説明

作動可能な伝動装置、このような伝動装置の作動液体及び伝動装置を初めて作動開始する方法

歯車を持つ作動可能な伝動装置が、一層良好な放熱及び温度に無関係な粘度を示す潤滑兼冷却剤で作動せしめられるようにする。そのため伝動装置が、水及び黒鉛を懸濁するグリコール等から成る混合物を収容している。混合物は、なるべく40〜60重量%のグリコール、12μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の2〜25重量%の黒鉛、残部水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいる。更に潤滑兼冷却剤及びこれにより作動せしめられる伝動装置の作動開始方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高負荷歯車を持つ作動可能な伝動装置であって、そのハウジングが潤滑兼冷却剤を収容する溜めを形成し、この溜めの中へ歯車が没入しているものに関する。このような伝動装置は、種々の使用において、特に自動車において変速機として、4輪駆動車両の動力分配装置として、また車軸伝動装置又は差動装置として現れる。
【背景技術】
【0002】
高負荷歯車では、最良の潤滑でも放出すべき損失熱が生じる。それは、ポンプ及び外部冷却器を含む冷却兼潤滑回路によるか、または伝動装置のハウジングを介して周囲への放熱により行われる。そのためハウジングができるだけ大きい表面を持っているようにする。自動車では、表面からそれに沿って流れる走行風への熱伝達面積を大きくするため、大抵は外側にひれを形成されている。伝動装置のために多くの空間を利用することなく機関出力を増大しようとする時、速やかに限界に達する。
【0003】
現在伝動装置においても潤滑剤のみが使用され、高負荷伝動装置では大抵の場合完全合成油が使用されている。しかしすべての油に共通に次の欠点がある。
比較的小さい熱容量、熱伝導率及び低い熱伝達係数(水のほぼ半分の大きさ)。
粘度が温度に強く関係し、それにより冷えた状態における大きい損失従って大きい燃料消費。
環境に合わず(廃棄物処理)、長い間には老化し易い。
【0004】
従って以前から代案が求められ、そのために試みがなされたが、このような代案は実際には有効でなかった。水は、そのすぐれた熱的特性のため提案された。その粘度は十分一定であり、それは一方では利点であるが、他方では歯面の間に支持力がある潤滑膜の形成には不充分である。歯車の適当な被覆によってこれに対処することが試みられた。常に試みられたどんな被覆も、今まで面圧または滑り速度に耐えないか、短い作動時間後に既に消失してしまった。後者の現象は炭素被覆においても認められた。
【0005】
代案の試みは、特許文献にもその反響を見る。例えば米国特許第4,714,414号明細書から、圧縮機の変速段の歯車を、油なし圧縮空気の代わりに、噴霧される水により潤滑することが公知である。歯車がプラスチックから成っていることは、伝達すべき動力が小さいことを意味する。従って高負荷歯車は問題にならない。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第19605162号明細書には、実質的にアルキレングリコールのみから成りかつ腐食及び酸化防止剤を添加される合成動作液体が記載されている。アルキレングリコールの熱的特性は油よりよいが、水の熱的特性にかなわない。特のその粘度は高く、温度に左右される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、潤滑油の欠点を回避しかつ水の欠点なしにその利点をできるだけ高度に利用する作動可能な伝動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、潤滑兼冷却剤として、水と少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物との混合物が使用され、この混合物中に50μm以下の粘度を持つ黒鉛粒子が懸濁されている。少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素は、多価アルコール例えばアルキレングリコール特にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール等である。このようなアルコールを含む化合物は、例えばその重合体、酸化物またはエルテルである。
【0009】
潤滑兼冷却剤は、大体において、水冷内燃機関において微細な黒鉛粒子を含む冷却剤として使用される種類のグリコールー水混合物である。この混合物の驚くべき効果は、この粒度の黒鉛が水の存在にもかかわらずグリコールと共に歯車上で被覆にまとまり、最高の歯力および滑り速度においてもこの被覆ができるだけよく潤滑を行い、没入する少なくとも1つの歯車により送られる量によって常に更新されて若返ることである。
【0010】
この効果は継続実験及び試験によって検査され、連続して油を充填される同種の伝動装置と比較された。それは後述する実施例において詳細に説明される。本発明による作動液体を持つ大量生産の伝動装置において、無負荷損失が従来の油を充填される同じ伝動装置におけるより50%未満だけ低く、その温度が同じ走行作動において少なくとも15°低いことが、予め見越される。摩耗は認められなかった。本発明による潤滑兼冷却剤により達せられる高い熱吸収及び放熱は、伝動装置のハウジングを歯車に一層近付けるのを可能にし、それにより同じ可能出力で伝動装置が僅かな構造空間しか必要としない。
【0011】
それにより水の熱的利点を利用するのに成功した。水中におけるグリコールの存在は、更に水の大きい欠点を除く。即ち水はもはや凍ることがない。別の利点として、グリコールは生物学的に分解可能であり、黒鉛は完全に不活性であり、従って環境にとって無害である。強調すべきことは、従来の伝動装置の構造変更は、特別な場合にしか必要でない。密封環のプラスチックが侵食されず、潤滑回路が低粘度の媒体でも動作することが保証される。
【0012】
成分の最適な混合比は、伝動装置の構造及び歯車の種類に大いに関係し、作動条件にも関係している。潤滑兼冷却剤が、25〜75重量%の脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、20μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の1〜30重量%の黒鉛、残部として水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいるのがよい(請求項2)。
【0013】
伝動装置のために、潤滑兼冷却剤が、40〜60重量%の脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、12μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の2〜20重量%の黒鉛、残部として水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいる(請求項3)。
【0014】
本発明の展開では、潤滑兼冷却剤がそのほかの添加物として分散添加剤を含んでいる(請求項4)。この分散添加剤は、直接潤滑すべき部分(歯車、軸受)のみならずすべての部材及び腐食を防止されているハウジングの永続的な被覆を行う。分散添加剤は長い停止後も乾燥摩擦なしに歯車の始動を保証する。分散添加剤は一般に高分子塊共重合体である。潤滑兼冷却剤中の分散添加剤の濃度が、重量%で炭素粒子の濃度の半分ないし濃度とほぼ同じであるのがよい(請求項5)。
【0015】
黒鉛、水およびグリコールの混合物は時々泡立つ傾向があり、小さいハウジングでは有害である。従って潤滑兼冷却剤に、そのほかの添加物として、泡止め剤(請求項6)及び/又は防食剤(請求項7)が添加されている。
【0016】
本発明は、請求項8〜14の1つに記載の混合物である潤滑剤を収容しかつ歯車が没入する溜めを形成するハウジングを持ちかつ高負荷歯車を持つ伝動装置用作動液体にも関する。
【0017】
最後に本発明は、例えば機械又は自動車に組込む前に伝動装置を始めて作動開始する方法にも関する。この方法により、本発明による作動液体の利点を直ちになじみ損失及び大きい損失なしに実現するという目的が追跡される。
【0018】
この方法によれば、機械的に製造される乾燥した伝動装置が、前もって伝動装置外で混合された請求項1に記載の潤滑兼冷却剤を、少なくとも作動レベルまで満たされて、少なくとも1つの歯車が潤滑兼冷却剤へ没入し、それからすべての歯車及び潤滑しかつ保護すべき部材がぬらされるまで無負荷で空転せしめられ、その際歯車及び伝動装置内のどこにも安定した潤滑兼保護膜が形成される(請求項15)。
【0019】
最後の効果を更に強め、促進し、近付き難い範囲でも利用するため、方法の展開において段階a)として、請求項1に記載の潤滑兼冷却剤を、少なくとも1つ軸線のレベルを越えるまで伝動装置に満たし、その際潤滑兼冷却剤が高い割合の黒鉛(5〜30重量%)を含むようにし、それからしばらくゆっくり空転させ、それから潤滑兼冷却剤を少なくとも一部排出し、請求項1に記載の潤滑兼冷却剤を、作動レベルまで伝動装置に満たし、その潤滑兼冷却剤が場合によっては残留量に応じて減少される黒鉛粒子の含有量を含むようにする(請求項16)。
【0020】
例えばはめ込み歯車におけるはめ合い面腐食に対するぬれない個所の付加的な保護として、組立ての際混合物への没入又は混合物の塗布を行うことができる。
【0021】
本発明が図により以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1において、任意の大量生産方式の伝動装置、ここではハイポイド歯車装置及び差動歯車装置を持つ自動車の前車軸伝動装置が扱われている。伝動装置は、動力分配装置又は例えば食品工業における機械の駆動用減速歯車装置であってもよい。ハウジング1内にはハイポイド歯車装置2及び差動歯車装置がある。ハイポイド歯車装置は、軸6上に固定しているピニオン4及び環状歯車5から成っている。軸6は軸受7内に支持され、軸受7の外側に密封環8が続いている。差動歯車装置3も普通の構造であり、従って切り開かれていない。車輪へ至る半軸9が見られる。
【0023】
ハウジング1の内部の下方に油溜め10があり、その静止状態における液面が11で示されている。環状歯車5は油溜め10に没入している。更に注入兼排気口13、潤滑兼冷却剤用の出口14及び温度センサ15(実験のためにのみ組込まれる)が示されている。
【0024】
しかしこの伝動装置は、変速機油の代わりに、少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、その中に懸濁されかつ50μm以下の粒度を持つ黒鉛粒子、及び水を含む潤滑兼冷却剤を満たされている。少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素として、例えば次のものが問題となる。アルキレングリコール特にエチレングリコール、プロピレングリコール又はトリエチレングリコール。このような種々の化合物、混合比及びそのほかの添加物により、種々のものが、実験において、連続して油を満たされる伝動装置の走行実験においても、豊かな成果で試された。
例えば、
混合物1
Glysantin(登録商標)G48 100g
VE水 100g
(VEは完全に脱水されていることを表す。)
黒鉛FL1199 4g
(FL1199は黒鉛薄片であり、11μの粒度及び99%Cの純度を持っている。)
実験記録における備考:僅かな泡発生、短期間に成分への分解なし、僅かなぬれ。
混合物2
エチレングリコール 100g
VE水 100g
泡止め剤 1g
(Kluthe社の泡止め剤150、安全データ用紙による組成。)
分散添加剤 16g
(Gytek社の登録商標Additol VXW6394、技術注意書きによる組成)
防食剤 4g
(BWT社のBWT CW−CS8、BWTの注意書きによる組成。)
黒鉛FL1199 16g
(混合物と同様)
実験記録における備考:泡発生なし、分散は安定、すぐれた安定なぬれ、ぬれた後永続的にはぬれない範囲の腐食なし、動力分配装置及び始動継続検査におけるすぐれた温度挙動、ハイポイド歯車を持つ車軸伝動装置における不十分な潤滑。
混合物3
エチレングリコール 100g
VE水 100g
泡止め剤 1g
(Kluthe社の泡止め剤150、安全データ用紙による組成。)
分散添加剤 20g
(Gytek社の登録商標Additol VXW6394、技術注意書きによる組成)
防食剤 2g
(BWT社のBWT CW−CS8、BWTの注意書きによる組成。)
黒鉛FL1199 40g
(混合物と同様)
実験記録における備考:僅かな泡発生、分散は非常に安定、すぐれた安定なぬれ、ぬれた後永続的にはぬれない範囲の腐食なし、前車輪差動装置における良好な温度挙動及び潤滑挙動。
【0025】
混合物2が走行実験において、動力分配装置における従来の量産方式の油充填と比較され、同じ伝動装置(平歯車段及び遊星歯車差動装置を含み豪華な4輪駆動者量の動力分配装置)が、1回は一方の作動液体を満たされ、1回は他方の作動液体を満たされた。
【0026】
伝動装置の定常温度を求めるため、平らな高速道路上においてそれぞれ100km/h及び140km/hの一定速度で、少なくとも150kmの走行が行われた。その際溜めの作動液体の温度が温度センサで測定された。平均定常温度は、混合物2によれば、周囲温度に関係なく、約130℃だけ量産方式の油充填によるより低い所にある。これは両方の速度値に対して当てはまる。
【0027】
混合物3が、走行実験において、前車軸伝動装置において従来の量産方式の油重点と比較され、その際同じ伝動装置(ハイポイド傘歯車及び差動装置を含む豪華な4輪駆動車輪の前車軸伝動装置)が、1回は一方の作動液体を満たされ、1回は他方の作動液体を満たされた。
【0028】
伝動装置の定常温度を求めるため、平らな高速道路上においてそれぞれ100km/h及び140km/hの一定速度で、少なくとも150kmの走行が行われた。平均定常温度は、混合物4によれば、周囲温度に関係なく,100km/h又は140km/hに通用して、量産方式の油充填より16℃または13℃だけ低い所にある。
【0029】
更に実験台において、混合物3により、前車軸差動装置が、半時間約60km/hに相当する毎分1700回転の一定な作動開始回転数で作動せしめられ、温度挙動及び引きずりトルクが測定された。
【0030】
図2は、測定された2つの量即ち作動液体の温度(℃)及び引きずりトルクS(Nm)の1700分にわたる推移を縦軸に、時間を横軸に示している。実験は焼く23℃の冷えた伝動装置で開始される。曲線は、油を満たされた伝動装置に対してT1及びS1であり、本発明による作動液体を満たされた伝動装置に対してはT2及びS2である。これからわかるように、作動時間の間温度T1は著しく急峻に上昇し、57℃に達するが、これに反し温度T2はゆっくり36℃の少し上まで上昇する。引きずりトルクは、伝動装置におけるすべての負荷なし損失の和(主として摩擦損失及び液はね損失)である。油充填伝動装置の引きずりトルクS1は、温度に著しく関係する油の粘度のため、最初は非常に大きく(5.5Nm以上)、作動につれた約1.4Nmに減少する。引きずりトルクS2は、最初の瞬間から1.3Nmと1.0Nmの間でほぼ一定である。その結果1800秒の時間における損失仕事として、油に対しては0.173kWhが、本発明による作動液体に対しては0.106kWhが生じ、従って38.6%の負荷なし損失減少が生じる。冬期の冷間始動(−30℃)では、50%以上の損失出力減少が確かめられた。
【0031】
実験記録の備考から、伝動装置のすべての部分のぬれがどんなに重要であるかがわかる。更に実験の準備の際、ある時間の間攪拌運動が液体混合物への黒鉛薄片の受入れを改善することが認められた(均質な懸濁)。それから、これらの因子を考慮して本発明による作動液体で満たされる伝動装置を初めて作動開始する方法が開発された。
【0032】
前もって従来の潤滑剤で満たされた伝動装置が空にされ、徹底的に浄化されたので、機械的製造による新しい伝動装置と同じになった。あるいは量産で、乾いた伝動装置が最終試験なしに製造された。乾いた伝動装置は、容器内で前もって混合された混合物2又は3の作動液体を満たされて、歯車の1つが潤滑兼冷却剤へ没入した。それから伝動装置が適当な装置に固定され、負荷なしに空転され、それから前記1つの歯車によって送られて周りに投げ飛ばされる潤滑兼冷却剤が、すべての歯車及びその他の内面及び部分をぬらした。5分後歯面に安定した潤滑膜が形成された。
【0033】
別の実施例において、乾いた伝動装置が、まず段階a)において少なくとも1つの軸線のレベルの上まで、少なくとも10重量%の黒鉛を含む作動液体で満たされ、それから伝動装置が作動レベル11まで作動液体を満たされた。その代わりに作動液体を一部だけ放出し、黒鉛なし又は非常に僅かな黒鉛を含む液体で満たすこともできるであろう。その場合正しい混合物は作動中に生じる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明による伝動装置を概略的に示す。
【図2】 例としての伝動装置における比較測定の結果の線図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高負荷歯車を持つ作動可能な伝動装置であって、そのハウジングが潤滑兼冷却剤を収容する溜めを形成し、この溜めの中へ歯車が没入しているものにおいて、ハウジングが、潤滑兼冷却剤として、水と少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物との混合物を収容し、この混合物中に50μm以下の粒度を持つ黒鉛粒子が懸濁されていることを特徴とする、作動可能な伝動装置。
【請求項2】
潤滑兼冷却剤が、25〜75重量%の脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、20μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の1〜30重量%の黒鉛、残部として水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の作動可能な伝動装置。
【請求項3】
潤滑兼冷却剤が、40〜60重量%の脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、12μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の2〜20重量%の黒鉛、残部として水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の作動可能な伝動装置。
【請求項4】
潤滑兼冷却剤がそのほかの添加物として分散添加剤を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の作動可能な伝動装置。
【請求項5】
潤滑兼冷却剤中の分散添加剤の濃度が、重量%で炭素粒子の濃度の半分ないし濃度とほぼ同じであることを特徴とする、請求項4に記載の作動可能な伝動装置。
【請求項6】
潤滑兼冷却剤がそのほかの添加物として泡止め剤を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の作動可能な伝動装置。
【請求項7】
潤滑兼冷却剤が更にそのほかの添加物として防食剤を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の作動可能な伝動装置。
【請求項8】
潤滑兼冷却剤を収容しかつ歯車が没入する溜めを形成するハウジングを持ちかつ高負荷歯車を持つ伝動装置用作動液体において、ハウジングが、潤滑兼冷却剤として、水と少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物との混合物を収容し、この混合物中に50μm以下の粒度を持つ黒鉛粒子が懸濁されていることを特徴とする、作動液体。
【請求項9】
潤滑兼冷却剤が、25〜75重量%の脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、20μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の1〜30重量%の黒鉛、残部として水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載の作動液体。
【請求項10】
潤滑兼冷却剤が、40〜60重量%の脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む化合物、12μm以下の粒度を持つ薄片状黒鉛粒子の形の2〜20重量%の黒鉛、残部として水及びそのほかの混和物及び/又は添加物を含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の作動液体。
【請求項11】
潤滑兼冷却剤がそのほかの添加物として分散添加剤を含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の作動液体。
【請求項12】
潤滑兼冷却剤中の分散添加剤の濃度が、重量%で炭素粒子の濃度の半分ないし濃度とほぼ同じであることを特徴とする、請求項11に記載の作動液体。
【請求項13】
潤滑兼冷却剤がそのほかの添加物として泡止め剤を含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の作動液体。
【請求項14】
潤滑兼冷却剤が更にそのほかの添加物として防食剤を含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の作動液体。
【請求項15】
乾いている伝動装置から始まって、次の段階で伝動装置を初めて作動開始する方法において、
a)水と、少なくとも2つの水酸基を持つ脂肪族炭化水素又はこのような炭化水素を含む 化合物と、黒鉛粒子とを、伝動装置外の容器において混合し、
b)歯車の少なくとも1つが潤滑兼冷却剤の中へ没入するまで、請求項1に記載の潤滑兼 冷却剤を伝動装置に満たし、
c)すべての歯車が潤滑兼冷却剤でぬらされるまで、伝動装置を負荷なしに空転させ、そ の際歯車上に安定した潤滑膜が形成されているようにする
方法。
【請求項16】
段階a)として、請求項1に記載の潤滑兼冷却剤を、少なくとも1つ軸線のレベルを越えるまで伝動装置に満たし、その際潤滑兼冷却剤が5〜20重量%の黒鉛を含むようにし、段階b)により、潤滑兼冷却剤を少なくとも一部排出し、請求項1に記載の潤滑兼冷却剤を、作動レベルまで伝動装置に満たし、その潤滑兼冷却剤が場合によっては残留量に応じて減少される黒鉛粒子の含有量を含むようにすることを特徴とする、請求項15に記載の伝動装置を初めて作動開始する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−528501(P2009−528501A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503363(P2009−503363)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/AT2007/000108
【国際公開番号】WO2007/098523
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(503211264)マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (18)
【Fターム(参考)】