説明

作業車の走行変速構造

【課題】 作業車の走行変速構造において、エンジンに掛かる負荷に応じて走行用の変速装置が低速側及び高速側に操作されるように構成した場合、作業条件に応じて機体の走行速度を適切に設定することができるように構成する。
【解決手段】 エンジン1に掛かる負荷に応じて走行用の変速装置10を、所定の範囲を備えた自動変速範囲で低速側及び高速側に操作する自動変速手段を備える。自動変速範囲の全体を低速側及び高速側に変更可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車の走行変速構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車では、例えば特許文献1に開示されているように、エンジンに掛かる負荷に応じて、走行用の変速装置を自動的に低速側及び高速側に操作するように構成されたものがある。
特許文献1では、実際のエンジンの回転数を検出して、エンジンに掛かる負荷として判断しており、実際のエンジンの回転数が低下すると、走行用の変速装置が低速側に操作され、実際のエンジンの回転数が上昇すると、走行用の変速装置が高速側に操作されるように構成されている。このように走行用の変速装置が低速側及び高速側に操作されることによって、実際のエンジンの回転数が設定範囲に維持される(エンジンに掛かる負荷が設定範囲に維持される)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−106697号公報(図1,2,4,6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車では、各種の作業条件(機体に連結される作業装置の種類や作業地の状態等)により、機体の走行速度を適切なものに設定する必要がある。
本発明は作業車の走行変速構造において、エンジンに掛かる負荷に応じて走行用の変速装置が低速側及び高速側に操作されるように構成した場合、作業条件に応じて機体の走行速度を適切に設定することができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
走行用の変速装置を備え、エンジンに掛かる負荷に応じて走行用の変速装置を、所定の範囲を備えた自動変速範囲で低速側及び高速側に操作する自動変速手段を備える。自動変速範囲の全体を低速側及び高速側に変更可能に構成する。
【0006】
(作用)
エンジンに掛かる負荷に応じて走行用の変速装置が自動的に低速側及び高速側に操作されるように構成する場合、本発明の第1特徴によると、所定の範囲を備えた自動変速範囲で走行用の変速装置を低速側及び高速側に操作する自動変速手段を備えている。
これにより、本発明の第1特徴によると、自動変速手段により走行用の変速装置が低速側及び高速側に操作される場合、走行用の変速装置が自動変速範囲の中で低速側及び高速側に操作され、走行用の変速装置が自動変速範囲を越えて低速側及び高速側に操作されるようなことがないのであり、走行用の変速装置が不必要に低速側及び高速側に操作されるようなことがない。
本発明の第1特徴によると、自動変速範囲の全体を低速側及び高速側に変更可能に構成しており、自動変速範囲を作業条件に応じて適切なものに設定することができる。
【0007】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、作業車の走行変速構造において、エンジンに掛かる負荷に応じて走行用の変速装置が低速側及び高速側に操作されるように構成した場合、走行用の変速装置が自動変速範囲を越えて不必要に低速側及び高速側に操作されるようなことがない点、及び、自動変速範囲を作業条件に応じて適切なものに設定することができる点により、作業車の走行変速性能を向上させることができた。
【0008】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
人為的に操作される人為操作具と、人為操作具の操作に基づいて走行用の変速装置を操作する手動変速手段とを備えて、自動変速手段に優先して手動変速手段が作動するように構成する。走行用の変速装置が自動変速範囲の高速側の限度位置に操作されている状態で手動変速手段により走行用の変速装置が高速側に操作されると、走行用の変速装置の高速側への操作に伴って自動変速範囲の全体が高速側に操作されるように構成する。走行用の変速装置が自動変速範囲の低速側の限度位置に操作されている状態で手動変速手段により走行用の変速装置が低速側に操作されると、走行用の変速装置の低速側への操作に伴って自動変速範囲の全体が低速側に操作されるように構成する。
【0009】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載の自動変速手段に加えて、人為的に操作される人為操作具、人為操作具の操作に基づいて走行用の変速装置を操作する手動変速手段を備えており、本発明の第2特徴によると、自動変速手段に優先して手動変速手段が作動するように構成している。この場合、本発明の第2特徴によると、手動変速手段により走行用の変速装置を自動変速範囲の中で低速側及び高速側に操作している状態(手動変速手段により走行用の変速装置を小さな範囲で操作している状態)では、自動変速範囲は変更されず、手動変速手段による走行用の変速装置の操作を止めると、自動変速手段により走行用の変速装置が自動変速範囲で低速側及び高速側に操作される。
【0010】
次に本発明の第2特徴によると、手動変速手段により走行用の変速装置を自動変速範囲の高速側(低速側)の限度位置に操作し、さらに高速側(低速側)に操作すると、走行用の変速装置の高速側(低速側)への操作に伴って、自動変速範囲の全体が高速側(低速側)に操作されるのであり、手動変速手段により走行用の変速装置を自動変速範囲を越えるほど大きく操作すると、これに伴って自動変速範囲が変更されることになる。
【0011】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によれば、自動変速手段に加えて人為操作具及び手動変更手段を備えた場合、手動変速手段により走行用の変速装置を大きく操作すると、自動変速範囲が変更されるように構成することにより、自動変速範囲が不必要に頻繁に変更されるような状態を避けることができて、作業車の走行変速性能を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[1]
図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラクタのミッションケース8を示しており、エンジン1の動力が前進クラッチ5又は後進クラッチ6、円筒軸7、第1主変速装置10(走行用の変速装置に相当)、第2主変速装置11、副変速装置12及び後輪デフ装置13を介して後輪14に伝達される。後輪デフ装置13の直前から分岐した動力が伝動軸15、油圧クラッチ型式の前輪変速装置16、前輪伝動軸17及び前輪デフ装置18を介して前輪19に伝達される。エンジン1の動力が伝動軸2、油圧多板式のPTOクラッチ3及びPTO変速装置9を介してPTO軸4に伝達される。
【0013】
図1に示すように、前進及び後進クラッチ5,6は、摩擦板(図示せず)とピストン(図示せず)とを組み合わせた油圧多板式で、作動油を供給することにより伝動側に操作される。前進クラッチ5を伝動側に操作すると、エンジン1の動力が前進クラッチ5から円筒軸7に直接に流れて機体は前進する。後進クラッチ6を伝動側に操作すると、エンジン1の動力が後進クラッチ6及び伝動軸20を介して、逆転状態で円筒軸7に伝達されて機体は後進する。
【0014】
図1に示すように、第1主変速装置10は、4個の油圧多板式の1速クラッチ21、2速クラッチ22、3速クラッチ23及び4速クラッチ24を並列的に配置した油圧クラッチ型式に構成されて4段に変速可能であり、1速〜4速クラッチ21〜24のうちの一つを伝動側に操作することにより、円筒軸7の動力が4段に変速されて伝動軸25に伝達される。
【0015】
図1に示すように、第2主変速装置11は、2個の油圧多板式の低速クラッチ26及び高速クラッチ27を並列的に配置した油圧クラッチ型式に構成されており、低速及び高速クラッチ26,27の一方を伝動側に操作することにより、伝動軸25の動力が2段に変速されて副変速装置12に伝達される。副変速装置12は、シフト部材53をスライド操作するシンクロメッシュ型式に構成されて2段に変速可能であり、図2に示す変速レバー28によって機械的に操作される。
【0016】
[2]
次に、前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装置10,11に対する油圧回路について説明する。
図3に示すように、ポンプ29からの油路30に、前進及び後進クラッチ5,6に対する電磁比例弁35及びパイロット操作式の切換弁36a,37a、1速〜4速クラッチ21〜24に対するパイロット操作式の切換弁31a,32a,33a,34a、低速及び高速クラッチ26,27に対する電磁比例弁38,39が接続されている。
【0017】
図3に示すように、油路30から分岐した油路40に、前輪デフ装置18におけるデフロック操作用の油圧クラッチ41に対するパイロット操作式の切換弁42a、後輪デフ装置13におけるデフロック操作用の油圧クラッチ43に対するパイロット操作式の切換弁44a、前輪変速装置16の標準クラッチ45及び増速クラッチ46に対するパイロット操作式の切換弁47a,48aが接続されている。切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aは、バネで排油側(遮断側)に付勢されており、パイロット圧が供給されることで供給側(伝動側)に操作される。
【0018】
図3に示すように、油路30から減圧弁49を介してパイロット油路50が分岐し、パイロット油路50が切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aの操作部に接続されており、操作部に電磁操作弁31b,32b,33b,34b,36b,37b,42b,44b,47b,48bが接続されている。電磁操作弁31b〜34b,36b,37b,42b,44b,47b,48bはバネで排油側(遮断側)に付勢されており、電磁操作弁31b〜34b,36b,37b,42b,44b,47b,48bを供給側に操作すると、パイロット圧が切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aの操作部に供給されて、切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aが供給側(伝動側)に操作される。
【0019】
[3]
次に、前進及び後進クラッチ5,6、第1及び第2主変速装置10,11の操作部の構造について説明する。
図3に示すように、切換弁36a,37aの操作部からパイロット圧を排油可能な開閉弁51が備えられ、開閉弁51がバネで閉側に付勢されており、開閉弁51を開側に操作するクラッチペダル52が備えられている。図2に示すように、前輪19の操縦ハンドル58の基部に、前進位置F、後進位置R及び中立位置Nに操作自在な前後進レバー59が備えられている。
【0020】
図2に示すように、機体の操縦部の横軸芯周りに変速レバー28が揺動操作自在に支持されて、副変速装置12のシフト部材53をスライド操作するシフト軸54と変速レバー28とが、連係機構55により機械的に連係されている。変速レバー28を中立位置N、低速位置L及び高速位置Hに操作することにより、副変速装置12(シフト部材53)を中立位置、低速位置及び高速位置に操作することができるように構成されており、変速レバー28の操作位置を検出する位置センサー70が備えられている。変速レバー28の左横側面に、シフトアップボタン61(人為操作具に相当)及びシフトダウンボタン62(人為操作具に相当)が上下に配置されており、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作すると、後述する[6]に記載のように、第1及び第2主変速装置10,11が操作される。
【0021】
図2に示すように、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置(1速〜8速)を表示する7セグメント型式の変速表示部64、前進及び後進クラッチ5,6のどちらが伝動側に操作されているかを表示する前進ランプ65及び後進ランプ66、変速レバー28又は前後進レバー59が中立位置Nに操作されていることを示す中立ランプ67が、操縦部に備えられている。図3に示すように、前進及び後進クラッチ5,6の作動圧を検出する圧力センサー74が備えられており、圧力センサー74の検出により前進及び後進ランプ65,66を点灯させる。
【0022】
図2に示すように、人為的に操作される設定スイッチ68が備えられており、設定スイッチ68は図2に示す手動モード位置、D1方向に押し操作された走行モード位置、及びD2方向に押し操作された負荷モード位置の3位置に操作自在に構成されている。設定スイッチ68を手動モード位置、走行モード位置及び負荷モード位置に押し操作することにより、後述する[6][7][8][9]に記載のように手動モード、走行モード及び負荷モードが設定される。
【0023】
[4]
次に、前後進レバー59の操作について、図4に基づいて説明する。
前後進レバー59を前進位置Fに操作すると(ステップS1)、電磁操作弁36bに操作電流が供給され切換弁36aが供給側に操作されて、前進クラッチ5が伝動側に操作され(ステップS2)、前進ランプ65が点灯する(ステップS3)。前後進レバー59を後進位置Rに操作すると(ステップS1)、電磁操作弁37bに操作電流が供給され切換弁37aが供給側に操作されて、後進クラッチ6が伝動側に操作され(ステップS4)、後進ランプ66が点灯し(ステップS5)、図2に示すブザー71が間欠的に作動する(ステップS6)。
【0024】
前後進レバー59を中立位置Nに操作すると(ステップS1)、電磁操作弁36b,37bへの操作電流が遮断され切換弁36a,37aが排油側に操作されて、前進及び後進クラッチ5,6が遮断側に操作され(ステップS7)、中立ランプ67が点灯する(ステップS8)。クラッチペダル52を踏み操作すると、開閉弁51が開側に操作され切換弁36a,37aが排油側に操作されて、前進及び後進クラッチ5,6が遮断側に操作され中立ランプ67が点灯する。このように前進及び後進クラッチ5,6の両方が遮断側に操作されると、前進及び後進クラッチ5,6において動力が遮断されて機体が停止する。
【0025】
[5]
次に、変速レバー28による副変速装置12の操作について説明する。
変速レバー28を中立位置Nに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が中立位置に操作され、変速レバー28を低速位置Lに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が低速位置に操作され、変速レバー28を高速位置Hに操作すると、副変速装置12(シフト部材53)が高速位置に操作される。
【0026】
例えば前後進レバー59を前進位置Fに操作した状態(前進クラッチ5が伝動側に操作され、後進クラッチ6が遮断側に操作されている状態)で、変速レバー28を中立位置Nに操作すると、位置センサー70の検出に基づいて、電磁操作弁36bにより切換弁36aが排油側に操作されて、前進クラッチ5が遮断側に操作される。
【0027】
この後、変速レバー28を低速位置L(高速位置H)に操作すると、位置センサー70の検出に基づいて、電磁操作弁36bにより切換弁36aが供給側に操作されて、電磁比例弁35により前進クラッチ5が漸次的に伝動側に操作される。
前後進レバー59を後進位置Rに操作した状態(後進クラッチ6が伝動側に操作され、前進クラッチ5が遮断側に操作されている状態)において、前述のように変速レバー28を中立位置N、低速位置L(高速位置H)に操作すると、前進クラッチ5と同様に後進クラッチ6が遮断側及び伝動側に操作される。
【0028】
[6]
次に、設定スイッチ68を手動モード位置に押し操作した状態について、図5に基づいて説明する(以下、手動変速手段に相当)。
設定スイッチ68を手動モード位置に押し操作すると、手動モードが設定される。図1に示すように、第1主変速装置10が4段に変速可能であり、第2主変速装置11が2段に変速可能なので、第1及び第2主変速装置10,11により8段に変速可能である。低速クラッチ26が伝動側に操作されている状態で、1速〜4速クラッチ21〜24が1速〜4速の変速位置に対応し、高速クラッチ27が伝動側に操作されている状態で、1速〜4速クラッチ21〜24が5速〜8速の変速位置に対応する。
【0029】
図2及び図3に示すように、1速〜4速クラッチ21〜24、低速及び高速クラッチ26,27の各々に、作動圧を検出する圧力センサー63,74が備えられており、圧力センサー63,74の検出により、現在の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置(1速〜8速)が検出されて、検出された第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示される。
【0030】
以上の状態において、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62を押し操作したとする(ステップS11,S12)。この場合、図6の実線A1(時点B1)に示すように、シフトアップボタン61を押し操作した場合には(ステップS11)、現在の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置よりも1段高速側の1〜4速クラッチ21〜24が、電磁操作弁31b〜34bにより伝動側に操作され始める(ステップS13)。シフトダウンボタン62を押し操作した場合には(ステップS12)、現在の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置よりも1段低速側の1〜4速クラッチ21〜24が、電磁操作弁31b〜34bにより伝動側に操作され始める(ステップS14)。
【0031】
変速レバー28を低速位置L又は高速位置Hに操作していると(ステップS15)、ステップS13,S14と略同時に図6の実線A2(時点B1)に示すように、伝動側に操作されている低速又は高速クラッチ26,27の作動圧が、電磁比例弁38,39により伝動状態の作動圧P2から所定低圧P3に操作される(ステップS16)。この場合、4速の変速位置から5速の変速位置への操作時には、低速クラッチ26の作動圧が零に操作され、高速クラッチ27の作動圧が零から所定低圧P3に操作される。逆に5速の変速位置から4速の変速位置への操作時には、高速クラッチ27の作動圧が零に操作され、低速クラッチ26の作動圧が零から所定低圧P3に操作される。
【0032】
図6の実線A1(時点B2から時点B3)に示すように、1段高速側又は1段低速側の1速〜4速クラッチ21〜24の作動圧が、電磁操作弁31b〜34bにより伝動状態の作動圧P1に操作され始める。これと同時に図6の一点鎖線A3(時点B2から時点B3)に示すように、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62の押し操作前の1速〜4速クラッチ21〜24の作動圧が、電磁操作弁31b〜34bにより伝動状態の作動圧P1から零に操作され始める(ステップS17)。
【0033】
変速レバー28を低速位置L又は高速位置Hに操作していると(ステップS18)、図6の実線A2(時点B3から時点B4)に示すように、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧が、電磁比例弁38,39により所定低圧P3から漸次的に昇圧側に操作されていく(ステップS19)。これにより、前述の1段高速側又は1段低速側の1速〜4速クラッチ21〜24の動力が、低速又は高速クラッチ26,27を介して伝達され始める。図6の実線A2の時点B4に示すように、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧が伝動状態の作動圧P2に達したことが、圧力センサー63によって検出されると(ステップS20)、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62の押し操作による変速操作が終了したと判断されて、変速操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示され(ステップS21)、ブザー71が1回だけ作動して変速操作の終了が操縦者に報知される(ステップS22)。これにより、ステップS11に移行して、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62の次の押し操作による変速操作が可能になる。
【0034】
変速レバー28を中立位置Nに操作していると(ステップS15,S18)、副変速装置12(シフト部材53)が中立位置に操作されるので、機体は停止している。変速レバー28を中立位置Nに操作した状態において、シフトアップボタン61又はシフトダウンボタン62を押し操作すると(ステップS11,S12)、前述と同様に第1及び第2主変速装置10,11(1速〜4速クラッチ21〜24、低速及び高速クラッチ26,27)が、1段高速側又は1段低速側に操作され(ステップS13,S14,S17)、変速操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示されて(ステップS21)、ブザー71が1回だけ作動する(ステップS22)。
この場合、機体は停止しているのでステップS16,S19のような、低速又は高速クラッチ26,27の作動圧の所定低圧P3への操作、及び伝動状態の作動圧P2への操作は行われない(ステップS15,S18)。
【0035】
[7]
次に、設定スイッチ68を負荷モード位置に押し操作した状態について、図7に基づいて説明する。
設定スイッチ68を負荷モード位置に押し操作すると、負荷モードが設定される。負荷モードでは、プラウ(図示せず)やサブソイラ(図示せず)等による耕起作業において、作業地の起伏や土質の変化等に応じて、以下のように第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モードの自動変速範囲Rの中で自動的に低速側及び高速側に操作される。
【0036】
図1及び図2に示すように、エンジン1のアクセル開度を人為的に任意の位置に設定可能なハンドアクセルレバー73が備えられて、ハンドアクセルレバー73の操作位置を検出するポテンショメータ型式の開度センサー75が備えられており、実際のエンジン1の回転数N2を検出する回転数センサー72が備えられている。無負荷状態(前進及び後進クラッチ5,6が遮断側に操作され、且つPTOクラッチ3が遮断側に操作されて、エンジン1に負荷が掛からない状態)でのエンジン1の回転数と、開度センサー75の検出値(ハンドアクセルレバー73の操作位置)との関係が事前に求められており、開度センサー75の検出値(ハンドアクセルレバー73の操作位置)により、無負荷状態でのエンジン1の回転数が、エンジン1の設定回転数N1として求められる(ステップS31)。
【0037】
後述する[11]に記載のように、負荷モードの自動変速範囲Rが2段又は3段又は4段に設定されており、設定スイッチ68が負荷モード位置に押し操作された際の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され(ステップS32)、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置(負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RH)が、変速表示部64に表示されて(ステップS33)、変速表示部64が点燈状態となる(ステップS34)。
【0038】
ステップS32の後、後述する[11]に記載の負荷モードの自動変速範囲Rの幅に基づいて、負荷モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが設定される(ステップS35)。例えば4速位置が負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定された場合、負荷モードの自動変速範囲Rの幅が3段であると、2速位置が負荷モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される。この場合、負荷モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが1速位置よりも低速になる状態では(ステップS36)、1速位置が負荷モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される(ステップS37)。
【0039】
実際のエンジン1の回転数N2が検出され(ステップS38)、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が検出される(ステップS39)。この場合、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が大きいと、エンジン1に掛かる負荷が大きくて、実際のエンジン1の回転数N2が大きく低下したと判断できるのであり、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が小さいと、エンジン1に掛かる負荷が小さくて、実際のエンジン1の回転数N2があまり低下していないと判断できる。
【0040】
図13に示すように、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3に対して、第1設定値N11及び第2設定値N12が設定されている。これにより、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が、第1設定値N11以上になると(ステップS40)、実際のエンジン1の回転数N2が大きく低下したと判断できるので、図5のステップS14,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11が1段低速側に操作される(ステップS43)。
【0041】
この場合に、エンジン1の設定回転数N1が設定値N23(例えば1300rpm)未満であるか(ステップS41)、又は操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLであると(ステップS42)、第1及び第2主変速装置10,11は1段低速側に操作されることはなく、操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置に保持される。
【0042】
エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が、第2設定値N12以下になると(ステップS40)、実際のエンジン1の回転数N2があまり低下していないと判断できるので、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作される(ステップS46)。
【0043】
この場合に、エンジン1の設定回転数N1が設定値N26(例えば1600rpm)未満であるか(ステップS44)、又は操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHであると(ステップS45)、第1及び第2主変速装置10,11は1段高速側に操作されることはなく、操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置に保持される。
【0044】
ステップS40〜S46の後、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示される(ステップS47)。この場合、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHであると、変速表示部64が点燈状態となるのであり(ステップS48,S49)、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHではないと、変速表示部64が点滅状態となる(ステップS48,S50)。
【0045】
以上のように負荷モードにおいて、エンジン1の設定回転数N1、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3、第1及び第2設定値N11,N12に基づいて、第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モードの自動変速範囲Rの中で低速側及び高速側に自動的に操作される(以上、自動変速手段に相当)。
【0046】
この場合、第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モードの自動変速範囲Rの中で低速側及び高速側に自動的に操作されている状態において、変速レバー28が低速位置Lから高速位置H又は高速位置Hから低速位置Lに操作された場合、設定スイッチ68が負荷モード位置にもう一度押し操作された場合、その際の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして改めて設定されて、ステップS33に移行する。
【0047】
[8]
次に、設定スイッチ68を走行モード位置に押し操作した状態の前半について、図8に基づいて説明する。
設定スイッチ68を走行モード位置に押し操作すると、走行モードが設定される。走行モードでは、トレーラ(図示せず)等を牽引して走行する走行作業において、ハンドアクセルレバー73の操作や登坂時の実際のエンジン1の回転数N2の変動等に応じて、以下のように第1及び第2主変速装置10,11が、走行モードの自動変速範囲Rの中で自動的に低速側及び高速側に操作される。
【0048】
前項[7]に記載の負荷モードと同様に、開度センサー75の検出値(ハンドアクセルレバー73の操作位置)により、無負荷状態でのエンジン1の回転数が、エンジン1の設定回転数N1として求められる(ステップS51)。後述する[11]に記載のように、走行モードの自動変速範囲Rが2段又は3段又は4段に設定されており、設定スイッチ68が走行モード位置に押し操作された際の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され(ステップS52)、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置(走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RH)が変速表示部64に表示されて(ステップS53)、変速表示部64が点燈状態となる(ステップS54)。
【0049】
走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHが設定されると、後述する[11]に記載の走行モードの自動変速範囲Rの幅に基づいて、走行モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが設定される(ステップS55)。例えば4速位置が走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定された場合、走行モードの自動変速範囲Rの幅が3段であると、2速位置が走行モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される。この場合、走行モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが1速位置よりも低速になる状態では(ステップS56)、1速位置が走行モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される(ステップS57)。
【0050】
実際のエンジン1の回転数N2が検出され(ステップS58)、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が検出される(ステップS59)。この場合、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が大きいと、エンジン1に掛かる負荷が大きくて、実際のエンジン1の回転数N2が大きく低下したと判断できる。
【0051】
図13に示すように、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3に対して、第1設定値N11が設定されている。これにより、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が、第1設定値N11以上になると(ステップS60)、実際のエンジン1の回転数N2が大きく低下したと判断できるので、図5のステップS14,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11が1段低速側に操作される(ステップS63)。
【0052】
この場合に、エンジン1の設定回転数N1が設定値N23(例えば1300rpm)未満であるか(ステップS61)、又は操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、走行モードの自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLであると(ステップS62)、第1及び第2主変速装置10,11は1段低速側に操作されることはなく、操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置に保持される。
【0053】
ステップS60〜S63の後、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示される(ステップS64)。この場合、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHであると、変速表示部64が点燈状態となるのであり(ステップS65,S66)、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHではないと、変速表示部64が点滅状態となる(ステップS65,S67)。
【0054】
[9]
次に、設定スイッチ68を走行モード位置に押し操作した状態の後半について、図8及び図9に基づいて説明する。
前項[8]に記載のステップS60において、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が、第1設定値N11未満である場合、ハンドアクセルレバー73が操作されなければ(ステップS68)、第1及び第2主変速装置10,11は操作されない。
【0055】
前項[8]に記載のステップS60において、ハンドアクセルレバー73が低速で高回転側に操作された場合(ステップS68)、エンジン1の設定回転数N1が設定値N28(例えば2400rpm)未満の状態において(ステップS69)、エンジン1の設定回転数N1が設定値N22(例えば1200rpm)以上で設定値N24(例えば1400rpm)未満で(ステップS70)、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が設定値N4(例えば100rpm)未満になると(ステップS73)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作される(ステップS75)。
【0056】
次にエンジン1の設定回転数N1が設定値N24(例えば1400rpm)以上で設定値N26(例えば1600rpm)未満で(ステップS71)、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が設定値N4(例えば100rpm)未満になると(ステップS73)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11がさらに1段高速側に操作される(ステップS75)。次にエンジン1の設定回転数N1が設定値N26(例えば1600rpm)以上で設定値N28(例えば2400rpm)未満で(ステップS72)、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が設定値N4(例えば100rpm)未満になると(ステップS73)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11がさらに1段高速側に操作される(ステップS75)。
【0057】
前項[8]に記載のステップS60において、ハンドアクセルレバー73が高速で高回転側に操作された場合(ステップS68)、エンジン1の設定回転数N1が設定値N28(例えば2400rpm)以上の状態において(ステップS76)、実際のエンジン1の回転数N2が設定値N21(例えば1100rpm)以上で設定値N23(例えば1300rpm)未満になると(ステップS77)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作される(ステップS75)。次に実際のエンジン1の回転数N2が設定値N23(例えば1300rpm)以上で設定値N25(例えば1500rpm)未満になると(ステップS78)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11がさらに1段高速側に操作される(ステップS75)。
【0058】
次に実際のエンジン1の回転数N2が設定値N25(例えば1500rpm)以上で設定値N27(例えば2300rpm)未満になると(ステップS79)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11がさらに1段高速側に操作される(ステップS75)。次に実際のエンジン1の回転数N2が設定値N27(例えば2300rpm)以上になると(ステップS80)、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11がさらに1段高速側に操作される(ステップS75)。
【0059】
この場合に、ステップS68〜S73,S76〜S80において、操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHであると(ステップS74)、第1及び第2主変速装置10,11は1段高速側に操作されることはなく、操作前の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置に保持される。前述のステップS68〜S80の後、図8のステップS64に移行する。
【0060】
以上のように前項[8][9]に記載の走行モードにおいて、エンジン1の設定回転数N1、実際のエンジン1の回転数N2、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3、第1設定値N11及びハンドアクセルレバー73の操作に基づいて、第1及び第2主変速装置10,11が、走行モードの自動変速範囲Rの中で低速側及び高速側に自動的に操作される(以上、自動変速手段に相当)。
【0061】
この場合、第1及び第2主変速装置10,11が走行モードの自動変速範囲Rの中で低速側及び高速側に自動的に操作されている状態において、変速レバー28が低速位置Lから高速位置H又は高速位置Hから低速位置Lに操作された場合、設定スイッチ68が走行モード位置にもう一度押し操作された場合、その際の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、走行モードの自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして改めて設定されて、図8のステップS53に移行する。
【0062】
[10]
次に、感度調節スイッチ76による第1及び第2設定値N11,N12(前項[7][8][9]参照)の設定について説明する。
図2に示すように、ダイヤル式の感度調節スイッチ76が備えられており、図13に示すように、感度調節スイッチ76を操作することによって、第1設定値N11(実線A4)及び第2設定値N12(実線A5)が設定されるのであり、第1設定値N11(実線A4)及び第2設定値N12(実線A5)によって、「高速側への操作領域」「標準領域」「低速側への操作領域」が設定される。
【0063】
これにより、前項[7][8][9]に記載のように、エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が第1設定値N11以上になると(「低速側への操作領域」)、第1及び第2主変速装置10,11が1段低速側に操作される。エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が、第1及び第2設定値N11,N12の間であると(「標準領域」)、第1及び第2主変速装置10,11は低速側にも高速側にも操作されない。エンジン1の設定回転数N1と実際のエンジン1の回転数N2との回転数差N3が第2設定値N12以下になると(「高速側への操作領域」)、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作される。
【0064】
図13に示すように、感度調節スイッチ76が操作範囲H1に操作されていると、第1設定値N11が「N35」に維持されており、第2設定値N12が「N33」に維持されている。感度調節スイッチ76が操作範囲H2に操作されていると、第1設定値N11が「N35」から変更されずに維持されており、第2設定値N12が「N33」及び「N34」の小さい範囲で、感度調節スイッチ76の操作位置に対応して直線的に変更される。この場合、N33<N34<N35と言う大きさの関係となっている。
【0065】
図13に示すように、感度調節スイッチ76が操作範囲H3に操作されていると、第2設定値N12が「N31」及び「N33」の範囲で、感度調節スイッチ76の操作位置に対応して直線的に変更される。この場合、N31<N33と言う大きさの関係となっており、「N33」と「N34」との差に比べて、「N31」と「N33」との差が大きなものとなっている(操作範囲H2での第2設定値N12(実線A5)の変化率に比べて、操作範囲H3での第2設定値N12(実線A5)の変化率が大きなものとなっている)。
【0066】
図13に示すように、感度調節スイッチ76が操作範囲H4に操作されていると、第2設定値N12が「0」に設定されている。このように、感度調節スイッチ76が操作範囲H4に操作されて、第2設定値N12が[0」に設定されると、第1及び第2主変速装置10,11の高速側への操作が行われないことになる。
【0067】
図13に示すように、感度調節スイッチ76が操作範囲H3,H4に操作されていると第1設定値N11が「N32」及び「N35」の範囲で、感度調節スイッチ76の操作位置に対応して直線的に変更される。この場合、0<N31<N32<N33<N34<N35と言う大きさの関係となっており、「N33」と「N34」との差及び「N31」と「N33」との差に比べて、「N32」と「N35」との差が大きなものとなっている(操作範囲H2での第2設定値N12(実線A5)の変化率、及び操作範囲H3での第2設定値N12(実線A5)の変化率に比べて、操作範囲H3,H4での第1設定値N11(実線A4)の変化率が大きなものとなっている)。
【0068】
[11]
次に、前項[7][8][9]に記載の負荷モード(走行モード)の自動変速範囲Rの幅を2段又は3段又は4段に設定する状態について、図10に基づいて説明する。
変速レバー28を中立位置Nに操作した状態において(ステップS81)、設定スイッチ68を負荷モード位置に押し操作した状態でさらにD2方向(図2参照)に長押し操作(例えば3秒以上)すると(ステップS82)、負荷モードの設定モードが設定され(ステップS83)、ブザー71が1回だけ作動し(ステップS84)、変速表示部64に負荷モードの設定モードであることの「L」が表示されて、変速表示部64が点滅する(ステップS85)。
【0069】
変速レバー28を中立位置Nに操作した状態において(ステップS81)、設定スイッチ68を走行モード位置に押し操作した状態でさらにD1方向(図2参照)に長押し操作(例えば3秒以上)すると(ステップS82)、走行モードの設定モードが設定され(ステップS86)、ブザー71が1回だけ作動し(ステップS87)、変速表示部64に走行モードの設定モードであることの「d」が表示されて、変速表示部64が点滅する(ステップS88)。
【0070】
前述のように負荷モードの設定モード又は走行モードの設定モードにおいて、シフトアップボタン61を押し操作すると(ステップS89)、自動変速範囲Rの幅が1段だけ大側に変更され(例えば、2段から3段)(ステップS91)、変更された自動変速範囲Rの幅が変速表示部64に表示されて(「2」又は「3」又は「4」)、変速表示部64が点滅する(ステップS93)。シフトダウンボタン62を押し操作すると(ステップS90)、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が1段だけ小側に変更され(例えば、3段から2段)(ステップS92)、変更された負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が変速表示部64に表示されて(「2」又は「3」又は「4」)、変速表示部64が点滅する(ステップS93)。
【0071】
シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作することにより、所望の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が得られると、設定スイッチ68を負荷モード位置に押し操作した状態でさらにD2方向(図2参照)に長押し操作(例えば3秒以上)する(又は設定スイッチ68を走行モード位置に押し操作した状態でさらにD1方向(図2参照)に長押し操作(例えば3秒以上)する)(ステップS94)。
【0072】
これにより、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が設定され(ステップS95)、設定された負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が変速表示部64に表示されて(「2」又は「3」又は「4」)、変速表示部64が点燈し(ステップS96)、ブザー71が1回だけ作動して(ステップS97)、負荷モードの設定モード及び走行モードの設定モードが終了する。このようにして、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅を設定することができる。
【0073】
[12]
次に、前項[7][8][9]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの変更の前半(前項[11]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅は維持される)について、図11に基づいて説明する。
設定スイッチ68が負荷モード位置(又は走行モード位置)に押し操作されて、変速レバー28を中立位置Nに操作した状態において(ステップS101)、シフトアップボタン61を押し操作すると(ステップS102)、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作され(ステップS104)、シフトダウンボタン62を押し操作すると(ステップS103)、第1及び第2主変速装置10,11が1段低速側に操作される(ステップS105)。この場合、図5のステップS13,S14,S16,S17,S19のような操作は行われず、現在の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置の1〜4速クラッチ21〜24が直ちに遮断側に操作され、現在の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置よりも1段高速側(又は1段低速側)の1〜4速クラッチ21〜24が直ちに伝動側に操作される。
【0074】
前述のように第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側(1段低速側)に操作されると、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され(ステップS106)、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置(負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RH)が変速表示部64に表示されて(ステップS107)、変速表示部64が点燈状態となる(ステップS108)。
【0075】
負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定されると、次に前項[11]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅に基づいて、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが設定される(ステップS109)。例えば4速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定された場合、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が3段であると、2速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される。この場合、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが1速位置よりも低速になる状態では(ステップS110)、1速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される(ステップS111)。
【0076】
[13]
次に、前項[7][8][9]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの変更の後半(前項[11]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅は維持される)について、図11及び図12に基づいて説明する。
設定スイッチ68が負荷モード位置(又は走行モード位置)に押し操作されて、変速レバー28を低速位置L又は高速位置Hに操作した状態において(ステップS101)、シフトアップボタン61を押し操作すると(ステップS121)、前項[7][8][9]に記載の状態(第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの中で低速側及び高速側に自動的に操作される状態)に優先して、図5のステップS13,S16,S17,S19が行われて、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作される(ステップS123)。
【0077】
シフトダウンボタン62を押し操作すると(ステップS122)、図5のステップS14,S16,S17,S19が行われて、前項[7][8][9]に記載の状態(第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの中で低速側及び高速側に自動的に操作される状態)に優先して、第1及び第2主変速装置10,11が1段低速側に操作される(ステップS127)。
【0078】
シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作した場合、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示される(ステップS131)。操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHであると、変速表示部64が点燈状態となるのであり(ステップS132,S133)、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHではないと、変速表示部64が点滅状態となる(ステップS132,S134)。
【0079】
第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHである状態において、シフトアップボタン61が押し操作されて、第1及び第2主変速装置10,11が1段高速側に操作されると、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rから高速側に外れる状態となる。このような状態になると(ステップS121,S123,S124)、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定される(ステップS125)。
【0080】
次に前項[11]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅に基づいて、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLが設定される(ステップS126)。例えば3速位置から4速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定された場合、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が3段であると、1速位置から2速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される(第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHに操作されている状態で、第1及び第2主変速装置10,11が高速側に操作されて、第1及び第2主変速装置10,11の高速側への操作に伴って、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの全体が高速側に操作される状態に相当)。
【0081】
第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLである状態において、シフトダウンボタン62が押し操作されて、第1及び第2主変速装置10,11が1段低速側に操作されると、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rから低速側に外れる状態となる。このような状態になると(ステップS122,S127,S128)、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される(ステップS129)。
【0082】
次に前項[11]に記載の負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅に基づいて、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHが設定される(ステップS130)。例えば2速位置から1速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定された場合、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が3段であると、4速位置から3速位置が負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定される(第1及び第2主変速装置10,11が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLに操作されている状態で、第1及び第2主変速装置10,11が低速側に操作されて、第1及び第2主変速装置10,11の低速側への操作に伴って、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの全体が低速側に操作される状態に相当)。
【0083】
次に操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が変速表示部64に表示されるのであり(ステップS131)、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHであると、変速表示部64が点燈状態となるのであり(ステップS132,S133)、操作後の第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHではないと、変速表示部64が点滅状態となる(ステップS132,S134)。
【0084】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、変速表示部64を7セグメント型式に構成するのではなく、図14(イ)に示すように、変速表示部64を1速位置〜8速位置に対応した8個の表示部64a,64b,64c,64d,64e,64f,64g,64hを備えた液晶型式に構成してもよい。
この場合、前項[12]に記載の状態(設定スイッチ68が負荷モード位置(又は走行モード位置)に押し操作されて、変速レバー28を中立位置Nに操作した状態において、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作する状態)は、変速表示部64において図14(イ)(ロ)に示すようなものとなる。
【0085】
例えば図14(イ)に示すように、第1及び第2主変速装置10,11が5速位置に操作されて、第1及び第2主変速装置10,11の5速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が3段である場合、第1及び第2主変速装置10,11の3速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとなるので、変速表示部64の5,4,3速位置の表示部64e,64d,64cが、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rとして異なる色によって囲まれて、変速表示部64の5速位置の表示部64eが点燈し、変速表示部64の他の表示部64a〜64d,64f〜64hが消灯している。
【0086】
図14(ロ)に示すように、シフトダウンボタン62を押し操作して、第1及び第2主変速装置10,11が4速位置に操作されると、第1及び第2主変速装置10,11の4速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され、第1及び第2主変速装置10,11の2速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとなるのであり、変速表示部64の4,3,2速位置の表示部64d,64c,64bが、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rとして異なる色によって囲まれて、変速表示部64の4速位置の表示部64dが点燈し、変速表示部64の他の表示部64a〜64c,64e〜64hが消灯する。
【0087】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の第2別形態]において、図15(イ)に示すように、変速表示部64を1速位置〜8速位置に対応した8個の表示部64a,64b,64c,64d,64e,64f,64g,64hを備えた液晶型式に構成した場合、前項[13]に記載の状態(設定スイッチ68が負荷モード位置(又は走行モード位置)に押し操作されて、変速レバー28を低速位置L又は高速位置Hに操作した状態において、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作する状態)は、変速表示部64において図15(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)に示すようなものとなる。
【0088】
例えば図15(イ)に示すように、第1及び第2主変速装置10,11が5速位置に操作されて、第1及び第2主変速装置10,11の5速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの幅が3段である場合、第1及び第2主変速装置10,11の3速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとなるので、変速表示部64の5,4,3速位置の表示部64e,64d,64cが、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rとして異なる色によって囲まれて、変速表示部64の5速位置の表示部64eが点燈し、変速表示部64の他の表示部64a〜64d,64f〜64hが消灯している。
【0089】
図15(ロ)に示すように、シフトダウンボタン62を押し操作して、第1及び第2主変速装置10,11が4速位置に操作されると、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RH(5速位置)及び低速側の限度位置RL(3速位置)、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rがそのままで、変速表示部64の4速位置の表示部64dが点滅し、変速表示部64の他の表示部64a〜64c,64e〜64hが消灯する。さらに図15(ハ)に示すように、シフトダウンボタン62を押し操作して、第1及び第2主変速装置10,11が3速位置に操作されると、変速表示部64の3速位置の表示部64cが点滅し、変速表示部64の他の表示部64a,64b,64d〜64hが消灯する。
【0090】
図15(ハ)に示すように、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RL(3速位置)である場合に、図15(ニ)に示すように、シフトダウンボタン62を押し操作して、第1及び第2主変速装置10,11が2速位置に操作されると、第1及び第2主変速装置10,11の2速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定され、第1及び第2主変速装置10,11の4速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定される。変速表示部64の4,3,2速位置の表示部64d,64c,64bが、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rとして異なる色によって囲まれて、変速表示部64の2速位置の表示部64bが点滅し、変速表示部64の他の表示部64a,64c〜64hが消灯する。
【0091】
図15(イ)に示すように、第1及び第2主変速装置10,11の変速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RH(5速位置)である場合に、図15(ホ)に示すように、シフトアップボタン61を押し操作して、第1及び第2主変速装置10,11が6速位置に操作されると、第1及び第2主変速装置10,11の6速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの高速側の限度位置RHとして設定され、第1及び第2主変速装置10,11の4速位置が、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rの低速側の限度位置RLとして設定される。変速表示部64の6,5,4速位置の表示部64f,64e,64dが、負荷モード(又は走行モード)の自動変速範囲Rとして異なる色によって囲まれて、変速表示部64の6速位置の表示部64fが点燈し、変速表示部64の他の表示部64a〜64e,64g,64hが消灯する。
【0092】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、前項[10]及び図13に示すように感度調節スイッチ76が操作範囲H4に操作されていると、第2設定値N12が「0」に設定されるのではなく、操作範囲H3での第2設定値N12(実線A5)が、そのまま直線的に「0」に延出されるように構成してもよい(例えば操作範囲H4の図13の紙面左端が「0」)。これにより、感度調節スイッチ76が操作範囲H4に操作されていても、「高速側への操作領域」が設定される。
【0093】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、前項[10]に記載のように、1つの感度調節スイッチ76により第1及び第2設定値N11,N12が設定されるように構成するのではなく、第1設定値N11を設定及び変更する専用の感度調節スイッチ76と、第2設定値N12を設定及び変更する専用の感度調節スイッチ76とを別々に備えて、第1及び第2設定値N11,N12を各々独立に設定及び変更できるように構成してもよい。
【0094】
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、図1に示す副変速装置12を第2主変速装置11と同様に、油圧多板式の低速クラッチ(図示せず)及び高速クラッチ(図示せず)を並列的に配置して構成し、副変速装置12の低速及び高速クラッチの各々に対して、電磁比例弁(図示せず)を備えるように構成してもよい。このように構成すると、第1及び第2主変速装置10,11、副変速装置12によって1速〜16速の変速位置が設定されることになり、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を押し操作することにより、第1及び第2主変速装置10,11、副変速装置12を、1速〜16速の変速位置に操作することができるように構成する。
【0095】
[発明の実施の第6別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第5別形態]において、図1に示す第1及び第2主変速装置10,11は油圧クラッチ型式に構成されているが、第1及び第2主変速装置10,11を副変速装置12と同様にシフト部材(図示せず)をスライド操作するギヤ変速型式に構成し、シフト部材を油圧シリンダ(図示せず)によりスライド操作して操作するように構成してもよい。
第1及び第2主変速装置10,11が10段や6段に変速可能に構成された作業車、副変速装置12が高速位置、中速位置及び低速位置の3段に変速可能に構成された作業車、第1及び第2主変速装置10,11が静油圧式やベルト式の無段変速装置に構成された作業車にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】ミッションケースの伝動系を示す概略図
【図2】変速レバー、シフトアップボタン及びシフトダウンボタン、設定スイッチと各部との連係状態を示す図
【図3】前進及び後進クラッチ、第1及び第2主変速装置等の油圧回路図
【図4】前後進レバーを操作した際の制御の流れを示す図
【図5】手動モードにおいて、シフトアップボタン及びシフトダウンボタンを押し操作した状態での制御の流れを示す図
【図6】手動モードにおいて、シフトアップボタン及びシフトダウンボタンを押し操作した際の1速〜4速クラッチ、低速及び高速クラッチの状態を示す図
【図7】負荷モードにおいて、第1及び第2主変速装置が自動的に低速側及び高速側に操作される状態での制御の流れを示す図
【図8】走行モードにおいて、第1及び第2主変速装置が自動的に低速側及び高速側に操作される状態での制御の前半の流れを示す図
【図9】走行モードにおいて、第1及び第2主変速装置が自動的に低速側及び高速側に操作される状態での制御の後半の流れを示す図
【図10】負荷モード(走行モード)の自動変速範囲の幅を設定する状態での制御の流れを示す図
【図11】負荷モード(走行モード)の自動変速範囲を変更する状態での制御の前半の流れを示す図
【図12】負荷モード(走行モード)の自動変速範囲を変更する状態での制御の後半の流れを示す図
【図13】感度調節スイッチの操作位置と第1及び第2設定値との関係を示す図
【図14】発明の実施の第1別形態における変速表示部の状態を示す図
【図15】発明の実施の第2別形態における変速表示部の状態を示す図
【符号の説明】
【0097】
1 エンジン
10 走行用の変速装置
61,62 人為操作具
R 自動変速範囲
RH 自動変速範囲の高速側の限度位置
RL 自動変速範囲の低速側の限度位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の変速装置を備え、
エンジンに掛かる負荷に応じて前記走行用の変速装置を、所定の範囲を備えた自動変速範囲で低速側及び高速側に操作する自動変速手段を備えると共に、
前記自動変速範囲の全体を低速側及び高速側に変更可能に構成してある作業車の走行変速構造。
【請求項2】
人為的に操作される人為操作具と、前記人為操作具の操作に基づいて走行用の変速装置を操作する手動変速手段とを備えて、
前記自動変速手段に優先して手動変速手段が作動するように構成すると共に、
前記走行用の変速装置が自動変速範囲の高速側の限度位置に操作されている状態で、前記手動変速手段により走行用の変速装置が高速側に操作されると、前記走行用の変速装置の高速側への操作に伴って自動変速範囲の全体が高速側に操作されるように構成し、
前記走行用の変速装置が自動変速範囲の低速側の限度位置に操作されている状態で、前記手動変速手段により走行用の変速装置が低速側に操作されると、前記走行用の変速装置の低速側への操作に伴って自動変速範囲の全体が低速側に操作されるように構成してある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−226446(P2006−226446A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42303(P2005−42303)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】