作業用車両
【課題】エアクリーナの吸気口に対する熱気や塵埃の導入を回避するとともに、吸気口で発生する騒音が運転座席に搭座する運転者に対する騒音とは成りにくいように吸気口の配設位置を工夫した作業用車両を提供する。
【解決手段】車体前後方向での後方側に配設したエンジン10よりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席45を配設し、運転座席45よりも前方側のボンネット5内部で運転座席45が配設された側とは反対側の他側方に、エンジン10への外気取り入れ用の吸気口を備えた吸気部70を設けた。
【解決手段】車体前後方向での後方側に配設したエンジン10よりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席45を配設し、運転座席45よりも前方側のボンネット5内部で運転座席45が配設された側とは反対側の他側方に、エンジン10への外気取り入れ用の吸気口を備えた吸気部70を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前後方向での後方側にエンジンを配設し、そのエンジンよりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席を配設してあるともに、運転座席よりも前方側にボンネットを備えている作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようにエンジン及び運転座席を配設してある作業用車両として、従来では下記[1]及び[2]に示す技術が知られている。
[1]エンジンよりも後方側にエアクリーナを配設し、そのエアクリーナから導出した吸気用配管を前方側へ延出して、エンジンよりも前方側に配設されている運転座席のシートの下面側に対向させて前記吸気用配管の開口端部を設け、運転座席のシートの下面付近から取り込んだ外気をエアクリーナに導くように構成したもの(例えば、特許文献1参照)。
[2]運転座席よりも後方側にエンジンを配設し、そのエンジンの横側部にエアクリーナの格納ボックスを配設し、エアクリーナへの外気の取り込みは、エアクリーナを配設した格納ボックスの内部に開口した吸気用配管の開口端部から行うように構成したもの(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4649358号(段落「0019」、図6、図7参照)
【特許文献2】特開2011−116318号(段落「0054」、「0061」、図11、図12参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来構造における作業用車両では、エアクリーナが、エンジンよりも後方側の荷台下側の空きスペースを利用して設けられている。このため、エンジンの後方側で対地的に低い箇所に位置するエアクリーナの周辺で外気を導入するように吸気口部分を設けると、その吸気口部分に、エンジンで暖められた熱気が吸引されたり、走行路面の土煙や塵埃、あるいは泥水などが浸入してくる虞があるため、前記吸気口部分をエンジンよりも前方側で、対地的に比較的高い位置にあり、かつ縦壁を備える運転座席のシート裏面側に設けている。
このように、運転座席のシート裏面を利用してエアクリーナの吸気口部分を設けた場合には、エンジンで暖められた熱気の導入や塵埃などを吸引する虞は回避し易いが、吸気口部分が運転座席に搭座する運転者の近くに存在することとなるため、吸気口部分での吸気音が騒音となり易くなる不具合がある。
【0005】
上記[2]に記載の従来構造における作業用車両では、エアクリーナが専用の格納ボックスに内装されているため、エンジンで暖められた熱気の導入や塵埃の吸引などを回避し易く、また、吸気音もある程度遮断されて騒音低減の効果もある。しかしながら、この構造のものでは、エアクリーナを格納するための格納ボックスを別途備え付ける必要があって部品点数の増加を招くとともに、格納ボックスの位置が運転座席の近くであるため、ある程度低減されるとは言え十分な騒音防止を行い難い点で改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、エアクリーナの吸気口に対する熱気や塵埃の導入を回避するとともに、吸気口で発生する騒音が運転座席に搭座する運転者に対する騒音とは成りにくいように吸気口の配設位置を工夫した作業用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業用車両の技術手段は、車体前後方向での後方側にエンジンを配設し、前記エンジンよりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席を配設してあるとともに、前記運転座席よりも前方側のボンネット内部で前記運転座席が配設された側とは反対側の他側方に、前記エンジンへの外気取り入れ用の吸気口を備えた吸気部を設けてあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の作業用車両では、運転座席に搭座する運転者に対して騒音源となる吸気部が、ボンネット内部に格納されていることと、運転座席からは遠い他側方に設けられていることとで騒音が低減される。
そして、吸気部の位置は、後方側のエンジンからも遠い前方側のボンネット内に収められているので、専用の格納ボックスを要さずボンネットを利用して格納することができるとともに、その吸気部でエンジンの排熱によって暖められた外気や、ボンネット外部の塵埃を吸い込む可能性を低減できる利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
本発明の作業用車両における第2の解決手段は、車体左右方向で前記運転座席が配設された側と同じ前記一側方にエアクリーナを設け、そのエアクリーナが設けられた側とは反対側の前記他側方に作動油タンク又は燃料タンクを配設してある点に特徴がある。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の作業用車両では、運転座席が配設された側と同じ一側方にエアクリーナを設けることにより、吸気口からエアクリーナに至るまでの距離を比較的長く形成して、吸気口からエアクリーナに至る吸気経路での脈動が発生した場合に、これを軽減しやすく構成してある。
また、運転座席やエアクリーナが設けられた側とは反対側の他側方に作動油タンク又は燃料タンクを配設することによって、左右バランスを良好に保ち易い点でも有利である。
【0011】
〔解決手段3〕
本発明の作業用車両における第3の解決手段は、前記吸気部は、上面側が無孔で下面側に吸気口が形成されたものである点に特徴がある。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の作業用車両では、吸気部を構成するにあたって、塵埃の堆積しない下面側に吸気口が形成してあり、上面側は無孔に形成されているので、吸気口からの吸気に塵埃が混入する度合いを軽減できる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
本発明の作業用車両における第4の解決手段は、前記吸気部は、上面側が無孔で水平方向に開口する吸気口が形成されたものである点に特徴がある。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明の作業用車両では、吸気部を構成するにあたって、塵埃の堆積し難い水平方向に開口する吸気口が形成してあり、上面側は無孔に形成されているので、吸気口からの吸気に塵埃が混入する度合いを軽減できる利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
本発明の作業用車両における第5の解決手段は、前記吸気部に接続された吸気ダクトの中途部に、上下方向での厚みの薄いレゾネータを介装させてあり、このレゾネータを、前記エンジンからの動力が伝達されるミッションケースから前輪デファレンシャル装置への伝動軸の下側に配設してある点に特徴がある。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段5にかかる本発明の作業用車両では、吸気部に接続された吸気ダクトが、吸気口からエアクリーナに至るまでの比較的長い距離を有し、その吸気ダクトの中途部にレゾネータを介装させてあるので、吸気ダクトが長いことによる脈動吸収機能とレゾネータ自体の脈動吸収機能との相乗により、吸気の脈動を軽減することができ、レゾネータの小型化を図る上で有効である。
そして、レゾネータを上下に薄い形状とすることにより、伝動軸の下側への配設も可能になり、このレゾネータによって伝動軸カバーの一部を兼ねることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】作業用車両の左側面図である。
【図2】作業用車両の右側面図である。
【図3】作業用車両の平面図である。
【図4】車体フレームと各種取付装置との配置関係を示す平面図である。
【図5】車体フレームとサスペンションユニットとの関連構造を示す斜視図である。
【図6】車体フレームとエアクリーナやオイルクーラ等との配置関連構造を示す斜視図である。
【図7】車体フレームとサスペンションユニット等との関連構造を示す背面図である。
【図8】吸気部の構造を示す分解斜視図である。
【図9】燃料タンクの取付構造を示す背面図である。
【図10】燃料タンクの取付構造を示す斜視図である。
【図11】リヤフェンダの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[作業用車両の全体構成]
本発明にかかる作業用車両の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、操向操作自在な左右一対の前車輪1と、操向不能な左右一対の後車輪2とを走行機体Aに備え、この走行機体Aの前部位置に運転部を構成するキャビン4を備え、走行機体Aの後部に荷台3を備え、この荷台3の下方位置に駆動部Bを備えて作業用車両が構成されている。
【0019】
この作業用車両は、駆動部Bからの駆動力を前車輪1と後車輪2とに伝える走行駆動系の動力伝達構造を備えた4輪駆動型の車両であり、農作業や運搬作業等の多目的の作業に使用されるユーティリティビークルとして構成されている。
荷台3は、後端側が車体フレームFの後端位置に対して横向き姿勢の軸芯p1を中心にして揺動自在に支持され、ダンプシリンダ3aの伸縮作動により前端側を昇降作動させて積載物をダンプ式に排出できるように構成されている。
【0020】
走行機体Aの前部には、前記キャビン4よりも前方側に位置させてボンネット5を設けてある。このボンネット5は、車体フレームFに固定された固定側ボンネット5Aと、その固定側ボンネット5Aに対して、後端側を揺動支点にして前端側を上下揺動させることにより開閉操作自在な可動側ボンネット5Bとを備えて構成されている。前記固定側ボンネット5Aの左右両側の下部には、前車輪1の上部を覆うフロントフェンダ1Fが配置されている。
【0021】
前記ボンネット5内には、前端側で左右方向のほぼ中央に位置させて、前記キャビン4内の空調用に設置されたコンデンサ51(図示しないエバポレータとともに空調を行う空調ユニットに相当する)を内装する収容枠50が設けられている。
この収容枠50の背後には、エンジン冷却用のラジエータ53を通風可能であるように配備させてあるとともに、ラジエータ53の背後に、冷却用ファン52を配設して、ボンネット5の外部前方側から外気を吸引導入するように構成してある。
つまり、エンジン冷却用のラジエータ53を、車体の前部位置であるボンネット5の内部に設けて、かつ、ボンネット5に内装されているコンデンサ51の冷却用ファン52の風路に位置させる。これによって、外気がコンデンサ51の冷却用ファン52の吸引作用によってボンネット5内に取り込まれることになるが、その取り込まれた外気でコンデンサ51が冷却され、その冷却風が後方側のラジエータ53にも供給されることによって、ラジエータ53の冷却も併行して行われるように構成されている。
また、ボンネット5内には、前記収容枠50の右側の後部で、収容枠50の上端部と同等、もしくはそれよりも高い位置に、後述するエアクリーナ7の吸気ボックス70(吸気部に相当する)が設けられている。
【0022】
前記キャビン4は、前部にフロントガラス42を備え、後部にリヤガラス43を備えたキャビン本体40と、このキャビン本体40の左右両側部に形成されている乗降用開口に対して、夫々開閉自在に装備されたドア41とを備えている。
キャビン4内には、前車輪1を操向制御するステアリングホイール44が配設された車体左右方向での左方側寄り箇所で、前記ステアリングホイール44の後方側に、運転者が着座するための運転座席45を設けてあり、この運転座席45に隣接する右方側寄り位置に、横長となる2人掛用の助手座席46が備えられている。
【0023】
前記運転座席45及び助手座席46は、キャビン4内に備えた座席支持台47に支持されており、その座席支持台47の裏面側には、近接配置されるエンジン10の発熱に対する耐性を有した耐熱性材料からなり、かつ、断熱性、及び吸音性を備えた素材からなる裏当て材が装備されている。
【0024】
走行機体Aの後端側には、キャビン4よりも後方側で前記荷台3の下方側に、左右の後車輪2の上方を覆う合成樹脂製のリヤフェンダ2Fが備えられている。
【0025】
〔車体フレーム〕
走行機体Aの強度メンバーとしての車体フレーム20を備えている。
この車体フレーム20は、図4〜図6に示すように、前後方向に直線状に伸びる左右一対のメインフレーム21と、このメインフレーム21の前部位置においてキャビン4を支持するキャビンフレームユニット22と、メインフレーム21の前端に連結する前部フレームユニット23と、メインフレーム21の後部でメインフレーム21の上部に重なり、上縁がメインフレーム21と平行姿勢となるように走行機体Aの後方側に延出された後部フレームユニット24とを備え、さらに、後部フレームユニット24に対して、エンジン10およびミッションケース11などを備える駆動部Bを支持するための駆動部支持フレームユニット30を連結して構成されている。
【0026】
メインフレーム21と後部フレームユニット24とは角パイプ状の鋼材が用いられ、キャビンフレームユニット22と前部フレームユニット23とは、角パイプ材やチャンネル材等の鋼材が用いられている。
【0027】
キャビンフレームユニット22は、キャビン4の前部に配置される横向き姿勢のフレーム体22aと、運転座席45の下側に配置される横向き姿勢のフレーム体22bとを含む構造物として構成されている。
前部フレームユニット23は、ボンネット5の下側に配置される構造物であり、この前部フレームユニット23の左右位置には、ダブルウイッシュボーン型に構成される上下一対の前部サスペンションアーム25Fの基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。
そして、前部サスペンションアーム25Fの上方への揺動時に圧縮される前部サスペンションスプリング26Fを有する前部サスペンションユニット27Fの下端が、前部サスペンションアーム25Fに支持され、この前部サスペンションユニット27Fの上端を前部フレームユニット23が支持している。
【0028】
左右のメインフレーム21の後部に接続される後部フレームユニット24は、左右のメインフレーム21よりも高い位置で、上縁が左右のメインフレーム21の上縁と平行な水平方向姿勢で後方側へ延出された上部フレーム24Aと、この上部フレーム24Aとメインフレーム21とを連結する縦向き姿勢で角パイプ状の鋼材からなる前後一対の連結縦フレーム24Bとで構成されている。
前記後部フレームユニット24は、図5及び図6に示すように左右で上部フレーム24Aの長さが異なり、右側の上部フレーム24Aが左側の上部フレーム24Aよりも長く形成されている。つまり、左右の上部フレーム24A,24Aは、後端側の前後方向位置は左右同位置であるが、前端側は、左側の上部フレーム24Aよりも右側の上部フレーム24Aが前方側に位置している。
このため、前記連結縦フレーム24Bのうち、前後方向で後方側の連結縦フレーム24Bはメインフレーム21の後端位置にあって左右同じ前後方向位置に存在しているが、前方側の連結縦フレーム24Bは、左側の連結縦フレーム24Bよりも右側の連結縦フレーム24Bが前方側に位置して、メインフレーム21と、左右の上部フレーム24A,24Aの各前端部とを連結している。これによって左側の前後一対の連結縦フレーム24B同士の前後方向間隔よりも右側の前後一対の連結縦フレーム24B同士の前後方向間隔が大きく形成されている。
【0029】
メインフレーム21の後端側に隣接する位置で、後部フレームユニット24における上部フレーム24Aの下側に、メインフレーム21と後部フレームユニット24とに対して駆動部Bを支持するための駆動部フレームユニット30が配置されている。
前記駆動部Bは、エンジン10とミッションケース11と静油圧式無段変速装置12とを、前方側からこの順序で連結することでエンジン10とミッションケース11と静油圧式無段変速装置12とが一体化された構造に構成されている。
駆動部フレームユニット30は、図5〜7に示すように、駆動部Bの下側(後部フレームユニット24の上部フレーム24Aより下側)に配置されるマウントフレーム31と、このマウントフレーム31を左右の上部フレーム24Aに連結するように左右に2つずつ配置される断面形状コ字状の縦フレーム32と、マウントフレーム31の前端側に形成される横向き姿勢の前部フレーム33とを備えて構成されている。
【0030】
駆動部フレームユニット30は、後車輪2を支持する機能も有する。
つまり、左右の上部フレーム24Aの後端近くに架け渡される形態で、左右の上部フレーム24Aに両端部が連結する横向き姿勢で鋼材で成る横フレーム37が備えられ、この横フレーム37の中間位置にミッションケース11を吊り下げる形態で支持するための上部マウント支持体38が備えられ、この横フレーム37の両端部にはサスペンション支持部37Aが形成されている。
【0031】
前述した左右の縦フレーム32の下部部材32Bに対して、ダブルウィッシュボーン型に構成される上下一対の後部サスペンションアーム25Rの基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。また、後部サスペンションアーム25Rの上方への揺動時に圧縮される後部サスペンションスプリング26Rを有する後部サスペンションユニット27Rの下端が後部サスペンションアーム25Rに支持され、この後部サスペンションユニット27Rの上端を横フレーム37のサスペンション支持部37Aが支持している。
【0032】
マウントフレーム31は、鋼板をプレス加工する等の加工によりリブ状部分を形成して強度を高めており、横幅が左右の後部フレームユニット24の左右間隔より短い寸法に設定されている。マウントフレーム31には、ミッションケース11を支持するように左右一対の後部マウント支持体34を備えている。また、マウントフレーム31の両端部と、後部フレームユニット24とを縦フレーム32で直線的に連結するため、左右の縦フレーム32は、上端側ほど機体外方に変位する傾斜姿勢で備えられている。
【0033】
つまり、図4乃至図7に示す如く、前後方向視において、上部に左右一対の後部フレームユニット24を備え、下部にマウントフレーム31を備え、両側部に上側ほど外側に変位する傾斜姿勢の縦フレーム32を備えることにより、左右の縦フレーム32の上端同士を結ぶ仮想ラインを上底とし、左右の縦フレーム32の下端同士を結ぶ仮想ラインを下底とした場合に、上底の長さが下底の長さより長い逆台形となるように夫々の位置関係が設定されている。
【0034】
縦フレーム32は、チャンネル状の鋼材が用いられ、後部フレームユニット24に上端が連結する上部部材32Aと、下端がマウントフレーム31に連結する下部部材32Bとを分離自在に連結した構造を有しており、上部部材32Aの一部と下部部材32Bの一部とを重ね合わせ、この重ね合わせ部分に挿通する連結ボルト32Sにより夫々が分離自在に連結されている。また、前部フレーム33の両端部にブラケット33Aを備え、このブラケット33Aに挿通する挿通ボルト33Sによりメインフレーム21の後端に対して分離自在に連結されている。
【0035】
左右のメインフレーム21の後部近くに横向き姿勢で角パイプ状の鋼材で成る支持フレーム35が配置され、この支持フレーム35の左右端部のフランジ部35Aがメインフレーム21に対してフランジボルト35Sにより分離自在に連結している。また、支持フレーム35にはエンジン10を支持するように左右一対の前部マウント支持体36が形成されている。
【0036】
〔駆動系統〕
図3、および図4に示すように、駆動部Bでは、エンジン10とミッションケース11と静油圧式無段変速装置12とを、前方側からこの順序で連結してある。
ミッションケース11の内部構造は図面に示していないが、このミッションケース11は、静油圧式無段変速装置12で変速された駆動力を複数段に変速すると共に、前後進の切換を行うギヤ式の変速装置と、デファレンシャルギヤ(図示せず)とを内蔵している。
【0037】
ミッションケース11の上方位置の左側にはエンジン10の排気音を低減するように、上面に防熱用のカバー13aを有したマフラー13を備えている。
【0038】
静油圧式無段変速装置12は、エンジン10からの駆動力により作動するアキシャルプランジャ型の可変容量型の油圧ポンプ(図示せず)と、この油圧ポンプから供給される作動油により回転するアキシャルプランジャ型の油圧モータ(図示せず)とを備えて構成されている。
【0039】
この駆動部Bでは、エンジン10が、その出力軸(クランク軸、図示せず)の軸芯を前後向き方向に設定した姿勢で備えられ、この出力軸に連結する伝動軸(図示せず)をミッションケース11に前後方向に貫通させることで、エンジン10の駆動力を静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプに伝え、この静油圧式無段変速装置12の油圧モータからの駆動力をミッションケース11に伝える伝動系が構成されている。
また、ミッションケース11では駆動力を変速装置で変速し、デファレンシャルギヤから左右の後部出力軸61に伝え、この後部出力軸61から後輪駆動軸62を介して左右の後車輪2に伝えると共に、図4に示すように、ミッションケース11の前面側に形成した下部出力軸(図示せず)からドライブシャフト63を介して前輪デファレンシャル装置64に前輪駆動用の動力を伝え、更に、前輪駆動軸65から左右の前車輪1に伝えるように伝動系が構成されている。
【0040】
図7、図9、図10に示すように、エンジン10は、上面の右側にエアークリーナ7から空気が供給されるインテークマニホールド67を備え、右側にエグゾーストマニホールド68を備えており、このエグゾーストマニホールド68とマフラー13との間に排気管69が配置されている。また、前記マフラー13は、平面視で横フレーム37の下側に重なり、かつ後輪駆動軸62の上側に重なり合う位置に配置されている。
【0041】
マフラー13は、円筒状に成形され、後端には排気ガスを左側の下方に送り出すように屈曲した筒状の排気部14を備えている。このマフラー13の前端部は図示しない前ブラケットによりミッションケース11の上面に支持され、後端部は後ブラケット15により静油圧式無段変速装置12の上面に支持されている。防熱用のカバー13aは前端部がビス等によりミッションケース11の上面に支持され、後端部がビス等により静油圧式無段変速装置12の上面に支持されている。
【0042】
図2に示すように、前記エンジン10とミッションケース11との夫々の上端縁10a,11aの高さは、エンジン10の上端縁10aよりもミッションケース11の上端縁11aの高さが低くなるように形成されていて、荷台3の底面の下側と前記ミッションケース11の上端縁11aとの間に、荷台3の底面の下側と前記エンジン10の上端縁10aとの間に形成される間隙s1よりも大きい間隙s2が形成されるように構成してある。
【0043】
また、静油圧式無段変速装置12は、図7に示す如く、油圧ポンプを下側に配置し油圧モータを上側に配置する構成から、この静油圧式無段変速装置12の上端レベルがミッションケース11の上面より上方に高い位置に設定され、静油圧式無段変速装置12の上端がミッションケース11の上面より上方に突出している。この静油圧式無段変速装置12の上方への突出量を抑制すると共に、静油圧式無段変速装置12の上部の左側部にマフラー13の配置空間を拡大するために、静油圧式無段変速装置12を、前後方向視において上端側を右側(外側)に変位させるように、この静油圧式無段変速装置12を傾斜姿勢に設定している。
【0044】
〔吸気系〕
図1、3、および図4に示すように、前記エンジン10のインテークマニホールド67に対して燃焼用空気を供給するためのエアクリーナ7は、メインフレーム21の上側でキャビン4内に配備された運転座席45の前縁よりも後方側で座席シート45aの下側に配設してある。
つまり、運転座席45は平面視でエンジン10よりも前方側に配設してあり、車体左右方向での左側に配設されたステアリングホイール44の後方側で車体左側方寄り箇所に配設してあり、エアクリーナ7も車体左側方寄り箇所で運転座席45の座席シート45aの下側箇所に位置し、エアクリーナ7の筒状本体7Aの筒軸芯p2が左右方向に向く状態で座席支持台47の下側空間に配設されている。
【0045】
前記エアクリーナ7は、車体左右方向での外側に位置する左側端部に開閉蓋7Bを備えていて、この開閉蓋7Bを開放することによってフィルターエレメント(図示せず)の交換作業を行えるように構成してある。
運転座席45を支持する座席支持台47の下側空間のうち、エアクリーナ7が配設されている車体左右方向での左側の端部は横外側に開放されていて、図1に示すように、その座席支持台47の下側空間の横外側が左側のドア41によって閉塞されている。そのため、ドア41を開放すれば、前記エアクリーナ7の存在する運転座席45の下側空間の左側端部が開放された状態となる。したがって、運転座席45の下側空間の左側端部を閉塞するための開閉可能な蓋部材(図示せず)が不要となるばかりでなく、ドア41を開放した状態でエアクリーナ7のフィルター交換作業等を行う際の運転座席45の下側空間の開閉作業が不要となるので、メンテナンス作業を簡略化し易くなる。
【0046】
エアクリーナ7に外気を導入するための吸気ダクト71の先端側に設けた箱状の吸気ボックス70は、図1〜4に示すように、前記運転座席45が設けられた空間とは隔壁を介して区画された別の空間であるところのボンネット5の内部に配設され、図6および図8に示すように、前部フレームユニット23に対して連結用ブラケット72および取付ボルト73を介して着脱可能に固定してある。
ボンネット5内に位置する吸気ボックス70は、平面視では、前記運転座席45やエアクリーナ7が配設された車体左右方向での左側箇所とは反対側の右側寄りの箇所で、キャビン4内の空調用に設置されたコンデンサ51の収容枠50よりも右側後方寄りの箇所に位置し、側面視では、収容枠50の上端部と同等、もしくはそれよりも高い位置で、前部フレームユニット23に固定されている。
【0047】
前記吸気ボックス70とエアクリーナ7とは、吸気ダクト71を介して通気可能に接続されているが、吸気ダクト71の中途部には、前記吸気ボックス70から吸い込まれた空気の吸気音を減衰させるためのレゾネータ74が介装されている。
このレゾネータ74は、水平方向での前後左右の幅に比べて上下方向での厚みが薄い箱状に形成されていて、ミッションケース11から前輪デファレンシャル装置64へ駆動力を伝えるドライブシャフト63(伝動軸に相当する)の下側に配設されている。
つまり、吸気ダクト71のうち、吸気ボックス70とレゾネータ74の入口との間を繋ぐ前部ダクト71aは、図1および図4に示すように、吸気ボックス70に繋がる前端部分がボンネット5内の上部に位置し、その前端部分に引き続く中間部分が下方後方側に向けて延設され、レゾネータ74に近い側の後端部分がボンネット5の後部隔壁に形成した透孔(図示せず)を介してボンネット5の外部へ導出され、扁平箱状のレゾネータ74の下面がメインフレーム21の下縁と同等、もしくはこれよりも上方側でキャビン4の床面40aの下側に位置するように配設されている。
前輪デファレンシャル装置64へ駆動力を伝えるドライブシャフト63は、このレゾネータ74の上面とキャビン4の床面40aとの間を通って前輪デファレンシャル装置64へ動力を伝えるように延設されている。
【0048】
吸気ダクト71のうち後部ダクト71bは、レゾネータ74の出口側とエアクリーナ7との間を接続し、キャビン4の床面40aの下側を迂回して運転座席45の下側の空間に導かれ、運転座席45の下側空間に設けられたエアクリーナ7の下部側に接続されている。
吸気ダクト71のうち、エアクリーナ7とエンジン10との間に設けられる供給ダクト71cは、エアクリーナ7の左右方向での車体内方側に近い側の端部から、運転座席45の下側空間を右側方側へ延出されたのち、エンジン10の右側に回り込んでインテークマニホールド67に接続されている。
【0049】
吸気ボックス70には、図8に示すように、その下面70aと、水平方向で斜め右前方に向かう横向き面70bとに吸気用の多数の小孔75を形成することによって、下向きの吸気口76と水平方向に開口する吸気口77とが設けられている。
吸気ボックス70の上面70c側には吸気口となる小孔75は設けられていず、無孔に形成されている。また斜め右前方以外の横向き面70bにも吸気口となる小孔75は設けられていない。
【0050】
この吸気ボックス70は、合成樹脂成型品で一体形成されたものであり、吸気ボックス70の横向き面70bのうちの右横側方に相当する箇所の一部に設けた接続部78のみを残して、残りの三方向の横向き面70bが上下二分割された構造に形成してある。
つまり、無孔の上面70cと一体に形成されている上部箱部分と、吸気口76が形成された下面70aと一体の下部箱部分とが接続部78で接続された一体成型品で構成されたものであり、接続部78とは反対側の横向き面70b部分に形成されたフランジ部79同士を重ね合わせることによって箱状に形成し、そのフランジ部79に形成した連結孔79aに取付用ボルト73を螺合して、吸気ボックス70を箱状にした状態で連結用ブラケット72に連結し、前部フレームユニット23に固定してある。
〔オイルクーラ〕
【0051】
図4及び図6に示すように、ミッションケース11の後方側に設けてある静油圧式無段変速装置12から吐出された作動油や、パワーステアリング装置(図外)、あるいはダンプシリンダ3aからの戻り油などを冷却するためのオイルクーラ8が、前記エアクリーナ7が設けられた側とは車体左右方向での反対側で、運転座席45の前縁よりも後方側に設けた作動油タンク16に通油自在に接続されている。
このオイルクーラ8は、前後方向では前車輪1と後車輪2との前後方向間隔内に位置し、左右方向では前記エアクリーナ7が設けられた側とは反対側で、エンジン10よりも車体外方側箇所で、かつ吸気面80が車体フレーム20の前後方向に沿って、車体フレーム20の車体内外方向での内側の側縁に沿う状態で配設されている。
【0052】
オイルクーラ8の吸気面80の反対側には、電動モータ(図示せず)で駆動される冷却用ファン81が設けてあり、吸気面80から吸い込んだ外気が、オイルクーラ8を通過した後に、車体内方側のエンジン10やミッションケース11に向けて排出されるように構成してある。
つまり、オイルクーラ8は、図4に示すように、前後方向では、エンジン10とミッションケース11との接続箇所付近に対向する位置にあり、冷却用ファン81の排風方向がそのエンジン10とミッションケース11との接続箇所付近に向けられるように配設してある。
【0053】
オイルクーラ8の吸気面80の上下方向幅は、メインフレーム21の上面と後部フレームユニット24の上部フレーム24Aの下面との間に相当する上下幅を有しており、吸気面80の前後方向幅は、上下方向幅とほぼ同程度の前後方向幅を有してほぼ正方形に形成されている。
そして、前述したようにエンジン10とミッションケース11との夫々の上端縁の高さは、エンジン10よりもミッションケース11の上端縁の高さが低くなるように形成されていて、荷台3の底面の下側と前記ミッションケース11の上端縁11aとの間に、荷台3の底面の下側と前記エンジン10の上端縁10aとの間に形成される間隙s1よりも大きい間隙s2が形成されるように構成してある、
これによって、前記オイルクーラ8の冷却用ファン81からの送風が、エンジン10とミッションケース11との接続箇所付近に向けられたとき、エンジン10とミッションケース11との双方に接触した冷却風が、エンジン10と荷台3の下面との間、およびエンジン10の後方側で荷台3の底面の下側と前記ミッションケース11の上端縁11aとの間の比較的大きい間隙s2を通過してエンジン10やミッションケース11の他方側へ吹き抜けるので、エンジン10周りに熱気が停滞せず、オイルクーラ8のみならず、エンジン10周りの良好な冷却を行える。
【0054】
図1、4、および図7に示すように、前記ミッションケース11の前記オイルクーラ8が存在する側とは反対側の後部には、長手方向を前後方向に沿わせたマフラー13を設けてあり、このマフラー13は、図7に示すように、ミッションケース11の上端縁11aよりも少し上方側へ上縁が露出するように配設してある。
そして、前記冷却用ファン81による送風は、ある程度の広がりをもって送風されるので、エンジン10、ミッションケース11、及びエンジン10から導出された排気管69やマフラー13に対しても接触しながら流動するように構成してある。
【0055】
図示はしないが、運転座席45の座席シート45aの裏面側には、近接配置されるエンジン10の発熱に対する耐性を有した耐熱性材料からなり、かつ、断熱性、及び吸音性を備えた素材からなる裏当て材が装備されている。
【0056】
〔燃料タンク〕
前記オイルクーラ8の吸気面80の前面側(車体左右方向での外方側)には、その吸気面80との間に車体フレーム20の左右方向幅と同程度の間隔を隔てて、車体フレーム20の横外側に燃料タンク9が配設されている。
この燃料タンク9は、タンク本体90の前端側は作動油タンク15の後端面に近接して配設されているが、後端側は、オイルクーラ8の吸気面80の後端縁80aよりも少し前方側に寄った位置に配設されている。
【0057】
そして、図2及び図10に示されるように、前端側がキャビン4の後方下部における前下がり傾斜の後端縁に沿って、タンク本体90の前面90aが前下がり傾斜面に形成してあり、後端側がリヤフェンダ2Fの前端縁に沿うように、前記キャビン4の前下がり傾斜よりも急傾斜の前下がり傾斜となる後面90bを備えて形成されている(図6及び図9参照)。
【0058】
また、図4、6、及び図9に示すように、上面90cの車体左右方向での外側後方箇所90dに給油口91を装備させてあるが、この給油口91を設けた上面90cの外側後方箇所90dは、外側後方に至るほど低くなる外側後方下がりの傾斜面に形成してあり、給油口91がキャビン4の後端縁から離れた状態で車体外側から操作し易いように配設されている。
【0059】
燃料タンク9は、図6、及び図9、10に示されているように、メインフレーム21の右横側縁から外方側へ突出させて設けてあるタンク取付ステー92と、そのタンク取付ステー92に固定されたタンク取付台93と、そのタンク取付台93の前後両側で、左右方向での中間箇所を後部フレームユニット24の上部フレーム24Aに対して連結する吊りステー94とで構成された支持構造を備えている。
【0060】
そして、前記タンク取付台93は、燃料タンク9の底部付近の形状に合致するように前後両側及び車体外側に立ち上がり片部93aを備えて、燃料タンク9の前後左右の相対移動を規制するように構成してあるとともに、前記タンク取付台93に燃料タンク9を搭載した状態で、締め付けバンド95を備えており、この締め付けバンド95を介して燃料タンク9を締め付け固定することで、燃料タンク9を前記支持構造に固定支持させている。
【0061】
[その他]
走行機体Aの後端側に設けられたリヤフェンダ2Fは、図1、7、および図11に示すように、車体フレーム20の後部フレームユニット24に対して、後部フレームユニット24の上部フレーム24Aから横外側方へ延出したフェンダ支持ステー17を介して取り付けてある。そして、このリヤフェンダ2Fの後部には、後車輪2の周方向および左右幅方向に沿う方向で湾曲したリヤフェンダ2Fの上面の一部に、水平方向に沿う面と、後方に向く面とで構成された段部17aを設け、この段部17aの前記後方に向く面にブレーキランプ18を取り付けてある。
【0062】
また、ブレーキランプ18を取り付けた段部17aよりも前方側のリヤフェンダ2Fの上面には、前記段部17aの左右方向での中間部に相当する箇所で、段部17aを左右に二分するように前後方向に沿う凹溝部17bを形成してある。この凹溝部17bは、前記ブレーキランプ18に対するハーネス18aを嵌め込み可能に構成してあり、フェンダ支持ステー17側からブレーキランプ18に対するハーネス18aを凹溝部17bに沿わせて配設し得るように構成したものである。
【0063】
[別実施形態の1]
上述の実施形態では、エアクリーナ7は運転座席45を配設した側と同じ側に配設したものを示したが、これに限らず、例えば運転座席45が設けられた側とは反対側に設けてもよい。
また、運転座席45を車体左右方向での左側に配設したものにかぎらず、右側に配設してもよく、この場合、エアクリーナ7は左右方向で運転座席45が設けられた側と同じ右側、もしくは運転座席45とは反対側の左側に配設し、吸気部となる吸気ボックス70は、左右方向で運転座席45が設けられた側とは反対側の左側に寄せてボンネット5内に配設すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【0064】
[別実施形態の2]
前述した実施形態では、吸気ボックス70の下面70a及び横向き面70bのうちの斜め前方に向く面に吸気口76,77を形成したものであるが、これに限らず、例えば、吸気口76又は吸気口77を、吸気ボックス70の下面70a、又は横向き面70bのうちの何れか一方のみに形成したものであってもよい。
また、吸気ボックス70自体も、実施形態で示したような扁平箱状のものに形成したものに限らず、例えば、上下方向寸法が左右方向寸法よりも大きい縦長形状であったり、上下方向寸法が左右方向寸法と同一である形状であったり、断面が多角形状や円弧状であってもよい。この場合、吸気口76,77は、できるだけ上面側を避けて下面側もしくは横側面側に形成するのが好ましいが、必ずしも上面側に形成することを否定するものではない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【0065】
[別実施形態の3]
吸気ボックス70に形成される吸気口76,77は、多数の小孔75によって形成されているものであるが、この小孔75の個数、形状、及び大きさは、ボンネット5内に侵入する塵埃の大きさ等に応じて適宜に設定すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0066】
[別実施形態の4]
実施形態では、オイルクーラ8を、吸気面80が車体フレーム20の前後方向に沿う姿勢で、車体フレーム20よりも車体左右方向での内方側に配設した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、次のように構成してもよい。
すなわち、オイルクーラ8を、その全体が、もしくは吸気面80が車体フレーム20の外側に位置するように配設してもよい。ただし、吸気面80が車体フレーム20の横外側縁よりも車体左右方向での内方側に位置するように配設されるのが、吸気面80に対する他物の接触等を避ける上で望ましい。
また、オイルクーラ8の吸気面80は、車体フレーム20の前後方向に沿う姿勢である方が、オイルクーラ8の後方側からも吸気することが容易に成る点で有用なものであるが、吸気面80は、必ずしも車体フレーム20の側縁に平行な状態である必要はなく、多少、斜め前方、もしくは斜め後方向きに向けられた状態であってもよく、吸気面80が車体フレーム20の側縁にほぼ沿った状態であればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0067】
[別実施形態の5]
前述の実施形態では、オイルクーラ8の吸気面80の外側に燃料タンク9を配設したものを示したが、これに限らず、例えば燃料タンク9を配設せずに吸気面80の全体を車体外方側へ開放した状態で設けてもよい。
また、燃料タンク9ではなく、作動油タンク16、もしくは他の部材を吸気面80の外側に配設するようにしてもよい。この場合、吸気面80の外側に配設される部材が、吸気面80との間に、吸気面80側での吸気を妨げないように適度な間隙(例えば、車体フレーム20の横幅程度の間隙)を設けることが必要である。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0068】
[別実施形態の6]
実施形態では、オイルクーラ8を、エンジン10とミッションケース11との接合箇所に対向する位置に配設した構造を示したが、これに限らず、オイルクーラ8をエンジン10に対向する位置に配設する、あるいは、ミッションケース11に対向する位置に設けるなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0069】
[別実施形態の7]
実施形態では、オイルクーラ8を、車体左右方向でエンジン10の右側に配設した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、オイルクーラ8を、車体左右方向でエンジン10の左側に配設した構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の作業用車両としては、前述したダブルウィッシュボーン型に構成されるサスペンション構造を備えたものに限らず、このようなダブルウィッシュボーン型に構成されるサスペンション構造を備えていない運搬車や、トラクタ等の座席付き車両に利用することもできる。
【符号の説明】
【0071】
2 車体フレーム
5 ボンネット
7 エアクリーナ
9 燃料タンク
10 エンジン
11 ミッションケース
16 作動油タンク(オイルタンク)
45 運転座席
63 伝動軸(ドライブシャフト)
64 前輪デファレンシャル装置
70 吸気部(吸気ボックス)
71 吸気ダクト
74 レゾネータ
76,77 吸気口
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前後方向での後方側にエンジンを配設し、そのエンジンよりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席を配設してあるともに、運転座席よりも前方側にボンネットを備えている作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようにエンジン及び運転座席を配設してある作業用車両として、従来では下記[1]及び[2]に示す技術が知られている。
[1]エンジンよりも後方側にエアクリーナを配設し、そのエアクリーナから導出した吸気用配管を前方側へ延出して、エンジンよりも前方側に配設されている運転座席のシートの下面側に対向させて前記吸気用配管の開口端部を設け、運転座席のシートの下面付近から取り込んだ外気をエアクリーナに導くように構成したもの(例えば、特許文献1参照)。
[2]運転座席よりも後方側にエンジンを配設し、そのエンジンの横側部にエアクリーナの格納ボックスを配設し、エアクリーナへの外気の取り込みは、エアクリーナを配設した格納ボックスの内部に開口した吸気用配管の開口端部から行うように構成したもの(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4649358号(段落「0019」、図6、図7参照)
【特許文献2】特開2011−116318号(段落「0054」、「0061」、図11、図12参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来構造における作業用車両では、エアクリーナが、エンジンよりも後方側の荷台下側の空きスペースを利用して設けられている。このため、エンジンの後方側で対地的に低い箇所に位置するエアクリーナの周辺で外気を導入するように吸気口部分を設けると、その吸気口部分に、エンジンで暖められた熱気が吸引されたり、走行路面の土煙や塵埃、あるいは泥水などが浸入してくる虞があるため、前記吸気口部分をエンジンよりも前方側で、対地的に比較的高い位置にあり、かつ縦壁を備える運転座席のシート裏面側に設けている。
このように、運転座席のシート裏面を利用してエアクリーナの吸気口部分を設けた場合には、エンジンで暖められた熱気の導入や塵埃などを吸引する虞は回避し易いが、吸気口部分が運転座席に搭座する運転者の近くに存在することとなるため、吸気口部分での吸気音が騒音となり易くなる不具合がある。
【0005】
上記[2]に記載の従来構造における作業用車両では、エアクリーナが専用の格納ボックスに内装されているため、エンジンで暖められた熱気の導入や塵埃の吸引などを回避し易く、また、吸気音もある程度遮断されて騒音低減の効果もある。しかしながら、この構造のものでは、エアクリーナを格納するための格納ボックスを別途備え付ける必要があって部品点数の増加を招くとともに、格納ボックスの位置が運転座席の近くであるため、ある程度低減されるとは言え十分な騒音防止を行い難い点で改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、エアクリーナの吸気口に対する熱気や塵埃の導入を回避するとともに、吸気口で発生する騒音が運転座席に搭座する運転者に対する騒音とは成りにくいように吸気口の配設位置を工夫した作業用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業用車両の技術手段は、車体前後方向での後方側にエンジンを配設し、前記エンジンよりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席を配設してあるとともに、前記運転座席よりも前方側のボンネット内部で前記運転座席が配設された側とは反対側の他側方に、前記エンジンへの外気取り入れ用の吸気口を備えた吸気部を設けてあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の作業用車両では、運転座席に搭座する運転者に対して騒音源となる吸気部が、ボンネット内部に格納されていることと、運転座席からは遠い他側方に設けられていることとで騒音が低減される。
そして、吸気部の位置は、後方側のエンジンからも遠い前方側のボンネット内に収められているので、専用の格納ボックスを要さずボンネットを利用して格納することができるとともに、その吸気部でエンジンの排熱によって暖められた外気や、ボンネット外部の塵埃を吸い込む可能性を低減できる利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
本発明の作業用車両における第2の解決手段は、車体左右方向で前記運転座席が配設された側と同じ前記一側方にエアクリーナを設け、そのエアクリーナが設けられた側とは反対側の前記他側方に作動油タンク又は燃料タンクを配設してある点に特徴がある。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の作業用車両では、運転座席が配設された側と同じ一側方にエアクリーナを設けることにより、吸気口からエアクリーナに至るまでの距離を比較的長く形成して、吸気口からエアクリーナに至る吸気経路での脈動が発生した場合に、これを軽減しやすく構成してある。
また、運転座席やエアクリーナが設けられた側とは反対側の他側方に作動油タンク又は燃料タンクを配設することによって、左右バランスを良好に保ち易い点でも有利である。
【0011】
〔解決手段3〕
本発明の作業用車両における第3の解決手段は、前記吸気部は、上面側が無孔で下面側に吸気口が形成されたものである点に特徴がある。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の作業用車両では、吸気部を構成するにあたって、塵埃の堆積しない下面側に吸気口が形成してあり、上面側は無孔に形成されているので、吸気口からの吸気に塵埃が混入する度合いを軽減できる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
本発明の作業用車両における第4の解決手段は、前記吸気部は、上面側が無孔で水平方向に開口する吸気口が形成されたものである点に特徴がある。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明の作業用車両では、吸気部を構成するにあたって、塵埃の堆積し難い水平方向に開口する吸気口が形成してあり、上面側は無孔に形成されているので、吸気口からの吸気に塵埃が混入する度合いを軽減できる利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
本発明の作業用車両における第5の解決手段は、前記吸気部に接続された吸気ダクトの中途部に、上下方向での厚みの薄いレゾネータを介装させてあり、このレゾネータを、前記エンジンからの動力が伝達されるミッションケースから前輪デファレンシャル装置への伝動軸の下側に配設してある点に特徴がある。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、解決手段5にかかる本発明の作業用車両では、吸気部に接続された吸気ダクトが、吸気口からエアクリーナに至るまでの比較的長い距離を有し、その吸気ダクトの中途部にレゾネータを介装させてあるので、吸気ダクトが長いことによる脈動吸収機能とレゾネータ自体の脈動吸収機能との相乗により、吸気の脈動を軽減することができ、レゾネータの小型化を図る上で有効である。
そして、レゾネータを上下に薄い形状とすることにより、伝動軸の下側への配設も可能になり、このレゾネータによって伝動軸カバーの一部を兼ねることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】作業用車両の左側面図である。
【図2】作業用車両の右側面図である。
【図3】作業用車両の平面図である。
【図4】車体フレームと各種取付装置との配置関係を示す平面図である。
【図5】車体フレームとサスペンションユニットとの関連構造を示す斜視図である。
【図6】車体フレームとエアクリーナやオイルクーラ等との配置関連構造を示す斜視図である。
【図7】車体フレームとサスペンションユニット等との関連構造を示す背面図である。
【図8】吸気部の構造を示す分解斜視図である。
【図9】燃料タンクの取付構造を示す背面図である。
【図10】燃料タンクの取付構造を示す斜視図である。
【図11】リヤフェンダの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[作業用車両の全体構成]
本発明にかかる作業用車両の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、操向操作自在な左右一対の前車輪1と、操向不能な左右一対の後車輪2とを走行機体Aに備え、この走行機体Aの前部位置に運転部を構成するキャビン4を備え、走行機体Aの後部に荷台3を備え、この荷台3の下方位置に駆動部Bを備えて作業用車両が構成されている。
【0019】
この作業用車両は、駆動部Bからの駆動力を前車輪1と後車輪2とに伝える走行駆動系の動力伝達構造を備えた4輪駆動型の車両であり、農作業や運搬作業等の多目的の作業に使用されるユーティリティビークルとして構成されている。
荷台3は、後端側が車体フレームFの後端位置に対して横向き姿勢の軸芯p1を中心にして揺動自在に支持され、ダンプシリンダ3aの伸縮作動により前端側を昇降作動させて積載物をダンプ式に排出できるように構成されている。
【0020】
走行機体Aの前部には、前記キャビン4よりも前方側に位置させてボンネット5を設けてある。このボンネット5は、車体フレームFに固定された固定側ボンネット5Aと、その固定側ボンネット5Aに対して、後端側を揺動支点にして前端側を上下揺動させることにより開閉操作自在な可動側ボンネット5Bとを備えて構成されている。前記固定側ボンネット5Aの左右両側の下部には、前車輪1の上部を覆うフロントフェンダ1Fが配置されている。
【0021】
前記ボンネット5内には、前端側で左右方向のほぼ中央に位置させて、前記キャビン4内の空調用に設置されたコンデンサ51(図示しないエバポレータとともに空調を行う空調ユニットに相当する)を内装する収容枠50が設けられている。
この収容枠50の背後には、エンジン冷却用のラジエータ53を通風可能であるように配備させてあるとともに、ラジエータ53の背後に、冷却用ファン52を配設して、ボンネット5の外部前方側から外気を吸引導入するように構成してある。
つまり、エンジン冷却用のラジエータ53を、車体の前部位置であるボンネット5の内部に設けて、かつ、ボンネット5に内装されているコンデンサ51の冷却用ファン52の風路に位置させる。これによって、外気がコンデンサ51の冷却用ファン52の吸引作用によってボンネット5内に取り込まれることになるが、その取り込まれた外気でコンデンサ51が冷却され、その冷却風が後方側のラジエータ53にも供給されることによって、ラジエータ53の冷却も併行して行われるように構成されている。
また、ボンネット5内には、前記収容枠50の右側の後部で、収容枠50の上端部と同等、もしくはそれよりも高い位置に、後述するエアクリーナ7の吸気ボックス70(吸気部に相当する)が設けられている。
【0022】
前記キャビン4は、前部にフロントガラス42を備え、後部にリヤガラス43を備えたキャビン本体40と、このキャビン本体40の左右両側部に形成されている乗降用開口に対して、夫々開閉自在に装備されたドア41とを備えている。
キャビン4内には、前車輪1を操向制御するステアリングホイール44が配設された車体左右方向での左方側寄り箇所で、前記ステアリングホイール44の後方側に、運転者が着座するための運転座席45を設けてあり、この運転座席45に隣接する右方側寄り位置に、横長となる2人掛用の助手座席46が備えられている。
【0023】
前記運転座席45及び助手座席46は、キャビン4内に備えた座席支持台47に支持されており、その座席支持台47の裏面側には、近接配置されるエンジン10の発熱に対する耐性を有した耐熱性材料からなり、かつ、断熱性、及び吸音性を備えた素材からなる裏当て材が装備されている。
【0024】
走行機体Aの後端側には、キャビン4よりも後方側で前記荷台3の下方側に、左右の後車輪2の上方を覆う合成樹脂製のリヤフェンダ2Fが備えられている。
【0025】
〔車体フレーム〕
走行機体Aの強度メンバーとしての車体フレーム20を備えている。
この車体フレーム20は、図4〜図6に示すように、前後方向に直線状に伸びる左右一対のメインフレーム21と、このメインフレーム21の前部位置においてキャビン4を支持するキャビンフレームユニット22と、メインフレーム21の前端に連結する前部フレームユニット23と、メインフレーム21の後部でメインフレーム21の上部に重なり、上縁がメインフレーム21と平行姿勢となるように走行機体Aの後方側に延出された後部フレームユニット24とを備え、さらに、後部フレームユニット24に対して、エンジン10およびミッションケース11などを備える駆動部Bを支持するための駆動部支持フレームユニット30を連結して構成されている。
【0026】
メインフレーム21と後部フレームユニット24とは角パイプ状の鋼材が用いられ、キャビンフレームユニット22と前部フレームユニット23とは、角パイプ材やチャンネル材等の鋼材が用いられている。
【0027】
キャビンフレームユニット22は、キャビン4の前部に配置される横向き姿勢のフレーム体22aと、運転座席45の下側に配置される横向き姿勢のフレーム体22bとを含む構造物として構成されている。
前部フレームユニット23は、ボンネット5の下側に配置される構造物であり、この前部フレームユニット23の左右位置には、ダブルウイッシュボーン型に構成される上下一対の前部サスペンションアーム25Fの基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。
そして、前部サスペンションアーム25Fの上方への揺動時に圧縮される前部サスペンションスプリング26Fを有する前部サスペンションユニット27Fの下端が、前部サスペンションアーム25Fに支持され、この前部サスペンションユニット27Fの上端を前部フレームユニット23が支持している。
【0028】
左右のメインフレーム21の後部に接続される後部フレームユニット24は、左右のメインフレーム21よりも高い位置で、上縁が左右のメインフレーム21の上縁と平行な水平方向姿勢で後方側へ延出された上部フレーム24Aと、この上部フレーム24Aとメインフレーム21とを連結する縦向き姿勢で角パイプ状の鋼材からなる前後一対の連結縦フレーム24Bとで構成されている。
前記後部フレームユニット24は、図5及び図6に示すように左右で上部フレーム24Aの長さが異なり、右側の上部フレーム24Aが左側の上部フレーム24Aよりも長く形成されている。つまり、左右の上部フレーム24A,24Aは、後端側の前後方向位置は左右同位置であるが、前端側は、左側の上部フレーム24Aよりも右側の上部フレーム24Aが前方側に位置している。
このため、前記連結縦フレーム24Bのうち、前後方向で後方側の連結縦フレーム24Bはメインフレーム21の後端位置にあって左右同じ前後方向位置に存在しているが、前方側の連結縦フレーム24Bは、左側の連結縦フレーム24Bよりも右側の連結縦フレーム24Bが前方側に位置して、メインフレーム21と、左右の上部フレーム24A,24Aの各前端部とを連結している。これによって左側の前後一対の連結縦フレーム24B同士の前後方向間隔よりも右側の前後一対の連結縦フレーム24B同士の前後方向間隔が大きく形成されている。
【0029】
メインフレーム21の後端側に隣接する位置で、後部フレームユニット24における上部フレーム24Aの下側に、メインフレーム21と後部フレームユニット24とに対して駆動部Bを支持するための駆動部フレームユニット30が配置されている。
前記駆動部Bは、エンジン10とミッションケース11と静油圧式無段変速装置12とを、前方側からこの順序で連結することでエンジン10とミッションケース11と静油圧式無段変速装置12とが一体化された構造に構成されている。
駆動部フレームユニット30は、図5〜7に示すように、駆動部Bの下側(後部フレームユニット24の上部フレーム24Aより下側)に配置されるマウントフレーム31と、このマウントフレーム31を左右の上部フレーム24Aに連結するように左右に2つずつ配置される断面形状コ字状の縦フレーム32と、マウントフレーム31の前端側に形成される横向き姿勢の前部フレーム33とを備えて構成されている。
【0030】
駆動部フレームユニット30は、後車輪2を支持する機能も有する。
つまり、左右の上部フレーム24Aの後端近くに架け渡される形態で、左右の上部フレーム24Aに両端部が連結する横向き姿勢で鋼材で成る横フレーム37が備えられ、この横フレーム37の中間位置にミッションケース11を吊り下げる形態で支持するための上部マウント支持体38が備えられ、この横フレーム37の両端部にはサスペンション支持部37Aが形成されている。
【0031】
前述した左右の縦フレーム32の下部部材32Bに対して、ダブルウィッシュボーン型に構成される上下一対の後部サスペンションアーム25Rの基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。また、後部サスペンションアーム25Rの上方への揺動時に圧縮される後部サスペンションスプリング26Rを有する後部サスペンションユニット27Rの下端が後部サスペンションアーム25Rに支持され、この後部サスペンションユニット27Rの上端を横フレーム37のサスペンション支持部37Aが支持している。
【0032】
マウントフレーム31は、鋼板をプレス加工する等の加工によりリブ状部分を形成して強度を高めており、横幅が左右の後部フレームユニット24の左右間隔より短い寸法に設定されている。マウントフレーム31には、ミッションケース11を支持するように左右一対の後部マウント支持体34を備えている。また、マウントフレーム31の両端部と、後部フレームユニット24とを縦フレーム32で直線的に連結するため、左右の縦フレーム32は、上端側ほど機体外方に変位する傾斜姿勢で備えられている。
【0033】
つまり、図4乃至図7に示す如く、前後方向視において、上部に左右一対の後部フレームユニット24を備え、下部にマウントフレーム31を備え、両側部に上側ほど外側に変位する傾斜姿勢の縦フレーム32を備えることにより、左右の縦フレーム32の上端同士を結ぶ仮想ラインを上底とし、左右の縦フレーム32の下端同士を結ぶ仮想ラインを下底とした場合に、上底の長さが下底の長さより長い逆台形となるように夫々の位置関係が設定されている。
【0034】
縦フレーム32は、チャンネル状の鋼材が用いられ、後部フレームユニット24に上端が連結する上部部材32Aと、下端がマウントフレーム31に連結する下部部材32Bとを分離自在に連結した構造を有しており、上部部材32Aの一部と下部部材32Bの一部とを重ね合わせ、この重ね合わせ部分に挿通する連結ボルト32Sにより夫々が分離自在に連結されている。また、前部フレーム33の両端部にブラケット33Aを備え、このブラケット33Aに挿通する挿通ボルト33Sによりメインフレーム21の後端に対して分離自在に連結されている。
【0035】
左右のメインフレーム21の後部近くに横向き姿勢で角パイプ状の鋼材で成る支持フレーム35が配置され、この支持フレーム35の左右端部のフランジ部35Aがメインフレーム21に対してフランジボルト35Sにより分離自在に連結している。また、支持フレーム35にはエンジン10を支持するように左右一対の前部マウント支持体36が形成されている。
【0036】
〔駆動系統〕
図3、および図4に示すように、駆動部Bでは、エンジン10とミッションケース11と静油圧式無段変速装置12とを、前方側からこの順序で連結してある。
ミッションケース11の内部構造は図面に示していないが、このミッションケース11は、静油圧式無段変速装置12で変速された駆動力を複数段に変速すると共に、前後進の切換を行うギヤ式の変速装置と、デファレンシャルギヤ(図示せず)とを内蔵している。
【0037】
ミッションケース11の上方位置の左側にはエンジン10の排気音を低減するように、上面に防熱用のカバー13aを有したマフラー13を備えている。
【0038】
静油圧式無段変速装置12は、エンジン10からの駆動力により作動するアキシャルプランジャ型の可変容量型の油圧ポンプ(図示せず)と、この油圧ポンプから供給される作動油により回転するアキシャルプランジャ型の油圧モータ(図示せず)とを備えて構成されている。
【0039】
この駆動部Bでは、エンジン10が、その出力軸(クランク軸、図示せず)の軸芯を前後向き方向に設定した姿勢で備えられ、この出力軸に連結する伝動軸(図示せず)をミッションケース11に前後方向に貫通させることで、エンジン10の駆動力を静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプに伝え、この静油圧式無段変速装置12の油圧モータからの駆動力をミッションケース11に伝える伝動系が構成されている。
また、ミッションケース11では駆動力を変速装置で変速し、デファレンシャルギヤから左右の後部出力軸61に伝え、この後部出力軸61から後輪駆動軸62を介して左右の後車輪2に伝えると共に、図4に示すように、ミッションケース11の前面側に形成した下部出力軸(図示せず)からドライブシャフト63を介して前輪デファレンシャル装置64に前輪駆動用の動力を伝え、更に、前輪駆動軸65から左右の前車輪1に伝えるように伝動系が構成されている。
【0040】
図7、図9、図10に示すように、エンジン10は、上面の右側にエアークリーナ7から空気が供給されるインテークマニホールド67を備え、右側にエグゾーストマニホールド68を備えており、このエグゾーストマニホールド68とマフラー13との間に排気管69が配置されている。また、前記マフラー13は、平面視で横フレーム37の下側に重なり、かつ後輪駆動軸62の上側に重なり合う位置に配置されている。
【0041】
マフラー13は、円筒状に成形され、後端には排気ガスを左側の下方に送り出すように屈曲した筒状の排気部14を備えている。このマフラー13の前端部は図示しない前ブラケットによりミッションケース11の上面に支持され、後端部は後ブラケット15により静油圧式無段変速装置12の上面に支持されている。防熱用のカバー13aは前端部がビス等によりミッションケース11の上面に支持され、後端部がビス等により静油圧式無段変速装置12の上面に支持されている。
【0042】
図2に示すように、前記エンジン10とミッションケース11との夫々の上端縁10a,11aの高さは、エンジン10の上端縁10aよりもミッションケース11の上端縁11aの高さが低くなるように形成されていて、荷台3の底面の下側と前記ミッションケース11の上端縁11aとの間に、荷台3の底面の下側と前記エンジン10の上端縁10aとの間に形成される間隙s1よりも大きい間隙s2が形成されるように構成してある。
【0043】
また、静油圧式無段変速装置12は、図7に示す如く、油圧ポンプを下側に配置し油圧モータを上側に配置する構成から、この静油圧式無段変速装置12の上端レベルがミッションケース11の上面より上方に高い位置に設定され、静油圧式無段変速装置12の上端がミッションケース11の上面より上方に突出している。この静油圧式無段変速装置12の上方への突出量を抑制すると共に、静油圧式無段変速装置12の上部の左側部にマフラー13の配置空間を拡大するために、静油圧式無段変速装置12を、前後方向視において上端側を右側(外側)に変位させるように、この静油圧式無段変速装置12を傾斜姿勢に設定している。
【0044】
〔吸気系〕
図1、3、および図4に示すように、前記エンジン10のインテークマニホールド67に対して燃焼用空気を供給するためのエアクリーナ7は、メインフレーム21の上側でキャビン4内に配備された運転座席45の前縁よりも後方側で座席シート45aの下側に配設してある。
つまり、運転座席45は平面視でエンジン10よりも前方側に配設してあり、車体左右方向での左側に配設されたステアリングホイール44の後方側で車体左側方寄り箇所に配設してあり、エアクリーナ7も車体左側方寄り箇所で運転座席45の座席シート45aの下側箇所に位置し、エアクリーナ7の筒状本体7Aの筒軸芯p2が左右方向に向く状態で座席支持台47の下側空間に配設されている。
【0045】
前記エアクリーナ7は、車体左右方向での外側に位置する左側端部に開閉蓋7Bを備えていて、この開閉蓋7Bを開放することによってフィルターエレメント(図示せず)の交換作業を行えるように構成してある。
運転座席45を支持する座席支持台47の下側空間のうち、エアクリーナ7が配設されている車体左右方向での左側の端部は横外側に開放されていて、図1に示すように、その座席支持台47の下側空間の横外側が左側のドア41によって閉塞されている。そのため、ドア41を開放すれば、前記エアクリーナ7の存在する運転座席45の下側空間の左側端部が開放された状態となる。したがって、運転座席45の下側空間の左側端部を閉塞するための開閉可能な蓋部材(図示せず)が不要となるばかりでなく、ドア41を開放した状態でエアクリーナ7のフィルター交換作業等を行う際の運転座席45の下側空間の開閉作業が不要となるので、メンテナンス作業を簡略化し易くなる。
【0046】
エアクリーナ7に外気を導入するための吸気ダクト71の先端側に設けた箱状の吸気ボックス70は、図1〜4に示すように、前記運転座席45が設けられた空間とは隔壁を介して区画された別の空間であるところのボンネット5の内部に配設され、図6および図8に示すように、前部フレームユニット23に対して連結用ブラケット72および取付ボルト73を介して着脱可能に固定してある。
ボンネット5内に位置する吸気ボックス70は、平面視では、前記運転座席45やエアクリーナ7が配設された車体左右方向での左側箇所とは反対側の右側寄りの箇所で、キャビン4内の空調用に設置されたコンデンサ51の収容枠50よりも右側後方寄りの箇所に位置し、側面視では、収容枠50の上端部と同等、もしくはそれよりも高い位置で、前部フレームユニット23に固定されている。
【0047】
前記吸気ボックス70とエアクリーナ7とは、吸気ダクト71を介して通気可能に接続されているが、吸気ダクト71の中途部には、前記吸気ボックス70から吸い込まれた空気の吸気音を減衰させるためのレゾネータ74が介装されている。
このレゾネータ74は、水平方向での前後左右の幅に比べて上下方向での厚みが薄い箱状に形成されていて、ミッションケース11から前輪デファレンシャル装置64へ駆動力を伝えるドライブシャフト63(伝動軸に相当する)の下側に配設されている。
つまり、吸気ダクト71のうち、吸気ボックス70とレゾネータ74の入口との間を繋ぐ前部ダクト71aは、図1および図4に示すように、吸気ボックス70に繋がる前端部分がボンネット5内の上部に位置し、その前端部分に引き続く中間部分が下方後方側に向けて延設され、レゾネータ74に近い側の後端部分がボンネット5の後部隔壁に形成した透孔(図示せず)を介してボンネット5の外部へ導出され、扁平箱状のレゾネータ74の下面がメインフレーム21の下縁と同等、もしくはこれよりも上方側でキャビン4の床面40aの下側に位置するように配設されている。
前輪デファレンシャル装置64へ駆動力を伝えるドライブシャフト63は、このレゾネータ74の上面とキャビン4の床面40aとの間を通って前輪デファレンシャル装置64へ動力を伝えるように延設されている。
【0048】
吸気ダクト71のうち後部ダクト71bは、レゾネータ74の出口側とエアクリーナ7との間を接続し、キャビン4の床面40aの下側を迂回して運転座席45の下側の空間に導かれ、運転座席45の下側空間に設けられたエアクリーナ7の下部側に接続されている。
吸気ダクト71のうち、エアクリーナ7とエンジン10との間に設けられる供給ダクト71cは、エアクリーナ7の左右方向での車体内方側に近い側の端部から、運転座席45の下側空間を右側方側へ延出されたのち、エンジン10の右側に回り込んでインテークマニホールド67に接続されている。
【0049】
吸気ボックス70には、図8に示すように、その下面70aと、水平方向で斜め右前方に向かう横向き面70bとに吸気用の多数の小孔75を形成することによって、下向きの吸気口76と水平方向に開口する吸気口77とが設けられている。
吸気ボックス70の上面70c側には吸気口となる小孔75は設けられていず、無孔に形成されている。また斜め右前方以外の横向き面70bにも吸気口となる小孔75は設けられていない。
【0050】
この吸気ボックス70は、合成樹脂成型品で一体形成されたものであり、吸気ボックス70の横向き面70bのうちの右横側方に相当する箇所の一部に設けた接続部78のみを残して、残りの三方向の横向き面70bが上下二分割された構造に形成してある。
つまり、無孔の上面70cと一体に形成されている上部箱部分と、吸気口76が形成された下面70aと一体の下部箱部分とが接続部78で接続された一体成型品で構成されたものであり、接続部78とは反対側の横向き面70b部分に形成されたフランジ部79同士を重ね合わせることによって箱状に形成し、そのフランジ部79に形成した連結孔79aに取付用ボルト73を螺合して、吸気ボックス70を箱状にした状態で連結用ブラケット72に連結し、前部フレームユニット23に固定してある。
〔オイルクーラ〕
【0051】
図4及び図6に示すように、ミッションケース11の後方側に設けてある静油圧式無段変速装置12から吐出された作動油や、パワーステアリング装置(図外)、あるいはダンプシリンダ3aからの戻り油などを冷却するためのオイルクーラ8が、前記エアクリーナ7が設けられた側とは車体左右方向での反対側で、運転座席45の前縁よりも後方側に設けた作動油タンク16に通油自在に接続されている。
このオイルクーラ8は、前後方向では前車輪1と後車輪2との前後方向間隔内に位置し、左右方向では前記エアクリーナ7が設けられた側とは反対側で、エンジン10よりも車体外方側箇所で、かつ吸気面80が車体フレーム20の前後方向に沿って、車体フレーム20の車体内外方向での内側の側縁に沿う状態で配設されている。
【0052】
オイルクーラ8の吸気面80の反対側には、電動モータ(図示せず)で駆動される冷却用ファン81が設けてあり、吸気面80から吸い込んだ外気が、オイルクーラ8を通過した後に、車体内方側のエンジン10やミッションケース11に向けて排出されるように構成してある。
つまり、オイルクーラ8は、図4に示すように、前後方向では、エンジン10とミッションケース11との接続箇所付近に対向する位置にあり、冷却用ファン81の排風方向がそのエンジン10とミッションケース11との接続箇所付近に向けられるように配設してある。
【0053】
オイルクーラ8の吸気面80の上下方向幅は、メインフレーム21の上面と後部フレームユニット24の上部フレーム24Aの下面との間に相当する上下幅を有しており、吸気面80の前後方向幅は、上下方向幅とほぼ同程度の前後方向幅を有してほぼ正方形に形成されている。
そして、前述したようにエンジン10とミッションケース11との夫々の上端縁の高さは、エンジン10よりもミッションケース11の上端縁の高さが低くなるように形成されていて、荷台3の底面の下側と前記ミッションケース11の上端縁11aとの間に、荷台3の底面の下側と前記エンジン10の上端縁10aとの間に形成される間隙s1よりも大きい間隙s2が形成されるように構成してある、
これによって、前記オイルクーラ8の冷却用ファン81からの送風が、エンジン10とミッションケース11との接続箇所付近に向けられたとき、エンジン10とミッションケース11との双方に接触した冷却風が、エンジン10と荷台3の下面との間、およびエンジン10の後方側で荷台3の底面の下側と前記ミッションケース11の上端縁11aとの間の比較的大きい間隙s2を通過してエンジン10やミッションケース11の他方側へ吹き抜けるので、エンジン10周りに熱気が停滞せず、オイルクーラ8のみならず、エンジン10周りの良好な冷却を行える。
【0054】
図1、4、および図7に示すように、前記ミッションケース11の前記オイルクーラ8が存在する側とは反対側の後部には、長手方向を前後方向に沿わせたマフラー13を設けてあり、このマフラー13は、図7に示すように、ミッションケース11の上端縁11aよりも少し上方側へ上縁が露出するように配設してある。
そして、前記冷却用ファン81による送風は、ある程度の広がりをもって送風されるので、エンジン10、ミッションケース11、及びエンジン10から導出された排気管69やマフラー13に対しても接触しながら流動するように構成してある。
【0055】
図示はしないが、運転座席45の座席シート45aの裏面側には、近接配置されるエンジン10の発熱に対する耐性を有した耐熱性材料からなり、かつ、断熱性、及び吸音性を備えた素材からなる裏当て材が装備されている。
【0056】
〔燃料タンク〕
前記オイルクーラ8の吸気面80の前面側(車体左右方向での外方側)には、その吸気面80との間に車体フレーム20の左右方向幅と同程度の間隔を隔てて、車体フレーム20の横外側に燃料タンク9が配設されている。
この燃料タンク9は、タンク本体90の前端側は作動油タンク15の後端面に近接して配設されているが、後端側は、オイルクーラ8の吸気面80の後端縁80aよりも少し前方側に寄った位置に配設されている。
【0057】
そして、図2及び図10に示されるように、前端側がキャビン4の後方下部における前下がり傾斜の後端縁に沿って、タンク本体90の前面90aが前下がり傾斜面に形成してあり、後端側がリヤフェンダ2Fの前端縁に沿うように、前記キャビン4の前下がり傾斜よりも急傾斜の前下がり傾斜となる後面90bを備えて形成されている(図6及び図9参照)。
【0058】
また、図4、6、及び図9に示すように、上面90cの車体左右方向での外側後方箇所90dに給油口91を装備させてあるが、この給油口91を設けた上面90cの外側後方箇所90dは、外側後方に至るほど低くなる外側後方下がりの傾斜面に形成してあり、給油口91がキャビン4の後端縁から離れた状態で車体外側から操作し易いように配設されている。
【0059】
燃料タンク9は、図6、及び図9、10に示されているように、メインフレーム21の右横側縁から外方側へ突出させて設けてあるタンク取付ステー92と、そのタンク取付ステー92に固定されたタンク取付台93と、そのタンク取付台93の前後両側で、左右方向での中間箇所を後部フレームユニット24の上部フレーム24Aに対して連結する吊りステー94とで構成された支持構造を備えている。
【0060】
そして、前記タンク取付台93は、燃料タンク9の底部付近の形状に合致するように前後両側及び車体外側に立ち上がり片部93aを備えて、燃料タンク9の前後左右の相対移動を規制するように構成してあるとともに、前記タンク取付台93に燃料タンク9を搭載した状態で、締め付けバンド95を備えており、この締め付けバンド95を介して燃料タンク9を締め付け固定することで、燃料タンク9を前記支持構造に固定支持させている。
【0061】
[その他]
走行機体Aの後端側に設けられたリヤフェンダ2Fは、図1、7、および図11に示すように、車体フレーム20の後部フレームユニット24に対して、後部フレームユニット24の上部フレーム24Aから横外側方へ延出したフェンダ支持ステー17を介して取り付けてある。そして、このリヤフェンダ2Fの後部には、後車輪2の周方向および左右幅方向に沿う方向で湾曲したリヤフェンダ2Fの上面の一部に、水平方向に沿う面と、後方に向く面とで構成された段部17aを設け、この段部17aの前記後方に向く面にブレーキランプ18を取り付けてある。
【0062】
また、ブレーキランプ18を取り付けた段部17aよりも前方側のリヤフェンダ2Fの上面には、前記段部17aの左右方向での中間部に相当する箇所で、段部17aを左右に二分するように前後方向に沿う凹溝部17bを形成してある。この凹溝部17bは、前記ブレーキランプ18に対するハーネス18aを嵌め込み可能に構成してあり、フェンダ支持ステー17側からブレーキランプ18に対するハーネス18aを凹溝部17bに沿わせて配設し得るように構成したものである。
【0063】
[別実施形態の1]
上述の実施形態では、エアクリーナ7は運転座席45を配設した側と同じ側に配設したものを示したが、これに限らず、例えば運転座席45が設けられた側とは反対側に設けてもよい。
また、運転座席45を車体左右方向での左側に配設したものにかぎらず、右側に配設してもよく、この場合、エアクリーナ7は左右方向で運転座席45が設けられた側と同じ右側、もしくは運転座席45とは反対側の左側に配設し、吸気部となる吸気ボックス70は、左右方向で運転座席45が設けられた側とは反対側の左側に寄せてボンネット5内に配設すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【0064】
[別実施形態の2]
前述した実施形態では、吸気ボックス70の下面70a及び横向き面70bのうちの斜め前方に向く面に吸気口76,77を形成したものであるが、これに限らず、例えば、吸気口76又は吸気口77を、吸気ボックス70の下面70a、又は横向き面70bのうちの何れか一方のみに形成したものであってもよい。
また、吸気ボックス70自体も、実施形態で示したような扁平箱状のものに形成したものに限らず、例えば、上下方向寸法が左右方向寸法よりも大きい縦長形状であったり、上下方向寸法が左右方向寸法と同一である形状であったり、断面が多角形状や円弧状であってもよい。この場合、吸気口76,77は、できるだけ上面側を避けて下面側もしくは横側面側に形成するのが好ましいが、必ずしも上面側に形成することを否定するものではない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【0065】
[別実施形態の3]
吸気ボックス70に形成される吸気口76,77は、多数の小孔75によって形成されているものであるが、この小孔75の個数、形状、及び大きさは、ボンネット5内に侵入する塵埃の大きさ等に応じて適宜に設定すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0066】
[別実施形態の4]
実施形態では、オイルクーラ8を、吸気面80が車体フレーム20の前後方向に沿う姿勢で、車体フレーム20よりも車体左右方向での内方側に配設した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、次のように構成してもよい。
すなわち、オイルクーラ8を、その全体が、もしくは吸気面80が車体フレーム20の外側に位置するように配設してもよい。ただし、吸気面80が車体フレーム20の横外側縁よりも車体左右方向での内方側に位置するように配設されるのが、吸気面80に対する他物の接触等を避ける上で望ましい。
また、オイルクーラ8の吸気面80は、車体フレーム20の前後方向に沿う姿勢である方が、オイルクーラ8の後方側からも吸気することが容易に成る点で有用なものであるが、吸気面80は、必ずしも車体フレーム20の側縁に平行な状態である必要はなく、多少、斜め前方、もしくは斜め後方向きに向けられた状態であってもよく、吸気面80が車体フレーム20の側縁にほぼ沿った状態であればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0067】
[別実施形態の5]
前述の実施形態では、オイルクーラ8の吸気面80の外側に燃料タンク9を配設したものを示したが、これに限らず、例えば燃料タンク9を配設せずに吸気面80の全体を車体外方側へ開放した状態で設けてもよい。
また、燃料タンク9ではなく、作動油タンク16、もしくは他の部材を吸気面80の外側に配設するようにしてもよい。この場合、吸気面80の外側に配設される部材が、吸気面80との間に、吸気面80側での吸気を妨げないように適度な間隙(例えば、車体フレーム20の横幅程度の間隙)を設けることが必要である。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0068】
[別実施形態の6]
実施形態では、オイルクーラ8を、エンジン10とミッションケース11との接合箇所に対向する位置に配設した構造を示したが、これに限らず、オイルクーラ8をエンジン10に対向する位置に配設する、あるいは、ミッションケース11に対向する位置に設けるなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成されている。
【0069】
[別実施形態の7]
実施形態では、オイルクーラ8を、車体左右方向でエンジン10の右側に配設した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、オイルクーラ8を、車体左右方向でエンジン10の左側に配設した構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様に構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の作業用車両としては、前述したダブルウィッシュボーン型に構成されるサスペンション構造を備えたものに限らず、このようなダブルウィッシュボーン型に構成されるサスペンション構造を備えていない運搬車や、トラクタ等の座席付き車両に利用することもできる。
【符号の説明】
【0071】
2 車体フレーム
5 ボンネット
7 エアクリーナ
9 燃料タンク
10 エンジン
11 ミッションケース
16 作動油タンク(オイルタンク)
45 運転座席
63 伝動軸(ドライブシャフト)
64 前輪デファレンシャル装置
70 吸気部(吸気ボックス)
71 吸気ダクト
74 レゾネータ
76,77 吸気口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向での後方側にエンジンを配設し、前記エンジンよりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席を配設してあるとともに、前記運転座席よりも前方側のボンネット内部で前記運転座席が配設された側とは反対側の他側方に、前記エンジンへの外気取り入れ用の吸気口を備えた吸気部を設けてある作業用車両。
【請求項2】
車体左右方向で前記運転座席が配設された側と同じ前記一側方で前記運転座席の前縁よりも後方側にエアクリーナを設け、そのエアクリーナが設けられた側とは反対側の前記他側方で前記運転座席の前縁よりも後方側に作動油タンク又は燃料タンクを配設してある請求項1記載の作業用車両。
【請求項3】
前記吸気部は、上面側が無孔で下面側に吸気口が形成されたものである請求項1又は2記載の作業用車両。
【請求項4】
前記吸気部は、上面側が無孔で水平方向に開口する吸気口が形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項記載の作業用車両。
【請求項5】
前記吸気部に接続された吸気ダクトの中途部に、上下方向での厚みの薄いレゾネータを介装させてあり、このレゾネータを、前記エンジンからの動力が伝達されるミッションケースから前輪デファレンシャル装置への伝動軸の下側に配設してある請求項1〜4のいずれか一項記載の作業用車両。
【請求項1】
車体前後方向での後方側にエンジンを配設し、前記エンジンよりも前方側で、かつ車体左右方向での一側方に運転座席を配設してあるとともに、前記運転座席よりも前方側のボンネット内部で前記運転座席が配設された側とは反対側の他側方に、前記エンジンへの外気取り入れ用の吸気口を備えた吸気部を設けてある作業用車両。
【請求項2】
車体左右方向で前記運転座席が配設された側と同じ前記一側方で前記運転座席の前縁よりも後方側にエアクリーナを設け、そのエアクリーナが設けられた側とは反対側の前記他側方で前記運転座席の前縁よりも後方側に作動油タンク又は燃料タンクを配設してある請求項1記載の作業用車両。
【請求項3】
前記吸気部は、上面側が無孔で下面側に吸気口が形成されたものである請求項1又は2記載の作業用車両。
【請求項4】
前記吸気部は、上面側が無孔で水平方向に開口する吸気口が形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項記載の作業用車両。
【請求項5】
前記吸気部に接続された吸気ダクトの中途部に、上下方向での厚みの薄いレゾネータを介装させてあり、このレゾネータを、前記エンジンからの動力が伝達されるミッションケースから前輪デファレンシャル装置への伝動軸の下側に配設してある請求項1〜4のいずれか一項記載の作業用車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−52721(P2013−52721A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190987(P2011−190987)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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