説明

住宅建築および商業建築用途用の高分子繊維断熱バット

高分子繊維を用いて建物断熱用途に適した繊維断熱バットを作製する。そのバットを作製するためにステープルファイバーとバインダー繊維の混合物が用いられる。バットは、5〜15kg/m3のかさ密度、30〜50mW/m・Kの熱伝導率、および250〜550のλ×密度の値を有する。バットは、繊維のウェブを形成し、そのウェブを検量、ヒートセットすることによって作製することができる。このウェブは、空気式または機械的カーディングプロセスを用いて形成することができる。幾つかのプロセスではバットは、ウェブの複数プライのスタックを形成し、そのスタックを検量、ヒートセットすることによって作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子繊維断熱バットに関する。
【背景技術】
【0002】
断熱バット材は、織物としてまた建物の断熱材として同じくらい多様な用途に広く使用されている。これらバット材の広範な用途のために、特定の市場ニーズを満たすように様々な断熱性バット材が開発されてきた。これは、断熱材の2つの主な市場、すなわち一方では織物またもう一方では建物の断熱に関して例示することができる。
【0003】
この数世紀の間、織物用途用の最上の材料は羽毛であった。羽毛はきわめてすぐれた断熱特性を与え、その柔らかな感触とすぐれた緩衝特性についてよく知られている。羽毛の主な問題はその高コストである。この羽毛の高コストの結果、現在ではその使用はほとんど高級な織物用途にのみ限定されている。
【0004】
したがって多くの努力は、織物用途用羽毛のより安価な代替物の開発に費やされている。この取り組みは、同等の断熱特性を与え、軽量で、かつ許容できる触感特性を有する材料を開発することであった。触感特性は、それらが快適さおよび美しさの両方に影響するので織物用途では非常に重要である。衣類は、身に着けた場合に魅力的に見え、かつ快適であるように十分に「体にフィット」しなければならない。寝具材料(例えば、毛布、マットレスパッド、掛け布団、スリーピングバッグ)もまた使用するのに快適でなければならない。これらの属性は、時に織物の「風合い」または「手触り」として表わされる。
【0005】
有機高分子繊維を基材とした断熱性バットが、繊維産業のニーズを満たすために開発されてきた。これらのバット材は、1または複数種のけん縮ステープルファイバーと、バインダー繊維とを含む繊維混合物から作られるウェブとして一般に記述することができる。ほとんどの場合、それら繊維を互いに結合させてより大きな凝集塊にするためにウェブはヒートセットされる。このようなバット材の例は、例えば米国特許第4,118,531号明細書、米国特許第4,129,675号明細書、米国特許第4,304,817号明細書、米国特許第4,588,635号明細書、米国特許第4,992,327号明細書、米国特許第5,437,909号明細書、米国特許第5,437,922号明細書、米国特許第5,443,893号明細書、米国特許第5,582,905号明細書、米国特許第5,597,427号明細書、米国特許第5,698,298号明細書、および欧州特許第0217484号明細書を含めた様々な参考文献中に記載されている。繊維の太さは、そのバットの触感特性だけでなく断熱特性においても役割を演ずることが示されている。この理由で3〜12μmの範囲の繊維径が、時にはより太い繊維と混ぜ合わせて使用されるとしても、これらバット材では主に使用される。
【0006】
建物の断熱材に対する要求は、織物用途の場合と非常に異なる。触感の属性は、建物の断熱材にとってあまり重要でなく、したがってこれら材料の重点はそれらの断熱特性および使い易さである。またコストが建物の断熱用途では第一に考慮すべき事柄であり、繊維産業の場合よりもなおさらそうである。織物では繊維または羽毛などの原料のコストは、最終製品の全体コストの小さな部分を意味するに過ぎない。この理由で多くの場合、代替材料間のコストの違いは、結果として幾つかの重要な特性が犠牲にされる場合、或る材料を別の材料に優先して選択することを後押しすることにはならない。コストが建物用途用の材料を選択する際に第一に考慮すべき事柄であることが多い建築材料の場合はそうではない。
【0007】
建物の断熱用途に求められる独特の要求および低コストに対する重点のために、建物の断熱用途材料は、一方ではフォームボード断熱材、またもう一方ではガラス繊維または鉱滓綿のバットによって支配されてきた。ガラス繊維および鉱滓綿は両方とも比較的安価であり、かつすぐれた断熱性を与えることができる。しかしこれらの材料は刺激原であり、皮膚、眼、および肺(よくあることだが吸入した場合)の損傷を引き起こす恐れがある。ガラス繊維または鉱滓綿のバット断熱材を扱う仕事をする場合、皮膚、眼、および吸入の保護具を身に着けるべきである。
【0008】
ガラス繊維断熱材は、建物の断熱用途に使用される密度ではきわめて曲げやすいため扱いにくい傾向がある。その結果、大部分のキャビティ断熱用途にとって有用な太さおよび長さを有するガラス繊維断熱材の断面は、それら自体の重量を支えることができない。大部分のキャビティ断熱バットは、程度の差はあれ一直線に容易に裂けないという更なる欠点を有する。大部分のガラス繊維断熱材は垂直または頭上に取り付ける場合、その場所に固定される(その製品に防湿材を取り付ける場合、一般には釘により)までそれを定位置に保持しなければならない。これは一人で取り付けることを困難にする。この追加の労働者は設置コストを増大させる。曲がりにくい製品は、固定される(固定が必要だとしても)まで殆どまたは全く支えなしにその場所に設置し、そこに「立てる」ことができるので、特に垂直に取り付ける場合、ある程度は取り付けを容易にする。
【0009】
建築業において考慮すべき別の重要な事柄は、ある特定のバット材を圧縮力からいかに完全に回復させるかである。建築用途用の繊維バットは、保管および輸送コストを低減するために、ほとんど常に圧縮された形で保管され輸送される。例えばガラス繊維断熱材は、一般に巻取品として販売され、バットはその完全に膨張させた厚さの4分の1以下まで圧縮されている。幾つかの地域では断熱バットは、標準の壁高および骨組部材間隔に合った予め切断された長さおよび幅で販売される。このような事例ではバットは、しばしば積み重ねて束にされ、それらの厚さを減らすために圧縮される。この断熱用バットを開梱し、圧縮力を取り除く場合、バットがその正常な厚さに戻ることが重要である。もしそうすることができない場合、それは望ましい熱貫流抵抗を与えないことになる。
【0010】
ガラス繊維および鉱滓綿のバットのこれら欠点のために、代替製品が望ましいことになる。ポリエステルなどの合成高分子繊維は刺激がより少なく、したがってもし他の必要条件を満たすバットを生産することができるならば、この理由でこのような用途にそれらを使用することが望ましいはずである。主な問題の一つはそれら繊維のコストである。大部分の合成高分子繊維は、ガラス繊維および鉱滓綿に比べて高価である。成功した合成高分子繊維から製造されるバット製品は、そのより高い繊維コストを埋め合わせるために重量がきわめて軽くなければならなかったはずである。しかし低密度製品に対する必要性は、上記で述べたような他の必要な特性とバランスを保たなければならない。
【0011】
建物の断熱用途用の合成繊維バットを生産する試みはあったが、それらの製品は性能とコストの両方の期待にかなうという点でこれまで成功していない。このような製品は米国特許第5,723,209号明細書に記載されている。その製品は、ポリエステル繊維から作られた巻取可能な断熱材として記載されている。米国特許第5,723,209号明細書は、35〜40mW/m・Kの熱伝導率(λ値)を示し、かつ27kg/m3の密度を有するバットについて記載している。米国特許出願公開第2004/0132375号明細書は、約19kg/m3以上の密度を有し、870を超えるλ−密度の値を示すバットについて記載している。さらに数種の市販のポリエチレンテレフタレート繊維バット製品が建築用途に販売されている。それらにはAutex(ニュージーランド)によりQUIETSTUF ABBとして販売されているもの、イタリアにおいてORV Manufacturing SPAにより販売されているEDILFIBER製品、およびドイツのCaruso GmbHにより販売されている製品が挙げられる。これらの製品は16〜30kg/m3の範囲の密度を有し、約35〜45mW/m・Kの範囲のλ値を有する傾向がある。或るQUIETSTUF ABB製品は、わずか11.6kg/m3の密度を有するにすぎないが、53mW/m・Kのλ値を示す。これら製品の大部分は高密度のために、それらがガラス繊維および鉱滓綿のバットと競争するにはコストが高すぎる。QUIETSTUF ABB材料によって示されるように密度を下げることは熱伝導率を増加させ、したがってこれらの材料によって低い密度と良好な熱伝導率の組合せは達成されない。
【0012】
さらにステープルファイバーと二成分繊維(bicomponent fiber)の混合物から作られた高分子繊維バットフリース材料が、独国特許出願公開第19840050号明細書に記載されている。このフリースは、音響減衰用途に有用であると記されている。
【0013】
【特許文献1】米国特許第4118531号明細書
【特許文献2】米国特許第4129675号明細書
【特許文献3】米国特許第4304817号明細書
【特許文献4】米国特許第4588635号明細書
【特許文献5】米国特許第4992327号明細書
【特許文献6】米国特許第5437909号明細書
【特許文献7】米国特許第5437922号明細書
【特許文献8】米国特許第5443893号明細書
【特許文献9】米国特許第5582905号明細書
【特許文献10】米国特許第5597427号明細書
【特許文献11】米国特許第5698298号明細書
【特許文献12】欧州特許第0217484号明細書
【特許文献13】米国特許第5,723,209号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0132375号明細書
【特許文献15】独国特許出願公開第19840050号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがってすぐれた断熱特性と、低コストと、加えられた圧縮力からの良好な回復とを可能にし、かつ好ましくは幾らか剛性で、したがって垂直または頭上設置において容易に取り付けることができる住宅建築および商業建築の用途に合わせた断熱バットを提供できれば望ましいはずである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様において本発明は、絡合し、メルトボンドしたポリエステル繊維から作られた圧縮性ポリエステル繊維断熱バットであり、そのポリエステル繊維は少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径は7.0〜20.5μmであり、それら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、その断熱バットは、A)5〜15kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、B)30〜50mW/m・Kのλ値を示し、C)λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、λ×密度の値が250〜550を示し、D)25〜300mmの非圧縮厚さを有し、かつE)縦方向および幅方向の少なくとも一方において少なくとも4kPaの引張応力を示す。有利にはこの断熱バットは、その元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内にその最初の厚さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%回復する。
【0016】
別の態様において本発明は、絡合し、メルトボンドしたポリエステル繊維から作られた圧縮性ポリエステル繊維断熱バットであり、そのポリエステル繊維は少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径は12.0〜20.5μmであり、それら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、その断熱バットは、A)6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、B)35〜50mW/m・Kのλ値を示し、C)λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、λ×密度の値が250〜550を示し、かつD)25〜300mmの非圧縮厚さを有する。
【0017】
第三の態様において本発明は、25〜300mmの非圧縮厚さを有するボードストックの形態のポリエステル繊維断熱バットであり、そのバットは240mm以下の片持ちたわみ値(overhang deflection value)を示し、このバットは絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、そのポリエステル繊維は少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径は7.0〜20.5μmであり、それら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、その断熱バットは、A)5〜15kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、かつB)30〜50mW/m・Kのλ値を示す。
【0018】
さらに別の態様において本発明は、25〜300mmの非圧縮厚さを有するボードストックの形態のポリエステル繊維断熱バットであり、そのバットは240mm以下の片持ちたわみ値を示し、このバットは絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、そのポリエステル繊維は少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径は12.0〜20.5μmであり、それら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、その断熱バットは、A)6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、かつB)35〜50mW/m・Kのλ値を示す。
【0019】
さらに別の態様において本発明は、ロールに巻かれたポリエステル繊維断熱バットであり、そのバットは25〜300mmの非圧縮厚さおよび5〜15kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、このポリエステルバットは絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、そのポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径は7.0〜20.5μmであり、それら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、またさらにその断熱バットを巻き出し再膨張させたとき30〜50mW/m・Kのλ値を示す。
【0020】
さらに別の態様において本発明は、ロールに巻かれたポリエステル繊維断熱バットであり、そのバットは25〜300mmの非圧縮厚さおよび6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、上記バットはロール中でその非圧縮厚さの25%以下まで圧縮され、そのポリエステルバットが絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、そのポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径は12.0〜20.5μmであり、それら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、さらにその断熱バットを巻き出し再膨張させたとき35〜50mW/m・Kのλ値を示す。
【0021】
本発明は、少なくとも2つのほぼ平行した骨組み部材を含む骨組み構造体に接合された少なくとも1つの主要表面材を備え、この骨組み部材および上記少なくとも1つの主要表面材が少なくとも1つの空洞を画定し、この空洞が本発明のポリエステル繊維断熱バットで実質上満たされている壁、天井、屋根、または床構造物である。
【0022】
本発明はまた、少なくとも2つのほぼ平行した骨組み部材を含む骨組み構造体に接合された少なくとも1つの主要表面材によって画定された1または複数の空洞を有する壁、天井、屋根、または床構造物を断熱するために、少なくとも1つのそのような空洞中へ本発明のポリエステル繊維断熱バットを挿入するステップを含む方法である。
【0023】
本発明はまた、
A.空気カーディングによって絡合ポリエステル繊維のウェブを形成する工程であって、そのポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径が7.0〜20.5μmであり、かつそれら繊維の少なくとも55重量%がけん縮している、工程と、
B.上記ウェブを検量、ヒートセットして、絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維を含有する断熱バットを形成する工程と
を含む断熱バットの生産方法である。
【0024】
本発明はまた、
A.空気カーディングによって絡合ポリエステル繊維のウェブを形成する工程であって、そのポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径が12.0〜20.5μmであり、かつそれら繊維の少なくとも55重量%がけん縮している、工程と、
B.上記ウェブを検量、ヒートセットして、絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維を含有する断熱バットを形成する工程と
を含む断熱バットの生産方法である。
【0025】
本発明はまた、
A.絡合ポリエステル繊維のウェブの複数断片を形成する工程であって、そのポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径が7.0〜20.5μmであり、かつそれら繊維の少なくとも55重量%がけん縮され、その絡合ポリエステル繊維のウェブが約5〜60g/m2の重量を有する、工程と、
B.上記複数ウェブ断片のスタックを形成する工程と、
C.上記ウェブ断片のスタックを検量、ヒートセットして、絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維の複数の個別プライを含有する断熱バットを形成する工程であって、各個別プライが0.36〜10.0mmの厚さを有する、工程と
を含む断熱バットの生産方法である。
【0026】
本発明はまた、
A.絡合ポリエステル繊維のウェブの複数断片を形成する工程であって、そのポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径が12.0〜20.5μmであり、かつそれら繊維の少なくとも55重量%がけん縮され、その絡合ポリエステル繊維のウェブが約5〜60g/m2の重量を有する、工程と、
B.上記複数ウェブ断片のスタックを形成する工程と、
C.上記ウェブ断片のスタックを検量、ヒートセットして、絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維の複数の個別プライを含有する断熱バットを形成する工程であって、各個別プライが0.36〜10.0mmの厚さを有する、工程と
を含む断熱バットの生産方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の高分子繊維のバットは、合成ポリマーのステープルファイバーおよびバインダー繊維の混合物から作られる。これら繊維の少なくとも一部は、けん縮される。これら繊維は絡合され、メルトボンドされる。
【0028】
これらステープルファイバーは、長さ(次に述べるようにけん縮している場合は完全に伸長した状態で)約25mm〜約300mm、好ましくは約25mm〜約150mm、とりわけ30mm〜75mmを有することを特徴とする。これらステープルファイバーは中空でも中実でもよい。それらは円形断面を有してもよく、またより複雑な断面形状(楕円形、多浅裂形など)を有してもよい。
【0029】
バインダー繊維はメルトボンド機能を備える。バインダー繊維、またはその表面の少なくとも一部は、ステープルファイバーの軟化温度よりも低い軟化温度を有する。本明細書の文脈中の「軟化温度」とは、繊維(またはその一部)が粘着性になり、その繊維バット中の別の繊維と接着することができるようになるために十分軟らかくなる温度を意味する。バインダー繊維(またはバインダー繊維の表面の少なくとも一部)の軟化温度は、ステープルファイバーの軟化温度よりも低い。これにより、バインダー繊維がヒートセットの工程(下記)の間に、ステープルファイバーもまた軟化させることなく軟化することが可能になる。軟化点の違いは、そのヒートセットプロセスが容易に制御されてステープルファイバーを軟化させることなくバインダー繊維(またはその低軟化点部分)のみを軟化することができるように十分大きい。少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、とりわけ少なくとも30℃の軟化温度の差が、一般には適している。
【0030】
好ましいバインダー繊維は、少なくとも2つの区域からなる、いわゆる「多成分繊維(multicomponent fiber)」(時には「二成分繊維」または「複合繊維」とも呼ばれる。)である。これら区域のうちの少なくとも1つは、今述べたような低軟化点材料である。このような区域は、その多成分繊維の表面の少なくとも一部を構成する。少なくとも1つの他の区域は、幾分高い温度で軟化する高軟化点材料でできており、それはその繊維の高軟化点部分を軟化させることなく、低軟化点材料をヒートセットプロセスの間に軟化することを可能にする。前述のように軟化温度間の少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃の差は、一般にそのプロセスを制御しやすくするはずである。多成分繊維のそれら区域は、その低軟化点材料がその繊維の表面の少なくとも一部を形成するという条件で、サイドバイサイド形態や鞘−芯形態、または種々様々な他の形態で配置することができる。
【0031】
多成分繊維は、メルトボンディングの工程においてその繊維の高融点区域はそれらの形状を保持したままで低融点区域のみが軟化するようになるので、好ましい型のバインダー繊維である。したがってメルトボンディングの後、多成分繊維の高融点区域は、バットの嵩高性ならびに圧縮からの回復能力に寄与する。
【0032】
バインダー繊維は、好適にはステープルファイバーに関して述べたと同様の長さを有する。バインダー繊維は、ステープルファイバーに関して述べたと同様に中実でも中空でもよく、また円形または他の断面を有することができる。
【0033】
ステープルファイバーとバインダー繊維の重量比は、好適には55:45〜80:20である。ステープルファイバーとバインダー繊維の好ましい重量比は、65:35〜80:20である。これらの範囲内では圧縮からの回復、断熱特性(下記試験法によるλ値として表わされる)、およびλ×密度の良好なバランスが得られる。2種類以上のステープルファイバーおよび/または2種類以上のバインダー繊維の組合せを使用してバットを作製することは、本発明の範囲内である。
【0034】
バットを作製するために使用される繊維の少なくとも55重量%が、けん縮される。けん縮は、繊維が低密度のバットを形成する能力を向上させ、かつカードまたはクロスラッププロセスにおいて作製されたバットが加えられた圧縮力から回復する能力を向上させる。けん縮は、機械的けん縮、らせん状けん縮、または別の種類であることができる。繊維は、2種類以上のけん縮の組合せを有することもできる。機械的にけん縮した繊維は、好適にはけん縮密度が25mm当たり1〜30、好ましくは25mm当たり2〜30、とりわけ25mm当たり4〜20である。好ましくは繊維の少なくとも70重量%がけん縮され、また繊維の100重量%までけん縮することもできる。ステープルファイバーの少なくとも一部はけん縮され、ステープルファイバーの少なくとも50重量%、とりわけ少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%をけん縮することが好ましい。ステープルファイバーのすべてをけん縮してもよい。けん縮繊維は、ゆるいけん縮(25mm当たり1〜2)でも、低けん縮(25mm当たり2〜10)でも、標準けん縮(25mm当たり10〜15)でも、また高度のけん縮(25mm当たり25超)でもよい。けん縮の望ましい度合は、そのバットがエアレイプロセスを用いて生産されるか、それともカードまたはクロスラッププロセスを用いて生産されるかによって影響されることがある。バインダー繊維はけん縮されてもされなくてもよいが、バインダー繊維の全部でないとしても少なくとも一部はけん縮されることが好ましい。
【0035】
ステープルファイバーは、バインダー繊維の低融点区域の軟化温度よりも少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃高い軟化温度を有する1種または複数種の熱可塑性有機ポリマーのものである。好ましい有機ポリマーはポリエステル、具体的には脂肪族ジオールまたはポリ乳酸と、芳香族二酸、芳香族二酸エステル、または芳香族酸無水物の反応生成物に該当するポリエステルである。特に好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートである。
【0036】
同様にバインダー繊維は、そのバインダー繊維の少なくとも一部分が前述のようなより低軟化点材料から構成されるという条件で、1種または複数種の熱可塑性有機ポリマーから構成される。高および低軟化点材料の広範囲の組合せを用いてバインダー繊維を作ることができる。例えばポリエステルをその繊維の高軟化点成分として使用することができ、その低軟化点成分はより低軟化点ポリエステル、ポリオレフィン、またはポリアミドであることができる。好ましくは低軟化点材料は、脂肪族ジオールまたはポリ乳酸と、芳香族または脂肪族二酸および芳香族または脂肪族二酸エステル、あるいは芳香族または脂肪族酸無水物との反応生成物に該当するポリエステルである。非晶質または半結晶性ポリエステルをバインダー繊維の成分として使用することもできる。例えばその低融点ポリエステルは、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸やイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、および/またはヘキサヒドロテレフタル酸やヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類のいずれかと、脂肪族基、およびジエチレングリコールやポリエチレングリコールやプロピレングリコールやp−キシレングリコールなどの脂環式ジオール類のいずれかとを含有し、必要に応じてp−ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類のいずれかを加えた共重合ポリエステルであることができる。例えば低融点ポリエステルは、イソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを加えて、テレフタル酸とエチレングリコールを共重合することによって調製することができる。
【0037】
有用な多成分繊維の例は、米国特許出願公開第2004/0132375号明細書および米国特許第4,950,541号明細書に記載されている。
【0038】
本発明の好ましいバットは、ポリエステルステープルファイバーおよびポリエステルバインダー繊維を含み、そのバインダー繊維中のポリエステル樹脂が前述のような低軟化点樹脂である。
【0039】
本発明のより好ましいバットは、ポリエステルステープルファイバーと、場合によっては補剛繊維と、少なくとも1つの高軟化点ポリエステルセグメントおよび少なくとも1つの低軟化点有機ポリマーセグメントを有する多成分バインダー繊維とを含む。特に好ましい低軟化点有機ポリマーは、最も好ましくはこれもまたポリエステルポリマーである。これらポリエステル樹脂の軟化温度は樹脂の分子量に多少左右され、低分子量ポリエステル樹脂は、或る高分子量ポリエステル樹脂よりも低い軟化点を有する。したがって特に好ましい実施形態では比較的低分子量のポリエステル樹脂が多成分繊維の低軟化点セグメントとして使用され、またより高分子量のポリエステル樹脂がステープルファイバーおよび多成分バインダー繊維の高軟化点セグメントを形成するために使用される。
【0040】
ステープルファイバーおよび/またはバインダー繊維を形成するために使用される有機ポリマーは、追加の成分を含有することができる。そのような追加の成分の例には、例えば可塑剤、染料、顔料、乳白剤、酸化防止剤、生物致死剤、および赤外線吸収剤が挙げられる。
【0041】
赤外線吸収剤を含有する繊維は、その赤外線吸収剤の存在がバットの断熱特性をさらに改良することができるので、本発明にとっては特に関心がある。好適な赤外線吸収剤は、赤外線を吸収し、その吸収されたエネルギーを別の形(熱など)で放散させることができる材料である。赤外線吸収剤は、樹脂のポリマー成分に可溶であってもよい。あるいは、ポリマーと混ぜたその薬品のブレンド物が、本発明(下記で述べるように)で使用される微細な径の繊維を形づくることができる十分小さな粒径を有する固形物であることもできる。特に興味のある赤外線吸収剤には、カーボンブラックまたはファーネスブラックなどの炭素質粒状物質ならびに炭酸カルシウムなどの材料が挙げられる。赤外線吸収材料は、好ましくは繊維径の1/4未満、より好ましくはその繊維径の1/10未満の粒径を有するべきである。炭素質粒状物質は、白色または明るい色のバットが望ましい場合はあまり好ましくないが、色が重要でない場合またはそれが所望の色を得る邪魔をしない場合は好ましい。このような赤外線吸収剤を含有する繊維は、その任意の有効な量を含有することができるが、繊維の重量を基準にしてその1〜10%、とりわけ1.8〜10%の量が特に適切である。そのバットを作製するために用いられる繊維の1〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%が、赤外線吸収剤に相当することができる。赤外線吸収剤は、ステープルファイバーまたはバインダー繊維、あるいはその両方に存在することができる。
【0042】
赤外線吸収剤として少量の二酸化チタンもまた役立つ場合があり、またそれは着色剤または艶消剤として少々多量に用いることもできる。
【0043】
ステープルファイバー、バインダー繊維、および任意選択の補剛繊維の径は、全体としてその平均繊維径が7.0〜20.5μmまたは12.0〜20.5μmの範囲にあるように選択される。平均繊維径は、9〜18μmまたは13〜18μmであることができる。一般に繊維は、9000メートルの繊維のグラムで表した重量として定義される「デニール」によってそれらの特徴が示される。したがってデニールは、その材料の断面積および密度の関数である。中実の円形断面を有するポリエステルの場合、9.6〜20.5μmの繊維径は、約0.9〜4デニールに相当し、また12.0〜20.5μmの繊維径は、約1.5〜4デニールに相当する。
【0044】
本発明の目的の場合、平均径は次の関係式により求められる。
【0045】
【数1】

【0046】
式中、xnは繊維nの重量分率を表し、Dnは繊維nの直径を表し、dnは繊維nの密度を表す。この平均径は重量平均径を表す。
【0047】
平均繊維径が上記範囲を超えて増大するに従って14kg/m3以下のバット密度で50mW/m・Kのλ値を達成することが困難になる。バットを生産するための原料コストはバット重量の低下と共に低減する傾向があるので、低いバット密度はコストを考慮する場合には重要である。バットの費用効果の有用な指標はλ×密度の値であり、これは本発明の目的の場合、バットのλ値にバットの密度を乗ずることによって得られる。似たλ値を有するバットのλ×密度の値を比較することによって、似た断熱値を与える様々なバットを生産するための相対的コストのおおよその目安を得ることができる。本発明によるバットは、有利には下記特性の組合せ、すなわち、A)5〜15kg/m3の非圧縮バット密度、B)30〜50mW/m・Kのλ値、およびC)λを単位mW/m・Kで表わし、密度を単位kg/m3で表した場合、250〜550、好ましくは275〜500、とりわけ300〜450の範囲のλ×密度の値を有する。本発明による他のバットは下記特性の組合せ、すなわち、A)6〜14kg/m3の非圧縮バット密度、B)35〜50mW/m・Kのλ値、およびC)λを単位mW/m・Kで表わし、密度を単位kg/m3で表した場合、250〜550、好ましくは275〜500、とりわけ300〜450の範囲のλ×密度の値を有する。より大きい平均繊維太さを用いて作られるバットは30〜50mW/m・Kの範囲のλ値を示すことができるが、一般にはそれは高いバット密度、したがって高いλ×密度の値および高い原料コストにおいてのみである。より小さい平均繊維太さを用いて作られるバットは嵩高性が低く、また圧縮回復が劣る傾向がある。より小さな径の繊維を著しく多量に使用した場合、繊維コストもまた増大する傾向がある。
【0048】
バット内の個々の繊維は、上記範囲を超える、上記範囲内の、または上記範囲未満の直径を有することができる。したがって平均径が本明細書中で指定されたようなものであるという条件で、繊維の一部はわずか5μmもの小さな径、あるいは50μmまでまたはそれ以上の径さえ有することができる。平均繊維径が上記のようなものであるという条件でステープルファイバーが12μm未満の径を有する場合、特にステープルファイバーが7μm未満の径を有する場合、20〜50μm、好ましくは32〜45μm、またより好ましくは35〜43μmの径を有する若干の繊維が含まれることが好ましい。この大径の繊維は、低デニールのステープルファイバーがかなりの量で存在する場合に見られるバット剛性の減損を相殺することができる。大径の繊維は、全繊維重量の25重量%を超える比率を構成すべきではなく、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下であるべきである。
【0049】
断面が丸くない繊維については本発明の目的の繊維径は、その繊維の断面積と同じ面積を有する円のものと解釈される。
【0050】
ポリマーバットは、ウェブを形成する構成繊維の絡合混合物を形成し、そのウェブを所望の密度まで圧縮(「検量」)し、次いでそのウェブをヒートセットしてポリマーバットを形成することによって製造するのが便利である。
【0051】
絡合繊維のウェブは、「カーディング」または「ガーネッティング」プロセスによって調製するのが便利である。これらのプロセスはそれぞれよく知られており、様々な種類の繊維ウェブ製品を生産するために営利的に使用されている。カーディングは、機械的カーディングまたは空気カーディング(エアレイとしても知られる)プロセスにより行うことができる。ウェブは、任意の都合のよい厚さ(設備の限界に左右される)で製造し、所望の密度のバットを形成するために検量、ヒートセット工程に直接搬送することができる。空気カーディング用の好適な設備には、Thibeau Corporation Franceにより商品名AirWebで販売されているもの、ならびにRando Webber、Chicopee、Fehrer、Hergeth、Laroche、Schirp、およびMassiasによって製造または市販されている装置が挙げられる。このような設備を用いて繊維ウェブを形成する方法もまた「Clemson University Dry Laid Nonwovens Laboratory Facilities」(2004年秋)に記載されている。機械的カーディングまたはガーネッティングプロセスを使用する場合、一体に積み重ねてからユニットとして検量し、ヒートセットされる複数枚のプライを形成することによってバットを製造するのが好ましい。レイヤーリングは、縦方向で行うか、またはクロスレイヤーリング(時にはクロスラッピングとも呼ばれる)によって行うことができる。両プロセスともよく知られており、通常タイプのバットを製造するために使用されている。
【0052】
幾つかの事例ではより多くの枚数のプライを用いて形成されたバットほど熱伝導率が低く、かつ剛性が大きいことが分かった。好ましいプロセスでは個々のプライは、約5〜60g/m2、とりわけ約8〜50g/m2、最も好ましくは約10〜40g/m2の重量で形成される。検量、ヒートセット工程の間、この重量範囲にあるプライは、個々のプライの厚さが0.36〜約10.0mmの範囲、とりわけ約0.57〜約5.0mmの範囲、より好ましくは約0.71〜約4.0mmの範囲まで圧縮される。したがって必要なプライ数は、バット厚および個々のプライの圧縮厚によって決まる。
【0053】
次いでウェブ(単一層または複数プライのスタックである)は、5〜15kg/m3、好ましくは6〜15kg/m3、より好ましくは6〜14kg/m3の密度に調整され、圧縮したままヒートセットされる。より一層好ましい検量後の密度は、7〜13kg/m3である。ヒートセットは、そのバインダー繊維の低軟化点表面が軟化するようになるが、ステープルファイバー(および多成分繊維の場合はそのバインダー繊維の高融点部分)が軟化するようにならない温度まで検量後のウェブを加熱することによって達成される。軟化するとその軟化したバインダー繊維は粘着性になり、バインダー繊維をウェブ中の隣接する繊維に固着させる。次いでウェブは冷却され、そこでウェブは軟化したバインダー繊維が再硬化し、隣接する繊維と接着層を形成するまで圧縮下に保たれる。圧縮はバインダー繊維が再硬化した後に開放することができ、得られたバットはヒートセットのために圧縮したその厚さに保たれることになる。
【0054】
こうして生産された検量およびヒートセット済みバットの厚さは、その厚さがその完全膨張時のバットの厚さを表すので、本明細書中ではその「非圧縮」厚さと呼ぶ。本発明のバットは、25〜300mm(約1〜12インチ)の非圧縮厚さを有する。好ましいバットは、25〜250mm(約1〜10インチ)の非圧縮厚さを有する。さらに一層好ましいバットは、75〜200mm(約3〜8インチ)の非圧縮厚さを有する。
【0055】
本発明のバットの多少厚めの厚さは、バットを建物用途用の断熱材として特に適したものにする。これら用途用のバットは、輸送および販売のために2種類の製品形態、すなわちボードストックおよびロールストックのいずれかの状態に包装されることが多い。
【0056】
ボードストックは、壁、天井、屋根、床、または他の構造物中の空洞内に適合するような所定の長さと幅で製造されるバットを指す。これらの空洞は、それらの構造物の支持構造を形成する骨組み部材(壁構造物の場合、それらは一般に「間柱」および「小口」と呼ばれる)によって形成される。これらボードストックの幅は、一般に150〜600mmの範囲にあり、通常は架構式構造物中の間柱部材間の間隔を反映するように選択される。したがって米国においては普通の間柱間隔は、架構式構造の壁の場合の16インチ(約406mm)(中心間距離)、または垂木目地間隔の場合の24インチ(約610mm)である。ボードストックの形態のバットは、このような壁または天井において隣接する骨組み部材間の空間内に嵌め込まれまたその空間を満たすように、それぞれ対応する約14.5インチ(約370mm)または22.5インチ(約570mm)の幅を有することになる。同様にバットの厚さは、バットが骨組み部材によって形成される空洞を満たすことになるように間柱の太さに近づけるようにすることが多い(米国における壁構造物ではしばしば3.5インチ(約89mm)であり、屋根、天井、床構造物ではこれより多少厚い)。したがってボードストックの非圧縮厚さは、好適には25〜300mm、とりわけ75〜190mmである。ボードストックの長さは、好適には骨組み部材内に嵌め込まれるように選択され、150〜350cm、とりわけ230〜300cmの長さが米国の架構式構造では普通である。これらの長さと幅の寸法が一般的だが、ボードストックの寸法は特定の建築設計に合うように広範囲にわたって変えることができるので、これらに限定されるとは思わない。あるいはボードストックの寸法は、取り付けの間に一人の労働者によって容易に扱うことができるサイズおよび重量を有する製品を作り出すように、取扱いへの配慮を念頭に置いて選択することもできる。
【0057】
ボードストックは剛性材料であってもなくてもよいが、その性質は取付けおよび取扱いをずっと容易にするので、本発明のバットは幾分剛性であることが好ましい。バットの剛性は、そのバットが重力の力でどのくらい曲がるかによって表わすことができる。バットの剛性を評価する適切な方法は、片持ちたわみ試験である。100ミリメートル(mm)×500mmの寸法を有するバットの断片を水平面上に、その長さの300mmがその面の縁部を越えて延出し、その長さの200mmが面上に残るように置く。100mm×100mmのフォームボードをバットの先端に載せ、770グラムの重りをそのフォームボードに載せてバットが動かないように保持する。フォームボードが試験試料の端部に配置される結果、下側にある面の縁部から長さ100mmのバットが露出し、自由に動けるようになり、次の長さ100mmのバットはボードおよび重りによって押し下げられる。支えのないバットの端部は、重力の力で撓むかまたは下がるようになる。たわみ量(支持表面の平面からの)をバットの剛性の指標として単位mmで記録する。次いでバットを裏返し、反対方向でたわみを再測定する。この試験において40mm厚のバットは、好適には230mm未満、好ましくは180mm未満、より好ましくは120mm未満のたわみを示す。たわみ値は、事実上ゼロであってもよいが、実際問題としてより一般的には約30mm以上である。
【0058】
ボードストックは、比較的短い予め決められた長さに調製され販売されるので、一般にはロールに巻くのではなくスタックを形成し、次いで包装および輸送のために束として圧縮する。束は一般に5から20枚の個別バットを含む。束の中の圧縮されたバットは、一般にそれらの元の厚さの4分の1から10分の1に圧縮される。
【0059】
ロールストックは、一般により大きな長さで包装され販売されるが、製品の幅および非圧縮厚さは一般にボードストックの場合と同じ配慮により、すなわち標準化された架構式構造によって形成される空洞内に適合するように決められる。製品は、それが長いせいで貯蔵および輸送のためにロールの形にされる。ボードストックの場合と同様に製品は、一般にその非圧縮厚さの4分の1から10分の1に圧縮される。ロールストックもまた好ましくは多少剛性だが、それほど剛性ではないので永久たわみまたは裂けを引き起こさずに巻くことができない。前述のへたり試験に関しては本発明によるロールストックは、好適には230mm未満、とりわけ180m未満のたわみを示す。ロールストックとして使用されるバットは、永久変形(多分少量の圧縮以外は)するようになることなく巻くことができるように十分可撓性であるべきである。
【0060】
望むなら表面仕上材の1または複数層をバットの片面または両面に貼ることもできる。そのような表面仕上材の例には、紙(具体的にはクラフト紙)、プラスチックフィルム、金属箔(アルミニウム箔など)、金属蒸着フィルム、またはこれらの組合せが挙げられる。表面仕上材は高剛性を与えるために、反射面を与えるために、防湿またはエアバリア層を与えるために、あるいは設置される定位置にバットを取り付けるための手段として有効なこともある。
【0061】
本発明のバットは、便利には既存のボードストックおよびロールストック断熱製品と同様の方法で建物および建築用途において断熱材として取り付けられる。包装されたバットからいったん圧縮力が解放されるとバットは膨張してその設計厚さまで回復することになる。取り付けるにはバットが完全に復元するまで待つ必要はない。取り付けられる空洞は、多くの建物用途では骨組み構造体に接合された少なくとも1枚の主要表面材によって画定される。骨組み構造体は少なくとも2個のほぼ平行な骨組み部材を含む。空洞の幅は、それら骨組み部材の間隔によって決まる。空洞の深さは、骨組み部材の厚さによって画定される。骨組み構造体は、頂部および/または底部に、また中間の高さ部分に小口を含むことができる。小口間の距離が空洞の高さを決定する。本発明のバットを空洞中に設置した後に、骨組み構造体に第二の主要表面材を貼ることによって空洞を囲うことができる。一般にこの方法で組み立てられる構造物には、特に骨組み構造の建物の壁、床、天井、および屋根(それは傾斜または平坦でも、あるいは水平でもよい)が含まれる。これらは外装または内装構造物であることができる。
【0062】
本発明の圧縮バットは、圧縮力を開放した後、短期間内にその非圧縮厚さの大部分または全部を回復する。バットが圧縮から回復できる能力の便利な測定法は、それを元の厚さの25%まで11日間圧縮することである。これは、建設業で共通の包装および倉庫保管条件をシミュレートする。一般に本発明のバットは、30分以内にその非圧縮厚さの少なくとも70%を回復するはずである。それは、30分以内にその非圧縮厚さの好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%を回復するはずである。このバットは、24時間以内にその非圧縮厚さの好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに一層好ましくは少なくとも95%を回復するはずである。一般にその製品は、上記非圧縮厚さの80〜99%、より一般的には90〜99%、とりわけ95〜99%の設計または公称厚さで製造されることになる。これは、上記のように貯蔵および出荷のために圧縮される品物の中で起こる少量の永久圧縮を念頭に置いている。
【0063】
またクロスラッププロセスによって作られる本発明のバットは、容易に引き裂くことが可能なことが多く、また「面内」引裂き法を用いて引き裂いた場合にきれいにかつほぼ一直線に裂けることが多いことが分かった。容易にかつ一直線に裂くことができることは取り付けの間の大きな利点であり、その間に空洞中のでこぼこ(電線、配管、ジャンクション・ボックスなど)の周囲に適合させるために製品を簡単に引き裂くのに好都合である。「面内」引裂きは、双方を、繊維バットの厚さを締め付けまたは圧縮することによって、また分離した双方を直線運動で分けることによって簡単に引き離す方法を意味する。次いでその材料が本質的に裂けるようにその分離線を延長することができる。
【0064】
本発明のバットはまた、すぐれた引張りおよび伸び特性を有する傾向がある。バット内の引張応力は幾分異方性であることもある。幅方向に比べて縦方向でより高い引張応力およびより低い伸びが見られるかどうかは、そのプロセスおよびプロセスの条件に左右される。本発明のバットの引張応力は、縦方向および幅方向の少なくとも一方が、また好ましくは縦方向および幅方向の両方が少なくとも4kPaであるべきである。好ましくは縦方向および幅方向のいずれか一方が少なくとも25kPaの引張応力を有する。伸びは各方向が25〜125%であることができる。
【実施例】
【0065】
下記実施例は本発明を例示するために提供するが、本発明の範囲を限定するものではない。すべての部数および割合は、別段の指定がない限り重量単位である。
【0066】
実施例1〜5
下記の実験室規模のバット生産プロセスを用いてバット実施例1〜3を作製する。
繊維を大型ベール梱包で受け取る。各種の繊維を計量し、下記に示す比率で手で混合する。カード機に繊維を運ぶコンベヤー上へその手でブレンドした繊維を落とす。カード装置は、繊維を掴み、綿毛状にし、また絡合させて幅400mmのカードウェブを生成する。こうして生成したウェブは、重さ約10g/m2である。このカードウェブを、生成したまま600mmを超える円周のドラムに巻き付ける。次いでこの巻き付けられたウェブを細長く裂いてドラムから取り出す。この方法で長さ約600mmの断片が生成される。
実施例1については、こうして生成した400mm×約600mmの断片の約85枚を積み重ねる。次いでこのスタックを厚さ100mmまで圧縮し、そのスタックを170℃で60〜90秒間加熱することによってヒートセットする。検量しヒートセットされたバット中の個々の層の厚さは約1.18mmである。次いでこのバットを400×600mmの最終寸法に切断する。
バット実施例2は、同じ方法で約110枚のウェブ断片を用いて作製される。最終バット中の個々の層厚は、約0.91mmである。バット実施例3もまた同じ方法で約125枚のウェブ断片を用いて作製される。最終バット中の個々の層厚は、約0.8mmである。
実施例1〜3においてバットを作製するために使用される繊維は、2デニールのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート鞘/芯の二成分繊維および3デニールの鋸歯状にけん縮したポリエチレンテレフタレートステープルファイバーである。これら繊維を重量比40/60で使用して平均繊維径16.0μmを生ずる。このカードウェブは、下記の表1に示した密度を有する。
バット実施例4は、2部のバット実施例1を形成し、積み重ねて200mm厚の試料を形成することによって作製される。バット実施例4の個々の層厚は、約1.16mmである。
バット実施例5は、2枚の100mmバットを積み重ねて200mm厚の試料を形成することによって作製される。この100mmバットは実施例1〜3について述べた一般的な方法で作製され、各事例では約100層のウェブ断片を積み重ねる。個々の層厚は約0.99mmである。
完成したバットの熱伝導率は、EN ISO8301−91に従って10℃において測定する。密度は、そのバットを計量し、バットの体積を計算し、重量を体積で除することによって測定する。λ×密度は、単位mW/m・Kのλ値に、単位kg/m3の密度を乗ずることによって求める。結果は下記の表1に示すとおりである。
【0067】
実施例6〜7
下記の大規模バット生産工程を用いてバット実施例6〜7を作製する。
繊維ベール梱包をベール・オープナーおよびブレンダーにかけ、繊維を下記に示す比率でブレンドする。次いで、繊維を絡合させて厚さ10〜20mm、幅4000mmのウェブを生成するカード機にその繊維混合物を入れる。このウェブをクロスラッパーへ搬送し、そこで72層(実施例6の場合)または64層(実施例7の場合)のウェブを集めてスタックにする。次いでこのスタックを、熱接着オーブンを通して処理加工する。そこでスタックは所望の高さおよび密度まで圧縮され、ヒートセットされる。検量およびヒートセットの後、バット中の個々の層の厚さは約2.5mmである。
実施例6〜7において繊維およびそれらの相対的比率は実施例1〜5における場合と同じであり、再度言えば結果として平均繊維径16.0μmになる。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0068】
実施例8〜10
実施例5について述べた実験室規模のプロセスを使用してバット実施例8〜10を作製するが、下記変更を伴う。繊維は、その繊維ブレンドが二成分繊維30重量%およびステープルファイバー70重量%を含有することを除いて実施例1〜3について示したものと同じである。平均繊維径は16.3μmである。実施例8については、約95層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットすることによって2枚の100mm厚のバットを調製する。次いでこれら2枚の100mmの検量、ヒートセット済みバットを積み重ねて200mmのバットを形成する。バット実施例8における個々の層の厚さは約1.05mmである。実施例9、10については、ウェブ層を積み重ね、100mmの検量、ヒートセット済みバットを形成し、それら2枚をさらに積み重ねて200mmの材料を形成する。この場合、個々の層の厚さは約1mmである。実施例10については約122層を用いてそれぞれ100mmのバットを形成する。個々の層の厚さは約0.82mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0069】
実施例11〜13
実施例5で述べた実験室規模のプロセスを使用してバット実施例11〜13を作製するが、下記変更を伴う。繊維は、実施例1〜5で述べた二成分繊維30重量%および3デニールの中空のらせん状ステープルファイバーポリエステル繊維70重量%のブレンドである。平均繊維径は16.3mmである。
実施例11の場合、約100層のウェブを積み重ねてそれぞれ100mmのバットを形成し、バット実施例11における個々の層の厚さは約1mmである。実施例12については約120層のウェブを積み重ねてそれぞれ100mmのバットを形成し、バット実施例12における個々の層の厚さは約0.83である。実施例13については約82層のウェブを積み重ねてそれぞれ100mmのバットを形成し、バット実施例13における個々の層の厚さは約1.22である。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0070】
実施例14
バット実施例14は、実施例1〜3と同じ方法で作製する。この場合の繊維は、実施例11〜13で述べた二成分繊維およびステープルファイバーの重量単位で40/60のブレンドである。平均繊維径は16.0μmである。100層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットして100mmバットを形成する。この検量およびヒートセット済みバットにおける個々の層の厚さは1.0mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0071】
実施例15〜19
バット実施例15〜19は、バット実施例1〜3と同じ通常の方法で作製する。これら実施例については異なる3デニールステープルファイバーポリエチレンテレフタレート繊維を使用する。実施例15ではステープルファイバーは、TiO2を0.87重量%含有するポリエチレンテレフタレートから作られる。実施例16ではステープルファイバーは、0.87重量%のTiO2と青色着色料とを含有するポリエチレンテレフタレートから作られる。実施例17〜19ではそのポリエステルステープルファイバーは、黒色着色料を含有する。実施例15〜19については平均繊維径は16.0μmである。
実施例15および16については100層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットして75mmバットを生成する。個々の層の厚さは約0.75mmである。
実施例17〜19では、実施例11〜13に関して述べた方法で2枚の100mmバットを積み重ねることによって200mmバットを生成する。実施例17については約105層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約0.95mmである。実施例18については約125層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約0.8mmである。実施例19については約85層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約1.18mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0072】
実施例20〜21
バット実施例20〜21は、2デニールのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート鞘/芯の二成分繊維30重量%、3デニールのらせん状にけん縮したポリエチレンテレフタレートステープルファイバー35重量%、および6デニールのらせん状にけん縮したポリエチレンテレフタレートステープルファイバー35重量%のブレンドを用いてバット実施例1〜3と同じ通常の方法で作製する。平均繊維径は17.4μmである。200mmバットを実施例11〜13で述べた方法で生成する。
実施例20については約100層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約1.0mmである。実施例21については約130層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約0.77mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0073】
実施例22〜25
バット実施例22〜25は、4デニールのポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート鞘/芯二成分繊維40重量%および3デニールの黒色のらせん状にけん縮したポリエチレンテレフタレートステープルファイバー60重量%のブレンドを用いてバット実施例11〜13と同じ一般の方法で作製する。平均繊維径は18.5μmである。
実施例22については約75層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約1.33mmである。実施例23については約100層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約1.0mmである。実施例24については約125層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約0.8mmである。実施例25については約130層のウェブを用いてそれぞれ100mmバットを作製する。個々の層の厚さは約0.77mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0074】
実施例26〜28
バット実施例26〜28は、バット実施例1〜3と同じ通常の方法で上記二成分繊維40重量%、3デニールの中空のらせん状にけん縮したポリエチレンテレフタレートステープルファイバー30重量%、および1.5デニールのらせん状にけん縮したポリエチレンテレフタレートステープルファイバー30重量%のブレンドを用いて作製する。平均繊維径は14.3μmである。
実施例26は、約50層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットすることにより60mm厚のバットを形成することによって作製する。次いでこの検量、ヒートセット済みの60mmのバット2枚を積み重ねて120mmバットを形成する。実施例26における個々の層の厚さは約1.2mmである。実施例27は、85層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットすることにより80mm厚のバットを形成することによって作製する。次いでこの検量、ヒートセット済みの80mmバット2枚を積み重ねて160mmバットを形成する。実施例27における個々の層の厚さは約0.94mmである。実施例28は、120層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットすることにより100mm厚のバットを形成することによって作製する。次いでこの検量、ヒートセット済みの100mmのバット2枚を積み重ねて200mmバットを形成する。実施例28における個々の層の厚さは約0.83mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0075】
実施例29
バット実施例29は、バット実施例11〜13に関して述べた実験室規模のプロセスを使用して作製する。繊維ブレンドは、その比が二成分繊維20%およびステープルファイバー80%であることを除いてバット実施例6〜7に関して述べたものと同じである。平均繊維径は16.7μmである。実施例29は、約87層のウェブを積み重ね、検量しヒートセットすることにより80mm厚のバットを形成することによって作製する。次いでこの検量しヒートセット済みの80mmバット2枚を積み重ねて160mmバットを形成する。実施例29における個々の層の厚さは約0.92mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0076】
比較試料A〜F
比較試料AおよびBは、実験室規模のプロセスを使用してバット実施例1〜3に関して述べた同じ方法で作製する。繊維ブレンドは、実施例1〜3で使用したものと同じ型の4デニール二成分繊維40重量%および0.3重量%のTiO2を含有する6デニールポリエチレンテレフタレートステープルファイバー60重量%である。平均繊維径は22.5μmである。
比較試料Aについては105層のウェブを90mmの厚さまで積み重ね、検量しヒートセットする。個々の層の厚さは約0.86mmである。比較試料Bについては100層のウェブを100mmの厚さまで積み重ね、検量しヒートセットする。個々の層の厚さは約1.0mmである。検量されたバットの密度は、比較試料Aについては12.2kg/m3、比較試料Bについては10.1kg/m3である。
比較試料C〜Gは市販のポリエステルバット製品であり、
比較試料C:Quietstuf ABB(Autex Industries)、密度21kg/m3
比較試料D:Quietstuf ABB(Autex Industries)、密度16kg/m3
比較試料E:EMFA(Emfa-Dammsysteme)、密度16kg/m3
比較試料F:Caruso Iso-Bond(Caruso GmbH)、密度20kg/m3
比較試料G:Edilfiber(ORV Manufacturing SPA)、密度30kg/m3
であることが確認される。
λ、密度、およびλ×密度は、これら比較試料のそれぞれについて実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表1に示すとおりである。
【0077】
【表1】

【0078】
実施例1〜29は、低熱伝導率を有するバット(低λ値により示される)が、本発明によれば低バット密度(低いλ×密度の値に反映される)で得ることができることを例示する。
繊維径の影響は比較試料A〜Dで見られる。これらはすべて、本発明のバットよりも大きな平均繊維径を有する。一般に大きな平均繊維径を有するバットは、結果として高コストをもたらすバット密度の増大という犠牲を払ってのみ低いλ値を達成することができる。したがって、例えばバット実施例1および比較試料Dは似たλ値を有するが、比較試料Dのλ×密度の値はその高い密度のせいでずっと高い。同様の傾向は、比較試料Aを実施例13と、また比較試料Cを実施例12と比較することによっても分かる。
比較試料Bは、平均繊維径が大きい場合にバット密度を低下させるに従ってλ値がいかに悪化するかを例示する。バット密度を約12kg/m3(比較試料Aの場合のように)から約10kg/m3(比較試料Bの場合のように)へ低下させた場合、λ値は53.5mW/m・Kへ増加する。このデータは、平均繊維径が約23μmの場合、50mW/m・K以下のλ値を得るためには少なくとも11kg/m3のバット密度が必要であること示している。実施例1〜29についてのデータは、本発明によれば50mW/m・Kをかなり下回るλ値が、わずか7.9kg/m3の低いバット密度で得られることを示している。
比較試料E〜Gは、密度を増加させるに従ってλ×密度の値がいかに増大するかを示す。これらの試料では望ましいλ値を得るためにはより高い密度を必要とし、その結果これら材料についてはより高い原料コストを引き起こす。
【0079】
実施例30〜42
バット実施例30〜42は、バット実施例11〜13に関して述べた実験室規模のプロセスを使用して作製する。各事例の繊維ブレンドは、下記の表2で述べる。これら試料の層厚は0.82〜1mmの範囲にわたる。バットの厚さは160〜200mmの範囲にわたる。プライ数は、厚さおよび平均層厚により多少変わる。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表3に示すとおりである。
【0080】
実施例43〜45
バット実施例43〜45は、バット実施例6〜7に関して述べた通常の大規模プロセスを用いて作製する。各事例において繊維ブレンドは、実施例1〜5における場合と同様の2デニール二成分繊維30重量%、1.5デニール中実ポリエチレンテレフタレートステープルファイバー40重量%、および3.0デニール中実ポリエチレンテレフタレートステープルファイバー30重量%である。平均繊維径は14.0μmである。バット実施例43を生成するために56層のウェブ材を用いて2枚の100mm厚のバッドを作製する。バット実施例43については個々の層の厚さは1.78mmである。バット実施例44を生成するために60層のウェブ材を用いて2枚の100mm厚のバッドを作製する。バット実施例44については個々の層の厚さは1.67mmである。バット実施例45を生成するために約63層のウェブ材を用いて2枚の100mm厚のバッドを作製する。バット実施例45については個々の層の厚さは1.48mmである。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表3に示すとおりである。
【0081】
実施例46
バット実施例46は、バット実施例43と同じ方法で作製し、わずかに低密度にする。繊維の組成は実施例32と同一である(下記の表2参照)。
λ、密度、およびλ×密度は、実施例1〜5に関して述べたと同様に求められ、結果は下記の表3に示すとおりである。
【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
表3中の結果は、本発明によれば繊維の種類の様々な組み合わせを用いて良好なλおよびλ×密度の値を得ることができることを示している。具体的には、その平均繊維径が9.0から20.5μmの範囲内にある限り、一定量の大きな径の繊維の存在はさらに良好な結果をもたらす。
【0085】
比較試料HおよびI
比較試料Hは、二成分繊維およびステープルファイバーを重量比50/50で使用することを除いて実施例1と同じ通常の方法で作製する。平均繊維径は15.7μmである。バット密度は10.7kg/m3である。検量およびヒートセット後のバットにおける個々の層の厚さは約0.85mmである。
比較試料Iは、二成分繊維およびステープルファイバーを重量比10/90で使用することを除いて実施例1と同じ通常の方法で作製する。平均繊維径は17.1μmである。バット密度は10.2kg/m3である。検量およびヒートセット後のバットにおける個々の層の厚さは約0.98mmである。
【0086】
実施例5、6、8、29、43、44、および46の物理的性質の評価
追加の様々な特性を、バット実施例5、6、8、29、43、44、および46、ならびに比較試料HおよびIについて測定する。結果を表4に示す。
曲げたわみは、以前に述べた試験法に従って測定し、たわみを単位ミリメートルで両方向において記録する。
圧縮からの回復は、150mm×150mmの試験片を切断し、その試験片の最初の厚さを測定することにより求める。次いでそのバットを、その元の厚さの25%に11日間圧縮する。圧縮期間中の条件は、約20〜25℃および周囲相対湿度である。次いで試料から圧縮力を除去した30分後に試料の厚さを測定する。回復%を、
[1−(最初の厚さ−最終の厚さ)]×100/最初の厚さ
として計算する。第二回目の測定を24時間後に行う。
引張応力および伸びは、50mm×30mmの試料上でEN 12311−1−1999に従って測定する。
【0087】
【表4】

【0088】
比較試料Hについてのデータは、高レベルの二成分繊維を有することによる影響を示す。圧縮からの回復が、同等の個々の層の厚さを有するバット実施例5、8、および20と比べて著しく低下する。比較試料Iについてのデータは、きわめて低レベルの二成分繊維を有することによる影響を示す。引張特性が急勾配で低下し、それが非常に低くなるために使用が困難である。
実施例6、43、44、および46は、バットの圧縮から回復する能力に及ぼす個々の層の厚さの影響を例示する。これらのバットは、個々の層をより薄く作製されたバットよりもそれらの元の厚さの回復がむしろ少ない。
【0089】
実施例47
バットを下記の空気カーディング(エアレイ)プロセスにより作製する。繊維を、大型ベール梱包で受け入れ、計量し、前述の実施例中で述べたような所望の比率で混合する。繊維の組成は、2デニールの二成分芯/鞘ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート繊維30%、3デニールのけん縮ポリエチレンテレフタレートステープルファイバー30%、および1.5デニールのけん縮ポリエチレンテレフタレートステープルファイバー40%である。この繊維ブレンドは14μmの平均繊維径を有する。
ブレンドされた繊維をコンベヤー上に落とす。コンベヤーは、繊維を掴み、綿毛状にする空気カーディング装置からエアレイ機へ繊維を輸送する。次いでこのカード繊維を空気流中に送り込み、移動ベルト上で回収する。そこで繊維は厚さ120mm、密度8kg/m3のランダムに分布した繊維のウェブを形成する。前述の実施例で述べたように2枚のこれらウェブ層を積み重ね、圧縮し、ヒートセットして、密度10.1kg/m3および厚さ190mmを有するバットを形成する。得られたバットの熱伝導率は43.5mW/m・Kである。λ×密度の値は434である。引張応力および伸びは、50mm×300mm×40mmの試料上でEN 12311−1−1999に従って測定する。引張応力は、縦および幅方向に関して、それぞれ58%の伸びで3kPaおよび27%の伸びで8kPaである。
【0090】
実施例48
バッチを下記の空気カーディング(エアレイ)プロセスにより作製する。繊維を、大型ベール梱包で受け入れ、計量し、前述の実施例中で述べたような所望の比率で混合する。繊維の組成は、4デニールの二成分芯/鞘ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート繊維20%、0.7デニールのけん縮ポリエチレンテレフタレートステープルファイバー70%、および15デニールのけん縮ポリエチレンテレフタレートステープルファイバー10%である。この繊維ブレンドは、9.3μmの平均繊維径を有する。
ブレンドされた繊維をコンベヤー上に落とす。コンベヤーは、繊維を掴み、綿毛状にする空気カーディング装置からエアレイ機へ繊維を輸送する。次いでこの繊維を空気流中に送り込み、移動ベルト上で回収する。そこで繊維は厚さ100mm、密度12.5kg/m3のランダムに分布した繊維のウェブを形成する。バットの熱伝導率は36.5mW/m・Kである。λ×密度の値は456である。引張応力および伸びは、100mm×300mm×40mmの試料上でEN 12311−1−1999に従って測定する。引張応力は、縦および幅方向について、それぞれ51%の伸びにおいて5kPaおよび45%の伸びにおいて13kPaである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絡合し、メルトボンドしたポリエステル繊維から作られる圧縮性ポリエステル繊維断熱バットであって、前記ポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径が7.0から20.5μmであり、かつ前記各繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、前記断熱バットが、A)5〜15kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、B)30〜50mW/m・Kのλ値を示し、C)λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、λ×密度の値が250〜550を示し、D)25〜300mmの非圧縮厚さを有し、かつE)縦方向および幅方向の少なくとも一方において少なくとも4kPaの破断点引張応力を示す、断熱バット。
【請求項2】
前記平均繊維径が9.0〜20.5μmである、請求項1に記載の断熱バット。
【請求項3】
絡合し、メルトボンドしたポリエステル繊維から作られる圧縮性ポリエステル繊維断熱バットであって、前記ポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径が12.0〜20.5μmであり、かつ前記各繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、前記断熱バットが、A)6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、B)35〜50mW/m・Kのλ値を示し、C)λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、λ×密度の値が250〜550を示し、かつD)25〜300mmの非圧縮厚さを有する、断熱バット。
【請求項4】
前記バインダー繊維が多成分繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項5】
前記ステープルファイバーがポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項4に記載の断熱バット。
【請求項6】
元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内に最初の厚さの少なくとも70%を回復する、請求項1〜3のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項7】
元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内に最初の厚さの少なくとも85%を回復する、請求項6に記載の断熱バット。
【請求項8】
前記多成分繊維が、少なくとも表面部分の一部に相対的に低い軟化点のポリエステル樹脂を、そして少なくとも表面部分以外の部分の一部に相対的に高い軟化点のポリエステル樹脂を含む、請求項6に記載の断熱バット。
【請求項9】
前記繊維の少なくとも幾種類かはIR吸収剤を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項10】
前記IR吸収剤が、二酸化チタン、炭素質物質、または炭酸カルシウムである、請求項9に記載の断熱バット。
【請求項11】
25〜300mmの非圧縮厚さを有するボードストックの形態のポリエステル繊維断熱バットであって、前記バットが240mm以下の片持ちたわみ値を示し、前記バットが絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、前記ポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径が7.0〜20.5μmであり、前記繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、そして前記断熱バットが、A)6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、かつB)30〜50mW/m・Kのλ値を示す、断熱バット。
【請求項12】
前記平均繊維径が9.0〜20.5μmである、請求項11に記載の断熱バット。
【請求項13】
25〜300mmの非圧縮厚さを有するボードストックの形態のポリエステル繊維断熱バットであって、前記バットが240mm以下の片持ちたわみ値を示し、前記バットが絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、前記ポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径が12.0〜20.5μmであり、前記繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、そして前記断熱バットが、A)6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、かつB)35〜50mW/m・Kのλ値を示す、断熱バット。
【請求項14】
λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、250〜550のλ×密度の値を示し、かつD)25〜300mmの非圧縮厚さを有する、請求項11〜13のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項15】
前記バインダー繊維が多成分繊維である、請求項14に記載の断熱バット。
【請求項16】
前記ステープルファイバーがポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項15に記載の断熱バット。
【請求項17】
元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内に最初の厚さの少なくとも70%を回復する、請求項15に記載の断熱バット。
【請求項18】
元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内に最初の厚さの少なくとも85%を回復する、請求項17に記載の断熱バット。
【請求項19】
前記多成分繊維が、少なくとも表面部分の一部に相対的に低い軟化点のポリエステル樹脂を、そして少なくとも表面部分以外の部分の一部に相対的に高い軟化点のポリエステル樹脂を含む、請求項14に記載の断熱バット。
【請求項20】
前記繊維の少なくとも幾種類かはIR吸収剤を含有する、請求項11〜19のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項21】
前記IR吸収剤が、二酸化チタン、炭素質物質、または炭酸カルシウムである、請求項20に記載の断熱バット。
【請求項22】
ロールに巻かれたポリエステル繊維断熱バットであって、前記バットが25〜300mmの非圧縮厚さおよび6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、前記バットが前記ロール中でその非圧縮厚さの25%以下まで圧縮され、前記ポリエステルバットが絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、前記ポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜85重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維15〜45重量%とを含み、その平均繊維径が7.0〜20.5μmであり、かつそれら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、そして巻き出し再膨張させたときの前記断熱バットが、30〜50mW/m・Kのλ値を示し、λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、250〜550のλ×密度の値を示し、かつ25〜300mmの非圧縮厚さを有する、断熱バット。
【請求項23】
前記平均繊維径が9.0〜20.5μmである、請求項22に記載の断熱バット。
【請求項24】
ロールに巻かれたポリエステル繊維断熱バットであって、前記バットが25〜300mmの非圧縮厚さおよび6〜14kg/m3の非圧縮かさ密度を有し、前記バットが前記ロール中でその非圧縮厚さの25%以下まで圧縮され、前記ポリエステルバットが絡合しメルトボンドしたポリエステル繊維から作られ、前記ポリエステル繊維が少なくとも1種類のステープルファイバー55〜80重量%と、少なくとも1種類のバインダー繊維20〜45重量%とを含み、その平均繊維径が12.0〜20.5μmであり、かつそれら繊維の少なくとも55重量%がけん縮しており、そして巻き出し再膨張させたときの前記断熱バットが、35〜50mW/m・Kのλ値を示し、λをmW/m・Kの単位で表わし、密度をkg/m3の単位で表した場合、250〜550のλ×密度の値を示し、かつ25〜300mmの非圧縮厚さを有する、断熱バット。
【請求項25】
前記バインダー繊維が多成分繊維である、請求項22〜24のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項26】
前記ステープルファイバーがポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項25に記載の断熱バット。
【請求項27】
元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内に最初の厚さの少なくとも70%を回復する、請求項26に記載の断熱バット。
【請求項28】
元の厚さの25%まで11日間圧縮した後、30分以内に最初の厚さの少なくとも85%を回復する、請求項27に記載の断熱バット。
【請求項29】
前記多成分繊維が、少なくとも表面部分の一部に相対的に低い軟化点のポリエステル樹脂を、そして少なくとも表面部分以外の部分の一部に相対的に高い軟化点のポリエステル樹脂を含む、請求項27に記載の断熱バット。
【請求項30】
前記繊維の少なくとも幾種類かはIR吸収剤を含有する、請求項29に記載の断熱バット。
【請求項31】
前記IR吸収剤が、二酸化チタン、カーボンブラック、または炭酸カルシウムである、請求項30に記載の断熱バット。
【請求項32】
少なくとも1層の表面仕上材をさらに備える、請求項1〜31のいずれかに記載の断熱バット。
【請求項33】
壁、天井、屋根、または床構造物であって、少なくとも2つのほぼ平行した骨組み部材を含む骨組み構造体に接合された少なくとも1つの主要表面材を備え、前記骨組み部材および前記少なくとも1つの主要表面材が少なくとも1つの空洞を画定し、前記空洞が請求項1〜31のいずれかに記載のポリエステル繊維断熱バットで実質上満たされている、構造物。
【請求項34】
壁、天井、屋根、または床構造物であって、少なくとも2つのほぼ平行した骨組み部材を含む骨組み構造体に接合された少なくとも1つの主要表面材を備え、前記骨組み部材および前記少なくとも1つの主要表面材が少なくとも1つの空洞を画定し、前記空洞が請求項32に記載のポリエステル繊維断熱バットで実質上満たされている、構造物。
【請求項35】
少なくとも2つのほぼ平行した骨組み部材を含む骨組み構造体に接合された少なくとも1つの主要表面材によって画定された1または複数の空洞を有する壁、天井、屋根、または床構造物を断熱するための方法であって、少なくとも1つの空洞の中に請求項1〜31のいずれかに記載のポリエステル繊維断熱バットを挿入することを含む、方法。
【請求項36】
少なくとも2つのほぼ平行した骨組み部材を含む骨組み構造体に接合された少なくとも1つの主要表面材によって画定された1または複数の空洞を有する壁、天井、屋根、または床構造物を断熱するための方法であって、少なくとも1つの空洞の中に請求項32に記載のポリエステル繊維断熱バットを挿入することを含む、方法。

【公表番号】特表2009−534553(P2009−534553A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507197(P2009−507197)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002587
【国際公開番号】WO2008/012680
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】