説明

低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法及び連続熱間圧延設備

【課題】低炭素鋼を連続に熱間圧延するにあたって、熱間圧延材等の接合条件を制御して仕上圧延段階で板破断が発生することなく、通板可能な連続熱間圧延材の剪断接合方法を提供する。
【解決手段】Cを0.30質量(wt)%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼金属バーなどを、熱間圧延設備列の中で後行する金属バーの先端と先行する金属バーの後端を重ねて接合する接合機を利用して剪断接合し、接合された金属バーの接合面が前記金属バーの厚さ方向から傾斜して形成されるように金属バーを互いに接合するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延工程で熱間圧延材を互いに接合して連続的に熱間圧延する連続熱間圧延材の剪断接合方法及び連続熱間圧延設に関し、より詳しくは、低炭素鋼を連続に熱間圧延するにあたって、熱間圧延材等の接合条件を制御して仕上圧延段階で板破断が発生することなく、通板可能な連続熱間圧延材の剪断接合方法及びそのための連続熱間圧延設備に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板材を熱間圧延で生産する技術分野において、仕上圧延を連続化することにより生産性と品質の向上、そして製品の製造可能サイズの拡大に対する要求が強く起こっている。
このような連続熱間圧延分野において重要な点は、先行する熱間圧延板材(以下、「金属バー」という)の後端と後行する金属バーを互いに接合する金属バーの接合技術にある。
【0003】
熱間圧延工程において金属バーの接合は、粗圧延機と仕上圧延機との間で行われており、このように粗圧延機以降の工程で金属バーを接合させるようになれば、仕上圧延工程で圧延される金属バーを連続的に圧延することができるようになる。
【0004】
従って、仕上圧延を連続的に行うためには走行中の金属バーと金属バーとを高速に接合する必要があり、このような接合のために多様な技術が提案されている。
今まで知られている接合技術としては、溶融接合法と固相接合法とに大別される。
【0005】
溶融接合法によって金属バーを互いに接合する場合、溶融された接合部の温度が隣接部分の温度より高いため、溶融接合部の軟化現象が発生して接合部の接合強度が母材部に比べて劣るという短所がある。
【0006】
そして、固相接合法で知られている技術としては、特許文献1に開示された金属板の接合方法がある。
この特許文献1の発明は、先行金属バーの後端部と後行金属バーの先端部を上下に重ね合わせて、重ねられた二つの金属バーを同時に剪断することで剪断過程にて生成される二つの金属バーの剪断面を直接接触させて接合する技術である。
【0007】
このような特許文献1の発明は、剪断によって接合が行われるので、簡単でありながら短時間に接合できて、必要空間も小さい上に仕上圧延時の温度低下が少ないなど、連続熱間圧延設備として多くの長所を有している。
【0008】
しかし、このような特許文献1の発明は、接合された接合部の形状が不均一で接合された表面に表面スケールが混入して接合部の接合強度を顕著に低下させてしまうという短所がある。
【0009】
また、特許文献1の発明を適用して金属バーを接合する場合、接合部断面の上下部と幅方向の両端部に未接合部が発生して接合力の弱い部位が存在してしまうなどの問題点があると共に、接合面にも表面スケールが混入して接合強度を低下させてしまうという問題点がある。
【0010】
一方、低炭素鋼はCを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる鋼であって、汎用的に使用されている。また、低炭素鋼は低炭素鋼の基本組成に強度や耐食性などのような多様な特性を確保するためにCr、Cu、Ni、Mo、Alなどの元素またはV、Nb、B、Tiなどのような特殊元素を各々1.0質量%以下添加して製造することもある。
【0011】
低炭素鋼は船舶、建築、橋梁など各種構造物や圧力容器等の多様な分野で広く使用される最も汎用的な鋼種である。
このような低炭素鋼に接合技術を適用して連続熱間圧延を行う場合、生産性増加及び薄物化ができる等多くの長所がある。
【0012】
しかし、このような汎用的な低炭素鋼を連続熱間圧延工程で接合する場合、その接合条件について詳細に知られていない。
【0013】
【特許文献1】特開平9-174117号公報
【特許文献2】特開2005-46861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は前述のような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、低炭素鋼に対して連続熱間圧延を適用することができる剪断接合方法及び連続熱間圧延設備を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、低炭素鋼の金属バーを接合する時、仕上圧延工程で金属バーの接合部が仕上圧延の荷重を十分に負担することができて、仕上圧延スタンド間の引張張力に耐えることができる引張特性を確保する剪断接合方法及び連続熱間圧延設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明に係る低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法は、Cを0.30質量(wt)%以下、Mnを1.8%質量以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼金属バー、またはCを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下にCr、Cu、Ni、MoまたはAlのいずれか一つ以上の元素が1.0質量%以下含まれていて、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼金属バーを、熱間圧延設備列の中で後行する金属バーの先端と先行する金属バーの後端を重ねて接合する接合機を利用して剪断接合し、接合された金属バーの接合面が前記金属バーの厚さ方向から傾斜して形成されるように金属バーを互いに接合するようにしたことを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法は、前記金属バーの接合予定部を、60MPa以下の圧力でデスケーリングすることを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法は、前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃とが重なり合う距離であるラップの範囲を2mm以上19mm以下にして剪断接合することを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法は、前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃とが移動した距離の合計を金属バーの厚さで割ったストローク率を1.33以上1.60以下にして剪断接合することを特徴とする。
【0020】
そして、上記の目的を達成するための本発明に係る低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法は、前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃双方が同時に上下移動しながら剪断接合するか、 上部刃と下部刃のいずれか一方だけが移動しながら剪断接合することを特徴とする。
【0021】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る連続熱間圧延設備は、Cを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼スラブ、または、Cを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下にCr、Cu、Ni、MoまたはAlのいずれか一つ以上の元素が1.0質量%以下含まれていて、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼スラブを粗圧延する粗圧延機と、前記粗圧延された金属バーをコイル状に巻き取るコイルボックスと、前記コイルボックスのコイラーから巻き出される金属バーの接合予定部をデスケーリングするデスケーリング装置と、前記デスケーリングされた金属バーを先行金属バーの後端と後行金属バーの先端を重ね合わせて重ね合わせ部を挟んだ状態でその両側から圧入して剪断しながら剪断接合する一対の剪断刃が備えられている剪断接合装置と、前記剪断接合された金属バーを仕上圧延する仕上圧延機とを有し、低炭素鋼金属バーを連続熱間圧延するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明による低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法は、今まで適用されなかった低炭素鋼の熱間圧延材を剪断接合によって接合可能にして連続熱間圧延を可能にするという技術的効果がある。
【0023】
また、本発明によって低炭素鋼の金属バーを接合する場合、仕上圧延工程で金属バーの接合部が仕上圧延の荷重を十分に負担することができる上、仕上圧延スタンド間の引張張力に耐えることができる引張特性を確保する剪断接合条件を提供するという技術的効果がある。
【0024】
さらに、本発明は、低炭素鋼を連続熱間圧延する場合、金属バーを互いに接合しても後続する仕上圧延工程で板破断なしで圧延を連続的に行うことができる工程変数を提供するという技術的効果がある。
【0025】
以上のように、本発明の工程条件範囲を適用すれば、低炭素鋼であっても金属バーの接合部は仕上圧延による強い圧縮荷重及びスタンド間にかかる引張荷重にも十分に耐性のある性能を有しており、仕上圧延で板破断、つまり接合部破断が発生することなく連続熱間圧延が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
本発明における低炭素鋼とは、Cを0.30質量(wt)%(%は、特記しない限り質量%を意味する)以下、Mnを1.8%以下、Siを0.55%以下、Pを0.50%以下、Sを0.50%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる炭素鋼、またはCを0.30%以下、Mnを1.8%以下、Siを0.55%以下、Pを0.50%以下、Sを0.50%以下にCr、Cu、Ni、MoまたはAlのいずれか一つ以上の元素が1.0%以下含まれていて、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる炭素鋼を意味する。
【0028】
また、本発明における剪断接合とは、重ねられた金属バーの接合部に対向する剪断刃が位置し、剪断刃で剪断する過程において接合部の剪断面が互いに押し合う圧力によって発生した塑性流動変形によって金属バーが互いに接合され、この時の接合部の接合面は、金属バーの厚さ方向から傾斜するように形成されることを意味する。
【0029】
まず、本発明に係る低炭素鋼を剪断接合して連続熱間圧延を行うための熱間圧延設備、及びこの設備を利用して低炭素鋼を剪断接合する方法を図1〜図4を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備の基本構成を示す構成図である。
【0031】
図1を参照すれば、本発明に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備は、大別して上流側から粗圧延機10、コイルボックス20、接合装置30、複数の圧延機からなる仕上圧延機40、及びダウンコイラー50で構成される。
【0032】
低炭素鋼スラブを前記粗圧延機10で圧延して製造された低炭素鋼金属バーは、コイルボックス20のコイラーにコイル状に巻き取られる。このようなコイルボックス20は粗圧延機10と仕上圧延機40で走行する金属バーの速度差を調整する。
【0033】
コイルボックス20のコイラーから巻き出される後行金属バー60は、その先端が入口側クロップシャー70によって切断された後、接合しようとする金属バーの接合予定部の表面を部分デスケーリング装置81でデスケーリングして接合装置30の重ね装置80で先行金属バー90の後端に重ねられる。この時、必要に応じて先行金属バーの端部は入口側クロップシャー70によって切断できる。
【0034】
後行金属バー60の先端と先行金属バー90の後端が接合装置30の接合機100で接合され、接合部のクロップがクロップ処理装置120で切断される。接合装置30で接合されて連続状態になった金属バー110は、仕上圧延機40に移送される。
【0035】
ここで、接合装置30は、先行金属バー90の後端と後行金属バー60の先端を走行中の状態で接合する設備であって、短時間で剪断接合が可能な短時間接合装置である。
【0036】
そして、走行中の状態で金属バーを剪断接合するために、接合機30は金属バーの走行に追従して移動できるようになっており、接合機30が金属バーの走行に追従して揺れ動く設備を追加的に設置することができる。
【0037】
例えば、接合装置30の接合機100には、後述するように、先行金属バー90の後端と後行金属バー60の先端が重ねられた重ね合わせ部を挟んだ状態で、その両側から圧入して剪断しながら剪断接合する一対の剪断刃が備えられている。
【0038】
そして、仕上圧延機40に移送された金属バー110は、複数の圧延機を通じて順次に熱間圧延されて所望の厚さに製造され、その後ダウンコイラー50に巻き取られる。
【0039】
ここで、図1において、符号130及び140は、コイルボックス20と接合装置30の各出口側に設置されたレベラーを示し、符号150は仕上圧延機40の入口側に設置されたクロップシャーを示し、符号160は前記レベラー140とクロップシャー150との間に配置されたエッジヒーターを示し、符号170はエッジヒーター160の前方に配置されたバーヒーターを示す。
【0040】
このようなレベラー130、140、クロップシャー150、エッジヒーター160、及びバーヒーター170は、熱間圧延される素材及び熱間圧延条件によって選択的に配置可能であり、図1ではこれら設備の設置位置や設置有無等は一例として示したものであって、多様に変更できる。
【0041】
そして、先行金属バー90の後端及び後行金属バー60の先端を切断するクロップシャー70は、金属バーを突合わせて接合する場合には必要であるが、金属バーを重ね合わせて剪断する過程で剪断接合する場合には、必要でないときは省略してもよい。
【0042】
次に、図2及び図3を参照して本発明による接合機100及び剪断接合過程の低炭素鋼金属バーを詳細に説明する。
図2を参照すれば、本発明による接合機100は上部刃集合体180と下部刃集合体190、そしてこれらを移動可能に支持するハウジング101からなる。
【0043】
ここで、上部刃集合体180は上部刃181と上部クランプ182、及び上部支持装置183からなり、これらは全て一体に構成されている。下部刃集合体190は下部刃191と下部クランプ192、及び下部支持装置193からなり、これらは全て一体に構成されている。
【0044】
そして、上部刃集合体180と下部刃集合体190は、ハウジング101のポスト部(図示せず)によって案内され、先行金属バー90及び後行金属バー60の厚さ方向(圧延面に垂直な方向)から金属バー進行方向に傾斜した方向に移動できるように支持される。また、上部刃集合体180及び下部刃集合体190はリンク機構(図示せず)によって接近及び離反できるように構成されている。なお、前記傾斜方向は、図2示される実施例が金属バー進行方向に沿った断面であるとした場合であって、他の方向に傾いてもよい。
【0045】
このような本発明による接合機100内部に低炭素鋼の先行金属バー90の後端上に後行金属バー60の先端が重ねられた状態で案内される。
【0046】
これにより、低炭素鋼の先行金属バー90の後端91上に後行金属バー60の先端61が重ねられるようになり、先端61と後端91が重ねられた部分は、上部刃の突起184と下部刃の突起194との間に挟まれるようになる。つまり、上部刃の突起184と下部刃の突起194が先端61及び後端91の表面に接触するようになる。
【0047】
そして、先行金属バー90の後端91と後行金属バー60の先端61が重ねられた部位には、上部クランプ182と下部クランプ192が接触する。上部クランプ182は上部支持装置183によって油圧力で支持されており、下部クランプ192は下部支持装置193によって油圧力で支持されている。
【0048】
このような状態で上部刃181と下部刃191が先行金属バー90及び後行金属バー60を剪断すれば、先行金属バー90と後行金属バー60の各剪断面が塑性流動変形によって互いに剪断接合されて一体に連結された金属バー110になる。
【0049】
このように低炭素鋼の端部の剪断接合が完了すれば、連結された金属バーの接合部位には、後行金属バー60の先端61から切り離された上部クロップが位置し、同様に、先行金属バー90の後端91から切り離された下部クロップが位置する。そして、金属バーが互いに接合完了すれば、上部刃181と下部刃191は一定距離だけ隔離する様に後退する。
【0050】
金属バーの剪断接合によって切断された上部クロップと下部クロップは、図1に示すクロップ処理装置120によって除去され、連結された金属バー110は仕上圧延機40に連続して移送される。
【0051】
金属バーの接合部が仕上圧延機40を通過する時は、仕上圧延時の強い圧縮応力、屈曲、及び仕上圧延機の各スタンド間で屈曲または引張りなどの外力が作用するために、前記接合部は苛酷な工程条件下に置かれるようになる。
このとき、低炭素鋼金属バーの接合部は、破断せずに仕上圧延機40を通過できる程度の接合強度を維持する必要がある。
【0052】
以下、連続熱間圧延で低炭素鋼金属バーを剪断接合する場合、接合部の接合強度を制御するための接合工程の工程変数について詳細に説明する。
【0053】
まず、図4を参照して、二つの金属バーを固相接合する工程を金属熱力学的に説明する。
固相接合は二つの自由表面(free surface)が一つの界面(interface)になる工程であるといえる。この場合、熱力学的に固相接合工程における自由エネルギーγの変化を計算すると、数式1に示すようになる。
【0054】
【数1】

【0055】
数式1において界面エネルギーは自由表面エネルギーの30%以下の値を有するので、自由エネルギーの変化は-1.7γfree surfaceで示すことができる。そして、γfree surfaceは正の値を有するので、全体エネルギーの変化は負の値を有する。これは自発反応、つまり外力が全く無くても二つの表面は自ずから接合されるということを意味する。
【0056】
しかし、実際には二つの表面が大気中で外力なく自然に接合されることはない。それは板材表面の凹凸とスケールが二つの表面の接合を妨害するためである。
【0057】
二つの金属バーが互いに接合されるためには、接合される金属バーの表面にある原子間に引力が作用しなければならない。原子間引力が作用するためには原子間距離がÅクラスでなければならない。
【0058】
しかし、金属バーの表面は機械加工をしても凹凸が存在するため、二つの金属バーの表面の原子間距離はÅクラスよりはるかに遠い。この点を考慮して通常の固相接合では強い圧力(圧縮力)を印加し、常温では非常に大きい力が必要となるため金属バーを高温に加熱する。
【0059】
しかし、このように強い圧力を印加しても金属バーの表面に存在したり金属バーを加熱する場合に金属バーの表面に生成されるスケールが接合力を低下させてしまう。従って、低炭素鋼の連続熱間圧延時に十分な接合部の接合強度を確保するには、必ずスケールを低減させなければならない。
【0060】
二つの金属バーを接合する従来の固相接合法で極めて例外的にスケールの混入を抑制する接合が可能であることもある。しかし、この場合にも1,000℃程度の高温で熱間圧延が行なわれるため、二つの金属バーが重ねられる予定面で高温酸化によるスケールが自然に発生し、これを除去するためにデスケーリングをしても瞬時に表面にスケールが生成される。
【0061】
また、高温では素材の軟性が非常に高いので、重ねられる予定面に存在するスケールが接合部に混入されるようになる。このようなスケールの混入は接合強度を低下させる原因として作用する。
【0062】
以下、図5を参照して、このように熱間で二つの金属バーを接合する場合、接合部の接合率と接合強度比を説明する。
【0063】
図5において実線(直線)は接合部内にスケールが混入されなくて理論的にスケール間の接合力が全くない場合を仮定した時の接合率と接合強度との関係を示すものである。このように理論的には接合率と接合強度は線状の関係として示されるので、接合率が増加すれば接合強度比も増加しなければならない。ここで、接合率とは接合部のうちのスケールがなくて完全に接合された長さを接合部全体長さで割った百分率で示したものである。これは接合部内にスケールの混入が多くなるほど接合率は低くなり、従って、接合強度比も低くなるということを示すものである。
【0064】
しかし、実際の熱間圧延工程では高温の温度条件のため、スケールが必ず発生し、スケール間にも弱い接合力が存在するので、実線(直線)よりは多少高い接合強度比、つまり点線のような関係を示すようになる。
【0065】
次に、連続熱間圧延で低炭素鋼金属バーを剪断接合する場合、接合部の接合強度を制御するための接合条件について説明する。
【0066】
図6を参照して本発明による接合機100の剪断接合過程を説明する。
【0067】
図6(a)のように、二つの金属バーを剪断接合によって接合させる力は、上部刃121と下部刃131が押す圧縮荷重のうちの接合部に垂直な方向の力である。また、剪断によって発生する二つの新生面同士の摩擦が接合性を向上させる。
このような力によって図6(b)に示すように対向する圧力が作用して接合が発生する。
【0068】
この時、この力は接合機100と工程条件の関数であって、これが不足すれば接合部が十分な接合強度を有することができない。一方、上部刃と下部刃に存在する突起184、194は、金属バーの剪断時に金属の流動を防止する役割を果たして接合力を堅固にする。
【0069】
また、図7のように金属バーの幅方向において、中央部は周囲の拘束で全く問題がないが、両端部は全く拘束がない自由表面状態になる。
【0070】
このように金属バーの接合時に自由表面状態である両端部は、図7のように外側方向に隙間ができるために対向する方向の力が傾くようになる。
その結果、金属バーの両端部は接合強度が落ちてしまい、図7の右側に示すように、接合時にこの部分には部分酸化も起こる。これが後続する仕上圧延時に亀裂発生原因になって、亀裂が大きくなれば連続鋼板の連続部破断が発生する。
【0071】
また、接合部の形状も接合強度に影響を与える。剪断接合を適用する場合には接合方法の特性上接合部断面の上下部に未接合部が存在し、この未接合部の位置及び大きさによって接合強度が変わる。
【0072】
以上のような説明を考慮して接合部の性能に影響を与える各種制御因子を整理すれば図8に示すようになる。
【0073】
図8に示すように、金属バー接合部の性能には素材特性、工程変数、及び接合装置全てが接合部の接合強度に影響を与えることが分かる。
【0074】
しかし、ここで素材特性と接合装置は制御が困難であるので、実際に金属バーを接合する場合には工程変数を調節することが接合条件を制御するのに容易であって、その効果が確かである。
【0075】
このような工程変数としてはデスケーリング条件と接合条件がある。
デスケーリング条件としてはデスケーリング時の温度及び圧力を制御してスケールの混入を抑制することができる。接合条件としては金属バー接合時の温度、ラップ、及びストローク率を制御して接合部の接合力と形状を調節することができる。
【0076】
以上のような5つの工程変数を適切に調節することによって接合強度を低下させる要因であるスケールの混入と接合力不足、及び接合部の形状を制御することができる。また、このような工程変数を制御することによって金属バー接合部の強度低下を抑制することができる。
【0077】
ここで、工程変数の接合条件であるストローク率及びラップの定義について図9を参照して説明する。
ストローク率とは接合機100の上部刃181と下部刃191とが重なり合う金属バーに接触してから上下に動いた距離の合計(ΔlU+ΔlL)を金属バーの厚さ(t)で割った値である。
【0078】
従って、ストローク率=((ΔlU+ΔlL)/t)が大きくなれば接合部の相対的厚さは減少する。
【0079】
そして、ラップとは上部刃181と下部刃191とが重なり合う距離である。しかし、剪断刃(上部刃と下部刃)が所定の角を有しており、剪断刃が剪断した後にはストローク率によって設定値と少しの差が生じることもある。従って、実際に金属バーを剪断接合する場合には実際測定が不可能であるので、接合機の設定値で制御することが好ましい。
【0080】
以上説明した本発明による熱間圧延設備及びこれを利用した接合方法は、剪断接合をするので、低炭素鋼に適用することが可能である。
【0081】
さらに、本発明による接合方法は固相接合であるので、熱間圧延設備ライン上で別途の熱源を供給しなくても熱間状態に加熱されている金属バー自体の温度範囲内で剪断接合を行うことができる。従って、予熱及び後熱が不必要であり、別途の熱源導入をすることなしに金属バー接合部の亀裂を防止することができる。
【0082】
また、従来の溶接接合方法とは異なって剪断力だけを利用するので、低炭素鋼の接合工程時にスケールの混入問題及び気孔混入問題を根本的に防止できる技術的効果がある。
【0083】
従って、本発明による剪断接合方法は連続熱間圧延工程で低炭素鋼の接合に非常に有用な方法であり、工程変数だけを適切に制御すれば接合部の仕上圧延通板性を確保することができる。
【0084】
以下、このような点を考慮して低炭素鋼の剪断接合時の工程変数及び工程条件について評価を通じて検討する。
【0085】
[評価]
下記表1の組成を有する低炭素鋼の金属バーを用いて図1〜図3に示す連続熱間圧延設備で金属バーの剪断接合時の工程変数を変化させて実験した。
【0086】
【表1】

【0087】
以下、図10〜図16に示す実験グラフは、表1に示す鋼種類の全種平均実験値を示すものである。低炭素鋼の場合、表1に示す各鋼種による組成を有していれば、接合強度比(後述)等の特性が類似したパターンを示すことが実験結果として現れた。
【0088】
図10は、本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるデスケーリング温度と接合強度比及び亀裂率の関係(接合強度比と金属バーエッジの亀裂率に対するデスケーリング温度の影響)を示すグラフである。
ここで、接合強度比とは下記数式2のようである。
【0089】
【数2】

【0090】
そして、エッジ亀裂率は下記数式3のようである。
【0091】
【数3】

【0092】
図10のように、低炭素鋼の場合、金属バーを剪断接合すれば、接合強度比とエッジ亀裂率に対するデスケーリング温度変数の影響が大きくないことが分かる。
【0093】
そして、仕上圧延時、接合強度比が低ければ第1または第2パスで板破断が発生し、エッジ亀裂率が高まれば後段部で板破断が発生する傾向がある。
【0094】
図11は、本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるデスケーリング圧力と接合強度比及び亀裂率の関係(接合強度比と金属バーエッジの亀裂率に対するデスケーリング圧力の影響)を示すグラフである。
図11に示すように、接合された金属バーを仕上圧延機で仕上圧延して通板性を試験した結果、接合強度比は52%以上であれば、金属バーの接合部破断なしで仕上圧延が可能であることが分かる。そして、エッジ亀裂率の場合、30%までは通板が可能であった。
【0095】
低炭素鋼の場合、デスケーリング圧力が0MPaである場合にも仕上圧延工程で通板可能な接合強度と低いエッジ亀裂率が得られるので、デスケーリングを省略してもよい。
【0096】
また、図11に示すように、デスケーリング圧力は、増加するほど接合部へのスケールの混入が減少するので、接合部の接合強度が増加して幅方向の両端部の未接合部の面積が減少し、エッジ亀裂率も減少する。
【0097】
しかし、デスケーリング圧力が高過ぎれば、水噴射量が多くなって接合部の温度が大幅に低下し、後続工程である仕上圧延で必要な温度を確保しにくくなる。
【0098】
また、過度なデスケーリング圧力によって高温強度の弱い金属バーの母材が著しく損傷して接合部の表面に多くの凹凸が発生し、接合性を低下させる。
【0099】
以上のような実験をした結果、低炭素鋼を接合機で剪断接合する場合、接合機100直前のデスケーリング装置81でのデスケーリング圧力は60MPa以下に制御するのが好ましいということを分かる。
【0100】
図12は、本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機による接合温度と接合強度比の関係(低炭素鋼を剪断接合した時の接合温度に対応する接合強度比)を示すグラフである。
この図12に示すように、低炭素鋼を剪断接合した時の接合温度は、接合強度比に殆ど影響を与えないことが分かる。また、図示してないが、エッジ亀裂率にも影響を与えないことが分かる。
【0101】
図13は、本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるラップと接合強度比の関係(低炭素鋼を剪断接合した時のラップの変化による接合強度比)を示すグラフである。
図13に示すように、ラップと接合強度比はガウス分布、つまり放物線の関係を示していることが分かる。
【0102】
これはラップが増加、つまり、上部刃181と下部刃191が金属バー60、90の上面または下面に接した時の重なり長さが広がれば接合強度比が増加して2mm以上では通板基準(後述)を満たし始め、19mm以上では再び減少し始めて21mmを越えれば通板基準を満たせなかった。なお、前記重なり長さは、接合機100の傾斜角によって決定される。
【0103】
このようにラップの範囲が2mm以上19mm以下で通板基準を満たす理由は以下の通りである。
つまり、ラップが増加するようになれば接合強度が増加する理由は、ラップが増加するにつれて、圧延面からの接合面の立ち上がり角度が小さくなって、これによって剪断刃の押圧力のうちの接合面に垂直な方向の分力が増加するためであり、ラップ量が所定の値より大きくなれば必要な荷重が大きくなるので、接合強度が減少する。
【0104】
従って、ラップの範囲は2mm以上19mm以下であるのが好ましい。
【0105】
一方、エッジ亀裂率はデスケーリング圧力によって大きく影響を受けたが、ラップによる影響はほとんど認められなかった。これはラップの増加によって接合力が増加するが、エッジ部では幅方向に隙間ができる現象が発生して接合力が低下し、その結果、エッジ部の酸化が起きてその効果が顕著に微小となるためである。
【0106】
図14は、本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるストローク率と破断荷重の関係(低炭素鋼の剪断接合時にストローク率による金属バーの破断荷重)を示すグラフである。
【0107】
図14に示すように、ストローク率が増加することによって接合部の破断荷重は徐々に増加している途中で、1.33にて通板基準を満たし、1.50以上ではほとんど飽和現象を示していたが、再び減少した。しかし、1.60まで通板基準を満たしていることが分かる。
【0108】
従って、低炭素鋼の場合、剪断接合時に接合機100のストローク率は1.33〜1.60であるのが好ましい。
【0109】
この時、ストロークは接合機100の上部刃と下部刃を同時に上下に移動させて剪断接合をすることもできて、上部刃と下部刃のうちのいずれか一つだけを移動させて剪断接合をすることもできる。
【0110】
他の接合条件とは異なってストローク率は接合部の厚さに影響を与える。つまり、ストローク率が増加すれば接合部の厚さが薄くなる。これによって接合強度は上がっても破断荷重が減少することもあるので、ストローク率と接合部の破断荷重との関係を調査した。図14から分かるように、ストローク率が増加すれば接合部の厚さが薄くなるにもかかわらず破断荷重が増加しており、これは接合強度比はストローク率が増加するにつれて顕著に上昇することを意味している。
【0111】
また、ストローク率が増加すれば延伸率も増加したが、エッジ亀裂率に与える影響は大きくなかった。このようにストローク率が増加するにつれて破断応力及び破断荷重が増加する現象は、ストローク率の増加と、図15に示すように板の厚さ方向の上下部の未接合部の位置及び形状が異なって現れることに起因する。
【0112】
図16は、本実施例による低炭素鋼を熱間圧延設備で剪断接合して仕上圧延機で通板実験をした結果を示しており、図16によって本発明による通板基準を確認することができる。
【0113】
図16は、表1に示す成分組成を有する低炭素鋼鋼材を利用して剪断接合した後、接合された金属バーを熱延工場の仕上圧延機で圧延した結果を示したグラフである。
【0114】
図16のグラフに示す実験材は、450mmの幅の低炭素鋼金属バーを剪断接合した後、接合された実験材二組を側面溶接して840〜900mmの幅にした後、再び前後面に同一な厚さのバーを溶接して作られた9000mmの長さの金属バーである。このような金属バーを加熱炉で加熱した後、仕上圧延を実施した結果について、この図16に示している。
【0115】
このような試験をした結果、接合強度比が52%未満である金属バーでは、仕上圧延で全て板破断が起こり、接合強度比が52%以上の金属バーでは通板に成功した(図16(b)参照)。
【0116】
このように仕上圧延の通板に成功した金属バーの接合部エッジ亀裂は15%以下であった。
【0117】
一方、ストローク率が固定された場合には、接合強度比で通板基準を設定しても問題ないが、ストローク率が変われば接合部の厚さが変わるので、これを勘案して整理した結果を図16(b)に示した。ここで、接合荷重比とは以下の数式4に示すようであり、このような接合荷重比に対する通板基準は31.5%である。
【0118】
【数4】

【0119】
以上、図16に示すように、仕上圧延段階での通板基準は、金属バーの破断なしで仕上圧延の接合強度比及び破断荷重を満たすことを意味する。
【0120】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は以上のような低炭素鋼の連続熱間圧延時の接合部での接合条件に限定されるものではなく、このような低炭素鋼の連続熱間圧延の剪断接合に必要な多様な接合方法に適用することができる。
【0121】
従って、本願発明は特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で多様に変更及び実施するのができて、これもまた本発明の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機であって、接合完了された金属バーを示す構成図である。
【図3】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機により接合完了された金属バーの状態を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施例による固相接合の自由エネルギーの変化を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施例による固相接合時の接合率と接合強度比の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機による接合面に作用する接合力を示す説明図である。
【図7】接合機による金属バーのエッジ部の接合強度低下及び亀裂発生の原因を示す説明図である。
【図8】接合機による金属バーの接合部性能に及ぼす接合変数及び各接合変数の相関関係を説明するブロック図である。
【図9】ストローク率とラップの定義を説明する概念図である。
【図10】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるデスケーリング温度と接合強度比及び亀裂率の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるデスケーリング圧力と接合強度比及び亀裂率の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機による接合温度と接合強度比の関係を示すグラフである。
【図13】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるラップと接合強度比の関係を示すグラフである。
【図14】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるストローク率と破断荷重の関係を示すグラフである。
【図15】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備が具備する接合機によるストローク率と接合部上下の未接合部の形状との関係を示す組織写真である。
【図16】本発明の一実施例に係る低炭素鋼連続熱間圧延設備による接合部仕上圧延の通板試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0123】
10 粗圧延機
20 コイルボックス
30 接合装置
40 仕上圧延機
50 ダウンコイラー
60 後行金属バー
61 後行金属バーの先端
70 入口側クロップシャー
80 重ね装置
81 デスケーリング装置
90 先行金属バー
91 先行金属バーの後端
100 接合機
101 ハウジング
110 金属バー
120 クロップ処理装置
130、140 レベラー
150 出口側クロップシャー
160 エッジヒーター
170 バーヒーター
180 上部刃集合体
181 上部刃
182 上部クランプ
183 上部支持装置
184 突起
190 下部刃集合体
191 下部刃
192 下部クランプ
193 下部支持装置
194 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cを0.30質量(wt)%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼金属バー、またはCを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下にCr、Cu、Ni、MoまたはAlのいずれか一つ以上の元素が1.0質量%以下含まれていて、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼金属バーを、熱間圧延設備列の中で後行する金属バーの先端と先行する金属バーの後端を重ねて接合する接合機を利用して剪断接合し、接合された金属バーの接合面が前記金属バーの厚さ方向から傾斜して形成されるように金属バーを互いに接合するようにしたことを特徴とする低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法。
【請求項2】
前記金属バーの接合予定部を、60MPa以下の圧力でデスケーリングすることを特徴とする請求項1に記載の低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法。
【請求項3】
前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃とが重なり合う距離であるラップの範囲を2mm以上19mm以下にして剪断接合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法。
【請求項4】
前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃とが移動した距離の合計を金属バーの厚さで割ったストローク率を1.33以上1.60以下にして剪断接合することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法。
【請求項5】
前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃双方が同時に上下移動しながら剪断接合することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法。
【請求項6】
前記金属バーを剪断接合する場合、前記接合機の上部刃と下部刃のいずれか一方だけが移動しながら剪断接合することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の低炭素鋼連続熱間圧延材の剪断接合方法。
【請求項7】
Cを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下含み、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼スラブ、または、Cを0.30質量%以下、Mnを1.8質量%以下、Siを0.55質量%以下、Pを0.50質量%以下、Sを0.50質量%以下にCr、Cu、Ni、MoまたはAlのいずれか一つ以上の元素が1.0質量%以下含まれていて、その他の不可避な不純物と残りのFeからなる低炭素鋼スラブを粗圧延する粗圧延機と、
前記粗圧延された金属バーをコイル状に巻き取るコイルボックスと、
前記コイルボックスのコイラーから巻き出される金属バーの接合予定部をデスケーリングするデスケーリング装置と、
前記デスケーリングされた金属バーを先行金属バーの後端と後行金属バーの先端を重ね合わせて重ね合わせ部を挟んだ状態でその両側から圧入して剪断しながら剪断接合する一対の剪断刃が備えられている剪断接合装置と、
前記剪断接合された金属バーを仕上圧延する仕上圧延機とを有し、
低炭素鋼金属バーを連続熱間圧延するようにした
ことを特徴とする連続熱間圧延設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−175767(P2007−175767A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289616(P2006−289616)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(502251784)三菱日立製鉄機械株式会社 (130)
【出願人】(592000691)ポスコ (130)
【Fターム(参考)】