説明

体液処理器用の筒状容器の製造方法

【課題】 本発明の課題は、体液処理器用の筒状容器を射出成型によって製造するにあたり、突き当て式の一対の内型を用いても、筒状容器の中央内表面にバリが発生しないか、あるいは発生しても許容範囲に収まるような製造方法を提供すること。また、中央内表面にバリのない高品質かつ実用的な体液処理器用の筒状容器を提供すること。更にその筒状容器を備えた中空糸膜型体液処理器を提供すること。
【解決手段】 射出成型金型10の外型11と、この外型11に挿入される一対の内型21,31とにより筒状の成形部41が形成され、この成形部41に合成樹脂を射出して体液処理器用の筒状容器1を成形する方法であって、一対の内型21,31の端面21a,31aによる突き当て位置Aを、成形部41の全長において一方の容器端から四半分(4分の1)の長さ範囲S内とし、かつ、該突き当て位置Aにおいて、内型21,31の端面21a,31a同士を互いに嵌合させた状態で射出成型する体液処理器用の筒状容器1の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体液処理器用の筒状容器の製造方法及びそれにより製造される体液処理器用の筒状容器、更にはその筒状容器を備えた中空糸膜型体液処理器に関する。さらに詳しくは、射出成型金型の外型に挿入された一対の内型により筒状の成形部を形成し、この成形部に合成樹脂を射出して筒状容器を成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患者の血液を体外に取り出して血液中の老廃物を透析や濾過により除去したり、自己抗体、免疫複合体、低密度リポ蛋白質などの病因物質を吸着や濾過により除去したりした後、浄化された血液を患者に戻す体外循環式の血液浄化療法が普及している。例えば、慢性腎不全患者に対する血液透析療法、自己免疫疾患患者や高脂血漿患者に対する吸着療法、(二重濾過)血漿交換療法、肝炎患者に対する血漿交換療法、吸着療法、潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法、敗血症に対する吸着療法等である。
【0003】
これらの血液浄化療法を実施する際、血液中の尿毒素を除去するための血液透析器、血液濾過器、血液透析濾過器、血液を血球と血漿に分離する血漿分離器、血漿成分を高分子量の成分と低分子量の成分に分離する血漿成分分離器、血漿成分中の特定の蛋白質、脂質、エンドトキシン、サイトカイン等を吸着する血漿成分吸着器、血液中の白血球を除去する白血球除去器等の体液処理器が用いられる。
【0004】
体液処理器は、体液から目的成分を除去する分離材が筒状容器の内部に充填されており、例えば図1に示すように、筒状容器1の両端部には体液を出入させるための蓋体側ノズル5,7を設けた密閉キャップ6,8が取り付けられている。また、体液処理器は、治療における使い勝手の点から全体が軽量かつコンパクトであることが好ましい。しかも、低コストで得られることも求められる。一方、工業用の水処理フィルターのように、高圧や高流量に耐える設計は必要ない。これらの理由から、体液処理器用の筒状容器1は、合成樹脂によって厚さが凡そ1mm〜3mm程度の肉薄容器として射出成型される。
【0005】
体液処理器用の筒状容器1を製造する際、射出成型金型の外型と、外型に挿入された一対の内型とにより筒状の成形部を形成し、この成形部に合成樹脂液を射出して筒状容器1が成形される。その際、一対の内型の端面による突き当て位置は、成形部の長さ方向において中央に定めるのが一般的である(例えば特許文献1)。なぜなら、体液処理器のように肉薄な容器において長さが15cm〜30cm程度になると、内型の移動距離を最短に抑えないと、内型の引き抜き抵抗によって容器の変形や破損を生じやすいからである。それゆえ、一本式ではなく、突き当て式の一対の内型が用いられる。さらに、内型の端面同士の突き当て位置が成形部の長さ方向の中央部に定められる。そうすることで、筒状容器1の変形や破損がなく、しかも金型が小型になるので射出成型機も小型化できる。
【0006】
しかしながら、この方法では、射出樹脂の流動圧によって内型が一方向に押されて中心軸が移動したり、内型が外型との隙間で振動することがあった。
【0007】
外型に挿入される内型は円筒状の長尺であり、突き当て位置とは反対側の端部は、その外端の鍔部などによりしっかりと支持(固定)された状態にある。しかし、突き当て位置を形成する先端は自由端(遊動)となっており、しかも長尺の遊動端どうしの当接となることから、互いに支えあって直線状の姿勢を維持することが困難となり、振動し易い状態にある。また、内型の先端が自由端となっているため、内型の中心軸の移動距離や振幅は先端付近ほど大きくなる。したがって、樹脂の射出速度、粘度、注入位置等の如何によっては、筒状容器の長さ方向において中央付近すなわち内型の端面による突き当て位置付近において、筒状容器の肉厚が不均一になる恐れがあった。この程度の肉厚の不均一性は、十分肉厚な筒状容器では無視し得るが、体液処理器用の筒状容器のような肉薄容器においては、容器強度の均一性を高める上で改善の余地があった。
【0008】
また、射出成形時の合成樹脂液の射出圧力によって内型が一方向に押されたり、振動することにより、互いに端面で当接する内型の中心軸にズレが生じると、突き当て位置の金型部分(一対の内型同士の当接面)に隙間が生じる。この隙間に合成樹脂液が流れ込んで固化すると、体液処理器用の筒状容器の中央内面にバリが生じることになる。体液処理器の内部には種々の分離材が収容されるが、これらの分離材は多孔質体や極細繊維の集合体であって、構造的に決して頑強なものではない。例えば、分離材の中では比較的硬い吸着材粒子においては、粒子がバリと接触することによって微粒子の発生につながる恐れがあった。また、比較的柔らかい中空糸膜においては、バリと接触することによって膜表面に傷が入り、ひいてはピンホールの発生につながる恐れがあった。分離材の中でも、中空糸膜でのピンホールの発生は血液の漏出に直接的につながるため、特に分離材が中空糸膜の場合はバリ発生の可能性を徹底的に抑える意義が大きい。
【0009】
そこで、突き当て式の一対の内型を用いて体液処理器用の筒状容器を製造する方法において、容器内表面でのバリの発生を抑制する方法が検討されている(例えば特許文献2)。この技術においては、先ず、一対の内型の分割面、すなわち一対の内型の端面による突き当て位置にあるエアベントがバリ発生の主因であると考えられた。エアベントの大きさとバリの発生に関しては、例えば非特許文献1には、「バリ発生の許容限度以下」とする最大のエアベントサイズが、ポリプロピレンやポリエチレンでは10μm〜20μm、ポリスチレン、アクリロニトリル、ポリカーボネートでは20μm〜30μmであると記載されている。従って、射出成形時には、エアベント(金型の隙間)の大きさを最低でも上記の数値以下にすることが、バリの発生を抑制あるいは最小化する上で必要であると考えられる。
【0010】
ところが、特許文献2に記載の技術では、エアベントを小さくするのではなく、そもそも内型の分割面にエアベントを設けない金型が採用されている。しかしながら、この技術は、一対の内型の端面による突き当て位置を成形部の長さ方向において中央に定める方式なので、内型の移動や振動によって生じる諸問題については何も考慮されていなかった。したがって、たとえエアベントを無くしても、射出樹脂の流動圧によって内型が押されたり、振動するので、筒状容器の中央内表面には依然として大きなバリが発生する恐れがあった。
【0011】
このように、突き当て式の一対の内型を用いて体液処理器用の筒状容器を製造する方法においては、突き当て位置付近での容器肉厚の不均一性や大きなバリの発生という品質上の懸念が潜在していた。これは、現時点では問題として特に顕在化していなても、例えば射出速度を高めて生産性を著しく向上させようとすると、一挙に顕在化してくる可能性もあった。したがって、体液処理器用の筒状容器を製造するに際し、新たな着眼点で品質上の懸念点を徹底的に払拭していくことが望まれていた。
【0012】
【特許文献1】特開2003−265934号公報
【特許文献2】特開2005−46727号公報
【非特許文献1】著者名:福島有一、プラスチック射出成形金型設計、日刊工業新聞社、発行2002年11月18日、p128
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、体液処理器用の筒状容器を射出成型によって製造するにあたり、突き当て式の一対の内型を用いても筒状容器の中央内表面にバリが発生しないか、あるいは発生しても許容範囲に収まるような製造方法を提供することにある。また、中央内表面にバリのない高品質かつ実用的な体液処理器用の筒状容器を提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、射出成型金型の外型と、この外型に挿入される一対の内型とにより筒状の成形部が形成され、この成形部に合成樹脂を射出して体液処理器用の筒状容器を成形する方法において、一対の内型の端面による突き当て位置の重要性を見出した。すなわち、該突き当て位置を、従来行われていたように成形部の長さ方向において中央とするのではなく、一方の端部寄りに設けることの重要性を見出した。さらに、該突き当て位置において、内型の端面同士を互いに嵌合させた状態で射出成型することにより、大きなバリの発生が確実に抑制されることを見出し、以って本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を含む。
【0015】
(1)射出成型金型の外型と、この外型に挿入された一対の内型とにより筒状の成形部が形成され、この成形部に合成樹脂を射出して体液処理器用の筒状容器を成形製造する方法において、前記一対の内型の端面による突き当て位置を、前記成形部の全長において一方の容器端から四半分(4分の1)の長さ範囲内とし、かつ、該突き当て位置において、前記内型の端面同士を互いに嵌合させた状態で射出成形することを特徴とする体液処理器用の筒状容器の製造方法。
【0016】
(2)前記外型と一対の内型とにより形成される筒状の成形部は、長さ方向の両端部分に大径成形部分を有し、前記突き当て位置を、この大径成形部分が開始される肩部よりも内部側とすることを特徴とする前記(1)記載の体液処理器用の筒状容器の製造方法。
【0017】
(3)前記一対の内型の一方の端面には凹部を、他方の端面には凸部を設けることにより、互いを凹凸状に嵌合させることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の体液処理器用の筒状容器の製造方法。
【0018】
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載の体液処理器用の筒状容器の製造方法により得られる体液処理器用の筒状容器。
【0019】
(5)前記(4)に記載の筒状容器の内部に中空糸膜が充填され、その両端部には、体液の出入口である蓋体側ノズルを有する密閉蓋体が取り付けられた中空糸膜型体液処理器。
【発明の効果】
【0020】
本発明の体液処理器用の筒状容器の製造方法によれば、突き当て式の一対の内型を用いて体液処理器用の筒状容器を製造する際、一対の内型の端面による突き当て位置を、成形部の長さ方向において一方の端から四半分(4分の1)の長さ範囲内とし、かつ、該突き当て位置において、内型の端面同士を互いに嵌合させた状態で射出成型される。そうすると、内型の揺れが抑制され、両内型による直線状の成形姿勢が強固に維持されるため、射出成形時の合成樹脂液の射出圧力による突き当て位置の部分での隙間が殆ど生じない。すなわち、この位置でのバリが殆ど生じないか、あるいは発生しても許容範囲に収まるので、筒状容器の長短に関係なく、バリ発生が抑制された体液処理器用の筒状容器が得られる。
【0021】
このような体液処理器用の筒状容器は、その内部に中空糸膜や吸着材粒子等の分離材を充填した体液処理器として使用した際、容器内部の分離材が振動等によってバリに摺接することがないか、あるいはあっても許容範囲に収まるため、分離材が損傷してピンホールが発生したり、微粒子が発生するリスクが極めて低くなる。
【0022】
また、前記(2)の構成によると、両端部分に大径筒部を有する体液処理器を、突き当て位置に対応する部分を最も好適な位置として製造できる。
【0023】
さらに、前記(3)の構成によると、凹凸状という構造的には簡便な嵌合でありながらも、長い方の内型の振動を確実に抑制することができる。
【0024】
さらに、前記(4)の構成によると、バリの発生が抑制された体液処理器用の筒状容器を提供できる。
【0025】
そして、前記(5)の構成によると、筒状容器の内部に分離材を充填し、その両端部に体液の出入口である蓋体側ノズルを有する蓋体を取り付けると体液処理器が得られる。この体液処理器は筒状容器の中央内表面でのバリ発生が抑制されているので、充填した分離材がバリによって機械的損傷を被る恐れがない。従って、極めて高品質な体液処理器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明でいう体液処理器とは、筒状容器の内部に、体液から目的成分を除去する分離材が充填され、その両端部には体液の出入口である蓋体側ノズルを有する密閉蓋体が取り付けられたものである。このような構造・形状は、血液透析器や種々の分離カラム等に一般的なものであり、その詳細については特に限定されない。
【0027】
体液処理器の具体例としては、血液透析器、血液濾過器、血液透析濾過器、血漿分離器、血漿成分分離器、血漿成分吸着器、白血球除去器等が挙げられる。また、近年では、感染防止の目的から、輸血用の血液製剤やバイオ医薬品の精製工程において、中空糸膜型フィルターを用いてウイルス等の病原性微粒子が除去されることが多い。このようなウイルス除去フィルターも上記の体液処理器と同様の構造・形状を有し、かつ通液される溶液も体液と比較的類似するため、本発明では中空糸膜型のウイルス除去フィルターも体液処理器の範疇に含めてよい。
【0028】
分離材は、透析やろ過用の中空糸膜の束、円筒状に積層したろ過や吸着用の不織布、吸着用の多孔質粒子等である。分離材が中空糸膜や不織布の場合には、その両端部がポッティング加工されて筒状容器の内面に固定され、多孔質粒子の場合には、粒子が流出しないように筒状容器の内面が仕切り加工されている。
【0029】
体液処理器は全体が軽量かつコンパクトで、しかも低コストで得られることが求められるため、筒状容器や密閉蓋体には樹脂材料が用いられる。樹脂材料としては、ポリプロピレン樹脂、一般用ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン6樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。中でも、樹脂コストが安価なうえ、医療用部材の分野で使用経験が長く、高い安全性が確認されている樹脂材料は、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体樹脂である。これらは樹脂硬度が比較的低いので、分離材に対して機械的な損傷を与え難い方といえる。反対に、ポリカーボネート樹脂やポリスチレン樹脂は硬度が比較的高いので、バリの高さに関わらず、分離材に機械的損傷を与えるリスクはやや高めである。
【0030】
体液処理器は、透析効率や分離能を高める理由から、全体としては縦長の円筒形状で、かつ長さ方向に略対称形状のものが一般的である。具体的には長さが約15cm〜45cmであるが、ウイルス除去フィルターを除けば約15cm〜30cmである。同様に、最大径は約5cm〜20cm(筒状容器側のノズルの出っ張りも含めるとさらに3cm〜5cm増)であるが、ウイルス除去フィルターを除けば約5cm〜10cmである。容器の肉厚はいずれも約1mm〜3mmに留まる。一般的に蓋体の体液処理器全体に占める率は低いので、体液処理器用の筒状容器も前記同様のサイズとなる。
【0031】
体液処理器として筒状容器の内部に分離材を充填する中で、分離材に機械的な損傷を与えない必要性があるため、筒状容器の内表面におけるバリの有無やバリの程度は、容器品質上の大きな関心事である。本発明でいう体液処理器用の筒状容器の中央内表面に発生するバリとは、金型の外型や内型が当接するパート面に通常発生する凸部のことである。このような筒状容器に通常発生するバリはその高さが凡そ100μm〜300μm程度である。種々ある分離材のうち、バリによる機械的損傷がもっとも深刻なものは中空糸膜であるが、体液処理器に用いられる中空糸膜の平均的な膜厚は50μm程度である。それゆえ、このような高さのバリに対して、中空糸膜が異常なほど大きな力で摺接したり、高頻度に摺接したりすると、膜厚部に許容できないような機械的損傷を被る懸念がある。反対に、平均的な膜厚程度の高さのバリに対しては、許容できないような機械的損傷を被る懸念は考え難い。したがって、本発明では、バリの高さが平均的な膜厚である高さ50μm以下であれば、容器品質上の問題にはならない高さであると見なす。より好ましくは25μm以下である。バリの長さは、パート面の一部であったり、全体にわたることもある。
【0032】
このようなバリが生じている体液処理器用の筒状容器を、例えば中空糸膜型の血液透析器に使用すると、移送時の振動や使用時の透析液の流れによる振動の如何によっては、バリに摺接する中空糸膜が傷付けられる恐れがある。特に中空糸膜型体液処理器の場合は、中空糸膜はその両端部だけで筒状容器に固定されているから、バリの存在する中央部付近が最も振動し易い。これらの要因と、バリの高さや鋭角性が度重なって膜表面の損傷が大きくなると、ごく稀ではあるものの、ピンホールによるリークに至るリスクが高まる。
【0033】
本発明による体液処理器用の筒状容器の製造においては、射出成型金型の外型に対して一対の円筒状の内型を双方から挿入して、内型の両端面を突き当てさせることにより、外型と両内型とによって筒状の成形部が形成される。この状態で、成形部に合成樹脂液を射出し、そして冷却することで体液処理器用の筒状容器を成形できる。その際、一対の内型の端面による突き当て位置を、成形部の全長において一方の容器端から四半分(4分の1)の長さ範囲内とし、かつ、該突き当て位置において、内型の端面同士を互いに嵌合させているので、合成樹脂液の射出圧力によって突き当て位置の部分に隙間が殆ど生じないことになる。
【0034】
突き当て式の一対の内型を用いて、体液処理器用の筒状容器のような略対称型の筒状容器を製造する際、従来は、成形部の中央で内型を突き当てるために、互いに同じ長さの内型が一対で用いられていた。しかし、本発明では、上記の製造方法を具体化するために、互いの長さが異なる内型が一対で用いられる。そうすることにより、一方の内型は相対的に短いことから、外型側への固定力などによってその端面の部分が射出圧力により揺れることもなく、その姿勢が強固に維持される。一方、他方の内型は相対的に長いことから、その端面の部分が射出圧力により揺れようとする。しかし、突き当て位置において、長い内型の端面が短い内型の端面に嵌合することにより、長い内型が短い内型にしっかりと固定されるので、その姿勢も強固に維持される。これが内型全体の揺れ防止となり、両内型による直線状の成形姿勢が強固に維持される。したがって、射出成形時の合成樹脂液の射出圧力による突き当て位置の部分での隙間が殆ど生じないことになり、且つ長さの長短に関係なく、バリの発生が抑制された体液処理器用の筒状容器が得られる。
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の図面の例示に限定されるものではない。
【0036】
図2は、本発明の体液処理器用の筒状容器1を製造する射出成型金型10の断面図である。
【0037】
図2において、射出成型金型10は、中央部分が円筒状の貫通部とされた外型11と、この外型11の貫通部に挿入される一対の内型21,31、すなわち短内型21や長内型31などからなる。ここで外型11の貫通部は、その両端部分が内型ガイド面12に形成され、そして内型ガイド面12間が外成形面13に形成されている。その際に外成形面13は、内型ガイド面12に連なる短寸で大径の端成形面部13Aと、これら端成形面部13A間に位置される長寸の中央成形面部13Bとからなる。そして外型11は、その長さ方向の両端面によって挿入受け面14が形成され、また貫通部が露出される状態で分割可能に構成されている。
【0038】
前記短内型21および長内型31における貫通部への挿入部には、内型ガイド面12に密接可能な被ガイド面22,32と、この被ガイド面22,32に連なる内成形面23,33とが形成されている。その際に内成形面23,33は、被ガイド面22,32に連なる短寸で大径の端成形面部23A,33Aと、それぞれ端成形面部23A,33A間に位置される中央成形面部23B,33Bとからなる。
【0039】
そして、短内型21および長内型31の外端に設けられた鍔部24,34の挿入当て面25,35が挿入受け面14に当接されることで、端成形面部23A,33Aは端成形面部13Aに対向されるとともに、中央成形面部23B,33Bは中央成形面部13Bに対向され、以って、外型11の外成形面13と、短内型21および長内型31の内成形面23,33とにより筒状の成形部41が形成される。このとき成形部41は、端成形面部23A,33Aと端成形面部13Aとの対向部分によって、長さ方向の両端部分に大径成形部分41Aが成形されている。
【0040】
ここで、短内型21における中央成形面部23Bの長さは、長内型31における中央成形面部33Bの長さに対して短く形成されている。すなわち、一対の短内型21および長内型31の端面21a,31aによる突き当て位置Aを、成形部41の長さ方向である成形長さLに対して、短内型21側(一方)の端から四半分(4分の1)の長さ範囲S内としており、さらに突き当て位置Aを、短内型21側の大径成形部分41Aが開始される肩部Bよりも内部側としている。
【0041】
なお、端面21a,31aによる突き当ては、凹部を設けた凹状端面21aと、凸部を設けた凸状端面31aとにより互いを凹凸状に嵌合させる相嵌合突き当てとされている。図2では長内型31が凸状であるが、凹凸状態が逆となってもかまわない。相嵌合構造は図示した凹凸に限定されるものではなく、同様の機能を発揮できる構造であれば何れでも良い。例えば、一端面に凹凸が複数設けられていても良く、凸状端面が円錐状であったり、針状であっても良い。また、鋸歯状端面による相嵌合突き当ての形式や、扁平端面による突き当ての形式等であっても良い。
【0042】
そして、外型11における長さ方向の中央部分(センター)Cには、成形部41に合成樹脂液を射出するための湯口(ゲート)15が形成されている。
【0043】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
【0044】
体液処理器用の筒状容器の製造前において、射出成型金型10は、図2に示す外型11の貫通部に対して短内型21と長内型31とを挿入させることで、鍔部24,34の挿入当て面25,35を挿入受け面14に当接させるとともに、被ガイド面22,32を内型ガイド面12に密接させ、さらに凹状端面21aと凸状端面31aとを相嵌合して突き当てさせている。これにより、外型11の外成形面13と内型21,31の内成形面23,33とによって筒状の成形部41を形成している。
【0045】
この状態で、湯口15を通して成形部41に合成樹脂液を射出し、そして冷却することで体液処理器用の筒状容器1を成形し得る。その際、端面21a,31aによる突き当て位置Aを、成形部41の長さ方向である成形長さLに対して、短内型21側の端から四半分(4分の1)の長さ範囲S内としていることで、合成樹脂液の射出圧力によって突き当て位置Aの部分に隙間が殆ど生じないことになる。すなわち、短内型21は中央成形面部23Bが短いことから、被ガイド面22の密接力や鍔部24への当接固定力などによって、その凹状端面21aの部分が射出圧力により揺れることもなく、その姿勢を強固に維持し得る。
【0046】
また、長内型31は中央成形面部33Bが長いことから、その凸状端面31aの部分が射出圧力により揺れようとするが、このとき凸状端面31aの部分が、その姿勢を強固に維持している凹状端面21aの部分への当接により支えられることになって、揺れを防止しでき、以って両中央成形面部23B,33Bによる直線状の成形姿勢を強固に維持できることになる。したがって、射出成形時の合成樹脂液の射出圧力による突き当て位置Aの部分での隙間は全く(または殆ど)生じないことになり、以って長さの長短に関係なく、バリが全く(または殆ど)生じていない体液処理器用の筒状容器1を製造し得る。
【0047】
このようにして体液処理器用の筒状容器1を射出成形したのち、図2に示す短内型21や長内型31を抜出動させる。その際、端面21a,31aの部分には、抜出に応じて体液処理器用の筒状容器1内に空気が自動的に補給されて、真空化を防止するように構成されている。短内型21や長内型31を抜出動させたのち、外型11を分割動(開き動)などさせることで、図1に示すような体液処理器用の筒状容器1を取り出し得る。その際、外型11側には、透析液やろ過液等の出入口である容器側ノズル2,3の成形部(図示せず)などが設けられており、したがって体液処理器用の筒状容器1は、筒状部の両端部分に大径筒部1A,1Bを有し、そして一方の大径筒部1Aに容器側ノズル2を有するとともに、他方の大径筒部1Bに容器側ノズル3を有する状態で一体成形し得る。さらに、筒状部の内周面における突き当て位置Aに対応する部分1aに、バリが全く(または殆ど)殆ど生じていない体液処理器用の筒状容器1を製造し得る。
【0048】
このような体液処理器用の筒状容器1の内部に、例えば中空糸膜の束のような分離材(図示せず)を充填し、その一端には体液の出入口である蓋体側ノズル5を有する密閉蓋体6を装着するとともに、他端には蓋体側ノズル7を有する密閉蓋体8を装着することで、体液処理器が得られる。
【0049】
分離材が充填された体液処理器を引き続き滅菌工程に導入したり、製品として移送する際、あるいは治療施設で使用する際、振動や液の流れによって分離材が振動したとしても、突き当て位置Aに対応する部分1aにバリが全く(または殆ど)生じていないことから、振動する分離材がバリに摺接することは全く(または殆ど)生ぜず、したがって分離材が機械的損傷を受けることはない。
【0050】
さらに突き当て位置Aを、短内型21の大径成形部分41Aが開始される肩部Bよりも内部側としていることで、突き当て位置Aに対応する部分1aを最も最適な位置とし得る。
【0051】
上記した実施の形態の他に、大径筒部1A,1Bを有さない筒状部のみの体液処理器など、他の目的に使用される種々の体液処理器にも採用し得るものである。
【0052】
上記した実施の形態では、突き当て位置Aを、短内型21側の大径成形部分41Aが開始される肩部Bよりも内部側とした形式が示されているが、これは大径成形部分41Aに対応する部分を突き当て位置Aとした形式などであっても良い。
【0053】
本発明により得られる体液処理器には、血液透析器、血液濾過器、血液透析濾過器、血漿分離器、血漿成分分離器、血漿成分吸着器、白血球除去器等が挙げられるが、中でも中空糸膜型の血液透析器は、米国や台湾等の海外においてリユースされる点が特徴的である。リユースとは、使用後の血液透析器を洗浄・再生処理し、同一患者に限って数回から数十回繰り返し使用する治療法である。したがって、その繰返しの度にプライミング操作を経るので、他の体液処理器に比べて、分離材(中空糸膜)がバリが接する頻度が桁違いに多くなることから、筒状容器1の内表面にバリが無いことが特に重要となる。本発明の体液処理器用の筒状容器1は、バリが全く(または殆ど)生じない結果、一部でリユースされる中空糸膜型血液透析器用の筒状容器1として特に好ましいものである。
【0054】
[実施例]
【0055】
以下、実施例によって、本発明の作用効果をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。はじめに各種測定方法について説明する。
【0056】
なお、以下の各実施例1〜4および各比較例1〜6において、筒状容器1の基本的な寸法や形状は全て共通であるが、射出成型の最適条件は樹脂によって異なるので詳細な条件は樹脂毎に適宜設定した。
【0057】
[バリの高さの測定]
射出成型した体液処理器用の筒状容器1から、一対の内型21,31の端面21a,31aによる突き当て位置A、すなわちバリが発生すると予測される部分1aを含む容器片を約3cm×1cmの大きさに切り出す。非接触式の寸法測定器(Nikon製、NEXIV VMR-3020)のサンプル固定台に、容器片をバリの断面が山状に見えるように固定し、バリの高さを測定する。
【0058】
[分離材の損傷試験]
筒状容器1の中央内表面のバリの有無により分離材が受ける損傷の程度については、機械的損傷に比較的弱くかつ損傷した際の問題が大きい中空糸膜を用いて、図9に示す過酷試験を実施して評価する。
【0059】
前記したバリの高さ測定に用いた容器片を、内表面側を上向きにしてサンプル固定台に固定する。次に、ポリアクリロニトリル製の血液透析用多孔質中空糸膜(内径235μm、膜厚35μm、長さ5cm)20本をバリと略垂直になるように二段に並べ、その上部に重量が均一に掛かるように、厚さ2mmのシリコンラバーシートを介して50gの重りを静かに載せる。重りの設置面は20mm×20mmとする。この試験セットを、血液透析を想定して37℃の温水中に4時間浸漬した後、中空糸膜の全数を取り出し、顕微鏡下で中空糸膜の外表面を観察する。
【0060】
サンプル毎に、中空糸膜外表面の状態を、損傷が大きいものから順に、ピンホール(中空部が観察される)、擦れ(中空部は観察されず、明確な線状の窪みのみ)、筋(明確な窪みは観察されず、線状の筋痕のみ)、損傷なし、の4段階で全数評価する。20本のうち、最も損傷の大きい中空糸膜の評価をそのサンプルの評価とする。
【0061】
[実施例1]
図2に示す射出成型金型10で、一対の内型21,31の端面21a,31aによる突き当て位置Aを、成形部41の全長において一方端の大径成形部分41Aの開始される肩部Bの側脇に設定した射出成型金型10を準備した(これは、一方の容器端から四半分(4分の1)の長さ範囲S内である)。該射出成型金型10において、端面21aに凸部を設けた短内型21と、端面31aに凹部を設けた長内型31を一対として互いに嵌合させた状態で、成形部41にスチレン・ブダジエン共重合樹脂を射出し、全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの体液処理器用の筒状容器1を得た。筒状容器1における内型21,31の突き当て位置Aを図3に示す。尚、図3(a)は側断面模式図、図3(b)は簡易側面図、図3(c)は簡易上面図である。
【0062】
内型21,31の突き当て位置Aのバリの高さは僅か6.0μmであり、中空糸膜の当該位置には筋が観察される程度であった。
【0063】
[実施例2]
ポリカーボネート樹脂で射出成型して全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの筒状容器1を得た以外は、前記実施例1と同じ射出成型金型10を用いて体液処理器用の筒状容器1を得た。
【0064】
内型21,31の突き当て位置Aのバリの高さは僅か6.0μmであり、中空糸膜の当該位置には筋が観察される程度であった。
【0065】
[実施例3]
図2に示す射出成型金型10で、一対の内型21,31の端面による突き当て位置Aを、成形部41の全長において一方の容器端から四半分(4分の1)の長さに設定した射出成型金型10を準備した。該射出成型金型10において、端面21aに凹部を設けた短内型21と、端面31aに凸部を設けた長内型31を一対として互いに嵌合させた状態で、成形部41にスチレン・ブダジエン共重合樹脂を射出し、全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの体液処理器用の筒状容器1を得た。筒状容器1における内型21,31の突き当て位置Aを図4に示す。尚、図4(a)は側断面模式図、図4(b)は簡易側面図、図4(c)は簡易上面図である。
【0066】
内型21,31の突き当て位置Aのバリの高さは僅か12.0μmであり、中空糸膜の当該位置Aには筋が観察される程度であった。
【0067】
[実施例4]
ポリカーボネート樹脂で射出成型して全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの筒状容器1を得た以外は、前記実施例3と同じ射出成型金型10を用いて体液処理器用の筒状容器1を得た。
【0068】
内型21,31の突き当て位置Aのバリの高さは僅か22.0μmであり、中空糸膜の当該位置Aには擦れが観察される程度であった。
【0069】
[比較例1]
図2に示す射出成型金型10で、一対の内型21,31の端面21a,31aによる突き当て位置Aを、成形部41の全長において容器中央に設定した射出成型金型10を準備した。該射出成型金型10において、一方の端面21aには凹部を、他方の端面31aには凸部を設けた同じ長さの内型21,31を一対として互いに嵌合させた状態で、成形部41にスチレン・ブダジエン共重合樹脂を射出し、全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの体液処理器用の筒状容器1を得た。筒状容器1における内型21,31の突き当て位置Aを図5に示す。尚、図5(a)は側断面模式図、図5(b)は簡易側面図、図5(c)は簡易上面図である。
【0070】
内型21,31の突き当て位置Aのバリ高さは210.0μmであり、中空糸膜の当該位置にはピンホールが観察された。
【0071】
[比較例2]
ポリプロピレン樹脂で射出成型して全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの筒状容器1を得た以外は、前記比較例1と同じ射出成型金型10を用いて体液処理器用の筒状容器1を得た。内型21,31の突き当て位置Aのバリ高さは200.0μmであり、中空糸膜の当該位置にはピンホールが観察された。
【0072】
[比較例3]
図2に示す射出成型金型10で、一対の内型21,31の端面21a,31aによる突き当て位置Aを、成形部41の全長において一方の容器端から3分の1の位置に設定した射出成型金型10を準備した。該射出成型金型10において、端面21aに凹部を設けた短内型21と、端面31aに凸部を設けた長内型31を一対として互いに嵌合させた状態で、成形部41にポリカーボネート樹脂を射出し、全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの体液処理器用の筒状容器1を得た。筒状容器1における内型21,31の突き当て位置Aを図6に示す。尚、図6(a)は側断面模式図、図6(b)は簡易側面図、図6(c)は簡易上面図である。
【0073】
内型21,31の突き当て位置Aのバリ高さは120.0μmであり、中空糸膜の当該位置にはピンホールが観察された。
【0074】
[比較例4]
ポリアクリロニトリル樹脂で射出成型して全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの筒状容器1を得た以外は、前記比較例3と同じ射出成型金型10を用いて体液処理器用の筒状容器1を得た。
【0075】
内型21,31の突き当て位置Aのバリ高さは140.0μmであり、中空糸膜の当該位置にはピンホールが観察された。
【0076】
[比較例5]
端面に相嵌合構造を持たない短内型21と長内型31が挿入される射出成型金型10を用いた以外は、前記実施例1と同様の方法により、スチレン・ブダジエン共重合樹脂製の、全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの体液処理器用の筒状容器1を得た。筒状容器1における内型21,31の突き当て位置Aを図7に示す。尚、図7(a)は側断面模式図、図7(b)は簡易側面図、図7(c)は簡易上面図である。
【0077】
内型21,31の突き当て位置Aのバリ高さは220.0μmであり、中空糸膜の当該位置にはピンホールが観察された。
【0078】
[比較例6]
端面に相嵌合構造を持たない短内型21と長内型31が挿入される射出成型金型10を用いた以外は、前記実施例3と同様の方法により、スチレン・ブダジエン共重合樹脂製の、全長280mm、外径(胴部)40mm、肉厚(胴部)2mmの体液処理器用の筒状容器1を得た。筒状容器1における内型21,31の突き当て位置Aを図8に示す。尚、図8(a)は側断面模式図、図8(b)は簡易側面図、図8(c)は簡易上面図である。
【0079】
内型21,31の突き当て位置Aのバリ高さは143.0μmであり、中空糸膜の当該位置にはピンホールが観察された。
【0080】
【表1】

【0081】
上記表1に示すように、本発明の製造方法により得られた体液処理器用の筒状容器1には、高さが6μm〜22μm程度の微小なバリは確認された(実施例1〜4)。しかし、何れにおいても、過酷試験を以ってしても中空糸膜の外表面にバリの跡がついたり、擦れたりしたに留まり、最悪のケースであるピンホールの発生は認められなかった。つまり、微小なバリは観察されているものの、分離材に与える機械的損傷の程度としては許容範囲内である。
【0082】
一方、従来式の内型21,31を用いた製造方法により得られた体液処理器用の筒状容器1には、高さが140μmという、中空糸膜の膜厚をはるかに越える大きなバリが形成されており(比較例1〜6)、過酷試験においてはピンホールの発生が認められた。もちろん、これは過度な要因が幾つも同時に重なって起こる大きな機械的損傷を想定した過酷試験であり、現状の筒状容器1に直ちに問題が発生することを意味するものではない。しかし、筒状容器1の生産性を著しく高めようとする際には顕在化する可能性のある、潜在的な要改善点であることには相違ない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の製造方法によれば、中央内表面にバリが発生しないか、あるいは発生しても許容範囲に収まるような体液処理器用の筒状容器を提供することができる。このような高品質な筒状容器は、様々な体液処理器の構成部材として好適であり、該体液処理器は体外循環式の血液浄化療法において、きわめて安全に用いることができる。また、ウイルス除去フィルターとして、製剤の精製工程に好適に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】体液処理器の一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明において用いられる射出成型金型の断面図である。
【図3】本発明における一対の内型の突き当て位置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明における一対の内型の突き当て位置の別の例を示す模式図である。
【図5】本発明の比較例における一対の内型の突き当て位置の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の比較例における一対の内型の突き当て位置の別の例を示す模式図である。
【図7】本発明の比較例における一対の内型の突き当て位置の別の例を示す模式図である。
【図8】本発明の比較例における一対の内型の突き当て位置の別の例を示す模式図である。
【図9】分離材の損傷試験(過酷試験)を示す模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1…筒状容器
1A,1B…大径筒部
1a…突き当て位置Aに対応する部分
2,3…容器側ノズル
5,7…蓋体側ノズル(体液の出入口ノズル)
6,8…密閉蓋体(密閉キャップ)
10…射出成型金型
11…外型(キャビ)
12…内型ガイド面
13…外成形面
13A…端成形面
13B…中央成形面部
14…挿入受け面
15…湯口(ゲート)
21…短内型
21a…凹状端面
22…被ガイド面
23…内成形面
23A…端成形面部
23B…中央成形面部
24…鍔部
25…挿入当て面
31…長内型
31a…凸状端面
32…被ガイド面
33…内成形面
33A…端成形面部
33B…中央成形面部
34…鍔部
35…挿入当て面
41…成形部
41A…大径成形部分
A…突き当て位置
B…肩部
C…中央部分(センター)
L…成形長さ
S…四半分(4分の1)の長さ範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成型金型の外型と、この外型に挿入された一対の内型とにより筒状の成形部が形成され、この成形部に合成樹脂を射出して体液処理器用の筒状容器を成形製造する方法において、前記一対の内型の端面による突き当て位置を、前記成形部の全長において一方の容器端から四半分の長さ範囲内とし、かつ、該突き当て位置において、前記内型の端面同士を互いに嵌合させた状態で射出成形することを特徴とする体液処理器用の筒状容器の製造方法。
【請求項2】
前記外型と一対の内型とにより形成される筒状の成形部は、長さ方向の両端部分に大径成形部分を有し、前記突き当て位置を、この大径成形部分が開始される肩部よりも内部側とすることを特徴とする請求項1に記載の体液処理器用の筒状容器の製造方法。
【請求項3】
前記一対の内型の一方の端面には凹部を、他方の端面には凸部を設けることにより、互いを凹凸状に嵌合させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体液処理器用の筒状容器の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の体液処理器用の筒状容器の製造方法により得られることを特徴とする体液処理器用の筒状容器。
【請求項5】
請求項4に記載の筒状容器の内部に中空糸膜が充填され、その両端部には、体液の出入口である蓋体側ノズルを有する密閉蓋体が取り付けられたことを特徴とする中空糸膜型体液処理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−101591(P2009−101591A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275252(P2007−275252)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000116806)旭化成クラレメディカル株式会社 (133)
【Fターム(参考)】