説明

低温SOFC用の新素材および構造

本発明の態様は、多孔質セラミックカソード、必要によりカソード3層界面層、酸化セリウムを含む層および酸化ビスマスを含む層とを含む2層電解質、アノード機能層および電気的相互配線を有する多孔質セラミックアノードを含む多層構造体を有するSOFCに関するものであり、該SOFCは、水素燃料または炭化水素燃料を用いて、700℃より低い温度で非常に高い出力密度を有している。低温での化学エネルギーの電気エネルギーへの変換は、セラミック導電性酸化物に代えてステンレス鋼または他の金属合金をインターコネクトに用いた燃料電池の製造を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2008年10月14日に出願された米国仮出願第61/105,294号の利益を主張するものであり、すべての図面、表およびアミノ酸配列または核酸配列を含む当該出願の開示内容は、出典明示によりすべて本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料(例えば、水素、メタン、ブタンまたはガソリンおよびディーゼルまでも)が酸化される際の化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電気化学デバイスである。燃料電池は、運動部分を含まない簡単なデバイスであり、実質的に、4つの機能要素:カソード、電解質、アノードおよび相互配線(interconnect)、からなるものである。
エンジンや現在の火力発電所は一般的に効率が最大40%であるのに対し、加圧システムにおいて最大70%の高い効率で幅広く多様な燃料を電気エネルギーに変換するという点で、固体酸化物燃料電池(SOFC)は魅力的である。SOFCの廃熱をコージェネレーションに用いるように設計された用途では、全体の効率が80%を越えることもある。水素以外の燃料を使用できるという能力および他の燃料電池タイプでは毒として作用するCOの影響を比較的受けにくいことにより、SOFC技術は、競合する燃料電池技術(例えば、溶融炭酸塩、高分子電解質、リン酸およびアルカリ)を凌ぐ明らかな利点を有する。
【0003】
一般的な構造は、2つの電極がセラミック電解質により分離されたものである。酸素源は、一般的に空気であり、カソードに接触すると、カソード/電解質界面で電子により還元されて酸化物イオンを形成する。酸化物イオンは電解質を通ってアノードに拡散し、そこで、アノード/電解質界面において燃料と遭遇して、水、二酸化炭素(炭化水素系燃料の場合)、熱および電子を生成する。電子は外部回路を通って、アノードからカソードへ移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SOFCは概念としては簡単であるが、構成部品用の有効な材料の探索については課題が膨大にある。これらの材料は、化学的および構造的に安定であるだけでなく、必要な電気特性を備えている必要がある。従来、SOFCは約1000℃で作動し、十分に高い電流密度と電力を達成している。構成部品と他の構成部品および/または酸素および/または燃料との反応、並びに構成部品間の相互拡散が高温では問題となる。これら材料の熱膨張係数は、熱応力を最小化するように十分に整合させる必要があり、熱応力は亀裂や機械的損傷をもたらす。電池の空気側は酸化雰囲気で作動しなければならず、燃料側は還元雰囲気で作動しなければならない。
【0005】
燃料電池用の最も一般的な電解質材料の一つは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)である。イットリアは、低温で立方晶系のジルコニアを安定化させることと、酸素空隙を提供することの2つの目的を有する。YSZの代わりとして、ドープされた酸化セリウムとドープされた酸化ビスマスが期待されたが、いずれも必要な特性を満たすには不十分である。酸化ビスマス系電解質は、低温作動(800℃以下)に十分な高い酸素イオン伝導度を有しているが、十分な熱力学的安定性を確保するには高いPO2レベルを必要とする。アノードにおける低いPO2は酸化ビスマスの分解を促進し、SOFCの損傷をもたらす。酸化セリウム系電解質は、空気中でも高いイオン伝導度を有するという利点を有し、低温(700℃未満)でも効果的に働く。しかしながら、これらの電解質は、アノード上でCe+4からCe3+へと還元されやすく、アノードとカソードの間に電気的導通およびリーク電流を発生させる。700℃未満の温度は、カソード、アノードおよびインターコネクトの材料の選択を大きく拡げ、現在SOFCに使用されている材料よりも、はるかに安価で、より簡単に入手できる材料の使用を可能とする。
【0006】
優れた電解質に対するニーズに加えて、優れたSOFCを製造するためには、アノードおよびカソードにも改良が必要である。改良には、優れた材料の検討だけでなく、電極、電解質および酸素または燃料の間の3相界面の改良の検討も含まれる。したがって、実行可能な低温SOFCは、最小限の温度で効率を最大化できる、システム、材料、構造および製造技術の検討を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、多層構造体を含む固体酸化物燃料電池(SOFC)に関するものであり、該多層構造体は、アノード機能層(AFL)を有する多孔質の金属−セラミックアノードを含み、該アノード機能層は、酸化セリウムを含む層と酸化ビスマスを含む層と多孔質セラミックカソードを有する2層電解質にアノードを結合する。SOFCは、700℃より低い温度で作動し、650℃において少なくとも1W/cmの出力密度を示す。本発明のいくつかの態様では、SOFCは、電極につながる金属または金属合金のインターコネクト、例えばステンレス鋼のインターコネクトを有している。
【0008】
2層電解質の酸化セリウムを含む層は、CeSm1−x2−δ(SDC)、CeGd1−x2−δ(GDC)またはSmyCe1−x−y2−δがある。酸化ビスマスを含む層としては、Bi2−xEr(ESB)、Bi2−xDw(DSB)、Bi2−x(YSB)またはBi2−(x+y)Dy(DWSB)がある。本発明のいくつかの態様では、xまたはx+yの値は、0.1より小さい値から約0.5までの範囲、yは0.01から0.49の範囲としてもよい。本発明のいくつかの態様では、2層電解質の厚さは100μm以下としてもよい。本発明のいくつかの態様では、2層電解質の酸化ビスマスを含む層の厚さを20μm以下としてもよい。本発明のいくつかの態様では、酸化ビスマスを含む層の厚さを、酸化セリウムを含む層の厚さの少なくとも1%としてもよい。本発明のいくつかの態様では、酸化ビスマスを含む層の厚さを、酸化セリウムを含む層の厚さの少なくとも10%としてもよい。
【0009】
使用前の製造された状態のように、酸化型の金属−セラミックアノードには、NiOまたはCuOと、セリウムを含む電解質との混合物を用いてもよい。本発明の態様では、セリウムを含む電解質として、CeSm1−x2−δ(SDC)、CeGd1−x2−δ(GDC)またはSmyCe1−x−y2−δを用いてもよい。アノードを2層電解質に結合するAFLは、金属−セラミックアノードおよび/または2層電解質における酸化セリウムを含む化合物に類似する組成の、酸化セリウムを含む化合物でもよく、AFLの酸化セリウムを含む化合物の粒径が、酸化セリウムを含むアノードの化合物の粒径よりも小さい。例えば、本発明の態様では、アノードが1μmより大きい複数の粒子を含む場合、AFLは1μmより小さい複数の粒子を含む。本発明のいくつかの態様では、AFLの酸化セリウムを含む化合物は、金属−セラミックアノードの金属酸化物を含んでもよい。
【0010】
多孔質セラミックアノードには、BiRu(BRO7)、BRO7−(Er0.2(Bi0.8(ESB)複合体、BRO−(Dw0.2(Bi0.8(DSB)複合体、BRO−(Y0.2(Bi0.8(YSB)複合体またはBRO−Bi2−(x+y)Dy(DWSB)複合体を用いてもよい。必要に応じて、カソード機能層(CFL)を用いて、カソードを2層電解質に結合してもよい。CFLには、2層電解質の酸化ビスマスを含む層および複合カソードの層と同じ化学組成を有する、酸化ビスマスを含む化合物を用いてもよい。
【0011】
本発明の他の態様はSOFCの製造方法に関するものであり、AFLは金属−セラミックアノード上に形成され、該AFLの上に2層電解質の酸化セリウムを含む層を堆積させ、次いで該酸化セリウムを含む層の上に酸化ビスマスを含む層を堆積させて、2層電解質を完成させ、そして該酸化ビスマスを含む層の上に多孔質のセラミックカソードを堆積させる。本発明の一態様では、金属−セラミックアノードの表面にGDCまたはNi−GDCの前駆体溶液を堆積させ、得られた前駆体被覆金属−セラミックアノードを熱処理することにより形成してもよい。本発明のいくつかの態様では、酸化ビスマスを含む層をパルスレーザー蒸着法(PLD)を用いて堆積させてもよい。本発明のいくつかの態様では、酸化セリウムをパルスレーザー蒸着法(PLD)を用いて堆積させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一の態様であり、NiO−GDCアノード上のGDC AFL被膜の特徴を示す模式図である。
【図2】図2は、BRO7/BRO7−ESBカソード/(ESB/GDC)2層電解質/Ni−GDCアノードを有するSOFCの断面のSEM顕微鏡写真であり、GDCをNi−GDCアノード支持体上に一体加圧し(co-pressing)、GDCの焼結後にGDCにESBをスクリーン印刷することにより製造された、厚い(1〜2mm)アノードと、厚い2層電解質(55μmGDC/20μmESB)を有している。
【図3】図3は、本発明の態様に基づく、2層電解質層の安定な電解質層への適用を示し、そこでは、その2層の相対的な厚さにより、分解が起きる界面酸素分圧(PO2)値の生成を防止する。
【図4】図4は、本発明の態様に基づくものであり、(a)はNi−GDCアノード支持体上のESB/GDC2層電解質の断面のSEM顕微鏡写真であり、GDC層上にパルスレーザー蒸着(PLD)により形成された厚さ4μmのESB層を有しており、(b)は堆積したままの2層試料のXRDパターンである。
【図5】図5の、(a)は、GDC単層電解質と、本発明の態様に基づき、冷たいGDCの上と熱いGDCの上にESBのPLDにより製造されたESB/GDC2層電解質を用いた燃料電池試料の650℃におけるI−V特性を示すプロットであり、空気および湿潤水素を90sccmの条件でデータを収集したものであり、(b)は、単層電解質を有する試料、および本発明の態様に基づくものであって同じ条件で製造した2層電解質を有する試料のインピーダンススペクトルである。
【図6】図6は、AFLを900℃で1時間かけて予備焼結した後で撮影した後方散乱画像であり、(a)の粗い未被覆のアノード表面の多孔性と粗さは、本発明の態様に基づきGDC機能層を吹き付け被覆することにより滑らかとなる。(b)は部分的にGDC AFLの吹き付け被覆を行ったアノード、(c)は全面にGDC AFLの吹き付け被覆を行ったアノードを示している。
【図7】図7は、本発明の態様に基づき、AFLを用いて製造したSOFCsのSEM顕微鏡写真であり、(a)は吹き付け被覆により堆積させたGDC電解質の表面画像であり、(b)I−V試験後のSOFCであって、電解質と区別できないAFLを有するSOFCの断面画像である。
【図8】本発明の態様に基づき、30sccmの湿潤水素および空気で測定したI−V特性およびインピーダンススペクトルに対するAFLの影響を示すプロットであり、a)は、AFL無し、部分AFL、全面AFL以外は同等のSOFCsの650℃におけるI−V特性を示し、b)は、AFL無し、部分AFLおよび全面AFLの各試料について、650℃、開回路状態で2端子法により測定したインピーダンススペクトルを示す。
【図9】図9は、本発明の態様に基づき製造した、全面AFLを有するGDC単層電解質SOFCについての、450℃から650℃の温度範囲における、30sccmの湿潤水素および空気で測定したI−V特性のプロットを示す。
【図10】図10は、a)が、本発明の態様に基づき製造した、全面AFLを有する試料についての、種々の温度での運転状態でのインピーダンススペクトルを示し、b)が、GDC単層電解質を用い450℃〜650℃の温度範囲で測定したインピーダンススペクトルから計算した、全ASR、電極ASRおよびオーミックASRのプロットを示す。
【図11】図11は、a)が、1.03W/cmを発電する部分AFLを有する試料について、ガス流量が30sccmに制限されない時の、650℃におけるガス流量の影響を示し、b)が、650℃における、GDC単層電解質の全面AFL試料の特性に対するガス流量とガス組成の影響を示す。
【図12】図12は、a)が、AFL無しのSmNdCe1−2x1−δ単層電解質SOFCについて、種々の温度で、90sccmの湿潤水素および空気で測定したI−V特性のプロットを示し、b)が、500℃〜650℃の温度範囲で測定したインピーダンススペクトルから計算した、この単層電解質の全ASR、電極ASRおよびオーミックASRのプロットを示す。
【図13】図13は、SOFCを構成する厚さ10μmのDWSB単層電解質についての500℃での計算されたI−V特性を示すものであり、比較として、厚さ10μmのGDC単層電解質SOFCおよび厚さ10μmのYSZ単層電解質SOFCの結果を示す。
【図14】図14は、ERO7−ESB複合カソードとLSCF−GDC複合カソード、ESB/GDC2層電解質およびGDC単層電解質について、3種を一体加圧した(three co-pressed)試料についての、650℃で、30sccmの湿潤水素および空気で測定したI−V特性のプロットを示す。
【図15】図15は、BRO7−ESB複合カソードを有し、GDC単層電解質またはESB/GDC2層電解質を有し、コロイド法で製造したSOFCについての、650℃で、30sccmの空気および湿潤水素で測定したI−V特性のプロット、および2層電解質を有するSOFCについて、90sccmの湿潤水素および30sccmの空気流量で測定したI−V特性のプロットを示す。
【図16】図16は、本発明の態様に基づき、PLDで製造したESB/GDC2層電解質のSEM画像であり、(a)は、未加熱のGDC基板上にESBを堆積させたものであり、(b)と(c)は、その後加熱して高密度層を形成させたものであり、(d)はPLDの間、GDC基板を加熱し、ESB層を該GDC基板上に堆積させたものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様は、SOFCに関するものであり、低温で高イオン伝導性を有し、安定であり、大きな電気抵抗を有する優れた電解質構造体と、電解質をアノードに結合する3相界面促進剤として作用する優れたアノード機能層(AFL)との組み合わせにより、電解質の構造が、低温(<700℃)での発電を可能とする。本発明の態様は、多層構造のSOFCに関するものであり、該SOFCは、多孔性セラミックアノード、電解質をアノードに結合する3相界面促進剤として作用するアノード機能層(AFL)、酸化セリウムを含む層と酸化ビスマスを含む層とを含む2層電解質、必要に応じてカソード機能層(CFL)、および低温用電気的相互配線を有する多孔性セラミックカソードを有し、SOFCは、700℃より低い温度でかつ約300℃までのできるだけ低い温度で水素および/または炭化水素燃料を用いて、非常に高い出力密度を示す。低温での化学エネルギーから電気エネルギーへの変換により、相互配線としてCr−Fe(Y)、インコネル−AlまたはLa(Ca)CrO等のセラミック導電性酸化物を用いる必要のない、ステンレス鋼または他の低温用の安価な金属合金を用いた燃料電池の製造が可能となる。安価な金属製相互配線に加え、低温化により、熱膨張によるずれに対する電池への制限がより緩和されるとともに、より容易に封止することができ、絶縁もより緩和することができ、エネルギーの消費をより減らすことができ、より速やかに始動でき、そしてより安定化することができる。
【0014】
2層電解質は、酸化セリウムを含む層と酸化ビスマスを含む層とを含み、該酸化セリウムと酸化ビスマスは、酸化セリウムを含む層が、アノードの方に向くように、かつ酸化ビスマスを含む層をアノードの還元状態から保護するように十分に厚くして配置されている。酸化ビスマスを含む層は、カソードに隣接し、酸化セリウムを含む層の厚さの約1%以上の厚さを有し、例えば、500℃の業務用燃料電池用の10μmの電解質の場合、酸化セリウムを含む層の厚さの60%である。2層電解質の実際の厚さおよび上記の層の相対的な厚さは、特別なSOFC用途に望ましいとされる運転特性に対する必要の程度に応じて変化させることができる。
【0015】
酸化セリウムを含む層は、例えば、CeSm1−x2−δ(例えば(Sm0.1(CeO0.9(SDC)、CeGd1−x2−δ(例えば(Gd0.1(CeO0.9(GDC)、または共添加酸化セリウム、例えば、SmNdCe1−x−y2−δ(例えばSm0.75Nd0.075Ce0.852−δ)、酸化ビスマスを含む層は、例えば、Bi2−xEr(例えば(Er0.2(Bi0.8(ESB)、Bi2−xDw(例えば(Dw0.2(Bi0.8(DSB)、Bi2−x(例えば(Y0.2(Bi0.8(YSB)、または共添加酸化ビスマス、例えば、Bi2−(x+y)Dy(DWSB)である。xとyの値は、広い範囲で変化させることができ、単独添加酸化物のxまたは共添加酸化物のx+yは、通常0.1〜0.35であり、xまたはyのいずれかの量は小さく0.01である。xとyの値を制限する必要はなく、当業者が必要とする望ましい特性および安定性を確保するために必要なxおよびyの範囲は、0.01〜0.5である。例えば、GDCまたはSDCは、低温で優れたO−2イオン伝導性を示すが、Ce+4はCe+3に還元され、漏れ電流の原因となる電気伝導性をもたらす。電気伝導性のないESB2層を用いることにより、この漏れ電流を防止できる。ESBまたは他の酸化ビスマスを含む層は、還元雰囲気で不安定であるので、酸化ビスマスを含む層全体を高い酸素状態に維持するために、カソードに隣接して配置する。以下の説明では、引用したGDC層の代わりにセリウムを含む他の層を用いてもよく、また当業者であれば理解できるように、ESBの代わりにビスマスを含む他の層を用いてもよい。
【0016】
酸化状態のカソード、例えばNiO−GDCを、例えば、ミクロンサイズのNiO粒子とサブミクロンサイズのGDCとで製造してもよい。NiO粒子ではなくCuO粒子等の他の金属酸化物を含むアノードを製造し、SOFCに用いてもよい。テープ成形し、例えば900℃で約2時間部分焼結してアノードを製造した後、GDCまたはNi−GDCの前駆体溶液をアノード表面に沈着させる。GDC前駆体溶液は、例えば、Gd(NO・6HOやCe(NO・6HOを含んでもよく、Ni−GDC前駆体溶液は、例えば、Ni(NOを含んでもよい。この前駆体溶液を用いてナノ微粒子GDCを調製し、アノード機能層(AFL)として多孔質アノードに被覆することにより、表面の多孔度や粗さを減少させ、さらに、図1に示すように、GDCに対するNiOの接触の程度を増大させる。2層電解質に隣接するアノードがGDCであると、AFLは電解質とアノードの間に良好な接触を付与し、アノードの3相界面を向上させる。GDCまたはNi−GDC前駆体を沈着させた後、例えばエタノールの懸濁液を吹き付けることによりGDCスラリーをAFL表面に被覆し、組成物を例えば1450℃で約4時間焼結してもよい。AFLは、固体アノード、固体電解質および気体燃料が接触する3相界面の有効数を増加させ、それにより、燃料の酸化速度および燃料電池の電流密度を増大させる。本発明の態様に基づきAFLを製造するのに用いる方法は、酸化セリウムを含む電解質層の微粒子であって懸濁液中に懸濁させた微粒子を沈着させてアノード上にAFLを形成する方法であり、AFLの従来の調製方法は、上記と同じ組成の微粉末を嵩張ったアノードとしてコロイド沈着させる方法に限られていた。
【0017】
電解質層のための他の薄膜製造技術として、例えばパルスレーザー蒸着法(PLD)を用いて、AFLおよびアノード構造体上にGDCを堆積させてもよい。使用に適した堆積方法は、当業者なら理解できるように、特別のSOFCに必要とされる層の厚さと密度に依存する。使用できる堆積方法には、スクリーン印刷、吹き付け被覆、冷たい基板上でのPLDおよび熱い基板上へのPLDが含まれ、それぞれ、最小から最大の密度を堆積層に付与する。
【0018】
2層電解質の第2の部分として、例えばESBを、例えばPLDを用いてGDC電解質上に厚い層として堆積させてもよく、あるいは代わりに、ESBのコロイド状懸濁液を用いてスクリーン印刷、スピン被覆、浸漬被覆、吹き付け被覆または滴下被覆によりESB層を形成してもよく、次いでGDC層上で焼結する。PLDは、高密度のESBを調製することに関しては優れており、高い相純度と、得られるGDC層に対して優れた付着力を有する。上述のように、GDC層中のCe+4の還元に伴うGDC層の電気伝導性に起因して、アノードからカソードを電気的に絶縁すべく、ESB層は十分厚く堆積させるべきである。
【0019】
カソードを、2層電解質のESB層上に堆積させる。例えば、BiRu(BRO7)粉末を、固相法で調製したESB粉末を混合し、ESB電解質上にスクリーン印刷して複合カソードとし、800℃で2時間焼成してもよい。SOFCについて、図2に示すように、BRO7等のカソードを複合カソード上に堆積させてもよく、該SOFCは、カソード、2層電解質およびアノードを有し、一体加圧法およびスクリーン印刷法をその調製に用いたので、該2層電解質および該SOFCはかなり厚い。
【0020】
SOFCは、例えばEr0.8Bi1.2/Gd0.1Ce0.9(ESB/GDC)2層電解質または他の組み合わせを用いてもよく、それにより、セリア系電解質、例えばGDCのみを用いた場合に比べて、高い導電率および高い開回路電圧(OCP)を得ることができる。2層電解質のESB層またはその等価物層の機能は、該2層電解質層または該等価物層を通る電子伝導を防止することであり、それらが十分に厚ければ、ESB層の分解を防止する。本明細書では、本発明の態様として、ESB/GDCの2層電解質の調製について記載しているが、ESBおよび/またはGDCに代えて他の機能的に等価な酸化物を用いることができることを当業者であれば理解できる。図1に示す構成層の厚さ比率を変化させることにより、界面PO2を制御することができる。ESBを包含させて2層電解質を調製すると、全面積比抵抗(ASR)が減少し、例えば、GDC上の場合に比べ、ESB上では26%より少ないカソード分極を示す。これは多分、酸化ビスマスが酸素解離および表面酸素交換を顕著に促進させるためであろう。
【0021】
従来の2層電解質では、SOFC用途において高い性能を示すものは得られていない。2層電解質のOCPが顕著に増加することが観察されたのは、ESB層が十分に厚いような、厚いペレットを用いた場合のみであった。本発明の態様では、高密度のESB層を製造できるので、薄膜で高いOCP値を達成できる。従来の酸化ビスマス系電解質はほとんどの従来のカソード系に対して高い反応性を有しているため、装置特性に有害であった。本発明の態様では、この反応性の問題を克服するため、低抵抗のESB互換複合カソード(ESB compatible composite cathodes)の使用に関するものである。
【0022】
本発明の態様では、パルスレーザー蒸着法(PLD)を用いて、薄く高品質の、酸化ビスマスを含む層、例えばESB層をGDCの表面上またはセリウムを含む他の層の表面上に堆積させてもよく、該表面では高堆積速度用にパラメータが設定され、基板は堆積中は加熱されている。この方法により、GDC表面と、得られる比較的高密度の結晶性ESB膜との間に高い付着係数が得られる。他の態様では、ESB膜は、ESB粒子のコロイド状懸濁液を用いたスクリーン印刷、スピン被覆、浸漬被覆、吹き付け被覆または滴下被覆等の他の方法を用いて堆積させてもよい。
【0023】
図4aは、本発明の態様に基づくものであり、Ni−GDCアノード支持体上のESB/GDC2層電解質の断面を示す。該断面は、厚さ10μmのGDC層上に厚さ4μmのESB膜が存在することを示し、厚さ比率ESB:GDCは0.4である。図4bは、ESB/GDC2層試料のXRDパターンを示す。X線が大きな侵入深さを有しているので、ESBとGDCの回折パターンを視認できる。GDC層とESB層は、若干格子パラーメータが異なるが、蛍石型構造を示し、該2つの結晶構造の反射線は、ミラー指数の同じ群に対応するものとして2つ1組で分類されている。図4bは、立方晶の蛍石型ESBがGDC上に生成していることを示し、および付加的な熱処理なしで、ESBが一粒一粒エピタキシャル成長していることを示唆している。
【0024】
図5aは、GDC単層または2層ESB/GDC電解質のSOFCのI−V特性を示す。GDC単層SOFCの場合、OCPは0.72Vで、650℃における最大出力密度は1.03Wcm−2である。I−V曲線の最初の傾きから推定したASRIVは0.125Ωcm−2であり、LSCF−GDC複合カソードを有する従来のGDC電解質を含むSOFCに対しては非常に低いASRである。
【0025】
本発明の態様によれば、改良された2層ESB/GDC電解質およびAFLを用いる優れたSOFC製造方法により高特性が達成される。図5aは、650℃において、2層電池を用いることにより単層GDC電池に比べ顕著に特性が向上することを示している。加熱したGDC層上にESB層を堆積させることにより形成された2層ESB/GDC電解質と、BRO7−ESBカソードの使用により、0.77VのOCPと最大出力密度1.95Wcm−2が得られ、それは、LSCF−GDC複合カソードを用いた従来のGDC電解質で得られた値の1.93倍である。BRO7−ESBカソードを用いて単層電解質と2層電解質を比較すると、ESB/GDC2層電解質を用いた場合、最大出力密度が1.28倍に増加した。2層電解質を用いた時に観察される優れたASR特性も、図5bに示すインピーダンス解析から明らかであり、該解析は全ASRに対する2層電解質の影響を2端子(カソードおよびアノード)インピーダンススペクトル法により行った。I−Vデータ、ASRIV、およびインピーダンスデータから計算したASR値を表1に示すが、ASRインピーダンスは5%範囲内で一致している。表1は、2層電解質が、電池の全ASRインピーダンスを0.126から0.079Ωcm−2へ低減させ、電極ASRを48%減少させ、オーミックASRを26%減少させたことを示している。2層電解質の厚さが単層電解質の厚さの1.4倍であるにもかかわらず(4+10μm対10μm)、オーミックASRは単層電解質よりも2層電解質の方が低い。このことは、本発明の態様に基づいて製造した薄い2層電解質では、ESBがGDCの粒界に侵入して粒界抵抗を減少させたことを示唆している。
【0026】
【表1】

【0027】
本発明の態様では、AFLは、同じ材料、例えばGDCを、隣接する電解質層として含む。通常、断面SEM画像では、AFLを隣接する電解質層と区別することはできない。AFLの生成は、アノード表面に堆積している時に視認できる。図6は、アノード表面のSEM画像であり、(a)はAFLを堆積させる前、(b)はAFL材料を部分的に堆積させた後、(c)はAFLを全面に堆積させた後の状態を示し、堆積させた表面の画像は、900℃1時間の熱処理後に撮影したものである。多孔質で粗いアノード表面(図6a)は、大きなNiO粒子により形成された大きな空隙を有しているので、GDC AFLの生成によるアノード表面の多孔度と粗さの変化は、明りょうに観察できる。そのような多孔質のアノード表面の上にコロイド堆積法により高密度のAFLを形成することは困難である、特に、セリア等の難焼結性の材料を用いる場合には困難である。
【0028】
図6bからわかるように、アノード上に部分的にGDC AFLを吹き付けると、表面上のほとんどの大きな孔を効果的に塞ぐことができる。図6cは、全アノード表面をGDC AFLで完全に覆った状態を示し、比較的平滑で均質な表面を示し、続いて高品質のGDC電解質層を堆積できる。AFLを用いると、アノード表面上のNiO粒子はGDC粒子で完全に被覆される。
【0029】
SOFCに用いた場合のAFLの有利な効果を図7に示すが、アノードの全面にAFLを堆積させた後、アノードの表面はGDC電解質で吹き付け被覆されている。AFLを堆積させた後、GDC電解質を1450℃で4時間焼結した。図7aおよび7bからわかるように、得られたGDC電解質層は高密度である。全面被覆AFL SOFCのGDC電解質(図7b)の断面写真からは、厚さ10μmの電解質層の中には、開放気孔は認められないが、運転時にNiOがNiに還元されてアノードが高多孔質となったことは図7bから明らかである。GDC単層電解質の上にLSCF−GDC複合カソードを堆積させて、電池は完成する。
【0030】
図8aは、この単層電解質SOFCのI−V特性を示すものであり、AFL無し、部分AFLおよび全面AFLをアノード上に堆積させたものであり、アノード面に30sccmの湿潤水素を流し、カソード面に30sccmの乾燥空気を流した。650℃で、AFL無しの試料のOCPと最大出力密度は、それぞれ0.677Vと407mWcm−2であった。I−V曲線の直線回帰から計算した全ASRが非常に小さいにも拘わらず(0.237Ωcm)、OCP値が小さいので最大出力密度はあまり高くない。比較として、図8bにおいて、AFL無し試料のインピーダンススペクトルから求めた全ASRは0.218Ωcmである。I−V測定およびインピーダンス測定から求めたASR値は、すべての試料において、10%の範囲内で一致した。
【0031】
AFLは、オーミックインピーダンスだけでなく、非オーミックインピーダンスも減少させる(図8b)。AFL無しの試料のOCP値が小さいことは、吹き付け被覆により製造した厚さ10μmのGDCの密度が、水素ガスまたは電子漏れ電流を妨げるには十分でないことを示唆している。しかしながら、界面を部分的にAFLで被覆することにより、OCP値は0.677から0.719Vに増加し、さらに全面AFLとすることにより、0.677から0.796Vへと顕著に増加した。
【0032】
AFL無し、部分AFLおよび全面AFLの試料のASRの変化を、該3つの試料のインピーダンス測定により解析し、表2に全ASR値、オーミックASR値および電極ASR値を示す。AFL無しの試料は、650℃の全ASRが0.218Ωcmであり、全ASR値の48%がオーミックASRによるもので、52%が電極ASRによるものである。部分AFLとするだけで、測定試料のASRが、AFL無しの全ASRの59%にまで減少した。全ASRの減少は、オーミックASRの減少が41%、電極ASRの減少が42%によるものである。AFLの使用によるASRの差異は、アノード分極の差異と一致する。全面AFLの試料では、AFL無しの試料と比較して全ASRが60.1%減少した。全面AFLの試料の全ASRは650℃で0.089Ωcmであり、最大出力密度が994mWcm−2であり、AFL無しの試料の650℃における407mWcm−2に対して144%の増加である。このAFLの場合、オーミックASRは51.0%減少し、電極ASRは68.4%減少した。カソード分極が、SOFC分極に最も大きな影響を与えると通常考えられているが、AFLを使用することにより電極抵抗を60%以上も低減できたことは、電極抵抗の支配的な要因がアノード保持電池のアノード分極によるものであることを示している。
【0033】
【表2】

【0034】
図9は、単層電解質を用いた全面AFL試料の450〜650℃の温度範囲におけるI−V挙動を示している。650℃、600℃、550℃、500℃および450℃におけるOCP値は、それぞれ、0.796、0.830、0.874、0.913および0.950Vである。有効面積0.49cmの試料についてガス流量30sccmの条件で、650℃、600℃、550℃、500℃および450℃における最大出力密度は、それぞれ、994、913、627、440および241mWcm−2である。650℃のI−V曲線は、電流密度を増加させるとASRが増加することを示している。大きなNiO粒子がアノードの多孔性を増大させるのに使用されているが、アノードは、高電流で濃度分極を示す。
【0035】
図10aは、GDC単層電解質SOFCのI−Vを測定した各温度におけるインピーダンススペクトルを示している。図10bは、このインピーダンスデータから計算した種々の温度における全ASR値、オーミックASR値および電極ASR値を示している。オーミックASRと電極ASRは、スペクトルの低周波および高周波の実軸との切片から求めた。650℃で、オーミックおよび電極の分極損失の両方が、全電池抵抗の主たる要因で、アノードとカソードの電極抵抗が全抵抗の41.38%を占める。温度が高くなると、オーミック抵抗以上に電極抵抗が増大し、550℃では、電極ASRがオーミックASRよりも大きくなる。500℃で、電極抵抗は全ASRの68.79%となる。しかしながら、500℃での全ASRはまた1Ωcmよりも小さく、最大出力密度は440mWcm−2となる。450℃では、電極抵抗は電池の全抵抗の72.64%である。
【0036】
650℃におけるGDC単層電解質SOFCの特性に対するガス流量の影響を、図11に示すが、部分AFL SOFCについては水素および空気の流量を30〜90sccmに設定し、完全AFL SOFCについては種々の水素および酸化剤を用いた。製造した部分AFL試料の出力密度は、図8に示すように、650℃で30sccmの湿潤水素と乾燥空気を用いて738mWcm−2となり、湿潤水素と乾燥空気の流量を90sccmに増加させると、出力密度が1.01Wcm−2となった(図11a)。全面AFL SOFCの場合、空気を30sccmに保持しながら水素の流量を90sccmに増加させると、高電流でのASRが減少し、OCPは0.796から0.779Vへ減少する(図11b)。これは、非対称の流量により、電解質またはSOFCを封止するのに用いるセラマボンドシーラント(ceramabond sealant)を通って水素が漏れることを示すものである。水素と空気の流量を90sccmで釣り合わせると、OCP値は、低い流量で釣り合わせていた時に観測された、元の0.796Vにまで増加した。しかし、曲線の傾きは、同じ水素流量の非対称流量の曲線の傾きと大きな違いはなかった。酸化剤を空気から純粋酸素に変えると、ASRは大きく変化せず、OCPが0.836Vに増加した。90sccmの水素と酸素を用いることにより、最大出力密度が1.57Wcm−2に増加した。
【0037】
GDCに加えて、より大きな出力密度が達成できるのであれば、電解質を形成する他のセリアを用いてもよい。例えば、図12aは、AFL無しのSmNdCe1−2x2−δ単層電解質のI−V特性を示しており、650℃で、90sccmの空気および湿潤水素で1.3W/cmを越える出力密度が得られている。図12bからわかるように、500℃でも、オーミック抵抗は全ASRの一部として低いままである。ESBに加え、Bi2−(x+y)Dy(DWSB)等の他の酸化ビスマス電解質は、高出力密度を達成できる可能性を有しており、図13に示すように、YSZ、GDC、DWSBの厚さ10μmの単層電解質を有するSOFCの特性を計算して、電解質以外は同じ運転条件下での電解質抵抗の効果と電極特性を比較した。
【0038】
材料および方法
代表的方法
NiO−GDCアノード支持体は、NiO(アルファ・エサール社製)とCe0.9Gd0.11.95(GDC)(ロディア社製)の粉末の混合物をテープ成形することにより調製した。NiOとGDCの粉末を混合し(65:35重量%)、分散剤としてソルスパース(Solsperse)を用い、トルエン/エチルアルコールの混合溶媒中で24時間、ボールミルを行った。ジ−n−ブチルフタレート(DBP)、ポリエチレングリコール(PEG)(可塑剤)およびポリビニルブチラール(PVB))(バインダー)の混合物を上記の懸濁液に添加し、24時間、ボールミルを行った。スラリーを真空室に移し、攪拌しながら脱気した。スラリーをテープ成形し(DHI社のプロキャスト)、100℃で2時間乾燥し、直径32mmの円形状のグリーンテープを打ち抜いた。円形状のアノードテープを、900℃で2時間部分焼結した。
【0039】
GDC AFLは、GDC前駆体のエタノール溶液から調製した。該溶液をスプレーガン(エクセル社製)に移し、アノード基板に吹き付け、900℃で1時間焼結した。
【0040】
GDC粉末は、ソルスパースを含むエタノール溶液を用いて、24時間、ボールミルを行った。PVBとDBPを添加して、さらに24時間ボールミルを続けた。GDCスラリーをスプレーガンからアノードまたはAFL表面へ吹き付けることにより、GDC電解質層を堆積させ、得られたセラミックを真空オーブン中に入れ、120℃で5時間加熱した。電解質が被覆されたアノードを空気中で、3℃/分で1450℃まで昇温し、4時間保持した。
【0041】
La0.6Sr0.4Co0.2−Fe0.83−δ(LSCF)粉末(プラクセアー社製)とGDC粉末は、50:50(重量比)に混合し、溶媒にDBPとPVBを添加したα−テルピノールとエタノールを用い、乳棒と乳鉢を用いて粉砕した。混合および粉砕を1時間行った後、GDC単層電解質上に懸濁液を均等に刷毛塗りし、120℃で1時間、オーブン中で乾燥した。第1の層の上に、LSCF−GDCの懸濁液の第2の層を刷毛塗りした。カソードを1100℃で1時間焼成した。
【0042】
吹き付け被覆されたGDC単層上にPDLを用いてESBを堆積させ、高密度のESB層を形成した。ESB粉末を一軸加圧し、890℃で4時間焼結することにより、PLDターゲットを製造した。ESB粉末は、固相合成により製造した。すなわち、酸化エルビウム粉末(アルファ・エサール社製)と酸化ビスマス粉末(アルファ・エサール社製)を適切な化学量論量となるように混合し、24時間ボールミルし、800℃で10時間焼成してEr0.4Bi1.6を得た。エネルギー密度5Jcm−2で周波数10HzのKrFエキシマーレーザー(k=248nm)を用いた。ターゲットと基板の間の距離は4cm、真空度0.05Torrで酸素を供給し、基板(NiO−GDCアノード上のGDC表面)を600℃に加熱した。全堆積時間は60分であった。追加のアニールは実施せず、得られた膜をX線回折(XRD)で分析した。
【0043】
2層電解質上の複合カソードBRO7−ESBについて、そのカソードおよびBRO7の製造は、「Camaratta et al., J.Electrochem.Soc.155(2008)B135」に開示されている方法を用いて行い、該文献は、出典明示により本明細書に組み入れられる。
【0044】
白金ペーストをアノードとカソードに刷毛塗りして集電体とし、白金メッシュと金のリード線に接続した。集電体が被覆されたセラミックを900℃で1時間熱処理した。
【0045】
特製試験装置内のジルコニア管の中に、2成分系のセラマボンドシーラント(アレムコ社製の517粉末と517液体の混合物)を用いて燃料電池を取り付けた。乾燥空気と湿潤水素を、カソード側とアノード側にそれぞれ供給した。開回路電圧(OCP)と電流−電圧(I−V)の測定を、ソーラトロン1287を用い種々の温度で行った。電池全体のASR(ASRIV)は、I−V曲線の最初の傾きから推定した。I−V測定の後で、パー・スタット(Par−stat)2273(プリンストン・アプライド・リサーチ社製)を使用し、2端子法で周波数範囲10〜0.01Hzで、開回路状態でインピーダンス解析を行った。インピーダンススペクトルから、全領域比抵抗(ASRインピーダンダンス)を計算した。インピーダンススペクトルにおける高周波数複素平面の実軸との切片から、カソードの面積で正規化された抵抗値としてオーミックASRを計算した。低周波数と高周波数の切片の間の差を、カソードの面積で正規化して、電極ASRを計算した。
【0046】
一体加圧法
2層電池を製造するのに用いた一つの方法は、GDCの微粉末を複合NiO−GDCアノード支持体上に一体加圧する工程を含んでいる。NiO(アルファ・エサール社製)、微粉GDC(ロディア社製)およびポリビニルブチラール(PVB、アルファ・エサール社製)バインダー(3重量%)を含む十分に混合された粉末を、11/8”の円筒状の型に入れ、14MPaまでの圧力で、一軸加圧してアノード支持体を製造した。約0.35gの解凝集したGDC粉末を型に添加し、注意深くかつ均一にアノード基板表面全体に広げ、42MPaまでの圧力で加圧した。続いて、得られたペレットを250MPaで等方加圧し、3℃/分で昇温し1450℃で4時間焼結し、および400℃・1時間のバインダー焼失工程により、比較的厚い電解質(〜50μm)を得た。
【0047】
焼結したGDC層の上面にESB層をスクリーン印刷した。スクリーン印刷用インクに用いたESB粉末は以下の固相法で製造した。酸化エルビウム(アルファ・エサール社製)と酸化ビスマス(アルファ・エサール社製)の粉末を化学量論量秤量し、24時間ボールミルし、800℃で10時間焼成してEr0.4Bi1.6を得た。1gまでの製造したESB粉末(エタノールで若干湿っている)を、α−テルピノール(アルファ・エサール社製)、ジ−n−ブチルフタレート(DBP、アルファ・エサール社製)および10重量%PVBのエタノール溶液を3:1:2で混合した溶液を用い、インクが蜂蜜様の粘稠度に達するまで乳鉢と乳棒で混合して製造した。得られたESBインクを焼結したGDC表面にスクリーン印刷し、890℃で4時間焼結した。2つの異なる複合材料を用いたカソードは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−δ(LSCF、プラクセアー社製)−GDCと、低ASRのBRO7−ESBを重量比1:1で製造した。BRO7粉末の合成と、BRO7−ESB複合カソードの最適化は、「Camaratta et al., J.Electrochem.Soc.155,B135-42(2008)」に記載されている方法を用いて行い、該文献は、出典明示により本明細書に組み入れられる。両方の材料のカソードインクは、ESB2層電解質スクリーン印刷用インクについての上記と同様の方法で製造した。インクを電解質の表面に刷毛塗りし、120℃で乾燥し、第2の層を被覆した。LSCF−GDCカソードを1100℃で1時間焼成し、BRO7−ESBカソードを800℃で2時間焼成した。白金集電体(ヘレウス社製)を、電池を形成するLSCF−GDCの両方の電極に刷毛塗りし、上記のインク合成法を用いて製造した純粋なBRO7集電体を、電池を形成するBRO7−ESBカソードの両方の電極に被覆した。リード線およびリードメッシュを電極に取り付け(アノード側には白金ペースト、カソード側には用いた上記と同じ集電体インクを用い)、試験装置とともにその場で焼成した。
【0048】
燃料電池試料を特製試験装置内のジルコニア管の中に、セラマボンドシーラント(アレムコ社製の517)を用いて取り付け、30sccmの乾燥空気と30sccmの湿潤水素を、それぞれSOFCのカソード側とアノード側に供給した。OCP測定と電流−電圧(I−V)測定を種々の温度でソーラトロン1287を用いて行った。広い電流範囲で直線状であったので、I−V曲線の全体の傾きからASR値を計算した。
【0049】
650℃における電流−電圧試験の結果を以下の表3および図14に示す。図14からわかるように、同じGDC電解質上では、BRO7−ESBがLSCF−GDC複合カソードよりも優れており、ESB/GDC2層電解質は、単層GDC電解質の特性よりも優れていた。
【0050】
【表3】

【0051】
コロイド法
比較として、GDCを吹き付け被覆したテープ成形アノードに、ESBのコロイド滴下被覆を行って、SOFCを製造した。65重量%のNiO(アルファ・エサール社製)と35重量%のGDC(ロディア社製)を適当量の溶媒と有機化合物とともにテープ成形してアノード支持体を製造した。アノードテープを900℃で2時間予備焼結し、GDC電解質を吹き付け被覆により堆積させた。
【0052】
ESB微粉末の収量を増加させるために、共沈法を用いた。純粋なセリウム−硝酸塩とエルビウム−硝酸塩を化学量論比となるように秤量し、70%硝酸に溶解した。過剰のアンモニア溶液(アクロス・オーガニック社製、28−30%アンモニア水溶液)を、溶液を攪拌しながらpH値が12になり黄褐色の沈殿が生成するまで添加した。その沈殿を濾別し、80℃で12時間乾燥し、乳鉢と乳棒を用いて微粉末に粉砕した。その粉末を900℃で10時間、空気中で焼成した。
【0053】
ESB粉末のコロイド状スラリーを、焼結したGDC電解質の表面に滴下被覆する前に、ソルスパース(エアプロダクツアンドケミカルズ社製)、PVBおよびDBPを含むエタノールを用いて24時間ボールミルを行った。所望の厚さになるまで、滴下被覆を繰り返した。ESB層を400℃・1時間のバインダー焼失工程の後、3℃/分で昇温し890℃で4時間焼結した。上述のBRO7−ESB複合カソードをESB表面に付着させた。LSCF−GDC複合カソードを、基礎としてGDC単層を有するテープ成形電池に付着させた。上記の異なる2つの試料について、ソーラトロン1287を用い、30sccmの乾燥空気と30sccmの湿潤水素をそれぞれカソード側とアノード側に供給しながら、同じ方法でI−V測定を行った。2層試料については、90sccmの湿潤水素を流し、30sccm空気を保持した状態でのI−Vに対する流量の影響を検討した。多くの電流領域で非直線的であったため、I−V曲線の最初の傾きからASR値を計算した。
【0054】
一体加圧に関し、テープ成形アノード基板上へのGDCの吹き付け被覆により試料の全ての厚さが2〜3mmから最大400μmまで減少し、GDC電解質の厚さが10〜20μmに制御された。以下の表4に示すように、厚さの減少は、ASRの顕著な減少と出力密度の増加をもたらした。図15に示すように、650℃では、単層SOFCは出力密度が407mW/cmで、低いOCPを示した。ESB/GDC2層のOCPは0.75Vであり、それは単層電解質よりも高い値であった。2層電解質の最大出力密度は614mW/cmで、単層より51%増加した。その増加は、高いOCPだけでなく、低いASRにもよるものである。2層SOFCのGDC電解質(〜20μm)は、単層GDC SOFCよりも10μm厚いが、I−V曲線は2層電池が低いASRを示し、その結果優れた特性を有することを示している。図15に示すように、水素の流量を90sccm(空気は30sccmに保持する)に増加させると、最大出力密度は808mW/cmへと増加し、ASRは0.133Ωcmへと減少した。表4は、共沈法によるESBのコロイド状堆積の結果を示している。2層はOCPが0.07V増加し、ASRが33%減少し、それにより最大出力密度は51%向上した。
【0055】
【表4】

【0056】
PLD
アノード支持体を、上述のようにテープ成形で製造した。AFLを、GDC電解質とNi−GDCアノードの間に堆積させた。AFLは、予備焼結したアノード上にGDC前駆体を吹き付け、900℃で1時間熱処理することにより製造した。PLDによる堆積に用いるため、ESB粉末を一軸加圧し、890℃で4時間焼結してターゲットを製造した。ESB粉末は、上述の固相法で製造した。PLDは、KrFエキシマ(λ=248nm)レーザーを用い、繰り返し率5Hzで行った。ターゲットと基板の距離は5cmで、0.3Torrの酸素雰囲気で行った。ターゲットでの推定レーザーフルーエンス(laser fluence)は約3J/cmであった。基板(NiO−GDCアノード上のGDC表面)は室温に維持した。堆積は45分間行った。純粋なESB相を得るために、700℃と890℃で4時間アニールし、得られた膜をX線回折(XRD)により画像化した。熱処理したESB層の結晶性を、熱処理しなかったESB層と比較した。
【0057】
90sccmの乾燥空気と90sccmの湿潤水素をそれぞれカソード側とアノード側に供給しながら、上述の方法でI−V特性を測定した。全電池ASRを、I−V曲線の最初の傾きから推定し、ASRIVとした。2端子インピーダンス解析を、開回路状態で、パー・スタット2773(プリンストン・アプライド・リサーチ社製)を用い、周波数範囲10KHz〜0.01Hzで行った。インピーダンススペクトルは全ASR(ASRインピーダンス)を計算するのに用いた。インピーダンススペクトルにおける高周波数複素平面の実軸との切片から、カソードの面積で正規化された抵抗値としてオーミックASRを計算した。低周波数と高周波数の切片の間の差を、カソードの面積で正規化して、電極ASRを計算した。
【0058】
基板(Ni−GDCアノード上にGDC電極およびAFL)を600℃に加熱した状態でPLDによる堆積を行った場合に、ESB層の品質の向上が認められた。ターゲットESBペレットと基板は、冷たい基板を用いたPLDに使用したものと同じである。KrFエキシマ(λ=248nm)レーザーを、繰り返し率10Hz、ターゲットと基板の間の距離4cm、0.1Torr酸素雰囲気で用いた。ターゲットでの推定レーザーフルーエンスは約5J/cmであった。堆積後に熱処理は行わなかった。堆積させたままのESB層の結晶性を調べるために、XRDを用いた。I−V特性は、ソーラトロン1287を用い行い、インピーダンス解析はパー・スタットを用いて行い、空気と水素は90sccmとした。2つの異なる方法で求めた全電池ASRを区別するため、ASRIVとASRインピーダンスを用いた。
【0059】
一般に、PLDは超薄膜、高品質膜、配向膜を堆積させるために使用されるが、2層電解質の製造のため、PLDパラメータを高速堆積用に設定してミクロンレベルの厚さが1時間の堆積時間で得られるようにして、多孔質で粗い層を得た。図16aは、冷たいGDC層上に堆積させたままのESB層を示し、堆積した状態では高密度でも均一でもない。図16bに示すように熱処理しても多孔質で粗いESB層であり、そのESB層の低品質を向上させることはできなかった。しかし、電解質の表面は完全にピンホールのないESBで覆われ、そのESB層を通して下のGDC電解質が観察できる。しかし、図16cの断面写真から示唆されるように、そのESB層は十分に高密度でないため、GDC層からの電子電流を阻止することはできない。
【0060】
図16dは、PLDの間、基板(アノード上にGDC電解質)を630℃に加熱することにより、ESB膜の品質が実質的に向上したことを示している。ESB膜の厚さは、ESBのGDC(GDC電解質、10μmまで)に対する厚さの比が0.4になるように4μmまでであった。熱い基板上でPLDを行うことのさらなる利点は、ESBを堆積させた後の加熱が不要であることである。
【0061】
図5aは、650℃におけるGDC単層電解質とESB/GDC2層電解質のI−V特性を示しており、PLDを冷たい基板と熱い基板で行ったものである。2層電解質とBRO7−ESBカソードは、最大出力密度が1.03から1.95W/cm(93%の増加)へと増加した。I−V曲線の傾きは、2層電解質のASRが0.075Ωcmになったこと、すなわち、単層の試料に比べ40%減少したことを示している。OCPの0.72から0.77Vへの増加も出力密度の顕著な向上に寄与している。ホットPLDの試料のOCPの0.77Vは、コールドPLDの試料の0.71Vよりも高い。このことは、OCPの増加が、層の密度と厚さに相関し、熱い基板上へのPLDによる堆積が高密度のESB層を与えることを示している。
【0062】
図5bは、インピーダンススペクトル法で測定したASRに対する2層電解質の影響を示しており、その値は表1に記載されている。また、全ASRインピーダンスは、ASRIVと5%の範囲内でよく一致している。表1は、全ASRインピーダンスの減少は、48%がASRの減少によるもの、26%がオーミックASRの減少によるものであることを示している。コールドPLDの試料でそうであったように、ホットPLDの試料も単層に比べオーミックASRは低い値であった。GDC層の厚さは、冷たい基板および熱い基板のいずれの場合も10μmまでであった。しかしながら、冷たい基板上で製造した試料の方が、熱い基板上で製造した試料よりもオーミックASRの減少が顕著であった。ホットPLDではESB層が非常に厚く(図16cおよび16d)、そのため厚さに比例して電解質抵抗がより大きくなるという事実からすると、これは非常に起こり得ることである。冷たい基板上でのPLDが、部分的に(at point)非常に薄くかつ多孔質であるESB層を生成させたように見えるが、コールドPLDで製造したESB層の粗い性状により、厚さを特定することは難しい。多少ASRは大きくなるが、加熱したGDC基板上に堆積させたより厚いESBは、電極ASRが減少し、電池OCPが増加するので、大きな出力密度を示す。
【0063】
本明細書で参照または引用された、上記または下記の、すべての特許、特許出願、仮出願および文献は、本明細書中の明確な教示に矛盾しない範囲で、すべての図面および表を含むすべての内容が、出典明示によりすべて本明細書に組み入れられる。
【0064】
本明細書に記載された実施例および実施形態は、例示のみを目的とするものであること、並びにそれに基づく種々の変形および変更は、当業者への教示となりかつ本願の精神および範囲の中に含まれるべきものであることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造体を含む固体酸化物燃料電池(SOFC)であって、
多孔質の金属−セラミックアノード、
アノード機能層(AFL)、
酸化セリウムを含む層と酸化ビスマスを含む層とを含む2層電解質、および
多孔質のセラミックカソードを含み、
該SOFCが、700℃より低い温度で作動し、650℃における出力密度が少なくとも1Wcmである固体酸化物燃料電池。
【請求項2】
上記の酸化セリウムを含む層が、CeSm1−x2−δ(SDC)、CeGd1−x2−δ(GDC)またはSmNdCe1−x−y2−δである請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項3】
上記の酸化ビスマスを含む層が、Bi2−xEr(ESB)、Bi2−xDw(DSB)、Bi2−x(YSB)またはBi2−(x+y)Dy(DWASB)である請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項4】
上記2層電解質の厚さが100μm以下である請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項5】
上記2層電解質の酸化ビスマスを含む層の厚さが20μm以下である請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項6】
上記の多孔質のセラミックカソードが、BiRu(BRO7)、
BRO7−(Er0.2(Bi0.8(ESB)混合物、
BRO−(Dw0.2(Bi0.8(DSB)混合物、
BRO−(Y0.2(Bi0.8(YSB)混合物または
BRO−Bi2−(x+y)Dy(DWSB)混合物である請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項7】
さらにカソード機能層(CFL)を含む請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項8】
上記CFLが、酸化ビスマスを含む化合物を含有し、該酸化ビスマスを含む化合物が、上記2層電解質および複合カソードの酸化ビスマスを含む層と同じ化学組成である請求項7記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項9】
上記の酸化ビスマスを含む層が、上記の酸化セリウムを含む層の厚さの少なくとも1%である請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項10】
上記の酸化ビスマスを含む層は、上記の酸化セリウムを含む層の厚さの少なくとも10%である請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項11】
上記の金属−セラミックアノードが、酸化型または還元型のセリウムを含む電解質と、NiOまたはCuOとの混合物を含む請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項12】
上記のセリウムを含む電解質が、CeSm1−x2−δ(SDC)、
CeGd1−x2−δ(GDC)またはSmNd1−x−y2−δである請求項11記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項13】
上記AFLが、酸化セリウムを含む化合物を含み、該酸化セリウムを含む化合物が、上記金属−セラミックアノードおよび/または2層電解質の酸化セリウムを含む化合物と類似する組成を有し、
該AFLの酸化セリウムを含む化合物の粒径が、アノードの酸化セリウムを含む化合物の粒径よりも小さい請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項14】
上記の酸化セリウムを含む化合物が、酸化セリウムと酸化金属を含む化合物を含み、該化合物が、上記金属−セラミックアノードと類似する組成を有する請求項13記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項15】
上記アノードが、大きさが1μmよりも大きい複数の粒子を含み、上記AFLが大きさが1μmよりも小さい複数の粒子を含む請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項16】
さらに、金属または金属合金の相互配線を含む請求項1記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項17】
上記金属合金はステンレス鋼を含む請求項16記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項18】
請求項1記載の固体酸化物燃料電池の製造方法であって、
多孔質の金属−セラミックアノードを用意し、
該金属−セラミックアノード上にAFLを形成し、
該AFL上に酸化セリウムを含む層を堆積させ、
該酸化セリウムを含む層上に酸化ビスマスを含む層を堆積させて2層電解質を形成し、および
多孔質のセラミックカソードを堆積させる、固体酸化物燃料電池の製造方法。
【請求項19】
上記のAFLの試料を形成する工程が、上記金属−セラミックアノードの表面にGDCまたはNi−GDC前駆体溶液を沈着させること、および該前駆体で被覆された金属−セラミックアノードを熱処理することを含む請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
上記の酸化ビスマスを含む層を堆積させる工程が、パルスレーザー蒸着(PLD)を含む請求項18記載の製造方法。
【請求項21】
上記の酸化セリウムを含む層を堆積させる工程が、パルスレーザー蒸着(PLD)を含む請求項18記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−506127(P2012−506127A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532207(P2011−532207)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060643
【国際公開番号】WO2010/045329
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(507371168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (38)
【Fターム(参考)】