説明

位置検出方法、パターン描画方法、パターン描画装置およびコンピュータプログラム

【課題】物体上に形成された複数の基準マークの位置検出精度を維持しながら検出時間の短縮を図る。
【解決手段】実測すべき基準マークの各々を対象マークとしながら評価値を求め、それらの評価値に基づき基準マークの補間位置情報が実測位置情報と一致することの確からしさを評価する。そして、最良評価値≦しきい値を満足する場合、つまり一の基準マークの位置情報を他の基準マークの位置情報から高い確からしさで補間できる場合、実測すべき基準マークから一の基準マークを除外する。このため、2枚目以降の基板については、高い検出精度を保ちながら実測すべき基準マークの個数を低減することができ、スループットを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体上に形成された複数の基準マークの位置を求める位置検出方法、当該位置検出方法を用いるパターン描画方法およびパターン描画装置、ならびに物体上に形成された複数の基準マークの位置を求めるためのコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板(以下単に「基板」という)に形成されるLSI(Large Scale Integrated Circuit)の高集積化に伴い、光ビームを照射してパターンを描画するパターン描画装置が利用されている。このパターン描画装置では、基板にLSIを形成するために、描画パターンを基板上に既設の下層パターンに重ね合わせる処理、いわゆるアライメント処理を行いながら焼き付ける処理(いわゆる露光処理)を行う。このアライメント処理では、基板に予め形成されたアライメントマーク(基準マーク)が検出されるが、アライメント精度を高めるために複数のアライメントマークを検出するのが望ましいが、その一方でアライメントマークの検出数を増やすのに伴って検出時間の増大によるスループットの低下を引き起こしてしまう。そこで、例えば特許文献1に記載の装置では、アライメントマークを検出するにあたって、アライメントマークの位置のみならず、アライメントマークの傾きをも計測し、アライメントマークの検出数を増やすことなく、検出精度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−960069号公報(例えば図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、予め設定した複数のアライメントマークをすべて計測しているが、本願発明者が種々の検証を行ったところ、一部のアライメントマークについては、他のアライメントマークの計測値から高精度に推測可能となる場合があることがわかった。この場合、高精度な推測が可能なアライメントマークについては、実測対象から除外してもよく、これによって計測すべきアライメントマークの数を低減することができ、検出精度を維持しながらスループットの向上を図ることができる。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、物体上に形成された複数の基準マークの位置検出精度を維持しながら検出時間の短縮を図ることができる位置検出方法、当該位置検出方法を用いるパターン描画方法およびパターン描画装置、ならびに物体上に形成された複数の基準マークの位置を求めるためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、物体上に形成された複数の基準マークの位置を求める位置検出方法であって、上記目的を達成するため、複数の基準マークの位置情報を実測する実測工程と、複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、対象マークを除く他の基準マークの実測された位置情報に基づき複数の基準マークの位置情報を算出し、複数の基準マークの算出された位置情報が複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから対象マークを除外する実測マーク削減工程とを備えることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の第2態様は、パターン描画方法であって、上記目的を達成するため、第1の物体上に形成された複数の基準マークの位置情報を実測する第1の実測工程と、複数の基準マークの実測された位置情報に基づいて第1の物体上に形成された第1の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして描画する第1の描画工程と、複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、対象マークを除く他の基準マークの実測された位置情報に基づき複数の基準マークの位置情報を算出し、複数の基準マークの算出された位置情報が複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから対象マークを除外する実測マーク削減工程と、第1の下層パターンと同じ第2の下層パターンが形成された第2の物体上に形成された複数の基準マークのうち実測マーク削減工程で除外された対象マークを除く基準マークの位置情報を実測した後、位置情報に基づいて第2の物体上に形成された第2の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして描画する第2の描画工程とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の第3態様は、パターン描画装置であって、上記目的を達成するため、物体上に形成された複数の基準マークを撮像する撮像部と、物体上に上層パターンを描画する光学ヘッドと、光学ヘッドに対して物体を相対的に位置決めする位置決め機構部と、撮像部、光学ヘッドおよび位置決め機構部を制御する制御部とを備え、制御部は、第1の物体上に形成された複数の基準マークを撮像部により撮像して複数の基準マークの画像を得るとともに、画像に基づいて複数の基準マークの位置情報を実測し、当該位置情報に基づいて第1の物体上に形成された第1の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして光学ヘッドにより描画し、複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、対象マークを除く他の基準マークの実測された位置情報に基づき複数の基準マークの位置情報を算出し、複数の基準マークの算出された位置情報が複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから対象マークを除外し、第1の下層パターンと同じ第2の下層パターンが形成された第2の物体上に形成された複数の基準マークのうち除外された対象マークを除く基準マークを撮像部により撮像して複数の基準マークの画像を得るとともに、画像に基づいて複数の基準マークの位置情報を実測し、当該位置情報に基づいて第2の物体上に形成された第2の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして光学ヘッドにより描画することを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の第4態様は、物体上に形成された複数の基準マークの位置を求めるためのコンピュータプログラムであって、上記目的を達成するため、複数の基準マークの位置情報を実測する実測機能と、複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、対象マークを除く他の基準マークの実測された位置情報に基づき複数の基準マークの位置情報を算出し、複数の基準マークの算出された位置情報が複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから対象マークを除外する実測マーク削減機能とをコンピュータに実現させる。
【0010】
このように構成された発明では、物体上に形成された複数の基準マークのうちの1つの基準マークが対象マークとされる。そして、対象マークを除く他の基準マークの実測された位置情報に基づき、物体上に形成された全基準マークの位置情報が算出される。また、こうして算出された各基準マークの位置情報が実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超える、つまり一の基準マークの位置情報を他の基準マークの位置情報から高い確からしさで推定できる場合に、実測すべき基準マークから対象マークが除外される。したがって、高い検出精度を保ちながら実測すべき基準マークの個数を低減することができる。
【0011】
ここで、物体上に形成された複数の基準マークの各々を対象マークとし、実測すべき基準マークから除外すべきか否かを決定するのが望ましい。すなわち、複数の基準マークの各々を対象マークとした場合の複数の基準マークの位置情報を算出するとともに複数の基準マークの算出された位置情報が複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさを算出し、算出された複数の確からしさのうち最も高い確からしさを最良値として選出し、最良値が所定値を超える対象マークを除外することで実測すべき基準マークの個数を低減することができる。
【0012】
また、上記のようにして行う実測マーク削減については、1つの対象マークを除外する毎に、算出工程、選出工程および除外工程を繰り返して実行してもよく、実測マーク削減工程を繰り返して実行する度に実測すべき基準マークの個数が減少していく。
【0013】
また、対象マークを実測すべき基準マークから除外する基準として用いる「確からしさ」としては、例えば複数の基準マークの算出された位置情報と、複数の基準マークの実測された位置情報とのずれ量を用いてもよい。この場合、各基準マークを対象マークとしてずれ量を算出し、それらのずれ量のうち最も小さいずれ量を最良値として選出し、最良値が所定値を下回るときには対象マークを除外した上で実測マーク削減工程を繰り返す一方、最良値が所定値以上となった時点で実測マーク削減工程の繰り返しを停止するようにしてもよい。
【0014】
さらに、上記した位置検出技術をパターン描画装置や方法に適用する場合、複数の基準マークの実測された位置情報に基づいて第1の物体上に形成された第1の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして描画しながら、上記した実測マーク削減を並行して行ってもよく、これによって第2の物体に形成された第1の下層パターンへの上層パターンの描画を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、対象マークを除く他の基準マークの実測された位置情報に基づき、物体上に形成された全基準マークの位置情報を算出し、それらの位置情報が実測された位置情報と一致する確からしさが高い場合には、対象マークを実測すべき基準マークから除外している。このため、実測する基準マークの数を低減することができ、基準マークの位置検出精度を維持しながら検出時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかるパターン描画装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のパターン描画装置の平面図である。
【図3】図1のパターン描画装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】パターン描画装置によるパターン描画動作を示すフローチャートである。
【図5】実測マーク削減処理のフローチャートである。
【図6】補間処理を模式的に示す図である。
【図7】実測マーク削減動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明にかかるパターン描画装置の一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1のパターン描画装置の平面図である。さらに、図3は図1のパターン描画装置の電気的構成を示すブロック図である。パターン描画装置100は、レジスト等の感光材料の層が形成された基板Wの上面に光を照射して、パターンを描画する装置である。なお、基板Wは、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板などの各種基板のいずれでもよい。図示例では円形の半導体基板の表面に形成された下層パターンに重ねて上層パターンが描画される。
【0018】
パターン描画装置100は、本体フレーム101で構成される骨格の天井面および周囲面にカバーパネル(図示省略)が取り付けられることによって形成される本体内部と、本体フレーム101の外側である本体外部とに、各種の構成要素を配置した構成となっている。
【0019】
パターン描画装置100の本体内部は、処理領域102と受け渡し領域103とに区分されている。これらの領域のうち処理領域102には、主として、ステージ10、ステージ移動機構20、ステージ位置計測部30、光学ユニット40、アライメントユニット60が配置される。一方、受け渡し領域103には、処理領域102に対する基板Wの搬出入を行う搬送ロボットなどの搬送装置70が配置される。
【0020】
また、パターン描画装置100の本体外部には、アライメントユニット60に照明光を供給する照明ユニット61が配置される。また、同本体外部には、パターン描画装置100が備える装置各部と電気的に接続されて、これら各部の動作を制御する制御部90が配置される。
【0021】
なお、パターン描画装置100の本体外部で、受け渡し領域103に隣接する位置には、カセットCを載置するためのカセット載置部104が配置される。また、カセット載置部104に対応し、本体内部の受け渡し領域103に配置された搬送装置70は、カセット載置部104に載置されたカセットCに収容された未処理の基板Wを取り出して処理領域102に搬入(ローディング)するとともに、処理領域102から処理済みに基板Wを搬出(アンローディング)してカセットCに収容する。カセット載置部104に対するカセットCの受け渡しは、図示しない外部搬送装置によって行われる。この未処理基板Wのローディング処理および処理済基板Wのアンローディング処理は制御部90からの指示に応じて搬送装置70が動作することで行われる。
【0022】
ステージ10は、平板状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持する保持部である。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を付与することによって、ステージ10上に載置された基板Wをステージ10の上面に固定保持することができるようになっている。そして、ステージ10はステージ移動機構20により移動させられる。
【0023】
ステージ移動機構20は、ステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、及び回転方向(Z軸周りの回転方向(θ軸方向))に移動させる機構である。ステージ移動機構20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25とを備える。回転機構21、副走査機構23、及び主走査機構25は、次のように構成されるとともに、制御部90の露光制御部91に電気的に接続されており、露光制御部91からの指示に応じてステージ10を移動させる。
【0024】
回転機構21は、支持プレート22上で、基板Wの上面に垂直な回転軸を中心としてステージ10を回転させる。
【0025】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた図示しない移動子とベースプレート24の上面に敷設された図示しない固定子とにより構成されたリニアモータ23aを有している。また、支持プレート22とベースプレート24との間には、副走査方向に延びる一対のガイド部23bが設けられている。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイド部23bに沿って支持プレート22が副走査方向Xに移動する。
【0026】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子とパターン描画装置100の基台106上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモ−タ25aを有している。また、ベースプレート24と基台106との間には、主走査方向に延びる一対のガイド部25bが設けられている。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台106上のガイド部25bに沿ってベースプレート24が主走査方向Yに移動する。
【0027】
ステージ位置計測部30は、ステージ10の位置を計測する機構である。ステージ位置計測部30は、制御部90の露光制御部91と電気的に接続されており、制御部90からの指示に応じてステージ10の位置を計測する。ステージ位置計測部30は、例えばステージ10に向けてレーザ光を照射し、その反射光と出射光との干渉を利用して、ステージ10の位置を計測する機構により構成されているが、その構成動作はこれに限定されるものではない。この実施形態では、ステージ位置計測部30は、レーザ光を出射する出射部31と、ビームスプリッタ32と、ビームベンダ33と、第1干渉計34と、第2干渉計35とを備える。これら出射部31、各干渉計34、35は、制御部90と電気的に接続されており、制御部90からの指示に応じてステージ10の位置を計測する。
【0028】
出射部31から出射されたレーザ光は、まずビームスプリッタ32に入射し、ビームベンダ33に向かう第1分岐光と、第2干渉計35に向かう第2分岐光とに分岐される。第1分岐光は、ビームベンダ33により反射され、第1干渉計34に入射するとともに、第1干渉計34からステージ10の第1の部位に照射される。そして、第1の部位で反射した第1分岐光が、再び第1干渉計34へと入射する。第1干渉計34は、ステージ10の第1の部位に向かう第1分岐光と第1の部位で反射された第1分岐光との干渉に基づいて第1の部位の位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0029】
一方、第2分岐光は、第2干渉計35に入射するとともに、第2干渉計35からステージ10の第2の部位(ただし、第2の部位は、第1の部位とは異なる位置である。)に照射される。そして、第2の部位で反射した第2分岐光が、再び第2干渉計35へ入射する。第2干渉計35は、ステージ10の第2の部位に向かう第2分岐光とステージ10の第2の部位で反射された第2分岐光との干渉に基づいて第2の部位の位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0030】
制御部90の露光制御部91は、第1干渉計34及び第2干渉計35の各々から、ステージ10の第1の部位の位置に対応した位置パラメータ及びステージ10の第2の部位の位置に対応した位置パラメータを取得する。そして、取得した各位置パラメータに基づいて、ステージ10の位置を算出する。
【0031】
アライメントユニット60は、基板Wの上面に形成された図示しないアライメントマークを撮像する。アライメントユニット60は、照明ユニット61のほか、鏡筒、対物レンズ、およびCCDイメージセンサ62(図3)を備える。アライメントユニット60が備えるCCDイメージセンサ62は、例えばエリアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成される。
【0032】
照明ユニット61は、鏡筒とファイバ601を介して接続され、アライメントユニット60に対して照明用の光を供給する。照明ユニット61から延びるファイバ601によって導かれる光は、鏡筒を介して基板Wの上面に導かれ、その反射光は、対物レンズを介してCCDイメージセンサ62(図3)で受光される。これによって、基板Wの上面が撮像されて撮像データが取得されることになる。CCDイメージセンサ62は、制御部90のデータ処理部92と電気的に接続されており、制御部90からの指示に応じて撮像データを取得し、取得した撮像データを制御部90に送信する。このように、本実施形態では、CCDイメージセンサ62が本発明の「撮像部」として機能する。なお、アライメントユニット60はオートフォーカス可能なオートフォーカスユニットをさらに備えていてもよい。
【0033】
CCDイメージセンサ62から与えられる撮像データに基づき制御部90は、後述するようにアライメント処理を行い、またデータ処理部92で上層パターンを描画するためのストリップデータを作成して露光制御部91に与え、光学ユニット40によるパターン描画を行う。
【0034】
本実施形態では、光学ユニット40は、2つの光学ヘッド40a、40bを有している。光学ヘッド40a、40bはともに同一構成を有しており、光照射部から与えられるレーザ光を上記ストリップデータに基づき変調する。ここでは、図1を参照しつつ光学ヘッド40aに関連する構成について説明するが、光学ヘッド40bについても同様に構成されている。
【0035】
光照射部41は、レーザ駆動部411、レーザ発振器412および照明光学系413を有している。この光照射部41では、レーザ駆動部411の作動によりレーザ発振器412からレーザ光が出射され、照明光学系413を介して光学ヘッド40aに導入される。この光学ヘッド40aには、光変調素子(図示省略)が設けられており、ストリップデータに基づきレーザ光を変調する。そして、光学ヘッド40aは変調レーザ光を光学ヘッド40aの直下位置で移動している基板Wに対して落射することでステージ10に保持された基板Wを露光してパターンを描画する。これによって、未処理基板Wに形成されている下層パターンに対して上層パターン(描画パターン)が重ねて描画される。
【0036】
また、上記ストリップデータを生成するために、制御部90はデータ処理部92を有している。このデータ処理部92はCPU(Central Processing Unit)や記憶部921等を有するコンピュータで構成されており、露光制御部91とともに電装ラック(図示省略)内に配置されている。また、データ処理部92内のCPUが所定のプログラムに従って演算処理することにより、ランレングスデータ生成部922、補正量算出部923および補正データ生成部924が実現される。例えば下層パターンに重ね合わせて描画する上層パターンは外部のCAD等により生成されたベクトル形式の設計データで記述されており、その設計データがデータ処理部92に入力されると、記憶部921に書き込まれて保存される。そして、当該設計データ921aに対してデータ処理が施されて複数のストリップデータが生成され、露光制御部91を介して光学ヘッド40a、40bに供給されて上層パターンが基板W上に描画される。
【0037】
ランレングスデータ生成部922は、ベクトル形式の設計データ921aをラスタライズしてランレングスデータ921bを生成して記憶部921に保存する。なお、この実施形態では、ストリップ単位に分割して記憶部921に保存している。つまり、上層パターンを複数本の分割パターンに分割し、各分割パターンに対応する分割描画データをストリップデータとしている。また、ランレングスデータ921bの準備後、または、ランレングスデータ921bの準備と並行して、上記のようにしてカセットCに収納されている未処理の基板Wが搬送装置70により搬出され、搬送装置70によってステージ10に載置される(ローディング処理)。
【0038】
その後、データ処理部92から与えられるグローバルアライメント用の基準マークの設計位置情報に基づきステージ移動機構20によりステージ10がCCDイメージセンサ62の直下位置に移動して基板W上の各基準マークを順番にCCDイメージセンサ62の撮像可能位置に位置決めし、CCDイメージセンサ62によるマーク撮像が実行される(グローバル用アライメント計測)。このCCDイメージセンサ62から出力される画像信号は電装ラック内の画像処理回路(図3において図示省略)により処理され、基準マークのステージ10上の位置が正確に求められる。そして、これらの計測位置情報に基づき回転機構21が作動してステージ10を鉛直軸回りに微小回転させて基板Wへのパターン描画に適した向きにアライメント(位置合わせ)される。なお、ステージ10を光学ヘッド40a、40bの直下位置に移動させた後で当該アライメントを行ってもよい。
【0039】
図3に示す補正量算出部923は、画像処理回路にて求められた基板W上の基準マークの計測位置情報、および基板Wの向きの修正量を取得し、グローバルアライメント後の基準マークの位置導出、並びに、設計データで記述された上層パターンの下層パターンに対する位置ズレ量を求める。
【0040】
一方、補正データ生成部924はランレングスデータ921bを読み出し、位置ズレ量に基づいて各ランレングスデータの補正を行う。そして、補正データ生成部924は、補正後の各ランレングスデータからデータを切り出すとともに、それらを連結してY方向に延びるラインデータを生成し、さらにこうして生成されたラインデータを連結して分割領域に対応する描画データ、すなわち、1つのストリップ(つまり分割パターン)に相当するストリップデータ(分割描画データ)を生成し、露光制御部91に出力する。
【0041】
次に、上記のように構成されたパターン描画装置によるパターン描画動作について図4ないし図7を参照しながら詳述する。図4はパターン描画装置によるパターン描画動作を示すフローチャートである。また、図5は実測マーク削減処理のフローチャートである。また、図6は補間処理を模式的に示す図である。さらに、図7は実測マーク削減動作を模式的に示す図である。このパターン描画装置では、未処理の基板Wを1ロット分収納するカセットCがパターン描画装置100のカセット載置部104に搬送されてくるとともに、その基板Wに描画する上層パターンを記述した設計データ921aがデータ処理部92に与えられると、制御部90が装置各部を以下のように制御して各基板Wへの上層パターンの描画を実行する。
【0042】
パターン描画装置100は、図4に示すように、搬送装置70によってカセットCから未処理基板Wの最初の1枚目を搬入し、ステージ10上に載置する(ステップS1)。そして、データ処理部92からグローバルアライメント用の基準マークの設計位置情報が与えられると、それらの設計位置情報に基づきCCDイメージセンサ62により基板W上の各基準マークを順番に撮像し、基準マークのステージ10上の位置を求める(ステップS2)。そして、その計測位置情報に基づき回転機構21により基板Wをパターン描画に適した向きに基板位置を補正する(ステップS3)。
【0043】
次のステップS4では、制御部90は、上記のようにしてグローバルアライメントされた基板がロット内の1枚目であるか否かを判別する。そして、1枚目であると判断すると、制御部90は基板Wの上面に形成されているローカルアライメントマーク用の基準マークの全てを実測する(ステップS5)。この実施形態では、図6に示すように、n個の基準マークMK1、MK2、…MKnが予め決められた位置に形成されており、それらの設計位置情報に基づきCCDイメージセンサ62により基板W上の各基準マークMK1、MK2、…MKnを撮像し、それらの画像データに基づき基準マークMK1、MK2、…MKnのステージ10上の位置を示す座標データ、つまり基準マークの計測位置情報MK1(mx1、my1)、MK2(mx2、my2)、…MKn(mxn、myn)を求める。
【0044】
そして、これらの位置情報に基づき描画データを補正し(ステップS6)、露光処理を実行する(ステップS7)。すなわち、制御部90のデータ処理部92は、設計データで記述された上層パターン(描画パターン)の下層パターンに対する位置ズレ量を求め、さらに位置ズレ量に基づき各ランレングスデータ212bの補正量を算出する(ステップS6)。また、補正量に基づき求められたランレングスデータ212bからラインデータを順番に切り出してストリップデータを生成する。こうして得られたストリップデータを記憶部921に一時的に保存する。そして、適当なタイミングでデータ処理部92はストリップデータを露光制御部91に出力し、各光学ヘッド40a、40bでストリップの描画を行う。なお、本実施形態では、2つの光学ヘッド40a、40bを用いているが、光学ヘッドの個数はこれに限定されるものではなく、1つの光学ヘッドや3つ以上の光学ヘッドを用いてもよいことは言うまでもない。
【0045】
また、本実施形態では、このように描画データの補正(ステップS6)および露光処理(ステップS7)と並行して、制御部90のデータ処理部92が実測マーク削減処理(ステップS8)を実行した後で選択基準マークを記憶部921に記憶する(ステップS9)。すなわち、実測マーク削減処理では、図5に示すように、カウント値kが基準マークの個数(本実施形態では、n)に設定した(ステップS81)後で、最良評価値がクリアされる(ステップS82)。なお、この「最良評価値」については後で詳述する。
【0046】
この最良評価値のクリア後、最良評価値導出処理(ステップS83〜S85)をカウント値kだけ繰り返してn個の基準マークの各々を対象マークとしたときの評価値を計算するとともに、最良評価値を求める。例えば図6に示すように基板W上には全部でn個の基準マークが形成されており、しかも最初(1回目)の実測マーク削減処理では、図7の最上段に示すように、実測するべき基準マークはn個全ての基準マークMK1、…、MKnである。なお、図7の「対象マーク(基準マーク)」の欄は次に説明する対象マークとなり得る基準マークの番号のみを示しており、同欄中の例えば「n−1」は基準マークMK(n−1)を対象マークとしたことを意味している。
【0047】
第1回目の実測マーク削減処理のステップS83では、全基準マークMK1、…、MKnのうち第1番目の基準マークMK1を対象マークに設定し、この対象マーク(第1番目の基準マークMK1)を除く第2番目ないし第n番目の基準マークMK2、MK3、…、MKnの実測位置情報MK2(mx2、my2)、MK3(mx3、my3)、…、MKn(mxn、myn)および設計データから得られる各基準マークの位置情報に基づき対象マークを含め全基準マークの位置を補間して、補間された基準マークの位置情報MK1(dx1、dy1)、MK2(dx2、dy2)、…、MKn(dxn、dyn)を算出する(ステップS83)。このようにステップS83では、対象マークを除く基準データの実測位置情報から全基準マークの位置情報を取得している。なお、補間方法としては、従来より多用されているもの、例えば最近傍補間、共一次内挿、アフィン変換などを用いることができる。
【0048】
これのように、ステップS83を行うことで、n個の基準マークのうち対象マークMK1の位置情報を実測せずとも、対象マークMK1を除く基準マークMK2、MK3、…MKnの位置情報を実測して得られた位置情報(以下「実測位置情報」という)MK2(mx2、my2)、MK3(mx3、my3)、…、MKn(mxn、myn)を利用することで、全基準マークについて位置情報を補間することができる。なお、このように補間により求められた位置情報を以下「補間位置情報」と称する。
【0049】
ただし、こうして求めた全基準マークの補間位置情報はあくまで補間により求めらものであるため、補間位置情報の精度を検証する必要がある。そこで、本実施形態では、補間位置情報の精度を検証すべく、補間位置情報が実測位置情報と一致する確からしさを示す指標として評価値を導入している。この評価値は図6の最下段に示した数式に基づき算出される値であり、各基準マークMK1、MK2、…、MKnについて補間位置情報と実測位置情報とのずれ量を求め、全基準マークのズレ量の合計値を基準マークの個数nで割った平均ズレ量を評価値としている。すなわち、評価値が小さくなるにしたがって実測位置情報からの補間位置情報のズレ量が小さく、少ない実測位置情報であっても全基準マークの位置情報を高精度で求めることができることを意味している。そこで、本実施形態では、求められた評価値が最良評価値を下回る場合、その時の評価値を最良評価値に書き換えて更新するとともに、その時の値mを保持する(ステップS85)。
【0050】
このような最良評価値導出処理(ステップS83〜S85)を、カウント値mを1ずつインクリメントしながら値mがカウント値nよりも小さい間、つまり基準マークMK2、MK3、…、MKnをそれぞれ対象マークとしながら実行する。このように実測すべき基準マークMK1,MK2、MK3、…、MKnの各々を対象マークとしながら各対象マークでの評価値を求め、それらの評価値に基づいて補間位置情報が実測位置情報と最も一致するときの対象マークを求める。例えば図7に具体例では、カウント値m=1のとき、つまり基準マークMK2を対象マークとしたときの評価値が最も小さく、この場合、その基準マークMK2を実測すべき基準マークから除外する候補として一時的に記憶するとともに、その最良評価値を一時的に記憶する。
【0051】
そして、このようにして求めた最良評価値が所定のしきい値を超えるか否かを判別し(ステップS86)、「NO」と判別される間、つまり補間位置情報が実測位置情報と一致する確からしさが高く、最良評価値が得られたときの対象マークを実測しなくとも他の基準マークの実測位置情報に基づき全基準マークの位置情報を正確に求めることができる場合、その最良評価値を取ったときの対象マーク(図7の具体例では基準マークMK2が該当)を実測すべき基準マークから除外する(ステップS87)。これにより、実測すべき基準マークは基準マークMK1、MK2、…MKnから基準マークMK1、MK3、…MKnとなり、実測すべき基準マークの個数が1つ減る。
【0052】
また、対象マークを除外したことに対応し、カウント値kを「1」だけデクリメントした後、ステップS82に戻って、上記ステップS82〜S86の処理の2回目を実行する。この2回目では、基準マークMK1、MK3、…MKnの各々を対象マークとしながら全基準マークMK1、MK2、…MKnの補間位置情報を算出する。例えば図7の「k=n−1(2回目)」の欄に示すように、基準マークMK1を対象マークとする場合には、当該対象マークMK1と1回目に除外された基準マークMK2を除く基準マークMK3、MK4、…、MKnおよび設計データから得られる各基準マークの位置情報に基づいて全基準マークMK1、MK2、…MKnの補間位置情報を算出し(ステップS83)、基準マークMK1の評価値を計算する(ステップS84)。このような処理を残りの基準マークMK3、…MKnの各々についても行う。そして、例えば同欄に示すように、基準マークMK1の評価値が最良評価値となり、しかもしきい値を超えないときには、上記と同様に当該基準マークMK1を除外した上で、3回目、4回目を順次行う一方、しきい値を超えると、最後に求められた最良評価値の対象マークMKnの除外は行われず、実測マーク削減処理を停止する。こうして、例えば図7に示す具体例では、実測すべき基準マークとして、最終的に基準マークMK3、MK4、…MKnが選択され、実測マーク削減処理により合計3個削減される。こうして、実測マーク削減処理(ステップS8)が完了すると、図4のステップS9に進み、選択された基準マーク(以下「選択基準マーク」という)を記憶部921に記憶する。
【0053】
このようにステージ10に載置された基板Wが1枚目である場合には、描画データの補正処理(ステップS6)および露光処理(ステップS7)と並行して実装マーク削減処理(ステップS8)を実行しているが、ステージ10に載置された基板Wが2枚目以降である場合(ステップS4で「2枚目以降」)、記憶部921に記憶された選択基準マークのみを撮像し(ステップS10)、選択基準マークの実測位置情報および設計データから得られる各基準マークの位置情報を補間する。そして、それらの補間位置情報に基づいて描画データを補正し(ステップS6)、露光処理を実行する(ステップS7)。
【0054】
そして、基板Wに対する露光処理(ステップS7)が完了される(1枚目の場合には選択基準マークの記憶も完了されている必要がある)のを待って処理済みの基板Wが搬送装置70によりカセットCに搬出される(ステップS11:アンローディング処理)。
【0055】
なお、1ロット分の基板Wが完了してステップS12で「YES」と判別されるまで、ステップS1に戻って上記一連の処理が繰り返される。
【0056】
以上のように、本実施形態では、実測すべき基準マークの各々を対象マークとしながら評価値を求め、それらの評価値に基づき基準マークの補間位置情報が実測位置情報と一致することの確からしさを評価している。そして、次の不等式、
最良評価値≦しきい値
を満足する場合、つまり一の基準マークの位置情報を他の基準マークの位置情報から高い確からしさで補間できる場合、実測すべき基準マークから一の基準マークを除外している。このため、2枚目以降の基板Wについては、高い検出精度を保ちながら実測すべき基準マークの個数を低減することができ、スループットを向上させることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、実測マーク削減処理において、1つの対象マークを除外する毎に評価値を算出する算出工程(ステップS83、S84)、最良評価値を持った対象マークを選出する選出工程(ステップS85)、並びにしきい値を下回る対象マークを実測すべき基準マークから除外する除外工程(ステップS86、S87)を繰り返して実行しているため、実測すべき基準マークの個数を効率的に減少させることができる。
【0058】
さらに、上記実施形態では、描画データの補正処理(ステップS6)および露光処理(ステップS7)と並行して実装マーク削減処理(ステップS8)が実行されるため、実装マーク削減処理を行うために特別な時間を設ける必要がなく、スループットの低下を防止することができる。
【0059】
このように本実施形態では、基板Wが本発明の「物体」に相当し、1枚目の基板Wが本発明の「第1の物体」に相当する一方、2枚目以降の基板Wが本発明の「第2の物体」に相当する。また、全基準マークの計測工程(ステップS5)が本発明の「実測工程」に相当している。また、実測位置情報が本発明の「基準マークの実測された位置情報」に相当し、補間位置情報が本発明の「基準マークの算出された位置情報」に相当する。しきい値が本発明の「所定値」に相当する。また、ステージ移動機構20が本発明の「位置決め機構部」に相当する。
【0060】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、各基準マークに対する補間位置情報と実測位置情報とのズレ量(誤差)の平均値を評価値としている(図6に示す数式参照)が、評価値はこれに限定されるものではなく、例えば上記ズレ量の総和や次式
評価値=(目標の誤差範囲−各基準マークの誤差の平均)/標準偏差
に基づいて算出される値などを用いてもよい。
【0061】
また、本発明の適用対象は、下層パターンが形成されたウエハなどの基板Wに対して上層パターンを描画するパターン描画装置や方法に限定されるものではなく、下層パターンが形成されたプリント配線基板等の物体に上層パターンを描画するパターン描画装置や方法にも本発明を適用することができる。
【0062】
さらに、上記実施形態にかかる位置検出方法を実行するプログラムを、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性メモリカードなどの記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体からプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行してもよい。つまり、上記プログラムを記憶した記憶媒体、コンピュータプログラム自体も本発明の一実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
20…ステージ移動機構(位置決め機構部)
40a、40b…光学ヘッド
62…CCDイメージセンサ(撮像部)
90…制御部
91…露光制御部
92…データ処理部
100…パターン描画装置
MK1、MK2、MK3、…、MKn…基準マーク
W…基板(物体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体上に形成された複数の基準マークの位置を求める位置検出方法であって、
複数の基準マークの位置情報を実測する実測工程と、
前記複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、前記対象マークを除く他の前記基準マークの実測された位置情報に基づき前記複数の基準マークの位置情報を算出し、前記複数の基準マークの算出された位置情報が前記複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから前記対象マークを除外する実測マーク削減工程と
を備えることを特徴とする位置検出方法。
【請求項2】
前記実測マーク削減工程は、
前記複数の基準マークの各々を対象マークとした場合の前記複数の基準マークの位置情報を算出するとともに前記複数の基準マークの算出された位置情報が前記複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさを算出する算出工程と、
前記算出工程で算出された複数の確からしさのうち最も高い確からしさを最良値として選出する選出工程と、
前記最良値が前記所定値を超える対象マークを除外する除外工程と
を有する請求項1に記載の位置検出方法。
【請求項3】
前記実測マーク削減工程では、1つの対象マークを除外する毎に、前記算出工程、前記選出工程および前記除外工程が繰り返して実行される請求項2に記載の位置検出方法。
【請求項4】
前記算出工程では、前記複数の基準マークの各々について、算出された位置情報と、前実測された位置情報とのずれ量を前記確からしさとして算出し、
前記選出工程では、前記算出工程で算出された複数のずれ量のうち最も小さいずれ量を前記最良値として選出し、
前記最良値が前記所定値を下回るときには対象マークを除外した上で前記実測マーク削減工程を繰り返す一方、前記最良値が前記所定値以上となった時点で前記実測マーク削減工程の繰り返しを停止する請求項3に記載の位置検出方法。
【請求項5】
第1の物体上に形成された複数の基準マークの位置情報を実測する第1の実測工程と、
前記複数の基準マークの実測された位置情報に基づいて前記第1の物体上に形成された第1の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして描画する第1の描画工程と、
前記複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、前記対象マークを除く他の前記基準マークの実測された位置情報に基づき前記複数の基準マークの位置情報を算出し、前記複数の基準マークの算出された位置情報が前記複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから前記対象マークを除外する実測マーク削減工程と、
前記第1の下層パターンと同じ第2の下層パターンが形成された第2の物体上に形成された前記複数の基準マークのうち前記実測マーク削減工程で除外された対象マークを除く基準マークの位置情報を実測した後、前記位置情報に基づいて前記第2の物体上に形成された第2の下層パターンに対して上層パターンを位置決めして描画する第2の描画工程と
を備えることを特徴とするパターン描画方法。
【請求項6】
前記第1の描画工程と並行して実測マーク削減工程を実行する請求項5に記載のパターン描画方法。
【請求項7】
物体上に形成された複数の基準マークを撮像する撮像部と、
前記物体上に上層パターンを描画する光学ヘッドと、
前記光学ヘッドに対して前記物体を相対的に位置決めする位置決め機構部と、
前記撮像部、前記光学ヘッドおよび前記位置決め機構部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
第1の物体上に形成された複数の基準マークを前記撮像部により撮像して前記複数の基準マークの画像を得るとともに、前記画像に基づいて前記複数の基準マークの位置情報を実測し、当該位置情報に基づいて前記第1の物体上に形成された第1の下層パターンに対して前記上層パターンを位置決めして前記光学ヘッドにより描画し、
前記複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、前記対象マークを除く他の前記基準マークの実測された位置情報に基づき前記複数の基準マークの位置情報を算出し、前記複数の基準マークの算出された位置情報が前記複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから前記対象マークを除外し、
前記第1の下層パターンと同じ第2の下層パターンが形成された第2の物体上に形成された複数の基準マークのうち除外された前記対象マークを除く基準マークを前記撮像部により撮像して前記複数の基準マークの画像を得るとともに、前記画像に基づいて前記複数の基準マークの位置情報を実測し、当該位置情報に基づいて前記第2の物体上に形成された第2の下層パターンに対して前記上層パターンを位置決めして前記光学ヘッドにより描画する
ことを特徴とするパターン描画装置。
【請求項8】
物体上に形成された複数の基準マークの位置を求めるためのコンピュータプログラムであって、
複数の基準マークの位置情報を実測する実測機能と、
前記複数の基準マークのうちの1つの基準マークを対象マークとし、前記対象マークを除く他の前記基準マークの実測された位置情報に基づき前記複数の基準マークの位置情報を算出し、前記複数の基準マークの算出された位置情報が前記複数の基準マークの実測された位置情報と一致することの確からしさが所定値を超えるときには実測すべき基準マークから前記対象マークを除外する実測マーク削減機能と
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204422(P2012−204422A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65225(P2011−65225)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】