説明

低酸素模倣体としての化合物、およびその組成物、およびその使用

本発明は、低酸素模倣体としての役割を果たすことができる新しい化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物のうちの少なくとも1つを対象に投与することによって、対象におけるHIFレベルもしくは活性を増大させるかまたは対象におけるHIFレベルもしくは活性と関連する状態を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月15日に出願された中国優先権特許出願第200910089274.1号(特許文献1)に対する優先権の恩典を主張するものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、置換複素環化合物、およびその組成物ならびにそれを低酸素模倣体として使用する方法に関する。本発明はさらに、対象におけるHIF(低酸素誘導因子)レベルもしくは活性を増大させるかまたは虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌、および炎症性障害などの、HIFレベルもしくは活性と関連する状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞転写因子HIF(低酸素誘導因子)は、広範囲に及ぶ生物の酸素恒常性において中心的な立場を占め、低酸素に対する応答の重要な調節因子である。HIF転写活性によって調節される遺伝子は、血管新生、赤血球生成、ヘモグロビンF産生、エネルギー代謝、炎症、血管運動機能、アポトーシスおよび細胞増殖において極めて重要な役割を果たすことができる。HIFはまた、通常それが上方調節されている癌において、ならびに虚血および低酸素に対する病態生物学的応答において役割を果たす。
【0004】
HIF転写複合体はヘテロ二量体を含む。HIFは、酸素調節型HIFサブユニットと二量体化する構成的核タンパク質である。酸素調節は、HIFサブユニットのヒドロキシル化によって起こり、このサブユニットは、その後、プロテアソームによって速やかに破壊される。酸素化された細胞では、フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制タンパク質(pVHL)が、ヒドロキシル化されたHIFサブユニットに結合し、それによって、そのユビキチン依存的タンパク質分解を促進する。このプロセスは低酸素条件下で抑制され、HIFを安定化し、HIF複合体による転写活性化を促進する。
【0005】
HIFサブユニットのヒドロキシル化は、プロリンおよびアスパラギン残基上で起こり得、2−オキソグルタラート依存的酵素のファミリーによって仲介され得る。このファミリーには、ヒトHIF1のPro402およびPro564をヒドロキシル化するHIFプロリルヒドロキシラーゼアイソザイム(PHD)、ならびにヒトHIF1のAsn803をヒドロキシル化するHIF阻害因子(FIH)が含まれる。FIHまたはPHDの阻害は、HIFの安定化および転写活性化をもたらす。例えば、SchofieldおよびRatcliffe,Nature Rev.Mol.Cell Biol.,第5巻,343−354頁(2004)(非特許文献1)を参照されたい。
【0006】
したがって、HIFを調節する(例えば、HIFレベルまたは活性を増大させる)新しいまたは改善された薬剤は、例えば、虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌、および炎症性障害などの、HIF関連の状態または疾患または障害を治療する新しくかつより有効な医薬品を開発するために絶えず必要とされている。HIFレベルまたは活性を調節する新しいまたは改善された薬剤を開発する上で、溶解性、バイオアベイラビリティー、薬物動態、薬力学、毒性および/または少ない副作用(例えば、少ない心血管系副作用)などの化学的または生物学的特性が改善された薬剤を発見することも望ましいが、それが要求されるわけではない。本明細書に記載の化合物、組成物、および方法は、これらの必要性および他の目的に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2008/004817号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】SchofieldおよびRatcliffe,Nature Rev.Mol.Cell Biol.,第5巻,343−354頁(2004)
【非特許文献2】T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)
【非特許文献3】Dao JHら,Anal Biochem.2009,384:213−23
【非特許文献4】Robinson Aら,Gastroenterology.2008,134:145−55
【非特許文献5】Hsieh MM,ら,Blood.2007,110:2140−7
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、とりわけ、式Iの化合物:
【化1】

薬学的に許容されるその塩、その溶媒和物、そのキレート、その非共有結合錯体、そのプロドラッグ、または前述のもののいずれかの混合物を提供するものであり、構成メンバーが以下に提供されている。
【0010】
本発明はさらに、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明はさらに、HIFを式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩と接触させることを含む、HIFの活性を調節する方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を用いてHIFの活性を増大させる方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、対象(例えば、細胞または患者)におけるHIFのレベルを調節する(例えば、増大させる)方法であって、対象に治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明はさらに、本明細書で示された様々なHIF関連の状態、疾患、および障害のうちの1つまたは複数を治療する方法であって、患者に治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、治療で使用される式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0016】
本発明はさらに、治療で使用される医薬品の製造/調製のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(実施例Bに記載のアッセイを用いた)様々な化合物を投与した4時間後のマウスにおけるEPOのレベルに対する特定の実例化合物の効果を示す。
【図2】(実施例Cに記載のアッセイを用いた)1日60mg/kgを7日間投与した後9日目のマウスにおける赤血球数(RBC)のレベルに対する特定の実例化合物の効果を示す。
【図3】(実施例Cに記載のアッセイを用いた)1日60mg/kgを7日間投与した後9日目のマウスにおける血中ヘモグロビン(HGB)のレベルに対する特定の実例化合物の効果を示す。
【図4】(実施例Dに記載のアッセイを用いた)50mg/kgを単回経口投与した後の特定の実例化合物のラットにおける薬物動態曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、とりわけ、式Iの化合物:
【化2】

薬学的に許容されるその塩、その溶媒和物、そのキレート、その非共有結合錯体、そのプロドラッグ、または前述のもののいずれかの混合物を提供するものであり、
式中
nは1〜6であり、
は、OH、SH、NR、NHC(O)R、NHSOおよびスルホニルから選択され、
は、H、低級アルキルおよび置換低級アルキルから選択され、
およびRは、独立に、H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ハロアルキル、置換低級ハロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは結合して、3〜6員環もしくは置換3〜6員環を形成することができ、
は、OH、SH、NH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、およびスルファニルから選択され、
、R、RおよびRの各々は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、NR、C(O)OH、OR12、SR12、SO12、CN、NO、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルキルシリル、置換アルキルシリル、アルケニルシリル、置換アルケニルシリル、アルキニルシリル、置換アルキニルシリル、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、および−X−R11から選択されるか、
または隣接対のRおよびR、RおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRのうちの少なくとも1つは、結合して、4〜7員環または置換4〜7員環を形成することができ、
Xは、−N(R10)−Y−および−Y−N(R10)−から選択され、
Yは、C(O)、SO、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、および置換アルキニレンから選択され、
10は、H、低級アルキル、および置換低級アルキルから選択され、
11は、H、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールから選択され、かつ
12は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニルおよびNRから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、RはOHおよびSHから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RはOHである。
【0020】
いくつかの実施形態では、RはHおよび低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)から選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RはHである。
【0021】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、低級アルキル、および低級ハロアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、RおよびRは、各々独立に、Hおよび低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)から選択される。いくつかの実施形態では、RおよびRは各々Hである。
【0022】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、3〜6員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、この3〜6員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環は、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級ハロアルコキシ、ハロゲン、およびOHから各々独立に選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基と任意に置換されている。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級ハロアルコキシ、ハロゲン、およびOHから各々独立に選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基と任意に置換された3〜6員シクロアルキルを形成する。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、未置換の3〜6員シクロアルキルを形成する。
【0023】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級ハロアルコキシ、ハロゲン、およびOHから各々独立に選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基と任意に置換された3〜6員ヘテロシクロアルキルを形成する。いくつかのさらなる実施形態では、それらが結合している炭素原子とともに、RおよびRによって形成されるヘテロシクロアルキルは、O、S、およびNから各々独立に選択される少なくとも1つまたは2つのヘテロ原子を含む。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロピラニルから選択される3〜6員ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0024】
いくつかの実施形態では、Rは、OH、SH、NH、および低級アルコキシから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RはOHおよびSHから選択される。またさらなる実施形態では、RはOHである。
【0025】
いくつかの実施形態では、Rは、OH、NH、および低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシおよびプロポキシ)から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、Rは、OH、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシおよびプロポキシ)、ならびに置換低級アルコキシから選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、隣接対のRおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRのうちの少なくとも1つは、互いに(およびそれらが結合している2つの炭素原子とともに)結合して、4〜7員環または置換4〜7員環を形成することができる。いくつかのさらなる実施形態では、4〜7員環または置換4〜7員環は、少なくとも1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、および低級ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)から選択される。さらなる実施形態では、RおよびRは各々Hである。
【0029】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、および低級ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)から選択される。さらなる実施形態では、RおよびRは各々Hである。
【0030】
いくつかの実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、ハロ、ハロアルキルおよびハロアルコキシから選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、アルコキシまたは置換アルコキシから選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、アルキルシリル、置換アルキルシリル、アルキニルシリル、および置換アルキニルシリルから選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、および置換ヘテロシクロアルキルから選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、および置換アルキニルから選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つはヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、または4−ピリジル)、チエニル、フラニルから選択されるヘテロアリールである。またさらなる実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、または4−ピリジル)から選択されるヘテロアリールである。
【0036】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、置換アリール、および置換ヘテロアリールから選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、置換フェニル、および置換ピリジルから選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシと置換されたフェニルである。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRのうちの1つは、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシと置換されたフェニルであり、かつRおよびRのうちのもう1つは、H、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシである。またさらなる実施形態では、RおよびRのうちの1つは、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシと置換されたフェニルであり、かつRおよびRのうちのもう1つはHである。
【0039】
いくつかの実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシと置換されたピリジルである。いくつかのさらなる実施形態では、RおよびRのうちの1つは、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシと置換されたピリジルであり、かつRおよびRのうちのもう1つは、H、ハロゲン、OH、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシである。またさらなる実施形態では、RおよびRのうちの1つは、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、およびハロアルコキシと置換されたピリジルであり、かつRおよびRのうちのもう1つはHである。
【0040】
いくつかの実施形態では、nは、1、2、または3である。いくつかのさらなる実施形態では、nは1または2である。またさらなる実施形態では、nは1である。
【0041】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、式IIの化合物:
【化3】


または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
21は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
22は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
はNまたはCR23であり、かつ
23は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R21およびR22および(存在する場合)R23のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0042】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21は、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される。
【0043】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R22は、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される。
【0044】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはNである。
【0045】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR23である。
【0046】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR23であり、かつR23は、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される。
【0047】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR23であり、R21、R22、およびR23のうちの1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21、R22、およびR23のうちのあと2つは両方ともHである。
【0048】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR23であり、R21およびR23のうちの1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21およびR23のうちのもう1つはHである。いくつかのさらなる実施形態では、R22はHである。
【0049】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR23であり、R21、R22、およびR23のうちの2つは、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21、R22、およびR23のうちのあと1つはHである。いくつかのさらなる実施形態では、R23はHである。他のさらなる実施形態では、R22はHである。
【0050】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR23であり、R21、R22、およびR23は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0051】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはNであり、R21およびR22のうちの1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21およびR22のうちのもう1つはHである。
【0052】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはNであり、R21およびR22は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0053】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩は、式IIaの化合物
【化4】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
21は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつ
22は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R21およびR22のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0054】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21はHであり、かつR22は、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0055】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21はHであり、かつR22は、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される。
【0056】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21はHであり、かつR22は、C1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R22は、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される。またさらなる実施形態では、R22は、メチルおよびCハロアルキルから選択される。
【0057】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21はHであり、かつR22はC1−3アルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R22はメチルまたはエチルから選択される。またさらなる実施形態では、R22はメチルである。
【0058】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R22はHであり、かつR21は、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0059】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R22はHであり、かつR21は、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される。
【0060】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R22はHであり、かつR21は、C1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R21は、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される。またさらなる実施形態では、R21は、メチルおよびCハロアルキルから選択される。
【0061】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R22はHであり、かつR21は、C1−3アルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R21はメチルまたはエチルから選択される。またさらなる実施形態では、R21はメチルである。
【0062】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0063】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される。
【0064】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、C1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される。またさらなる実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、メチルおよびCハロアルキルから選択される。
【0065】
式IIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、C1−3アルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R21およびR22は、各々独立に、メチルまたはエチルから選択される。またさらなる実施形態では、R21およびR22は各々メチルである。
【0066】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、式IIIの化合物:
【化5】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
24は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
25は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
はNまたはCR26であり、かつ
26は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R24およびR25および(存在する場合)R26のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0067】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24は、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される。
【0068】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R25は、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される。
【0069】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはNである。
【0070】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR26である。
【0071】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR26であり、かつR26は、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される。
【0072】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR26であり、R24、R25、およびR26のうちの1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24、R25、およびR26のうちのあと2つは両方ともHである。
【0073】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR26であり、R24およびR26のうちの1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24およびR26のうちのもう1つはHである。いくつかのさらなる実施形態では、R25はHである。
【0074】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR26であり、R24、R25、およびR26のうちの2つは、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24、R25、およびR26のうちのあと1つはHである。いくつかのさらなる実施形態では、R26はHである。他のさらなる実施形態では、R25はHである。
【0075】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはCR26であり、R24、R25、およびR26は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0076】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはNであり、R24およびR25のうちの1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24およびR25のうちのもう1つはHである。
【0077】
式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、ZはNであり、R24およびR25は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0078】
いくつかの実施形態では、式IIIの化合物または薬学的に許容されるその塩は、式IIIaの化合物
【化6】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
24は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつ
25は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R24およびR25のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0079】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24はHであり、かつR25は、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0080】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24はHであり、かつR25は低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される。
【0081】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24はHであり、かつR25はC1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R25はC1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される。またさらなる実施形態では、R25は、メチルおよびCハロアルキルから選択される。
【0082】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24はHであり、かつR25はC1−3アルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R25はメチルまたはエチルから選択される。またさらなる実施形態では、R25はメチルである。
【0083】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R25はHであり、かつR24は、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0084】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R25はHであり、かつR24は低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される。
【0085】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R25はHであり、かつR24はC1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R24は、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される。またさらなる実施形態では、R24は、メチルおよびCハロアルキルから選択される。
【0086】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R25はHであり、かつR24はC1−3アルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R24はメチルまたはエチルから選択される。またさらなる実施形態では、R24はメチルである。
【0087】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24およびR25は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される。
【0088】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24およびR25は、各々独立に、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される。
【0089】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24およびR25は、各々独立に、C1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R24およびR25は、各々独立に、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される。またさらなる実施形態では、R24およびR25は、各々独立に、メチルおよびCハロアルキルから選択される。
【0090】
式IIIaの化合物または薬学的に許容されるその塩のいくつかの実施形態では、R24およびR25は、各々独立に、C1−3アルキルから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、R24およびRは、各々独立に、メチルまたはエチルから選択される。またさらなる実施形態では、R24およびR25は各々メチルである。
【0091】
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、補助剤、または担体、および治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0092】
赤血球生成促進剤または化学療法剤などの少なくとも1つのさらなる化合物と組み合わせた少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、補助剤、または担体、および治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物が本明細書でさらに提供される。
【0093】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または対象におけるHIFレベルもしくは活性を調節する(例えば、増大させる)ための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用が本明細書でさらに提供される。
【0094】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、HIF活性を調節することが望ましい状態を治療するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用が本明細書でさらに提供される。
【0095】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、対象における貧血または虚血関連障害を治療するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用も提供される。
【0096】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、対象における虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌もしくは炎症性障害、もしくは2以上のそれらの組合せを治療するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用も提供される。
【0097】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、対象における貧血を治療するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用も提供される。
【0098】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または細胞を本明細書に記載の少なくとも1つの化合物と接触させることを含む、細胞におけるHIFの量を調節するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用がさらに提供される。
【0099】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、対象におけるヘモグロビンFの量を増大させるための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用がさらに提供される。
【0100】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、対象における血管新生を調節するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用がさらに提供される。
【0101】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする患者における少なくとも1つの疾患を治療するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用がさらに提供される。
【0102】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物もしくは薬学的に許容されるその塩を対象に投与することによる方法、または本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、対象におけるHIFのヒドロキシル化を阻害するための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩の使用も提供される。
【0103】
本発明のさらなる実施形態は、以下の説明に示されているか、または本発明の実施から習得することができる。
【0104】
別途示されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分、反応条件などの分量を表す全ての数は、全ての場合に、「約」という用語で修飾されていると理解すべきである。したがって、反対のことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、そのそれぞれの実験測定値に見られる標準偏差によって異なり得る近似値である。
【0105】
本明細書で使用するように、任意の変数が化学式の中で2回以上出現する場合、各出現に関するその定義は全ての他の出現でのその定義と無関係である。本開示の化合物は、1以上のキラル中心および/または二重結合を含み得るので、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。したがって、全体的にまたは部分的に、相対配置で示された本明細書の範囲内の任意の化学構造は、図示された化合物の全てのあり得るエナンチオマーおよび立体異性体を包含し、これには、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何異性的に純粋なもの、エナンチオマー的に純粋なものまたはジアステレオマー的に純粋なもの)およびエナンチオマーと立体異性体の混合物が含まれる。エナンチオマーと立体異性体の混合物は、当業者に周知の分離技術またはキラル合成技術を用いてエナンチオマーまたは立体異性体の成分に分割することができる。
【0106】
式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物には、式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物の光学異性体、それらのラセミ化合物、および他の混合物が含まれるが、これらに限定されない。これらの状況において、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマー、すなわち、光学活性形態は、不斉合成によってまたはラセミ化合物の分割によって得ることができる。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを用いるクロマトグラフィーなどの従来法によって達成することができる。さらに、式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物は、二重結合を有するZ型およびE型(またはcis型およびtrans型)の化合物を含む。式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物が様々な互変異性形態として存在する場合、本発明の化学物質は、化合物の全ての互変異性形態を含む。
【0107】
本開示の化合物は、式Iの化合物および薬学的に許容されるその全ての形態を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される形態には、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、結晶形態(多形体およびクラスレートを含む)、キレート、非共有結合錯体、プロドラッグ、および混合物が含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容される塩の形態にある。これ以降使用するように、「化合物」という用語は、化合物それ自体だけでなく、薬学的に許容されるその塩、その溶媒和物、そのキレート、その非共有結合錯体、そのプロドラッグ、および前述のもののいずれかの混合物も包含する。
【0108】
上で述べたように、プロドラッグ(例えば、式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物のエステル誘導体またはアミド誘導体)もまた、化学物質の範囲内に含まれる。「プロドラッグ」という用語は、患者に投与されたとき、例えば、プロドラッグの代謝的処理によって、式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物になる任意の化合物を含む。プロドラッグの例には、式I、II、IIa、IIIおよびIIIaの化合物中の官能基(例えば、アルコール基またはアミン基)の酢酸エステル誘導体、ギ酸エステル誘導体、および安息香酸エステル誘導体ならびに同様の誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
「溶媒和物」という用語は、溶媒と化合物の相互作用によって形成される化合物を指す。好適な溶媒和物は、水和物(一水和物および半水和物を含む)などの薬学的に許容される溶媒和物である。
【0110】
本明細書中の様々な箇所で、本発明の化合物の置換基は、群でまたは範囲で開示される。本発明はそのような群および範囲のメンバーの各々のおよび全ての個々のサブコンビネーションを含むということが特に意図される。例えば、「C1−3アルキル」という用語は、メチル、エチル、ならびにCアルキル(n−プロピルおよびイソプロピルを含む)を個々に開示することが特に意図される。
【0111】
変数が2回以上出現する本発明の化合物に関しては、各変数は、変数を定義するマーカッシュ群から選択される異なる部分であることができる。例えば、構造が、同じ化合物上に同時に存在する2つのR基を有すると記載される場合、この2つのR基は、Rについて定義されるマーカッシュ群から選択される異なる部分を表すことができる。
【0112】
明確にするために別個の実施形態の文脈で記載される本発明のある種の特徴を、単一の実施形態で組み合せて提供することもできるということがさらに理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴を、別個にまたは任意の好適なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0113】
nが整数である場合の「n員」という用語は、通常、環形成原子の数がnである部分における環形成原子の数を記載する。例えば、ピリジンは6員ヘテロアリール環の例であり、チオフェンは5員ヘテロアリール基の例である。
【0114】
「アルキル」は、親アルカンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除くことにより誘導される、飽和分岐状または直鎖状の一価炭化水素基を指す。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、およびシクロプロパン−1−イル)、ブチル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、tert−ブチル)などが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子を含む。本明細書で使用するように、「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0115】
「アルケニル」は、親アルカンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除くことにより誘導される、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和分岐状、直鎖状または環状のアルキル基を指す。この基は、二重結合の周辺にZ型もしくはE型(またはcis配座もしくはtrans配座)のいずれかで存在し得る。典型的なアルケニル基には、エテニル;プロペニル(例えば、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル);ブテニル(例えば、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル)などが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を有し、他の実施形態では、2〜6個の炭素原子(すなわち、「低級アルケニル」)を有する。
【0116】
「アルキニル」は、親アルキンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除くことにより誘導される、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和分岐状または直鎖状の基を指す。典型的なアルキニル基には、エチニル;プロピニル;ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子を有し、他の実施形態では、2〜6個の炭素原子(すなわち、「低級アルキニル」)を有する。
【0117】
「アルコキシ」は、ラジカル−OR(ここで、Rはアルキルを表す)を指す。代表的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
「アルコキシカルボニル」は、ラジカル−C(O)−OR(ここで、Rは、本明細書で定義されているようなアルキルを表す)を指す。
【0119】
「アリール」は、親芳香環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除くことにより誘導される、一価芳香族炭化水素基を指す。アリールは、5員および6員炭素環式芳香環、例えば、ベンゼン;少なくとも1つの環が炭素環式でありかつ芳香族である二環式環系、例えば、ナフタレン、インダン、およびテトラリン;ならびに少なくとも1つの環が炭素環式でありかつ芳香族である三環式環系、例えば、フルオレンを包含する。例えば、アリールには、N、O、およびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環と縮合した5員および6員炭素環式芳香環が含まれる。特定の実施形態では、アリール基は、6〜10個の炭素原子を含むことができる。しかしながら、アリールは、以下に個々に定義するようなヘテロアリールを決して包含しないかまたはそれと決して重複しない。したがって、1以上の炭素環式芳香環がヘテロシクロアルキル芳香環と縮合している場合、得られる環系は、本明細書で定義するような、ヘテロアリールであって、アリールではない。
【0120】
「アリールアルキル」または「アラルキル」は、炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合した水素原子の1つが、アリール基と置き換えられている非環式アルキル基を指す。典型的なアリールアルキル基には、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルキル、アリールアルケニル、および/またはアリールアルキニルという用語体系を用いる。特定の実施形態では、アリールアルキル基は、(C6−30)アリールアルキルであることができ、例えば、アリールアルキル基のアルキル基は、(C1−10)であることができ、アリール部分は(C5−20)であることができる。
【0121】
「カルボニル」は、ラジカル−C(O)基を指す。
【0122】
「カルボキシ」は、ラジカル−C(O)OHを指す。
【0123】
「シアノ」は、ラジカル−CNを指す。
【0124】
「シクロアルキル」は、飽和または不飽和であるが、非芳香族の環状アルキル基を指す。特定の飽和度が意図される場合、「シクロアルカニル」または「シクロアルケニル」という用語体系を用いる。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから誘導される基が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、シクロアルキル基は、例えば、C3−6シクロアルキルなどのC3−10シクロアルキルであることができる。
【0125】
「ヘテロシクロアルキル」は、1以上の炭素原子(および任意の関連水素原子)が独立に、同一のまたは異なるヘテロ原子、および必要に応じて、その関連水素原子と置き換えられている、飽和または不飽和であるが非芳香族の環状アルキル基を指す。炭素原子に置き換わる典型的なヘテロ原子には、N、P、O、S、およびSiが含まれるが、これらに限定されない。特定の飽和度が意図される場合、「ヘテロシクロアルカニル」または「ヘテロシクロアルケニル」という用語体系を用いる。典型的なヘテロシクロアルキル基には、エポキシド、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどから誘導される基が含まれるが、これらに限定されない。置換ヘテロシクロアルキルには、ピペリジニルN−オキシド、モルホリニル−N−オキシド、1−オキソ−1−チオモルホリニルおよび1,1−ジオキソ−1−チオモルホリニルなどの、1以上のオキソ(=O)またはオキシド(−O)置換基と置換された環系も含まれる。
【0126】
「疾患」は、任意の疾患、障害、状態、症状、または適応症を指す。
【0127】
「ハロ」は、フロオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基を指す。
【0128】
「ヘテロアリール」は、親ヘテロ芳香環系の単一の原子から1個の水素原子を除くことにより誘導される、一価ヘテロ芳香族基を指す。ヘテロアリールは、N、O、およびSから選択される1個以上、例えば、1〜4個、または特定の実施形態では、1〜3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5〜7員芳香族単環式環;ならびにN、O、およびSから選択される1個以上、例えば、1〜4個、または特定の実施形態では、1〜3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素であり、かつ少なくとも1個のヘテロ原子が芳香環中に存在する、多環式ヘテロシクロアルキル環を包含する。
【0129】
例えば、ヘテロアリールには、5〜7員シクロアルキル環と縮合した5〜7員ヘテロ芳香環および5〜7員ヘテロシクロアルキル環と縮合した5〜7員ヘテロ芳香環が含まれる。これらの環のうちの1つだけが1以上のヘテロ原子を含むそのような縮合した二環式ヘテロアリール環系の場合、結合点は、ヘテロ芳香環またはシクロアルキル環にあってもよい。ヘテロアリール基中のS原子およびO原子の総数が1を超える場合、それらのヘテロ原子は互いに隣接しない。特定の実施形態では、ヘテロアリール基中のS原子およびO原子の総数は2以下である。特定の実施形態では、芳香族複素環中のS原子およびO原子の総数は1以下である。ヘテロアリールは、上で定義したようなアリールを包含しないかまたはそれと重複しない。典型的なヘテロアリール基には、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導される基が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、例えば、5〜10員ヘテロアリールなどの、5〜20員ヘテロアリールであることができる。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、およびピラジンから誘導されたものであることができる。
【0130】
「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」は、炭素原子、典型的には、末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子の1つが、ヘテロアリール基と置き換えられている非環式アルキル基を指す。特定のアルキル部分が意図される場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル、および/またはヘテロアリールアルキニルという用語体系を用いる。特定の実施形態では、ヘテロアリールアルキル基は、6〜30員ヘテロアリールアルキルであることができ、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は、1〜10員であることができ、ヘテロアリール部分は、5〜20員ヘテロアリールであることができる。
【0131】
「スルホニル」は、ラジカル−S(O)R(ここで、Rは、本明細書で定義されているようなアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリール基である)を指す。代表的な例には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
「スルファニル」は、ラジカル−SR(ここで、Rは、本明細書で定義されているように任意で置換されていてもよい、本明細書で定義されているようなアルキル、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリール基である)を指す。代表的な例には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0133】
「薬学的に許容される」とは、動物、特にヒトでの使用が一般に認められていることを指す。
【0134】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容されている化合物であって、親化合物の望ましい薬理学的活性を有する化合物の塩を指す。そのような塩には、(1)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)とともに形成されるか、もしくは有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸など)とともに形成される酸付加塩;または(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオン)に置き換えられているか、もしくは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミンなど)と配位している場合に形成される塩が含まれる。
【0135】
「薬学的に許容される賦形剤」、「薬学的に許容される担体」、または「薬学的に許容される補助剤」は、それぞれ、それとともに本開示の少なくとも1つの化合物が投与される賦形剤、担体または補助剤を指す。
【0136】
「薬学的に許容されるビヒクル」は、それとともに本開示の少なくとも1つの化合物が投与される希釈剤、補助剤、賦形剤または担体のいずれかを指す。
【0137】
「立体異性体」は、構成原子の空間的配置が異なる異性体を指す。互いの鏡像であり、かつ光学活性がある立体異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれ、互いの鏡像ではなく、かつ光学活性がある立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と呼ばれる。
【0138】
「対象」には、哺乳動物およびヒトが含まれる。「ヒト」および「対象」という用語は、本明細書で互換的に用いられる。
【0139】
「置換された」とは、1以上の水素原子が、各々独立に、同一のまたは異なる置換基と置き換えられている基を指す。典型的な置換基には、−X、−R33、−OH、=O、−OR33、SR33、−SH、=S、−NR3334、=NR33、−CX、−CF、−CN、−NO、−S(O)33、−OS(O)OH、−OS(O)33、−OP(O)(OR33)(OR34)、−C(O)R33、−C(S)R33、−C(O)OR33、−C(O)NR3334、−C(O)OH、−C(S)OR33、−NR35C(O)NR3334、−NR35C(S)NR3334、−NR35C(NR33)NR3334、−C(NR33)NR3334、−S(O)NR3334、−NR35S(O)33、−NR35C(O)R33、およびS(O)R33(ここで、各々のXは独立にハロであり、各々のR33およびR34は、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、−NR3536、−C(O)R35もしくは−S(O)35であるか、または任意にR33およびR34は、R33およびR34が結合している原子とともに、1以上のヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリール環を形成し、かつR35およびR36は、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルもしくは置換ヘテロアリールアルキルであるか、または任意にR35およびR36は、R35およびR36が結合している窒素原子とともに、1以上のヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリール環を形成する)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、3級アミンまたは芳香族窒素は、1以上の酸素原子と置換されて、対応する窒素オキシドを形成していてもよい。
【0140】
「治療有効量」は、疾患、または疾患もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つを治療するために対象に投与されたとき、そのような疾患、障害または症状の治療に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。「治療有効量」は、化合物、疾患、障害、および/もしくは疾患もしくは障害の症状、疾患、障害、および/もしくは疾患もしくは障害の重症度、治療すべき対象の年齢、ならびに/または治療すべき対象の体重によって異なり得る。任意の所与の場合の適切な量は、当業者にすぐに明らかとなり得るかまたは日常的な実験によって決定することができる。
【0141】
任意の疾患もしくは障害を「治療すること」または任意の疾患もしくは障害の「治療」は、疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つを停止させるかもしくは改善すること、疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つを獲得するリスクを低下させること、疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つの発症を低下させること、または疾患、障害、もしくは疾患もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つの発症のリスクを低下させることを指す。「治療すること」または「治療」は、物理的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化)、もしくは両方により、疾患もしくは障害を阻害すること、または対象には認識されない可能性がある少なくとも1つの物理的パラメータを阻害することも指す。さらに、「治療すること」または「治療」は、疾患もしくは障害に曝露されているかまたはそれらに罹りやすい可能性がある対象において、その対象が、その疾患もしくは障害の症状をまだ経験していないかまたは示していないとしても、疾患または障害または少なくともそれらの症状の開始を遅延させることを指す。
【0142】
次に、本開示の実施形態に対して詳細な言及を行なう。本開示の特定の実施形態を記載する際、本開示の実施形態をその記載された実施形態に限定することを意図しないことが理解されるであろう。それとは反対に、本開示の実施形態に対する言及は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の実施形態の精神および範囲の範囲内に含まれ得るような代替物、改変物、および等価物に及ぶことを意図する。
【0143】
本発明の特定の実施形態は、少なくとも1つの式Iの化合物:
【化7】

薬学的に許容されるその塩、その溶媒和物、そのキレート、その非共有結合錯体、そのプロドラッグ、および前述のもののいずれかの混合物に関するものであり、
式中
nは1〜6であり、
は、OH、SH、NR、NHC(O)R、NHSOおよびスルホニルから選択され、
は、H、低級アルキルおよび置換低級アルキルから選択され、
およびRは、独立に、H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ハロアルキル、置換低級ハロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは結合して、3〜6員環もしくは置換3〜6員環を形成することができ、
は、OH、SH、NH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、およびスルファニルから選択され、
、R、RおよびRの各々は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、NR、C(O)OH、OR12、SR12、SO12、CN、NO、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルキルシリル、置換アルキルシリル、アルケニルシリル、置換アルケニルシリル、アルキニルシリル、置換アルキニルシリル、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、および−X−R11から選択されるか、
または隣接対のRおよびR、RおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRのうちの少なくとも1つは、結合して、4〜7員環または置換4〜7員環を形成することができ、
Xは、−N(R10)−Y−および−Y−N(R10)−から選択され、
Yは、C(O)、SO、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、および置換アルキニレンから選択され、
10は、H、低級アルキル、および置換低級アルキルから選択され、
11は、H、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールから選択され、かつ
12は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニルおよびNRから選択される。
【0144】
式Iの化合物の特定の実施形態では、RはOHおよびSHから選択される。
【0145】
式Iの化合物の特定の実施形態では、RはHである。
【0146】
式Iの化合物の特定の実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、および置換低級アルキル(例えば、ヒドロキシルと置換された低級アルキル、例えば、ヒドロキシメチル)から選択される。
【0147】
式Iの化合物の特定の実施形態では、Rは、OH、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシおよびプロポキシ)、ならびに置換低級アルコキシから選択される。
【0148】
式Iの化合物の特定の実施形態では、RおよびRは結合して、3〜6員環または置換3〜6員環を形成する。3〜6員環は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、少なくとあと2つのヘテロ原子)を含むことができる。
【0149】
式Iの化合物の特定の実施形態では、RおよびRは結合して、4〜7員環または置換4〜7員環を形成することができる。4〜7員環は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、少なくとあと2つのヘテロ原子、および少なくとも3つのヘテロ原子)を含むことができる。
【0150】
式Iの化合物の特定の実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、ハロおよび少なくとも1つのハロゲン(例えば、トリフルオロメチル)と置換された部分から選択される。
【0151】
式Iの化合物の特定の実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、アルコキシまたは置換アルコキシから選択される。
【0152】
式Iの化合物の特定の実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、アルキルシリル、置換アルキルシリル、アルキニルシリル、および置換アルキニルシリルから選択される。
【0153】
式Iの化合物の特定の実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ならびに置換ヘテロシクロアルキル(例えば、置換ピリジン、置換ピリミジン、置換ピラジン、置換ピリダジン、置換テトラヒドロフラン、および置換ピペリジン)から選択される。
【0154】
式Iの化合物の特定の実施形態では、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ならびに置換アルキニル(例えば、イソプロピル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキセンおよびシクロペンテン)から選択される。
【0155】
本開示の個々の代表的化合物、および本開示の組成物に含まれ、かつ本開示の方法で使用される化合物の例を表1に記載する。表1に記載の各化合物、すなわち、実施例1〜38は、その構造、名称、分子量、水素NMRデータおよび少なくとも1つの合成法に関する情報を含む。
【0156】
特定の実施形態では、本開示の化合物は、プロピルヒドロキシラーゼ(例えば、HIFプロピルヒドロキシラーゼ)を阻害する。種々のアッセイを用いて、化合物のプロリルヒドロキシラーゼ阻害活性を測定することができる。
【0157】
特定の実施形態では、本開示の化合物は、例えば、HIFを安定化することによって、HIFレベルまたは活性を調節する。
【0158】
さらに、本開示の化合物は、1以上のキラル中心を含むことができる。そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体が濃縮された混合物として調製または単離することができる。全てのそのような立体異性体、および濃縮されたその混合物は、本開示の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体、および濃縮されたその混合物は、例えば、当技術分野で周知の光学活性のある出発材料または立体選択的試薬を用いて調製することができる。あるいは、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分離することができる。
【0159】
本開示の特定の実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、補助剤または担体、および治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物に関する。少なくとも1つの化合物は、虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌および炎症性障害から選択される少なくとも1つの疾患の治療に有効な量で存在することができる。
【0160】
本開示の他の実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む、HIF活性を調節することが望ましい状態を治療する方法に関する。状態は、虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌および炎症性障害のうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0161】
さらなる実施形態は、そのような治療を必要とする患者における少なくとも1つの疾患を治療する方法であって、患者に治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を投与することを含む方法に関する。少なくとも1つの疾患は、虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌および炎症性障害から選択することができる。
【0162】
合成
本発明の化合物(その塩を含む)は、既知の有機合成技術を用いて調製することができ、かつ多くの可能な合成経路のいずれかによって合成することができる。
【0163】
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の分野の当業者が容易に選択することができる好適な溶媒中で実施することができる。好適な溶媒は、反応が実施される温度(例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの幅があり得る温度)で出発物質(反応物質)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であることができる。所与の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物中で実施することができる。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒を当業者が選択することができる。
【0164】
本発明の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を含むことができる。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者が容易に決定することができる。保護基の化学反応は、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)(非特許文献2)に見出すことができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0165】
反応は、当技術分野で公知の任意の好適な方法に従ってモニタリングすることができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hもしくは13C)、赤外線分光法、分光光度法(例えば、UV−可視)、質量分析法などの分光学的手段によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフ法によってモニタリングすることができる。
【0166】
本発明の化合物は、例えば、以下の一般的反応スキームおよび下記の手法のうちの1つまたは複数に従って調製することができる。
一般的スキームI
【化8】

【化9】

【実施例】
【0167】
本発明は、本発明による、式I、II、IIa、III、またはIIIaの化合物の調製を示す以下の実施例によってさらに例証されるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
実施例1
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェニル−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化10】

1mLのHPOを添加して、試薬1(42g、33.6mmol)を200mLのACOに溶解させ、50℃で加熱した。それが終了した後、反応混合物を室温に冷却し、次に、500mLの水を添加し、加水分解が終了するまで50℃で撹拌した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、濾過した。得られた固体(化合物2)をさらに乾燥させた(47g)。
【0169】
化合物2(25.9g、100mmol)および無水1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、13.5g)を400mLのTHFに溶解させた。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、20.9g)を0℃で少しずつ添加し、10℃未満の温度で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液Aを回収した。13.2g(100mmol)のマロン酸ジメチルを800mLのTHFにまず溶解させ、次に、7.2gの水素化ナトリウム(70%分散)を添加した。撹拌しながら濾液Aを添加し、室温で2時間反応させておいた。真空蒸留でTHFを除去した後、400mLのメタノールおよび400mLの10%HClを添加し、一晩撹拌した。濾過後、得られた固体を400mLのメタノールで洗浄し、乾燥させ、14gの化合物3を得た。
【0170】
グリシンt−ブチルエステルHCl塩(13.4g)およびナトリウムメトキシド(4.4g)を200mLのメタノールに懸濁した。均質な懸濁液になるまで撹拌した後、それを蒸留して、メタノールを全て除去した。200mLのTHFおよび化合物3(6.0g)を添加し、反応を60℃で一晩行なった。次に、真空蒸留でTHFを除去し、400mLのメタノールを添加し、2時間撹拌した。濾過および乾燥後、4.5gの化合物4が得られた。
【0171】
化合物4(240mg、0.6mmol)、Pd(PPh(140mg、0.12mmol)およびフェニルボロン酸(85.4mg、0.7mmol)を1mLの2M NaCO水溶液および4mLのDMFに溶解させた。得られた溶液を窒素ガス下で一晩80℃に加熱した。それが終了した後、反応混合物を室温に冷却した。100mLの水および100mLの酢酸エチルを添加し、撹拌した。有機層を保持し、水でさらに2回洗浄した後、シリコンゲルカラムに素早く通して、溶媒を除去した。次に、5mLのジクロロメタンおよび5mLのトリフルオロ酢酸を添加し、室温で4時間撹拌した。それが終了した後、反応混合物を真空中で蒸発させた。得られた生成物を、CHOH−THFを用いる再結晶化によってさらに精製すると、LC−MS[M−H] m/z338、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ13.01(br s,1H),9.55(br s,1H),8.05(d,1H,J=9.0Hz),7.85(d,1H,J=9.0Hz),7.83(t,1H,J=7.5Hz),7.82(dd,2H,J=7.5,7.5Hz),7.54(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.46(s,1H),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物6が得られた。
【0172】
実施例2
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(2−クロロ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化11】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z373、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ13.05(br s,1H),9.57(br s,1H),8.08(d,1H,J=8.4Hz),7.66−7.32(m,6H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0173】
実施例3
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3−クロロ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化12】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z373、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ13.05(br s,1H),9.55(br s,1H),8.04(d,1H,J=8.4Hz),7.92−7.81(m,4H),7.59−7.55(m,2H),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0174】
実施例4
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−クロロ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化13】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z373、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.55(br s,1H),8.05(d,1H,J=8.4Hz),7.88(d,2H,J=8.7Hz),7.84−7.79(m,2H),7.60(d,2H,J=8.7Hz),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0175】
実施例5
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化14】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z406、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.58(br s,1H),8.18(s,1H),8.16(s,1H),8.09(d,1H,J=8.4Hz),7.97−7.76(m,4H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0176】
実施例6
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化15】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z406、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.56(br s,1H),8.11−8.05(m,3H),7.91−7.84(m,4H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0177】
実施例7
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化16】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z422、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.57(br s,1H),8.08(d,1H,J=8.1Hz),7.92−7.85(m,4H),7.69(t,1H),7.50(d,1H,J=8.4Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0178】
実施例8
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化17】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z422、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.56(br s,1H),8.09−7.81(m,5H),7.54(d,2H,J=8.4Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0179】
実施例9
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化18】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z407、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.57(br s,1H),8.15(s,1H),8.05(d,1H,J=8.1Hz),7.92−7.78(m,4H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0180】
実施例10
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化19】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z374、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.55(br s,1H),8.07−7.98(m,2H),7.88−7.82(m,2H),7.66−7.59(m,2H),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0181】
実施例11
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3,4,5−トリフルオロ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化20】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z392、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.55(br s,1H),8.05(d,1H,J=8.4Hz),7.97−7.85(m,4H),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0182】
実施例12
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3−メトキシ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化21】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z368、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.55(br s,1H),8.05(d,1H,J=8.1Hz),7.86(s,1H),7.83(d,1H,J=8.1Hz),7.49−7.38(m,3H),7.06(d,1H,J=8.4Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0183】
実施例13
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−メトキシ−フェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化22】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z368、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.56(br s,1H),8.02(d,1H,J=8.7Hz),7.85−7.78(m,4H),7.09(d,2H,J=9.0Hz),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0184】
実施例14
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(3−メチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化23】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z352、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.55(br s,1H),8.04(d,1H,J=8.7Hz),7.80−7.78(m,2H),7.67−7.61(m,2H),7.42(t,1H,7.8Hz),7.30(d,1H,J=7.5Hz),4.14(d,2H,J=6.0Hz),2.50(t,3H,1.8Hz)の表題化合物が得られた。
【0185】
実施例15
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(4−メチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化24】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z352、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.56(br s,1H),8.02(d,1H,J=8.7Hz),7.79−7.73(m,4H),7.34(d,2H,J=8.4Hz),4.13(d,2H,J=6.0Hz),2.50(t,3H,1.8Hz)の表題化合物が得られた。
【0186】
実施例16
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−フェニル−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化25】

実施例1の合成手順と同様に、1mLのHPOを添加して、試薬7(27g)を130mLのACOに溶解させ、50℃で加熱した。それが終了した後、反応混合物を室温に冷却し、次に、500mLの水を添加し、加水分解が終了するまで50℃で撹拌した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、濾過した。得られた固体(化合物8)をさらに乾燥させた(24.4g)。
【0187】
化合物8(13g)および無水1−ヒドロキシベンゾチアゾール(HOBt、6.8g)を200mLのTHFに溶解させた。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、10.4g)を0℃で少しずつ添加し、10℃未満の温度で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液Bを回収した。6.6g(50mmol)のマロン酸ジメチルを400mLのTHFにまず溶解させ、次に、3.8gの水素化ナトリウム(70%分散)を添加した。撹拌しながら濾液Bを添加し、室温で2時間反応させておいた。真空蒸留でTHFを除去した後、200mLのメタノールおよび200mLの10%HClを添加し、一晩撹拌した。濾過後、得られた固体を、200mLのメタノールで洗浄し、乾燥させ、6gの化合物9を得た。
【0188】
グリシンt−ブチルエステルHCl塩(13.5g)およびナトリウムメトキシド(4.4g)を200mLのメタノールに懸濁した。均質な懸濁液になるまで撹拌した後、それを蒸留して、メタノールを全て除去した。200mLのTHFおよび化合物9(6.0g)を添加し、反応を60℃で一晩行なった。次に、真空蒸留でTHFを除去し、400mLのメタノールを添加し、2時間撹拌した。濾過および乾燥後、3.5gの化合物10が得られた。
【0189】
化合物10(240mg、0.6mmol)、Pd(PPh(140mg、0.12mmol)およびフェニルボロン酸(85.4mg、0.7mmol)を1mLの2M NaCO水溶液および4mLのDMFに溶解させた。得られた溶液を窒素ガス下で一晩80℃に加熱した。それが終了した後、反応混合物を室温に冷却した。100mLの水および100mLの酢酸エチルを添加し、撹拌した。有機層を保持し、水でさらに2回洗浄した後、シリコンゲルカラムに素早く通して、溶媒を除去した。次に、5mLのジクロロメタンおよび5mLのトリフルオロ酢酸を添加し、室温で4時間撹拌した。それが終了した後、反応混合物を真空中で蒸発させた。得られた生成物を、CHOH−THFを用いる再結晶化によってさらに精製すると、LC−MS[M−H] m/z338、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),8.03(dd,1H,J=8.1,1.5Hz),7.86(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.65−7.45(m,6H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物12が得られた。
【0190】
実施例17
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(2−クロロフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化26】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z373、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.47(br s,1H),8.10(m,1H),7.77(m,1H),7.67−7.50(m,5H),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0191】
実施例18
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3−クロロフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化27】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z373、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),8.06(dd,1H,J=8.1,1.5Hz),7.89(m,1H),7.73(s,1H),7.61−7.54(m,4H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0192】
実施例19
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(4−クロロフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化28】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z373、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.49(br s,1H),8.04(dd,1H,J=8.1,1.5Hz),7.86(m,1H),7.69−7.53(m,5H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0193】
実施例20
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化29】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z406、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.52(br s,1H),8.09−7.76(m,6H),7.58(t,1H,7.8Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0194】
実施例21
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化30】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z406、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.50(br s,1H),8.09(dd,1H,7.8,1.5Hz),7.93−7.86(m,5H),7.59(t,1H,7.8Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0195】
実施例22
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化31】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z422、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.52(br s,1H),8.07(dd,1H,7.8,1.5Hz),7.91(dd,1H,7.5,1.5Hz),7.70−7.68(m,3H),7.57(t,1H,7.8Hz),7.49(br s,1H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0196】
実施例23
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化32】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z422、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.50(br s,1H),8.06(dd,1H,8.1,1.5Hz),7.89(m,1H),7.78(d,2H,J=8.7Hz),7.60−7.54(m,3H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0197】
実施例24
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3,4−ジクロロフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化33】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z407、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),8.06(dd,1H,8.1,1.5Hz),7.95−7.89(m,2H),7.82(d,1H,J=8.4Hz),7.65(dd,1H,J=8.4,1.5Hz),7.56(t,1H,J=7.5Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0198】
実施例25
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3,4−ジフルオロフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化34】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z374、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),7.88(dd,1H,J=7.5,1.2Hz),7.82−7.75(m,2H),7.68−7.53(m,3H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0199】
実施例26
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化35】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z392、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),8.07(dd,1H,J=7.8,1.5Hz),8.01−7.97(m,1H),7.92−7.89(m,1H),7.71−7.66(m,1H),7.63(t,1H,J=7.8Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0200】
実施例27
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3−メトキシフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化36】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z368、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.52(br s,1H),8.07(dd,1H,J=7.8,1.5Hz),7.87(dd,1H,J=7.8,1.5Hz),7.55(t,1H,J=7.8Hz),7.45(t,1H,J=7.8Hz),7.20−7.18(m,2H),7.06−7.03(m,1H),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0201】
実施例28
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(4−メトキシフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化37】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z368、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),7.98(d,1H,J=7.8Hz),7.83−7.80(m,1H),7.59−7.50(m,3H),7.09(d,2H,J=8.7Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0202】
実施例29
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3−メチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化38】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z352、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.52(br s,1H),8.03(dd,1H,J=7.8,1.5Hz),7.84−7.82(m,1H),7.57−7.52(m,1H),7.43−7.42(m,3H),7.29(br s,1H),4.14(d,2H,J=6.0Hz),2.51(t,3H,J=1.8Hz)の表題化合物が得られた。
【0203】
実施例30
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(4−メチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化39】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z352、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.53(br s,1H),8.02−7.99(m,1H),7.84−7.82(m,1H),7.57−7.51(m,3H),7.36−7.33(m,2H),4.14(d,2H,J=6.0Hz),2.51(t,3H,J=1.8Hz)の表題化合物が得られた。
【0204】
実施例31
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(6−メトキシピリジン−3−イル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化40】

実施例1と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z369、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.54(br s,1H),8.69(d,1H,J=1.8Hz),8.21(dd,IH,J=8.7,1.8Hz),8.023(d,1H,8.1Hz),7.85−7.80(m,2H),6.98(d,1H,8.7Hz),4.14(d,2H,J=6.0Hz),2.51(m,3H)の表題化合物が得られた。
【0205】
実施例32
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(ピリジン−4−イル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化41】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z339の表題化合物が得られた。
【0206】
実施例33
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−(ピリジン−3−イル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化42】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z339、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.55(br s,1H),9.12(s,1H),8.73(s,1H),8.38(d,1H,J=8.1Hz),8.11(d,1H,J=8.4Hz),7.97(s,1H),7.90(d,1H,J=8.4Hz),7.69−7.65(m,1H),4.16(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0207】
実施例34
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−フェノキシ−2H−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化43】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z354、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.47(br s,1H),8.99(d,1H,8.7Hz),7.55−7.49(m,2H),7.33(t,1H,J=7.5Hz),7.24−7.21(m,2H),7.05−7.01(m,1H),6.96(d,1H,J=2.4Hz),4.12(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0208】
実施例35
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−7−ブロモ−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化44】

合成は、実施例1の化合物4のところで示した。次に、同様の手順により、カルボキシラート基上のt−ブチル基を脱保護し、LC−MS[M−H] m/z341、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.53(br s,1H),7.93−7.86(m,2H),7.68−7.65(m,1H),4.14(m,2H)の表題化合物が得られた。
【0209】
実施例36
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−ブロモ−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化45】

合成は、実施例16の化合物10のところで示した。次に、同様の手順により、カルボキシラート基上のt−ブチル基を脱保護し、LC−MS[M−H] m/z341、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.51(br s,1H),8.12(d,1H,J=7.8Hz),8.00(d,1H,J=7.8Hz),7.40(t,1H,J=7.8Hz),4.15(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0210】
実施例37
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−ブロモ−3−クロメニル)カルボニル]グリシンの合成
【化46】

先の実施例と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z341、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.56(br s,1H),8.07(d,1H,J=2.4Hz),7.99(dd,1H,J=9.0,2.4Hz),7.49(d,1H,J=9.0Hz),4.14(d,2H,J=6.0Hz)の表題化合物が得られた。
【0211】
実施例38
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−8−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2H−3−クロメニル)カルボニル]アラニンの合成
【化47】

グリシンt−ブチルエステルの代わりにアラニンt−ブチルエステルを用いることを除いて、実施例20と同様の手順に従うと、LC−MS[M−H] m/z420、およびH−NMR(300MHz,(CDSO)δ9.59(br s,1H),8.09−8.03(m,2H),7.95(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.86−7.76(m,2H),7.59(t,1H,7.5Hz),4.57(m,1H),1.48(d,1H,J=7.2Hz)の表題化合物が得られた。
【0212】
実施例A.HIF−PHD2酵素活性のアッセイ
ホモジニアスなTR−FRET技術を用いてHIF−PHD2活性を測定した(米国特許第2008/004817号(特許文献1);Dao JHら,Anal Biochem.2009,384:213−23(非特許文献3)も参照されたい)。1/2面積の96ウェルプレートの各ウェルに、DMSO中の試験化合物2μLと、600nMの全長PHD2を含むアッセイ緩衝液(50mMのTris(PH7.4)/0.01%のTween−20/0.1mg/mlのBSA/1mMのアスコルビン酸ナトリウム/20μg/mlのカタラーゼ/10μMのFeSO4)40μLとを添加した。室温で30分間のプレインキュベーションの後、8μLの基質(最終濃度0.2μMの2−オキソグルタラートおよび0.5μMのHIF−1αペプチドビオチニル−DLDLEMLAPYIPMDDDFQL)を添加して酵素反応を開始させた。室温で2時間の後、反応を停止させ、最終濃度1mMのオルト−フェナントロリン、0.1mMのEDTA、0.5nMの抗(His)LANCE試薬、100nMのAF647標識ストレプトアビジン、および30nMの(His)−VHL−エロンギンB−エロンギンC複合体となるよう、50μLのクエンチ/検出混合物を添加して、シグナルを発生させた。665nmでの時間分解蛍光シグナルと620nmでの時間分解蛍光シグナルの比を測定し、同時に行なった阻害されていない対照試料と比べて阻害率を算出した。
【0213】
実施例B.正常マウスにおけるエリスロポエチン(EPO)誘導の測定
8週齢の雄のC57BL/6マウスに、20、60および100mg/kgの試験化合物を経口投与した。投与6時間後、眼窩静脈叢から血液試料を採取し、血清を回収した(Robinson Aら,Gastroenterology.2008,134:145−55(非特許文献4);Hsieh MM,ら,Blood.2007,110:2140−7(非特許文献5)も参照されたい)。製造元の指示書に従って、電気化学発光に基づくイムノアッセイ(MSD)により、試料をEPOについて解析した。
【0214】
実施例C.正常マウスにおける血液学の測定
8週齢の雄のC57BL/6マウスに、1週間の間、1日1回、60mg/kgの試験化合物を経口投与した。投与1、3および5日後を含む時点で、眼窩静脈叢から血液試料を採取した。自動化血液学分析装置MEK−6318Kを用いて、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(HGB)、ヘマトクリット値(HCT)などの血液学的パラメータを測定した。
【0215】
実施例D.薬物動態試験
試験化合物を、絶食させた雄のCD(SD)IGSラット(n=6/群)に、50mg/kgで単回経口投与として溶液に含めて投与した。投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間および24時間で、各々の個々の動物の眼窩静脈叢から血漿試料を採取した。血漿試料中の化合物血液濃度をHPLCで測定した。
【0216】
実施例Aの酵素アッセイにおける本発明の特定の実施例化合物のIC50値を以下のように表1に示す。
【表1】

【0217】
本発明は、その特定の好ましいバージョンに関してかなり詳細に記載されているが、他のバージョンが可能である。それゆえ、本発明の精神および範囲は、本明細書に記載の好ましいバージョンの記載に限定されるべきではない。
【0218】
要約および図面を含む、本明細書に開示された全ての特徴、ならびに開示された任意の方法またはプロセスにおける全ての工程は、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が相互排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。要約および図面を含む、本明細書に開示された各々の特徴は、別途明示的に記述されない限り、同一、同等または同様の目的にかなう代わりの特徴に置き換えることができる。したがって、別途明示的に記述されない限り、開示された各々の特徴は、包括的な一連の同等または同様の特徴の一例に過ぎない。前述の記載から、当業者には、本明細書に記載された改変の他に、本発明の様々な改変が明白となるであろう。そのような改変もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0219】
本出願に引用された各々の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

または薬学的に許容されるその塩、またはその溶媒和物、またはそのキレート、またはその非共有結合錯体、またはそのプロドラッグであって、
式中、
nは1〜6であり、
は、OH、SH、NR、NHC(O)R、NHSOおよびスルホニルから選択され、
は、H、低級アルキルおよび置換低級アルキルから選択され、
およびRは、独立に、H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ハロアルキル、置換低級ハロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは結合して、3〜6員環もしくは置換3〜6員環を形成することができ、
は、OH、SH、NH、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ、およびスルファニルから選択され、
、R、RおよびRの各々は、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、NR、C(O)OH、OR12、SR12、SO12、CN、NO、ハロ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アルキルシリル、置換アルキルシリル、アルキニルシリル、置換アルキニルシリル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、および−X−R11から選択されるか、
または隣接対のRおよびR、RおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRのうちの少なくとも1つは、結合して、4〜7員環または置換4〜7員環を形成し、
Xは、−N(R10)−Y−および−Y−N(R10)−から選択され、
Yは、C(O)、SO、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、および置換アルキニレンから選択され、
10は、H、低級アルキル、および置換低級アルキルから選択され、
11は、H、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールから選択され、かつ
12は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニルおよびNRから選択される、化合物または薬学的に許容されるその塩、またはその溶媒和物、またはそのキレート、またはその非共有結合錯体、またはそのプロドラッグ
【請求項2】
がOHおよびSHから選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
がOHである、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
がHおよび低級アルキルから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
がHである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
およびRが、各々独立に、H、低級アルキル、および低級ハロアルキルから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
およびRが、各々独立に、Hおよび低級アルキルから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
およびRが各々Hである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
およびRが結合して、3〜6員環または置換3〜6員環を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
前記3〜6員環または前記置換3〜6員環が少なくとも1つのヘテロ原子を含む、請求項9に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
前記3〜6員環または前記置換3〜6員環が少なくとあと2つのヘテロ原子を含む、請求項9に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
が、OH、SH、NH、および低級アルコキシから選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
がOHである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
隣接対のRおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRのうちの少なくとも1つが、結合して、4〜7員環または置換4〜7員環を形成する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
前記4〜7員環または前記置換4〜7員環が少なくとも1つのヘテロ原子を含む、請求項14に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
前記4〜7員環または前記置換4〜7員環が少なくとあと2つのヘテロ原子を含む、請求項14に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
前記4〜7員環または前記置換4〜7員環が少なくとも3つのヘテロ原子を含む、請求項14に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、ハロおよび少なくとも1つのハロと置換された部分から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、独立に、アルコキシまたは置換アルコキシから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項20】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、独立に、アルキルシリル、置換アルキルシリル、アルキニルシリル、および置換アルキニルシリルから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項21】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、独立に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、および置換ヘテロシクロアルキルから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、および置換アルキニルから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
およびRのうちの少なくとも1つが、独立に、置換アリール、および置換ヘテロアリールから選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項24】
およびRのうちの少なくとも1つが、独立に、置換フェニル、および置換ピリジルから選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
およびRのうちの少なくとも1つが、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、またはハロアルコキシと置換されたフェニルである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項26】
およびRのうちの少なくとも1つが、パラ位またはメタ位でハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、またはハロアルコキシと置換されたピリジルである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項27】
前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、式IIの化合物:
【化2】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
21は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
22は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
はNまたはCR23であり、かつ
23は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R21およびR22および(存在する場合)R23のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項28】
がCR23である、請求項27のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項29】
21が、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項30】
22が、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項31】
がCR23であり、R23が、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項32】
がCR23であり、R21、R22、およびR23のうちの1つが、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21、R22、およびR23のうちのあと2つが両方ともHである、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項33】
がCR23であり、R21およびR23のうちの1つが、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21およびR23のうちのもう1つがHである、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項34】
22がHである、請求項33に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項35】
がCR23であり、R21、R22、およびR23のうちの2つが、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21、R22、およびR23のうちのあと1つがHである、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項36】
22がHである、請求項35に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項37】
がCR23であり、R21、R22、およびR23が、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項27もしくは28に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項38】
がNである、請求項27に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項39】
がNであり、R21およびR22のうちの1つが、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR21およびR22のうちのもう1つがHである、請求項27もしくは38に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項40】
がNであり、R21およびR22は、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項27もしくは38に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項41】
前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、式IIaの化合物:
【化3】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
21は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつ
22は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R21およびR22のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、
請求項27に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項42】
21がHであり、かつR22が、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項43】
21がHであり、かつR22が低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項44】
21がHであり、かつR22がC1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項45】
22がメチルおよびCハロアルキルから選択される、請求項44に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項46】
22がC1−3アルキルから選択される、請求項44に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項47】
22がメチルまたはエチルから選択される、請求項44に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項48】
22がHであり、かつR21が、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項49】
22がHであり、かつR21が低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項50】
21がメチルおよびCハロアルキルから選択される、請求項49に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項51】
21がC1−3アルキルから選択される、請求項49に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項52】
21がメチルまたはエチルから選択される、請求項49に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項53】
21およびR22が、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項54】
21およびR22が、各々独立に、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される、請求項41に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項55】
前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、式IIIの化合物:
【化4】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
24は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
25は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
はNまたはCR26であり、かつ
26は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R24およびR25および(存在する場合)R26のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項56】
がCR26である、請求項55に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項57】
24が、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される、請求項55もしくは56に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項58】
25が、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される、請求項55〜57のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項59】
がCR26であり、R26が、H、Cl、F、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択される、請求項55〜58のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項60】
がCR26であり、R24、R25、およびR26のうちの1つが、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24、R25、およびR26のうちのあと2つが両方ともHである、請求項55もしくは56に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項61】
がCR26であり、R24およびR26のうちの1つが、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24およびR26のうちのもう1つがHである、請求項55もしくは56に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項62】
25がHである、請求項61に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項63】
がCR26であり、R24、R25、およびR26のうちの2つが、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24、R25、およびR26のうちのあと1つがHである、請求項55もしくは56に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項64】
25がHである、請求項63に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項65】
がCR26であり、R24、R25、およびR26が、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項55もしくは56に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項66】
がNである、請求項55、57〜58のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項67】
がNであり、R24およびR25のうちの1つが、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつR24およびR25のうちのもう1つがHである、請求項55もしくは66に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項68】
がNであり、R24およびR25が、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項55もしくは66に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項69】
前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、式IIIaの化合物:
【化5】

または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
24は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、かつ
25は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択され、
ただし、R24およびR25のうちの少なくとも1つは、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、
請求項55に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項70】
24がHであり、かつR25が、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項71】
24がHであり、かつR25が低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項72】
24がHであり、R25がC1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項73】
25がメチルおよびCハロアルキルから選択される、請求項72に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項74】
25がC1−3アルキルから選択される、請求項72に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項75】
25がメチルまたはエチルから選択される、請求項72に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項76】
25がHであり、かつR24が、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項77】
25がHであり、かつR24が低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項78】
24がメチルおよびCハロアルキルから選択される、請求項77に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項79】
24がC1−3アルキルから選択される、請求項77に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項80】
24がメチルまたはエチルから選択される、請求項77に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項81】
24およびR25が、各々独立に、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、および低級ハロアルコキシから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項82】
24およびR25が、各々独立に、C1−2アルキルおよびC1−2ハロアルキルから選択される、請求項69に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項83】
実施例1〜15、実施例17〜33、および実施例35〜38から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項84】
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、補助剤または担体、および治療有効量の請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物。
【請求項85】
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、補助剤、または担体、および治療有効量の請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1つのさらなる化合物とともに含む、医薬組成物。
【請求項86】
該さらなる化合物が、赤血球生成促進剤または化学療法剤から選択される、請求項85に記載の医薬組成物。
【請求項87】
前記少なくとも1つの化合物が、虚血、貧血、およびサラセミアから選択される少なくとも1つの疾患の治療に有効な量で存在する、請求項84〜86のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項88】
対象におけるHIFレベルまたは活性を調節する方法であって、前記対象に請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法。
【請求項89】
患者における疾患、障害、または状態を治療するための方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含み、ここで、前記疾患、障害、または状態は、HIFレベルまたはHIF活性と関連する、方法。
【請求項90】
HIFレベルまたはHIF活性と関連する疾患、障害、または状態の治療における、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項91】
HIFレベルまたはHIF活性と関連する疾患、障害、または状態の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項92】
患者における疾患、障害、または状態を治療するための方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含み、ここで、前記疾患、障害、または状態は、虚血、貧血、創傷治癒、自己移植、異物移植、異種移植、全身性高血圧、サラセミア、糖尿病、癌もしくは炎症性障害、またはそれらの2以上の組合せである、方法。
【請求項93】
患者における疾患、障害、または状態を治療するための方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含み、ここで、前記疾患、障害、または状態は、貧血または虚血関連障害である、方法。
【請求項94】
細胞におけるHIFの量を調節する方法であって、前記細胞を請求項1〜83のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項95】
貧血または虚血関連障害である疾患、障害、または状態の治療における、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項96】
貧血または虚血関連障害である疾患、障害、または状態の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項97】
虚血、貧血、およびサラセミアから選択される疾患、障害、または状態の治療における、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項98】
虚血、貧血、およびサラセミアから選択される疾患、障害、または状態の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項99】
前記化合物のHIF PHD阻害活性IC50値が40μM以下である、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項100】
前記HIF PHD阻害活性IC50値が10μM以下である、請求項1〜83のいずれか一項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−532897(P2012−532897A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519871(P2012−519871)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001057
【国際公開番号】WO2011/006355
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512009609)ジャージャン ベータ ファーマ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG BETA PHARMA INC.
【住所又は居所原語表記】589 Hongfeng RD.Yuhang,Hangzhou,Zhejiang 311100 China
【出願人】(512009610)
【氏名又は名称原語表記】KANG,Xinshan
【住所又は居所原語表記】Building 29,Beijing Polytechnic University Software Park 1,North Disheng St.,Buisness Development Area,Beijing 100176 China
【Fターム(参考)】