説明

住宅監視システム

【課題】 居住者が就寝しているような夜間などの時間帯に、居住者が異常行動を起こしたり、不審者が部屋内に侵入したりすることを報知することを目的とする。
【解決手段】 部屋内に居住者が在室していると在不在判定部2aにて判断し、かつ、その現在時刻が居住者の就寝時間帯であると異常判定部2bにて判断した場合に、部屋内の居住者が生活活動していることを検知する生活センサー4の所定時間あたりの検知回数が所定回数以上であると異常判定部2bにて判断したときに、部屋内に異常が発生したことを報知部11により報知するようにしているので、本来であれば居住者が就寝しており生活センサー4が居住者の生活活動を検知しないような時間帯に生活センサー4が頻繁に検知動作を行うと、部屋内に異常が発生していることが報知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者などが居住する住宅を監視する住宅監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、核家族化などの進行により、高齢者のみが居住する住宅が増えている。また、このような高齢者が居住する部屋を集めて、管理人室などにより管理する集合住宅が知られている。
【0003】
このような集合住宅において、赤外線センサーなどにより部屋内の居住者の動きを検知し、赤外線センサーによる検知ができない時間が所定時間以上になった場合に、居住者に異常があったと判断して警報を発する集合住宅監視装置が知られている(例えば、特許文献1など)。
【特許文献1】特開昭61−279221号公報
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、赤外線センサーによる検知ができない時間が所定時間以上になった場合に警報を発しているので、居住者が就寝しているような夜間などの時間帯に赤外線センサーが居住者の動きを頻繁に検知しても正常であると判断していまい、夜間に居住者が異常行動を起こしたり、夜間に不審者が部屋内に侵入したりした場合でも警報を発しないという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、居住者が就寝しているような夜間などの時間帯に、居住者が異常行動を起こしたり、不審者が部屋内に侵入したりすることを報知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明では、部屋内に居住者が居て、かつ、現在時刻が居住者の就寝時間帯である場合に、部屋内の居住者が生活活動していることを検知する生活センサーの所定時間あたりの検知回数が所定回数以上であるときに、部屋内に異常が発生したとして報知するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、本来であれば居住者が就寝しており生活センサーが居住者の生活活動を検知しないような時間帯に生活センサーが頻繁に検知動作を行うと、部屋内に異常が発生していることが報知されるので、夜間などの時間帯に居住者が異常行動を起こしたり、不審者が部屋内に侵入したりすることを報知することができる。これにより、管理人などは、部屋内の居住者を適切に監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による住宅監視システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態による住宅監視システムは、住宅に設けられる住宅監視装置1、管理人室などに設けられる管理装置10とを備えて構成されている。ここで、複数の住宅が存在する集合住宅では、本実施形態による住宅監視システムは、住宅監視装置1を各住宅にそれぞれ設けるようにしている。
【0009】
また、住宅監視装置1は、制御部2、在不在検出部3、生活センサー4、カウンタ部5、時計部6を備えて構成されている。また、制御部2は、在不在判定部2a、異常判定部2bを備えて構成されている。また、管理装置10は、報知部11を備えて構成されている。
【0010】
制御部2は、住宅監視装置1の各構成要素を後述するように制御する。在不在検出部3は、部屋内に居住者が居るか居ないかを検出する。ここで、在不在検出部3は、居住者が外出する際に部屋の外部からの玄関ドアの施錠を検出して不在信号を出力したり、居住者が外出する際に玄関ドアを施錠した鍵を置いておくためのキーホルダー内に鍵が存在することを検出して不在信号を出力したり、居住者が外出する際に操作する不在スイッチにより不在信号を出力したりする。なお、部屋の外部からの施錠は、部屋の内部からの施錠とは区別される。
【0011】
生活センサー4は、部屋内の居住者が生活活動をしていることを検知するものであり、例えば、部屋内の人体の動きを検出するパッシブセンサーなどにより構成される。
【0012】
カウンタ部5は、生活センサー4が部屋内の居住者の生活活動を検知する回数をカウントする。ここで、カウンタ部5は、制御部2からのリセット信号により居住者の生活活動の検知回数を1回にリセットする。時計部6は、現在時刻を示す現在時刻情報を出力するものであり、制御部2から現在時刻情報の取得の要求を受けて、現在時刻情報を出力する。
【0013】
制御部2の在不在判定部2aは、部屋内の居住者が在室しているか否かを判定する。また、制御部2の異常判定部2bは、部屋内に異常が起こっている(居住者が異常行動を起こしていたり、部屋内に不審者が侵入したりする)ことを判定する。
【0014】
このように構成された住宅監視装置1は、在不在検出部3による検出結果によって在不在判定部2aにて部屋内に居住者が居ると判断されると、異常判定部2bは、時計部6から現在時刻情報を取得する。異常判定部2bは、時計部6から取得した現在時刻情報が居住者の就寝しているべき就寝時間帯であるか否かを判定する。ここで、就寝時間帯としては、一般的には、午前0時〜午前5時の時間帯が該当する。なお、就寝時間帯には個人差があるので、居住者毎に設定できるようにしても良い。
【0015】
時計部6から取得した現在時刻情報が就寝時間帯であると異常判定部2bにて判断した場合には、異常判定部2bは、夜間監視モードに移行する。夜間監視モードでは、異常判定部2bは、生活センサー4により部屋内の居住者の生活活動が検知された回数をカウンタ部5より取得する。
【0016】
ここで、部屋内の居住者の生活活動が検知された回数は、所定時間内でカウントされる。例えば、異常判定部2bは、生活センサー4により部屋内の居住者の生活活動が最初に検知された現在時刻から30分間の回数をカウンタ部5より取得する。また、生活センサー4により部屋内の居住者の生活活動が最初に検知されてから次の検知までの時間がある程度離れている場合には(例えば、1回目の検知から2回目の検知まで10分間経過したような場合には)、異常判定部2bは、カウンタ部5にリセット信号を出力するとともに、所定時間の計測もリセットする。リセット信号を入力したカウンタ部5では、検知回数を1回にリセットする。
【0017】
そして、異常判定部2bは、カウンタ部5から取得した検知回数が所定回数(例えば、10回など)を超えたか否かを判定する。カウンタ部5から取得した検知回数が所定回数を超えたと異常判定部2bにて判断した場合には、制御部2は、部屋内に異常が発生したと判断して異常信号を管理装置10に出力する。
【0018】
管理装置10報知部11は、住宅監視装置1から異常信号を入力すると、該当する部屋内に異常が発生したことを報知する。ここで、報知部11は、表示ディスプレイや警告灯などの視覚に訴える装置や、警報などの聴覚に訴える装置により構成される。
【0019】
次に、本実施形態による住宅監視システムの動作及び住宅監視方法を説明する。図2は、本実施形態による住宅監視システムの動作及び住宅監視方法を示すフローチャートである。まず、住宅監視装置1では、居住者が不在か否かを在不在判定部2bにより調べる(ステップS1)。居住者が不在であると在不在判定部2bにより判断した場合には(ステップS1にてYES)、ステップS1の処理に戻る。
【0020】
一方、居住者が在室であると在不在判定部2aにより判断した場合には(ステップS1にてNO)、異常判定部2bは、時計部6から現在時刻情報を取得する(ステップS2)。そして、異常判定部2bは、取得した現在時刻情報が就寝時間帯を示すものであるか否かを調べる(ステップS3)。取得した現在時刻情報が就寝時間帯を示すものではないと異常判定部2bにて判断した場合には(ステップS3にてNO)、ステップS1の処理に戻る。
【0021】
一方、取得した現在時刻情報が就寝時間帯を示すものであると異常判定部2bにて判断した場合には(ステップS3にてYES)、生活センサー4が部屋内の居住者の生活活動を検知したか否かを調べる(ステップS4)。生活センサー4が部屋内の居住者の生活活動を検知していないと異常判定部2bにて判断した場合には(ステップS4にてNO)、ステップS1の処理に戻る。
【0022】
一方、生活センサー4が部屋内の居住者の生活活動を検知したと異常判定部2bにて判断した場合には(ステップS4にてYES)、カウンタ部5により生活センサー4の検知回数をカウントする(ステップS5)。そして、異常判定部2bは、カウンタ部5によりカウントされた検知回数が、所定時間内にて所定回数以上であるか否かを調べる(ステップS6)。検知回数が所定回数未満であると異常判定部2bにて判断した場合には(ステップS5にてNO)、ステップS1の処理に戻る。
【0023】
一方、検知回数が所定回数以上であると異常判定部2bにて判断した場合には(ステップS5にてYES)、制御部2は、部屋内に異常が発生したと判断して異常信号を出力する(ステップS7)。また、管理装置10は、異常信号を入力したか否かを報知部11により調べる(ステップS8)。異常信号を入力していないと報知部11にて判断した場合には(ステップS8にてNO)、ステップS8の処理を繰り返す。一方、異常信号を入力したと報知部11にて判断した場合には(ステップS8にてYES)、報知部11は、異常の発生を報知する(ステップS9)。
【0024】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、部屋内に居住者が在室していると在不在判定部2aにて判断し、かつ、その現在時刻が居住者の就寝時間帯であると異常判定部2bにて判断した場合に、部屋内の居住者が生活活動していることを検知する生活センサー4の所定時間あたりの検知回数が所定回数以上であると異常判定部2bにて判断したときに、部屋内に異常が発生したことを報知部11により報知するようにしている。
【0025】
これにより、本来であれば居住者が就寝しており生活センサー4が居住者の生活活動を検知しないような時間帯に生活センサー4が頻繁に検知動作を行うと、部屋内に異常が発生していることが報知されるので、夜間などの時間帯に居住者が異常行動を起こしたり、不審者が部屋内に侵入したりすることを報知することができる。これにより、管理人などは、部屋内の居住者を適切に監視することができる。
【0026】
なお、前述した実施形態では、時計部6により現在時刻情報と生活センサー4により検知される所定時間情報との両方を取得しているが、これに限定されない。例えば、現在時刻情報を取得するための時計部6と生活センサー4により検知される所定時間情報を取得するためのタイマーとを別々に設けても良い。
【0027】
また、前述した実施形態では、制御部2、カウンタ部5、時計部6が住宅監視装置1に含まれているが、これに限定されない。例えば、制御部2、カウンタ部5、時計部6を管理装置10に設けても良い。同様に、前述した実施形態では、報知部11を管理装置10に設けているが、これに限定されない。例えば、報知部11を住宅監視装置1に設けても良い。
【0028】
また、前述した実施形態では、生活センサー4としてパッシブセンサーを使用し、カウンタ部5によりパッシブセンサーの検知回数をカウントしているが、これに限定されない。例えば、生活センサー4として部屋内で使用される水道の水量を検知する水量センサーを使用し、カウンタ部5の代わりに水量センサーを使用して、住宅監視装置1は、水量が所定の閾値を超えた場合に異常信号を出力するようにしても良い。
【0029】
また、図3は、本実施形態による住宅監視システムの変形例を示す図である。同図によれば、住宅監視装置1にタイマー部7を設け、在不在判定部2aが部屋内に居住者が在室していると判断した場合に、生活センサー4による部屋内の居住者の生活活動の検知の間隔を測定し、この間隔が一定の時間以上(例えば10時間など)となったときに、制御部2が異常信号を出力するようにしても良い。
【0030】
ここで、タイマー部7は、時間を計測するものであり、在不在判定部2aにより部屋内に居住者が在室していると判断されている場合に、生活センサー4により部屋内の居住者の生活活動が検知された時に計時を開始する。そして、一定の時間以上経過しても生活センサー4により再度検知されないときには、タイマー部7は、タイムアップを示すタイムアップ信号を制御部2に出力する。一方、一定の時間未満に生活センサー4により再度検知されたときには、タイマー部7は、リセットされて再度計時を開始する。異常判定部2bがタイマー部7からタイムアップ信号を入力すると、制御部2は、異常信号を管理装置10の報知部11に出力する。
【0031】
報知部11は、異常信号を入力すると、部屋内に異常が発生したことを報知する。これにより、部屋内の居住者に健康上の異常が発生して居住者が動けなくなったような場合でも報知を行うことができる。
【0032】
また、このような場合において、タイマー部7がタイムアップ信号を出力する一定の時間を夜間には長く、昼間には短く設定するようにしても良い。また、前述した変形例では、異常判定部2bがタイムアップ信号を入力した場合に、制御部2は、生活センサー4の検知回数が所定回数以上となったときの異常信号と同じ異常信号を出力しているが、これに限定されない。例えば、制御部2は、生活センサー4の検知回数が所定回数以上となったときには、部屋内に異常が発生したことを示す第1の異常信号を出力し、タイムアップ信号を入力したときには、部屋内の居住者に異常が発生したことを示す第2の異常信号を出力して、報知部11により異なる形式で報知させるようにしても良い。
【0033】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態による住宅監視システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による住宅監視システム及び住宅監視方法を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態による住宅監視システムの変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1 住宅監視装置
2 制御部
2a 在不在判定部
2b 異常判定部
3 在不在検出部
4 生活センサー
5 カウンタ部
6 時計部
7 タイマー部
10 管理装置
11 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在時刻を示す現在時刻情報を出力する時計部と、
部屋内の居住者が生活活動していることを検知する生活センサーと、
前記生活センサーが前記居住者の生活活動を検知した回数をカウントするカウント部と、
前記部屋内に居住者が居るか居ないかを検出する在不在検出部と、
前記在不在検出部が前記部屋内に居住者が居ることを検出した場合に、前記時計部より前記現在時刻情報を取得し、前記現在時刻情報により特定される時間が前記居住者の就寝時間帯であると判断したときに、前記生活センサーが前記居住者の生活活動を検知する所定時間あたりの回数が所定回数以上になると、前記部屋内に異常が発生したと判断して異常信号を出力する制御部とを備えた住宅監視装置と、
前記住宅監視装置から前記異常信号を入力すると前記部屋内に異常が発生したことを報知する報知部を備えた管理装置と、
を備えた住宅監視システム。
【請求項2】
前記住宅監視装置は、前記在不在検出部が前記部屋内に居住者が居ることを検出した場合に計時を開始し、前記生活センサーが前記生活活動を検知すると前記計時をリセットするタイマー部を備え、
前記タイマー部により計時される時間が一定の時間以上となった場合に、前記制御部は、前記部屋内の居住者に異常が発生したと判断して異常信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の住宅監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−165361(P2008−165361A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352128(P2006−352128)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】