説明

位置情報提供装置及び位置情報提供方法

【課題】通信端末の位置情報が改ざんされることなく、この通信端末の位置情報を外部装置に対して提供する。
【解決手段】位置情報提供システム10に含まれる位置情報管理装置40の判断部42において、通信端末50からの位置情報送信要求に含まれる情報とコンテンツプロバイダ60からの位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を送信してよいかどうかが判断され、この結果に基づいて、コアネットワーク装置20が把握している通信端末50の情報がコンテンツプロバイダ60に対して送信される。このように、通信端末50からの位置情報送信要求に基づいて、通信端末の位置情報が、位置情報提供システム10を構成する位置情報管理装置40から外部装置に対して通信端末を経由せず送信されることから、通信端末50の位置情報が改ざんされる可能性を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末からの要求に応じて通信端末の位置情報を外部装置に対して提供する位置情報提供装置及び位置情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信端末が自機の位置を把握するための測位方法として、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位を行う所謂GPS測位が知られている。そして、通信端末によるGPS測位によって得られた通信端末の位置情報を利用したコンテンツが知られている。具体的には、通信端末による測位の結果得られた位置情報を通信端末からコンテンツプロバイダに対して提供することで、当該位置情報を利用したコンテンツがコンテンツプロバイダから提供される。これに関して、例えば特許文献1では、通信端末のGPS測位結果を利用したコンテンツがコンテンツプロバイダから提供される構成が示されている。
【0003】
また、最近では、GPS測位と比較して測位精度は低いものの、GPS測位と比較して測位時間が短く且つ測位成功率が格段に高いネットワーク測位の結果を利用したコンテンツ、例えば通信端末の位置をスコアや進行に反映させた所謂位置情報ゲーム等が注目されている。ネットワーク測位とは、例えば、通信端末が在圏する通信エリアの位置を通信端末の位置として利用する測位方法であり、具体的には、通信エリアを管理する通信事業者に対して通信端末が問い合わせることにより、通信端末において通信エリアの位置に係る情報を取得し、これを測位結果として利用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−155508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、このように通信端末による測位の結果導かれた通信端末の位置情報をコンテンツプロバイダが取得する場合、測位の結果が改ざんされる可能性がある。仮に、通信端末において測位結果が改ざんされ、改ざん後の位置情報がコンテンツプロバイダに対して送信された場合、通信端末に対して改ざん後の位置情報に基づいたコンテンツが提供されてしまう。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、通信端末の位置情報が改ざんされることなく、この通信端末の位置情報を外部装置に対して提供することが可能な位置情報提供装置及び位置情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る位置情報提供装置は、通信端末からの位置情報送信要求に基づいて当該通信端末の位置に係る情報を外部装置に対して送信する位置情報提供装置であって、前記通信端末を特定する端末特定情報に対応付けて、前記通信端末の位置を特定する位置情報を保持する位置情報保持手段と、前記通信端末から送信され、前記端末特定情報と、位置情報の提供に係る一連の処理を特定する処理特定情報とを含む位置情報送信要求を受信する送信要求受信手段と、前記外部装置から送信され、位置情報の提供を要求する通信端末を特定する要求端末特定情報と、当該通信端末による位置情報の提供に係る一連の処理を特定する要求処理特定情報と、を含む位置情報提供要求を受信する提供要求受信手段と、前記位置情報送信要求に含まれる情報と前記位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、前記外部装置に対して位置情報を提供するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記外部装置に対して位置情報を提供すると判断された場合に、前記位置情報保持手段において前記端末特定情報に対応付けて保持される位置情報を、前記要求端末特定情報に対応付けて前記外部装置に対して送信する位置情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の位置情報提供装置によれば、判断手段において、位置情報送信要求に含まれる情報と位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、外部装置に対して通信端末の位置情報を送信してよいかどうかが判断され、判断の結果に基づいて、位置情報保持手段において保持されている通信端末の情報が外部装置に対して送信される。このように、通信端末からの位置情報送信要求に基づいて、通信端末の位置情報が位置情報提供装置から外部装置に対して通信端末を経由せず送信されることから、例えば通信端末において位置情報が改ざんされる等の、位置情報が改ざんされる可能性を低減させることができる。また、位置情報提供装置の判断手段において位置情報の送信可否についても判断されることから、外部装置に対して通信端末の位置情報を不適切に送信することを回避することができる。
【0009】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成として、具体的には、前記判断手段は、前記位置情報送信要求に含まれた前記端末特定情報と、前記位置情報提供要求に含まれた前記要求端末特定情報と、が一致し、且つ、前記位置情報送信要求に含まれた前記処理特定情報と、前記位置情報提供要求に含まれた前記要求処理特定情報と、が一致した場合に、前記外部装置に対して位置情報を提供すると判断する態様が挙げられる。このような態様を有することにより、位置情報提供装置に対しての外部装置からの要求が、通信端末からの要求に基づくものであるかが、端末特定情報と要求端末特定情報との比較及び処理特定情報と要求処理特定情報との比較により判断されるため、位置情報の不適切な送信をより確実に回避することができる。
【0010】
また、前記位置情報送信要求及び前記位置情報提供要求を一時的に保持する保持手段を更に備え、前記判断手段は、前記保持手段に保持された前記位置情報送信要求に含まれる情報及び前記位置情報提供要求に含まれる情報に基づいて、前記外部装置に対して位置情報を提供するか否かを判断し、前記保持手段は、保持開始後所定の期間を経過した時点で、該当する情報を削除する態様とすることもできる。
【0011】
このように、位置情報提供装置が保持手段を備え、保持開始後所定の期間を経過した時点で該当する情報を削除することで、位置情報提供装置において情報の保持期間が長期化することを防止することができ、外部装置に対する位置情報の不適切な送信をさらに抑制することができる。
【0012】
なお、本発明は、上記のように位置情報提供装置の発明として記述できる他に、以下のように位置情報提供方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明に係る位置情報提供方法は、通信端末を特定する端末特定情報に対応付けて、前記通信端末の位置を特定する位置情報を保持する位置情報保持手段を備え、前記通信端末からの位置情報送信要求に基づいて位置情報を外部装置に対して送信する位置情報提供装置による位置情報提供方法であって、前記通信端末から送信され、前記端末特定情報と、位置情報の提供に係る一連の処理を特定する処理特定情報とを含む位置情報送信要求を受信する送信要求受信ステップと、前記外部装置から送信され、位置情報の提供を要求する通信端末を特定する要求端末特定情報と、当該通信端末による位置情報の提供に係る一連の処理を特定する要求処理特定情報と、を含む位置情報提供要求を受信する提供要求受信ステップと、前記位置情報送信要求に含まれる情報と前記位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、前記外部装置に対して位置情報を提供するか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて前記外部装置に対して位置情報を提供すると判断された場合に、前記位置情報保持手段において前記端末特定情報に対応付けて保持される位置情報を、前記要求端末特定情報に対応付けて前記外部装置に対して送信する位置情報送信ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信端末の位置情報が改ざんされることなく、この通信端末の位置情報を外部装置に対して提供することが可能な位置情報提供装置及び位置情報提供方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る通信システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】コアネットワーク装置、サービス制御装置、位置情報管理装置、及びコンテンツプロバイダのハードウェア構成を示す図である。
【図3】通信端末のハードウェア構成を示す図である。
【図4】通信システムによるコンテンツ提供に係る処理を説明するシーケンス図である。
【図5】通信システムによるコンテンツ提供に係る処理(ユーザ照合でエラーが発生した場合)を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
<位置情報提供装置を含む通信システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る通信システム1の構成を説明するブロック図である。
【0018】
図1に示す通信システムは、位置情報提供システム10(位置情報提供装置)を構成するコアネットワーク装置20、サービス制御装置(Service Control Point:SCP)30及び位置情報管理装置(位置プラットフォーム:位置PF)40と、通信端末50と、コンテンツプロバイダ60(外部装置)と、を含んで構成される。このうち、位置情報提供システム10を構成するコアネットワーク装置20、サービス制御装置30、及び位置情報管理装置40は、通信端末50の位置を特定する位置情報をコンテンツプロバイダ60に対して提供するシステムとして機能する。位置情報提供システム10を構成する各装置は、同じ移動体通信網に含まれる装置であり、通信端末50は、この移動体通信網に対して接続する機能を有する。
【0019】
また、コンテンツプロバイダ60は、通信端末50からの要求に基づいて通信端末50に対してコンテンツを提供する装置である。コンテンツプロバイダ60が通信端末50に対して提供するコンテンツの例としては、WEBコンテンツ等が挙げられ、さらに、通信端末50からの要求に応じて、位置情報提供システム10から送信された通信端末50からの位置情報を利用したコンテンツ(例えば、通信端末50の位置に応じたポイントやクーポンを付与するコンテンツ等)を作成し、通信端末50に対して送信する機能を有する。
【0020】
なお、本実施形態では、通信端末50の位置を特定する位置情報としてネットワーク測位の結果得られた情報を利用する場合について説明する。本実施形態におけるネットワーク測位とは、通信端末50が在圏する通信エリア(図1では通信エリアE1)の位置を特定する情報(例えば、通信エリアE1の基地局の位置を示す情報)を通信端末50の位置情報として利用するものである。したがって、通信エリアの位置が予め分かっている場合には、通信端末50がどの通信エリアに在圏しているかさえわかれば、通信端末50の位置情報を導出することが可能となる。
【0021】
上記の通信システム1に含まれるコアネットワーク装置20、サービス制御装置30、位置情報管理装置40、及びコンテンツプロバイダ60は、それぞれ、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read OnlyMemory)103、通信を行うための通信モジュール104、並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、各装置の機能が発揮される。また、通信端末50は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)601、RAM602、ROM603、操作部604、無線通信部605、ディスプレイ606、及びアンテナ607等のハードウェアにより構成される。そしてこれらの構成要素が動作することにより、通信端末50の機能が発揮される。
【0022】
なお、コアネットワーク装置20とサービス制御装置30との間、サービス制御装置30と位置情報管理装置40との間、位置情報管理装置40とコンテンツプロバイダ60との間は、それぞれ有線のネットワークを介して接続される。また、通信端末50とコアネットワーク装置20との間及び通信端末50とコンテンツプロバイダ60との間は、それぞれ無線通信により情報の交換が行われる。
【0023】
次に、通信システム1を構成する各装置について説明する。まず通信端末50は、移動体通信網に対して接続して通信を行う機能を有すると共に、コンテンツプロバイダ60に対してHTTPリクエストを送信することで、コンテンツプロバイダ60から送信されるWEBコンテンツを受信し、画面等により表示することで、通信端末50のユーザに対して通知する機能を更に有する。また、位置情報を利用したコンテンツを通信端末50のユーザが閲覧したいと希望した場合には、ユーザが通信端末50を操作することで、位置情報送信要求を通信端末50から位置情報管理装置40に対して送信する。これにより、位置情報をコンテンツプロバイダ60に対して提供することを後述の位置情報管理装置40に対して要求する。さらに、コンテンツプロバイダ60に対しても位置情報を含むコンテンツの提供を要求する信号(HTTPリクエスト)を送信する。
【0024】
このとき、通信端末50において一連の処理であることを示す所定のID(処理ID)が払い出され、通信端末50から送信される位置情報送信要求とHTTPリクエストの双方に、通信端末50を特定する情報(例えば、電話番号)と共にこの処理IDが添付される。これにより、通信システム1内で送受信される情報がある一連の処理に含まれるものであるか否かを判断することができる。この処理については後述する。
【0025】
コンテンツプロバイダ60は、通信端末50からのHTTPリクエストに応じてWEBコンテンツを通信端末50に対して送信する機能を有する。また、通信端末50から位置情報に基づいて作成されたWEBコンテンツの提供を要求するHTTPリクエストが送信された場合には、このWEBコンテンツを作成することを目的として位置情報提供装置40に対して位置情報提供要求を送信することにより、位置情報提供装置40から通信端末50の位置情報を取得する。そして、この位置情報に基づいてWEBコンテンツを作成して通信端末50に対して送信する機能を有する。このコンテンツプロバイダ60において行われる処理については後述する。
【0026】
次に、位置情報提供システム10について説明する。通信システム1に含まれる位置情報提供システム10を構成するコアネットワーク装置20は、通信端末50の移動体通信網に対する接続に関して制御を行う装置である。具体的には、通信エリアを制御する基地局の管理・制御を行っていて、基地局を介して通信端末50がどの通信エリアに在圏しているか(図1では、通信端末50は通信エリアE1に在圏している)という通信端末50の在圏情報を保持している装置である。すなわち、コアネットワーク装置20は、通信端末50の位置情報を通信端末50を特定する情報(例えば、通信端末50の電話番号)に対応付けて保持する位置情報保持手段としての機能の一部を有する。通信端末50の位置情報は、通信端末50が移動体通信網に接続して通信等を行う場合等必要に応じて更新され、コアネットワーク装置20において保持される。
【0027】
サービス制御装置30は、移動体通信網に接続して通信を行う通信端末50に対してサービスを提供する装置である。本実施形態では、例えば、通信端末50の要求に応じて、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を送信する場合の通信端末50のユーザの認証処理等を行う機能を有する。通信端末50のユーザ認証が適切に行われた場合には、この通信端末50の位置情報をコアネットワーク装置20から取得し、後述の位置情報管理装置40に対して送信される。
【0028】
位置情報管理装置40は、位置情報提供システム10において、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を提供するための一連の処理の中心となる装置であり、受信部41(送信要求受信手段、提供要求受信手段)、判断部42(判断手段)、送信部43(位置情報送信手段)、及び保持部44(保持手段)を含んで構成される。
【0029】
受信部41は、通信端末50から送信される位置情報送信要求を受信する機能を有する。位置情報送信要求には、通信端末50を特定する情報(通信端末50の電話番号)及び一連の処理を特定する処理IDが含まれる。また、コンテンツプロバイダ60から送信される位置情報提供要求を受信する機能を有する。そして、この位置情報提供要求にも通信端末50を特定する情報及び一連の処理を特定する処理IDが含まれる。受信部41において受信されたこれらの情報は、保持部44に格納されると共に、保持部にこれらの情報が格納されたことが判断部42に対して通知される。
【0030】
判断部42は、保持部44に格納された位置情報送信要求に含まれる情報と位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を提供するか否かを判断する機能を有する。ここで、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を提供してよいと判断する条件は、(1)通信端末50から送信された位置情報送信要求に含まれる通信端末50を特定する情報(端末特定情報)と、コンテンツプロバイダ60から送信された位置情報提供要求に含まれる通信端末50を特定する情報(要求端末特定情報)とが一致すること、且つ、(2)通信端末50から送信された位置情報送信要求に含まれる一連の処理を特定する情報(処理特定情報)と、コンテンツプロバイダ60から送信された位置情報提供要求に含まれる通信端末50を特定する情報(要求処理特定情報)とが一致すること、である。このうち(1)については、特定の通信端末50に係る位置情報の送信であることを確認することを目的とし、(2)については、通信端末50の位置情報の送信が一連の処理に係るものであること、より具体的には、例えば過去の位置情報の送信の要求に基づいた処理ではないこと、を確認することを目的としている。判断部42では、(1)及び(2)の条件を満たす場合にのみ、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を提供してよいと判断し、この結果を送信部43に対して通知する。また、判断部42において、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報の送信が不可であると判断される場合であっても、この結果が送信部43に対して通知される。
【0031】
送信部43は、判断部42の判断結果に基づいてコンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を送信する機能を有する。具体的には、判断部42において通信端末50の位置情報をコンテンツプロバイダ60に対して送信してよいと判断された場合、送信部43は、サービス制御装置30を経由してコアネットワーク装置20に対して通信端末50を特定する情報(例えば電話番号)を用いて位置情報を問い合わせることにより、コアネットワーク装置20から通信端末50の位置情報を取得し、この位置情報をコンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報として通知する。このとき、送信部43では、コンテンツプロバイダ60に対して、通信端末50を特定する情報及び通信端末50の位置情報を送信する際に、コンテンツプロバイダ60から送信された処理IDを付与して送信する。これにより、どの処理IDに対応する位置情報であるかが特定された状態で、通信端末50の位置情報がコンテンツプロバイダ60に対して送信される。
【0032】
なお、判断部42において、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報の送信が不可であると判断された場合には、送信部43は、コンテンツプロバイダ60に対しての位置情報の提供が不可であることを通信端末50に対して通知する。
【0033】
保持部44は、受信部41において受信された情報、すなわち、通信端末50から送信される位置情報送信要求と、コンテンツプロバイダ60から送信される位置情報提供要求とを保持する機能を有する。さらに、保持部44では、予め定められた期間を超過して保持部44において保持されている情報を削除する機能を有する。この期間とは、例えば通信事業者等によって定められる。このように所定の期間を超過して保持部44において保持される情報を削除することで、例えば、過去に位置情報管理装置40において受信されて蓄積された位置情報送信要求基づいてコンテンツプロバイダ60に対して位置情報を送信してよいかを判断部42が判断することを防止することができ、コンテンツプロバイダ60に対する位置情報の不適切な送信を回避することができる。
【0034】
<位置情報提供装置を含む通信システムによる位置情報提供方法>
次に、上記の位置情報提供システム10を含む通信システム1による位置情報提供方法について、図4及び図5に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、図4は、コンテンツ提供に係る処理を説明するシーケンス図である。また、図5は、位置情報管理装置40の判断部42において、位置情報の提供が不可であると判断された場合(ユーザ照合でエラーが発生した場合)の処理を説明するシーケンス図である。
【0035】
まず、図4を用いて、コンテンツプロバイダ60から通信端末50に対して位置情報を用いたコンテンツを配信する場合について説明する。
【0036】
通信端末50のユーザが、位置情報を利用したコンテンツの閲覧を希望する場合、まずユーザが通信端末50を操作して位置情報提供処理開始の操作を行う(S01)。これは、位置情報提供処理に係るアプリケーションソフト等の起動等の操作が該当する。次に、プライバシチェックが行われる(S02)。これは、通信端末50の位置情報の提供についてユーザが承認を行うことを言い、このユーザの承認処理が行われて初めて通信端末50の位置情報の提供のための処理及び他の装置との通信が開始される。
【0037】
次に、通信端末50において、処理IDの生成が行われ(S03)、一連の処理に用いられるIDが決定される。続いて、この処理IDを用いて、通信端末50から位置情報管理装置40に対して位置情報送信要求(測位準備情報)が送信され、位置情報管理装置40の受信部41においてこれが受信される(S04、位置情報送信要求受信ステップ)。上述のように、位置情報送信要求には通信端末50の電話番号及び一連処理を特定する処理IDが含まれる。この位置情報送信要求が位置情報管理装置40の受信部41で受信されると、保持部44へ送られて、保持部44において位置情報送信要求が保持される(S05)。さらに、受信部41から判断部42に対して位置情報送信要求を受信したことが通知される。なお、位置情報送信要求に含まれる電話番号が、通信端末50の電話番号であるか(電話番号が詐称されていないか)を検証する目的から、通信端末50のソースIPアドレスについても電話番号と同様に位置情報送信要求に添付して送信する態様とし、保持部44でこれらを対応付けて保持しておいてもよい。
【0038】
さらに、通信端末50からコンテンツプロバイダ60に対して、通信端末50の位置情報を利用したコンテンツの提供を要求するHTTPリクエストを送信する(S06)。このHTTPリクエストには、通信端末50の電話番号及び処理IDが含まれる。これにより、通信端末50の電話番号と処理IDがコンテンツプロバイダ60に対して通知される。以上により、通信端末50における位置情報の提供に係る処理は完了するので、アプリケーションソフト等を終了させることで、位置情報提供処理を終了する(S07)。
【0039】
一方、通信端末50からのHTTPリクエストを受信したコンテンツプロバイダ60から通信端末50の電話番号及び処理IDを含む位置情報提供要求を位置情報管理装置40に対して送信され、位置情報管理装置40の受信部41においてこれが受信される。(S08、位置情報提供要求受信ステップ)。ここで受信された位置情報提供要求についても保持部44において保持される(S09)と共に、判断部42に対して位置情報提供要求を受信した旨が通知される。これにより、位置情報管理装置40の判断部42において、位置情報送信要求と位置情報提供要求とに基づいて、ユーザ照合を行い、通信端末50の位置情報をコンテンツプロバイダ60に対して送信してよいかの判断が行われる(S10、判断ステップ)。
【0040】
ここで、判断部42において位置情報送信要求と位置情報提供要求との電話番号及び処理IDが一致した場合には、通信端末50の位置情報の提供に係る要求(MKP_SLIR)が位置情報管理装置40からサービス制御装置30へ送信され(S11)、サービス制御装置30において通信端末50に係る認証処理が行われた(S12)後、サービス制御装置30からコアネットワーク装置20に対して位置情報の提供に係る要求(SSMP_ServiceRequest)が送信される(S13)。
【0041】
これに対して、コアネットワーク装置20では、通信端末50の位置情報を取得する。このとき、コアネットワーク装置20は、通信端末50が現在在圏しているか(接続中であるか)の確認が併せて行われる。この結果得られた通信端末50の位置情報は、位置応答(SSMP_ServiceResponse)として、コアネットワーク装置20からサービス制御装置30へ送信される(S14)。そして、この情報はサービス制御装置30から位置情報管理装置40に対して位置応答(MLP_SRLIA)として送信される(S15)。
【0042】
位置情報管理装置40の送信部43では、上記の処理によりコアネットワーク装置20からの通信端末50の位置情報(測位結果)を取得すると、通信端末50の位置情報にコンテンツプロバイダ60から送信された処理IDを添付して、コンテンツプロバイダ60に対して送信する(S16、送信ステップ)。そして、コンテンツプロバイダ60は通信端末50の位置情報を取得すると、これを用いて通信端末50に対して送信するためのコンテンツを生成し(S17)、通信端末50に対してHTTPレスポンスとして、Webコンテンツを配信する(S18)。なお、位置情報管理装置40の保持部44において保持されている位置情報送信要求及び位置情報提供要求は、所定の時間が経過した後、削除される(S19)。
【0043】
以上の処理により、位置情報提供システム10によるコンテンツプロバイダ60に対する通信端末50の位置情報の提供が終了する。
【0044】
次に、図5を用いて、判断部42におけるユーザ照合(S10)において、位置情報送信要求及び位置情報提供要求の電話番号及び処理IDが一致しなかった場合について説明する。
【0045】
ユーザ照合(S10)までの処理は、図4に示す処理と同様に行われる。しかしながら、判断部42によるユーザ照合(S10)において、位置情報送信要求及び位置情報提供要求の電話番号及び処理IDが一致しなかった場合は、判断部42は、コンテンツプロバイダ60に対する通信端末50の位置情報の送信不可と判断する。この結果は判断部42から送信部43へ通知され、送信部43からコンテンツプロバイダ60に対してエラー応答が送信される(S21)。コンテンツプロバイダ60では、通信端末50の位置情報を取得できない場合には、通信端末50からのHTTPリクエストに基づいたコンテンツが生成できないため、通信端末50に対して、測位(位置情報の取得)がNGであった旨をHTTPレスポンスとして送信する(S22)。また、位置情報管理装置40の保持部44において保持されている位置情報送信要及び位置情報提供要求は、所定の時間が経過した後、削除される(S23)。
【0046】
<本実施形態による効果>
以上のように、本実施形態に係る位置情報提供システム10によれば、位置情報管理装置40の判断部42において、位置情報送信要求に含まれる情報と位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を送信してよいかどうかが判断される。そして判断部42の判断の結果に基づいて、コアネットワーク装置20が把握している通信端末50の情報がコンテンツプロバイダ60に対して送信される。このように、通信端末50からの位置情報送信要求に基づいて、通信端末の位置情報が、位置情報提供システム10を構成する位置情報管理装置40から外部装置に対して通信端末を経由せず送信されることから、例えば通信端末50での位置情報の改ざん等、通信端末50の位置情報が改ざんされる可能性を低減させることができる。また、位置情報提供装置40の判断部42において、位置情報の送信可否についても判断されることから、コンテンツプロバイダ60に対して通信端末50の位置情報を不適切に送信することを回避することができる。
【0047】
また、位置情報管理装置40が保持部44を備え、保持開始後所定の期間を経過した時点で該当する情報を削除する構成を備えていることから、位置情報管理装置40において情報の保持期間が長期化することを防止することができ、コンテンツプロバイダ60に対する位置情報の不適切な送信をさらに抑制することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る位置情報提供装置(位置情報提供システム10)は種々の変更を行うことができる。
【0049】
例えば、上記実施形態では、位置情報提供システム10がコアネットワーク装置20、サービス制御装置30及び位置情報管理装置40から構成される場合について説明したが、これらの装置が有する機能が一台の装置に全て含まれる構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、通信端末50の位置情報として、所謂ネットワーク測位を行った結果を用いる場合について説明したが、通信端末50の位置情報として、例えばGPS測位の測位結果を利用する場合であっても、上記実施形態の構成を適用することができる。また、ネットワーク測位の場合に関しても、通信端末50が接続する通信エリアとして上記実施形態のように基地局の情報を用いるのではなく他の情報を用いる態様であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、Webコンテンツを作成・配信するコンテンツプロバイダ60が外部装置である場合について説明したが、外部装置はコンテンツ配信を目的とした装置には限定されない。すなわち、通信端末50の位置情報を他の目的に利用する装置を外部装置とした場合であっても、上記実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、位置情報管理装置40の判断部42における位置情報提供可否の判断基準が「位置情報送信要求及び位置情報提供要求の電話番号及び処理IDが一致するか否か」である場合について説明した。しかしながら、処理IDについては、位置情報送信要求と位置情報提供要求との間で完全一致していない態様とすることもできる。この場合には、実施形態で示した処理IDとは異なるIDを別途設け、このIDが一致するかどうかということを位置情報提供可否の判断基準とする等の方法がある。例えば、通信端末50において一連の処理を特定する共通ヘッダ(完全に一致するヘッダ、あるいは特定のIDが付与されたヘッダ)を有する二種類の処理IDを払い出し、これらを位置情報送信要求及び位置情報提供要求のそれぞれに1つずつ添付して送信した場合、位置情報管理装置40には互いに異なる処理IDが含まれる要求が送信されることとなる。この場合、例えば、二種類の処理IDに共通のヘッダを付与し、この「共通ヘッダがあるか否か」を判断部42での判断基準として予め定めておくことで、位置情報の送信可否を判断部42において判断することができる。このように判断部42における判断基準は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…通信システム、10…位置情報提供システム、20…コアネットワーク装置(CN)、30…サービス制御装置(SCP)、40…位置情報管理装置(位置PF)、50…通信端末、60…コンテンツプロバイダ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からの位置情報送信要求に基づいて当該通信端末の位置に係る情報を外部装置に対して送信する位置情報提供装置であって、
前記通信端末を特定する端末特定情報に対応付けて、前記通信端末の位置を特定する位置情報を保持する位置情報保持手段と、
前記通信端末から送信され、前記端末特定情報と、位置情報の提供に係る一連の処理を特定する処理特定情報とを含む位置情報送信要求を受信する送信要求受信手段と、
前記外部装置から送信され、位置情報の提供を要求する通信端末を特定する要求端末特定情報と、当該通信端末による位置情報の提供に係る一連の処理を特定する要求処理特定情報と、を含む位置情報提供要求を受信する提供要求受信手段と、
前記位置情報送信要求に含まれる情報と前記位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、前記外部装置に対して位置情報を提供するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記外部装置に対して位置情報を提供すると判断された場合に、前記位置情報保持手段において前記端末特定情報に対応付けて保持される位置情報を、前記要求端末特定情報に対応付けて前記外部装置に対して送信する位置情報送信手段と、
を備えることを特徴とする位置情報提供装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記位置情報送信要求に含まれた前記端末特定情報と、前記位置情報提供要求に含まれた前記要求端末特定情報と、が一致し、且つ、前記位置情報送信要求に含まれた前記処理特定情報と、前記位置情報提供要求に含まれた前記要求処理特定情報と、が一致した場合に、前記外部装置に対して位置情報を提供すると判断する
ことを特徴とする請求項1記載の位置情報提供装置。
【請求項3】
前記位置情報送信要求及び前記位置情報提供要求を一時的に保持する保持手段を更に備え、
前記判断手段は、前記保持手段に保持された前記位置情報送信要求に含まれる情報及び前記位置情報提供要求に含まれる情報に基づいて、前記外部装置に対して位置情報を提供するか否かを判断し、
前記保持手段は、保持後所定の期間を経過した時点で、該当する情報を削除する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の位置情報提供装置。
【請求項4】
通信端末を特定する端末特定情報に対応付けて、前記通信端末の位置を特定する位置情報を保持する位置情報保持手段を備え、前記通信端末からの位置情報送信要求に基づいて位置情報を外部装置に対して送信する位置情報提供装置による位置情報提供方法であって、
前記通信端末から送信され、前記端末特定情報と、位置情報の提供に係る一連の処理を特定する処理特定情報とを含む位置情報送信要求を受信する送信要求受信ステップと、
前記外部装置から送信され、位置情報の提供を要求する通信端末を特定する要求端末特定情報と、当該通信端末による位置情報の提供に係る一連の処理を特定する要求処理特定情報と、を含む位置情報提供要求を受信する提供要求受信ステップと、
前記位置情報送信要求に含まれる情報と前記位置情報提供要求に含まれる情報とに基づいて、前記外部装置に対して位置情報を提供するか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて前記外部装置に対して位置情報を提供すると判断された場合に、前記位置情報保持手段において前記端末特定情報に対応付けて保持される位置情報を、前記要求端末特定情報に対応付けて前記外部装置に対して送信する位置情報送信ステップと、
を備えることを特徴とする位置情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−100105(P2012−100105A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246592(P2010−246592)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】