説明

低減した血中応答を有する低減可消化炭水化物食物

可消化炭水化物に基づく物質中の可消化炭水化物の消化を低減し、小腸おいて可消化炭水化物の消化生成物(すなわち、単糖類)の吸収を低減する。未消化の可消化炭水化物及び未吸収の可消化生成物は、小腸を通って大腸に入り、そこで発酵する。事実、本発明の実施により作られる食物物質は、制御された量の可消化炭水化物を小腸を過ぎて通させ、結果的に大腸において可消化炭水化物を発酵させる。本発明は、また、可消化炭水化物に基づく成分を非消化食物膜物質と共に加工して、可消化炭水化物の消化を抑制又は防止できる保護食物膜網状組織を有する、低減可消化炭水化物食物を形成する。本発明は、また、可消化炭水化物に基づく成分を非消化食物膜物質と共に加工して、可消化炭水化物の消化を抑制又は防止することができる及び小腸において可消化炭水化物の消化生成物の吸収を抑制することができる粘性腸糜粥の形成に寄与する粘度増強成分を含有する、得られる低減可消化炭水化物食物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可消化炭水化物を含有する食物及び食物成分に関する。
【背景技術】
【0002】
1985年に世界保健機関(WHO)は世界中で3千万人が糖尿病を患っていると推測した。1995年までにこの数字は1億3千5百万人に増加した。測定数は2000年にまた1億7千7百万人に増加した。この数字は、2030年までには3億7千万人に達すると予測される。2000年には1千7百万人のアメリカ人が糖尿病であると推測された。現在、成人の糖尿病は地球規模の健康問題である。発展途上国の住民、少数派、及び先進工業国の貧しい地域は、より大きな危険性に直面している。
【0003】
WHOにより定義される肥満の世界的な発生は、過去7年間の間でも12%から18%まで上昇した。統計的には、世界の人口の5人に1人が肥満である。米国は、現在「肥満の首都」であり、成人人口の64%超が過体重である。米国の1999年から2000年までの国民健康栄養調査(HNANES)の結果は、子供及び若者(年齢6〜19歳)の推定15%が過体重であることを示している。
【0004】
糖尿病又は過体重のいずれであっても、高血圧、異脂肪血症、2型糖尿病、冠状動脈性心疾患、発作、胆のう疾患、骨関節症、睡眠時無呼吸、呼吸困難、並びに子宮体癌、乳癌、前立腺癌、及び大腸癌による死亡の危険性が大幅に高まる。2002年には、肥満及び糖尿病の治療に直接起因すると推定される米国の医療費は、年間約2千億ドルであった。
【0005】
これらの疾患に関連する共通の要因は、可消化炭水化物の代謝における機能不全である。この機能不全は、異常なレベルの血糖及びインスリンにより引き起こされる。インスリンは脂肪の生成及び貯蔵を促進する。血流中の高い平均濃度(>180mg/dl)のグルコースは、臓器タンパク質に結合し(グリコシル化)、臓器機能の劣化をもたらす。グリコシル化の測定は、グルコースがヘモグロビンに結合している程度を確定するHbA1c血液検査による。この測定は、試験前の3か月間にわたって血流中の平均グルコース濃度を推定する。8.0%を超えるHbA1c検査結果(>180mg血糖/dl)は、重篤な眼、心臓血管、循環器、腎臓、及び神経の疾患を含む臓器損傷の高まる潜在的可能性の指標である。
【0006】
糖尿病患者及び過体重又は肥満の人たちにとって、高血糖反応の食物、すなわち摂取の直ぐ後で異常に高い血糖値となるものを避けることが重要である。代わりに、糖尿病患者及び体重を制限している人たちは、相対的に低血糖応答(血糖応答又は指数)を有する食物が必要であり、それにより血液中へのグルコース放出の速度が遅くなる。血液中へのグルコースの放出の速度を遅くすると、高血糖(高血糖症)及び低血糖(低血糖症)の両方の危険性を低下させる。摂食後(食事の後)2時間の血糖値を限りなく正常(140mg/dl)に近く維持できると、相当な健康上の利益が得られることが示唆されてきた。この目的を達成するについての問題が、可消化炭水化物の多い大量の食物が摂取された場合に体験される。そのような食物には、典型的には、製パン製品、パスタ、米飯、スナック、ポテト、ソース、グレイビーソース、飲物、スープ、キャセロール及びキャンディーが挙げられる。高濃度の可消化デンプン及び/又は糖を含有するこれらの食物は、特に、過剰に食される場合、摂食後2時間の血糖値を著しく増加させる。
【0007】
食欲抑制は、摂食後2時間の血糖値を通常に維持するための別の理由である。
ここに、重要性が存在し、高濃度の可消化炭水化物を含有する人気のある食物の消費に
よりもたらされる血糖応答を低下する必要性が存在する。「高濃度の可消化炭水化物」の正式な定義はないが、全米科学アカデミーの医学研究所の食品栄養委員会は、子供及び成人の総可消化炭水化物の1日あたりの推奨摂取量(RDA)を130g/日と設定した。人口の大多数が典型的な食事を摂取する場合、このRDAをいかに容易に超えてしまうかは、明白である。
【0008】
糖尿病は、体のインスリンを適切に産生する能力、または有効に利用する能力の欠如により引き起こされる、可消化炭水化物の代謝における機能不全である。インスリンは、血糖の細胞への移動を促進するために必要であり、細胞で血糖はエネルギーに変換される。グルコースの細胞への移動の失敗は、上昇した血糖値をもたらす(正常空腹時血糖値は、70〜100mg/dlである)。二種類の糖尿病状態があり、若年発症糖尿病(I型)及び成人発症糖尿病(II型)である。I型糖尿病において、体はインスリンを産生しない。インスリンの投与が血糖値を正常値に低下するために必要である。II型糖尿病では、体は、十分なインスリンを産生しないか、又は細胞は、インスリンを有効に使用してグルコースの細胞への移動を促進する能力を欠いている(インスリン抵抗性)。
【0009】
肥満も可消化炭水化物の代謝における機能不全である。高血中インスリン濃度は、自己投与からもたらされるか、又はインスリン抵抗性の結果もたらされる。インスリン抵抗性が起こると、グルコース濃度が上昇し、更なるインスリン産生のシグナルを送る。したがって、血中インスリン濃度が過剰になる。グルコース代謝を調節するインスリンの役割に加えて、インスリンは、脂肪の合成(脂肪生成)を刺激し、脂肪の分解(脂肪分解)及びエネルギーへの変換を減少させる。したがって、高濃度のインスリンは、脂肪生成及び貯蔵を増加し、過体重及び肥満の条件をもたらす。
【0010】
血糖値及び関連するインスリン濃度を低下する主な手法は、摂食後グルコース反応を最低限にする食事の厳守である。しかし、正常な血糖値をもたらす食事へのコンプライアンスは、典型的な食事で毎日摂取される食物の大部分が高濃度の可消化炭水化物を有するために困難である。そのため、食品及び食事管理システムが、糖尿病の発症及び合併症を低減するため、血糖値をできるだけ正常に近づけるように制御及び維持することを支援するのに必要である。より詳細には、広く摂取され、従来の、デンプン質で、甘い食品の低可消化炭水化物型の食品の必要性が存在する。
【0011】
過体重であること又は糖尿病を持っていることは、大きな公衆衛生上の挑戦であると結論づけることができる。これらの疾患は、流行病であり、世界的に主な死亡原因であることを表わしている。これらは、また、主に、可消化炭水化物の代謝における機能不全を引き起こす小腸での可消化炭水化物の消化及び吸収が低下すると、1)減量及び体重制御の促進を助ける、2)II型糖尿病の発症の低下を助ける、3)糖尿病及び肥満の状態からもたらされる罹患率及び死亡率を低減する、4)より良好な健康を促進する、及び5)医療費を低減することができる。
【0012】
血糖ではない(血糖応答を生じない)食物成分で可消化炭水化物の濃度を希釈することによって、低濃度の可消化炭水化物を含有する食物を製造することは慣用の技術である。高濃度の可消化炭水化物を有する典型的な食物は、タンパク質、食物繊維、脂肪、及び難消化性デンプンで希釈される。低血糖食物を製造する希釈手法は、幾つかの欠点を有する:1)消化抵抗性炭水化物物質の価格は、低価格可消化炭水化物を典型的には5〜15倍高価な成分と代えるために、通常、更に著しく高価である、2)低可消化炭水化物食物は、通常、高濃度の可消化炭水化物の食物と同じ摂取者の受容性がない、3)非標準食物を利用する食事のコンプライアンスは、感覚受容性が乏しく、適切な栄養と同時に食べる喜びを提供するのに必要な低炭水化物食物の入手可能性が制限されるので、難しくなる可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、1)少なくとも50重量%の利用可能な炭水化物であって、利用可能な炭水化物が少なくとも15重量%の保護炭水化物を含む、利用可能な炭水化物と、2)非消化性保護物質とを含む、低減可消化炭水化物食物に関連する。
【0014】
本発明は、また、1)保護炭水化物を含む利用可能な炭水化物と、2)a)少なくとも10重量%の(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、のうちの少なくとも1つ;及びb)少なくとも35重量%の、グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤、を含む非消化性保護物質とを含む、低減可消化炭水化物食物に関する。
【0015】
本発明は、また、練り粉から作られている低減可消化炭水化物食物であって、練り粉が、1)可消化炭水化物を含む可消化炭水化物に基づく成分と、2)非消化性保護物質とを混合することにより作成される、低減可消化炭水化物食物に関する。非可消化保護食品添加物は、a)少なくとも10重量%の(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、のうちの少なくとも1つ;及びb)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択される少なくとも35重量%のレオロジー調整剤を含む。
【0016】
本発明は、また、マトリックス構造を有する低減可消化炭水化物食物であって、1)保護炭水化物を含む利用可能な炭水化物、及び2)マトリックス内に食物膜網状組織を形成する非消化保護物質であり、非消化保護物質が、約50ダイン/cm2を超える破断強さの値、少なくとも約10%の破断点伸び及び20℃で水中10重量%の濃度で少なくとも約500cPの粘度を有する非消化保護物質を含む、低減可消化炭水化物食物に関する。
【0017】
本発明は、また、マトリックス構造を有する低減可消化炭水化物食物であって、1)別個の単位の形態の可消化炭水化物に基づく成分であり、成分が利用可能な炭水化物を含み
、利用可能な炭水化物の一部が保護炭水化物を含む、可消化炭水化物に基づく成分、及び2)保護炭水化物に消化保護を提供するために、別個の単位を取り囲む食物膜網状組織を形成する非消化保護物質を含む、低減可消化炭水化物食物に関する。
【0018】
本発明は、また、低減可消化炭水化物成分の作成方法であって、1)利用可能な炭水化物の量を含む可消化炭水化物に基づく成分を準備する工程、2)非消化保護親水コロイド混合物を準備する工程、及び3)非消化親水コロイド混合物を有する可消化炭水化物に基づく成分を、少なくとも10%の炭水化物消化抵抗を有する低減可消化炭水化物成分を形成するのに十分な剪断条件下で剪断(shear)する工程、を含む方法に関する。
【0019】
本発明は、また、低減可消化炭水化物成分の作成方法であって、1)利用可能な炭水化物及び内在性非消化親水コロイドを含む可消化炭水化物に基づく成分を準備する工程、及び2)可消化炭水化物に基づく成分を、少なくとも10%の炭水化物消化抵抗を有する低減可消化炭水化物成分を形成するのに十分な剪断条件下で剪断(shear)する工程、を含む方法に関する。
【0020】
本発明は、また、食事に応答する血糖を低減する方法であって、1)非消化保護成分の有効量を含む低減可消化炭水化物食物を準備する工程、2)可消化炭水化物を含む第2食物を準備する工程、3)低減可消化炭水化物食物及び第2食物を含む食事を摂取する工程、及び4)食物又は食事を共消化する工程であって、それにより非消化保護成分が、第2食物中の可消化炭水化物を消化から保護し、第2食物の血糖応答を低減する工程、を含む方法に関する。
【0021】
本発明は、また、可消化炭水化物を含む可消化炭水化物に基づく成分及び非消化保護物質から作られている低減可消化炭水化物食物であって、低減可消化炭水化物食物の血糖負荷が、非消化保護物質による低減可消化炭水化物食物のあらゆる希釈物を除いて、可消化炭水化物に基づく成分から作られている従来の食物の血糖負荷よりも少なくとも30%低い、低減可消化炭水化物食物に関する。
【0022】
本発明は、また、可消化炭水化物を含む可消化炭水化物に基づく成分及び非消化保護物質から作られている低減可消化炭水化物食物であって、低減可消化炭水化物食物の血糖指数が、非消化保護物質による低減可消化炭水化物食物のあらゆる希釈物を除いて、可消化炭水化物に基づく成分から作られている従来の食物の血糖指数よりも少なくとも30%低い、低減可消化炭水化物食物に関する。
【0023】
本発明は、また、a)(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、及び(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、のうちの少なくとも1つと、b)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤とを含む、非可消化保護食品添加物に関する。
【0024】
本発明は、また、それが添加される食物の血糖応答を低減するための、上記食品添加物の使用に関する。
【0025】
本発明は、また、1)可消化炭水化物に基づく粉、及び2)非消化保護成分を含む、粒状形態の低減可消化炭水化物の粉に関する。
【0026】
本発明は、また、a)小麦、ライ麦、大麦、オート麦、モロコシ、米、トウモロコシ、及びジャガイモの粉からなる群より選択される穀物粉と、b)(1)(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、のうちの少なくとも1つ;及び(2)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤、からなる群より選択される非消化保護物質とを含む、低減可消化炭水化物パスタに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
定義:
本明細書で使用されるとき、用語「総炭水化物」は、食物又は食物成分中の可消化炭水化物と食物繊維物質の質量を意味する。食物中の総炭水化物の濃度を決定する伝統的な方法は、脂肪、タンパク質、水分及び灰分(無機質)を分析的に差し引くことである。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「利用可能な可消化炭水化物」及び「利用可能な炭水化物」は、通常、小腸の環境で消化可能である炭水化物を意味する。この用語は、また、「総炭水化物」から消化可能ではない食物繊維を差し引いたものとして定義される。利用可能な炭水化物には、典型的には、単糖類、オリゴ糖類及び多糖類が挙げられる。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「可消化炭水化物」は、実際に小腸で消化される食物中の可消化炭水化物であり、すなわち、これらは、小腸で酵素的に単糖に分解され、血流に吸収される。可消化炭水化物は、小腸で消化される利用可能な炭水化物の一部分である。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「保護炭水化物」は、小腸で消化されることから防止又は保護され、そして大腸へ運ばれる、食物中の利用可能な炭水化物の一部分である。保護炭水化物は、消化されることから保護される可消化炭水化物である。
【0031】
本発明は、食品及び食物成中で見出される、デンプンを含む二糖類、オリゴ糖類及び多糖類のような可消化炭水化物の消化の低減を提供する。糖類、穀類及び根菜類は、可消化炭水化物の主要な供給源である。野菜、果物、乳製品、豆果類及び豆類もまた食事に可消化炭水化物を寄与する慣用のものである。
【0032】
本発明は、また、摂取された食物からの可消化炭水化物(すなわち、吸収性糖類)の、並びに摂取の前に食物に存在する糖類の一部分の消化物の、小腸の壁から血流への吸収を防止することを提供する。
【0033】
消化プロセスにおいて、摂取された食物からの多糖類及びオリゴ糖類は、小腸中でα−アミラーゼにより二糖類に分解されなければならない。デンプン又はオリゴ糖の分解物として得られる二糖類及び食物中の他の常在二糖類は、腸のブラシ縁膜に付着しているヒドロラーゼにより単糖類に分解され、単糖類は、小腸の壁を通って血流に吸収される。
【0034】
食物中の可消化炭水化物の一部分の消化を低減することは、その食物の血糖応答を低減する。食物の血糖応答は、試験食物又は対象食物の一人分の量を摂取することから得られる血糖曲線の増大領域である。一人分の食物の血糖応答と等しいグルコース濃度は、グルコースのグラムで表わされる一人分の食物の血糖負荷である。一人分の食物の血糖負荷は、消化される食品中の可消化炭水化物の濃度と同等であり、これもグラムで表わされる。
【0035】
したがって、本発明は、また、利用可能な可消化炭水化物の小腸内での消化及び吸収を制限することによって、血糖値の減衰を提供する。あらゆる特定の理論に束縛されるものではないが、保護炭水化物は、小腸を通って大腸に至り、可消化炭水化物含有食物の血糖、血液脂質及びカロリー寄与を低減させ、食物繊維の効果を向上させると考えられる。保護炭水化物は可消化炭水化物であり、これは利用可能であり、消化されやすいが、非消化保護成分の食品への加工の結果として小腸で消化及び吸収されない。
【0036】
本発明の一つの実施態様は、低減可消化炭水化物食物、並びに食物中に利用可能な可消化炭水化物のための炭水化物消化抵抗を提供するため及び食物に対する血糖応答を低減するための、非消化親水コロイド物質の使用によるそれらの作成方法に関する。可消化炭水化物に基づく成分と非消化親水コロイド物質を加工することは、得られる食物から実際に消化される炭水化物の濃度を低減できる。可消化炭水化物に基づく成分には、小麦及び大麦のような穀物類、トウモロコシ及び米のようなイネ科植物、大豆、豆類、及びヒヨコマメ(yellow chickpeas)のような豆果類、ジャガイモのような塊茎類を包含する果物及び植物性粉を挙げることができる。本発明は、可消化炭水化物を含有する食物又は食物成分の血糖応答を低減する幾つかの方法を提供する。
炭水化物を消化から保護する
本発明は、炭水化物に基づく食物成分の可消化炭水化物の一部分に保護を提供するための、典型的には親水コロイドを含む非消化物質(NDM)の使用に関する。非消化物質は、典型的には、利用可能な炭水化物の一部分を保護炭水化物に変換するために、炭水化物に基づく食物成分と共に加工される。保護は、得られる食物の血糖効果を低減できる。
【0037】
したがって可消化炭水化物を含有する食物の血糖効果は、非消化成分を幾通りかの方法で使用することにより制御できる。
非消化食物膜成分及び網状組織
第1には、非消化物質を非消化食物膜成分(FFC)として使用して食物膜網状組織(食物膜網状組織)を形成し、それにより得られた低減可消化炭水化物食物(RDCF)のマトリックスを改質することができる。食物膜網状組織で食物マトリックスを改質することによって、炭水化物消化酵素の作用を、例えば可消化炭水化物のセルを被覆又は封入してブロックすることができる。胃腸管で消化できない低減可消化炭水化物食物中の可消化炭水化物部分は、保護炭水化物(PC)である。
【0038】
摂取された食物物質における利用可能な可消化炭水化物と比較した保護炭水化物(PC)の濃度は、下記式:
PC(%)=100(B−A)/B (I)
〔式中、Aは、可消化炭水化物(小腸で消化及び吸収される可消化炭水化物)の量であり、そしてBは、摂取される食物中の利用可能な可消化炭水化物の総量である〕で表わすことができる。小腸で消化及び吸収される可消化炭水化物の量は、食物の消化に対する血糖応答を使用する、本明細書下記で記載されるインビボ血糖応答法により決定される。利用可能な炭水化物は、保護炭水化物と非保護で消化された炭水化物の合計である。消化された食物中に含有される利用可能な炭水化物の量は、摂取された食物を形成するのに使用された、確定され既知であると想定される食物成分中の可消化炭水化物の合計として決定できる。この可消化炭水化物の量は、また、全てのオリゴ糖類及び多糖類を、食物中に存在するかもしれないあらゆる食物保護膜にかかわらず、化学的及び/又は酵素的に単糖に分解し、糖類の総濃度を検出する分析的方法により決定できる。保護炭水化物である利用可能な炭水化物部分は、また、利用可能な可消化炭水化物を含有する食品の炭水化物消化抵抗(CDR)と称することができる。特に記述されていない限り、食物成分若しくは食品の保護炭水化物含有量の、又は利用可能な炭水化物の消化された部分の重量%などのようなあらゆる数値表現は、インビボ血糖応答法により決定される。
【0039】
本発明は、低減可消化炭水化物食物に含有されている利用可能な炭水化物の量の消化に対する抵抗を提供する。一般に、炭水化物消化抵抗(CDR)は、少なくとも10%、典型的には少なくとも15%、より典型的には20%、より典型的には30%、さらにより典型的には50%、最も典型的には少なくとも80%である。本発明のより効果的な実施態様は、典型的には少なくとも90%、より典型的には少なくとも95%のCDRを提供できる。炭水化物消化抵抗(CDR)は、100%まで、より典型的には98%まで、さらにより典型的には95%までであることができる。
【0040】
第2には、非消化物質を粘度増強成分として使用して胃腸内容物の粘度を上昇させ、消化プロセスの間にインビボで粘性糜粥を形成させることができる。あらゆる特定の論理に束縛されるものではないが、粘度増強成分は、糜粥含有物中の低分子量の糖類を閉じ込めて、その分散及び移動を抑制し、それによって可消化炭水化物成分の腸壁を通した吸収を低減すると考えられる。
【0041】
第3には、本発明は、添加された非消化保護成分により、並びに難消化性デンプン、繊維、タンパク質、及び脂質のような他の非消化食物成分により、可消化炭水化物に基づく食物成分中の可消化炭水化物の濃度を希釈することによって、可消化炭水化物を含有する食物の血糖応答を低減する方法を提供する。これらの他の非消化食物成分は、また、保護食物膜網状組織を形成できる非消化食物膜成分の一部分として、又は粘度増強成分の一部分として、任意に含まれることができる。この希釈は、食物中の可消化炭水化物の質量%又は濃度、及び食物の血糖応答を低減する。重量に基づき、非消化保護成分を有する得られた低減可消化炭水化物食物は、低減した量の可消化炭水化物を有する。本発明の典型的な実施態様において、添加された非消化保護成分の希釈効果は、典型的には、本発明の保護態様により提供される低減と比較すると、可消化炭水化物及び血糖応答の低減におけるほんの一部分でしかない。
【0042】
第4には、非消化物質を使用して、小腸で消化及び吸収されていない保護可消化炭水化物を大腸まで通すことができ、そこで発酵させて、炭水化物の正の制御及び肝臓における脂質代謝に影響を及ぼすことができる短鎖脂肪剤(SCFA)を生成することができる。
【0043】
本発明は、保護炭水化物及び任意に可消化炭水化物を含む利用可能な可消化炭水化物と、非消化保護物質とを含む、低減可消化炭水化物食物を提供する。典型的には、非消化保護物質は、非消化親水コロイドを含む。本発明は、典型的には、少なくとも10:1、より典型的には少なくとも約5:1、より典型的には少なくとも3:1、さらにより典型的には少なくとも約1:9の利用可能な可消化炭水化物と保護炭水化物の重量比を有する、
低減可消化炭水化物食物を提供できる。本発明は、1:100まで、より典型的には1:50までの利用可能な可消化炭水化物と保護炭水化物の重量比を有する食物を更に提供することができる。あるいは、利用可能な炭水化物は、少なくとも10%の保護炭水化物、典型的には少なくとも約30%の保護炭水化物、より典型的には少なくとも約50%の保護炭水化物、さらにより典型的には少なくとも約70%の保護炭水化物、さらにより典型的には少なくとも約90%の保護炭水化物を含むことができ、そして約100%までの保護炭水化物、より典型的には約98%までの保護炭水化物、さらにより典型的には約95%までの保護炭水化物を有することができる。低減可消化炭水化物食物は、低減可消化炭水化物食物の標準的な一人分当たり、典型的には、約15g以下、より典型的には10g以下、さらにより典型的には5g以下の可消化炭水化物を含む。
【0044】
非消化物質及び得られる食物膜網状組織は、限定するものではないが、練り粉及びその焼いた又は調理済みの製品、乾燥粉末、フレーク、微細粉、ストランド、並びにヌードル及びシェル、焼いた食品及び栄養バー、グレーズ及びディップのような液体及び粘性組成物、ゲル及び半固体を含む種々の食物形態に又は食物形態から作成できる。
非消化食物膜網状組織
炭水化物消化酵素が消化系において利用可能な可消化炭水化物を消化する作用をブロックする最初の方法は、低減可消化炭水化物食物のマトリックス又は微細構造内に非消化食物膜網状組織を提供することである。本発明の実施態様は、食物膜網状組織を有する低減可消化炭水化物食物に関し、そして保護食物膜網状組織を提供するための、可消化炭水化物に基づく成分の加工における非消化物質の使用に関する。食物膜網状組織は、非消化食物膜成分から構成され、これは可消化炭水化物に基づく成分に製造及び加工されて、保護炭水化物として、利用可能な可消化炭水化物の一部分を提供する。網状組織の保護食物膜は、典型的には、胃液で消化されず、膵アミラーゼ、α−デシストリナーゼ、マルターゼ、スクラーゼ及びラクターゼのような炭水化物消化酵素が存在する小腸の消化環境で消化されない。加工の際、可消化炭水化物に基づく成分のマトリックス又は微細構造は、典型的には、含有されている可消化炭水化物、並びにタンパク質、脂質などのような他の食物成分を取込み、被覆し、より複雑にする。可消化炭水化物に基づく成分のユニット又は層は、食物膜網状組織内に分散されている。炭水化物に基づく成分のマトリックス又は微細構造を顕微鏡で分析して、複雑度を評価し、可消化炭水化物に基づく成分のマトリックスに対する、食物膜網状組織の効果を示すことができる。炭水化物に基づく成分の調製された冷凍断面の染色で使用するとき、及び特定の顕微鏡条件下で使用する場合の種々の染色技術は、タンパク質、デンプン(炭水化物)顆粒及び食物膜網状組織をより容易に見えるようにできる。この技術は、研究者が、成分の相互作用及び可消化炭水化物に基づく成分の微細構造に対するそれらの影響、並びにデンプン顆粒の消化性に対する食物膜網状組織の影響を確認することを助ける。
パスタ試料の明視野照度顕微鏡測定
例えば、調理済みのスパゲティを、クライオスタット(クライオ−カット・マイクロトーム(Cryo-Cut Microtome)、アメリカン・オプティカル社(American Optical Corporation))の冷凍ホルダの上で−20℃に冷凍し、その後、10ミクロンの厚さの切片に切断できる(スパゲティ片を横断的に切断する)。次にこの切片を適切な染料で染色して、食物膜網状組織、及び炭水化物に基づく成分のマトリックス又は微細構造の構成成分、すなわちタンパク質、デンプン顆粒又は親水コロイドに基づく食物膜を強調することができる。トルイジンブルー染色手順が、本発明で使用される親水コロイドのような、タンパク質及び他のポリマーをより明確に示すために使用できる。次に染色された横断片は、明視野照度顕鏡検法(BFIM)を使用して評価される。食物膜網状組織の複雑性を評価するために、食物膜は1部の水性1%トルイジンブルーと、1%四ホウ酸ナトリウムと、1部のグリセロール20%との混合物を使用して染色される。10ミクロンの横断片を顕微鏡のガラススライドの上に置いて、混合物により完全に覆うことができる。横断片を10秒間染色させ、次に、スライドを傾けて染料を流出させる。次に染色された横断片をグリセ
ロール20%で穏やかに洗浄し、次にBFIMにより試験する前にグリセロール20%で載せる。
【0045】
BFIMの標準的技術及び条件を使用して、鏡検技術を使用することが教育された人はライカ(Leica)DM500B顕微鏡などを使用して、観察と一致する結果を生み出すことができる。顕微鏡像は、顕微鏡の接眼部に取り付けられたライカ(Leica)DC500デジタルカメラを使用して取り込むことができ、イマジック・イメージアクセス(Imagic
ImageAccess)4ソフトウエアのような適切な画像取込みソフトウエアを使用して画像を見ることができる。図面1及び2で示される画像は、その結果得られた、トルイジンブルー染色された調理済みパスタのBFIM顕微鏡写真である。図1は、アルデンテで調理された従来のパスタを示し、図2は、実施例2Aの配合を有する本発明に従って作られたパスタと比較する。
【0046】
図1は、従来のパスタのデンプン顆粒(黒い矢印で示されているが、実際の顕微鏡写真では明紫色の領域として示されている)が膨張し、不明確な表面輪郭を有し、デンプン顆粒間に「自由」空間がほとんどないことを示している薄いタンパク質網状組織(白色の矢印で示されているが、実際の顕微鏡写真では青紫色でしめされる)を有する。幾つかの直接的な顆粒−顆粒相互作用が存在する。比較すると、本発明の親水コロイドを組み込んでいる図2のパスタは、あまり膨張していないデンプン顆粒(黒い矢印で示されているが、実際の顕微鏡写真では明紫色の領域として示されている)を有し、互いに直接接触していないデンプン顆粒を明確に視覚できる表面輪郭を有する。更に、デンプン顆粒の間の厚く高度に複雑化した親水コロイド/タンパク質(非消化)網状組織がもたらす、デンプン顆粒と空間を求めて競争するデンプン顆粒との間に厚い「空間」が存在する。図2において、タンパク質は、白い矢印で示され、親水コロイドは、斜縞矢印で示されているが、実際の顕微鏡写真では、タンパク質は青紫で現われ、親水コロイド膜は暗青紫で現われる。
【0047】
食物膜網状組織を更に解明するために、二種類の異なる染料を組み込んでデンプン顆粒とタンパク質網状組織のコントラストを増強する、二段階染色手順が使用される。この二重連続染色手順の際、タンパク質が最初に染色され、続いてデンプンが染色される。1部の2%水性グリーンイエロー(フルカ社(Fluka AG)、バックス(Buchs))と3部の水性グリセロール20%の混合物を使用して、パスタの横断片中のタンパク質を最初に染色する。冷凍横断片を顕微鏡のガラススライドの上に置き、混合物で完全に覆い、1分間染色させることができる。1分後、染料を流出させ、染色横断片を脱イオン水で穏やかに洗浄する。タンパク質の染色に続いて、1部のルゴール溶液(メルク(Merck))と2部の水性グリセロール85%の混合物を使用して、デンプン顆粒を染色することができる。前染色段階でのタンパク質染色横断片をルゴール混合物で完全に覆い、10秒間染色させる。次にスライドを傾けて染料を流出させ、染色された横断片をグリセロール20%で穏やかに洗浄する。後に続く明視野照度鏡検を使用する試験のために二重染色横断片をグリセロール20%で載せる。図3及び4は、デンプン顆粒とタンパク質の二重染色手順のBFIM顕微鏡写真の例である。図3は、アルデンテで調理された従来のパスタを示し、図4は、実施例2Aで示された配合を有する本発明を組み込んだパスタを示す。従来の調理済みパスタは、相当な数の明確な表面輪郭のない膨張したデンプン顆粒を(特に上半分において)示す。かなり多くのデンプン顆粒(黒い矢印で示されているが、実際の顕微鏡写真では青紫色で現われている)が、顕微鏡写真においてタンパク質網状組織(白い矢印で示されているが、実際の顕微鏡写真では緑色で現われている)よりも観察できる。これは、本発明の親水コロイドなしで調理されたパスタ中で膨張/ゼラチン化したデンプンの高い濃度を意味し、食物微細構造があまり構築されていないことを示す。比較すると、本発明を使用して作られた調理済みパスタの顕微鏡写真は、図4で示されており、膨張又はゼラチン化したデンプン顆粒が極めて少ないことを示し、また明確な表面輪郭を有し、このことはデンプン顆粒中での良好な損なわれていない表面構造を意味している。更に、本発明
の親水コロイドを組み込んでいるパスタは、顆粒間に著しく厚い層を有しており、タンパク質網状組織が緑色に染色されている。パスタの微細構造は、デンプン顆粒と同じ程度のタンパク質網状組織を有していることが示され、このことは図3の従来のパスタと比較すると、著しく低い濃度(少ない膨張)のデンプン顆粒を示している。本発明の親水コロイドを使用する図4のパスタは、また、著しく少ない数の膨張又はゼラチン化顆粒を有する。本発明の食品における使用は、より高度に構造化された食物マトリックス又は食物構造を構築する。
パスタ試料の走査電子顕微鏡測定
本発明の親水コロイドを使用して食物マトリックスの定義及び複雑性を更に説明するために、従来のパスタ(本発明の親水コロイドなしで作られた)からと、本発明の親水コロイドを用いて作られたパスタ(実施例2Aの配合を有する)からの調理済みパスタ横断片を、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して評価した。SEMを使用して切片を評価するために、パスタ試料を調理し、液体窒素中で冷凍する。SEM(ツァイス(Zeiss)DSM962)で試料を分析する前に、ヘト(Heto)CT60e冷凍乾燥機で冷凍乾燥する。次に冷凍乾燥されたパスタ試料を、SEM技術で通常の技術として定義されているように、分解して内部表面を露出させる。次に接着剤を使用して、試料をスタブの上に載せることができる。次に載せられた試料には、SEM分析の当業者に周知である確立された技術を使用して、BAL−TEC SCD005スパッター塗布機により金がスパッター被覆できる。次に金がスパッター被覆された試料を5kVの加速電圧で分析できる。画像をツァイス(Zeiss)SEMソフトウエアシステムなどを使用して取り込むことができ、これはSEMと一体化される。図5及び6は、2個の調理済みパスタ試料のSEMの結果を示す。図5は、明瞭/明確な円盤(黒い矢印で示されている)としてデンプン顆粒を有する従来のパスタを示す。顆粒の大きさは、極めて小さい(直径<10ミクロン)ものからより大きくより観察可能な約40ミクロンの円盤まで変わる。デンプン顆粒は、タンパク質網状組織(白い矢印で示されている)の中及びその表面で明瞭に見ることができる、パスタ微細構造は、本発明に従って作られた(実施例2Aの配合を有する)パスタを示す図6で示されるものよりも、密度及び複雑度が低い。図6は、明瞭に見えるデンプン顆粒がない、より多様かつ複雑な微細構造を示す。逆に言えば、ほとんどのデンプン顆粒が完全に被覆され、タンパク質/親水コロイドマトリックス中で一体化されているか又はその中に閉じ込められている(SEMで見られる構造は、実質的に全てタンパク質/親水コロイドマトリックスである)。
【0048】
食物膜網状組織の非消化物質成分により閉じ込められているか又は被覆されているデンプン顆粒(可消化炭水化物)は、小腸の消化酵素による攻撃に対してあまり影響を受けないと考えられる。食物膜網状組織は、可消化炭水化物に基づく成分を取り囲み、被覆し、そして多数の別個の保護ユニット及び/又は可消化炭水化物物質の層に分離する、保護された食用の消化抵抗物質を提供する。食物膜網状組織は、更に、炭水化物に基づく食物粒子の割れ目又は裂け目に含浸し、食物ユニットと層の間に延伸して、充填剤又は結合剤のような役割を果たす。得られた食物膜網状組織は、胃の媒体による崩壊及び消化に耐え、可消化炭水化物を封入し、被覆し、消化酵素から分離することによって、炭水化物消化酵素に対する保護バリアを形成する。網状組織の食物膜成分の可塑性は、また、糜粥において可消化炭水化物を封入し、被覆し、そして消化酵素から分離できると考えられる。食物膜網状組織によって(膵アミラーゼ酵素による)消化及び(胃腸系における吸収性糖類としての)吸収から保護されている利用可能な可消化炭水化物は、保護炭水化物となる。利用可能な可消化炭水化物の保護は、食物の摂取に対するカロリー応答、摂食後血糖応答及び高脂血応答の減衰をもたらすと考えられる。
【0049】
非消化食物膜成分は、最適な膜性能及び特性を提供するように選択される。好ましい食物膜網状組織は、薄く、強力な、酸安定性の粘弾性膜により生成され、これは、伸展性で連続しており、粒状可消化炭水化物物質を被覆することができ、大腸に入るまで消化酵素
に対して不浸透性である。食物膜網状組織は、可消化炭水化物に基づく成分中に、及び可消化炭水化物に基づく成分を含有する食物中に作成又は組み込むことができる。得られた低減可消化炭水化物食物は、更に、他の食物形態に加工できるか、又は菓子、焼いた食品、飲料、シリアルなどを含む他の形態のマトリックスに単純に添加できる。
【0050】
保護食物膜成分は、構造ポリマーを含み、構造ポリマーは、1)i)ゴム類及び食物増粘剤、ii)イヌリン、及びiii)これらの混合物からなる群より選択される粘稠非消化発酵性物質と、3)タンパク質ポリマーと、3)これらの混合物とを含む。本発明に従って作られる低減可消化炭水化物食物は、典型的には、少なくとも約50重量%、より典型的には少なくとも75重量%、さらにより典型的には少なくとも約85重量%、そして約98重量%まで、より典型的には約90重量%までの炭水化物に基づく食物成分を含み、典型的には少なくとも約2重量%、より典型的には少なくとも約5重量%、そして約40重量%まで、より典型的には約15重量%まで、さらにより典型的には約10重量%までの非消化保護物質を含む。
構造/粘稠発酵性物質
構造/粘稠発酵性物質(SVFM)として本明細書以下で言及される粘稠発酵性物質は、は、典型的には、剛性の炭水化物主鎖を有し、典型的には、多くのヒドロキシル基、カチオン性若しくはアニオン性及び/又は非イオン性ポリマーのいずれかであるイオン化可能な側鎖を有する高分子電解質を含む種々の官能基構成要素を含む。構造/粘稠発酵性物質として有用な親水コロイドは、紅藻及び褐海藻のような海草類;樹木滲出液、草木、種、塊茎及び樹木のような陸上植物:微生物多糖類;並びに多糖類誘導体から誘導できる。構造/粘稠発酵性物質は、食物膜網状組織の枠組み物質として特徴決定できる。構造/粘稠発酵性物質として有用な親水コロイドは、カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、ディウタン(diutan)ガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー及び加工デンプンからなる群より選択できる。
【0051】
構造/粘稠発酵性物質として有用な好ましい親水コロイドは、高いレベルの粘度(本明細書下記で記載されている、1%溶液に変えた粘度法に従って300cp超)を提供し、胃液で安定しており、後記で記載される最適な膜特性を提供する。構造/粘稠発酵性物質として有用な好ましい親水コロイドは、キサンタンガム、ガラクトマンナン(グアーゴム及びイナゴマメゴム)、ペクチン、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガカントゴム、カラヤゴム、並びに2〜60フルクトース単位(FU)の重合度(DP)及び約8〜12FUの平均DP、より好ましくは15〜60FUのDP及び約15〜30FUの平均DPを有するイヌリンからなる群より選択される。キサンタンガムは、優れた粘度を提供し、ガラクトマンナン(グアーゴム及びイナゴマメゴム)と相乗作用があって、高い粘度を生み出す。キサンタンガムとグアーゴムの両方が、良好な膜伸展性及び被覆特性を有する。ペクチン及びアルギン酸塩は、特に、下記で考察されるイオン特性調整剤と組み合わされて、架橋剤となりより強い膜又は皮膜を生み出す能力を有する。特定の食物系における使用のための選択肢は、それらが使用される食物の組成に基づいて変わることがある。構造/粘稠発酵性物質は、個別に、又は他の構造/粘稠発酵性物質との混合物で、又は下記で記載される構造タンパク質ポリマーと共に使用できる。
構造タンパク質ポリマー
構造タンパク質ポリマーは、非消化食物膜網状組織の枠組み物質として特徴決定できる。タンパク質ポリマーは、食物膜成分として単独で使用できるが、典型的には構造/粘稠
発酵性物質と組み合わせて使用され、相乗的な膜形成利益を提供する。この相乗作用は、レオロジー特性の調整又は保護食品膜の強度の向上のような膜機能及び特性を変更し、最適化する。タンパク質ポリマーは、典型的には、部分的又は完全に可消化であり、グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キチン、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択できる。グルテンは、トウモロコシグルテン又はバイタル(vital)小麦グルテンとして提供できる。
【0052】
低減可消化炭水化物食物に含まれる非消化保護物質は、典型的には少なくとも約5重量%、より典型的には少なくとも約10重量%、より典型的には少なくとも約20重量%、さらにより典型的には少なくとも約30重量%、そして約50重量%まで、より典型的には約40重量%まで、さらにより典型的には約15重量%までの、構造/粘稠発酵性物質と構造タンパク質ポリマーのうちの少なくとも1つ、典型的には両方から選択される構造及び粘稠食物膜成分を含むことができる。
【0053】
食物膜成分は、また、典型的にはレオロジー調整剤/可塑剤、イオン特性調整剤、又はより典型的にはこれらの混合物を含む。
レオロジー調整剤/可塑剤
食物膜成分及びそれにより形成される食物膜網状組織は、任意ではあるが好ましくはレオロジー調整物質を含むことができる。レオロジー調整剤は、本明細書で可塑剤又は膜可塑剤とも称され、可塑性及び撓み、伸展性、並びに保湿性を提供して、低減可消化炭水化物食物のマトリックス全体にわたって広範囲に分布できる薄くて強い弾性膜網状組織を生じることにより、食物膜成分の構造ポリマーの流動性を向上することができる。可塑剤の1つ又はその混合物は、構造ポリマー又はその混合物と共に使用できる。典型的な可塑剤には、グリセリン、フルクトース、約2〜5で平均が約4の重合範囲を有するか、又は約2〜8で平均が約4.7の重合範囲を有するフルクトオリゴ糖類(オリゴフルクトースとしても知られている)、マルチトール、マルチトールシロップ、イソマルトース、ラクチトール(lactitol)、エリトリトール、ソルビトール、ポリデキストロース及びキシリトールのようなポリオール類、イヌリン、典型的には約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリンのような特定の食物繊維、他のオリゴ糖類、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴム(ノバルティス(Novartis)からベネファイバー(Benefiber)(登録商標)として市販されている)のような低分子量ショ糖類を挙げることができる。可塑剤を単一の親水コロイド又は混合親水コロイド膜系に添加できる。膜レオロジーの変化は、膜の流動性及び変形特性に影響を及ぼし、したがって保護食物膜の粘弾性を変更して、炭水化物に基づく食物構造の進入が難しい領域への膜の伸展性(網状結合)及び流れを向上し、そのバリア及び消化抵抗性能を改善する。
【0054】
低減可消化炭水化物食物に含まれる非消化保護物質は、非消化保護物質の典型的には少なくとも約25重量%、より典型的には少なくとも約35重量%、そして約90重量%まで、より典型的には約70重量%までのレオロジー調整物質を含むことができる。
イオン特性調整剤
食物膜成分及びそれにより形成される食物膜網状組織は、任意ではあるが典型的にはイオン特性調整剤を含むことができる。イオン特性調整剤は、系における高分子親水コロイドの表面電荷及び/又は表面架橋を変更することによって、特定の構造/粘稠発酵性物質及びそれにより得られる食物膜網状組織の物理的性質を変えるために使用される。IPMは、ペクチン又はアルギン酸塩のような電荷された高分子親水コロイドに特に有用である。イオン特性調整剤は、Ca++及びMg++のような二価カチオン、Na+、K+、Li+のような一価カチオン、又はこれらの混合物から選択できる。無機塩類がカチオンの典型的な供給源である。対イオンは、ポリマーのイオン電荷のレベル及び分布を変えることができ、これはその水結合特性及び粘度に影響を及ぼすことができる。イオン特性調整剤は、可消化炭水化物に基づく成分の構成成分に添加できるか、又は可消化炭水化物に基
づく成分それ自体から提供できる。添加された電解質は、高分子電解質主鎖上の電荷と相互作用できるか、又は存在してもよい移動性対イオンと相互作用できる。これらの相互作用は、保護食物膜網状組織の性質、すなわち主鎖構造の架橋を変えてより強い膜を作り出すことができる。
【0055】
低減可消化炭水化物食物に含まれる非消化保護物質は、非消化保護物質の典型的には少なくとも約0.5重量%、より典型的には少なくとも約1重量%、より典型には少なくとも約3重量%、そして典型的には約20重量%まで、より典型的には約10重量%まで、さらにより典型的には約5重量%までのイオン特性調整剤カチオンを含むことができる。非消化食物膜成分の濃度及び組み合わせ
食物膜成分の使用濃度は、食物用途に基づき変更できる。低減可消化炭水化物食物は、典型的には、構造/粘稠発酵性物質、構造タンパク質ポリマー、レオロジー調整剤及びこれらの混合物、並びに任意にイオン特性調整剤から典型的に選択される非消化物質を50重量%まで含む。より典型的には、低減可消化炭水化物食物は、20%までの構造/粘稠発酵性物質、構造タンパク質ポリマー又はこれらの混合物、30%までのレオロジー調整剤、及び任意に5%までのイオン特性調整剤、更により典型的には5%までの構造/粘稠発酵性物質、構造タンパク質ポリマー又はこれらの混合物、15%までのレオロジー調整剤、及び任意に5%までのイオン特性調整剤を含む。得られる低減可消化炭水化物食物中の非消化食物膜物質の典型的な濃度及びより典型的な濃度が表Bで示される。
【0056】
【表1】

【0057】
一般に、非消化食物膜物質の使用濃度(得られる食物の総重量%としての非消化食物膜物質の重量)は、本発明の主要な結果である血糖値に影響を与えることができる変数であり、これは食物中の可消化炭水化物が消化又は吸収されずに小腸を通過する程度に関連する。一般に所望の血糖応答は、通常、非消化食物膜物質の濃度を決定する。
【0058】
本発明の親水コロイド成分は、種々の比率及び組み合わせで配合されて、特定の食物系の機能性、加工性、感覚刺激性、及び消化低減要件を満たすことができる。非消化食物膜網状組織を形成すること、及び粘性腸糜粥をもたらすことに有用な親水コロイドの典型的な例には、表C及びDで示されるものが挙げられるが、これらには限定されない。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
膜成分の組み合わせは、所望の膜特性及び性能を達成する特定の用途のために開発される。一つの食物で作用する膜は、別の食物で同様に作用しないかもしれない。必要な架橋
度、化学的な相互作用、水素結合度、水結合、イオン種の存在及び強度、並びに膜レオロジーに対する食物マトリックスの効果のような変数が、特定の膜成分の選択及び濃度に影響を与える。
保護食物膜網状組織特性
保護食物膜網状組織及びその成分物質の重要な特性には、1)胃及び小腸の胃腸酵素に暴露されたときの非消化性、2)酸安定性、3)薄く連続した膜、4)糜粥の増粘又は粘度上昇、5)可消化炭水化物成分に対する被覆性及び粘着性、6)弾性及び伸展性膜、7)所望の加工条件下での最適流動性、及び8)大腸における発酵による分解性が挙げられる。
1)非消化性:
本明細書の非消化食物膜物質として有用な親水コロイドは、非消化多糖類及び非消化オリゴ糖類として分類でき、その生理学的又は物理化学的特性により食物繊維であると考慮される。食物繊維は、ヒトの小腸において消化及び吸収に耐性があるので、本発明の定義によると非消化である。食物膜網状組織の非消化性は、保護炭水化物の効果的に被覆又は分離されたセル又は粒子が、胃腸管においてそれらの又は他の酵素により相当程度消化されることなく、胃及び小腸を通過することを確実にする。食物膜網状組織のどのような消化も可消化炭水化物のセル又は粒子を酵素による糖類への消化に暴露し、これは次に小腸において吸収されうる。食物膜網状組織の非消化性は、可消化炭水化物に基づく成分を繊維様にする、すなわち、保護炭水化物がRS1型の難消化性デンプンの特性となり、これは本発明の定義によると食物繊維である。
2)酸安定性:
食物膜網状組織の酸安定性も胃の酸性環境においてその一体性を維持することを助け、それにより、可消化炭水化物を消化、次いで小腸における吸収に暴露することになる保護膜系の分解の可能性を低減する。加えて、膜の一体性を失うことは、潜在的な健康効果の低減を意味し、その結果として保護可消化炭水化物の大腸への送達が低減する。本発明の親水コロイドは許容可能な酸安定性を有するように選択される。しかし、親水コロイドの組み合わせが使用される場合、親水コロイドの酸安定性が変わりうる可能性があるので、胃液又はその合成等価物を使用して食物膜網状組織の酸安定性を試験することが推奨される。酸安定性は、保護炭水化物に基づく食物の微細組織を維持する膜網状組織の能力に関連し、それにより保護炭水化物に基づく食物が低濃度の適度に消化された炭水化物を維持する。例としては、本発明に従って作られた調理済みパスタをガラス反応容器中に置き、0.10M HCl(典型的な胃酸濃度)で完全に覆い、撹拌パッドにより36℃で1時間撹拌することができる。保持時間の後、パスタを取り出し、生じた洗浄水が使用した洗浄水と等しいpHを有するように、パスタ用プラスチック・ストレーナーを用いて脱イオン水で十分に洗浄する。次にパスタは血糖反応法(下記で記載される)を使用してインビボで分析できる。
3)薄く連続した膜:
食物膜網状組織内に生成される薄い連続した親水コロイド膜は、得られる低減炭水化物食物の全体にわたって膜系の分布を重量に基づいて比較的低いレベルの使用により促進して、より効果的かつ効率的な血糖制御系をもたらす。効果的な薄い連続した膜網状組織は、親水コロイドの希釈量を最小限にし、膜網状組織の炭水化物消化抵抗を最大限にする。4)糜粥の増粘又は粘度上昇:
食物膜網状組織及びその成分の親水コロイドの幾つかの実施態様は、炭水化物消化の吸収性糖生成物の糜粥への拡散及び糖類が血流に吸収されうる小腸の壁への移動の遅延を提供する。得られた糜粥の親水コロイド誘導粘性は、摂食後血糖値の低減又は減速に重要な役割を果たすことができる。
【0062】
液体の粘度は流れの内部抵抗を説明する測定可能な特性であり、特定の温度での流体の流動性の測定値である。親水コロイドは、水和されると上昇された粘度を誘導できる。最適な水和は、親水コロイドが水性系に高度に分散されているか又は溶解されている場合に
達成される。したがって、50〜100ミクロンの範囲の小さい粒径を有する親水コロイド物質が、親水コロイドの良好な水和を達成するために重要でありうる。親水コロイド物質の水和は、その場で膜網状組織を調製する高剪断混合技術を使用する場合に促進できる。
【0063】
親水コロイドは、多くの場合に自分の重量の水の流動挙動に劇的な影響を及ぼすことができる。高分子電解質である親水コロイドは、同様の分子量の非イオン性ポリマーよりも高い粘度をもたらすことができる。これは、電荷反発、並びに水和により増大された分子の大きさ及び構造性に起因することができる。粘度は、一般に親水コロイドの濃度、温度及び剪断歪みで変わる。親水コロイド混合物は、相乗的に作用して粘度を上昇させるか、又は拮抗的に作用して粘度を低下させる。イヌリンは効果的な拮抗物質である。電解質の添加又はpH調整は、通常はポリマーコイルの崩壊を誘導し対応して粘度の低下をもたらす電荷基の解離を、特定の親水コロイドにおいて低減できる。
5)可消化炭水化物成分に対する被覆性及び粘着性:
本発明は、膜で覆いを提供し、同時に必要な膜接着性を提供する、有効な膜被覆特性及び接着性を有する食物膜を提供する。膜の表面の、炭水化物に基づく食物成分粒子の表面への強い結合は、胃腸管の酸及び酵素との接触から食物を保護するバリアを作り出すために好ましい。それぞれの食物膜の成分は、個別に区別されるが、これらの組み合わせは独特の機能を提供できる。特定の膜系の被覆能力は、多くの場合、得られる低減可消化炭水化物食物の炭水化物消化抵抗を決定することにより最適に決定できる。
6)弾性及び伸展性膜:
食物膜網状組織は、弾性及び伸展性の両方である粘弾性食物膜成分から形成される。粘弾性とは、粘性と弾性の両方の膜特性を有することを意味する。粘性と弾性を合わせた特性(食物膜特性の章で破断点伸びとして定義されている)、並びに強さ(食物膜特性の章で破断強さとして定義されている)と弾性を合わせた特性は、本発明の膜の重要な特性である。膜は、切断及び破断を避けるために十分に弾性かつ伸展性である必要がある。弾性の反対は脆性である。脆性膜(低い破断点値を有すると定義される)は、破断又は切断し、利用可能な可消化炭水化物を消化から保護する能力を失うことがある。弾性膜は破断に耐え、膜一体性を提供する能力を有する。弾性膜は、多くの場合、より良好な流動性を有し、したがって裂け目及び割れ目のような小さい領域に達することを含む、食物の良好な覆いを提供する能力を有する。弾性膜は、膜を裂くことによる破断にも耐える。分析法は、食物膜特性の章で定義されているように、得られる膜の相対的強度、流動性、粘度及び弾性を評価できる。
7)所望の加工条件下での最適流動性:
水和された流体膜のより低い粘度として測定される良好な流動性を有する食物膜は、加工される炭水化物に基づく成分の粒状組成物の全体にわたってより良好な覆いを提供することができる。食物膜の成分に加えて、加工温度、pH及び食物構成要素は、炭水化物に基づく成分粒子上に又はその間に被覆されるときの膜の流動性に影響を及ぼすことができる。このため、被覆プロセスの際の温度は、最適な被覆を得るために重要であり、流動性の変化は、食物膜特性の章で定義されている方法により定義されるように、分析的に調べることができる。
8)大腸における分解:
最後に、小腸を通過する保護食物膜物質は、例えば発酵、pHの変化、微生物による消化、又はこれらの組み合わせによって、大腸における使用のために剥離可能であるべきである。
食物膜特性:
非消化食物膜組成物の粘弾性は、膜の種々の成分がどのように脆性又は弾性に影響を及ぼすかを示すため、及び食物膜組成物の粘性効果を示すために測定及び評価できる。更に、その流れる能力、又は粘性の側面も正確に測定されるべきである。種々の構造の親水コロイドと可塑剤の相乗作用は、均一の流れのための優れた粘度の制御を有し、そして食物
膜の脆性及び切断を最小限にする改善された弾性又は柔軟性を有する膜組成物の開発にとって重要である。
【0064】
水和膜は、個別の又はブレンドした非消化物質を過剰量の水で水和し、加熱し、剪断して、流体系を生じることにより作成できることが知られている。水和食物膜系の含水量は、典型的には75重量%〜85重量%である。作成されると、水和食物膜系の流動性は、方法の章で記載されている粘度測定法に従って、選択された温度下での流れに対する抵抗性(粘性)を測定することにより決定できる。
【0065】
次に水和膜は、標準組織分析機を使用して乾燥膜の物理的品質を決定するために乾燥できる。これらの分析機及びその使用技術は組織分析の当業者には周知である。物理的品質には、堅さ、緩和、膨張、接着性/他着性、付着、付着性、弾性、弾力性、粘着性、及び伸展性を含む、得られた乾燥膜のパラメーターを挙げることができる。
【0066】
水和食物膜組成物は「水和食物膜組成物の調製」の方法に従って作成され、これは方法の章で開示されている。水和食物膜組成物は、「乾燥された安定した食物膜試料の調製及び試験」の方法に従って、乾燥された安定した食物膜試料として作成され、これも方法の章で開示されている。次に乾燥された安定した食物膜試料は、下記の物理的特性の評価に従って食物膜の物理的特性を決定するために試験できる。
【0067】
膜品質の指標は、物質の試料の弾性率を評価することにより得られる。弾性率は、食物膜の変形に対する抵抗として定義することができ、すなわち指定量の歪み(伸び)を作り出すために印加される圧力量を意味する。これらの圧力を定義する要素は、貯蔵弾性率(すなわちE′)及び損失弾性率(すなわちE″)である。
【0068】
貯蔵弾性率は、歪みにより区分される、正弦変形の歪みと同相にある圧力であり、一方、E″すなわち損失弾性率は、歪みにより区分される、歪みにより90°位相がずれている圧力を定義する。E′は、変形周期当たりの蓄積及び回収されたエネルギー量の測定値である。これは変形の可逆性に関わる、すなわち膜の弾性を定義する。値E′は、本明細書では膜の破断強さとも呼ばれ、ダイン/cm2と表わされる。これは食物組織分析機のソフトウエアによって計算される。これは、分析機のピストンにより固定距離から加えられた力に対する膜の抵抗の測定値である。E″は、変形周期当たり熱として放散又は損失した膜のエネルギーの測定値である。これは膜の非可逆性の測定値であり、すなわち膜の高い水結合食物膜成分により寄与される膜の粘性を定義する。膜の機械的品質の主要な測定値は、破断点伸びであり、静止から膜破断までの変形の百分率として表わされる。膜の機械的品質の別の測定値は、その破断又は引っ張り強さであり、すなわちダイン/cm2で表わされ、膜を破断又は破壊点まで変形するように印加される圧力量である。
【0069】
可塑剤なしで作られ、ペクチンのような高分子量ポリマーから構成される食物膜系は、相対的に高い弾性率の値を有する。しかし、これらは低い破断点伸びを有し、極めて脆性であり、低い破断強さを有する。したがって、この種類の単一体食物膜は、容易に切断及び破壊することがある。しかし、増量された可塑剤で作られた膜は、典型的には、より高い破断点伸び、より低いE′及びE″値を有し、より高い総合的な破断強さの値をもつ、低い総合的な脆性及び靱性を示す。
【0070】
デンプン及びペクチンのような粘性発生ポリマー(特にメチル化度が低く、したがって低分子量であるもの)の増量は、典型的には、貯蔵弾性率、すなわち破断強さ(E′)と損失弾性率(E″)の両方が徐々に低下する結果となる。イヌリン、グリセリン、及びソルビトールのような可塑剤は、ポリマーの水和を促進するために使用することができ、そうして膜の弾性率に影響を与えることができる。
【0071】
例としては、高メトキシル(HM)ペクチン(>65%メチルエステル化)のみからなる食物膜又は少量の、デンプンのような他の親水コロイドポリマーから作成されるものは、3E+10〜5E+10ダイン/cm2の範囲の高い弾性率の値を示す。これらの膜は、5〜30%の破断点伸びを有し、相対的に脆性の膜の典型である。例としては、HMペクチン95%及びトウモロコシデンプン5%(アミロース70%及びアミロペクチン30%)から作られる膜は、それぞれ20℃〜200℃で3E+10〜2.5E+10ダイン/cm2の範囲のE′値を有する。HMペクチン膜と同様の条件下での損失弾性率(E″)値は、それぞれ20℃〜200℃で4E+09〜3E+09ダイン/cm2の範囲である。HMペクチン95%/デンプン5%膜に膜の9%でグリセリンが可塑剤として添加されると、20℃で2.5E+10及び200℃で約1E+09のE′値となり、可塑剤のない膜よりも著しく低くなる。
【0072】
可塑剤の影響の更なる例では、95/5(HM65%)ペクチン/アミロースデンプン70%膜にグリセリン20%が添加されると、20℃で2E+10及び200℃で3E+08のE′値となる。可塑剤の使用がないと膜の脆性が明かであった。非可塑化ペクチンに基づく膜と比較すると、可塑剤の増量が、E′とE″の両方を温度範囲にわたって低減する。室温では、E′及びE″値は、約50%であった。より高い温度のレベルでは、E′及びE″として測定される流動性は桁を超えて低減した。
【0073】
本発明のための乾燥された水和食物膜混合物は、典型的には、高い破断強さ及び破断点伸びを有する乾燥された安定した試料を形成し、良好な柔軟性及び構造強度を示す。本発明の食物膜物質の乾燥された安定した試料は、典型的には、少なくとも約5ダイン/cm2の破断強さ及び少なくとも約10%の破断点伸びを有し;より典型的には少なくとも約150ダイン/cm2、より典型的には少なくとも約10,000ダイン/cm2、さらにより典型的には少なくとも約1E+7ダイン/cm2の破断強さ及び少なくとも約100%、より典型的には少なくとも約200%の破断点伸び;約5E+11ダイン/cm2までの破断点強さ及び約500%までの破断点伸びを有し;典型的には、約1E+6〜約1E+09ダイン/cm2の範囲、より典型的には約1E+8〜約4E+08ダイン/cm2の範囲の破断点強さ及び約200〜400%の範囲、より典型的には約250〜300%の範囲の破断点伸びを有する。
【0074】
水和食物膜系の粘度も本発明の機能性に重要である。水和食物膜組成物は、典型的には、水中で重量に基づき10%の濃度により、20℃で約500cP、より典型的には20℃で1000cP、なおより典型的には20℃で5000cPの粘度側面を有し、20℃で100,000センチポアズ(cP)までの高さであるが、より典型的には約2500〜10,000cPであることができる。水和食物膜組成物の粘度は、後で記載される粘度測定法に従って決定される。水和食物膜組成物は、「水和食物膜組成物の調製」の方法に従って作ることができ、水濃度が90重量%であり、親水コロイド物質が10重量%である。
【0075】
例としては、イヌリンのみ又はペクチンのみのような単一の親水コロイド体を含有する食物膜組成物は、イヌリンの場合では(ここでイヌリンは可塑剤として作用する)低い粘度側面を有するか、又はペクチンの場合では高い粘度側面を有するかのいずれかである。いずれの組成物も、破断強さ又は引っ張り強さとして定義される高い破断点伸びをもたらすことはない。更なる例として、水88%及びイヌリン12%を含有する組成物は、20℃で約3cPの低い粘度及び約4.8E+03ダイン/cm2の相対的に低い破断強さの値を有する。更なる例として、水85%及び高メトキシルペクチン15%を含有する組成物は、20℃で約3,000cPの著しく高い粘度を有するが、約5ダイン/cm2の極めて低い破断強さを有する。種々の高水結合親水コロイド(構造/粘稠発酵性物質)と1つ以
上の可塑剤(レオロジー調整剤)とを組み合わせることによって、食物膜の粘度制御及び柔軟性の両方が達成できる。
【0076】
例としては、キサンタンガム1.2重量%、κ−カラギーナン1.0重量%、HM−ペクチン0.6重量%、多分散イヌリン12重量%、ソルビトール4重量%、塩化カリウム0.2重量%、及び水81重量%からなる水和食物膜組成物は、20℃で約3000cPの粘度及び約5.25E+0.5ダイン/cm2の破断強さの値を有する。
【0077】
更なる例では、ジェランガム0.4重量%、κ−カラギーナン1.2重量%、グアーゴム1.0重量%、短鎖イヌリン12重量%、ソルビトール3.8重量%、クエン酸ナトリウム0.1重量%、塩化カリウム0.1重量%及び水81.4重量%からなる本発明の水和食物膜組成物は、約6500cPの粘度及び約7.2E+0.5ダイン/cm2の破断強さを有する。
粘度増強成分:
消化系において利用可能な可消化炭水化物を消化する炭水化物消化酵素の作用をブロックし、小腸において単糖類の吸収を低減する第2の方法は、低減可消化炭水化物食物内に粘度増強成分を提供することである。本発明の別の実施態様には、粘度増強成分を含有する低減可消化炭水化物食物を挙げることができる。粘度増強成分は、典型的には、高粘稠親水コロイドを含み、粘稠膜ビルダーと呼ばれる。低減可消化炭水化物食物に含有される粘稠膜ビルダーは、消化プロセスの間に消費された食物から糜粥に直接放出できるか、又は低減可消化炭水化物食物の表面で反応して糜粥の粘度を増加することができる。粘稠膜ビルダーは、つるつるした、ぬるぬるした、又はすべすべした稠性を糜粥に付与する。(粘度の上昇に寄与するものは、上記で考察された保護食物膜網状組織の構造から生じることもでき、これは糜粥の混合型移動に対して、腸に沿った「栓流」型移動に寄与する。)本発明は、また、糜粥で粘度を増強して利用可能な可消化炭水化物の消化を低減し、可消化炭水化物の消化生成物(単糖類)の血流への吸収を低減する粘度増強成分を食物に提供する非消化親水コロイドを含む組成物の使用に関する。
【0078】
粘度の上昇は、糜粥が小腸を通る間維持される。粘度の上昇及びぬるぬるした稠性は、糜粥における可消化炭水化物物質の消化に対する2つの効果を有することができ、それらは、得られる低減可消化炭水化物食物中の可消化炭水化物物質の摂食後血糖値の形成を低減又は減速する主な原因である。
【0079】
第1に、粘度の上昇及びぬるぬるした稠性は、胃腸(GI)移動時間の低下の原因であると考えられる。小腸のぜん動運動は、糜粥を混合する及び糜粥を腸管に沿って移動するの両方をする筋肉の収縮力の形態でエネルギーを提供する。あらゆる特定の理論に束縛されるものではないが、粘度の上昇は、糜粥の混合に抵抗をもたらして、ぜん動エネルギーを、むしろ糜粥を腸管に沿って移動させる方向に向かわせる。糜粥のつるつる、ぬるぬるした稠性は、また、糜粥の腸壁での引きずり及び付着を低減する。これらの作用は、糜粥の小腸内での移動時間を減少する。
【0080】
第2に、粘度の上昇は、糜粥を通り、血流に吸収される小腸の壁への吸収性糖類(外来性及び内在性糖類、並びに可消化炭水化物の消化により生じる糖類)の移動を遅延できる。粘度の上昇は、糜粥を腸内で撹拌して吸収性糖類を腸壁に移動するぜん動性混合を低減し、また、それらが血流へ吸収されうる、糜粥内の糖分子の分散を低減する。
【0081】
可消化炭水化物を含有する食物における粘稠膜ビルダーの使用の結果、可消化炭水化物は、小腸における消化及び吸収から保護され、食物の摂取の後の摂食後血糖応答が減衰できる。
【0082】
上記で記載された多くの構造/粘稠発酵性物質も粘稠膜ビルダーとして使用できる。粘稠膜ビルダーは、一般に非消化発酵性繊維物質を含み、これにはゴム類及び難消化性デンプン類を挙げることができる。粘稠膜ビルダーとしての使用に典型的な親水コロイドは、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、イヌリン、タラガム、タマリンドガム、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン及びキシログルカン、ペクチン、セルロース又はセルロース物質、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、並びに加工デンプンからなる群より選択できる。
【0083】
粘稠膜ビルダーとして有用な好ましい親水コロイドは、高濃度の粘度(本明細書下記で記載されている、粘度法に従って1%溶液中で300cp超)をもたらすことができ、胃液で安定しており、最適な膜特性を提供する。粘稠膜ビルダーとして有用な好ましい親水コロイドは、キサンタンガム、ガラクトマンナン(グアーゴム及びイナゴマメゴム)、ペクチン、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガカントゴム、及びカラヤゴムからなる群より選択される。キサンタンガムは、優れた粘度を提供し、ガラクトマンナン(グアーゴム及びイナゴマメゴム)と相乗作用があって、高い粘度を生み出す。キサンタンガムとグアーゴムの両方が、良好な膜伸展性及び被覆特性を有する。低級メトキシペクチン及びアルギン酸塩は、架橋してより強い膜又は皮膜を生成する能力を有する。イヌリンは、好ましい粘稠膜ビルダーであり、典型的には、2〜60フルクトース単位(FU)のDP及び8〜12の平均DP、より好ましくは15〜60FUのDP及び約15〜30FUの平均DPを有する。
【0084】
特定の食物系における使用のための選択肢は、それらが使用される食物の組成に基づいて変わることがある。構造/粘稠膜ビルダーは、また、可消化炭水化物に基づく成分に既に存在している内在性親水コロイドと相互作用する及び相乗的に反応するように選択できる。
【0085】
粘度増強成分は、また、レオロジー調整剤又は可塑剤を、上記で確認されているように、粘稠膜ビルダーの流動性を改善するために含むことができ、これは得られる低減可消化炭水化物食物又はそれから形成されるそしゃく塊の全体にわたって、粘稠膜ビルダーを均等に分配することに役立つ。1つのレオロジー調整剤又はこの混合物が1つ以上の粘稠膜ビルダーと共に使用できる。
【0086】
典型的な可塑剤には、グリセリン及びフルクトース、ソルビトール、キシリトール、ポリデキストロースのようなポリオール類、イヌリン、好ましくは2〜20の重合度(DP)及び4〜7の平均DPを有するイヌリンのような特定の食物繊維、2〜5及び平均4の重合範囲、又は2〜8で平均4.7の範囲を有するフルクトオリゴショ糖類(オリゴフルクトースとしても知られている)のようなショ糖類を挙げることができる。可塑剤は、加工食品マトリックス内に水分を誘引し、移動し、分配することを促進する保湿剤として機能できる。可塑剤を単一の親水コロイド又は混合粘度増強成分系に添加できる。
【0087】
可消化又は部分的に可消化の可塑剤物質も使用できるが、典型的には血糖負荷寄与を最小限にするため限定された濃度である。
【0088】
粘度増強成分は、利用可能な炭水化物を含有する第2食物で、その中又はそれと共に摂取されたとき、利用可能な炭水化物を消化から保護し、小腸内で消化された炭水化物により生じる単糖類の吸収を低減することにより、第2食物の血糖応答を低減できる低減可消
化炭水化物食物又は食物添加物を提供できる。本発明は、食事が少なくとも1つの本発明の低減可消化炭水化物食品を含む場合、食事の血糖応答の鈍化をもたらす。本発明の低減可消化炭水化物食物又は食物成分、好ましくは食物の推奨される一人分の大きさと同じ程度の部分が食事の他の食物と混合されるとき、全ての食物が従来の食物である食事と比較すると、食事の血糖応答は鈍化される。
大腸効果及び利益:
可消化炭水化物を含有する食物の血糖応答を低減する第2の方法は、小腸を通り過ぎた未消化発酵性炭水化物の大腸での発酵によって、肝臓でのグルコース形成及びグリコーゲン刺激の低減を提供する。この発酵によって、血糖の低減の他に更なる健康利益を実現することができる。
【0089】
事実、本発明の実施により作られる低減可消化炭水化物食物は、制御された量の保護可消化炭水化物を小腸をバイパスさせ、結果的に大腸の常在微生物に使用させる。大腸に到達した未消化で保護された炭水化物は、通常存在している大腸微生物叢により発酵される(その食物になる)ことができる。これらの未消化保護炭水化物は、大腸の局所的健康を維持することにより大腸の健康及び人体において重要な役割を果たし、それは、大腸が脱水を防ぐために水及び電解質の管理及び保存において役割を果たすからである。加えて、健康な大腸は、小腸を通過してくる残留物質の消化を助け、残留した非消化の物質及び毒素が通過する経路を提供する。大腸は、最も多くのコロニーがある消化管の領域であり、大腸内容物の1グラム毎で1011〜1012個の嫌気性菌がいる。これらの細菌は、小腸から消化されずに通ってきたタンパク質及び炭水化物の消化を促進する酵素を生じる。多くの変数が非消化炭水化物の発酵の程度に影響を及ぼすことができ、したがってガス(メタン、水素、二酸化炭素)、短鎖脂肪酸(SCFA)(C2〜C5有機酸)、並びに増殖した細菌集団を含む発酵から生成される種々の最終生成物の性質及び量に影響を及ぼすことができる。発酵の程度は、典型的には、完全に発酵したもの(多くの水溶性非消化炭水化物、本発明の実施により作り出されるもの)からほとんど発酵していないもの、例えばセルロース粒子までの範囲である。しかし、発酵の程度に影響を及ぼす多くの要因のうち、主要な影響は、非消化炭水化物の物理化学的性質である。
【0090】
非消化炭水化物の発酵による細菌集団の増殖は、大便重量の大きな部分である大便嵩に直接寄与する。細菌は、水が約80%であり、脱水に耐える能力を有し、そのことは糞便物質の水保持に寄与する。ヒトの糞便における細菌の数は、約4×1011〜8×1011/g乾燥糞便であり、西洋風の食事をする対象者の糞便固形物の約50%を占める。大腸発酵のガス生成も大便嵩にいくらかの影響を与えることができる。ガスの捕捉は、量の増加、及び糞便の通過時間の低下に寄与することができる。
【0091】
発酵の代謝最終生成物、すなわちガス、SCFA及び増殖した微生物叢は、大腸における非消化炭水化物の物理化学的効果と、大腸における局所的効果及び全身的効果の示唆において中心的な役割を果たす。バクテリオイド科、クロストリジウム属及び酵母菌の幾つかの非病原性種、嫌気性球菌、及び乳酸桿菌属の幾つかの種のような厳密な嫌気性種による発酵から生成されるガスは、大部分は、鼓腸により放出されるか、又は吸収され、その後肺を通して体から失われる。しかし、これらの微生物叢により生成されるいくらかの水素及び二酸化炭素は、メタン生成細菌により更にメタン(CH4)に代謝され、したがって腸のガス圧を低減する。これらの嫌気性微生物のうち、クロストリジウム属、真生細菌及び嫌気性球菌は、最もガスを生成し、一方ビフィズス菌は、ガスを全く生成しない通常の消化管微生物叢の唯一の群である。
【0092】
食物中の保護可消化炭水化物のエネルギー蓄積量又はカロリー値は、消化された炭水化物として小腸で消化及び吸収された炭水化物に対する大腸で発酵した炭水化物であることができる。摂食後血糖及び高脂血応答は、親水コロイドの膜形成及び粘度増強特性により
減衰される。非消化親水コロイド膜は、可消化炭水化物を炭水化物消化酵素との相互作用から保護する。親水コロイドの粘稠特性は、腸の内容物を増粘して小腸内の炭水化物の吸収を低減し、これは消化された炭水化物部分のぜん動混合及びその分散を減少する。門脈系に吸収され、肝臓に到達するSCFAは、グルコース及び脂質代謝に影響を及ぼすことができる。これらは、血糖値、並びにコレステロール及びトリグリセリドの血中濃度を減衰する。可消化炭水化物が小腸の消化及び吸収を回避し、大腸で発酵すると、このプロセスで得られるSCFAは、大腸での吸収、その後の肝臓での代謝により一定量のエネルギーを提供する。非消化炭水化物のエネルギー蓄積量又はカロリー値は、化学的な観点から、発酵の程度によって左右される。どのような程度でも発酵していない非消化炭水化物は、0kcal/gに近いカロリー蓄積量を有するが、カロリー研究のデータは、SCFAへの発酵及び単胃種の肝臓における酸化の平均エネルギー生成は、1.5〜2.5kcal/gであって、むしろ小腸での消化及び吸収、その後の肝臓での酸化は4.0kcal/gであることを示す。これは、細菌生物量の発酵、ガス、及び非消化炭水化物発酵プロセスからの熱によるエネルギー損失に起因する。
【0093】
発酵により発生する主なSCFAは、酢酸、プロピオン酸及び酪酸であり、大腸における総SCFA濃度の83〜95%を占め、約60〜150μmol/Lの範囲である。これらの酸の濃度は、微生物叢の濃度も最高である場合に最高であり、すなわち盲腸及び右又は横行結腸において最高である。これらの高濃度の酸に対応して、pHも典型的には横行結腸において最低(5.4〜5.9)であり、大腸の遠位に向かって6.6〜6.9に徐々に上昇する。pHが低下すると、大腸の環境は、大腸菌、クロストリジウム属及び特定の酵母菌のような毒素生成及び健康障害促進微生物叢にとって好ましくなくなる。
【0094】
大腸のレベルでは、非消化炭水化物の発酵は、これらの健康促進SCFA及びビフィズス菌のような内在性でよりpH耐性のある微生物叢の濃度を上昇して、1)粘膜細胞の成長及び血流に影響を与えること、2)粘膜生成を増加すること、3)細胞分化剤として作用すること(抗腫瘍効果)、4)大腸炎を予防すること、及び5)カルシウム又はマグネシウムのような鉱物吸収を改善することのような潜在的な健康効果を発揮して、病原菌の成長を抑制する。門脈系に吸収され、肝臓及び腎臓に到達するSCFA、特にプロピオン酸は、代謝に更に影響を及ぼすことができる。このことは、血糖症、脂血症、尿毒症の低減のような全身的な効果及び総合的な窒素バランスの改善をもたらすことができる。脂質に対する影響は、潜在的な健康効果の一例であり、それは高血清脂質濃度が心臓血管疾患の危険性の増加に結びついているからである。加えて、肝臓における低グリコーゲン生成及び高グルコース生成は、長期にわたってインスリン耐性を作り出すことと一致しており、その結果として糖尿病の転帰をもたらす。この危険性は、未消化発酵性保護炭水化物の消費により低下されることがある。
【0095】
ホスト代謝に対する効果に加えて、未消化発酵性保護炭水化物は、また、大腸の発癌の危険性を低減することに関係がある。本発明を実施して作り出された十分に発酵した炭水化物供給源の発酵は、酪酸をもたらし、その大部分(約90%)は、大腸細胞の好ましい基質としてCO2及びケトンに代謝されると考えられ、それらの総エネルギーの70%を提供し、細胞培養の強力な分化剤として、それらを腫瘍発生への転化から保護する。
改質炭水化物に基づく食物成分:
本発明の別の実施態様は、可消化炭水化物に基づく成分及び非消化保護成分を含む改質炭水化物に基づく食物成分に関する。典型的な可消化炭水化物に基づく成分は穀物粉である。家庭及び施設の両方における可消化炭水化物を含有する食品の作成において、植物性又は果物粉のような可消化炭水化物に基づく成分が、食物製造プロセスにおける通常の成分である。典型的な穀物粉には、小麦及び大麦のような穀物類、トウモロコシ及び米のようなイネ科植物、大豆、豆類、及びヒヨコマメ(yellow chickpeas)のような豆果類、ジャガイモのような塊茎類から誘導されるものが挙げられる。本発明は、改質された粉を提
供するために従来の粉が本発明の非消化保護成分の添加により改質できることを提供する。
【0096】
典型的な非消化保護成分は、粒状形態である。典型的には、非消化成分は、上記で記載されたように形成されて水和スラリー又は溶液として従来の粉の中に加工される。あるいは、非消化成分の粒状形態は、粉と共に加工されて改質粉を形成できる。改質粉は、従来の粉混合装置システム及び技術を使用して作成できるが、従来のシステムよりも高い剪断及び低い接触時間を用いる加工装置及び技術を使用することが好ましい。
【0097】
典型的には、改質粉は、非改質粉に匹敵する物理的性質を有し、本発明に従って練り粉由来の食品に加工することができ、これらには、パスタ、米飯、ポテト、トルティーヤ、パン及び製パン製品が含まれるが、これらに限定されない。本発明で作られる練り粉系は、向上したレオロジーを有して、種々の低減炭水化物製品を作るのに使用される製造プロセスに役立つ。練り粉はより良好な機械加工性を有して、例えば、押し出しダイス及びトルティーヤプレスへの付着を低減する。練り粉は低下した粘度を有して、押し出しダイスの圧力を低減し、同時に電力消費量を低減し、収量の向上に役立つ。
【0098】
本発明の別の実施態様は、食物の上に振りかけるか又はその中に加えて、可消化炭水化物を消化から保護することができる食物成分、或いは糜粥の粘度に上昇をもたらす食物成分に関する。そのような食物成分は、処置食物の血糖応答を鈍化することができる。食物成分は、調味料、風味料、又は質感調節剤であることができる。食物成分は、粒状又は液体組成物を含むことができる。食物成分は、ソース、グレイビー、製パンミックス、パンケーキミックスのような食物、及び飲料を製造するために使用できる。食物成分は、植物又は果物のような食品用のグレーズ又はディップとして使用できる薄いソース又はつや出し製品であることができる。
非消化親水コロイド:
下記の表Aは、好ましい非消化親水コロイドを選択された物理データと共に提示する。下記の選択された親水コロイドは、本明細書の後記で考察される。
【0099】
【表4】

【0100】
キサンタンガム:
キサンタンガムは、注入サラダドレッシング、ソース及びグレイビー、ペーストリーフィリング、プリン、幾つかの乳製品、並びに果汁用の非常に安定した増粘剤として開発された。これは低濃度で優れた増粘剤である。キサンタンガムは、3つのβ−1−4結合糖側鎖(D−グルコース−2.8モル、D−マンノース−2.0モル、D−グルコウロン酸−2.0モル)を持つセルロース主鎖を有する剛構造である。これは擬塑性であり(剪断が印加されると薄くなる)、良好な接着及び被覆特性に寄与する。これは冷水及び熱水の両方で可溶性である。剪断が不在であると、ゲル様構造を生じ、低濃度で高粘度を生じる。キサンタンガム/グアーゴム及びキサンタン/イナゴマメゴム混合物は、粘度の相乗的な上昇を示す。粘度特性は、イオンによりいくらか影響を受けるが、酸、塩及び高温で比較的安定している。キサンタンは、冷凍温度で安定しているが、レトルトでは不安定になり、これは0.1%の塩化ナトリウム(NaCl)により改善される。キサンタンガム溶液は、広範囲の温度にわたって溶液の粘度に変化を示すことがなく、典型的には剪断後に粘性を完全に回復する。キサンタンガムは、トウモロコシグルコースのような糖類を利用して細菌キサントモナスカンペストリス(Xanthomonas campestris)により作成し、これは特定の食物成分を作る慣用の商業的方法である。キサンタンガムは、胃液で膨張して粘度を上昇することができる。キサンタンガムは、ヒトの酵素に耐性があり、酸性及びアルカリ性の条件で安定している。人体で消化されないが、無傷で大腸に到達し、そこで、コレステロールの低減及び血糖のなめらかな変動に役立ち、そして大腸の健康を維持するのに役立つ発酵プロセスの生成物を生成する常在微生物叢により食物として使用される。
【0101】
グアーゴム:
グアーゴムは、天然の食物乳化剤、増粘剤、及び安定剤であり、冷凍デザート、焼いた食品、サラダドレッシング、及びチーズのような多くの食品で使用される。この食物ゴムは、マメ科植物(Cyamopsis tetragonolobus)の種の胚乳部分から抽出された貯蔵炭水化物である。ガラクトース側鎖を持つマンノース高分子主鎖を有する非イオン性(不変)ガラクトマンナンポリマーである。冷水で可溶性であり、ガラクトース側鎖が増加すると増大する(冷水可溶性により25%超のガラクトースとなる)。グアーゴムは、冷水で急速に水和し、温度を上昇すると水和率も上昇して、一般に低剪断粘度の高粘度擬塑性溶液が得られる。グアーゴムは、イオン、pHにより比較的影響を受けず、他のほとんどのゴム類よりも厳しい温度及び剪断により影響を受けやすい。グアーゴムは、κ−カラギーナン又はキサンタンガムと共に使用されると性質を変えて、ゲル形成なしに粘度を相乗的に上昇させる。良好な被覆特性を有する。酸におけるグアーゴムの部分加水分解は粘度を低下させる。溶液はイオン強度又はpHにより影響を受けない。グアーゴムは、キサンタンガムと粘度相乗作用を示す。大腸で発酵して短鎖脂肪酸となる非消化炭水化物として、大腸への送達に使用されてきた。成分は、腸機能を改善し、下痢を低減し、下痢を緩和し、「悪玉」コレステロール及び血中トリグリセリド濃度の低下を助け、食後の血糖値を正常化することを示した。
【0102】
イナゴマメゴム(LBG):
イナゴマメゴムは、グアーゴムのような別のガラクトマンナンである。これは、ガラクトース側鎖を持つマンノース高分子主鎖を有し、分子量約330,000である。グアーゴムと異なり、冷水可溶性がなく、僅か18〜24%のガラクトース側鎖を有する。イオン、pHにより変わることなく、比較的に影響を受けず、厳しい温度及び剪断に影響を受けやすい。イナゴマメゴムは、水和するために高温を必要とし、典型的には80℃で10分間加熱されると換算に水和し、溶液は曇ったオフホワイトである。水和の後で形成されるゲルは、ずり減粘(擬塑性)である。グアーゴムと同様に、イナゴマメゴムは、κ−カラギーナン又はキサンタンガムのゲル特性を変える。キサンタンガムは、グアーゴムよりも低い程度に置換されているLBGのマンナン主鎖とより強力に会合する。イナゴマメゴムは、ゴムの総含有量の0.4%を超えて弾性組み合わせゲルを形成する。グアーゴムと同様に、イナゴマメゴムは、ヒト微生物叢の変性によりヒトの消化管で容易に発酵して、
消化管の健康及び機能を改善する。研究は、脂質低下(トリグリセリド及びコレステロールの低下)効果及び摂食後グルコース(低血糖値及びインスリン応答)効果を示した。
【0103】
ペクチン:
これらの天然混合型食物炭水化物は、リンゴ、柑橘類果物、ヒマワリ及びテンサイのような多くの植物の細胞壁に存在する。市販のペクチンは、通常リンゴの搾りかす又は柑橘類の皮から抽出した非消化炭水化物である。ペクチンは、200〜1,000のガラクトース単位の非分岐鎖状ポリマーであり、β−1−4−グルコシド結合により結合している(D−ガラクトウロン酸のポリマー)。ペクチンの機能性は、ポリガラクトウロン酸の順序及びメチルエステル化の程度に起因する。ペクチンは、メチルエステル化度により特徴付けられ、これはゲル化速度を制御する。高メトキシル(HM)ペクチンは、50%を超えるメトキシル含有量を有するものとして特徴付けられ、低メトキシル(LM)ペクチンは、典型的には50%未満のメトキシル含有量を有する。急速固化ペクチンは、典型的には70〜85%のメトキシル含有量を有し、低速固化ペクチンは、44〜65%のメトキシル含有量を有する。HMペクチンは、ゲルを形成するために低pH(<3.5)及び高D.S.(>60°ブリックス)を必要とするが、優れた脆性膜を形成する。本発明で開示されているように、ペクチン含有膜は、本発明での使用において柔軟性を向上するために水誘引可塑剤により改質されなければならない。HMは、通常のジャム及びゼリーにおいてゲル化剤として使用される。LMペクチンは、カルシウムイオン誘導鎖間会合によりゲルを形成する。アミド化LMペクチンは、天然果物保存料のゲル化に使用される。HMペクチンは、カゼイン(乳タンパク質)と反応するので、乳酸飲料を安定化する。LMペクチンは、カゼインとの相互作用のため、ミルクゲルとしても使用される。ペクチンは、典型的には、フルーツジャム及びゼリーのゲル化、並びにヨーグルト及びヨーグルト飲料のような幾つかの発酵乳製品のゲル化を助けるために使用される。研究は、ペクチンが、胃が空になる速度を低下し、食物の小腸への移動を遅くすることに役立ち、したがって糖類の血流への吸収を遅らせ、血糖変動をなめらかにすることに役立つことを示した。また、「悪玉」(LDL)コレステロール値を低下し、同時に「善玉」(HDL)コレステロール値を変えないことに役立つこと示した。
【0104】
カラギーナン:
カラギーナンは、英国に近い大西洋、ヨーロッパ大陸及び北アメリカで一般的な海藻である紅藻類(Rhodophyceae)から抽出された天然の非消化炭水化物である。カラギーナンは、多分散されている(全く同一の分子が二つない)。3つの形態が存在し(κ、ι、λ)、これらは硫酸エステル及び3,6−無水ガラクトース含有量により構造的に異なる。ガラクトース主鎖硫酸エステルは、陰電荷を与える。主鎖の無水ガラクトース単位は、ゼラチン相乗作用のために必要であり、硫酸化度は、ゲル組織を制御する。両方とも3,6−無水糖を有するκ及びι型は、ゲルを形成するが、糖のないλ型は、ゲル化せず、増粘剤として機能しない。κ−カラギーナンは、カリウム相互作用により脆性ゲルを生成し、ι型は、カルシウム相互作用により弾性ゲルを形成する。カラギーナンは、カゼイン塩と相互作用してゲルを安定化し、これは硫酸エステル基の数及び位置によって左右される。アニオンは、安定したコロイドタンパク質−カラギーナン複合体を形成する。カラギーナンは、アイスクリーム、マシュマロフラフ、パンケーキシロップ、乳製品に基づくデザート、ブレックファーストシェーク及びプリン、並びに加工肉のような幾つかの加工食品を増粘すること;食物を安定化又は乳化して、チョコレートミルクのように液体が一緒に混合したままでいることを助けること;糖又は氷の結晶の形成を遅らせることにより、例えば糖菓類及び冷凍デザートにおいて結晶の安定化を助けることに使用される。天然の創造物であるという観点から、創造物としてトマトペーストとあまり変わらない。非消化炭水化物として、カラギーナンは、人体で消化されないが、常在微生物叢により大腸で完全に発酵して、健康利益を生じる。研究は、腸の粘度を上昇すること、胃を空することを減少し、小腸の通過時間を低減すること(低血糖特性)に役立つことを示した。このプロセス
は、ペクチン及びグアーゴムのように、糖が血液中に入る速度を遅くし、発酵して、血糖形成及び肝臓でのコレステロール生成に影響を及ぼす生成物を発酵から生成する。
【0105】
アルギン酸塩:
アルギン酸塩は、褐藻類(Phaeophyceae)の天然食物抽出物である。これらは、β−1−4−D−マンヌロン酸及びα−1−4−L−グルロン酸残基から構成される非分岐鎖で線状のポリマーである。アルギン酸塩ゲルは、形成するためにカルシウムのような対イオンを必要とする。通常のイオン含有量は、0.5〜1%である。粘度は低濃度で上昇し、カルシウム含有量が増加すると上昇し、分子量及びカルシウム含有量の関数として1%の粘度で1〜2000センチポアズ(cP)である。膜(ゲル)形成は、金属イオン封鎖剤、すなわちクエン酸ナトリウムとの競争を通して、システムへの制御されたカルシウム放出により仲介される。アルギン酸は塩pH3未満で沈殿し、pH6.5を超えると分解する。プロピレングリコールは、カルシウム及び酸に対してそれらを安定化する。プロピレングリコールアルギン酸塩ゲルは、サラダドレッシングに使用されるため、より良好な酸安定性を提供し、低pHでの沈殿を低減するように設計される。アルギン酸塩及びプロピレングリコールアルギン酸塩系は、乳製品、製パン製品に(フルーツフィリング、質感及びゲル化調整)、氷結晶の形成に耐えるために冷凍デザートに、オーバーラン(空気)安定化に使用される。アルギン酸塩は、非消化炭水化物であり、ヒトの消化管で容易に発酵して短鎖脂肪酸となり、検討利益をもたらす。
【0106】
ジェランガム:
ジェランガムは、2つのβ−グルコース単位とβ−グルコウロン酸及びラムノース単位から構成される。これは、細菌シュードモナスエロデア(Pseudomonas elodea)により生成され、高分子量(1,000,000)を有する。ジェランガムは、冷水で不溶性であり、高温及びカルシウムイオンでゲル化する。ジェランガムは、硬質ゲルを生成するか、又はLBG若しくはキサンタンガムの添加によるより柔らかい(改質された)ゲルを生成する。ジェランガムは、寒天、カラギーナン、及びアルギン酸塩と機能が似ている。ゲル形成は、冷却よる二重螺旋の凝集によってもたらされ、酸付加の水素イオンを含む全てのイオンで誘導される。ジェランガムは、食物及び小腸において粘度を加え、大腸で容易に発酵して短鎖脂肪酸となる。
【0107】
イヌリン:
イヌリンは、フルクトースの非消化ポリマーである。これは、世界中の36,000種を超える樹木で見出される天然の貯蔵炭水化物であり、自然界でデンプンの次に最も多い炭水化物である。タマネギ、ニンニク、小麦、レーズン、トマト、バナナ、アスパラガス、及びチコリの根又はその葉(Belgian endive)のような慣例的に摂取されている果物及び野菜で見出される。主にチコリの根(Cichorium intybus)からの抽出及び精製により商業的に生産されている。これは、ショ糖では、β−2−1−結合フルクトース分子と末端α−1−2−結合グルコース単位の非分岐鎖で線状のポリマーである。原生チコリイヌリンは、典型的には2〜60フルクトース単位の重合度(DP)の範囲を有し、平均9〜12単位を有する。冷水及び熱水で可溶性であって、清澄な溶液(室温で12g/L)を生じ、溶解度及び明澄度は、ポリマー鎖の分布によって左右される。イヌリン分子は、高含水低pH環境(<pH4.0)で不安定であり、加水分解してフルクトースとなる。2〜5若しくは2〜8単位、又は平均約4単位の重合度(DP)を有するもののような短鎖画分は、水で高度に可溶性であり(室温で750g/L)、極めて吸湿性(水誘引)であり、本発明の可塑剤として使用される保湿剤特性を有する。この種類のイヌリンの生成物は、低い粘度を有する(5%のイヌリンは典型的にはショ糖の約10%以下の粘度である)。これらの製品は、ゴールデン・テクノロジーズ社(Golden Technologies, Inc)(コロラド州)からニュートラフローラ(Nutraflora)(登録商標)scFOSとして、オラフィチ・フード・イングリディエンツ(Orafti Food Ingredients)(ペンシルベニア州)か
らラフィロース(Rafilose)(登録商標)P95として、及びセンサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)(ニュージャージー州)からフルータフィット(Frutafit)(登録商標)CLRとして市販されている。チコリ根からの原生イヌリンは、2〜60フルクトース単位のDPで、平均9〜12単位を有する高分子量鎖(多分散)の混合物である。原生イヌリンは、保湿剤特性を有し、水結合特性を提供し、そして弱い擬塑性粒子ゲルを形成するように、多機能を提供する。この種類の粒子ゲルは、イヌリン含有量が約25重量%であり、濃度が上昇すると粘度及び堅さが増加する。粒子ゲルは、カルシウムのようなカチオンの添加(0.25〜1%)により強度が増加する。形成されたゲルは、ずり減粘(擬塑性)である。ゲルは、特にカラギーナンに基づくゴム系と共に使用されると、発泡体を安定化し、乳化剤を助ける。この性質を有する市販の製品の例は、カルギル社(Cargill Inc)(ミネソタ州)からのオリゴ−ファイバー(Oliggo-fiber)(登録商標)ST;コスクラ(Cosucra)(ベルギー)からのフリブリリン(Fribriline)(登録商標)ST;オラフィチ・フード・イングリディエンツ(Orafti Food Ingredients)(ペンシルベニア州)からのラフィチリン(Raftiline)(登録商標)ST;及びセンサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)(ニュージャージー州)からのフルータフィット(Frutafit)(登録商標)HDである。5〜60フルクトース単位のDP範囲で、平均25単位を有するもののような高いDPを有する物理的に分割されたイヌリンは、擬塑性ゲル形成をもたらし(12.5%で開始)、水と結合し、食物構造を強化し、食物中の水の移動を最小限にするのに役立つ。そのような製品の市販の例は、オラフィチ・フード・イングリディエンツ(Orafti Food Ingredients)(ペンシルベニア州)からのラフィチリン(Raftiline)(登録商標)HP、コスクラ(Cosucra)(ベルギー)からのフィブリリン(Fibriline)(登録商標)LC、及びセンサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)(ニュージャージー州)からのフルータフィット(Frutafit)(登録商標)TEX!である。食物中の通常のデンプンと異なり、イヌリンは、人体で消化されないが、大腸における健康促進細菌の選択された群(ビフィズス菌及び乳酸桿菌属)により好ましい食物(食物繊維)として使用され、これらは多くのヨーグルト及び他の発酵乳製品で見られる活性培養として使用されるものと同じ菌である。これらの細菌は、イヌリンを選択的に使用して成長し、SCFAのような発酵生成物を生じて、免疫系の支援に役立ち、肝臓における炭水化物及び脂質(脂肪)代謝を調節し、強い骨及び歯のためのカルシウム吸収の改善に役立ち、健康的な免疫機能の支援に役立ち、食物の適切な消化及び水の再循環のために大腸を健康に保って下痢の作用を低減することに役立つ。
【0108】
難消化性デンプン:
通常のデンプンは、膵アミラーゼ、α−デシストリナーゼ、マルターゼ、スクラーゼ及びラクターゼのような炭水化物消化酵素により消化される。本発明で有用な難消化性デンプンは、デンプンと、健康的な個人の小腸におけるヒトの酵素で分解されないデンプン分解のデンプン生成物との合計として定義される。難消化性デンプンは、食物繊維であると考えられる。これらは小腸で消化されないが、大腸で発酵する。
【0109】
本発明で有用な難消化性デンプンは、耐性の源に基づいて分類される。
RS1デンプンの耐性は、可消化デンプンの閉じ込めの結果であり、これは可消化デンプンを消化酵素の攻撃から保護する。RS1デンプンの例には、部分的に摩砕された穀物類、部分的に咀嚼された米飯及びシリアル、並びに種が挙げられる。RS1デンプンの耐性は、部分的に摩砕された穀物類で見出されるような加工の程度及び種類によって変わることができる。
【0110】
RS2デンプンは、ゼラチン化する(デンプン粒子が水和し、破裂する)まで耐性であるデンプン粒子を含む。RS3は、ゼラチン化した後のデンプンポリマーの老化又は再会合に関する。RS4は、化学的に改質された耐性のデンプンである。上記の分類に基づき、本発明の可消化炭水化物は、消化酵素の攻撃から保護する親水コロイド膜及び粘稠胃腸
内容物中に閉じ込められることから、RS1デンプンであると考えられる。消化に耐性であるデンプンは、科学的研究において血糖値、血中コレステロール値及び血中トリグリセリド値の制御に役立ち、インスリン濃度を正常化し、大腸内膜の健康改善に役立ち、それにより潜在的な潰瘍及び炎症性腸障害を減少し、大腸癌の危険性を低減することを示した。
【0111】
本発明の食物で用いられる完全な親水コロイド膜形成系は、添加された親水コロイドと、同様に穀物品のβ−グルカン及びグルテンのようなそれから膜が形成される特定の食物に予め存在している親水コロイドとを含有してもよい。
【0112】
食料品は、非常に複雑な物質であり、多要素で機能性の親水コロイドと組み合わされるとき、親水コロイドの組成及び濃度、並びにその支持化学元素を変えることが、膜性能を最適化するために必要となる可能性がある。
加工:
非消化食物膜成分及び粘度増強成分を可消化炭水化物に基づく成分に加えるために異なる手法が使用できる。
【0113】
一つの実施態様において、本発明は、低減可消化炭水化物食品を作成する方法であって、1つ以上又は全ての親水コロイド物質を含む親水コロイド組成物を準備する工程;親水コロイド組成物をスラリーに予備水和する工程;予備水和された親水コロイド組成物を可消化炭水化物に基づく成分中に加工して練り粉を形成する工程;及び任意に練り粉を寝かせる及び/又は乾燥することにより加工して、低減可消化炭水化物食物又は食物成分を形成する工程を含む方法を提供する。
【0114】
加工は、典型的には、印加された剪断下で、親水コロイドを可消化炭水化物に基づく成分(例えば、粉)の中に又はそれと共に、効果的な保護食物膜網状組織を有するか、あるいは効果的に分散された親水コロイド粘度増強成分を有する消化抵抗性食物物質を形成するのに十分な時間混合する工程を含む。
【0115】
異なる種類の加工装置及び加工条件が、炭水化物に基づく食物成分に添加する前に膜系の成分を混合及び水和し、膜を食物へ最終的に組み込むことを達成するために使用できる。加工手法は、非水和食物膜成分が食品の製造の際に組み込まれるときに食物中に膜を展開するように、適切に選択されなければならない。加工装置及び条件の選択は、使用される膜の組成、それが適用される食品の種類、並びに所望の膜の性質及び性能に左右される。加工は、食物膜網状組織が食物マトリックス内にどのように分布され、埋め込まれるかに影響を及ぼすことができる。また、その調製の間と食物マトリックスへの組み込みの間の両方で膜の性質に影響を与えることができる。加工は、膜のレオロジー、強度に影響を与え、糜粥の粘度に影響を及ぼす。本発明の組成物及び方法で使用される予備水和ゴム類は、水又は水分と、粉を含む他の成分との競合を最小限にするように選択できる。
【0116】
加工における重要な検討事項は印加される混合剪断の量である。水和膜調製物に印加される高剪断混合は、成分の分布に均一性をもたらし、一部の例では所望の分子相互作用をもたらすことができる。高から中程度の剪断混合が、膜系を食物中に組み込み、その中で展開することに使用できる。二軸スクリュー押し出しプロセスにおける高剪断混合は、食物及び膜成分の可塑化混合物における膜成分の密接な相互作用を提供できる。特定の食物成分及び親水コロイド系では、混合強度及び混合時間は制御されるべきである。高剪断混合の時間及び強度は、良好な膜特性及び保護食物膜網状組織の適切な分布を達成するために、当業者により最適化できる。親水コロイド食物膜の過剰剪断は、所望の特性及び性能を低下するかもしれないことが予測できる。
【0117】
別の実施態様において、本発明は、低減可消化炭水化物食品を作成する方法であって、少なくとも1つの非消化親水コロイド物質を含む親水コロイド組成物を準備する工程;親水コロイド組成物を予備水和する工程;予備水和された親水コロイド組成物を、原生親水コロイドを含む可消化炭水化物に基づく成分中に加工して練り粉を形成する工程;及び任意に練り粉を寝かせる及び/又は乾燥することにより加工して、低減可消化炭水化物食物を形成する工程を含む方法を提供する。
【0118】
さらに別の実施態様において、本発明は、低減可消化炭水化物食品を作成する方法であって、少なくとも1つの非消化親水コロイド物質を含む親水コロイド組成物を準備する工程;親水コロイド組成物を可消化炭水化物に基づく成分を含む1つ以上の乾燥食物成分と混合する工程;親水コロイドと乾燥食物成分の混合物を水和及び加工して練り粉を形成する工程;及び任意に練り粉を寝かせる及び/又は乾燥することにより加工して、低減可消化炭水化物食物を形成する工程を含む方法を提供する。この実施態様において、非消化物質の粒径は、典型的には粉の粒径に匹敵する粒径を有して、急速かつ効果的な水和を提供する。非消化物質の粒径が小さいほど表面積が多くなり、水和効率が大きくなる。低剪断混合装置しか利用できない場合は、より大きい粒径が著しく良好な分散及び良好な全体的な水和をもたらす。典型的には、非消化親水コロイドは、約40〜約200ミクロンの範囲、より典型的には約75ミクロン未満の粒径を有する。
【0119】
食品:
保護食物膜網状組織は、広範囲の食品の種類及び分類で利用できる可消化炭水化物に基づく成分のために設計できる。本明細書で使用されるとき、本発明に従って作られる食品は、ヒト又は動物の摂取用であることができ、限定するものではないが、ペット及び家畜用、並びに農場動物用の餌が挙げられる。本発明の技術が適用できる食品の分類には、パスタ(ヌードルを含む全ての種類)、再構成又は二次成形米飯、再構成又は二次成形ポテト(マッシュポテト、インスタントフレーク、及びテイタートッツ、フレンチフライ、ハッシュブラウン及びチップスのような再構成ポテト製品)、飲料、製パン製品、デザート、ソース、グレイビー及びスープ、フードバー、糖菓類(フロスティングを含む)、シリアル、並びにチップス及び押出スナック、膨張スナックのようなスナック類が挙げられるが、これらには限定されない。製パン製品には、パンを挙げることができ、これには、例として通常の食パン、トースト、バン、ロール、クロワッサン、プレッツェル(ソフト及びハード)、ピザ生地(冷凍及び生)、イングリッシュマフィン、ブレッドスティック、フラットブレッド、ピタパン、トルティーヤ、クルトン、パン粉及びブリーダー(breader)粉、スイートブレッド、マフィン、ドーナッツ、チップス及びベーグルが挙げられる。発酵させていないパンは、パン種剤なしで調製される。製パン製品には、また、例としてケーキ、クッキー、ペストリー生地及びペストリー製品を挙げることができる。
【0120】
パスタ:
本発明の組成物及び方法を用いる典型的な分類の食物はパスタである。本発明のパスタ食物は、手作りであるか又は高度に自動化された技術的に先進的な施設で作成されることができ、パスタの個別の形状(スパゲティ、ヌードル、リボン形、リガトーニなど)は、典型的にはパスタ生地を乾燥し、押し出すことにより作成される。パスタを作るのに好ましい粉はデュラムセモリナである。デュラム小麦(マカロニコムギ)は、グルテンが多く極めて硬質の小麦である。「セモリナ」は、特定の穀物ではなくむしろ製粉質感を意味し、セモリナは細砂の質感を有し、連邦規定によると僅か3%の「粉」(より微細に製粉された粉末)しか含有しない。「粒状デュラム」は、実質的に3%〜10%の粉含有量(3%未満ではなく)のセモリナである。セモリナとして製粉される最高等級のデュラムは、パスタに弾性を与え、より容易に破断し、調理すると柔らかくグニャッとして粘つく稠性となる傾向がある薄力粉で作られたパスタよりも固く調理するのに役立つ。
【0121】
本発明に従って作られたパスタは、典型的には、少なくとも約50重量%、より典型的には少なくとも約75重量%、さらにより典型的には少なくとも約85重量%の粉を含み、約98重量%まで、より典型的には約90重量%までの粉を含む。パスタは、また、典型的には、少なくとも約2重量%、より典型的には少なくとも約5重量%の非消化保護物質を含み、約40重量%まで、より典型的には約15重量%まで、さらにより典型的には約10重量%までの非消化保護物質を含む。
【0122】
パスタに含まれる非消化保護物質は、典型的には少なくとも10重量%、より典型的には少なくとも約20重量%、さらにより典型的には少なくとも約30重量%、そして約70重量%まで、より典型的には約60重量%まで、さらにより典型的には約40重量%までの、構造/粘稠発酵性物質と構造タンパク質ポリマーのうちの少なくとも1つ、典型的には両方から選択される構造及び粘稠食物膜成分を含むことができる。パスタに含まれる非消化保護物質は、典型的には少なくとも約25重量%、より典型的には少なくとも約35重量%、そして約90重量%まで、より典型的には約70重量%までのレオロジー調整物質を含むことができる。パスタに含まれる非消化保護物質は、典型的には少なくとも約0.5重量%、より典型的には少なくとも約1重量%、より典型には少なくとも約3重量%、そして典型的には約20重量%まで、より典型的には約10重量%まで、さらにより典型的には約5重量%までのイオン特性調整剤を任意に含むことができる。
【0123】
パスタの製造において、本発明の実施は、「割れ目」の著しい低減を示す。割れ目とは、パスタが緩むか又は水分を得たとき、保存の間にパスタ製品がぼろぼろに崩れるか又は崩壊することを意味する。この現象は、不十分な押し出し、乾燥又は保存条件により悪化し、この現象は、パスタの押し出しプロセスの始めと終わりに最も頻繁に見られる。乾燥室の温度と湿度の変化が著しく変動し、最も一定ではないのがこの時点である。割れ目は小さい亀裂により明白となり、パスタに小さな白色の線として現われ、調理するとパスタが分裂し粉々になる原因ともなりうる。「割れ目」の観察は、本発明に従って作られたパスタの試料で行われ、パスタの製造における非消化保護成分の使用は、割れ目の相当な低減をもたらすことを示す。したがって、本発明の更なる実施態様は、パスタの製造において「割れ目」として知られている現象を低減するための本明細書で記載されている非消化保護成分の使用である。
【0124】
本発明に従って作られた調理済みパスタ製品は、従来のパスタと比較して、そして本発明の非消化保護成分のない同じ配合のパスタに対して、改善されたかみ応えを有する。用語「かみ応え」は、イタリア語の用語「アルデンテ」に由来し、これは「歯応え」を意味し、パスタの正しい出来具合を説明するために使用される。好ましいかみ応えのパスタは、かんだときに僅かな抵抗を保持しているが、中心が固くなっているべきではない。したがって、本発明の更なる実施態様は、調理済みパスタのかみ応えを改善するためのパスタの作成における本明細書で記載されている非消化保護成分の使用である。パスタの改善された構造及びかみ応えの主要な貢献物質は、構造/粘稠発酵性物質及び構造タンパク質ポリマーである。
【0125】
本発明に従って作られた調理済みパスタ製品は、従来のパスタと比較して、そして本発明の非消化保護成分のない同じ配合のパスタに対して、増量した水分を調理済みパスタに保持することが観察された。従来の調理済みパスタの水揚げ量は、パスタの乾燥量の約100%であり、これは400グラムの乾燥パスタが水を吸収し、保持して、最終調理済み重量の約800gを有することを意味する。本発明に従って作られたパスタは、使用される小麦粉の量を標準化した同等の従来のパスタと比較すると、少なくとも約10%、より典型的には少なくとも約20%、さらにより典型的には少なくとも約40%多い水を保持できる。したがって、非消化保護成分による小麦粉の希釈を考慮に入れても、本発明の調理済みパスタは、小麦粉の乾燥単位当たり有意に多い量の水を保持する。したがって、本
発明の更なる実施態様は、調理済みパスタで水分量を増加するためのパスタ製品における非消化保護成分の使用、及び可消化炭水化物に基づく食物成分が小麦粉であることができる、可消化炭水化物に基づく食物成分の重量単位当たり増量した水分を含む調理済みパスタの使用である。
【0126】
調理済みパスタの水結合の増加は、また、調理損失を低減する。本発明の非消化物質の使用は調理利益をもたらすことが実際に観察されている。従来のパスタは、調理損失が5.5%未満であると優、5.6%〜6%で良、6.5%〜7.5%で可、損失が7.5%を超えると不可と定義される。高品質の従来のパスタは、通常、約4%の調理損失を有する。本発明に従って作られたパスタは、典型的には2%〜5%と低い。低減可消化パスタの一例では、8.6%の非消化物質含有量を有し、バイタル小麦グルテン0.90%、変性小麦グルテン0.60%、キサンタンガム1.00%、高級メトキシペクチン0.30%、塩化カリウム0.30%、ソルビトール2.50%及びイヌリン3.00%からなる。パスタは、2.3%〜2.55%の調理損失を有する。
【0127】
本発明に従って作られた調理済みパスタは、従来の調理済みパスタと比較して、許容できる、より典型的には改善された、一体性の、かみ応えのある構造を有する。したがって、本発明の更なる実施態様は、調理済みパスタの物理的一体性、かみ応え及び構造を改善するためのパスタ製品における非消化保護成分の使用である。
【0128】
本発明の食品は、また、小麦、ライ麦、大麦、オート麦及びモロコシ、米、トウモロコシ、並びにジャガイモ粉が挙げられるが、これらには限定されない種々の果物及び野菜の粉で作成できる。したがって本発明は、また、再構成米飯、並びにそのような粉から作られる他の押し出し及び乾燥生地製品の製造における「割れ目」として知られている現象を低減すること、調理済み再構成米飯及び他の調理済み製品においてかみ応え及び物理的一体性を改善し、水分保持量を増加することに関する。
【0129】
本発明の適用の例として、パスタは、種々の粉系を使用して作成することができ、例えば、構造/粘稠発酵性物質、構造タンパク質ポリマー、レオロジー調整剤/可塑剤、及びイオン特性調整剤を含む食物膜成分の組み合わせを使用して改質される標準セモリナ粉を使用して作成することができ、これは、食物膜成分約33%、レオロジー調整剤65%及びイオン特性調整剤2%の比率から構成される本発明に関連する成分の十分に混合されたブレンドを、約4〜11%の量で高剪断混合を使用して粉に約10秒間加える。混合した後の乾燥成分を商業用のパスタプレスに入れ、配合水分量を満たし、押し出し可能な生地を生成する速度で、100〜120°Fの水を乾燥成分と混合して加える。生地を、ジーティ、ペンネ、エルボー(elbows)、スパゲティなど種々のパスタ形状を生じるパスタダイスから押し出す。押し出しパスタの含水量は、29〜35%である。湿潤製品は、パスタ乾燥機を使用して水分12%に乾燥される。
【0130】
長粒米粉のような他の種類の粉を、全てセモリナ又は小麦粉の代わりに、プロセスをほとんどか、全く変えないで使用してもよい。あるいは、大豆粉、エンドウマメ粉、他の豆果類の粉、及び根の粉のような他の種類の粉を、部分的に小麦粉、標準的なセモリナ粉などの代わりに使用することができ、取り替えは、最終パスタ製品の色及び要望のような感覚刺激性及び物理的性質に左右される。
【0131】
この実施態様の例では、低減可消化炭水化物乾燥パスタは、膜を組み込んでいる予備水和親水コロイド膜をパスタプレスの水添加口から加えて生地を生成し、パスタダイスで生地を押して所望の形状にし、その後、パスタ乾燥機で乾燥することによって作成される。予備水和親水コロイド膜は、水85%、イヌリン5.3%、ソルビトール6.2%、キサンタンガム0.9%、κ−カラギーナン1.2%、高メトキシル柑橘類ペクチン0.7%
、及び塩化カリウム(KCl)0.7%を含有する組成物を有するように作成される。キサンタンガムは、TICプレヒドレーテッドNT(TIC Prehydrated NT)として入手可能である。κ−カラギーナンもTICゴム(TIC Gums)から入手可能である。HMペクチンは、高メトキシペクチンであり、CPケルコ(Kelco)からケルコ(Kelco)150Bラピッド・セット(Rapid Set)として入手可能である。イヌリンは、フルータフィット(Frutafit)(登録商標)であり、センサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)から入手可能である。ソルビトールは、ロケット(Roquette)から入手可能である。
【0132】
この種類の予備水和膜を作成し、多様な種類の粉に組み込んで、再構成米飯製品のための米の生地;再構成ポテト製品のためのジャガイモ粉;パン及び他の焼いた製品のための小麦粉;トルティーヤ、プレッツェル、及び他の同様の練り粉系を作成してもよい。
【0133】
ポテト:
フレンチフライ、ハッシュブラウン、テイタートッツ、ポテトチップスなどのような再構成ポテト製品は、45〜60%の構造及び粘稠食物膜成分、30〜40%のレオロジー調整剤部分及び2〜4%のイオン特性調整剤のような本発明の種々の成分の組み合わせを、高剪断混合を使用して約4〜20%の量で粉と組み合わせて改質された標準のジャガイモ粉の組み合わせを使用して製造することができる。冷水(50〜63°F)を中剪断で混合しながら加えて、水170重量部と乾燥改質粉約100重量部の比率の冷マッシュを製造する。得られた冷マッシュを、所望の形状を有する適切なダイスを有する低圧縦プレスでプレスし、得られたストランドの長さを回転切断器具を使用して切断する。
【0134】
フレンチフライの場合は、得られるフライを、直ぐに摂取するために植物油により356〜365°Fで90秒間調理するか、又は30〜45秒間調理し、調理されたフレンチフライをそれぞれ急速冷凍する。テイタートッツの場合は、マッシュを形状に押して、フレンチフライの場合のように調理する。ハッシュブラウンの場合は、プレス操作で得られる薄いストランドをパティの形状にする。再構成ポテトチップスの場合は、冷マッシュを流し型の中に入れ、かりかりになるまで焼く。あるいは、大豆粉、中力小麦粉、長粒米粉、及び他の粉を所望により種々の量でジャガイモ粉の部分の代わりに使用してもよい。
【0135】
再構成米飯:
本発明を適用するさらに別の例において、再構成米飯は、12%の構造及び粘稠食物膜成分、70〜80%のレオロジー調整剤部分及び2〜4%のイオン特性調整剤のような本発明の種々の成分の組み合わせを、高剪断混合を使用して約4〜20%の量で粉と組み合わせて改質された米粉を使用して製造できる。乾燥成分を計量して二軸スクリュー押出機のプレコンディショナーの中に入れ、そこで蒸気及び水を加えて、押出機に入れた物質の含水量を約38%まで、温度を190°F(88℃)にする。前調整された生成物を二軸スクリュー押出機の中に入れ、そこで生成物の温度を190〜198°F(88〜92℃)の範囲に維持する。スクリューの配置によって、ダイスで切断されると典型的な米粒形になるように構成されているダイスへ生成物を送る前に良好な混合がもたらされる。生成物の良好な形状を得るために低い圧力が維持される。生成物の膨張を避けるために温度は212°F(100℃)未満に維持される。押出機における滞留時間は、約2分間である。ダイスの含水量は、35〜36%の範囲である。生成物はパスタ型乾燥機により約140°F(60℃)及び相対湿度約70%で乾燥される。得られる生成物は、水分約12%に乾燥される。あるいは、大豆粉、中力小麦粉、ジャガイモ、及び他の粉を所望により種々の量で米粉の部分の代わりに使用してもよい。
【0136】
トルティーヤ:
本発明は、また、45〜60%のSVFBH、30〜40%のRMP部分及び2〜4%のIFMのような本発明の種々の成分の組み合わせを、高剪断混合を使用して約4〜20
%の量で粉と組み合わせて改質された硬質赤色春小麦粉、中力粉、及び他の種類の粉を使用する、フラワ・トルティーヤ及び関連する生成物を作る方法に関する。粉改質系に加えて、生地レオロジー、保存寿命及び感覚刺激性を改善するために、トルティーヤの追加の主材料が0〜5%の量で添加され、それは、塩、ベーキングパウダー、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、ナトリウムステロールラクチレート、及びモノ−ジグリセリドであるがこれらに限定されないものから構成される。この主材料を粉及び粉改質ブレンドと高速混合機で5分間混合する。植物性ショートニングを乾燥ブレンド混合物に配合量の3〜7%の量で加え、同時に従来のローラー又は櫂形撹拌機により高速で2分間混合する。ローラー又は櫂形撹拌機により低速度で撹拌しながら82〜86°Fの水を加える。混合を更に2分間続ける。得られる生地を分け、生成されるトルティーヤの大きさに応じて同じ量の部分、すなわち8インチ、10インチ、12インチなどに丸める。分けた生地ボールを寝かせ棚で5〜10分間寝かせる。寝かせた生地ボールを従来のトルティーヤプレスを使用して約0.008〜0.10インチ厚のトルティーヤにプレスする。次にトルティーヤを500°Fの直火オーブンで30秒間、又は加熱調理されるまで焼く。焼いたトルティーヤを冷却ベルトで3分間冷まして、90°F未満で最終水分を約30%とする。
【0137】
シリアル:
本発明の使用の更なる例は、また、15〜25%の構造及び粘稠食物膜成分、35〜65%のレオロジー調整剤部分及び5〜15%のイオン特性調整剤のような本発明の種々の成分の組み合わせを、約4〜25%の量で粉と組み合わせて改質された小麦粉、トウモロコシ粉、大麦粉、米粉及び関連する種類の粉を使用してトウモロコシ及び他のシリアル(フレーク及び膨張)を作る方法に関する。この系の種々の成分の組み合わせは、作成されるシリアル製品の種類に基づいて変り、シリアルがフレークになるか又は膨張されるかによって左右される。加えて、ショ糖、或いは糖アルコール、低粘度非消化炭水化物増量剤、及び/又は強力甘味料からなる糖置換系を使用することができる。糖又はその置換系を配合量の10〜20%の量で加える。この主材料粉改質系及び糖系を高速粉末混合機で30秒から5分間ブレンドする。フレーク押し出しプロセスに含まれる単位操作は、押し出すこと、焼き戻すこと、薄く剥がすこと、及びきつね色に焼くことである。これは、押し出しプロセスを通してシリアル穀粒を調理し、ペレット化することを含む。押し出しに続いて、ペレットを焼き戻しし、薄く剥がし、きつね色に焼く。乾燥粉/糖ブレンドを容量供給装置から計量して二軸スクリュー押出機の前調整シリンダの中に入れ、そこで蒸気及び水を加えて押出機に入れられた物質の水分を約26〜27%までにする。前調整シリンダは、物質を部分的に水和し、このデンプン顆粒を部分的にゼラチン化するこのプロセスにおいて役立つ。前調整生成物を、L/D比率25:1の9個のヘッドエレメントから構成される二軸スクリュー押出機の中に入れる。モルトスラリーをヘッドピストン2から配合量の約4%の量を維持する速度で注入する。生成物の温度を196〜210°Fの範囲で維持する。ダイスで切断されると典型的なシリアルペレット形状になるように構成されているダイスへ生成物を送る前に、スクリューの配置によって良好な混合がもたらされる。生成物の良好な形状を得るために低いダイス圧力が約500psiに維持される。生成物の膨張を避けるために温度は212°F未満に維持される。ダイスにおけるペレットの含水量は、27〜38%の範囲である。水分が均一に平衡するようにペレットを焼き戻しする。焼き戻しプロセスは、ペレットを一定した室温で5〜15分間保持して、均一な水分分布を得ることから構成される。焼き戻しすると、ペレットをロスカンプ(Roskamp)フレークミルに投入してフレークミルの中で薄く剥がす。湿潤フレークシリアル生成物をロータリートレードライヤーにより300°Fで3分間きつね色に焼く。きつね色に焼いたフレークを冷却ベルトで75°F未満に冷ます。シリアル生成物の膨張は、本発明の観点から、調理温度を212°Fを超えて上昇させ、可能であれば少量の原生デンプンを加え、続いてトレードライヤーで乾燥することにより達成される。トウモロコシパフのような膨らんだ又は膨張したスナック類が同様の方法で作られる。
【0138】
パン:
本発明は、また、パン又は他の製パン製品を焼く方法であって、改質炭水化物に基づく成分、典型的には改質炭水化物含有粉を準備し、加える工程、水を加え、改質粉を練り粉又はバターミックスと混合する工程、及び練り粉又はバターミックスを焼くか又は調理して、低減した量の可消化炭水化物及び保護炭水化物の量を有するパン又は製パン製品を製造する工程を含む方法に関する。あるいは、この方法は、改質炭水化物に基づく成分を準備し、加える工程を、可消化炭水化物に基づく成分、典型的には粉を準備し、加える工程、及び非消化保護成分を準備し、加える工程に代えることができる。
【0139】
本発明の利益は、高濃度の可消化炭水化物を含有する単一食物(すなわち、パスタ、ポテト、米飯、スナック類、菓子類、飲料、ソース、及び製パン製品)を摂取したときに実現する。親水コロイド系を含有する飲料を食事と食事の間、食事の前、及び食事と共に摂取すると、満腹効果をもたらし、血糖応答を減衰する。
【0140】
ペットフード:
本発明の食品には、ドッグフード及びキャットフードが挙げられるが、これらには限定されないペットフードを挙げることもできる典型的なイヌ用の食品は、ドッグフード組成物の約20〜約40重量%の粗タンパク質、約4〜約30重量%の脂肪、及び約35〜約60重量%、好ましくは約40〜約55重量%の可消化タンパク質を含有することができる。食事の後の摂食後血糖値及びインスリン濃度の両方を制御する試みは、これらの濃度において高い反応の一因となりうる成分を排除することに焦点が当てられてきた。例えば、米と比べると、トウモロコシ、モロコシ及び大麦は一般に緩やかに上昇及び下降するグルコース応答をもたらすことを示した。ペットフード組成物における非消化保護成分の使用は、本明細書で記載されているように摂食後血糖値及びインスリン濃度を低減することができる。
【0141】
任意の健康促進栄養成分:
本明細書で記載された種々の食品は、必要に応じて又は所望であれば、任意に健康促進栄養成分を含むことができる。そのような任意成分には、アセチル−L−カルニチン、L−カルニチン、及び共役リノール酸を含む糖制御、体重管理又は満腹のようなヒトの代謝;ビタミンDを含むカルシウム吸収;低温加工乳清濃縮物、β−グルカン、マイタケ又はシイタケのようなキノコ抽出物を含む免疫の刺激;コレステロール、トリグリセリドを含む血液脂質の制御;イチョウ、ホスファチジルセリン又はコリンを含む認知効果を与える作用物質;ブドウの種の抽出物、コエンザイムQ、ルテイン、αリポ酸、緑茶抽出物、アスタキサンチン及びゼアキサンチン、リコピンを含む遊離ラジカル細胞酸化を最小限にする抗酸化特性;並びにベタイン及びトリメチルグリシン(TMG)を含むメチル化向上、の特定の側面に対する食物の影響を向上する成分が挙げられるが、これらには限定されない。任意成分には、植物ステロール及びスタノール、香辛料(例えば、シナモン)、セレン、クロム、バナジウム、マンガン、亜鉛、銅及びモリブデンのような微量の鉱物、並びにオメガ3系及び6系脂肪酸を挙げることができるが、これらには限定されない。
【0142】
イヌリン及び他の非消化食物繊維、並びに親水性コロイドは、また、効果的な食物膜網状組織の形成に必要な量よりも過剰な量で食物に使用できる。典型的にはそのような量のイヌリン及び他の食物繊維は、乾燥又は粉末形態で食品に都合よく添加されるが、これらは、水和形態で他の食物膜物質と一体となって導入することもできる。これは、炭水化物を消化から保護できる有効な食物膜網状組織がもたらされた食物を可能にし、同時に低減炭水化物消化を越えて改善された健康効果に寄与できる高い濃度のイヌリンを可能にする。
試験方法:
1)血糖応答(インビボ):
下記の方法は、摂取の際に消化される一人分の食物における消化された炭水化物のグラムの測定に使用される。
総括:
低減可消化炭水化物食物の一人分における消化された炭水化物の量は、一人分の食物の血糖指数(GI)を決定し、次にGIと、一人分の食物中の利用可能な可消化炭水化物の含有量とを掛けることにより得られる。一人分の食物中の消化された炭水化物の量は、また、一人分の食物の血糖負荷と呼ばれる。(ホスター・パウエル(Foster-Powell)K、ホルト(Holt)SHA、ブランド・ミラー(Brand-Miller)JC、血糖指数及び血糖負荷値の国際表(International table of glycemic index and glycemic load values):2002年、臨床栄養学のアメリカンジャーナル(Am J Clin Nutr)2002年;76:5−56を参照すること)。
【0143】
一人分の食物のGI値は、低減可消化炭水化物食物(以降、本明細書では試験食物と呼ぶ)の一人分を10人以上の代謝的に障害のない健康で適した被験者に与えることにより決定される。それぞれの被験者が耐糖能障害をもっていないことを確実にすることが重要である。一人分の試験食の大きさは、25グラムの利用可能な可消化炭水化物を含有するように選択される。被験者の血糖値がその後2時間かけて測定される。同様に、25グラムの利用可能な可消化炭水化物を含有する一人分の白パン(標準食物)が被験者に与えられ、血糖値がその後2時間かけて測定される。
【0144】
試験食物中の利用可能な可消化炭水化物の量は、方法:AOAC983.22(総糖類)及び996.11(総デンプン)で決定される総糖類と総デンプンの合計である。(シリアルでは、方法:AACC80−04(総糖類)及びAACC76−13(総デンプン)が使用されるべきである。)方法:AOAC983.22及び996.11、並びにAACC80−04及び76−13は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0145】
2時間の試験期間にわたる血糖濃度の測定により得られる曲線は、血糖応答(blood glucose or glycemic response)曲線として設計される。曲線下面積(AUC)は、試験又は標準食物を食べることに関連する血糖応答の測定値である。特定の試験食物のGI値は、試験食物のAUCをパン参照標準のAUCで割って計算する。
【0146】
一人分の試験食物の消化された炭水化物の量(血糖負荷)は、利用可能な可消化炭水化物の量(25グラム)と計算されたGIとを掛けて決定される。
試験方法:
1.試験の被験者は、10〜12時間の一晩の絶食の後、朝に診療所に到着する。彼らを午前7時から午前10時まで試験する。
2.絶食ベースライン血糖値は、手掌での採血で得られた指先の毛細管血を二回試験して決定する。
3.被験者を試験食か又は白パン参照食物に無作為に割り当てる。
4.食事を、3分以内で食べてもらう。
5.それぞれの食事に水100mlを提供する。
6.食事の摂取後、被験者は、2時間の試験の間は、血糖値が不適切に影響を受けないように、体を動かさないでいる。
7.指先の毛細管血試料を15分、30分、45分、60分、90分、120分に採取する。
8.医療診断の目的で臨床検査室で典型的に用いられているGM9Dアナロックス(Analox)血液分析機の使用により、血糖値を決定する。
試験要件:
1.それぞれの被験者には、最低3回の試験食及び異なる日に5回のパン参照食物が与え
られる。
2.2回の絶食血糖値がそれぞれ8mg/dlを越えて異なる場合は、試験は中止される。
試験前の被験者のコンプライアンス要件:
1.被験者は、試験の前の48時間以内にアルコール飲料を摂取してはならない。
2.被験者は、試験の12時間前に運動をしてはいけない。
3.被験者が試験に参加する時に、病気であるか又は過度のストレス下にある場合には、試験を受けてはいけない。
4.被験者は、目覚めた時及び試験の前に、激しい活動(例えば、自転車に乗る、0.25マイルを越える長距離を歩く、又は走る)に関与してはいけない。
5.被験者は、臨床モニタリングにより承認されない限り、試験のために診療所に自動車で来るべきである。
6.被験者は、適切な服装をして快適な体温を維持するべきである。
データの処理:
血糖応答曲線:
1.2時間の試験期間にわたる血糖応答曲線の下面積(AUC)は、「標準台形方」として知られている数学アルゴリズムを使用して計算される。
2.試験曲線が二重のピークを示す度に、被験者は別の日に再試験される。
3.血糖の上昇が小さ過ぎて適切なインスリン応答を誘発して血糖応答曲線を元のベースライン又は絶食血糖点に戻すことができないグルコース閾値効果のベースラインは、「平坦線」技術を使用して訂正する。平坦線調整は、少なくとも2つの点が±6mg/dl以下の違いを示す15分時点の後で新しいベースラインを確定することにより達成される。新しいベースラインは、110mg/dl未満でなければならない。新たに定義されたベースラインは、「標準台形方」を用いるAUCの決定に使用される。
パン標準フィルタリング及びグルコーススケールへの調整:
1.パン標準変数を制御し、したがって試験結果の変動を制御するために、平均(分布の標準化の後)から1.04標準偏差を超える異常値を除去するように、Zスコア切り捨てを使用してパン標準値をフィルターにかける。
2.フィルターをかけたパン標準値のAUCに1.40を掛けて、標準グルコーススケールに変換する。
パン標準の高い変動に基づく個人の不適格:
1.フィルタリングの後、被験者は、パン標準の変動係数(例えば、平均で割った標準偏差)が40%を越える場合に不適格となる。
計算:
1.それぞれの被験者の血糖指数は、最初に試験食物とパン標準の両方の平均AUCを計算し、次に試験食物の平均AUCを被験者のパン標準の平均AUC(グルコーススケールに訂正されている)で割ることにより計算される。それぞれの被験者の食物の血糖負荷は、GIと、一人分の食物における可消化炭水化物の量とを掛けて計算される。
2.食物の血糖負荷は、適した試験被験者の全てにわたってGIを平均することにより決定される。
2)粘度測定方法
水和食物膜の粘度は、温度制御プレート及びコーン・ブルックフィールド粘度計(Cone
Brookfield Viscometer)を使用して決定できる。スピンドル型ブルックフィールド粘度計(Brookfield Viscometer)を含む他の粘度計を使用することができる。製造者の技術文献より提案されているように、予測粘度範囲に基づいてコーン又はスピンドルの特定の配置を選択することができる。
【0147】
個別の親水コロイドの粘度は、指示される水性濃度で測定することもできる。
3)水和食物膜組成物の調製
水和食物膜組成物は、ホモジナイザー及び内部3ホイルブレードを含む実験室規模のスクレーパー型二軸混合機、例えばビューラー社(Buhler, Inc.)(スイス)からのSEM
−TS10真空二軸ミキサーを使用して作成される。混合機は、真空機能も有する。水を混合機に加え、86°Fに加熱する。混合機の3ホイルブレードを1分間に30〜40回転(rpm)で回転するように、ホモジナイザー機能を約1000rpmで回転するように調整する。典型的には、水85%及び親水コロイド成分15%の水和組成物が作成される。一部の親水コロイド組成物では、混合組成物がペースト状であるか又は固形物の湿潤が不完全であることを示す場合は、完全に水和された液体組成物が作成されるまで、含水量を2%づつ増量することができる。食物膜組成物の親水コロイド成分を、順番に溶解し、5分間混合する。添加の順番は、レオロジー調整剤/可塑剤、構造/粘稠発酵性物質、及びイオン特性調整剤である。構造/粘稠発酵性物質は、典型的には、高水結合親水コロイドであり、水結合能の程度を増大する順番で添加されるべきである。次にブレードの速度を約100rpmに、ホモジナイザーの速度を約2000rpmに調整し、混合を更に5分間続ける。ブレードの速度、ホモジナイザーの速度及び温度を、再び、それぞれ135rpm、2525rpm及び95°Fに上げる。真空も−0.3バールに調整する。スラリーを更に4分間混合する。真空を混合機中で−0.4〜−0.6バールに上げ、温度95°Fでブレードの速度を40rpmに下げ、ホモジナイザーの速度を100rpmに下げる。この条件下でスラリーを約8〜10分間更に混合して、閉じ込められている空気を取り除く。食物膜組成物を更に一体化し、ゴム集塊を除去するため、膜系を、0.4mmの間隔分離のある2mmのスチールビーズを含み、86°Fで作動するビードミルの中をポンプで通す。ビードミルの処理量は約15〜17kg/時間である。ビードミルは、ビューラー社(Buhler, Inc.)(スイス)から入手可能である。結果として水和された食物膜組成物となる。
4)乾燥された安定した食物膜試料の調製及び試験
乾燥された安定した食物膜は、マイクロフィルムアプリケータ(ポール・N・ガードナナー社(Paul N. Gardner Co.)、フロリダ州ポンパノ・ビーチ(Pompano Beach)から入手可能)を使用して、水和食物膜組成物をレクサン(Lexan)(登録商標)プレートに流し込み成形するか、又は100ミルの隙間に設定したナイフブレードにより調製することができる。相対湿度60%、22℃で24時間膜を空気乾燥した後、インストロン・モデル(INSTRON Model)1011引張試験器具、スチーブンズ(Stevens)組織分析機、膜試験機能を使用するレオメトリクス・RSAソリッズ・アナライザー(Rheometrics RSA Solids Analyzer)(ニュージャージー州ピスカタウエイ(Piscataway))によって膜を評価する。周囲温度で開始して、作動の温度制御のために膜チャンバでは空気を使用する。ほとんどの場合では通常の歪みである0.1%を使用し、印加頻度は10ラド/秒(1.59Hz)である。
【0148】
使用できる最適な引っ張り強度器具は、TA.XT2iテクスチャ・アナライザー(Texture Analyzer)及びウィンドウズ(登録商標)版のそのテクスチャ・エキスパート(Texture Expert)(及びテクスチャ・エキスパート・エクシード(Texture Expert Exceed))ソフトウエア(イギリス、ロンドン)である。
【0149】
実施例:
本明細書で示される実施例は、本明細書を更に説明するために提供され、更なる限定としてどのようにでも解釈されるべきではない。下記の実施例において、デュラム粉は、ノース・ダコタ・ミル(North Dakota Mill)から入手可能である。イヌリンは、センサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)からフルータフィット(Frutafit)(登録商標)HDとして入手可能である。グアーゴムはTICゴム社(TIC Gums Inc.)から入手可能である。ソルビトールは、ロケット(Roquette)から入手可能である。バイタル小麦グルテンは、ロケット(Roquette)から入手可能である。エンドウマメ繊維は、ガルーダ・インターナショナル(Garuda International)から入手可能である。長粒米はリブランド(Rivland)からである。高メトキシペクチンはCPケルコ(Kelco)からである。百分率は、特に指示のない限り全て重量%である。
【0150】
実施例1:低減可消化炭水化物パスタ
パスタ生地配合:
水−23.0%
デュラム・エクトラ・ファンシー・パテント(Durum Extra Fancy Patent Flour)粉−64.0%
イヌリン−4.5%
バイタル小麦グルテン−2.5%
グアーゴム(予備水和)−1.5%
エンドウマメ繊維−4.5%
手順:乾燥成分をV粉末混合機で5.0分間混合する。パスタをドマコ(Demaco)商業用パスタプレスで押し出す。混合した後の乾燥成分を商業用のパスタプレスに入れ、配合水分量を満たし、押し出し可能な生地を生成する速度で、水を乾燥成分と混合して加える。生地を、ジーティ形状をもたらすパスタダイスから押し出す。押し出しパスタの含水量は、30%である。湿潤生成物は、パスタ乾燥機を使用して水分12%に乾燥される。得られるパスタ生成物は、一人分56グラム当たり12グラムの可消化炭水化物を有すると測定される。従来のパスタは、典型的には一人分56グラム当たり42グラムの可消化炭水化物を有する。
【0151】
実施例2:低減可消化炭水化物パスタ
低減可消化炭水化物パスタを、下記に示される成分を使用して、実施例1で記載された方法に従って作成した。表Cは、得られた乾燥パスタ組成物を示す。セモリナはダコタ・グローワーズ(Dakota Growers)から入手可能である。セモリナの重量含有率には約12重量%の水が含まれる。バイタル小麦グルテンは、MGPイングリディエンツ社(MGP Ingredients, Inc)から入手可能である。改質小麦グルテンは、MGPイングリディエンツ社(MGP Ingredients, Inc)からアライズ(Arise)(商標)6000として入手可能である。グアーゴムは、TICプレヒドレーテッドNT(TIC Prehydrated NT)として入手可能である。キサンタンガムは、プレヒドレーテッド・チカサン(Prehydrated Ticaxan)として入手可能である。HMペクチンは、高メトキシルペクチンであり、CPケルコ(Kelco)からケルコ(Kelco)150Bラピッド・セット(Rapid Set)として入手可能である。イヌリン−Aは、イヌリン・フルータフィット(Frutafit)(登録商標)CLRであり、イヌリン−Bは、イヌリン・フルータフィット(Frutafit)(登録商標)HDであり、両方ともセンサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)から入手可能である。
【0152】
【表5】

【0153】
実施例3:パスタの加工
バイタル小麦グルテン10.46重量%、改質小麦グルテン6.98重量%、キサンタンガム11.63重量%、高メトキシルペクチン3.49重量%、塩化カリウム3.49重量%、ソルビトール29.07重量%及びイヌリン34.88重量%からなる非消化物質のブレンドを調製した。その物質を600リットルの強力混合機(プロセサール社(Processall, Incorporated)、オハイオ州シンシナティから入手可能)中に置いてバッチを430rpmで30秒間混合した。混合機から確認済みのスーパーサックの中へ出した。総パスタ配合の8.6重量%と同等の速度で非消化物質の混合ブレンドを連続して放出するように調整された、アキュレート・メカトロン・グラビメトリック・フィーダー(AccRate Mecatron Gravimetric Feeder)の中に降ろした。最低粉末温度75°Fを有するデュラム・セモリナ粉と非消化物質ブレンドとを、保持時間2分間、50rpmで作動する櫂形撹拌コンベアで合わせた。場合により、典型的には再製粉パスタが10〜15重量%でデュラム・セモリナ粉と共に添加される。再製粉添加は、これらの添加範囲では製品の性能に影響を与えることはないことが判明している。典型的な商業用施設では再製粉が使用され、それは、加工中に連続的に作られ、製造に戻されなければ加工水の中に集積されるからである。非消化物質及びセモリナ粉を、オーガーリボルトシフター(850ミクロン)及び空気コンベアシステム(これらは物質をパスタ製造システムに送るために使用される機械部品である)により更に合わせてブレンドした。セモリナ及び非消化物質のパスタ製造ラインへの適切な質量流れを確認し、それぞれのロットにおいて製造される生成物の量を定量化するため、連続流動スケールで合わせた物質を測定した。
【0154】
生産ラインの上にあるサージホッパーにおいて、セモリナ/非消化物質ブレンドの温度は75°Fを超えることが確認された。セモリナ/非消化物質ブレンドをFAVA高速粉水和混合機で水和した。1000rpmで作動するFAVA高速混合機の反対側に位置する2か所から水を加えた。水和物質の高速混合物中の滞留時間は、約8〜10秒間であった。水は140°F±5°Fの温度を有し、セモリナ/非消化物質ブレンドの33〜34重量%(すなわち毎時860リットル)の速度で添加された。水和生地を、FAVA高速混合機から、滞留時間13分及び作動300rpmのFAVA生地混合機へ移動する。この工程の生地温度を98〜110°F、最低98°Fに維持し、生地水分は30.1〜30.2%であった。混合生地を、滞留時間4〜5分間及び作動300rpmのFAVA真空混合
機に移動した。真空混合機での生地水分は、典型的には29.9%〜30.1%であった。調製済み生地を、続いて、滞留時間45〜60秒、作動20rpm、圧力130バールで動作するFAVAパスタ押し出しプレスに移動した。パスタプレスの出口の切断ヘッドでの生地水分は、28.6%であった。
【0155】
エルボウ(elbow)マカロニ及びペンネのような短い食品は、長さ指定を評価した。形成されるパスタをFAVA多段乾燥機に移動し、パスタを短い食品では3時間、スパゲティ及びリングイネのような長い食品では6〜8時間乾燥した。乾燥機は、前乾燥、最終乾燥、安定化及び冷却の4段階の温度機能で作動した。前乾燥段階では、乾燥温度は、約115°Fで始まり、長い食品では1時間かけて約175°Fまで上昇させ、短い食品ではそれに合わせてより短い時間で上昇させた。175°Fの温度を約1.25時間維持し、次に約195°Fに上昇した。パスタを更に2時間、乾燥段階に置いた。水分はこの乾燥段階で約29%から約19%まで減少した。パスタを安定化段階に移動し、そこでは、オーブン温度がこの段階で0.5時間かけて195°Fから約167°Fまで低下した。パスタを、長い食品では約3時間、短い食品ではそれに合わせてより短い時間、この安定化段階に留めた。安定化段階の始まりでは、パスタは典型的には約15%の水分であり、この段階の終了時には典型的には約12.5%の水分であった。次に生成物を冷却段階に入れ、そこでは温度が約82.5°Fに低下された。乾燥後の最終生成物の水分は、11.5〜12.0%であった。生成物を販売用に1ポンド単位で包装した。
【0156】
実施例4:低減可消化炭水化物再構成米飯
配合:
長粒米粉−84.30%
グリセロールモノステアレート−0.75%
キサンタンガム−1.30%
高メトキシルペクチン−0.80%
イヌリン(CLR)−6.50%
ソルビトール−6.20%
塩化カリウム−0.20%
手順:乾燥成分をV粉末混合機で5.0分間混合する。乾燥成分を計量してプレコンディショナーに入れる。蒸気及び水をプレコンディショナーに加えて、押出機に入れた物質の含水量を約38%までにし、温度を88℃にする。前調整された生成物をベンガー(Wenger)TX−52二軸スクリュー押出機の中に入れ、そこで生成物の温度を88〜92℃の範囲に維持する。ダイスで切断されると典型的な米粒形になるように構成されているダイスへ生成物を送る前に、スクリューの配置によって良好な混合がもたらされる。生成物の良好な形状を得るために低い圧力が維持される。生成物の膨張を避けるために温度は100℃未満に維持される。押出機における滞留時間は、約2分間である。ダイスの含水量は、35〜36%の範囲である。生成物はパスタ型乾燥機により約60℃及び相対湿度約70%で乾燥される。得られる生成物は、水分約12%に乾燥される。得られる再構成米飯は、一人分56グラム当たり12グラムの可消化炭水化物を有すると測定される。従来の再構成米飯は、典型的には一人分56グラム当たり42〜45グラムの可消化炭水化物を有する。
【0157】
実施例5:低減可消化炭水化物再構成フレンチフライ
低減可消化炭水化物ポテト生成物を、下記に示される成分を使用して、実施例4で記載された方法に従って作成する。ジャガイモ粉はRDOフーズ(RDO Foods)から入手可能である。グアーゴムは、TICプレヒドレーテッドNT(TIC Prehydrated NT)として入手可能である。κ−カラギーナンもTICゴム(TIC Gums)から入手可能である。HMペクチンは、高メトキシルペクチンであり、CPケルコ(Kelco)からケルコ(Kelco)150Bラピッド・セット(Rapid Set)として入手可能である。イヌリンは、フルータフィ
ット(Frutafit)(登録商標)HDであり、センサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)から入手可能である。ソルビトールは、ロケット(Roquette)から入手可能である。エンドウマメ内部繊維は、ノルベン社(Norben Company)から入手可能である。白小麦繊維は、インターナショナル・ファイバー・フィラーズ(International Fiber Fillers)から入手可能である。大豆粉は、セネックス・ハーベスト・ステイツ(Cenex Harvest States)から入手可能である。メチルセルロースは、FMC社(FMC Corp.)から入手可能である。
配合:
ジャガイモ粉−85.50%
メチルセルロース−2.00%
白小麦繊維−2.00%
大豆粉−2.00%
エンドウマメ内部繊維−1.00%
グアーゴム−1.00%
κ−カラギーナン−0.50%
高メトキシルペクチン−0.30%
イヌリン(HD)−4.00%
ソルビトール−1.00%
塩化カリウム−0.20%
塩化カルシウム−0.50%
手順:成分の均一の乾燥混合物をV混合機で5分間混合して作成する。冷水(50〜63°F)を中剪断で混合しながら乾燥混合機に加えて、水170重量部と乾燥改質粉約100重量部の比率の冷マッシュを製造する。得られた冷マッシュを、所望の形状を有する適切なダイスを有する低圧縦プレスでプレスし、得られたストランドの長さを回転切断器具を使用して切断する。フレンチフライの場合は、得られるフライを、熱油調理バスケットに入れ、直ぐに消費するために356〜365°Fで90秒間調理するか、又は30〜45秒間調理し、調理されたフレンチフライをそれぞれ急速冷凍する。テイタートッツの場合は、マッシュを形状に押して、フレンチフライの場合のように調理する。ハッシュブラウンの場合は、プレス操作で得られる薄いストランドをパティの形状にする。再構成ポテトチップスの場合は、冷マッシュを流し型の中に入れ、かりかりになるまで焼く。
【0158】
実施例6:低減可消化炭水化物トルティーヤ
低減可消化炭水化物粉トルティーヤを、下記に示される成分を使用して、実施例5で記載された方法に従って作成する。硬質赤色春小麦粉は、セネックス・ハーベスト・ステイツ(Cenex Harvest States)から入手可能である。キサンタンガムは、TICゴム(TIC Gums)からプレヒドレーテッドNT(Prehydrated NT)として入手可能であり、HMペクチンは、CPケルコ(Kelco)からケルコ(Kelco)150Bラピッド・セット(Rapid Set)として入手可能である。イヌリンは、センサス・アメリカ社(Sensus America, LLC)からフルータフィット(Frutafit)(登録商標)HDとして入手可能である。バイタル小麦グルテン及び改質小麦グルテンは、MGPイングリディエンツ(MGP Ingredients)から入手可能であり、改質小麦グルテンは、アライズ(Arise)(登録商標)6000として入手可能である。ソルビトールは、ロケット・アメリカ(Roquette America)から入手可能である。プロピオン酸カルシウムはADMからのほこりのたたないものである。ナトリウムステアロイルラクチレートは、ADMからパニプレックス(Paniplex)(登録商標)SKとして入手可能である。モノ−ジグリセリドもADMからパノライト(Panolite)(登録商標)90−03として入手可能である。
配合:
硬質赤色春小麦粉−53.96%
キサンタンガム−1.00%
高メトキシルペクチン−0.30%
イヌリン(HD)−3.00%
ソルビトール−2.50%
バイタル小麦グルテン−0.60%
改質小麦グルテン−0.90%
塩化カリウム−0.30%
塩−1.23%
ベーキングパウダー−0.28%
ソルビン酸カリウム−0.05%
プロピオン酸カルシウム−2.35%
ナトリウムステアロイルラクチレート−1.55%
モノ−ジグリセリド−0.38%
中力植物性ショートニング−5.42%
水−31.67%
手順:乾燥成分をV粉末混合機又は他の適切な混合機で5分間混合する。植物性ショートニングを乾燥ブレンド混合物に加え、同時に従来のローラー又は櫂形撹拌機により高速で2分間混合する。ローラー又は櫂形撹拌機により低速度で撹拌しながら82〜86°F(28〜30℃)の水を加える。混合を更に2分間続ける。得られる生地を分け、生成されるトルティーヤの大きさに応じて同じ量の部分、すなわち8インチ、10インチ、12インチなどに丸める。分けた生地ボールを寝かせ棚で10分間寝かせる。寝かせた生地ボールを従来のトルティーヤプレスを使用して約0.008〜0.10インチ厚のトルティーヤにプレスする。次にトルティーヤを500°F(260℃)の直火オーブンで30秒間、又は加熱調理されるまで焼く。焼いたトルティーヤを冷却ベルトで3分間冷まして、90°F(32℃)未満で最終水分を約30%とする。得られるトルティーヤは、一人分61グラム当たり6〜9グラムの可消化炭水化物を有すると測定される。従来の粉トルティーヤは、典型的には一人分61グラム当たり28〜32グラムの可消化炭水化物を有する。
【0159】
実施例7:食物膜の機械的性質に対する可塑剤の効果
膜の機械的性質に対する可塑剤の濃度の効果を試験するために、異なる濃度の可塑剤を含有する、HMペクチン/デンプン膜及びキサンタンガム/κ−カラギーナン/HM−ペクチン膜を調製した。3つのHM−ペクチン/デンプン膜を調製した。それぞれ可塑剤として9%又は26%のグリセリンを含有する、100%のHMペクチン、95/5のHM−ペクチン/デンプン比率及び85/15のHM−ペクチン/デンプン比率を調製した。可塑剤のない、HM−ペクチン膜のみを含有する膜及びデンプンを含有する膜は、<100%の破断点伸びを有し、0.5〜2.0E+01ダイン/cm2の低い破断強さを有するが、9%のグリセリンを含有する膜は、約100%の破断点伸び及び約1.5〜2.0E+02ダイン/cm2のより高い破断強さを有した。約3倍高いい濃度の可塑剤(26%のグリセリン)を含有する膜は、約3.5〜4.0E+08ダイン/cm2の破断強さを有した(9%のグリセリンで処理した膜よりも数桁高く、可塑剤を加えていないHM−ペクチン膜よりも著しく高い)。26%で処理したHM−ペクチン膜は、また、約150〜200%の破断点伸びを有した。可塑剤を加えていない、純粋なHMペクチン及びHMペクチン/デンプンブレンドは、温度を上げてもE′及びE″でほとんど変形を示さなかった。しかし、可塑剤の使用は、温度を上げると、特に185℃を超えるとE′及びE″の両方を著しく低下させた。
【0160】
別の例では、保護炭水化物のあるパスタの製造に使用することができ、キサンタンガム1.2%、κ−カラギーナン1.0%、HM−ペクチン0.6%、多分散イヌリン12%、ソルビトール4%、塩化カリウム0.2%及び水81%(重量に基づく)の予備水和組成物を含有する膜を作成した。膜組成物は、約15%の構造/粘稠発酵性物質及び約85%の可塑剤を含有する。破断強さ及び破断点伸びの値は、それぞれ約5.25E+0.5
ダイン/cm2及び150%であり、著しく良好な膜の柔軟性及び強度を示した。
【0161】
さらに別の例では、ジェランガム0.4%、κ−カラギーナン1.2%、グアーゴム1.0%、短鎖イヌリン12%、ソルビトール3.8%、クエン酸ナトリウム0.1%、塩化カリウム0.1%及び水81.4%の予備水和組成物を含有する膜を作成した。破断強さ及び破断点伸びの値は、約14%の種々の高水結合構造膜構築成分及び85%の混合可塑剤の組成物の乾燥重量と一致しており、それぞれ約7.2E+0.5ダイン/cm2及び75%であった。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】アルデンテで調理された従来のパスタの明視野照度顕微鏡画像を示す。
【図2】本発明に従って作成されたのパスタの明視野照度顕微鏡画像を示す。
【図3】二段階染色手順を使用した従来のパスタの明視野照度顕微鏡画像を示す。
【図4】二段階染色手順を使用した、本発明に従って作成されたのパスタの明視野照度顕微鏡画像を示す。
【図5】従来のパスタの走査電子顕微鏡画像を示す。
【図6】本発明に従って作成されたのパスタの走査電子顕微鏡画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)少なくとも50重量%の利用可能な炭水化物であって、利用可能な炭水化物が少なくとも15%の保護炭水化物を含む、利用可能な炭水化物と、
2)非消化保護物質と
を含む、低減可消化炭水化物食物。
【請求項2】
非消化保護物質が、
(1)下記:
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、ディウタン(diutan)ガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つ;及び
(2)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
からなる群より選択される、請求項1に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項3】
少なくとも80重量%の利用可能な炭水化物を含み、利用可能な炭水化物が、少なくとも50%の保護炭水化物を含む、請求項1に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項4】
利用可能な炭水化物が穀物粉に含まれる、請求項1に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項5】
穀物粉が、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、モロコシ、米、トウモロコシ、及びジャガイモの粉からなる群より選択される、請求項4に記載の低減可消化炭水化物食品。
【請求項6】
イオン特性調整剤を更に含む、請求項1に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項7】
1)保護炭水化物を含む利用可能な炭水化物と、
2)下記:
a)少なくとも10重量%の
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つ;及び
b)少なくとも35重量%の、グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
を含む非消化保護物質と、
を含む、低減可消化炭水化物食物。
【請求項8】
少なくとも25重量%の利用可能な炭水化物を含み、利用可能な炭水化物が、少なくとも15%の保護炭水化物を含む、請求項7に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項9】
イオン特性調整剤を更に含む、請求項7に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項10】
練り粉から作られている低減可消化炭水化物食物であって、練り粉が、
1)可消化炭水化物を含む可消化炭水化物に基づく成分と、
2)下記:
a)少なくとも10重量%の
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つ;及び
b)少なくとも35重量%の、グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
を含む非消化保護物質と
を混合することにより作成される、低減可消化炭水化物食物。
【請求項11】
非消化保護物質が、可消化炭水化物に基づく成分と混合する前に予備水和されている、請求項10に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項12】
可消化炭水化物に基づく成分が穀物粉に含まれる、請求項10に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項13】
穀物粉が、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、モロコシ、米、トウモロコシ、及びジャガイモの粉からなる群より選択される、請求項12に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項14】
イオン特性調整剤を更に含む、請求項10に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項15】
マトリックス構造を有する低減可消化炭水化物食物であって、
1)保護炭水化物を含む利用可能な炭水化物、及び
2)マトリックス内に食物膜網状組織を形成する非消化保護物質であり、非消化保護物質が、約50ダイン/cm2を超える破断強さの値、少なくとも約10%の破断点伸び及び
20℃で水中10重量%の濃度で少なくとも約500cPの粘度を有する、非消化保護物質を含む、低減可消化炭水化物食物。
【請求項16】
破断強さが約500超であり、伸びが少なくとも100%であり、そして粘度が少なくとも約1000である、請求項15に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項17】
利用可能な炭水化物が穀物粉に含まれる、請求項15に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項18】
マトリックス構造を有する低減可消化炭水化物食物であって、
1)別個の単位の形態の可消化炭水化物に基づく成分であり、成分が利用可能な炭水化物を含み、利用可能な炭水化物の一部が保護炭水化物を含む、可消化炭水化物に基づく成分、及び
2)保護炭水化物に消化保護を提供するために、別個の単位を取り囲む食物膜網状組織を形成する非消化保護物質
を含む、低減可消化炭水化物食物。
【請求項19】
非消化保護物質保護物質が、
a)少なくとも10重量%の
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つ;及び
b)少なくとも35重量%の、グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
を含む、請求項18に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項20】
一価カチオン、二価カチオン及びこれらの混合物からなる群より選択されるイオン特性調整剤を更に含む、請求項19に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項21】
低減可消化炭水化物成分の作成方法であって、
1)利用可能な炭水化物の量を含む可消化炭水化物に基づく成分を準備する工程、
2)非消化保護親水コロイド混合物を準備する工程、及び
3)非消化親水コロイド混合物を有する可消化炭水化物に基づく成分を、少なくとも10%の炭水化物消化抵抗を有する低減可消化炭水化物成分を形成するのに十分な剪断条件下で剪断(shear)する工程
を含む方法。
【請求項22】
炭水化物消化抵抗が少なくとも30%である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
非消化保護親水コロイド混合物が、
(1)下記:
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質及び、
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つと、
(2)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
とを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
低減可消化炭水化物成分の作成方法であって、
1)利用可能な炭水化物及び内在性非消化親水コロイドを含む可消化炭水化物に基づく成分を準備する工程、及び
2)可消化炭水化物に基づく成分を、少なくとも10%の炭水化物消化抵抗を有する低減可消化炭水化物成分を形成するのに十分な剪断条件下で剪断(shear)する工程
を含む方法。
【請求項25】
内在性非消化浸水コロイドが、
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、及び
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー
の内の少なくとも1つを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤である、可消化炭水化物に基づく成分を準備し、それと共に剪断(shear)することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
食事に応答した血糖を低減する方法であって、
1)非消化保護成分の有効量を含む低減可消化炭水化物食物を準備する工程、
2)可消化炭水化物を含む第2食物を準備する工程、
3)低減可消化炭水化物食物及び第2食物を含む食事を摂取する工程、及び
4)食物又は食事を共消化する工程であって、それにより非消化保護成分が、第2食物中の可消化炭水化物を消化から保護し、第2食物の血糖応答を低減する工程
を含む方法。
【請求項28】
食事の摂取工程が、胃腸管内に粘性糜粥を形成させ、粘性糜粥が可消化炭水化物の消化を抑制する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
可消化炭水化物を含む可消化炭水化物に基づく成分及び非消化保護物質から作られている低減可消化炭水化物食物であって、低減可消化炭水化物食物の血糖負荷が、非消化保護物質による低減可消化炭水化物食物のあらゆる希釈物を除いて、可消化炭水化物に基づく成分から作られている従来の食物の血糖負荷よりも少なくとも30%低い、低減可消化炭水化物食物。
【請求項30】
消化抵抗炭水化物物質の血糖負荷が、可消化炭水化物に基づく成分の血糖負荷の90%以下、より典型的には50%以下、さらにより典型的には10%以下である、請求項29に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項31】
可消化炭水化物を含む可消化炭水化物に基づく成分及び非消化保護物質から作られている低減可消化炭水化物食物であって、低減可消化炭水化物食物の血糖指数が、非消化保護物質による低減可消化炭水化物食物のあらゆる希釈物を除いて、可消化炭水化物に基づく成分で作られている従来の食物の血糖指数よりも少なくとも30%低い、低減可消化炭水化物食物。
【請求項32】
低減可消化炭水化物食物の血糖指数が、可消化炭水化物に基づく成分の血糖負荷の90%以下、より典型的には50%以下、さらにより典型的には10%以下である、請求項31に記載の低減可消化炭水化物食物。
【請求項33】
a)下記:
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、及び
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つと、
b)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
とを含む、非消化保護食品添加物。
【請求項34】
添加される食物の血糖応答を低減するための、請求項33に記載の食品添加物の使用。
【請求項35】
1)可消化炭水化物に基づく粉、並びに
2)非消化保護成分
を含む、粒状形態の低減可消化炭水化物粉。
【請求項36】
可消化炭水化物に基づく成分が穀物粉であり、非消化保護成分が
(1)下記:
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、及び
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つと、
(2)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤と
を含む、請求項35に記載の改質された低減可消化炭水化物粉。
【請求項37】
従来の穀物粉及び他の植物性粉の基質として請求項36に記載の低減可消化炭水化物粉を使用して作られる、低減可消化炭水化物食品。
【請求項38】
食品が練り粉、パン又は製パン製品である。請求項37に記載の食品。
【請求項39】
a)小麦、ライ麦、大麦、オート麦、モロコシ、米、トウモロコシ、及びジャガイモの粉からなる群より選択される穀物粉と、
b)
(1)下記:
(i)カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、タラガム、タマリンドガム、イヌリン、寒天、コンニャクマンナン、アラビノキシラン、β−グルカン、キシログルカン、ペクチン、セルロース、カードラン、デキストラン、ジェランガム、ラムサンガム、スクレログルカン、ウエランガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、加工デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択される構造/粘稠発酵性物質、
(ii)グルテン、変性グルテン、カゼイン、大豆、乳清濃縮物、キトサン、アミロース及びこれらの混合物からなる群より選択される構造タンパク質ポリマー、
のうちの少なくとも1つ;及び
(2)グリセリン、フルクトース、フルクトオリゴ糖、ポリオール、約2〜20の重合度(DP)及び約4〜7の平均DPを有するイヌリン、オリゴ糖、アラビアゴム、並びに部分的に加水分解したグアーゴムのような低分子量ショ糖からなる群より選択されるレオロジー調整剤
からなる群より選択される非消化保護物質と
を含む、低減可消化炭水化物パスタ。
【請求項40】
粉が小麦粉であり、構造/粘稠発酵性物質が、キサンタンガム、グアーゴム、イナゴマメコム、ペクチン、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガカントゴム、カラヤゴム、2〜60フルクトース単位(FU)の重合度(DP)及び8〜12FUの平均DPを有するイヌリン、及び15〜60FUのDP及び約15〜30FUの平均DPを有するイヌリンからなる群より選択される、請求項39に記載のパスタ。
【請求項41】
一価カチオン、二価カチオン及びこれらの混合物からなる群より選択されるイオン特性調整剤を更に含む、請求項39に記載のパスタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−508822(P2007−508822A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535406(P2006−535406)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034368
【国際公開番号】WO2005/036971
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506130687)テクコム・グループ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】TECHCOM GROUP, LLC
【Fターム(参考)】