる。従って、ウェビング120の糸同士の間に生じる隙間、いわゆる「目ずれ」の発生を防止するとともに、ウェビング剛性を高めることができ、特にはスプール102によって巻き取られる非膨張領域112の部分のウェビング剛性を高めることで耐摩耗性(耐久性)向上を図るのに効果的とされる。また、挿入糸140が優先的に溶融して、その後に他の編み糸130や横糸150とともに固まることで、特には膨張領域111における糸のほつれを防止するのに効果的とされる。
【0038】
なお、本実施の形態の挿入糸140の構成に関しては図13に示すような変更例を採用することもできる。この図13に示す例では、糸中心を占める芯部140aと、芯部140aのまわりを覆う鞘部140bとによる芯鞘構造糸によって、挿入糸140を構成している。この場合、芯部140aを第1の繊維糸141と同様に、融点が255〜260℃程度のポリエステル繊維によって形成し、また鞘部140bを第2の繊維糸142と同様に、融点が160〜180℃程度の変性ポリエステル繊維によって形成することができる。このような構成のウェビングによっても、熱成形時において耐摩耗性向上と糸のほつれ防止を図ることが可能とされる。
【0039】
〔横糸150の構成〕
次に、本実施の形態の横糸150の構成に関しては図14が参照される。この図14に示すように、横糸150は、融点及び熱収縮度合い(繊維の長手寸法方向に関する収縮の度合い)がいずれも異なる第1の繊維糸151及び第2の繊維糸152が互いに隣接して並行状に延在する構成とされる。この横糸150を、第1の繊維糸151と第2の繊維糸152を抱き合わせた構成の横糸と云うこともできる。この横糸150の典型的な構成として、第1の繊維糸151を融点が255〜260℃程度で、熱収縮率が7〜11%程度のポリエステル繊維によって形成し、また第2の繊維糸152を融点が230℃程度で、熱収縮率が18.5%程度の変性ポリエステル繊維(高収縮糸)によって形成することができる。すなわち、本実施の形態では、第2の繊維糸152は、第1の繊維糸151よりも熱収縮率が高く、第1の繊維糸151よりも収縮し易い繊維によって構成される。この変性ポリエステル繊維は、ポリエステル繊維よりも相対的に熱収縮率の高い高収縮性ポリエステル繊維とも称呼される。ここでいう熱収縮率とは、所定長さの試料を熱水に浸漬させる浸漬処理を行い、浸漬処理前後の試料の長さの比率によって算出される。この熱収縮率は、「熱水収縮率」、「湿熱収縮率」、「フィラメント収縮率」、「沸水収縮率」ないし「沸騰収縮率」とも称呼される。典型的には、JIS L1013 8.18.1(b)に規定された方法にしたがい、熱水中に所定時間浸漬処理(例えば90℃、30分の処理)した試料に関し、((処理前の長さ−処理後の長さ)/処理前の長さ)×100によって導出された値(熱収縮率)によって評価される。
【0040】
第1の繊維糸151を形成するポリエステル繊維は、編み糸130の第1の繊維糸131と同様の構成とされ、典型的にはテレフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンテレフタレートの重合体からなる。一方、第2の繊維糸152を形成する変性ポリエステル繊維(高収縮性ポリエステル繊維)は、典型的にはテレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンイソフタレートと前記ポリエチレンテレフタレートの共重合体からなる。本実施の形態の横糸150の第2の繊維糸152を形成する変性ポリエステル繊維の具体的な構成が図15に示される。図15に示すように、この変性ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート中にポリエチレンテレフタレートが点在した構成、すなわち高融点のポリエチレンテレフタレートに、低融点のポリエチレンイソフタレートが混入された共重合体として構成され、特にはポリエチレンイソフタレートの共重合比率が10[%](ポリエチレンテレフタレートが90[%])とされる。
【0041】
横糸150のこのような構成において、ウェビング120の熱成形時に190℃程度の熱処理がなされることによって、相対的に熱収縮度合いの高い第2の繊維糸152が優先的に収縮する。これにより、特にはスプール102によって巻き取られる非膨張領域112の部分のウェビング剛性を高めることで耐摩耗性(耐久性)向上を図るのに効果的とされる。また、特には非膨張領域112においてベルト長手方向と交差する方向(幅方向)に関する製品幅を抑えることが可能となる。
【0042】
なお、本実施の形態の横糸150の構成に関しては図16に示すような変更例を採用することもできる。この図16に示す例では、糸中心を占める芯部150aと、芯部150aのまわりを覆う鞘部150bとによる芯鞘構造糸によって、横糸150を構成している。この場合、芯部150aを第1の繊維糸151と同様に、第1の繊維糸151を融点が255〜260℃程度で、熱収縮率が7〜11%程度のポリエステル繊維によって形成し、また鞘部150bを第2の繊維糸152と同様に、融点が230℃程度で、熱収縮率が18.5%程度の変性ポリエステル繊維(高収縮糸)によって形成することができる。このような構成のウェビングによっても、熱成形時において耐摩耗性向上と製品幅低減を図ることが可能とされる。
【0043】
また、上記横糸150の構成に関し、第1の繊維糸151を、編み糸130の第2の繊維糸132と同様の変性ポリエステル繊維(融着糸)によって構成することもできる。この場合、第1の繊維糸151は、典型的にはテレフタル酸及びイソフタル酸とエチレングリコールを用いたエステル化反応によって製造されたポリエチレンイソフタレートと前記ポリエチレンテレフタレートの共重合体からなり、特にはポリエチレンイソフタレートの共重合比率が30[%](ポリエチレンテレフタレートが70[%])とされる。この第1の繊維糸151は、融点が160〜180℃程度で、熱収縮率が7〜11%程度の変性ポリエステル繊維とされる。
【0044】
このような構成によれば、第1の繊維糸151のうちポリエチレンテレフタレートよりも相対的に融点が低いポリエチレンイソフタレート(低融点繊維)が優先的に融解し、この融解成分がバインダーとなって、横糸150と他の糸(編み糸130及び挿入糸140)とが互いに熱融着される。従って、熱成形時において耐摩耗性向上と製品幅低減を図るとともに、更に横糸150が優先的に溶融して、その後に他の編み糸130や挿入糸140とともに固まることで、横糸150の収縮後における断面積が増大して硬くなりウェビング全体としての剛性が高まることとなる。従って、ウェビング120の糸同士の間に生じる隙間、いわゆる「目ずれ」の発生を防止し、特には膨張領域111における糸のほつれを防止するのに効果的とされる。
【0045】
また、上記横糸150の構成に関し、横糸150を、他の糸(編み糸130及び挿入糸140)よりも熱収縮度合いの高い第2の繊維糸152のみによって構成することもできる。このような構成によれば、ウェビング120の熱成形時に190℃程度の熱処理がなされることによって、編み糸130や挿入糸140よりも相対的に熱収縮度合いの高い横糸150(第2の繊維糸152)が優先的に収縮する。このような構成のウェビングによっても、熱成形時において耐摩耗性向上と製品幅低減を図ることが可能とされる。
【0046】
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0047】
上記実施の形態では、編み糸130及び挿入糸140の両方に、低融点ポリエステル繊維が含まれる場合について記載したが、本発明では、少なくとも編み糸130に低融点ポリエステル繊維が含まれていれば足り、挿入糸140を構成する繊維の種類は必要に応じて変更可能である。例えば、融点が255〜260℃程度のポリエステル繊維のみによって挿入糸140を構成することができる。
【0048】
また、本発明において、必要に応じては、編み糸130及び挿入糸140の少なくとも一方に低融点ポリエステル繊維が含まれる構成を採用することもできる。本構成に関しては、「車両乗員を拘束する長尺状のエアベルトを構成する伸縮性ウェビングであって、ウェビング骨格を形成するべく所定方向に長尺状に延在する複数の編み糸と、前記複数の編み糸に挿入されつつ前記所定方向に延在する挿入糸と、前記複数の編み糸に挿入されつつ前記所定方向と交差する方向に延在する第1延在部と、前記第1延在部に連続して前記所定方向に延在する第2延在部を含む横糸と、前記横糸の前記第1延在部が延在する第1のウェビング領域と、前記横糸の前記第2延在部が延在し、前記第1のウェビング領域よりも前記所定方向と交差する方向に関する伸縮性が高い第2のウェビング領域と、を備え、前記編み糸及び挿入糸のうちの少なくとも一方の糸は、当該糸の長手方向に互いに隣接して並行状に延在する第1の繊維体及び第2の繊維体を有するとともに、前記第2の繊維体が前記第1の繊維体よりも融点が低い低融点繊維によって構成され、前記第2の繊維体は、熱処理時に前記第1の繊維体に隣接して溶融し、これにより当該糸と他の糸が熱融着される構成であることを特徴とする伸縮性ウェビング。」という構成の伸縮性ウェビングが想到される。このような構成の伸縮性ウェビングによれば、伸縮性ウェビングの熱処理時に当該糸が優先的に溶融して、その後に他の糸とともに固まることで、当該糸の収縮後における断面積が増大して硬くなりウェビング全体としての剛性(耐摩耗性)が高まり、伸縮性ウェビングの糸同士の間に生じる目ずれや糸のほつれ(ラン)の発生が防止されることとなる。
【0049】
また、上記実施の形態では、横糸150に高収縮性ポリエステル繊維が含まれる場合について記載したが、本発明では、この横糸150を構成する繊維は、高収縮性ポリエステル繊維以外の繊維であってもよい。例えば、融点が255〜260℃程度のポリエステル繊維のみによって横糸150を構成することができる。
【0050】
また、上記実施の形態では、自動車車両の運転席用のエアベルト装置100について記載したが、本発明は、自動車車両の運転席用のみならず、助手席や後部席の乗員を拘束するエアベルト装置の構成、更にはバス、トラック、飛行機、船舶等の車両に装着されるエアベルト装置の構成に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明における一実施の形態のエアベルト装置100の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態のエアベルト110の部分的な平面図である。
【図3】図2中のエアベルト110のA−A線における断面構造を示す図である。
【図4】図2中のエアベルト110のB−B線における断面構造を示す図である。
【図5】図2中のエアベルト110のC−C線における断面構造を示す図である。
【図6】図2中のエアベルト110が膨張した状態を示す図である。
【図7】本実施の形態のエアベルト110を構成するウェビング120の編み構造を示す図である。
【図8】本実施の形態の編み糸130の構成を示す図である。
【図9】本実施の形態の編み糸130の第2の繊維糸132を形成する変性ポリエステル繊維の具体的な構成を示す図である。
【図10】本実施の形態の編み糸130の構成の変更例を示す図である。
【図11】本実施の形態の挿入糸140の構成を示す図である。
【図12】本実施の形態の挿入糸140の第2の繊維糸142を形成する変性ポリエステル繊維の具体的な構成を示す図である。
【図13】本実施の形態の挿入糸140の構成の変更例を示す図である。
【図14】本実施の形態の横糸150の構成を示す図である。
【図15】本実施の形態の横糸150の第2の繊維糸152を形成する変性ポリエステル繊維の具体的な構成を示す図である。
【図16】本実施の形態の横糸150の構成の変更例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
100 エアベルト装置
101 リトラクタ
101a リトラクタハウジング
102 スプール
103 ショルダーガイドアンカー
104 タング(トング)
105 アウトアンカー
106 バックル
110 エアベルト(ウェビング)
110a,110b 平面部
110c 収容空間
111 膨張領域
112 非膨張領域
113 ガスバッグ
120 ウェビング
130 編み糸
130a 芯部
130b 鞘部
131 第1の繊維糸
132 第2の繊維糸
140 挿入糸
140a 芯部
140b 鞘部
141 第1の繊維糸
142 第2の繊維糸
150 横糸
150a 芯部
150b 鞘部
151 第1の繊維糸
152 第2の繊維糸
153 第1延在部
154 第2延在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両乗員を拘束する長尺状の乗員拘束ベルトを構成する伸縮性ウェビングであって、
ウェビング骨格を形成するべく所定方向に長尺状に延在する複数の編み糸と、
前記複数の編み糸に挿入されつつ前記所定方向に延在する挿入糸と、
前記複数の編み糸に挿入されつつ前記所定方向と交差する方向に延在する第1延在部と、前記第1延在部に連続して前記所定方向に延在する第2延在部を含む横糸と、
前記横糸の前記第1延在部が延在する第1のウェビング領域と、
前記横糸の前記第2延在部が延在し、前記第1のウェビング領域よりも前記所定方向と交差する方向に関する伸縮性が高い第2のウェビング領域と、
を備え、
前記編み糸は、当該編み糸の長手方向に互いに隣接して並行状に延在する第1の繊維体及び第2の繊維体を有するとともに、前記第2の繊維体が前記第1の繊維体よりも融点が低い低融点繊維によって構成され、前記第2の繊維体は、熱処理時に前記第1の繊維体に隣接して溶融し、これにより当該編み糸と前記挿入糸ないし前記横糸が熱融着される構成であることを特徴とする伸縮性ウェビング。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮性ウェビングであって、
前記編み糸は、前記第1の繊維体を構成する第1の繊維糸と、前記第2の繊維体を構成する第2の繊維糸が互いに隣接して並行状に延在する構成であることを特徴とする伸縮性ウェビング。
【請求項3】
請求項1に記載の伸縮性ウェビングであって、
前記編み糸は、糸中心の芯部のまわりが鞘部によって覆われた芯鞘構造糸とされ、前記芯部が前記第1の繊維体によって構成され、前記第1の繊維体に隣接して並行状に延在する前記第2の繊維体によって前記鞘部が構成されていることを特徴とする伸縮性ウェビング。
【請求項4】
車両乗員を拘束するエアベルトであって、
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の伸縮性ウェビングによって袋状ないし筒状とされたベルト体として構成され、当該ベルト体のうちの前記第2のウェビング領域に、車両事故の際に膨張可能なガスバッグが収容される構成であることを特徴とするエアベルト。
【請求項5】
請求項4に記載のエアベルトと、
前記エアベルトの巻き取り及び巻き出しを行うリトラクタと、
車両に対し固定されたバックルと、
前記シートベルトに設けられ、シートベルト装着時に前記バックルに係合するタングと、
を備えることを特徴とするエアベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−302906(P2008−302906A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154382(P2007−154382)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】