説明

位置検知装置及び画像形成装置

【課題】安価かつ簡単な構成で、精度の高いシート幅方向の端部位置の検知が可能な位置検知装置及びこれを備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】対向配置した上面81a及び下面81bを有し、シート幅方向Yに往復移動する移動ホルダ81と、移動ホルダ81を駆動する駆動ユニットと、光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサユニット80と、移動ホルダ81を駆動してシートの端部をセンサユニット80で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知するシート端部検知部において、センサ手段は、上面81aに配置されるLED素子及び下面81b配置される受光素子を一対とするセンサ対をシート幅方向に並ぶように複数有し、複数のセンサ対を1つ置きにオンさせてシート幅方向の端部位置を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送路を通過中のシートの端部位置を検知する位置検知装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンタ等の画像形成装置には、シートの第1面に画像を形成(以下、「片面プリント」という)した後、シートを反転させて、第1面と反対側の第2面に画像を形成(以下、「両面プリント」という)する、両面印刷機能を有するものがある。
【0003】
このような画像形成装置で両面プリントを行う場合、両面プリントに至るシート搬送経路(例えば、片面プリントが終了したシートを反転させてから画像形成部に送るまでの経路)が片面プリントの場合に比べて長い。そのため、搬送ローラの微小なアライメントの狂いやガイド板の歪み等の影響により、シート搬送方向と直交するシート幅方向に徐々にシートが移動してしまい、シートに形成される画像がシート幅方向に位置ずれを起こすおそれがあった。
【0004】
これに対しては、ラインセンサでシート搬送経路内におけるシートのシート幅方向の端部位置の位置ずれ量を検知し、検知結果に基づいて両面プリントの書き出し位置を決める位置検知装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の位置検知装置は、搬送されるシートの最小サイズから最大サイズの端部位置を検知可能に一列にラインセンサを配置し、シートの片面側から光を照射して光の遮蔽状態によりシート幅方向の端部位置を検知する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の位置検知装置は、搬送可能なシートすべての大きさのシート幅方向の端部位置を検知するため、すべての大きさのシートのシート幅方向の端部位置を検知可能なラインセンサが必要となる。そのため、センサ自体のコストが高くなり、結果として装置全体のコストも高くなるという問題があった。
【0006】
これに対しては、発光部及び受光部からなるセンサ対を有する移動ホルダ(例えば、フォトフォトインタラプタ)を用いてシート搬送方向と直交するシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載の位置検知装置は、対向配置された発光部と受光部との間をシートの端部が横切るように移動ホルダをシート幅方向に移動させ、基準位置から光路遮断位置までの距離によりシート幅方向の端部位置を検知する。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の位置検知装置は、1組のセンサ対によりシート幅方向の端部位置を検知するため、複数種類の大きさのシートのシート幅方向の端部位置を検知するためには、移動ホルダの移動距離を長くする必要がある。そして、移動ホルダの移動距離を確保するためには、例えば、移動機構を大型化する必要があり、装置自体が大型化するおそれがある。
【0008】
これに対しては、例えば、複数種類の大きさのシートそれぞれの端部位置に対応するように、移動ホルダに対して複数組のセンサ対をシート幅方向に並べることで、移動ホルダの移動距離を短くして、移動機構等の大型化等を回避可能と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−292960号公報
【特許文献2】特開平5−132193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、複数組のセンサ対をシート幅方向に並べて配置すると、例えば、発光部が発光する光を対向する受光部と隣接する受光部が受光してしまい、誤検知するおそれがある。
【0011】
これに対しては、例えば、搬送されるシートのサイズに対応した位置に複数組のセンサ対を配設し、搬送されるシートのサイズに対応する位置に配設したセンサ対のみを移動させることで隣接するセンサ対の誤検知を回避可能と考えられる。しかしながら、複数組のセンサ対を移動させるとなると、センサ対の数だけ電気回路が必要となり、コストが高くなると共に、配線等を置くためのスペースが必要となる。また、装置自体が大型化するおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、安価かつ簡単な構成で、精度の高いシート幅方向の端部位置の検知が可能な位置検知装置及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、シート搬送路を通過中のシートの両面からシート幅方向の端部を挟み込むように対向配置した第1保持面及び第2保持面を有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダと、前記移動ホルダをシート幅方向に駆動するホルダ駆動部と、前記移動ホルダの前記第1保持面及び前記第2保持面との間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ手段と、前記移動ホルダをシート幅方向に駆動して前記第1保持面と前記第2保持面との間を通過中のシートの端部を前記センサ手段で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置において、前記センサ手段は、前記第1保持面に配置される発光部及び前記第2保持面に配置される受光部を一対とするセンサ対を、シート幅方向に並ぶように複数有し、複数のセンサ対を1つ置きにオンした状態で前記センサ手段をシート幅方向に移動させることでシートの端部位置を検知する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、シート搬送路を通過中のシートの両面からシート幅方向の端部を挟み込むように対向配置した第1保持面及び第2保持面を有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダと、前記移動ホルダをシート幅方向に駆動するホルダ駆動部と、前記移動ホルダの前記第1保持面及び前記第2保持面との間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ手段と、前記移動ホルダをシート幅方向に駆動して前記第1保持面と前記第2保持面との間を通過中のシートの端部を前記センサ手段で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置において、前記センサ手段は、前記第1保持面に配置される発光部及び前記第2保持面に配置される受光部を一対とするセンサ対を、シート幅方向に並ぶように複数有し、判別されたシートの種類におけるシート幅方向の端部位置に対応するセンサ対をオンし、その他のセンサ対のうち、少なくともオンしたセンサ対の発光部の照射範囲内に重なるセンサ対をオフする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通過中のシートに対応する位置に配置されたセンサ対の発光部を点灯させ、その他のセンサ対の発光部を消灯させることにより、安価かつ簡単な構成で、精度の高いシート幅方向の端部位置の検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタの全体構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施形態に係るレーザビームプリンタのシート端部検知部を示す斜視図である。
【図3】図2に示すシート端部検知部のセンサユニットの部分拡大断面図である。
【図4】シート端部検知部を制御する端部検知制御部を示すブロック図である。
【図5】(a)は、シート端部検知部のセンサユニットの間の反転搬送路をシートが通過する状態を示す図であり、(b)は、センサユニットが移動してシートが発光素子を遮蔽した状態を示す図である。
【図6】移動ホルダの移動位置とセンサ対の遮蔽状態を示す図である。
【図7】反転搬送路を通過中のシートに対して移動ホルダが移動した状態を示す図である。
【図8】すべての発光素子を発光させた状態のセンサユニットの間をシートが通過する状態を示す図である。
【図9】種類の異なるシートがセンサユニットの間を通過する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、シート搬送路としての反転搬送路を通過中のシートのシート幅方向の端部位置を検知可能なシート端部検知部を備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置として、レーザビームプリンタ1を用いて説明する。
【0018】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1について、図1から図9を参照しながら説明する。まず、レーザビームプリンタ1の全体構造について、画像が形成されるシートの動きに沿って、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタ1の全体構造を模式的に示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、レーザビームプリンタ1は、シートSを給送するシート給送部2と、画像を形成する画像形成部3と、シート給送部2から給送されたシートSに画像を転写する転写部4と、シートSに転写された画像を定着させる定着部5と、を備える。また、レーザビームプリンタ1は、画像が定着されたシートSを排出する排出部6と、片面プリントを行ったシートSに対して両面プリントを行うためにシートを反転させて搬送する反転搬送部7と、を備える。
【0020】
シート給送部2は、シートSが収納される給送カセット20と、給送カセット20に収納されるシートSを画像形成部3に給送する給送ローラ対21と、シートSを1枚ずつ分離する分離部(図示せず)と、を備えて構成されている。シート給送部2は、給送カセット20に収納されたシートSを、分離部で1枚ずつ分離しながら給送ローラ対21で画像形成部3に向けて給送する。
【0021】
画像形成部3は、プロセスカートリッジ30と、露光部31と、を備え、プロセスカートリッジ30は、感光体ドラム32と、帯電部(図示せず)と、現像部(図示せず)と、を備えて構成されている。感光体ドラム32は、帯電極性が負極性の感光層を表面に有する金属円筒で形成されている。帯電部は、像担持体である感光体ドラム32のドラム表面を均一に帯電する。露光部31は、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム32上に静電潜像を形成する。また、露光部31は、後述のシート端部検知部8により検知されたシートのシート幅方向の端部位置に応じて感光体ドラム32上に形成される静電潜像の位置(画像形成位置)を補正する不図示の補正装置を有している。現像部は、露光部31により形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として可視化する。
【0022】
転写部4は、転写ローラにより構成されており、感光体ドラム32とニップを形成している。転写部4は、レジストローラ対10により、所定のタイミングで感光体ドラム32とのニップに送り出されたシートSに、感光体ドラム32に形成されたトナー像を転写する。
【0023】
定着部5は、駆動ローラ50と、ヒータを内蔵した定着ローラ51と、を備えて構成されている。定着部5は、転写部4で未定着トナー像が転写されたシートSに熱及び圧力を印加して未定着トナー像をシートSに定着させる。
【0024】
排出部6は、内排出ローラ対60と、外排出ローラ61と、排出トレイ62と、を備えて構成されている。排出部6は、片面プリント又は両面プリント後のシートSを内排出ローラ対60及び外排出ローラ61を介して排出トレイ62上に排出する。
【0025】
反転搬送部7は、両面プリントを行う際にシートSの表裏(第1面及び第2面)を反転させる反転ユニット70と、反転ユニット70で反転されたシートSのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置としてのシート端部検知部8とを備えて構成されている。なお、本実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、片面プリントを行う片面プリントモードに加え、両面プリントを行う両面プリントモードを備えており、反転搬送部7は、両面プリントモードを行う際に用いられる。
【0026】
反転ユニット70は、スイッチバックローラ対71と、再給送パス72と、両面搬送パス73と、中間トレイ74と、再給送ローラ対75と、を備えて構成されている。両面プリントが行われるシートSは、内排出ローラ対60又はスイッチバックローラ対71により第1面と反対の第2面に反転され、反転後のシートSは、再給送パス72及び両面搬送パス73を介して中間トレイ74上に一時的に収納される。そして、中間トレイ74上に収納されたシートSは、再給送ローラ対75により画像形成のために所定のタイミングで画像形成部3に向けて再搬送され、以後、片面プリントと同一のプロセスを経て、排出トレイ62上に排出される。
【0027】
シート端部検知部8は、再給送ローラ対75の下流側に位置する反転搬送路11に設けられている。シート端部検知部8は、シート搬送方向(図1に示すX方向をいい、以下、「シート搬送方向X」という)と直交する方向(図2に示すY方向をいい、以下、「シート幅方向Y」という)に位置ずれを起こしたシート幅方向Yにおける端部位置を検知する。
【0028】
ここで、第1実施形態に係るシート端部検知部8について、図2から図9を参照しながら具体的に説明する。まず、シート端部検知部8の構成について、図2から図3を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係るレーザビームプリンタ1のシート端部検知部8を示す斜視図である。図3は、図2に示すシート端部検知部8のセンサユニット80の部分拡大断面図である。
【0029】
図2及び図3に示すように、シート端部検知部8は、シート幅方向Yに往復移動可能な移動ホルダ81と、移動ホルダ81を往復移動させるホルダ駆動部としての駆動ユニット82と、一対の搬送ガイド83,84と、を備えて構成されている。また、シート端部検知部8は、シート幅方向Yに並んで配設され、シートの有無を検知する第1〜第4センサ対85,86,87,88と、反転搬送路11を通過中のシートの種類を検知する検知部91と、を備えて構成されている。なお、移動ホルダ81及び第1〜第4センサ対85〜88は、センサ手段としてのセンサユニット80を構成し、センサユニット80は、シート幅方向Yに移動することでシート幅方向Yにシートの有無を走査して、シート幅方向Yの端部位置を検知する。
【0030】
移動ホルダ81は、シート幅方向Yにおける断面が略コの字状に形成されており、第1保持面としての上面81aと、第2保持面としての下面81bとを備えて構成されている。上面81aと下面81bとは、シートの両面からシートを挟み込むように対向配置されており、上面81aと下面81bとの間をシートが通過可能に所定間隔離間して形成されている。また、移動ホルダ81は、シート幅方向Yに往復移動可能に構成されており、上面81aと下面81bとは、一体的にシート幅方向Yに往復移動する。
【0031】
駆動ユニット82は、ステッピングモータ82aと、ステッピングモータ82aに接続されたピニオン82bと、ピニオン82bと噛合する駆動列82cと、を備えて構成されている。駆動列82cは、移動ホルダ81と連結されており、ステッピングモータ82aを回転させることにより、ピニオン82bと噛合する駆動列82cが駆動し、移動ホルダ81がシート幅方向Yに往復移動する。
【0032】
本実施形態においては、駆動ユニット82は、複数種類のシートS1,S2,S3,S4のそれぞれのシート幅方向Yの端部位置の検知に必要な所定のストロークMで移動ホルダ81を往復移動させる。なお、所定のストロークMとは、複数種類のシートS1,S2,S3,S4それぞれのシートがシート幅方向Yにずれ得る予め設定された最大ずれ幅に基づいて、後述の基準位置を中心に往復移動する移動量である。
【0033】
一対の搬送ガイド83,84は、矩形板状の第1搬送ガイド83と、矩形板状の第2搬送ガイド84と、を備えて構成されている。第1搬送ガイド83は、移動ホルダ81の上面81aと下面81bとの間において、移動ホルダ81の上面81a側に配置され、第2搬送ガイド84はシートSが通過可能に第1搬送ガイド83と所定間隔離間して移動ホルダ81の下面81b側に配置されている。これにより、一対の搬送ガイド83,84は、シートSが通過可能な反転搬送路11を構成する。また、第1搬送ガイド83及び第2搬送ガイド84は、第1〜第4センサ対85〜88が有する後述の第1〜第4LED素子85a,86a,87a,88aからの光を透過するように透明材料で形成されている。
【0034】
第1〜第4センサ対85〜88は、発光部としての第1〜第4LED素子85a〜88aと、受光部としての第1〜第4受光素子85b,86b,87b,88bとを備えて構成されている。第1〜第4LED素子85a〜88aは、シート幅方向Yに並んで、センサ基板89aを介して移動ホルダ81の下面81bに保持されている。第1〜第4受光素子85b〜88bは、シート幅方向Yに並んで、センサ基板89bを介して移動ホルダ81の上面81aに保持されている。
【0035】
また、第1〜第4センサ対85〜88は、シート幅方向Yに異なる所定の長さを有する複数種類(A判やB判等)のシートS1〜S4のシート幅方向の端部が通過し得る基準位置上に配置されている。具体的には、第1センサ対85は、シートS1の基準位置上に配置され、第2センサ対86は、シートS2の基準位置上に配置されている。また、第3センサ対87は、シートS3の基準位置上に配置され、第4センサ対88は、シートS4の基準位置上に配置されている。
【0036】
ここで、基準位置とは、複数種類のシートS1〜S4が反転搬送路11をシート幅方向にずれることなく搬送される際に通過し得る位置である。本実施形態においては、図3に示す破線90aがシートS1の基準位置であり、破線90bがシートS2の基準位置である。同様に、図3に示す破線90cがシートS3の基準位置であり、破線90dがシートS4の基準位置である。
【0037】
このように、本発明においては、使用可能なシートサイズに対応した複数のセンサ対をそれぞれの基準位置に配置している。本実施形態においては、4つのシートS1〜S4のサイズに対応可能な第1〜第4センサ対85〜88を基準位置(破線90a〜90d)にそれぞれ配置している。
【0038】
次に、シート端部検知部8を制御するセンサ手段を構成する端部検知制御部90をについて、図4を参照しながら説明する。図4は、シート端部検知部8を制御する端部検知制御部90を示すブロック図である。
【0039】
図4に示すように、端部検知制御部90は、センサ操作部92を有すると共に、第1〜第4センサ対85〜88と、検知部91と、ステッピングモータ82aとに電気的に接続されている。センサ操作部92は、検知部91により検知されたシートの種類を判別し、対応した基準位置に配置されたセンサ対のLED素子をセンサ操作部92で点灯(オン)させると共に、基準位置のLED素子と隣接するLED素子を消灯(オフ)させる。例えば、検知部91により検知されたシートがシートS2の場合、第2センサ対86の第2LED素子86aを発光させると共に第1センサ対85の第1LED素子85a及び第3センサ対87の第3LED素子87aを消光させる(後述の図7参照)。そして、端部検知制御部90は、駆動ユニット82のステッピングモータ82aを制御して、所定のストロークMで移動ホルダ81を往復移動させる。
【0040】
次に、シート端部検知部8の動作について、図3に加え、図5(a)から図9を参照しながら説明する。図5(a)は、シート端部検知部8のセンサユニット80の間の反転搬送路11をシートが通過する状態を示す図である。図5(b)は、センサユニット80が移動してシートS1がLED素子85aを遮蔽した状態を示す図である。図6は、移動ホルダ81の移動位置とセンサ対の遮蔽状態を示す図である。図7は、反転搬送路11を通過中のシートS2に対して移動ホルダ81が移動した状態を示す図である。図8は、すべてのLED素子を発光させた状態のセンサユニット80の間をシートS2が通過する状態を示す図である。図9は、種類の異なるシートS3がセンサユニット80の間を通過する状態を示す図である。
【0041】
シート端部検知部8は、シートSの遮光具合をより少ない稼動領域で検知するために、第1〜第4センサ対85〜88が配置された移動ホルダ(センサユニット80)81を高速で往復運動させることが必要となる。そのため、センサユニット80は、駆動ユニット82により、1つのシートのシート幅方向の端部位置の検知に必要な所定のストロークMで移動ホルダ81を往復運動させる(図3参照)。
【0042】
この移動ホルダ81の往復運動によって、移動ホルダ81に固定配置されている第1〜第4センサ対85〜88も同時に往復運動を行う。これにより、移動ホルダ81の移動距離は、反転ユニット70から搬送されるシートの最大から最小サイズまでの距離Nを網羅し、第1〜第4受光素子85b〜88bが受光する光路のいずれか1つは搬送されるシートS1〜S4の端部を横切るように構成されている。
【0043】
また、移動ホルダ81の往復運動時の位置は、運動開始時の初期位置から、移動ホルダ81を駆動させるステッピングモータ82aのパルス数によって算出される。例えば、基準となる初期位置から移動ホルダ81の移動中に第1LED素子85aと第1受光素子85bによりシートS1のシート幅方向の端部位置を検知した位置までのステッピングモータ82aのパルス数に基づいてシートS1の端部位置を算出する。
【0044】
移動ホルダ81が図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置に移動すると、第1LED素子85aと第2受光素子85bとにより形成される光路L1をシートS1が遮断する。そのため、受光素子85bは、図6の領域Y1に示すように、明から暗に変化する光の明暗が生じ、第1センサ対85は、その変化点W1がシートS1のシート幅方向の端部位置であると検知できる。同様に、移動ホルダ81が図5(b)に示す位置から図5(a)に示す位置に移動すると、シートS1が光路L1から無くなる。そのため、受光素子85bは、図6の領域Y2に示すように、暗から明に変化し、第1センサ対85は、その変化点W2がシートS1のシート幅方向の端部位置であると検知できる。その後、これらの動作を繰り返し、その平均を算出することにより、シートS1の正確なシート幅方向の端部位置が検知可能となる。
【0045】
また、移動ホルダ81の原点位置を決めるために、シート搬送領域外において、公知の方法を用いて第1センサ対85の基準位置及びステッピングモータ82aの駆動パルスの初期値を設定しており、図6に示すΔtからシートS1の端部位置を算出しておく。このようにして、第1センサ対85の第1受光素子85bの光の明暗からシートS1の端部位置が検知可能となる。このとき、第2センサ対86の第2LED素子86aは、消光されているため、第2LED素子86aの照射範囲内に第1LED素子85aが位置している場合においても、第1LED素子85aによる誤検知のおそれは軽減される。
【0046】
同様に、シートS2が通過する場合には、第2センサ対86の第2受光素子86bの光の明暗から端部位置が検知可能となり、シートS3が通過する場合には、第3センサ対87の第3受光素子87bの光の明暗から端部位置が検知可能となる。また、シートS4が通過する場合には、第4センサ対88の第4受光素子88bの光の明暗から端部位置が検知可能となる。
【0047】
このように、例えば、図8に示すように、第1〜第4センサ対85〜88の第1〜第4LED素子85a〜88aのすべてのLED素子を点灯させると、シートS2を検知するときには第3LED素子87aからの光路L3の光も照射される。そのため、第2受光素子86bは、検知し難くなり、検知精度が低下する。しかしながら、第1実施形態に係るシート端部検知部8は、通過するシートの基準位置に配置されたセンサ対のLED素子を発光させ、基準位置のLED素子と隣接するLED素子を消光させる。例えば、図9に示すように、シートS2を通過させる場合においては、シートS2に対応した位置に配置させた第2センサ対86の第2LED素子86aを点灯させ、隣接する第1LED素子85a及び第3LED素子87aは、消光させる。これにより、シートS2の端部位置を検知する第2センサ対86による誤検知を防止することが可能になり、読み取り検知精度を落とすことなく、精度の高いシートの端部位置検知が可能となる。
【0048】
その結果、例えば、センサ対によるシートの位置情報に基づいて、不図示の補正装置によって露光部31が感光体ドラム32上に形成する静電潜像の露光位置を補正可能となり、横ずれのない適正な画像を得ることができる。また、複数回検知されたシートの端部位置の平均に基づいて露光位置を補正することにより、より精度の高い画像形成が可能となる。
【0049】
また、第1実施形態に係るシート端部検知部8は、第1〜第4センサ対85〜88を保持する移動ホルダ81を往復移動させて4種類のシートS1〜S4のシート幅方向Yの端部位置を検知する。そのため、例えば、ラインセンサを用いる場合よりもセンサ対の数を減らすことが可能になり、コストダウンを図ることが可能になる。また、第1〜第4センサ対85〜88を所定のストロークMで移動させることにより、単純な小ストロークの往復運動の移動による検知が可能となり、例えば、駆動ユニット82の構成を簡易にすることが可能になると共に、複雑な移動機構も不要となる。更に、移動距離が短いため、移動機構や装置の大型化も抑制することができる。
【0050】
また、例えば、フォトインタラプタのように、搬送してくるシートとシート幅方向で重ならない範囲に待機させたり、シートの端部位置を検知した後にシートの端部と衝突する前に停止させる等の複雑な制御も不要となる。
【0051】
また、第1実施形態に係るシート端部検知部8は、移動ホルダ81に第1〜第4センサ対85〜88を保持して一体的に異動させるため、各センサ対を個別に移動させる場合に必要となる複数の電気回路や配線のためのスペースの確保も不要となる。これにより、コストを抑えることができると共に、装置の大型化を防止することができる。
【0052】
このように、第1実施形態に係るシート端部検知部8は、安価かつ簡単な構成で、大型化することなく精度の高いシートの位置検知を行うことが可能となる。
【0053】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aについて、図1から図9を援用しながら説明する。第2レーザビームプリンタ1Aは、第1〜第4センサ対85〜88を制御する端部検知制御部90Aが第1実施形態と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と相違する点、即ち、端部検知制御部90Aを中心に説明し、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。すなわち、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
図4に示すように、第2実施形態に係る端部検知制御部90Aは、センサ操作部92Aを有すると共に、第1〜第4センサ対85〜88と、検知部91と、ステッピングモータ82aとに電気的に接続されている。センサ操作部92Aは、検知部91により検知されたシートの種類を判別し、対応した基準位置に配置されたセンサ対のLED素子を中心に、1つ置きにLED素子を点灯(オン)させる。例えば、検知部91により検知されたシートがシートS2の場合、第2センサ対86の第2LED素子86a及び第4センサ対88の第4LED素子88aを発光させる。同様に、第1センサ対85の第1LED素子85a及び第3センサ対87の第3LED素子87aを消光させる(後述の図7参照)。そして、端部検知制御部90は、駆動ユニット82のステッピングモータ82aを制御して、所定のストロークMで移動ホルダ81を往復移動させる。
【0055】
このように、搬送されるシートに対応するセンサ対を中心にセンサ対を1つおきに点灯(オン)させることにより、例えば、スイッチング素子や基板等を奇数列と偶数列との2種類に減らすことができる。これにより、コストダウンを図ることができる。
【0056】
なお、検知部91により検知されたシートの種類を判別し、対応した基準位置に配置されたセンサ対のLED素子を中心に、1つ置きにLED素子を点灯(オン)させる形態を例示した。しかし、予めシートの種類(サイズ)を判別せず、1枚のシートの搬送中に奇数列を発光させる状態と偶数列を発光させる状態を切り換えて、上記シートの端部位置を検知するようにしてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0058】
例えば、本実施形態においては、シート端部検知部8を反転搬送部7の反転搬送路11に設けたが本発明においてはこれに限定されない。シート端部検知部8は、例えば、シート給送部2と画像形成部3との間に設けてもよい。
【0059】
また、本実施形態においては、検知部91により検知されたシートの種類に対応した基準位置に配置されたセンサ対のLED素子を点灯させ、基準位置のLED素子と隣接するLED素子を消灯させる構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、基準位置のLED素子以外のその他のLED素子を消光させる構成であってもよい。また、少なくとも基準位置のLED素子の照射範囲内にあるLED素子を消光させる構成であってもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、第1〜第4センサ対85〜88は、シートS1〜S4のシート幅方向の端部が通過し得る基準位置上に配置したが、本発明においてはこれに限定されない。第1〜第4センサ対85〜88は、シートS1〜S4に対応し得るように配置されていればよい。例えば、対応し得る配置であれば、等間隔に配置されていてもよい。
【0061】
また、本実施形態においては、第1〜第4センサ対85〜88の4組のセンサ対を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。センサ対は、複数有していればよく、例えば、画像形成装置で搬送可能な種類のシートサイズと同じ数であればよい。
【0062】
また、本実施形態においては、検知部91でシートの種類を判別する構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、レーザビームプリンタ1に接続されたパソコン等からシートの種類(シートのサイズ)が直接入力される構成であってもよいし、レーザビームプリンタ1の操作パネルにシートの種類に関する情報を入力する構成であってもよい。
【0063】
また、本実施形態においては、発光部としてLED素子を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。発光部は、受光部により受光可能なものであればよい。また、移動ホルダ81を移動させる駆動ユニット82にステッピングモータ82aを用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。移動ホルダ81を駆動可能なものであればよい。
【符号の説明】
【0064】
1 レーザビームプリンタ(画像形成装置)
3 画像形成部
7 反転搬送部
8 シート端部検知部(位置検知装置)
11 反転搬送路
80 センサユニット(センサ手段)
81 移動ホルダ
81a 上面(第1保持面)
81b 下面(第2保持面)
82 駆動ユニット(ホルダ駆動部)
85 第1センサ対(センサ対)
85a 第1LED素子(発光部)
85b 第1受光素子(受光部)
86 第2センサ対(センサ対)
86a 第2LED素子(発光部)
86b 第2受光素子(受光部)
87 第3センサ対(センサ対)
87a 第3LED素子(発光素子)
87b 第3受光素子(受光素子)
88 第4センサ対(センサ対)
88a 第4LED素子(発光素子)
88b 第4受光素子(受光素子)
89a,89b,89c,89d 破線(基準位置)
90 端部検知制御部(センサ手段)
91 検知部
S,S1,S2,S3,S4 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送路を通過中のシートの両面からシート幅方向の端部を挟み込むように対向配置した第1保持面及び第2保持面を有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダと、
前記移動ホルダをシート幅方向に駆動するホルダ駆動部と、
前記移動ホルダの前記第1保持面及び前記第2保持面との間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ手段と、
前記移動ホルダをシート幅方向に駆動して前記第1保持面と前記第2保持面との間を通過中のシートの端部を前記センサ手段で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置において、
前記センサ手段は、前記第1保持面に配置される発光部及び前記第2保持面に配置される受光部を一対とするセンサ対を、シート幅方向に並ぶように複数有し、複数のセンサ対を1つ置きにオンした状態で前記センサ手段をシート幅方向に移動させることでシートの端部位置を検知する、
ことを特徴とする位置検知装置。
【請求項2】
複数のセンサ対は、複数種類のシートそれぞれのシート幅方向の端部がシート幅方向にずれなかった場合に通過する複数の基準位置上にそれぞれ位置するように前記移動ホルダに配置され、
通過中のシートの種類に対応する基準位置上に配置されたセンサ対を中心に、前記複数のセンサ対を1つ置きにオンし、
前記ホルダ駆動部が、予め設定された最大ずれ幅の分、前記移動ホルダをシート幅方向に往復移動し、オンしたセンサ対でシート幅方向に走査することにより、通過中のシートの端部位置を検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検知装置。
【請求項3】
シート搬送路を通過中のシートの種類を検知する検知部を備え、
前記センサ手段は、前記検知部の検知によりシートの種類を判別する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検知装置。
【請求項4】
シート搬送路を通過中のシートの両面からシート幅方向の端部を挟み込むように対向配置した第1保持面及び第2保持面を有し、シート幅方向に往復移動可能な移動ホルダと、
前記移動ホルダをシート幅方向に駆動するホルダ駆動部と、
前記移動ホルダの前記第1保持面及び前記第2保持面との間で光を照射、受光してシートの有無を検知するセンサ手段と、
前記移動ホルダをシート幅方向に駆動して前記第1保持面と前記第2保持面との間を通過中のシートの端部を前記センサ手段で走査し、該シートのシート幅方向の端部位置を検知する位置検知装置において、
前記センサ手段は、前記第1保持面に配置される発光部及び前記第2保持面に配置される受光部を一対とするセンサ対を、シート幅方向に並ぶように複数有し、判別されたシートの種類におけるシート幅方向の端部位置に対応するセンサ対をオンし、その他のセンサ対のうち、少なくともオンしたセンサ対の発光部の照射範囲内に重なるセンサ対をオフする、
ことを特徴とする位置検知装置。
【請求項5】
複数のセンサ対は、複数種類のシートそれぞれのシート幅方向の端部がシート幅方向にずれなかった場合に通過する複数の基準位置上にそれぞれ位置するように前記移動ホルダに配置され、
通過中のシートの種類に対応する基準位置上に配置されたセンサ対を、前記シート幅方向の端部位置に対応するセンサ対としてオンし、
前記ホルダ駆動部が、予め設定された最大ずれ幅の分、前記移動ホルダをシート幅方向に往復移動し、オンしたセンサ対でシート幅方向に走査することにより、通過中のシートの端部位置を検知する、
ことを特徴とする請求項4に記載の位置検知装置。
【請求項6】
シート搬送路を通過中のシートの種類を検知する検知部を備え、
前記センサ手段は、前記検知部の検知によりシートの種類を判別する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の位置検知装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の位置検知装置と、該位置検知装置で検知したシートのシート幅方向の端部位置に応じて画像形成位置を補正して、シートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部で画像が形成された後に表裏が反転されたシートを、前記画像形成部に向けて再搬送する反転搬送路を備え、
前記位置検知装置は、前記反転搬送路に配設される、
ことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−40038(P2013−40038A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179664(P2011−179664)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】