説明

低温蒸し器

【課題】低温蒸気の生成とその蒸し処理室内の均質拡散を図って、多数の処理対象物を均等処理する低温蒸し器を提供する。
【解決手段】低温蒸し器は、蒸気生成手段からの蒸気を一旦貯留する蒸気溜3と、蒸気溜と蒸気吐出口31を介して連通し、外気吸引用の可変外気口41を備えた外気混合室4と、外気混合室と蒸気供給口61を介して連通し、その上位に一体形成した蒸し処理室5と、から成り、蒸し処理室内は前記蒸気供給口を含む拡散領域6とその上位に隣接した可変排気口8を備えた蒸し処理領域7とに区分けして構成したことを特徴としている。可変外気口の閉塞及び開放状態と連係させて可変排気口の開放具合の調整を行ない、所望の低温蒸気を生成する。処理対象物は、蒸し処理領域から引き出し可能な裁置棚71に収納する。また、蒸気供給口は、蒸気導入位置の開設数や位置に対応したほぼ上方の配置形態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食材を蒸し処理する蒸し器に関し、特に低温蒸気を生成して行う低温蒸し器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材の蒸し調理においては、100℃やそれ以上の加熱蒸気を用いて行うのが一般的であった。しかし昨今、この100℃以下の70℃前後の蒸気温度を用いた蒸し処理について注目されてきている。特に、野菜などの植物性食材を低温で蒸し処理した場合は、野菜のコシを残して噛み触りを良くしたり、栄養成分の変質や減少を少なくしたり、逆に特定の成分が増加してうま味が増したりする効果かあることが判ってきた。最近の健康指向や低カロリー嗜好からこの調理方の要求が高まりつつある。
【0003】
このような低温蒸気による蒸し調理を行う場合、一般家庭では蒸し器の蓋を適宜に開放して蒸し器内の温度を感覚に頼って調整しているのが現状であった。そのため、特定温度帯の蒸気温度に設定し、かつこれを定常的に維持することは非常に難しいものであった。このような手法では、調理食材にバラツキがあり、とても業務用に適用できるものではなかった。そこで業務使用の観点から技術的な工夫を凝らした発明として、特許文献1の「食品スチーマー」や特許文献2の「食品処理装置」が提案され開示されている。
【0004】
これら文献の記載によると「食品スチーマー」は、蒸気発生器で発生させた蒸気を駆動力とするスチームエゼクターによって外気と混合させ、これにより温度を下げた蒸気を吐出させて食品加熱庫に送り込む構成である。そして、庫内の温度制御は、温度センサーで温度を監視しながら、供給する蒸気量と庫内排気量のバランス調節で行うものであった。
【0005】
また、「食品処理装置」は、筐体内に貯水部、加熱手段、取り出し用の開口を備えた食品裁置部を配設すると共に、蒸気発生手段としては超音波振動による生成装置としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−10160号公報(第2―3頁、第1図)
【特許文献2】特開2007−298246号公報(第5―10頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1で開示している「食品スチーマー」は、エゼクターで生成した低温蒸気を、単管の混合気導入管を介して食品加熱庫(又は「蒸し処理室」)に送り込む構成であるため、蒸気導入口付近と庫内隅部付近とでの温度差が大きくなる傾向にあった。そのため、低温蒸気が庫内に平均に分布して拡散(以下、「均質拡散」と称する。)するまでの時間を要し、その結果、処理対象物の加熱状態に偏りが生じるおそれがあった。一般的な経験測からも解るように蒸気が高温であればあるほど庫内の均質化は早くなるが、この「食品スチーマー」のように比較的温度が低い蒸気を用いた場合には、蒸気を庫内に素早く均質拡散させるには何らかの工夫が必要である。この「食品スチーマー」においては、この観点を配慮した構成も、予測を伺わせる記載もない。
【0008】
次に、特許文献2の「食品処理装置」は、その低温蒸気の発生手段が、お湯の中に蒸気拡散機能を備えた超音波振動装置を入れて、超音波振動によって水分子の粒化による蒸気生成を主眼とした装置である。これにより発生する蒸気の温度は、使用する湯温と同じとなるため使用する蒸気温は100℃以下になり、これを用いた構成である。
【0009】
この構成によれば、使用する蒸気温度は湯温と一致するため、温度設定と管理が容易になる利点があるが、蒸気した庫内の均質拡散を解決するには至っていない。また、装置内にお湯を貯留する貯水部を備え、これに攪拌羽根を備えたモータから成る蒸気発生手段を配置する必要があるため、装置全体が大型かつ複雑化するため、故障率が増すと共に保守管理が煩雑となる傾向があった。このことは、装置の導入コストや維持コストにおいても不利なものであった。
【0010】
そこで、本願発明は、上記したように未だ解決に至っていない問題点に着目し、低温蒸気の生成とその蒸し処理室内の均質拡散を図って、多数の処理対象物(主に、食材)を均等に処理することを目的とした低温蒸し器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の低温蒸し器は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用している。
基本的な構成としては、蒸気生成手段から蒸気を導入する導入口と外気に通じた外気口を備えた外気混合室と、該外気混合室と蒸気供給口を介して連通させた蒸し処理室と、から成り、該蒸し処理室内は、前記蒸気供給口を含む拡散領域と該拡散領域の上位に隣接した排気口を含む蒸し処理領域とに区分けして構成したことを特徴としている。
【0012】
上記の外気混合室の外気口は、閉塞可能な可変外気口に変更しても良く、蒸し処理領域の排気口についても、開放具合が変更可能な可変外気口に変更しても良い。
【0013】
また、上記の外気混合室の内部には、蒸気生成手段からの蒸気を一旦貯留し、かつ、外気混合室とは蒸気吐出口をもって連通する蒸気溜を設けるようにしても良い。
【0014】
この蒸気溜と外気混合室とは、互いの空間を境界壁で区分けし、その境界壁に複数の蒸気吐出口を配置する形態が好適である。蒸気溜を設けない場合は、蒸気生成手段からの蒸気の導入位置を複数箇所とする形態が好適である。
【0015】
さらに、蒸し処理室は、外気混合室の上部に隣接した一体形成であることを特徴としている。この形態の場合、外気混合室と蒸し処理室は、互いの空間を境界壁で区分けし、その境界壁に複数の蒸気供給口を配置する形態が好適である。このように複数の蒸気供給口を配置する形態により、外気混合室の蒸気が蒸し処理室へ速やかにかつ均等に行き渡り、均質拡散する。
【0016】
また、蒸気供給口は、蒸気導入位置の開設数や位置に対応したほぼ上方の配置形態が好適であり、蒸気溜を設けた場合は、蒸気突出口の開設数や位置に対応したほぼ上方の配置形態が好適である。この蒸気供給口の配置形態により、蒸気生成手段や蒸気溜からの蒸気突出口等を介して噴出した高温蒸気が、外気混合室を通過して蒸し処理室の拡散領域に向かって一気に噴出することとなる。この噴出作用により、外気混合室の内部は負圧状態となり、可変外気口からその内部へ外気が吸入されることとなる。
【0017】
また、可変外気口の閉塞及び開放状態と連係させて、蒸気を排気する可変排気口の開放具合の調整も行なう必要がある。これにより、低温蒸し器内の蒸気に対する外気の混合量が調整でき、所望の低温蒸気の生成できる。
【0018】
かかる構成の低温蒸し器は、通常約100℃前後の温度となっている蒸気を、外気混合室へ複数箇所から分散状に噴出させ、可変外気口から外気を吸引しつつ、蒸し処理室の拡散領域に噴出させて低温蒸気を生成している。この低温蒸気は、上昇して蒸し処理室の上方の蒸し処理領域に収納した処理対象物に満遍なく触れて蒸し処理を行い、可変排気口を介して排気される。
【0019】
また、蒸気溜を外気混合室に設けた場合は、蒸気を一旦蒸気溜に溜め置き、ここから複数の蒸気吐出口を介して外気混合室へ分散状に吐出させ、可変外気口から外気を吸引しつつ、蒸し処理室の拡散領域に噴出させて低温蒸気を生成している。
【0020】
処理対象物の収納は、蒸し処理室の蒸し処理領域の側面や上方に配設した引き出し、又は扉等を介して行うことが好適である。また、蒸し処理室内において、下方の拡散領域と上方の蒸し処理領域の間にも複数の蒸気拡散手段を有する境界壁を設けるようにしても良い。蒸気拡散手段としては、この境界壁の全面に蒸気供給口より多数の開口を設け、例えば、境界壁全体をパンチングメタルとすることが挙げられる。
【0021】
可変外気口及び可変排気口を開放又は閉塞する操作手段は、利便性を考慮して低温蒸し器の一面側に配設することが好適であり、各操作手段が連係して可変外気口及び可変排気口が連動しつつ開放、閉塞するようにしても良い。
【発明の効果】
【0022】
本願発明の低温蒸し器は、上記構成により、以下の効果を奏する。
すなわち、蒸気生成手段からの蒸気を導入する蒸気溜、低温蒸気を生成するための外気を吸入して混合する外気混合室、蒸気と外気がさらに混合して拡散する拡散領域、及び処理対象物を収納する蒸し処理領域を備えた蒸し処理室を、下方から順番に積み上げる構成であると共に、各室の境界壁に複数の蒸気吐出口と蒸気供給口を備える構成である。このため、蒸気又は低温蒸気は、その性質上、各室や領域を上昇しつつ拡散し、特に蒸し処理室の蒸し処理領域において均質拡散することとなる。この結果、蒸し処領域に配置した処理対象物に対する低温蒸気の接触状態に偏りが生じることがなく、満遍ない蒸し処理が可能となる。
【0023】
また、低温蒸気の生成時の温度設定は、外気混合室に備えた可変外気口、及び蒸し処理室に備えた可変排気口を連係させて調整することにより行っている。この可変外気口、及び可変排気口が簡略な構造である結果、低温蒸し器全体として簡略な構造となり、その開発や製造コスト削減に顕著な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】低温蒸し器の概観を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】低温蒸し器の可変外気口を示す一部拡大斜視図である。
【図3】図1のA矢視図である。
【図4】図3のB−B線断面図(A)とC−C線断面図(B)である。
【図5】低温蒸し器の一部組立斜視図である。
【図6】図3のD−E−F−G−H−I線断面図である。
【図7】低温蒸し器の可変排気口の作用説明図(A)、(B)である。
【図8】低温蒸し器の可変外気口と可変排気口の別形態を示す作用説明図(A)、(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本願発明の実施形態例(以下、「本実施例」と称する。)の低温蒸し器を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1に示す低温蒸し器1は、主に、全体を支持する筐体2の内部に蒸気生成手段と連通する蒸気溜3を配置し、その上方空間を囲うように外気混合室4を配置し、外気混合室4の上部に拡散領域6及び蒸し処理領域7を有する蒸し処理室5を配置して構成している。なお、以下の説明では図1の左下側を低温蒸し器の「前側」と、右上側を「後側」と定義して用いる。
【0027】
まず、筐体2は、立設した4本の支柱22の側面及び上面を覆う下面開放の矩形箱状を成し、下面側を平板状の基盤21の上面に裁置して密閉空間を形成して成る。また、筐体2は内部を大きく上下2層に境界壁となる分割壁23をもって分割し、下層側には蒸気溜3と外気混合室4を配置し、上層側には蒸し処理室5を配置している。また、基盤21の略中央部には、蒸気生成手段(図示省略)と連通する蒸気導入口21aを形成している。
【0028】
蒸気溜3は、筐体2の下層側の略中央に位置し、基盤21に形成した蒸気導入口21aの上方空間を覆う底面開放の箱状を成す。また、上面の境界壁には外気混合室4と連通する蒸気吐出口31を4隅に開設している。
【0029】
かかる蒸気溜3の形態により、蒸気導入口21aから噴出した高温蒸気は、蒸気溜3に一旦充満した後、上面の4隅に位置する蒸気吐出口31を介して加速及び拡散しつつ外気混合室4に噴出(又は吐出)する。
【0030】
外気混合室4は、筐体2の下層側であって、前記蒸気溜3の上方空間を覆うように位置する。別言すれば、外気混合室4は蒸気溜3を内包する形態である。
【0031】
また、外気混合室4の前側の側面には外気導入のための可変外気口41を配設している。この可変外気口41は、外気混合室4の側面に形成した複数の縦長の長孔状の基準口41aと、この基準口41aと同形状及び同数の調整口41cを形成したスライド板41bと、から成る所謂「ダンパー」である。
【0032】
スライド板41bは、外気混合室4の側面に配設したガイド42に沿って横方向への移動し、基準口41aを閉塞したり、調整口41cと位置合わせして開放させたりする。可変外気口41は、スライド板41bの取手41dをもって横移動させて基準口41aと調整口41cとの重った部分の開放面積を調整しつつ、外気吸引量の調整を可能としている。この構成の可変外気口41の開放調整により、外気混合室内に所望量の外気を吸引できる。なお、外気吸引量を変更しない場合には、開口面積を固定した基準口41aのみを開口するようにしても良い。
【0033】
外気混合室4の上部には、隣接させて蒸し処理室5を配置している。この蒸し処理室5は下方の拡散領域6と上方の蒸し処理領域7とに区分けして構成している。蒸し処理室5の拡散領域6と外気混合室4との境界壁、すなわち、筐体2の分割壁23には、蒸気供給口61を4箇所開設している。
【0034】
各蒸気供給口61は蒸気溜3と外気混合室4の境界壁に開設した各蒸気吐出口31に対応する上方に位置し、かつ、蒸気吐出口31の各開口面積より大きく設定している。蒸気吐出口31から噴出した高温蒸気は、蒸気供給口61を介して一気に蒸し処理室5の拡散領域6に噴出する。この蒸気溜3から拡散領域6への噴出作用により、外気混合室4に負圧状態が形成される結果、外気が可変外気口41を介して筐体内部に吸引される。そして、外気を吸引しつつ混合した蒸気が拡散領域6に噴出し、さらに外気と蒸気の混合が促進して低温蒸気が生成される共に、低温蒸気が領域内で拡散することとなる。
【0035】
蒸し処理領域7は、上述のように、蒸し処理室5の拡散領域6の上方に位置する。この蒸し処理領域7は、下方の拡散領域6で生成された低温蒸気が上昇し及び拡散しつつ一時停留させる領域であり、処理対象物の配置手段として上下2段の裁置棚71を備えている。
【0036】
裁置棚71は、全体を筐体2の前側に移動可能な引き出しの形態を呈し、中央部に処理対象物を保持する収納網71aを配置している。裁置棚71は、両側にスライドレール71bを配設し、このスライドレール71bを筐体2の内側面の4本の支柱間に架け渡したガイド72に係合させている。収納網71aは、裁置棚71を引き出した時に上方側に取り外し可能であると共に、低温蒸気が処理対象物に満遍なく触れるように網体、若しくはパンチングメタルを採用して構成している。
【0037】
また、蒸し処理領域7の後側の側面には、内部に均質拡散した低温蒸気を排気する可変排気口8を配設している。可変排気口8は、上下三段に配設したシャッター81と、このシャッター81を開閉させるリンク機構82と、リンク機構82を作動させるレバー83と、から成る。
【0038】
シャッター81は上述の様に上下三段を成し、両側に配設した回動軸81aをもって上側が所定角度において後側に回動する構成である。リンク機構82は、各シャッター81の一方の側板81bに連結する回動バー82aと、回動バー82aと連結すると共にレバー83の回動で上下動する2本の縦バー82bと、から成る。
【0039】
レバー83は、縦バー82bの下端と連結すると共にコ字状に折れ曲がりつつ筐体側面を前側まで延出する本体83aと、本体83aを筐体側面の所定位置で回動自在に保持する回動軸83bと、筐体前側に延出した本体端部に取り付けた把持部83cと、把持部側の本体83aの回動を案内するブラケット83dと、から成る。
【0040】
かかる構成の可変排気口8は、レバー83を下方側に回動させると、レバー83に連結したリンク機構の縦バー82bが上昇して3本の回動バー82aを後側に押し出し、シャッター81の上部を後側に回動させ、可変排気口8が開放することとなる。シャッター81を閉塞する場合は、逆にレバー83を上方側に回動させる。また、ブラケット83dには、目盛りを刻印又は貼り付け等してレバー83の位置に連動した可変排気口8の開放具合を調整可能としている。可変排気口8は閉塞時でも気密状態とすることなく、シャッター上部側に若干の隙間を形成して外気と連通する形態としている。
【0041】
なお、外気吸引量を変更しない場合には、上記の可変排気口8を開口面積を固定した単純な開口や隙間としても良い。
【0042】
また、本実施例の低温蒸し器1を構成する全ての構成要素は、防塵性や衛生面を考慮してステンレス材を採用している。
【0043】
上記構成の低温蒸し器1は、以下のように作用する。
まず、蒸し処理室5の裁置棚71を前側に引き出し、収納網71aに処理対象物を適宜に収納し、裁置棚71を元の状態に戻す。
【0044】
次に、蒸気生成手段を起動等させて基盤21の蒸気導入口21aから蒸気を筐体2の内部に導入する(矢印a)。導入された蒸気は、蒸気溜3に一旦充満し、蒸気吐出口31を介して外気混合室4の内部に拡散しつつ噴出し、外気混合室4を通過しつつ蒸気供給口61を介して蒸し処理室5の拡散領域6に噴出する(矢印b)。
【0045】
外気混合室4はこの蒸気の噴出や通過により負圧状態となるため、適宜に可変外気口41を開放させて外気を吸引し(矢印c)、拡散領域6において低温蒸気を生成する。低温蒸気の温度は、可変外気口41の基準口41aの開放具合を適宜に調整して行う。この調整と同時に、可変排気口8のシャッター81の開放具合の調整も行う必要がある。つまり、基準口41aからの外気吸引量とシャッター81からの蒸気排気量を調整して、筐体内部の蒸気に対する外気の混合量を調整することにより、生成する低温蒸気の温度設定を行っている。
【0046】
生成された低温蒸気は、蒸し処理室5の蒸し処理領域7に向かって上昇し、蒸し処理領域7において均質拡散する(矢印d)。この低温蒸気は蒸し処理室内の収納網71aの処理対象物を蒸し処理する。
【0047】
また、上述のように可変外気口41の開放と連係させて、可変排気口8のレバー83を調整しつつ下方に回動させてシャッター81を開放し、温度調整した低温蒸気を筐体外部に適宜に排気させる(矢印e)。そして、蒸し処理が終了したら、蒸気生成手段を停止させて筐体内部への蒸気導入を停止させる。
【0048】
最後に、裁置棚71を前側に引き出して、蒸し処理が終了した処理対象物を収納網71aより取り出す。この裁置棚71の引き出しにより、筐体内部に残留していた低温蒸気が筐体外に排気されることとなる。また、裁置棚71の引き出し作業と併せて、シャッター81を全開放して全ての低温蒸気を筐体外部に排気させるようにしても良い。
【0049】
上記の低温蒸し器1の作用は、低温蒸気を用いる場合であるが、通常の蒸気(約100℃)を用いて蒸し処理を行うことも可能である。この場合、可変外気口41を閉塞すると共に、可変排気口8を若干の隙間を有する閉塞状態とする必要がある。この結果、筐体内に導入した蒸気は、可変外気口41が閉塞しているため外気の混入がなく、蒸し処理を行った後にシャッター81の隙間から排気されることとなる。
[他の実施形態の可能性]
【0050】
上記実施例では、外気混合室4の内部に蒸気溜3を設けているが、この蒸気溜3を省略する形態に変更することも可能である。この形態を採用する場合は、蒸気供給口61の開設数や位置に対応した1又は複数の蒸気導入口21aを、基盤21に開設する必要がある。
【0051】
また、可変外気口41と可変排気口8は、図8に示すように複数のリンク機構82を連係して、基準口41aとシャッター81が連動して開放、閉塞する形態に変更することも可能である。
【0052】
さらに、蒸し処理領域7の裁置棚71は前側に引き出す形態としているが、観音式の扉に変更し、内部に裁置棚71を懸架する形態に変更しても良い。
【0053】
加えて、可変外気口41が外気混合室4の内部に配置した温度センサー等に対応してスライド板41bが移動し、基準口41aの開放面積を調整するように変更しても良く、可変排気口8もタイマーに連動して駆動するアクチュエータ等により、シャッター81が開放する形態に変更しても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 低温蒸し器
2 筐体
21 基盤
21a 蒸気導入口
22 支柱
23 分割壁
3 蒸気溜
31 蒸気吐出口
4 外気混合室
41 可変外気口
41a 基準口
41b スライド板
41c 調整口
41d 取手
42 ガイド
5 蒸し処理室
6 拡散領域
61 蒸気供給口
7 蒸し処理領域
71 裁置棚
71a 収納網
71b スライドレール
72 ガイド
8 可変排気口
81 シャッター
81a 回動軸
81b 側板
82 リンク機構
82a 回動バー
82b 縦バー
83 レバー
83a 本体
83b 回動軸
83c 把持部
83d ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成手段から蒸気を導入する導入口と外気に通じた外気口を備えた外気混合室と、
該外気混合室と蒸気供給口を介して連通させた蒸し処理室と、から成り、
該蒸し処理室内は、前記蒸気供給口を含む拡散領域と該拡散領域の上位に隣接した排気口を含む蒸し処理領域とに区分けして構成したことを特徴とする低温蒸し器。
【請求項2】
外気混合室の外気口は、閉塞可能な可変外気口としたことを特徴とする請求項1記載の低温蒸し器。
【請求項3】
蒸し処理領域の排気口は、開放具合が変更可能な可変外気口としたことを特徴とする請求項1、又は2記載の低温蒸し器。
【請求項4】
外気混合室の内部に、蒸気生成手段からの蒸気を一旦貯留し、かつ、外気混合室と蒸気吐出口をもって連通する蒸気溜を設けたことを特徴とする請求項1、2、又は3記載の低温蒸し器。
【請求項5】
蒸し処理室が、外気混合室の上部に隣接した一体形成であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の低温蒸し器。
【請求項6】
外気混合室と蒸し処理室との連通が、外気混合室と蒸し処理室との境界壁の複数箇所の開設であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の低温蒸し器。
【請求項7】
蒸気生成手段から外気混合室への導入位置を、複数箇所としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の低温蒸し器。
【請求項8】
蒸気溜と外気混合室との連通が、蒸気溜と外気混合室との境界壁の複数箇所の開設であることを特徴とする請求項4記載の低温蒸し器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−239907(P2011−239907A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113868(P2010−113868)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(508061011)洗浄システム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】