説明

作業装置

【課題】1の機械で複数の作業を行うラインの効率を高める。
【解決手段】組立装置1では、ベルト11〜17が環状の循環型コンベヤを形成しており、ワークは、パレット71の上に置かれてベルト11〜17を反時計方向に周回する。パレット71は、最初はベルト12に置かれ、ベルト11〜17を2周した後、これらベルトのループから排出されてベルト18に蓄積される。チャック部23は、横方向に移動し、機械作業エリア61、62で、部品の取り付けなどの機械作業を行うことができる。組立装置1は、機械作業エリア61、62において、それぞれ、センサ26、27でピン72が立っているか否かを確認し、これによって、パレット71が1周目なのか、あるいは2周目なのかを判断する。この判断により、組立装置1は、1周目の場合は、1周目用の作業を行い、2周目の場合には、2周目用の作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置に関し、例えば、搬送されてくるワークに対して作業するものに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークをコンベヤで搬送しながら作業を行い製品を製造する製造ラインが広く用いられている。
このような技術として、次の特許文献1の「組付コンベヤ装置」がある。
【特許文献1】特開2008−184317公報
【0003】
これは、レールを環状に設置し、その上にレールから突出した位置にワークを支持する軸台車を走行させる。
ワークがレールから突出しているために作業者は様々な角度からワークに組付作業を行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ライン上のワークに一連の作業を行える1の機械があるとする。当該1の機械は、この一連の作業を連続して行うことができるが、当該作業の間に、当該1の機械が行えない作業がある場合、当該1の機械が行えない作業工程の前後に、1の機械で前半の作業を行うラインと、もう1台の1の機械で後半の作業を行うラインと、を用意する必要があった。
このため、コストと場所がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、1の機械で複数の作業を行うラインの効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ワークに対して少なくとも第1の工程と、第2の工程と、を所定の作業エリアで行う作業手段と、前記作業手段が第1の工程を行ったワークを、環状に周回させて前記所定の作業エリアに搬送する搬送手段と、を具備し、前記作業手段は、作業エリアに搬送されるワークに対して行われた工程を判断し、当該判断に基づいて前記第1の工程、又は前記第2の工程を行うことを特徴とする作業装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記環状に周回させる経路上に、前記第1の工程と、前記第2の工程と、の間に行う第3の工程の作業エリアが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記第3の工程は、人による手作業であることを特徴とする請求項2に記載の作業装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワークを環状に循環させることにより、1の機械で複数の作業を行うラインの効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)実施の形態の概要
組立装置1(図1)では、ベルト11〜17が環状の循環型コンベヤを形成しており、図示しないワーク2は、パレット71の上に置かれてベルト11〜17を反時計方向に周回する。
パレット71は、例えば、最初はベルト12に置かれ、ベルト11〜17を2周した後、これらベルトのループから排出されてベルト18に蓄積される。
チャック部23は、横方向に移動し、機械作業エリア61と機械作業エリア62で、部品の取り付けなどの機械作業を行うことができる。そして、両作業エリアの間には作業者3が手作業を行う作業者作業エリア63が設けられている。
【0009】
組立装置1は、ワーク2に対して、パレット71が載せられて2周する間に、機械作業エリア61における1周目の機械作業→作業者作業エリア63における1周目の手作業→機械作業エリア62における1周目の機械作業→機械作業エリア61における2周目の機械作業→作業者作業エリア63における2周目の手作業→機械作業エリア62における2周目の機械作業、といったように、同一のポジション(作業エリア)で異なる工程を2周ずつ行うことができる。
【0010】
パレット71は、ピン72が収納されており、1周目の作業が終了すると、押出ピン25にて、収納されていたピン72が押し出されてピン72が立てられる。
組立装置1は、機械作業エリア61、62において、それぞれ、センサ26、27でピン72が立っているか否かを確認し、これによって、パレット71が1周目なのか、あるいは2周目なのかを判断する。
この判断により、組立装置1は、1周目の場合は、1周目用の作業を行い、2周目の場合には、2周目用の作業を行う。
【0011】
このように、例えば、機械作業エリア61で機械作業した後、作業者作業エリア63で手作業をし、更に、機械作業エリア61で手作業に続く機械作業を行うような場合、手作業したワーク2が機械作業エリア61に周回してくるため、分断される2つの工程を同一の機械作業エリア61で行うことができる。
【0012】
(2)実施の形態の詳細
図1は、本実施の形態に係る組立装置1を上から見たところを示した図である。
組立装置1は、例えば、高さ1[m]、幅1〜3[m]、奥行き1〜2[m]程度の矩形の台を用いて構成されている。
組立装置1の上面の内周部には、ベルト11〜17が環状に設置され、図示しないワーク2を載せたパレット71、71、・・・(以下、パレット71)を反時計方向に搬送して循環させる。このように、ベルト11〜17は、循環型コンベヤとして機能している。
ただし、ベルト16は、組立装置1の矩形の台面から外側まで延設されており、その先端部分に、組立装置1の奥行き方向に完成品を蓄積するベルト18が設けられている。
【0013】
押出装置41〜45は、それぞれ、搬送されてきたパレット71を次のベルトに押し出す装置である。
例えば、押出装置41は、ベルト11によって搬送されてきたパレット71をベルト12に押し出す。
このようにしてパレット71は、次のベルトに順次押し出されて、ベルト11〜17で構成されたラインを周回する。
【0014】
開閉装置46は、扉部47を押し出したり引いたりすることにより、ベルト16による搬送路を開閉する。
制御装置51は、ワーク2に対する2周目の作業が終了していない場合、扉部47を押し出してパレット71を当接(ど当たり)させ、これを押出装置43でベルト17に押し出す。
これによって、作業未終了のワーク2を載せたパレット71は、ベルト17に押し出されて環状に周回する。
【0015】
一方、ワーク2に対する2周目の作業が終了している場合、制御装置51は、扉部47を引いてベルト16上の搬送路を開き、ベルト16の端部まで搬送されたパレット71を押出装置45でベルト18に押し出す。
ベルト18は、奥行き側の端部が閉じているため、ベルト18を搬送されるパレット71は作業を終了したワーク2を載せてベルト18上に蓄積される。
【0016】
ベルト11〜18は、制御装置51によってそれぞれ個別に駆動され、個々に搬送・停止する。
ピン31は、組立装置1の上面から垂直方向に上下動するようになっており、その動作は制御装置51によって制御されている。
ピン31は、パレット71がベルト13を搬送されてきた際に、これを当接させて所定の位置に定置するために設置されており、当接させる場合には、ベルト13よりも上方に移動して突出し、作業が終了するなどしてパレット71をベルト14に移動させる場合には、ベルト13よりも下に下降する。
【0017】
ピン32、ピン33もピン31と同様に上下動し、それぞれ、ベルト14、15で搬送されてくるパレット71を当接させて位置決めしたり、通過させたりする。
ピン31、33で位置決めされるパレット71の位置は、組立装置1が自動で機械作業を行う機械作業エリア61、62となっており、ピン32で位置決めされ、ベルト14上に蓄積されているパレット71の位置は、作業者3が手作業を行う作業者作業エリア63となっている。
【0018】
部品容器91、92には、ワーク2に取り付ける部品を蓄積しておく複数の容器が並べてあり、それぞれ異なる種類の部品が蓄積されている。
チャック部23は、部品容器91、92から部品をチャッキングして取り出し、これをワーク2に組み付ける。
【0019】
このため、チャック部23は、レール21によって、部品容器91付近から部品容器92付近まで横方向(Y方向)に移動し、アーム22の移動によって奥行き方向(X方向)に移動し、更に、レール21が上下動することにより上下方向(Z方向)に移動する。
【0020】
制御装置51は、チャック部23のXYZ方向の移動と、チャッキングを制御し、部品容器91から部品を取り出して、機械作業エリア61で位置決めされたパレット71上のワーク2に対して組立作業などの機械作業を行い、部品容器92から部品を取り出して、機械作業エリア62で位置決めされたパレット71上のワーク2に対して組立などの機械作業を行う。
このように、組立装置1は、2カ所で自動組立を行うことができる。
【0021】
また、組立装置1は、図示しないが、ブザーやライトなどの告知装置を備えており、作業者作業エリア63に所定数量のパレット71が蓄積されると、これを作業者3に告知するようになっている。
そのため、作業者3は、作業者作業エリア63にパレット71が蓄積されるまで他の装置などで他の作業をしておき、告知があると、組立装置1に赴いて作業者作業エリア63に蓄積されているパレット71を処理することができ、作業者3の作業効率を高めることができる。
【0022】
パレット71の隅には金属製のピン72が立てられるようになっている。
パレット71は、パレット71がベルト11〜17からなる環状のラインを何周したかを判断するためのフラグピンである。
詳細は後述するが、このピン72は、初期状態では、パレット71の隅に設けられた貫通孔73(図2(c))の中に収納されており、パレット71がベルト17の奥行き側端部に達した際に、押出ピン25が組立装置1の台面から上昇して、ピン72をパレット71の上面に押し出し、これによって、パレット71にピン72を立てるようになっている。
パレット71は、パレット71がベルト13を搬送される場合に、ピン72が立っている側が手前側となるように(作業者3から見て左下になるように)置かれる。
【0023】
機械作業エリア61の外側にはセンサ26が設置されている。
センサ26は、金属センサであって、パレット71が機械作業エリア61で位置決めされた場合に、立てられたピン72の位置がセンサ26の検出範囲となるような箇所に固定されている。
【0024】
組立装置1は、センサ26でピン72が検出された場合には、ピン72が立っていると判断し、ピン72が検出されなかった場合には、ピン72が立っていないと判断する。
なお、センサ26によるピン72の検出は、金属探知の検出値が所定の閾値以上であるか否かにより行うように構成してもよい。
更に、パレット71は、センサ26に影響しないように樹脂などで構成されている。
機械作業エリア62にも同様にセンサ27が設置されており、組立装置1は、これを用いて、機械作業エリア62で位置決めされたパレット71にピン72が立っているか否かを判断する。
【0025】
以上のように、組立装置1は、例えば、機械作業エリア61で1周目の機械作業と2周目の機械作業を行い、ワーク2に対して少なくとも第1の工程(1周目の機械作業の工程)と、第2の工程(2周目の機械作業の工程)と、を所定の作業エリア(機械作業エリア61)で行う作業手段(制御装置51が制御するチャック部23による機械作業機能)と、ベルト11〜17によって、作業手段が第1の工程(1周目の機械作業の工程)を行ったワーク2を、環状に周回させて所定の作業エリア(機械作業エリア61)に搬送する搬送手段を備えており、作業手段(制御装置51の上記機能)は、作業エリアに搬送されるワーク2に対して行われた工程を(ピン72の状態で)判断し、当該判断に基づいて第1の工程、又は第2の工程を行う。
【0026】
そして、環状に周回させる経路上に、第1の工程と、第2の工程と、の間に行う第3の工程(作業者3による手作業)の作業エリア(作業者作業エリア63)が設けられている。
機械作業エリア62における機械作業も機械作業エリア61と同様であり、機械作業エリア62で1周目の機械作業と2周目の機械作業との間に、作業者作業エリア63における手作業が存在する。
また、機械作業エリア61での1周目の機械作業と2周目の機械作業との間に、機械作業エリア62における第3の工程が行われると考えることも可能である。
【0027】
なお、組立装置1は、機械作業エリア61と機械作業エリア62の両方で機械作業するように設定することもできるし、機械作業エリア61、又は機械作業エリア62の一方だけで機械作業するように構成することもできる。
どのように組立装置1に作業させるかは、ワーク2の種類などによって異なってくる。
【0028】
図2(a)は、パレット71の斜視図である。
パレット71には、中央にワーク2が嵌合する凹部が設けてあり、この凹部にワーク2が載せられる。
なお、凹部は所定の方向のワーク2と嵌合するように形成されており、ワーク2を凹部に置くと、ワーク2は、パレット71に対して位置決めされるようになっている。
また、パレット71は、ピン72が左下となるように組立装置1のベルトに置かれるため、ワーク2は組立装置1に対して予め規定された方向に置かれる。
【0029】
図2(b)は、パレット71の初期状態、即ち、ピン72がパレット71の貫通孔73に収納されている状態を示した断面図である。
パレット71は、このようにピン72が収納された状態で搬送の起点となるベルト12に置かれる。
なお、一例としてベルト12を起点とするが、起点となるベルトは、ベルト11〜17の何れかであり、ワーク2の種類や工程の種類などによって規定される。
【0030】
図2(c)は、パレット71でピン72が立てられた状態を示した断面図である。
ピン72は、押出ピン25(図1)によって貫通孔73内で上方に押し上げられ、この結果、パレット71の表面にピン72が立った状態となる。
なお、貫通孔73の上端部分には、内周側に張り出した段部が設けてあり、一方、ピン72の両端には、円周方向に張り出した凸部が設けてある。
ピン72の両端の凸部が貫通孔73の段部に突合することにより、ピン72の移動量が規制される。
【0031】
また、貫通孔73の段部の内径は、ピン72の外径より若干大きくなっており、ピン72が貫通孔73を摺動できるようになっている。
更に、ピン72の下端の凸部には、貫通孔73の内周面に対して外周が付勢されるリングがはめてあり、ピン72と貫通孔73の間に適度な摩擦力を付与している。
このため、ピン72は、パレット71の上面に押し出されると、リングの付勢力によって、パレット71の表面に立った状態に保持される。
【0032】
図3は、ピン72の押し出し機構を説明するための図であり、図1の押出ピン25付近の断面図である。
組立装置1の台面49には貫通孔48が形成されており、その下面に押出ピン25を上方に押し出すピン立て装置52が設置されている。
【0033】
貫通孔48は、パレット71がベルト17を搬送され、ベルト17の奥行き側方向端部に当接した場合に、パレット71のピン72が位置する部分に形成されている。
このように、パレット71が当接した状態で、ピン立て装置52が押出ピン25を上昇させると、押出ピン25の上端部がピン72の下端部を上方に押し、これによって、ピン72がスライドして押し上げられる。
【0034】
図4は、組立装置1の制御系の一例を示したブロック図である。
制御装置51は、組立装置1の全体を制御する装置であり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどで構成された大容量の記憶媒体を備えたコンピュータと、当該コンピュータをピン立て装置52などの周辺装置と接続するインターフェースなどを備えている。
【0035】
記憶媒体には、組立装置1の動作を制御するプログラムが記憶されており、制御装置51は、当該プログラムをCPUで実行し、パレット71を搬送したり、チャック部23で作業を行ったり、ピン72を立てたりなどの各種制御を行う。
【0036】
ベルト駆動モータ53a、53b、・・・(以下、ベルト駆動モータ53)は、ベルト11〜18ごとに設置され、それぞれ独立してベルト11〜18を駆動する。
このように、組立装置1は、ベルト11〜18を個別に駆動することにより、チャック部23による一定の効率による作業と、作業者3による不規則な作業を組立装置1上の同一のラインで行うことができる。
【0037】
センサ54a、54b、・・・(以下、センサ54)は、各種のセンサであり、例えば、ベルト11〜18の各所に設置され、各ベルトを搬送されるワーク2を検出したり、ピン72を立てるためにパレット71を検出したり、あるいは、チャック部23を制御するためにチャック部23の座標値を検出したりなどする。
また、操作パネル55は、例えば、タッチパネルや各種キーなどを備えており、組立装置1の動作状態を表示したり、担当者が組立装置1を操作するための各種入力が行えるようになっている。
【0038】
図5は、組立装置1が機械作業エリア61で行う機械作業の手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理は、制御装置51のCPUが所定のプログラムに従って行うものである。
ここでは、パレット71がベルト12(図1)上に置かれているものとする。
まず、組立装置1は、ベルト12を駆動してパレット71をベルト12の手前側端部に当接させる。
ベルト12の手前側端部にはセンサが設置されており、組立装置1は、センサでパレット71を検知することによりパレット71の当接を検出する。
【0039】
組立装置1は、パレット71がベルト12の端部に到達すると、ベルト12を停止し、押出装置42を駆動して、パレット71をベルト13の上に押し出す。
引き続いて、組立装置1は、ピン31を上昇させると共にベルト13を駆動してパレット71を機械作業エリア61に搬入する(ステップ5)。
組立装置1は、機械作業エリア61に搬入されてピン31に当接したパレット71を検知するセンサを備えており、当該センサでパレット71を検知すると、ベルト13を停止する。
これによって、パレット71は、機械作業エリア61の所定位置に定置される。
【0040】
このようにして、パレット71が機械作業エリア61に搬入されると、組立装置1は、センサ26でピン72を検知し、ピン72が立っているか否かを判断する(ステップ10)。
ピン72が立っていない場合(ステップ10;N)、組立装置1は、チャック部23を駆動して、パレット71の上に設置されたワーク2に対して予め定められた1周目の機械作業を行う(ステップ15)。
【0041】
一方、ピン72が立っている場合(ステップ10;Y)、組立装置1は、チャック部23を駆動して、パレット71の上に設置されたワーク2に対して予め定められた2周目の機械作業を行う(ステップ25)。
ワーク2に対する機械作業を終了すると、組立装置1は、ピン31を下げて、ベルト13とベルト14を駆動し、パレット71をベルト13からベルト14に移動させて、これを次工程に搬出する(ステップ20)。
【0042】
ベルト13とベルト14は、同一ライン上に隣接して設置されており、同時にベルト13からベルト14の方向に駆動すると、パレット71をベルト13からベルト14に移動させることができる。
【0043】
このようにして、組立装置1は、機械作業エリア61に定置されたワーク2が環状に形成されたライン上を1周目に搬送されているものか、あるいは2周目のものかを、ピン72が立っていないか(1周目)、あるいは立っているか(2周目)によって判断することができ、それぞれに応じた作業を行うことができる。
【0044】
以上は、機械作業エリア61での作業について説明したが、機械作業エリア62での作業も同様であり、組立装置1は、パレット71上にピン72が立っているか否かにより、ワーク2に対して異なる作業を行うことができる。
【0045】
図6は、組立装置1がパレット71のピン72を立てる手順を説明するためのフローチャートである。
まず、組立装置1は、パレット71をベルト15で搬送し、ピン33に当接させてパレット71を機械作業エリア62で位置決めする。
そして、組立装置1は、センサ27でピン72が立っているか否かを確認し、チャック部23を制御して、ワーク2に対してピン72の状態に応じた作業(即ち、1周目の機械作業か、2周目の機械作業)を行う(ステップ50)。
【0046】
組立装置1は、機械作業エリア62での作業が終了すると、ピン33を下降させると共に、ベルト15、ベルト16を駆動して、パレット71をベルト15からベルト16に移動させることにより、パレット71を機械作業エリア62から搬出する(ステップ55)。
ベルト15とベルト16は同一ライン上に隣接して設置されており、これらをベルト15からベルト16方向に駆動すると、パレット71をベルト15からベルト16に移動させることができる。
【0047】
組立装置1は、パレット71をベルト15からベルト16に移動させると共に、パレット71のピン72が立っているか否かを判断する。
組立装置1は、パレット71を機械作業エリア62に搬入する際に確認したピン72の状態を記憶しておくことによりこの判断を行う。
【0048】
ピン72が立っている場合は(ステップ60;Y)、先の作業でワーク2に対して2周目の作業が終了しているので、組立装置1は、開閉装置46を用いて扉部47を開状態とし(ステップ85)、パレット71を、ベルト16の端部まで搬送する。
組立装置1は、パレット71が端部に達したことをセンサで検知すると、押出装置45でパレット71をベルト16からベルト18に移動させると共に、ベルト18を駆動して、パレット71をベルト18の経路上を移動させる。そして、組立装置1は、適当なところでベルト18を停止し、パレット71をベルト18上に蓄積する(ステップ90)。
このようにして、ラインを2周して作業が完了したワーク2は、ベルト18上に蓄積される。
【0049】
一方、ピン72が立っていない場合(ステップ60;N)、ワーク2は、もう1周する必要があるため、組立装置1は、開閉装置46を駆動して扉部47を閉状態とする(ステップ65)。
そして、パレット71が扉部47に当接すると、組立装置1は、センサでこれを検知し、ベルト17を駆動すると共に、押出装置43でパレット71を押し出し、パレット71をベルト16からベルト17に移動させる(ステップ70)。
【0050】
そして、パレット71がベルト17を搬送され、奥行き側端部に当接すると、組立装置1は、これをセンサで検知し、ベルト17を停止させる。
次いで、組立装置1は、ピン立て装置52を駆動して押出ピン25を上昇させ、ピン72をパレット71の表面に押し出すことによりこれを立てる(ステップ75)。
その後、組立装置1は、ベルト11を駆動すると共に、押出装置44を駆動してパレット71をベルト11に押し出し、パレット71をベルト17からベルト11に移動させる(ステップ80)。
【0051】
以上、本実施の形態について説明したが、各種の変形が可能である。
例えば、パレット71に複数のピン72を立てるように構成することができる。1つのピン72をデジタル信号と見なすと、ピン72の数×2ビットの状態を識別できるため、更に多くの回数だけパレット71を周回させることができる。
また、パレット71の状態を識別する方法として、ピン72ではなくICタグ(非接触ICチップ)などの電子素子を用い、当該電子素子に、パレット71が周回した回数やその他の情報を記憶させ、これを用いて工程を管理するように構成することもできる。
【0052】
また、本実施の形態では、ピン72で、パレット71が何回周回したかを判断したが、ピン72でワーク2の品種を判断させるように構成することもできる。
この場合は、例えば、ピン72が立っているのは、第1の品種のワーク2であり、ピン72が立っていないものは第2の品種であり、チャック部23は、それぞれに異なる作業を行うように構成する。この場合、複数品種のワーク2を混在させて組立を行うこともできる。
【0053】
更に、本実施の形態では、連続する作業が他の作業で分断される場合に、ワーク2を周回させて同じ作業ポジションで作業を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、前半の作業で薬品を塗布し、周回する間にその薬品を乾かしてから次の作業を行うというように、連続する作業が時間的に分断される場合に適用することもできる。
【0054】
本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)ワークを環状に還流させることにより、組立装置1は、同一の組立ポジション(機械作業エリア61、62)で、繰り返し異なる作業を行うことができる。
(2)パレット71にピン72などの識別情報を付与することにより、組立装置1は、ワーク2の状態を識別することができ、これに応じた作業を行うことができる。
(3)例えば、ワーク2をパレット71に乗せ、機械作業エリア61で作業を行い、一度排出して作業者作業エリア63で他の工程を行い、更に、ライン上を1周させる過程でパレット71を立て、再び機械作業エリア61で次の作業を行うというように、1台の組立装置1で、複数の分断された作業を行うことができる。
(4)部品を組み込んだ後、検査などの組立以外の作業をし、その後、更に部品を組み込むような、組立以外の作業が複数回ある場合でも、ラインを切り替える必要がない。
(5)ピン72によって、パレット71ごとの作業(工程)の進捗が個別に判断できるため、ライン上に、次に行う工程の異なるワーク2がランダムに混在していても適切に作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】組立装置を上から見たところを示した図である。
【図2】パレットを説明するための図である。
【図3】ピンの押し出し機構を説明するための図である。
【図4】組立装置の制御系の一例を示したブロック図である。
【図5】機械作業の手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】ピンを立てる手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 組立装置
2 ワーク
3 作業者
11〜18 ベルト
21 レール
22 アーム
23 チャック部
25 押出ピン
26、27 センサ
31〜33 ピン
41〜45 押出装置
46 開閉装置
47 扉部
48 貫通孔
49 台面
51 制御装置
52 ピン立て装置
53 ベルト駆動モータ
54 センサ
55 操作パネル
61、62 機械作業エリア
63 作業者作業エリア
71 パレット
72 ピン
91、92 部品容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して少なくとも第1の工程と、第2の工程と、を所定の作業エリアで行う作業手段と、
前記作業手段が第1の工程を行ったワークを、環状に周回させて前記所定の作業エリアに搬送する搬送手段と、を具備し、
前記作業手段は、作業エリアに搬送されるワークに対して行われた工程を判断し、当該判断に基づいて前記第1の工程、又は前記第2の工程を行うことを特徴とする作業装置。
【請求項2】
前記環状に周回させる経路上に、前記第1の工程と、前記第2の工程と、の間に行う第3の工程の作業エリアが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記第3の工程は、人による手作業であることを特徴とする請求項2に記載の作業装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−142922(P2010−142922A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325519(P2008−325519)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】