体組成測定装置、体組成測定システム、プログラム、体組成測定方法
【課題】ボディサイズを計測することで、精度の高い体組成測定装置を提供する。
【解決手段】 ボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、電流印加手段及び電圧測定手段により測定された生体電気インピーダンスとから体組成を求める演算手段とを備える。ボディサイズ計測手段は、非接触式のボディサイズ計測手段であり、電波式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。また、演算手段は、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、体幹部の体組成を求める。
【解決手段】 ボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、電流印加手段及び電圧測定手段により測定された生体電気インピーダンスとから体組成を求める演算手段とを備える。ボディサイズ計測手段は、非接触式のボディサイズ計測手段であり、電波式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。また、演算手段は、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、体幹部の体組成を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に体組成測定装置、体組成測定システム、プログラム、体組成測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりにより、自らの体型について客観的に知りたいという要求が高まってきている。
この体型を測定するための手段としては、生体電気インピーダンス測定により全身の体脂肪率や筋肉量等を算出し、身体の内部についての体組成を測定することで、間接的に体型を測定できる体組成計が普及してきている。
【0003】
例えば、特許文献1の図6又は7を参照すると、生体電気インピーダンスを測定する体組成計が記載されている(以下、従来技術1とする)。
この従来技術1の体組成計は、8つの電極を用いることで、身体の手、足、体幹部といった、各部の体組成を計測することができる。これにより、間接的に体型を測定できる。
【0004】
一方、実際の測定者の体型を直接的、外見的に計測するための手法が、いくつか存在している。
たとえば、特許文献2を参照すると、下着用の3次元人体計測装置が存在する(以下、従来技術2とする。)。
【0005】
従来技術2の装置は、プロジェクタで人体に格子パターンを投影し、CCDカメラで撮影した画像から格子の三次元座標を算出し、人体の立体座標を得ることができるというものである。
この従来技術2の装置によると、上述の立体座標から全身の立体的な寸法の集合であるボディサイズを非接触的に計測でき、バストの大きさや、腰回り等を測定することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−329412号公報
【特許文献2】特開平7−139922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術1の体組成計は、身体内部の体組成を測定することができるものの、ユーザが入力する身長の値を基に平均的な四肢の長さを仮定して、手、足、体幹部の体組成を求めるために、誤差が生じるという問題点があった。
また、従来技術2の装置は、人体のボディサイズを計測して外見的な体型を計測できるものの、実際の身体内部の体組成を測定することはできなかった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の体組成測定装置は、ボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された生体電気インピーダンスとから体組成を求める演算手段とを備えることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記演算手段は、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、体幹部のうちいずれかの体組成を求めることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、左手で握るための左手用バーと、右手で握るための右手用バーを更に備え、前記電流印加手段及び電圧測定手段は、前記左手用バーと、前記右手用バーと、左足を接触させる底面と、右足を接触させる底面とに備えることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記左手用バー及び前記右手用バーは、長さを調整可能な左手用バー及び前記右手用バーであることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記ボディサイズ計測手段は、非接触式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記非接触式のボディサイズ計測手段は、光学式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記非接触式のボディサイズ計測手段は、電波式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、サウナ機能を実現するサウナ手段を更に備えることを特徴とする。
本発明の体組成測定システムは、全身のボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された値から求めた生体電気インピーダンスから体組成を求める演算手段と前記体組成を送信する通信手段とを備える体組成測定装置と、前記体組成を受信し、対応するアドバイスを送信することができる通信手段とを備えるアドバイス手段とを備えることを特徴とする。
本発明のプログラムは、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応する生体電気インピーダンスの値と、前記全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応するボディサイズを用いて体組成を求めることを特徴とする。
本発明の体組成測定方法は、非接触式のボディサイズ計測手段によりボディサイズの計測を行い、生体電気インピーダンスを測定し、前記ボディサイズと、前記から生体電気インピーダンスから体組成を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボディサイズを計測することで、精度の高い体組成測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施の形態>
(生体電気インピーダンス測定装置の構成)
以下で、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、生体電気インピーダンスを測定することで体内の体組成を測定することができ、被測定者の身体のボディサイズを計測して外見的な体型を計測することができる。さらに、サウナ機能を備えており、サウナを使用する前にいつでも体型を計測することができる。
図1を参照すると、測定装置Xは、測定ルーム200とコントロール部100とから概略構成される。
コントロール部100は、PC/AT互換機等のPC(パーソナル・コンピュータ)を使用した制御装置であり、測定ルーム200のコントロールを行い、被測定者が行った体型の測定測定結果を閲覧し、アドバイスを参照する際に使用する。コントロール部100には、キーボードやポインティングデバイス等である入力部6と、液晶ディスプレイ等である表示装置7と、測定結果の印刷を行う印刷装置8とが備えられている。
このコントロール部100は、コード10により測定ルーム200と接続している。
【0012】
測定ルーム200は、サウナ等の機能を備える例えば円筒形の個室で、ドア40と、壁30とを備えている。
測定ルーム200の内側には、被測定者が握る左手用のバー3(左手用バー)と右手用のバー4(右手用バー)とがある。このバー3とバー4は可動式であり、長さを調整できる。これにより、被測定者の身長に合わせて伸縮でき、正確な立位の姿勢で体型の測定を行うことができる。また、このバー3とバー4は、使用しないときには、取り外して壁30に取り付けておくことができる。
【0013】
バー3には、体内の体組成を測定する際に使用する手用の電極である電流供給電極3aと電圧測定電極3b(電流印加手段)とが握りの部分に備えられている。同様に、バー4には、電流供給電極4aと、電圧測定電極4bとが備えられている。加えて、測定ルーム200の床には、測定者が立つ箇所の左足用に電流供給電極13aと電圧測定電極14bが、右足用に電流供給電極14aと電圧測定電極14bとが備えられている。
また、被測定者が体型測定開始の指示をしたり測定時の状態を表示したりすることができ、スピーカ等の音声出力手段を内臓した液晶表示装置兼タッチパネル等であるタッチパネル9を備えている。
【0014】
さらに、測定ルーム200の内側には、ボディサイズを計測するボディサイズ計測手段である、体型センサ50を備えている。
体型センサ50の構造を説明すると、円筒形の測定ルーム200の中央を中心軸として回転する逆L字型の体型計測バーが取り付けられている。
この体型計測バーには等間隔で複数の赤外線やレーザを使用した公知の光学式距離測定素子55−1〜55−n(例えば、合計196個)を備えている。
【0015】
この体型センサ50は非接触式のボディサイズ計測手段であり、体型計測バーに縦に備えた距離測定素子(例えば、距離測定素子55−10)により、水平方向の距離を計測する。また、体型計測バーに横に備えた距離測定素子(例えば、距離測定素子55−1)により、鉛直方向の距離を計測する。
被験者のボディサイズを計測するには、上述の縦に備えた素子だけで十分であるが、横に備えた素子を用いて被測定者の身長を計測することで、測定時間を短縮し、精度を高めることができる。
【0016】
体型センサ50を用いて、実際にボディサイズを計測する場合、体型計測バーが回転し、各距離測定素子55−1〜55−nから、赤外線やレーザを放射する。放射された赤外線やレーザは、被測定者の身体の表面で反射され、反射して戻るまでの時間や位相差等を、各距離測定素子が内蔵する受光素子が受信する。この受光素子が受信した信号により、距離を測定することができる。
体型計測バーは、10秒程度で被測定者の周囲を一周し、立体座標データを取得する。
【0017】
また、測定ルーム200の内側には、サウナ機能を実現するための赤外線パネルヒーター等であるヒーター71とヒーター72(サウナ手段)とを備えている。
このヒーター71とヒーター72は、測定者がタッチパネル9や入力部6からサウナモードを選択することで使用することができる。
さらに、このサウナ機能用に、ボディサイズ測定時に死角を作らないシート状又は棒状の椅子(図示しない)が備えられている。
【0018】
(内部の制御構成)
次に、図2のブロック図を参照して、測定装置Xの制御構成について説明する。
上述のようにコントロール部100はPC等で構成され、CPU等である演算制御装置25と、RAM、ROM、フラッシュメモリ、固定ディスク装置であるHDD等である記憶装置24と、入力部6と、表示装置7と、印刷装置8を備えている。また、コントロール部100は、シリアル、USB、有線LAN、無線LAN、ワイヤレスUSB、ブルートゥース(登録商標)等のインターフェイスである通信部61により、コード10を介して測定ルーム200の通信部60と接続している。なお、通信部61が無線を用いたインターフェイスの場合、コード10は必要ない。
また、演算制御装置25は、記憶装置24に記憶した体型測定プログラムを実行する手段であり、算出された生体電気インピーダンスの補正を行う補正手段でもある。さらに、生体の組成に関する指標を算出する体組成算出手段でもあり、他の各種の演算や制御についても行うことができる。
【0019】
測定ルーム200は、組み込み型のマイクロプロセッサやCPU等の制御手段である制御部23と、タッチパネル9と、被測定者の体重を計測する公知の体重測定装置26と、体型センサ50と、通信部61と同様の通信部60と、ヒーター71と、ヒーター72とを備えている。さらに、電流供給電極3a、4a、13a、14aと、電圧測定電極3b、4b、13b、14bからの信号線は、電子的なリレー回路等である電極切替装置20を介して、電流供給装置21と電圧測定装置22に接続される。この電流供給装置21と電圧測定装置22とは、制御部23に接続されている。また、電源装置28が、制御部23やヒーター71、72、体型センサ50等の各部に電力を供給する。
制御部23は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えており、このROM又はフラッシュメモリ等には、各部を用いて計測や測定を行うためのファームウェアを記憶している。また、制御部23は、コントロール部100からの指示により、このファームウェアの内容に従って、生体電気インピーダンスと、ボディサイズの計測を行う。また、サウナ機能の制御を行う。
【0020】
(体型の測定)
次に、本発明の実施の形態に係る体型の測定について、フローチャートである図3を参照して説明する。
まず、測定者が測定ルーム200の図示しない主電源スイッチをオンにすると、電源装置28から電源が各部に供給される。制御部23は、ROM等に記憶されたファームウェアを実行し、各部のチェックを行い、電力消費の少ない待機状態になる。
次に、測定者がコントロール部100の体型測定プログラムを起動し、測定者が体型測定を行うためのスタートボタンを入力部6から入力すると、演算制御装置25は、通信部61からコード10を介して測定ルーム200に測定開始の指令を送信する。
ここで、被測定者がドア40を開けて内側に入室し、測定を開始する。
【0021】
(ステップS101)
まず、ステップS101において、制御部23が、ファームウェアに記載した測定用の初期化処理を行う。
これにより、制御部23は各部の初期化を行う。
各部の初期化処理が終了した場合、演算制御装置25は、次のステップS102に処理を進める。
【0022】
(ステップS102)
次に、ステップS102においては、制御部23が、個人パラメータの入力画面をタッチパネル9及び表示装置7に表示する。
ここでは、まず、測定者又は被測定者により、誰の測定を行うかについての選択を行う。この上で、被測定者の性別、年齢、着衣量といった個人パラメータが入力される。なお、被測定者がサウナを使用する前に測定し、裸で測定ルーム200に入っている時は、当然、着衣量は0となる。
この個人パラメータの入力は、タッチパネル9又は入力部6の数字キー等を用いて行われる。また、通信部60を介してコントロール部100以外の他のコンピュータにより入力してもよい。
この個人パラメータのデータに関しては、通信部60からコード10を介して通信部61で受信し、演算制御装置25が記憶装置24に記憶する。
【0023】
個人パラメータの入力が終わると、制御部23は、測定開始を指示する画面をタッチパネル9に表示する。
これにより、測定者は、バー3を左手で握り、バー4を右手で握り、電流供給電極13aと電圧測定電極13bに左足を合わせ、電流供給電極14aと電圧測定電極14bに右足を合わせて立つ。
ここで、所定時間が経過するか、制御部23が各電極に通電していることを検知すると、制御部23は実際の測定処理を開始する。
【0024】
(ステップS103)
次に、ステップS103においては、制御部23により、外見的な体型の計測を行う。
まずは、制御部23は、センサ50の体型計測バーを初期位置に回転させる。この上で、所定の速度で体型計測バーを回転させつつ、赤外線やレーザを放射し、被測定者の身体の表面で反射された赤外線やレーザを受信する。これにより、例えば20万点に及ぶ身体各部の立体座標を検出することができる。
この立体座標から、ボディサイズの計測を行う。図4を参照すると、本発明の実施の形態に係る測定装置Xにおいては、頭囲、肩幅、首周り、胸囲(バスト)、腹部(ウェスト)、腰回り(ヒップ)、股下等の周囲長を計測することができる。さらに、四肢の長さと体積についても計測することができる。
この、ボディサイズの計測における各部の測定結果を、後述する生体電気インピーダンス測定の結果と合わせて使用する。
【0025】
また、ボディサイズの計測と同時に、電子式歪み計等を使用した体重測定装置26により被測定者の体重も測定する。
これらの測定したデータは、制御部23が通信部60からコード10を介して送信する。コントロール部100の通信部61がこのデータを受信すると、演算制御装置25はデータを記憶装置24に記憶する。
【0026】
(ステップS104)
次に、ステップS104において、制御部23が、生体電気インピーダンス(生体BI)の測定を行う。
この際に行われる、複数の周波数の交流電流を用いた生体電気インピーダンス測定(多周波生体インピーダンス測定)の動作について以下で説明する。
【0027】
まず、図6を参照して説明すると、8電極の生体電気インピーダンス測定装置においては、両足の爪先側と両手の指先側の電極から電流を供給し、両足の踵側と両手の母指球側で電圧を測定する。
この8電極の生体電気インピーダンス測定装置においては、電流を流す部位と電圧を測定する場所を切り替えることによって、全身、右足、左足、右腕、左腕というように、5つの部位の生体電気インピーダンス測定を行う。
【0028】
たとえば、右足のインピーダンスを測定する場合は、右手足間に電流を流し、両足間の電圧を測定する。これにより、右足、左足、右腕、左腕、右半身、左半身の各部の体組成を測定することができる。
さらに、左半身の生体電気インピーダンスを基にして、全身の体組成を推定することが可能である。
また、全身から四肢の情報を除くことで、体幹部の体組成を測定することが可能である。
【0029】
本発明の実施の形態に掛かる測定装置Xにおいては、多周波生体電気インピーダンス測定は、印加電流の周波数Fiをi=1からはじめて、設定されているn回に亘り行う。
第一番目の周波数における測定の初期設定として、i=1が設定され、このiの値によって周波数Fiが設定される。
制御部23内のROMに予め配置された測定制御パラメータ(以下、測定制御パラメータと略記する)を基に、制御部23が出力信号周波数を設定し、その出力信号を電流供給装置21へ出力する。
電流供給装置21は、電流値が設定可能な定電流出力回路で構成されており、測定制御パラメータを基に出力電流値を設定する。
この交流電流出力を、電極切替装置20を介して切り替えつつ、上述のように電流供給電極3a、4a、13a、14aにより測定する右足、左足、右腕、左腕、右半身、左半身の各部のいずれかに電流を印加する。このときの電圧を電圧測定電極3b、4b、13b、14bで測定する。
【0030】
この測定時には、このとき電極3b、4b、13b、又は14b間で発生した電圧を被測定者に接触した電圧測定電極を通して電圧測定装置22内の差動増幅回路に入力し、差動増幅回路は、入力されたそれぞれの電圧の差である信号を制御部23内のA/D変換器に出力する。A/D変換器は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換することで生体電気インピーダンスを測定し、その結果を制御部23内のRAMに記憶する。
【0031】
第一番目の周波数によるインピーダンス測定が終了したら、iに1を加えて、規定の測定回数を終了していないか判定する。ここで、iが設定回数のnを越えていたら、インピーダンスの測定は終了となり、未だ越えていなければ、次の周波数でのインピーダンス測定を行う。
【0032】
続いてステップS104で測定された生体電気インピーダンス測定値から、生体電気インピーダンスベクトル軌跡およびそれに関するパラメータが算出される。
通常、生体電気インピーダンスは、図7に示すような、細胞外液抵抗Re、細胞内液抵抗Ri、細胞膜容量Cmを集中定数で表現した等価回路で表されるが、実際には、生体を構成する個々の細胞が、その形状や性質の差異により、それぞれ定数の異なる回路で表されるため、その集合体である生体では、集中定数による等価回路を測定した場合のように、生体電気インピーダンスベクトル軌跡は半円とならずに、コール−コールの円弧則に従う円弧となるとされている。
【0033】
従って、一般に、生体電気インピーダンスは、図8に示すような円弧状の軌跡を描く。ここで、X軸は生体電気インピーダンスのレジスタンス成分を表し、Y軸は生体電気インピーダンスのリアクタンス成分を表す。生体電気インピーダンスのリアクタンス成分は容量性なので負の値をとるため、生体電気インピーダンスベクトル軌跡は、X軸の下方に位置し、また、求める生体電気インピーダンスベクトル軌跡は円弧であるという仮定から、周波数F1、F2、…、FNの各々における生体電気インピーダンス測定値Z1、Z2、…、ZNは、ある円の円周上にある。ここで、円の中心のX座標をa、円の中心のY座標をb、円の半径をrとすると、生体電気インピーダンス測定値を通る円の方程式は式1のように表される。
【0034】
(X−a)2+(Y−b)2=r2 …… (式1)
a、b、rは、式1に、周波数F1、F2、…、FNにおける生体電気インピーダンス測定値Z1、Z2、…、ZNを代入することにより求められる。
【0035】
また、式1から、Xは以下のように表される。
X=a±sqrt(r2−b2) …… (式2)
なお、sqrt()は平方根を示す。
【0036】
そして、式2より、式1で表される円とX軸との交点R0、Rinf(R0>Rinf)は、以下のように求められる。
R0 = a+sqrt(r2−b2) …… (式3)
Rinf = a−sqrt(r2−b2) …… (式4)
【0037】
更に、式3および式4より、図7の等価回路におけるReおよびRiは以下のように求められる。
Re=R0 …… (式5)
Ri=R0・Rinf/(R0−Rinf) …… (式6)
【0038】
特性周波数Fcにおける生体電気インピーダンスベクトルZcは、リアクタンス成分、すなわちY軸成分の絶対値が最大になる点であるから、その場合のレジスタンス成分であるX座標値およびリアクタンス成分であるY座標値は以下のように算出される。
X=a …… (式7)
Y=b−r …… (式8)
【0039】
ここで、RcはZcのレジスタンス成分、XcはZcのリアクタンス成分とすると、Zcは以下のように表される。
Zc=Rc+jXc=a+j(b−r) …… (式9)
【0040】
また、Z(ω)はωにおける生体電気インピーダンスベクトル、τ、βは定数とすると、コール−コールの円弧則から、任意の角周波数ωにおける生体電気インピーダンスベクトルは以下のように表される。
Z(ω)=(R0−Rinf)/{1+(jωτ)β} …… (式10)
【0041】
更に、τ=1/ωcとして、式10は以下のように表される。
Z(ω)=(R0−Rinf)/{1+(jω/ωc)β} …… (式11)
【0042】
ここで、ωc=2πFcであるから、先に測定された生体電気インピーダンス測定値を用いて、Fcおよびβが求められる。
これらの求められた生体電気インピーダンス測定のデータは、制御部23がボディサイズの計測データと同様に通信部60からコード10を介して送信する。
コントロール部100の通信部61がこのデータを受信すると、演算制御装置25はデータを記憶装置24に記憶する。
【0043】
(ステップS105)
次に、ステップS105においては、演算制御装置25が、RAMに記憶した測定データから身体成分量を算出して、記憶装置24のRAMに記憶する。
すなわち、上述のように生体電気インピーダンス測定値から求められた生体電気インピーダンスベクトル軌跡およびそれに関するパラメータR0およびRinf、ReおよびRi、Zc、Rc、Xc、Fc等とボディサイズ計測のデータ内の値に基づいて、体脂肪量、除脂肪量(体重と体脂肪量との差)等の身体成分量を算出する。
また、算出された身体成分量から、細胞内液量ICW、細胞外液量ECW、細胞内外液量比ICW/ECW、体水分量TBW(=ICW+ECW、細胞外液量と細胞内液量との和)等の値も求めることができる。
例えば、細胞内液量ICW、細胞外液量ECW、体水分量TBWの値は、Ri、Re、身長Ht、体重Wの値を用いて以下の式により求められる。
ICW = Ki1・Ht2 / Ri + Ki2W + Ki3
ECW = Ke1・Ht2 / Re + Ke2W + Ke3
TBW = ICW + ECW
(ただし、Ki1、Ki2、Ki3、Ke1、Ke2、Ke3は係数)
【0044】
ここで、全身の除脂肪量(FFM)を求める計算式は、身長をHt、生体電気インピーダンスをZとして、以下の式のように表すことができる。この身長Htは、上述のボディサイズの計測で測定した長さを使用する。
FFM=k1×Ht2/Z+k2 …… (式12)
(ただし、k1、k2は定数)
【0045】
さらに、上述のFFMを用いて全身の体脂肪率(%FAT)を求める計算式は、以下のようになる:
%FAT=(W−FFM)/W×100 …… (式13)
【0046】
全身の除脂肪量ではなく、各四肢の除脂肪量を求める場合においても、電流経路長又はその代用である長さ情報が必要である。
従来技術1の体組成計では、この値を身長Htを基に平均的な四肢の長さを当てはめて代用していたが、本発明の実施の形態に係る測定装置Xにおいては、ボディサイズの計測から、正確に四肢の長さを求めることができる。
ここで、正確に求めた四肢の長さをそれぞれ、Hlh(左手の長さ)、Hrh(右手の長さ)、Hll(左足の長さ)、Hrl(右足の長さ)とすると、以下の関数のように、より正確な除脂肪量の計算を行うことができる。
FFM(左手) = f(Z, Hlh) …… (式14−1)
FFM(右手) = f(Z, Hrh) …… (式14−2)
FFM(左足) = f(Z, Hll) …… (式14−3)
FFM(右足) = f(Z, Hrl) …… (式14−4)
【0047】
全身の体脂肪率を求めるに当たっては、(式13)に示すとおり、重さ情報たる体重Wを必要とする。
各四肢の体脂肪率を求める場合においても、(式13)は、重量の割合を示すだけの式であるため同じ式を用いることができる。
ここで、(式13)各四肢の重さ情報を要する。しかし、四肢の各パーツの重さを単独で測定することは困難である。
【0048】
本発明の実施の形態に係る測定装置Xにおいては、体型測定により各四肢の重さ情報を不要として各四肢の体脂肪率を計算する、以下の手法を用いる。
一般的に、脂肪組織の比重を0.9g/cm3、除脂肪組織の比重を1.0g/cm3とすると、
体重Wは、総組織Vt、脂肪組織VFM、除脂肪組織VFFMを用いて以下のように表される。
W = 0.9×VFM+1.0×VFFM
= 0.9×(Vt−VFFM)+1.0×VFFM
= 0.9×Vt+0.1×VFFM
ここで、VFFM=FFMであるから、上式より:
%FAT=(0.9×Vt+0.1×FFM−FFM)
/(0.9×Vt+0.1×FFM)×100
=0.9×(Vt−FFM)/(0.9×Vt+0.1×FFM)×100
となり、四肢の各パーツの体重を入力せずとも体脂肪率の計算ができる。
このときのFFMは、式(14)から計算されるものとする。
【0049】
上述の(式14−1〜14−4)においては、電流経路長として体型測定による各四肢の長さであるHlh(左手の長さ)、Hrh(右手の長さ)、Hll(左足の長さ)、Hrl(右足の長さ)をパラメータとした。
これに更に、ボディサイズの計測による四肢の断面積である、Alh(左手の断面積)、Arh(右手の断面積)、All(左足の断面積)、Arl(右足の断面積)をパラメータとして加え、各四肢の容積を用いることで、より正確な体組成(除脂肪量、体脂肪率)の計算をすることもできる。
FFM(左手) = f(Z, Hlh, Alh)
FFM(右手) = f(Z, Hrh, Arh)
FFM(左足) = f(Z, Hll, All)
FFM(右足) = f(Z, Hrl, Arl)
【0050】
(ステップS106)
次に、ステップS106において、制御部23は測定が終了した旨の画面をタッチパネル9に表示して、スピーカから効果音を鳴らす。ここで、被測定者はドア40を出て、コントロール部100に表示する測定結果を参照することができる。
また、演算制御装置25は、測定と演算が終了した旨の画面を表示装置7に表示する。
【0051】
(ステップS107)
次に、ステップS107において、演算制御装置25は、測定結果を表示装置7に表示し、被験者へのアドバイスを行う。
図9を参照して説明すると、図9の初期画面で測定者が入力部6のキーを押下又はポインティングデバイスで指示すると各被測定者(例えば、Aさん)の測定データを表示するページ(例えば、Aさんのページ)呼び出すことができる。
この測定データを表示するページにおいて、各タブを入力部6のキーを押下又はポインティングデバイスで指示して開くと、それぞれのタブに対応したデータを参照することができる。たとえば、基礎データとしては、体重、体脂肪率、基礎代謝量等を参照でき、比較データとしては、ウェスト等のボディサイズの変化を参照できる。
【0052】
また、運動メニューにおいては、現在の体型と体組成を考慮して、必要な運動例を示すことができる。ここで、推奨運動に有った運動(ヨガ、フィットネス、スイミング等)の施設を提示することができる。
また、筋力を上げたい能力(ジャンプ力、背筋力、持久力等)に応じた運動例を示すこともできる。
【0053】
さらに、理想の体型になるための食事のアドバイス等も行うことができる。なお、個人パラメータとして尿糖の値を入れることにより、糖尿病食についてのアドバイスを行うこともできる。
また、測定結果は継続的に記憶装置24に保存しておくことができ、前の値との比較値を表示することができる。
【0054】
さらに、図10を参照して説明すると、実際に計測したボディサイズを表示することができる。ここで、前回に計測したボディサイズとの比較した画像を表示することができ、さらに例えばウェストとヒップといった特定の箇所の輪郭について、比較画像を表示することができる。この表示は、前回との差の部分を塗りつぶすので差が分かりやすい「リアル表示」と、ライン画像で表現するため複数の画像を比較しやすい「ライン表示」とを選ぶことができる。
【0055】
また、これらの特定の部位に、推定した体脂肪量を重ねるオーバーレイ表示を行うことができ、内蔵脂肪の量を立体的に表示することも可能である。また、例えば、内臓脂肪が多いか、筋肉量が多いかといったデータを身体の画像に重ね合わせて3次元画像で表示することも可能である。
さらに、メタボリック・シンドロームに関係する、ウェスト・ヒップ長についての表示を行うこともできる。
また、身長、年齢、性別、運動履歴等により、理想体型を仮想し、その理想体型と現在の体型との差を表示することが可能である。例えば、ウェストが10cm太い、太股が5cm太い等のアドバイスを行うと同時に、理想体型との差を立体的に表示することが可能である。
【0056】
これらのデータを基にして、体型に関するアドバイスを行うことができる。例えば、「あんこ型」のように皮下脂肪が多いのか、「堅太り型」のように筋肉質で太っているのか等について指摘できる。
さらに、特定の状況についての特定のアドバイスを行うこともできる。たとえば、スポーツ選手の筋肉量の診断として、各部位の筋肉の量が適当であるかについて、各部位の体型の基準値と体脂肪量からアドバイス可能である。
また、上述の理想体型や特定のスポーツで必要な筋肉量との差について、不足している部分の筋肉量等を色分け(例えば、足りない部分を赤、十分な部分を青とする)して立体的に表示することも可能である。
【0057】
なお、このアドバイスに関しては、上述の表示画面について、記憶装置24のHDD等に記憶した文章を基にして表示する。この内容は、インターネット等からダウンロードして拡充することが可能である。また、健康についての知識を勉強するようなアドバイスを行うことも可能である。
【0058】
さらに、測定者が入力部6のキーを押下すると、上述のアドバイスの内容と、上述の測定結果のうち筋肉量や体脂肪率、骨密度等を含む測定値が印刷装置8により印刷される。
この印刷時には、より詳しいアドバイス(例えば、筋肉量を増やすための運動量や、食事のメニュー、メタボリック症候群のワンポイント・アドバイス等)の文書を印刷することも可能である。
また、これらの測定結果を、通信部60を用いて、他のコンピュータへの送信を行うことができる。この場合、他のコンピュータの画面上で、測定結果について確認し、経時的な観測のデータをチェックすることを簡便に行うことができる。さらに、このデータはcsv(コンマ区切り)形式等でエクスポートすることも可能である。
また、項目によっては、インターネット等を通じて送信することができ、これをサーバ等である他のコンピュータ(アドバイス手段)が受信して詳しいアドバイスを送信することで、体型の測定についての個別指導を行うことが可能になる。
測定結果を確認すると、測定者は本測定装置Xの電源を切り、測定を終了する。
【0059】
以上のように構成することで、次のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1でも用いられている身長Htは、生体電気インピーダンス測定のために印加する電流の電流経路長の代用である長さ情報である。
従来技術1の体組成計では、身長を手入力していた。また、身長計を用いた体組成計であっても、接触式の身長計を使用していた。このため、誤差が大きかった。
しかしながら、本発明の実施の形態に係る体型測定センサ50は、非接触でボディサイズの計測が可能である。
よって、身長Htの長さを<0.1cmの精度で求められる。このHtが正確であるほど、体脂肪率の測定精度が上がる。このため、従来よりも精度の高い体脂肪率の測定が可能になるという効果が得られる。
【0060】
また、全身の除脂肪量ではなく、各四肢の除脂肪量を求める場合においても、電流経路長又はその代用である長さ情報が必要である。
従来技術1の体組成計では、各四肢の長さ情報の取得及び入力は難しく、結果として、身長Htと各四肢の長さとが比例関係にあるものとして、以下の関数に示すように、変数に、前記身長Htを代用していた。
FFM(四肢)= f(Z, Ht)
当然のことながら、身長と各四肢の長さの関係には個体(人)差があり、誤差要因となる。
【0061】
しかしながら、本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、体型測定により四肢の長さHlh(左手の長さ)、Hrh(右手の長さ)、Hll(左足の長さ)、Hrl(右足の長さ)を求めることができ、上述の(式14−1)〜(式14−4)のように、より正確な除脂肪量の計算が可能になるという効果が得られる。
【0062】
また、従来技術1の体組成計は、体内の体脂肪率や筋肉量の割合を数値的に表現するものの、実際に脂肪や筋肉量が、どのように体型に外見的に現れてくるかを表現することが難しかった。すなわち、体組成計を用いるだけでは、液晶ディスプレイ等に表示される、身体各部の体脂肪と体組成の割合から、体型を概念的に把握することができるだけであった。
しかし、測定装置Xはボディサイズを計測したものを表示することができ、過去の体型と比較等を行うことができるため、測定結果の表現力を向上することができる。これにより、健康管理と美容的体型管理を同時に行うことが可能になる。
【0063】
上述の美容的な体型管理においては、一般の被測定者だけではなく、ボディービルダーやアスリートが利用することができる。これは、測定装置Xにおいては、ボディサイズの計測により筋肉の量が見た目で分かり、さらに各部位の筋肉量と脂肪率を正確に測定することができるためである。
たとえば、右腕の体積が減っているのに筋肉が増えている場合、筋肉が増えていると判断できる。よって、ボディービルダーの場合、筋肉の体積をさらに増やすようにアドバイスし、アスリートの場合、他の筋肉が増えていない部分を強化するようにアドバイスできる。
【0064】
さらに、アスリートの場合、どの位置の筋肉量が多くなっているのかを知ることは非常に重要である。このため、例えば、本測定装置Xを、水泳選手や、短距離選手、長距離選手等、トレーニングにより、それぞれのスポーツに適した筋肉が増加しているかをアドバイスすることができる。
また、なりたい体型を個人パラメータとして入力する(体重、腕周囲径、足周囲径、ウェスト、ヒップ、バスト等)ことで、どこの筋肉が足りないのか表示することができる。
この「なりたい体型」に関しては、スポーツの他にも足を細くしたい、もう少し腹筋をつけたいといった要望にも対応可能である。
【0065】
ここで、「なりたい体型」のサンプルデータを複数用意しておき、それから選択するようにすることもできる。
また、「なりたい体型」と現在の体型をオーバーレイ表示し、なりたい体型を入力部6により調整して、この調整した「なりたい体型」と現在の体型との差に基づきアドバイスを行うことも可能である。
【0066】
加えて、測定装置Xは、従来技術1の生体電気インピーダンス測定装置と異なり、記憶装置24のROM内に児童やお年寄りを含む被験者の回帰式を記憶している。
このため、児童やお年寄りの筋肉量についても正確に測定することができる。よって、児童については成長の度合いと体型についての情報を把握し、お年寄りについては怪我からのリハビリ時のような場合の回復を体組成と体型により正確に把握することが可能である。
【0067】
また、本発明の実施の形態に係るバー3とバー4は可動式であり、被測定者の身長に合わせて伸縮して調整することで、正確で安定した立位の姿勢で体型の測定を行うことができる。
さらに、ボディサイズの計測時にバー3とバー4を掴んで立っていることにより、安定した姿勢を保つことができ、正確なボディサイズの計測値を測定することが可能になる。
【0068】
また、本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、サウナ機能を搭載しているため、裸に近い状態でボディサイズの計測を行うために、測定の誤差が少ないという効果が得られる。
さらに、ホームサウナとして設置した場合、ホームサウナは毎日使用することが多いため、体型測定を毎日の日課に組み込めるという効果が得られる。さらに、サウナに入る際には裸になるため、より被測定者の抵抗感がなく、光学式の距離測定素子によりボディサイズを計測することが可能である。
【0069】
なお、本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、体型の測定を行わず、サウナ機能のみを使用する場合、測定ルーム200の主電源を入れてからタッチパネル9により指示することで使用することができる。すなわち、コントロール部100を起動する必要がない。
【0070】
また、コントロール部100を用意せずに、測定ルーム200にコントロール部100を備えるようにして、上述のすべての測定ができる構成をとることも可能である。この場合、サウナの熱による劣化を避けるために、壁30の外側に印刷装置8を設定することが望ましい。さらに、タッチパネル9も、壁30の外側に備える構成にすることも可能である。
【0071】
また、洗面化粧台にタッチパネル9を設置して、毎日の測定結果を閲覧できるという構成にしてもよい。加えて、サウナ機能と体型測定と洗面化粧台・バス機能を備えたリラクゼーション・ルームとして設置することも可能である。
【0072】
さらに、本発明の実施の形態に係る測定装置Xに関しては、例えば、従来技術2のように身体の画像をカメラにより撮影してボディサイズを計測することも可能である。
この場合、赤外線カメラを用いることで、身体の表面の熱分布から脂肪の量を推定し、体型測定の計算の参考とすることも可能である。さらに、赤外線測定により、肌の状態を測定することも可能である。これにより、体組成、体型と、肌の年齢との相関を求め、「若々しさ」についての総合評価を行うことが可能になる。よって、エステティック・サロン等で測定装置Xを効果的に用いることが可能になる。
【0073】
加えて、当然、サウナを搭載しない測定装置の構成も当然可能である。
この場合、体型センサとして、例えば米国Intellifit社(http://www.intellifit.com/Intellifit/Home.aspx)の技術のような、ボディサイズを計測する体型測定レーダーである、非接触式で電波式のボディサイズ計測手段を用いるのが好適である。
この体型測定レーダーは、所定の速度で体型計測バーを回転させつつ、電波発生素子からマイクロ波等である電波を発生させ、被測定者の身体の表面の水分により吸収・反射された電波を受信する。これにより、身体の水分に反応した電波を捉えて身体までの距離を計測することができる。
電波は衣服を通過して身体の表面で反射・吸収されるため、着衣のままでもボディサイズの計測を行うことができ、被測定者の負担を少なくすることができる。
【0074】
さらに、本発明の実施の形態に係るバー3又はバー4等に血圧計や脈波計等を搭載することも可能である。これにより、サウナ時の水分変化を考慮して、体組成を測定することができ、動脈硬化等についても測定することが可能になる。
これにより、ボディサイズの計測と合わせて、体型やメタボリック症候群等のアドバイスを行うことが可能になる。
【0075】
加えて、本発明の実施の形態に係るタッチパネル9には、テレビ機能や映像・音楽再生機能、ラジオ機能、を付加することが可能である。これにより、体型測定後のサウナでくつろぐ時間を有意義に過ごすことが可能になり、体型測定を行うモチベーションを高めることが可能になる。また、この映像再生機能により、体組成や体型に関する教育的な番組を再生したり、提携するフィットネスクラブ等の宣伝を行うことが可能である。
【0076】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの構成を示す外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの測定手順および動作の概要を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの体型計測仕様を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの体組成測定仕様を示す図である。
【図6】8電極の生体電気インピーダンス測定装置による測定方法について示す概念図である。
【図7】生体電気インピーダンスを表す等価回路図である。
【図8】生体電気インピーダンスベクトル軌跡を表すグラフ図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る体型測定の結果の表示例を示す概念図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るボディサイズの計測の表示例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0078】
3、4 バー
3a、4a、13a、14a 電流供給電極(電流印加手段)
3b、4b、13b、14b 電圧測定電極(電圧測定手段)
6 入力部
7 表示装置
8 印刷装置
9 タッチパネル
10 コード
20 電極切替装置
21 電流供給装置
22 電圧測定装置
23 制御部
24 記憶装置
25 演算制御装置
26 体重測定装置
28 電源装置
30 壁
40 ドア
50 体型センサ
55−1〜55−n 距離測定素子
60、61 通信部
71、72 ヒーター
100 コントロール部
200 測定ルーム
X 測定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に体組成測定装置、体組成測定システム、プログラム、体組成測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりにより、自らの体型について客観的に知りたいという要求が高まってきている。
この体型を測定するための手段としては、生体電気インピーダンス測定により全身の体脂肪率や筋肉量等を算出し、身体の内部についての体組成を測定することで、間接的に体型を測定できる体組成計が普及してきている。
【0003】
例えば、特許文献1の図6又は7を参照すると、生体電気インピーダンスを測定する体組成計が記載されている(以下、従来技術1とする)。
この従来技術1の体組成計は、8つの電極を用いることで、身体の手、足、体幹部といった、各部の体組成を計測することができる。これにより、間接的に体型を測定できる。
【0004】
一方、実際の測定者の体型を直接的、外見的に計測するための手法が、いくつか存在している。
たとえば、特許文献2を参照すると、下着用の3次元人体計測装置が存在する(以下、従来技術2とする。)。
【0005】
従来技術2の装置は、プロジェクタで人体に格子パターンを投影し、CCDカメラで撮影した画像から格子の三次元座標を算出し、人体の立体座標を得ることができるというものである。
この従来技術2の装置によると、上述の立体座標から全身の立体的な寸法の集合であるボディサイズを非接触的に計測でき、バストの大きさや、腰回り等を測定することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−329412号公報
【特許文献2】特開平7−139922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術1の体組成計は、身体内部の体組成を測定することができるものの、ユーザが入力する身長の値を基に平均的な四肢の長さを仮定して、手、足、体幹部の体組成を求めるために、誤差が生じるという問題点があった。
また、従来技術2の装置は、人体のボディサイズを計測して外見的な体型を計測できるものの、実際の身体内部の体組成を測定することはできなかった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の体組成測定装置は、ボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された生体電気インピーダンスとから体組成を求める演算手段とを備えることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記演算手段は、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、体幹部のうちいずれかの体組成を求めることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、左手で握るための左手用バーと、右手で握るための右手用バーを更に備え、前記電流印加手段及び電圧測定手段は、前記左手用バーと、前記右手用バーと、左足を接触させる底面と、右足を接触させる底面とに備えることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記左手用バー及び前記右手用バーは、長さを調整可能な左手用バー及び前記右手用バーであることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記ボディサイズ計測手段は、非接触式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記非接触式のボディサイズ計測手段は、光学式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、前記非接触式のボディサイズ計測手段は、電波式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする。
本発明の体組成測定装置は、サウナ機能を実現するサウナ手段を更に備えることを特徴とする。
本発明の体組成測定システムは、全身のボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された値から求めた生体電気インピーダンスから体組成を求める演算手段と前記体組成を送信する通信手段とを備える体組成測定装置と、前記体組成を受信し、対応するアドバイスを送信することができる通信手段とを備えるアドバイス手段とを備えることを特徴とする。
本発明のプログラムは、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応する生体電気インピーダンスの値と、前記全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応するボディサイズを用いて体組成を求めることを特徴とする。
本発明の体組成測定方法は、非接触式のボディサイズ計測手段によりボディサイズの計測を行い、生体電気インピーダンスを測定し、前記ボディサイズと、前記から生体電気インピーダンスから体組成を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボディサイズを計測することで、精度の高い体組成測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施の形態>
(生体電気インピーダンス測定装置の構成)
以下で、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、生体電気インピーダンスを測定することで体内の体組成を測定することができ、被測定者の身体のボディサイズを計測して外見的な体型を計測することができる。さらに、サウナ機能を備えており、サウナを使用する前にいつでも体型を計測することができる。
図1を参照すると、測定装置Xは、測定ルーム200とコントロール部100とから概略構成される。
コントロール部100は、PC/AT互換機等のPC(パーソナル・コンピュータ)を使用した制御装置であり、測定ルーム200のコントロールを行い、被測定者が行った体型の測定測定結果を閲覧し、アドバイスを参照する際に使用する。コントロール部100には、キーボードやポインティングデバイス等である入力部6と、液晶ディスプレイ等である表示装置7と、測定結果の印刷を行う印刷装置8とが備えられている。
このコントロール部100は、コード10により測定ルーム200と接続している。
【0012】
測定ルーム200は、サウナ等の機能を備える例えば円筒形の個室で、ドア40と、壁30とを備えている。
測定ルーム200の内側には、被測定者が握る左手用のバー3(左手用バー)と右手用のバー4(右手用バー)とがある。このバー3とバー4は可動式であり、長さを調整できる。これにより、被測定者の身長に合わせて伸縮でき、正確な立位の姿勢で体型の測定を行うことができる。また、このバー3とバー4は、使用しないときには、取り外して壁30に取り付けておくことができる。
【0013】
バー3には、体内の体組成を測定する際に使用する手用の電極である電流供給電極3aと電圧測定電極3b(電流印加手段)とが握りの部分に備えられている。同様に、バー4には、電流供給電極4aと、電圧測定電極4bとが備えられている。加えて、測定ルーム200の床には、測定者が立つ箇所の左足用に電流供給電極13aと電圧測定電極14bが、右足用に電流供給電極14aと電圧測定電極14bとが備えられている。
また、被測定者が体型測定開始の指示をしたり測定時の状態を表示したりすることができ、スピーカ等の音声出力手段を内臓した液晶表示装置兼タッチパネル等であるタッチパネル9を備えている。
【0014】
さらに、測定ルーム200の内側には、ボディサイズを計測するボディサイズ計測手段である、体型センサ50を備えている。
体型センサ50の構造を説明すると、円筒形の測定ルーム200の中央を中心軸として回転する逆L字型の体型計測バーが取り付けられている。
この体型計測バーには等間隔で複数の赤外線やレーザを使用した公知の光学式距離測定素子55−1〜55−n(例えば、合計196個)を備えている。
【0015】
この体型センサ50は非接触式のボディサイズ計測手段であり、体型計測バーに縦に備えた距離測定素子(例えば、距離測定素子55−10)により、水平方向の距離を計測する。また、体型計測バーに横に備えた距離測定素子(例えば、距離測定素子55−1)により、鉛直方向の距離を計測する。
被験者のボディサイズを計測するには、上述の縦に備えた素子だけで十分であるが、横に備えた素子を用いて被測定者の身長を計測することで、測定時間を短縮し、精度を高めることができる。
【0016】
体型センサ50を用いて、実際にボディサイズを計測する場合、体型計測バーが回転し、各距離測定素子55−1〜55−nから、赤外線やレーザを放射する。放射された赤外線やレーザは、被測定者の身体の表面で反射され、反射して戻るまでの時間や位相差等を、各距離測定素子が内蔵する受光素子が受信する。この受光素子が受信した信号により、距離を測定することができる。
体型計測バーは、10秒程度で被測定者の周囲を一周し、立体座標データを取得する。
【0017】
また、測定ルーム200の内側には、サウナ機能を実現するための赤外線パネルヒーター等であるヒーター71とヒーター72(サウナ手段)とを備えている。
このヒーター71とヒーター72は、測定者がタッチパネル9や入力部6からサウナモードを選択することで使用することができる。
さらに、このサウナ機能用に、ボディサイズ測定時に死角を作らないシート状又は棒状の椅子(図示しない)が備えられている。
【0018】
(内部の制御構成)
次に、図2のブロック図を参照して、測定装置Xの制御構成について説明する。
上述のようにコントロール部100はPC等で構成され、CPU等である演算制御装置25と、RAM、ROM、フラッシュメモリ、固定ディスク装置であるHDD等である記憶装置24と、入力部6と、表示装置7と、印刷装置8を備えている。また、コントロール部100は、シリアル、USB、有線LAN、無線LAN、ワイヤレスUSB、ブルートゥース(登録商標)等のインターフェイスである通信部61により、コード10を介して測定ルーム200の通信部60と接続している。なお、通信部61が無線を用いたインターフェイスの場合、コード10は必要ない。
また、演算制御装置25は、記憶装置24に記憶した体型測定プログラムを実行する手段であり、算出された生体電気インピーダンスの補正を行う補正手段でもある。さらに、生体の組成に関する指標を算出する体組成算出手段でもあり、他の各種の演算や制御についても行うことができる。
【0019】
測定ルーム200は、組み込み型のマイクロプロセッサやCPU等の制御手段である制御部23と、タッチパネル9と、被測定者の体重を計測する公知の体重測定装置26と、体型センサ50と、通信部61と同様の通信部60と、ヒーター71と、ヒーター72とを備えている。さらに、電流供給電極3a、4a、13a、14aと、電圧測定電極3b、4b、13b、14bからの信号線は、電子的なリレー回路等である電極切替装置20を介して、電流供給装置21と電圧測定装置22に接続される。この電流供給装置21と電圧測定装置22とは、制御部23に接続されている。また、電源装置28が、制御部23やヒーター71、72、体型センサ50等の各部に電力を供給する。
制御部23は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えており、このROM又はフラッシュメモリ等には、各部を用いて計測や測定を行うためのファームウェアを記憶している。また、制御部23は、コントロール部100からの指示により、このファームウェアの内容に従って、生体電気インピーダンスと、ボディサイズの計測を行う。また、サウナ機能の制御を行う。
【0020】
(体型の測定)
次に、本発明の実施の形態に係る体型の測定について、フローチャートである図3を参照して説明する。
まず、測定者が測定ルーム200の図示しない主電源スイッチをオンにすると、電源装置28から電源が各部に供給される。制御部23は、ROM等に記憶されたファームウェアを実行し、各部のチェックを行い、電力消費の少ない待機状態になる。
次に、測定者がコントロール部100の体型測定プログラムを起動し、測定者が体型測定を行うためのスタートボタンを入力部6から入力すると、演算制御装置25は、通信部61からコード10を介して測定ルーム200に測定開始の指令を送信する。
ここで、被測定者がドア40を開けて内側に入室し、測定を開始する。
【0021】
(ステップS101)
まず、ステップS101において、制御部23が、ファームウェアに記載した測定用の初期化処理を行う。
これにより、制御部23は各部の初期化を行う。
各部の初期化処理が終了した場合、演算制御装置25は、次のステップS102に処理を進める。
【0022】
(ステップS102)
次に、ステップS102においては、制御部23が、個人パラメータの入力画面をタッチパネル9及び表示装置7に表示する。
ここでは、まず、測定者又は被測定者により、誰の測定を行うかについての選択を行う。この上で、被測定者の性別、年齢、着衣量といった個人パラメータが入力される。なお、被測定者がサウナを使用する前に測定し、裸で測定ルーム200に入っている時は、当然、着衣量は0となる。
この個人パラメータの入力は、タッチパネル9又は入力部6の数字キー等を用いて行われる。また、通信部60を介してコントロール部100以外の他のコンピュータにより入力してもよい。
この個人パラメータのデータに関しては、通信部60からコード10を介して通信部61で受信し、演算制御装置25が記憶装置24に記憶する。
【0023】
個人パラメータの入力が終わると、制御部23は、測定開始を指示する画面をタッチパネル9に表示する。
これにより、測定者は、バー3を左手で握り、バー4を右手で握り、電流供給電極13aと電圧測定電極13bに左足を合わせ、電流供給電極14aと電圧測定電極14bに右足を合わせて立つ。
ここで、所定時間が経過するか、制御部23が各電極に通電していることを検知すると、制御部23は実際の測定処理を開始する。
【0024】
(ステップS103)
次に、ステップS103においては、制御部23により、外見的な体型の計測を行う。
まずは、制御部23は、センサ50の体型計測バーを初期位置に回転させる。この上で、所定の速度で体型計測バーを回転させつつ、赤外線やレーザを放射し、被測定者の身体の表面で反射された赤外線やレーザを受信する。これにより、例えば20万点に及ぶ身体各部の立体座標を検出することができる。
この立体座標から、ボディサイズの計測を行う。図4を参照すると、本発明の実施の形態に係る測定装置Xにおいては、頭囲、肩幅、首周り、胸囲(バスト)、腹部(ウェスト)、腰回り(ヒップ)、股下等の周囲長を計測することができる。さらに、四肢の長さと体積についても計測することができる。
この、ボディサイズの計測における各部の測定結果を、後述する生体電気インピーダンス測定の結果と合わせて使用する。
【0025】
また、ボディサイズの計測と同時に、電子式歪み計等を使用した体重測定装置26により被測定者の体重も測定する。
これらの測定したデータは、制御部23が通信部60からコード10を介して送信する。コントロール部100の通信部61がこのデータを受信すると、演算制御装置25はデータを記憶装置24に記憶する。
【0026】
(ステップS104)
次に、ステップS104において、制御部23が、生体電気インピーダンス(生体BI)の測定を行う。
この際に行われる、複数の周波数の交流電流を用いた生体電気インピーダンス測定(多周波生体インピーダンス測定)の動作について以下で説明する。
【0027】
まず、図6を参照して説明すると、8電極の生体電気インピーダンス測定装置においては、両足の爪先側と両手の指先側の電極から電流を供給し、両足の踵側と両手の母指球側で電圧を測定する。
この8電極の生体電気インピーダンス測定装置においては、電流を流す部位と電圧を測定する場所を切り替えることによって、全身、右足、左足、右腕、左腕というように、5つの部位の生体電気インピーダンス測定を行う。
【0028】
たとえば、右足のインピーダンスを測定する場合は、右手足間に電流を流し、両足間の電圧を測定する。これにより、右足、左足、右腕、左腕、右半身、左半身の各部の体組成を測定することができる。
さらに、左半身の生体電気インピーダンスを基にして、全身の体組成を推定することが可能である。
また、全身から四肢の情報を除くことで、体幹部の体組成を測定することが可能である。
【0029】
本発明の実施の形態に掛かる測定装置Xにおいては、多周波生体電気インピーダンス測定は、印加電流の周波数Fiをi=1からはじめて、設定されているn回に亘り行う。
第一番目の周波数における測定の初期設定として、i=1が設定され、このiの値によって周波数Fiが設定される。
制御部23内のROMに予め配置された測定制御パラメータ(以下、測定制御パラメータと略記する)を基に、制御部23が出力信号周波数を設定し、その出力信号を電流供給装置21へ出力する。
電流供給装置21は、電流値が設定可能な定電流出力回路で構成されており、測定制御パラメータを基に出力電流値を設定する。
この交流電流出力を、電極切替装置20を介して切り替えつつ、上述のように電流供給電極3a、4a、13a、14aにより測定する右足、左足、右腕、左腕、右半身、左半身の各部のいずれかに電流を印加する。このときの電圧を電圧測定電極3b、4b、13b、14bで測定する。
【0030】
この測定時には、このとき電極3b、4b、13b、又は14b間で発生した電圧を被測定者に接触した電圧測定電極を通して電圧測定装置22内の差動増幅回路に入力し、差動増幅回路は、入力されたそれぞれの電圧の差である信号を制御部23内のA/D変換器に出力する。A/D変換器は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換することで生体電気インピーダンスを測定し、その結果を制御部23内のRAMに記憶する。
【0031】
第一番目の周波数によるインピーダンス測定が終了したら、iに1を加えて、規定の測定回数を終了していないか判定する。ここで、iが設定回数のnを越えていたら、インピーダンスの測定は終了となり、未だ越えていなければ、次の周波数でのインピーダンス測定を行う。
【0032】
続いてステップS104で測定された生体電気インピーダンス測定値から、生体電気インピーダンスベクトル軌跡およびそれに関するパラメータが算出される。
通常、生体電気インピーダンスは、図7に示すような、細胞外液抵抗Re、細胞内液抵抗Ri、細胞膜容量Cmを集中定数で表現した等価回路で表されるが、実際には、生体を構成する個々の細胞が、その形状や性質の差異により、それぞれ定数の異なる回路で表されるため、その集合体である生体では、集中定数による等価回路を測定した場合のように、生体電気インピーダンスベクトル軌跡は半円とならずに、コール−コールの円弧則に従う円弧となるとされている。
【0033】
従って、一般に、生体電気インピーダンスは、図8に示すような円弧状の軌跡を描く。ここで、X軸は生体電気インピーダンスのレジスタンス成分を表し、Y軸は生体電気インピーダンスのリアクタンス成分を表す。生体電気インピーダンスのリアクタンス成分は容量性なので負の値をとるため、生体電気インピーダンスベクトル軌跡は、X軸の下方に位置し、また、求める生体電気インピーダンスベクトル軌跡は円弧であるという仮定から、周波数F1、F2、…、FNの各々における生体電気インピーダンス測定値Z1、Z2、…、ZNは、ある円の円周上にある。ここで、円の中心のX座標をa、円の中心のY座標をb、円の半径をrとすると、生体電気インピーダンス測定値を通る円の方程式は式1のように表される。
【0034】
(X−a)2+(Y−b)2=r2 …… (式1)
a、b、rは、式1に、周波数F1、F2、…、FNにおける生体電気インピーダンス測定値Z1、Z2、…、ZNを代入することにより求められる。
【0035】
また、式1から、Xは以下のように表される。
X=a±sqrt(r2−b2) …… (式2)
なお、sqrt()は平方根を示す。
【0036】
そして、式2より、式1で表される円とX軸との交点R0、Rinf(R0>Rinf)は、以下のように求められる。
R0 = a+sqrt(r2−b2) …… (式3)
Rinf = a−sqrt(r2−b2) …… (式4)
【0037】
更に、式3および式4より、図7の等価回路におけるReおよびRiは以下のように求められる。
Re=R0 …… (式5)
Ri=R0・Rinf/(R0−Rinf) …… (式6)
【0038】
特性周波数Fcにおける生体電気インピーダンスベクトルZcは、リアクタンス成分、すなわちY軸成分の絶対値が最大になる点であるから、その場合のレジスタンス成分であるX座標値およびリアクタンス成分であるY座標値は以下のように算出される。
X=a …… (式7)
Y=b−r …… (式8)
【0039】
ここで、RcはZcのレジスタンス成分、XcはZcのリアクタンス成分とすると、Zcは以下のように表される。
Zc=Rc+jXc=a+j(b−r) …… (式9)
【0040】
また、Z(ω)はωにおける生体電気インピーダンスベクトル、τ、βは定数とすると、コール−コールの円弧則から、任意の角周波数ωにおける生体電気インピーダンスベクトルは以下のように表される。
Z(ω)=(R0−Rinf)/{1+(jωτ)β} …… (式10)
【0041】
更に、τ=1/ωcとして、式10は以下のように表される。
Z(ω)=(R0−Rinf)/{1+(jω/ωc)β} …… (式11)
【0042】
ここで、ωc=2πFcであるから、先に測定された生体電気インピーダンス測定値を用いて、Fcおよびβが求められる。
これらの求められた生体電気インピーダンス測定のデータは、制御部23がボディサイズの計測データと同様に通信部60からコード10を介して送信する。
コントロール部100の通信部61がこのデータを受信すると、演算制御装置25はデータを記憶装置24に記憶する。
【0043】
(ステップS105)
次に、ステップS105においては、演算制御装置25が、RAMに記憶した測定データから身体成分量を算出して、記憶装置24のRAMに記憶する。
すなわち、上述のように生体電気インピーダンス測定値から求められた生体電気インピーダンスベクトル軌跡およびそれに関するパラメータR0およびRinf、ReおよびRi、Zc、Rc、Xc、Fc等とボディサイズ計測のデータ内の値に基づいて、体脂肪量、除脂肪量(体重と体脂肪量との差)等の身体成分量を算出する。
また、算出された身体成分量から、細胞内液量ICW、細胞外液量ECW、細胞内外液量比ICW/ECW、体水分量TBW(=ICW+ECW、細胞外液量と細胞内液量との和)等の値も求めることができる。
例えば、細胞内液量ICW、細胞外液量ECW、体水分量TBWの値は、Ri、Re、身長Ht、体重Wの値を用いて以下の式により求められる。
ICW = Ki1・Ht2 / Ri + Ki2W + Ki3
ECW = Ke1・Ht2 / Re + Ke2W + Ke3
TBW = ICW + ECW
(ただし、Ki1、Ki2、Ki3、Ke1、Ke2、Ke3は係数)
【0044】
ここで、全身の除脂肪量(FFM)を求める計算式は、身長をHt、生体電気インピーダンスをZとして、以下の式のように表すことができる。この身長Htは、上述のボディサイズの計測で測定した長さを使用する。
FFM=k1×Ht2/Z+k2 …… (式12)
(ただし、k1、k2は定数)
【0045】
さらに、上述のFFMを用いて全身の体脂肪率(%FAT)を求める計算式は、以下のようになる:
%FAT=(W−FFM)/W×100 …… (式13)
【0046】
全身の除脂肪量ではなく、各四肢の除脂肪量を求める場合においても、電流経路長又はその代用である長さ情報が必要である。
従来技術1の体組成計では、この値を身長Htを基に平均的な四肢の長さを当てはめて代用していたが、本発明の実施の形態に係る測定装置Xにおいては、ボディサイズの計測から、正確に四肢の長さを求めることができる。
ここで、正確に求めた四肢の長さをそれぞれ、Hlh(左手の長さ)、Hrh(右手の長さ)、Hll(左足の長さ)、Hrl(右足の長さ)とすると、以下の関数のように、より正確な除脂肪量の計算を行うことができる。
FFM(左手) = f(Z, Hlh) …… (式14−1)
FFM(右手) = f(Z, Hrh) …… (式14−2)
FFM(左足) = f(Z, Hll) …… (式14−3)
FFM(右足) = f(Z, Hrl) …… (式14−4)
【0047】
全身の体脂肪率を求めるに当たっては、(式13)に示すとおり、重さ情報たる体重Wを必要とする。
各四肢の体脂肪率を求める場合においても、(式13)は、重量の割合を示すだけの式であるため同じ式を用いることができる。
ここで、(式13)各四肢の重さ情報を要する。しかし、四肢の各パーツの重さを単独で測定することは困難である。
【0048】
本発明の実施の形態に係る測定装置Xにおいては、体型測定により各四肢の重さ情報を不要として各四肢の体脂肪率を計算する、以下の手法を用いる。
一般的に、脂肪組織の比重を0.9g/cm3、除脂肪組織の比重を1.0g/cm3とすると、
体重Wは、総組織Vt、脂肪組織VFM、除脂肪組織VFFMを用いて以下のように表される。
W = 0.9×VFM+1.0×VFFM
= 0.9×(Vt−VFFM)+1.0×VFFM
= 0.9×Vt+0.1×VFFM
ここで、VFFM=FFMであるから、上式より:
%FAT=(0.9×Vt+0.1×FFM−FFM)
/(0.9×Vt+0.1×FFM)×100
=0.9×(Vt−FFM)/(0.9×Vt+0.1×FFM)×100
となり、四肢の各パーツの体重を入力せずとも体脂肪率の計算ができる。
このときのFFMは、式(14)から計算されるものとする。
【0049】
上述の(式14−1〜14−4)においては、電流経路長として体型測定による各四肢の長さであるHlh(左手の長さ)、Hrh(右手の長さ)、Hll(左足の長さ)、Hrl(右足の長さ)をパラメータとした。
これに更に、ボディサイズの計測による四肢の断面積である、Alh(左手の断面積)、Arh(右手の断面積)、All(左足の断面積)、Arl(右足の断面積)をパラメータとして加え、各四肢の容積を用いることで、より正確な体組成(除脂肪量、体脂肪率)の計算をすることもできる。
FFM(左手) = f(Z, Hlh, Alh)
FFM(右手) = f(Z, Hrh, Arh)
FFM(左足) = f(Z, Hll, All)
FFM(右足) = f(Z, Hrl, Arl)
【0050】
(ステップS106)
次に、ステップS106において、制御部23は測定が終了した旨の画面をタッチパネル9に表示して、スピーカから効果音を鳴らす。ここで、被測定者はドア40を出て、コントロール部100に表示する測定結果を参照することができる。
また、演算制御装置25は、測定と演算が終了した旨の画面を表示装置7に表示する。
【0051】
(ステップS107)
次に、ステップS107において、演算制御装置25は、測定結果を表示装置7に表示し、被験者へのアドバイスを行う。
図9を参照して説明すると、図9の初期画面で測定者が入力部6のキーを押下又はポインティングデバイスで指示すると各被測定者(例えば、Aさん)の測定データを表示するページ(例えば、Aさんのページ)呼び出すことができる。
この測定データを表示するページにおいて、各タブを入力部6のキーを押下又はポインティングデバイスで指示して開くと、それぞれのタブに対応したデータを参照することができる。たとえば、基礎データとしては、体重、体脂肪率、基礎代謝量等を参照でき、比較データとしては、ウェスト等のボディサイズの変化を参照できる。
【0052】
また、運動メニューにおいては、現在の体型と体組成を考慮して、必要な運動例を示すことができる。ここで、推奨運動に有った運動(ヨガ、フィットネス、スイミング等)の施設を提示することができる。
また、筋力を上げたい能力(ジャンプ力、背筋力、持久力等)に応じた運動例を示すこともできる。
【0053】
さらに、理想の体型になるための食事のアドバイス等も行うことができる。なお、個人パラメータとして尿糖の値を入れることにより、糖尿病食についてのアドバイスを行うこともできる。
また、測定結果は継続的に記憶装置24に保存しておくことができ、前の値との比較値を表示することができる。
【0054】
さらに、図10を参照して説明すると、実際に計測したボディサイズを表示することができる。ここで、前回に計測したボディサイズとの比較した画像を表示することができ、さらに例えばウェストとヒップといった特定の箇所の輪郭について、比較画像を表示することができる。この表示は、前回との差の部分を塗りつぶすので差が分かりやすい「リアル表示」と、ライン画像で表現するため複数の画像を比較しやすい「ライン表示」とを選ぶことができる。
【0055】
また、これらの特定の部位に、推定した体脂肪量を重ねるオーバーレイ表示を行うことができ、内蔵脂肪の量を立体的に表示することも可能である。また、例えば、内臓脂肪が多いか、筋肉量が多いかといったデータを身体の画像に重ね合わせて3次元画像で表示することも可能である。
さらに、メタボリック・シンドロームに関係する、ウェスト・ヒップ長についての表示を行うこともできる。
また、身長、年齢、性別、運動履歴等により、理想体型を仮想し、その理想体型と現在の体型との差を表示することが可能である。例えば、ウェストが10cm太い、太股が5cm太い等のアドバイスを行うと同時に、理想体型との差を立体的に表示することが可能である。
【0056】
これらのデータを基にして、体型に関するアドバイスを行うことができる。例えば、「あんこ型」のように皮下脂肪が多いのか、「堅太り型」のように筋肉質で太っているのか等について指摘できる。
さらに、特定の状況についての特定のアドバイスを行うこともできる。たとえば、スポーツ選手の筋肉量の診断として、各部位の筋肉の量が適当であるかについて、各部位の体型の基準値と体脂肪量からアドバイス可能である。
また、上述の理想体型や特定のスポーツで必要な筋肉量との差について、不足している部分の筋肉量等を色分け(例えば、足りない部分を赤、十分な部分を青とする)して立体的に表示することも可能である。
【0057】
なお、このアドバイスに関しては、上述の表示画面について、記憶装置24のHDD等に記憶した文章を基にして表示する。この内容は、インターネット等からダウンロードして拡充することが可能である。また、健康についての知識を勉強するようなアドバイスを行うことも可能である。
【0058】
さらに、測定者が入力部6のキーを押下すると、上述のアドバイスの内容と、上述の測定結果のうち筋肉量や体脂肪率、骨密度等を含む測定値が印刷装置8により印刷される。
この印刷時には、より詳しいアドバイス(例えば、筋肉量を増やすための運動量や、食事のメニュー、メタボリック症候群のワンポイント・アドバイス等)の文書を印刷することも可能である。
また、これらの測定結果を、通信部60を用いて、他のコンピュータへの送信を行うことができる。この場合、他のコンピュータの画面上で、測定結果について確認し、経時的な観測のデータをチェックすることを簡便に行うことができる。さらに、このデータはcsv(コンマ区切り)形式等でエクスポートすることも可能である。
また、項目によっては、インターネット等を通じて送信することができ、これをサーバ等である他のコンピュータ(アドバイス手段)が受信して詳しいアドバイスを送信することで、体型の測定についての個別指導を行うことが可能になる。
測定結果を確認すると、測定者は本測定装置Xの電源を切り、測定を終了する。
【0059】
以上のように構成することで、次のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1でも用いられている身長Htは、生体電気インピーダンス測定のために印加する電流の電流経路長の代用である長さ情報である。
従来技術1の体組成計では、身長を手入力していた。また、身長計を用いた体組成計であっても、接触式の身長計を使用していた。このため、誤差が大きかった。
しかしながら、本発明の実施の形態に係る体型測定センサ50は、非接触でボディサイズの計測が可能である。
よって、身長Htの長さを<0.1cmの精度で求められる。このHtが正確であるほど、体脂肪率の測定精度が上がる。このため、従来よりも精度の高い体脂肪率の測定が可能になるという効果が得られる。
【0060】
また、全身の除脂肪量ではなく、各四肢の除脂肪量を求める場合においても、電流経路長又はその代用である長さ情報が必要である。
従来技術1の体組成計では、各四肢の長さ情報の取得及び入力は難しく、結果として、身長Htと各四肢の長さとが比例関係にあるものとして、以下の関数に示すように、変数に、前記身長Htを代用していた。
FFM(四肢)= f(Z, Ht)
当然のことながら、身長と各四肢の長さの関係には個体(人)差があり、誤差要因となる。
【0061】
しかしながら、本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、体型測定により四肢の長さHlh(左手の長さ)、Hrh(右手の長さ)、Hll(左足の長さ)、Hrl(右足の長さ)を求めることができ、上述の(式14−1)〜(式14−4)のように、より正確な除脂肪量の計算が可能になるという効果が得られる。
【0062】
また、従来技術1の体組成計は、体内の体脂肪率や筋肉量の割合を数値的に表現するものの、実際に脂肪や筋肉量が、どのように体型に外見的に現れてくるかを表現することが難しかった。すなわち、体組成計を用いるだけでは、液晶ディスプレイ等に表示される、身体各部の体脂肪と体組成の割合から、体型を概念的に把握することができるだけであった。
しかし、測定装置Xはボディサイズを計測したものを表示することができ、過去の体型と比較等を行うことができるため、測定結果の表現力を向上することができる。これにより、健康管理と美容的体型管理を同時に行うことが可能になる。
【0063】
上述の美容的な体型管理においては、一般の被測定者だけではなく、ボディービルダーやアスリートが利用することができる。これは、測定装置Xにおいては、ボディサイズの計測により筋肉の量が見た目で分かり、さらに各部位の筋肉量と脂肪率を正確に測定することができるためである。
たとえば、右腕の体積が減っているのに筋肉が増えている場合、筋肉が増えていると判断できる。よって、ボディービルダーの場合、筋肉の体積をさらに増やすようにアドバイスし、アスリートの場合、他の筋肉が増えていない部分を強化するようにアドバイスできる。
【0064】
さらに、アスリートの場合、どの位置の筋肉量が多くなっているのかを知ることは非常に重要である。このため、例えば、本測定装置Xを、水泳選手や、短距離選手、長距離選手等、トレーニングにより、それぞれのスポーツに適した筋肉が増加しているかをアドバイスすることができる。
また、なりたい体型を個人パラメータとして入力する(体重、腕周囲径、足周囲径、ウェスト、ヒップ、バスト等)ことで、どこの筋肉が足りないのか表示することができる。
この「なりたい体型」に関しては、スポーツの他にも足を細くしたい、もう少し腹筋をつけたいといった要望にも対応可能である。
【0065】
ここで、「なりたい体型」のサンプルデータを複数用意しておき、それから選択するようにすることもできる。
また、「なりたい体型」と現在の体型をオーバーレイ表示し、なりたい体型を入力部6により調整して、この調整した「なりたい体型」と現在の体型との差に基づきアドバイスを行うことも可能である。
【0066】
加えて、測定装置Xは、従来技術1の生体電気インピーダンス測定装置と異なり、記憶装置24のROM内に児童やお年寄りを含む被験者の回帰式を記憶している。
このため、児童やお年寄りの筋肉量についても正確に測定することができる。よって、児童については成長の度合いと体型についての情報を把握し、お年寄りについては怪我からのリハビリ時のような場合の回復を体組成と体型により正確に把握することが可能である。
【0067】
また、本発明の実施の形態に係るバー3とバー4は可動式であり、被測定者の身長に合わせて伸縮して調整することで、正確で安定した立位の姿勢で体型の測定を行うことができる。
さらに、ボディサイズの計測時にバー3とバー4を掴んで立っていることにより、安定した姿勢を保つことができ、正確なボディサイズの計測値を測定することが可能になる。
【0068】
また、本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、サウナ機能を搭載しているため、裸に近い状態でボディサイズの計測を行うために、測定の誤差が少ないという効果が得られる。
さらに、ホームサウナとして設置した場合、ホームサウナは毎日使用することが多いため、体型測定を毎日の日課に組み込めるという効果が得られる。さらに、サウナに入る際には裸になるため、より被測定者の抵抗感がなく、光学式の距離測定素子によりボディサイズを計測することが可能である。
【0069】
なお、本発明の実施の形態に係る測定装置Xは、体型の測定を行わず、サウナ機能のみを使用する場合、測定ルーム200の主電源を入れてからタッチパネル9により指示することで使用することができる。すなわち、コントロール部100を起動する必要がない。
【0070】
また、コントロール部100を用意せずに、測定ルーム200にコントロール部100を備えるようにして、上述のすべての測定ができる構成をとることも可能である。この場合、サウナの熱による劣化を避けるために、壁30の外側に印刷装置8を設定することが望ましい。さらに、タッチパネル9も、壁30の外側に備える構成にすることも可能である。
【0071】
また、洗面化粧台にタッチパネル9を設置して、毎日の測定結果を閲覧できるという構成にしてもよい。加えて、サウナ機能と体型測定と洗面化粧台・バス機能を備えたリラクゼーション・ルームとして設置することも可能である。
【0072】
さらに、本発明の実施の形態に係る測定装置Xに関しては、例えば、従来技術2のように身体の画像をカメラにより撮影してボディサイズを計測することも可能である。
この場合、赤外線カメラを用いることで、身体の表面の熱分布から脂肪の量を推定し、体型測定の計算の参考とすることも可能である。さらに、赤外線測定により、肌の状態を測定することも可能である。これにより、体組成、体型と、肌の年齢との相関を求め、「若々しさ」についての総合評価を行うことが可能になる。よって、エステティック・サロン等で測定装置Xを効果的に用いることが可能になる。
【0073】
加えて、当然、サウナを搭載しない測定装置の構成も当然可能である。
この場合、体型センサとして、例えば米国Intellifit社(http://www.intellifit.com/Intellifit/Home.aspx)の技術のような、ボディサイズを計測する体型測定レーダーである、非接触式で電波式のボディサイズ計測手段を用いるのが好適である。
この体型測定レーダーは、所定の速度で体型計測バーを回転させつつ、電波発生素子からマイクロ波等である電波を発生させ、被測定者の身体の表面の水分により吸収・反射された電波を受信する。これにより、身体の水分に反応した電波を捉えて身体までの距離を計測することができる。
電波は衣服を通過して身体の表面で反射・吸収されるため、着衣のままでもボディサイズの計測を行うことができ、被測定者の負担を少なくすることができる。
【0074】
さらに、本発明の実施の形態に係るバー3又はバー4等に血圧計や脈波計等を搭載することも可能である。これにより、サウナ時の水分変化を考慮して、体組成を測定することができ、動脈硬化等についても測定することが可能になる。
これにより、ボディサイズの計測と合わせて、体型やメタボリック症候群等のアドバイスを行うことが可能になる。
【0075】
加えて、本発明の実施の形態に係るタッチパネル9には、テレビ機能や映像・音楽再生機能、ラジオ機能、を付加することが可能である。これにより、体型測定後のサウナでくつろぐ時間を有意義に過ごすことが可能になり、体型測定を行うモチベーションを高めることが可能になる。また、この映像再生機能により、体組成や体型に関する教育的な番組を再生したり、提携するフィットネスクラブ等の宣伝を行うことが可能である。
【0076】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの構成を示す外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの測定手順および動作の概要を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの体型計測仕様を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る測定装置Xの体組成測定仕様を示す図である。
【図6】8電極の生体電気インピーダンス測定装置による測定方法について示す概念図である。
【図7】生体電気インピーダンスを表す等価回路図である。
【図8】生体電気インピーダンスベクトル軌跡を表すグラフ図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る体型測定の結果の表示例を示す概念図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るボディサイズの計測の表示例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0078】
3、4 バー
3a、4a、13a、14a 電流供給電極(電流印加手段)
3b、4b、13b、14b 電圧測定電極(電圧測定手段)
6 入力部
7 表示装置
8 印刷装置
9 タッチパネル
10 コード
20 電極切替装置
21 電流供給装置
22 電圧測定装置
23 制御部
24 記憶装置
25 演算制御装置
26 体重測定装置
28 電源装置
30 壁
40 ドア
50 体型センサ
55−1〜55−n 距離測定素子
60、61 通信部
71、72 ヒーター
100 コントロール部
200 測定ルーム
X 測定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、
生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、
前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された生体電気インピーダンスとから体組成を求める演算手段と
を備えることを特徴とする体組成測定装置。
【請求項2】
前記演算手段は、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、体幹部のうちいずれかの体組成を求めることを特徴とする請求項1に記載の体組成測定装置。
【請求項3】
左手で握るための左手用バーと、右手で握るための右手用バーを更に備え、
前記電流印加手段及び電圧測定手段は、前記左手用バーと、前記右手用バーと、左足を接触させる底面と、右足を接触させる底面とに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の体組成測定装置。
【請求項4】
前記左手用バー及び前記右手用バーは、長さを調整可能な左手用バー及び前記右手用バーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の体組成測定装置。
【請求項5】
前記ボディサイズ計測手段は、非接触式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の体組成測定装置。
【請求項6】
前記非接触式のボディサイズ計測手段は、光学式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする請求項5に記載の体組成測定装置。
【請求項7】
前記非接触式のボディサイズ計測手段は、電波式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする請求項5に記載の体組成測定装置。
【請求項8】
サウナ機能を実現するサウナ手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の体組成測定装置。
【請求項9】
全身のボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、
生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、
前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された値から求めた生体電気インピーダンスから体組成を求める演算手段と
前記体組成を送信する通信手段と
を備える体組成測定装置と、
前記体組成を受信し、対応するアドバイスを送信することができる通信手段を備えるアドバイス手段と
を備えることを特徴とする体組成測定システム。
【請求項10】
全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応する生体電気インピーダンスの値と、前記全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応するボディサイズを用いて体組成を求めることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
非接触式のボディサイズ計測手段によりボディサイズの計測を行い、
生体電気インピーダンスを測定し、
前記ボディサイズと、前記生体電気インピーダンスから体組成を求める
ことを特徴とする体組成測定方法。
【請求項1】
ボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、
生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、
前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された生体電気インピーダンスとから体組成を求める演算手段と
を備えることを特徴とする体組成測定装置。
【請求項2】
前記演算手段は、全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、体幹部のうちいずれかの体組成を求めることを特徴とする請求項1に記載の体組成測定装置。
【請求項3】
左手で握るための左手用バーと、右手で握るための右手用バーを更に備え、
前記電流印加手段及び電圧測定手段は、前記左手用バーと、前記右手用バーと、左足を接触させる底面と、右足を接触させる底面とに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の体組成測定装置。
【請求項4】
前記左手用バー及び前記右手用バーは、長さを調整可能な左手用バー及び前記右手用バーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の体組成測定装置。
【請求項5】
前記ボディサイズ計測手段は、非接触式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の体組成測定装置。
【請求項6】
前記非接触式のボディサイズ計測手段は、光学式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする請求項5に記載の体組成測定装置。
【請求項7】
前記非接触式のボディサイズ計測手段は、電波式のボディサイズ計測手段であることを特徴とする請求項5に記載の体組成測定装置。
【請求項8】
サウナ機能を実現するサウナ手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の体組成測定装置。
【請求項9】
全身のボディサイズの計測を行うボディサイズ計測手段と、
生体に電流を印加する電流印加手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、
前記ボディサイズ計測手段により計測したボディサイズと、前記電流印加手段及び前記電圧測定手段により測定された値から求めた生体電気インピーダンスから体組成を求める演算手段と
前記体組成を送信する通信手段と
を備える体組成測定装置と、
前記体組成を受信し、対応するアドバイスを送信することができる通信手段を備えるアドバイス手段と
を備えることを特徴とする体組成測定システム。
【請求項10】
全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応する生体電気インピーダンスの値と、前記全身、左腕、右腕、左足、右足、左半身、右半身、又は体幹部に対応するボディサイズを用いて体組成を求めることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
非接触式のボディサイズ計測手段によりボディサイズの計測を行い、
生体電気インピーダンスを測定し、
前記ボディサイズと、前記生体電気インピーダンスから体組成を求める
ことを特徴とする体組成測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−11734(P2009−11734A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180054(P2007−180054)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】
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