説明

位置表示装置

【課題】 所望の範囲を移動する対象物の位置を表示することができ、かつ、対象物の表示範囲を容易に変更することができる位置表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 磁石の作用を受けて開閉する磁性素子ME1〜ME4と、発光ダイオードD1〜D4と、第1の方向から移動してきた磁石Mgの作用を受けると、開状態又は閉状態になり、第1の方向とは逆方向の第2の方向から移動してきた磁石の作用を受けるまで、前記状態を保ち続ける記憶スイッチMRとを備え、磁性素子ME1〜ME4及び発光ダイオードD1〜D4を一列に配置する。そして、磁性素子MEが磁石Mgの作用を受けて作動したときに、電流が流れる発光ダイオードDが点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性素子と発光素子を使用して、対象物の位置を表示する位置表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性素子であるリードスイッチと発光素子を使用して、対象物(ピストン)の位置を表示する位置表示装置が提案されていた(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1の位置表示装置は、位置表示のために、それぞれ異なる色を発光する2つの発光ダイオード(LED)と、磁石に応答する2つのリードスイッチとを備えている。2つのリードスイッチは所定の距離ずれた位置に固定されている。磁石が装着されたピストンが所定の範囲内に位置するときは、1つのリードスイッチが閉状態になり、2つのLEDの一方が点灯し、前記ピストンが所定の範囲外に位置するときは、2つのリードスイッチが閉状態になり、他方のLEDが点灯する。これにより、前記ピストンが所定の範囲内にあるか否かで、それぞれ異なる色のLEDを光らせることができる。
【0004】
また、特許文献2の位置表示装置は、それぞれ異なる色を発光する3つのLEDと、磁石に応答する2つのリードスイッチとを備えている。2つのリードスイッチは所定の距離ずれた位置に固定されている。磁石が装着されたピストンが所定の範囲内に位置するときは、2つのリードスイッチが閉状態になり、前記ピストンが最適範囲にあることを示すLEDが点灯し、所定の範囲外に前記ピストンが位置するときは、2つのリードスイッチのいずれか一方が閉状態になり、ずれた方向に応じてそれぞれ別のLEDが点灯する。これにより、前記ピストンが所定の範囲内にあるか否かで、それぞれ異なる色のLEDを光らせることができる。
【特許文献1】特開2002−195214号公報
【特許文献2】特開特開平10−115504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の位置表示装置は、対象物が所定の範囲内にあるか否かを、それぞれ異なる色のLEDを光らせることで、表示する回路構成であるため、対象物の位置を表示する範囲が限定されていた。このため、対象物の位置を表示する範囲を変更することも困難であった。
よって、本発明では、所望の範囲を移動する対象物の位置を表示することができ、かつ、対象物の表示範囲を容易に変更できる位置表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置表示装置は、複数の発光素子と、前記発光素子に対応してそれぞれ配置され、磁石の作用を受けて開閉する複数の磁性素子と、第1の方向から移動してきた磁石の作用を受けると、開状態又は閉状態になり、第1の方向とは逆方向の第2の方向から移動してきた磁石の作用を受けるまで、前記状態を保ち続ける記憶スイッチとを備え、前記複数の磁性素子が、常時閉状態で、磁石の作用を受けて開状態になる素子であり、常に、1つ以上の前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動する間隔でそれぞれ直列に接続され、前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子を介して電流が流れる発光素子が点灯することを特徴とする。これにより、前記磁性素子が作動したときに、前記磁性素子を介して電流が流れる前記発光素子が点灯して、磁石の位置を表示することができる。
【0007】
また、本発明の位置表示装置は、前記複数の発光素子と、前記複数の磁性素子と、前記記憶スイッチと、前記発光素子に対応して一列に配置され、対応する前記発光素子を通る電流を整流する複数の整流ダイオードとを備え、前記磁性素子は、常時開状態で、磁石の作用を受けて閉状態になる素子であり、前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子を介して電流が流れる発光素子が点灯することを特徴とする。これにより、前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、電流が流れる発光素子が点灯して、磁石の位置を表示することができる。
【0008】
また、本発明の位置表示装置は、前記複数の発光素子と、前記複数の磁性素子と、前記記憶スイッチと、前記発光素子及び前記磁性素子に対応して一列に配置され、一端が対応する前記磁性素子に接続し、接続する前記磁性素子が磁石の作用を受けたときに励磁する複数のリレーを備え、前記磁性素子が、常時開状態で、磁石の作用を受けて閉状態になる素子であり、前記各リレーが、対応する前記発光素子と接続する常時閉状態のスイッチを有し、接続する前記磁性素子が閉状態になったとき、励磁して、前記スイッチを開状態にし、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子を介して電流が流れる発光素子が点灯することを特徴とする。これにより、前記磁性素子が作動したときに、前記リレーのスイッチを介して電流が遮断される前記発光素子が消灯して、磁石の位置を表示することができる。
【0009】
また、本発明の位置表示装置は、前記複数の発光素子が、所定数の発光素子からなる組ごとにそれぞれ色が異なるようにすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の位置表示装置は、前記複数の発光素子が発光ダイオードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の位置表示装置は、複数の発光素子と、前記発光素子に対応してそれぞれ配置され、磁石の作用を受けて開閉する複数の磁性素子とを備え、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、電流が流れる発光素子が点灯するようにした。これにより、対象物に磁石を取り付けるだけで、所望の範囲を移動する対象物の位置を検出して表示することができる。さらに、磁性素子と発光素子の組の数を変えるだけで、対象物の表示範囲を容易に変更できるので、対象物の表示範囲が限定されない。
【0012】
また、本発明の位置表示装置は、第1の方向から移動してきた磁石の作用を受けると、開状態又は閉状態になり、第1の方向とは逆方向の第2の方向から移動してきた磁石の作用を受けるまで、前記状態を保ち続ける記憶スイッチを備えるようにした。これにより、磁性素子が作用する範囲から磁石Mgが外れても、誤って発光素子が点灯することがないので、誤表示を防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の位置表示装置は、前記発光素子及び前記磁性素子に対応して一列に配置され、一端が対応する前記磁性素子に接続し、接続する前記磁性素子が磁石の作用を受けたときに励磁する複数のリレーを備え、このリレーにより、発光素子を点灯又は消灯させるようにした。これにより、対象物の位置を検出する位置検出回路と、対象物の位置を表示する位置表示回路とを分けることができ、これらの回路の相対位置を自由に設定することができる。
【0014】
また、本発明の位置表示装置によれば、前記複数の発光素子は、所定数の発光素子からなる組ごとにそれぞれ色が異なるようにしたことから、対象物の表示範囲を色分けすることができる。
【0015】
また、本発明の位置表示装置によれば、前記複数の発光素子は発光ダイオードであることから、対象物の位置を、省電力で明確に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る位置表示装置について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態1に係る位置表示装置の回路構成例を示す図である。
【0017】
本実施の形態1に係る位置表示装置は、複数の発光素子(発光ダイオードD1〜D4)と、発光素子に対応してそれぞれ配置される複数の磁性素子(磁性素子ME1〜ME4)と、記憶スイッチMRとを備える。複数の発光素子は、第1の電源ラインと第2の電源ラインとの間にそれぞれ並列に接続され、はしご状に配列される。複数の磁性素子はそれぞれ第1の電源ライン上に直列に接続される。記憶スイッチMRは第2の電源ライン上に接続される。
【0018】
発光素子は、磁性素子MEと組で必要数が一列に配置される。発光素子の色は、任意に変えるようにしても良い。例えば、所定数の発光素子からなる組ごとに色を変えることで、磁石Mgが移動する表示範囲を色分けすることができる。図1では、発光素子として、発光ダイオード(LED)を使用し、4つの発光ダイオードDを電源ラインに接続する場合について示しているが、発光ダイオードDの数は、4つに限られるものではなく、必要な数だけ電源ラインに接続される。また、発光素子は発光ダイオードに限るものではなく、エレクトロルミネッセンス(EL)でも良い。
【0019】
磁性素子ME1〜ME4は、常時閉状態で、磁石Mgの作用を受けて開状態になる素子である。各磁性素子MEは、常に、1つ以上の磁性素子MEが磁石Mgの作用を受けて作動する間隔で配置されている。なお、図1では、4つの磁性素子MEを電源ラインに接続する場合について示しているが、磁性素子MEの数は、4つに限られるものではなく、必要な数だけ電源ラインに接続される。磁性素子MEとしては、磁気スイッチ、リードスイッチ、ホール素子、ホールIC、又はその他の磁気検出素子が挙げられる。
【0020】
記憶スイッチMRは磁石Mgの移動方向を記憶するスイッチである。具体的には、第1の方向に移動する磁石Mgの作用を受けると、開状態又は閉状態になり、第1の方向とは逆方向の第2の方向に移動する磁石Mgの作用を受けるまで、前記状態を保ち続けることで、磁石Mgの移動方向を記憶する。記憶スイッチMRを備えるのは、磁石Mgが磁性素子ME1より電源側に移動したときに、全ての磁性素子MEが閉状態になることで、全ての発光ダイオードDが点灯するのを避けるためである。図1において、記憶スイッチMRは、磁石MgがA方向に移動するときには、磁性素子ME1の後に磁石Mgの作用を受け、磁石MgがB方向に移動するときには、磁性素子ME1より前に磁石Mgの作用を受ける位置に接続される。これにより、磁石Mgが磁性素子ME1より電源側に移動したときに、全ての発光ダイオードDが点灯するのを防ぐことができる。以上のような動作をする記憶スイッチMRとしては、例えば、リードスイッチが挙げられる(株式会社エヌエーのウェブサイト、http://www.na-web.co.jp/products/rs/pr-01-16-htmlを参照,2005年6月検索)。
【0021】
なお、記憶スイッチMRは磁性素子MEが接続される電源ラインに接続されることでも良く、この場合、記憶スイッチMRは磁性素子ME1より発光ダイオード側に接続される。これにより、磁石Mgが磁性素子ME1より電源側に移動したとき、発光ダイオードDは全て消灯する。
【0022】
以上のように構成される位置表示装置の動作について図1を用いて説明する。まず、磁石Mgが電源の位置からA方向に移動すると、磁性素子ME1が磁石Mgの作用を受けて開状態になる。このとき、発光ダイオードD1〜D4には電流が流れず、いずれの発光ダイオードDも点灯しない。さらに、磁石MgがA方向に移動すると、記憶スイッチMRが閉じる。記憶スイッチMRはB方向に移動する磁石Mgの作用を受けるまで閉状態を保つ。これにより、記憶スイッチMRは磁石MgがA方向に移動したことを記憶することになる。さらに、磁石MgがA方向に移動して、磁性素子ME2が磁石Mgの作用を受けて開状態になり、磁性素子ME1が磁石Mgの作用を受けなくなり閉状態になると、発光ダイオードD1に電流が流れ、発光ダイオードD1が点灯する。さらに、磁石MgがA方向に移動すると、磁性素子ME3が開状態に、磁性素子ME1及びME2が閉状態になり、発光ダイオードD1及びD2に電流が流れ、発光ダイオードD1及びD2が点灯する。以上のようにして、磁性素子MEが作動することで電流が流れる発光ダイオードDが点灯する。すなわち、磁石Mgの移動に伴い、磁石Mgの位置から電源までの発光ダイオードDが点灯して、磁石Mgの位置を表示することができる。
【0023】
同様に、磁石MgがB方向に移動するときも、磁性素子MEが作動することで電流が流れる発光ダイオードDが点灯するので、磁石Mgの位置から電源までの発光ダイオードDが点灯して、磁石Mgの位置を表示することができる。B方向に移動する磁石Mgの作用を記憶スイッチMRが受けると、記憶スイッチMRは開状態になる。これにより、全ての発光ダイオードDが消灯する。その後、記憶スイッチMRは、A方向に移動する磁石Mgの作用を再度受けるまで、開状態を保つ。
【0024】
なお、磁性素子MEは、常に、1つ以上の磁性素子MEが作動する間隔で配置されているので、磁性素子ME間に磁石Mgが位置するとき、両側の磁性素子MEが閉状態になることはない。これにより、磁石Mgが磁性素子ME4の位置に移動していないにもかかわらず、誤って、発光ダイオードD1〜D4が点灯することはない。
【0025】
以上のように構成される実施の形態1に係る位置表示装置を水面計に適用した場合について、図4〜6を用いて説明する。
【0026】
図4は水面計を上から見た図であり、図5は水面計の側面図であり、図6は水面計の正面図である。図4〜6に示すように、水面計は、ボイラ等から連結管を通して水を導入すると、フロート1が上下する。このフロート1には磁石2が取り付けられている。この磁石2の移動に応じて、指示器ケース3に封入された発光ダイオード(LED)4が点灯する。LED4は、磁性素子5と共に、基板6に、図1に示すように必要数配置されている。磁性素子5が磁石2の作用を受けて作動することで電源から電流が流れるLED4が点灯する。すなわち、磁石Mgの位置までのLED4が点灯する。また、磁石2の移動方向を記憶する記憶スイッチ7を基板6に設けるようにする。これにより、磁石2が最下部の磁性素子を超えて、作用範囲を外れたとき、全てのLED4が消灯することになる。以上のような構成により、ボイラ等の水位をLED4によって明確に表示することができる。
【0027】
なお、LED4の色の組み合せは任意に変えるようにしても良い。例えば、所定数のLED毎に色を変えることで、水位の警告ラインと安全ラインを色分けして表示することができる。
【0028】
以上のように、本実施の形態1に係る位置表示装置は、複数の発光素子(発光ダイオードD1〜D4)と、磁石Mgの作用を受けると開状態になる複数の磁性素子(磁性素子ME1〜ME4)と、磁石Mgが電源側から発光ダイオード側に移動したか、発光ダイオード側から電源側に移動したかを記憶する記憶スイッチMRとを備え、磁性素子MEが作動したときに、磁性素子MEを介して電流が流れる発光ダイオードDが点灯する構成とした。
【0029】
これにより、本実施の形態1に係る位置表示装置によれば、対象物に磁石Mgを取り付けるだけで、所定の範囲内で移動する対象物の位置を検出、表示することができる。さらに、磁性素子MEと発光ダイオードDの組を一列に必要な数だけ並べることで、対象物の位置を検出、表示することができるので、磁性素子MEと発光ダイオードDの数を変えるだけで、容易に表示範囲を変えることができる。また、記憶スイッチMRを備えることから、磁性素子MEが作用する範囲から磁石Mgが電源側に外れても、発光ダイオードDが誤って点灯することがないので、誤表示を防ぐことができる。
【0030】
なお、実施の形態1では、磁性素子ME間で発光ダイオードDを点灯させる場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、発光ダイオードDを点灯させる位置を任意に変えて良い。例えば、磁石Mgの作用を受けた磁性素子MEの位置と同じ位置で発光ダイオードDを点灯させることでも良い。
【0031】
また、実施の形態1では、各磁性素子MEを、常に、1つ以上の磁性素子MEが磁石Mgによって作動する間隔で配置する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、磁性素子MEの間隔を任意に設定し、その間隔に応じて磁石Mgの強さを選定し、常に1つ以上の磁性素子MEが磁石Mgの作用によって作動するようにしても良い。
【0032】
また、磁性素子MEとして、リードスイッチを用いる場合は、磁石の磁界の向きと平行にリードスイッチを整列させることで、リードスイッチを正確に作動させることができる。
【0033】
また、本発明の位置表示装置は、水面計のみに適用されるものではなく、空気圧や油圧で所定の範囲を移動するピストンの位置を表示する装置に適用することでも良い。
【0034】
(実施の形態2)
以下、本実施の形態2に係る位置表示装置について図2を用いて説明する。本実施の形態2に係る位置表示装置において、図2は、本実施の形態2に係る位置表示装置の回路構成例を示す図である。前記実施の形態1では、磁性素子MEは常時閉状態の素子であった。しかし、この種類の素子より常時開状態の素子の方が一般的に広く使用されているので、本実施の形態2に係る位置表示装置では、常時開状態で、磁石Mgの作用を受けて閉状態になる磁性素子MEを用いることとする。
【0035】
本実施の形態2に係る位置表示装置は、複数の発光素子(発光ダイオードD1〜D4)と、常時開状態の複数の磁性素子(磁性素子ME1〜ME4)と、複数の整流ダイオード(整流ダイオードRD1〜RD4)と、記憶スイッチMRとを備える。複数の発光素子と複数の磁性素子はそれぞれ、第1の電源ラインと第2の電源ラインとに並列に接続され、はしご状に配列される。整流ダイオードRDは発光ダイオードDからの電流を整流する。
【0036】
磁性素子ME及び発光ダイオードDの数は4つに限るものではなく、必要な数だけ配置する。また、整流ダイオードRDは、発光ダイオード数より1つ少ない数を備えるようにする。
【0037】
記憶スイッチMRは、電源側から最も離れた磁性素子ME4より、さらに、電源側から離れた位置に接続され、A方向に移動する磁石Mgの作用を受けるまで開状態を保つ。この位置に記憶スイッチMRを備えることで、磁石Mgが磁性素子ME4からさらにA方向に移動して、磁性素子ME4が開状態になったとき、記憶スイッチMRは閉状態になるので、発光ダイオードD1〜D4が消灯するのを防ぐことができる。
【0038】
以上のように構成される位置表示装置の動作について説明する。磁石Mgが電源の位置からA方向に移動すると、磁性素子ME1が磁石Mgの作用を受けて閉状態になるので、発光ダイオードD1に電流が流れ、発光ダイオードD1が点灯する。このとき、発光ダイオードD1を通過した電流は整流ダイオードRD1で整流され、また、記憶スイッチMRが開状態であるので、発光ダイオードD2〜D4には電流が流れない。よって、発光ダイオードD2〜D4は点灯しない。さらに、磁石MgがA方向に移動して、磁性素子ME2が磁石Mgの作用を受けて閉状態になると、発光ダイオードD1及びD2に電流が流れ、発光ダイオードD1及びD2が点灯する。さらに、磁石MgがA方向に移動して、磁性素子ME3が磁石Mgの作用を受けて閉状態になるので、発光ダイオードD1〜D3に電流が流れ、発光ダイオードD1〜D3が点灯する。さらに、磁石MgがA方向に移動して、磁性素子ME4を超えると、記憶スイッチMRが閉状態になる。これにより、発光ダイオードD1〜D4を点灯させることができる。
【0039】
この状態から、磁石MgがB方向に移動すると、記憶スイッチMRは開状態になる。その後、磁石MgがB方向に移動するときも、同様に、磁石の位置から電源までの発光ダイオードDが点灯して、磁石Mgの位置を表示する。
【0040】
以上のような本実施の形態2に係る位置表示装置を、図4〜図6に示すように、水面計に適用するようにしても良い。この場合、図2に示すように、LED4、磁性素子5及び整流ダイオードを必要な数だけ基板6に配置する。さらに、記憶スイッチ7を、基板6の最上部の磁性素子よりさらに上側に設けるようにする。以上のような構成により、ボイラ等の水位をLED4によって明確に表示することができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態2に係る位置表示装置は、第1の電源ラインと第2の電源ラインに並列に接続される磁性素子ME及び発光ダイオードDと、発光ダイオードDからの電流を整流する整流ダイオードRDと、記憶スイッチMRとを備えるようにした。
【0042】
これにより、本実施の形態2に係る位置表示装置によれば、対象物に磁石を取り付けることで、磁石Mgの作用を受けて閉状態になるタイプの磁性素子を用いて、所望の範囲内で移動する対象物の位置を検出、表示することができる。さらに、磁性素子ME、発光ダイオードD、及び整流ダイオードRDの組の数を変えるだけで、対象物の表示範囲を容易に変えることができる。また、磁性素子MEの作用位置で、発光ダイオードDを点灯させることができる。
【0043】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る位置表示装置について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態3に係る位置表示装置の回路構成例を示す図である。前記実施の形態1では、磁性素子MEは常時閉状態の素子であった。しかし、この種類の素子より常時開状態の素子の方が一般的に広く使用されているので、本実施の形態3に係る位置表示装置では、常時開状態で、磁石Mgの作用を受けて閉状態になる磁性素子MEを用いることとする。
【0044】
本実施の形態3に係る位置表示装置は、発光ダイオードD1〜D4と、常時開状態の磁性素子ME1〜ME4と、発光ダイオードD及び磁性素子MEに対応して一列に配置される複数のリレー(リレーR1〜R4)と、記憶スイッチMRとを備える。発光ダイオードD1〜D4はそれぞれ第1の電源ラインと第2の電源ラインに並列に接続され、はしご状に配列される。磁性素子ME1〜ME4はそれぞれ第3の電源ラインと第4の電源ラインとに並列に接続され、はしご状に配列される。リレーR1〜R4はそれぞれ、一端が磁性素子MEに接続し、接続する磁性素子MEが閉状態になったときに励磁して発光ダイオードD1〜D4を接続する第1の電源ラインの開閉を制御する。記憶スイッチMRは第2の電源ライン上に接続される。
【0045】
複数のリレーRは接点であるリレースイッチR’を有する。リレースイッチR’はそれぞれ、第1の電源ライン上に直列に接続されていて、発光ダイオードDと接続している。リレースイッチR’は常時閉状態であり、磁性素子MEが閉状態になり、リレーRが励磁すると、開状態になる。なお、リレーRの数は4つに限るものではなく、磁性素子MEと発光ダイオードDに対応して、必要な数だけ配置される。
【0046】
記憶スイッチMRは、A方向に移動する磁石Mgの作用を磁性素子ME1より後に受けて閉状態になり、B方向に移動するMgの作用を磁性素子ME1より前に受けて開状態になる位置に接続される。
【0047】
以上のように構成される位置表示装置の動作について説明する。まず、磁石Mgが電源の位置からA方向に移動すると、磁性素子ME1が磁石Mgの作用を受けて閉状態になり、リレーR1が励磁し、リレーR1のリレースイッチR1’が開状態になる。このとき、いずれの発光ダイオードDにも電流が流れないので、いずれの発光ダイオードDも点灯しない。さらに、磁石MgがA方向に移動すると、記憶スイッチMRが閉状態になる。記憶スイッチMRはB方向に移動する磁石Mgの作用を受けるまで閉状態を保つ。さらに、磁石MgがA方向に移動すると、磁性素子ME2が磁石Mgの作用を受けて閉状態になり、リレーR2が励磁し、リレーR2のリレースイッチR2’が開状態になる。その後、磁性素子ME1が磁石Mgの作用を受けなくなるとリレーR1のリレースイッチR1’が閉状態になる。これにより、発光ダイオードD1に電流が流れ、発光ダイオードD1が点灯する。さらに、磁石MgがA方向に移動すると、磁性素子ME3が磁石Mgの作用を受けて閉状態になり、リレーR3が励磁し、リレーR3のリレースイッチR3’が開状態になる。その後、磁性素子ME2が磁石Mgの作用を受けなくなるとリレーR2のリレースイッチR2’が閉状態になる。これにより、発光ダイオードD1及びD2に電流が流れ、発光ダイオードD1及びD2が点灯する。以上のようにして、磁性素子MEが作動したときに、リレースイッチR’を介して電流が流れる発光ダイオードDが点灯する。すなわち、磁石Mgの移動に伴い、磁石Mgの位置から電源までの発光ダイオードDが点灯して、磁石Mgの位置を表示することができる。
【0048】
同様に、磁石MgがB方向に移動するときも、リレーRのリレースイッチR’を介して電流が流れる発光ダイオードDが点灯するので、磁石Mgの位置から電源までの発光ダイオードDが点灯して、磁石Mgの位置を表示することができる。B方向に移動する磁石Mgの作用を記憶スイッチMRが受けると、記憶スイッチMRは開状態になる。そして、A方向に移動する磁石Mgの作用を受けるまで、開状態を保つ。これにより、磁石Mgが磁性素子ME1より電源側に移動したときに、全ての発光ダイオードDが消灯する。
【0049】
以上のような本実施の形態3に係る位置表示装置を、図4〜図6に示すように、水面計に適用するようにしても良い。この場合、図3に示すように、LED4、磁性素子5、記憶スイッチ7及びリレーを、基板6に必要な数だけ配置する。以上のような構成により、ボイラ等の水位をLED4によって明確に表示することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態3に係る位置表示装置は、第1の電源ラインと第2の電源ラインとに並列に接続される発光ダイオードD1〜D4と、第3の電源ラインと第4の電源ラインに並列に接続される磁性素子MEと、一端が磁性素子MEに接続し、接続する磁性素子MEが磁石の作用を受けると励磁する複数のリレーR1〜R4と、記憶スイッチMRとを備え、磁性素子MEが作動したときに、リレーRのリレースイッチR’を介して電流が流れる発光ダイオードDが点灯する構成である。
【0051】
これにより、本実施の形態3に係る位置表示装置によれば、対象物に磁石Mgを取り付けることで、常時開状態で、磁石Mgに反応して閉状態になるタイプの磁性素子MEを用いて、所定の範囲内で移動する対象物の位置を検出、表示することができる。さらに、磁性素子ME、発光ダイオードD、及びリレーの組の数を変えるだけで、容易に表示範囲を変えることができる。また、リレーRを用いて発光ダイオードDを点灯させることから、磁石Mgの位置を検出する位置検出回路と、磁石Mgの位置を表示する表示回路とを分けることができる。その結果、磁性素子MEを含む位置検出回路と発光ダイオードDを含む表示回路の相対位置を自由に設定できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、所望の範囲を移動する対象物、例えば、水面計や液面計のフロートの位置や、空気圧や油圧で移動するピストンの位置を検出して、表示する位置表示装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置表示装置の回路構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る位置表示装置の回路構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る位置表示装置の回路構成例を示す図である。
【図4】本発明の位置表示装置を適用した水面計を上から見た図である。
【図5】本発明の位置表示装置を適用した水面計の側面図である。
【図6】本発明の位置表示装置を適用した水面計の正面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 フロート
2 磁石
3 指示器ケース
4 LED
5 磁性素子
6 基板
7 記憶スイッチ
D 発光ダイオード
Mg 磁石
MR 記憶スイッチ
ME 磁性素子
R リレー
R’,R’’ リレースイッチ
RD 整流ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記発光素子に対応してそれぞれ配置され、磁石の作用を受けて開閉する複数の磁性素子と、
第1の方向から移動してきた磁石の作用を受けると、開状態又は閉状態になり、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向から移動してきた磁石の作用を受けるまで、前記状態を保ち続ける記憶スイッチとを備え、
前記複数の磁性素子は、常時閉状態で、磁石の作用を受けて開状態になる素子であり、それぞれが、常に、1つ以上の前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動する間隔で直列に接続され、
前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子を介して電流が流れる発光素子が点灯する、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項2】
複数の発光素子と、
前記発光素子に対応してそれぞれ配置され、磁石の作用を受けて開閉する複数の磁性素子と、
第1の方向から移動してきた磁石の作用を受けると、開状態又は閉状態になり、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向から移動してきた磁石の作用を受けるまで、前記状態を保ち続ける記憶スイッチと、
前記発光素子に対応して一列に配置され、対応する前記発光素子を通る電流を整流する複数の整流ダイオードとを備え、
前記複数の磁性素子は、常時開状態で、磁石の作用を受けて閉状態になる素子であり、それぞれが、常に、1つ以上の前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動する間隔で配置され、
前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子を介して電流が流れる発光素子が点灯する、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項3】
複数の発光素子と、
前記発光素子に対応してそれぞれ配置され、磁石の作用を受けて開閉する複数の磁性素子と、
第1の方向から移動してきた磁石の作用を受けると、開状態又は閉状態になり、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向から移動してきた磁石の作用を受けるまで、前記状態を保ち続ける記憶スイッチと、
前記発光素子及び前記磁性素子に対応して一列に配置され、一端が対応する前記磁性素子に接続し、接続する前記磁性素子が磁石の作用を受けたときに励磁する複数のリレーとを備え、
前記複数の磁性素子は、常時開状態で、磁石の作用を受けて閉状態になる素子であり、それぞれが、常に、1つ以上の前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動する間隔で配置され、
前記各リレーは、対応する前記発光素子と接続する常時閉状態のスイッチを有し、接続する前記磁性素子が閉状態になったとき、励磁して、前記スイッチを開状態にし、
前記磁性素子が磁石の作用を受けて作動したときに、前記複数の発光素子のうち、前記磁性素子を介して電流が流れる発光素子が点灯する、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の位置表示装置において、
前記複数の発光素子は、所定数の発光素子からなる組ごとにそれぞれ色が異なることを特徴とする位置表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の位置表示装置において、
前記複数の発光素子は発光ダイオードであることを特徴とする位置表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−40798(P2007−40798A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224425(P2005−224425)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【特許番号】特許第3786136号(P3786136)
【特許公報発行日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(501314662)株式会社 サワダ製作所 (4)
【Fターム(参考)】