説明

位置検知装置及び画像形成装置

【課題】コストアップを抑えながら位置検知装置によるシート幅方向の端部位置検知の高精度化を図ること。
【解決手段】駆動源の駆動力で駆動されるシート搬送手段により搬送されるシートをシート幅方向に走査して、該シートのシート幅方向の端部位置を検知するシート位置検知部において、対向配置した上面74a及び下面74bを有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダ74と、上面74a及び下面74bとの間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ対75〜78と、シートが通過していることを検知する検知センサと、駆動源の駆動力で移動ホルダ74を往復移動させるカムと、を備え、検知センサがシートの通過を検知すると、カムにより移動ホルダ74をシート幅方向に往復移動させつつ、上面74aと下面74bとの間を通過するシートの端部をセンサ対75〜78で走査し、シートの幅方向の端部位置を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送路を通過中のシートの幅方向の端部位置を検知する位置検知装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、シートは、給送カセットから給送ローラ等により1枚毎に給送され、搬送ローラ等により画像形成部で形成された画像を転写する転写部に搬送される。そのため、搬送されるシートは、例えば、搬送ローラの外径差、搬送ローラの摩耗による搬送速度の差、シートをガイドする搬送ガイドとシートとの摺擦抵抗などの影響により、シート搬送方向に対して傾いた状態で搬送(以下、「斜行」という)される場合がある。
【0003】
シートが斜行したまま転写部に到達すると、画像形成部の感光体ドラムに形成されたトナー像がシートに傾いた状態で転写される。特に、両面印刷を行う場合においては、第1面(表面)に画像形成した後、シートを反転させて第2面(裏面)に画像形成するため、画像形成部までの搬送経路が給送カセットから給送される場合よりも長い。そのため、各種搬送ローラや搬送ガイド等の影響を受けやすい。これにより、シート搬送中にシートが斜行や幅方向の位置ズレを起こしやすい。また、転写部から定着部に搬送されたシートは、定着部で加熱及び加圧によりトナー像が定着されるが、定着部での熱と圧力により収縮し、シートの端部位置が変化する場合もある。
【0004】
これに対しては、シートの幅方向のずれ量を検知するフォトインタラプタをシート搬送路に設け、フォトインタラプタをシート幅方向に往復移動してシートの幅方向のずれ量を検知する位置検知装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の位置検知装置は、フォトインタラプタを搬送されるシートの端部まで移動し、シートにより遮光される位置をシートの端部位置として検出する。そして、基準位置から遮光されるまでのフォトインタラプタの移動量からシートの端部位置を算出し、算出値に基づいてシートに対する画像の書き出し位置を補正する。
【0005】
このように、シートのシート幅方向の位置ずれ量を検出して、画像書き出し位置を補正する構成においては、シートのシート幅方向における端部位置の検出が重要となる。例えば、シートが斜行して搬送される場合においては、図5に示すように、シートSの先端からシート端部検出位置のシート搬送方向の距離Hによって、位置ずれ量Lにばらつきが生じる。このばらつきにより、同じ斜行量で搬送されているシートSであってもシートSの先端からシート搬送方向の距離Hによって、画像書き出し位置の補正量が異なり、シート毎に画像がずれてしまう場合がある。
【0006】
これに対しては、搬送されるシートの動作とシートの端部位置を検知する検知センサの動作を同期させることにより、シートの端部位置がシートの先端から所定の距離になり、位置ずれ量Lのばらつきを低減できる。例えば、シートサイズ毎にシートの最大位置ずれ量よりもシートの内側に検出センサを待機させ、検出センサがシートの先端を検出すると、検出センサがシートの外側に移動を開始し、シートの端部位置を検出する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−132193号公報
【特許文献2】特開昭62−16959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の位置検知装置は、シートの先端を検出してから検出センサが移動を開始するため、シートの搬送速度を上げると、図6に示すように、シートの先端と検出位置との距離Zがシート搬送方向に伸びて長くなる。つまり、シート搬送速度が速くなると、検出位置がシートの後端部に近づくことになる。そのため、シートの搬送速度を上げていくと、シートが画像形成部に到達するまでに画像形成部でのシートの位置ずれの補正処理が間に合わなくなるおそれがある。
【0009】
また、シートの斜行を検出する場合には、シートの端部を少なくとも2回検出する必要があるが、距離Zが伸びることで2回の検出が間に合わなくなるおそれもある。更に、シートサイズ毎に検出センサを待機させる構成の場合、検出センサを移動する駆動とシートを搬送する駆動とを独立する必要があり、検出センサを駆動する駆動モータ等が別途必要となると共に、検出センサの制御も変更しなければならない。
【0010】
そこで、本発明は、コストアップを抑えながら位置検知装置によるシート幅方向の端部位置検知の高精度化を図り、シートに形成される画像形成位置の適正化が容易な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、画像形成部にシートを搬送するシート搬送路に設けられ、駆動源の駆動力で駆動されるシート搬送手段により搬送されるシートを、シート搬送方向と直交するシート幅方向に走査して、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置において、シート搬送路を通過するシートの両面からシート幅方向の端部を挟み込むように対向配置した第1保持面及び第2保持面を有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダと、前記移動ホルダの前記第1保持面及び前記第2保持面との間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ手段と、シート搬送路の前記センサ手段が配置された位置をシートが通過していることを検知するシート通過検知手段と、前記駆動源に接続され、前記駆動源の駆動力で前記移動ホルダを往復移動させる伝達機構と、を備え、前記シート通過検知手段がシートの通過を検知すると、前記駆動源の駆動力により前記伝達機構を介して前記移動ホルダをシート幅方向に往復移動させつつ、前記第1保持面と前記第2保持面との間を通過するシートの端部を前記センサ手段で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コストアップを抑えながら位置検知装置によるシート幅方向の端部位置検知の高精度化を図り、シートに形成される画像形成位置の適正化が容易な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタの全体構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施形態に係る両面ユニットを示す斜視図である。
【図3】図2に示す両面ユニットに設けられるシート端部検知部のセンサユニットを示す断面図である。
【図4】斜行するシートの斜行量を検出する状態を説明するための図である。
【図5】従来例に係るシート端部検知部によるシート幅方向の端部位置の検知を説明するための図である。
【図6】従来例に係るシート端部検知部の検知センサによる検知位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るシート端部検知部を備えた画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、搬送されるシートのシート幅方向の端部位置を検知可能な位置検知装置としてのシート端部検知部をシート搬送路としての両面搬送パスに備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置としてレーザビームプリンタ1を用いて説明する。
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタ1について、図1を参照しながら、画像形成動作に沿って説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタ1の全体構造を模式的に示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、シートSを給送するシート給送部2と、シートSに画像を形成する画像形成部3と、シートSに形成された画像を定着させる定着部4と、を備える。また、レーザビームプリンタ1は、画像が定着されたシートSを排出する排出部5と、両面プリントを行うために排出部5で反転されたシートSを搬送する両面ユニット6とを備える。このように、本実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、片面プリントを行う片面プリントモードに加え、両面プリントを行う両面プリントモードを備えており、両面ユニット6は、両面プリントモードの際に用いられる。
【0017】
シート給送部2は、シートSが収納される給送カセット20と、給送カセット20に収納されるシートSを画像形成部3に向けて給送する給送ローラ21と、シートSを1枚ずつ分離する分離ローラ22と、を備えて構成されている。シート給送部2は、給送カセット20のシート積載板23に積載され、付勢バネ24により給送ローラ21に圧接されたシートSを、分離ローラ22で1枚ずつ分離しながら給送ローラ21で画像形成部3に向けて給送する。
【0018】
画像形成部3は、プロセスカートリッジ30と、露光部31と、転写ローラ32とを備え、プロセスカートリッジ30は、像担持体である感光体ドラム33と、帯電部(図示せず)と、現像部(図示せず)とを備えて構成されている。感光体ドラム33は、帯電極性が負極性の感光層を表面に有する金属円筒で形成されており、帯電部は、感光体ドラム33のドラム表面を均一に帯電する。露光部31は、画像情報に基づいてレーザービームを感光体ドラム33に照射し、感光体ドラム33上に静電潜像を形成する。また、露光部31は、後述のシート端部検知部7により検知されたシートのシート幅方向の端部位置に応じて感光体ドラム33上に形成される静電潜像の位置(画像形成位置)を補正する不図示の補正装置を有している。現像部は、露光部31により感光体ドラム33上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として可視化する。転写ローラ32は、感光体ドラム33とニップを形成しており、レジストローラ対11により、所定のタイミングで感光体ドラム33とのニップに送り出されたシートSに、感光体ドラム33に形成されたトナー像を転写する。
【0019】
定着部4は、駆動ローラ40と、ヒータを内蔵した定着ローラ41と、を備えて構成されており、画像形成部3で未定着トナー像が形成されたシートSに熱及び圧力を印加して未定着トナー像をシートSに溶融定着させる。
【0020】
排出部5は、反転ユニット50と、内排出ローラ対51と、外排出ローラ対52と、排出トレイ53と、を備え、反転ユニット50は、シート搬送手段としての搬送ローラ54と、シート搬送手段としての従動コロ55及び従動コロ56とを備えて構成されている。搬送ローラ54は、駆動源としての不図示の駆動モータにより図1における反時計回りに回転し、搬送ローラ54に圧接する従動コロ55及び従動コロ56は、搬送ローラ54に従動して時計回りに回転する。片面プリントの場合、定着部4を通過したシートは、搬送ローラ54及び従動コロ55のニップにより搬送され、内排出ローラ対51、外排出ローラ対52を経て、画像形成された印字面を下向きにして排出トレイ53に積載される。
【0021】
一方、両面プリントの場合、定着部4を通過したシートSは、搬送ローラ54及び従動コロ55のニップにより、一旦、内排出ローラ対51、外排出ローラ対52に搬送される。シートSの後端が搬送ローラ54及び従動コロ55のニップを通過すると、内排出ローラ対51及び外排出ローラ対52を反転回転させ、シートSの後端を先頭にして搬送ローラ54及び従動コロ56のニップへ向けて搬送する。このとき、搬送ローラ54は、反時計回りの回転を続けていることから、搬送ローラ54及び従動コロ56のニップへ搬送されてきたシートSは、搬送ローラ54及び従動コロ56のニップの下流側に設けられた両面ユニット6に向けて搬送される。なお、内排出ローラ対51及び外排出ローラ対52の反転回転のタイミングは、搬送ローラ54及び従動コロ55のニップの上流側に配設された後述の検知センサ57をシートの後端が通過した後に所定のタイミングで発信される検知信号に基づいて行われる。
【0022】
両面ユニット6は、両面プリントされるシートを搬送させるシート搬送路としての両面搬送パス60と、両面搬送パス60に配設される搬送ローラ61,62と、位置検知装置としてのシート端部検知部7と、を備えて構成されている。上述の反転ユニット50により反転されたシートSは、搬送ローラ54及び従動コロ56により両面搬送パス60に搬送され、搬送ローラ61,62を介してシート端部検知部7を通過する。シート端部検知部7は、シート搬送方向(図1に示すX方向をいい、以下、「シート搬送方向X」という)と直交する方向(図2に示すY方向をいい、以下、「シート幅方向Y」という)に往復移動して、シートSのシート幅方向Yにおける端部位置を検知する。
【0023】
シートSの端部位置が検知されたシートは、画像形成部3に向けて再び搬送される。画像形成部3では、不図示の補正装置により、シート端部検知部7により検知された位置ずれ量に応じて感光体ドラム33上の静電潜像の位置が補正される。そして、補正されたトナー像がシートSに形成されると、片面プリントと同一のプロセスを経て、シートSは排出トレイ53上に排出される。
【0024】
次に、本実施形態に係るシート端部検知部7について、図1に加え、図2から図4を参照しながら更に具体的に説明する。図2は、本実施形態に係る両面ユニット6を示す斜視図である。図3は、図2に示す両面ユニット6に設けられるシート端部検知部7のセンサユニット73を示す断面図である。図4は、斜行するシートSの斜行量を検出する状態を説明するための図である。
【0025】
まず、シート端部検知部7の構成について説明する。図2に示すように、シート端部検知部7は、シート通過検知手段としての検知センサ57と、伝達機構のクラッチ手段としての電磁クラッチ70と、伝達機構としてのギア列71と、伝達機構としてのカム72と、センサユニット73と、を備えて構成されている。
【0026】
検知センサ57は、定着部4と搬送ローラ54及び従動コロ55のニップとの間に配設されており、シートSの後端の通過を検知する。なお、本実施形態においては、検知センサ57によりシートの位置を検知する構成としたが、シートの位置と連動する検出信号であればよい。検出信号は、シートの位置を検知してからセンサユニット73までの端部位置のばらつきを小さくするために、センサユニット73に近い位置に設けられることが好ましい。
【0027】
電磁クラッチ70は、搬送ローラ54を駆動する不図示の駆動モータに接続されており、シートSの反転のタイミングに合わせて駆動モータの駆動力の伝達をオン、オフする。なお、ここでいうシートSの反転のタイミングは、検知センサ57がシートSの後端が通過したことを検知したときの検出信号に基づくものであり、電磁クラッチ70は、その時の搬送ローラ54の回転に連動して、駆動モータの駆動力の伝達をオンする。
【0028】
ギア列71は、電磁クラッチ70に接続されており、不図示の駆動モータから伝達される駆動力を伝達する。つまり、電磁クラッチ70は、駆動モータとギア列71との間に介在しており、ギア列71は、電磁クラッチ70を介して駆動モータと接続されている。
【0029】
カム72は、ギア列71に接続されており、電磁クラッチ70及びギア列71を介して伝達された駆動モータの駆動力により回転する。また、カム72は、回転することにより、後述の隣接するセンサ対同士の等間隔分、センサユニット73(移動ホルダ74)が往復移動するように形成されている。
【0030】
センサユニット73は、シート幅方向Yに往復移動可能な移動ホルダ74と、センサ手段としての複数のセンサ対75,76,77,78と、を備えて構成されている。センサユニット73は、シート幅方向Yに往復移動することでシート幅方向Yでのシートの有無を走査して、シート幅方向Yの端部位置を検知する。なお、シート端部検知部7は、画像形成部3まで移動する際に生じ得る斜行等の影響を極力小さくするために、画像形成部3に近いところに設けることが好ましい。
【0031】
移動ホルダ74は、シート幅方向Yにおける断面が略コの字状に形成されており、第1保持面としての上面74aと、第2保持面としての下面74bとを備えて構成されている。上面74aと下面74bとは、シートSの両面からシートSを挟み込むように対向配置されており、上面74aと下面74bとの間をシートSが通過可能に所定間隔離間して形成されている。また、移動ホルダ74は、シート幅方向Yに沿って配設されたガイド軸79aに往復移動可能に支持されており、移動ホルダ74の上面74aと下面74bとは、一体的にシート幅方向Yに往復移動する。更に、移動ホルダ74は、付勢バネ79bによりカム72に向かって付勢されており、付勢バネ79bに付勢されることによりカム72と圧接した状態で保持されると共に、カム72が回転することによりガイド軸79aに沿ってシート幅方向Yに往復移動する。
【0032】
複数のセンサ対75〜78は、使用可能なシートと同数の数がシート幅方向Yに配設されており、本実施形態においては使用可能な4種類のシートと同数の4組のセンサ対75〜78が配設されている。シート端部検知部7は、センサ対75〜78を複数有することでセンサユニット73の移動範囲(ストローク)を短くし、小型化を図っている。
【0033】
また、各センサ対75〜78は、発光部としてのLED素子75a,76a,77a,78aと、LED素子75a,76a,77a,78aと一対をなす受光部としての受光素子75b,76b,77b,78bとを備えて構成されている。LED素子75a〜78aは、不図示のセンサ基板を介して、移動ホルダ74の下面74bにシート幅方向Yに等間隔に並んで保持されている。受光素子75b〜78bは、不図示のセンサ基板を介して、移動ホルダ74の上面74aにシート幅方向Yに等間隔に並んで保持されている。LED素子75a〜78aと受光素子75b〜78bとの間の両面搬送パス60の端部(LED素子78aと受光素子78bとの間)には、側板80に設けられたシート端部基準板81の先端が入り込むようになっている。
【0034】
次に、シート端部検知部7によるシート端部位置検知動作について説明する。まず、複数のセンサ対75〜78がシートSを検知する際のシート端部検知部7の算出方法について説明する。
【0035】
LED素子75a〜78aが発光した光を受光素子75b〜78bが受光したとき、つまり、LED素子75a〜78aが発光した光がシートSに遮光されない場合は、受光素子75b〜78bは、Highの出力信号を発信する。一方、LED素子75a〜78aが発光した光が受光素子75b〜78bに受光されないとき、つまり、LED素子75a〜78aが発光した光がシートS及びシート端部基準板81に遮光された場合は、受光素子75b〜78bは、Lowの出力信号を発信する。
【0036】
シート端部検知部7は、受光素子75b〜78bが発信する出力信号を受信すると、不図示の制御部の有する算出部によりシートの端部位置を算出させる。例えば、算出部は、シート端部基準板81の有無を検出するセンサ対78の受光素子78bが発信するHigh、Lowの出力信号の切り替わりを基準(0)として認識し、受光素子75b〜78bの出力信号の変化によりシートSの端部を検知する。そして、図3に示すように、例えば、シートSの端部に位置するセンサ対77の受光素子77bの出力信号と、出力信号が切り替わる時間から駆動モータのステップ数をカウントし、シートSの端部位置を算出する。シートSの端部位置を算出すると、算出結果をもとに、露光部31に設けられる不図示の補正装置で、静電潜像の書き出し位置を補正する。これにより、シート端部検知部7を通過したシートSに位置ずれが生じた場合においても、シートに適正化された画像が形成される。
【0037】
また、シートが斜行していた場合においては、検知センサ57がシート端部検知部7を通過することを検知してセンサユニット73が往復移動を開始する際に、シートSの先端近傍でシートSの位置検知ができるようにセンサユニット73の動作範囲を設定する。このとき、画像形成に間に合う時間内で、センサユニット73が少なくとも2回、シートSの端部位置を通過して端部位置を検知できるような往復運動の振幅範囲を設定しておく。
【0038】
そして、図4に示すように、基準位置と第1の検知位置とからシートSのシート幅方向の位置ずれ量が算出される。また、第1の検知位置、第2の検知位置及びシートの搬送速度から第1の端部位置と第2の端部位置との距離が算出され、シートの斜行量が算出される。そして、基準位置からのシート幅方向の位置ずれ量と斜行量に基づいて、露光部31の補正装置で静電潜像の書き出し位置を補正することで、シート端部検知部7を通過したシートSに位置ずれや斜行が生じた場合でも、シートに適正化された画像が形成できる。なお、シートSの端部の検知は、2回に限らず、複数回検知することにより、より高精度に斜行量を検知することができる。
【0039】
次に、シート端部検知部7の端部位置検知動作について説明する。検知センサ57がシートSの後端部の通過を検知していない場合、電磁クラッチ70の連結が切れて(オフ状態)、駆動モータの駆動力がカム72に伝達されていない状態にある。この状態において、付勢バネ79bの付勢力とカム72とにより、センサユニット73は、毎回同じ位置(動作開始位置であり、以下、「ホームポジション」という)に待機している。
【0040】
なお、ホームポジションをシート端部基準位置に設定すると、シートSの端部位置がシート端部基準位置に対して外側にずれ、センサユニット73が内側に移動する場合があり、シートの先端からシートの端部位置を検知する位置までが長くなる。そのため、シートの先端からの検知位置を短くする場合には、ホームポジションをセンサユニット73のスライド動作の端部に配置するのがよい。
【0041】
定着部4により未定着トナー像が溶融定着されたシートSが反転ユニット50により両面ユニット6に搬送され、検知センサ57がシート端部検知部7を通過することを検知(シートSの後端部を検知)すると、電磁クラッチ70が接続される。このとき、駆動モータは、搬送ローラ54を駆動中であり、電磁クラッチ70が接続されることで駆動モータの駆動力がギア列71に伝達可能となる。そして、電磁クラッチ70により伝達された駆動力は、ギア列71を介してカム72に伝達される。
【0042】
カム72に駆動力が伝達されると、カム72が回転し、センサユニット73がシート幅方向Yに往復移動する。これにより、シートSのシート幅方向Yの端部位置が上述の算出方法により算出可能となる。
【0043】
このように、本実施形態に係るシート端部検知部7は、センサユニット73で搬送されるシートSの先端を検知せず、シート位置と連動する検知センサ57による検知信号に基づいて、センサユニット73によるシートSのシート幅方向の端部位置の検知を行う。そのため、シート搬送方向の先端側の所定の位置でシートSの幅方向の端部位置を検知することができる。
【0044】
これにより、シートの搬送速度が速くなった場合においても、例えば、シートが画像形成部に到達するまでに画像形成部3でのシートSの位置ずれの補正処理が間に合わなくなることを回避することができる。また、シートSの斜行を検知する場合においても、少なくとも2回の検知が間に合わなくなることを防止することができる。更に、シートサイズ毎にセンサを設け、これらを独立に駆動させる必要がないため、検知センサを駆動する駆動モータ等を別途設ける必要もなく、検知センサの制御の変更も不要となる。その結果、コストアップを抑えながら位置検知装置によるシート幅方向の端部位置検知の高精度化を図ることができる。
【0045】
また、シート端部検知部7は、シートSを搬送する搬送ローラ54を駆動する駆動モータでセンサユニット73を往復移動させている。そのため、シートSの移動とセンサユニット73の動きを同期させることができる。これにより、シートSの端部位置を同じ位置で検知することが可能になり、シートの位置ずれの精度を高めることができる。
【0046】
また、シートSを搬送する搬送ローラ54を駆動する駆動モータから駆動力が伝達されて、センサユニット73を往復移動するため、例えば、シートSの搬送速度に対する速度対応が可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0048】
例えば、本実施形態においては、検知センサ57は、定着部4の下流側に配置したが、本発明においてはこれに限定されない。検知センサ57は、両面搬送パス60にシートが搬送され、センサユニットをシートが通過することを検知可能な位置であればよい。
【0049】
また、本実施形態においては、検知センサ57がシートSを検知すると、電磁クラッチ70を接続して移動ホルダ74を移動させる構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。電磁クラッチ70を設けることなく移動ホルダ74を搬送ローラ54の駆動モータに接続し、駆動モータが回転したら、移動ホルダ74が往復移送する構成としてもよい。また、このとき、検知センサ57がシートSを検知するとセンサ対がONする構成としてもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、カム72及び付勢バネ79bにより、センサユニット73のホームポジションを決めているが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、コイルばねの締め付け力を利用したスプリングクラッチ、又は欠歯を有する欠歯伝達クラッチ等の1回転制御クラッチ機構を使用してもよい。スプリングクラッチや1回転制御クラッチ機構を使用することで、ホームポジションの位置を明確にすることが容易となる。また、ホームポジションは、シートSの幅方向の端部位置を検出するだけの場合、シートが画像形成部3に到達するまでに位置ずれの補正処理が間に合う位置であれば、特に、位置を規定しなくてもよい。
【0051】
また、本実施形態においては、電磁クラッチ70のオン、オフにより、センサユニット73のスライド動作を開始する構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、ソレノイドのオン、オフや駆動モータの起動等により開始のタイミングをとってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 レーザビームプリンタ(画像形成装置)
3 画像形成部
7 シート端部検知部(位置検知装置)
54 搬送ローラ(シート搬送手段)
55 従動コロ(シート搬送手段)
56 従動コロ(シート搬送手段)
57 検知センサ(シート通過検知手段)
60 両面搬送パス(シート搬送路)
70 電磁クラッチ(クラッチ手段)
71 ギア列(伝達機構)
72 カム(伝達機構)
73 センサユニット
74 移動ホルダ
74a 上面(第1保持面)
74b 下面(第2保持面)
75,76,77,78 センサ対(センサ手段)
75a,76a,77a,78a LED素子(発光部)
75b,76b,77b,78b 受光素子(受光部)
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部にシートを搬送するシート搬送路に設けられ、駆動源の駆動力で駆動されるシート搬送手段により搬送されるシートを、シート搬送方向と直交するシート幅方向に走査して、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置において、
シート搬送路を通過するシートの両面からシート幅方向の端部を挟み込むように対向配置した第1保持面及び第2保持面を有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダと、
前記移動ホルダの前記第1保持面及び前記第2保持面との間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ手段と、
シート搬送路の前記センサ手段が配置された位置をシートが通過していることを検知するシート通過検知手段と、
前記駆動源に接続され、前記駆動源の駆動力で前記移動ホルダを往復移動させる伝達機構と、を備え、
前記シート通過検知手段がシートの通過を検知すると、前記駆動源の駆動力により前記伝達機構を介して前記移動ホルダをシート幅方向に往復移動させつつ、前記第1保持面と前記第2保持面との間を通過するシートの端部を前記センサ手段で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する、
ことを特徴とする位置検知装置。
【請求項2】
前記伝達機構は、前記駆動源の駆動力の前記移動ホルダへの伝達をオン、オフするクラッチ手段を備え、
前記クラッチ手段は、前記シート通過検知手段がシートの通過を検知すると、前記駆動源の駆動力の伝達をオンして前記移動ホルダを往復移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検知装置。
【請求項3】
前記センサ手段は、前記第1保持面及び前記第2保持面にそれぞれ配置される発光部及び受光部を一対とするセンサ対を、シート幅方向に等間隔に並ぶように複数有し、
前記移動ホルダは、隣接するセンサ対同士の間隔分、往復移動する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検知装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の位置検知装置と、前記駆動源の駆動力で駆動される前記シート搬送手段と、前記位置検知装置で検知したシートのシート幅方向の端部位置に応じて画像形成位置を補正して、シートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40030(P2013−40030A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179059(P2011−179059)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】