説明

住宅用自動倉庫

【課題】収納ボックスにおける操作用補助具の姿勢異常を、開閉扉の閉動作を行う前に検知することができるほか、操作用補助具の姿勢異常の修正後に制御システム全体の復旧を行うことなく、収納ボックスの入庫を継続再開することができる住宅用自動倉庫の提供にある。
【解決手段】複数の格納棚10と、ボックス搬送機20と、入出庫フロア30と、ボックス搬送機20の移動経路と入出庫フロア30との間の開閉扉33と、ボックス搬送機20の動作及び開閉扉33の自動開閉を制御する制御手段を有し、収納ボックス1は姿勢変化する操作用補助具3を有し、開閉扉33付近に姿勢異常検知センサ40が設けられ、補助具異常検知センサは収納ボックス1の操作用補助具3の姿勢異常を開閉扉33の閉動作前に検知するセンサであり、制御手段35は姿勢異常検知センサ40からの操作用補助具3の姿勢異常の信号を受けたとき、開閉扉33の閉動作を実行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅用自動倉庫に関し、特に、操作用補助具を有する収納ボックスの入出庫を行なう住宅用自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫は、通常、工場や倉庫等の物流関係の現場において用いられる設備である。
近年では、住宅に自動倉庫を設置した設備が提案されており、例えば、特許文献1に開示されている自動倉庫付き共同住宅システムを挙げることができる。
この自動倉庫付き共同住宅は、マンションなどの共同住宅に隣接して自動倉庫を設け、常時身の回りに置く必要の無い品物を自動倉庫に収納し、居住空間をより広くするとしている。
【0003】
また、同種の設備として、例えば、特許文献2に開示された住宅用収納システムが存在する。
この住宅用収納システムは、住宅内において鉛直方向に形成された収納庫を有し、収納庫内には複数の収容部が区画形成されている。
収納庫に隣接するように搬送移載装置が配置され、搬送移載装置は収納庫にわたって延在する搬送通路と、搬送通路に沿って昇降して収納部への収容物の出し入れを行う移動本体を有する。
搬送通路の側部壁面には、各階の室内を臨む受け渡し口が形成され、これらの受け渡し口には開閉自在のドアが夫々取り付けられている。
この住宅用収納システムでは、収容庫における収容部に収納し得る大きさの収納ボックスを取り扱う。
この種の収納ボックスは、ボックス本体に取手等の操作用補助具が設けられている場合があり、操作用補助具は収納ボックスの受け渡し時において、その収納ボックスの取り扱いを容易とする補助具である。
この種の住宅用収納システムでは、自動倉庫と同様に、搬送移載装置上における収納ボックスの荷姿の異常の有無を検知する荷姿異常検知センサを設ける場合がある。
荷姿異常を検知すると、コンピュータ等の制御手段が搬送移載装置による搬送動作を停止させ、システム全体の復旧を待つことになる。
【0004】
ところで、荷姿の異常を検知する従来技術として、例えば、特許文献3に記載されたダムウェーター装置が知られている。
この装置は、荷物かごを昇降して荷物を搬送するダムウェーター装置であり、荷物かごの出し入れ口の上部に投光手段を配設しており、この投光手段は荷物かごの内部下方へ向けて光を照射する。
荷物かごの出し入れ口の下部に反射手段が備えており、反射手段は投光手段からの光を荷物かごの出し入れ口へ反射させる。
投光手段から照射される光が荷物かごから搭載された荷物により遮られることにより荷物かごからの荷物のはみ出しを放置することとしている。
【特許文献1】特開2005−224309号公報
【特許文献2】特開2004−100233号公報
【特許文献3】特開平7−10425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の技術では、荷姿異常検知センサにより搬送移載装置上における収納ボックスの荷姿の異常の有無を検知することができるものの、荷姿異常検知センサは、搬送移載装置に搭載された収納ボックスの操作用補助具の姿勢が適切か否かを直ちに確認することができない場合がある。
例えば、受け渡し口を通じて搬送移載装置へ搭載した収納ボックスの場合、収納ボックスの操作用補助具の姿勢が不適切の状態であっても、荷姿異常検知センサは荷姿異常を検知しないことがある。
この場合、受け渡し口のドアが閉じてから、操作用補助具の姿勢異常が荷姿異常として判明したとしても、ドアを開けて操作用補助具の姿勢を直す必要があるほか、コンピュータ等の制御手段の指示をリセットするなどシステムの復旧に時間かかるという問題がある。
つまり、ドアが開いた状態で操作用補助具の姿勢異常を把握することができず、直ぐに復旧できる操作用補助具の姿勢異常が、収納ボックスの荷姿異常として検知されると、システム全体を復旧させなければならないという煩雑さが存在する。
特許文献3の技術は、単に荷物かごからの荷物のはみ出しを検知する装置に過ぎない。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、収納ボックスにおける操作用補助具の姿勢異常を、開閉扉の閉動作を行う前に検知することができるほか、操作用補助具の姿勢異常の修正後に制御システム全体の復旧を行うことなく、収納ボックスの入庫を継続再開することができる住宅用自動倉庫の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、収納ボックスを収容する複数の格納棚と、該格納棚と対向して移動経路を往復移動するボックス搬送機と、前記移動経路と対向する入出庫フロアと、前記ボックス搬送機の移動経路と前記入出庫フロアとの間を仕切る開閉扉と、入出庫指示に基づき前記ボックス搬送機の動作及び前記扉の開閉を制御する制御手段と、前記ボックス搬送機における収納ボックスの荷姿異常を検知する荷姿異常検知センサとを有し、前記ボックス搬送機は、前記収納ボックスを受承するボックス受承部と、前記格納棚に対して収納ボックスの出し入れを行うボックス移載手段を有する住宅用自動倉庫であって、前記収納ボックスは、収納空間を有するボックス本体と、前記ボックス本体に対して姿勢変化する操作用補助具を有し、前記開閉扉付近に姿勢異常検知センサが設けられ、前記補助具異常検出センサは、前記入出庫フロアから前記ボックス受承部に前記収納ボックスを載置させたとき、前記収納ボックスの前記操作用補助具の姿勢異常を前記開閉扉の閉動作前に検知するセンサであり、前記制御手段は、前記姿勢異常検知センサからの前記操作用補助具の姿勢異常の信号を受けたとき、前記開閉扉の閉動作を実行しないことを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、入出庫フロアにおいて収容すべき収納ボックスは、開閉扉の開動作が行われた後に、待機するボックス搬送機におけるボックス受承部へ搭載させる。
このとき、姿勢異常検知センサが特に収納ボックスにおける操作用補助具の姿勢異常を認識しなければ、開閉扉の閉動作が実行され、ボックス搬送機は収容先へ向けて移動を開始する。
一方、ボックス搬送機におけるボックス受承部へ搭載させた時点で、収納ボックスにおいて操作用補助具の姿勢異常が存在する場合は、姿勢異常検知センサが開閉扉の閉動作前に検出される。
制御手段が、姿勢異常検知センサによる異常を示す信号を受けることにより、制御手段は開閉扉の閉動作を待機させる。
そして、操作用補助具の姿勢異常を解消した後に、開閉扉の閉動作を促す操作を行うことにより制御手段による開閉扉の閉動作の待機を解除する。
これにより、制御手段による開閉扉の閉動作が実行され、ボックス搬送機による収納ボックスの入庫が再開される。
この場合、操作用補助具の姿勢異常が生じても、開閉扉の閉動作を実行しないだけであることから制御システム全体の復旧をする必要はない。
このように、操作用補助具の姿勢異常は、開閉扉が閉じる前に把握できる。また、操作用補助具の姿勢異常により制御システム全体を復旧させる事態を招かない。
なお、操作用補助具の異常姿勢を除く収納ボックスの荷姿異常は、荷姿異常検知センサにより検知される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の住宅用自動倉庫において、前記操作用補助具の姿勢異常は、前記ボックス受承部から前記開閉扉側への操作用補助具のはみ出しであり、前記姿勢異常検知センサは、前記開閉扉側への操作用補助具のはみ出しの有無を検出する補助具対応位置に配置され、該補助具対応位置は操作用補助具の側方又は上方に対応する位置とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、姿勢異常検知センサは、開閉扉側への操作用補助具のはみ出しを検知することにより、操作用補助具の姿勢異常を検知する。
姿勢異常検知センサが、操作用補助具の側方又は上方に対応する補助具対応位置に設けられていることにより、操作用補助具のはみ出しを確実に検知する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の住宅用自動倉庫において、前記制御手段により制御される警報手段が設けられ、前記警報手段は前記姿勢異常検知センサが検出する前記操作用補助具の姿勢異常を検知したとき作動することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、姿勢異常検知センサにて操作用補助具の姿勢異常を検知された時点で警報手段が作動する。
これにより、開閉扉が閉動作前に操作用補助具の姿勢異常を報知することができ、これにより、操作用補助具の姿勢異常をタイムリーにかつ迅速に解除することが期待できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納ボックスにおける操作用補助具の姿勢異常を、開閉扉の閉動作を行う前に検知することができるほか、操作用補助具の姿勢異常の修正後に制御システム全体の復旧を行うことなく、収納ボックスの入庫を継続再開することができる住宅用自動倉庫を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る住宅用自動倉庫について説明する。
第1の実施形態の住宅用自動倉庫は、図1〜図3に示すように、収納ボックス1を収容する複数の格納棚10と、格納棚10と対向して往復移動するボックス搬送機20と、ボックス搬送機20の移動経路と対向する入出庫フロア30と、ボックス搬送機20の移動経路と入出庫フロア30との間を仕切る開閉扉33と、入出庫指示に基づきボックス搬送機20の動作及び開閉扉33の自動開閉を制御する制御ユニット40と、開閉扉33付近に設けた姿勢異常検知センサ40を有する。
【0015】
まず、収納ボックス1について説明する。
収納ボックス1は、図1〜図4に示すように、収納空間を有するボックス本体2と、ボックス本体2に対して姿勢変化する操作用補助具としての伸縮式の取手3を有する。
取手3は、ボックス本体2の側面に軸支される一対の取手基部4と、取手基部4の長手方向に沿って一定の範囲にて摺動する摺動取手部5を有する。
摺動取手部5は、取手基部4に対して摺動する一対の摺動杆5aと、摺動杆5aの先端と連結された水平杆5bを有する。
水平杆5bは作業者が握持する部材であり、収納ボックス1の牽引時には、摺動取手部5がボックス本体2から離れた位置の状態となる。
一方、摺動取手部5の水平杆5bをボックス本体2側へ最接近させた状態は、格納棚10へ収納ボックス1を収容するときに必要な取手3の姿勢(説明の便宜上、以後「保管時姿勢」と表記する。)である。
【0016】
次に、住宅用自動倉庫について説明する。
この実施形態の格納棚10は、図1に示すように、ボックス搬送機20の隣のスペースに配置されており、図2に示すように、各格納棚10は上下に亘って配設されている。
各格納棚10は、支柱11と、横梁材12と、載置部13により収納ボックス1を保管できる空間が確保されている。
【0017】
ボックス搬送機20について説明する。
図1及び図2に示すように、支柱11間に昇降ガイド21が配置され、昇降ガイド21に沿って昇降するキャリッジ22が備えられている。
キャリッジ22はキャリッジ昇降用駆動源(図示せず)の制御を受けて、各格納棚10に対向して停止することができる。
キャリッジ22には、収納ボックス1を受承するボックス受承部23を備えたボックス移載手段としてのフォーク24が備えられている。
ボックス受承部23は、フォーク24により各格納棚10へ向けて進退される収納ボックス1の載置面である
フォーク24は、フォーク進退用駆動源(図示せず)の制御を受けて各格納棚10へ向けてボックス受承部23を進退させることができる。
ボックス受承部23の進退により、格納棚10に対して収納ボックス1の出し入れを実現している。
この実施形態では、ボックス搬送機20が昇降ガイド21に沿って昇降するから、ボックス搬送機20の移動経路は上下方向に設定されていると言える。
【0018】
この実施形態では、住宅用自動倉庫であることから、住宅の各階にボックス搬送機20の移動経路と対向する入出庫フロア30が設定されている。
ボックス搬送機20及び格納棚10が含まれる領域を倉庫側領域とすると、倉庫側領域と入出庫フロア30とは隔壁31により区画されている。
入出庫フロア30は、実質的に各階の床面であり、図2及び図3では2階床面により入出庫フロア30が構成される。
隔壁31には、ボックス搬送機20の移動経路を臨むように開口された開口部32が形成されている。
従って、入出庫フロア30とボックス搬送機20の移動経路は、開口部32により連通されている。
開口部32は、収納ボックス1を出し入れすることができる十分な開口面積を有している。
開口部32にはスライド式の開閉扉33が設けられている。
開閉扉33は、下降時には開口部32を遮蔽し、上昇時は開口部32の殆どを開通させる扉となっており、図示しない扉駆動源により開閉動作が行われる。
【0019】
ボックス搬送機20の移動経路の傍ら(開口部32の近傍)には制御手段としての制御ユニット35が備えられている。
この実施形態の制御ユニット35は、ボックス搬送機20の動作を制御する搬送機制御盤36と、開閉扉33の開閉を自動開閉を制御するための開閉扉制御盤37と、管理コンピュータ38がユニット化されている。
この実施形態では、制御ユニット35は隔壁31に嵌め込まれている。
搬送機制御盤36は、ボックス搬送機20におけるキャリッジ22の昇降と停止、フォーク24の進退等のボックス搬送機20の各部を制御する機能を有する。
また、扉開閉制御盤37は、開閉扉33の開閉を自動的に行なう機能を有する。
この実施形態における開閉扉制御盤37は収納ボックス1における取手3の姿勢異常を示す警報を告知する警報手段(図示せず)を有し、警報手段は画面表示と音声による。
【0020】
搬送機制御盤36と、開閉扉制御盤37と、管理コンピュータ38とは互いに接続されているとともに、別に設置されている管理コンピュータ38と接続されている。
管理コンピュータ38は、格納棚10に対する収納ボックス1の入出庫の指示を搬送機制御盤36及び開閉扉制御盤37に与えるほか、各格納棚10における収納ボックス1の保管状況等を管理する。
また、収納ボックス1の荷姿異常の際に収納ボックス1の入出庫を停止させる指示を搬送機制御盤36に付与する。
【0021】
ところで、この実施形態における住宅用倉庫は、ボックス搬送機20における収納ボックス1の荷姿異常を検知する荷姿異常検知手段を有する。
荷姿異常検知手段は、入出庫時にボックス受承部23に収納ボックス1を載せたときの収納ボックス1の荷姿の異常を検知する手段である。
荷姿異常検知手段は、図示しないが、ボックス受承部23からの収納ボックス1のはみ出しや傾きの有無等、ボックス搬送機20に対する収納ボックス1の位置ずれの有無を検知する手段である。
荷姿異常検知手段は、ボックス搬送機20に設けられており、具体的には接触式又は非接触式の公知のセンサを用いている。
荷姿異常検知手段は搬送機制御盤36と接続されており、収納ボックス1の荷姿異常を検知すると荷姿異常を管理コンピュータ38伝達し、入出庫の一連の制御を中止又は待機させる制御を行うようにしている。
【0022】
また、この実施形態に係る住宅用自動倉庫は、姿勢異常検知センサ40を有する。
入出庫フロア30から収納ボックス1をボックス搬送機20に搭載する場合があるが、姿勢異常検知センサ40は、ボックス搬送機20に搭載した時点で収納ボックス1における取手3の姿勢の異常有無を検知する機能を有する。
この実施形態の姿勢異常検知センサ40は、光学式の非接触式センサであり、図2に示すように、開口部32近傍の一対の支柱11の一方にセンサの発光部41を設け、他方の支柱11にセンサの受光部42を設けている。
発光部41と受光部42の高さを取手3の高さをボックス受承部23に載置した収納ボックス1における取手3の高さと同じとなるようにしている。
取手3が保管時姿勢にある収納ボックス1をボックス搬送機20におけるボックス受承部23に搭載した状態では、図3に示すように、水平杆5bの直ぐ前方をセンサ光が横断する高さに設定されている。
このように、姿勢異常検知センサ40は操作用補助具としての取手3に対応する位置に設けられるから、姿勢異常検知センサ40の設置位置は補助具対応位置に相当する。
因みに、発光部41及び受光部42の上下、前後、左右位置は、検知対象である取手3の条件に応じて調整できるように備えられている。
姿勢異常検知センサ40は、取手3が保管時姿勢以外の状態となり、取手3がセンサ光を遮断され、受光部42がセンサ光を認識しない場合に、取手3の姿勢異常を示す信号を開閉扉制御盤37へ送る機能を有する。
【0023】
次に、この実施形態に係る住宅用自動倉庫による収納ボックス1の入庫手順について説明する。
まず、収容すべき収納ボックス1を入出庫フロア30へ移動させておく。
収納ボックス1の移動の際には、例えば、作業者が取手3を引いて収納ボックス1を移動するため、図4(a)に示すように、取手における摺動取手部5はボックス本体2から離れた位置となる。
収納ボックス1を入出庫フロア30に移動したときに、図4(c)に示すように収納ボックス1の取手3を保管時姿勢の状態にしておく。
因みに、図4(b)に示す収納ボックス1は。取手3における摺動取手部5がボックス本体2側に寄り切らず不完全な保管時姿勢の状態を示している。
【0024】
作業者は、収納ボックス1を入出庫フロア30に移動させた後は、管理コンピュータ38において入庫操作を行う。
入庫操作では、入庫を行う階と、入庫すべき収納ボックス1を特定するボックス番号と、入庫先の格納棚10等に関するデータを入力する。
搬送機制御盤36は、管理コンピュータ38における入庫操作に基づき、ボックス搬送機20を入庫を行う階の開口部32側に移動させるようにボックス搬送機20を制御する。
開閉扉制御盤37は、管理コンピュータ38における入庫操作に基づき開閉扉33を上昇させるように扉駆動源を制御する。
開閉扉33が上昇されることにより開口部32は開かれる。
【0025】
開口部32が開かれた後、作業者は収納ボックス1を開口部32を通じて押し込み、ボックス搬送機20のボックス受承部23に搭載する。
次いで、作業者は、開閉扉制御盤37が開閉扉33の閉操作を行うように、管理コンピュータ38を操作する。
この時点にて、収納ボックス1における取手3が正常な保管姿勢に保たれている場合には、姿勢異常検知センサ40における受光部42は発光部41からのセンサ光を認識するため、取手3の姿勢異常を認識しない。
開閉扉制御盤37では、取手3の姿勢異常を認識しないという開閉扉33の閉動作条件が満たされるため、開閉扉制御盤37の制御により開閉扉33は下降して開口部32を閉じる。
【0026】
さらに、収納ボックス1のボックス受承部23に対するはみ出し等、取手3の姿勢を除く収納ボックス1の荷姿異常が荷姿異常検知センサにより認識されない場合には、搬送機制御盤36において荷姿異常を認識しないというボックス搬送機20の動作条件が満たされる。
このため、ボックス搬送機20が搬送機制御盤36の制御を受けて作動される。
ボックス搬送機20は、搭載した収納ボックス1を入庫先の格納棚10と対向する位置へ移動される。
ボックス搬送機20は、入庫先の格納棚10と対向する位置で停止した後にフォーク24を格納棚10へ向けて挿入し、収納ボックス1を格納棚10へ移載する。
収納ボックス1を格納棚10へ移載した後、搬送機制御盤36において収納ボックス1の入庫が完了したことが認識され、ボックス搬送機20は次の入庫又は出庫に対応できる状況となる。
【0027】
次に、ボックス搬送機20に搭載された収納ボックス1の取手3の姿勢異常を認識した場合について説明する。
入庫すべき収納ボックス1がボックス搬送機20のボックス受承部23に搭載された時点で、図4(b)に示すように、収納ボックス1における取手3が正常な保管時姿勢を保っていない場合である。
つまり、取手の摺動取手部5が完全にボックス本体2側に接近した状態ではなく、図3において2点鎖線にて示すように、摺動取手部5が開口扉33側へ向けてはみ出ている状態である。
【0028】
この場合、作業者は、開閉扉制御盤37が開閉扉33の閉動作を行うように、管理コンピュータ38を操作するが、飛び出した摺動取手部5が姿勢異常検知センサ40のセンサ光を遮断する位置に存在する。
このため、姿勢異常検知センサ40における受光部42は発光部41からのセンサ光を認識することができず、取手3の姿勢異常を示す信号を開閉扉制御盤37へ伝達する。
開閉扉制御盤37では取手3の姿勢異常を示す信号を受けて、開閉扉33の閉動作条件が満たされていないと認識される。
【0029】
開閉扉33の閉動作条件が満たされていないことから、開閉扉制御盤37の制御による開閉扉33は下降されず、入庫作業が待機状態となる。
また、取手3の姿勢異常を示す信号を受けた開閉扉制御盤37では、ボックス搬送機20に搭載された収納ボックス1について取手3の姿勢異常を示す警報が警報手段により発せられ、作業者は警報により収納ボックス1について取手3の姿勢異常を認識することができる。
【0030】
この場合、作業者は開口部32を通じて収納ボックス1の取手3の姿勢異常を解消、あるいは、入出庫フロア30側へ収納ボックス1を引き出して、取手3の姿勢異常を解消すればよい。
ボックス搬送機20に搭載された収納ボックス1における取手3の姿勢異常が解消されても、作業者による管理コンピュータ38の操作が行われないと開閉扉33が開口部32を閉じない制御が採用されている。
このため、作業者は、開閉扉制御盤37が開閉扉33の閉操作を行うように、管理コンピュータ38を操作する。
このとき、収納ボックス1における取手3の姿勢異常が解消され、取手3が正常な保管時姿勢に保たれている場合には、姿勢異常検知センサ40における受光部42は発光部41からのセンサ光を認識するため、取手3の姿勢異常を認識しない。
開閉扉制御盤37では、開閉扉33の閉動作条件が満たされるため、開閉扉制御盤37の制御により開閉扉33は下降して開口部32を閉じる。
開閉扉33が開口部32を閉じた後は、荷姿異常検知センサによる収納ボックス1の荷姿異常の有無の確認が行われ、荷姿異常が認識されない場合には、ボックス搬送機20による入庫作業が行われる。
【0031】
なお、作業者が、開閉扉33の閉操作を促すように管理コンピュータ38を操作しても、依然として取手3の姿勢異常が解消されていない場合には、改めて取手3の姿勢異常を示す信号を開閉扉制御盤37へ伝達され、開閉扉33の閉動作条件が満たされていないことが認識される。
従って、改めて警報手段による警報が発せられるとともに、開閉扉制御盤37の制御による開閉扉33は下降はされず、入庫作業の待機状態が継続される。
【0032】
また、開閉扉33が閉じた後に、収納ボックス1における荷姿異常が生じた場合には、搬送機制御盤36側において「異常停止」と認識され、当初、管理コンピュータ38において行った入庫操作に係る制御が中止される。
管理コンピュータ38にて入庫操作に係る制御を一旦リセットした後、収納ボックス1の荷姿異常を解消し、荷姿異常の解消後には、管理コンピュータ38において行った入庫操作を最初から始めるようにする。
【0033】
この実施形態に係る住宅用自動倉庫によれば以下の効果を奏する。
(1)格納棚10側へ入庫の前段階である開閉扉33の閉動作の前に、収納ボックス1における取手3の姿勢異常の有無を確認できる。収納ボックス1における取手3の姿勢異常が存在する場合には、開閉扉33の閉動作が実行されず、開閉扉33が閉じないことにより取手3の姿勢異常の存在を簡単に認識することができる。
(2)収納ボックス1における取手3の姿勢異常が存在する場合、開閉扉33の閉動作が実行されないから、開口部32が開かれた状態で、取手3の姿勢異常を解消する作業が可能となる。取手3の姿勢異常という比較的小さな異常により、住宅用自動倉庫の制御システム全体を復旧させる事態を招くことがなく、取手3の姿勢異常の解消後の操作も簡単である。
【0034】
(3)取手3の姿勢異常を解消しても、開閉扉33の閉動作は作業者による管理コンピュータ38の操作を必要とし、このとき、取手3の姿勢異常が解消されていないと開閉扉33は閉じないから、取手3の姿勢異常が存在するままにボックス搬送機20による収納ボックス1の入庫作業が行われることはない。
(4)姿勢異常検知センサ40の受光部42及び発光部41の取付け位置は、ボックス受承部23上の収納ボックス1の取手3の条件に応じて対応させて位置調整できるから、収納ボックス1や取手3の種類が変更されても取手3の姿勢異常の有無を確認することができる。
(5)取手3の姿勢異常を告知する警報手段を備えていることから、開閉扉33が開口部32を開いているか直ちに確認できない場合でも、作業者は収納ボックス1における取手の姿勢異常を認識することが期待できる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係る住宅用自動倉庫について説明する。
第2の実施形態の住宅用自動倉庫は、図5及び図6に示すように、上下方向と水平方向に連設された多数の格納棚50を有しており、各格納棚50に対応して上下方向及び水平方向へ移動可能なボックス搬送機60が採用されている。
なお、第2の実施形態に係る収納ボックス1は、第1の実施形態における収納ボックス1と同一であるため、先の実施形態における説明を援用し、ここでは説明を省略する。
【0036】
図5に示す住宅用自動倉庫では、ボックス搬送機60の走行軌道55が床面に設置されており、走行軌道55の両側に上下方向及び水平方向に多数の格納棚50が連設されている。
格納棚50は、支柱51及び横架材52、53から構成により区画された空間部を有し、空間部には収納ボックス1を支持する一対の載置部材54が設けられている。
【0037】
ボックス搬送機60は、走行軌道55を往復走行する所謂スタッカクレーンであり、台車61、マスト65、キャリッジ62、フォーク64を有する。
ボックス搬送機60では、図6に示すように、台車に設置されたマスト65に対して昇降自在のキャリッジ62が備えられ、キャリッジ62には格納棚50に対して進退自在のフォーク64が備えられている。
フォーク64の上面はボックス受承部63に相当し、フォーク64を備えたキャリジ62はボックス移載手段に相当する。
キャリッジ62は図示しない荷姿異常検知センサを備えており、荷姿異常検知センサはボックス受承部63からボックス本体2のはみ出しや傾きによる荷姿異常を検知する。
【0038】
図5に示すように、入出庫フロア70が一定の範囲にて走行軌道55を臨むように設定されており、入出庫フロア70と走行軌道55側とは隔壁71により隔てられている。
隔壁71には開口部72が形成されているが、開口部72には上下動により開口部72を開閉する開閉扉73が備えられている。
この実施形態では、開口部72と対向するキャリッジ62の位置を入出庫位置とする。
隔壁71の移動経路側に配置されている支柱51には姿勢異常検知センサ80が備えられている。
具体的には、姿勢異常検知センサ80を構成する発光部81と受光部82が支柱51の移動経路側に取り付けられている。
発光部81及び受光部82の位置は、図6に示すように、収納ボックス1を搭載したキャリッジ62が入出庫位置にあるとき、収納ボックス1の取手3の高さと同じとなるように設定されている。
この実施形態でも姿勢異常検知センサ80は補助具対応位置に設置されていると言える。
【0039】
入出庫フロア70には、管理コンピュータ78と、扉開閉制御盤77と、搬送機制御盤76が一体化された制御ユニット75が設置されている。
管理コンピュータ78と、開閉扉制御盤77と、搬送機制御盤76の各機能とお互いの関係は第1の実施形態と同一である。
【0040】
この実施形態における収納ボックス1の入出庫フロア70からの入庫手順と、収納ボックス1の取手3の姿勢異常時の作用は第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
この実施形態に係る住宅用自動倉庫によれば、第1の実施形態が奏する効果と同様の効果が期待できる。
【0041】
なお、本発明は、上記した第1、第2の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、収納ボックスの取手が、取手基部と摺動取手部による伸縮可能な剛性部材にて構成されているが、取手は、必ずしも剛性部材である必要性はなく、収納ボックス5の牽引を可能とするで材料でもよい。例えば、柔軟部材にて形成される布ベルトであってもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、収納ボックスにおける操作用補助具としての取手を例示して説明したが、操作用補助具は取手に限らず、例えば、ボックス本体の上部を覆う蓋を操作用補助具としてもよい。操作用補助具を蓋とする場合、ボックス本体に対する蓋の位置ずれの有無を検知することができるように姿勢異常検知センサを設置すればよい。
【0042】
○ 上記の第1、第2の実施形態では、姿勢異常検知センサを1個だけ設けるようにしたが、操作用補助具の種類や条件に応じて姿勢異常検知センサを複数個設けるようにしてもよい。姿勢異常検知センサは光学式の非接触型のセンサに限定されず、接触式のセンサを用いてもよい。
○ 上記の第1の実施形態では、姿勢異常検知センサは、収納ボックスに設けた取手の一部がボックス受承部より開閉扉側にはみ出しているか否かを検知するが、姿勢異常検知センサを構成する発光部及び受光部は、水平方向にセンサ光を通す配設位置に限定されず、取手のはみ出しを上下から検知するように、垂直方向にセンサ光を照射する配設位置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態に係る住宅用自動倉庫の概略平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る住宅用自動倉庫の一部を破断して示す概略正面図である。
【図3】第1の実施形態に係る住宅用自動倉庫の一部を破断して示す概略側面図である。
【図4】収納ボックスと取手の状態を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る住宅用自動倉庫の概略平面図である。
【図6】第2の実施形態に係る住宅用自動倉庫の一部を破断して示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 収納ボックス
3 取手
10、50 格納棚
20、60 ボックス搬送機
22、62 キャリッジ
23、63 ボックス受承部
24、64 フォーク
30、70 入出庫フロア
31、71 隔壁
32、72 開口部
33、73 開閉扉
35、75 制御ユニット
36、76 搬送機制御盤
37、77 開閉扉制御盤
38、78 管理コンピュータ
40、80 姿勢異常検知センサ
41、81 発光部
42、82 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ボックスを収容する複数の格納棚と、該格納棚と対向して移動経路を往復移動するボックス搬送機と、前記移動経路と対向する入出庫フロアと、前記ボックス搬送機の移動経路と前記入出庫フロアとの間を仕切る開閉扉と、入出庫指示に基づき前記ボックス搬送機の動作及び前記扉の開閉を制御する制御手段と、前記ボックス搬送機における収納ボックスの荷姿異常を検知する荷姿異常検知センサとを有し、前記ボックス搬送機は、前記収納ボックスを受承するボックス受承部と、前記格納棚に対して収納ボックスの出し入れを行うボックス移載手段を有する住宅用自動倉庫であって、
前記収納ボックスは、収納空間を有するボックス本体と、前記ボックス本体に対して姿勢変化する操作用補助具を有し、
前記開閉扉付近に姿勢異常検知センサが設けられ、
前記補助具異常検出センサは、前記入出庫フロアから前記ボックス受承部に前記収納ボックスを載置させたとき、前記収納ボックスの前記操作用補助具の姿勢異常を前記開閉扉の閉動作前に検知するセンサであり、
前記制御手段は、前記姿勢異常検知センサからの前記操作用補助具の姿勢異常の信号を受けたとき、前記開閉扉の閉動作を実行しないことを特徴とする住宅用自動倉庫。
【請求項2】
前記操作用補助具の姿勢異常は、前記ボックス受承部から前記開閉扉側への操作用補助具のはみ出しであり、前記姿勢異常検知センサは、前記開閉扉側への操作用補助具のはみ出しの有無を検出する補助具対応位置に配置され、該補助具対応位置は操作用補助具の側方又は上方に対応する位置とすることを特徴とする請求項1記載の住宅用自動倉庫。
【請求項3】
前記制御手段により制御される警報手段が設けられ、前記警報手段は前記姿勢異常検知センサが検知する前記操作用補助具の姿勢異常を検知したとき作動することを特徴とする請求項1又は2記載の住宅用自動倉庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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