説明

位置検出システム

【課題】3次元空間内に検知体を導入した後であっても、検知体を除去せずに3次元空間内の実際的な環境磁界データを検出でき、これによって検知体の位置検出精度を向上できること。
【解決手段】本発明にかかる位置検出システム1は、3次元空間S内に駆動磁界を発生させる駆動磁界発生部10と、この駆動磁界に共振して共振磁界を発生するカプセル型医療装置2と、3次元空間S内部の磁界を検出する磁界検出部13と、磁界検出部13の磁界検出データをもとにカプセル型医療装置2の位置方向情報を算出する位置方向算出部15と、制御部19とを備える。カプセル型医療装置2は、撮像タイミングに合わせて共振状態を定期的に解除する。制御部19は、共振状態の期間に位置方向算出部15に位置方向算出処理を実行させ、非共振状態の期間に位置方向算出処理のキャリブレーション値を取得、更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルおよびコンデンサによる共振回路(以下、LC共振回路という)を内蔵した検知体に磁界を印加し、この印加した磁界を受けて検知体のLC共振回路が放出した磁界(以下、共振磁界という)を検出することによって検知体の位置を検出する位置検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LC共振回路を内蔵した検知体の位置を磁界検出によって検出する位置検出システムが提案されている。この磁界検出型の位置検出システムは、一般に、3次元空間内に磁界を発生させる磁界発生コイルと、この3次元空間内の磁界を検出する複数の磁界検出コイルとを備え、この3次元空間内に導入された検知体のLC共振回路に磁界発生コイルの磁界を印加し、これによって検知体のLC共振回路が放出した共振磁界を複数の磁界検出コイルによって検出し、この検出した共振磁界の磁界強度に基づいて3次元空間における検知体の位置を検出する。
【0003】
ここで、かかる複数の磁界検出コイルは、検知体が存在する3次元空間内の磁界を検出する際、この検知体の共振磁界とともに、磁界発生コイルの磁界等の環境磁界も検出してしまう。このため、位置検出システムは、磁界検出コイルによって検出された3次元空間内の磁界の磁界強度から環境磁界の磁界強度を減算処理等によって除去し、これによって、この検知体の共振磁界の磁界強度を取得する。なお、かかる位置検出システムは、検知体が存在していない状態の3次元空間内に磁界発生コイルの磁界を発生させ、この3次元空間内に発生した磁界、すなわち磁界発生コイルの磁界等の環境磁界を複数の磁界検出コイルによって検出し、これによって、この3次元空間における環境磁界の磁界強度を取得する。
【0004】
このような位置検出システムには、被検者等の体内に投入されて医療行為を行うカプセル型医療装置である検知体に磁界を印加し、この印加した磁界に誘導されて検知体が放出した誘導磁界(すなわち共振磁界)を検出し、この検出した誘導磁界に基づいて検知体(カプセル型医療装置)の位置を検出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−54246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の位置検出システムは、3次元空間内に検知体が導入された後、この検知体が存在している3次元空間内の環境磁界のみを磁界検出コイルによって検出することは困難である。このため、温度変化等によって3次元空間内の環境磁界が経時的に変化した場合、検知体導入前に予め取得した環境磁界の磁界強度と、検知体の位置を検出する際の環境磁界の実際的な磁界強度との間に誤差が生じ、これに起因して、検知体の高精度な位置検出が困難になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、3次元空間内に検知体を導入した後であっても、検知体を除去せずに3次元空間内の実際的な環境磁界データを検出でき、これによって検知体の位置検出精度を向上できる位置検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる位置検出システムは、3次元空間内に磁界を発生させる磁界発生部と、前記磁界発生部の磁界に共振して共振磁界を発生させる共振回路と、該共振回路に並列接続されて該共振回路内の電流の迂回経路を形成する電流バイパス回路と、該電流バイパス回路の通電を制御して前記共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替える共振制御回路と、を内蔵し、前記3次元空間内に導入される検知体と、前記共振回路が非共振状態の場合、前記共振磁界を除く前記3次元空間内の磁界であって少なくとも前記磁界発生部の磁界を含む環境磁界を検出し、前記共振回路が共振状態の場合、前記環境磁界と前記共振磁界とを含む前記3次元空間内の空間内磁界を検出する磁界検出部と、前記空間内磁界の検出データから前記環境磁界の検出データを減じて得られる前記共振磁界の検出データをもとに前記検知体の位置および方向を算出する位置方向算出処理を行う位置方向算出部と、前記共振回路が非共振状態の場合、前記環境磁界の検出データを取得して前記環境磁界の検出データの更新処理を行い、前記共振回路が共振状態の場合、前記空間内磁界の検出データを取得し、この取得した前記空間内磁界の検出データと前記更新処理が行われた前記環境磁界の検出データとを用いた前記位置方向算出処理を実行させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記検知体は、所定の時間間隔で所定の機能を繰り返し実行する機能実行部と、前記機能実行部が前記所定の機能を実行する都度、前記共振回路が非共振状態に切り替わるタイミングを示すタイミング信号を無線送信する送信部と、を備え、前記共振制御回路は、前記機能実行部が前記所定の機能を実行する都度、前記共振回路を非共振状態に切り替え、所定の維持期間、前記非共振状態を維持し、前記制御部は、前記タイミング信号を取得し、その都度、前記所定の維持期間内に1以上の前記環境磁界の検出データを取得して、前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記送信部が無線送信した少なくとも前記タイミング信号を受信し、この受信した前記タイミング信号を前記制御部に出力する受信装置を備え、前記制御部は、前記受信装置を介して前記タイミング信号を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記制御部は、前記所定の維持期間内に取得した1以上の前記環境磁界の検出データのうち、前記所定の維持期間の開始時に取得した前記環境磁界の検出データと終了時に取得した前記環境磁界の検出データとを無効にし、残りの前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記所定の維持期間は、前記制御部による前記環境磁界の検出データの取得周期の2倍以上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記検知体は、被検体の体内に導入されるカプセル型医療装置であり、前記機能実行部は、前記所定の時間間隔で前記被検体の体内情報を順次取得する体内情報取得部であり、前記送信部は、前記体内情報取得部が取得した体内情報と前記タイミング信号とを含む無線信号を送信し、前記受信装置は、前記無線信号を受信して前記無線信号に含まれる前記体内情報と前記タイミング信号とを抽出し、この抽出した前記タイミング信号を前記制御部に出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記体内情報取得部は、前記体内情報である前記被検体の体内画像を撮像する撮像部であり、前記タイミング信号は、前記撮像部が撮像した体内画像の同期信号であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記制御部は、所望のタイミングで前記共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替えるように前記共振制御回路を制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記制御部は、所望のタイミングで前記共振回路の共振状態の解除を要求する要求信号を生成する要求信号生成部を備え、前記磁界発生部は、前記要求信号生成部が要求信号を生成する都度、該要求信号を前記検知体に送信し、前記共振制御回路は、前記磁界発生部が送信した要求信号を取得し、該要求信号の取得タイミングで前記共振回路の共振状態を非共振状態に切り替え、所定の維持期間、前記非共振状態を維持し、前記制御部は、前記要求信号生成部が要求信号を生成する都度、前記所定の維持期間内に1以上の前記環境磁界の検出データを取得して、前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記要求信号生成部は、所定の時間間隔で前記要求信号を順次生成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記共振回路の共振状態の解除を指示する指示情報を入力する入力部を備え、前記要求信号生成部は、前記入力部によって前記指示情報が入力される都度、前記要求信号を生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記共振回路は、前記磁界発生部が送信した要求信号を受信し、この受信した前記要求信号を前記共振制御回路に出力することを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記共振制御回路は、前記要求信号の取得タイミングから所定の時間が経過するまで前記電流バイパス回路の通電を維持して前記共振回路の非共振状態を前記所定の維持期間維持するタイマー回路を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記制御部は、前記所定の維持期間内に取得した1以上の前記環境磁界の検出データのうち、前記所定の維持期間の開始時に取得した前記環境磁界の検出データと終了時に取得した前記環境磁界の検出データとを無効にし、残りの前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記所定の維持期間は、前記制御部による前記環境磁界の検出データの取得周期の2倍以上であることを特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記検知体は、被検体の体内に導入されるカプセル型医療装置であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記カプセル型医療装置は、前記被検体の体内情報を取得する取得する体内情報取得部と、前記体内情報取得部が取得した体内情報を外部に無線送信する送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかる位置検出システムは、上記の発明において、前記送信部が無線送信した体内情報を受信する受信装置を備え、前記体内情報取得部は、前記体内情報である前記被検体の体内画像を撮像する撮像部であり、前記送信部は、前記撮像部が撮像した前記被検体の体内画像を前記受信装置に無線送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる位置検出システムは、磁界発生部が、3次元空間内に磁界を発生させ、検知体が、前記磁界発生部の磁界に共振して共振磁界を発生させる共振回路と、該共振回路に並列接続されて該共振回路内の電流の迂回経路を形成する電流バイパス回路と、該電流バイパス回路の通電を制御して前記共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替える共振制御回路と、を内蔵し、前記3次元空間内に導入され、磁界検出部が、前記共振回路が非共振状態の場合、前記共振磁界を除く前記3次元空間内の磁界であって少なくとも前記磁界発生部の磁界を含む環境磁界を検出し、前記共振回路が共振状態の場合、前記環境磁界と前記共振磁界とを含む前記3次元空間内の空間内磁界を検出し、位置方向算出部が、前記空間内磁界の検出データから前記環境磁界の検出データを減じて得られる前記共振磁界の検出データをもとに前記検知体の位置および方向を算出する位置方向算出処理を行いい、制御部が、前記共振回路が非共振状態の場合、前記環境磁界の検出データを取得して前記環境磁界の検出データの更新処理を行い、前記共振回路が共振状態の場合、前記空間内磁界の検出データを取得し、この取得した前記空間内磁界の検出データと前記更新処理が行われた前記環境磁界の検出データとを用いた前記位置方向算出処理を実行させるようにしている。このため、検知体存在下の3次元空間内における実際的な環境磁界データを検出でき、これによって、位置方向算出処理のキャリブレーション値を、3次元空間内の実際の環境磁界データに近似するキャリブレーション値になるように取得、更新することができる。この結果、3次元空間内に検知体を導入した後であっても、この検知体を除去せずに3次元空間内の実際的な環境磁界を検出でき、これによって検知体の位置検出精度を向上可能な位置検出システムを実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態である位置検出システムについて説明する。なお、以下では、本発明にかかる位置検出システムの検知体の一例として、患者等の被検体内部に導入されて被検体の臓器内部の画像(以下、体内画像という場合がある)を撮像するカプセル型医療装置を例示し、この検知体であるカプセル型医療装置の位置を検出する位置検出システムを説明するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかる位置検出システム1は、患者等の被検体の体内画像を撮像するカプセル型医療装置2と、この被検体内部(すなわち3次元空間S)におけるカプセル型医療装置2の位置等を検出する位置検出装置3と、カプセル型医療装置2が撮像した体内画像等の無線信号を受信する受信装置4と、この受信装置4によって受信された体内画像等を表示する画像表示装置5とを備える。かかる位置検出システム1において、位置検出装置3は、カプセル型医療装置2からの共振磁界を誘発させる駆動磁界を発生する駆動磁界発生部10と、駆動磁界発生部10に印加する交流信号を発生する信号発生部11と、駆動磁界発生部10の磁界発生コイル(後述するドライブコイル10a,10b,10c)を切り替えるコイル切替部12と、カプセル型医療装置2からの共振磁界等を検出する磁界検出部13と、磁界検出部13による磁界検出データを受信する受信部14とを備える。また、位置検出装置3は、3次元空間Sにおけるカプセル型医療装置2の位置および方向を算出する位置方向算出部15と、各種情報を入力する入力部16と、3次元空間S(具体的には被検体内部)におけるカプセル型医療装置2の位置および方向等の情報を表示する表示部17と、かかるカプセル型医療装置2の位置および方向の算出処理に必要な情報等を記憶する記憶部18と、かかる位置検出装置3の各構成部を制御する制御部19とを備える。
【0029】
カプセル型医療装置2は、被検体の体内画像(被検体内情報の一例)を取得するカプセル型医療装置であり、撮像機能および無線通信機能を有する。カプセル型医療装置2は、患者等の被検体(図示せず)の消化管内部に導入され、この被検体の消化管内部を移動しつつ体内画像を順次撮像し、その都度、かかる体内画像等を含む画像信号を被検体外部の受信装置4に順次無線送信する。また、カプセル型医療装置2は、位置検出装置3の駆動磁界発生部10が放出した駆動磁界の作用によって共振磁界を発生する機能を有する。なお、かかるカプセル型医療装置2の詳細な構成については、後述する。
【0030】
受信装置4は、被検体内部のカプセル型医療装置2が撮像した体内画像等を受信する。具体的には、受信装置4は、複数の受信アンテナ4aを有する。複数の受信アンテナ4aは、体内にカプセル型医療装置2を導入される被検体の体表上に分散配置され、この被検体内部のカプセル型医療装置2からの無線信号を捕捉する。受信装置4は、かかる複数の受信アンテナ4aを介してカプセル型医療装置2からの無線信号を受信し、この受信した無線信号に対して復調処理等を行って、カプセル型医療装置2からの画像信号を取得する。その都度、受信装置4は、取得した画像信号に含まれる同期信号をタイミング信号として制御部19に送信する。一方、受信装置4は、この取得した画像信号、すなわち被検体の体内画像を含む画像信号を画像表示装置5に順次送信する。
【0031】
画像表示装置5は、被検体内部のカプセル型医療装置2が撮像した体内画像群等の各種情報を表示するワークステーション等のような構成を有する。画像表示装置5は、受信装置4を介してカプセル型医療装置2からの画像信号を取得し、その都度、取得した画像信号に対応する被検体の体内画像等の各種情報を表示する。また、画像表示装置5は、医師または看護師等のユーザが被検体の体内画像を観察(検査)して被検体を診断するための各種処理機能を有する。なお、かかる画像表示装置5によって表示される各種情報として、被検体の体内画像群の他に、例えば、被検体を特定する患者名および患者ID等の患者情報、被検体に対する検査を特定する検査IDおよび検査日等の検査情報等が挙げられる。
【0032】
駆動磁界発生部10は、体内にカプセル型医療装置2を導入した被検体(図示せず)を位置させる3次元空間S内に、この被検体内部のカプセル型医療装置2からの共振磁界を誘発させる磁界(駆動磁界)を発生する。具体的には、駆動磁界発生部10は、この3次元空間Sを規定する3軸直交座標系(以下、絶対座標系という)の各軸方向に駆動磁界を各々発生するドライブコイル10a〜10cを組み合わせて実現される。
【0033】
ドライブコイル10aは、コイル切替部12からの交流信号に基づいて絶対座標系のX軸方向の交番磁界を生成し、この生成した交番磁界をX軸方向の駆動磁界として3次元空間Sに放出する。ドライブコイル10bは、コイル切替部12からの交流信号に基づいて絶対座標系のY軸方向の交番磁界を生成し、この生成した交番磁界をY軸方向の駆動磁界として3次元空間Sに放出する。ドライブコイル10cは、コイル切替部12からの交流信号に基づいて絶対座標系のZ軸方向の交番磁界を生成し、この生成した交番磁界をZ軸方向の駆動磁界として3次元空間Sに放出する。かかるドライブコイル10a〜10cによる駆動磁界は、3次元空間S内のカプセル型医療装置2に印加され、このカプセル型医療装置2からの共振磁界を誘発させる。
【0034】
なお、かかる絶対座標系は、上述した駆動磁界発生部10に対して規定される3軸直交座標系であってもよいし、カプセル型医療装置2を消化管内部に含む被検体に対して規定される3軸直交座標系であってもよいし、この被検体を支持するベッド等の支持体(図示せず)に対して規定される3軸直交座標系であってもよい。
【0035】
信号発生部11は、駆動磁界発生部10に印加する交流信号を発生する。具体的には、信号発生部11は、ドライブコイル10a〜10cのうち、制御部19によって選択されたドライブコイルに印加する交流信号を生成し、この生成した交流信号をコイル切替部12に出力する。
【0036】
コイル切替部12は、3次元空間S内に駆動磁界を放出するドライブコイルを切り替えるためのものである。具体的には、コイル切替部12は、スイッチ回路等を用いて実現され、制御部19の制御に基づいて、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cの中から、3次元空間S内に駆動磁界を放出するドライブコイルを切り替える。この場合、コイル切替部12は、ドライブコイル10a〜10cの中から制御部19によって選択されたドライブコイルと信号発生部11とを接続し、この選択されたドライブコイルに信号発生部11からの交流信号を出力する。これによって、コイル切替部12は、この選択されたドライブコイル(ドライブコイル10a〜10cのいずれか)に、駆動磁界発生に必要な交流電流を供給する。
【0037】
磁界検出部13は、3次元空間S内に発生する磁界を検出する。具体的には、磁界検出部13は、例えば格子状に配列された複数の検出コイル13aを用いて実現され、これら複数の検出コイル13aによって3次元空間S内の磁界を検出する。磁界検出部13は、磁界を検出する都度、得られた磁界検出データを受信部14に送信する。なお、かかる磁界検出部13によって検出される3次元空間S内の磁界として、カプセル型医療装置2からの共振磁界、この共振磁界を除く3次元空間S内の磁界(以下、環境磁界という)、かかる共振磁界および環境磁界を含む3次元空間S内の全磁界(以下、空間内磁界という)が挙げられる。また、この3次元空間S内の環境磁界は、少なくとも駆動磁界発生部10による駆動磁界を含む磁界であり、この駆動磁界の他に、例えば、地磁気、駆動磁界発生部10以外の外部装置由来の磁界等が含まれる。なお、かかる磁界検出部13の検出コイル13aの配置数は、特に9つに限定されず、複数であればよい。また、かかる複数の検出コイル13aの配列は、格子状に限らず、所望の配列でもよい。
【0038】
受信部14は、磁界検出部13による磁界検出データを受信し、その都度、受信した磁界検出データに対して増幅処理、デジタル化処理およびFFT処理等の所定の信号処理を行う。受信部14は、制御部19の制御に基づいて、かかる信号処理済みの磁界検出データを制御部19に順次送信する。
【0039】
位置方向算出部15は、上述した磁界検出部13の磁界検出データをもとに、被検体内部(すなわち3次元空間S内部)におけるカプセル型医療装置2の位置および方向を算出する。具体的には、位置方向算出部15は、制御部19によって演算許可されたタイミングにおいて、3次元空間S内の空間内磁界の磁界検出データ(例えば磁界強度検出値)と駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値とを制御部19から取得し、この取得した空間内磁界の磁界強度検出値およびキャリブレーション値をもとに、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の3次元的な位置および方向を算出する。位置方向算出部15は、かかるカプセル型医療装置2の位置および方向を算出する都度、得られた算出結果をカプセル型医療装置2の位置方向情報として制御部19に順次送信する。
【0040】
なお、ここでいう駆動状態のドライブコイルとは、上述した駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cのうちの駆動磁界を放出した状態のドライブコイルである。また、キャリブレーション値とは、磁界検出部13によって検出された3次元空間S内の空間内磁界の磁界検出データからカプセル型医療装置2からの共振磁界の磁界検出データを抽出するための基準値であり、具体的には、上述した3次元空間S内の環境磁界の磁界検出データ(例えば磁界強度検出値)である。かかるキャリブレーション値には、ドライブコイル10aが放出したX軸方向の駆動磁界を含む環境磁界に対応するXキャリブレーション値と、ドライブコイル10bが放出したY軸方向の駆動磁界を含む環境磁界に対応するYキャリブレーション値と、ドライブコイル10cが放出したZ軸方向の駆動磁界を含む環境磁界に対応するZキャリブレーション値とがある。
【0041】
入力部16は、キーボードおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて、制御部19に対する各種指示情報等を入力する。なお、かかる入力部16によって入力される指示情報として、例えば、駆動状態のドライブコイルの切り替えを指示する指示情報、カプセル型医療装置2の位置方向情報を表示指示する指示情報、駆動磁界の放出等のカプセル型医療装置2の位置および方向の検出に必要な各種動作の終了を指示する指示情報、カプセル型医療装置2の位置方向情報の表示終了を指示する指示情報等が挙げられる。
【0042】
表示部17は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、制御部19によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部17は、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向を示す情報等を表示する。かかる表示部17は、被検体の体形を描出した模式画像、被検体の消化管を描出した模式画像、これらを組み合わせた模式画像、カプセル型医療装置2の外形を描出した模式画像等を適宜重畳表示することによって、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向を表示してもよいし、3次元空間Sの絶対座標系におけるカプセル型医療装置2の位置座標および方向ベクトル等によって、被検体内部におけるカプセル型医療装置2の位置および方向を表示してもよい。
【0043】
記憶部18は、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する各種記憶メディアを用いて実現される。記憶部18は、制御部19が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部19が読み出し指示した情報を制御部19に送出する。かかる記憶部18は、ドライブコイル10aによるX軸方向の駆動磁界を含む環境磁界に対応するXキャリブレーション値18aと、ドライブコイル10bによるY軸方向の駆動磁界を含む環境磁界に対応するYキャリブレーション値18bと、ドライブコイル10cによるZ軸方向の駆動磁界を含む環境磁界に対応するZキャリブレーション値18cとを記憶し、制御部19の制御に基づいて、かかるXキャリブレーション値18a、Yキャリブレーション値18bおよびZキャリブレーション値18cを適宜更新する。
【0044】
制御部19は、位置検出装置3の各構成部(具体的には、駆動磁界発生部10、信号発生部11、コイル切替部12、受信部14、位置方向算出部15、入力部16、表示部17および記憶部18)の動作を制御し、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部19は、入力部16によって入力された指示情報に基づいて、信号発生部11の交流信号発生動作、コイル切替部12のドライブコイル切替動作、表示部17の表示動作等を制御する。制御部19は、信号発生部11が発生する交流信号(すなわちドライブコイル10a〜10cに供給する交流電流の通電量)を制御し、この交流信号の制御を通して、ドライブコイル10a〜10cの駆動磁界を制御する。また、制御部19は、受信装置4からタイミング信号を取得し、この取得したタイミング信号に基づいて、位置方向算出部15によるカプセル型医療装置2の位置方向算出処理の禁止または実行を制御する。制御部19は、かかる位置方向算出処理が実行される都度、表示部17に表示されるカプセル型医療装置2の位置方向情報を最新のものに更新する。
【0045】
また、制御部19は、コイル選択部19aおよびデータ制御部19bを有する。コイル選択部19aは、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cの中から駆動磁界を放出すべきドライブコイルを選択する。具体的には、コイル選択部19aは、受信部14から磁界検出データ(すなわち磁界検出部13の磁界検出データ)を取得し、この取得した磁界検出データと予め設定された閾値とを比較する。コイル選択部19aは、この比較処理の結果をもとに、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cの中から、カプセル型医療装置2からの共振磁界の誘発に好適な駆動磁界を発生するドライブコイル(すなわち駆動磁界を放出すべきドライブコイル)を選択する。制御部19は、ドライブコイル10a〜10cの中から、かかるコイル選択部19aによって選択されたドライブコイルに切り替えるようにコイル切替部12を制御する。
【0046】
データ制御部19bは、磁界検出部13の磁界検出データの取捨選択を制御する。具体的には、データ制御部19bは、受信部14を介して磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。一方、データ制御部19bは、所定の時間間隔で受信装置4からタイミング信号を順次取得する。データ制御部19bは、かかるタイミング信号の取得タイミングに基づいて、磁界検出データの採用または破棄を決定する。なお、かかるデータ制御部19bによって採用された磁界検出データは、上述した位置方向算出部15によるカプセル型医療装置2の位置方向算出処理の演算データとして、または位置方向算出処理のキャリブレーション値(具体的にはXキャリブレーション値18a、Yキャリブレーション値18bまたはZキャリブレーション値18c)として用いられる。
【0047】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システム1のカプセル型医療装置2の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムのカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図2に示すように、この実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2は、被検体の消化管内部に導入可能な大きさのカプセル型筐体20と、被検体の体内画像を撮像する撮像ユニット21と、撮像ユニット21によって撮像された体内画像等を含む画像信号を生成する信号処理部22と、信号処理部22によって生成された画像信号を外部に無線送信する送信ユニット23と、上述した駆動磁界を受けて共振磁界を発生する共振磁界発生部24と、かかるカプセル型医療装置2の各構成部を制御する制御部25と、電池等によって実現される電源ユニット26とを備える。
【0048】
カプセル型筐体20は、被検体の消化管内部に導入可能な大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、一端がドーム形状をなす筒状筐体20aの他端(開口端)をドーム形状筐体20bによって塞いで形成される。ドーム形状筐体20bは、所定の波長帯域の光(例えば可視光)に対して透明な光学ドームである。一方、筒状筐体20aは、可視光に対して略不透明な筐体である。かかる筒状筐体20aとドーム形状筐体20bとによって形成されるカプセル型筐体20の内部には、撮像ユニット21、信号処理部22、送信ユニット23、共振磁界発生部24、制御部25、および電源ユニット26が液密状態に収容される。
【0049】
なお、上述した位置方向算出部15によって算出されるカプセル型医療装置2の方向は、カプセル型筐体20の長手軸CLの方向(長手軸方向)と、この長手軸CLに対して垂直な直交2軸方向(すなわちカプセル型筐体20の径方向)とによって決定される。
【0050】
撮像ユニット21は、制御部25の制御に基づいて所定の時間間隔で所定の機能を繰り返し実行する機能実行部の一例である。具体的には、撮像ユニット21は、被検体の体内画像を順次撮像する機能実行部であり、LED等の照明部21aと集光レンズ等の光学系21bと固体撮像素子21cとを備える。複数の照明部21aは、ドーム形状筐体20b越しに被写体(具体的には被検体の臓器内部)を照明し、光学系21bは、この照明された被写体からの反射光を集光して、固体撮像素子21cの受光面に被写体の光学像を結像する。固体撮像素子21cは、この被写体の光学像、すなわち被検体の体内画像を撮像する。
【0051】
信号処理部22は、かかる撮像ユニット21の固体撮像素子21cによって光電変換された信号を取得し、この取得した信号に対して所定の信号処理を行って、被検体の画像信号を生成する。信号処理部22は、かかる被検体の画像信号を送信ユニット23に順次送信する。なお、かかる信号処理部22によって生成された画像信号は、撮像ユニット21によって撮像された被検体の体内画像のデータおよび同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)等を含む。
【0052】
送信ユニット23は、コイル状の送信アンテナ23aを備え、この送信アンテナ23aを用いて被検体外部の受信装置4(図1参照)に被検体の画像信号を無線送信する。具体的には、送信ユニット23は、信号処理部22から被検体の画像信号を取得し、その都度、取得した画像信号に対して所定の変調処理等を行って、被検体の画像信号を含む無線信号を生成する。送信ユニット23は、送信アンテナ23aを介して、かかる無線信号を外部に順次送信する。かかる送信ユニット23によって送信された無線信号(すなわち被検体の画像信号)は、複数の受信アンテナ4aを介して受信装置4に受信される。
【0053】
共振磁界発生部24は、駆動磁界発生部10の駆動磁界(具体的にはドライブコイル10aによるX軸方向の駆動磁界、ドライブコイル10bによるY軸方向の駆動磁界またはドライブコイル10cによるZ軸方向の駆動磁界)を受けて共振磁界を発生する。詳細には、共振磁界発生部24は、LCマーカ24aとLC制御回路24bとを備える。LCマーカ24aは、コイルおよびコンデンサ等を用いて実現され、共振状態である場合に駆動磁界発生部10の駆動磁界に共振して共振磁界を放出する。なお、かかるLCマーカ24aによって放出される共振磁界は、駆動磁界発生部20の駆動磁界によって誘発(誘導)される誘導磁界である。LC制御回路24bは、制御部25の制御に基づいて、かかるLCマーカ24aの共振状態と非共振状態との切り替えを制御し、これによって、かかるLCマーカ24aの共振磁界の発生タイミングおよび停止タイミングを制御する。具体的には、LC制御回路24bは、制御部25によって指示されたタイミング(例えば体内画像の撮像タイミング)においてLCマーカ24aの共振状態を解除して非共振状態に切り替え、所定の期間、このLCマーカ24aの非共振状態を維持する。その後、LC制御回路24bは、LCマーカ24aの非共振状態を共振状態に切り替える。
【0054】
制御部25は、カプセル型医療装置2の各構成部(撮像ユニット21、信号処理部22、送信ユニット23、共振磁界発生部24)を制御し、且つ、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部25は、所定の時間間隔(例えば0.5秒間隔)で被検体の体内画像を順次撮像するように撮像ユニット21を制御し、撮像ユニット21によって撮像された被検体の体内画像等を含む画像信号を外部に順次無線送信するように信号処理部22および送信ユニット23を制御する。また、制御部25は、撮像ユニット21に被検体の体内画像を撮像させる都度、この体内画像の撮像タイミングにおいてLCマーカ24aの共振状態を解除する(すなわち共振状態から非共振状態に切り替える)ようにLC制御回路24bを制御する。すなわち、制御部25は、所定の時間間隔で順次繰り返される撮像ユニット21の各撮像タイミングにおいてLCマーカ24aの共振状態を解除するようにLC制御回路24bを制御する。
【0055】
電源ユニット26は、スイッチ回路およびボタン型の電池等を用いて実現され、スイッチ回路によってオン状態に切り替わった際に、上述した撮像ユニット21、信号処理部22、送信ユニット23および制御部25に対して電力を供給する。
【0056】
つぎに、かかるカプセル型医療装置2の共振磁界発生部24について詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の共振磁界発生部の一回路構成例を示す模式図である。共振磁界発生部24は、上述したように、LCマーカ24aとLC制御回路24bとを備える。
【0057】
詳細には、図3に示すように、LCマーカ24aは、上述した駆動磁界発生部10の駆動磁界に共振して共振磁界を発生させるLC共振回路27と、このLC共振回路27内の電流の迂回経路を形成する電流バイパス回路28とによって実現される。LC共振回路27は、コイル27aとコンデンサ27bとの並列接続によって実現され、かかるコイル27aとコンデンサ27bとによって規定される共振周波数を有する。かかるLC共振回路27は、共振状態である場合、駆動磁界発生部10の駆動磁界に共振して共振磁界を発生させ、上述した3次元空間Sに共振磁界を放出する。一方、LC共振回路27は、非共振状態である場合、駆動磁界発生部10の駆動磁界を受けても共振磁界を発生させない。
【0058】
電流バイパス回路28は、LC共振回路27に並列接続されてLC共振回路27内の電流の迂回経路を形成する。具体的には、電流バイパス回路28は、トランジスタ等のスイッチ素子28aを有し、このスイッチ素子28aとLC共振回路27との並列接続によって実現される。この場合、スイッチ素子28aの一方の端子(例えばコレクタ)は、コイル27aとコンデンサ27bの端子間の接点P1と接続され、スイッチ素子28aの他方の端子(例えばエミッタ)は、コイル27aとコンデンサ27bの端子間の接点P2と接続される。かかる電流バイパス回路28は、LC制御回路24bの制御に基づいてスイッチ素子28aのオンオフ状態を切り替え、スイッチ素子28aがオン状態の場合、LC共振回路27内の電流を迂回させてLC共振回路27の共振状態を解除し、スイッチ素子28aがオフ状態の場合、コイル27aとコンデンサ27bとの間において電流を交番させてLC共振回路27を共振状態にする。
【0059】
LC制御回路24bは、電流バイパス回路28の通電を制御してLC共振回路27の共振状態と非共振状態とを切り替える共振制御回路として機能する。具体的には、LC制御回路24bは、図3に示すように電流バイパス回路28と接続され、この電流バイパス回路28のスイッチ素子28aに入力するベース電流によって、この電流バイパス回路28の通電、すなわち、電流バイパス回路28にLC共振回路27内の電流を迂回させるか否かを制御する。LC制御回路24bは、かかる電流バイパス回路28の通電の制御を通して、LC共振回路27の共振状態と非共振状態とを切り替える。
【0060】
ここで、LC制御回路24bは、上述したカプセル型医療装置2の制御部25によって指示されたタイミング(撮像ユニット21の撮像タイミング)においてスイッチ素子28aに所定のベース電流を印加し、所定の期間、このベース電流の印加状態を維持する。これによって、スイッチ素子28aは、この撮像タイミングから所定の期間、オン状態になり、電流バイパス回路28は、LC共振回路27内の電流を通電可能な状態になる。この場合、LC共振回路27は、この所定の期間、共振状態を解除した状態(非共振状態)になる。すなわち、コイル27aが駆動磁界発生部10の駆動磁界を受けて電流を生成した場合、コイル27aの一端(接点P1側)からの電流は、接点P1を通過した後、コンデンサ27bに到達せずに電流バイパス回路28による迂回経路F3を通って接点P2に到達する。一方、このコイル27aの他端(接点P2側)からの電流は、接点P2を通過してコンデンサ27bに到達する(図3に示す経路F2参照)。かかる非共振状態のLC共振回路27は、駆動磁界発生部10の駆動磁界を受けても共振磁界を発生させない。
【0061】
一方、LC制御回路24bは、上述した撮像ユニット21の撮像タイミングと撮像タイミングからの所定の期間とを除く通常期間、電流バイパス回路28のスイッチ素子28aにベース電流を印加しない。これによって、スイッチ素子28aは、この通常期間においてオフ状態になり、電流バイパス回路28は、LC共振回路27内の電流を通電不可な状態になる。この場合、LC共振回路27は、この通常期間において、共振磁界を発生可能な状態、すなわち共振状態になる。かかる共振状態のLC共振回路27において、コイル27aが駆動磁界発生部10の駆動磁界を受けて電流を生成した場合、コイル27aの一端(接点P1側)からの電流は、上述した電流バイパス回路28による迂回経路F3を通らず、LC共振回路27内の経路F1を通ってコンデンサ27bに到達し、コイル27aの他端(接点P2側)からの電流は、LC共振回路27内の経路F2を通ってコンデンサ27bに到達する。かかる共振状態のLC共振回路27は、駆動磁界発生部10の駆動磁界に共振して共振磁界を発生させる。
【0062】
なお、かかる共振磁界発生部24に印加される駆動磁界発生部10の駆動磁界の周波数は、コイル27aとコンデンサ27bとによって規定されるLC共振回路27の共振周波数と略同一であることが望ましい。
【0063】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システム1の受信装置4について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの受信装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。図4に示すように、この実施の形態1にかかる位置検出システム1の受信装置4は、上述した複数の受信アンテナ4aと、複数の受信アンテナ4aの中から無線信号の受信に適した受信アンテナを選択するアンテナ選択部30と、複数の受信アンテナ4aを介して被検体の画像信号を受信する受信回路31とを備える。また、受信装置4は、被検体の体内画像群等の情報を記憶する記憶部32と、各種情報を入力する入力部33と、被検体の体内画像等の各種情報を表示する表示部34と、上述した画像表示装置5に被検体の画像信号を送信する送信インターフェース(以下、送信I/Fという)35と、位置検出装置3の制御部19に所定のタイミング信号を送信するタイミング信号送信部36と、かかる受信装置4の各構成部を制御する制御部37とを備える。
【0064】
アンテナ選択部30は、複数の受信アンテナ4aの中からカプセル型医療装置2との無線通信に適した受信アンテナを選択する。具体的には、アンテナ選択部30は、制御部37の制御に基づいて、複数の受信アンテナ4aのうちの最も受信電界強度が高い受信アンテナを選択し、この選択した受信アンテナと受信回路31とを接続する。アンテナ選択部30は、この選択した受信アンテナによって捕捉されたカプセル型医療装置2からの無線信号を受信回路31に送信する。
【0065】
受信回路31は、複数の受信アンテナ4aの中からアンテナ選択部30によって選択された受信アンテナを介して、カプセル型医療装置2からの画像信号を受信する。この場合、受信回路31は、アンテナ選択部30からカプセル型医療装置2からの無線信号を受信し、この受信した無線信号に対して所定の復調処理等を行って、この無線信号に含まれる画像信号を抽出する。かかる受信回路31によって抽出された画像信号は、カプセル型医療装置2によって無線送信された画像信号であり、カプセル型医療装置2の撮像ユニット21によって撮像された被検体の体内画像および同期信号等を含む。受信回路31は、かかるカプセル型医療装置2からの画像信号を制御部37に送信する。
【0066】
記憶部32は、制御部37が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部37が読み出し指示した情報を制御部37に送出する。かかる記憶部32が記憶する各種情報として、例えば、カプセル型医療装置2によって撮像された被検体の体内画像群、入力部33によって入力された情報等が挙げられる。なお、記憶部32は、RAM、EEPROM、フラッシュメモリまたはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する各種記憶メディアであってもよいし、受信装置4に対して着脱可能に挿着される可搬型の記録メディアであってもよい。
【0067】
入力部33は、入力ボタン等の入力デバイスを用いて実現され、入力操作に応じて制御部37に各種情報を入力する。かかる入力部によって入力される各種情報として、例えば、制御部37に対して指示する指示情報、体内にカプセル型医療装置2を導入する被検体の患者情報および検査情報等が挙げられる。
【0068】
表示部34は、液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、制御部37によって表示指示された各種情報を表示する。かかる表示部34が表示する各種情報として、例えば、カプセル型医療装置2が撮像した被検体の体内画像、この被検体の患者情報および検査情報等が挙げられる。
【0069】
送信I/F35は、制御部37によって送信指示された被検体の画像信号を画像表示装置5(図1参照)に順次送信する。なお、かかる送信I/F35は、無線通信によって画像表示装置5に被検体の画像信号を順次送信してもよいし、ケーブル等を介した有線通信によって画像表示装置5に被検体の画像信号を順次送信してもよい。
【0070】
タイミング信号送信部36は、3次元空間S内のカプセル型医療装置2が非共振状態であるタイミング(すなわち上述したLC共振回路27の共振状態が解除されるタイミング)を通知するためのタイミング信号を位置検出装置3の制御部19に送信する。かかるタイミング信号送信部36は、制御部37の制御に基づいて、LC共振回路27(図3参照)の共振状態が解除されたタイミングと略同一タイミングにタイミング信号を送信する。これによって、タイミング信号送信部36は、3次元空間S内のカプセル型医療装置2が非共振状態である旨を位置検出装置3の制御部19に通知する。
【0071】
制御部37は、受信装置4の各構成部(アンテナ選択部30、受信回路31、記憶部32、入力部33、表示部34、送信I/F35およびタイミング信号送信部36)を制御し、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部37は、入力部33によって入力された指示情報に基づいて、上述した記憶部32および表示部34の各動作を制御し、アンテナ選択部30および受信回路31の動作開始および動作終了を制御する。また、制御部37は、受信回路31から取得した画像信号の信号強度をもとにアンテナ選択部30による受信アンテナの切り替え動作を制御し、これによって、複数の受信アンテナ4aの中から最も受信電界強度が高い受信アンテナをアンテナ選択部30に選択させる。
【0072】
また、制御部37は、被検体の体内画像を生成する画像処理部37aと、タイミング信号を生成する信号生成部37bとを有する。画像処理部37aは、受信回路31によって抽出された画像信号を取得し、その都度、取得した画像信号に基づく画像データ、すなわちカプセル型医療装置2によって撮像された被検体の体内画像を生成する。制御部37は、かかる画像処理部37aによって生成された被検体の体内画像を記憶部32に順次記憶させ、且つ、かかる被検体の体内画像を表示部34に順次表示させる。
【0073】
信号生成部37bは、受信回路31によって抽出された画像信号を取得し、その都度、上述したタイミング信号を生成する。この場合、信号生成部37bは、受信回路31から取得した画像信号に含まれる同期信号(垂直同期信号または水平同期信号)を抽出し、この抽出した同期信号をタイミング信号とする。制御部37は、かかる信号生成部37bによってタイミング信号が生成される都度、得られたタイミング信号をタイミング信号送信部36に送信し、位置検出装置3の制御部19にタイミング信号を送信するようにタイミング信号送信部36を制御する。この結果、制御部37は、上述したLC共振回路27の共振状態が解除されたタイミングと略同一タイミングにおいて、タイミング信号送信部36にタイミング信号を送信させることができる。
【0074】
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システム1の動作について説明する。図5は、3次元空間S内部における検知体であるカプセル型医療装置2の位置および方向を検出する際の位置検出装置の処理手順を例示するフローチャートである。
【0075】
図5に示すように、位置検出装置3の制御部19は、まず、駆動磁界発生部10の各ドライブコイル10a〜10cについて初期のキャリブレーション値を取得する(ステップS101)。具体的には、制御部19は、検知体であるカプセル型医療装置2が存在していない空の3次元空間Sに、ドライブコイル10aによるX軸方向の駆動磁界を発生させる。この場合、磁界検出部13は、この空の3次元空間Sに発生した磁界、すなわちX軸方向の駆動磁界を含む環境磁界を検出する。制御部19は、この磁界検出部13による環境磁界の磁界強度検出値を取得し、この取得した環境磁界(すなわちX軸方向の駆動磁界を含む環境磁界)の磁界強度検出値を初期的なXキャリブレーション値とする。制御部19は、かかる初期的なXキャリブレーション値をXキャリブレーション値18aとして記憶部18に保存する。また、制御部19は、空の3次元空間Sに、ドライブコイル10bによるY軸方向の駆動磁界を発生させる。この場合、磁界検出部13は、この空の3次元空間Sに発生した磁界、すなわちY軸方向の駆動磁界を含む環境磁界を検出する。制御部19は、この磁界検出部13による環境磁界の磁界強度検出値を取得し、この取得した環境磁界(すなわちY軸方向の駆動磁界を含む環境磁界)の磁界強度検出値を初期的なYキャリブレーション値とする。制御部19は、かかる初期的なYキャリブレーション値をYキャリブレーション値18bとして記憶部18に保存する。また、制御部19は、空の3次元空間Sに、ドライブコイル10cによるZ軸方向の駆動磁界を発生させる。この場合、磁界検出部13は、この空の3次元空間Sに発生した磁界、すなわちZ軸方向の駆動磁界を含む環境磁界を検出する。制御部19は、この磁界検出部13による環境磁界の磁界強度検出値を取得し、この取得した環境磁界(すなわちZ軸方向の駆動磁界を含む環境磁界)の磁界強度検出値を初期的なZキャリブレーション値とする。制御部19は、かかる初期的なZキャリブレーション値をZキャリブレーション値18cとして記憶部18に保存する。
【0076】
なお、このステップS101において、空の3次元空間Sに対する駆動磁界発生部10の駆動磁界の発生順序は、駆動磁界を発生させるドライブコイル10a〜10cと制御部19が取得するキャリブレーション値とが対応していれば、所望の順序であってもよい。すなわち、かかる駆動磁界の発生順序は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の順でもよいし、X軸方向、Z軸方向、Y軸方向の順でもよいし、Y軸方向、X軸方向、Z軸方向の順でもよいし、Y軸方向、Z軸方向、X軸方向の順でもよいし、Z軸方向、X軸方向、Y軸方向の順でもよいし、Z軸方向、Y軸方向、X軸方向の順でもよい。
【0077】
上述したステップS101が完了した後、この3次元空間S内部(具体的には被検体内部)にカプセル型医療装置2が導入され、制御部19は、この検知体であるカプセル型医療装置2の存在空間、すなわち3次元空間Sに発生した磁界を測定する(ステップS102)。このステップS102において、制御部19は、ドライブコイル10a〜10cの中からコイル選択部19aによって選択されたドライブコイルに駆動磁界を発生させる。この場合、磁界検出部13は、この選択されたドライブコイルの駆動磁界とカプセル型医療装置2からの共振磁界とを含む空間内磁界を検出する。制御部19は、この磁界検出部13による空間内磁界の磁界強度検出値を3次元空間Sの磁界測定値として取得する。
【0078】
続いて、制御部19は、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の位置検出用磁界の磁界強度検出値を取得する(ステップS103)。このステップS103において、制御部19は、ドライブコイル10a〜10cのうちの駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値を記憶部18から読み出す。例えば、ステップS102における駆動状態のドライブコイルがドライブコイル10cである場合、制御部19は、この駆動状態のドライブコイル10cに対応するZキャリブレーション値18cを記憶部18から読み出す。制御部19は、上述したステップS102において取得した空間内磁界の磁界強度検出値から、この読み出したキャリブレーション値を減じて、この位置検出用磁界であるカプセル型医療装置2からの共振磁界の磁界強度検出値を算出する。
【0079】
つぎに、制御部19は、このステップS103において取得(算出)した共振磁界の磁界強度検出値が所定の規定値を超過したか否かを判断し(ステップS104)、この共振磁界の磁界強度検出値が規定値以下である場合(ステップS104,No)、現に3次元空間Sに発生している駆動磁界を変更する(ステップS105)。その後、制御部19は、上述したステップS102に戻り、このステップS102以降の処理手順を繰り返す。
【0080】
このステップS104,S105において、コイル選択部19aは、この共振磁界の磁界強度検出値と予め設定された規定値とを比較し、この共振磁界の磁界強度検出値が規定値以下である場合(すなわち、共振磁界の磁界強度検出値が位置検出用磁界として低い場合)、ドライブコイル10a〜10cの中から現に駆動状態のドライブコイル以外のドライブコイルを選択する。例えば、現に駆動状態のドライブコイルがドライブコイル10cである場合、コイル選択部19aは、このドライブコイル10c以外、すなわちドライブコイル10aまたはドライブコイル10bを選択する。制御部19は、現に駆動状態のドライブコイルから、このコイル選択部19aによって選択された他のドライブコイルに切り替えるようにコイル切替部12を制御し、これによって、3次元空間Sにおける駆動磁界を変更する。
【0081】
一方、制御部19は、ステップS104において共振磁界の磁界強度検出値が規定値を超過した場合(ステップS104,Yes)、この共振磁界の磁界強度検出値が位置検出用磁界として十分な値であり、この共振磁界の磁界強度検出値をもとに検知体の位置方向情報を算出する(ステップS106)。
【0082】
このステップS106において、制御部19は、磁界検出部13による空間内磁界の磁界強度検出値と駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値とを位置方向算出部15に送信し、この送信した磁界強度検出値とキャリブレーション値とをもとに検知体の位置方向情報を算出するように位置方向算出部15を制御する。この場合、位置方向算出部15は、制御部19から取得した空間内磁界の磁界強度検出値からキャリブレーション値を減じて、カプセル型医療装置2からの共振磁界の磁界強度検出値を算出し、この算出した共振磁界の磁界強度検出値をもとに、検知体であるカプセル型医療装置2の3次元空間S内部における位置および方向を算出する。制御部19は、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の位置方向情報として、かかる位置方向算出部15による位置および方向の算出結果を取得する。
【0083】
例えば、駆動状態のドライブコイルがドライブコイル10aである場合、制御部19は、磁界検出部13による空間内磁界の磁界強度検出値とドライブコイル10aに対応するXキャリブレーション値18aとを位置方向算出部15に送信する。位置方向算出部15は、この空間内磁界の磁界強度検出値からXキャリブレーション値18aを減じて共振磁界の磁界強度検出値を算出し、この算出した共振磁界の磁界強度検出値をもとに、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の位置方向情報を算出する。
【0084】
上述したステップS106を実行後、制御部19は、ステップS106において算出した検知体の位置方向情報を表示部17に表示させる(ステップS107)。このステップS107において、制御部19は、検知体であるカプセル型医療装置2の3次元空間S内部における現在の位置方向情報を表示部17に表示させ、これによって、この表示部17の表示情報(カプセル型医療装置2の位置方向情報、カプセル型医療装置2の軌跡情報等)を最新のものに更新する。
【0085】
その後、制御部19は、処理終了であるか否かを判断し(ステップS108)、処理終了である場合(ステップS108,Yes)、本処理を終了する。このステップS108において、制御部19は、入力部16によって処理終了を指示する指示情報が入力された場合に処理終了と判断する。
【0086】
一方、制御部19は、ステップS108において処理終了ではない場合(ステップS108,No)、3次元空間S内の駆動磁界を変更する必要があるか否かを判断する(ステップS109)。このステップS109において、制御部19は、上述したステップS102〜S104と同様の処理手順を行い、これによって得られた共振磁界の磁界強度検出値が所定の規定値以下である場合に駆動磁界変更の必要ありと判断し、この共振磁界の磁界強度検出値が所定の規定値を超過した場合に駆動磁界変更の必要なしと判断する。
【0087】
制御部19は、このステップS109において駆動磁界変更の必要なしと判断した場合(ステップS109,No)、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の位置方向情報またはキャリブレーション値を処理する位置検出/キャリブレーション処理を実行し(ステップS110)、その後、上述したステップS108に戻り、このステップS108以降の処理手順を繰り返す。一方、制御部19は、このステップS109において駆動磁界変更の必要ありと判断した場合(ステップS109,Yes)、3次元空間Sに駆動磁界を発生させるドライブコイルを切り替えるドライブコイル切替処理を実行し(ステップS111)、その後、上述したステップS108に戻り、このステップS108以降の処理手順を繰り返す。
【0088】
つぎに、上述したステップS110の位置検出/キャリブレーション処理について詳細に説明する。図6は、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの位置検出/キャリブレーション処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【0089】
上述したステップS110の位置検出/キャリブレーション処理において、位置検出装置3の制御部19は、図6に示すように、まず、受信装置4からのタイミング信号を監視しつつ磁界検出部13の磁界検出データを取得する(ステップS201)。このステップS201において、制御部19は、受信部14を介して磁界検出部13の磁界検出データのみを取得し、あるいは、この磁界検出データと受信装置4からのタイミング信号とを取得する。
【0090】
つぎに、制御部19は、上述したS201において磁界検出部13の磁界検出データとともに受信装置4からのタイミング信号を取得したか否かを判断する(ステップS202)。ここで、かかる磁界検出部13の磁界検出データは、受信装置4からのタイミング信号と異なる期間のものである場合、カプセル型医療装置2からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間S内の空間内磁界の磁界強度検出値であり、受信装置4からのタイミング信号と同じ期間のものである場合、3次元空間S内における実際的な環境磁界の磁界強度検出値である。制御部19は、この磁界検出データの取得タイミングにおいて受信装置4からのタイミング信号を取得していない場合(ステップS202,No)、この磁界検出データを用いて検知体の位置方向情報を算出する(ステップS203)。
【0091】
このステップS203において、データ制御部19bは、受信装置4からのタイミング信号と異なる期間に制御部19に取得された磁界検出データ、すなわち、カプセル型医療装置2からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間S内の空間内磁界の磁界強度検出値を位置方向算出部15の演算データとして採用する。制御部19は、データ制御部19bによって採用された空間内磁界の磁界強度検出値と駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値とを位置方向算出部15に送信し、この送信した磁界強度検出値とキャリブレーション値とをもとに、検知体であるカプセル型医療装置2の3次元空間S内部における位置および方向を算出するように位置方向算出部15を制御する。制御部19は、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の位置方向情報として、かかる位置方向算出部15による位置および方向の算出結果を取得する。
【0092】
その後、制御部19は、このステップS203において取得した検知体の位置方向情報を表示部17に表示させ(ステップS204)、その後、上述したステップS110にリターンする。このステップS204において、制御部19は、検知体であるカプセル型医療装置2の3次元空間S内部における現在の位置方向情報を表示部17に表示させ、これによって、この表示部17の表示情報(カプセル型医療装置2の位置方向情報、カプセル型医療装置2の軌跡情報等)を最新のものに更新する。
【0093】
一方、制御部19は、上述したステップS201において磁界検出部13の磁界検出データとともに受信装置4からのタイミング信号を取得した場合(ステップS202,Yes)、この磁界検出データの取得タイミングを判断する(ステップS205)。ここで、かかる磁界検出データの取得タイミングとして、制御部19が受信装置4からのタイミング信号を取得開始したタイミングと、制御部19が受信装置4からのタイミング信号を取得終了したタイミングと、かかる取得開始のタイミングと取得終了のタイミングとの間のタイミングとが挙げられる。
【0094】
制御部19は、この磁界検出データの取得タイミングがタイミング信号の取得開始タイミングである場合(ステップS205,開始時)またはタイミング信号の取得終了タイミングである場合(ステップS205,終了時)、この磁界検出データを破棄する(ステップS206)。このステップS205,S206において、データ制御部19bは、この磁界検出データの取得タイミングがタイミング信号の取得開始タイミングまたは取得終了タイミングと略一致することを確認し、このタイミング信号の取得開始タイミングまたは取得終了タイミングにおいて取得した磁界検出データを破棄する。制御部19は、このように磁界検出データを破棄することによって、このタイミング信号の取得開始タイミングにおける位置方向算出部15の位置方向算出処理を禁止する。
【0095】
続いて、制御部19は、表示部17によるカプセル型医療装置2の位置方向情報の表示を維持し(ステップS209)、その後、上述したステップS110にリターンする。ここで、制御部19は、現時点までに位置方向算出部15が算出したカプセル型医療装置2の位置方向情報のうちの最後の位置方向情報を表示部17に表示させており、このステップS209において、制御部19は、この表示部17の表示状態を維持する。
【0096】
一方、制御部19は、この磁界検出データの取得タイミングがタイミング信号の取得開始タイミングと取得終了タイミングとの間のタイミングである場合(ステップS205,取得最中)、この磁界検出データに基づくキャリブレーション値を取得する(ステップS207)。
【0097】
このステップS205,S207において、データ制御部19bは、この磁界検出データの取得タイミングがタイミング信号の取得開始タイミングと取得終了タイミングとの間のタイミング(すなわちタイミング信号の取得最中のタイミング)と略一致することを確認する。ここで、かかるタイミング信号の取得最中のタイミングにおいて制御部19が取得した磁界検出データは、カプセル型医療装置2が非共振状態である際の磁界検出部13の磁界検出データ、すなわち3次元空間S内部における実際的な環境磁界の磁界検出データである。データ制御部19bは、このタイミング信号の取得最中のタイミングにおける磁界検出データである環境磁界の磁界強度検出値を最新のキャリブレーション値として採用する。この場合、制御部19は、現に駆動状態のドライブコイル(ドライブコイル10a〜10cのいずれか)に対応する最新のキャリブレーション値として、この採用されたキャリブレーション値を取得する。なお、制御部19は、このように磁界検出データをキャリブレーション値として取得したタイミング、すなわちタイミング信号の取得最中のタイミングにおいて、位置方向算出部15の位置方向算出処理を禁止する。
【0098】
その後、制御部19は、このステップS207において取得したキャリブレーション値の更新処理を行い(ステップS208)、このステップS208を実行後、上述したステップS209に進む。そして、制御部19は、このステップS209を実行後、上述したステップS110にリターンする。このステップS208において、制御部19は、このステップS207において取得したキャリブレーション値を、現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値の最新情報として記憶部18に保存(上書き)し、これによって、キャリブレーション値を最新のものに更新する。
【0099】
つぎに、上述したステップS111のドライブコイル切替処理について詳細に説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムのドライブコイル切替処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【0100】
上述したステップS111のドライブコイル切替処理において、位置検出装置3の制御部19は、図7に示すように、まず、コイル切替部12によるドライブコイル10a〜10cの切替動作を開始させる(ステップS301)。このステップS301において、コイル選択部19aは、ドライブコイル10a〜10cの中から現に駆動状態のドライブコイル以外を選択する。具体的には、コイル選択部19aは、ドライブコイル10aが現に駆動状態である場合、ドライブコイル10b,10cのいずれかを選択し、ドライブコイル10bが現に駆動状態である場合、ドライブコイル10a,10cのいずれかを選択し、ドライブコイル10cが現に駆動状態である場合、ドライブコイル10a,10bのいずれかを選択する。制御部19は、かかるコイル選択部19aによって選択されたドライブコイルへの切り替え動作をコイル切替部12に開始させる。コイル切替部12は、かかる制御部19の制御に基づいて、現に駆動状態のドライブコイルをこの選択されたドライブコイルに切り替える切り替え動作を開始する。
【0101】
つぎに、制御部19は、受信部14を介して磁界検出部13の磁界検出データを取得し(ステップS302)、この取得した磁界検出データを破棄する(ステップS303)。このステップS303においてデータ制御部19bは、この磁界検出データの取得タイミングによらず、このステップS302において取得した全ての磁界検出データを破棄する。これによって、制御部19は、かかるドライブコイル切替処理の実行時において、位置算出部15の位置方向算出処理を禁止する。
【0102】
なお、このステップS302における磁界検出データの取得タイミングとして、例えば、タイミング信号の取得開始タイミング、タイミング信号の取得終了タイミング、タイミング信号の取得最中のタイミング、タイミング信号を取得していないタイミング等が挙げられる。
【0103】
続いて、制御部19は、表示部17によるカプセル型医療装置2の位置方向情報の表示を維持する(ステップS304)。ここで、制御部19は、現時点までに位置方向算出部15が算出したカプセル型医療装置2の位置方向情報のうちの最後の位置方向情報を表示部17に表示させており、このステップS304において、制御部19は、この表示部17の表示状態を維持する。
【0104】
その後、制御部19は、コイル切替部12によるドライブコイルの切替動作が終了したか否かを判断する(ステップS305)。制御部19は、このドライブコイルの切替動作が終了していないと判断した場合(ステップS305,No)、上述したステップS302に戻り、このステップS302以降の処理手順を繰り返す。一方、制御部19は、このドライブコイルの切替動作が終了したと判断した場合(ステップS305,Yes)、上述したステップS111にリターンする。なお、制御部19は、コイル切替部12にドライブコイルの切替動作を開始させてから所定の時間が経過した場合に、このドライブコイルの切替動作が終了したと判断する。
【0105】
つぎに、3次元空間S内部(具体的には被検体内部)におけるカプセル型医療装置2が所定の時間間隔で繰り返し実行する体内画像の撮像動作の1周期を例示して、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システム1の動作を具体的に説明する。図8は、本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの動作を具体的に説明するためのタイミングチャートである。なお、図8において、「体内画像の撮像」、「体内画像の送信」および「LCマーカ24aの共振状態解除」の各タイミングチャートは、この位置検出システム1におけるカプセル型医療装置2の動作タイミングを示すものであり、「タイミング信号の送信」のタイミングチャートは、この位置検出システム1における受信装置4の動作タイミングを示すものである。また、「タイミング信号の取得」および「磁界検出データの取得」の各タイミングチャートは、この位置検出システム1における位置検出装置3の制御部19の動作タイミングを示すものである。
【0106】
図8に示すように、3次元空間S内部のカプセル型医療装置2は、被検体の体内画像を撮像し、この撮像した体内画像の画像信号を外部の受信装置4に無線送信する。かかるカプセル型医療装置2において、LC制御回路24bは、制御部25によって通知された体内画像の撮像タイミング(詳細には撮像完了タイミング)から所定の時間遅延したタイミングにおいてLCマーカ24aの共振状態を解除する。LC制御回路24bは、このLCマーカ24aの共振状態を解除した状態(すなわちLCマーカ24aの非共振状態)を所定の期間維持する。この場合、LC制御回路24bは、制御部19による磁界検出データの取得周期(後述する単位時間t)の2倍以上の期間、LCマーカ24aの非共振状態を維持する。これによって、位置検出装置3の制御部19は、LCマーカ24aが非共振状態である期間内に、3次元空間S内部の環境磁界の磁界検出データを1以上確実に取得できるようになる。
【0107】
ここで、位置検出システム1は、このようにLCマーカ24aの共振状態解除のタイミングを撮像完了タイミングから所定時間遅延させることによって、このLCマーカ24aの共振状態解除のタイミングと、受信装置4がタイミング信号を送信するタイミングと、位置検出装置3の制御部19が受信装置4からのタイミング信号を取得するタイミングとを略同期(略一致)させることができる。
【0108】
一方、受信装置4は、かかるカプセル型医療装置2によって無線送信された被検体の画像信号を複数の受信アンテナ4aを介して受信する。かかる受信装置4において、タイミング信号送信部36は、図8に示すように、カプセル型医療装置2のLCマーカ24aの共振状態が解除されたタイミングと略同じタイミングにおいて、この画像信号の同期信号であるタイミング信号の送信を開始する。受信装置4は、上述したLCマーカ24aの共振状態が解除される期間と略同期間、かかるタイミング信号を位置検出装置3の制御部19に送信する。
【0109】
他方、位置検出装置3は、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cの中から駆動状態のドライブコイルを適宜切り替えつつ、磁界検出部13によって3次元空間Sにおける磁界を逐次検出する。かかる位置検出装置3において、制御部19は、図8に示すように、所定のクロック周波数によって規定される単位時間t毎に、受信装置4からのタイミング信号を監視しつつ磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。
【0110】
ここで、制御部19は、LCマーカ24aの共振状態が解除されたタイミングにおいて、受信装置4からのタイミング信号とともに磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。具体的には、制御部19は、このタイミング信号の取得開始タイミングから取得終了タイミングまでの期間T2において、3つの磁界検出データD1,D2,D3を順次取得する。この場合、データ制御部19bは、このタイミング信号の取得開始タイミングにおける磁界検出データD1と、このタイミング信号の取得終了タイミングにおける磁界検出データD3(例えば、この磁界検出データD1の次々回の磁界検出データ)とを破棄して無効なデータとする。一方、データ制御部19bは、このタイミング信号の取得開始タイミングと取得終了タイミングとの間のタイミングにおける磁界検出データD2(例えば、この磁界検出データD1の次回の磁界検出データ)を有効なデータとして採用する。
【0111】
制御部19は、この期間T2において有効な磁界検出データD2(すなわちカプセル型医療装置2からの共振磁界を除く3次元空間S内部の磁界である環境磁界の磁界強度検出値)を取得し、この取得した磁界検出データD2を、現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値として記憶部18に上書きする。具体的には、制御部19は、ドライブコイル10aが駆動状態である場合、このドライブコイル10aに対応するXキャリブレーション値18aとしてこの磁界検出データD2を記憶部18に上書きし、ドライブコイル10bが駆動状態である場合、このドライブコイル10bに対応するYキャリブレーション値18bとしてこの磁界検出データD2を記憶部18に上書きし、ドライブコイル10cが駆動状態である場合、このドライブコイル10cに対応するZキャリブレーション値18cとしてこの磁界検出データD2を記憶部18に上書きする。このようにして、制御部19は、駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値の更新処理を達成する。なお、制御部19は、かかるキャリブレーション値の更新処理を実行する期間T2において、位置方向算出部15の位置方向算出処理を禁止する。
【0112】
一方、制御部19は、LCマーカ24aが共振状態である期間T1,T3において、単位時間t毎に磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。ここで、この期間T1,T3における磁界検出部13の磁界検出データは、カプセル型医療装置2からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間Sの空間内磁界の検出データ(具体的には磁界強度検出値)である。データ制御部19bは、位置方向算出部15の位置方向算出処理に有効なデータとして、かかる期間T1,T3における磁界検出データを採用する。制御部19は、かかる期間T1,T3における磁界検出データである空間内磁界の磁界強度検出値と、現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値とを位置方向算出部15に送信し、この送信した磁界強度検出値とキャリブレーション値とを用いた位置方向算出処理を位置方向算出部15に実行させる。
【0113】
なお、制御部19は、ドライブコイル10aが駆動状態である場合、このドライブコイル10aに対応するXキャリブレーション値と空間内磁界の磁界強度検出値とを用いた位置方向算出処理を位置方向算出部15に実行させ、ドライブコイル10bが駆動状態である場合、このドライブコイル10bに対応するYキャリブレーション値と空間内磁界の磁界強度検出値とを用いた位置方向算出処理を位置方向算出部15に実行させ、ドライブコイル10cが駆動状態である場合、このドライブコイル10cに対応するZキャリブレーション値と空間内磁界の磁界強度検出値とを用いた位置方向算出処理を位置方向算出部15に実行させる。
【0114】
このような位置検出システム1は、上述した期間T3以後の期間(図8に示す期間T4,T5等)においても、期間T2,T3の場合と同様に動作する。すなわち、位置検出システム1は、カプセル型医療装置2が共振状態である期間において、このカプセル型医療装置2の3次元空間S内部における位置方向情報を順次検出(算出)する。また、位置検出システム1は、例えばカプセル型医療装置2が被検体の体内画像を撮像する都度、定期的にカプセル型医療装置2の共振状態を解除し、この共振状態を解除した期間内に位置方向算出処理のキャリブレーション値を更新する。
【0115】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、検知体であるカプセル型医療装置の内部に、3次元空間内の駆動磁界に共振して共振磁界を発生させるLC共振回路と、このLC共振回路に並列に接続されてLC共振回路内の電流の迂回経路を形成する電流バイパス回路と、この電流バイパス回路の通電を制御してLC共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替えるLC制御回路とを設け、このカプセル型医療装置が所定の時間間隔で被検体の体内画像を撮像する都度、LC制御回路が、電流バイパス回路の通電を制御して定期的にLC共振回路の共振状態を所定期間解除する。また、受信装置が、このカプセル型医療装置から体内画像の画像信号を受信する都度、この画像信号内の同期信号をタイミング信号として位置検出装置に送信し、この位置検出装置が、かかるタイミング信号の取得期間内に検出した3次元空間内の磁界検出データをもとに、カプセル型医療装置の位置方向算出処理の基準値(キャリブレーション値)を取得、更新し、かかるタイミング信号の取得期間以外において、このキャリブレーション値と3次元空間内の磁界検出データとをもとにカプセル型医療装置の位置方向情報を算出する。このため、位置検出空間である3次元空間内にカプセル型医療装置が存在する状態であっても、このカプセル型医療装置存在下の3次元空間内における実際的な環境磁界データを検出でき、これによって、位置方向算出処理のキャリブレーション値を、3次元空間内の実際の環境磁界データに近似するキャリブレーション値になるように定期的に取得、更新することができる。この結果、3次元空間内にカプセル型医療装置を導入した後であっても、このカプセル型医療装置を除去せずに3次元空間内の実際的な環境磁界を検出でき、これによってカプセル型医療装置の位置検出精度を向上することができる。
【0116】
また、所定の時間間隔で定期的にキャリブレーション値を取得、更新するので、キャリブレーション値の取得タイミングと3次元空間内の磁界の検出タイミングとの間の時間間隔を可能な限り短くすることができ、これによって、システムの温度ドリフト等による位置方向算出処理への影響を小さく抑制することができ、この結果、カプセル型医療装置の位置検出精度を一層高めることができる。
【0117】
さらに、カプセル型医療装置内部のLC共振回路の共振状態が解除されたタイミングを示すタイミング信号として、このカプセル型医療装置が順次撮像する体内画像の画像信号内の同期信号を用いているので、かかるタイミング信号を外部に無線送信するための新たな回路構成をカプセル型医療装置内部に追加する必要がなく、これによって、カプセル型医療装置内部の部品点数の増加を極力抑制できるとともに、カプセル型医療装置の小型化を促進できる。
【0118】
また、LC制御回路が、電流バイパス回路のスイッチ素子に所定の電流(例えばベース電流)を印加し、このスイッチ素子をオン状態にすることによって、LC共振回路の共振状態を解除しているので、LC制御回路が電力を消費する期間を、LC共振回路の共振状態の解除を維持する期間のみに抑えることができ、これによって、カプセル型医療装置の消費電力を小さく抑えることができる。
【0119】
さらに、電流バイパス回路のスイッチ素子(すなわちLC共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替えるためのスイッチ素子)として、リードスイッチ等のスイッチ装置を用いず、トランジスタ等の電気的な素子を用いているので、回路構成を一層小型化できるとともに、消費電力を小さく抑えることができる。
【0120】
また、LC共振回路に対して電流バイパス回路を並列接続しているので、このLC共振回路の抵抗値の上昇等によってLC共振回路の共振磁界発生機能を阻害することなく、LC共振回路内の電流の迂回経路を形成することができる。
【0121】
(実施の形態1の変形例)
つぎに、本発明の実施の形態1の変形例について説明する。上述した実施の形態1では、被検体内部を蠕動運動等によって移動するカプセル型医療装置2の位置および方向を検出する位置検出システムにしていたが、この実施の形態1の変形例では、外部磁界によって磁気的に誘導(以下、磁気誘導という)されるカプセル型医療装置2の位置および方向を検出する位置検出システムにしている。
【0122】
図9は、本発明の実施の形態1の変形例にかかる位置検出システム1aの一構成例を模式的に示すブロック図である。図9に示すように、この実施の形態1の変形例にかかる位置検出システム1aは、上述した実施の形態1にかかる位置検出システム1に、カプセル型医療装置2を磁気誘導する磁気誘導装置6を追加した構成を有する。磁気誘導装置6は、カプセル型医療装置2を磁気誘導するための磁界を発生する磁界発生部6aと、磁界発生部6aのコイル(電磁石)に電流を供給するコイル用電源部6bと、カプセル型医療装置2の磁気誘導を操作する操作部6cと、磁気誘導に関する情報を表示する表示部6dと、各種情報を記憶する記憶部6eと、かかる磁気誘導装置6の各構成部を制御する磁気誘導制御部6fとを備える。なお、この変形例にかかる位置検出システム1aにおいて、カプセル型医療装置2は、特に図示しないが、カプセル型筐体内部に、永久磁石等の磁性体または電磁石(以下、単に磁石という)を備え、磁界発生部6aによる磁界の作用によって磁気誘導される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0123】
磁界発生部6aは、ヘルムホルツコイル等の電磁石を複数組み合わせて実現され、3次元空間S内部(詳細には被検体内部)のカプセル型医療装置2を誘導可能な磁界を発生する。具体的には、磁界発生部6aは、上述した絶対座標系の各軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に所望の強度をもつ磁界を単独または組み合わせて発生させ、これによって、この絶対座標系における3次元的な回転磁界または勾配磁界を形成する。かかる磁界発生部6aは、3次元空間S内部(詳細には被検体内部)のカプセル型医療装置2に3次元的な磁界(例えば回転磁界、勾配磁界等)を印加し、この印加した3次元的な磁界の作用によってカプセル型医療装置2を磁気誘導する。
【0124】
コイル用電源部6bは、磁気誘導制御部6fの制御に基づいて、磁界発生装置3の複数の電磁石(コイル)に対し、上述した3次元的な磁界の発生に必要な交流電流を供給する。なお、上述した磁界発生部6aの3次元的な磁界は、かかるコイル用電源部6bから供給される交流電流(コイル用電源部6bからの通電量)によって制御される。
【0125】
操作部6cは、ジョイスティックおよび入力ボタン等の入力デバイスを用いて実現され、入力操作に応じてカプセル型医療装置2の磁気誘導の操作情報を磁気誘導制御部6fに入力する。なお、かかる操作部6cによって入力される操作情報には、上述した絶対座標系におけるカプセル型医療装置2の誘導方向を指定する座標情報、このカプセル型医療装置2の磁気誘導時の速度情報等が含まれる。
【0126】
表示部6dは、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、磁気誘導制御部6fによって表示指示された各種情報を表示する。かかる表示部6dは、例えば、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の磁気誘導方向および磁気誘導速度、磁気誘導時にカプセル型医療装置2に作用する磁力の方向および大きさ、磁気誘導の操作情報の入力量等、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の磁気誘導に有用な情報を表示する。
【0127】
記憶部6eは、半導体メモリまたはハードディスク等の各種記憶メディアを用いて実現される。記憶部6eは、磁気誘導制御部6fによって記憶指示された各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から磁気誘導制御部6fによって読み出し指示された情報を磁気誘導制御部6fに送出する。かかる記憶部6eが記憶する各種情報として、例えば、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置の磁気誘導方向および磁気誘導速度、上述した位置検出装置3によって検出(算出)されたカプセル型医療装置2の位置方向情報等が挙げられる。
【0128】
磁気誘導制御部6fは、磁気誘導装置6の各構成部(具体的には、磁界発生部6a、コイル用電源部6b、操作部6c、表示部6dおよび記憶部6e)の動作を制御し、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、磁気誘導制御部6fは、操作部6cによって入力された操作情報に基づいて、磁界発生部6aの3次元的な磁界の磁界方向および磁界強度を制御してカプセル型医療装置2の磁気誘導を制御する。この場合、磁気誘導制御部6fは、上述した位置検出装置3の制御部19からカプセル型医療装置2の位置方向情報を取得し、この取得した位置方向情報を参考にしてカプセル型医療装置2の磁気誘導を制御する。磁気誘導制御部6fは、磁界発生部6aに対するコイル用電源部6bの通電量を制御し、この通電量の制御を通して磁界発生部6aの3次元的な磁界の磁界方向および磁界強度を制御する。また、磁気誘導制御部6fは、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置2の磁気誘導の状況に応じて、このカプセル型医療装置2の磁気誘導に有用な情報を表示部6dに表示させる。
【0129】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1の変形例では、検知体であるカプセル型医療装置に磁気誘導のための磁石をさらに内蔵し、この磁石内蔵タイプのカプセル型医療装置を3次元空間内部において磁気誘導する磁気誘導装置をさらに備えるようにし、その他を実施の形態1と同様に構成した。このため、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、3次元空間内部(具体的には被検体内部)における所望の位置および方向に磁気誘導されるカプセル型医療装置の位置方向情報を検出でき、かかるカプセル型医療装置の磁気誘導に位置方向情報を役立てることが可能な位置検出システムを実現することができる。
【0130】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型医療装置2が体内画像を撮像する都度、このカプセル型医療装置2の共振状態を定期的に解除していたが、この実施の形態2では、位置検出装置側からカプセル型医療装置に共振状態の解除を要求し、この要求に応じてカプセル型医療装置が共振状態を解除するようにしている。
【0131】
図10は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図10に示すように、この実施の形態2にかかる位置検出システム41は、上述した実施の形態1にかかる位置検出システム1のカプセル型医療装置2に代えてカプセル型医療装置42を備え、位置検出装置3に代えて位置検出装置43を備え、受信装置4に代えて受信装置44を備える。この位置検出装置43は、上述した実施の形態1にかかる位置検出装置3の信号発生部11に代えて信号発生部51を備え、制御部19に代えて制御部59を備える。また、かかる位置検出システム41において、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cは、上述した駆動磁界発生機能と、共振状態解除の要求信号をカプセル型医療装置42に無線送信するための送信アンテナ機能とを兼ね備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0132】
カプセル型医療装置42は、被検体の体内画像の撮像動作毎に共振状態を定期的に解除する代わりに、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cを介して位置検出装置43側からの要求信号を受信し、この受信した要求信号に基づいて共振状態を解除する。なお、かかるカプセル型医療装置42が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかる位置検出システム1のカプセル型医療装置2と同様である。
【0133】
受信装置44は、上述したタイミング信号を生成する機能と位置検出装置側にタイミング信号を送信する機能とを有しておらず、これらの機能以外、上述した実施の形態1にかかる位置検出システム1の受信装置4と同様の機能を有する。
【0134】
信号発生部51は、上述した実施の形態1にかかる位置検出装置3の信号発生部11と同様の交流信号発生機能と、カプセル型医療装置42の共振状態の解除を要求する要求信号の変調信号を生成する変調信号発生部機能とを兼ね備える。かかる信号発生部51は、制御部59によって送信指示された要求信号の変調信号を生成し、この生成した変調信号をコイル切替部12に送信する。かかる信号発生部51によって生成された変調信号は、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cのいずれか(すなわちコイル選択部19aによって選択された駆動状態のドライブコイル)を介してカプセル型医療装置42に受信される。
【0135】
制御部59は、上述した実施の形態1にかかる位置検出装置3のコイル選択部19aを有し、データ制御部19bに代えてデータ制御部59bを有し、要求信号生成部59cをさらに有する。データ制御部59bは、共振状態解除の要求信号の出力を監視しつつ、受信部14を介して磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。データ制御部59bは、かかる要求信号の出力タイミングに基づいて磁界検出データの採用または破棄を順次決定する。要求信号生成部59cは、予め所定の時間が設定され、この設定時間が経過する毎に、共振状態解除の要求信号を定期的に生成する。かかる要求信号生成部59cの設定時間は、入力部16の入力情報によって所望の時間に設定できる。制御部59は、かかる要求信号生成部59cによって生成された要求信号を信号発生部51に送信し、この送信した要求信号の変調信号を出力するように信号発生部51を制御する。なお、かかる制御部59が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかる位置検出装置3の制御部19と同様である。
【0136】
つぎに、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システム41のカプセル型医療装置42の構成について詳細に説明する。図11は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムのカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。図11に示すように、この実施の形態2にかかるカプセル型医療装置42は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2の共振磁界発生部24に代えて共振磁界発生部64を備え、制御部25に代えて制御部65を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0137】
共振磁界発生部24は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2のLCマーカ24aを備え、LC制御回路24bに代えてLC制御回路64bを備え、上述した要求信号の変調信号を復調する復調回路64cをさらに備える。なお、この共振磁界発生部24において、LCマーカ24aは、上述した共振磁界の発生機能と、信号発生部51によって生成された要求信号の変調信号を受信する受信アンテナとしての機能とを兼ね備える。復調回路64cは、LCマーカ24aによって受信された位置検出装置43からの変調信号を共振状態解除の要求信号に復調し、この得られた要求信号をLC制御回路64bに送信する。LC制御回路64bは、LCマーカ24aの共振状態と非共振状態との切り替えを制御する。かかるLC制御回路64bは、復調回路64cから取得した共振状態解除の要求信号に基づいて、LCマーカ24aの共振状態を解除して非共振状態に切り替え、所定の期間、このLCマーカ24aの非共振状態を維持する。その後、LC制御回路64bは、LCマーカ24aの非共振状態を共振状態に切り替える。
【0138】
制御部65は、体内画像の撮像タイミング毎に共振状態の解除を指示する機能を有しておらず、この機能以外、上述した実施の形態1にかかるカプセル型医療装置2の制御部25と同様の機能を有する。すなわち、制御部65の制御機能は、LCマーカ24aの共振状態の解除機能に寄与しない。
【0139】
つぎに、かかるカプセル型医療装置42の共振磁界発生部64について詳細に説明する。図12は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の共振磁界発生部の一回路構成例を示す模式図である。共振磁界発生部64は、上述したように、LCマーカ24aと、LC制御回路64bと、復調回路64cとを備える。
【0140】
詳細には、図12に示すように、LC制御回路64bは、所定の基準信号を発生する基準信号発生器72と、この基準信号と復調回路64cからの信号とを比較するコンパレータ73と、コンパレータ73からの出力信号に基づいてLCマーカ24aの共振状態を所定の期間解除するタイマー回路74とを用いて実現される。復調回路64cは、ローパスフィルタ71等を用いた回路構成によって実現される。なお、LCマーカ24aは、上述した実施の形態1の場合と略同様に、LC共振回路27と電流バイパス回路28との並列接続による回路構成を有する。
【0141】
かかる共振磁界発生部64において、LC共振回路27は、上述したドライブコイル10a〜10cの磁界によって送信された位置検出装置43からの変調信号をコイル27aによって受信し、この受信した変調信号を電流バイパス回路28を介して復調回路64cに送信する。なお、かかる位置検出装置43からの変調信号は、LCマーカ24a(詳細にはLC共振回路27)の共振状態解除の要求信号を変調した信号である。復調回路64は、かかるLCマーカ24aから受信した位置検出装置43からの変調信号を共振状態解除の要求信号に復調し、得られた要求信号をLC制御回路64bのコンパレータ73に送信する。
【0142】
LC制御回路64bにおいて、コンパレータ73は、復調回路64cからの信号と基準信号発生器72からの基準信号とを比較し、この比較結果に対応してハイレベルまたはローレベルの制御信号をタイマー回路74に送信する。具体的には、コンパレータ73は、基準信号発生器72からの基準信号に比して高レベルの信号を復調回路64cから取得した場合、タイマー回路74にローレベルの制御信号を出力する。一方、コンパレータ73は、基準信号発生器72からの基準信号に比して低レベルの信号(すなわち、復調回路64cによって復調された共振状態解除の要求信号)を復調回路64cから取得した場合、タイマー回路74にハイレベルの制御信号を出力する。
【0143】
タイマー回路74は、予め所定の時間が設定され、かかるコンパレータ73からの制御信号に基づいてLC共振回路27を共振状態または非共振状態にする。具体的には、タイマー回路74は、コンパレータ73からローレベルの制御信号を取得した場合、電流バイパス回路28のスイッチ素子28aにベース電流を印加せず、これによって、LC共振回路27を共振状態に維持する。一方、タイマー回路74は、コンパレータ73からハイレベルの制御信号を取得した場合、電流バイパス回路28のスイッチ素子28aにベース電流を印加し、この設定時間が経過するまで、このベース電流の印加状態を維持する。これによって、タイマー回路74は、LC共振回路27の共振状態を解除して非共振状態に切り替え、所定の期間、この非共振状態を維持する。その後、タイマー回路74は、スイッチ素子28aに対するベース電流の印加を停止し、これによって、LC共振回路27を共振状態に切り替える。
【0144】
つぎに、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システム41の動作について説明する。図13は、3次元空間S内部における検知体であるカプセル型医療装置42の位置および方向を検出する際の位置検出装置の処理手順を例示するフローチャートである。
【0145】
図13に示すように、位置検出装置43の制御部59は、上述した図5に示したステップS101〜S103と同様に、まず、駆動磁界発生部10の各ドライブコイル10a〜10cについて初期のキャリブレーション値を取得し(ステップS401)、この3次元空間S内部(具体的には被検体内部)にカプセル型医療装置42が導入された後、このカプセル型医療装置42の存在空間である3次元空間Sに発生した磁界を測定し(ステップS402)、続いて、3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置42の位置検出用磁界の磁界強度検出値を取得する(ステップS403)。
【0146】
つぎに、制御部59は、上述したステップS104と同様に、ステップS403において取得(算出)した共振磁界の磁界強度検出値が所定の規定値を超過したか否かを判断し(ステップS404)、この共振磁界の磁界強度検出値が規定値以下である場合(ステップS404,No)、上述したステップS105と同様に、現に3次元空間Sに発生している駆動磁界を変更する(ステップS405)。その後、制御部59は、上述したステップS402に戻り、このステップS402以降の処理手順を繰り返す。
【0147】
一方、制御部59は、ステップS404において共振磁界の磁界強度検出値が規定値を超過した場合(ステップS404,Yes)、この共振磁界の磁界強度検出値が位置検出用磁界として十分な値であり、上述したステップS106,S107と同様に、この共振磁界の磁界強度検出値をもとに検知体の位置方向情報を算出し(ステップS406)、この算出した検知体の位置方向情報を表示部17に表示させる(ステップS407)。
【0148】
その後、制御部59は、上述したステップS108と同様に、処理終了であるか否かを判断し(ステップS408)、処理終了である場合(ステップS408,Yes)、本処理を終了する。一方、制御部59は、ステップS408において処理終了ではない場合(ステップS408,No)、位置方向算出処理の基準値であるキャリブレーション値の取得、更新を要求するキャリブレーション要求の有無を判断する(ステップS409)。
【0149】
このステップS409において、制御部59は、前回キャリブレーション値を取得し更新してから所定の時間が経過した場合、キャリブレーション要求ありと判断し、所定の時間が未だ経過していない場合、キャリブレーション要求なしと判断する。制御部59は、キャリブレーション要求ありの場合(ステップS409,Yes)、カプセル型医療装置42の共振状態解除を要求して位置方向算出処理のキャリブレーション値を取得、更新するキャリブレーション処理を実行し(ステップS410)、その後、上述したステップS408に戻り、このステップS408以降の処理手順を繰り返す。一方、制御部19は、キャリブレーション要求なしの場合(ステップS409,No)、既存のキャリブレーション値を用いてカプセル型医療装置42の位置方向情報を算出する位置検出処理を実行し(ステップS411)、その後、上述したステップS408に戻り、このステップS408以降の処理手順を繰り返す。
【0150】
なお、制御部59は、上述したステップS408〜S411の処理手順において、上述したステップS109と同様に駆動磁界変更が必要であるか否かを判断する判断処理を追加し、この判断処理によって駆動磁界変更の必要ありと判断した場合、上述したステップS111と同様にドライブコイル切替処理を実行してもよい。
【0151】
つぎに、上述したステップS410のキャリブレーション処理について詳細に説明する。図14は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムのキャリブレーション処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【0152】
上述したステップS410のキャリブレーション処理において、位置検出装置43の制御部59は、図14に示すように、まず、3次元空間S内部のカプセル型医療装置42に対して共振状態解除の要求信号を出力する(ステップS501)。このステップS501において、要求信号生成部59cは、予め設定された時間間隔で共振状態解除の要求信号を生成する。なお、かかる要求信号生成部59cが生成する要求信号は、3次元空間S内部のカプセル型医療装置42に対して共振状態の解除を要求するための信号である。制御部59は、かかる共振状態解除の要求信号の変調信号を生成出力するように信号発生部51を制御する。かかる要求信号の変調信号は、上述したように、駆動状態のドライブコイル(ドライブコイル10a〜10cのいずれか)を介して3次元空間S内部のカプセル型医療装置42に送信される。
【0153】
つぎに、制御部59は、受信部14を介して磁界検出部13の磁界検出データを取得し(ステップS502)、この取得した磁界検出データが共振状態解除時の磁界検出データであるか否かを判断する(ステップS503)。このステップS502,S503において、データ制御部59bは、磁界検出部13によって検出された3次元空間S内部の磁界検出データを取得し、この取得した磁界検出データと位置検出時の磁界検出データとを比較する。
【0154】
ここで、かかる位置検出時の磁界検出データは、カプセル型医療装置42の位置方向算出処理に用いられる磁界検出データであり、カプセル型医療装置42からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間Sの空間内磁界の磁界検出データである。このステップS502において取得した磁界検出データは、カプセル型医療装置42の共振状態解除時の磁界検出データである場合、かかる位置検出時の磁界検出データと異なる。このことに基づいて、データ制御部59bは、この取得した磁界検出データが位置検出時の磁界検出データと異なる場合、カプセル型医療装置42の共振状態解除時の磁界検出データであると判断し、この取得した磁界検出データが位置検出時の磁界検出データと略同じである場合、カプセル型医療装置42の共振状態時の磁界検出データ(すなわちカプセル型医療装置42からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間Sの空間内磁界の磁界検出データ)であると判断する。
【0155】
制御部59は、ステップS502において取得した磁界検出データが共振状態解除時の磁界検出データである場合(ステップS503,Yes)、かかる共振状態解除時の磁界検出データを予め設定された規定数取得したか否かを判断する(ステップS504)。制御部59は、かかる共振状態解除時の磁界検出データを所定の規定数取得していない場合(ステップS504,No)、上述したステップS502に戻り、このステップS502以降の処理手順を繰り返す。
【0156】
一方、制御部59は、かかる共振状態解除時の磁界検出データを所定の規定数取得した場合(ステップS504,Yes)、この取得した規定数分の共振状態解除時の磁界検出データをもとに位置方向算出処理のキャリブレーション値を算出する(ステップS505)。このステップS505において、制御部59は、かかる規定数分の共振状態解除時の磁界検出データを平均化処理し、これによって得られた共振状態解除時の磁界検出データの平均値を、現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値として取得する。
【0157】
続いて、制御部59は、ステップS505において算出したキャリブレーション値の更新処理を行い(ステップS506)、その後、上述したステップS410にリターンする。このステップS506において、制御部59は、コイル選択部19aによって選択された駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値の最新情報として、このステップS505におけるキャリブレーション値を記憶部18に上書きする。これによって、記憶部18内のキャリブレーション値(詳細にはXキャリブレーション値18a、Yキャリブレーション値18bおよびZキャリブレーション値18cのいずれか)は、最新のものに更新される。
【0158】
一方、制御部59は、ステップS502において取得した磁界検出データが共振状態解除時の磁界検出データではない場合(ステップS503,No)、上述したステップS501〜S503の処理手順を所定の規定回数繰り返したか否かを判断する(ステップS507)。制御部59は、ステップS501〜S503の処理手順を未だ規定回数繰り返していない場合(ステップS507,No)、上述したステップS501に戻り、このステップS501以降の処理手順を繰り返す。一方、制御部59は、ステップS501〜S503の処理手順を規定回数(例えば3回)繰り返した場合(ステップS507,Yes)、カプセル型医療装置42の共振状態が解除されていない旨を示すエラー情報を表示部17に表示させるとともに、このエラー情報を記憶部18に記録する(ステップS508)。その後、制御部59は、上述したステップS410にリターンする。
【0159】
つぎに、上述したステップS411の位置検出処理について詳細に説明する。図15は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムの位置検出処理の処理手順を例示するフローチャートである。上述したステップS411の位置検出処理において、位置検出装置43の制御部59は、図15に示すように、まず、受信部14を介して磁界検出部13の磁界検出データを取得する(ステップS601)。
【0160】
ここで、このステップS601において取得した磁界検出データは、3次元空間S内部のカプセル型医療装置42が共振状態である場合に磁界検出部13によって検出されたものであり、このカプセル型医療装置42からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間Sの空間内磁界の磁界検出データである。データ制御部59bは、このステップS601において取得した磁界検出データを、位置方向算出部15の位置方向算出処理の演算データとして採用する。
【0161】
つぎに、制御部59は、位置方向算出部15の位置方向算出処理に用いるキャリブレーション値を記憶部18から読み出す(ステップS602)。このステップS602において、制御部59は、記憶部18内のXキャリブレーション値18a、Yキャリブレーション値18bおよびZキャリブレーション値18cの中から、コイル選択部19aによって選択された現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値を読み出す。具体的には、制御部59は、ドライブコイル10aが駆動状態のドライブコイルである場合、記憶部18からXキャリブレーション値18aを読み出し、ドライブコイル10bが駆動状態のドライブコイルである場合、記憶部18からYキャリブレーション値18bを読み出し、ドライブコイル10cが駆動状態のドライブコイルである場合、記憶部18からZキャリブレーション値18cを読み出す。
【0162】
続いて、制御部59は、検知体の位置方向情報、すなわち3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置42の位置方向情報を算出する(ステップS603)。このステップS603において、制御部59は、ステップS601における磁界検出データ(具体的には3次元空間Sの空間内磁界の磁界強度検出値)とステップS602におけるキャリブレーション値とを位置方向算出部15に送信し、この送信した磁界検出データとキャリブレーション値とを用いたカプセル型医療装置42の位置方向算出処理を実行するように位置方向算出部15を制御する。制御部59は、かかる位置方向算出部15の算出結果(すなわち3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置42の位置方向情報)を取得する。
【0163】
つぎに、制御部59は、ステップS603において算出した検知体の位置方向情報、すなわち3次元空間S内部におけるカプセル型医療装置42の位置方向情報を表示部17に表示させ(ステップS604)、その後、上述したステップS411にリターンする。このステップS604において、制御部59は、検知体であるカプセル型医療装置42の3次元空間S内部における現在の位置方向情報を表示部17に表示させ、これによって、この表示部17の表示情報(カプセル型医療装置42の位置方向情報、カプセル型医療装置42の軌跡情報等)を最新のものに更新する。
【0164】
つぎに、3次元空間S(具体的には被検体内部)のカプセル型医療装置42の共振状態解除を要求する要求信号の出力動作の1周期を例示して、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システム41の動作を具体的に説明する。図16は、本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムの動作を具体的に説明するためのタイミングチャートである。なお、図16において、「要求信号の出力」、「キャリブレーション処理」および「磁界検出データの取得」の各タイミングチャートは、この位置検出システム41における位置検出装置43の制御部59の動作タイミングを示すものであり、「コンパレータの出力」および「タイマー動作」の各タイミングチャートは、この位置検出システム41におけるカプセル型医療装置42の動作タイミングを示すものである。
【0165】
位置検出装置43は、駆動磁界発生部10のドライブコイル10a〜10cの中から駆動状態のドライブコイルを適宜切り替えつつ、磁界検出部13によって3次元空間Sにおける磁界を逐次検出する。かかる位置検出装置43において、制御部59は、図16に示すように、単位時間t毎に磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。
【0166】
また、位置検出装置43は、所定のタイミングにおいてカプセル型医療装置42の共振状態の解除を要求する要求信号を出力する。かかる位置検出装置43において、要求信号生成部59cは、所定の時間間隔で定期的に共振状態解除の要求信号を生成し、制御部59は、かかる共振状態解除の要求信号を出力するように信号発生部51を制御する。信号発生部51は、かかる共振状態解除の要求信号を変調した変調信号をコイル切替部12を介して駆動磁界発生部10に出力する。かかる変調信号は、現に駆動状態のドライブコイル(ドライブコイル10a〜10cのいずれか)の駆動磁界を短時間変化させる(例えば短時間零磁場にする)ことによって、3次元空間S内部のカプセル型医療装置42に送信される。
【0167】
この3次元空間S内部のカプセル型医療装置42は、かかる駆動磁界の短時間変化によって送信された位置検出装置43からの変調信号を受信する。かかるカプセル型医療装置42において、LCマーカ24aは、この位置検出装置43からの変調信号を受信し、復調回路64cは、このLCマーカ24aが受信した変調信号を共振状態解除の要求信号に復調する。LC制御回路64bのコンパレータ73は、かかる共振状態解除の要求信号を受けてタイマー回路74にハイレベルの制御信号を送信する。
【0168】
タイマー回路74は、このコンパレータ73から受信したハイレベルの制御信号に基づいて、LCマーカ24aの共振状態を解除して非共振状態に切り替え、所定の期間、この非共振状態を維持する。この場合、タイマー回路74は、このハイレベルの制御信号を受信してから所定の時間が経過するまでの期間、LCマーカ24aのスイッチ素子28aにベース電流を印加し続けて電流バイパス回路28を通電可能な状態に維持し、これによって、LC共振回路27の共振状態を解除し続ける(図12参照)。
【0169】
なお、かかるタイマー回路74は、制御部59による磁界検出データの取得周期(単位時間t)の2倍以上の期間、望ましくは3倍以上の期間、LCマーカ24aの非共振状態を維持する。これによって、位置検出装置3の制御部19は、LCマーカ24aが非共振状態である期間内に、3次元空間S内部の環境磁界の磁界検出データを確実に1以上または複数取得できるようになる。
【0170】
一方、位置検出装置43は、カプセル型医療装置42に対する共振状態解除の要求信号を出力してから所定の時間が経過するまでの期間T12において、複数の磁界検出データD11〜D15を順次取得する。かかる位置検出装置43において、データ制御部59bは、上述したタイマー回路74の動作ばらつきを考慮して、これら複数の磁界検出データD11〜D15のうち、この期間T12の最初に取得した磁界検出データD11と最後に取得した磁界検出データD15とを破棄して無効なデータとする。一方、データ制御部59bは、期間T12の開始から単位時間tが経過した後のタイミングから期間T12の終了から単位時間tだけ遡ったタイミングまでに取得した磁界検出データD12,D13,D14を有効なデータとして採用する。
【0171】
なお、かかる期間T12の開始から単位時間tが経過した後のタイミングから期間T12の終了から単位時間tだけ遡ったタイミングまでの期間は、カプセル型医療装置42のLC共振回路27の共振状態を解除した状態(すなわち非共振状態)が維持されている期間と略同じである。
【0172】
制御部59は、この期間T12において有効な磁界検出データD12,D13,D14(すなわちカプセル型医療装置42からの共振磁界を除く3次元空間S内部の磁界である環境磁界の磁界強度検出値)を取得し、この取得した磁界検出データD12,D13,D14を平均化処理する。制御部59は、かかる磁界検出データD12,D13,D14の平均値を、現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値として記憶部18に上書きする。具体的には、制御部59は、ドライブコイル10aが駆動状態である場合、このドライブコイル10aに対応するXキャリブレーション値18aとしてこの磁界検出データD12,D13,D14の平均値を記憶部18に上書きし、ドライブコイル10bが駆動状態である場合、このドライブコイル10bに対応するYキャリブレーション値18bとしてこの磁界検出データD12,D13,D14の平均値を記憶部18に上書きし、ドライブコイル10cが駆動状態である場合、このドライブコイル10cに対応するZキャリブレーション値18cとしてこの磁界検出データD12,D13,D14の平均値を記憶部18に上書きする。このようにして、制御部59は、駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値の更新処理(キャリブレーション処理)を達成する。なお、制御部59は、かかるキャリブレーション処理を実行する期間T12において、位置方向算出部15の位置方向算出処理を禁止する。
【0173】
一方、制御部59は、カプセル型医療装置42のLCマーカ24aが共振状態である期間T11,T13において、単位時間t毎に磁界検出部13の磁界検出データを順次取得する。ここで、この期間T11,T13における磁界検出部13の磁界検出データは、カプセル型医療装置42からの共振磁界と環境磁界とを含む3次元空間Sの空間内磁界の検出データ(具体的には磁界強度検出値)である。データ制御部59bは、位置方向算出部15の位置方向算出処理に有効なデータとして、かかる期間T11,T13における磁界検出データを採用する。制御部59は、かかる期間T11,T13における磁界検出データである空間内磁界の磁界強度検出値と、現に駆動状態のドライブコイルに対応するキャリブレーション値とを位置方向算出部15に送信する。制御部59は、上述した実施の形態1の場合と同様に、この送信した磁界強度検出値とキャリブレーション値とを用いた位置方向算出処理を位置方向算出部15に実行させる。
【0174】
このような位置検出システム41は、上述した期間T13以後の期間においても、期間T12,T13の場合と同様に動作する。すなわち、位置検出システム41は、カプセル型医療装置42が共振状態である期間において、このカプセル型医療装置42の3次元空間S内部における位置方向情報を順次検出(算出)する。また、位置検出システム41は、所定の時間間隔で共振状態解除の要求信号をカプセル型医療装置42に順次送信して、定期的にカプセル型医療装置42の共振状態を解除し、この共振状態を解除した期間内に位置方向算出処理のキャリブレーション値を更新する。
【0175】
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、位置検出装置が、検知体であるカプセル型医療装置の共振状態の解除を要求する要求信号を所定の時間間隔でカプセル型医療装置に送信し、カプセル型医療装置が、この要求信号に基づいて所定の期間共振状態を解除するようにし、その他を実施の形態1と略同様に構成した。このため、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、カプセル型医療装置の撮像動作等の定期的な動作によらず、所望のタイミングにおいて定期的に位置方向算出処理のキャリブレーション値を取得、更新することができ、これによって、無効な磁界検出データの数量を減少できるとともに、必要時に取得、更新したキャリブレーション値によってカプセル型医療装置の位置検出精度を一層向上することができる。
【0176】
また、カプセル型医療装置に内蔵したLC共振回路を共振状態解除の要求信号の受信アンテナとして機能させているので、かかる共振状態解除の要求信号を受信するための受信アンテナをカプセル型医療装置内部に追加する必要がなく、これによって、カプセル型医療装置内部の回路構成を一層単純化できるとともに、カプセル型医療装置の小型化を促進することができる。
【0177】
さらに、体内画像の撮像動作等のカプセル型医療装置の定期的な動作によらず、位置検出装置からの要求信号に基づいてカプセル型医療装置の共振状態を解除しているので、カプセル型医療装置の動作を単純化することができ、これによって、カプセル型医療装置の内部構成を容易に実現することができる。
【0178】
また、3次元空間内部に駆動磁界を発生させるドライブコイルを共振状態解除の要求信号を送信する送信アンテナとして機能させているので、3次元空間内部のカプセル型医療装置に共振状態解除の要求信号を送信する送信アンテナを追加する必要がなく、これによって、より簡易なシステム構成によって位置検出システムを実現できる。
【0179】
なお、本発明の実施の形態1,2および変形例では、LC共振回路27内の電流の迂回経路を形成する電流バイパス回路28のスイッチ素子28aとしてトランジスタを用いていたが、これに限らず、かかる電流バイパス回路28のスイッチ素子として電界効果トランジスタ(FET)を用いてもよいし、フォトカプラを用いてもよい。また、スイッチ素子28aを実現するトランジスタは、PNP型でもよいし、NPN型でもよい。このスイッチ素子としてフォトカプラを用いた場合、LC共振回路27とカプセル型医療装置の内部回路(撮像ユニット21等)とを絶縁することができ、これによって、かかるカプセル型医療装置の内部回路のノイズを一層低減することができる。
【0180】
ここで、電流バイパス回路28のスイッチ素子としてフォトカプラを用いる場合、共振磁界発生部24の回路構成は、例えば図17に示すように、電流バイパス回路28のスイッチ素子28bとしてフォトカプラを用いた回路構成であってもよいし、例えば図18に示すように、電流バイパス回路28のスイッチ素子28b,28cとして2つのフォトカプラを用いた回路構成であってもよい。共振磁界発生部24は、図17に示す回路構成を有する場合、上述した実施の形態1,2および変形例の場合と同様の作用効果を享受する。また、共振磁界発生部24は、図18に示す回路構成を有する場合、コイル27aが駆動磁界を受けて生成した交流電流を電流バイパス回路28の迂回経路F4,F5に通すことができ、これによって、LC共振回路27内の電流を一層確実に電流バイパス回路28内に迂回させることができ、この結果、LC共振回路27の共振状態を一層確実に解除できる。
【0181】
また、本発明の実施の形態1および変形例では、LC共振回路の共振状態を解除した期間に検出された一つの磁界検出データを用いて位置方向算出処理のキャリブレーション値を取得、更新していたが、これに限らず、定期的に繰り返されるLC共振回路の非共振状態の維持期間において1以上の磁界検出データ(環境磁界の磁界検出データ)を順次取得し、予め設定された規定回数(例えば10回)の磁界検出データを蓄積して、規定回数分の磁界検出データの移動平均処理を行い、この移動平均処理の算出結果を位置方向算出処理のキャリブレーション値として取得、更新してもよい。
【0182】
さらに、本発明の実施の形態1および変形例では、LC共振回路の共振状態を解除した期間に検出した一つの有効な磁界検出データ(環境磁界の磁界検出データ)を用いて位置方向算出処理のキャリブレーション値を取得、更新していたが、これに限らず、1回のLC共振回路の共振状態解除期間(非共振状態の維持期間)に複数の有効な磁界検出データを取得できるように共振状態解除期間を調整(長期化)し、複数の有効な磁界検出データを用いて1つのキャリブレーション値を取得、更新してもよい。
【0183】
また、本発明の実施の形態1および変形例では、カプセル型医療装置による体内画像の撮像タイミングに合わせてカプセル型医療装置内部のLC共振回路の共振状態を解除していたが、これに限らず、予め設定された時間間隔でLC制御回路に共振状態の解除タイミングを指示するタイマー部をカプセル型医療装置に内蔵し、このタイマー部の設定時間毎にLC共振回路の共振状態を定期的に解除してもよい。この場合、このタイマー部が共振状態の解除タイミングを示すタイミング信号を生成し、この生成したタイミング信号を外部の受信装置に順次送信してもよい。また、かかるタイマー部によるタイミング信号を体内画像の画像信号に重畳して外部の受信装置に順次送信してもよい。
【0184】
さらに、本発明の実施の形態1および変形例では、所定の時間間隔で繰り返し実行されるカプセル型医療装置の機能実行部(すなわち共振状態の解除タイミングと動作タイミングとを合わせる機能実行部)の一例として撮像ユニットを例示したが、これに限らず、かかるカプセル型医療装置の機能実行部は、画像信号を順次送信する送信ユニットであってもよいし、定期的に被検体の体内情報(温度、pH値、生体組織等)を取得する体内情報取得部であってもよい。
【0185】
また、本発明の実施の形態2では、復調回路64cからの信号と基準信号発生器72からの基準信号とを比較するコンパレータ73の比較結果に応じて、LC共振回路27の共振状態と非共振状態とを切り替えていたが、これに限らず、コンパレータ73の代わりに、ADコンバータを用いて回路構成される比較回路をカプセル型医療装置42に内蔵し、LCマーカ24aによって受信された外部信号をこの比較回路のADコンバータに入力し、このADコンバータによる前回の出力信号レベルと今回の出力信号レベルとを比較し、このADコンバータによる前回および今回の出力信号レベルの差が規定値未満である場合に、共振状態解除の要求ありと判断してLC共振回路27の共振状態を所定の期間解除してもよい。この場合、カプセル型医療装置42に共振状態解除の要求信号を送信する際のドライブコイル10a〜10cの磁界変化の幅を小さくすることができ、これによって、より安定的にドライブコイル10a〜10cの駆動磁界を発生させることができる。
【0186】
さらに、本発明の実施の形態1,2および変形例では、磁界検出部13の磁界検出データとして3次元空間S内における磁界強度検出値を例示したが、これに限らず、磁界検出部13の磁界検出データは、3次元空間S内における磁界の位相等の磁界情報であってもよい。
【0187】
また、本発明の実施の形態2では、蠕動運動等によって被検体内部を移動するカプセル型医療装置42の位置方向情報を検出する位置検出システムにしていたが、これに限らず、上述した実施の形態1の変形例に例示されるように、カプセル型医療装置42に磁石を内蔵し、この磁石内蔵タイプのカプセル型医療装置42を磁気誘導する磁気誘導装置6をさらに備え、この磁気誘導装置6によって磁気誘導されるカプセル型医療装置42に位置方向情報を検出する位置検出システムにしてもよい。
【0188】
さらに、本発明の実施の形態2では、所定の時間間隔で共振状態解除の要求信号を生成出力していたが、これに限らず、入力部16によって所望のタイミングに、カプセル型医療装置のLC共振回路の共振状態解除を要求する情報(すなわちキャリブレーション処理を要求する情報)を制御部59に入力し、この情報を制御部59に入力する都度、共振状態解除の要求信号を生成出力してもよい。
【0189】
また、本発明の実施の形態2では、ドライブコイル10a〜10cを送信アンテナとして用いて共振状態解除の要求信号を送信していたが、これに限らず、かかる共振状態解除の要求信号を送信する送信アンテナを別に設けてもよい。
【0190】
さらに、本発明の実施の形態2では、カプセル型医療装置42はLC共振回路27を受信アンテナとして用いて共振状態解除の要求信号を受信していたが、これに限らず、かかる共振状態解除の要求信号を受信する受信アンテナを別に備えてもよい。
【0191】
また、本発明の実施の形態1,2および変形例では、3次元空間S内部における位置方向情報が検出される検知体の一例としてカプセル型医療装置を例示したが、これに限らず、本発明にかかる位置検出システムの検知体は、実施の形態1に例示した共振磁界発生部24および機能実行部または実施の形態2に例示した共振磁界発生部64を内蔵する検知体であれば、如何なる検知体であってもよい。この場合、かかる検知体は、特に医療装置に限定されない。
【0192】
さらに、本発明の実施の形態1,2および変形例では、検知体の一例であるカプセル型医療装置として、被検体の体内画像を撮像するカプセル型医療装置(すなわちカプセル型内視鏡)を例示したが、これに限らず、かかる検知体としてのカプセル型医療装置は、生体内のpHを計測するカプセル型pH計測装置であってもよいし、生体内に薬剤を散布または注射する機能を備えたカプセル型薬剤投与装置であってもよいし、生体内の物質を採取するカプセル型採取装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムのカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の共振磁界発生部の一回路構成例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの受信装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図5】3次元空間内部における検知体の位置および方向を検出する際の位置検出装置の処理手順を例示するフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの位置検出/キャリブレーション処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムのドライブコイル切替処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる位置検出システムの動作を具体的に説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1の変形例にかかる位置検出システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムのカプセル型医療装置の一構成例を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の共振磁界発生部の一回路構成例を示す模式図である。
【図13】3次元空間内部における検知体であるカプセル型医療装置の位置および方向を検出する際の位置検出装置の処理手順を例示するフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムのキャリブレーション処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムの位置検出処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態2にかかる位置検出システムの動作を具体的に説明するためのタイミングチャートである。
【図17】カプセル型医療装置内部の共振磁界発生部の変形例を示す模式図である。
【図18】カプセル型医療装置内部の共振磁界発生部の別の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0194】
1,41 位置検出システム
2,42 カプセル型医療装置
3,43 位置検出装置
4,44 受信装置
4a 受信アンテナ
5 画像表示装置
6 磁気誘導装置
6a 磁界発生部
6b コイル用電源部
6c 操作部
6d 表示部
6e 記憶部
6f 磁気誘導制御部
10 駆動磁界発生部
10a〜10c ドライブコイル
11,51 信号発生部
12 コイル切替部
13 磁界検出部
13a 検出コイル
14 受信部
15 位置方向算出部
16 入力部
17 表示部
18 記憶部
18a Xキャリブレーション値
18b Yキャリブレーション値
18c Zキャリブレーション値
19,59 制御部
19a コイル選択部
19b,59b データ制御部
20 カプセル型筐体
20a 筒状筐体
20b ドーム形状筐体
21 撮像ユニット
21a 照明部
21b 光学系
21c 固体撮像素子
22 信号処理部
23 送信ユニット
23a 送信アンテナ
24,64 共振磁界発生部
24a LCマーカ
24b,64b LC制御回路
25,65 制御部
26 電源ユニット
27 LC共振回路
27a コイル
27b コンデンサ
28 電流バイパス回路
28a,28b,28c スイッチ素子
30 アンテナ選択部
31 受信回路
32 記憶部
33 入力部
34 表示部
35 送信I/F
36 タイミング信号送信部
37 制御部
37a 画像処理部
37b 信号生成部
59c 要求信号生成部
64c 復調回路
71 ローパスフィルタ
72 基準信号発生器
73 コンパレータ
74 タイマー回路
D1〜D3,D11〜D15 磁界検出データ
S 3次元空間
T1〜T5,T11〜T13 期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間内に磁界を発生させる磁界発生部と、
前記磁界発生部の磁界に共振して共振磁界を発生させる共振回路と、該共振回路に並列接続されて該共振回路内の電流の迂回経路を形成する電流バイパス回路と、該電流バイパス回路の通電を制御して前記共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替える共振制御回路と、を内蔵し、前記3次元空間内に導入される検知体と、
前記共振回路が非共振状態の場合、前記共振磁界を除く前記3次元空間内の磁界であって少なくとも前記磁界発生部の磁界を含む環境磁界を検出し、前記共振回路が共振状態の場合、前記環境磁界と前記共振磁界とを含む前記3次元空間内の空間内磁界を検出する磁界検出部と、
前記空間内磁界の検出データから前記環境磁界の検出データを減じて得られる前記共振磁界の検出データをもとに前記検知体の位置および方向を算出する位置方向算出処理を行う位置方向算出部と、
前記共振回路が非共振状態の場合、前記環境磁界の検出データを取得して前記環境磁界の検出データの更新処理を行い、前記共振回路が共振状態の場合、前記空間内磁界の検出データを取得し、この取得した前記空間内磁界の検出データと前記更新処理が行われた前記環境磁界の検出データとを用いた前記位置方向算出処理を実行させる制御部と、
を備えたことを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記検知体は、
所定の時間間隔で所定の機能を繰り返し実行する機能実行部と、
前記機能実行部が前記所定の機能を実行する都度、前記共振回路が非共振状態に切り替わるタイミングを示すタイミング信号を無線送信する送信部と、
を備え、
前記共振制御回路は、前記機能実行部が前記所定の機能を実行する都度、前記共振回路を非共振状態に切り替え、所定の維持期間、前記非共振状態を維持し、
前記制御部は、前記タイミング信号を取得し、その都度、前記所定の維持期間内に1以上の前記環境磁界の検出データを取得して、前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記送信部が無線送信した少なくとも前記タイミング信号を受信し、この受信した前記タイミング信号を前記制御部に出力する受信装置を備え、
前記制御部は、前記受信装置を介して前記タイミング信号を取得することを特徴とする請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の維持期間内に取得した1以上の前記環境磁界の検出データのうち、前記所定の維持期間の開始時に取得した前記環境磁界の検出データと終了時に取得した前記環境磁界の検出データとを無効にし、残りの前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記所定の維持期間は、前記制御部による前記環境磁界の検出データの取得周期の2倍以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記検知体は、被検体の体内に導入されるカプセル型医療装置であり、
前記機能実行部は、前記所定の時間間隔で前記被検体の体内情報を順次取得する体内情報取得部であり、
前記送信部は、前記体内情報取得部が取得した体内情報と前記タイミング信号とを含む無線信号を送信し、
前記受信装置は、前記無線信号を受信して前記無線信号に含まれる前記体内情報と前記タイミング信号とを抽出し、この抽出した前記タイミング信号を前記制御部に出力することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項7】
前記体内情報取得部は、前記体内情報である前記被検体の体内画像を撮像する撮像部であり、
前記タイミング信号は、前記撮像部が撮像した体内画像の同期信号であることを特徴とする請求項6に記載の位置検出システム。
【請求項8】
前記制御部は、所望のタイミングで前記共振回路の共振状態と非共振状態とを切り替えるように前記共振制御回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項9】
前記制御部は、所望のタイミングで前記共振回路の共振状態の解除を要求する要求信号を生成する要求信号生成部を備え、
前記磁界発生部は、前記要求信号生成部が要求信号を生成する都度、該要求信号を前記検知体に送信し、
前記共振制御回路は、前記磁界発生部が送信した要求信号を取得し、該要求信号の取得タイミングで前記共振回路の共振状態を非共振状態に切り替え、所定の維持期間、前記非共振状態を維持し、
前記制御部は、前記要求信号生成部が要求信号を生成する都度、前記所定の維持期間内に1以上の前記環境磁界の検出データを取得して、前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の位置検出システム。
【請求項10】
前記要求信号生成部は、所定の時間間隔で前記要求信号を順次生成することを特徴とする請求項9に記載の位置検出システム。
【請求項11】
前記共振回路の共振状態の解除を指示する指示情報を入力する入力部を備え、
前記要求信号生成部は、前記入力部によって前記指示情報が入力される都度、前記要求信号を生成することを特徴とする請求項9に記載の位置検出システム。
【請求項12】
前記共振回路は、前記磁界発生部が送信した要求信号を受信し、この受信した前記要求信号を前記共振制御回路に出力することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項13】
前記共振制御回路は、前記要求信号の取得タイミングから所定の時間が経過するまで前記電流バイパス回路の通電を維持して前記共振回路の非共振状態を前記所定の維持期間維持するタイマー回路を備えたことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記所定の維持期間内に取得した1以上の前記環境磁界の検出データのうち、前記所定の維持期間の開始時に取得した前記環境磁界の検出データと終了時に取得した前記環境磁界の検出データとを無効にし、残りの前記環境磁界の検出データの更新処理を行うことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項15】
前記所定の維持期間は、前記制御部による前記環境磁界の検出データの取得周期の2倍以上であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項16】
前記検知体は、被検体の体内に導入されるカプセル型医療装置であることを特徴とする請求項8〜15のいずれか一つに記載の位置検出システム。
【請求項17】
前記カプセル型医療装置は、
前記被検体の体内情報を取得する取得する体内情報取得部と、
前記体内情報取得部が取得した体内情報を外部に無線送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする請求項16に記載の位置検出システム。
【請求項18】
前記送信部が無線送信した体内情報を受信する受信装置を備え、
前記体内情報取得部は、前記体内情報である前記被検体の体内画像を撮像する撮像部であり、
前記送信部は、前記撮像部が撮像した前記被検体の体内画像を前記受信装置に無線送信することを特徴とする請求項17に記載の位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−226080(P2009−226080A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76646(P2008−76646)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】