位相分解光学周波数領域画像化を行うための装置、方法及びシステム
参照部及びサンプルから受けた信号を利用する装置、システム及び方法を提供する。特に、放射は、サンプルに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及び参照部に向かう少なくとも1つの第2電磁放射を含む。放射の周波数は、時間経過とともに変化する。干渉は、第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間で検出できる。干渉における少なくとも1つの周波数成分についての1つ以上位相と関連した特定の信号を得て、この特定の信号を、1つ以上の特定の情報と比較することができる。更に、放射の少なくとも一部を受けて、更に別の放射を提供することができ、これにより、前記特定の信号を追加的な信号に基づいて較正できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年6月1日に提出した米国特許出願番号第60/686,790号に基づき、優先権の利益を請求するとともに、その全ての開示を参照によってここに援用する。
【0002】
本発明に先立つ研究は少なくとも部分的に、国立衛生研究所の助成番号R33 CAl 10130及びR01 HL70039によって支援された。よって、米国政府は本発明に係る特定の権利を保有し得る。
【0003】
本発明は、光学周波数領域で少なくともサンプルの一部を画像化するための、詳しくは、光学周波数領域画像化法を使用して、透明で混濁したサンプルについての位相分解画像化を実行するための装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
光学コヒーレンストモグラフィ(「OCT」)は、参照光ビームと、サンプルからの戻り反射光ビームとの間の干渉を測定する画像化技術である。従来の時間領域OCTに関する詳細なシステムの説明は、Huang等の「Optical Coherence Tomography(光学コヒーレンストモグラフィ)」、Science 254、1178(1991)で初めて記載された。スペクトル領域OCT及び光学周波数領域干渉法についての詳細なシステムの説明は、国際特許出願番号PCT/US03/02349及び米国特許出願番号第60/514,769号でそれぞれ与えられる。偏光検出OCTは、反射光の偏光状態の変化を観察することによって、更にコントラストを提供する。偏光検出時間領域OCTについての最初のファイバ・ベースの実施が、Saxer等の「High−speed fiber−based polarization−sensitive optical coherence tomography of in vivo human skin(生体内ヒト皮膚の高速ファイバ・ベース偏光検出光学コヒーレンストモグラフィ)」、Opt.Lett.25、1355(2000)に記載された。
【0005】
OCTの典型的な一技術では、生物学的サンプルの断面画像が、数ミクロンから十ミクロン程度の解像度で与えられる。従来のOCT技術でのコントラストは、様々な組織の光学的散乱特性の違いから生じるものであり、組織の微細構造を画像化できる。サンプルの、空間的に局所化された運動を測定するためにドップラ技術を適用することで、生体情報又は機能情報が更に得られる。これらの典型的な技術は、カラードップラOCT又は光学ドップラトモグラフィと称することがあり、皮膚、網膜、食道等の血流の画像化に用いられてきた。組織の微細構造及び血流を同時に画像化することにより、OCTについての診断の有用性を大いに高めることができる。初期のドップラOCT測定は、時間領域OCT(TD−OCT)システムを用いて行われ、その一例を図1Bに示す。
【0006】
近年では、フーリエ領域OCT(FD−OCT)が大幅に向上した感度を提供することが実証され、これにより高速な画像化を可能にした。FD−OCTは、2つの構成、つまりスペクトル領域OCT(「SD−OCT」)と光学周波数領域画像化(「OFDI」)で実施されている。SD−OCTでは、分光計がスペクトル・フリンジ、つまりサンプルからの反射光と参照ビームとの干渉によって生じる縞を記録するために用いられる。OFDIでは、狭帯域の波長掃引(スイープ)光源及び単一検出器が、上記と同じインターフェログラムを記録するために用いられる。ドップラ画像化は、SD−OCTシステムで最近示された。ドップラSD−OCTシステムの一例を図1Cに示す。OFDI技術を使ったドップラ画像化は、我々の知る限りでは示されていない。しかしOFDIの技法は、いくつかのアプリケーションのための画像化の形態に好適な場合があり、その理由は、内視鏡と関連した運動のアーティファクトが低い傾向にあり、更に深い範囲を提供できるからである。また波長掃引レーザ光源についての不断の開発によって、画像化の速度及び解像度が更に向上する見込みがある。これらの利点は、いくつかのOCTの適用、Barrettの食道検査及び冠状動脈イメージングを含む適用へと駆り立てる。このように、多くの適用における流れの画像化は、位相分解OFDIの開発を必要とする。
【0007】
従来のOCTシステム及び技術は、深さの関数としての反射率の大きさに基づいて画像を作成する。信号の反射率の位相を調べることによって、更に情報を得ることができる。通常、信号の位相情報は、該信号の別の位相と比較した場合に意味をもつ。この位相は、異なる深さでの位相の別の測定値、又は連続的な深さ走査による同じ深さでの位相の測定値とすることができる。正確な実施に関係なく、位相測定値から構築される画像の感度は、個々の位相測定値におけるノイズ及び位相測定値の再現性の関数となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
位相分解ドップラOFDIにおいて、同期誤差は干渉縞位相のスプリアス測定値を引き起こす可能性があり、性能低下をもたらす。この同期誤差を、以下では「タイミング起因性の位相誤差」と称することにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題及び/又は欠陥に対処し及び/又は克服するために、タイミング起因性の位相誤差の影響を低減させる典型的なシステム、方法及び装置が提供される。例えば、ある従来法では、光信号を更に生成し、該信号を用いてタイミング起因性の誤差を測定することで、測定画像から該誤差を除去できる。他の技術では、改良された同期化方式により、タイミング起因性の位相ノイズの大きさを直接的に低減させることが示される。
【0010】
本発明によれば、典型的なOFDIシステムを使用して高感度の深さ分解位相測定を容易に行える、典型的なシステム、方法及び装置が与えられる。例えば、位相の測定値は、血流や、混濁した媒体又は散乱性媒体の運動測定に使用でき、また経時的な又は横軸方向の位置の関数として、材料の光学的厚さを監視するために使用できる。また、本発明の例示的な実施形態に従って高感度を達成する典型的な方法についても、本願明細書に記載している。このような典型的な方法では、較正信号は、タイミング起因性の位相測定誤差を補正し、修正し、及び/又は、これに対処するために生成及び利用できる。本発明の他の例示的実施形態によれば、典型的なOFDIシステムは、較正信号とサンプル信号を同時に測定できるように修正され、例えば上記較正信号を用いて、サンプル信号におけるタイミング起因性の位相測定値を補正し、修正し、及び/又は、これに対処するための典型的な手順を提供できる。本発明の更に別の例示的実施形態では、較正信号は、別のチャネルで発生させることができ、サンプル信号とは独立に得られる。例えば、較正信号は、サンプル信号の誤差を補正するために同様に用いることができる。また、本発明の別の例示的実施形態によれば、タイミング起因性の位相誤差を低減し、補正し、及び/又は最小化するための方法、装置、及びシステムを提供できる。
【0011】
このように、本発明の例示的な一実施形態によれば、参照部及びサンプルから受けた信号を利用する装置、システム及び方法が与えられる。特に、サンプルに向けた1つ以上の第1の電磁放射と、参照部に向けた1つ以上の第2の電磁放射を含む放射が提供される。この放射の周波数は経時的に変化する。干渉は、第1の放射に関連した1つ以上の第3の放射と第2の放射に関連した1つ以上の第4の放射との間で検出できる。干渉における1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの位相と関連した特定の信号を得て、この特定の信号を少なくとも1つの特定の情報と比較することができる。更に、上記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供することで、特定の信号を別の信号に基づいて較正できる。
【0012】
例えば、特定の情報は、予め定められたデータを含むことができる。また、干渉における少なくとも1つの別の周波数成分のうちの1つ以上の別位相と関連した別の信号を測定でき、少なくとも1つの特定の情報は、この別の信号とすることができる。更に別の干渉における少なくとも1つの別の周波数成分のうちの1つ以上の別位相と関連した更に別の信号を測定することも可能であり、この更に別の干渉は前記干渉とは異なる。
【0013】
本発明の他の例示的実施形態では、前記した別の干渉が、前記放射及び前記第2の放射に基づいてもよい。また、前記干渉及び別の干渉は、異なる時間に得られ及び/又はサンプルの異なる位置で得られる。更には、前記放射と関連した別の信号を生成することが可能であり、前記特定の情報は、この別の信号に基づいて与えることができる。また、前記放射の少なくとも一部を受けて、更に別の放射を提供することも可能であり、前記特定の信号及び/又は特定の情報が、この別の放射と関連してもよい。また、更に別の信号に基づいて特定の信号を較正することができる。較正は、サンプルと特定の装置との間の実際の距離及び/又は光学距離に基づいて行える。更に、サンプルと特定の装置との間の実際の距離及び/又は光学距離に基づいて、前記特定の信号を較正することが可能である。
【0014】
本発明の上記目的及び他の目的、特徴及び利点については、添付請求項を参照しながら、本発明の実施形態例に係る以下の詳細な説明を読む際に明らかとなる。
【0015】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の実施形態を示す添付図に関連した、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0016】
図全体を通して、同一の参照番号及び文字は、特に明記しない限り、図示した実施例における同様の特徴部、構成要素、又は部分を示すために用いる。更に、対象発明を図面に関して詳述するが、これは実施例との関連において行われる。なお、記載した実施形態に対する変更及び改変については、添付請求項によって規定される対象発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に従うシステム、ソフトウェア構成及び方法についての例示的な実施形態が、各種OCTシステムや他のシステム、つまりリファレンスアーム及びサンプルアームからの信号が互いに干渉し合って有用な信号を生み出すシステムにおいて実施できることを理解されたい。
【0018】
位相分解ドップラFD−OCTの典型的原理
【0019】
典型的な位相分解OCT技術を、フーリエドメイン(領域)OCTの枠内で以下に説明するが、これはOCTのカテゴリであり、本発明によるOFDIシステムの例示的な実施形態と関連する。フーリエ領域OCTでは、混濁した媒体、半濁した媒体、又は透明な媒体の深さ依存性をもつ反射光を測定するために、干渉計の2アーム(例えばサンプルアーム及びリファレンスアーム)間の干渉を使用する。例えば、入射光は、リファレンスアームとサンプルアームに分割される。サンプルアームの光は画像化されるサンプルに向けて送出され、そして、サンプルからの反射光は出力カプラの第1ポートに向けて送出される。またリファレンスアームの光は、上記と同じ出力カプラの第2ポートに向けて送出される。ビーム間のスペクトル干渉は、波長の関数として干渉計が出力するパワーを記録することで測定される。位置z(「z」は、サンプルアームとリファレンスアームとの間の全経路差を示す)でのサンプルの単一反射光について、干渉計の出力は以下のように与えられる。
【0020】
【数1】
ここで、「S(k)」は出力信号(光出力)であり、「P(k)」は波数kでのソース(光源)出力であり、「R(z)」は位置zにおける散乱体の出力の反射率であり、そして「φz」は、反射光の位相である。
【0021】
位置zでの散乱体の反射率は、周波数2kzにおける信号の大きさによって与えられる。通常、検出信号は離散的に標本化された信号であり、これは、測定信号が、連続出力S(k)についてのn個の離散的なサンプルで記録されることを意味する。離散的に標本化された出力、「Sl」は下式で与えられる。
【数2】
ここで「Pl」は波数klでのソース出力である。離散的に標本化された出力、「Sl」の離散フーリエ変換(「DFT」)によって、深度指数iの関数として複素反射率プロファイル「ai」が与えられる。
【数3】
【0022】
位置zでの散乱体からの信号は、複素反射プロファイル係数「am」に含まれ、ここで「m」は位置zに対応する深度指数である。例えば、離散的に標本化された出力「Sl」の各測定から、深さの関数として、複素反射率プロファイルの単一測定値を得ることができる(Aライン)。深度指数iにおける散乱体の運動は、複素反射率プロファイル係数「ai」の位相「φi」(φi=angle(ai))の変化となる。複素反射率プロファイルが、Aラインjに対して深度指数iを用いて「aij」として与えられる場合に、AラインjとAラインj−1との間の変位δzが、下式で与えられる位相変化をもたらす。
【数4】
【0023】
位相分解FD−OCTによって散乱媒体の運動を測定でき、これは、連続したAラインについてのサンプル深さにおける上記位相差を算出することで行われる。
【0024】
位相分解ドップラOFDI技術
【0025】
SD−OCTのFD−OCT技術並びにOFDIのシステム及び方法はともに、離散的に標本化された出力「Sl」を測定できる。しかしながら、これらの技術は一般に、本測定の実行において異なる。OFDIのシステム及び方法では、波長掃引ソースと、単一素子のフォトレシーバ(受光器)、(及び/又は単一素子フォトレシーバの組)を使用でき、時間の関数としてSlを記録する。図1Aは、サンプルの少なくとも一部を画像化するための高速OFDI技術について、典型的な実施形態のブロック図を示す。図1Aに示す典型的なシステムでは、3つのモジュール85、90及び95を含み、例えば、波長掃引ソース85、干渉計90、及びデータ取得回路装置95を含む。波長掃引ソース85(以下、「掃引源」と称する)は、リング共振器レーザとして設けることができる。掃引源85は、利得素子としての半導体光増幅器(「SOA」)125とポリゴンミラーフィルタ101を含むことができる。このポリゴンミラーフィルタ101は、ポリゴンミラー100、望遠光学系105、回折格子110、及びファイバコリメータ113を含むことができる。偏光コントローラ120は、レーザ偏光を最適化するために含まれ、出力カプラ130はレーザ出力を提供できる。出力カプラは、出力ポート132とレーザポート131との間で予定通りに光を等分に分割する。光学サーキュレータ115は、レーザポート131からポリゴンミラーフィルタ101に光を導き、そしてポリゴンミラーフィルタ101から戻る光を偏光コントローラ120へと導く。ポリゴンミラー100が回転する際に、ポリゴンミラーフィルタ101からの反射光の波長掃引が行われ、これによりレーザ出力についても同様の方法で波長掃引が行われる。
【0026】
従ってポート132のレーザ出力は、時間的に波長掃引されることになる。この出力は干渉計に入り、該干渉計は、光をリファレンスアームポート135aとサンプルアームポート135bに分割する干渉計カプラ135を含む。リファレンスアームの光は、カプラ165によって分割される。カプラ165の出力ポート165aからの光は第2サーキュレータ145に向けて送出され、該サーキュレータは光をファイバブラッグ格子(「FBG」)150に通過させる。このFBG150は、ソースの波長掃引範囲内で、離散波長において狭帯域の反射作用を有する。ソース85はこの反射後に波長を調節するので、反射光パルスが発生する。このパルスはサーキュレータ145によってフォトレシーバ(受光器)155に向けて送出され、そして、送出された当該パルスは、TTLパルス発生器160によってTTLパルスに変換される。このTTLパルスは、データ収集回路装置200のトリガ信号として使用できる。カプラの他の出力ポート165bからの光は、第3サーキュレータ170に向けて送出され、該サーキュレータは可変光学遅延部210に光を導く。この可変光学遅延部は、干渉計90の経路整合に用いる。戻り光は、サーキュレータ170によって、偏光コントローラ175に向けられ、その後段に偏光子180が続き、最終的に出力カプラ185の第1ポート185aに送出される。サンプルアームポート135bにおけるサンプルアームの光は、第4サーキュレータ205に向けられ、これは次に、画像化されるサンプルへと、ファイバ206の光を導く。画像化光学系215は、光をサンプルに集光させ、ビームの平行移動が可能である。サンプルからの反射光は、同じファイバ206によって収集され、そして第4サーキュレータ205に戻され、該サーキュレータは光を出力カプラ185の第2ポート185bに向けて送出する。
【0027】
リファレンスアームの光及びサンプルアームの光は、出力カプラ185で干渉する。この干渉信号は、出力ポート185c上のフォトレシーバ190a及び他の出力ポート185d上のフォトレシーバ190bによって検出される。これらのフォトレシーバ190a,190bからの信号は、装置195において減算されて、データ収集(DAQ)ボード200のアナログ‐デジタル(AD)入力ポートに向けて送出される。
【0028】
DAQボード200は、クロックレートfclでn個のサンプルを得る。ここで、nは予め規定されている。クロック信号は、DAQボード200で内部的に発生させることができる。TTLパルス発生器160からのトリガ信号は、FBG150によって生成される光学パルスに起因する。トリガーパルスと内蔵DAQのサンプルクロックとが同期していないと、トリガーパルスの生成と第1アナログ−デジタル変換との間に可変遅延を引き起こす虞がある。この遅延は、サンプルクロックの全一周期によって生じる。ソース掃引を、「kl=ko+αk・l」とする場合に、Aラインjについての標本化されたフリンジ、「Slj」は、下式で与えられる。
【数5】
ここで「Δj」は、サンプルクロックとトリガーパルスとの相対的なタイミングに応じて、0と1の間で変化する。位置zにおける静止散乱体についての連続したAライン間で測定される位相差は、下式で与えられる。
【数6】
【0029】
この位相差は、取得時間(Δjによって記述される)におけるタイミング変化から生じ、サンプルの運動から生じる位相差を覆い隠し、システム感度を低下させる。ナイキスト限界から決まる撮像深さを、
と書き、正規化した深さ因子Γz=z/zNyを用いると、タイミング起因性の位相誤差は下式で記述できる。
【数7】
【0030】
本発明の上記手順は、タイミング起因性の位相誤差が、例えば
の最大値までの深さに伴って、線形的に増加することを示す。
【0031】
較正信号の生成によるタイミング起因性位相誤差の補正
【0032】
本発明のある典型的な実施形態によれば、追加的な信号を、本願明細書に記載した典型的なシステムによって生成でき、該信号は、タイミング起因性の位相誤差を計測してその後に補正するために利用できる。例えば、図2は本発明に従うこの種の典型的なシステムの実施形態を示しており、サンプルアームを修正することで、追加的な較正信号を容易に生成できる。図2は、サンプルアームの典型的な詳細を示し、該アームは、図1に示した光学サーキュレータ205の後段にある。図2に示すように、ファイバ300(すなわち図1Aのファイバ206)の光は、カプラ305によって分割される。ポート305aの光は、較正ミラー310に向けられ、該ミラーは可変光学遅延部をもつことができる。ポート305bの光は、図1Aと同様に、サンプル320に向けて送出される。較正ミラーから送出される干渉計出力信号は深く局所化され、最大の撮像深さの近傍に位置する(よって、サンプル光学320から生じる画像を著しく不明瞭にしない)ように、可変光学遅延部を調整できる。可変光学遅延部から生じる信号の大きさを調整することで、その大きさについては、その深さでのサンプルに起因する信号の大きさに比べてかなり大きいが、顕著な自己相関ノイズを誘発する程大きくならないようにすることができる。
【0033】
図3Aは、図2に示す典型的なシステム構成から生じるAラインのグラフ350を例示している。較正ミラーからの信号355は、サンプル(組織)の反射光信号360中で、明瞭に分かる。本発明に従い、この較正ミラー信号を使って、測定済み位相差を補正する方法の例示的な実施形態について、その流れ図を図3Bに示すと、これは以下の通りである。
(1)各測定AラインのDFT、ai,j=DFT(Si,j)の測定及び計算 −ステップ370。
(2)角度φi,j=unwrap(angle(ai,j))の測定及び計算、ここでunwarp(位相接続)は、ディメンジョンjに沿って行う標準的な位相接続法のアルゴリズムである。―ステップ375。
(3)隣接Aライン間の位相差、Δφi,j=φi,j−φi,j−1の測定及び計算 ―ステップ380。
(4)補正済み位相差Δφ’i,jについての、Δφ’i,j=Δφi,j−(i/k)Δφk,j(ここで、「k」は較正ミラー信号の深度指数である)による決定/計算 −ステップ385。
【0034】
別の実施形態では、光学プローブからの既存の反射光が、較正信号として使用される。図4は、本発明による典型的なOCTの末端光学部分の実施形態を例示する。図4に示すように、光はファイバ400上を伝わり、コリメートレンズ410、直角プリズム420を経て、画像化されるサンプル440に到達する。個々の反射光は、構成要素の間の境界部のいずれかで生じ、これらの反射光による信号は、図2の較正ミラー310に加えて及び/又はその代わりに較正信号として利用できる。
【0035】
図6に示す本発明によるシステムの更なる例示的実施形態では、較正信号を光学装置によって生成でき、該装置はOFDI干渉計の外部とされ、較正信号はOFDIシステム出力のサンプリングを行う検出と同期してサンプリングを行う第2検出器で検出される。特に、ソース550の出力はカプラ560によって分割され、該カプラは、光の第1部分をOFDI干渉計システム561に向けて送出し、光の第2部分を較正信号発生器562に向けて送出する。較正信号発生器262は周期光学フィルタ595を含み、該フィルタにより、強度変調されてその後にレシーバ596で検出される光信号を容易に生成できる。周期光学フィルタ595は、例えば、ファブリ−ペローエタロン、マッハ−ツェンダ干渉計又はマイケルソン干渉計とすることができる。較正信号及びOFDI信号は、DAQチャネル1装置(要素597として示す)及びDAQチャネル2装置(要素598として示す)でそれぞれ検出される。これらのチャネルについては、同期してサンプリングを行える。較正信号がサンプルアームのミラーで生成される場合に、取得タイミングの変化は、上記と同様に本較正信号の位相に影響を及ぼすことがある。よって、DAQチャネル1で検出される較正信号は、タイミング起因性の位相誤差を補正するために使用できる。これに代って、又はこれに加えて、例えば検出後であってアナログ−デジタル変換前に、較正信号及びOFDI信号を電子的に結合することで、両方とも同じアナログ−デジタル・チャネルによりサンプリングを行える。
【0036】
図15には、本発明によるシステムの更なる例示的実施形態を示しており、サンプルアームと無信号の参照経路をもつリファレンスアームとの間の干渉を伝える信号チャネルの平衡化によって平衡検出を達成できる。例えば、ドップラ測定値を較正するための参照干渉については、無信号の参照部(図15の破線枠に示す)においてファブリ−ペロー共振器955を導入することで生成できる。ファブリ−ペロー共振器955によって導入される、波長の関数としての参照部の変調度は、平衡検出スキームに影響を及ぼさないよう十分に小さく、かつ良好な較正信号を与えるよう十分に大きいことが望ましい。図15のシステムにおける他の要素及びその動作については、本願明細書において既述した通りである。
【0037】
後処理による、タイミング起因性の位相誤差の補正
【0038】
本発明によるシステム、装置及び方法の更に別の例示的実施形態では、位相測定値を、較正ミラーを用いずに補正できる。この典型的な技術において、強度で重み付けした線形フィッティングを、深度指数iの関数、yi,j=mji+bjとして、測定された位相差ラインΔφi,jの各々に適用できる。補正された位相差は、Δφ’i,j=Δφi,j―mji−bjで与えられる。
【0039】
データ取得及びソースの改善された同期化による、タイミング起因性の位相誤差の補正
【0040】
別の実施形態では、タイミング起因性の位相誤差が、掃引源とDAQボードとの同期を改善することによって低減される。図1Aのポリゴンミラー100の回転速度は、ポリゴンミラー駆動部(図示せず)への入力信号の周波数によって決定できる。この信号が、DAQボードのサンプルクロックを生成するクロックと同じクロックから生成される場合に、ポリゴンと駆動信号との間の位相ロックを適正に保つことができ、波長掃引とデータ収集との同期を実現できる。この場合、Δjで示す上式5の遅延が一定の状態を維持したままで、タイミング起因性の位相誤差を低減できる。
【0041】
図7に示す本発明によるシステムの別の例示的な実施形態では、取得用サンプルクロックを、周期的フィルタ、例えばファブリ−ペローエタロン、マッハ−ツェンダ干渉計、及び/又はマイケルソン干渉計を用いて、光学的に発生できる。図7に示すように、掃引源600の光の一部は、サンプルクロック発生器606に向けられ、該発生器は周期光学フィルタ610、レシーバ615、及びTTL生成回路620を含むことができる。周期光学フィルタ610は周期振動出力信号を生成でき、該信号はレシーバ615で検出される。レシーバ出力はTTL生成回路620に送出され、該回路は、TTLパルス列を生成するために電圧コンパレータ及び/又はシュミット・トリガ回路を含むことができる。このパルス列はDAQ外部サンプルクロック入力ポート655に入力され、サンプルクロックとして使用される。サンプリングをサンプルクロック発生器によってレーザ波長掃引と同期化できるので、タイミング起因性ノイズを直接低減できる。この技術については、位相誤差補正のための前述した技術とは別に使用し、又は該技術と組み合わせて使用することができる。
【0042】
位相分解OFDIの適用
【0043】
本発明の更に別の例示的な実施形態では、位相分解OFDIシステムを、血管内OFDI画像化における血流分布の画像化に使用できる。血流を画像化できる典型的な装置を、図5に示す。例えば、本発明による典型的な光学プローブ510が動脈520内に位置され、画像化ビーム500をプローブ510の側部から放射できる。深さ方向での血流が検出され、そしてプローブが回転する場合に、血流の2次元マップを作成できる。端面図は、画像化ビームの回転を例示する。これに代わって、前方を見るプローブを、プローブ510の前方の血液を画像化するために設けることができる。
【0044】
図8に示す本発明の位相分解OFDIシステムの更に別の例示的な実施形態では、周波数シフタを内部に設けることができる。例えば、周波数シフタ711は、撮像深さを2倍にするために使用できる。周波数シフタ711がサンプリングクロックと非同期の信号によって駆動される場合に、測定された位相にノイズが生じる虞がある。図8に示すシステムの例示的な実施形態において、周波数シフタは、サンプルクロックに起因する信号によって駆動される。光はソースから出力されて、第1スプリッタ710によってリファレンスアーム、サンプルアームへと分割される。リファレンスアームは周波数シフタ712を含み、サンプルアームは同様の周波数シフタ711を含む。通常、周波数シフタ711、712のうちの1つだけが能動的に駆動され、シフタ711、712の他方は駆動される周波数シフタの分散を補償するために使用できる。あるいは、駆動されない周波数シフタを、分散補償要素に代えることもできる。リファレンスアームの周波数シフタ712は、ライン713上を伝わる信号によって駆動され、該信号はDAQサンプルクロック出力725に起因する。この出力クロック725は、「Nで割る(N分周)」デジタル論理回路720を用いて、周波数が下方シフトされ、得られた信号は、ライン713上に単一周波数信号を生成するための、アンプ及びフィルタ段715を通過する。周波数シフタ用の駆動信号がDAQサンプルクロック出力725によって得られるので、周波数シフトの位相をサンプルクロックと同期させることができ、よって追加的な位相ノイズを更に誘発することはない。本願明細書に記載した本発明に従う各種の典型的な技術は、あらゆる残留タイミング起因性ノイズの補正に用いることができる。
【0045】
本発明の位相分解OFDIシステムについての別の例示的な実施形態では、この種のシステムは、時間の関数としての、2つの深さ位置の間における光路長変化を決定するために使用できる。例えば、図9は、位相分解OFDIシステムの例示的な実施形態の使用例を示しており、該システムは、光路長の深さ分解変化を、時間の関数として測定するものである。この使用例は、深さz1の第1反射面805と深さz2の第2反射面810との間に対象物が置かれた状況である。反射面805と810との間には、画像化の対象物815がある。反射面805、810は、固定された外面、例えばスライドガラス又は生物学的対象物自体の構造的特徴部とすることができる。これらの表面805、810からの反射光による信号位相を監視することにより、z1とz2との間の光路長を監視でき、監視対象物の変化が許容される。このような起こり得る変化には、対象物の経時的な屈折率変化や、時間内での対象物の膨張が挙げられる。図9の例では、画像化ビームが固定的に保持され、時間経過に伴う一定の横位置での変化を監視するために使用される。
【0046】
位相分解OFDIシステムの例示的な実施形態についての別の使用例では、該システムが、光路長の深さ分解変化を、横方向変位の関数として測定する。画像化ビーム850は、第1反射面855と第2反射面865の間に位置したサンプル対象物に向けられる。対象物860を挿入する前に、これらの反射面855と865との間の光路長の差は、システムの設計から既知であるか、及び/又は事前の測定により既知とされる。反射面855、865の位相は、画像化ビーム850の横方向変位の関数として測定でき、対象物860の横方向の光路長変化は、2つの信号間の位相差を、対象物がない状態で測定されるか及び/又は事前に既知とされる位相差と比較することで判明する。例えば、システムが十分な安定性を有する場合に、z1での第一面の反射率は不要とされる。
【0047】
当業者であれば分かるように、前記実施形態の1つを本明細書に記載した別の例示的な実施形態と組み合わせて使用し、本発明に従い、タイミング起因性の位相ノイズを低減する、各種の位相分解OFDIシステムを提供することができる。
【0048】
実施例
【0049】
本発明によるシステム、装置及び方法の、例示的な実施形態が、以下のように検証された。
【0050】
連続したAライン間の位相差が、図2の典型的な構成においてサンプルアームの静止サンプルミラーを用いて測定された。図11は、較正ミラーと、本発明の典型的な実施形態に従ってタイミング起因性の位相誤差を補正する前後でのサンプルアームの静止ミラーについて、測定された位相差を例示したグラフ910である。較正ミラー信号915及び補正前のサンプル信号920は、上式7によって予測される大きさの位相誤差を示す。補正後の位相測定値925は、スプリアス(不要波)位相差の大幅な減少を示す。
【0051】
図12は、静止状態のイントラリピッドに浸漬した管を通って流れるイントラリピッド(散乱液体)の測定例を示す。OFDI強度像930及びフロー(流れ)画像935の両方を示す。流れの存在は、本発明の例示的な実施形態の位相分解OFDIシステムによって、明瞭に検出される。
【0052】
図13A乃至13Cは、管内を流れるイントラリピッドの測定例を示し、この場合に、流速は、πよりも大きな位相差が生じるように、十分に大きくされている。図13Aのグラフでは、深さ分解フロー940を、時間の関数としてプロットしている。図13Bのグラフにおいて、2πの不連続性を取り除くために、測定された位相差945を繋ぎ合わせることで、速いフロープロファイルを測定できる。図13Cは、図13A及び図13Bに記した時刻Tにおける、位相接続されたフロープロファイル950のグラフを示す。これは、フリンジウォッシュアウトの悪影響を伴うことなく、πを超える位相差を生起させる大きな流速を測定する、位相分解OFDIの能力を示すものである。
【0053】
図14は、人指の爪床付近での生体内血流についての位相分解測定の一例を示す。血管はフロー画像955において明瞭に示され、強度像960には現れない。
【0054】
前述の記載は単に本発明の原理を示すものである。記載した実施形態に対する各種変更、改変については、本願明細書の教示から当業者には明らかである。実際、本発明の例示的な実施形態による装置構成、システム及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム又は他の画像処理システムで使用することができ、例えば国際特許出願PCT/US2004/029148(2004年9月8日出願)、米国特許出願番号第11/266,779号(2005年11月2日出願)、及び米国特許出願番号第10/501,276号(2004年7月9日出願)に記載されたシステムに使用できる。そして、それらの開示内容は全て本願明細書に援用される。本願明細書には明示的に示されないか又は記載されていないが、当業者は本発明の原理を具体化した多数のシステム、装置、及び方法を案出することができ、これらが本発明の趣旨及び範囲内にあることは勿論である。また、従来技術の知識が上記で本願明細書において明確に引用されなかった範囲についても、それは全体として本願明細書において明確に組み込まれる。上記に参照した全ての刊行物は、参照によりそのまま本願明細書に引用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明によるOFDIシステムの一実施形態を例示した概略図である。
【図1B】従来のドップラTD−OCTシステムの概略図である。
【図1C】本発明によるスペクトル領域OCTシステムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の典型的な一実施形態として、サンプルアームを修正してタイミング起因性の位相誤差の測定用の較正信号を提供するシステムの一部を例示した実施形態の概略図である。
【図3A】図2に示す典型的なサンプルアームの構造から生じる代表的なAラインを例示したグラフである。
【図3B】本発明による較正ミラー信号を用いて、測定済み位相差を補正する方法について実施形態を例示した図である。
【図4】較正信号として使用できる末端光学部分での既存の反射を示す従来のOFDIプローブの遠位端部について具体例を示す図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態に従って、生体内の血流を測定する位相分解OFDIプローブの典型的な使用を示す図である。
【図6】本発明に従うOFDIシステムの別の例示的な実施形態を示す概略図であり、較正信号がOFDI干渉計の外部に設けられた干渉計から生成される。
【図7】本発明に従う位相分解OFDIシステムの更に別の例示的な実施形態を示す概略図であり、波長掃引ソース及びデータ取得装置を同期させるための、光学的に生成されるサンプルクロックを使用できる。
【図8】本発明に従う位相分解OFDIシステムの更にまた別の例示的な実施形態を示す概略図であり、DAQサンプルクロックに起因する信号によって駆動できる周波数シフタを採用している。
【図9】光路長の深さ分解変化を、時間の関数として測定するために、位相分解OFDIシステムについて例示的な実施形態の使用を示す図である。
【図10】光路長の深さ分解された変化を、横変位の関数として測定するために、位相分解OFDIシステムについて例示的な実施態様の使用例を示す図である。
【図11】較正ミラー、及び本発明の例示的な実施形態に従うタイミング起因性の位相誤差を修正する前と後におけるサンプルアームの静止ミラーについて測定された位相差を例示したグラフである。
【図12】本発明による位相分解ドップラOFDIシステムの例示的な実施形態により測定される、イントラリピッド模型の強度像及びフロー(流れ)画像例を示した図である。
【図13A】πを超える位相差をもたらす程に速い流速でイントラリピッドサンプルの深さ分解フロー測定例を示した図である。
【図13B】πを超える位相差をもたらす程に速い流速でイントラリピッドサンプルの深さ分解フロー測定例を示した図である。
【図13C】πを超える位相差をもたらす程に速い流速でイントラリピッドサンプルの深さ分解フロー測定例を示した図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態を使用して実施された、生体内ヒト皮膚の血流測定例を示した図である。
【図15】本発明によるシステムの例示的な実施形態を示すブロック図であり、較正信号を干渉計外のフィルタで生成して、該信号を平衡検出構成と組み合わせることができる。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年6月1日に提出した米国特許出願番号第60/686,790号に基づき、優先権の利益を請求するとともに、その全ての開示を参照によってここに援用する。
【0002】
本発明に先立つ研究は少なくとも部分的に、国立衛生研究所の助成番号R33 CAl 10130及びR01 HL70039によって支援された。よって、米国政府は本発明に係る特定の権利を保有し得る。
【0003】
本発明は、光学周波数領域で少なくともサンプルの一部を画像化するための、詳しくは、光学周波数領域画像化法を使用して、透明で混濁したサンプルについての位相分解画像化を実行するための装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
光学コヒーレンストモグラフィ(「OCT」)は、参照光ビームと、サンプルからの戻り反射光ビームとの間の干渉を測定する画像化技術である。従来の時間領域OCTに関する詳細なシステムの説明は、Huang等の「Optical Coherence Tomography(光学コヒーレンストモグラフィ)」、Science 254、1178(1991)で初めて記載された。スペクトル領域OCT及び光学周波数領域干渉法についての詳細なシステムの説明は、国際特許出願番号PCT/US03/02349及び米国特許出願番号第60/514,769号でそれぞれ与えられる。偏光検出OCTは、反射光の偏光状態の変化を観察することによって、更にコントラストを提供する。偏光検出時間領域OCTについての最初のファイバ・ベースの実施が、Saxer等の「High−speed fiber−based polarization−sensitive optical coherence tomography of in vivo human skin(生体内ヒト皮膚の高速ファイバ・ベース偏光検出光学コヒーレンストモグラフィ)」、Opt.Lett.25、1355(2000)に記載された。
【0005】
OCTの典型的な一技術では、生物学的サンプルの断面画像が、数ミクロンから十ミクロン程度の解像度で与えられる。従来のOCT技術でのコントラストは、様々な組織の光学的散乱特性の違いから生じるものであり、組織の微細構造を画像化できる。サンプルの、空間的に局所化された運動を測定するためにドップラ技術を適用することで、生体情報又は機能情報が更に得られる。これらの典型的な技術は、カラードップラOCT又は光学ドップラトモグラフィと称することがあり、皮膚、網膜、食道等の血流の画像化に用いられてきた。組織の微細構造及び血流を同時に画像化することにより、OCTについての診断の有用性を大いに高めることができる。初期のドップラOCT測定は、時間領域OCT(TD−OCT)システムを用いて行われ、その一例を図1Bに示す。
【0006】
近年では、フーリエ領域OCT(FD−OCT)が大幅に向上した感度を提供することが実証され、これにより高速な画像化を可能にした。FD−OCTは、2つの構成、つまりスペクトル領域OCT(「SD−OCT」)と光学周波数領域画像化(「OFDI」)で実施されている。SD−OCTでは、分光計がスペクトル・フリンジ、つまりサンプルからの反射光と参照ビームとの干渉によって生じる縞を記録するために用いられる。OFDIでは、狭帯域の波長掃引(スイープ)光源及び単一検出器が、上記と同じインターフェログラムを記録するために用いられる。ドップラ画像化は、SD−OCTシステムで最近示された。ドップラSD−OCTシステムの一例を図1Cに示す。OFDI技術を使ったドップラ画像化は、我々の知る限りでは示されていない。しかしOFDIの技法は、いくつかのアプリケーションのための画像化の形態に好適な場合があり、その理由は、内視鏡と関連した運動のアーティファクトが低い傾向にあり、更に深い範囲を提供できるからである。また波長掃引レーザ光源についての不断の開発によって、画像化の速度及び解像度が更に向上する見込みがある。これらの利点は、いくつかのOCTの適用、Barrettの食道検査及び冠状動脈イメージングを含む適用へと駆り立てる。このように、多くの適用における流れの画像化は、位相分解OFDIの開発を必要とする。
【0007】
従来のOCTシステム及び技術は、深さの関数としての反射率の大きさに基づいて画像を作成する。信号の反射率の位相を調べることによって、更に情報を得ることができる。通常、信号の位相情報は、該信号の別の位相と比較した場合に意味をもつ。この位相は、異なる深さでの位相の別の測定値、又は連続的な深さ走査による同じ深さでの位相の測定値とすることができる。正確な実施に関係なく、位相測定値から構築される画像の感度は、個々の位相測定値におけるノイズ及び位相測定値の再現性の関数となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
位相分解ドップラOFDIにおいて、同期誤差は干渉縞位相のスプリアス測定値を引き起こす可能性があり、性能低下をもたらす。この同期誤差を、以下では「タイミング起因性の位相誤差」と称することにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題及び/又は欠陥に対処し及び/又は克服するために、タイミング起因性の位相誤差の影響を低減させる典型的なシステム、方法及び装置が提供される。例えば、ある従来法では、光信号を更に生成し、該信号を用いてタイミング起因性の誤差を測定することで、測定画像から該誤差を除去できる。他の技術では、改良された同期化方式により、タイミング起因性の位相ノイズの大きさを直接的に低減させることが示される。
【0010】
本発明によれば、典型的なOFDIシステムを使用して高感度の深さ分解位相測定を容易に行える、典型的なシステム、方法及び装置が与えられる。例えば、位相の測定値は、血流や、混濁した媒体又は散乱性媒体の運動測定に使用でき、また経時的な又は横軸方向の位置の関数として、材料の光学的厚さを監視するために使用できる。また、本発明の例示的な実施形態に従って高感度を達成する典型的な方法についても、本願明細書に記載している。このような典型的な方法では、較正信号は、タイミング起因性の位相測定誤差を補正し、修正し、及び/又は、これに対処するために生成及び利用できる。本発明の他の例示的実施形態によれば、典型的なOFDIシステムは、較正信号とサンプル信号を同時に測定できるように修正され、例えば上記較正信号を用いて、サンプル信号におけるタイミング起因性の位相測定値を補正し、修正し、及び/又は、これに対処するための典型的な手順を提供できる。本発明の更に別の例示的実施形態では、較正信号は、別のチャネルで発生させることができ、サンプル信号とは独立に得られる。例えば、較正信号は、サンプル信号の誤差を補正するために同様に用いることができる。また、本発明の別の例示的実施形態によれば、タイミング起因性の位相誤差を低減し、補正し、及び/又は最小化するための方法、装置、及びシステムを提供できる。
【0011】
このように、本発明の例示的な一実施形態によれば、参照部及びサンプルから受けた信号を利用する装置、システム及び方法が与えられる。特に、サンプルに向けた1つ以上の第1の電磁放射と、参照部に向けた1つ以上の第2の電磁放射を含む放射が提供される。この放射の周波数は経時的に変化する。干渉は、第1の放射に関連した1つ以上の第3の放射と第2の放射に関連した1つ以上の第4の放射との間で検出できる。干渉における1つ以上の周波数成分のうちの少なくとも1つの位相と関連した特定の信号を得て、この特定の信号を少なくとも1つの特定の情報と比較することができる。更に、上記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供することで、特定の信号を別の信号に基づいて較正できる。
【0012】
例えば、特定の情報は、予め定められたデータを含むことができる。また、干渉における少なくとも1つの別の周波数成分のうちの1つ以上の別位相と関連した別の信号を測定でき、少なくとも1つの特定の情報は、この別の信号とすることができる。更に別の干渉における少なくとも1つの別の周波数成分のうちの1つ以上の別位相と関連した更に別の信号を測定することも可能であり、この更に別の干渉は前記干渉とは異なる。
【0013】
本発明の他の例示的実施形態では、前記した別の干渉が、前記放射及び前記第2の放射に基づいてもよい。また、前記干渉及び別の干渉は、異なる時間に得られ及び/又はサンプルの異なる位置で得られる。更には、前記放射と関連した別の信号を生成することが可能であり、前記特定の情報は、この別の信号に基づいて与えることができる。また、前記放射の少なくとも一部を受けて、更に別の放射を提供することも可能であり、前記特定の信号及び/又は特定の情報が、この別の放射と関連してもよい。また、更に別の信号に基づいて特定の信号を較正することができる。較正は、サンプルと特定の装置との間の実際の距離及び/又は光学距離に基づいて行える。更に、サンプルと特定の装置との間の実際の距離及び/又は光学距離に基づいて、前記特定の信号を較正することが可能である。
【0014】
本発明の上記目的及び他の目的、特徴及び利点については、添付請求項を参照しながら、本発明の実施形態例に係る以下の詳細な説明を読む際に明らかとなる。
【0015】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の実施形態を示す添付図に関連した、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0016】
図全体を通して、同一の参照番号及び文字は、特に明記しない限り、図示した実施例における同様の特徴部、構成要素、又は部分を示すために用いる。更に、対象発明を図面に関して詳述するが、これは実施例との関連において行われる。なお、記載した実施形態に対する変更及び改変については、添付請求項によって規定される対象発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に従うシステム、ソフトウェア構成及び方法についての例示的な実施形態が、各種OCTシステムや他のシステム、つまりリファレンスアーム及びサンプルアームからの信号が互いに干渉し合って有用な信号を生み出すシステムにおいて実施できることを理解されたい。
【0018】
位相分解ドップラFD−OCTの典型的原理
【0019】
典型的な位相分解OCT技術を、フーリエドメイン(領域)OCTの枠内で以下に説明するが、これはOCTのカテゴリであり、本発明によるOFDIシステムの例示的な実施形態と関連する。フーリエ領域OCTでは、混濁した媒体、半濁した媒体、又は透明な媒体の深さ依存性をもつ反射光を測定するために、干渉計の2アーム(例えばサンプルアーム及びリファレンスアーム)間の干渉を使用する。例えば、入射光は、リファレンスアームとサンプルアームに分割される。サンプルアームの光は画像化されるサンプルに向けて送出され、そして、サンプルからの反射光は出力カプラの第1ポートに向けて送出される。またリファレンスアームの光は、上記と同じ出力カプラの第2ポートに向けて送出される。ビーム間のスペクトル干渉は、波長の関数として干渉計が出力するパワーを記録することで測定される。位置z(「z」は、サンプルアームとリファレンスアームとの間の全経路差を示す)でのサンプルの単一反射光について、干渉計の出力は以下のように与えられる。
【0020】
【数1】
ここで、「S(k)」は出力信号(光出力)であり、「P(k)」は波数kでのソース(光源)出力であり、「R(z)」は位置zにおける散乱体の出力の反射率であり、そして「φz」は、反射光の位相である。
【0021】
位置zでの散乱体の反射率は、周波数2kzにおける信号の大きさによって与えられる。通常、検出信号は離散的に標本化された信号であり、これは、測定信号が、連続出力S(k)についてのn個の離散的なサンプルで記録されることを意味する。離散的に標本化された出力、「Sl」は下式で与えられる。
【数2】
ここで「Pl」は波数klでのソース出力である。離散的に標本化された出力、「Sl」の離散フーリエ変換(「DFT」)によって、深度指数iの関数として複素反射率プロファイル「ai」が与えられる。
【数3】
【0022】
位置zでの散乱体からの信号は、複素反射プロファイル係数「am」に含まれ、ここで「m」は位置zに対応する深度指数である。例えば、離散的に標本化された出力「Sl」の各測定から、深さの関数として、複素反射率プロファイルの単一測定値を得ることができる(Aライン)。深度指数iにおける散乱体の運動は、複素反射率プロファイル係数「ai」の位相「φi」(φi=angle(ai))の変化となる。複素反射率プロファイルが、Aラインjに対して深度指数iを用いて「aij」として与えられる場合に、AラインjとAラインj−1との間の変位δzが、下式で与えられる位相変化をもたらす。
【数4】
【0023】
位相分解FD−OCTによって散乱媒体の運動を測定でき、これは、連続したAラインについてのサンプル深さにおける上記位相差を算出することで行われる。
【0024】
位相分解ドップラOFDI技術
【0025】
SD−OCTのFD−OCT技術並びにOFDIのシステム及び方法はともに、離散的に標本化された出力「Sl」を測定できる。しかしながら、これらの技術は一般に、本測定の実行において異なる。OFDIのシステム及び方法では、波長掃引ソースと、単一素子のフォトレシーバ(受光器)、(及び/又は単一素子フォトレシーバの組)を使用でき、時間の関数としてSlを記録する。図1Aは、サンプルの少なくとも一部を画像化するための高速OFDI技術について、典型的な実施形態のブロック図を示す。図1Aに示す典型的なシステムでは、3つのモジュール85、90及び95を含み、例えば、波長掃引ソース85、干渉計90、及びデータ取得回路装置95を含む。波長掃引ソース85(以下、「掃引源」と称する)は、リング共振器レーザとして設けることができる。掃引源85は、利得素子としての半導体光増幅器(「SOA」)125とポリゴンミラーフィルタ101を含むことができる。このポリゴンミラーフィルタ101は、ポリゴンミラー100、望遠光学系105、回折格子110、及びファイバコリメータ113を含むことができる。偏光コントローラ120は、レーザ偏光を最適化するために含まれ、出力カプラ130はレーザ出力を提供できる。出力カプラは、出力ポート132とレーザポート131との間で予定通りに光を等分に分割する。光学サーキュレータ115は、レーザポート131からポリゴンミラーフィルタ101に光を導き、そしてポリゴンミラーフィルタ101から戻る光を偏光コントローラ120へと導く。ポリゴンミラー100が回転する際に、ポリゴンミラーフィルタ101からの反射光の波長掃引が行われ、これによりレーザ出力についても同様の方法で波長掃引が行われる。
【0026】
従ってポート132のレーザ出力は、時間的に波長掃引されることになる。この出力は干渉計に入り、該干渉計は、光をリファレンスアームポート135aとサンプルアームポート135bに分割する干渉計カプラ135を含む。リファレンスアームの光は、カプラ165によって分割される。カプラ165の出力ポート165aからの光は第2サーキュレータ145に向けて送出され、該サーキュレータは光をファイバブラッグ格子(「FBG」)150に通過させる。このFBG150は、ソースの波長掃引範囲内で、離散波長において狭帯域の反射作用を有する。ソース85はこの反射後に波長を調節するので、反射光パルスが発生する。このパルスはサーキュレータ145によってフォトレシーバ(受光器)155に向けて送出され、そして、送出された当該パルスは、TTLパルス発生器160によってTTLパルスに変換される。このTTLパルスは、データ収集回路装置200のトリガ信号として使用できる。カプラの他の出力ポート165bからの光は、第3サーキュレータ170に向けて送出され、該サーキュレータは可変光学遅延部210に光を導く。この可変光学遅延部は、干渉計90の経路整合に用いる。戻り光は、サーキュレータ170によって、偏光コントローラ175に向けられ、その後段に偏光子180が続き、最終的に出力カプラ185の第1ポート185aに送出される。サンプルアームポート135bにおけるサンプルアームの光は、第4サーキュレータ205に向けられ、これは次に、画像化されるサンプルへと、ファイバ206の光を導く。画像化光学系215は、光をサンプルに集光させ、ビームの平行移動が可能である。サンプルからの反射光は、同じファイバ206によって収集され、そして第4サーキュレータ205に戻され、該サーキュレータは光を出力カプラ185の第2ポート185bに向けて送出する。
【0027】
リファレンスアームの光及びサンプルアームの光は、出力カプラ185で干渉する。この干渉信号は、出力ポート185c上のフォトレシーバ190a及び他の出力ポート185d上のフォトレシーバ190bによって検出される。これらのフォトレシーバ190a,190bからの信号は、装置195において減算されて、データ収集(DAQ)ボード200のアナログ‐デジタル(AD)入力ポートに向けて送出される。
【0028】
DAQボード200は、クロックレートfclでn個のサンプルを得る。ここで、nは予め規定されている。クロック信号は、DAQボード200で内部的に発生させることができる。TTLパルス発生器160からのトリガ信号は、FBG150によって生成される光学パルスに起因する。トリガーパルスと内蔵DAQのサンプルクロックとが同期していないと、トリガーパルスの生成と第1アナログ−デジタル変換との間に可変遅延を引き起こす虞がある。この遅延は、サンプルクロックの全一周期によって生じる。ソース掃引を、「kl=ko+αk・l」とする場合に、Aラインjについての標本化されたフリンジ、「Slj」は、下式で与えられる。
【数5】
ここで「Δj」は、サンプルクロックとトリガーパルスとの相対的なタイミングに応じて、0と1の間で変化する。位置zにおける静止散乱体についての連続したAライン間で測定される位相差は、下式で与えられる。
【数6】
【0029】
この位相差は、取得時間(Δjによって記述される)におけるタイミング変化から生じ、サンプルの運動から生じる位相差を覆い隠し、システム感度を低下させる。ナイキスト限界から決まる撮像深さを、
と書き、正規化した深さ因子Γz=z/zNyを用いると、タイミング起因性の位相誤差は下式で記述できる。
【数7】
【0030】
本発明の上記手順は、タイミング起因性の位相誤差が、例えば
の最大値までの深さに伴って、線形的に増加することを示す。
【0031】
較正信号の生成によるタイミング起因性位相誤差の補正
【0032】
本発明のある典型的な実施形態によれば、追加的な信号を、本願明細書に記載した典型的なシステムによって生成でき、該信号は、タイミング起因性の位相誤差を計測してその後に補正するために利用できる。例えば、図2は本発明に従うこの種の典型的なシステムの実施形態を示しており、サンプルアームを修正することで、追加的な較正信号を容易に生成できる。図2は、サンプルアームの典型的な詳細を示し、該アームは、図1に示した光学サーキュレータ205の後段にある。図2に示すように、ファイバ300(すなわち図1Aのファイバ206)の光は、カプラ305によって分割される。ポート305aの光は、較正ミラー310に向けられ、該ミラーは可変光学遅延部をもつことができる。ポート305bの光は、図1Aと同様に、サンプル320に向けて送出される。較正ミラーから送出される干渉計出力信号は深く局所化され、最大の撮像深さの近傍に位置する(よって、サンプル光学320から生じる画像を著しく不明瞭にしない)ように、可変光学遅延部を調整できる。可変光学遅延部から生じる信号の大きさを調整することで、その大きさについては、その深さでのサンプルに起因する信号の大きさに比べてかなり大きいが、顕著な自己相関ノイズを誘発する程大きくならないようにすることができる。
【0033】
図3Aは、図2に示す典型的なシステム構成から生じるAラインのグラフ350を例示している。較正ミラーからの信号355は、サンプル(組織)の反射光信号360中で、明瞭に分かる。本発明に従い、この較正ミラー信号を使って、測定済み位相差を補正する方法の例示的な実施形態について、その流れ図を図3Bに示すと、これは以下の通りである。
(1)各測定AラインのDFT、ai,j=DFT(Si,j)の測定及び計算 −ステップ370。
(2)角度φi,j=unwrap(angle(ai,j))の測定及び計算、ここでunwarp(位相接続)は、ディメンジョンjに沿って行う標準的な位相接続法のアルゴリズムである。―ステップ375。
(3)隣接Aライン間の位相差、Δφi,j=φi,j−φi,j−1の測定及び計算 ―ステップ380。
(4)補正済み位相差Δφ’i,jについての、Δφ’i,j=Δφi,j−(i/k)Δφk,j(ここで、「k」は較正ミラー信号の深度指数である)による決定/計算 −ステップ385。
【0034】
別の実施形態では、光学プローブからの既存の反射光が、較正信号として使用される。図4は、本発明による典型的なOCTの末端光学部分の実施形態を例示する。図4に示すように、光はファイバ400上を伝わり、コリメートレンズ410、直角プリズム420を経て、画像化されるサンプル440に到達する。個々の反射光は、構成要素の間の境界部のいずれかで生じ、これらの反射光による信号は、図2の較正ミラー310に加えて及び/又はその代わりに較正信号として利用できる。
【0035】
図6に示す本発明によるシステムの更なる例示的実施形態では、較正信号を光学装置によって生成でき、該装置はOFDI干渉計の外部とされ、較正信号はOFDIシステム出力のサンプリングを行う検出と同期してサンプリングを行う第2検出器で検出される。特に、ソース550の出力はカプラ560によって分割され、該カプラは、光の第1部分をOFDI干渉計システム561に向けて送出し、光の第2部分を較正信号発生器562に向けて送出する。較正信号発生器262は周期光学フィルタ595を含み、該フィルタにより、強度変調されてその後にレシーバ596で検出される光信号を容易に生成できる。周期光学フィルタ595は、例えば、ファブリ−ペローエタロン、マッハ−ツェンダ干渉計又はマイケルソン干渉計とすることができる。較正信号及びOFDI信号は、DAQチャネル1装置(要素597として示す)及びDAQチャネル2装置(要素598として示す)でそれぞれ検出される。これらのチャネルについては、同期してサンプリングを行える。較正信号がサンプルアームのミラーで生成される場合に、取得タイミングの変化は、上記と同様に本較正信号の位相に影響を及ぼすことがある。よって、DAQチャネル1で検出される較正信号は、タイミング起因性の位相誤差を補正するために使用できる。これに代って、又はこれに加えて、例えば検出後であってアナログ−デジタル変換前に、較正信号及びOFDI信号を電子的に結合することで、両方とも同じアナログ−デジタル・チャネルによりサンプリングを行える。
【0036】
図15には、本発明によるシステムの更なる例示的実施形態を示しており、サンプルアームと無信号の参照経路をもつリファレンスアームとの間の干渉を伝える信号チャネルの平衡化によって平衡検出を達成できる。例えば、ドップラ測定値を較正するための参照干渉については、無信号の参照部(図15の破線枠に示す)においてファブリ−ペロー共振器955を導入することで生成できる。ファブリ−ペロー共振器955によって導入される、波長の関数としての参照部の変調度は、平衡検出スキームに影響を及ぼさないよう十分に小さく、かつ良好な較正信号を与えるよう十分に大きいことが望ましい。図15のシステムにおける他の要素及びその動作については、本願明細書において既述した通りである。
【0037】
後処理による、タイミング起因性の位相誤差の補正
【0038】
本発明によるシステム、装置及び方法の更に別の例示的実施形態では、位相測定値を、較正ミラーを用いずに補正できる。この典型的な技術において、強度で重み付けした線形フィッティングを、深度指数iの関数、yi,j=mji+bjとして、測定された位相差ラインΔφi,jの各々に適用できる。補正された位相差は、Δφ’i,j=Δφi,j―mji−bjで与えられる。
【0039】
データ取得及びソースの改善された同期化による、タイミング起因性の位相誤差の補正
【0040】
別の実施形態では、タイミング起因性の位相誤差が、掃引源とDAQボードとの同期を改善することによって低減される。図1Aのポリゴンミラー100の回転速度は、ポリゴンミラー駆動部(図示せず)への入力信号の周波数によって決定できる。この信号が、DAQボードのサンプルクロックを生成するクロックと同じクロックから生成される場合に、ポリゴンと駆動信号との間の位相ロックを適正に保つことができ、波長掃引とデータ収集との同期を実現できる。この場合、Δjで示す上式5の遅延が一定の状態を維持したままで、タイミング起因性の位相誤差を低減できる。
【0041】
図7に示す本発明によるシステムの別の例示的な実施形態では、取得用サンプルクロックを、周期的フィルタ、例えばファブリ−ペローエタロン、マッハ−ツェンダ干渉計、及び/又はマイケルソン干渉計を用いて、光学的に発生できる。図7に示すように、掃引源600の光の一部は、サンプルクロック発生器606に向けられ、該発生器は周期光学フィルタ610、レシーバ615、及びTTL生成回路620を含むことができる。周期光学フィルタ610は周期振動出力信号を生成でき、該信号はレシーバ615で検出される。レシーバ出力はTTL生成回路620に送出され、該回路は、TTLパルス列を生成するために電圧コンパレータ及び/又はシュミット・トリガ回路を含むことができる。このパルス列はDAQ外部サンプルクロック入力ポート655に入力され、サンプルクロックとして使用される。サンプリングをサンプルクロック発生器によってレーザ波長掃引と同期化できるので、タイミング起因性ノイズを直接低減できる。この技術については、位相誤差補正のための前述した技術とは別に使用し、又は該技術と組み合わせて使用することができる。
【0042】
位相分解OFDIの適用
【0043】
本発明の更に別の例示的な実施形態では、位相分解OFDIシステムを、血管内OFDI画像化における血流分布の画像化に使用できる。血流を画像化できる典型的な装置を、図5に示す。例えば、本発明による典型的な光学プローブ510が動脈520内に位置され、画像化ビーム500をプローブ510の側部から放射できる。深さ方向での血流が検出され、そしてプローブが回転する場合に、血流の2次元マップを作成できる。端面図は、画像化ビームの回転を例示する。これに代わって、前方を見るプローブを、プローブ510の前方の血液を画像化するために設けることができる。
【0044】
図8に示す本発明の位相分解OFDIシステムの更に別の例示的な実施形態では、周波数シフタを内部に設けることができる。例えば、周波数シフタ711は、撮像深さを2倍にするために使用できる。周波数シフタ711がサンプリングクロックと非同期の信号によって駆動される場合に、測定された位相にノイズが生じる虞がある。図8に示すシステムの例示的な実施形態において、周波数シフタは、サンプルクロックに起因する信号によって駆動される。光はソースから出力されて、第1スプリッタ710によってリファレンスアーム、サンプルアームへと分割される。リファレンスアームは周波数シフタ712を含み、サンプルアームは同様の周波数シフタ711を含む。通常、周波数シフタ711、712のうちの1つだけが能動的に駆動され、シフタ711、712の他方は駆動される周波数シフタの分散を補償するために使用できる。あるいは、駆動されない周波数シフタを、分散補償要素に代えることもできる。リファレンスアームの周波数シフタ712は、ライン713上を伝わる信号によって駆動され、該信号はDAQサンプルクロック出力725に起因する。この出力クロック725は、「Nで割る(N分周)」デジタル論理回路720を用いて、周波数が下方シフトされ、得られた信号は、ライン713上に単一周波数信号を生成するための、アンプ及びフィルタ段715を通過する。周波数シフタ用の駆動信号がDAQサンプルクロック出力725によって得られるので、周波数シフトの位相をサンプルクロックと同期させることができ、よって追加的な位相ノイズを更に誘発することはない。本願明細書に記載した本発明に従う各種の典型的な技術は、あらゆる残留タイミング起因性ノイズの補正に用いることができる。
【0045】
本発明の位相分解OFDIシステムについての別の例示的な実施形態では、この種のシステムは、時間の関数としての、2つの深さ位置の間における光路長変化を決定するために使用できる。例えば、図9は、位相分解OFDIシステムの例示的な実施形態の使用例を示しており、該システムは、光路長の深さ分解変化を、時間の関数として測定するものである。この使用例は、深さz1の第1反射面805と深さz2の第2反射面810との間に対象物が置かれた状況である。反射面805と810との間には、画像化の対象物815がある。反射面805、810は、固定された外面、例えばスライドガラス又は生物学的対象物自体の構造的特徴部とすることができる。これらの表面805、810からの反射光による信号位相を監視することにより、z1とz2との間の光路長を監視でき、監視対象物の変化が許容される。このような起こり得る変化には、対象物の経時的な屈折率変化や、時間内での対象物の膨張が挙げられる。図9の例では、画像化ビームが固定的に保持され、時間経過に伴う一定の横位置での変化を監視するために使用される。
【0046】
位相分解OFDIシステムの例示的な実施形態についての別の使用例では、該システムが、光路長の深さ分解変化を、横方向変位の関数として測定する。画像化ビーム850は、第1反射面855と第2反射面865の間に位置したサンプル対象物に向けられる。対象物860を挿入する前に、これらの反射面855と865との間の光路長の差は、システムの設計から既知であるか、及び/又は事前の測定により既知とされる。反射面855、865の位相は、画像化ビーム850の横方向変位の関数として測定でき、対象物860の横方向の光路長変化は、2つの信号間の位相差を、対象物がない状態で測定されるか及び/又は事前に既知とされる位相差と比較することで判明する。例えば、システムが十分な安定性を有する場合に、z1での第一面の反射率は不要とされる。
【0047】
当業者であれば分かるように、前記実施形態の1つを本明細書に記載した別の例示的な実施形態と組み合わせて使用し、本発明に従い、タイミング起因性の位相ノイズを低減する、各種の位相分解OFDIシステムを提供することができる。
【0048】
実施例
【0049】
本発明によるシステム、装置及び方法の、例示的な実施形態が、以下のように検証された。
【0050】
連続したAライン間の位相差が、図2の典型的な構成においてサンプルアームの静止サンプルミラーを用いて測定された。図11は、較正ミラーと、本発明の典型的な実施形態に従ってタイミング起因性の位相誤差を補正する前後でのサンプルアームの静止ミラーについて、測定された位相差を例示したグラフ910である。較正ミラー信号915及び補正前のサンプル信号920は、上式7によって予測される大きさの位相誤差を示す。補正後の位相測定値925は、スプリアス(不要波)位相差の大幅な減少を示す。
【0051】
図12は、静止状態のイントラリピッドに浸漬した管を通って流れるイントラリピッド(散乱液体)の測定例を示す。OFDI強度像930及びフロー(流れ)画像935の両方を示す。流れの存在は、本発明の例示的な実施形態の位相分解OFDIシステムによって、明瞭に検出される。
【0052】
図13A乃至13Cは、管内を流れるイントラリピッドの測定例を示し、この場合に、流速は、πよりも大きな位相差が生じるように、十分に大きくされている。図13Aのグラフでは、深さ分解フロー940を、時間の関数としてプロットしている。図13Bのグラフにおいて、2πの不連続性を取り除くために、測定された位相差945を繋ぎ合わせることで、速いフロープロファイルを測定できる。図13Cは、図13A及び図13Bに記した時刻Tにおける、位相接続されたフロープロファイル950のグラフを示す。これは、フリンジウォッシュアウトの悪影響を伴うことなく、πを超える位相差を生起させる大きな流速を測定する、位相分解OFDIの能力を示すものである。
【0053】
図14は、人指の爪床付近での生体内血流についての位相分解測定の一例を示す。血管はフロー画像955において明瞭に示され、強度像960には現れない。
【0054】
前述の記載は単に本発明の原理を示すものである。記載した実施形態に対する各種変更、改変については、本願明細書の教示から当業者には明らかである。実際、本発明の例示的な実施形態による装置構成、システム及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム又は他の画像処理システムで使用することができ、例えば国際特許出願PCT/US2004/029148(2004年9月8日出願)、米国特許出願番号第11/266,779号(2005年11月2日出願)、及び米国特許出願番号第10/501,276号(2004年7月9日出願)に記載されたシステムに使用できる。そして、それらの開示内容は全て本願明細書に援用される。本願明細書には明示的に示されないか又は記載されていないが、当業者は本発明の原理を具体化した多数のシステム、装置、及び方法を案出することができ、これらが本発明の趣旨及び範囲内にあることは勿論である。また、従来技術の知識が上記で本願明細書において明確に引用されなかった範囲についても、それは全体として本願明細書において明確に組み込まれる。上記に参照した全ての刊行物は、参照によりそのまま本願明細書に引用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明によるOFDIシステムの一実施形態を例示した概略図である。
【図1B】従来のドップラTD−OCTシステムの概略図である。
【図1C】本発明によるスペクトル領域OCTシステムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の典型的な一実施形態として、サンプルアームを修正してタイミング起因性の位相誤差の測定用の較正信号を提供するシステムの一部を例示した実施形態の概略図である。
【図3A】図2に示す典型的なサンプルアームの構造から生じる代表的なAラインを例示したグラフである。
【図3B】本発明による較正ミラー信号を用いて、測定済み位相差を補正する方法について実施形態を例示した図である。
【図4】較正信号として使用できる末端光学部分での既存の反射を示す従来のOFDIプローブの遠位端部について具体例を示す図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態に従って、生体内の血流を測定する位相分解OFDIプローブの典型的な使用を示す図である。
【図6】本発明に従うOFDIシステムの別の例示的な実施形態を示す概略図であり、較正信号がOFDI干渉計の外部に設けられた干渉計から生成される。
【図7】本発明に従う位相分解OFDIシステムの更に別の例示的な実施形態を示す概略図であり、波長掃引ソース及びデータ取得装置を同期させるための、光学的に生成されるサンプルクロックを使用できる。
【図8】本発明に従う位相分解OFDIシステムの更にまた別の例示的な実施形態を示す概略図であり、DAQサンプルクロックに起因する信号によって駆動できる周波数シフタを採用している。
【図9】光路長の深さ分解変化を、時間の関数として測定するために、位相分解OFDIシステムについて例示的な実施形態の使用を示す図である。
【図10】光路長の深さ分解された変化を、横変位の関数として測定するために、位相分解OFDIシステムについて例示的な実施態様の使用例を示す図である。
【図11】較正ミラー、及び本発明の例示的な実施形態に従うタイミング起因性の位相誤差を修正する前と後におけるサンプルアームの静止ミラーについて測定された位相差を例示したグラフである。
【図12】本発明による位相分解ドップラOFDIシステムの例示的な実施形態により測定される、イントラリピッド模型の強度像及びフロー(流れ)画像例を示した図である。
【図13A】πを超える位相差をもたらす程に速い流速でイントラリピッドサンプルの深さ分解フロー測定例を示した図である。
【図13B】πを超える位相差をもたらす程に速い流速でイントラリピッドサンプルの深さ分解フロー測定例を示した図である。
【図13C】πを超える位相差をもたらす程に速い流速でイントラリピッドサンプルの深さ分解フロー測定例を示した図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態を使用して実施された、生体内ヒト皮膚の血流測定例を示した図である。
【図15】本発明によるシステムの例示的な実施形態を示すブロック図であり、較正信号を干渉計外のフィルタで生成して、該信号を平衡検出構成と組み合わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射を提供する1つ以上の第1装置であって、該放射がサンプルに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及び参照部に向かう少なくとも1つの第2の電磁放射を含み、時間経過につれて周波数が変化する前記放射を提供する第1装置と、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出可能な1つ以上の第2装置と、を備え、
前記1つ以上の第2装置が、前記干渉における少なくとも1つの周波数成分の1つ以上の位相に関連した特定の信号を得て、該特定の信号を、少なくとも1つの特定の情報と比較する機能をもつ装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記特定の情報が予め定められたデータを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の第2装置が、前記干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化する機能を有し、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の第2装置が、別の干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化する機能を有し、前記別の干渉が前記干渉とは異なり、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記別の干渉が前記放射及び前記少なくとも1つの第2電磁放射に基づく、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記干渉及び前記別の干渉が異なる時間に得られる、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記干渉及び前記別の干渉がサンプルの異なる位置で得られる、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
1つ以上の第3装置が、前記放射に関連した追加信号を生成する機能を有し、前記1つ以上の第2装置が、前記追加信号に基づいて前記特定の情報を提供する機能を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の第3装置が干渉計装置を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記放射の少なくとも一部を受けて別の放射を提供するように構成した第3装置を更に備え、前記特定の信号又は前記特定の情報の少なくとも1つが前記別の放射と関連している、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の第2装置が、追加信号に基づいて前記特定の信号の較正を行うように構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記較正が、サンプルと前記第1装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて行われる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の第2装置が、サンプルと前記第1装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて、前記特定の信号の較正を行うように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
放射を提供する1つ以上の第1装置であって、該放射がサンプルアームに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及びリファレンスアームに向かう少なくとも1つの第2電磁放射を含み、時間経過につれて周波数が変化する前記放射を提供する第1装置と、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出可能な1つ以上の第2装置であって、前記干渉における少なくとも1つの周波数成分に関連した特定の信号を得る機能を有する第2装置と、
前記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供するように構成した1つ以上の第3装置と、を備え、前記1つ以上の第2装置が、追加信号に基づいて前記特定の信号の較正を行うように構成された装置。
【請求項15】
前記1つ以上の第3装置が前記サンプルアームに設けられた、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
サンプルに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及び参照部に向かう少なくとも1つの第2の電磁放射を含む放射であって、時間経過につれて周波数が変化する放射を提供し、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出し、
前記干渉における少なくとも1つの周波数成分の1つ以上の位相に関連した特定の信号を取得し、
前記特定の信号を、少なくとも1つの特定の情報と比較すること、を含む方法。
【請求項17】
少なくとも1つの前記特定の情報が予め定められたデータを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の第2装置によって、前記干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化し、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の第2装置によって、別の干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化し、前記別の干渉が前記干渉とは異なり、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記別の干渉が前記放射及び前記少なくとも1つの第2電磁放射に基づく、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記干渉及び前記別の干渉を異なる時間に得る、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記干渉及び前記別の干渉をサンプルの異なる位置で得る、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記放射と関連した追加信号を生成し、
前記追加信号に基づいて前記特定の情報を提供することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記特定の信号が干渉計信号である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記放射の少なくとも一部を受けて別の放射を提供することを更に含み、前記特定の信号又は前記特定の情報の少なくとも1つが前記別の放射と関連している、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
追加信号に基づいて前記特定の信号を較正することを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記較正を、サンプルと特定の装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて行う、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
サンプルと特定の装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて、前記特定の信号を較正することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
サンプルアームに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及びリファレンスアームに向かう少なくとも1つの第2電磁放射を含む放射であって、時間経過につれて周波数が変化する放射を提供し、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出し、
前記干渉における少なくとも1つの周波数成分に関連した特定の信号を取得し、
前記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供し、
追加信号に基づいて前記特定の信号を較正すること、を含む方法。
【請求項30】
前記放射の少なくとも一部を前記サンプルアームで受ける、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
サンプルから受けた放射の第1分割部と関連した少なくとも1つの第1放射と、参照部から受けた放射の第2分割部との間の干渉を検出する機能を有する1つ以上の装置を備え、
前記放射の周波数が時間経過につれて変化し、前記1つ以上の装置が、前記干渉における少なくとも1つの周波数成分についての1つ以上の位相に関連した特定の信号を得て、該特定の信号を少なくとも1つの特定の情報と比較する機能を有するシステム。
【請求項32】
サンプルから受けた放射の第1分割部と関連した少なくとも1つの第1放射と、参照部から受けた放射の第2分割部との間の干渉を検出する機能を有する1つ以上の第1装置であって、前記干渉における1つ以上の周波数成分に関連した特定の信号を取得する機能を有する第1装置と、
前記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供するように構成した1つ以上の第2装置を備え、
前記1つ以上の第1装置が、前記別の放射に基づいて前記特定の信号の較正を行うように構成されたシステム。
【請求項1】
放射を提供する1つ以上の第1装置であって、該放射がサンプルに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及び参照部に向かう少なくとも1つの第2の電磁放射を含み、時間経過につれて周波数が変化する前記放射を提供する第1装置と、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出可能な1つ以上の第2装置と、を備え、
前記1つ以上の第2装置が、前記干渉における少なくとも1つの周波数成分の1つ以上の位相に関連した特定の信号を得て、該特定の信号を、少なくとも1つの特定の情報と比較する機能をもつ装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記特定の情報が予め定められたデータを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の第2装置が、前記干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化する機能を有し、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の第2装置が、別の干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化する機能を有し、前記別の干渉が前記干渉とは異なり、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記別の干渉が前記放射及び前記少なくとも1つの第2電磁放射に基づく、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記干渉及び前記別の干渉が異なる時間に得られる、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記干渉及び前記別の干渉がサンプルの異なる位置で得られる、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
1つ以上の第3装置が、前記放射に関連した追加信号を生成する機能を有し、前記1つ以上の第2装置が、前記追加信号に基づいて前記特定の情報を提供する機能を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の第3装置が干渉計装置を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記放射の少なくとも一部を受けて別の放射を提供するように構成した第3装置を更に備え、前記特定の信号又は前記特定の情報の少なくとも1つが前記別の放射と関連している、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の第2装置が、追加信号に基づいて前記特定の信号の較正を行うように構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記較正が、サンプルと前記第1装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて行われる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の第2装置が、サンプルと前記第1装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて、前記特定の信号の較正を行うように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
放射を提供する1つ以上の第1装置であって、該放射がサンプルアームに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及びリファレンスアームに向かう少なくとも1つの第2電磁放射を含み、時間経過につれて周波数が変化する前記放射を提供する第1装置と、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出可能な1つ以上の第2装置であって、前記干渉における少なくとも1つの周波数成分に関連した特定の信号を得る機能を有する第2装置と、
前記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供するように構成した1つ以上の第3装置と、を備え、前記1つ以上の第2装置が、追加信号に基づいて前記特定の信号の較正を行うように構成された装置。
【請求項15】
前記1つ以上の第3装置が前記サンプルアームに設けられた、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
サンプルに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及び参照部に向かう少なくとも1つの第2の電磁放射を含む放射であって、時間経過につれて周波数が変化する放射を提供し、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出し、
前記干渉における少なくとも1つの周波数成分の1つ以上の位相に関連した特定の信号を取得し、
前記特定の信号を、少なくとも1つの特定の情報と比較すること、を含む方法。
【請求項17】
少なくとも1つの前記特定の情報が予め定められたデータを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の第2装置によって、前記干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化し、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の第2装置によって、別の干渉における少なくとも1つの別の周波数成分についての1つ以上の別位相と関連した追加信号を定量化し、前記別の干渉が前記干渉とは異なり、少なくとも1つの前記特定の情報が前記追加信号である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記別の干渉が前記放射及び前記少なくとも1つの第2電磁放射に基づく、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記干渉及び前記別の干渉を異なる時間に得る、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記干渉及び前記別の干渉をサンプルの異なる位置で得る、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記放射と関連した追加信号を生成し、
前記追加信号に基づいて前記特定の情報を提供することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記特定の信号が干渉計信号である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記放射の少なくとも一部を受けて別の放射を提供することを更に含み、前記特定の信号又は前記特定の情報の少なくとも1つが前記別の放射と関連している、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
追加信号に基づいて前記特定の信号を較正することを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記較正を、サンプルと特定の装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて行う、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
サンプルと特定の装置との間の実際の距離又は光学距離のうち、少なくとも1つに基づいて、前記特定の信号を較正することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
サンプルアームに向かう少なくとも1つの第1電磁放射及びリファレンスアームに向かう少なくとも1つの第2電磁放射を含む放射であって、時間経過につれて周波数が変化する放射を提供し、
前記少なくとも1つの第1電磁放射に関連した1つ以上の第3放射と、前記少なくとも1つの第2電磁放射に関連した1つ以上の第4放射との間の干渉を検出し、
前記干渉における少なくとも1つの周波数成分に関連した特定の信号を取得し、
前記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供し、
追加信号に基づいて前記特定の信号を較正すること、を含む方法。
【請求項30】
前記放射の少なくとも一部を前記サンプルアームで受ける、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
サンプルから受けた放射の第1分割部と関連した少なくとも1つの第1放射と、参照部から受けた放射の第2分割部との間の干渉を検出する機能を有する1つ以上の装置を備え、
前記放射の周波数が時間経過につれて変化し、前記1つ以上の装置が、前記干渉における少なくとも1つの周波数成分についての1つ以上の位相に関連した特定の信号を得て、該特定の信号を少なくとも1つの特定の情報と比較する機能を有するシステム。
【請求項32】
サンプルから受けた放射の第1分割部と関連した少なくとも1つの第1放射と、参照部から受けた放射の第2分割部との間の干渉を検出する機能を有する1つ以上の第1装置であって、前記干渉における1つ以上の周波数成分に関連した特定の信号を取得する機能を有する第1装置と、
前記放射の少なくとも一部を受けて、別の放射を提供するように構成した1つ以上の第2装置を備え、
前記1つ以上の第1装置が、前記別の放射に基づいて前記特定の信号の較正を行うように構成されたシステム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−545970(P2008−545970A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514878(P2008−514878)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021375
【国際公開番号】WO2006/130802
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021375
【国際公開番号】WO2006/130802
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
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