説明

低架橋密度を有するフォトポリマー配合物

【課題】マトリックスとしてのポリマーネットワークおよびそれに溶解した少なくとも1つの光重合可能なモノマーに基づくフォトポリマー配合物、該フォトポリマーからホログラフィック媒体を製造するための方法、ならびにその使用を提供する。
【解決手段】マトリックスとして3次元架橋した有機ポリマー(A)またはその前駆体、該マトリックス中の溶液または分散液として存在し、化学線の作用下での重合によってエチレン性不飽和化合物と反応する基を含む化合物(B)、および(C)少なくとも1つの光開始剤を含んでなるフォトポリマー配合物であって、該3次元架橋した有機ポリマーのネットワーク密度が、2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの平均分子量MCとして表して、少なくとも2685g/モルであるフォトポリマー配合物によって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスとしてのポリマーネットワークおよびそれに溶解した少なくとも1つの光重合可能なモノマーに基づくフォトポリマー配合物、該フォトポリマーからホログラフィック媒体を製造するための方法、ならびにその使用に関する。光に暴露する前に、該フォトポリマー配合物は、架橋密度の尺度として、2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの特定の平均分子量MC、あるいは、この架橋密度と溶解した書込みモノマーの分子量MMoとの特定の比Q(Q=MC/MMoとして表す)を有する。
【背景技術】
【0002】
フォトポリマーは、2つの可干渉性(コヒーレント)の光源の重ね合わせによって暴露されうる材料である。3次元構造がフォトポリマー中に生成し、通常、これは屈折率の局所的変化の結果として材料中に書込まれる。このような構造はホログラムと称され、これを回折光学素子と記載することもできる。このようなホログラムがどの光学的機能を生成するかは特定の暴露に依存する。
【0003】
可視範囲(λ=400〜800nm)および近UV範囲(λ=300〜400nm)における光学的応用のためにホログラムの担体としてフォトポリマーを使用するためには、一般に、高い回折効果を有する無色材料が暴露後に要求される。ホログラフィーの初期から、ハロゲン化銀フィルムがこの目的に使用されている(特に、高い解像度を有するもの)。二クロム酸塩ゼラチン(DCG)、二クロム酸塩含有のゼラチンフィルムまたはハロゲン化銀とDCGの混合形態も使用されている。両材料は、ホログラムの形成のために化学的な後処理を必要とし、これが、工業過程に追加コストを生じ、化学的な現像溶液の取扱いを必要とする。さらに、湿式の化学過程は、フィルムの膨潤およびその後の収縮の結果を与え、これがホログラムにおける色シフトを導くことができ、それは望ましくない。
【0004】
特許文献1(Dupont)は、特に、有機溶媒に可溶性の熱可塑性樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、アセト酪酸セルロースまたはポリメタクリル酸メチル-スチレンコポリマー)、光開始剤および少なくとも1つのビニルシクロプロパンからなるフォトポリマーを記載している。さらに、特許文献2(Dupont)は、他のビニル基を含むモノマー、例えば、N-ビニルピロリドン、アクリル酸フェノキシエチルおよびトリオールのアクリレート、例えばトリメチロールプロパン(TMPTA)およびエトキシル化トリメチロールプロパン(TMPEOTA)あるいは他のアクリレートまたはアクリルアミドを記載している。このようなフォトポリマーは、比較的長い熱処理の後にのみ利用可能なホログラムを与えることが工業的に知られている。O'Neillらはその概説論文(非特許文献1)において、上記した材料だけでなく、熱可塑性樹脂とアクリルアミドから得られるフォトポリマーをも議論している。アクリルアミドの不利な毒性学的プロフィールに加えて、このような生成物は光ホログラムを与えない。
【0005】
また、光の影響下に光感受性が変化する染料を導入することができるホログラフ的に活性な材料も知られている(非特許文献2)。同様に、Bieringer(非特許文献3)は、光の影響下に異性化することができる同様のポリマー結合した染料である、いわゆる光アドレス可能なポリマーを記載している。両群の物質に暴露によってホログラムを導入することができ、これらの材料をホログラフ的データ保存に使用することができる。しかし、これらの生成物は、もちろん強く着色しており、従って上記した用途には適していない。
【0006】
より最近になって、熱可塑性樹脂からではなく、架橋したポリマーから得られるフォトポリマーも記載されている。即ち、特許文献3(Fuji)は、ポリウレタンマトリックスに溶解した2,4,6-トリブロモフェニルアクリレートを記載している。同様に、特許文献4(InPhase)は、4-クロロフェニルアクリレート、4-ブロモスチレンおよびビニルナフタレンなどの重合可能成分を含むポリウレタンマトリックスを記載している。これらの配合物も、ホログラフ的データ保存、即ちホログラフ的応用(ここで、電子検出器を用いて読むことが可能な多数のしかし非常に弱いホログラムが書込まれ、そして読まれる)のために開発された。これらに共通するのは、高屈折の光重合可能モノマーが、低屈折率のマトリックス中に溶解して存在することである。全可視範囲(λ=400〜800nm)および近UV範囲(λ=300〜400nm)における光学的応用のためには、このような配合物も同様に適していない。
【0007】
本発明の目的は、熱的後処理または湿式化学的後処理を行うことなく加工することができ、高い回折効率および大きな輝度を有する無色ホログラムを暴露後に得ることができるホログラフィック媒体として応用するためのフォトポリマーを開発することであった。
【0008】
しかし、物理的特性に加えて、加工性および他の成分との適合性も重要である。即ち、通常は高屈折モノマーのホモポリマーまたはコポリマーとして光重合によって得られる有機材料は、例えば、光学要素(例えば、レンズ、プリズムおよび光学コーティング)の製造のために(特許文献5)またはホログラフィク材料におけるコントラストの製造のために(特許文献6)、重要な役割を果たす。このようなおよび同様の応用のために、屈折率を狙った様式で調節しうること(例えば、高いかまたは低い屈折率を有する成分を混合することによる)、ならびに、そのような屈折率をある範囲にわたって変化させうることが必要になる。これは、高屈折率の光重合可能モノマーを低屈折率のマトリックスに溶解させたか、または逆に、低屈折率の光重合可能モノマーを高屈折率マトリックス中の溶液として存在させたフォトポリマーを導くことができる。
【0009】
上記した使用分野のために、一般に、オレフィン性不飽和化合物[好ましくは(メタ)アクリレートなど]のポリマーが使用されている。1.5またはそれ以上の屈折率を達成するために、ハロゲン置換した芳香族(メタ)アクリレートまたは特別のアルキルメタクリレート(特許文献7に記載される)を使用することができる。特に、この後者は、その複雑な製造のゆえに不利である。
【0010】
対応するポリマーの製造のために、置換フェニルイソシアネートに基づくウレタンアクリレートが適していることが、Bowman(非特許文献4)により記載されている。
【0011】
特許文献8は、光学データ媒体、特にホログラフ的保存方法のための光学データ媒体の製造に適し、かつ工業的に利用可能な原料に基づく、λ=532nmにおいて少なくとも1.5の屈折率を有する(メタ)アクリレートを開示している。これに関連して、フェニルイソシアネートに基づく化合物も知られているが、これらは常に、イソシアネート側において未置換フェニル環に基づいている。
【0012】
フォトポリマー配合物において、高屈折アクリレートは、コントラスト付与成分として決定的な役割を果たす(特許文献9)。信号光ビームおよび参照光ビーム(最も簡単な場合において2つの平面波)の干渉場を、信号の全情報(ホログラム)を含む屈折率格子において高屈折アクリレートにより干渉場中の高強度の位置において、局所的な光重合によって形成させる。次いで、ホログラムを参照光ビームのみで照らすことによって、信号を再構成することができる。入射参照光の強度に対する該再構成信号の最大強度は、回折効率(以下においてDE)と称される。2つの平面波の重なりによって形成されるホログラムの最も簡単な場合において、DEは、再構成時に回折した光の強度と、入射参照光および回折光の強度の合計の商から得られる。DEが高いほど、ホログラムは、一定の明るさで信号を可視化するために必要な参照光の必要量の点でより効率的である。高屈折アクリレートは、最も低い屈折率の領域と最も高い屈折率の領域の間に、高い振幅Δnを有する屈折率格子を生成することができ、これにより、フォトポリマー配合物において高いDEを有するホログラムを可能にする。
[2つの平面波の重なりによって体積ホログラムを書込んだときに生じる屈折率コントラストΔnは、以下の屈折率変化:n(x)=n0+Δn・cos(K・x)によって得られる;ここで、Kは、x軸の方向に示す格子ベクトルの大きさを表し、n0は平均屈折率を表す。例えば、非特許文献5を参照。]
【0013】
特許文献10は、架橋ポリウレタンマトリックスに基づく弾性率Eが少なくとも0.1MPaであるフォトポリマー配合物から得られ、フォトポリマー層の厚みが200μmを超える光学物品を記載している。弾性率が高くなるほど、フォトポリマー配合物がより好ましいものになると言及されている。弾性率をどのように測定するか、ならびに、それをマトリックスポリマー鎖のトポロジーおよび動的特性との関連でどのように理解すべきか、即ち、それが、ゴム様の様式で架橋したフォトポリマー状態を特徴付けるのか、またはガラス様の様式で固化したフォトポリマー状態を特徴付けるのかは特定されていない。個々の強いホログラムの場合における、架橋密度、書込みモノマー分子量およびホログラフィック性能の間の関係は、特に反射ホログラムに対しては開示されていない。対照的に、上記した応用において記載される好ましい方向は、比較的高い弾性率を導き、個々の強いホログラムを書込むときには、ホログラフィック性能の低下を導く(本明細書中に開示した実施例からわかる)。
【0014】
従って、ホログラフ的応用におけるフォトポリマーの性能を最適化するための既知の方法は、例えば、高屈折率の書込みモノマーを低屈折率のマトリックス中に溶解するか、または低屈折率の書込みモノマーを高屈折率マトリックスにおいて使用することによって、マトリックスポリマーの屈折率とそれに溶解した書込みモノマーの屈折率の間の相違を増大させることである。
【0015】
マトリックスをポリマーネットワークとして形成させる場合には、フォトポリマーの機械的、光学的、熱的および熱力学的特性を、ネットワークを構成する反復単位およびその官能性の選択によって、広い範囲内で狙った様式で確立することができる。上記した先行技術は、そのようなフォトポリマーの架橋密度が、ホログラフィック媒体の性能に決定的に影響を与えることができるか否か、およびどの程度に影響を与えることができるかについて開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4959284号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第352774号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0077498号明細書
【特許文献4】米国特許第6103454号明細書
【特許文献5】米国特許第5916987号明細書
【特許文献6】米国特許第6780546号明細書
【特許文献7】米国特許第6794471号明細書
【特許文献8】未公開の国際出願PCT/EP2008/002464
【特許文献9】米国特許第6780546号明細書
【特許文献10】米国特許第6939648号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】O'Neillら、Applied Optics、第41巻、第5号、第845頁以降、2002
【非特許文献2】Luoら、Optics Express、第13巻、第8号、2005、第3123頁
【非特許文献3】Bieringer、Springer Series in Optical Sciences (2000)、76、第209-228頁
【非特許文献4】Bowman、Polymer 2005、46、4735-4742
【非特許文献5】Hariharan Optical Holography、Principles、Techniques and Applications、Cambridge University Press、1991、第44頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ここに驚くべきことに、ポリマーネットワークであるマトリックスおよびそれに溶解した少なくとも1つの光重合可能なモノマーに基づくフォトポリマー配合物が、特に、光への暴露前に低架橋密度のフォトポリマー配合物が存在するときに、ホログラフィック媒体において最も低い屈折率の領域と最も高い屈折率の領域の間に、高い振幅(Δn)を有する屈折率格子を生成することがわかった。従って、このようなフォトポリマー配合物は、上記したようなホログラフィック媒体において高い回折効率を有する明るい視覚ホログラムを形成させるのに特に適している。視覚ホログラムには、当業者に既知である方法によって記録することができる全てのホログラムが含まれ、特に、インライン(Gabor)ホログラム、軸外ホログラム、フルアパーチャートランスファー(full-aperture transfer)ホログラム、白色光透過ホログラム(「レインボウホログラム」)、Denisyukホログラム、軸外反射ホログラム、エッジリト(edge-lit)ホログラムおよびホログラフ的立体画が含まれる。反射ホログラム、Denisyukホログラムおよび透過ホログラムが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の1つの態様は、マトリックスとして3次元架橋した有機ポリマー(A)またはその前駆体、該マトリックス中の溶液または分散液として存在し、化学線の作用下での重合によってエチレン性不飽和化合物と反応する基を含む化合物(B)、および(C)少なくとも1つの光開始剤を含んでなるフォトポリマー配合物であって、該3次元架橋した有機ポリマーのネットワーク密度が、2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの平均分子量MCとして表して、少なくとも2685g/モルであるフォトポリマー配合物である。
【0020】
本発明の別の態様は、3次元架橋した有機ポリマーのネットワーク密度が、7500〜55000g/モルの範囲内である上記フォトポリマー配合物である。
本発明の別の態様は、分子量MCと(B)の数平均分子量MMoとの比Qが3.30を超える上記フォトポリマー配合物である。
本発明の別の態様は、比Qが10.00を超える上記フォトポリマー配合物である。
【0021】
本発明の別の態様は、3次元架橋した有機ポリマーがウレタン基を含む上記フォトポリマー配合物である。
本発明の別の態様は、3次元架橋した有機ポリマーが、イソシアネート成分(a)およびイソシアネート反応性成分(b)から構成される上記フォトポリマー配合物である。
本発明の別の態様は、(A)が、イソシアネート成分(a)およびイソシアネート反応性成分(b)を含んでなる上記フォトポリマー配合物である。
【0022】
本発明の別の態様は、成分(a)が、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するHDIに基づくポリイソシアネート、あるいは、HDIおよび/またはTMDIとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールとに基づくアロファネートおよび/またはウレタン構造を有するNCO官能価2〜5のプレポリマーを含んでなる上記フォトポリマー配合物である。
【0023】
本発明の別の態様は、成分(b)が、OH官能価が1.5〜6であり、数平均分子量が200〜18000g/モルである、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよび/またはこれらのランダムまたはブロックコポリマーの形態での組合せおよび/またはモノマー単位としてテトラヒドロフラン、ブチレンオキシドまたはε-カプロラクトンをさらに含む上記した種類のブロックコポリマーを含んでなる上記フォトポリマー配合物である。
【0024】
本発明の別の態様は、化合物(B)が、1.54を超える屈折率nD20を有する上記フォトポリマー配合物である。
本発明の別の態様は、化合物(B)が、放射線硬化性基としてアクリレートおよび/またはメタクリレート基を含んでなる上記フォトポリマー配合物である。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、上記フォトポリマー配合物から製造した視覚ホログラムの記録に適する媒体である。
本発明のさらに別の態様は、上記媒体から製造した光学素子、画像または提示である。
本発明のさらに別の態様は、化学線によって書込みモノマーを選択的に重合させることを含んでなる上記媒体の暴露方法である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】媒体の回折効率(DE)を測定したホログラフィック実験配置の模式図である。
【図2】角度離調ΔΩに対する、Kogelnikに従うブラッグ曲線η(点線)、測定した回折効率(黒丸)、および透過電力(黒線)のプロットを示すグラフである。
【図3】マトリックスネットワーク硬化の曲線(左)およびプラトー挙動の試験(右)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
即ち、本発明は、マトリックスとして3次元架橋した有機ポリマー(A)、該マトリックス中の溶液または分散液として存在し、化学線の作用下での重合によってエチレン性不飽和化合物と反応する基(放射線硬化性基)を含む化合物(B)、および(C)少なくとも1つの光開始剤を含んでなるフォトポリマー配合物であって、該有機ポリマーのネットワーク密度が、2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの平均分子量MCによって表して、2685〜55000g/モルであることを特徴とするフォトポリマー配合物に関する。
さらに本発明は、本発明のフォトポリマー配合物から得られるホログラフィック媒体に関する。
【0028】
本発明における放射線硬化性基とは、化学線の作用下での重合によってオレフィン性不飽和化合物と反応する全ての官能基である。これらは、例えば、ビニルエーテル(CH2=CH−O−)、マレイル(cis−HOOC−C=C−CO−O−)、フマリル(trans−HOOC−C=C−CO−O−)、マレイミド、ジシクロペンタジエニル、アクリルアミド(CH2=CH−(CO)−NH−)、メタクリルアミド(CH2=CCH3−(CO)−NH−)、アクリレート(CH2=CH−(CO)−O−)およびメタクリレート基(CH2=CCH3−(CO)−O−)である。
【0029】
化学線とは、電磁、イオン化放射、特に電子ビーム、UV放射および可視光を意味するものと解される[Roche Lexikon Medizin (Roche Medical Lexicon)、第4版;Urban & Fischer Verlag、Munich 1999]。
【0030】
平均分子量MCの測定は、振動レオメーターにおいてプラトーモジュラスG0を測定することによって行い、以下の既知の関係を使用した(M.Doi、S.F.Edwards、「ポリマー動力学の理論」、Oxford Science Publications、1986):
【数1】

[ここで、Rはアボガドロ定数であり、Tは絶対温度(ケルビン)であり、ρは質量密度である]。
【0031】
2つのポリマー鎖を架橋するセグメントは、平均分子量MCが、好ましくは2685〜55000g/モル、特に好ましくは3400〜55000g/モル、非常に特に好ましくは7500〜55000g/モルである。
【0032】
Cが上記した値に対応し、さらに、MCと(B)において使用する全ての放射線硬化性化合物の数平均分子量MMoとの比Qが、3.30を超えるときに、特に好ましくは4.13を超えるときに、非常に特に好ましくは10.00を超えるときに好ましい。
【0033】
成分(A)および(B)に加えて、本発明のフォトポリマー配合物は、少なくとも1つの光吸収性成分および所望により少なくとも1つのさらなる成分(これは所望により励起状態の光吸収性化合物のエネルギーを吸収し、こうして光重合を開始させる)からなる光開始剤系(C)を含有することができる。適する系においては、光重合の開始を、光吸収性成分それ自体によって行うこともできる。
【0034】
さらなる成分は、例えばフォトポリマー配合物の成分の貯蔵寿命を改善する安定剤、または例えば本発明のフォトポリマー配合物から製造したホログラフィック媒体の安定性(周囲の光、温度および湿気に対する)を改善する安定剤、あるいは、本発明のフォトポリマー配合物の加工を容易にして対応するホログラフィック媒体を与えるか、または最終用途におけるホログラフィック媒体の利用可能性を改善するかまたは実際に可能にする添加剤(例えば、溶媒または離型剤など)であってよい。
【0035】
マトリックス(成分A)は、3次元ネットワーク構造を有する固体ポリマーであり、これは、「硬化工程」による1つまたはそれ以上の前駆体の反応によって現場形成される。マトリックスを形成するための反応は、開始反応により開始される。前駆体は、1種類のモノマー、複数のモノマー、1種類のオリゴマー、複数のオリゴマーまたはモノマーとオリゴマーの混合物からなっていてよい。1つまたはそれ以上の前駆体が、硬化工程において反応する1種類以上の官能基を保持することもできる。前駆体と配合物の他の構成成分との良好な混和性を確保するために、該前駆体は、好ましくは、−50℃〜80℃の温度範囲において液体である。特に好ましくは、混合物を、15〜75℃の温度において200分間未満で製造することができる。マトリックスは、ホログラムの書込み中の成分(B)の十分な拡散および化学反応を可能にするに十分な低いガラス転移温度を有する。−130℃〜80℃の温度範囲が好ましい。このようなマトリックスを製造するための化学反応の例は、カチオン性エポキシド重合、ビニルエーテルのカチオン性重合、アルケニルエーテルのカチオン性重合、カチオン性アレン(Allen)重合、カチオン性ケテン-アセタール重合、エポキシドとアミンまたはエポキシドとチオールの付加重合、ポリ-ミハエル(Michael)付加(不飽和エステルとアミンまたはチオールとの付加重合)、ヒドロシリル化による水素化ケイ素とビニル化合物との付加重合、およびイソシアネートとOHまたはNH官能性の化合物との重付加(ポリウレタンまたはポリ尿素形成による)である。記載した様々な反応を、適当な触媒を存在させることによって促進することができる。
【0036】
好ましい3次元架橋した有機ポリマーは、ウレタン基を含むものである。
特に好ましい3次元架橋した有機ポリマーは、前駆体としてイソシアネート成分(a)およびイソシアネート反応性成分(b)から構成されるものである。
【0037】
ポリイソシアネート成分(a)の適する化合物は、当業者に自体既知である全ての脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族のジおよびトリイソシアネートであり、これらが、ホスゲン化によってまたはホスゲンを含まない方法によって得られたかどうかは重要ではない。さらに、ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン構造を有する、モノマーのジおよび/またはトリイソシアネートの当業者に自体周知である比較的高い分子量の2次生成物(オリゴおよびポリイソシアネート)を、それぞれ個々にまたは互いとの任意の所望の混合物として使用することもできる。
【0038】
例えば、適するモノマーのジまたはトリイソシアネートは、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネートである。
【0039】
また可能なのは、成分(a)の化合物として、ウレタン、アロファネートまたはビウレット構造を有するイソシアネート官能性プレポリマーを使用することであり、これらは、自体周知のように、過剰の上記したジ、トリまたはポリイソシアネートとヒドロキシまたはアミノ官能性化合物との反応によって得ることができる。次いで、あらゆる未変換の出発イソシアネートを除去して、低モノマー含量を有する生成物を得ることができる。プレポリマー生成を促進するために、ポリウレタン化学から当業者には自体周知である触媒の使用が有用であろう。
【0040】
プレポリマー合成のための適するヒドロキシまたはアミノ官能性化合物は、通常は低分子量短鎖の脂肪族、アリール脂肪族または脂環式のジオール、トリオールおよび/またはより高いポリオール(即ち、2〜20個の炭素原子を含む)である。
【0041】
ジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオン酸(2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピルエステル)である。
【0042】
適するトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。
適するさらに高官能のアルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはソルビトールである。
【0043】
また適するのは、さらに高い分子量の脂肪族および脂環式ポリオール、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタン、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂または対応する混成物である[参照:Roempp Lexikon Chemie (Roempp Chemistry Lexicon)、第465-466頁、第10版、1998、Georg-Thieme-Verlag、Stuttgart]。
【0044】
プレポリマー合成に適するポリエステルポリオールは、脂肪族、脂環式または芳香族のジまたはポリカルボン酸あるいはこれらの無水物、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン二カルボン酸、デカン二カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリト酸、および酸無水物、例えばo-フタル酸、トリメリト酸またはコハク酸無水物、またはこれらの混合物と、多価アルコール、例えば、エタンジオール、ジ、トリまたはテトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ、トリ、テトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、またはこれらの混合物とから、所望によりさらに高い官能価のポリオール、例えば、トリメチロールプロパンまたはグリセロールを同時使用して、既知のようにして製造することができる直鎖ポリエステルジオールである。ポリエステルポリオールの製造に適する多価アルコールは、もちろん脂環式および/または芳香族のジおよびポリヒドロキシ化合物であってもよい。遊離のポリカルボン酸の代わりに、ポリエステルの製造のために、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルまたはこれらの混合物を使用することもできる。
【0045】
プレポリマー合成にも適するポリエステルポリオールは、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーであり、これは、好ましくは、ラクトンまたはラクトン混合物、例えば、ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンと、適する2官能性および/またはさらに高い官能性の開始剤分子、例えば、ポリエステルポリオールのための合成成分として上記した低分子量の多価アルコールとの付加反応によって得られる。
【0046】
また、ヒドロキシル基を有するポリカーボネートも、プレポリマー合成のためのポリヒドロキシ成分として適しており、例えば、これは、ジオール、例えば1,4-ブタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールおよび/または3-メチルペンタンジオールと、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンとを反応させることによって製造することができる。
【0047】
プレポリマー合成に適するポリエーテルポリオールは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンの重付加物およびこれらの混合付加物およびグラフト生成物、ならびに、多価アルコールまたはこれらの混合物の縮合によって得られるポリエーテルポリオールならびに多価アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシル化によって得られるポリエーテルポリオールである。好ましいポリエーテルポリオールは、OH官能価1.5〜6および数平均分子量200〜18000g/モル、好ましくはOH官能価1.8〜4.0および数平均分子量600〜8000g/モル、特に好ましくはOH官能価1.9〜3.1および数平均分子量650〜4500g/モルを有する、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびこれらの組合せ(ランダムまたはブロックコポリマーの形態にある)、またはポリ(テトラヒドロフラン)およびこれらの混合物である。
【0048】
プレポリマー合成に適するアミンは、全てのオリゴマー性またはポリマー性の第一または第二の2官能、3官能または多官能アミンである。例えば、これらは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、トリアミノベンゼン、2官能、3官能およびさらに高い官能性のポリアミン、例えば、Jeffamines、数平均分子量10000g/モルを有するアミン末端ポリマー、またはこれらの互いとの任意の所望の混合物であってよい。
【0049】
好ましいプレポリマーは、数平均分子量200〜10000g/モル、好ましくは数平均分子量500〜8000g/モルを有する、ウレタンおよび/またはアロファネート基を含む、上記した合成成分に基づくものである。特に好ましいプレポリマーは、HDIまたはTMDIと数平均分子量1000〜8000g/モルを有する2官能または3官能ポリエーテルポリオールとに基づくアロファネートである。
【0050】
適切であれば、イソシアネート成分(a)は、イソシアネート反応性のエチレン性不飽和化合物と部分的に反応する相応量のイソシアネートを含有することもできる。ここで、α,β-不飽和カルボン酸誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドおよびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルならびにジシクロペンタジエニル単位を含み、イソシアネートに対して反応性である少なくとも1つの基を含む化合物を、イソシアネート反応性のエチレン性不飽和化合物として使用するのが好ましい。少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含むアクリレートおよびメタクリレートが特に好ましい。適するヒドロキシ官能性のアクリレートまたはメタクリレートは、例えば、以下に挙げる化合物である:2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(「イプシロン」-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えば、Tone M100(Dow、米国)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化したトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはこれらの工業用混合物)のヒドロキシ官能性のモノ、ジまたはテトラ(メタ)アクリレート。さらに、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性のオリゴマー性またはポリマー性の不飽和化合物が、単独でまたは上記したモノマー化合物との組合せで適している。イソシアネート反応性のエチレン性不飽和化合物と部分的に反応するイソシアネートのイソシアネート成分(a)中の割合は、0〜99%、好ましくは0〜50%、特に好ましくは0〜25%、非常に特に好ましくは0〜15%である。
【0051】
また、成分(a)のポリイソシアネートのNCO基を、この分野で自体普通であるブロック化剤を用いて、完全にまたは部分的にブロックすることもできる。これらは、例えば、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アセト酢酸アルキル、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾール、およびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、ε-カプロラクタム、N-tert-ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらブロック化剤の任意の混合物である。
【0052】
HDI、TMDIおよび/またはTINに基づく上記した種類のポリイソシアネートおよび/またはプレポリマーを、成分(a)において使用するのが好ましい。
イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するHDIに基づくポリイソシアネートを使用するのが特に好ましい。
【0053】
また、特に好ましいのは、NCO官能価2〜5を有するプレポリマー、特に好ましくは第一NCO基を有するプレポリマーを使用することである。このようなプレポリマーの例は、好ましくはHDIおよび/またはTMDIならびにポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールに基づくアロファネートまたはウレタンまたはこれらの混合物である。
【0054】
上記したポリイソシアネートまたはプレポリマーは、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満、非常に特に好ましくは0.2重量%未満の遊離モノマーイソシアネートの残留含量を有する。
【0055】
原則的に、1分子あたりに平均して少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を含む全ての多官能イソシアネート反応性化合物を、成分(b)として使用することができる。
本発明におけるイソシアネート反応性基とは、好ましくはヒドロキシル、アミノまたはチオール基であり、ヒドロキシ化合物が特に好ましい。
【0056】
適する多官能イソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステル-、ポリエーテル-、ポリカーボネート-、ポリ(メタ)アクリレート-および/またはポリウレタン-ポリオールである。
【0057】
適するポリエステルポリオールは、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のジまたはポリカルボン酸あるいはこれらの無水物とOH官能価2を有する多価アルコールとから既知のようにして得られる直鎖ポリエステルジオールまたは分岐鎖ポリエステルジオールである。
【0058】
このようなジまたはポリカルボン酸あるいは無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン二カルボン酸、デカン二カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリト酸、および酸無水物、例えばo-フタル酸、トリメリト酸またはコハク酸無水物、またはこれらの互いとの任意の混合物である。
【0059】
このような適するアルコールの例は、エタンジオール、ジ、トリまたはテトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ、トリまたはテトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、またはこれらの互いとの任意の混合物である。
【0060】
また、ポリエステルポリオールは、天然原料(例えばヒマシ油)に基づくものであってもよい。また、このポリエステルポリオールは、好ましくはラクトンまたはラクトン混合物(例えば、ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトン)とヒドロキシ官能性化合物(例えば、上記した種類のOH官能価2を有する多価アルコール)との付加反応によって得られるような、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーに基づくこともできる。
【0061】
このようなポリエステルポリオールは、好ましくは400〜8000g/モル、特に好ましくは500〜4000g/モルの数平均分子量を有する。これらのOH官能価は、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0062】
適するポリカーボネートポリオールは、自体既知のように、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物とを反応させることによって得られる。
適する有機カーボネートは、ジメチル、ジエチルおよびジフェニルカーボネートである。
【0063】
適するジオールまたは混合物は、ポリエステルセグメントに関連して挙げたOH官能価2を有する多価アルコール、好ましくは1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよび/または3-メチルペンタンジオールを含んでなるか、またはポリエステルポリオールをポリカーボネートポリオールに変換することができる。
【0064】
このようなポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/モル、特に好ましくは500〜2400g/モルの数平均分子量を有する。これらポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.0である。
【0065】
適するポリエーテルポリオールは、環式エーテルとOHまたはNH官能性の開始剤分子との重付加物であり、この重付加物は好ましくはブロック構造を有する。
適する環式エーテルは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびこれらの任意の混合物である。
ポリエステルポリオールに関連して挙げたOH官能価2を有する多価アルコールおよび第一または第二アミンおよびアミノアルコールを、開始剤として使用することができる。
【0066】
このようなポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/モル、特に好ましくは500〜8500g/モル、非常に特に好ましくは600〜4500g/モルの数平均分子量を有する。OH官能価は、好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0067】
さらに、低分子量(即ち、500g/モル未満の分子量)を有する短鎖(即ち、2〜20個の炭素原子を含む)の脂肪族、アリール脂肪族または脂環式の2官能、3官能または多官能アルコールも、成分(b)の構成成分として、多官能イソシアネート反応性化合物として適している。
【0068】
これらは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオン酸(2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピルエステル)であってよい。
【0069】
適するトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。
適するさらに高官能のアルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはソルビトールである。
【0070】
好ましい成分(b)は、ポリエーテルポリオールであり、好ましくはOH官能価1.5〜6および数平均分子量200〜18000g/モル、特に好ましくはOH官能価1.8〜4.0および数平均分子量600〜8000g/モル、非常に特に好ましくはOH官能価1.9〜3.1および数平均分子量650〜4500g/モルを有する、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびこれらの組合せ(ランダムまたはブロックコポリマーの形態にある)、およびモノマー単位としてテトラヒドロフラン、ブチレンオキシドまたはε-カプロラクトンをさらに含むプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドのブロックコポリマー、およびこれらの混合物である。
【0071】
対応する官能基の間にできるだけ高い分子量を有し、そして/またはできるだけ低い官能価を有する、上記したイソシアネート成分(a)およびイソシアネート反応性成分(b)の組合せが、マトリックス(A)の製造にさらに好ましいが、この官能価は、3次元ネットワークを生成しうるように十分に高いものでなければならない。
さらに、イソシアネート反応性成分(b)の官能基がイソシアネート成分(a)の官能基に対してモル過剰で存在する組合せも好ましい。
【0072】
ビニルエーテル、アクリレートまたはメタクリレート基、特に好ましくはアクリレートおよび/またはメタクリレート基を含む化合物を、成分(B)において使用するのが好ましい。
屈折率nD20が1.54を超える、好ましくは1.55を超える、特に好ましくは1.58を超える上記した種類の化合物を、(B)において使用するのが好ましい。
分子量が1500g/モル未満、特に好ましくは1000g/モル未満である上記した種類の化合物を、(B)において使用するのが好ましい。
【0073】
α,β-不飽和カルボン酸誘導体のような化合物、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、さらには、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、およびジシクロペンタジエニル単位を含む化合物、およびオレフィン性不飽和化合物、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、オレフィン、例えば、1-オクテンおよび/または1-デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸を、成分(B)において使用することができる。アクリレートおよびメタクリレートが好ましい。
【0074】
一般に、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルは、それぞれアクリレートまたはメタクリレートと称される。使用しうるアクリレートおよびメタクリレートの例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p-クロロフェニルアクリレート、p-クロロフェニルメタクリレート、p-ブロモフェニルアクリレート、p-ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6-トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6-トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、1,4-ビス(2-チオナフチル)-2-ブチルアクリレート、1,4-ビス(2-チオナフチル)-2-ブチルメタクリレート、プロパン-2,2-ジイルビス[(2,6-ジブロモ-4,1-フェニレン)オキシ(2-{[3,3,3-トリス(4-クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン-3,1-ジイル)オキシエタン-2,1-ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびこれらのエトキシル化類似化合物、N-カルバゾイルアクリレートである。
【0075】
もちろん、ウレタンアクリレートを成分(B)として使用することもできる。ウレタンアクリレートとは、少なくとも1つのアクリレート基を含み、さらに少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物を意味すると解される。このような化合物は、ヒドロキシ官能性アクリレートとイソシアネート官能性化合物とを反応させることによって得られることが知られている。
【0076】
この目的に使用しうるイソシアネートの例は、芳香族、アリール脂肪族、脂肪族および脂環式のジ、トリまたはポリイソシアネートである。このようなジ、トリまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適するジ、トリまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの混合物(任意の異性体含量を有する)、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネート、およびトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェート、あるいは、これらのウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有する誘導体、ならびにこれらの混合物である。芳香族またはアリール脂肪族のジ、トリまたはポリイソシアネートが好ましい。
【0077】
ウレタンアクリレートの製造に適するヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレーは、例えば、以下に挙げる化合物である:2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えば、Tone M100(Dow、Schwalbach、独国)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化したトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはこれらの工業用混合物)のヒドロキシ官能性のモノ、ジまたはテトラアクリレート。2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性のオリゴマー性またはポリマー性の不飽和化合物が、単独でまたは上記したモノマー化合物との組合せで適している。
【0078】
同様に、ヒドロキシル基を含み、OH含量20〜300mgKOH/gを有する自体既知のエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシル基を含み、OH含量20〜300mgKOH/gを有するポリウレタン(メタ)アクリレート、またはOH含量20〜300mgKOH/gを有するアクリル化ポリアクリレート、ならびに、これらの互いとの混合物、およびヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物、およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、またはヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物を使用することもできる。このような化合物は、P.K.T.Oldring(編)の「Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings、Inks & Paints」、第2巻、1991、SITA Technology、London、第37-56頁にも記載されている。
【0079】
ヒドロキシル基を含み、規定のヒドロキシ官能価を有するエポキシアクリレートが好ましい。ヒドロキシル基を含むエポキシ(メタ)アクリレートは、特に、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、モノマー性、オリゴマー性またはポリマー性のビスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールまたはこれらのエトキシル化および/またはプロポキシル化した誘導体のエポキシド(グリシジル化合物)との反応生成物に基づく。さらに、アクリル酸および/またはメタクリル酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの既知の反応によって得られるような、規定した官能価を有するエポキシアクリレートも好ましい。
【0080】
本発明の特に好ましい態様において、書込みモノマー成分(B)は、1つまたはそれ以上の以下の式(I)〜(III)で示される化合物を含んでなる:
【化1】

【化2】

【化3】

[式中、
Rは、互いに独立して、それぞれ放射線硬化性基であり;そして
Xは、互いに独立してそれぞれ、RとC=Oの間の単結合、あるいは、ヘテロ原子を含有することもあり、そして/または官能基によって置換されていることもある直鎖、分岐鎖または環式の炭化水素基である]。
【0081】
Rは、好ましくはビニルエーテル、アクリレートまたはメタクリレート基、特に好ましくはアクリレート基である。
原則的に、R基の炭素結合した水素原子の1つまたはそれ以上を、C1〜C5アルキル基によって置換することもできるが、これは好ましくない。
【0082】
X基は、好ましくは、2〜40個の炭素原子および1つまたはそれ以上の酸素原子(エーテル架橋の形態で存在する)を有する。Xは、直鎖または分岐鎖または環式であってよく、官能基によって置換されていてもよい。X基は、特に好ましくは、それぞれ直鎖または分岐鎖のオキシアルキレンまたはポリオキシアルキレン基である。
好ましいポリオキシアルキレン基は、10個まで、好ましくは8個までの各オキシアルキレン基の反復単位を有する。
【0083】
原則的に、Xは、反復単位として同一または異なるオキシアルキレン基を有することができ、このような反復単位の1つは、好ましくは2〜6個、特に好ましくは2〜4個の炭素原子を有する。特に好ましいオキシアルキレン単位は、オキシエチレンおよびそれぞれ異性体のオキシプロピレンまたはオキシブチレンである。
各X基中の反復単位は、完全にまたは部分的に、ブロックとしてまたはランダムに分布して存在することができる。
【0084】
本発明の好ましい態様において、Xは、互いに独立してそれぞれ、−CH2−CH2−O−、−CH2−CHCH3−O−、−CHCH3−CH2−O−、−(CH2−CH2−O)n−、−O(CH2−CHCH3−O)n−[ここで、nは2〜7の整数である]、および−O−CH2−CH2−(O-(CH2)5−CO)m−[ここで、mは1〜5の整数である]からなる群から選択されるオキシアルキレン単位である。
【0085】
1つまたはそれ以上の光開始剤を、成分(C)として使用する。通常、これらは、化学線によって活性化することができ、対応する重合可能な基の重合を開始することができる開始剤である。光開始剤は、自体既知であり市販されている化合物であり、単分子(タイプI)および2分子(タイプII)開始剤の間で区別がなされている。さらに、化学的性質に依存して、これらの開始剤は、フリーラジカル、アニオン性(または)、カチオン性(または混合)形態の上記重合に使用される。
【0086】
フリーラジカル光重合のための(タイプI)系は、例えば、芳香族ケトン化合物、例えばベンゾフェノン、(第三アミンと組合せて)、アルキルベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(Michlerケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたはこれらタイプの混合物である。
【0087】
(タイプII)開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシクロホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α-アミノアルキルフェノン、α,α-ジアルコキシアセトフェノン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン 2-(O-ベンゾイルオキシム)およびα-ヒドロキシアルキルフェノンがさらに適している。
【0088】
また、欧州特許出願公開第0223587号に記載され、アリールホウ酸アンモニウムおよび1つまたはそれ以上の染料の混合物からなる光開始剤系を、光開始剤として使用することもできる。例えば、トリフェニルヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウム、トリス(3-フルオロフェニル)ヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウムおよびトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウムが、アリールホウ酸アンモニウムとして適している。
【0089】
適する染料は、例えば、ニューメチレンブルー(new methylene blue)、チオニン、ベーシックイエロー(basic yellow)、塩化ピナシノール、ローダミン6G、ガロシアニン(gallocyanine)、エチルバイオレット(ethyl violet)、ビクトリアブルー(victoria blue)R、セレスチンブルー(celestine blue)、キナルジンレッド(quinaldine red)、クリスタルバイオレット(crystal violet)、ブリリアントグリーン(brilliant green)、アストラゾンオレンジ(astrazon orange)G、ダロウレッド(darrow red)、ピロニン(pyronine)Y、ベーシックレッド(basic red)29、ピリリウム(pyrillium)I、シアニンおよびメチレンブルー、アズレ(azure)Aである(Cunninghamら、RadTech '98 North America UV/EB Conference Proceedings、シカゴ、1998年4月19〜22日)。
【0090】
アニオン重合に使用する光開始剤は、一般に(タイプI)系であり、第1列の遷移金属錯体から誘導される。ここで、クロム塩、例えばtrans-Cr(NH3)2(NCS)4-(Kutalら、Macromolecules、1991、24、6872)、またはフェロセン化合物(Yamaguchiら、Macromolecules、2000、33、1152)が知られている。さらなるアニオン重合の可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合させることができる染料、例えばクリスタルバイオレットロイコニトリル(crystal violet leuconitrile)またはマラカイトグリーンロイコニトリル(malachite green leuconitrile)を使用することにある(Neckersら、Macromolecules、2000、33、7761)。しかし、発色団がポリマー中に導入されるので、得られるポリマーが全体に着色する。
【0091】
カチオン重合に使用する光開始剤は、実質的に次の3つの群からなる:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(具体的には:ヨードニウム、スルホニウムおよびセレノニウム塩)および有機金属化合物。
【0092】
照射下に、水素ドナーの存在下および不存在下の両方で、フェニルジアゾニウム塩は、カチオンを生成することができ、これが重合を開始する。系全体の効率は、ジアゾニウム化合物に対して使用する対イオンの性質によって決定される。ここで、わずかに反応性であるが非常に高価なSbF6-、AsF6-、またはPF6-が好ましい。一般に、これらの化合物は、暴露後に遊離する窒素によって表面品質が低下するので(ピンホール)、薄いフィルムの被覆に使用するためにはそれほど適していない(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering、2001、84、139)。
【0093】
様々な形態において非常に広く使用され、かつ市販もされているのは、オニウム塩、特にスルホニウムおよびヨードニウム塩である。これら化合物の光化学は、古くから研究されている。ヨードニウム塩は、励起後の最初に均一分解し、こうしてフリーラジカルおよびラジカルカチオンを生成し、これが、H-引抜きによって安定化され、プロトンを放出し、次いでカチオン重合を開始する(Dektarら、J.Org.Chem.、1990、55、639;J.Org.Chem.、1991、56、1838)。この機序は、フリーラジカル光重合のためにもヨードニウム塩を使用することを可能にする。ここでも、対イオンの選択が非常に重要であり、非常に高価なSbF6-、AsF6-、またはPF6-が同様に好ましい。それ以外に、芳香族の置換の選択が、この構造において全く自由であり、実質的に、合成のための適当な出発構成要素の利用可能性によって決定される。
【0094】
スルホニウム塩は、Norrish(II)に従って分解する化合物である(Crivelloら、Macromolecules、2000、33、825)。スルホニウム塩の場合にも、対イオンの選択が決定的に重要であり、これが、実質的にポリマーの硬化速度において現れる。最良の結果は、一般にSbF6-塩を用いて得られる。
【0095】
ヨードニウムおよびスルホニウム塩の自己吸収は、<300nmにあるので、これらの化合物を、近UVまたは短波長可視光を用いて、光重合のために適切に感作しなければならない。これを、比較的高吸収性の芳香族、例えば、アントラセンおよびその誘導体[Guら、Am.Chem.Soc.Polymer Preprints、2000、41(2)、1266]あるいはフェノチアジンまたはその誘導体(Huaら、Macromolecules、2001、34、2488-2494)を使用することによって達成する。
【0096】
これら化合物の混合物の使用が有利であることもある。硬化に使用する放射源に依存して、光開始剤の種類および濃度を、当業者に既知であるようにして適合させなければならない。光重合に関する上記した構成は、当業者にとって、それぞれ選択のために利用できる合成成分(特に、好ましい合成成分)ならびに各成分の以下に挙げる量的範囲内での型どおりの実験の形態で、容易に行うことができる。
【0097】
好ましい光開始剤(C)は、テトラヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウム、トリフェニルヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウム、トリス(3-フルオロフェニル)ヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウムおよびトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ヘキシルホウ酸テトラブチルアンモニウムと染料との、例えば、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズレA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンとの混合物である。
【0098】
さらに、本発明の配合物は、成分(A)〜(C)に加えて、フリーラジカル安定剤、触媒およびさらなる添加剤と一緒に使用することもできる。
【0099】
適するフリーラジカル安定剤は、「Methoden der organischen Chemie(有機化学の方法)」(Houben-Weyl)[第4版、第XIV/1巻、第433頁以降、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、1961年]に記載されているような阻害剤および酸化防止剤である。適する種類の物質は、例えばフェノール、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール、例えばベンズヒドロール、所望によりキノン、例えば2,5-ジ-tert-ブチルキノン、所望により芳香族アミン、例えばジイソプロピルアミンまたはフェノチアジンである。好ましいフリーラジカル安定剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、フェノチアジンおよびベンズヒドロールである。
【0100】
さらに、1つまたはそれ以上の触媒を使用することができる。これらは、好ましくはウレタン形成を触媒する。好ましくは、アミンならびに金属スズ、亜鉛、鉄、ビスマス、モリブデン、コバルト、カルシウム、マグネシウムおよびジルコニウムの金属化合物が、この目的に適している。以下に挙げるものが特に好ましい:スズオクタノエート、亜鉛オクタノエート、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジカルボキシレート、鉄(III)アセチルアセトネート、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、水酸化テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、10〜20個の炭素原子および所望によりOH側鎖基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、鉛オクタノエート、ならびに、第三アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、N-メチル-またはN-エチルモルホリン、N,N'-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N-ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2-ジメチルイミダゾール、N-ヒドロキシプロピルイミダゾール、1-アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)、あるいは、アルカノールアミン化合物、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチル-ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2-(N,N-ジメチルアミノエトキシ)エタノールまたはN-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えば、N,N',N-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-メチル-2H-ピリミド(1,2-a)ピリミジン。
【0101】
特に好ましい触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジカルボキシレート、鉄(III)アセチルアセトネート、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-メチル-2H-ピリミド(1,2-a)ピリミジンである。
【0102】
さらなる助剤および添加剤として、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、湿潤剤、消泡剤または接着プロモーターだけでなく、さらにポリウレタン、熱可塑性ポリマー、オリゴマー、さらなる官能基を有する化合物、例えば、アセタール、エポキシド、オキセタン、オキサゾリン、ジオキソランおよび/または親水性基、例えば、塩および/またはポリエチレンオキシドが存在することができる。
【0103】
本発明の配合物との良好な相溶性を有する易揮発性溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン)を、溶媒として使用するのが好ましい。
【0104】
良好な溶解特性、低揮発性および高沸点を有する液体を、可塑剤として使用するのが好ましい。これらは、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジブチル、非ヒドロキシ官能性ポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(250〜2000g/モルの数平均分子量を有する)またはポリプロピレングリコールジメチルエーテルあるいはこれら化合物の混合物であってよい。
【0105】
1つの種類の複数添加剤を同時に使用するのが有利であることもある。もちろん、複数種類の複数添加剤を使用するのが有利であることもある。
【0106】
さらに、本発明のフォトポリマー配合物を含有する配合物から得られる層、層構造物および成形品は、通常は0.010を超える、好ましくは0.014を超える、特に好ましくは0.017を超える、非常に特に好ましくは0.020を超えるΔn値を有する。
従って、本発明のフォトポリマー配合物は、ホログラフィック媒体およびホログラフィックフォトポリマーフィルムの製造に極めて適している。
【0107】
従って、本発明はさらに、視覚ホログラムを記録するためおよび光学素子、画像または提示を製造するための本発明の媒体の使用に関する。
従って、本発明は、本発明の媒体を暴露する方法であって、書込みモノマーを化学線によって選択的に重合させる方法にも関する。
【0108】
適切なホログラフィック暴露の後、そのようなホログラフィック媒体は、例えば、光学レンズ、鏡、偏向鏡、フィルター、散乱スクリーン、回折素子、導光路、導波路、映写スクリーンおよび/またはマスクの機能を有するホログラフィック光学素子の製造に適している。
【0109】
さらに、それを用いてホログラフィック画像または提示を製造することもできる。これらは、例えば、個人肖像、機密文書における生体提示のため、あるいは広く、広告、機密ラベル、商標保護、商標ブランド化、ラベル、デザイン素子、装飾、イラスト、複数旅行チケットなどのための画像または画像構造、およびデジタルデータを表すことができる画像、特に上記物品と組合せた画像である。
【0110】
上記した全ての引用文献は、全ての役立つ目的のために、その全体が参照することにより本明細書の一部を構成する。
本発明を具体化するある種の特定の構成を示しかつ説明したが、各部分の様々な修飾および再配列を、基礎となる本発明のコンセプトの思想および範囲から逸脱することなく為しうること、および本発明が本明細書中に示しかつ説明した特定の形態に限定されないことは、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0111】
他に記すことがなければ、全ての記載した%値は、重量%に基づく。
光重合可能モノマーの屈折率の測定
透過および反射スペクトルから、試料の波長の関数として屈折率nを得た。この目的のために、試料の約100〜300nm厚みのフィルムを、酢酸ブチル中の希溶液からスピンコーティングによって石英ガラス支持体に塗布した。この層パケットの透過および反射スペクトルを、分光計(STEAG ETA-Optikから、CD測定系ETA-RT)を用いて測定し、次いで、nのスペクトル曲線および層厚みを、測定した透過および反射スペクトルに適合させた。これは分光計の内部ソフトウエアを用いて行った(これには石英ガラス基材の屈折率データがさらに必要であり、これを予めブランク測定において測定した)。屈折率nMoは、ナトリウム灯の波長589nmに関連し、従ってnD20に対応する。
【0112】
ポリマーウレタンネットワークに基づくマトリックスの屈折率の測定
屈折率nMaを測定するためのフォトポリマーマトリックスを製造するために、イソシアネート反応性成分(b)を60℃に加熱した(適切であれば)。次いで、イソシアネート成分(a)を加え、Speedmixer(Hauschildから)中で1分間混合した。次いで、成分(c)の溶液を加え、Speedmixer中で再び1分間混合した。成分(c)の溶液は、N-エチルピロリドン中で10重量%であった。溶液の対応する使用量は表1に見ることができる。なお液体である配合物を、ナイフ塗布によってガラスプレートに所望の厚みで塗布した。
【0113】
ポリマーネットワークに基づくマトリックスを、ガラス支持体上において約500〜1000μm厚みの層として調製した。この試料について、ナトリウム灯の波長589nmにおける屈折率nMaを、DIN51423-2に類似してAbbe屈折計によって測定した。従って、これはnD20に対応する。
【0114】
反射配置での2ビーム干渉によるホログラフィック媒体のホログラフィック特性DEおよびΔnの測定
「性能パラメーターEおよびΔnを測定するための、光開始剤を含むフォトポリマー配合物に基づくホログラフィック媒体の製造」の項に記載したようにして製造した媒体について、次いでそのホログラフィック特性を、図1に従う測定配置により、次のように試験した。
【0115】
He-Neレーザー(放射波長633nm)のビームを、空間フィルター(SF)および視準レンズ(CL)の助けを借りて、平行な均一ビームに変換した。信号および参照ビームの最終横断面を、虹彩絞り(I)によって固定した。虹彩絞り開口部の直径は0.4cmである。偏光依存ビームスプリッター(PBS)が、レーザービームを2つの可干渉性(コヒーレント)の同一偏光ビームに分割する。λ/2プレートによって、参照ビームの電力を0.5mWに調節し、信号ビームの電力を0.65mWに調節した。これらの電力を、試料を除去して半導体検出器(D)で測定した。参照ビームの入射角(α)は21.8°であり、信号ビームの入射角(β)は41.8°である。試料(媒体)の位置において、2つの重なりビームの干渉場は、試料に入射した2つのビームの角二等分線に垂直である明および暗ストリップの格子(反射ホログラム)を与えた。媒体中のストリップ間隔Λ(格子周期とも称される)は約225nmであった(媒体の屈折率は約1.504であると仮定される)。
【0116】
図1は、媒体の回折効率(DE)を測定したホログラフィック実験配置を示す。
図1は、λ=633nm(He-Neレーザー)におけるHMTの幾何を示す:M=鏡、S=シャッター、SF=空間フィルター、CL=コリメーターレンズ、λ/2=λ/2プレート、PBS=偏光感受性のビームスプリッター、D=検出器、I=虹彩絞り、α=21.8°、β=41.8°[これらは、試料(媒体)の外側で測定した可干渉性ビームの入射角である]。
【0117】
以下のようにして、ホログラムを媒体中に書込んだ。
・暴露時間tの間、両シャッター(S)を開いた。
・次いで、シャッター(S)を閉じながら、媒体のなお未重合の書込みモノマーを5分間拡散させた。
【0118】
ここで、書込んだホログラムを以下のようにして読んだ。信号ビームのシャッターは閉じたままであった。参照ビームのシャッターを開いた。参照ビームの虹彩絞りを、直径<1mmに閉じた。これは、媒体の回転の全角度(Ω)に対して、ビームが、常に完全に、予め書込んだホログラム中に存在することを確実にした。ここで、ターンテーブルは、コンピューター制御下に、角度増加0.05°で、Ω=0〜20°の角度範囲で通過した。到達した各角度Ωにおいて、ゼロ次数において透過したビームの電力を、対応する検出器Dによって測定し、第1次数において回折したビームの電力を、検出器Dによって測定した。回折効率は、到達した各角度Ωにおいて、以下の商として得られた:
【数2】

[PDは、回折ビーム検出器の電力であり、PTは、透過ビーム検出器の電力である]。
【0119】
上記した方法により、ブラッグ(Bragg)曲線(これは、回折効率ηを、書込んだホログラムの回転角度Ωの関数として記載する)を測定し、コンピューターに保存した。さらに、ゼロ次数において透過した強度をも回転角度Ωに対してプロットし、コンピューターに保存した。
【0120】
ホログラムの最大回折効率(DE=ηmax)、即ちそのピーク値を測定した。この目的のために、回折ビーム検出器の位置を変更して、この最大値を測定しなければならないこともあった。
【0121】
ここで、フォトポリマー層の厚みdおよび回折率コントラストΔnを、結合波理論(参照:H.Kogelnik、The Bell System Technical Journal、第48巻、1969年11月、第9号、第2909-2947頁)により、測定したブラッグ曲線および透過強度の角度変動から測定した。この方法を以下において説明する。
【0122】
反射ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)のために、Kogelnikに従って以下のことが言える:
【数3】

ここで、
【数4】

【0123】
Φは格子強度であり、χは離調パラメーターであり、ψは書込んだ屈折率格子の傾斜角である。α'およびβ'は、ホログラム書込み時の角度αおよびβに対応するが、媒体において測定されたものである。Δθは、媒体において測定した角度離調、即ち、角度α'からのずれである。ΔΩは、媒体の外側で測定した角度離調、即ち、角度αからのずれである。nは、フォトポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。λは、真空中でのレーザー光の波長である。
【0124】
χ=0、即ちΔΩ=0に対して、最大回折効率(DE=ηmax)は次の通りである:
【数5】

【0125】
回折効率、理論的ブラッグ曲線および透過強度の測定値を、図2に示すように、中心回転角Ω−αシフトに対してプロットした。光重合中の平均屈折率の変化および幾何的収縮のゆえに、DEを測定した角度がαからずれるので、x軸をシフトの辺りで中心とした。通常、このシフトは0〜2°である。
【0126】
DEがわかっているので、Kogelnikに従う理論的ブラッグ曲線の形状は、フォトポリマー層の厚みdのみによって決定される。次いで、Δnを、所与の厚みdに対してDEにより補正して、DEの測定および理論が常に一致するようにした。ここで、理論的ブラッグ曲線の最初の第2極小値の角度位置が、透過強度の最初の第2極大値の角度位置に一致するまで、さらに、理論的ブラッグ曲線と透過強度の半値全幅(FWHM)が一致するまで、dを適合させた。
【0127】
反射ホログラムがΩスキャンによる再構成時に同速回転する方向、しかし回折光のための検出器は限定された角度範囲をカバーできるのみであるので、広いホログラム(小さいd)のブラッグ曲線は、Ωスキャンにおいて完全にカバーされておらず、適切な検出器位置にある場合に中心領域のみである。従って、ブラッグ曲線を補完する透過強度の形状を、さらに層厚みdを適合させるために使用した。
【0128】
図2は、角度離調ΔΩに対する、Kogelnikに従うブラッグ曲線η(点線)、測定した回折効率(黒丸)、および透過電力(黒線)のプロットを示す。光重合中の平均屈折率の変化および幾何的収縮のゆえに、DEを測定した角度がαからずれるので、x軸をシフトの辺りで中心とした。通常、このシフトは0〜2°である。
【0129】
配合物のために、この操作を様々な媒体において異なる暴露時間tで数回繰り返して、DEが飽和値を達成するホログラムの書込み中の入射レーザービームの平均エネルギー用量を測定した。この平均エネルギー用量Eは、角度αおよびβで調整した2部分ビームの電力[P(α)=0.50mWおよびP(β)=0.67mW]、暴露時間tおよび虹彩絞りの直径(0.4cm)から、以下のようにして得られる:
【数6】

これら部分ビームの電力を、同じ電力密度が、使用した角度αおよびβで媒体において達成されるように適合させた。
【0130】
また、図1に示した配置に等価な試験を、真空中で放射波長λ532nmを有する緑色レーザーを用いて行った。それでは、αは11.5°であり、βは33.5°であり、P(α)は2.00mWであり、P(β)は2.00mWであった。
【0131】
本発明における振動レオメーターによるフォトポリマーのプラトーモジュラスG0の測定
プラトーモジュラスG0を測定するためのフォトポリマー配合物を製造するために、成分(B)および所望により添加剤を、所望により60℃でイソシアネート反応性成分(b)に溶解した。所望により、乾燥オーブン中で10分間までの60℃への加熱を行った。次いで、イソシアネート成分(a)を加え、Speedmixer中で1分間混合した。次いで、酢酸ブチル中の成分(c)の溶液を加え、Speedmixer中で再び1分間混合した。酢酸ブチル中の成分(c)の濃度は10重量%であった。この溶液を、表2に記載した量で使用した。
【0132】
次いで、なお液体である配合物を、予め50℃に加熱したオーブンモデルCTD 450を装備したレオメーター(Anton Paar Physicaから、モデルMCR 301)のプレート-プレート測定系に導入した。次いで、フォトポリマー配合物のマトリックスの硬化を、時間とともに、以下の条件下で測定した:
・プレート間隔250μm;
・一定の円振動数ω0 10rad/秒および調節した変形の大きさ1%における振動測定モード;
・温度50℃、標準の力調節 0ニュートン設定;
・少なくとも2時間の測定時間にわたって、またはG'の一定値Gmaxに到達するまで貯蔵モジュラスG'を記録する。
【0133】
次いで、フォトポリマー配合物に対して周波数掃引を行って、ポリマーネットワークに特徴的なプラトーモジュラスG0に到達するのを確実にした。以下の条件を選択した:
・円振動数範囲0.5rad/秒<ω<300rad/秒および調節した変形の大きさ1%における振動測定モード;
・温度50℃、標準の力調節 0ニュートン設定;
・円振動数ωにわたって貯蔵モジュラスG'を記録する。
【0134】
G'が、記載した円振動数範囲内で、最大値を基準に30%未満で変化する場合に、Gmaxは、測定されるべきプラトーモジュラスG0であると考えられる。典型的な測定された曲線の例が図3に見られる。
図3は、マトリックスネットワーク硬化の曲線(左)およびプラトー挙動の試験(ωとは無関係のG')(右)を示す。
【0135】
プラトーモジュラスG0を、文献(M.Doi、S.F.Edwards、「ポリマー動力学の理論」、Oxford Science Publications、1986)に従って次のように、2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの平均分子量MCと関連付けることができる:
【数7】

[ここで、Rはアボガドロ定数であり、Tは絶対温度(ケルビン)であり、ρは質量密度であり、これは、単純化のために常に1g/cm3に設定した]。
小さいプラトーモジュラスG0または2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの大きい平均分子量MCは、低架橋密度を有するネットワークを特徴付ける。
【0136】
使用したイソシアネート(成分a)
Desmodur XP 2410は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の実験生成物であり、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネートである;イミノオキサジアジンジオンの割合:少なくとも30%;NCO含量:23.5%(成分a1)。
Desmodur XP 2580は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の実験生成物であり、ヘキサンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネートである;NCO含量:約20%(成分a2)。
Desmodur XP 2599は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の実験生成物であり、Acclaim 4200に基づくヘキサンジイソシアネートの全アロファネートである;NCO含量:5.6〜6.4%(成分a3)。
【0137】
成分(4a)の製造
成分(4a)は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の実験生成物であり、ヘキサンジイソシアネートおよびAcclaim 4200のウレタンである;NCO含量:18.5%。
初めに、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(315.0g)を、丸底フラスコに撹拌しながらおよびN2を通気しながら導入し、二塩化イソフタロイル(0.016g)およびジブチルスズジラウレート(2滴、約0.040g)を加えた。この混合物を100℃に加熱し、Acclaim 4200(数平均分子量4000g/モルのポリプロピレンオキシド)(478.68g)を75分間で加えた。NCO値が18.5%に到達するまで撹拌を続けた。次いで、室温まで冷却することによって反応を停止させた。次いで、過剰のHDIを、140℃における薄膜蒸発器による蒸留によって分離した(HDIの残留<0.1%)。生成物が無色液体として得られた。これは、部分的にアロファネート構造を有し、平均官能価が約2.6である。
【0138】
使用したイソシアネート反応性成分(成分b)
ポリオール(b1)の製造
ポリオール(b1)は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の実験生成物であり、Terathane 650とε-カプロラクトンのブロックコポリマーである。
初めに、亜鉛オクタノエート(0.25g)、ε-カプロラクトン(172.29g)および2官能ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量325g/モルOH)(27.46g)を、1Lフラスコに導入し、150℃に加熱し、固体含量(非揮発性成分の割合)が99.5重量%またはそれ以上になるまで、該温度で維持した。次いで、冷却を行い、生成物を粘稠液体として得た。
【0139】
ポリオール(b2)の製造
ポリオール(b2)は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の実験生成物であり、Terathane 1000とε-カプロラクトンのブロックコポリマーである。
初めに、亜鉛オクタノエート(0.18g)、ε-カプロラクトン(374.8g)および2官能ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/モルOH)(374.8g)を、1Lフラスコに導入し、120℃に加熱し、固体含量(非揮発性成分の割合)が99.5重量%またはそれ以上になるまで、該温度で維持した。次いで、冷却を行い、生成物をワックス状固体として得た。
【0140】
ポリオール(b3)は、数平均分子量4000g/モルのポリプロピレンオキシドであり、商標名Acclaim 4200のもとで市販されている(Bayer MaterialScience、Leverkusen、独国から)。
ポリオール(b4)は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの2官能コポリエーテルであり、全体として50%割合のエチレンオキシドを含み、当量984.2g/モルを有する。
【0141】
ポリオール(b5)の製造
Terathane 1000(3.621kg)を、撹拌機を装備した20Lの反応タンクに計量導入し、DMC触媒(525mg)を加えた。次いで、約70rpmで撹拌しながら105℃に加熱した。3回にわたる真空の適用と窒素による真空の排除によって、空気を窒素に交換した。撹拌機の速度を300rpmに高めた後、真空ポンプを運転しながら約0.1バールの圧力で54分間にわたり、窒素を下部から混合物に通した。次いで、窒素により圧力を0.2バールにし、重合開始のためにプロピレンオキシド(PO)(363g)を導入した。これにより、圧力が2.42バールに上昇した。7分後に、圧力が再び0.34バールに低下し、さらにPO(11.379kg)を、2時間29分間にわたり2.9バールで計量導入した。PO導入の終了から47分後に、1.9バールの残留圧力において真空を適用し、完全な脱ガスを行った。生成物を、Irganox 1076(7.5g)の添加によって安定化し、無色の粘稠液体(OH価:27.6mgKOH/g、25℃での粘度:1498mPas)として得た。
出発物質であるDMC触媒は、欧州特許出願公開第700949号に記載される方法によって得られる、亜鉛ヘキサシアノコバルテート(III)に基づく2金属シアニド触媒である。
【0142】
使用した触媒(成分c)
Fomrez UL28:ウレタン化触媒、ジメチルビス[(1-オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、Momentive Performance Chemicals(Wilton、CT、米国)の市販製品(N-エチルピロリドン中の10%濃度溶液として使用)(成分c1)。
【0143】
使用した放射線硬化性基(成分B)
成分(B1):エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート
【化4】

Sartomer Company(502 Thomas Jones Way Exton、PA 19341、米国)。
屈折率nD20=nMoが1.543(製造元データシートの情報)。
【0144】
成分(B2):プロパン-2,2-ジイルビス[(2,6-ジブロモ-4,1-フェニレン)オキシ(2-{[3,3,3-トリス(4-クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン-3,1-ジイル)オキシエタン-2,1-ジイル]ジアクリレート
【化5】

【0145】
成分(B2)のための前駆体V1:初めに、トルエン(1.5L)中のヒドロキシエチルアクリレート(1.1kg)およびテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル(D.E.R.542、Dow Chemicalsから、米国)(215.3g)を、還流コンデンサーを備えた6Lフラスコに導入した。この溶液に室温で三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯塩(1.06g)を滴下し、室温でさらに24時間、撹拌を行った。次いで、トルエン(1.3kg)を用いて希釈を行い、水(2.5kg)中の重炭酸ナトリウム(9g)を用いて加水分解を行った。分離した有機相を、水(2.5kg)で3回洗浄し、GCによってヒドロキシエチルアクリレートを調べた。この有機相を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いで、溶媒を5mバールで留去し、冷却を行った。
【0146】
初めに、tert-ブチルメチルエーテル(1.5kg)中の前駆体V1(140.2g)を、還流コンデンサーを備えた6Lフラスコに導入し、室温で溶解した。3,3,3-トリス(4-クロロフェニル)プロピオン酸(136.8g)、ジメチルアミノピリジン(3.67g)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(69.3g)を加えた。短時間の後、わずかに発熱性の反応が同時沈殿を伴って始まった。撹拌を、室温で1時間続けた。濾過を行い、残留物を、各回に875mlの0.2モル/M塩酸水溶液を用いて2回洗浄した。次いで、濾液を飽和NaCl溶液(875ml)とともに30分間撹拌し、分離漏斗で分離した。有機相を飽和NaCl溶液(875ml)で4回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。残留物に2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(KB)(0.88g)を加えた。次いで、溶媒を5mバールで留去し、冷却を行い、イソプロパノール(2.6L)を用いて沸騰させ、冷却を行った(3回)。得られた残留物をtert-ブチルメチルエーテル(1.3L)に取り、珪藻土を加え、濾過を行い、溶媒を5mバールで留去し、冷却を行った。
屈折率nMoは1.603である。
【0147】
成分(B3):ホスホロチオイルトリス(オキシ-4,1-フェニレンイミノカルボニルオキシエタン-2,1-ジイル)トリアクリレート
【化6】

初めに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(0.1g)、酢酸エチル中のトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートの27%濃度溶液(Desmodur RFE;Bayer MaterialScience AGの製品)(213.07g)を、500mlの丸底フラスコに導入し、60℃に加熱した。次いで、2-ヒドロキシエチルアクリレート(42.37g)を滴下し、イソシアネート含量が0.1%以下に低下するまで、混合物をさらに60℃に維持した。次いで、冷却を行い、酢酸エチルを真空下で完全に除去した。生成物を半結晶性固体として得た。
屈折率nMoは1.579である。
【0148】
成分(B4):2-({[3-(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロパ-2-エノエート
【化7】

初めに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(0.02g)、Desmorapid Z(0.01g)、3-(メチルチオ)フェニルイソシアネート(11.7g)を、100mlの丸底フラスコに導入し、60℃に加熱した。次いで、2-ヒドロキシエチルアクリレート(8.2g)を滴下し、イソシアネート含量が0.1%以下に低下するまで、混合物をさらに60℃に維持した。次いで冷却を行った。生成物を淡黄色液体として得た。
屈折率nMoは1.576である。
【0149】
使用した光開始剤系(成分C)
系:ニューメチレンブルー+CGI(成分C1)の説明
ニューメチレンブルー(0.1g)、CGI 909(Ciba Inc.の実験生成物、Basel、スイス国)(1.00g)を、暗所でまたは適当な照明のもとで、ビーカー中のN-エチルピロリドン(3.50g)に溶解した。この溶液の対応する重量%(表3を参照)を、試料媒体の製造に使用した。
【0150】
系:サフラニンO+CGI(成分C2)の説明
サフラニンO(0.1g)、CGI 909(Ciba Inc.の実験生成物、Basel、スイス国)(1.00g)を、暗所でまたは適当な照明のもとで、ビーカー中のN-エチルピロリドン(3.50g)に溶解した。この溶液の対応する重量%(表3を参照)を、試料媒体の製造に使用した。
【0151】
屈折率nMaを測定するためのフォトポリマー配合物のマトリックス成分(A)として、以下の3次元架橋ポリマーを上記した方法によって調製した。
表1は、正確な組成を記載するものである。
【表1】


表1は、589nmにおいて屈折率nMaを測定するためのマトリックス成分(A)を示す。NCO:OHは、それぞれの成分(A)中の成分(a)および(b)の官能基の当量数の比を示す。
【0152】
プラトーモジュラスG0を測定するための光開始剤を含まないフォトポリマー配合物の調製
表2は、プラトーモジュラスG0を測定するためのフォトポリマー配合物の研究した例を挙げるものである(これらは、その組成に排他的な特徴を有さない)。これらのフォトポリマー配合物を、「振動レオメーターによるフォトポリマーnプラトーモジュラスG0の測定」の項に記載した方法に従って調製した。
【0153】
【表2】


表2は、プラトーモジュラスG0および架橋密度 1/MCについて研究したフォトポリマー配合物を示すものである。
【0154】
性能パラメーターEおよびΔnを測定するための、光開始剤を含むフォトポリマー配合物に基づくホログラフィック媒体の製造
フォトポリマー配合物をホログラフィック媒体(表3を参照)の製造に使用した。その際に、フォトポリマーを、それぞれ1mm厚みのガラスプレート間の層として製造した。この種のホログラフィック媒体は、その性能を「反射配置での2ビーム干渉によるホログラフィック媒体のホログラフィック特性DEおよびΔnの測定」の項に記載した方法によって測定するのに特に適するものであり、従って、特許請求の範囲の記載に関連して、使用したフォトポリマー配合物がプラトーモジュラスG0および/またはQ=MC/MMoの点で特許請求の範囲に記載した特性を満たしているなら、該ホログラフィック媒体への限定を意味するものではない。
【0155】
ホログラフィック媒体の製造例
ホログラフィック媒体を製造するために、成分(B)、成分(C)[これは成分(B)に予め溶解しておいてもよい]および所望により添加剤を、暗所において、所望により60℃でイソシアネート反応性成分(b)に溶解し、次いで、20μmのガラスビーズ(例えば、Whitehouse Scientific Ltdから、Waverton、Chester、CH3 7PB、英国)を加え、十分に混合した(Speedmixer)。所望により、乾燥オーブン中、60℃で10分間以下の加熱を行った。次いで、イソシアネート成分(a)を加え、Speedmixer中で再び1分間の混合を行った。次いで、成分(c)の溶液を加え、Speedmixer中で再び1分間の混合を行った。得られた混合物を、撹拌しながら<1mバールで30秒間以下の脱ガスにかけ、次いで、これを50×75mmのガラスプレート上に広げ、そのそれぞれを別のガラスプレートで覆った。PU配合物の硬化は、15kg重量下で数時間かかって起こった(通常は一晩)。一部の場合に、光の入らないパッケージ中、60℃でさらに2時間、媒体を後硬化させた。異なる初期粘度および異なる硬化速度のマトリックスを有する異なる配合物は、常に同じ層厚みdのフォトポリマー層を導く訳ではないので、各試料のために書込んだホログラムの特性とは独立してdを測定した。
【0156】
【表3】


表3は、性能ΔnおよびEについて試験したホログラフィック媒体を示すものである。
【0157】
合同したG0、MC、MMoおよびΔnからの結果
用量E(mJ/cm2)において、G0(MPa)、MC(g/モル)、Q=MC/MMoおよびΔnに対して以下の測定値が得られた。これらを表4に示す。
【表4】


表4は、選択した例の評価を示すものである。*を付した値は、λ=633nmを用いる代わりにλ=532nmを用いて測定した。
【0158】
驚くべきことに、ホロフィック媒体に対して見いだされたΔn値は、プラトーモジュラスG0が1.0MPa未満であるか、または2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの当量平均分子量MCが2685g/モルを超えるフォトポリマー配合物、特に好ましくは比MC/MMoが3.30を超えるフォトポリマー配合物が、0.010を超えるΔn値が達成されるため、ホログラフィック媒体において使用するのに非常に適していることを示す。
【0159】
さらに、これらは、このフォトポリマー配合物のための設計基準が、マトリックスと光重合可能モノマーの間の屈折率相違と同一またはそれより大きい意義を有すること(例えばM7またはM4と比較してM14を参照)、あるいは、この設計基準が、この屈折率相違が一定である既存のフォトポリマー配合物をその性能においてさらに改善すること(例えばM5またはM3と比較してM6を参照)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスとして3次元架橋した有機ポリマー(A)またはその前駆体、該マトリックス中の溶液または分散液として存在し、化学線の作用下での重合によってエチレン性不飽和化合物と反応する基を含む化合物(B)、および(C)少なくとも1つの光開始剤を含んでなるフォトポリマー配合物であって、該3次元架橋した有機ポリマーのネットワーク密度が、2つのポリマー鎖を架橋するセグメントの平均分子量MCとして表して、少なくとも2685g/モルであるフォトポリマー配合物。
【請求項2】
3次元架橋した有機ポリマーのネットワーク密度が、7500〜55000g/モルの範囲内である請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項3】
分子量MCと(B)の数平均分子量MMoとの比Qが3.30を超える請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項4】
比Qが10.00を超える請求項3に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項5】
3次元架橋した有機ポリマーがウレタン基を含む請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項6】
3次元架橋した有機ポリマーが、イソシアネート成分(a)およびイソシアネート反応性成分(b)から構成される請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項7】
(A)が、イソシアネート成分(a)およびイソシアネート反応性成分(b)を含んでなる請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項8】
成分(a)が、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するHDIに基づくポリイソシアネート、あるいは、HDIおよび/またはTMDIとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールとに基づくアロファネートおよび/またはウレタン構造を有するNCO官能価2〜5のプレポリマーを含んでなる請求項7に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項9】
成分(b)が、OH官能価が1.5〜6であり、数平均分子量が200〜18000g/モルである、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよび/またはこれらのランダムまたはブロックコポリマーの形態での組合せおよび/またはモノマー単位としてテトラヒドロフラン、ブチレンオキシドまたはε-カプロラクトンをさらに含む上記した種類のブロックコポリマーを含んでなる請求項7に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項10】
化合物(B)が、1.54を超える屈折率nD20を有する請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項11】
化合物(B)が、放射線硬化性基としてアクリレートおよび/またはメタクリレート基を含んでなる請求項1に記載のフォトポリマー配合物。
【請求項12】
請求項1に記載のフォトポリマー配合物から製造した視覚ホログラムの記録に適する媒体。
【請求項13】
請求項12に記載の媒体から製造した光学素子、画像または提示。
【請求項14】
化学線によって書込みモノマーを選択的に重合させることを含んでなる請求項12に記載の媒体の暴露方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−111858(P2010−111858A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−229372(P2009−229372)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】