説明

位置方向推定システム、情報処理装置、位置方向推定方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】公共交通機関のユーザが痴漢等の迷惑行為の加害者として巻き込まれることを防止するとともに、加害者として巻き込まれた際には冤罪立証の証拠を確保することが可能な位置方向推定システムを提供する。
【解決手段】ユーザの手に装着された複数の被測定手段、被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムであって、情報処理装置は、測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力手段と、測定手段とそれぞれの被測定手段との距離を測定手段から取得し、ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置方向推定システム、情報処理装置、位置方向推定方法、プログラム、及び記録媒体に関し、特に、公共交通機関における痴漢等の迷惑行為の監視システムに好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、痴漢冤罪を立証する手段としては、監視カメラ等による画像及び周囲の証言に依る他なく、これらが存在しない場合の立証は極めて困難であった。また、監視カメラを設置したとしても、混雑した車内で乗客一人一人の細かい動作まで記録することは困難といえる。そのため、乗客の車内における状態を客観的に証明する手段が望まれる。また、被害者側が痴漢被害を予防するための手段は考えられているが、痴漢と誤解される行為を予防するための手段も求められる。
【0003】
ところで、人の動作を電子的に認識し保存する技術としては、いわゆるモーションキャプチャ技術が知られている。しかしながら、この技術は、特殊な機器が設置された狭い空間における測定に限定されているため、日常の使用には応用が難しい。これを解決する技術としては、例えば特許文献1で開示された「動作測定デバイスによる行動管理システム」がある。当該行動管理システムは、被験者の身体の部位に装着した動作測定デバイスにより、被験者の動作を認識し、これを管理または記録することを実現するものである。
【0004】
また関連する技術として、例えば特許文献2では、受信側にて隔離した目標対象物の方角、距離等を目視にて容易かつ即時に知ることができ、受信側のみでの捜査探索を可能とする携帯型隔離報知装置が開示されている。当該携帯型隔離報知装置は、ブレスレット等に装着された発信装置から発信された信号を受信する受信回路を内蔵し、発信装置が設定距離以上隔離したときに限り、発音素子により警報音を出力し、また表示装置により発信装置の方向、距離等を表示させる。
【特許文献1】特開2005−352881号公報
【特許文献2】特開平10−320669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1による技術では、動作測定の手段を身体部位の加速度の変化に求めることを念頭にしており、例えば掌の方向(向き)、高さ等、被験者の細かい動作についてまでは測定できない。また、特許文献2による技術では、発信装置(ユーザの手にはめられたブレスレット)と受信回路(ユーザが携帯している報知装置)の距離及び位置関係は把握できるが、ユーザの掌の向きや細かい動作について測定することは困難である。つまり、痴漢冤罪の防止のためには前述したように掌の向き及び位置を参照する必要があるため、上記の特許文献による技術は痴漢冤罪の防止には利用できない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情を鑑みて、公共交通機関のユーザが痴漢等の迷惑行為の加害者として巻き込まれることを防止するとともに、加害者として巻き込まれた際には冤罪立証の証拠を確保することが可能な位置方向推定システム、情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の位置方向推定システムは、ユーザの手に装着された複数の被測定手段、被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムであって、情報処理装置は、測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力手段と、測定手段とそれぞれの被測定手段との距離を測定手段から取得し、ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理手段と、を有する。
【0008】
また、本発明の情報処理装置は、ユーザの手に装着された複数の被測定手段、被測定手段との距離を測定する測定手段とともに位置方向推定システムを構成する情報処理装置であって、測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力手段と、測定手段とそれぞれの被測定手段との距離を測定手段から取得し、ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理手段と、を有する。
【0009】
また、本発明の位置方向推定方法は、ユーザの手に装着された複数の被測定手段、被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムにおける位置方向推定方法であって、情報処理装置において、測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力ステップと、測定手段とそれぞれの被測定手段との距離を測定手段から取得し、ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理ステップと、を有する。
【0010】
また、本発明のプログラムは、ユーザの手に装着された複数の被測定手段、被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムに用いられるプログラムであって、コンピュータに、測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力機能と、測定手段とそれぞれの被測定手段との距離を測定手段から取得し、ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理機能と、を実現させる。
【0011】
また、本発明の記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、公共交通機関のユーザが痴漢等の迷惑行為の加害者として巻き込まれることを防止するとともに、加害者として巻き込まれた際には冤罪立証の証拠を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明が適用される位置方向推定システムは、図1に示すように、情報処理装置2、測定手段5、及び被測定手段6から構成される。情報処理装置2は、命令出力手段3及び処理手段4を有する。命令出力手段3は、測定手段5に対する測定開始及び測定終了の命令を出力する。処理手段4は、測定手段5から取得した測定結果に基づいてユーザの掌の位置及び向きを算出する。測定手段5は、命令出力手段3が出力した命令に従って複数の被測定手段6との距離を測定し、処理手段4へ測定結果を送信する。被測定手段6は複数あり、ユーザの手に装着される。
【0014】
処理手段4は、測定手段5とそれぞれの被測定手段6との距離からユーザの掌の位置及び方向を推定することができる。そして、ユーザの掌の向きがユーザから見て外側に向いているときに迷惑行為予備状態(誤解される状態)と判断し、ユーザに警告を発する警告手段に対して警告出力を指示するように構成してもよい。また、処理手段4は、測定手段5から測定結果を取得できない状態が一定時間継続したときに、警告手段に対して警告出力を指示するように構成してもよい。
【0015】
また、処理手段4は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを情報処理装置2内の記憶手段に保持するように構成してもよい。また、命令出力手段3は、ユーザが公共交通機関から降車したときに測定終了命令を出力するとともに、記憶手段から外部記憶手段へのデータ転送命令を出力するように構成してもよい。また、記憶手段は、外部記憶手段へのデータ転送を行った後に、記憶している測定データを削除するように構成してもよい。
【0016】
また、命令出力手段3は、ユーザが公共交通機関に乗車したときに測定開始命令を出力し、ユーザが降車したときに測定終了命令を出力するように構成してもよい。その場合、処理手段4は、ユーザが公共交通機関に乗車中のときだけ、掌の位置及び方向の算出を行う。また、処理手段4は、測定手段5による一定時間ごとの計測結果に基づいて、一定時間ごとにユーザの掌の位置及び向きを算出するように構成してもよい。
【0017】
本発明では、測定手段5が測定した複数の被測定手段6との距離に基づいて、処理手段4がユーザの掌の位置及び向きを算出する。そして、算出した掌の位置及び向きから迷惑行為予備状態(誤解される状態)を判断してユーザに対して警報を発し、また算出結果(ユーザの掌の位置及び向きに関するデータ)を記憶手段に格納して保存することが可能となる。
【0018】
以下、図2から図4を参照しながら本発明の実施形態についてさらに説明する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態である位置方向推定システムの構成を示した図である。位置方向推定システム10は、情報処理装置20と、受発信器30及び31と、目的物40及び41と、信号発信装置50と、警告体60と、外部記憶装置70とから構成される。情報処理装置20は、スイッチ部21、処理部22、保存部23、警告部24を有する。
【0020】
情報処理装置20は、受発信器からの測定結果をもとにユーザの掌の位置及び向きを算出し、迷惑行為と誤解される状態と判断したときに警告を発したり、算出データを保存したりする。スイッチ部21は、信号発信装置50からの信号を入力し、受発信器に対して測定開始や測定終了の命令を出力する。また、スイッチ部20は、測定終了命令を出力するとき同時に、保存部23に対してデータ転送命令を出力する。処理部22は、受発信器から測定結果を取得し、測定結果からユーザの掌の位置及び向きを算出する。そして、ユーザの掌の位置及び向きから迷惑行為と誤解される状態を判断して警告部24に警告命令の出力を指示し、また保存部23に算出データの保存指示を出す。保存部23は、処理部22からの保存指示に従って算出されたユーザの掌の位置及び向きに関するデータを保存し、またスイッチ部21の指示に従って保存した算出データを外部記憶装置70に転送する。警告部24は、処理部22の指示に従って警告体60に警告命令を出力する。
【0021】
受発信器は、第1受発信器30から第n受発信器31と複数(1からnまでのn個)設けられている。また、受発信器は、図3(b)に示すようにユーザの腰以下の部位に装着される。図3(b)では、ベルトの4箇所、前側に受発信器ア、後側に受発信器イ、右側に受発信器ウ、左側に受発信器エを配置している。そして、受発信器は、超音波、レーザ光線、あるいは赤外線信号等を発信して、それぞれの目的物との距離を測定する。第1受発信器30は、第1目的物40から第n目的部41までそれぞれの目的物との距離を測定する。第n受発信器31も同様にそれぞれの目的物の距離を測定する。各受発信器は、スイッチ部21からの測定開始命令を受けて各目的物との距離の測定を行い、それぞれ測定結果を処理部22へ送信する。
【0022】
目的物は、第1目的物40から第n目的物41と複数(1からnまでのn個)設けられている。また、目的物は、図3(a)に示すようにユーザの手首以下の部位に装着される。図3(a)では、右手首の手の甲の側に目的物A、掌の側に目的物B、手の甲から見て左側に目的物C、手の甲から見て右側に目的物Dが配置される。また、左手についても同様に、手の甲の側に目的物a、掌の側に目的物b、手の甲から見て右側に目的物c、手の甲から見て左側に目的物dが配置されている。
【0023】
信号発信装置50は、図3(c)に示すように、公共交通機関の乗降口に設置されており、乗降口が開いている間は常時信号を発信する。このため、ユーザが乗降口を通過して公共交通機関を乗車あるいは下車するたびに、受発信器が信号発信装置50からの信号を情報処理装置20のスイッチ部21が受信する。そして、スイッチ部21が受発信器に対して測定開始や測定終了の命令を出力する。
【0024】
警告体60は、情報処理装置20の警告部24からの警告命令に従って警告動作を行う。警告動作は、アラーム、バイブレーション等が可能である。なお、図2では、警告体60と情報処理装置20とは別の構成としているが、情報処理装置20が警告体60を有するように構成することもできる。
【0025】
外部記憶装置70は、情報処理装置20の保存部23から転送された測定データを格納する。ハードディスク、不揮発性のメモリカード、光磁気ディスク等の周知の記録メディアで構成することができる。
【0026】
図4は、本実施形態における位置方向算出の一連の動作を示したチャート図である。まず、ユーザが公共交通機関の乗降口を通過することにより、信号発信装置50からの信号が情報処理装置20に受信される(ステップS1)。信号を受信した情報処理装置20は、受発信器30に対して測定開始命令を出力する(ステップS2)。
【0027】
受発信器30は、測定開始命令に従い、目的物に対して信号を発信することにより目的物との距離を測定する(ステップS3)。測定結果を情報処理装置20に送信する(ステップS4)。また、受発信器30は、ユーザの付近にいる他の者が同様のシステムを保有している場合は、当該他の者が装着している目的物の情報も同様に認識する。また、受発信器30は、所定の時間ごと(例えば1秒ごと)に距離測定を行って情報処理装置20に測定結果を送信する(ステップS6、ステップS7)。
【0028】
情報処理装置20は、受発信器30から所定の時間ごとに受信した測定結果をその都度保存部にて保存する(ステップS5、ステップS8)。保存は、測定日時により別データとしてもよく、上書きして保存するようにしてもよい。冤罪立証データの確保の観点からは測定ごとにデータを保存することが望ましいし、メモリ資源節約の観点からは上書きして保存することが望ましい。また、情報処理装置20は、所定のタイミングで、保存された測定結果(受発信器30と目的物40との距離情報)からユーザの掌の位置及び向きを算出する(ステップS9)。そして、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを保存部にて保存する。なお、掌の位置及び向きの算出は、所定時間ごとに行うように設定することもできるし、受発信器から測定結果を受信するごとに行うように設定することもできる。
【0029】
掌の位置及び向きの算出は具体的には以下のようにして行う。すなわち、受発信器30と目的物40との距離情報に基づいて目的物のそれぞれの位置関係を計算することによって、空間におけるユーザの手の位置及び掌の向きを推定する。例えば、腰の腹側に付けた受発信器アが、右手首の親指側の目的物Cとの距離と、掌側の目的物Bとの距離を測定できる場合、以下の状態を推定することができる。まず第1に、右の掌はユーザから見て外側を向いていない。また第2に、右の掌はユーザの右半身側に位置している(左半身側にあれば子指側の目的物Dが測定されるはずである)。このように、腰の右側に装着した受発信器ウが右手首に装着した目的物のいずれかとの距離を測定できる場合は、ユーザの掌が腰から見てどこにあるか、どの方向に向いているのかを特定できる。なお、この距離測定が、受発信器と目的物との間に存在する障害物を考慮する必要がない場合には、受発信器はユーザの身体の一箇所にのみ装着すれば足りる。
【0030】
上記のようにしてユーザの掌の状態を推定した結果、掌の向いている方向がユーザの体から見て外側と特定されたとき、情報処理装置20は迷惑行為予備状態(痴漢等の迷惑行為に誤解される状態)と判断する。そして、警告体60に対して警告動作を行うように警告命令を出力する(ステップS10)。そして、警告体60は、警告命令に従って警告動作を実行し、ユーザに警告を発する(ステップS11)。
【0031】
また、情報処理装置20は、ユーザの掌の状態を推定に十分な距離情報が受発信器30から取得できなかった場合にも、警告体60に対して警告命令を出力する。警告体60は、警告命令を受けたとき、警告動作を実行してユーザに警告を発する。
【0032】
そして、ユーザが公共交通機関の乗降口を通過して下車したとき、信号発信装置50からの信号が情報処理装置20に受信される(ステップS12)。情報処理装置20は、信号発信装置50からの信号を受信したとき、受発信器30に対して測定終了命令を出力する(ステップS13)。また、情報処理装置20は、測定終了命令の出力とともに、保存部に保存された測定結果(距離情報)及び算出結果(掌の位置及び向きに関するデータ)を外部記憶装置70へデータ転送する(ステップS14)。データ転送が完了すると、情報処理装置20は保存部に保存している測定結果や算出結果のデータを削除する(ステップS15)。そして、外部記憶装置70は、情報処理装置20からの転送データを受信し、データ書き込みを行って記憶する(ステップS16)。
【0033】
本実施形態における第1の効果は、特定時間におけるユーザの掌の位置及び方向を算出し、記録することができる点である。これは、手首に装着した目的物と、一定の位置に装着した受発信器との距離を一定の時間間隔で測定し、それを情報処理装置に送信するようにしたこと、及び、情報処理装置において当該測定データを計算し、結果を保存するようにしたことの2点により実現される。
【0034】
また、本実施形態における第2の効果は、受発信器による距離測定の時間帯を、ユーザが乗車している間に限定できる点である。これは、公共交通機関の乗降口に取り付けた信号発信装置からの信号によって、情報処理装置のスイッチ部に測定開始命令や測定終了命令を出力させるように構成したことにより実現される。
【0035】
また、本実施形態における第3の効果は、ユーザの掌が痴漢と誤解される状態になった場合にはユーザに警告することできる点である。これは、情報処理装置における位置方向推定の結果、ユーザの掌がユーザから見て外側に向いている場合は、警告体を動作させるようにしたことにより実現される。
【0036】
また、本実施形態における第4の効果は、受発信器による距離測定が不能になった場合、ユーザに警告することができる点である。これは、情報処理装置が受発信器からの情報を受信できない状態が一定時間継続した場合に、警告体を動作させるようにしたことにより実現される。
【0037】
また、本実施形態における第5の効果は、情報処理装置の記録容量を常に確保できる点である。これは、ユーザの下車により受発信器による測定が終了した後、情報処理装置から外部の情報記憶装置に保存データを転送し、かつ、情報処理装置からは当該情報が消去されるようにしたことにより実現される。
【0038】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0039】
すなわち、上記した実施形態における情報処理装置20は、プログラムの命令によりコンピュータで実行される処理、手段、機能によって動作する。当該プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、先に述べたような所定の処理や機能、例えば、処理部22により、受発信器30から取得した距離情報に基づいてユーザの掌の位置を算出して掌の向きや状態を推定し、痴漢等の迷惑行為と誤解される状態にあると判断したときに、警告部24に警告命令を出力するように指示する処理を行う。また、処理部22により、受発信器30から取得した距離情報に基づいてユーザの掌の位置や向きを算出したとき、保存部23に算出結果(ユーザの掌の状態に関するデータ)を保存させる処理を行う。このように、上記実施形態における各処理や手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現されるものである。
【0040】
そして、上記実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、すなわち記憶メディアを介して、例えば情報処理装置20のコンピュータ(CPU)が記憶メディアに格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明の目的は達成される。また、プログラムは、記録メディアを介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもでき、これによっても同様に本発明の目的は達成される。
【0041】
この場合、記憶メディアから読み出された又は通信回線を通じてロードし実行されたプログラムコード自体が前述の実施形態の機能を実現することになる。そして、そのプログラムコードを記憶した記憶メディアは本発明を構成する。
【0042】
また、プログラムコードを供給するための記憶メディアとしては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、不揮発性のメモリカード、ROM、磁気テープ等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が適用される位置方向推定システムの構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る位置方向推定システムの構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態における目的物、受発信器、信号発信装置の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態における位置方向算出の一連の動作を示したチャート図である。
【符号の説明】
【0044】
1,10 位置方向推定システム
2,10 情報処理装置
3 命令出力手段
4 処理手段
5 測定手段
6 被測定手段
21 スイッチ部
22 処理部
23 保存部
24 警告部
30 第1受発信器
31 第n受発信器
40 第1目的物
41 第n目的物
50 信号発信装置
60 警告体
70 外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手に装着された複数の被測定手段、前記被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムであって、
前記情報処理装置は、
前記測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力手段と、
前記測定手段とそれぞれの前記被測定手段との距離を前記測定手段から取得し、前記ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理手段と、
を有することを特徴とする位置方向推定システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記ユーザに対する警告を発する警告手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出した掌の向きがユーザから見て外側に向いているときに迷惑行為予備状態と判断し、前記警告手段へ警告出力を指示することを特徴とする請求項1に記載の位置方向推定システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記処理手段による算出結果を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを前記記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置方向推定システム。
【請求項4】
前記命令出力手段は、前記ユーザが公共交通機関に乗車したときに前記測定手段に測定開始の命令を出力し、前記ユーザが前記公共交通機関から下車したときに前記測定手段に測定終了の命令を出力し、
前記処理手段は、前記ユーザが公共交通機関に乗車している間だけ、前記ユーザの掌の位置及び向きを算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置方向推定システム。
【請求項5】
前記処理手段は、前記測定手段による一定時間ごとの計測結果に基づいて、一定時間ごとに前記ユーザの掌の位置及び向きを算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の位置方向推定システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記ユーザに対する警告を発する警告手段をさらに有し、
前記処理手段は、前記測定手段から測定結果を取得できない状態が一定時間継続したときに測定不能状態と判断し、前記警告手段へ警告出力を指示することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の位置方向推定システム。
【請求項7】
位置方向推定システムの構成として外部記憶手段を備え、
前記情報処理装置は、前記処理手段による算出結果を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを前記記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行い、
前記命令出力手段は、前記ユーザが公共交通機関から下車したときに前記測定手段に測定終了の命令を出力するとともに、前記記憶手段に前記外部記憶手段へのデータ転送命令を出力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の位置方向推定システム。
【請求項8】
位置方向推定システムの構成として外部記憶手段を備え、
前記情報処理装置は、前記処理手段による算出結果を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを前記記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行い、
前記命令出力手段は、前記ユーザが公共交通機関から下車したときに前記測定手段に測定終了の命令を出力するとともに、前記記憶手段に前記外部記憶手段へのデータ転送命令を出力し、
前記記憶手段は、前記データ転送命令に従ったデータ転送を行った後、記憶している前記データを削除することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の位置方向推定システム。
【請求項9】
ユーザの手に装着された複数の被測定手段、前記被測定手段との距離を測定する測定手段とともに位置方向推定システムを構成する情報処理装置であって、
前記測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力手段と、
前記測定手段とそれぞれの前記被測定手段との距離を前記測定手段から取得し、前記ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記ユーザに対する警告を発する警告手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出した掌の向きがユーザから見て外側に向いているときに迷惑行為予備状態と判断し、前記警告手段へ警告出力を指示することを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理手段による算出結果を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを前記記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記命令出力手段は、前記ユーザが公共交通機関に乗車したときに前記測定手段に測定開始の命令を出力し、前記ユーザが前記公共交通機関から下車したときに前記測定手段に測定終了の命令を出力し、
前記処理手段は、前記ユーザが公共交通機関に乗車している間だけ、前記ユーザの掌の位置及び向きを算出することを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記処理手段は、前記測定手段による一定時間ごとの計測結果に基づいて、一定時間ごとに前記ユーザの掌の位置及び向きを算出することを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記ユーザに対する警告を発する警告手段をさらに有し、
前記処理手段は、前記測定手段から測定結果を取得できない状態が一定時間継続したときに測定不能状態と判断し、前記警告手段へ警告出力を指示することを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記処理手段による算出結果を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを前記記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行い、
前記命令出力手段は、前記ユーザが公共交通機関から下車したときに前記測定手段に測定終了の命令を出力するとともに、前記位置方向推定システムの構成としてさらに備えられた外部記憶手段へのデータ転送命令を前記記憶手段に出力することを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記処理手段による算出結果を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記処理手段は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを前記記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行い、
前記命令出力手段は、前記ユーザが公共交通機関から下車したときに前記測定手段に測定終了の命令を出力するとともに、前記位置方向推定システムの構成としてさらに備えられた外部記憶手段へのデータ転送命令を前記記憶手段に出力し、
前記記憶手段は、前記データ転送命令に従ったデータ転送を行った後、記憶している前記データを削除することを特徴とする請求項9から15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
ユーザの手に装着された複数の被測定手段、前記被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムにおける位置方向推定方法であって、
前記情報処理装置において、
前記測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力ステップと、
前記測定手段とそれぞれの前記被測定手段との距離を前記測定手段から取得し、前記ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理ステップと、
を有することを特徴とする位置方向推定方法。
【請求項18】
前記処理ステップは、算出した掌の向きがユーザから見て外側に向いているときに迷惑行為予備状態と判断して警告出力を指示し、
前記情報処理装置において、前記処理ステップにより警告出力が指示されたときに、前記ユーザに対する警告を発する警告ステップをさらに有することを特徴とする請求項17に記載の位置方向推定方法。
【請求項19】
前記処理ステップは、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを情報処理装置内の記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行い、
前記情報処理装置において、前記処理ステップによる算出結果を前記記憶手段に記憶する記憶ステップをさらに有することを特徴とする請求項17又は18に記載の位置方向推定方法。
【請求項20】
ユーザの手に装着された複数の被測定手段、前記被測定手段との距離を測定する測定手段、及び情報処理装置から構成される位置方向推定システムに用いられるプログラムであって、
コンピュータに、
前記測定手段に対して測定開始と測定終了の命令を出力する命令出力機能と、
前記測定手段とそれぞれの前記被測定手段との距離を前記測定手段から取得し、前記ユーザの掌の位置及び向きを算出する処理機能と、
を実現させることを特徴とする位置方向推定方法。
【請求項21】
前記処理機能は、算出した掌の向きがユーザから見て外側に向いているときに迷惑行為予備状態と判断して警告出力を指示し、
前記処理機能により警告出力が指示されたときに、前記ユーザに対する警告を発する警告機能をさらにコンピュータに実現させることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記処理機能は、算出したユーザの掌の位置及び向きに関するデータを情報処理装置内の記憶手段に送出し、前記記憶手段にデータ保存指示を行い、
前記処理機能による算出結果を前記記憶手段に記憶する記憶機能をさらにコンピュータに実現させることを特徴とする請求項20又は21に記載のプログラム。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか1項に記載のプログラムを記録しコンピュータ読み取り可能なことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−181429(P2009−181429A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21032(P2008−21032)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】