作業機械
【課題】 主フレームに搭載された各搭載機器の振動を抑え、主フレームと各搭載機器との取付部の耐久性を高める。
【解決手段】旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器の上部側を上部フレーム31に取付けることにより、これら各搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持する。これにより、各搭載機器の上部側を上部フレーム31によって拘束することができるので、油圧ショベル1の稼動時に発生した振動によって各搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる。この結果、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と旋回フレーム11との取付部に作用する負荷を低減してその耐久性を高めることができる。
【解決手段】旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器の上部側を上部フレーム31に取付けることにより、これら各搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持する。これにより、各搭載機器の上部側を上部フレーム31によって拘束することができるので、油圧ショベル1の稼動時に発生した振動によって各搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる。この結果、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と旋回フレーム11との取付部に作用する負荷を低減してその耐久性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の支持構造体をなす主フレーム上にカウンタウエイト、エンジン等を含む機器が搭載された作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の作業機械は、自走可能なクローラ式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に配設された作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
ここで、土砂の掘削作業等に用いられる油圧ショベルの上部旋回体は、支持構造体をなす主フレームとしての旋回フレームを有し、この旋回フレームの前部側には、作業装置が俯仰動可能に設けられている。
【0004】
また、旋回フレームには、作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイト、動力源となるエンジン、ラジエータやオイルクーラ等の熱交換装置、エンジンに供給される燃料を貯留する燃料タンク、油圧ショベルに搭載された各油圧アクチュエータに給排される作動油を貯留する作動油タンク等の搭載機器が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平5−40356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術による油圧ショベルでは、旋回フレーム上に搭載される各搭載機器は、通常、その下部側が旋回フレームにボルト等を用いて取付けられ、上部側が自由端となっている。
【0007】
これに対し、油圧ショベルが不整地等を走行する場合には、カウンタウエイトは、左,右方向(車幅方向)に延びる軸線を中心とした前,後方向への振動(ピッチング振動)、あるいは前,後方向(車長方向)に延びる軸線を中心とした左,右方向への振動(ローリング振動)を発生する。また、油圧ショベルを用いた掘削作業時に作業装置を俯仰動させた場合、作業装置を地面に押付けて下部走行体の前部側を持上げるジャッキアップ動作を行なった後、このジャッキアップ動作を解除して下部走行体の前部側を地面に下した場合等においても、カウンタウエイトはピッチング振動、ローリング振動等を発生する。
【0008】
そして、油圧ショベルの稼動時にカウンタウエイトが振動を発生すると、この振動は旋回フレームから該旋回フレームに搭載されたエンジン、熱交換装置、燃料タンク、作動油タンク等に伝わる。この場合、旋回フレーム上の各搭載機器は、その下部側が旋回フレームに取付けられ、上部側が自由端となっているため、搭載機器の上部側は、旋回フレームからの振動を受けて前,後方向、左,右方向に大きく振動するようになる。
【0009】
このように、旋回フレーム上に設けられた各搭載機器の上部側が大きく振動すると、これら各搭載機器の下部側と旋回フレームとの取付部に大きな負荷が作用し、当該取付部の耐久性が低下するだけでなく、各搭載機器自体の耐久性も低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、主フレームに搭載された各搭載機器の振動を抑え、主フレームと各搭載機器との取付部の耐久性、各搭載機器自体の耐久性を高めることができるようにした作業機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなし作業装置が設けられる主フレームと、該主フレームに搭載されたカウンタウエイト、エンジン、熱交換装置、燃料タンク、作動油タンクを含む搭載機器とからなる作業機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、各搭載機器のうち少なくとも2つの搭載機器の上部側を支持する上部フレームを設けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、各搭載機器のうちエンジンと上部フレームとの間には防振装置を設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、上部フレームは、分割可能な複数個の上部フレーム分割体により構成したことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記上部フレームと前記主フレームとの間を上,下方向で連結する縦連結材を設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、主フレームに搭載された各搭載機器のうち少なくとも2つの搭載機器の上部側を支持する上部フレームを設けることにより、これら各搭載機器の上部側を上部フレームによって拘束することができる。従って、作業機械の稼動時に発生した振動が主フレームから各搭載機器に伝わったとしても、各搭載機器のうち上部フレームによって支持された搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる。これにより、上部フレームによって支持された各搭載機器と主フレームとの取付部に作用する負荷を低減して当該取付部の耐久性を高めることができ、かつ上部フレームによって支持された各搭載機器自体の耐久性を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、各搭載機器のうちエンジンと上部フレームとの間に防振装置を設けることにより、エンジンがその作動時に比較的高い周波数の振動を発生したとしても、このエンジンの振動を防振装置によって抑えることができる。従って、エンジンの振動による騒音を低減できると共に、作業機械の乗り心地を向上することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、複数個の上部フレーム分割体を互いに接合することにより、上部フレームを形成することができるので、例えば主フレームと上部フレームとの間に挟込まれた各搭載機器に対する点検作業等を行う場合に、上部フレームを複数の上部フレーム分割体に分割することにより、この上部フレーム分割体を点検すべき搭載機器から容易に取外すことができる。これにより、各搭載機器を主フレームと上部フレームとの間で挟込んで支持した状態でも、各搭載機器に対する点検作業を容易に行なうことができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、上部フレームと主フレームとの間を縦連結材によって上,下方向で連結したので、これら各搭載機器の上部側を上部フレームによって拘束することができる上に、上部フレームが主フレームに対して変位(振動)するのを抑えることができる。これにより、上部フレームに取付けられた複数の搭載機器と主フレームとの取付部に作用する負荷を一層低減することができるので、各搭載機器と主フレームとの取付部の耐久性、各搭載機器自体の耐久性を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る作業機械の実施の形態について油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図18を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示し、図中、1は土砂等の掘削作業に用いられる油圧ショベルを示している。ここで、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0022】
そして、上部旋回体3は、前部側に作業装置4が俯仰動可能に設けられた後述の旋回フレーム11と、該旋回フレーム11の前部左側に設けられ運転室を画成するキャブ5と、旋回フレーム11の後部側に設けられた後述のカウンタウエイト19と、該カウンタウエイト19の前側に設けられた建屋カバー6とにより大略構成され、該建屋カバー6内には、後述のエンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27、上部フレーム31等が収容されている。
【0023】
11は上部旋回体3のベースとなる主フレームとしての旋回フレームで、該旋回フレーム11は、図2ないし図4に示すように、後述のセンタフレーム12、左,右のサイドフレーム13,14等により強固な支持構造体として構成されている。そして、旋回フレーム11の前部側には作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム11上には、後述のカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27を含む各種機器(搭載機器)が搭載されるものである。
【0024】
12は旋回フレーム11の中央部を構成するセンタフレームで、該センタフレーム12は、厚肉な鋼板等により形成され前,後方向に延びる底板12Aと、該底板12A上に立設されて前,後方向に延び、前側から後側に向けて徐々に高さ寸法が小さくなるように形成された左縦板12Bおよび右縦板12Cとにより大略構成されている。
【0025】
13はセンタフレーム12の左側に位置して前,後方向に延びた左サイドフレーム、14はセンタフレーム12の右側に位置して前,後方向に延びた右サイドフレームで、これら左,右のサイドフレーム13,14は、図3に示すように略D型の断面形状を有する筒体により構成されている。そして、センタフレーム12と左サイドフレーム13との間は、左,右方向に延びる複数(1個のみ図示)の左張出しビーム15によって連結され、センタフレーム12と右サイドフレーム14との間は、左,右方向に延びる複数(1個のみ図示)の右張出しビーム16によって連結されている。
【0026】
17,17,…はセンタフレーム12の後部側に設けられた複数の下側ブラケットで、該各下側ブラケット17は、図3および図4に示すように、左,右の縦板12B,12C上にそれぞれ前,後方向に離間して2個ずつ配置され、溶接等の手段を用いて固着されている。そして、各下側ブラケット17には、ゴム等の弾性体を有するエンジンマウント18がボルト等(図示せず)を用いてそれぞれ取付けられている。
【0027】
19は旋回フレーム11の後端部に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト19は、センタフレーム12を構成する左,右の縦板12B,12Cの後端部にボルト20を用いて取付けられ、作業装置4との重量バランスをとるものである。そして、カウンタウエイト19の上部前端側には、その上面19Aよりも一段低い平坦面となって左,右方向に延びる上部フレーム取付面19Bが形成され、この上部フレーム取付面19Bには、後述する上部フレーム31が取付けられる構成となっている。
【0028】
21はカウンタウエイト19よりも前側に位置して旋回フレーム11上に設けられたエンジンで、該エンジン21は、センタフレーム12の左,右の縦板12B,12Cに設けられた各下側ブラケット17上にエンジンマウント18を介して防振状態に支持され、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。また、図3および図4に示すように、エンジン21の上部側には、後述の各フレーム側ブラケット34に取付けられる4個のエンジン側ブラケット21A,21A,…が設けられている。
【0029】
そして、エンジン21の右側には油圧ポンプ22が設けられ、該油圧ポンプ22は、エンジン21によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給するものである。一方、エンジン21の左側には冷却ファン23が設けられ、該冷却ファン23は、エンジン21によって駆動されることにより建屋カバー6内に冷却風を取込み、この冷却風を後述の熱交換装置24に供給するものである。
【0030】
24は冷却ファン23の左側に隣接して設けられた熱交換装置で、該熱交換装置24は、エンジン21の冷却水を冷却するラジエータ24A、油圧ショベル1に搭載された各油圧アクチュエータに給排される作動油を冷却するオイルクーラ24B等により構成されている。
【0031】
ここで、ラジエータ24Aは、エンジン21からの冷却水が循環する放熱部を有し、エンジン冷却水の熱を放熱部で熱交換して冷却風中に放熱することにより、エンジン冷却水を冷却するものである。一方、オイルクーラ24Bは、油圧ショベル1の各油圧アクチュエータからの戻り油が流入する放熱部を有し、戻り油の熱を放熱部で熱交換して冷却風中に放熱することにより、作動油を冷却するものである。そして、熱交換装置24の下端部は、旋回フレーム11の左張出しビーム15に複数のボルト25を用いて取付けられ、熱交換装置24の上端部は、後述の上部フレーム31に取付けられる構成となっている。
【0032】
26は油圧ポンプ22の前側に位置して旋回フレーム11の右端側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク26は、油圧ショベル1に搭載された油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。そして、作動油タンク26の下端部は、旋回フレーム11の右サイドフレーム14、右張出しビーム16にボルト25を用いて取付けられ、作動油タンク26の上端部は、後述の上部フレーム31に取付けられる構成となっている。
【0033】
27は作動油タンク26の前側に位置して旋回フレーム11の右端側に設けられた燃料タンクで、該燃料タンク27は、エンジン21に供給される燃料を貯溜するものである。そして、燃料タンク27の下端部は、旋回フレーム11の右サイドフレーム14、右張出しビーム16にボルト(図示せず)を用いて取付けられ、燃料タンク27の上端部は、後述の上部フレーム31に取付けられる構成となっている。
【0034】
31は旋回フレーム11の上方に設けられた上部フレームで、該上部フレーム31は、上述したカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27を含む各搭載機器の上部側が取付けられることにより、これら各搭載機器を旋回フレーム11との間で上,下方向から挟込んで支持するものである。
【0035】
ここで、上部フレーム31は、図5等に示すように、複数本の梁材を用いて大きな剛性を有する略L字状の枠体として形成され、後述の後枠部32、前枠部33、各フレーム側ブラケット34等により構成されている。
【0036】
32は上部フレーム31の後部側を構成する後枠部で、該後枠部32は、互いに平行して左,右方向に延びる前横梁32A,後横梁32Bと、これら前横梁32A,後横梁32B間を連結し前,後方向に延びる左縦梁32C、右縦梁32D、中縦梁32Eとにより、全体として左,右方向に延びる長方形の枠状に形成されている。そして、前横梁32A、後横梁32B、左縦梁32Cには、それぞれ後述のボルト35が挿通されるボルト挿通孔32F,32F,…が穿設されている。
【0037】
33は上部フレーム31の前部側を構成する前枠部で、該前枠部33は、互いに平行して前,後方向に延びる左縦梁33A,右縦梁33Bと、これら左縦梁33A,右縦梁33B間を連結し左,右方向に延びる前横梁33C,後横梁33Dとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。そして、左縦梁33Aおよび右縦梁33Bには、それぞれ後述のボルト35が挿通されるボルト挿通孔33E,33E,…が穿設されている。
【0038】
34,34,…は後枠部32の下面側に設けられた4個のフレーム側ブラケットで、これら各フレーム側ブラケット34は、後枠部32を構成する前横梁32A,後横梁32Bの下面側にそれぞれ2個ずつ溶接等の手段を用いて固着され、エンジン21に設けられた各エンジン側ブラケット21Aに向けて延びている。
【0039】
そして、図2ないし図4に示すように、上部フレーム31を構成する後枠部32の後横梁32Bは、カウンタウエイト19の上部フレーム取付面19Bにボルト35を用いて取付けられ、後枠部32の各フレーム側ブラケット34は、エンジン21の各エンジン側ブラケット21Aに後述の防振装置36を介して取付けられ、後枠部32の左縦梁32Cは、熱交換装置24の上面にボルト35を用いて取付けられる構成となっている。
【0040】
また、上部フレーム31を構成する前枠部33の左,右の縦梁33A,33Bと後枠部32の前横梁32Aとは、作動油タンク26の上面にボルト35を用いて取付けられ、前枠部33の左,右の縦梁33A,33Bは、燃料タンク27の上面にボルト35を用いて取付けられる構成となっている。
【0041】
このように、旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持することにより、これら各搭載機器の上部側を拘束し、油圧ショベル1の稼動時に発生した振動によって各搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる構成となっている。また、上部フレーム31は、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等と共に、建屋カバー6内に収容される構成となっている。
【0042】
36は各搭載機器のうちエンジン21と上部フレーム31との間に設けられた防振装置で、該各防振装置36は、図6に示すように、ゴム等の弾性材料を用いて角柱状に形成された弾性体36Aと、該弾性体36Aに固着された一対のフランジ板36B,36Cとにより構成されている。また、一方のフランジ板36Bはエンジン21のエンジン側ブラケット21Aに固定され、他方のフランジ板36Cは上部フレーム31のフレーム側ブラケット34にボルト35を用いて固定されている。
【0043】
そして、エンジン21と上部フレーム31との間に設けられた防振装置36は、エンジン21がその作動時に発生する比較的高い周波数の振動を弾性体36Aの弾性変形によって吸収することにより、エンジン21の振動による騒音を低減すると共に、キャブ5内に乗込んだオペレータの乗り心地を向上するものである。
【0044】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走した後、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂等の掘削作業を行う。
【0045】
ここで、油圧ショベル1が不整地等を走行する場合には、カウンタウエイト19は、左,右方向(車幅方向)に延びる軸線を中心とした前,後方向への振動(ピッチング振動)、あるいは前,後方向(車長方向)に延びる軸線を中心とした左,右方向への振動(ローリング振動)を発生する。
【0046】
また、掘削作業時に作業装置4を俯仰動させた場合、作業装置4による掘削作業時に下部走行体2の後部が上方に持上がった後に急激に地面に接地する場合、作業装置4を地面に押付けて下部走行体2の前部側を持上げるジャッキアップ動作を行なった後、このジャッキアップ動作を解除して下部走行体2の前部側を地面に下した場合等においても、カウンタウエイトはピッチング振動、ローリング振動等を発生する。
【0047】
このように、油圧ショベル1の稼動時にカウンタウエイト19がピッチング振動、ローリング振動等を発生すると、この振動は旋回フレーム11から該旋回フレーム11に搭載されたエンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等に伝わるようになる。
【0048】
しかし、本実施の形態では、下部側が旋回フレーム11に取付けられたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器の上部側を、旋回フレーム11の上方に配置した上部フレーム31に取付けることにより、これら各搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム31とによって上,下方向から挟込んで支持する構成としたので、各搭載機器の上部側を上部フレーム31によって拘束することができる。
【0049】
従って、油圧ショベル1の稼動時に発生した振動が、旋回フレーム11からカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器に伝わったとしても、これら各搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる。この結果、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と旋回フレーム11との取付部に作用する負荷を低減してその耐久性を高めることができ、かつ各搭載機器自体の耐久性を高めることができる。
【0050】
また、エンジン21と上部フレーム31との間に防振装置36を設けることにより、エンジン21がその作動時に発生する比較的高い周波数の振動を、弾性体36Aの弾性変形によって吸収することができ、エンジン21の振動による騒音を低減すると共に、キャブ5内に乗込んだオペレータの乗り心地を向上することができる。
【0051】
次に、図7は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部フレームを分割可能な複数個の上部フレーム分割体によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0052】
図中、41は第1の実施の形態による上部フレーム31に代えて本実施の形態に用いた上部フレームで、該上部フレーム41は、後述する後側上部フレーム分割体42と、前側上部フレーム分割体44とにより構成されている。
【0053】
42は後述の前側上部フレーム分割体44と共に上部フレーム41を構成する後側上部フレーム分割体で、該後側上部フレーム分割体42は、互いに平行して左,右方向に延びる前横梁42A,後横梁42Bと、これら前横梁42A,後横梁42B間を連結し前,後方向に延びる左縦梁42C、右縦梁42D、中縦梁42Eとにより、全体として左,右方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
【0054】
ここで、前横梁42Aと右縦梁42Dとが交わる部位には、後述の係合凸部44Fが係合する四角形状の凹陥部42Fが形成され、前横梁42Aと中縦梁42Eとが交わる部位には、後述の係合凸部44Eが係合する四角形状の凹陥部42Gが形成されている。また、これら各凹陥部42F,42G、後横梁42B、左縦梁42Cには、それぞれボルト35が挿通されるボルト挿通孔42H,42H,…が穿設されている。
【0055】
43,43,…は後側上部フレーム分割体42の下面側に設けられた4個のフレーム側ブラケットで、これら各フレーム側ブラケット43は、前横梁42A,後横梁42Bの下面側にそれぞれ2個ずつ溶接等の手段を用いて固着されている。そして、これら各フレーム側ブラケット43は、エンジンに設けられた各エンジン側ブラケット(いずれも図示せず)に取付けられるものである。
【0056】
44は前側上部フレーム分割体で、該前側上部フレーム分割体44は、互いに平行して前,後方向に延びる左縦梁44A,右縦梁44Bと、これら左縦梁44A,右縦梁44B間を連結し左,右方向に延びる前横梁44C,後横梁44Dとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
【0057】
ここで、左縦梁44Aの後端部には、後側上部フレーム分割体42の凹陥部42Gに係合する四角形状の係合凸部44Eが形成され、右縦梁44Bの後端部には、後側上部フレーム分割体42の凹陥部42Fに係合する四角形状の係合凸部44Fが形成されている。また、これら各係合凸部44E,44F、左縦梁44A、右縦梁44Bには、それぞれボルト35が挿通されるボルト挿通孔44G,44G,…が穿設されている。
【0058】
そして、後側上部フレーム分割体42に形成された各凹陥部42F,42Gに、前側上部フレーム分割体44に形成された各係合凸部44E,44Fを係合させることにより、後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44とからなる分割可能な上部フレーム41が構成されている。
【0059】
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如き分割可能な上部フレーム41を有するもので、その基本的作動については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0060】
然るに、本実施の形態によれば、旋回フレーム11と上部フレーム41との間に挟込まれた各搭載機器に対する点検作業等を行う場合に、上部フレーム41を後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44とに分割することができる。これにより、後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44のうち、点検すべき搭載機器に取付けられた分割体のみを容易に取外すことができるので、各搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム41との間で挟込んで支持した状態でも、各搭載機器に対する点検作業を容易に行なうことができる。
【0061】
次に、図8および図9は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部フレームと各搭載機器との間に防振装置を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
51,51,…はカウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と上部フレーム31との間に設けられた防振装置で、該各防振装置51は、例えばゴム等の弾性体を用いて形成されている。そして、防振装置51は、カウンタウエイト19と上部フレーム31との間、熱交換装置24と上部フレーム31との間、作動油タンク26と上部フレーム31との間、燃料タンク27と上部フレーム31との間に、それぞれボルト35を用いて取付けられている。
【0063】
ここで、防振装置51は、例えば油圧ショベルの走行時、掘削作業時等において旋回フレーム11が比較的高い周波数の振動を発生したときに、弾性体が変形することによってこの振動を吸収するものである。これにより、旋回フレーム11に取付けられたカウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器が、旋回フレーム11が発生した高い周波数の振動に共振するのを抑えることができる構成となっている。
【0064】
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0065】
然るに、本実施の形態によれば、カウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と上部フレーム31との間に防振装置51を設ける構成としたので、例えば油圧ショベルの走行時、掘削作業時等において旋回フレーム11が比較的高い周波数の振動を発生したとしても、各搭載機器が旋回フレーム11の振動に共振するのを防振装置51によって抑えることができる。これにより、カウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等が、旋回フレーム11が発生した高い周波数の振動に共振して破損するのを抑え、これら各搭載機器の耐久性を高めることができる。
【0066】
次に、図10ないし図14は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部フレームと主フレームとの間を上,下方向で連結する縦連結材を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0067】
図中、61は第1の実施の形態による上部フレーム31に代えて本実施の形態に用いた上部フレームで、該上部フレーム61は、図13及び図14等に示すように、複数本の梁材を用いて大きな剛性を有する枠体として形成され、後述の後枠部62、前枠部63、各フレーム側ブラケット64等により構成されている。
【0068】
62は上部フレーム61の後部側を構成する後枠部で、該後枠部62は、互いに平行に左,右方向に延びる前横梁62A,中横梁62B,後横梁62Cと、中横梁62Bと後横梁62Cとの間を連結し前,後方向に延びる左縦梁62D,前横梁62Aと後横梁62Cとの間を連結し前,後方向に延びる右縦梁62Eと、これら左,右の縦梁62D,62E間に位置して前,後に延び、後述の左縦板66が取付けられる左縦板取付梁62F,右縦板67が取付けられる右縦板取付梁62Gとにより、全体として左,右方向に延びるほぼ長方形の枠状に形成されている。
【0069】
ここで、右縦梁62Eの後端部は後横梁62Cに固着され、右縦梁62Eの前部側は、前横梁62Aから前方へと延び、後述する前枠部63の一部を構成している。また、左縦板取付梁62Fと右縦板取付梁62Gとは、その後端部が後横梁62Cに固着され、前部側は中横梁62Bから前方へと延びている。
【0070】
そして、図10及び図11に示すように、左縦板取付梁62Fは、旋回フレーム11を構成する左縦板12Bと上,下方向で対向し、右縦板取付梁62Gは、右縦板12Cと上,下方向で対向する構成となっている。さらに、後枠部62を構成する前横梁62A、中横梁62B、後横梁62C、左縦梁62D、右縦梁62Eには、それぞれ後述のボルト65が挿通されるボルト挿通孔62H,62H,…が穿設されている。
【0071】
63は後枠部62の右前側に配置され上部フレーム61の前部側を構成する前枠部で、該前枠部63は、後枠部62の前横梁62Aと平行に左,右方向に延びる前横梁63Aと、この前横梁63Aと後枠部62の前横梁62Aとの間を連結し前,後方向に延びる左縦梁63Bと、後枠部62の右縦梁62Eに一体形成され左縦梁63Bと平行に前,後方向に延びる右縦梁63CとによりU字状に形成されている。
【0072】
そして、前枠部63を構成する左縦梁63B、右縦梁63Cには、それぞれ後述のボルト65が挿通されるボルト挿通孔63D,63D,…が穿設されている。なお、本実施の形態では、後枠部62の右縦梁62Eと前枠部63の右縦梁63Cとを一体形成した場合を例示しているが、これら右縦梁62Eと右縦梁63Cとは別部材によって構成してもよいものである。
【0073】
64,64,…は後枠部62の下面側に設けられた4個のフレーム側ブラケットで、これら各フレーム側ブラケット64は、後枠部62を構成する中横梁62B,後横梁62Cの下面側にそれぞれ2個ずつ溶接等の手段を用いて固着され、図11及び図12に示すように、エンジン21に設けられた各エンジン側ブラケット21Aに向けて延びている。
【0074】
そして、図10ないし図12に示すように、後枠部62の後横梁62Cは、カウンタウエイト19の上部フレーム取付面19Bにボルト65を用いて取付けられ、後枠部62の各フレーム側ブラケット64は、エンジン21の各エンジン側ブラケット21Aに防振装置36を介して取付けられ、後枠部62の左縦梁62Dは、熱交換装置24の上面にボルト65を用いて取付けられる構成となっている。
【0075】
また、後枠部62の前横梁62A、中横梁62B、右縦梁62Eは、作動油タンク26の上面にボルト65を用いて取付けられ、前枠部63の左縦梁63Bと右縦梁63Cとは、燃料タンク27の上面にボルト65を用いて取付けられる構成となっている。
【0076】
66は上部フレーム61と旋回フレーム11との間に設けられた縦連結材としての左縦板で、該左縦板66は、上部フレーム61の左縦板取付梁62Fと旋回フレーム11との間を上,下方向で連結するものである。
【0077】
67は上部フレーム61と旋回フレーム11との間に設けられた縦連結材としての右縦板で、該右縦板67は、上部フレーム61の右縦板取付梁62Gと旋回フレーム11との間を上,下方向で連結するものである。
【0078】
ここで、左縦板66は、図12及び図13等に示すように、例えば厚肉な鋼板材等を用いて略長方形の平板状に形成され、前,後方向の中間部から後部までの範囲には、下端側が開口端となって上,下方向に延びる開口部66Aが設けられている。また、左縦板66の下端側には、図11に示すように、旋回フレーム11の左縦板12Bに当接する直方体状のスペーサ66Bが突設されると共に、後述のボルト68が挿通される複数のボルト挿通孔66Cが穿設されている。
【0079】
一方、右縦板67も左縦板66と同様に、開口部67Aが設けられた略長方形の平板状に形成され、右縦板67の下端側には、スペーサ67Bが突設されると共に複数のボルト挿通孔67Cが穿設されている。
【0080】
そして、左縦板66の上端側は、図14等に示すように上部フレーム61の左縦板取付梁62Fに溶接等の手段を用いて固着され、左縦板66の下端側は、図11等に示すように旋回フレーム11の左縦板12Bにスペーサ66Bを当接させた状態で当該左縦板12Bにボルト68を用いて固定され、左縦板66の開口部66A内にはエンジン21が配置される構成となっている。
【0081】
一方、右縦板67の上端側は、上部フレーム61の右縦板取付梁62Gに溶接等の手段を用いて固着され、右縦板67の下端側は、旋回フレーム11の右縦板12Cにスペーサ67Bを当接させた状態で当該右縦板12Cにボルト68を用いて固定され、右縦板67の開口部67A内にはエンジン21が配置される構成となっている。
【0082】
このように、本実施の形態では、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器が搭載された旋回フレーム11と、各搭載機器の上部側が取付けられた上部フレーム61との間を、左縦板66及び右縦板67を用いて上,下方向で連結する構成となっている。
【0083】
本実施の形態は上述の如き構成を有するもので、旋回フレーム11に搭載された複数の搭載機器の上部側を上部フレーム61に取付けることにより、これら各搭載機器の上部側を上部フレーム61によって拘束することができる上に、上部フレーム61と旋回フレーム11との間を左縦板66及び右縦板67を用いて連結することにより、上部フレーム61が旋回フレーム11に対して大きく変位(振動)するのを抑えることができる。
【0084】
この結果、上部フレーム61に上部側が取付けられたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と旋回フレーム11との取付部に作用する負荷を一層低減することができるので、各搭載機器と旋回フレーム11との取付部の耐久性、各搭載機器自体の耐久性を一層高めることができる。
【0085】
なお、上述した第1の実施の形態では、旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27の5つの搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、これら各搭載機器のうち振動を抑制したい少なくとも2つの搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持することにより、これら少なくとも2つの搭載機器の上部側を上部フレーム31によって拘束すればよいものである。
【0086】
即ち、例えば図15に示す変形例のように、旋回フレーム11に搭載された各搭載機器のうちカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24の3つの搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31′との間で挟込んで支持することにより、これらカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24の上部側を上部フレーム31′によって拘束してもよい。
【0087】
また、例えば図16に示す他の変形例のように、旋回フレーム11に搭載された各搭載機器のうち作動油タンク26と燃料タンク27との2つの搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31″との間で挟込んで支持することにより、これら作動油タンク26、燃料タンク27の上部側を上部フレーム31″によって拘束してもよい。
【0088】
また、上述した第1の実施の形態では、エンジン21と上部フレーム31との間にゴム等の弾性材料からなる弾性体36Aを有する防振装置36を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す変形例のように、エンジン21と上部フレーム31との間にばね52とオイルダンパ53とにより構成された防振装置54を設ける構成としてもよい。
【0089】
また、上述した第4の実施の形態では、上部フレーム61の各フレーム側ブラケット64とエンジン21との間にのみ防振装置36を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図18に示す変形例のように、上部フレーム61とカウンタウエイト、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク等の各搭載機器との間に、例えばゴム等の弾性体を用いて形成された防振装置69を設ける構成としてもよい。
【0090】
また、上述した第4の実施の形態では、旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27の5つの搭載機器の上部側を上部フレーム61に取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、これら各搭載機器のうちいずれか2つ以上の搭載機器の上部側を上部フレーム61に取付ける構成としてもよい。
【0091】
また、上述した第4の実施の形態では、上部フレーム61と旋回フレーム11との間を、左縦板66と右縦板67とからなる2つの縦連結材を用いて連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1つまたは3つ以上の縦連結材を用いて上部フレーム61と旋回フレーム11との間を連結する構成としてもよい。
【0092】
また、上述した第4の実施の形態では、左縦板66、右縦板67の上端側をそれぞれ上部フレーム61に溶接等によって固着し、下端側をボルト65を用いて旋回フレーム11に取付ける場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左縦板66、右縦板67の上端側をそれぞれボルトを用いて上部フレーム61に取付け、下端側をボルト65を用いて旋回フレーム11に取付ける構成としてもよい。
【0093】
さらに、上述した第4の実施の形態では、上部フレーム61を後枠部62と前枠部63とからなる一体物として構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、2以上の上部フレーム分割体によって構成される上部フレームを用いてもよい。
【0094】
また、上述した各実施の本実施の形態では、旋回フレーム11に搭載される搭載機器として、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧ポンプ22から各種の油圧アクチュエータに給排される圧油の方向を制御する制御弁ユニット、バッテリ(いずれも図示せず)等の他の機器類も、旋回フレーム11に搭載される搭載機器に含まれるものである。
【0095】
また、上述した第2の実施の形態では、上部フレーム41を後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44との2個のフレーム分割体によって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば3個以上のフレーム分割体によって上部フレームを構成してもよい。
【0096】
さらに、上述した各実施の形態では、作業機械として油圧ショベルを例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械、リフトトラック等の作業機械にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態が適用された油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】作業装置、建屋カバーを取外した油圧ショベルの平面図である。
【図3】旋回フレーム、エンジン、上部フレーム等を図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】旋回フレーム、エンジン、上部フレーム等を図2中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】上部フレームを単体で示す斜視図である。
【図6】図4中の防振装置等を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】第2の実施の形態による上部フレームを、後側上部フレーム分割体と前側上部フレーム分割体とに分解して示す分解斜視図である。
【図8】第3の実施の形態による各搭載機器、上部フレーム、防振装置等を示す図3と同様な断面図である。
【図9】第3の実施の形態による各搭載機器、上部フレーム、防振装置等を示す図4と同様な断面図である。
【図10】第4の実施の形態による上部フレームを備えた油圧ショベルを示す図2と同様な平面図である。
【図11】旋回フレーム、上部フレーム、左縦板、右縦板等を図10中の矢示XI−XI方向からみた断面図である。
【図12】旋回フレーム、上部フレーム、左縦板等を図10中の矢示XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】上部フレーム、左縦板、右縦板を分解した状態で示す分解斜視図である。
【図14】上部フレームに左縦板、右縦板を取付けた状態を示す斜視図である。
【図15】カウンタウエイト、エンジン、熱交換装置を旋回フレームと上部フレームとの間で挟込んで支持した変形例を示す図2と同様な平面図である。
【図16】作動油タンクと燃料タンクとを旋回フレームと上部フレームとの間で挟込んで支持した他の変形例を示す図2と同様な平面図である。
【図17】エンジンと上部フレームとの間に設けられる防振装置の変形例を示す図6と同様な拡大断面図である。
【図18】第4の実施の形態による上部フレームと各搭載機器との間に防振装置を設けた変形例を示す図8と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0098】
11 旋回フレーム(主フレーム)
19 カウンタウエイト(搭載機器)
21 エンジン(搭載機器)
24 熱交換装置(搭載機器)
26 作動油タンク(搭載機器)
27 燃料タンク(搭載機器)
31,31′,31″,41,61 上部フレーム
36,51,54,69 防振装置
42 後側上部フレーム分割体(上部フレーム分割体)
44 前側上部フレーム分割体(上部フレーム分割体)
66 左縦板(縦連結材)
67 右縦板(縦連結材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の支持構造体をなす主フレーム上にカウンタウエイト、エンジン等を含む機器が搭載された作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の作業機械は、自走可能なクローラ式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に配設された作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
ここで、土砂の掘削作業等に用いられる油圧ショベルの上部旋回体は、支持構造体をなす主フレームとしての旋回フレームを有し、この旋回フレームの前部側には、作業装置が俯仰動可能に設けられている。
【0004】
また、旋回フレームには、作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイト、動力源となるエンジン、ラジエータやオイルクーラ等の熱交換装置、エンジンに供給される燃料を貯留する燃料タンク、油圧ショベルに搭載された各油圧アクチュエータに給排される作動油を貯留する作動油タンク等の搭載機器が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平5−40356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術による油圧ショベルでは、旋回フレーム上に搭載される各搭載機器は、通常、その下部側が旋回フレームにボルト等を用いて取付けられ、上部側が自由端となっている。
【0007】
これに対し、油圧ショベルが不整地等を走行する場合には、カウンタウエイトは、左,右方向(車幅方向)に延びる軸線を中心とした前,後方向への振動(ピッチング振動)、あるいは前,後方向(車長方向)に延びる軸線を中心とした左,右方向への振動(ローリング振動)を発生する。また、油圧ショベルを用いた掘削作業時に作業装置を俯仰動させた場合、作業装置を地面に押付けて下部走行体の前部側を持上げるジャッキアップ動作を行なった後、このジャッキアップ動作を解除して下部走行体の前部側を地面に下した場合等においても、カウンタウエイトはピッチング振動、ローリング振動等を発生する。
【0008】
そして、油圧ショベルの稼動時にカウンタウエイトが振動を発生すると、この振動は旋回フレームから該旋回フレームに搭載されたエンジン、熱交換装置、燃料タンク、作動油タンク等に伝わる。この場合、旋回フレーム上の各搭載機器は、その下部側が旋回フレームに取付けられ、上部側が自由端となっているため、搭載機器の上部側は、旋回フレームからの振動を受けて前,後方向、左,右方向に大きく振動するようになる。
【0009】
このように、旋回フレーム上に設けられた各搭載機器の上部側が大きく振動すると、これら各搭載機器の下部側と旋回フレームとの取付部に大きな負荷が作用し、当該取付部の耐久性が低下するだけでなく、各搭載機器自体の耐久性も低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、主フレームに搭載された各搭載機器の振動を抑え、主フレームと各搭載機器との取付部の耐久性、各搭載機器自体の耐久性を高めることができるようにした作業機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなし作業装置が設けられる主フレームと、該主フレームに搭載されたカウンタウエイト、エンジン、熱交換装置、燃料タンク、作動油タンクを含む搭載機器とからなる作業機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、各搭載機器のうち少なくとも2つの搭載機器の上部側を支持する上部フレームを設けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、各搭載機器のうちエンジンと上部フレームとの間には防振装置を設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、上部フレームは、分割可能な複数個の上部フレーム分割体により構成したことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記上部フレームと前記主フレームとの間を上,下方向で連結する縦連結材を設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、主フレームに搭載された各搭載機器のうち少なくとも2つの搭載機器の上部側を支持する上部フレームを設けることにより、これら各搭載機器の上部側を上部フレームによって拘束することができる。従って、作業機械の稼動時に発生した振動が主フレームから各搭載機器に伝わったとしても、各搭載機器のうち上部フレームによって支持された搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる。これにより、上部フレームによって支持された各搭載機器と主フレームとの取付部に作用する負荷を低減して当該取付部の耐久性を高めることができ、かつ上部フレームによって支持された各搭載機器自体の耐久性を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、各搭載機器のうちエンジンと上部フレームとの間に防振装置を設けることにより、エンジンがその作動時に比較的高い周波数の振動を発生したとしても、このエンジンの振動を防振装置によって抑えることができる。従って、エンジンの振動による騒音を低減できると共に、作業機械の乗り心地を向上することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、複数個の上部フレーム分割体を互いに接合することにより、上部フレームを形成することができるので、例えば主フレームと上部フレームとの間に挟込まれた各搭載機器に対する点検作業等を行う場合に、上部フレームを複数の上部フレーム分割体に分割することにより、この上部フレーム分割体を点検すべき搭載機器から容易に取外すことができる。これにより、各搭載機器を主フレームと上部フレームとの間で挟込んで支持した状態でも、各搭載機器に対する点検作業を容易に行なうことができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、上部フレームと主フレームとの間を縦連結材によって上,下方向で連結したので、これら各搭載機器の上部側を上部フレームによって拘束することができる上に、上部フレームが主フレームに対して変位(振動)するのを抑えることができる。これにより、上部フレームに取付けられた複数の搭載機器と主フレームとの取付部に作用する負荷を一層低減することができるので、各搭載機器と主フレームとの取付部の耐久性、各搭載機器自体の耐久性を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る作業機械の実施の形態について油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図18を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示し、図中、1は土砂等の掘削作業に用いられる油圧ショベルを示している。ここで、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0022】
そして、上部旋回体3は、前部側に作業装置4が俯仰動可能に設けられた後述の旋回フレーム11と、該旋回フレーム11の前部左側に設けられ運転室を画成するキャブ5と、旋回フレーム11の後部側に設けられた後述のカウンタウエイト19と、該カウンタウエイト19の前側に設けられた建屋カバー6とにより大略構成され、該建屋カバー6内には、後述のエンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27、上部フレーム31等が収容されている。
【0023】
11は上部旋回体3のベースとなる主フレームとしての旋回フレームで、該旋回フレーム11は、図2ないし図4に示すように、後述のセンタフレーム12、左,右のサイドフレーム13,14等により強固な支持構造体として構成されている。そして、旋回フレーム11の前部側には作業装置4が俯仰動可能に取付けられ、旋回フレーム11上には、後述のカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27を含む各種機器(搭載機器)が搭載されるものである。
【0024】
12は旋回フレーム11の中央部を構成するセンタフレームで、該センタフレーム12は、厚肉な鋼板等により形成され前,後方向に延びる底板12Aと、該底板12A上に立設されて前,後方向に延び、前側から後側に向けて徐々に高さ寸法が小さくなるように形成された左縦板12Bおよび右縦板12Cとにより大略構成されている。
【0025】
13はセンタフレーム12の左側に位置して前,後方向に延びた左サイドフレーム、14はセンタフレーム12の右側に位置して前,後方向に延びた右サイドフレームで、これら左,右のサイドフレーム13,14は、図3に示すように略D型の断面形状を有する筒体により構成されている。そして、センタフレーム12と左サイドフレーム13との間は、左,右方向に延びる複数(1個のみ図示)の左張出しビーム15によって連結され、センタフレーム12と右サイドフレーム14との間は、左,右方向に延びる複数(1個のみ図示)の右張出しビーム16によって連結されている。
【0026】
17,17,…はセンタフレーム12の後部側に設けられた複数の下側ブラケットで、該各下側ブラケット17は、図3および図4に示すように、左,右の縦板12B,12C上にそれぞれ前,後方向に離間して2個ずつ配置され、溶接等の手段を用いて固着されている。そして、各下側ブラケット17には、ゴム等の弾性体を有するエンジンマウント18がボルト等(図示せず)を用いてそれぞれ取付けられている。
【0027】
19は旋回フレーム11の後端部に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト19は、センタフレーム12を構成する左,右の縦板12B,12Cの後端部にボルト20を用いて取付けられ、作業装置4との重量バランスをとるものである。そして、カウンタウエイト19の上部前端側には、その上面19Aよりも一段低い平坦面となって左,右方向に延びる上部フレーム取付面19Bが形成され、この上部フレーム取付面19Bには、後述する上部フレーム31が取付けられる構成となっている。
【0028】
21はカウンタウエイト19よりも前側に位置して旋回フレーム11上に設けられたエンジンで、該エンジン21は、センタフレーム12の左,右の縦板12B,12Cに設けられた各下側ブラケット17上にエンジンマウント18を介して防振状態に支持され、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。また、図3および図4に示すように、エンジン21の上部側には、後述の各フレーム側ブラケット34に取付けられる4個のエンジン側ブラケット21A,21A,…が設けられている。
【0029】
そして、エンジン21の右側には油圧ポンプ22が設けられ、該油圧ポンプ22は、エンジン21によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給するものである。一方、エンジン21の左側には冷却ファン23が設けられ、該冷却ファン23は、エンジン21によって駆動されることにより建屋カバー6内に冷却風を取込み、この冷却風を後述の熱交換装置24に供給するものである。
【0030】
24は冷却ファン23の左側に隣接して設けられた熱交換装置で、該熱交換装置24は、エンジン21の冷却水を冷却するラジエータ24A、油圧ショベル1に搭載された各油圧アクチュエータに給排される作動油を冷却するオイルクーラ24B等により構成されている。
【0031】
ここで、ラジエータ24Aは、エンジン21からの冷却水が循環する放熱部を有し、エンジン冷却水の熱を放熱部で熱交換して冷却風中に放熱することにより、エンジン冷却水を冷却するものである。一方、オイルクーラ24Bは、油圧ショベル1の各油圧アクチュエータからの戻り油が流入する放熱部を有し、戻り油の熱を放熱部で熱交換して冷却風中に放熱することにより、作動油を冷却するものである。そして、熱交換装置24の下端部は、旋回フレーム11の左張出しビーム15に複数のボルト25を用いて取付けられ、熱交換装置24の上端部は、後述の上部フレーム31に取付けられる構成となっている。
【0032】
26は油圧ポンプ22の前側に位置して旋回フレーム11の右端側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク26は、油圧ショベル1に搭載された油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。そして、作動油タンク26の下端部は、旋回フレーム11の右サイドフレーム14、右張出しビーム16にボルト25を用いて取付けられ、作動油タンク26の上端部は、後述の上部フレーム31に取付けられる構成となっている。
【0033】
27は作動油タンク26の前側に位置して旋回フレーム11の右端側に設けられた燃料タンクで、該燃料タンク27は、エンジン21に供給される燃料を貯溜するものである。そして、燃料タンク27の下端部は、旋回フレーム11の右サイドフレーム14、右張出しビーム16にボルト(図示せず)を用いて取付けられ、燃料タンク27の上端部は、後述の上部フレーム31に取付けられる構成となっている。
【0034】
31は旋回フレーム11の上方に設けられた上部フレームで、該上部フレーム31は、上述したカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27を含む各搭載機器の上部側が取付けられることにより、これら各搭載機器を旋回フレーム11との間で上,下方向から挟込んで支持するものである。
【0035】
ここで、上部フレーム31は、図5等に示すように、複数本の梁材を用いて大きな剛性を有する略L字状の枠体として形成され、後述の後枠部32、前枠部33、各フレーム側ブラケット34等により構成されている。
【0036】
32は上部フレーム31の後部側を構成する後枠部で、該後枠部32は、互いに平行して左,右方向に延びる前横梁32A,後横梁32Bと、これら前横梁32A,後横梁32B間を連結し前,後方向に延びる左縦梁32C、右縦梁32D、中縦梁32Eとにより、全体として左,右方向に延びる長方形の枠状に形成されている。そして、前横梁32A、後横梁32B、左縦梁32Cには、それぞれ後述のボルト35が挿通されるボルト挿通孔32F,32F,…が穿設されている。
【0037】
33は上部フレーム31の前部側を構成する前枠部で、該前枠部33は、互いに平行して前,後方向に延びる左縦梁33A,右縦梁33Bと、これら左縦梁33A,右縦梁33B間を連結し左,右方向に延びる前横梁33C,後横梁33Dとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。そして、左縦梁33Aおよび右縦梁33Bには、それぞれ後述のボルト35が挿通されるボルト挿通孔33E,33E,…が穿設されている。
【0038】
34,34,…は後枠部32の下面側に設けられた4個のフレーム側ブラケットで、これら各フレーム側ブラケット34は、後枠部32を構成する前横梁32A,後横梁32Bの下面側にそれぞれ2個ずつ溶接等の手段を用いて固着され、エンジン21に設けられた各エンジン側ブラケット21Aに向けて延びている。
【0039】
そして、図2ないし図4に示すように、上部フレーム31を構成する後枠部32の後横梁32Bは、カウンタウエイト19の上部フレーム取付面19Bにボルト35を用いて取付けられ、後枠部32の各フレーム側ブラケット34は、エンジン21の各エンジン側ブラケット21Aに後述の防振装置36を介して取付けられ、後枠部32の左縦梁32Cは、熱交換装置24の上面にボルト35を用いて取付けられる構成となっている。
【0040】
また、上部フレーム31を構成する前枠部33の左,右の縦梁33A,33Bと後枠部32の前横梁32Aとは、作動油タンク26の上面にボルト35を用いて取付けられ、前枠部33の左,右の縦梁33A,33Bは、燃料タンク27の上面にボルト35を用いて取付けられる構成となっている。
【0041】
このように、旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持することにより、これら各搭載機器の上部側を拘束し、油圧ショベル1の稼動時に発生した振動によって各搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる構成となっている。また、上部フレーム31は、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等と共に、建屋カバー6内に収容される構成となっている。
【0042】
36は各搭載機器のうちエンジン21と上部フレーム31との間に設けられた防振装置で、該各防振装置36は、図6に示すように、ゴム等の弾性材料を用いて角柱状に形成された弾性体36Aと、該弾性体36Aに固着された一対のフランジ板36B,36Cとにより構成されている。また、一方のフランジ板36Bはエンジン21のエンジン側ブラケット21Aに固定され、他方のフランジ板36Cは上部フレーム31のフレーム側ブラケット34にボルト35を用いて固定されている。
【0043】
そして、エンジン21と上部フレーム31との間に設けられた防振装置36は、エンジン21がその作動時に発生する比較的高い周波数の振動を弾性体36Aの弾性変形によって吸収することにより、エンジン21の振動による騒音を低減すると共に、キャブ5内に乗込んだオペレータの乗り心地を向上するものである。
【0044】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走した後、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂等の掘削作業を行う。
【0045】
ここで、油圧ショベル1が不整地等を走行する場合には、カウンタウエイト19は、左,右方向(車幅方向)に延びる軸線を中心とした前,後方向への振動(ピッチング振動)、あるいは前,後方向(車長方向)に延びる軸線を中心とした左,右方向への振動(ローリング振動)を発生する。
【0046】
また、掘削作業時に作業装置4を俯仰動させた場合、作業装置4による掘削作業時に下部走行体2の後部が上方に持上がった後に急激に地面に接地する場合、作業装置4を地面に押付けて下部走行体2の前部側を持上げるジャッキアップ動作を行なった後、このジャッキアップ動作を解除して下部走行体2の前部側を地面に下した場合等においても、カウンタウエイトはピッチング振動、ローリング振動等を発生する。
【0047】
このように、油圧ショベル1の稼動時にカウンタウエイト19がピッチング振動、ローリング振動等を発生すると、この振動は旋回フレーム11から該旋回フレーム11に搭載されたエンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等に伝わるようになる。
【0048】
しかし、本実施の形態では、下部側が旋回フレーム11に取付けられたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器の上部側を、旋回フレーム11の上方に配置した上部フレーム31に取付けることにより、これら各搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム31とによって上,下方向から挟込んで支持する構成としたので、各搭載機器の上部側を上部フレーム31によって拘束することができる。
【0049】
従って、油圧ショベル1の稼動時に発生した振動が、旋回フレーム11からカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器に伝わったとしても、これら各搭載機器の上部側が大きく振動するのを抑えることができる。この結果、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と旋回フレーム11との取付部に作用する負荷を低減してその耐久性を高めることができ、かつ各搭載機器自体の耐久性を高めることができる。
【0050】
また、エンジン21と上部フレーム31との間に防振装置36を設けることにより、エンジン21がその作動時に発生する比較的高い周波数の振動を、弾性体36Aの弾性変形によって吸収することができ、エンジン21の振動による騒音を低減すると共に、キャブ5内に乗込んだオペレータの乗り心地を向上することができる。
【0051】
次に、図7は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部フレームを分割可能な複数個の上部フレーム分割体によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0052】
図中、41は第1の実施の形態による上部フレーム31に代えて本実施の形態に用いた上部フレームで、該上部フレーム41は、後述する後側上部フレーム分割体42と、前側上部フレーム分割体44とにより構成されている。
【0053】
42は後述の前側上部フレーム分割体44と共に上部フレーム41を構成する後側上部フレーム分割体で、該後側上部フレーム分割体42は、互いに平行して左,右方向に延びる前横梁42A,後横梁42Bと、これら前横梁42A,後横梁42B間を連結し前,後方向に延びる左縦梁42C、右縦梁42D、中縦梁42Eとにより、全体として左,右方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
【0054】
ここで、前横梁42Aと右縦梁42Dとが交わる部位には、後述の係合凸部44Fが係合する四角形状の凹陥部42Fが形成され、前横梁42Aと中縦梁42Eとが交わる部位には、後述の係合凸部44Eが係合する四角形状の凹陥部42Gが形成されている。また、これら各凹陥部42F,42G、後横梁42B、左縦梁42Cには、それぞれボルト35が挿通されるボルト挿通孔42H,42H,…が穿設されている。
【0055】
43,43,…は後側上部フレーム分割体42の下面側に設けられた4個のフレーム側ブラケットで、これら各フレーム側ブラケット43は、前横梁42A,後横梁42Bの下面側にそれぞれ2個ずつ溶接等の手段を用いて固着されている。そして、これら各フレーム側ブラケット43は、エンジンに設けられた各エンジン側ブラケット(いずれも図示せず)に取付けられるものである。
【0056】
44は前側上部フレーム分割体で、該前側上部フレーム分割体44は、互いに平行して前,後方向に延びる左縦梁44A,右縦梁44Bと、これら左縦梁44A,右縦梁44B間を連結し左,右方向に延びる前横梁44C,後横梁44Dとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
【0057】
ここで、左縦梁44Aの後端部には、後側上部フレーム分割体42の凹陥部42Gに係合する四角形状の係合凸部44Eが形成され、右縦梁44Bの後端部には、後側上部フレーム分割体42の凹陥部42Fに係合する四角形状の係合凸部44Fが形成されている。また、これら各係合凸部44E,44F、左縦梁44A、右縦梁44Bには、それぞれボルト35が挿通されるボルト挿通孔44G,44G,…が穿設されている。
【0058】
そして、後側上部フレーム分割体42に形成された各凹陥部42F,42Gに、前側上部フレーム分割体44に形成された各係合凸部44E,44Fを係合させることにより、後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44とからなる分割可能な上部フレーム41が構成されている。
【0059】
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如き分割可能な上部フレーム41を有するもので、その基本的作動については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0060】
然るに、本実施の形態によれば、旋回フレーム11と上部フレーム41との間に挟込まれた各搭載機器に対する点検作業等を行う場合に、上部フレーム41を後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44とに分割することができる。これにより、後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44のうち、点検すべき搭載機器に取付けられた分割体のみを容易に取外すことができるので、各搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム41との間で挟込んで支持した状態でも、各搭載機器に対する点検作業を容易に行なうことができる。
【0061】
次に、図8および図9は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部フレームと各搭載機器との間に防振装置を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
51,51,…はカウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と上部フレーム31との間に設けられた防振装置で、該各防振装置51は、例えばゴム等の弾性体を用いて形成されている。そして、防振装置51は、カウンタウエイト19と上部フレーム31との間、熱交換装置24と上部フレーム31との間、作動油タンク26と上部フレーム31との間、燃料タンク27と上部フレーム31との間に、それぞれボルト35を用いて取付けられている。
【0063】
ここで、防振装置51は、例えば油圧ショベルの走行時、掘削作業時等において旋回フレーム11が比較的高い周波数の振動を発生したときに、弾性体が変形することによってこの振動を吸収するものである。これにより、旋回フレーム11に取付けられたカウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器が、旋回フレーム11が発生した高い周波数の振動に共振するのを抑えることができる構成となっている。
【0064】
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、その基本的作動については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0065】
然るに、本実施の形態によれば、カウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と上部フレーム31との間に防振装置51を設ける構成としたので、例えば油圧ショベルの走行時、掘削作業時等において旋回フレーム11が比較的高い周波数の振動を発生したとしても、各搭載機器が旋回フレーム11の振動に共振するのを防振装置51によって抑えることができる。これにより、カウンタウエイト19、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等が、旋回フレーム11が発生した高い周波数の振動に共振して破損するのを抑え、これら各搭載機器の耐久性を高めることができる。
【0066】
次に、図10ないし図14は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部フレームと主フレームとの間を上,下方向で連結する縦連結材を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0067】
図中、61は第1の実施の形態による上部フレーム31に代えて本実施の形態に用いた上部フレームで、該上部フレーム61は、図13及び図14等に示すように、複数本の梁材を用いて大きな剛性を有する枠体として形成され、後述の後枠部62、前枠部63、各フレーム側ブラケット64等により構成されている。
【0068】
62は上部フレーム61の後部側を構成する後枠部で、該後枠部62は、互いに平行に左,右方向に延びる前横梁62A,中横梁62B,後横梁62Cと、中横梁62Bと後横梁62Cとの間を連結し前,後方向に延びる左縦梁62D,前横梁62Aと後横梁62Cとの間を連結し前,後方向に延びる右縦梁62Eと、これら左,右の縦梁62D,62E間に位置して前,後に延び、後述の左縦板66が取付けられる左縦板取付梁62F,右縦板67が取付けられる右縦板取付梁62Gとにより、全体として左,右方向に延びるほぼ長方形の枠状に形成されている。
【0069】
ここで、右縦梁62Eの後端部は後横梁62Cに固着され、右縦梁62Eの前部側は、前横梁62Aから前方へと延び、後述する前枠部63の一部を構成している。また、左縦板取付梁62Fと右縦板取付梁62Gとは、その後端部が後横梁62Cに固着され、前部側は中横梁62Bから前方へと延びている。
【0070】
そして、図10及び図11に示すように、左縦板取付梁62Fは、旋回フレーム11を構成する左縦板12Bと上,下方向で対向し、右縦板取付梁62Gは、右縦板12Cと上,下方向で対向する構成となっている。さらに、後枠部62を構成する前横梁62A、中横梁62B、後横梁62C、左縦梁62D、右縦梁62Eには、それぞれ後述のボルト65が挿通されるボルト挿通孔62H,62H,…が穿設されている。
【0071】
63は後枠部62の右前側に配置され上部フレーム61の前部側を構成する前枠部で、該前枠部63は、後枠部62の前横梁62Aと平行に左,右方向に延びる前横梁63Aと、この前横梁63Aと後枠部62の前横梁62Aとの間を連結し前,後方向に延びる左縦梁63Bと、後枠部62の右縦梁62Eに一体形成され左縦梁63Bと平行に前,後方向に延びる右縦梁63CとによりU字状に形成されている。
【0072】
そして、前枠部63を構成する左縦梁63B、右縦梁63Cには、それぞれ後述のボルト65が挿通されるボルト挿通孔63D,63D,…が穿設されている。なお、本実施の形態では、後枠部62の右縦梁62Eと前枠部63の右縦梁63Cとを一体形成した場合を例示しているが、これら右縦梁62Eと右縦梁63Cとは別部材によって構成してもよいものである。
【0073】
64,64,…は後枠部62の下面側に設けられた4個のフレーム側ブラケットで、これら各フレーム側ブラケット64は、後枠部62を構成する中横梁62B,後横梁62Cの下面側にそれぞれ2個ずつ溶接等の手段を用いて固着され、図11及び図12に示すように、エンジン21に設けられた各エンジン側ブラケット21Aに向けて延びている。
【0074】
そして、図10ないし図12に示すように、後枠部62の後横梁62Cは、カウンタウエイト19の上部フレーム取付面19Bにボルト65を用いて取付けられ、後枠部62の各フレーム側ブラケット64は、エンジン21の各エンジン側ブラケット21Aに防振装置36を介して取付けられ、後枠部62の左縦梁62Dは、熱交換装置24の上面にボルト65を用いて取付けられる構成となっている。
【0075】
また、後枠部62の前横梁62A、中横梁62B、右縦梁62Eは、作動油タンク26の上面にボルト65を用いて取付けられ、前枠部63の左縦梁63Bと右縦梁63Cとは、燃料タンク27の上面にボルト65を用いて取付けられる構成となっている。
【0076】
66は上部フレーム61と旋回フレーム11との間に設けられた縦連結材としての左縦板で、該左縦板66は、上部フレーム61の左縦板取付梁62Fと旋回フレーム11との間を上,下方向で連結するものである。
【0077】
67は上部フレーム61と旋回フレーム11との間に設けられた縦連結材としての右縦板で、該右縦板67は、上部フレーム61の右縦板取付梁62Gと旋回フレーム11との間を上,下方向で連結するものである。
【0078】
ここで、左縦板66は、図12及び図13等に示すように、例えば厚肉な鋼板材等を用いて略長方形の平板状に形成され、前,後方向の中間部から後部までの範囲には、下端側が開口端となって上,下方向に延びる開口部66Aが設けられている。また、左縦板66の下端側には、図11に示すように、旋回フレーム11の左縦板12Bに当接する直方体状のスペーサ66Bが突設されると共に、後述のボルト68が挿通される複数のボルト挿通孔66Cが穿設されている。
【0079】
一方、右縦板67も左縦板66と同様に、開口部67Aが設けられた略長方形の平板状に形成され、右縦板67の下端側には、スペーサ67Bが突設されると共に複数のボルト挿通孔67Cが穿設されている。
【0080】
そして、左縦板66の上端側は、図14等に示すように上部フレーム61の左縦板取付梁62Fに溶接等の手段を用いて固着され、左縦板66の下端側は、図11等に示すように旋回フレーム11の左縦板12Bにスペーサ66Bを当接させた状態で当該左縦板12Bにボルト68を用いて固定され、左縦板66の開口部66A内にはエンジン21が配置される構成となっている。
【0081】
一方、右縦板67の上端側は、上部フレーム61の右縦板取付梁62Gに溶接等の手段を用いて固着され、右縦板67の下端側は、旋回フレーム11の右縦板12Cにスペーサ67Bを当接させた状態で当該右縦板12Cにボルト68を用いて固定され、右縦板67の開口部67A内にはエンジン21が配置される構成となっている。
【0082】
このように、本実施の形態では、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器が搭載された旋回フレーム11と、各搭載機器の上部側が取付けられた上部フレーム61との間を、左縦板66及び右縦板67を用いて上,下方向で連結する構成となっている。
【0083】
本実施の形態は上述の如き構成を有するもので、旋回フレーム11に搭載された複数の搭載機器の上部側を上部フレーム61に取付けることにより、これら各搭載機器の上部側を上部フレーム61によって拘束することができる上に、上部フレーム61と旋回フレーム11との間を左縦板66及び右縦板67を用いて連結することにより、上部フレーム61が旋回フレーム11に対して大きく変位(振動)するのを抑えることができる。
【0084】
この結果、上部フレーム61に上部側が取付けられたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27等の各搭載機器と旋回フレーム11との取付部に作用する負荷を一層低減することができるので、各搭載機器と旋回フレーム11との取付部の耐久性、各搭載機器自体の耐久性を一層高めることができる。
【0085】
なお、上述した第1の実施の形態では、旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27の5つの搭載機器を旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、これら各搭載機器のうち振動を抑制したい少なくとも2つの搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31との間で挟込んで支持することにより、これら少なくとも2つの搭載機器の上部側を上部フレーム31によって拘束すればよいものである。
【0086】
即ち、例えば図15に示す変形例のように、旋回フレーム11に搭載された各搭載機器のうちカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24の3つの搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31′との間で挟込んで支持することにより、これらカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24の上部側を上部フレーム31′によって拘束してもよい。
【0087】
また、例えば図16に示す他の変形例のように、旋回フレーム11に搭載された各搭載機器のうち作動油タンク26と燃料タンク27との2つの搭載機器を、旋回フレーム11と上部フレーム31″との間で挟込んで支持することにより、これら作動油タンク26、燃料タンク27の上部側を上部フレーム31″によって拘束してもよい。
【0088】
また、上述した第1の実施の形態では、エンジン21と上部フレーム31との間にゴム等の弾性材料からなる弾性体36Aを有する防振装置36を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す変形例のように、エンジン21と上部フレーム31との間にばね52とオイルダンパ53とにより構成された防振装置54を設ける構成としてもよい。
【0089】
また、上述した第4の実施の形態では、上部フレーム61の各フレーム側ブラケット64とエンジン21との間にのみ防振装置36を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図18に示す変形例のように、上部フレーム61とカウンタウエイト、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク等の各搭載機器との間に、例えばゴム等の弾性体を用いて形成された防振装置69を設ける構成としてもよい。
【0090】
また、上述した第4の実施の形態では、旋回フレーム11に搭載されたカウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27の5つの搭載機器の上部側を上部フレーム61に取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、これら各搭載機器のうちいずれか2つ以上の搭載機器の上部側を上部フレーム61に取付ける構成としてもよい。
【0091】
また、上述した第4の実施の形態では、上部フレーム61と旋回フレーム11との間を、左縦板66と右縦板67とからなる2つの縦連結材を用いて連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1つまたは3つ以上の縦連結材を用いて上部フレーム61と旋回フレーム11との間を連結する構成としてもよい。
【0092】
また、上述した第4の実施の形態では、左縦板66、右縦板67の上端側をそれぞれ上部フレーム61に溶接等によって固着し、下端側をボルト65を用いて旋回フレーム11に取付ける場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左縦板66、右縦板67の上端側をそれぞれボルトを用いて上部フレーム61に取付け、下端側をボルト65を用いて旋回フレーム11に取付ける構成としてもよい。
【0093】
さらに、上述した第4の実施の形態では、上部フレーム61を後枠部62と前枠部63とからなる一体物として構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、2以上の上部フレーム分割体によって構成される上部フレームを用いてもよい。
【0094】
また、上述した各実施の本実施の形態では、旋回フレーム11に搭載される搭載機器として、カウンタウエイト19、エンジン21、熱交換装置24、作動油タンク26、燃料タンク27を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧ポンプ22から各種の油圧アクチュエータに給排される圧油の方向を制御する制御弁ユニット、バッテリ(いずれも図示せず)等の他の機器類も、旋回フレーム11に搭載される搭載機器に含まれるものである。
【0095】
また、上述した第2の実施の形態では、上部フレーム41を後側上部フレーム分割体42と前側上部フレーム分割体44との2個のフレーム分割体によって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば3個以上のフレーム分割体によって上部フレームを構成してもよい。
【0096】
さらに、上述した各実施の形態では、作業機械として油圧ショベルを例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械、リフトトラック等の作業機械にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態が適用された油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】作業装置、建屋カバーを取外した油圧ショベルの平面図である。
【図3】旋回フレーム、エンジン、上部フレーム等を図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】旋回フレーム、エンジン、上部フレーム等を図2中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】上部フレームを単体で示す斜視図である。
【図6】図4中の防振装置等を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】第2の実施の形態による上部フレームを、後側上部フレーム分割体と前側上部フレーム分割体とに分解して示す分解斜視図である。
【図8】第3の実施の形態による各搭載機器、上部フレーム、防振装置等を示す図3と同様な断面図である。
【図9】第3の実施の形態による各搭載機器、上部フレーム、防振装置等を示す図4と同様な断面図である。
【図10】第4の実施の形態による上部フレームを備えた油圧ショベルを示す図2と同様な平面図である。
【図11】旋回フレーム、上部フレーム、左縦板、右縦板等を図10中の矢示XI−XI方向からみた断面図である。
【図12】旋回フレーム、上部フレーム、左縦板等を図10中の矢示XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】上部フレーム、左縦板、右縦板を分解した状態で示す分解斜視図である。
【図14】上部フレームに左縦板、右縦板を取付けた状態を示す斜視図である。
【図15】カウンタウエイト、エンジン、熱交換装置を旋回フレームと上部フレームとの間で挟込んで支持した変形例を示す図2と同様な平面図である。
【図16】作動油タンクと燃料タンクとを旋回フレームと上部フレームとの間で挟込んで支持した他の変形例を示す図2と同様な平面図である。
【図17】エンジンと上部フレームとの間に設けられる防振装置の変形例を示す図6と同様な拡大断面図である。
【図18】第4の実施の形態による上部フレームと各搭載機器との間に防振装置を設けた変形例を示す図8と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0098】
11 旋回フレーム(主フレーム)
19 カウンタウエイト(搭載機器)
21 エンジン(搭載機器)
24 熱交換装置(搭載機器)
26 作動油タンク(搭載機器)
27 燃料タンク(搭載機器)
31,31′,31″,41,61 上部フレーム
36,51,54,69 防振装置
42 後側上部フレーム分割体(上部フレーム分割体)
44 前側上部フレーム分割体(上部フレーム分割体)
66 左縦板(縦連結材)
67 右縦板(縦連結材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなし作業装置が設けられる主フレームと、該主フレームに搭載されたカウンタウエイト、エンジン、熱交換装置、燃料タンク、作動油タンクを含む搭載機器とからなる作業機械において、
前記各搭載機器のうち少なくとも2つの搭載機器の上部側を支持する上部フレームを設ける構成としたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記各搭載機器のうち前記エンジンと前記上部フレームとの間には防振装置を設ける構成としてなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記上部フレームは、分割可能な複数個の上部フレーム分割体により構成してなる請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記上部フレームと前記主フレームとの間を上,下方向で連結する縦連結材を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の作業機械。
【請求項1】
支持構造体をなし作業装置が設けられる主フレームと、該主フレームに搭載されたカウンタウエイト、エンジン、熱交換装置、燃料タンク、作動油タンクを含む搭載機器とからなる作業機械において、
前記各搭載機器のうち少なくとも2つの搭載機器の上部側を支持する上部フレームを設ける構成としたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記各搭載機器のうち前記エンジンと前記上部フレームとの間には防振装置を設ける構成としてなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記上部フレームは、分割可能な複数個の上部フレーム分割体により構成してなる請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記上部フレームと前記主フレームとの間を上,下方向で連結する縦連結材を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の作業機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−298355(P2006−298355A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300590(P2005−300590)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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