説明

低コンダクタンスのカルシウム依存性カリウムチャネルのモジュレーターとしての新規2−アミノベンゾイミダゾール誘導体及びそれらの使用

本発明は、低コンダクタンスのカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な、式(I1)及び(Ib)の新規2−アミノベンゾイミダゾール誘導体に関する。他の態様では本発明は、治療方法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む薬剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コンダクタンスのカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な新規2−アミノベンゾイミダゾール誘導体に関する。
【0002】
他の態様では、本発明は、治療方法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む薬剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
低コンダクタンスのカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)の3つのサブタイプである、SK1、SK2、及びSK3(ゲノムの命名法を用いたKCNN1〜3に対応する)がクローニングされてきた。これらのチャネルの活性は、そのチャネルに構造的に結合するカルモジュリンを介して、細胞内遊離カルシウム([Ca2+)の濃度によって決定される。SKチャネルは、約0.1μMまでの[Ca2+で閉じ、1μMの[Ca2+で完全に活性化される生理学的範囲内の[Ca2+で厳しく制御される。カリウムに選択性があると、開口又は活性SKチャネルは、細胞の膜電位に過分極の影響を及ぼす。SKチャネルは、中枢神経系内に広く発現する。SK1及びSK2の分布は、高いオーバーラップ度を示し、マウスの脳では、新皮質領域、辺縁領域、及び海馬領域への最も高い発現レベルを示す。それに対して、SK3チャネルは、基底核、視床、及び脳幹モノアミン作動性ニューロン、例えば、背側縫線、青斑核、及び腹側被蓋領域への高い発現レベルを示している(Sailer等の「マウスの脳における3つの低コンダクタンスのCa2+依存性カリウムチャネルサブユニットSK1、SK2、及びSK3の免疫組織化学的な比較分布(Comparative immunohistochemical distribution of three small−conductance Ca2+−activated potassium channel subunits,SK1,SK2,and SK3 in mouse brain)」Mol.Cell.Neurosci.2004,26,458−469)。SKチャネルは、骨格筋、腺細胞、肝細胞、及びT−リンパ球を含めたいくつかの周辺細胞内にも存在している。
【0004】
活性なSKチャネルの過分極作用は、興奮性細胞の発火パターン及び興奮性の制御に重要な役割を担っている。開口剤1−EBIOが電気活性を低下させることができる一方、アパミン(apamin)及びビククリン−メトブロミド(bicuculline−methobromide)などのSKチャネル阻害剤は、興奮性を増大することが示されてきた。電圧非依存性経路を介するCa2+流入量が膜電位の影響を非常に受けやすい非興奮性細胞では、SKチャネルの遮断剤が脱分極効果を有し、したがってカルシウムに対する駆動力を低減する一方、SKチャネルの活性化は駆動力を増大する。
【0005】
SKチャネルの、[Ca2+と膜電位とを連結させる重要な役割により、SKチャネルは、新規治療剤の開発に関心の高い標的となっている。
【0006】
WO03/094861(Icagen Inc)には、カリウムチャネルモジュレーターとしてのビス−ベンゾイミダゾール及び関連化合物が記載されている。
【0007】
SKチャネル及びSKチャネルモジュレーターの総説は、Liegeois,J.−F.等の「低コンダクタンスのカルシウム依存性カリウム(SK)チャネルの調節:医化学における新しい挑戦(Modulation of small conductance calcium−activated potassium(SK)channels:a new challenge in medicinal chemistry)」 Current Medicinal Chemistry,2003,10,625−647に見ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SKチャネルの公知のモジュレーターは、巨大分子又はペプチド(アパミン、スキラトキシン(scyllatoxin)、ツボクラリン(tubocurarine)、塩化デカリニウム(dequalinium chloride)、UCL1684)、或いは効果が弱い(1−EBIO、リルゾール(riluzole))であるという欠点がある。したがって、薬理学的プロファイルが最適化された化合物が依然として必要とされている。特に、SK3チャネルモジュレーターなどの選択的リガンドの必要性が非常に高い。
【0009】
WO00/01676(NeuroSearch A/S)には、新規カリウムチャネル遮断剤が記載されている。
【0010】
その第1の態様では、本発明は、式Ia若しくはIbの2−アミノベンゾイミダゾール誘導体、
【化1】


又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩を提供し、
式中、R、R、R、R、R、R、R’、m、及びnは、以下で定義される。
【0011】
その第2の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩を、薬剤として許容される少なくとも1種の担体、賦形剤、又は希釈剤と一緒に含む薬剤組成物を提供する。
【0012】
別の一態様では、本発明は、本発明の化合物、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩を、ヒトを含めた哺乳動物の、SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防、又は軽減するための薬剤組成物の製造に使用することを提供する。
【0013】
さらに別の一態様では、本発明は、本発明の治療有効量の化合物、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩を、それを必要とする動物の生体に投与するステップを含む、ヒトを含めた動物の生体の、SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防、又は軽減する方法に関する。
【0014】
本発明の他の諸目的は、以下の詳細な説明及び実施例から、当業者には明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
2−アミノベンゾイミダゾール誘導体
その第1の態様では、本発明は、式Ia若しくはIbの2−アミノベンゾイミダゾール誘導体、
【化2】


又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、
或いは薬剤として許容されるその塩を提供し、
式中、
mは0、1、又は2であり、
nは0、1、又は2であり、
R’は水素又はアルキルであり、
及びRは、それぞれ独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、RN−、及びRN−アルキル(R及びRは、それぞれ独立に、水素又はアルキルである)からなる群から独立に選択される、1つ又は複数の置換基で場合によっては置換されたフェニル基を表し、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、及びアルコキシからなる群から選択される。
【0016】
一実施形態では、R’は水素である。第2の実施形態では、R’はメチルなどのアルキルである。
【0017】
第3の実施形態では、mは1である。第4の実施形態では、mは0である。別の一実施形態では、nは1である。さらに別の一実施形態では、nは0である。特別な一実施形態では、mは0であり、且つnは0である。別の一実施形態では、mは1であり、且つnは0である。さらに別の一実施形態では、mは0であり、且つnは1である。別の一実施形態では、mは1であり、且つnは1である。
【0018】
別の一実施形態では、R及びRは、それぞれ独立に、ハロ、トリフルオロメチル、及びトリフルオロメトキシからなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で場合によっては置換されたフェニル基を表す。
【0019】
別の一実施形態では、Rは置換フェニル基を表す。さらに別の一実施形態では、Rは置換フェニル基を表す。別の一実施形態では、Rは置換フェニル基を表し、且つRは置換フェニル基を表す。
【0020】
さらに別の一実施形態では、Rは、4−ハロフェニルなどの4−置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは、4−クロロフェニル又は4−フルオロフェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、3−トリフルオロメチルフェニルなどの3−置換フェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、3,4−ジハロフェニルなどの3,4−二置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは、3,4−ジクロロフェニル又は3,4−ジフルオロフェニルを表す。さらに別の一実施形態では、Rは、3,5−ジハロフェニルなどの3,5−二置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは3,5−ジフルオロフェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルなどの4−ハロ−3−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0021】
さらに別の一実施形態では、Rは、4−ハロフェニル又は4−トリフルオロメチルフェニルなどの4−置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、又は4−トリフルオロメチルフェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、3−トリフルオロメチルフェニルなどの3−置換フェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、3,4−ジハロフェニルなどの3,4−二置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは、3,4−ジクロロフェニル又は3,4−ジフルオロフェニルを表す。さらに別の一実施形態では、Rは、3,5−ジハロフェニルなどの3,5−二置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは、3,5−ジフルオロフェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルなどの4−ハロ−3−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0022】
さらに別の一実施形態では、R及びRは、それぞれ独立に、4−ハロフェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは4−クロロフェニルを表し、且つRは4−クロロフェニルを表す。別の特別な一実施形態では、Rは4−フルオロフェニルを表し、且つRは4−フルオロフェニルを表す。
【0023】
さらに別の一実施形態では、R及びRは、それぞれ独立に、3−置換フェニルを表す。特別な一実施形態では、Rは3−トリフルオロメチルフェニルを表し、且つRは3−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0024】
別の一実施形態では、Rは、3,4−ジクロロフェニル又は3,4−ジフルオロフェニルなどの3,4−ジハロフェニルを表し、且つRは、3,4−ジクロロフェニル又は3,4−ジフルオロフェニルなどの3,4−ジハロフェニルを表す。さらに別の一実施形態では、Rは、4−クロロフェニルなどの4−ハロフェニルを表し、且つRは、3,4−ジクロロフェニルなどの3,4−ジハロフェニルを表す。別の一実施形態では、Rは、3,4−ジクロロフェニルなどの3,4−ジハロフェニルを表し、且つRは、4−クロロフェニルなどの4−ハロフェニルを表す。さらに別の一実施形態では、Rは、3,4−フルオロフェニルなどの3,4−ジハロフェニルを表し、且つRは4−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0025】
さらに別の一実施形態では、Rは、3,5−ジフルオロフェニルなどの3,5−ジハロフェニルを表し、且つRは、3,5−ジフルオロフェニルなどの3,5−ジハロフェニルを表す。
【0026】
別の一実施形態では、Rは、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルなどの4−ハロ−3−トリフルオロメチルフェニルを表し、且つRは、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルなどの4−ハロ−3−トリフルオロメチルフェニルを表す。さらに別の一実施形態では、Rは、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルなどの4−ハロ−3−トリフルオロメチルフェニルを表し、且つRは、3,4−ジフルオロフェニルなどの3,4−ジハロフェニルを表す。
【0027】
別の一実施形態では、Rはフェニルを表し、且つRはフェニルを表す。
【0028】
さらに別の一実施形態では、R、R、R、及びRは、水素を表す。
【0029】
別の一実施形態では、R、R、R、及びRの1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、又はアルコキシを表し、R、R、R、及びRの残りの3つは水素を表す。特別な一実施形態では、Rは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、又はアルコキシを表し、R、R、及びRは水素を表す。特別な一実施形態では、Rは、塩素、フッ素、又は臭素などのハロを表す。
【0030】
別の一実施形態では、本発明の化合物は、式Iaの誘導体である。さらに別の一実施形態では、本発明の化合物は、式Ibの誘導体である。
【0031】
特別な一実施形態では、本発明の化合物は、
1,3−ビス(4−クロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジクロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(4−フルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロアニリン;
N−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミン;
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−トリフルオロメチルアニリン;
N−[1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−クロロ−3−トリフルオロメチルアニリン;
N−[1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロベンジルアミン;
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロベンジルアミン;
N−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−クロロベンジルアミン;
N−[1−(3,4−ジクロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミン;
N−[1−(4−フルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−フルオロベンジルアミン;
1,3−ビス(3,5−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ジベンジル−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−ブロモ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
[1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデン]メチルアミン;
(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミン;
(3,4−ジフルオロフェニル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミン;
又は薬剤として許容されるその塩である。
【0032】
上記の諸実施形態の、任意の2つ以上の組合せは、本発明の範囲に含まれるとみなされる。
【0033】
置換基の定義
本発明の状況では、ハロは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。
【0034】
本発明の状況では、アルキル基は、直鎖又は分岐鎖の一価の飽和炭化水素鎖である。その炭化水素鎖は、好ましくは、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第3級ペンチル、ヘキシル、及びイソヘキシルを含めた、1〜6個の炭素原子を含有するものである(C1〜6−アルキル)。好ましい一実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、第2級ブチル、及び第3級ブチルを含めたC1〜4−アルキル基を表す。本発明の別の好ましい実施形態では、アルキルは、特に、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルであってよいC1〜3−アルキル基を表す。
【0035】
アルコキシは、アルキルが先に定義されたO−アルキルである。
【0036】
薬剤として許容される塩
本発明の化合物は、所期の投与に適した任意の形態で提供することができる。適切な形態には、本発明の化合物の薬剤として(即ち、生理学的に)許容される塩、及びプレドラッグ形態又はプロドラッグ形態が含まれる。
【0037】
薬剤として許容される付加塩の具体例には、これらには限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩(aconate)、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの非毒性の無機及び有機酸付加塩が含まれる。このような塩は、当技術分野で周知の、説明されている手順によって形成することができる。
【0038】
シュウ酸など、薬剤として許容されるとみなし得ない他の酸は、本発明の化合物及び薬剤として許容されるその酸付加塩を得るのに中間体として有用な塩の調製に有用である。
【0039】
本発明の化合物の、薬剤として許容されるカチオン塩の具体例には、これらには限定されないが、アニオン基を含有する本発明の化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リシン塩、及びアンモニウム塩等が含まれる。このようなカチオン塩は、当技術分野で周知の、説明されている手順によって形成することができる。
【0040】
本発明の状況では、N−含有化合物の「オニウム塩」も、薬剤として許容される塩として企図している。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0041】
本発明の物質の適切なプロドラッグの具体例を含む、本発明の化合物のプレドラッグ形態又はプロドラッグ形態の具体例には、親化合物の1つ又は複数の反応性の基又は誘導体化可能な基が改変された化合物が含まれる。特に関心の高いものは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又はアミノ基において改変された化合物である。適切な誘導体の具体例は、エステル又はアミドである。
【0042】
本発明の化合物は、水、エタノール等の薬剤として許容される溶媒と一緒に、溶解性又は非溶解性形態で提供することができる。溶解性形態は、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和物の形態を含んでもよい。一般に溶解性形態は、本発明では非可溶性形態と等価であるとみなされる。
【0043】
立体異性体
本発明の化合物が1つ又は複数の不斉中心を含有すること、及びこのような化合物が異性体の形態で存在することが、当技術者には理解されよう。
【0044】
さらに本発明の化合物は、(+)及び(−)形態、並びにラセミ体(±)のエナンチオマーとして存在することができる。これらの異性体のラセミ化合物及び個々の異性体それ自体は、本発明の範囲に含まれる。
【0045】
本発明は、このような全ての異性体、及びラセミ混合物を含めたその任意の混合物を含む。
【0046】
ラセミ体は、公知の方法及び技術によって、光学対掌体に分割することができる。異性体塩を分離する1つのやり方は、光学活性な酸を使用し、塩基を使用する処理によって光学活性アミン化合物を遊離させるものである。ラセミ化合物を、光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性マトリックス上でのクロマトグラフィーに基づくものである。したがって、本発明のラセミ化合物は、例えばd−又はl−塩(酒石酸塩、マンデル酸塩、又はカンホルスルホン酸塩(camphorsulphonate))の、例えば分別晶出によって、それらの光学対掌体に分割することができる。
【0047】
本発明の化合物は、本発明の化合物と、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸由来のものなど、光学活性である活性化カルボン酸とを反応させてジアステレオマーアミドを形成することによって、或いは本発明の化合物と、光学活性であるクロロギ酸塩等とを反応させて、ジアステレオマーカルバミン酸塩を形成することによって分割することもできる。
【0048】
光学異性体を分割するさらなる方法は、当技術分野では公知である。このような方法には、Jaques J,Collet A,& Wilen Sによる「エナンチオマー、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」John Wiley and Sons,New York(1981)に記載されているものが含まれる。
【0049】
光学活性化合物は、光学活性出発材料から調製することもできる。
【0050】
標識化合物
本発明の化合物は、その標識の形態又は非標識の形態で使用することができる。本発明の状況では、標識化合物は、自然に通常見られる原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子によって置き換えられた、1つ又は複数の原子を有する。標識は、前記化合物の定量的検出を容易にする。
【0051】
本発明の標識化合物は、様々な診断法における診断ツール、放射性トレーサー、又はモニタリング薬剤として有用であり、in vivo受容体イメージングにとって有用である。
【0052】
本発明の標識異性体は、好ましくは少なくとも1つの標識としての放射性核種を含有する。陽電子放出放射性核種は、全て使用の対象である。本発明の状況では、放射性核種は、好ましくはH(ジュウテリウム)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I、及び18Fから選択される。
【0053】
本発明の標識異性体を検出する物理的方法は、ポジトロン断層法(PET)、単光子画像コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)、及びコンピュータX線体軸断層撮影法(CAT)、又はそれらの組合せから選択することができる。
【0054】
調製方法
本発明の化合物は、化学合成の通常の方法、例えば、実施例に記載される方法によって調製することができる。本出願に記載されるプロセスの出発材料は公知であり、又は通常の方法によって市販の化学物質から容易に調製することができる。
【0055】
また、本発明のある化合物を、従来方法を使用して本発明の別の化合物に変換することができる。
【0056】
本明細書で記載される反応の最終生成物は、従来の技術、例えば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等によって、単離することができる。
【0057】
生物活性
本発明の化合物を、in vitroでのSKチャネルを調節するその能力について試験することができる。機能的調節は、Strobaek等の「HEK293細胞に発現した低コンダクタンスのCa2+依存性Kチャネル薬理学的特性(Pharmacological characterization of small−conductance Ca2+ − activated K channels expressed in HEK293 cells)」British Journal of Pharmacology(2000)129,991−999に記載されているパッチクランプ法により、化合物が誘発するSK電流の変化を測定することによって決定することができる。このタイプの測定から、所与の化合物の効果は、例えば、Kとして、又は遮断剤/阻害剤に対するIC50値及び開口剤/活性剤に対するEC50値として決定することができる。類似データは、他のパッチクランプ構成から、及び様々な細胞系に内因的に発現したチャネルから得ることができる。
【0058】
一実施形態では、本発明の化合物は、SK1及びSK2よりもSK3に選択性を示す。別の一実施形態では、本発明の化合物は、陽性SK3チャネルモジュレーターなどの陽性SKチャネルモジュレーターである。さらに別の一実施形態では、本発明の化合物は、陰性SK3チャネルモジュレーターなどの陰性モジュレーターである。特別な一実施形態では、本発明の化合物は、SK3チャネル遮断剤などのSKチャネル遮断剤である。
【0059】
パッチクランプ実験で観測された活性に基づくと、本発明の化合物は、ヒトを含めた哺乳動物の、SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患又は障害又は状態の治療、予防、又は軽減に有用であるとみなされる。
【0060】
特別な一実施形態では、本発明の化合物は、欠神発作、加齢に関係した記憶喪失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安症、運動失調、注意欠陥、脱毛症、双極性障害、膀胱興奮性亢進、膀胱流出路閉塞、膀胱痙攣、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心臓血管障害、認知機能障害、大腸炎、便秘、痙攣、冠動脈攣縮、冠状動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、II型糖尿病、月経困難症、てんかん、胃腸障害、胃食道逆流症、胃腸運動低下障害、胃腸運動不全、難聴、高インスリン血症、高血圧症、免疫抑制、炎症性大腸炎、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠損、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、片頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、ミオキミア、筋硬直性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後イレウス、早産、精神病、精神性障害、腎障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シューグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、泌尿生殖器障害、血管痙攣、失明、及び口内乾燥症の治療、予防、又は軽減に有用であると考えられる。
【0061】
現在、薬剤有効成分(API)の適切な投与量は、1日当たりAPI約0.1〜約1000mg、より好ましくは1日当たりAPI約10〜約500mg、最も好ましくは1日当たりAPI約30〜約100mgの範囲内であるが、投与の正確な方法、投与される形態、考慮される指標、対象及び特に関連する対象の体重、さらには担当医師又は獣医の優先選択及び経験によって決まると考えられている。
【0062】
好ましい本発明の化合物は、マイクロモル以下及びマイクロモル範囲、即ち1未満〜約100μMの生物活性を示す。
【0063】
薬剤組成物
別の態様では、本発明は、本発明の治療有効量の化合物を含む新規薬剤組成物を提供する。
【0064】
治療に使用する本発明の化合物は、原料化合物の形態で投与することができるが、有効成分を、場合によっては生理学的に許容される塩の形態で、1種又は複数のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又は他の慣習的な薬剤としての助剤と一緒に、薬剤組成物に導入することが好ましい。
【0065】
好ましい一実施形態では、本発明は、本発明の化合物、或いは薬剤として許容されるその塩又は誘導体を、1種又は複数の薬剤として許容される担体、並びに場合によっては当技術分野で周知の使用されている他の治療成分及び/又は予防成分と一緒に含む薬剤組成物を提供する。担体(複数)は、配合物の他の成分と相溶性があり、そのレシピエントに無害であるという意味で、「許容され」なければならない。
【0066】
本発明の薬剤組成物は、経口、直腸、気管支、経鼻、経肺、局所(口腔及び舌下を含めた)、経皮、経膣、又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼球内注射又は注入を含めた)投与に適したもの、或いは粉末及び液体エアロゾル投与を含めた吸入又は吸送による、又は持続放出系による投与に適した形態のものでよい。持続放出系の適切な具体例には、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは、造形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態でよい。
【0067】
したがって本発明の化合物は、通常のアジュバント、担体、又は希釈剤と一緒に、薬剤組成物及びその単位用量の形態にすることができる。このような形態には、経口使用、直腸投与用の坐剤、及び非経口使用向けの滅菌注入溶剤全てのための、固体、特に錠剤、充填カプセル剤、散剤、及びペレット剤の形態、並びに液体、特に水性又は非水性の溶剤、懸濁化剤、乳剤、エリキシル剤、及びそれらで充填されたカプセル剤が含まれる。このような薬剤組成物及びその単位剤形は、追加の活性化合物又は有効成分を含み又は含まずに、通常の成分を通常の割合で含むことができ、このような単位剤形は、使用されるべき所期の1日投与量範囲に相当する適切な有効量ならば、いかなる量の有効成分を含有してもよい。
【0068】
本発明の化合物は、多種多様な経口及び非経口剤形で投与することができる。以下の剤形は、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬剤として許容される塩を有効成分として含むことができることが、当業者には明らかとなろう。
【0069】
本発明の化合物からの薬剤組成物の調製に関しては、薬剤として許容される担体は、固体でも液体でもよい。固体形態の調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒が含まれる。固体の担体は、希釈剤、矯味剤、安定剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又は封入材料としても働くこともできる、1種又は複数の物質でもよい。
【0070】
散剤では、担体は微粉砕された固体であり、微粉砕された有効成分を含む混合物中に存在する。
【0071】
錠剤では、有効成分は、必要な結合能を有する担体と共に適切な割合で混合され、所望の形状及び寸法に圧縮される。
【0072】
散剤及び錠剤は、好ましくは、5又は10〜約70パーセントの活性化合物を含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖質、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂等である。「調製」という用語は、各種担体を含み又は含まずに、有効成分が1つの担体で被包されるカプセルを提供する、担体としての封入材料を用いる活性化合物の配合を含むものであり、したがって担体に関連するものである。同様に、カシェ剤及びロゼンジも含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びロゼンジは、経口投与に適した固体形態として使用することができる。
【0073】
坐剤の調製では、まず、脂肪酸グリセリド又はカカオ脂の混合物などの低融点ワックスを溶融させ、撹拌などによって有効成分をその中に均質に分散させる。次いで溶融した均質な混合物を、通常の寸法の金型に注ぎ、放置冷却することによって凝固させる。
【0074】
膣内投与に適した組成物は、有効成分に加えて、適切であることが当技術分野で知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、発泡剤、又はスプレー剤として提供することができる。
【0075】
液体調製物には、溶剤、懸濁化剤、及び乳剤、例えば、水溶液又はプロピレングリコール水溶液が含まれる。例えば、非経口用注入液体調製物は、ポリエチレングリコール水溶液の溶剤として配合することができる。
【0076】
したがって本発明の化合物は、非経口投与(例えば注入、例えば大型丸剤注入又は持続注入による)用に配合することができ、保存剤が添加されるアンプル、予め充填される注射器、少量注入、又はマルチドーズ容器での単位剤形として提供することができる。組成物は、油性又は水性賦形剤としての懸濁化剤、溶剤、又は乳剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤、及び/又は分散剤などの配合剤を含有してもよい。或いは有効成分は、使用前に、適切な賦形剤、例えば、発熱物質のない適切な滅菌水と共に構成するための、滅菌固体の無菌隔離又は溶液からの凍結乾燥によって得られた粉末の形態であってもよい。
【0077】
経口使用に適した水性溶剤は、有効成分を水に溶かし、所望により適切な着色剤、矯味剤、安定剤、及び増粘剤を添加することによって調製することができる。
【0078】
経口使用に適した水性懸濁化剤は、微粉砕した有効成分を、天然又は合成ゴムなどの粘着性の材料、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、或いは他の周知の懸濁化剤と共に水に分散させることによって製造することができる。
【0079】
使用直前に液体形態の経口投与用調製物へと変換するための固体形態の調製物も含まれる。このような液体形態には、溶剤、懸濁化剤、及び乳剤が含まれる。このような調製物は、有効成分に加えて着色剤、矯味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含むことができる。
【0080】
表皮への局所投与では、本発明の化合物は、軟膏、クリーム剤、又はローション剤として、或いは経皮パッチとして配合することができる。軟膏及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を添加した水性又は油性基材を用いて配合することができる。ローション剤は、水性又は油性基材を用いて配合することができ、一般に、やはり1種又は複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、又は着色剤を含有する。
【0081】
口中の局所投与に適した組成物には、風味付け基材、通常はショ糖及びアラビアゴム又はトラガカント中に活性薬剤を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムなどの不活性基材中に有効成分を含むトローチ剤(pastille);並びに適切な液体担体中に有効成分を含む口腔洗浄剤が含まれる。
【0082】
溶剤又は懸濁剤は、通常の手段によって、例えば点滴器、ピペット、又は噴霧器を用いて鼻腔に直接施される。組成物は、単回投与又は多回投与の形態で提供することができる。
【0083】
経気道投与は、有効成分が、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、或いは他の適切なガスなどの適切な噴射剤を用いた加圧パッケージ内に提供される、エアロゾル配合物を用いて実現することもできる。エアロゾルは、好都合には、レシチンなどの界面活性剤を含有することもできる。薬剤の用量は、定量値を提供することによって制御することができる。
【0084】
或いは、有効成分を乾燥粉末の形態で、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基材に化合物を入れた粉末混合物の形態で提供することができる。粉末担体は、好都合には鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、吸入剤を用いて粉末を投与することができる、例えばゼラチン又はブリスターパックの、例えばカプセル剤或いはカートリッジ剤として、単位剤形で提供することができる。
【0085】
鼻腔内組成物を含めた経気道投与用の組成物では、化合物は一般に、例えば5ミクロン以下程度の小さい粒径を有する。このような粒径は、当技術分野で周知の手段、例えばマイクロ化によって得ることができる。
【0086】
望むなら、有効成分を持続放出させるように構成された組成物を使用してもよい。
【0087】
薬剤調製物は、好ましくは単位剤形である。このような形態では、調製物は適切な量の有効成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は、パッケージされた調製物でもよく、そのパッケージは、バイアル又はアンプル内にパッケージされた錠剤、カプセル剤、及び散剤などの離散量の調製物を含有する。また単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はロゼンジそれ自体でもよく、或いはこれらのいずれかから適切な個数をパッケージした形態でもよい。
【0088】
経口投与用の錠剤又はカプセル剤、並びに静脈内投与及び持続注入用の液剤が、好ましい組成物である。
【0089】
配合及び投与に関する技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見ることができる。
【0090】
治療効果のある用量とは、症状又は状態を改善する有効成分の量を指す。治療効果及び毒性、例えばED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物における標準の薬理学的手順によって決定することができる。治療効果と毒性効果との用量比は治療指数であり、LD50/ED50比で表すことができる。高い治療指数を示す薬剤組成物が好ましい。
【0091】
投与される用量は、当然のことながら、治療を受ける個々の年齢、体重、及び状態、さらには投与経路、剤形、及び投与計画、並びに所望の結果に応じて注意深く調節されなければならず、正確な用量は、当然のことながら、技術者によって決定されるべきである。
【0092】
実際の投与量は、治療される疾患の性質及び重篤度に依存して決まり、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を得るために、本発明の特定の状況に応じた用量の滴定によって変えることができる。しかし現在、個別用量当たり約0.1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgの有効成分を含有する薬剤組成物が、治療処理に適していると考えられている。
【0093】
有効成分は、1日当たり1回又は複数回用量で投与することができる。場合によっては、0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.もの低用量で、満足のいく結果を得ることができる。投与量範囲の上限は、現在、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.であると考えられている。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日i.v.であり、約1μg/kg〜約100mg/kg/日p.o.である。
【0094】
治療方法
別の態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とするヒトを含めた動物の生体に投与するステップを含む、ヒトを含めた動物の生体の、SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防、又は軽減する方法を提供する。
【0095】
現在、適切な投与量範囲は、通常は、投与の正確な方法、投与される形態、投与対象となる指標、関連する対象及び関連する対象の体重、さらには担当医師又は獣医の優先選択及び経験によって、1日0.1〜1000ミリグラム、1日10〜500ミリグラム、特に1日30〜100ミリグラムになると考えられている。
【実施例】
【0096】
本発明を、以下の実施例を参照してさらに詳細に説明するが、それらはいかなる場合も、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。
【0097】
一般:諸手順は、本発明の化合物を調製するために使用される一般的手順を表す。使用される略語は以下のものである。
Ac:アセチル
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:ジメチルホルムアミド
EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
Et:エチル
eq:当量
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
Me:メチル
mp:融点
MW:マイクロ波
NMP:1−メチル−2−ピロリドン
rt:室温
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
【0098】
手順A
乾燥アセトニトリルに溶かした2−アミノベンゾイミダゾール及びKCO(4eq)に、(N下で)所望のハロゲン化ベンジル(2eq)を添加し、終夜50℃で撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、それを調製用LCMSによって、或いはカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶化によって精製した。
【0099】
手順Aの一実施例である1,3−ビス(4−クロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミンの調製を、スキーム1に示す。
(スキーム1)
【化3】

【0100】
手順B
2−クロロベンゾイミダゾールの乾燥DMF中撹拌溶液を、(N下で)0℃に冷却し、NaH(1.3eq)を添加した。rtで30分撹拌した後、所望のハロゲン化ベンジルを滴下し、反応混合物をrtで終夜撹拌した。飽和NaHCO水溶液を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、所望の2−クロロ−1−ベンジルベンゾイミダゾールを得た。続いて、この中間体をアセトニトリルに溶かし、所望のアミン誘導体(1〜2eq)を添加し、MW放射を用いて190〜200℃で15〜40分間加熱した。反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、DMSOに再び溶かし、調製用LCMSによって精製して、所望の1−ベンジル−2−(アリールアミノ)ベンゾイミダゾールを遊離塩基として得た。
【0101】
或いは、沈殿した生成物を反応混合物から濾別し、再結晶化して、所望の生成物を塩酸塩として得た。
【0102】
手順Bの一実施例であるN−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロアニリンの調製を、スキーム2に示す。
(スキーム2)
【化4】

【0103】
手順C
乾燥アセトニトリルに溶かした2−アミノベンゾイミダゾール及びKCO(2eq)に、(N下で)所望のハロゲン化ベンジル(1eq)を添加し、終夜50℃で撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、粗1−ベンジル化2−アミノベンゾイミダゾールを得、それを調製用LCMS又は代替としてカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0104】
続いて、単離した2−アミノベンゾイミダゾールに、アセトニトリル中、所望の置換ベンズアルデヒド、触媒量のAcOH、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2eq)を添加した。MW放射を用いて、反応混合物を100℃で30分間加熱し、調製用LCMSを使用して単離して、所望の1−ベンジル−2−(ベンジルアミノ)ベンゾイミダゾールを遊離塩基として得た。
【0105】
手順Cの一実施例であるN−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミンの調製を、スキーム3に示す。
(スキーム3)
【化5】

【0106】
手順D
2−クロロベンゾイミダゾールの撹拌溶液をアセトニトリルに溶かし、所望のアミン誘導体(1〜2eq)を添加し、MW放射を用いて190〜200℃で15〜40分間加熱した。反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、所望の2−(アリールアミノ)ベンゾイミダゾールを、濾過、LCMS、又はカラムクロマトグラフィーによって単離した。続いてこの中間体を、アセトニトリルに再び溶かし、KCO(2eq)及び所望のハロゲン化アルキル(1eq)を添加し、終夜50℃で撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、粗1,2−二置換2−アミノベンゾイミダゾールを得、それを調製用LCMS又は代替としてカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0107】
手順Dの一実施例であるN−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミンの調製を、スキーム4に示す。
(スキーム4)
【化6】

【0108】
手順E
1−フルオロ−2−ニトロベンゼン、TEA(1eq)、及び所望のアミン(1eq)をNMPに溶かし、封止バイアル中、MW放射を用いて240℃で60分間加熱した(ステップA、スキーム5)。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、粗(2−ニトロフェニル)アリールアミンを得、それをカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0109】
第2のステップ(B)では、(2−ニトロフェニル)アリールアミンをEtOHに溶かし、触媒量の10%Pd/Cを添加し、H雰囲気下、rtで5時間撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、乾燥するまで蒸発させ、粗材料をカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望のN−アリールベンゼン−1,2−ジアミンを得た。
【0110】
ステップCでは、N−アリールベンゼン−1,2−ジアミンを乾燥アセトニトリルに溶かし、BrCN(1.5eq)を添加し、混合物を、N下、rtで終夜撹拌した。
【0111】
1M NaOH水溶液を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、1−アリール−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミンを得た。
【0112】
最終ステップ(ステップD、スキーム5)では、1−アリール−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミンを乾燥アセトニトリルに溶かし、所望のハロゲン化ベンジル(1.2eq)を添加し、封止バイアル中、MW放射を用いて170℃で15〜40分間加熱した。反応混合物をrtに冷却し、沈殿物を濾別し、アセトニトリルで洗浄して、所望の生成物を臭化水素塩として得た。或いは、反応混合物に水を添加し、EtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、それを調製用LCMS、或いはカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶化によって精製した。
【0113】
手順Eの一実施例である1−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミンの調製を、スキーム5に示す。
(スキーム5)
【化7】

【0114】
手順F
1,4−ジフルオロ−2−ニトロベンゼン、KCO(1.5eq)、及び所望のアミン(1eq)を、THFに溶かし、還流温度で終夜撹拌した(ステップA、スキーム6)。HCl水溶液を添加し、形成した沈殿物を濾別し、水及びイソプロピルエーテルで洗浄して、(4−フルオロ−2−ニトロフェニル)アリールアミンをHCl塩として得た。
【0115】
第2のステップ(B)では、(4−フルオロ−2−ニトロフェニル)アリールアミンをTHFに溶かし、触媒量のラネー(Raney)ニッケルを添加し、水素下、rtで終夜撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、乾燥するまで蒸発させ、粗材料をカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望のN−アリール−4−フルオロベンゼン−1,2−ジアミンを得た。
【0116】
ステップCでは、N−アリール−4−フルオロベンゼン−1,2−ジアミンをEtOHに溶かし、BrCN(3eq)を添加し、混合物を、窒素下、rtで終夜撹拌した。
【0117】
1M NaOH水溶液を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、1−アリール−5−フルオロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミンを得た。
【0118】
最終ステップ(ステップD、スキーム6)では、乾燥THFに溶かした1−アリール−5−フルオロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミン及びKCO(1.1eq)に、所望のハロゲン化ベンジル(1eq)を添加し、終夜加熱還流した。反応混合物をrtに冷却し、水を添加し、EtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、それを調製用LCMS、或いはカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶化によって精製した。
【0119】
手順Fの一実施例である1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミンの調製を、スキーム6に示す。
(スキーム6)
【化8】

【0120】
手順G
アセトニトリルに溶かしたN−アリールベンゼン−1,2−ジアミンに、所望のフェニルイソチオシアネートを添加し、窒素下、rtで終夜撹拌した。対応するチオ尿素中間体に変換した後、混合物に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなどのカップリング試薬を添加し、反応混合物を65℃で終夜撹拌した。混合物をrtに冷却し、乾燥するまで蒸発させ、残りの粗生成物を、調製用LCMS、或いはカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶化によって精製した。
【0121】
手順Gの一実施例である(3,4−ジフルオロフェニル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミンの調製を、スキーム7に示す。
(スキーム7)
【化9】

【0122】
(実施例1)
1,3−ビス(4−クロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及び4−クロロベンジルクロライドから、手順Aによって調製した。生成物を調製用LCMSによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(白色固体、mp185〜187℃)。
【化10】

【0123】
(実施例2)
1,3−ビス(3,4−ジクロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及び3,4−ジクロロベンジルブロミドから、手順Aによって調製した。生成物を濾過によって単離し、NaOH水溶液で処理し、再結晶化させて(EtOH/HO)、標題化合物を遊離塩基として得た(白色固体、mp145〜146℃)。
【化11】

【0124】
(実施例3)
1,3−ビス(4−フルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及び4−フルオロベンジルブロミドから、手順Aによって調製した。生成物を調製用LCMSによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(白色固体、mp148〜150℃)。
【化12】

【0125】
(実施例4)
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及び3,4−ジフルオロベンジルブロミドから、手順Aによって調製した。生成物を調製用LCMSによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(白色固体、mp114〜117℃)。
【化13】

【0126】
(実施例5)
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロアニリン
標題化合物を、手順Bによって2つのステップで、2−クロロベンゾイミダゾール、3,4−ジフルオロベンジルブロミド、及び3,4−ジフルオロアニリンから調製した。生成物を濾過によって単離し、再結晶化して(MeOH/EtO)、標題化合物を塩酸塩として得た(白色固体、mp236〜238℃)。
【化14】

【0127】
(実施例6)
N[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミン
標題化合物を、手順Cによって2つのステップで、2−アミノベンゾイミダゾール、4−クロロベンジルクロライド、続いて3,4−ジクロロベンズアルデヒドから調製した。生成物を調製用LCMSによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(黄色油)。或いは標題化合物は、2つのステップで、2−クロロベンゾイミダゾール、4−クロロベンジルクロライド、及び3,4−ジクロロベンジルアミンから、手順B又は手順Dを使用することによって調製することができる。
【化15】

【0128】
(実施例7)
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−トリフルオロメチルアニリン
標題化合物を、手順Bによって2つのステップで、2−クロロベンゾイミダゾール、3,4−ジフルオロベンジルブロミド、及び4−トリフルオロメチルアニリンから調製した。生成物を調製用LCMSによって単離し、再結晶化して(EtOAc/EtO)、標題化合物を遊離塩基として得た(くすんだ白色固体、mp167〜170℃)。
【化16】

【0129】
(実施例8)
N−[1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−クロロ−3−トリフルオロメチルアニリン
標題化合物を、手順Bによって2つのステップで、2−クロロベンゾイミダゾール、4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジルブロミド、及び4−クロロ−3−トリフルオロメチルアニリンから調製した。生成物を調製用LCMSによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(くすんだ白色固体、mp88〜92℃)。
【化17】

【0130】
(実施例9)
N−[1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロベンジルアミン
標題化合物を、手順Bによって2つのステップで、2−クロロベンゾイミダゾール、4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジルブロミド、及び3,4−ジフルオロベンジルアミンから調製した。生成物を調製用LCMSによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(くすんだ白色固体、mp158〜161℃)。
【化18】

【0131】
(実施例10)
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロベンジルアミン
標題化合物を、手順Bによって2つのステップで、2−クロロベンゾイミダゾール、3,4−ジフルオロベンジルブロミド、及び3,4−ジフルオロベンジルアミンから調製した。生成物をカラムクロマトグラフィーによって単離して、標題化合物を遊離塩基として得た(油)。
【化19】

【0132】
(実施例11)
N−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−クロロベンジルアミン、N−[l−(3,4−ジクロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミン、及びN−[1−(4−フルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−フルオロベンジルアミン
3つの標題化合物を、実施例10の化合物と同様に調製する。
【0133】
(実施例12)
1,3−ビス(3,5−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及び3,5−ジフルオロベンジルブロミドから、手順Aによって調製した。標題生成物を濾過によって単離し、アセトニトリル及び水で洗浄して、標題化合物を遊離塩基として得た(白色固体、mp144〜145℃)。MS(ES)m/z386([M+1],100)。
【0134】
(実施例13)
1−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、手順Eによって4つのステップで、1−フルオロ−2−ニトロベンゼン、3,4−ジフルオロアニリン、及び最終ステップで3,4−ジフルオロベンジルブロミドから調製した。最終ステップの後、生成物を反応混合物から濾過によって単離し、アセトニトリルで洗浄して、標題化合物を臭化水素塩として得た(くすんだ白色固体、mp259〜260℃)。
【化20】

【0135】
(実施例14)
1,3−ジベンジル−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及びベンジルブロミドから手順Aによって調製した。標題生成物を濾過によって単離し、アセトニトリル及び水で洗浄して、標題化合物を臭化水素塩として得た(固体、mp>300℃)。MS(ES)m/z314([M+1],100)。
【0136】
(実施例15)
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、手順Fによって4つのステップで、1,4−ジフルオロ−2−ニトロベンゼン、3,4−ジフルオロベンジルアミン、及び最終ステップで3,4−ジフルオロベンジルブロミドから調製した。最終ステップの後、生成物を水性検査によって単離し、ヘプタン/EtO/EtOAcから再結晶させて、標題化合物を遊離塩基として得た(くすんだ白色固体、mp>166℃(分解))。
【化21】

【0137】
(実施例16)
1,3−ビス[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
標題化合物を、2−アミノベンゾイミダゾール及び3−トリフルオロベンジルブロミドから、手順Aによって調製した。生成物を濾過によって単離し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を遊離塩基として得た(固体、mp175〜177℃)。MS(ES)m/z 450([M+1],100)。
【0138】
(実施例17)
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−ブロモ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
手順Aによって調製した1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミンを、ジクロロメタンに溶かし、臭素(2eq)を添加し、rtで終夜撹拌した。飽和NaHCO水溶液を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、調製用LCMSによって精製して、標題化合物を遊離塩基として得た(固体、mp88〜89.5℃)。
【化22】

【0139】
(実施例18)
[1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデン]メチルアミン
手順Aによって調製した1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミンを、THFに溶かし、KCO(2eq)及びヨードメタン(3eq)を添加し、混合物をN下、rtで3日間撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、調製用LCMSによって精製して標題化合物を遊離塩基として得た(黄色油)。
【化23】

【0140】
(実施例19)
(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミン
手順E(スキーム5、ステップA〜C)に記載されるように調製した1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルアミンを、アセトニトリルに溶かし、3,4−ジフルオロベンズアルデヒド(1eq)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2eq)、及び触媒量のAcOHを添加した。反応混合物を、封止バイアル中、MW放射を用いて100℃で25分間加熱した。飽和NaHCO水溶液を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。混合有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、調製用LCMSによって精製して、標題化合物を遊離塩基として得た(固体、mp158.5〜159.5℃)。
【化24】

【0141】
(実施例20)
(3,4−ジフルオロフェニル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミン
標題化合物を、手順GによってN−(3,4−ジフルオロフェニル)−ベンゼン−1,2−ジアミン(スキーム5)、3,4−ジフルオロフェニルイソチオシアネート、及び最終ステップで1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドから調製した。反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、残りの粗生成物を調製用LCMSによって精製して、標題化合物を遊離塩基として得た(固体、mp115〜117℃)。MS(ES)m/z358([M+1],100)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia若しくはIbの2−アミノベンゾイミダゾール誘導体、
【化1】


又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、
或いは薬剤として許容されるその塩
[式中、
mは、0、1、又は2であり、
nは、0、1、又は2であり、
R’は、水素又はアルキルであり、
及びRは、それぞれ独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、RN−、及びRN−アルキル(R及びRは、それぞれ独立に、水素又はアルキルである)からなる群から独立に選択される、1つ又は複数の置換基で場合によっては置換されたフェニル基を表し、
、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、及びアルコキシからなる群から選択される]。
【請求項2】
mが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが1である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、それぞれ独立に、4−ハロ−置換フェニルを表す、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、それぞれ独立に、3,4−ジハロ−置換フェニルを表す、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、及びRが水素を表す、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
1,3−ビス(4−クロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジクロロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(4−フルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロアニリン;
N−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミン;
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−トリフルオロメチルアニリン;
N−[1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−クロロ−3−トリフルオロメチルアニリン;
N−[1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロベンジルアミン;
N−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジフルオロベンジルアミン;
N−[1−(4−クロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−クロロベンジルアミン;
N−[1−(3,4−ジクロロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−3,4−ジクロロベンジルアミン;
N−[1−(4−フルオロベンジル)ベンゾイミダゾール−2−イル]−4−フルオロベンジルアミン;
1,3−ビス(3,5−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ジベンジル−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−5−ブロモ−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
[1,3−ビス(3,4−ジフルオロベンジル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデン]メチルアミン;
(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミン;
(3,4−ジフルオロフェニル)−[1−(3,4−ジフルオロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]アミン;
又は薬剤として許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の治療有効量の化合物、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩を、薬剤として許容される少なくとも1種の担体、賦形剤、又は希釈剤と一緒に含む薬剤組成物。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩の、医薬品の製造のための使用。
【請求項10】
ヒトを含めた哺乳動物の、SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防、又は軽減する薬剤組成物の製造のための、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患、障害、又は状態が、欠神発作、加齢に関係した記憶喪失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安症、運動失調、注意欠陥、脱毛症、双極性障害、膀胱興奮性亢進、膀胱流出路閉塞、膀胱痙攣、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心臓血管障害、認知機能障害、大腸炎、便秘、痙攣、冠動脈攣縮、冠状動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、II型糖尿病、月経困難症、てんかん、胃腸障害、胃食道逆流症、胃腸運動低下障害、胃腸運動不全、難聴、高インスリン血症、高血圧症、免疫抑制、炎症性大腸炎、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠損、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、片頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、ミオキミア、筋硬直性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後イレウス、早産、精神病、精神性障害、腎障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シューグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、泌尿生殖器障害、血管痙攣、失明、又は口内乾燥症である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の治療有効量の化合物、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、或いは薬剤として許容されるその塩を、それを必要とする動物の生体に投与するステップを含む、ヒトを含めた動物の生体の、SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防、又は軽減する方法。

【公表番号】特表2008−526815(P2008−526815A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549905(P2007−549905)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050108
【国際公開番号】WO2006/074991
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】