低偏光モード分散を有する光ファイバ及び該光ファイバを製造する方法並びに装置
【課題】
【解決手段】低PMDの光ファイバを製造する装置は、光プリフォーム3の下側部分を溶融させる加熱炉6と、光ファイバ4を光プリフォームの上記下側部分から引き出す牽引装置8と、光ファイバが引き出される間、光ファイバ4に対し実質的に一定で且つ、単一方向の紡糸を施し、光ファイバに弾性的捩れを生じさせる紡糸装置20と、光ファイバをリール10に巻き取る巻き取り装置9と、光ファイバの残留撚りを制御し得るように紡糸した光ファイバに対し前記弾性的捩れと反対方向に単一方向の撚りを加える撚糸装置40とを備えている。ファイバ、光ファイバ及び光ファイバを備えるケーブルを製造する方法も請求の範囲に記載されている。
【解決手段】低PMDの光ファイバを製造する装置は、光プリフォーム3の下側部分を溶融させる加熱炉6と、光ファイバ4を光プリフォームの上記下側部分から引き出す牽引装置8と、光ファイバが引き出される間、光ファイバ4に対し実質的に一定で且つ、単一方向の紡糸を施し、光ファイバに弾性的捩れを生じさせる紡糸装置20と、光ファイバをリール10に巻き取る巻き取り装置9と、光ファイバの残留撚りを制御し得るように紡糸した光ファイバに対し前記弾性的捩れと反対方向に単一方向の撚りを加える撚糸装置40とを備えている。ファイバ、光ファイバ及び光ファイバを備えるケーブルを製造する方法も請求の範囲に記載されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低偏光モード分散光ファイバを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単一モード光ファイバを通じて伝送される光信号は、均一な直径の完全に円筒状のコアを有するファイバの場合、共通の速度にて伝搬する2つの直交偏光モード(典型的に、ТE及びTMと指称される)を備えている。しかし、実際の光ファイバにおいて、形状の欠陥又は不均一な応力のため、コアの円筒状の対称性が損なわれることがある。その結果、2つのモード間にて位相差が蓄積し、また、ファイバは、「複屈折」を示すといわれている。特に、形状及び応力の非対称性によって誘発された複屈折は、「固有の直線複屈折」として知られる。
【0003】
複屈折を生じる光ファイバの構造上及び幾何学的不規則性は、典型的に、プリフォーム自体から生じ、ファイバを引き抜く過程の間に変化する。この過程は、通常、ガラスプリフォームから開始して、「引き抜きタワー」として知られた装置によって行われる。実際には、プリフォームが垂直位置に配置され且つ、適宜な加熱炉内にて軟化点以上の温度まで加熱された後、光ファイバ自体を形成する糸状要素を製造し得るような仕方にて制御された速度にて溶融材料は下方に引き抜かれる。この過程において、ファイバには、典型的に非対称の応力が加わる。
【0004】
複屈折ファイバにおいて、最初に互いに同一位相にある基本モードの2つの構成要素は、一般に、「ビート長さ」として知られる、特定の長さの後でのみ、再度、同一位相となる。換言すれば、ビート長さは、特定の偏光状態が繰り返す時間である(ファイバがこの長さに亙って一定の複屈折を維持するものと仮定して)。
【0005】
いわゆる「偏光保存ファイバ」において、複屈折を生じさせるため非対称性がファイバ内に故意に導入される。しかし、通常の(すなわち、偏光非保存型)ファイバにおいて、複屈折は有害である。実際上、パルス信号が光ファイバ内に伝送されたとき、パルスにより励起された2つの偏光成分は、異なる群速度にて移動する(すなわち、分散される)から、複屈折は、パルス拡がりの潜在的な原因である。偏光モード分散(PMD)として知られたこの現象は、周期的に増幅される光導波システム内におけるその重要性のため、近年、広く研究されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
典型的に、PMD現象の結果、信号の伝送幅が制限され、そのため、上記信号が伝送される光ファイバの性能が劣化することになる。このため、この現象は、特に、あらゆる形態の信号の減衰又は分散を最小にし、伝送及び受信時の高性能を保証する必要がある、長距離に亙って作用する光ファイバに沿って信号を伝送するシステムにて望ましくない。
【0007】
英国特許出願第GB2101762A号は、引き抜き後のファイバの撚り(twisting)がPMDに与える影響を検討し、この撚りは固有の直線複屈折に起因するPMDを減少させるが、捩れ応力を生じさせ、この捩れ応力は、光弾性効果のため実質的に円形の複屈折を生じさせると考えている。このように引き抜いたファイバに撚りを加えることは、ファイバを別のファイバと交換する間、1つの効果のため、帯域幅の制限を軽減することになる。このため、当該特許出願は、引き抜く間、プリフォームを紡糸し、ファイバ材料を実質的に、非応力状態に保ちつつ、撚りを加えることができるようにすることを提案している。紡糸は、比較的高速度にて行われ、このため、その空間反復周波数すなわち紡糸ピッチは、固有の複屈折のため、ビート長さに比べて小さく、その結果、形態及び応力の非対称性に起因する複屈折への寄与効果が著しく減少した光ファイバが形成される。かかるファイバは、撚ったファイバと区別するため「紡糸」ファイバと称される。プリフォームは、実質的に一定の速度にて紡糸されることが便宜であるが、プリフォームは、右方向から左方向撚り方向に揺動させて方向を逆にすることさえも可能である。
【0008】
紡糸のため、ファイバは、その偏光軸線が回転する。その結果、光パルスが光ファイバ内に伝送されたとき、これらの光パルスは、低速及び高速複屈折軸線上にて交互に伝搬し、これにより相対的遅延を補償し且つ、パルスの拡がりを減少させる。このことは、パルスに対する局所的有効屈折率を、ファイバに沿ったパルス長さに亙って得られた平均値である、2つの軸線上における平均屈折率に等しくすることと等価的である。
【0009】
紡糸が複屈折に与える影響を解析するため理論的研究が行われている。例えば、1982年3月4日のエレクトロニクスレターズ(Elecronics Letters)Vol.18、No.5におけるA.J.バーロラ(Barlow)らによる「紡糸した単一モードファイバの異方性(Anisotropy in spun single−mode fibers)」という論文には、紡糸したファイバのPMDを減少させるための主要な方法はファイバに沿った非対称軸線を迅速に加工することにより局部的なファイバの異方性を平均化することであることが示されている。1999年9月26−30日のフランス、ニースにおけるECOC’99でのM.J.リー(Li)による「紡糸及び非紡糸ファイバのPMDに対する側方荷重及び外部撚りの効果(Effects of lateral load and external twist on PMD of spun and unspun fibers)」という論文により更なる理論的解明が為されており、これは、紡糸及び非紡糸ファイバのPMDに対する側方向荷重及び外部撚りの効果を分析するため、新規なモデル(結合モード理論に基づく)を提案している。
【0010】
理論的検討を別にして、引き抜く間に紡糸する効果の有利な効果を活用する、光ファイバのPMDを減少させるべく幾つかの技術が開発されている。
英国特許第GB2101762A号と同様に、米国特許第5,581,647号には、ファイバは、プリフォームがその軸線の周りにて回転する間、引き抜かれる、分散補償光ファイバを製造する方法が記述され、特定の過程条件が記載されている。ファイバは、50ないし1,000m/分の範囲の速度及び2.4ないし13kg/mm2の範囲の張力にて引き抜き、プリフォームは、10ないし1,000rpmの範囲の速度にて回転させる。
【0011】
国際特許出願第WO97/26221号には、紡糸により製造されたPMDの減少は紡糸速度に比例すること、典型的なファイバの非対称性を取り扱うため、一般に、極めて高速度の紡糸速度、例えば、5,000rpm以上の紡糸速度が必要とされること、及びプリフォームをかかる速度にて紡糸することは、商業的なファイバの製造のための実際的な解決策ではないことが記述されている。
【0012】
キラル構造を有する光ファイバを製造する技術に関する米国特許第4,504,300号は、プリフォームの回転に関係した短所を対象としており、プリフォームに代えてファイバを回転させることから成る新規な紡糸技術を提案している。特に、ファイバを引き抜く間、ファイバに撚りを加える、プリフォームの丁度、下方に配置された手段を備える装置が開示されている。撚りを加える手段は、3つのプーリーを支持する回転フープを備えている。撚りを加えたファイバは、被覆手段により被覆され、その後、撚り(twist)の凍結を促進する急速冷却手段により冷却される。
【0013】
国際出願第WO97/26221号に説明されたように、この技術に関連した短所は、ファイバが適宜な被覆膜により適正に保護される前に、ファイバが上述したプーリーと接触するため、ファイバ表面が損傷される虞れが大きいことに関連する。
【0014】
この短所を解決するため、米国特許第5,298,047号及び米国特許第5,418,881号は、被覆ステーションの下流にファイバにトルクを与え得るようにされた装置を配置することを提案している。特に、記載された技術において、トルクは、ファイバの引き抜き軸線に対し垂直に伸びる回転軸線を有するファイバ案内ロールを時計回り方向に及び反時計回り方向に交互に傾斜させることにより、加えられる。
【0015】
米国特許出願第2001/0020374号は、傾斜ロールを使用することは、ファイバのPMDを減少させるという目的を実質的に実現するものの、一連の問題点(例えば、ファイバとロールとの間の相対的滑りを回避するため傾斜周期を制限する必要性)を示し、また、ファイバに対し交互の(すなわち両方向)紡糸を行うためにのみ適していることを明らかにしている。しかし、傾斜ロール技術の短所を解決し且つ、単一方向紡糸及び交互の紡糸の双方を許容する新たな装置が提案されているが、この交互の紡糸は、収集スプールに巻かれたファイバに残留捩れ(residual torsion)が存在するのを防止し、これにより、ファイバの巻き戻し及び巻き取り工程の双方をより容易にするから、交互の紡糸は、依然、好ましいと考えられている。
【0016】
また、望まない弾性的撚り(elastic twist)が存在する可能性は、ファイバに対し間欠的なトルクを加えることに関して米国特許第5,298,047号にも記載されている。例えば、適宜な再スプール巻きにより弾性的撚りを除去することが全体として望ましいと記述することに加えて、該特許の出願人は、弾性的撚りの導入を実質的に防止し得るようファイバに対し時計回り方向及び反時計回り方向トルクを交互に加えることが好ましいと考えている。
【0017】
当該出願人は、交互に紡糸することはそれ以前、明らかとはされなかった幾つかの短所を有することを確認している。交互に紡糸することは、例えば、連続的な加速及び減速のため、紡糸装置(spinning device)の機械的効率を相対的に低下させる可能性がある。更に、一方向紡糸に関して、交互に紡糸するためには、方向を変更するため及び従って十分な平均的紡糸速度を保証するため、回転速度が遅くなる箇所である、プロフィール位置を補償すべくピークプロフィールの大きさが相対的に高いことを必要とする。更に、紡糸速度が零である箇所は、PMDにとって有害であり、それは、パルスを生ずる有効複屈折が増大し、このため、PMDに対する寄与効果が増大するからである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このため、当該出願人は、再度、一方向紡糸を使用することを検討し、また、これに関係した問題点を解決しようと試みた。当該出願人は、効率的にPMDの減少を実現するためには、一方向紡糸法を使用する技術は紡糸効果及び同様に弾性的撚りによって生ずる円形複屈折の効果を考慮に入れなければならないことを確認した。
【0019】
当該出願人は、引き抜く間、ファイバを一方向に紡糸し、次に、弾性的捩れを制御し、特に、最終ファイバにおける残留捩れ量を制御し得るように紡糸に起因する弾性的捩れ方向と反対方向にファイバの撚り解除(de−twisting)することにより、PMDを極めて小さい値に減少させることが可能であることが分かった。更に、例えばケーブル化のような、ファイバに対するその後の取り扱い工程は、一層容易となる。
【0020】
本発明の目的上、「一方向紡糸」とは、例えば、紡糸装置又は牽引装置におけるファイバの滑りのため可能性のある局部的反転と別個に、同一方向に生じる紡糸を意味することを意図する。更に、「実質的に一定の紡糸速度」とは、その平均値に対して±1回転/mの最大変化率を示す紡糸速度を意味する。紡糸速度が平均化する典型的な長さは、引き抜き過程にて使用される引き抜きタワー又はその他の装置に依存して、10m又はそれ以上である。
【0021】
一方向紡糸は、モジュールにて実質的に一定とすることができるが、本発明の方法は、同様に、一方向紡糸がモジュールにて可変である場合でも適用可能である。可変の一方向紡糸関数は、一定の紡糸関数を例えば、正弦波状又は不等辺四辺形紡糸関数のような交互の紡糸関数に重ね合わせることで得ることができる。この場合、平均的な弾性撚りを除去し、又はその所定の零でない値を得るため、撚り解除が行なわれる。
【0022】
引き抜く間、又はその後の巻き戻し(又は再スプール巻き)工程の間、ファイバに撚りを加えることができる。当該出願人は、提案された技術によれば、紡糸に起因する弾性的捩れを補償するため必要とされる値を上廻る撚り、特に、ファイバが0回転/m以上で且つ約1.5回転/m以下、好ましくは約1回転/m以下の残留捩れ(又は撚り)を示す撚りを加えることにより、PMDの最低値を得ることが可能であることが更に分かった。
【0023】
上記及び以下の説明において、「紡糸」及び「撚り」という語は、ファイバの2つの異なる型式の捩れを識別する。「紡糸」は、引き抜く間、凍結され、ファイバの粘性部分に加えられ且つ、冷却する間、ファイバの構造的変更として維持される捩れを識別する。これに反して、「撚り」は、その両端が回転しないよう規制されたファイバの一部分にトルクが加えられたときに存在する、ファイバの弾性的捩れを識別する。換言すれば、紡糸及び撚りの双方は、ファイバの形状を変化させるが、それ以前に同一の直線上にあった部品はら旋状の曲線に配置され、紡糸したファイバが固有の且つ恒久的変形として、この変化状態を保つ間、その両端が回転規制から解放されたとき、撚りを加えたファイバは、回転してその当初の形状に戻る。
【0024】
以下の説明において、2つの撚りの寄与効果が識別される。第一の寄与効果は、紡糸箇所の下流にファイバの回転規制部が存在することに起因し、ファイバに円形の複屈折を生じさせる傾向となる、紡糸中に生じた望まない撚りである。第二の寄与効果は、第一の撚り寄与効果による有害な効果を除去するためファイバに明白に加えられる撚りであり、従って、これは、「撚り解除」とも称される。明白に加えられた撚りは、紡糸に起因する望まない撚り方向と反対の方向を有している。以下の説明において、加えられた撚り方向に関して説明した、「紡糸方向と反対方向」とは、紡糸に起因する撚り方向と反対方向を意味することを意図するものである。
【0025】
「残留撚り(reidual twist)」とは、上述した撚り寄与効果を考慮に入れて、引き抜き又は再スプール巻きの何れかである検討した過程の終了時にファイバに存在する撚りを意味することを意図する。例えば、引き抜き過程の終了時における残留撚りは、撚り解除が後続の段階にて行われるならば、望まない紡糸効果(第一の寄与効果)に起因するもの、又は、撚り解除が引き抜く間に行われるならば、紡糸及び明白に加えられた撚りの望まない効果の双方に起因するものである。残留撚りは、紡糸により生じた撚り方向と反対方向を有するとき、「正」であるとみなされよう。
【0026】
当該出願人は、また、一方向に紡糸したファイバは、閲覧可能な文献により共通に予想されるように、マックスウェル統計に従わない、群遅延差(DGD)の統計学的分布を有することも分かった。これに代えて、DGDの統計学的分布は、マックスウェル分布の典型である2.37値よりも遥かに大きい標準偏差比に優る予想値を有するガウス様分布状態を備えることができる。このことは、DGD値は、その予想値の周りでの分散程度が小さく、このため、偏光モード分散値の確率論的な不正確さを軽減することを意味する。当該出願人は、上記の振舞いはファイバの長さの少なくとも特定の範囲にて有効であることを確認した。
【0027】
このように、第一の側面において、本発明は、ガラスプリフォームを引き抜いて光ファイバにするステップと、引き抜く間、光ファイバをその軸線の周りにて一方向に紡糸するステップと、光ファイバに弾性的捩れを生じさせるステップと、光ファイバをリールに巻くステップと、上記弾性的捩れを制御するため、上記弾性的捩れ方向と反対の方向に向けて紡いだ光ファイバにその軸線の周りにて撚りを加える更なるステップとを備える、低PMD光ファイバを製造する方向に関するものである。
【0028】
好ましくは、紡糸した光ファイバに撚りを加えるステップは、上記弾性的捩れよりもモジュールにて大きい撚りを光ファイバに加え、残留捩れを有する光ファイバを製造するステップを備えるものとする。
【0029】
好ましくは、紡糸した光ファイバに撚りを加えるステップは、実質的に一定の速度にて行われるものとする。
残留捩れは、モジュールにて0ないし1.5回転/m範囲、より好ましくは、0.3ないし1回転/mの範囲から成ることが好ましい。
【0030】
光ファイバの紡糸は、約1ないし8回転/mの範囲の速度にて行われることが好ましい。
光ファイバの紡糸は、実質的に一定の速度又は可変速度にて行うことができる。この第二の場合、光ファイバの紡糸は、一定の関数及び周期的関数を重ね合わせることにより得られた紡糸関数に従って行うことができる。
【0031】
光ファイバに撚りを加えるステップは、光ファイバをリールに巻く間に行うことができる。これと代替的に、この過程は、光ファイバを上記リールから巻き戻すステップと、光ファイバを更なるリールに再度巻くステップとを更に備えることができ、また、光ファイバに撚りを加えるステップは、光ファイバを巻き戻し又は光ファイバを再度巻く間に行うことができる。
【0032】
その第二の側面において、本発明は、低PMD光ファイバを製造する装置であって、
光プリフォームの下側部分を溶融させる加熱炉と、
光ファイバを光プリフォームの下側部分から引き出す牽引装置と、
光ファイバが引き出されるとき、光ファイバが弾性的捩れを受けるような仕方にて光ファイバに対しその軸線の周りにて一方向紡糸を施す紡糸装置と、
光ファイバをリールに巻く巻き取り装置と、
更に、上記弾性的捩れと反対方向に向けて紡糸した光ファイバに対しその軸線の周りにて撚りを加える撚糸装置(twisting device)とを備える、装置に関する。
【0033】
撚糸装置は巻き取り装置と関係付けることができる。
これと代替的に、該装置は、光ファイバをリールから巻き戻す巻き戻し装置を更に備えることができ、撚糸装置を巻き戻し装置と関係付けてもよい。
【0034】
該装置は、光ファイバが引き出されるとき、光ファイバに対し少なくとも1つの保護被覆を施す少なくとも1つの被覆装置を備えることが好ましく、該少なくとも1つの被覆装置と牽引装置との間に紡糸装置が配置されることが好ましい。
【0035】
その更なる側面において、本発明は、一方向の固有紡糸と、実質的に零又は上記紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上である弾性的撚りとを有する少なくとも1つの光ファイバを備えている。固有紡糸は、実質的に一定又は可変であるものとすることができる。
【0036】
弾性的撚りは、モジュールにて0乃至約1.5回転/mの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、弾性的撚りは、約0.3乃至1回転/mの範囲にあるものとする。
固有紡糸は、モジュールにて約1ないし8回転/mの範囲にあることが好ましい。
【0037】
その更なる側面において、本発明は、一方向の固有紡糸と、実質的に零又は上記紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上である弾性的撚りとを有する光ファイバに関する。固有紡糸は、実質的に一定又は可変であるものとすることができる。
【0038】
ファイバの弾性的撚りは、モジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲、より好ましくは、約0.3ないし1回転/mの範囲にあることが好ましく、固有紡糸は、モジュールにて約1ないし8回転/mの範囲にあることが好ましい。
【0039】
非限定的な適用例を示す添付図面に関して本発明を以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1を参照すると、引き抜きタワー1は、垂直引き抜き軸線2内にて実質的に整合された(このため「タワー」と呼ばれる)複数の装置を備えている。引き抜き過程の主ステップを行うため、垂直方向を選ぶことは、ガラスプレフォーム3から溶融材料を得て、該溶融材料から光ファイバ4を引き抜くことができるように重力を利用する必要性から生じる。
【0041】
詳細には、タワー1は、プリフォーム3の下側部分(プリフォームのネックダウンとしても既知)を制御された状態に溶融させるステップを行う加熱炉6と、プリフォーム3を支持し且つ該プリフォームを上方から加熱炉6内に供給する供給装置7と、ファイバ4をプリフォーム3から引き出す牽引装置8(タワーの下端に設けられた)と、ファイバ4をリール10に保存する巻き取り装置9とを備えている。
【0042】
加熱炉6は、プリフォームを制御した状態で溶融させる設計とされた任意の型式のものとすることができる。タワー1内にて使用することができる加熱炉の例は、米国特許第4,969,941号および米国特許第5,114,338号に記載されている。
【0043】
好ましくは、例えば、冷却気体の流れが通り抜ける設計とされた冷却キャビティを有する型式とした冷却装置12が加熱炉から去るファイバ4を冷却するように加熱炉6の下方に配置されている。冷却装置12は、軸線2に対し同軸状に配置され、加熱炉6から去るファイバ4は該冷却装置を通り抜けることができる。
【0044】
タワー1には、張力監視装置13(例えば、米国特許第5,316,562号に記載された型式のもの)と、ファイバ4の張力及び直径をそれぞれ測定し得るように加熱炉6と冷却装置12との間に配置されることが好ましい既知の型式の直径センサ14とを設けることもできる。
【0045】
好ましくは、タワー4は、垂直の引き抜き方向に向けて冷却装置12の下方に配置され且つ、ファイバが通過するとき、第一の保護被覆及び第二の保護被覆をそれぞれファイバ4に堆積させる設計とされた既知の型式の第一及び第二の被覆装置15、16を更に備えるものとする。被覆装置15、16の各々は、特に、ファイバ4に対し所定の量の樹脂を施す設計とされたそれぞれのアプリケーション装置15a、16aと、例えば、樹脂を硬化させ、これにより安定的な被覆を提供する、紫外線ランプ加熱炉のようなそれぞれの硬化装置15b、16bとを備えている。
【0046】
牽引装置8は、単一プーリー又は2重プーリー型とすることができる。図示した実施の形態において、牽引装置8は、既に被覆されたファイバ4を垂直の引き抜き方向に抜けて引き抜く設計とされた単一モータ駆動プーリー(すなわち「キャプスタン」)18を備えている。牽引装置8には、プーリーが作動する間、プーリー18の角速度を示す信号を発生させる設計とされた角速度センサ19を設けることができる。プーリー18の回転速度、従ってファイバ4の引き抜き速度は、例えば、検出器14により検出された直径の変化に応答する等により、過程の間、変更することができる。
【0047】
タワー4は、被覆装置15、16と牽引装置8との間に配置され、引き抜く間、ファイバ4に対しその軸線の周りにて紡糸を施す紡糸装置20を更に備えている。本発明の目的上、「紡糸」という語は、光ファイバの角回転速度dθ/dt(ここでθは、固定の基準点に対して測定した光ファイバの回転角度)と引き抜き速度との間の比(一定の増倍率は無視)を表わす。このようにして規定された紡糸は、典型的に、回転/mにて測定される。
【0048】
図2に示した1つの可能な実施の形態において、紡糸装置20は、固定の支持フレーム21と、フレーム21により保持された直流モータ22と、フレーム21により保持され且つ、ベルト伝動装置24を介してモータ22に結合された回転部材23とを備えている。該ベルト伝動装置は、モータ22に強固に結合された第一の駆動プーリー24aと、回転部材23に強固に結合された第二の駆動プーリー24bと、第一の駆動プーリー24aを第二の駆動プーリー24bに接続するベルト24cとを備えている。
【0049】
回転部材23は、軸線2に相応する、すなわち装置20に入り且つ装置20から去るとき、ファイバ4の動作軸線に相応する回転軸線を有している。回転部材23は、それぞれの軸受26により支持フレーム21に回転可能に結合され且つ、ファイバが通り抜けるのを許容する第一及び第二のスリーブ状端部分23a、23b(それぞれ上側及び下側)を備えている。第二の端部分23bは、第二の駆動プーリー24bと結合されている。
【0050】
回転部材23は、第一の端部分23aから第二の端部分23bまで伸びる2つのアーム27a、27bを備えている。アーム27a、27bは、実質的にC字形の形状であり、軸線2に対して平行な直線状の主中央領域を有し、また、軸線2に対し互いに対称に配置されている。2つのアームの一方(図面にて参照番号27bで示したもの)は、軸線2に対し平行な方向に向けて実質的に整合された第一、第二及び第三のアイドル状に取り付けた回転プーリー28a、28b、28c(図面にて上側から下側へ)を保持している。3つのプーリー28a、28b、28cは、軸線2に対し垂直な相応する軸線を有し且つ、相応する案内溝が軸線2に対し実質的に正接するような寸法とされている。
【0051】
図1を再度参照すると、タワー4は、牽引装置8の下流にてファイバ4の張力を調節する、一般に「ダンサー」として知られた張力制御装置30を備えることもできる。張力制御装置30は、プーリー18と巻き取り装置9との間にてファイバ4の張力の全ての変化を均衡させる設計とされている。張力制御装置30は、例えば、アイドル状態に且つ、一定の位置に取り付けられた第一及び第二のプーリー30a、30bと、それ自体の重量の作用及びファイバ4の張力に基づいて垂直方向に自由に動く第三のプーリー30cとを備えることもできる。実際上、プーリー30cは、ファイバ4の張力が望ましくない程に増大した場合、上昇し、また、ファイバ4の張力が望ましくない程に減少した場合、下降し、該張力を実質的に一定に保つ。プーリー30cには、プーリー30cの垂直方向位置を示し、従ってファイバ4の張力を示す信号を発生させる設計とされた垂直方向位置センサ(図示せず)を設けることができる。
【0052】
ファイバ4を張力制御装置30から巻き取り装置9まで案内するため、1つ又はより多くのプーリー31(又はその他の型式の案内部材)が設けられることが好ましい。
巻き取り装置9は、図示した実施の形態において、ファイバ4をリール10まで案内し得るように支持部材37により保持された第一、第二、第三及び第四の案内プーリー36a、36b、36c、36dを備えている。巻き取り装置9は、リール10を参照番号34で示した、その軸線の周りにて回転させるモータ作動装置33を更に備えている。モータ作動装置33は、リール10を軸線34に沿って往復運動させ、引き抜く間、ファイバ4をリールにら旋状に巻き取ることも許容する。これと代替的に、リール10は、軸方向に固定し、支持部材37は(プーリー36a、36b、36c、36dと共に)、リールの軸線34に対し平行な軸線に沿って往復運動し得る設計とされたモータ作動スライド(図示せず)に取り付けられるようにしてもよい。
【0053】
本発明に従って、ファイバの撚り解除するため、すなわち、紡糸したとき、ファイバ4内に蓄えられた弾性的張力を除去するため、撚糸装置40が有益に使用される。撚糸装置40は、特に、その巻き取りの間、ファイバ4の撚り解除するため引き抜く段階にて使用し、又は、例えば、以下に説明するように、輸送に適したボビンに再スプール巻きするためファイバ4を巻き戻す間のような、その後の段階にて使用することができる。
【0054】
撚糸装置40は、引き抜きタワー1の巻き取り装置9と一体化することが有益である。特に、支持部材37及びプーリー36a、36b、36c、36dは、撚糸装置40の一部を形成することができる。撚糸装置40の1つの可能な実施の形態を示す、図3を参照すると、支持部材37は、二股フォークの形状とされた回転部材であり、また、中空のスピンドル41と、該中空のスピンドル41の一端41aから伸びる2つのアーム45、46とを備えている。スピンドル41は、固定のフレーム43により軸線34に対し同軸状に保持され且つ、軸受44を介してフレームに回転可能に取り付けられている。スピンドル41は、ベルト伝動装置(図示せず)を介して直流モータ(図示せず)により駆動される。使用時、スピンドル41は、ファイバ4が軸線34に沿って通り抜けする設計とされている。
【0055】
第一のアーム45、第二のアーム46は、軸線34に対し互いに対称であり、また、これらのアームは、スピンドル41に強固に接続され且つ、互いに対向して軸線34から伸びるそれぞれの第一の部分45a、46aと、軸線34に対し平行なそれぞれの第二の部分45b、46bとを有している。第一の部分45a、46aは、リール10の半径よりも大きい半径方向伸長部を有し、第二の部分45b、46bは、リール10の長さに実質的に相応する長さを有している。該リール10は、アーム45、46の第二の部分45b、46b間に配置されている。
【0056】
第一のプーリー36aは、リール10に面するスピンドル41の端部に配置され且つ、ファイバ4を第一のアーム45に対して偏倚させる設計とされている。第二、第三及び第四のプーリー36b、36c、36dは、第一のアーム45の第二の部分45bに沿って配置され且つ、ファイバがリール10に供給される前に、ファイバ4に対する波状経路を画成する。第三のプーリー36c(第二のプーリー36bと第四のプーリー36dとの間の中間にある)の機能は、ファイバがプーリー36b、36dから滑るのを防止することであり、このため、省略してもよい。第二のアーム46は、均衡化機能のみを有しており、このため、第一のアーム45の重量を同一に分布させるべくプーリー36b、36c、36dと同一の3つのプーリーを担持することができる。
【0057】
第一、第二及び第三のプーリー36a、36b、36cは、互いに平行で且つ、軸線34に対し垂直なそれぞれの軸線を有することが好ましい一方、第四のプーリー36dは、リール10が半充填されたとき、第一のボビンに対し正接する平面上に位置するような角度にて軸線34に対し平行な軸線の周りにて傾動することが好ましい。
【0058】
撚糸装置40は、第四のプーリー36dとリール10との間に配置されて、リール10(例えば、図3は、リール10の2つの異なる位置を示す)又は支持部材37の交互の軸方向動作に対する制御信号を提供するファイバの位置センサ48(例えば、モデルキーエンス(Keyence)FS−V11P FU−35FA)を備えることが好ましい。実際には、上述したように、リール10と支持部材37との間に相対的な交互の動作を提供してファイバ4をら旋状に巻き取り得るようにしなければならない。
【0059】
引き抜きタワー1は、外部から制御されるタワー1の全ての装置及びタワー1に沿って存在するセンサ及び検出器の全てに対し電気的に接続された制御装置(図示せず)を更に備えることができる。
【0060】
引き抜きタワー1は、次のように作動する。
支持装置7は、プリフォーム3を加熱炉に供給し、該加熱炉にてその下側部分(ネックダウン)は溶融する。ネックダウンから引き抜かれたファイバ4は、牽引装置8から下方に引き出され且つ、巻き取り装置9によりリール10に巻き取られる。キャプスタン18とリール10との間にて、張力制御装置30がファイバ4の張力を調節する。
【0061】
ファイバ4が引き抜かれるとき、センサ13、14は、その張力及び直径を監視する。かかる監視は、例えば、牽引速度にて作動することにより引き抜き過程を制御するため使用することができる。加熱炉6から出るとき、ファイバ4は、冷却装置12により冷却され且つ、被覆装置15、16により2つの保護層にて被覆される。
【0062】
次に、被覆したファイバ4は、紡糸装置20により単一方向に且つ実質的に一定の紡糸作用を受ける。このことは、回転部材23を軸線2の周りにて一定の速度で回転させることにより実現される。回転部材の各回転は、ファイバ4のその軸線の周りでの1回転に相応する。
【0063】
紡糸速度は、次のように選ばれる、すなわち、最短の典型的なビート長さに少なくとも等しいファイバ4の長さにてファイバ4の不完全性及び不規則性の効果が実質的に均一とされるような仕方にて選ばれる。その結果、信号がファイバ内に伝送されたとき、基本伝搬モード間にてパワーが交換され、従ってPMDは減少する。このように、非対称の応力状態及びファイバ4内に本来的に存在する形状の不規則性に起因するマイナスの効果を実質的に軽減することが可能である。
【0064】
当該出願人は、紡糸速度が速ければ速い程、PMDの点にてファイバの性質は一層優れたものとなることを知った。しかし、紡糸速度が速ければ速い程、除去すべき弾性的捩れは益々、増大する。当該出願人は、1ないし8回転/mの範囲の紡糸速度は、PMDを許容可能な値にて減少させると同時に、本明細書にて説明した技術により効果的に除去することのできる弾性的捩れ量を実現することを確認した。
【0065】
紡糸したとき、ファイバ4は、相応するトルクを上流に及び下流に伝達する。上流にて、トルクは、プリフォームのネックダウンに伝達され、この箇所にて、溶融したガラスの塑性変形はトルクを「吸収し」、そのトルクをファイバ4の複屈折軸線の固有の方向に「変換する」。この固有の捩れは、ファイバが冷却するとき、ファイバ4内に凍結される。下流にて、何らの対策が無いならば、トルクはリール10まで伝達され、この箇所にて、ファイバ4は、巻き取られたならば、残留弾性的撚りを維持することになろう。この弾性的撚りは、制御されなかったならば、ファイバ4内に望ましくない円形の複屈折を生じさせることになろう。
【0066】
巻き取ったファイバ4の残留撚り(reidual twist)を制御するため、ファイバ4は、撚糸装置40により撚り解除される。実際には、回転する支持部材37は、紡糸方向と反対の方向に向けて(より正確には、上述したように、紡糸により発生された弾性的撚り方向と反対の方向)に軸線34の周りにて回転するようにされる。軸線34の周りにての支持部材37の各回転は、ファイバ4のその軸線の周りの1回転に相応する。次に、紡糸装置20の下流にてファイバ4に沿って伝達されたトルクは、ファイバがリール10に巻かれる前に、撚糸装置40によって少なくとも軽減される。
【0067】
より詳細には、ファイバ4は、スピンドル41を通った後、第一のアーム45に向けて第一のプーリー36aにより偏倚され、また、第二及び第三のプーリー36b、36cにより要求された張力にて第二の部分45bに沿って運ばれ、最後に、軸線34に対し実質的に垂直な方向に第四のプーリー36dによりリール10に供給される。軸線34の周りにて回転する間、リール10は、軸線34に沿って往復運動もし、ファイバ4をら旋状に巻き取ることを許容する。
【0068】
センサ48の信号は、リール10の交互の動作速度を制御し、ファイバ4が常にセンサ48の所定の位置にて通り抜けするするために使用される。
当該出願人は、紡糸後、紡糸により発生された弾性的撚りを除去するのみならず、正の残留撚り、すなわち反対方向への撚りを導入する撚りをファイバに加えることにより、ファイバ4のPMDを最小値まで減少させることができることが分かった。当該出願人は、0ないし1.5回転/m、好ましくは、0.3ないし1回転/mの範囲の正の残留撚りは広範囲の紡糸速度にて紡糸されたファイバのPMDを少なくとも8回転/mまで減少させることを許容することを確認した。
【0069】
上述したように、ファイバの撚り解除は、引き抜き後の段階にて行うことができ、また、リール10からのファイバ4の巻き戻し工程に関係付けることができる。例えば、撚り解除は、顧客に輸送すべくファイバ4を輸送スプールに再スプール巻きする間、又は選別工程中に行うことができる。選別は、その強度を検査するため光ファイバに対して行われる試験工程であり、通常、プーリーにより画成された所定の経路内にてファイバが移動する間、ファイバ4に対し所定の長手方向張力を加えるステップを備えている。
【0070】
図4に示すように、撚糸装置40は、例えば、反対方向に動くファイバ4に対して使用し、ファイバが巻き戻される間に、ファイバの撚り解除を行うことができる。特に、図4には、ファイバ4をリール10から巻き戻すための巻き戻し装置9´と、ファイバ4を異なるリール74に再度巻くための案内プーリー73を有する更なる巻き取り装置71とを備える再スプール巻き組立体70が示されている。巻き戻し装置9´は、巻き取り装置9と実質的に相応するが、反対方向に作動してファイバ4を巻き戻す。この場合、撚糸装置40は、巻き戻し装置9´内に一体化されてファイバ4が巻き戻されるとき、ファイバ4の撚り解除をする。再スプール巻き組立体70は、例えば、米国特許第5,076,104号にて記載された型式の選別装置72を備えることもできる。
【0071】
図5には、参照番号50で示した撚糸装置の異なる実施の形態が示されている。撚糸装置50は、軸線34に沿ってリール10を支持する固定のフレーム51と、ファイバがリール10に巻かれ又はリール10から巻き戻されるとき、ファイバ4に撚りを加える回転部材52とを備えている。
【0072】
回転部材52は、軸線34に対し同軸状にフレーム51により支持された第一及び第二のスピンドル53、54と、ファイバ4を通り抜け得るように2つのスピンドル53、54をリール10の上方にて接続する可撓性のアーチ部材55とを備えている。
【0073】
固定のフレーム51は、軸線34に沿って実質的に整合された2つの外側支持部材56、57と、2つの内側支持部材58、59とを備えている。外側支持部材56、57は、円筒状であり、部材57は、軸線34に沿ったファイバ4に対する内側通路を有している。リール10は、内側支持部材58、59の間に配置され且つ、これら支持部材により支持されている。リール10は、ベルト伝動装置60を介してモータ(図示せず)に接続されている。
【0074】
スピンドル53、54は、リール10に対し互いに対向しており、また、それぞれのベルト伝動装置62(その1つのみを図示)を介して同一のモータ(リール10のモータと異なり、図示せず)に接続されており、このため、これらは等速度にて回転することができる。スピンドル53、54の各々は、相応する外側支持部材56、57と相応する内側支持部材58、59との間に配置されている。第一のスピンドル53は、軸線34に対し正接するプーリー67にて保持しており、該プーリーは、ファイバ4がアーチ部材55と、軸線34に対し正接する更なるプーリー69の間にて通るのを許容する。第二のスピンドル54は、ファイバ4が外側支持部材57とアーチ部材55との間にて通るのを許容する、軸線34に対し正接する更なるプーリー68を更に内部に保持する。ファイバをリール10に又はリール10から案内する1つ又はより多くのプーリーが設けられる。
【0075】
可撓性のアーチ部材55は、カルボニウムにて出来ており且つ、ファイバ4がスピンドル53、54の間を通るためリール10の上方に橋部を形成することが好ましい。アーチ部材55には、セラミックで出来ていることが好ましい等距離の案内Uボルト61を設けることができ、該Uボルトは、ファイバ4をアーチ部材55に沿って案内するのに適している。これと代替的に、アーチ部材55には、案内管(図示せず)を設けてもよく、このことは、工程が開始する前に取り付けを容易にし、ファイバ4をアーチ部材55の一端から他端まで吹き出すことを許容するという有利な効果を提供する。
【0076】
以下にファイバをリール10に巻き取るべく作動するときの装置50について説明する。装置40と同様に、装置50は、反対方向に作動して、例えば、図4の再スプール巻き組立体70にて、ファイバ4をリール10から巻き戻すことができる。
【0077】
ファイバ4は、部材57及び第二のスピンドル54の第一の部分を通じて受け取られ、この箇所にて、ファイバはプーリー68によりアーチ部材55に対し偏倚される。ファイバは、アーチ部材55の全体を亙って移動し且つ、第一のスピンドル53に入り、この箇所にてファイバは、軸線34に沿って内側支持部材58に向けてプーリー67により更に偏倚される。次に、ファイバは、プーリー69により更に偏倚され且つ、最終的にリール10に供給される。
【0078】
所望の程度の残留撚りを得るため、光ファイバ4に加えるべき撚り量は、次の技術に従って決定することができる。第一のステップにおいて、紡糸される試験ファイバの部分のみを引き抜く。この試験ファイバの部分は、例えば、撚糸装置40を所定の時間、不作動にし(すなわち、回転部材37を静止状態にして)、図1の引き抜きタワー1を作動させることで得ることができる。次に、リール10に巻き取った試験ファイバの部分に蓄積した残留撚りを次のようにして測定する。
【0079】
リール10は、所定の高さ、例えば地面から2mの位置に配置された支持体から吊り下げる。相応する長さのファイバを僅かな張力状態に保ちつつ、リール10から巻き戻す。巻き戻した部分の上端は、リール表面に固定する一方、自由端は、例えば、細いテープ片(重量は無視可能)にて標識し、また、回転自在のままにする。測定精度は、巻き戻したファイバの長さに依存する。ファイバ長さ2mの場合、回転数は、2mに亙って約1/4回転の精度にて測定し、約0.125回転/mの精度が得られるようにする。より高精度が必要とされるならば、より長いファイバを使用することができる。
【0080】
当該出願人は、被覆中のファイバ内にも残留撚りが蓄積するから、紡糸に起因する残留撚りの正確な測定のためには、ファイバ被覆が存在することを考慮する必要があることが分かった。従って、上述した仕方にて被覆したファイバの残留撚りを測定した後、被覆したファイバの自由端を遮断し、被覆を完全に除去する(従来のミラー(Miller)剥ぎ取り器を使用して)。次に、ファイバを再度回転自在にし、ファイバの更なる回転を上記と同一の精度にて測定する。
【0081】
この工程は、例えば2m毎に所定の長さの連続的なファイバ部分に亙って繰り返し、例えば、20mないし60mのような所定の測定全長に達するようにする。平均値を使用してファイバの捩れ値を特定する。
【0082】
紡糸に起因する残留捩れが測定された後、撚糸装置40を作動させ、所望の残留撚りが得られるよう適宜に設定して、ファイバの引き抜きを続行することができる。
このように、単一方向の固有紡糸と、モジュールにて零に等しく又は上記紡糸と反対方向で且つ、モジュールにて零以上の弾性的撚りとを有する光ファイバを得ることが可能である。
【0083】
単一方向の固有紡糸は、実質的に一定又は可変とすることができる。この第二の場合、実質的に一定の関数及び周期的関数を重ね合わせることにより紡糸関数が得られ、また、残留撚りの平均値を所望の値に変化させ得るように撚りが加えられることが好ましい。ファイバに付与された弾性的撚りは、モジュールにて0ないし約1.5回転/m、より好ましくは約0.3ないし1回転/mの範囲にあることが好ましい。
【0084】
本発明の製造方法により得ることのできる光ファイバは、通信システムにて使用し得るようケーブル化することができる。図6を参照すると、かかる用途用の光ケーブル80は、典型的に、複数の光ファイバ4を保持する光コア81を備えている。光コア81は、光ファイバ4が補強部材83の周りに配置された重合系部材内に埋め込まれる、「タイト」型式のもの(図示するような)とし、又はファイバが上記ケーブル内又は中央補強部材の周りにストランド巻きされた複数のバッファ管内の中央に配置された単一のバッファ管内にルーズに収納される、「ルーズ」型とすることができる。光コア81の周りにて、光ケーブル80には、補強要素84及び保護シース85、86が設けられる。
【0085】
「タイト」型式ケーブルにおいて、ファイバと重合系基材との間の接触は、ファイバに加えられた撚りが解放されるのを防止する。「ルーズ」型ケーブルにおいて、ファイバに加えられた撚りは、典型的なケーブル長さの場合、ゼリー状フィラーが存在することで多分向上するであろう、ファイバとバッファ管との間の摩擦のため、解放されることはない。
【0086】
実験例
第一の実験において、当該出願人は、非紡糸ファイバのPMDを7.3回転/mにて紡糸したファイバのPMDと比較した。ITU−T G.652仕様と一致する、長さ10kmの相応する2本のファイバを同一のプリフォーム(OVD堆積技術によって得られたもの)から引き抜いた。実験は、典型的な引き抜き速度にて行った。
【0087】
上述した技術にて紡糸したファイバの残留撚りを測定した後、ファイバは異なる残留撚りと関係した1kmの間隔にて切断した。実際上、第一の1kmの間隔を所定の撚り解除状態にて小さいボビンに巻き取り、次に、ファイバを切断し、第二の1kmの間隔を異なる撚り解除状態にて別の小さいボビンに巻き取り、その後も同様とした。次に、異なる間隔のPMDを測定した。
【0088】
図7aには、非紡糸ファイバのPMDと比較して異なる残留撚りを有する紡糸したファイバの6つの1kmの間隔のPMDが示してある。該図にはまた、ファイバに撚りを加えることによりPMDの点にて実現可能な改良点が示され、また、紡糸ファイバに対するPMDと残留撚りとの間の検出された相関関係が更に示されている。正の残留撚り、すなわちファイバを紡糸することにより形成された弾性的撚りを完全に除去するのみならず、同一方向に向けて更なる撚り寄与効果を追加することにより得られた残留撚りに対してPMDは最小値に達することを理解することができる。残留撚りが0.3ないし1回転/mの範囲の場合、約0.01psであるPMDの最小値に達する。
【0089】
周知のJME技術を使用してPMDを測定した。ファイバは、約30mの経路にて床に予め付設し、巻いたボビンに存在し且つ、PMD測定値に影響を与えるであろう応力及び撚りを防止した。波長走査は、1520ないし1630nmの範囲に設定した。報告したPMD値の全ては、遅延分布の平均値である。この技術の感度は約0.002psであることが確認された。
【0090】
第二の実験において、非紡糸ファイバと、ITU−T G.652仕様に一致し且つ、同一のプリフォームから引き抜いた、第一の実験のものと相違するが、OVD法にて製造された、3.6回転/mにて紡糸したファイバとを比較した。この場合にも、長さ10kmのファイバを引き抜き、紡糸したファイバは、異なる残留撚りを有する長さ1kmの間隔のものに切断した。
【0091】
図7bに示した、この実験の結果は、第一の実験のものを確認するが、2つの場合、非紡糸ファイバのPMDは、実質的に相違する(その理由は、当該出願人の考えでは、2つのプリフォームの光学的特徴が相違するためであろう)。更に、図7bに示すように、正の残留撚りはPMDの点にてファイバの性能を向上させるが、ファイバに与えられた1回転/mの正の一方向撚りは、ファイバのPMDを増大させることになる。この異なる振舞いは、ファイバに対し正の残留撚りを加えることにより実現された紡糸ファイバのPMDの減少は、非紡糸ファイバの典型的な振舞いに基づいて予見できなかったことを示す。
【0092】
第三の実験において、第一及び第二の実験のものと相違する、同一のプリフォーム(OVD技術により得られたもの)から得られた、3つの更なる紡糸ファイバの性能を比較した。この場合にも、各々長さ10kmであり(同一のプリフォームから引き抜いた)且つ、ITU−T G.652仕様と一致するファイバ間隔のものを引き抜き、次に、その紡糸ファイバは、異なる残留撚りと関係した長さ1kmの間隔のものに切断した。紡糸速度は、それぞれ4.20回転/m、3.03回転/m及び0.64回転/mとした。
【0093】
図7cには、この試験結果が示されている。紡糸速度が速ければ速い程、益々小さいPMDが実現可能であることが理解できる。検討した試験において、PMDの最小値は、4.20回転/分の紡糸速度のときに得られる。特に、残留撚りが0.16回転/mのとき、PMDは0.006であると測定された。しかし、高速の紡糸速度値は、典型的に、PMDが残留撚りに依存する程度が大きいときに関係している。特に、最小値付近におけるPMDの変化は、低速度にて紡糸したファイバよりも高速度にて紡糸したファイバにて一層、感得できる。このため、高速度の紡糸速度は、ファイバに与えられる撚り解除を極めて正確に制御することを必要とする。当該出願人は、残留撚りを厳密に制御することは実現困難であり、残留撚りを正確に制御することを許容し得るように紡糸速度は8回転/m以下の範囲にて選ぶことが好ましいことも知った。
【0094】
更なる回数の試験において、当該出願人は、実質的に一定の単一方向に紡糸したファイバの群遅延差(DGD)を非紡糸ファイバのDGD及び両方向に紡糸したファイバのDGDと比較した。当該出願人は、最終的に、交互の紡糸を実質的に一定の単一方向への紡糸と重ね合わせることにより得られた「ハイブリッド」紡糸関数を検討した(このため、単一方向成分の一定の大きさは、ハイブリッド関数の平均値を表わす)。
【0095】
図8aは、非紡糸ファイバの紡糸関数(すなわち、零に等しい関数)を示し、図8bは、1kmファイバにおけるDGD分布の測定値を示す。図8bには、非紡糸ファイバDGDの測定値の統計学的分布はマックスウエルの分布と良好に一致することを特徴とすることが示されている。未処理データは、マックスウエル分布の理論により予想された2.37に極めて近い比(予想値)/(標準偏差)?2.2を提供する。マックスウエル及びガウスの一致は、ほぼ同一のカイ2乗値を有する。
【0096】
図9aは、両方向に紡糸したファイバの紡糸関数を示し、図9bは、1kmファイバにおけるDGD分布の測定値を示す。図9bは、交互に紡糸したファイバはDGD測定値の統計学的分布がマックスウエルの分布と良好に一致することを特徴とすることを明らかにする。未処理データは、マックスウエル分布の理論により予想された2.37に極めて近い比(予想値)/(標準偏差)?2.4を提供する。マックスウエル及びガウスの一致は、ほぼ同一のカイ2乗値を有する。
【0097】
図10aには、一定の紡糸速度にて単一方向に紡糸したファイバの紡糸関数が示されており、このファイバは、その後、上記に検討した双方向のファイバに等しいPMD値を提供し得るように本発明に従って撚り解除した。図10bには、1kmファイバにおけるDGD分布の測定値が示されている。
【0098】
単一方向に紡糸した1kmのファイバ長さにて測定した群遅延差は、ガウス様の統計学的分布状態を有することが理解できる。ガウスの一致は、マックスウエルの一致により与えられるものよりも約50倍小さいカイ2乗値を提供する。未処理データ及びガウスの一致は、マックスウエルの分布の2.37の値よりも遥かに大きい同一の比(予想値)/(標準偏差)?15を提供する。
【0099】
単一方向に紡糸したファイバの統計学的特徴把握は、図7cに示したような撚り解除パラメータの異なる値について繰り返した。残留撚りの値の各々に対し、DGDの統計学的分布は、常に、ガウス様のままであり、また、常に、同一の比(予想値)/(標準偏差)を維持することが確認された。
【0100】
図11aは、「ハイブリッド」紡糸関数を示し、図11bは、数値シミュレーションにより得られたハイブリッド紡糸ファイバのDGD分布状態を示す。シミュレーションは、1996年IEEE 光波技術ジャーナル(J.Lightwave Tech) Vol.14、pp.148−157における、P.K.A.ウェイ(Wai)及びC.R.メニュック(Menyuk)による、「ランダムに変化する複屈折を有する光ファイバにおける偏光モード分散、脱相関及び拡散(Polarization mode dispersion,decorrelation,and diffusion in optical fibers with randomly varying birefringence)」という論文に記載された、ビート長さLb及び相関長さLfを典型的なファイバの値に設定した、理論的アプローチに基づくものである。当該出願人は、図8aの非紡糸ファイバ、図9aの両方向に紡糸したファイバ及び図10aの単一方向に紡糸したファイバにて行った同一のシミュレーションの結果、実験的に得られたもの(図8b、図9b及び図10b)と適合する結果が得られ、このため、測定の信頼性を確認するものであると認定した。理解し得るように、ハイブリッド紡糸は、亜マックスウエルDGD分布にて低PMD値を保つ。
【0101】
このため、上記の結果は、光ファイバを単一方向に紡糸する工程は、そのPMDの統計学的性質を変化させることを示す。非紡糸及び交互に紡糸したファイバは、マックスウエル統計学的分布に従うが、単一方向に紡糸したファイバは、少なくとも特定長さのファイバに対し、データの分散が顕著に減少したことを特徴とするガウス分布を呈する。更に、撚り解除速度、従って、ファイバの残留撚りを選ぶことは、PMD値を最小にすることを許容する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に従った引き抜きタワーを示す図である。
【図2】図1の引き抜きタワーにて使用するのに適した紡糸装置を示す図である。
【図3】図1の引き抜きタワーにて使用するのに適した撚糸装置を示す図である。
【図4】再スプール巻き装置を示す図である。
【図5】図3の装置の代替的な図1の引き抜きタワーにて使用される撚糸装置を示す図である。
【図6】本発明の方法に従って製造された光ファイバを保持する光ケーブルを示す図である。
【図7a】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図7b】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図7c】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図8】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図9】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図10】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図11】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、低偏光モード分散光ファイバを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単一モード光ファイバを通じて伝送される光信号は、均一な直径の完全に円筒状のコアを有するファイバの場合、共通の速度にて伝搬する2つの直交偏光モード(典型的に、ТE及びTMと指称される)を備えている。しかし、実際の光ファイバにおいて、形状の欠陥又は不均一な応力のため、コアの円筒状の対称性が損なわれることがある。その結果、2つのモード間にて位相差が蓄積し、また、ファイバは、「複屈折」を示すといわれている。特に、形状及び応力の非対称性によって誘発された複屈折は、「固有の直線複屈折」として知られる。
【0003】
複屈折を生じる光ファイバの構造上及び幾何学的不規則性は、典型的に、プリフォーム自体から生じ、ファイバを引き抜く過程の間に変化する。この過程は、通常、ガラスプリフォームから開始して、「引き抜きタワー」として知られた装置によって行われる。実際には、プリフォームが垂直位置に配置され且つ、適宜な加熱炉内にて軟化点以上の温度まで加熱された後、光ファイバ自体を形成する糸状要素を製造し得るような仕方にて制御された速度にて溶融材料は下方に引き抜かれる。この過程において、ファイバには、典型的に非対称の応力が加わる。
【0004】
複屈折ファイバにおいて、最初に互いに同一位相にある基本モードの2つの構成要素は、一般に、「ビート長さ」として知られる、特定の長さの後でのみ、再度、同一位相となる。換言すれば、ビート長さは、特定の偏光状態が繰り返す時間である(ファイバがこの長さに亙って一定の複屈折を維持するものと仮定して)。
【0005】
いわゆる「偏光保存ファイバ」において、複屈折を生じさせるため非対称性がファイバ内に故意に導入される。しかし、通常の(すなわち、偏光非保存型)ファイバにおいて、複屈折は有害である。実際上、パルス信号が光ファイバ内に伝送されたとき、パルスにより励起された2つの偏光成分は、異なる群速度にて移動する(すなわち、分散される)から、複屈折は、パルス拡がりの潜在的な原因である。偏光モード分散(PMD)として知られたこの現象は、周期的に増幅される光導波システム内におけるその重要性のため、近年、広く研究されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
典型的に、PMD現象の結果、信号の伝送幅が制限され、そのため、上記信号が伝送される光ファイバの性能が劣化することになる。このため、この現象は、特に、あらゆる形態の信号の減衰又は分散を最小にし、伝送及び受信時の高性能を保証する必要がある、長距離に亙って作用する光ファイバに沿って信号を伝送するシステムにて望ましくない。
【0007】
英国特許出願第GB2101762A号は、引き抜き後のファイバの撚り(twisting)がPMDに与える影響を検討し、この撚りは固有の直線複屈折に起因するPMDを減少させるが、捩れ応力を生じさせ、この捩れ応力は、光弾性効果のため実質的に円形の複屈折を生じさせると考えている。このように引き抜いたファイバに撚りを加えることは、ファイバを別のファイバと交換する間、1つの効果のため、帯域幅の制限を軽減することになる。このため、当該特許出願は、引き抜く間、プリフォームを紡糸し、ファイバ材料を実質的に、非応力状態に保ちつつ、撚りを加えることができるようにすることを提案している。紡糸は、比較的高速度にて行われ、このため、その空間反復周波数すなわち紡糸ピッチは、固有の複屈折のため、ビート長さに比べて小さく、その結果、形態及び応力の非対称性に起因する複屈折への寄与効果が著しく減少した光ファイバが形成される。かかるファイバは、撚ったファイバと区別するため「紡糸」ファイバと称される。プリフォームは、実質的に一定の速度にて紡糸されることが便宜であるが、プリフォームは、右方向から左方向撚り方向に揺動させて方向を逆にすることさえも可能である。
【0008】
紡糸のため、ファイバは、その偏光軸線が回転する。その結果、光パルスが光ファイバ内に伝送されたとき、これらの光パルスは、低速及び高速複屈折軸線上にて交互に伝搬し、これにより相対的遅延を補償し且つ、パルスの拡がりを減少させる。このことは、パルスに対する局所的有効屈折率を、ファイバに沿ったパルス長さに亙って得られた平均値である、2つの軸線上における平均屈折率に等しくすることと等価的である。
【0009】
紡糸が複屈折に与える影響を解析するため理論的研究が行われている。例えば、1982年3月4日のエレクトロニクスレターズ(Elecronics Letters)Vol.18、No.5におけるA.J.バーロラ(Barlow)らによる「紡糸した単一モードファイバの異方性(Anisotropy in spun single−mode fibers)」という論文には、紡糸したファイバのPMDを減少させるための主要な方法はファイバに沿った非対称軸線を迅速に加工することにより局部的なファイバの異方性を平均化することであることが示されている。1999年9月26−30日のフランス、ニースにおけるECOC’99でのM.J.リー(Li)による「紡糸及び非紡糸ファイバのPMDに対する側方荷重及び外部撚りの効果(Effects of lateral load and external twist on PMD of spun and unspun fibers)」という論文により更なる理論的解明が為されており、これは、紡糸及び非紡糸ファイバのPMDに対する側方向荷重及び外部撚りの効果を分析するため、新規なモデル(結合モード理論に基づく)を提案している。
【0010】
理論的検討を別にして、引き抜く間に紡糸する効果の有利な効果を活用する、光ファイバのPMDを減少させるべく幾つかの技術が開発されている。
英国特許第GB2101762A号と同様に、米国特許第5,581,647号には、ファイバは、プリフォームがその軸線の周りにて回転する間、引き抜かれる、分散補償光ファイバを製造する方法が記述され、特定の過程条件が記載されている。ファイバは、50ないし1,000m/分の範囲の速度及び2.4ないし13kg/mm2の範囲の張力にて引き抜き、プリフォームは、10ないし1,000rpmの範囲の速度にて回転させる。
【0011】
国際特許出願第WO97/26221号には、紡糸により製造されたPMDの減少は紡糸速度に比例すること、典型的なファイバの非対称性を取り扱うため、一般に、極めて高速度の紡糸速度、例えば、5,000rpm以上の紡糸速度が必要とされること、及びプリフォームをかかる速度にて紡糸することは、商業的なファイバの製造のための実際的な解決策ではないことが記述されている。
【0012】
キラル構造を有する光ファイバを製造する技術に関する米国特許第4,504,300号は、プリフォームの回転に関係した短所を対象としており、プリフォームに代えてファイバを回転させることから成る新規な紡糸技術を提案している。特に、ファイバを引き抜く間、ファイバに撚りを加える、プリフォームの丁度、下方に配置された手段を備える装置が開示されている。撚りを加える手段は、3つのプーリーを支持する回転フープを備えている。撚りを加えたファイバは、被覆手段により被覆され、その後、撚り(twist)の凍結を促進する急速冷却手段により冷却される。
【0013】
国際出願第WO97/26221号に説明されたように、この技術に関連した短所は、ファイバが適宜な被覆膜により適正に保護される前に、ファイバが上述したプーリーと接触するため、ファイバ表面が損傷される虞れが大きいことに関連する。
【0014】
この短所を解決するため、米国特許第5,298,047号及び米国特許第5,418,881号は、被覆ステーションの下流にファイバにトルクを与え得るようにされた装置を配置することを提案している。特に、記載された技術において、トルクは、ファイバの引き抜き軸線に対し垂直に伸びる回転軸線を有するファイバ案内ロールを時計回り方向に及び反時計回り方向に交互に傾斜させることにより、加えられる。
【0015】
米国特許出願第2001/0020374号は、傾斜ロールを使用することは、ファイバのPMDを減少させるという目的を実質的に実現するものの、一連の問題点(例えば、ファイバとロールとの間の相対的滑りを回避するため傾斜周期を制限する必要性)を示し、また、ファイバに対し交互の(すなわち両方向)紡糸を行うためにのみ適していることを明らかにしている。しかし、傾斜ロール技術の短所を解決し且つ、単一方向紡糸及び交互の紡糸の双方を許容する新たな装置が提案されているが、この交互の紡糸は、収集スプールに巻かれたファイバに残留捩れ(residual torsion)が存在するのを防止し、これにより、ファイバの巻き戻し及び巻き取り工程の双方をより容易にするから、交互の紡糸は、依然、好ましいと考えられている。
【0016】
また、望まない弾性的撚り(elastic twist)が存在する可能性は、ファイバに対し間欠的なトルクを加えることに関して米国特許第5,298,047号にも記載されている。例えば、適宜な再スプール巻きにより弾性的撚りを除去することが全体として望ましいと記述することに加えて、該特許の出願人は、弾性的撚りの導入を実質的に防止し得るようファイバに対し時計回り方向及び反時計回り方向トルクを交互に加えることが好ましいと考えている。
【0017】
当該出願人は、交互に紡糸することはそれ以前、明らかとはされなかった幾つかの短所を有することを確認している。交互に紡糸することは、例えば、連続的な加速及び減速のため、紡糸装置(spinning device)の機械的効率を相対的に低下させる可能性がある。更に、一方向紡糸に関して、交互に紡糸するためには、方向を変更するため及び従って十分な平均的紡糸速度を保証するため、回転速度が遅くなる箇所である、プロフィール位置を補償すべくピークプロフィールの大きさが相対的に高いことを必要とする。更に、紡糸速度が零である箇所は、PMDにとって有害であり、それは、パルスを生ずる有効複屈折が増大し、このため、PMDに対する寄与効果が増大するからである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このため、当該出願人は、再度、一方向紡糸を使用することを検討し、また、これに関係した問題点を解決しようと試みた。当該出願人は、効率的にPMDの減少を実現するためには、一方向紡糸法を使用する技術は紡糸効果及び同様に弾性的撚りによって生ずる円形複屈折の効果を考慮に入れなければならないことを確認した。
【0019】
当該出願人は、引き抜く間、ファイバを一方向に紡糸し、次に、弾性的捩れを制御し、特に、最終ファイバにおける残留捩れ量を制御し得るように紡糸に起因する弾性的捩れ方向と反対方向にファイバの撚り解除(de−twisting)することにより、PMDを極めて小さい値に減少させることが可能であることが分かった。更に、例えばケーブル化のような、ファイバに対するその後の取り扱い工程は、一層容易となる。
【0020】
本発明の目的上、「一方向紡糸」とは、例えば、紡糸装置又は牽引装置におけるファイバの滑りのため可能性のある局部的反転と別個に、同一方向に生じる紡糸を意味することを意図する。更に、「実質的に一定の紡糸速度」とは、その平均値に対して±1回転/mの最大変化率を示す紡糸速度を意味する。紡糸速度が平均化する典型的な長さは、引き抜き過程にて使用される引き抜きタワー又はその他の装置に依存して、10m又はそれ以上である。
【0021】
一方向紡糸は、モジュールにて実質的に一定とすることができるが、本発明の方法は、同様に、一方向紡糸がモジュールにて可変である場合でも適用可能である。可変の一方向紡糸関数は、一定の紡糸関数を例えば、正弦波状又は不等辺四辺形紡糸関数のような交互の紡糸関数に重ね合わせることで得ることができる。この場合、平均的な弾性撚りを除去し、又はその所定の零でない値を得るため、撚り解除が行なわれる。
【0022】
引き抜く間、又はその後の巻き戻し(又は再スプール巻き)工程の間、ファイバに撚りを加えることができる。当該出願人は、提案された技術によれば、紡糸に起因する弾性的捩れを補償するため必要とされる値を上廻る撚り、特に、ファイバが0回転/m以上で且つ約1.5回転/m以下、好ましくは約1回転/m以下の残留捩れ(又は撚り)を示す撚りを加えることにより、PMDの最低値を得ることが可能であることが更に分かった。
【0023】
上記及び以下の説明において、「紡糸」及び「撚り」という語は、ファイバの2つの異なる型式の捩れを識別する。「紡糸」は、引き抜く間、凍結され、ファイバの粘性部分に加えられ且つ、冷却する間、ファイバの構造的変更として維持される捩れを識別する。これに反して、「撚り」は、その両端が回転しないよう規制されたファイバの一部分にトルクが加えられたときに存在する、ファイバの弾性的捩れを識別する。換言すれば、紡糸及び撚りの双方は、ファイバの形状を変化させるが、それ以前に同一の直線上にあった部品はら旋状の曲線に配置され、紡糸したファイバが固有の且つ恒久的変形として、この変化状態を保つ間、その両端が回転規制から解放されたとき、撚りを加えたファイバは、回転してその当初の形状に戻る。
【0024】
以下の説明において、2つの撚りの寄与効果が識別される。第一の寄与効果は、紡糸箇所の下流にファイバの回転規制部が存在することに起因し、ファイバに円形の複屈折を生じさせる傾向となる、紡糸中に生じた望まない撚りである。第二の寄与効果は、第一の撚り寄与効果による有害な効果を除去するためファイバに明白に加えられる撚りであり、従って、これは、「撚り解除」とも称される。明白に加えられた撚りは、紡糸に起因する望まない撚り方向と反対の方向を有している。以下の説明において、加えられた撚り方向に関して説明した、「紡糸方向と反対方向」とは、紡糸に起因する撚り方向と反対方向を意味することを意図するものである。
【0025】
「残留撚り(reidual twist)」とは、上述した撚り寄与効果を考慮に入れて、引き抜き又は再スプール巻きの何れかである検討した過程の終了時にファイバに存在する撚りを意味することを意図する。例えば、引き抜き過程の終了時における残留撚りは、撚り解除が後続の段階にて行われるならば、望まない紡糸効果(第一の寄与効果)に起因するもの、又は、撚り解除が引き抜く間に行われるならば、紡糸及び明白に加えられた撚りの望まない効果の双方に起因するものである。残留撚りは、紡糸により生じた撚り方向と反対方向を有するとき、「正」であるとみなされよう。
【0026】
当該出願人は、また、一方向に紡糸したファイバは、閲覧可能な文献により共通に予想されるように、マックスウェル統計に従わない、群遅延差(DGD)の統計学的分布を有することも分かった。これに代えて、DGDの統計学的分布は、マックスウェル分布の典型である2.37値よりも遥かに大きい標準偏差比に優る予想値を有するガウス様分布状態を備えることができる。このことは、DGD値は、その予想値の周りでの分散程度が小さく、このため、偏光モード分散値の確率論的な不正確さを軽減することを意味する。当該出願人は、上記の振舞いはファイバの長さの少なくとも特定の範囲にて有効であることを確認した。
【0027】
このように、第一の側面において、本発明は、ガラスプリフォームを引き抜いて光ファイバにするステップと、引き抜く間、光ファイバをその軸線の周りにて一方向に紡糸するステップと、光ファイバに弾性的捩れを生じさせるステップと、光ファイバをリールに巻くステップと、上記弾性的捩れを制御するため、上記弾性的捩れ方向と反対の方向に向けて紡いだ光ファイバにその軸線の周りにて撚りを加える更なるステップとを備える、低PMD光ファイバを製造する方向に関するものである。
【0028】
好ましくは、紡糸した光ファイバに撚りを加えるステップは、上記弾性的捩れよりもモジュールにて大きい撚りを光ファイバに加え、残留捩れを有する光ファイバを製造するステップを備えるものとする。
【0029】
好ましくは、紡糸した光ファイバに撚りを加えるステップは、実質的に一定の速度にて行われるものとする。
残留捩れは、モジュールにて0ないし1.5回転/m範囲、より好ましくは、0.3ないし1回転/mの範囲から成ることが好ましい。
【0030】
光ファイバの紡糸は、約1ないし8回転/mの範囲の速度にて行われることが好ましい。
光ファイバの紡糸は、実質的に一定の速度又は可変速度にて行うことができる。この第二の場合、光ファイバの紡糸は、一定の関数及び周期的関数を重ね合わせることにより得られた紡糸関数に従って行うことができる。
【0031】
光ファイバに撚りを加えるステップは、光ファイバをリールに巻く間に行うことができる。これと代替的に、この過程は、光ファイバを上記リールから巻き戻すステップと、光ファイバを更なるリールに再度巻くステップとを更に備えることができ、また、光ファイバに撚りを加えるステップは、光ファイバを巻き戻し又は光ファイバを再度巻く間に行うことができる。
【0032】
その第二の側面において、本発明は、低PMD光ファイバを製造する装置であって、
光プリフォームの下側部分を溶融させる加熱炉と、
光ファイバを光プリフォームの下側部分から引き出す牽引装置と、
光ファイバが引き出されるとき、光ファイバが弾性的捩れを受けるような仕方にて光ファイバに対しその軸線の周りにて一方向紡糸を施す紡糸装置と、
光ファイバをリールに巻く巻き取り装置と、
更に、上記弾性的捩れと反対方向に向けて紡糸した光ファイバに対しその軸線の周りにて撚りを加える撚糸装置(twisting device)とを備える、装置に関する。
【0033】
撚糸装置は巻き取り装置と関係付けることができる。
これと代替的に、該装置は、光ファイバをリールから巻き戻す巻き戻し装置を更に備えることができ、撚糸装置を巻き戻し装置と関係付けてもよい。
【0034】
該装置は、光ファイバが引き出されるとき、光ファイバに対し少なくとも1つの保護被覆を施す少なくとも1つの被覆装置を備えることが好ましく、該少なくとも1つの被覆装置と牽引装置との間に紡糸装置が配置されることが好ましい。
【0035】
その更なる側面において、本発明は、一方向の固有紡糸と、実質的に零又は上記紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上である弾性的撚りとを有する少なくとも1つの光ファイバを備えている。固有紡糸は、実質的に一定又は可変であるものとすることができる。
【0036】
弾性的撚りは、モジュールにて0乃至約1.5回転/mの範囲にあることが好ましい。より好ましくは、弾性的撚りは、約0.3乃至1回転/mの範囲にあるものとする。
固有紡糸は、モジュールにて約1ないし8回転/mの範囲にあることが好ましい。
【0037】
その更なる側面において、本発明は、一方向の固有紡糸と、実質的に零又は上記紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上である弾性的撚りとを有する光ファイバに関する。固有紡糸は、実質的に一定又は可変であるものとすることができる。
【0038】
ファイバの弾性的撚りは、モジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲、より好ましくは、約0.3ないし1回転/mの範囲にあることが好ましく、固有紡糸は、モジュールにて約1ないし8回転/mの範囲にあることが好ましい。
【0039】
非限定的な適用例を示す添付図面に関して本発明を以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1を参照すると、引き抜きタワー1は、垂直引き抜き軸線2内にて実質的に整合された(このため「タワー」と呼ばれる)複数の装置を備えている。引き抜き過程の主ステップを行うため、垂直方向を選ぶことは、ガラスプレフォーム3から溶融材料を得て、該溶融材料から光ファイバ4を引き抜くことができるように重力を利用する必要性から生じる。
【0041】
詳細には、タワー1は、プリフォーム3の下側部分(プリフォームのネックダウンとしても既知)を制御された状態に溶融させるステップを行う加熱炉6と、プリフォーム3を支持し且つ該プリフォームを上方から加熱炉6内に供給する供給装置7と、ファイバ4をプリフォーム3から引き出す牽引装置8(タワーの下端に設けられた)と、ファイバ4をリール10に保存する巻き取り装置9とを備えている。
【0042】
加熱炉6は、プリフォームを制御した状態で溶融させる設計とされた任意の型式のものとすることができる。タワー1内にて使用することができる加熱炉の例は、米国特許第4,969,941号および米国特許第5,114,338号に記載されている。
【0043】
好ましくは、例えば、冷却気体の流れが通り抜ける設計とされた冷却キャビティを有する型式とした冷却装置12が加熱炉から去るファイバ4を冷却するように加熱炉6の下方に配置されている。冷却装置12は、軸線2に対し同軸状に配置され、加熱炉6から去るファイバ4は該冷却装置を通り抜けることができる。
【0044】
タワー1には、張力監視装置13(例えば、米国特許第5,316,562号に記載された型式のもの)と、ファイバ4の張力及び直径をそれぞれ測定し得るように加熱炉6と冷却装置12との間に配置されることが好ましい既知の型式の直径センサ14とを設けることもできる。
【0045】
好ましくは、タワー4は、垂直の引き抜き方向に向けて冷却装置12の下方に配置され且つ、ファイバが通過するとき、第一の保護被覆及び第二の保護被覆をそれぞれファイバ4に堆積させる設計とされた既知の型式の第一及び第二の被覆装置15、16を更に備えるものとする。被覆装置15、16の各々は、特に、ファイバ4に対し所定の量の樹脂を施す設計とされたそれぞれのアプリケーション装置15a、16aと、例えば、樹脂を硬化させ、これにより安定的な被覆を提供する、紫外線ランプ加熱炉のようなそれぞれの硬化装置15b、16bとを備えている。
【0046】
牽引装置8は、単一プーリー又は2重プーリー型とすることができる。図示した実施の形態において、牽引装置8は、既に被覆されたファイバ4を垂直の引き抜き方向に抜けて引き抜く設計とされた単一モータ駆動プーリー(すなわち「キャプスタン」)18を備えている。牽引装置8には、プーリーが作動する間、プーリー18の角速度を示す信号を発生させる設計とされた角速度センサ19を設けることができる。プーリー18の回転速度、従ってファイバ4の引き抜き速度は、例えば、検出器14により検出された直径の変化に応答する等により、過程の間、変更することができる。
【0047】
タワー4は、被覆装置15、16と牽引装置8との間に配置され、引き抜く間、ファイバ4に対しその軸線の周りにて紡糸を施す紡糸装置20を更に備えている。本発明の目的上、「紡糸」という語は、光ファイバの角回転速度dθ/dt(ここでθは、固定の基準点に対して測定した光ファイバの回転角度)と引き抜き速度との間の比(一定の増倍率は無視)を表わす。このようにして規定された紡糸は、典型的に、回転/mにて測定される。
【0048】
図2に示した1つの可能な実施の形態において、紡糸装置20は、固定の支持フレーム21と、フレーム21により保持された直流モータ22と、フレーム21により保持され且つ、ベルト伝動装置24を介してモータ22に結合された回転部材23とを備えている。該ベルト伝動装置は、モータ22に強固に結合された第一の駆動プーリー24aと、回転部材23に強固に結合された第二の駆動プーリー24bと、第一の駆動プーリー24aを第二の駆動プーリー24bに接続するベルト24cとを備えている。
【0049】
回転部材23は、軸線2に相応する、すなわち装置20に入り且つ装置20から去るとき、ファイバ4の動作軸線に相応する回転軸線を有している。回転部材23は、それぞれの軸受26により支持フレーム21に回転可能に結合され且つ、ファイバが通り抜けるのを許容する第一及び第二のスリーブ状端部分23a、23b(それぞれ上側及び下側)を備えている。第二の端部分23bは、第二の駆動プーリー24bと結合されている。
【0050】
回転部材23は、第一の端部分23aから第二の端部分23bまで伸びる2つのアーム27a、27bを備えている。アーム27a、27bは、実質的にC字形の形状であり、軸線2に対して平行な直線状の主中央領域を有し、また、軸線2に対し互いに対称に配置されている。2つのアームの一方(図面にて参照番号27bで示したもの)は、軸線2に対し平行な方向に向けて実質的に整合された第一、第二及び第三のアイドル状に取り付けた回転プーリー28a、28b、28c(図面にて上側から下側へ)を保持している。3つのプーリー28a、28b、28cは、軸線2に対し垂直な相応する軸線を有し且つ、相応する案内溝が軸線2に対し実質的に正接するような寸法とされている。
【0051】
図1を再度参照すると、タワー4は、牽引装置8の下流にてファイバ4の張力を調節する、一般に「ダンサー」として知られた張力制御装置30を備えることもできる。張力制御装置30は、プーリー18と巻き取り装置9との間にてファイバ4の張力の全ての変化を均衡させる設計とされている。張力制御装置30は、例えば、アイドル状態に且つ、一定の位置に取り付けられた第一及び第二のプーリー30a、30bと、それ自体の重量の作用及びファイバ4の張力に基づいて垂直方向に自由に動く第三のプーリー30cとを備えることもできる。実際上、プーリー30cは、ファイバ4の張力が望ましくない程に増大した場合、上昇し、また、ファイバ4の張力が望ましくない程に減少した場合、下降し、該張力を実質的に一定に保つ。プーリー30cには、プーリー30cの垂直方向位置を示し、従ってファイバ4の張力を示す信号を発生させる設計とされた垂直方向位置センサ(図示せず)を設けることができる。
【0052】
ファイバ4を張力制御装置30から巻き取り装置9まで案内するため、1つ又はより多くのプーリー31(又はその他の型式の案内部材)が設けられることが好ましい。
巻き取り装置9は、図示した実施の形態において、ファイバ4をリール10まで案内し得るように支持部材37により保持された第一、第二、第三及び第四の案内プーリー36a、36b、36c、36dを備えている。巻き取り装置9は、リール10を参照番号34で示した、その軸線の周りにて回転させるモータ作動装置33を更に備えている。モータ作動装置33は、リール10を軸線34に沿って往復運動させ、引き抜く間、ファイバ4をリールにら旋状に巻き取ることも許容する。これと代替的に、リール10は、軸方向に固定し、支持部材37は(プーリー36a、36b、36c、36dと共に)、リールの軸線34に対し平行な軸線に沿って往復運動し得る設計とされたモータ作動スライド(図示せず)に取り付けられるようにしてもよい。
【0053】
本発明に従って、ファイバの撚り解除するため、すなわち、紡糸したとき、ファイバ4内に蓄えられた弾性的張力を除去するため、撚糸装置40が有益に使用される。撚糸装置40は、特に、その巻き取りの間、ファイバ4の撚り解除するため引き抜く段階にて使用し、又は、例えば、以下に説明するように、輸送に適したボビンに再スプール巻きするためファイバ4を巻き戻す間のような、その後の段階にて使用することができる。
【0054】
撚糸装置40は、引き抜きタワー1の巻き取り装置9と一体化することが有益である。特に、支持部材37及びプーリー36a、36b、36c、36dは、撚糸装置40の一部を形成することができる。撚糸装置40の1つの可能な実施の形態を示す、図3を参照すると、支持部材37は、二股フォークの形状とされた回転部材であり、また、中空のスピンドル41と、該中空のスピンドル41の一端41aから伸びる2つのアーム45、46とを備えている。スピンドル41は、固定のフレーム43により軸線34に対し同軸状に保持され且つ、軸受44を介してフレームに回転可能に取り付けられている。スピンドル41は、ベルト伝動装置(図示せず)を介して直流モータ(図示せず)により駆動される。使用時、スピンドル41は、ファイバ4が軸線34に沿って通り抜けする設計とされている。
【0055】
第一のアーム45、第二のアーム46は、軸線34に対し互いに対称であり、また、これらのアームは、スピンドル41に強固に接続され且つ、互いに対向して軸線34から伸びるそれぞれの第一の部分45a、46aと、軸線34に対し平行なそれぞれの第二の部分45b、46bとを有している。第一の部分45a、46aは、リール10の半径よりも大きい半径方向伸長部を有し、第二の部分45b、46bは、リール10の長さに実質的に相応する長さを有している。該リール10は、アーム45、46の第二の部分45b、46b間に配置されている。
【0056】
第一のプーリー36aは、リール10に面するスピンドル41の端部に配置され且つ、ファイバ4を第一のアーム45に対して偏倚させる設計とされている。第二、第三及び第四のプーリー36b、36c、36dは、第一のアーム45の第二の部分45bに沿って配置され且つ、ファイバがリール10に供給される前に、ファイバ4に対する波状経路を画成する。第三のプーリー36c(第二のプーリー36bと第四のプーリー36dとの間の中間にある)の機能は、ファイバがプーリー36b、36dから滑るのを防止することであり、このため、省略してもよい。第二のアーム46は、均衡化機能のみを有しており、このため、第一のアーム45の重量を同一に分布させるべくプーリー36b、36c、36dと同一の3つのプーリーを担持することができる。
【0057】
第一、第二及び第三のプーリー36a、36b、36cは、互いに平行で且つ、軸線34に対し垂直なそれぞれの軸線を有することが好ましい一方、第四のプーリー36dは、リール10が半充填されたとき、第一のボビンに対し正接する平面上に位置するような角度にて軸線34に対し平行な軸線の周りにて傾動することが好ましい。
【0058】
撚糸装置40は、第四のプーリー36dとリール10との間に配置されて、リール10(例えば、図3は、リール10の2つの異なる位置を示す)又は支持部材37の交互の軸方向動作に対する制御信号を提供するファイバの位置センサ48(例えば、モデルキーエンス(Keyence)FS−V11P FU−35FA)を備えることが好ましい。実際には、上述したように、リール10と支持部材37との間に相対的な交互の動作を提供してファイバ4をら旋状に巻き取り得るようにしなければならない。
【0059】
引き抜きタワー1は、外部から制御されるタワー1の全ての装置及びタワー1に沿って存在するセンサ及び検出器の全てに対し電気的に接続された制御装置(図示せず)を更に備えることができる。
【0060】
引き抜きタワー1は、次のように作動する。
支持装置7は、プリフォーム3を加熱炉に供給し、該加熱炉にてその下側部分(ネックダウン)は溶融する。ネックダウンから引き抜かれたファイバ4は、牽引装置8から下方に引き出され且つ、巻き取り装置9によりリール10に巻き取られる。キャプスタン18とリール10との間にて、張力制御装置30がファイバ4の張力を調節する。
【0061】
ファイバ4が引き抜かれるとき、センサ13、14は、その張力及び直径を監視する。かかる監視は、例えば、牽引速度にて作動することにより引き抜き過程を制御するため使用することができる。加熱炉6から出るとき、ファイバ4は、冷却装置12により冷却され且つ、被覆装置15、16により2つの保護層にて被覆される。
【0062】
次に、被覆したファイバ4は、紡糸装置20により単一方向に且つ実質的に一定の紡糸作用を受ける。このことは、回転部材23を軸線2の周りにて一定の速度で回転させることにより実現される。回転部材の各回転は、ファイバ4のその軸線の周りでの1回転に相応する。
【0063】
紡糸速度は、次のように選ばれる、すなわち、最短の典型的なビート長さに少なくとも等しいファイバ4の長さにてファイバ4の不完全性及び不規則性の効果が実質的に均一とされるような仕方にて選ばれる。その結果、信号がファイバ内に伝送されたとき、基本伝搬モード間にてパワーが交換され、従ってPMDは減少する。このように、非対称の応力状態及びファイバ4内に本来的に存在する形状の不規則性に起因するマイナスの効果を実質的に軽減することが可能である。
【0064】
当該出願人は、紡糸速度が速ければ速い程、PMDの点にてファイバの性質は一層優れたものとなることを知った。しかし、紡糸速度が速ければ速い程、除去すべき弾性的捩れは益々、増大する。当該出願人は、1ないし8回転/mの範囲の紡糸速度は、PMDを許容可能な値にて減少させると同時に、本明細書にて説明した技術により効果的に除去することのできる弾性的捩れ量を実現することを確認した。
【0065】
紡糸したとき、ファイバ4は、相応するトルクを上流に及び下流に伝達する。上流にて、トルクは、プリフォームのネックダウンに伝達され、この箇所にて、溶融したガラスの塑性変形はトルクを「吸収し」、そのトルクをファイバ4の複屈折軸線の固有の方向に「変換する」。この固有の捩れは、ファイバが冷却するとき、ファイバ4内に凍結される。下流にて、何らの対策が無いならば、トルクはリール10まで伝達され、この箇所にて、ファイバ4は、巻き取られたならば、残留弾性的撚りを維持することになろう。この弾性的撚りは、制御されなかったならば、ファイバ4内に望ましくない円形の複屈折を生じさせることになろう。
【0066】
巻き取ったファイバ4の残留撚り(reidual twist)を制御するため、ファイバ4は、撚糸装置40により撚り解除される。実際には、回転する支持部材37は、紡糸方向と反対の方向に向けて(より正確には、上述したように、紡糸により発生された弾性的撚り方向と反対の方向)に軸線34の周りにて回転するようにされる。軸線34の周りにての支持部材37の各回転は、ファイバ4のその軸線の周りの1回転に相応する。次に、紡糸装置20の下流にてファイバ4に沿って伝達されたトルクは、ファイバがリール10に巻かれる前に、撚糸装置40によって少なくとも軽減される。
【0067】
より詳細には、ファイバ4は、スピンドル41を通った後、第一のアーム45に向けて第一のプーリー36aにより偏倚され、また、第二及び第三のプーリー36b、36cにより要求された張力にて第二の部分45bに沿って運ばれ、最後に、軸線34に対し実質的に垂直な方向に第四のプーリー36dによりリール10に供給される。軸線34の周りにて回転する間、リール10は、軸線34に沿って往復運動もし、ファイバ4をら旋状に巻き取ることを許容する。
【0068】
センサ48の信号は、リール10の交互の動作速度を制御し、ファイバ4が常にセンサ48の所定の位置にて通り抜けするするために使用される。
当該出願人は、紡糸後、紡糸により発生された弾性的撚りを除去するのみならず、正の残留撚り、すなわち反対方向への撚りを導入する撚りをファイバに加えることにより、ファイバ4のPMDを最小値まで減少させることができることが分かった。当該出願人は、0ないし1.5回転/m、好ましくは、0.3ないし1回転/mの範囲の正の残留撚りは広範囲の紡糸速度にて紡糸されたファイバのPMDを少なくとも8回転/mまで減少させることを許容することを確認した。
【0069】
上述したように、ファイバの撚り解除は、引き抜き後の段階にて行うことができ、また、リール10からのファイバ4の巻き戻し工程に関係付けることができる。例えば、撚り解除は、顧客に輸送すべくファイバ4を輸送スプールに再スプール巻きする間、又は選別工程中に行うことができる。選別は、その強度を検査するため光ファイバに対して行われる試験工程であり、通常、プーリーにより画成された所定の経路内にてファイバが移動する間、ファイバ4に対し所定の長手方向張力を加えるステップを備えている。
【0070】
図4に示すように、撚糸装置40は、例えば、反対方向に動くファイバ4に対して使用し、ファイバが巻き戻される間に、ファイバの撚り解除を行うことができる。特に、図4には、ファイバ4をリール10から巻き戻すための巻き戻し装置9´と、ファイバ4を異なるリール74に再度巻くための案内プーリー73を有する更なる巻き取り装置71とを備える再スプール巻き組立体70が示されている。巻き戻し装置9´は、巻き取り装置9と実質的に相応するが、反対方向に作動してファイバ4を巻き戻す。この場合、撚糸装置40は、巻き戻し装置9´内に一体化されてファイバ4が巻き戻されるとき、ファイバ4の撚り解除をする。再スプール巻き組立体70は、例えば、米国特許第5,076,104号にて記載された型式の選別装置72を備えることもできる。
【0071】
図5には、参照番号50で示した撚糸装置の異なる実施の形態が示されている。撚糸装置50は、軸線34に沿ってリール10を支持する固定のフレーム51と、ファイバがリール10に巻かれ又はリール10から巻き戻されるとき、ファイバ4に撚りを加える回転部材52とを備えている。
【0072】
回転部材52は、軸線34に対し同軸状にフレーム51により支持された第一及び第二のスピンドル53、54と、ファイバ4を通り抜け得るように2つのスピンドル53、54をリール10の上方にて接続する可撓性のアーチ部材55とを備えている。
【0073】
固定のフレーム51は、軸線34に沿って実質的に整合された2つの外側支持部材56、57と、2つの内側支持部材58、59とを備えている。外側支持部材56、57は、円筒状であり、部材57は、軸線34に沿ったファイバ4に対する内側通路を有している。リール10は、内側支持部材58、59の間に配置され且つ、これら支持部材により支持されている。リール10は、ベルト伝動装置60を介してモータ(図示せず)に接続されている。
【0074】
スピンドル53、54は、リール10に対し互いに対向しており、また、それぞれのベルト伝動装置62(その1つのみを図示)を介して同一のモータ(リール10のモータと異なり、図示せず)に接続されており、このため、これらは等速度にて回転することができる。スピンドル53、54の各々は、相応する外側支持部材56、57と相応する内側支持部材58、59との間に配置されている。第一のスピンドル53は、軸線34に対し正接するプーリー67にて保持しており、該プーリーは、ファイバ4がアーチ部材55と、軸線34に対し正接する更なるプーリー69の間にて通るのを許容する。第二のスピンドル54は、ファイバ4が外側支持部材57とアーチ部材55との間にて通るのを許容する、軸線34に対し正接する更なるプーリー68を更に内部に保持する。ファイバをリール10に又はリール10から案内する1つ又はより多くのプーリーが設けられる。
【0075】
可撓性のアーチ部材55は、カルボニウムにて出来ており且つ、ファイバ4がスピンドル53、54の間を通るためリール10の上方に橋部を形成することが好ましい。アーチ部材55には、セラミックで出来ていることが好ましい等距離の案内Uボルト61を設けることができ、該Uボルトは、ファイバ4をアーチ部材55に沿って案内するのに適している。これと代替的に、アーチ部材55には、案内管(図示せず)を設けてもよく、このことは、工程が開始する前に取り付けを容易にし、ファイバ4をアーチ部材55の一端から他端まで吹き出すことを許容するという有利な効果を提供する。
【0076】
以下にファイバをリール10に巻き取るべく作動するときの装置50について説明する。装置40と同様に、装置50は、反対方向に作動して、例えば、図4の再スプール巻き組立体70にて、ファイバ4をリール10から巻き戻すことができる。
【0077】
ファイバ4は、部材57及び第二のスピンドル54の第一の部分を通じて受け取られ、この箇所にて、ファイバはプーリー68によりアーチ部材55に対し偏倚される。ファイバは、アーチ部材55の全体を亙って移動し且つ、第一のスピンドル53に入り、この箇所にてファイバは、軸線34に沿って内側支持部材58に向けてプーリー67により更に偏倚される。次に、ファイバは、プーリー69により更に偏倚され且つ、最終的にリール10に供給される。
【0078】
所望の程度の残留撚りを得るため、光ファイバ4に加えるべき撚り量は、次の技術に従って決定することができる。第一のステップにおいて、紡糸される試験ファイバの部分のみを引き抜く。この試験ファイバの部分は、例えば、撚糸装置40を所定の時間、不作動にし(すなわち、回転部材37を静止状態にして)、図1の引き抜きタワー1を作動させることで得ることができる。次に、リール10に巻き取った試験ファイバの部分に蓄積した残留撚りを次のようにして測定する。
【0079】
リール10は、所定の高さ、例えば地面から2mの位置に配置された支持体から吊り下げる。相応する長さのファイバを僅かな張力状態に保ちつつ、リール10から巻き戻す。巻き戻した部分の上端は、リール表面に固定する一方、自由端は、例えば、細いテープ片(重量は無視可能)にて標識し、また、回転自在のままにする。測定精度は、巻き戻したファイバの長さに依存する。ファイバ長さ2mの場合、回転数は、2mに亙って約1/4回転の精度にて測定し、約0.125回転/mの精度が得られるようにする。より高精度が必要とされるならば、より長いファイバを使用することができる。
【0080】
当該出願人は、被覆中のファイバ内にも残留撚りが蓄積するから、紡糸に起因する残留撚りの正確な測定のためには、ファイバ被覆が存在することを考慮する必要があることが分かった。従って、上述した仕方にて被覆したファイバの残留撚りを測定した後、被覆したファイバの自由端を遮断し、被覆を完全に除去する(従来のミラー(Miller)剥ぎ取り器を使用して)。次に、ファイバを再度回転自在にし、ファイバの更なる回転を上記と同一の精度にて測定する。
【0081】
この工程は、例えば2m毎に所定の長さの連続的なファイバ部分に亙って繰り返し、例えば、20mないし60mのような所定の測定全長に達するようにする。平均値を使用してファイバの捩れ値を特定する。
【0082】
紡糸に起因する残留捩れが測定された後、撚糸装置40を作動させ、所望の残留撚りが得られるよう適宜に設定して、ファイバの引き抜きを続行することができる。
このように、単一方向の固有紡糸と、モジュールにて零に等しく又は上記紡糸と反対方向で且つ、モジュールにて零以上の弾性的撚りとを有する光ファイバを得ることが可能である。
【0083】
単一方向の固有紡糸は、実質的に一定又は可変とすることができる。この第二の場合、実質的に一定の関数及び周期的関数を重ね合わせることにより紡糸関数が得られ、また、残留撚りの平均値を所望の値に変化させ得るように撚りが加えられることが好ましい。ファイバに付与された弾性的撚りは、モジュールにて0ないし約1.5回転/m、より好ましくは約0.3ないし1回転/mの範囲にあることが好ましい。
【0084】
本発明の製造方法により得ることのできる光ファイバは、通信システムにて使用し得るようケーブル化することができる。図6を参照すると、かかる用途用の光ケーブル80は、典型的に、複数の光ファイバ4を保持する光コア81を備えている。光コア81は、光ファイバ4が補強部材83の周りに配置された重合系部材内に埋め込まれる、「タイト」型式のもの(図示するような)とし、又はファイバが上記ケーブル内又は中央補強部材の周りにストランド巻きされた複数のバッファ管内の中央に配置された単一のバッファ管内にルーズに収納される、「ルーズ」型とすることができる。光コア81の周りにて、光ケーブル80には、補強要素84及び保護シース85、86が設けられる。
【0085】
「タイト」型式ケーブルにおいて、ファイバと重合系基材との間の接触は、ファイバに加えられた撚りが解放されるのを防止する。「ルーズ」型ケーブルにおいて、ファイバに加えられた撚りは、典型的なケーブル長さの場合、ゼリー状フィラーが存在することで多分向上するであろう、ファイバとバッファ管との間の摩擦のため、解放されることはない。
【0086】
実験例
第一の実験において、当該出願人は、非紡糸ファイバのPMDを7.3回転/mにて紡糸したファイバのPMDと比較した。ITU−T G.652仕様と一致する、長さ10kmの相応する2本のファイバを同一のプリフォーム(OVD堆積技術によって得られたもの)から引き抜いた。実験は、典型的な引き抜き速度にて行った。
【0087】
上述した技術にて紡糸したファイバの残留撚りを測定した後、ファイバは異なる残留撚りと関係した1kmの間隔にて切断した。実際上、第一の1kmの間隔を所定の撚り解除状態にて小さいボビンに巻き取り、次に、ファイバを切断し、第二の1kmの間隔を異なる撚り解除状態にて別の小さいボビンに巻き取り、その後も同様とした。次に、異なる間隔のPMDを測定した。
【0088】
図7aには、非紡糸ファイバのPMDと比較して異なる残留撚りを有する紡糸したファイバの6つの1kmの間隔のPMDが示してある。該図にはまた、ファイバに撚りを加えることによりPMDの点にて実現可能な改良点が示され、また、紡糸ファイバに対するPMDと残留撚りとの間の検出された相関関係が更に示されている。正の残留撚り、すなわちファイバを紡糸することにより形成された弾性的撚りを完全に除去するのみならず、同一方向に向けて更なる撚り寄与効果を追加することにより得られた残留撚りに対してPMDは最小値に達することを理解することができる。残留撚りが0.3ないし1回転/mの範囲の場合、約0.01psであるPMDの最小値に達する。
【0089】
周知のJME技術を使用してPMDを測定した。ファイバは、約30mの経路にて床に予め付設し、巻いたボビンに存在し且つ、PMD測定値に影響を与えるであろう応力及び撚りを防止した。波長走査は、1520ないし1630nmの範囲に設定した。報告したPMD値の全ては、遅延分布の平均値である。この技術の感度は約0.002psであることが確認された。
【0090】
第二の実験において、非紡糸ファイバと、ITU−T G.652仕様に一致し且つ、同一のプリフォームから引き抜いた、第一の実験のものと相違するが、OVD法にて製造された、3.6回転/mにて紡糸したファイバとを比較した。この場合にも、長さ10kmのファイバを引き抜き、紡糸したファイバは、異なる残留撚りを有する長さ1kmの間隔のものに切断した。
【0091】
図7bに示した、この実験の結果は、第一の実験のものを確認するが、2つの場合、非紡糸ファイバのPMDは、実質的に相違する(その理由は、当該出願人の考えでは、2つのプリフォームの光学的特徴が相違するためであろう)。更に、図7bに示すように、正の残留撚りはPMDの点にてファイバの性能を向上させるが、ファイバに与えられた1回転/mの正の一方向撚りは、ファイバのPMDを増大させることになる。この異なる振舞いは、ファイバに対し正の残留撚りを加えることにより実現された紡糸ファイバのPMDの減少は、非紡糸ファイバの典型的な振舞いに基づいて予見できなかったことを示す。
【0092】
第三の実験において、第一及び第二の実験のものと相違する、同一のプリフォーム(OVD技術により得られたもの)から得られた、3つの更なる紡糸ファイバの性能を比較した。この場合にも、各々長さ10kmであり(同一のプリフォームから引き抜いた)且つ、ITU−T G.652仕様と一致するファイバ間隔のものを引き抜き、次に、その紡糸ファイバは、異なる残留撚りと関係した長さ1kmの間隔のものに切断した。紡糸速度は、それぞれ4.20回転/m、3.03回転/m及び0.64回転/mとした。
【0093】
図7cには、この試験結果が示されている。紡糸速度が速ければ速い程、益々小さいPMDが実現可能であることが理解できる。検討した試験において、PMDの最小値は、4.20回転/分の紡糸速度のときに得られる。特に、残留撚りが0.16回転/mのとき、PMDは0.006であると測定された。しかし、高速の紡糸速度値は、典型的に、PMDが残留撚りに依存する程度が大きいときに関係している。特に、最小値付近におけるPMDの変化は、低速度にて紡糸したファイバよりも高速度にて紡糸したファイバにて一層、感得できる。このため、高速度の紡糸速度は、ファイバに与えられる撚り解除を極めて正確に制御することを必要とする。当該出願人は、残留撚りを厳密に制御することは実現困難であり、残留撚りを正確に制御することを許容し得るように紡糸速度は8回転/m以下の範囲にて選ぶことが好ましいことも知った。
【0094】
更なる回数の試験において、当該出願人は、実質的に一定の単一方向に紡糸したファイバの群遅延差(DGD)を非紡糸ファイバのDGD及び両方向に紡糸したファイバのDGDと比較した。当該出願人は、最終的に、交互の紡糸を実質的に一定の単一方向への紡糸と重ね合わせることにより得られた「ハイブリッド」紡糸関数を検討した(このため、単一方向成分の一定の大きさは、ハイブリッド関数の平均値を表わす)。
【0095】
図8aは、非紡糸ファイバの紡糸関数(すなわち、零に等しい関数)を示し、図8bは、1kmファイバにおけるDGD分布の測定値を示す。図8bには、非紡糸ファイバDGDの測定値の統計学的分布はマックスウエルの分布と良好に一致することを特徴とすることが示されている。未処理データは、マックスウエル分布の理論により予想された2.37に極めて近い比(予想値)/(標準偏差)?2.2を提供する。マックスウエル及びガウスの一致は、ほぼ同一のカイ2乗値を有する。
【0096】
図9aは、両方向に紡糸したファイバの紡糸関数を示し、図9bは、1kmファイバにおけるDGD分布の測定値を示す。図9bは、交互に紡糸したファイバはDGD測定値の統計学的分布がマックスウエルの分布と良好に一致することを特徴とすることを明らかにする。未処理データは、マックスウエル分布の理論により予想された2.37に極めて近い比(予想値)/(標準偏差)?2.4を提供する。マックスウエル及びガウスの一致は、ほぼ同一のカイ2乗値を有する。
【0097】
図10aには、一定の紡糸速度にて単一方向に紡糸したファイバの紡糸関数が示されており、このファイバは、その後、上記に検討した双方向のファイバに等しいPMD値を提供し得るように本発明に従って撚り解除した。図10bには、1kmファイバにおけるDGD分布の測定値が示されている。
【0098】
単一方向に紡糸した1kmのファイバ長さにて測定した群遅延差は、ガウス様の統計学的分布状態を有することが理解できる。ガウスの一致は、マックスウエルの一致により与えられるものよりも約50倍小さいカイ2乗値を提供する。未処理データ及びガウスの一致は、マックスウエルの分布の2.37の値よりも遥かに大きい同一の比(予想値)/(標準偏差)?15を提供する。
【0099】
単一方向に紡糸したファイバの統計学的特徴把握は、図7cに示したような撚り解除パラメータの異なる値について繰り返した。残留撚りの値の各々に対し、DGDの統計学的分布は、常に、ガウス様のままであり、また、常に、同一の比(予想値)/(標準偏差)を維持することが確認された。
【0100】
図11aは、「ハイブリッド」紡糸関数を示し、図11bは、数値シミュレーションにより得られたハイブリッド紡糸ファイバのDGD分布状態を示す。シミュレーションは、1996年IEEE 光波技術ジャーナル(J.Lightwave Tech) Vol.14、pp.148−157における、P.K.A.ウェイ(Wai)及びC.R.メニュック(Menyuk)による、「ランダムに変化する複屈折を有する光ファイバにおける偏光モード分散、脱相関及び拡散(Polarization mode dispersion,decorrelation,and diffusion in optical fibers with randomly varying birefringence)」という論文に記載された、ビート長さLb及び相関長さLfを典型的なファイバの値に設定した、理論的アプローチに基づくものである。当該出願人は、図8aの非紡糸ファイバ、図9aの両方向に紡糸したファイバ及び図10aの単一方向に紡糸したファイバにて行った同一のシミュレーションの結果、実験的に得られたもの(図8b、図9b及び図10b)と適合する結果が得られ、このため、測定の信頼性を確認するものであると認定した。理解し得るように、ハイブリッド紡糸は、亜マックスウエルDGD分布にて低PMD値を保つ。
【0101】
このため、上記の結果は、光ファイバを単一方向に紡糸する工程は、そのPMDの統計学的性質を変化させることを示す。非紡糸及び交互に紡糸したファイバは、マックスウエル統計学的分布に従うが、単一方向に紡糸したファイバは、少なくとも特定長さのファイバに対し、データの分散が顕著に減少したことを特徴とするガウス分布を呈する。更に、撚り解除速度、従って、ファイバの残留撚りを選ぶことは、PMD値を最小にすることを許容する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に従った引き抜きタワーを示す図である。
【図2】図1の引き抜きタワーにて使用するのに適した紡糸装置を示す図である。
【図3】図1の引き抜きタワーにて使用するのに適した撚糸装置を示す図である。
【図4】再スプール巻き装置を示す図である。
【図5】図3の装置の代替的な図1の引き抜きタワーにて使用される撚糸装置を示す図である。
【図6】本発明の方法に従って製造された光ファイバを保持する光ケーブルを示す図である。
【図7a】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図7b】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図7c】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図8】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図9】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図10】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【図11】実験試験及びシミュレーションの結果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低PMD(low−polarization mode dispersion;低偏光モード分散)の光ファイバを製造する方法であって、
ガラスプリフォームを光ファイバに引き抜くステップと、
光ファイバを引き抜く間、その軸線の周りにて単一方向に紡糸することにより、光ファイバが弾性的捩れ(elastic torsion)を生じるようにするステップと、
光ファイバをリールに巻き取るステップと、を備える、前記低PMDの光ファイバを製造する方法において、
紡糸した光ファイバをその軸線の周りにて前記弾性的捩れ方向と反対の方向に撚りを加える(twisting)ことにより、前記弾性的捩れを制御するステップを更に備えることを特徴とする、低PMDの光ファイバを製造する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
撚り(twist)を加えるステップが、モジュールにて前記弾性的捩れよりも大きい撚りを光ファイバに加えることにより、光ファイバに対し残留捩れ(residual torsion)を付与し得るステップを備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
紡糸した光ファイバ(spun optical fiber)に対して撚りを加えるステップが、実質的に一定の速度にて行われる、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
残留捩れ(residual torsion)がモジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲にある、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
残留捩れが、モジュールにて0.3ないし約1回転/mの範囲にある、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが、実質的に一定の速度にて行われる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが可変速度にて行われる、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが、一定の関数及び周期的な関数を重ね合わせることにより得られた紡糸関数(spinning function)に従って行われる、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが、約1ないし8回転/mの範囲の速度にて行われる、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバに撚りを加えるステップが、光ファイバをリールに巻き取る間に行われる、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを前記リールから巻き戻すステップと、
光ファイバを他のリールに再度巻くステップと、を備え、
光ファイバに撚りを加えるステップが、光ファイバを巻き戻す間、又は光ファイバを再度巻くステップの間に行われる、方法。
【請求項12】
低PMDの光ファイバを製造する装置であって、
光プリフォーム(3)の下側部分を溶融させる加熱炉(6)と、
光ファイバ(4)を光プリフォーム(3)の下側部分から引き出す牽引装置(8)と、
光ファイバが引き出される間、光ファイバが弾性的捩れを生じるような仕方にて光ファイバ(4)に対しその軸線の周りにて単一方向紡糸を施す紡糸装置(20)と、
光ファイバをリール(10)に巻き取る巻き取り装置(9)とを備える、前記低PMDの光ファイバを製造する装置において、
紡糸した光ファイバ(4)に対し前記弾性的捩れと反対方向にその軸線の周りにて撚りを加える撚糸装置(twisting device)(40;50)を更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
撚糸装置(40;50)が巻き取り装置(9)に対し関係付けられる、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において、
光ファイバ(4)をリール(10)から巻き戻す巻き戻し装置(9´)を更に備え、
撚糸装置(40;50)が該巻き戻し装置(9´)に対して関係付けられる、装置。
【請求項15】
請求項12に記載の装置において、
光ファイバが引き出されるとき、光ファイバ(4)に対し少なくとも保護被覆を施す少なくとも1つの被覆装置(15、16)を更に備え、
紡糸装置(20)が少なくとも1つの被覆装置(15、16)と牽引装置(8)との間に配置される、装置。
【請求項16】
光ケーブル(80)において、
単一方向の固有紡糸(intrinsic spin)と、
実質的に零又は該紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上の弾性的撚りとを有する少なくとも1つの光ファイバ(4)を備える、光ケーブル。
【請求項17】
請求項16に記載の光ケーブルにおいて、
前記単一方向の固有紡糸が実質的に一定である、光ケーブル。
【請求項18】
請求項16に記載の光ケーブルにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲にある、光ケーブル。
【請求項19】
請求項17に記載の光ケーブルにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0.3ないし約1回転/mの範囲にある、光ケーブル。
【請求項20】
請求項16に記載の光ケーブルにおいて、
固有紡糸が、モジュールにて1ないし約8回転/mの範囲にある、光ケーブル。
【請求項21】
単一方向の固有紡糸と、
実質的に零又は該紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上の弾性的撚りとを有する光ファイバ(4)。
【請求項22】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
単一方向の固有紡糸が実質的に一定である、光ファイバ。
【請求項23】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲にある、光ファイバ。
【請求項24】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0.3ないし約1回転/mの範囲にある、光ファイバ。
【請求項25】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
固有紡糸が、モジュールにて1ないし約8回転/mの範囲にある、光ファイバ。
【請求項1】
低PMD(low−polarization mode dispersion;低偏光モード分散)の光ファイバを製造する方法であって、
ガラスプリフォームを光ファイバに引き抜くステップと、
光ファイバを引き抜く間、その軸線の周りにて単一方向に紡糸することにより、光ファイバが弾性的捩れ(elastic torsion)を生じるようにするステップと、
光ファイバをリールに巻き取るステップと、を備える、前記低PMDの光ファイバを製造する方法において、
紡糸した光ファイバをその軸線の周りにて前記弾性的捩れ方向と反対の方向に撚りを加える(twisting)ことにより、前記弾性的捩れを制御するステップを更に備えることを特徴とする、低PMDの光ファイバを製造する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
撚り(twist)を加えるステップが、モジュールにて前記弾性的捩れよりも大きい撚りを光ファイバに加えることにより、光ファイバに対し残留捩れ(residual torsion)を付与し得るステップを備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
紡糸した光ファイバ(spun optical fiber)に対して撚りを加えるステップが、実質的に一定の速度にて行われる、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
残留捩れ(residual torsion)がモジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲にある、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
残留捩れが、モジュールにて0.3ないし約1回転/mの範囲にある、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが、実質的に一定の速度にて行われる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが可変速度にて行われる、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが、一定の関数及び周期的な関数を重ね合わせることにより得られた紡糸関数(spinning function)に従って行われる、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを紡糸するステップが、約1ないし8回転/mの範囲の速度にて行われる、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバに撚りを加えるステップが、光ファイバをリールに巻き取る間に行われる、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
光ファイバを前記リールから巻き戻すステップと、
光ファイバを他のリールに再度巻くステップと、を備え、
光ファイバに撚りを加えるステップが、光ファイバを巻き戻す間、又は光ファイバを再度巻くステップの間に行われる、方法。
【請求項12】
低PMDの光ファイバを製造する装置であって、
光プリフォーム(3)の下側部分を溶融させる加熱炉(6)と、
光ファイバ(4)を光プリフォーム(3)の下側部分から引き出す牽引装置(8)と、
光ファイバが引き出される間、光ファイバが弾性的捩れを生じるような仕方にて光ファイバ(4)に対しその軸線の周りにて単一方向紡糸を施す紡糸装置(20)と、
光ファイバをリール(10)に巻き取る巻き取り装置(9)とを備える、前記低PMDの光ファイバを製造する装置において、
紡糸した光ファイバ(4)に対し前記弾性的捩れと反対方向にその軸線の周りにて撚りを加える撚糸装置(twisting device)(40;50)を更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
撚糸装置(40;50)が巻き取り装置(9)に対し関係付けられる、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において、
光ファイバ(4)をリール(10)から巻き戻す巻き戻し装置(9´)を更に備え、
撚糸装置(40;50)が該巻き戻し装置(9´)に対して関係付けられる、装置。
【請求項15】
請求項12に記載の装置において、
光ファイバが引き出されるとき、光ファイバ(4)に対し少なくとも保護被覆を施す少なくとも1つの被覆装置(15、16)を更に備え、
紡糸装置(20)が少なくとも1つの被覆装置(15、16)と牽引装置(8)との間に配置される、装置。
【請求項16】
光ケーブル(80)において、
単一方向の固有紡糸(intrinsic spin)と、
実質的に零又は該紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上の弾性的撚りとを有する少なくとも1つの光ファイバ(4)を備える、光ケーブル。
【請求項17】
請求項16に記載の光ケーブルにおいて、
前記単一方向の固有紡糸が実質的に一定である、光ケーブル。
【請求項18】
請求項16に記載の光ケーブルにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲にある、光ケーブル。
【請求項19】
請求項17に記載の光ケーブルにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0.3ないし約1回転/mの範囲にある、光ケーブル。
【請求項20】
請求項16に記載の光ケーブルにおいて、
固有紡糸が、モジュールにて1ないし約8回転/mの範囲にある、光ケーブル。
【請求項21】
単一方向の固有紡糸と、
実質的に零又は該紡糸と反対方向で且つモジュールにて零以上の弾性的撚りとを有する光ファイバ(4)。
【請求項22】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
単一方向の固有紡糸が実質的に一定である、光ファイバ。
【請求項23】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0ないし約1.5回転/mの範囲にある、光ファイバ。
【請求項24】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
弾性的撚りが、モジュールにて0.3ないし約1回転/mの範囲にある、光ファイバ。
【請求項25】
請求項21に記載の光ファイバにおいて、
固有紡糸が、モジュールにて1ないし約8回転/mの範囲にある、光ファイバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−500310(P2006−500310A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538974(P2004−538974)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010517
【国際公開番号】WO2004/028989
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(503437727)ピレリ・アンド・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (35)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010517
【国際公開番号】WO2004/028989
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(503437727)ピレリ・アンド・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (35)
【Fターム(参考)】
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