説明

低いガラス転移温度を有する高分岐ポリマー及びその化粧品における使用

本発明は、少なくとも3つのポリマー分岐を含む高度分岐ポリマーに関する。前記ポリマー分岐は主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成している。前記ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合は前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、低いガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つのポリマー配列を含む高度分岐ポリマー、及びこれらポリマーの製造方法である。本発明はまた、これらポリマーを含む化粧品組成物及びその使用、とりわけヘアスタイル固定及び/または維持用製品の分野における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「高度分岐ポリマー」、すなわち少なくとも3つのポリマー分岐を含むポリマーであって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立した少なくとも三価の分岐点を形成しているポリマーは既知である。各分岐点は、少なくとも1つの鎖のコア内に位置する。
【0003】
本発明の文脈において、「三価の分岐点」なる語は、そのうち少なくとも2つの分岐が異なる化学組成または異なる構造である3つのポリマー分岐間の接合点を意味すると理解される。例えば、所定の分岐は親水性であってよく、すなわちこれらは親水性モノマーを優勢に含んで良く、一方で別の分岐は疎水性であってよく、すなわちこれらは主に疎水性モノマーを含む。別の分岐はランダムポリマーまたはブロックポリマーを形成しても良い。
【0004】
少なくとも3つのポリマー分岐を含む高度分岐ポリマーであって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立した少なくとも三価の分岐点を形成しているポリマーが好ましい。各分岐点は、少なくとも1つの鎖のコア内に位置する。
【0005】
類推によって、「少なくとも三価の分岐点」なる語は、少なくとも3つのポリマー分岐間の、例えばn個のポリマー分岐(そのうち少なくともn−1個の分岐が異なる化学組成または異なる構造である)間の接合点を意味すると理解される。
【0006】
「鎖のコア」なる語は、ポリマー鎖の2つの末端を成す原子以外の、この鎖内に位置する原子を意味する。
【0007】
「高度分岐ポリマー」の概念の本発明による定義は、特に、
・分岐ポリマーまたはグラフトポリマー、すなわちそれぞれが直鎖状の側鎖の出発点である多数の三価の分岐点を有する主鎖からなるポリマーであって、前記側鎖が1つ以上のブロックからなり、これらの側鎖が本来的に主鎖と同一であるかまたは相違するもの、例えばTgが0乃至30℃の炭素/フッ素骨格を有するコポリマー及び25℃より高いTgの剛性グラフトコポリマーに関する文献EP815848、あるいは剛性の親水性ビニル/アクリル骨格を有するコポリマー及び疎水性可撓性グラフトコポリマーに関する文献WO97/35541に記載されているもの;
・櫛型ポリマー(グラフトポリマーの特殊な場合)、すなわちそれぞれが直鎖状の側鎖の出発点である多数の三価の分岐点を有する主鎖から成るポリマー(Glossary of Basic Terms in Polymer Science/IUPAC/1996)であって、前記分岐点が一定の間隔で位置するもの;及び
・星型ポリマー、すなわち全ての分岐点が一点に位置するもの;
を含まない。
【0008】
図1は、「高度分枝ポリマー」の概念の理解を容易にすることを意図した図である。
図中では、「T」点は三価の点を表す。細線、太線、及び円の連続で形成された線は、異なる化学組成または異なる構造のポリマー分岐を表す。
【0009】
本発明によれば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、DMTA(動的及び機械的温度分析)によって測定される。
【0010】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)を測定するためには、Polymer Laboratories社製のDMTA装置を使用して、約150±50μmの厚さ、5mmの幅、及び10mmの長さのポリマーフィルム標本について、23℃にて24時間乾燥させた後50−55%の相対湿度にて粘弾性試験が行われる。引張応力をこの標本に与える。該標本に0.01Nの静的力を加え、ここに振動数1Hzにて±8μmの正弦変位を重ねる。こうして、該標本を直線範囲で低いひずみレベルで変形させる。この引張応力を、−150℃乃至+220℃の範囲の温度にて前記標本に加えるが、前記温度は1分ごとに3℃変化させる。
【0011】
その後、試験したポリマーの複素弾性係数E*=E'+iE”を温度の関数として測定する。
【0012】
これらの測定について、動的貯蔵率E'、及び動的損失率E"、及びさらに減衰率tanδ(=E"/E')をさらに演繹する。
【0013】
tanδ値の曲線を温度の関数としてプロットする。この曲線は少なくとも1つのピークを示す。前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、このピークが生じる温度に相当する。
【0014】
前記曲線が2つのピークを有する場合(この場合にはポリマーは少なくとも2つの(Tg)を有する)、試験したポリマーのTgの値は前記曲線が最も大きな振幅を有する温度であると理解される(すなわち、tanδの最大値に相当する。この場合は、「優勢な」Tgのみが試験したポリマーのTgの値として理解される)。
【0015】
高度分岐ポリマー及びその製造方法及び髪用化粧品におけるその使用は、例えば、国際出願WO01/96429に記載されている。
【0016】
この国際出願WO01/96429は、第1のタイプのアクリルモノマー及び、反応性の異なる2つの重合性官能を有する分岐モノマーから調製されて、第2のタイプのアクリルモノマーの存在下で引き続き重合化されてもよい、ペンダントアリル単位を含むポリマーとして得られる高度分岐ブロックポリマーに関する。
【0017】
しかしながら、この先願に記載されたポリマーは、ヘアスタイルの維持及び/または保持における改善は、ほとんど提供していない。
【0018】
化粧品分野では、被膜、とりわけ接着性もしくはフィルム形成性のものを懸案のケラチン物質、例えば髪、皮膚、睫、または爪上に得るための組成物がしばしば求められている。
【0019】
特に、これらの組成物は色(メイクアップもしくはヘアダイ組成物)、光沢のあるまたはマットな外観(皮膚のメイクアップもしくはケア用組成物)、物理特性、例えば整髪特性(髪用、特にヘアスタイリング用組成物)、並びにケアもしくは保護特性を与えうる。
【0020】
一般的に、化粧用被膜の優れた残留(remanence)及び保持力、並びに支持体への優れた接着が求められている。特に、この被膜が機械的攻撃、例えば摩擦及び別の物質との接触による転移に耐え、水、汗、涙、雨、皮脂、及びオイルに耐えうることが望ましい。これは特に、メイクアップの場合において、とりわけ色と光沢との長期間の保持を達成すること、及び色が転移しないことが望ましいリップスティックの分野において;皮脂及び汗の分泌にもかかわらず本来の色合いのマットな特性を維持する一方で、提供される色が保持され、且つ転移が回避されることが望ましいファンデーション、アイシャドウ、及びパウダーの分野において言えることである。
【0021】
さらにまた、メイクアップ組成物は、つけていて快適でなければならず、過度にべたつくテクスチャーを有していてはならない。
【特許文献1】EP815848
【特許文献2】WO97/35541
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明により提示される課題は、自然で耐久性の化粧を繊維に施し、且つ十分に均一で耐性のフィルムを形成しうるポリマーを見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことにまた予期せぬことに、出願人は、所定の、ガラス転移温度(Tg)に関する非常に特定の要求に見合う高度分岐ポリマーが、上述の要求に完全に見合うことをここに見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の1つの主題は、少なくとも3つのポリマー分岐を含む高度分岐ポリマーであって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しているポリマーであって、ガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大である、高度分岐ポリマーである。
【0025】
理論に拘束されることなく、出願人は低いTgを有するポリマー配列が重量割合で50%を超えることが、髪の周囲に可撓性の層または皮膚表面に可撓性の「メッシュ」を構成可能なフィルムの形成の原因であると考えている。
【0026】
好ましくは、本発明のポリマーは、ガラス転移温度(Tg)は20乃至150℃、好ましくは20乃至100℃である少なくとも1つのポリマー配列をさらに含む。
【0027】
有利には、本発明によるポリマーは、当該ポリマーの全結合数の0.1乃至10%、好ましくは0.5乃至5%を成す架橋点を含む。
【0028】
前記高度分岐ポリマーの弾性特性を特徴付ける物理パラメータは、とりわけその引張回復及びその引張破断伸度である。
・回復(R(%))は、試験標本を迅速に予め決定した伸度に伸ばし、その後引張を開放して試験標本の長さを測定することからなる、引張クリープ試験によって決定される。測定を伸展直後に行われるならば、測定されるのは瞬間回復Riであり、これが時間t後に行われるならば、測定されるのは回復Rtである;
・引張試験の際、引張破断伸度(εbreak(%))は、コポリマー標本が破断する前の該標本の最大ひずみに相当する。
【0029】
本発明の弾性特性を有する高度分岐ポリマーを特徴付けるために使用されるクリープ試験は、下記のように行われる。
【0030】
第1に、これらのパラメータが、前記コポリマーにとって適当な溶媒、例えば水中の該コポリマーの溶液を、室温にて相対湿度およそ50%にて乾燥させることによって得られるフィルムに関することに留意すべきである。
【0031】
単調引張をかけた機械特性を、ASTM Standards, Volume 06.01 D 2370-92 "Standard Test Method for Tensile Properties of Organic Coatings"に従って測定する。こうして変位の速度が与えられ、試験標本の長さ(L)及びこの長さをもたらすのに要した力(f)が同時に測定される。
【0032】
試験標本としては、23±2℃及び55±5%の相対湿度にて48時間乾燥させた後に得られる50μm150±50μmの厚さを有するコポリマーのフィルムを使用する。このフィルムは、水またはエタノール中に前記コポリマーを6重量%含む溶液または分散液から、前記溶液または分散液をTeflon(登録商標)(PTFE)基板上に付着させて得られる。
【0033】
試験標本は、ゲージ長33mm及びゲージ幅6mmのダンベル形状である。
【0034】
試験は、変位を測定するための光学伸縮計を装備した引張試験機で行うが、前記機械はZwick Z010の名称で市販されている。
【0035】
測定は、乾燥と同じ温度及び湿度条件下、即ち23±2℃の温度及び55±5%の相対湿度にて行われる。
【0036】
各試験標本を、互いから50±1mmの距離をおいた2つのジョーの間に固定し、50mm/分の割合で(上記温度及び相対湿度条件下で)引張る。こうして変位の速度を与え、試験標本の長さ(L)及びこの長さをもたらすのに要した力(f)を同時に測定する。
【0037】
長さ(L)は光学伸縮計を用い、ダンベル試験標本上においた接着性のラベルを使用して測定する。2つのラベル間の最初の距離が、ひずみε=(L/L0)×100(%)を算出するために使用されるゲージ長さL0を決定する。
【0038】
弾性回復は下記のように決定される。
弾性回復(R(%))は、試験標本を100%(Lmax)の伸度、すなわちその最初の長さの2倍に伸ばす。その後引張を開放し、引張伸長速度と同等の、すなわち50mm/分の復帰速度を与える。
【0039】
瞬間弾性回復(Ri=εi)を、負荷ゼロに戻した直後に試験標本の伸長(最初の長さに対する%で表される)を測定することによって決定する。したがって、これは、応力ゼロでの瞬間残留ひずみεirによって定義される。
瞬間弾性回復(Ri=εi)は、下式によって算出される。
Ri=εi=100−εi、residual
【0040】
瞬間回復の値は、当該ポリマーの分子量または硬質及び軟質の配列の性質、数、並び方、及び相対割合等の多くの要素に依存する。
【0041】
本発明の弾性特性を有する高度分岐ポリマーは、一般的に、上述の条件下で測定される瞬間弾性回復(Ri)が50乃至100%、好ましくは55乃至100%、さらに好適には55乃至95%、理想的には60乃至95%のものである。
【0042】
300秒回復を測定するためには、前記の操作を経た試験標本をさらに300秒間応力ゼロに維持し、その伸長の程度(%)(ε300=R300)を測定する。300秒回復(R300)(%)は、下式によって与えられる。
ε300=R300=100−ε300、residual
【0043】
本発明の弾性特性を有する高度分岐ポリマーは、一般的に、上述の条件下で測定される300秒回復(R300)が55乃至100%、好ましくは60乃至100%、理想的には80乃至100%のものである。
【0044】
本発明のコポリマーは、当該コポリマー標本が破断する前にかけうる、最大ひずみに相当し、%で表される、引張応力もしくは破断伸度εbreakによっても定義される。
この場合は、試験は試験標本が破断するまで行われる。
【0045】
さらにまた、前記高度分岐ポリマーは1000%より大、好ましくは1500%より大なる引張破断伸度を有する。
【0046】
本発明によれば、前記ポリマーは有利には20℃において1重量%より大なる水溶解度を有する。
【0047】
ホモポリマーは、25℃の水に1重量%の量で溶解させた場合に透明な溶液を生成するならば水溶性と呼称される。
【0048】
ホモポリマーは、25℃の水中に1重量%の量で、微細な、一般的に球形の粒子の安定な懸濁液を生成するならば水分散性と呼称される。前記分散物を構成する粒子の平均径は1μm未満であり、より一般的にはこれが5乃至400nm、好ましくは10乃至250nmの範囲である。これらの粒子径は、光拡散によって測定される。
【0049】
有利には、本発明による高度分岐ポリマーは、とりわけラジカル重合によって重合しうる1つ以上のエチレン性モノマーから誘導される単位を含む。
【0050】
より有利には、1つ以上のエチレン性モノマーから誘導される単位は、カルボン酸またはスルホン酸、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸、直鎖状、分岐、環状、もしくは複素環の鎖を有するC1-20アルキル(メタ)アクリレート、C1-4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、所定のビニルエステル、所定のビニルエーテル、スチレン、所定の置換スチレン、複素環モノマー、任意にエーテル化されたヒドロキシル終端モノエチレングリコール、ジエチレングリコールもしくはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、所定の脂肪族、脂環族、もしくは芳香族のメタクリルアミド、フッ化もしくは過フッ化基を有する(メタ)アクリレートもしくはビニルモノマー、またはフッ化もしくは過フッ化基を有する(メタ)アクリルアミド、シリコーン含有ビニルもしくは(メタ)アクリレートモノマーまたはシリコーン含有(メタ)アクリルアミド、任意に中性化もしくは四級化されたアミン官能を有するアクリルもしくはビニルモノマー、及びエチレン性カルボキシベタインもしくはスルホベタイン誘導体から選択される。
【0051】
好ましくは、前記コポリマーの数平均分子量は、5000g/mol乃至1500000g/mol、とりわけ5500g/mol乃至1000000g/mol、さらに好適には6000g/mol乃至900000g/molである。
【0052】
さらに好ましくは、本発明によるポリマーは、親水性単位を含み、その重量割合は5乃至70%、好ましくは5乃至65%、さらに好ましくは5乃至50%であり、これら親水性単位は特に1つ以上のエチレン性モノマーから誘導されるものである。
【0053】
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー):溶離剤としてTHF;直鎖状ポリスチレン標準で得られる検量線;屈折検出器によって測定される。
【0054】
本発明による高度分岐ポリマーは、それ自体当業者に知られた重合法を用いて得られる。
【0055】
これらの方法は、例えば多官能性剤を用いるラジカル重合からなる少なくとも1つの工程を含んで良い。この場合は、以下:
・不飽和を有する、例えば(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルもしくはアリルタイプのモノマー等の、ラジカル重合によって重合可能なエチレン性モノマー;と
・多官能性化合物、すなわち多数の不飽和を当該化合物全重量に対して約0.05乃至15%、さらに好適には0.05乃至12%、好ましくは0.05乃至10重量%の範囲の割合で有するもの;
とを反応させて良い。好ましくは、前記多官能性化合物が様々な反応性を有する。例えば、多官能性化合物は、アクリル官能及びアリル官能を含んでいて良い。
【0056】
前記高度分岐ポリマーはまた、以下に示すように、下記:
・ラジカル重合によって重合可能なエチレン性モノマー、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルもしくはアリル基、=−−−Rと図示されるもの;
・熱活性化もしくはUV照射もしくは不飽和を経る重合の機構以外のあらゆる機構の後に重合を開始できる部位を有する、=−−−Aと図示される化合物であって、これは然るに鎖成長を促進させることのできる、すなわち二重結合(=)を有する部位と、鎖を開始させることのできる部位Aとの両方を有する化合物;
を反応させて合成して良い。
この方法は、「自己縮合ビニル重合」と呼称される。これは"Chimie et physico chimie des polymeres [Chemistry and physical Chemistry of Polymers] by M. Fontanille and Y. Ganou, DUNOD, 2002, page 368"の論文に記載されている。
【0057】
高度分岐ポリマーを生成させるためには、不飽和及び/または鎖開始可能な部位Aを制御されたラジカル重合機構、特に、例えばMacromolecules 35, 1146-48, 2002 by J. Y. Jho and S. H. Yoo; Polym. Prepr. 37(2), 413-14, 1996; Matyjaszewski, Progress in Polymer Science, 26(3), 337-377, 2001, Annex 2.2; Chem. Review 101(12), 3737, 2001; Mueller, Macromolecules 34(18), 62026-13, 2001.に記載のATRP(原子転移ラジカル重合)法に従って反応させて良い。
【0058】
一般的に、原子転移ラジカル重合は、
・少なくとも1つの転移可能なハロゲン原子を有する開始剤;
・前記開始剤と共に還元工程に関与しうる遷移金属及び「休眠」ポリマー鎖を含む化合物;及び
・遷移金属を含む前記化合物との結合を介して配位することのできる、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、または硫黄原子(S)を含む化合物から選択して良いリガンド;
の存在下にて1つ以上のラジカル重合可能なモノマーを重合させることにより行われる。
【0059】
この方法は、特に国際出願WO97/18247、及び文献Matyjaszewski et al., published in JACS, 117, 5614(1995).に記載されている。
【0060】
ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子または臭素原子である。
この場合は、部位Aは、例えばR1-Cl(式中R1=ベンゼン、OCOCH(CH3)-)である。
【0061】
網羅的なものではないが、他の方法の中で使用できるのは、例えばChem. Review 101(12), 3681, 2001.に記載されたニトロキシド法である。
【0062】
ニトロキシド仲介ラジカル重合技術は、C-O NR1R2タイプの結合の形態で成長するラジカル種をブロックすることであり、R1及びR2は、互いに独立に2乃至30の炭素原子を有するアルキル基であるか、または両方が窒素原子と共に4乃至20の炭素原子を有する環、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル環などを形成することが可能である。
【0063】
この重合技術は、例えば、文献"Synthesis of nitroxy-functionalized polybutadiene by anionic polymerization using a nitroxy-functionalized terminator", published in Macromolecules, Volume 30, pages 4238-4242, 1997、及び"Macromolecular engineering via living free radical polymerizations", published in Macromol. Chem. Phys., Vol. 199, pages 923-935, 1998、あるいは国際出願WO-A-99/03894に記載されている。この場合は、部位Aは例えば下記の通りである。
【0064】
【化1】

【0065】
・例えばChem. Review 101(12), 3787, 2001に記載のアニオン重合法;及び
・例えばB. Charleux and R. Faust in Advances in Polymer Science 142, pages 1-69, 1999に記載のカチオン重合法;
を用いることも可能である。
【0066】
好ましくは、前記方法では、2つの工程が行われて様々なタイプの配列を生成する。
有利には、エチレン性モノマーを用いてラジカル重合が行われる。
【0067】
本発明の主題はまた、化粧品として許容される媒質中に少なくとも3つのポリマー分岐を含む少なくとも1つの高度分岐ポリマーを含む組成物であって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しており、またこのポリマーが、そのガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大であることを特徴とする化粧品組成物である。
【0068】
本発明による組成物は、フィルム形成性被膜を、とりわけ髪表面に形成して良い。
【0069】
有利には、本発明による組成物においては、前記高度分岐ポリマーは、20乃至150℃のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つのポリマー配列をさらに含む。さらに有利には、前記高度分岐ポリマーは、60乃至100%の瞬間弾性回復を有し、さらにいっそう有利には、前記高度分岐ポリマーが、80乃至100%の300秒回復を有する。
【0070】
好ましくは、本発明による組成物において、高度分岐ポリマーは1500%より大なる引張破断伸度を有する。
【0071】
さらに好ましくは、前記高度分岐ポリマーは、20℃において5重量%より大なる水溶解度を有する。
【0072】
さらに好ましくは、前記高度分岐ポリマーは親水性単位を含み、当該ポリマーの全重量に対するその重量パーセンテージは5乃至70%、好ましくは5乃至55%、さらに好ましくは5乃至50%であり、これらは1つ以上のエチレン性モノマーから誘導されるものである。
【0073】
さらに好ましくは、前記高度分岐ポリマーは1つ以上のエチレン性モノマーから誘導される単位を含む。
【0074】
さらに有利には、1つ以上のエチレン性モノマーから誘導される単位の中でも、下記のもの:
・エチレン、イソプレン、及びブタジエン;
・n−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、イソブチルアクリレート、及びn−ヘキシルアクリレート;
・メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、POE(ポリオキシエチレンであってオキシエチレン単位が5乃至30回繰り返されたもの)(メタ)アクリレート、及びPOE(メタ)アクリレート−(C1乃至C30)アルキル(POE)であってオキシエチレン単位の反復が5乃至30回であるもの;
・メチルビニルエーテル及びエチルビニルエーテル;
・ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルエチルヘキサノエート、ビニルネオナノエート、及びビニルネオドデカノエート;
・ビニルシクロヘキサン、スチレン、及びビニルアセテート;
・t−ブチルシクロヘキシル、tert-ブチル、t-ブチルベンジル、フルフリル、及びイソボルニルアクリレート;
・メチル、エチル、n−ブチル、及びイソブチルメタクリレート、n−ヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、t−ブチルベンジル、メトキシプロピル、及びイソボルニルメタクリレート;並びに
・N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、及びN,N-ジブチルアクリルアミド;
が好ましい。
【0075】
特に選択される親水性モノマーの中では、
・ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの塩(中性化剤が、無機塩基、例えばLiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)2、NH4OH、または有機塩基、例えば第一級、第二級、もしくは第三級アミン、とりわけ任意にヒドロキシル化されたアルキルアミン、例えばジブチルアミン、トリエチルアミン、ステアラミン、あるいは2-アミノ-2-メチル-プロパノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びステアラミドプロピルジメチルアミンであってよい);及び
・C1-C6アミノアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミド、C1-C4N,N-ジアルキル(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えばN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)及びこれらの塩または第四級化形態;
を挙げて良い。
無機酸の中では、硫酸及び塩酸を挙げて良い。
有機酸の中では、1つ以上のカルボン酸、スルホン酸、もしくはリン酸基を含む酸、酢酸もしくはプロピオン酸、乳酸及び酒石酸を挙げて良い。第四級化剤はハロゲン化アルキル、例えば臭化メチルまたは硫酸アルキル、例えば硫酸メチルまたはプロパンスルトンであってよい。
【0076】
本発明による組成物においては、化粧品として許容される媒質は、水、ケトン、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールエーテル、C2-7アルキルアセテート、エーテル、アルカン、芳香族炭化水素、アルデヒド、及び揮発性オイルから選択される、1つ以上の適当な溶媒を含むと有利である。
【0077】
前記組成物は、エアロゾルの分野で当業者にはよく知られた、噴射ガスをさらに含んで良い。
【0078】
所定の化粧品組成物の場合には、前記の化粧品として許容される媒質は、有利には、動物、植物、鉱物、合成由来の、室温にて液体または固体である脂肪物質を含む脂肪相をさらに含む。
【0079】
有利には、前記の化粧品として許容される媒質は、1つ以上の増粘剤、1つ以上のアニオン性、カチオン性、もしくは非イオン性、合成のもしくは天然由来の、フィルム形成性ポリマー及び/または1つ以上の可塑剤を含むことができる。
【0080】
さらに所定の場合には、前記の化粧品として許容される媒質は、顔料及び/または真珠光沢剤及び/またはフィラーからなる粒子相をさらに含む。
【0081】
さらにまた、前記の化粧品として許容される媒質は、酸化防止剤、香料、精油、保存料、親油性もしくは親水性の美容活性物質、水和剤、ビタミン、染料、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、自己日焼け剤、サンスクリーン、起泡防止剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、またはフリーラジカルスカベンジャー等の1つ以上の添加剤をさらに含んでよい。
【0082】
本発明による化粧品組成物は、有機溶液、水溶液もしくは水性アルコール性溶液、懸濁液、分散物または溶液、任意に増粘もしくはゲル化されたもの、ムース、スプレー、水中油型、油中水型、もしくは多相エマルション、フリーパウダー、コンパクトパウダーもしくはキャストパウダー、固体もしくは無水のペーストの形態である。
【0083】
有利には、本発明の化粧品組成物は、ヘアスプレーまたはヘアスタイリング製品を成す。
【0084】
本発明の別の主題は、化粧品として許容される媒質中に少なくとも3つのポリマー分岐を含む少なくとも1つの高度分岐ポリマーを含む組成物を適用する工程を含む美容方法であって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しており、さらに、前記ポリマーがガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大である方法である。
【0085】
特に、三価の分岐点を有する高度分岐ポリマー、さらにこうした高度分岐ポリマーを含む化粧品組成物、こうしたポリマーを利用する方法、並びに化粧品、特に髪用の化粧品におけるその使用が好ましい。
【0086】
本発明のとりわけ好ましい主題は、少なくとも3つのポリマー分岐を含む高度分岐ポリマーであって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しているポリマーであって、ガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大であることを特徴とする、高度分岐ポリマーの、ヘアスタイルの固定及び/または保持を企図する組成物における使用である。
【0087】
本発明は、本発明によるポリマーの好ましい実施態様を構成する、以下の非限定的実施例の補助を得てより明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0088】
(実施例1)
ポリマーを、ペルオキシドタイプのラジカル開始剤(tert-ブチルペルオキシピバレート)の存在下での、エチレン性モノマーのCH2=C(CH3)CO2CH2CH=CH2のアリルメタクリレートのラジカル重合により合成した。
【0089】
スターラーと還流系を取り付けた反応器に、溶媒を仕込んだ。前記反応器を溶媒の還流温度(80℃)に加熱した。
【0090】
前記モノマーを二段階で加え、好ましくは第一の混合物(混合物1)を第二の混合物(混合物2)の添加前に反応させた。同時に開始剤(溶液3)を加えた。温度を還流温度(80℃)に維持し、混合物2の添加の終了後も重合を継続させた。
【0091】
様々な混合物及び溶液を、経時的に制御される導入のための系を利用して添加した。
実施例1(本発明による):
【0092】
【表1】

【0093】
概要:
【表2】

【0094】
混合物1を、100gの溶媒混合物(80/20のイソプロパノール/水)に1時間かけて加え、その後溶液3を4時間かけて導入した。
混合物2をその後2時間の期間をかけて加えた。
【0095】
温度を還流温度(80℃)に維持し、反応を2時間継続させた。
その後、沈殿剤500gあたりポリマー溶液を200g含む石油エーテル中に、ポリマーが析出した。
前記ポリマーを40℃のオーブン中で乾燥させ、99%の収率を得た。
【0096】
その後前記ポリマーを、酸1モル当たり1モルの割合の2-アミノ-2-メチル-プロパノール(AMP)で中和した。前記ポリマーをエタノールに溶解させ、6%の溶液を生成させた。
【0097】
(実施例2:従来技術−Noveon特許WO01/96429の実施例3)
下記のパーセンテージとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を用いた。
【0098】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1a】図1aは、高度分岐構造の第1の例である。
【図1b】図1bは、高度分岐構造の第2の例である。
【図1c】図1cは、最小の高度分岐構造を示す例である。
【図1d】図1dは、櫛型ポリマー構造を示す例である。
【図1e】図1eは、分岐ポリマー構造を示す図である。
【図1f】図1fは、星型ポリマー構造を示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つのポリマー分岐を含む高度分岐ポリマーであって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しているポリマーであって、
ガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大であることを特徴とする、高度分岐ポリマー。
【請求項2】
ガラス転移温度(Tg)が20乃至150℃、好ましくは20乃至100℃である少なくとも1つのポリマー配列をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
上記条件下で測定される瞬間回復(Ri)が、50乃至100%、好ましくは55乃至100%、さらに好適には55乃至95%、理想的には60乃至95%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
300秒での回復(R300)が55乃至100%、好ましくは60乃至100%、さらに好適には80乃至100%であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
1000%より大、好ましくは1500%より大なる引張破断伸度を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーの全結合数の0.1乃至10%、好ましくは0.5乃至5%を成す架橋点を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
20℃において1重量%より大なる水溶解度を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
1つ以上のエチレン性モノマーから誘導される単位を含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
コポリマーの数平均分子量が、5000g/mol乃至1500000g/mol、とりわけ5500g/mol乃至1000000g/mol、さらに好適には6000g/mol乃至900000g/molであることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
親水性単位を含み、その重量割合が5乃至70%、好ましくは5乃至65%、さらに好ましくは5乃至50%であり、これら親水性単位が特に1つ以上のエチレン性モノマーから誘導されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項11】
1つ以上のエチレン性モノマーが、カルボン酸またはスルホン酸、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸、直鎖状、分岐、環状、もしくは複素環の鎖を有するC1-20アルキル(メタ)アクリレート、C1-4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、所定のビニルエステル、所定のビニルエーテル、スチレン、所定の置換スチレン、複素環モノマー、任意にエーテル化されたヒドロキシル終端モノエチレングリコール、ジエチレングリコールもしくはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、所定の脂肪族、脂環族、もしくは芳香族のメタクリルアミド、フッ化もしくは過フッ化基を有する(メタ)アクリレートもしくはビニルモノマー、またはフッ化もしくは過フッ化基を有する(メタ)アクリルアミド、シリコーン含有ビニルもしくは(メタ)アクリレートモノマーまたはシリコーン含有(メタ)アクリルアミド、任意に中性化もしくは四級化されたアミン官能を有するアクリルもしくはビニルモノマー、及びエチレン性カルボキシベタインもしくはスルホベタイン誘導体から選択されることを特徴とする、請求項8または10に記載のポリマー。
【請求項12】
前記分岐点が、三価の分岐点であることを特徴とする、請求項1乃至11に記載のポリマー。
【請求項13】
化粧品として許容される媒質中に少なくとも3つのポリマー分岐を含む少なくとも1つの高度分岐ポリマーを含む組成物を適用する工程を含む美容方法であって、前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、これにより少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しており、さらに、
前記ポリマーがガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大であることを特徴とする方法。
【請求項14】
化粧品として許容される媒質中に少なくとも3つのポリマー分岐を含む少なくとも1つの高度分岐ポリマーを含む組成物であって、
前記ポリマー分岐が主分岐または第二の分岐を成し、それぞれが少なくとも1つの少なくとも三価の分岐点を有して、少なくとも2つの、互いに分離独立し、それぞれが少なくとも1つの鎖のコア内に位置する少なくとも三価の分岐点を形成しており、またこのポリマーが、そのガラス転移温度(Tg)が−150乃至−20℃、好ましくは−150乃至−30℃、さらに好ましくは−150乃至−40℃である少なくとも1つのポリマー配列を含み、このポリマー配列の相対割合が前記ポリマー全重量の50%よりも大、好ましくは55%よりも大、さらにより好ましくは60%より大であることを特徴とする化粧品組成物。
【請求項15】
化粧品として許容される媒質が、水、ケトン、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールエーテル、C2-7アルキルアセテート、エーテル、アルカン、芳香族炭化水素、アルデヒド、及び揮発性オイルから選択される1つ以上の好適な溶媒を含むことを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
化粧品として許容される前記媒質が、動物、植物、鉱物、または合成由来の、室温にて液体または固体である脂肪物質を含む脂肪相をさらに含むことを特徴とする、請求項14または15に記載の化粧品組成物。
【請求項17】
化粧品として許容される前記媒質が、1つ以上のアニオン性、カチオン性、非イオン性、合成、または天然由来の、フィルム形成性ポリマー及び/または1つ以上の可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項18】
化粧品として許容される前記媒質が、顔料及び/または真珠光沢剤及び/またはフィラーからなる粒子相をさらに含むことを特徴とする、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項19】
生理学的に許容される前記媒質が、1つ以上の酸化防止剤、香料、精油、保存料、親油性もしくは親水性の美容活性物質、水和剤、ビタミン、染料、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、自己日焼け剤、サンスクリーン、起泡防止剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、またはフリーラジカルスカベンジャーをさらに含むことを特徴とする、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項20】
有機溶液、水溶液もしくは水性アルコール性溶液、懸濁液、分散物または溶液、任意に増粘もしくはゲル化されたもの、ムース、スプレー、水中油型、油中水型、もしくは多相エマルション、フリーパウダー、コンパクトパウダーもしくはキャストパウダー、固体もしくは無水のペーストの形態であることを特徴とする、請求項14乃至19のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項21】
ヘアスプレーまたはヘアスタイリング製品であることを特徴とする、請求項14乃至20のいずれか一項に記載の化粧品組成物。

【公表番号】特表2006−523242(P2006−523242A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569041(P2004−569041)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003697
【国際公開番号】WO2004/078809
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】