説明

作業車の防塵構造

【課題】シール構造を合理的に構成することで、長期間にわたり充分な防塵機能を発揮することが可能となる作業車の防塵構造を提供する。
【解決手段】フレーム15に形成された挿通孔33を挿通する状態で、フレーム15の機体外方側に握り操作部が位置する操作レバー35が備えられ、この操作レバー35は、基端部に備えられた円筒状のボス部37が支軸38に回動自在に支持されて、支軸38の軸芯周りで揺動操作自在に構成され、支軸38がフレーム15に近接する状態で備えられ、ボス部37の外周部における径方向両側に摺接する状態でフレーム15との間の隙間を閉塞するシール部材39が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームに形成された挿通孔を挿通する状態で、前記フレームの機体外方側に握り操作部が位置する操作レバーが備えられ、この操作レバーは、基端部に備えられた円筒状のボス部が支軸に回動自在に支持されて、前記支軸の軸芯周りで揺動操作自在に構成されている作業車の防塵構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例としてのトラクタにおいて、従来では、次のように構成されたものがあった。すなわち、フレームの下方側に離れた箇所に支軸が設けられ、操作レバーがその支軸の軸芯周りで揺動操作自在に支持される構成となっており、フレームに操作レバーの揺動操作方向に沿って長尺状に挿通孔が形成される構成となっていた。そして、長尺状の挿通孔を覆う状態で且つ操作レバーの揺動操作を許容するように操作レバーが挿通するスリット状の溝を形成したゴム製の弾性体を備えるとともに、その弾性体の上部に重なる状態で弾性変形可能なスポンジ等の発泡体を備えて、挿通孔により開放される箇所を閉塞するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−313396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成は、弾性体の上部に重なる状態で弾性変形可能な発泡体が備えられるので、例えば弾性体における挿通孔形成箇所の内縁がめくれ上がって隙間が発生することを抑制することはできるが、弾性体に形成されたスリット状の通過孔の内部を操作レバーが移動操作されるものであり、操作レバーが揺動操作される際に、操作レバーがスリット状の通過孔を挿通する状態で移動するものであるから、操作レバーの移動方向の前後に隙間が形成されてしまい、その箇所から塵埃が通過するおそれがある。
【0005】
又、弾性体及び発泡体のいずれも操作レバーが揺動操作自在に挿通する構成となっていることから、長期間の使用によって操作レバーが繰り返し揺動操作される結果、操作レバーが挿通する箇所における弾性体や発泡体の弾性復元力が経年変化により低下して、そのことによっても隙間が形成されるおそれがある。
【0006】
その結果、上記従来構成によれば、長期間にわたり充分な防塵機能を発揮することができないおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、シール構造を合理的に構成することで、長期間にわたり充分な防塵機能を発揮することが可能となる作業車の防塵構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業車の防塵構造は、フレームに形成された挿通孔を挿通する状態で、前記フレームの機体外方側に握り操作部が位置する操作レバーが備えられ、この操作レバーは、基端部に備えられた円筒状のボス部が支軸に回動自在に支持されて、前記支軸の軸芯周りで揺動操作自在に構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記支軸が前記フレームに近接する状態で備えられ、
前記ボス部の外周部における径方向両側に摺接する状態で前記フレームとの間の隙間を閉塞するシール部材が備えられている点にある。
【0009】
第1特徴構成によれば、操作レバーを支持するための支軸がフレームに近接する状態で備えられて、操作レバーの基端部に備えられた円筒状のボス部が支軸に回動自在に支持される。そして、ボス部の外周部における径方向両側に摺接する状態でフレームとの間の隙間を閉塞するシール部材が備えられる。
【0010】
つまり、シール部材はボス部の外周部とフレームとの間の隙間を閉塞するものであり、フレームに形成された挿通孔により開放される箇所をこのシール部材によって閉塞することができる。そして、このシール部材は、ボス部の外周部における径方向両側に摺接する状態で設けられるものであるから、操作レバーが揺動操作されるに伴ってボス部が回動しても、ボス部の外周部におけるシール部材との摺接箇所と回動軸芯との間の距離は変化しないので、ボス部とシール部材との摺接箇所において隙間が発生することがなく、防塵機能を充分に発揮できるものとなる。
【0011】
又、上記したようにボス部の外周部におけるシール部材との摺接箇所と回動軸芯との間の距離は変化しないので、長期間の使用に伴って操作レバーが繰り返し揺動操作されても、ボス部とシール部材との摺接箇所において、シール部材が操作レバーに押されて変形したり、経年変化により隙間が発生する等のおそれは少ないものとなる。
【0012】
従って、シール構造を合理的に構成することで、長期間にわたり充分な防塵機能を発揮することが可能となる作業車の防塵構造を提供できるに至った。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、前記操作レバーが複数備えられ、
前記複数の操作レバー夫々の前記ボス部が同一の前記支軸にその軸芯方向に近接して並設される状態で回動自在に支持され、
前記シール部材が、前記複数の操作レバーの夫々の前記ボス部に摺接する状態で備えられている点にある。
【0014】
第2特徴構成によれば、複数の操作レバー夫々のボス部が同一の支軸にその軸芯方向に近接して並設され、シール部材が複数の操作レバーの夫々のボス部に摺接する状態で備えられるから、複数の操作レバーに対して一連に連なる状態でシール部材を設けることができ、各操作レバー毎に各別に摺接作用するシール部材を各別に備えるような場合に比べて構成造の簡素化を図ることができる。
【0015】
又、複数の操作レバーを共通の支軸で支持するので、操作レバーの支持構造も簡素なものとなり、しかも、複数の操作レバーの回動支点が同じであるから、複数の操作レバーの操作を同じ操作感覚で良好に行えるものとなる。
【0016】
本発明の第3特徴構成は、車体操縦部の上方を覆うキャビンが備えられ、
前記キャビンの支持枠が、前記車体操縦部の運転座席を載置支持するシート台座部を前記フレームとして一体的に備えて構成され、
前記支軸が前記キャビンの支持枠に固定状態で支持されている点にある。
【0017】
第3特徴構成によれば、車体操縦部の上方がキャビンによって覆われる構成となっており、このキャビンは、前面側に備えられるフロントガラスや横側に備えられる開閉ドア等が支持枠により支持される構成となっているが、車体操縦部の運転座席を載置支持するシート台座部が支持枠に一体的に備えられ、操作レバーを支持するための支軸がキャビンの支持枠に固定状態で支持される構成となっている。
【0018】
操作レバーは操作用の連係機構等を介して機体側の伝動機構と連動連係されるが、その操作レバーを支持する支軸がキャビンの支持枠に固定状態で支持されるので、機体側の伝動機構から駆動に伴う振動が操作用の連係機構等を介して伝わることがあっても、キャビンの支持枠に固定されることで、その振動が操作レバーに伝わり難いものとなる。又、運転座席を載置支持するシート台座部が支持枠に一体的に備えられるから、運転座席の振動も抑制できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】車体操縦部の縦断正面図である。
【図3】車体操縦部の縦断側面図である。
【図4】車体操縦部の平面図である。
【図5】操作レバーの支持部の縦断側面図である。
【図6】操作レバーの支持部の平面図である。
【図7】サスペンション機構の側面図である。
【図8】サスペンション機構の平面図である。
【図9】サスペンション機構の正面図である。
【図10】車体操縦部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明に係る作業車の防塵装置を作業車としてのトラクタに適用した場合について説明する。
図1に示すように、このトラクタは、操向操作及び駆動自在な左右一対の前輪1と、駆動自在な左右一対の後輪2とを備えた走行車体3の前部に、エンジン4等が内装された原動部5を備え、走行車体3の後部に、ステアリングハンドル6、運転座席7等を備えた車体操縦部8が備えられている。又、このトラクタでは、車体操縦部8の上方を覆うキャビンCが備えられている。
【0021】
前記キャビンCの支持枠9は、左右一対の前部ピラー10、左右一対の後部ピラー11、前記各前部ピラー10及び各後部ピラー11の上部に連結されて周方向に枠状に形成される天井フレーム部12、後輪2の上方側に沿って円弧状に迂回する状態で左右両側の前部ピラー10と左右両側の後部ピラー11の下端部同士を連結する左右一対のサイドフレーム部13、各サイドフレーム部13に連結される後輪フェンダー14、左右の後輪フェンダー14同士にわたって設けられるシート台座部としてのシートフレーム部15等を一体的に連結して構成されている。
【0022】
又、図2〜図4にも示すように、キャビンCの支持枠9には、左右の後輪フェンダー14の機体横幅方向内方側箇所における下端部に沿って機体前後方向に延びる状態で一体的に前後支持フレーム部16が備えられている。この前後支持フレーム部16は、機体前部側が運転ステップ部17に沿う低い位置にあり、機体後部側は側面視で階段状に屈曲させて上方側に位置する構成となっている。前後支持フレーム部16における機体後部側箇所は、シートフレーム部15の荷重を支持する構成となっている。
【0023】
図4に示すように、シートフレーム部15には、車体横幅方向中央部に大型のメンテナンス作業用の開口40が形成されているが、このメンテナンス作業用の開口40は、その上方に装着固定される閉塞板41により覆われる構成となっており、運転座席7は、この閉塞板41を介してシートフレーム部15に支持される構成となっている。
【0024】
そして、シートフレーム部15に載置支持される運転座席7は、サスペンション機構18によって弾性的に支持される構成となっている。このサスペンション機構18は、図7〜図9に示すように、シートフレーム部15に固定状態で連結される固定側支持部19に対して、運転座席7が支持される可動側支持部20がリンク式の昇降案内機構21により昇降自在に連結される構成となっており、一対のコイルスプリング22により可動側支持部20を上方に移動付勢するとともに、油圧ダンパー23によって上方及び下方側への急激な移動に対して緩衝作用を発揮する構成となっている。尚、詳述がしないが、運転座席7を支持する座席支持部47は、ロックレバー48を解除することで、可動側支持部20に対して前後にスライド操作させて位置調節することが可能であり、ロックレバー48でロックすることで位置固定させることが可能な構成となっている。
【0025】
左右両側のリンク式の昇降案内機構21は、夫々、長手方向中央部が回動自在に支持される一対の揺動リンク24,25が備えられ、一方の揺動リンク24の一端部が溶接固定された頭付きピン24Aにより固定側支持部19の機体前部側箇所に横向き軸芯周りで回動自在に枢支連結され、他端側に溶接固定された頭付きピン24Bにより可動側支持部20の機体後部側箇所に横向き軸芯周りで回動自在に枢支連結されている。又、他方の揺動リンク25は、前部側端部に溶接固定された頭付きピン25Aにより可動側支持部20の機体前部側箇所に回動自在に枢支連結され、後部側端部が横幅方向に延びる支持ロッド26に枢支連結される構成となっている。
【0026】
図7に示すように、前記支持ロッド26は、左右両側の昇降案内機構21夫々における固定側支持部19の機体前部側箇所に形成された長孔27を挿通する状態で回動自在に且つ長孔27にて規制される所定範囲で前後方向に相対移動自在に支持される構成となっており、又、揺動リンク24の他端側に溶接固定された頭付きピン24Bが可動側支持部20の機体後部側箇所に回動自在に支持される箇所にも同様に長孔27が形成されている。
【0027】
図8に示すように、支持ロッド26と固定側のバネ受け具43とにわたって張設された左右一対のコイルスプリング22により支持ロッド26を前方側に移動付勢する構成となっている。又、機体横幅方向の中央部において、固定側支持部19と可動側支持部20とにわたって油圧ダンパー23が枢支連結されている。尚、バネ受け具43は回動操作自在な回動軸44と図示しないネジ送り機構とにより前後方向の位置を変更調整可能であり、コイルスプリング22の付勢力を変更調節できるようになっている。
【0028】
つまり、長孔27の範囲内で可動側支持部20が水平姿勢を維持しながら上下に移動することが可能であり、上方側へのコイルスプリング22による弾性支持作用と、油圧ダンパー23による上方及び下方側への移動に対する緩衝作用とにより良好なサスペンション機能を得られるようになっている。
【0029】
図1に示すように、キャビンCの天井部28における機体前部側箇所には、キャビンC内の空気の空調を行うエアコン29が備えられ、このエアコン29には、空調に伴って発生するドレン(排水)を車外に排出させるためのドレン配管や電力供給線等を含む空調用の配管30が備えられている。この空調用の配管30は、図1及び図10に示すように、エアコン29からキャビンC内部の空間を通して、天井フレーム部12の横側部、後部ピラー11の横側部、及び、後輪フェンダー14の上部に沿う状態で備えられる構成となっている。
【0030】
空調用の配管30が後輪フェンダー14の上部に沿って配備される箇所では、図10に示すように、操作パネル31によって空調用の配管30の上方を覆うようにしてあり、その操作パネル31の下端部から運転ステップ部17までの間の領域において、操作パネル31に連なって空調用の配管30の上方を覆う内装用カバー体32が備えられている。
【0031】
運転座席7の右側に位置する操作パネル31には、前部側に、フロントローダ操作用の操作レバー46が備えられており、この操作レバー46と図示しないフロントローダ操作用の駆動機構との間が操作ワイヤ(図示せず)にて連動連係されている。そして、この操作ワイヤも内装用カバー体32によって覆い隠すようにしている。尚、内装用カバー体32の下端部は、運転部ステップ17に備えられる吸音用のゴム製マット(図示せず)を挟み込みことで操作ワイヤや配管30などを固定するようにしている。
【0032】
このトラクタでは、シートフレーム部15に形成された挿通孔33を挿通する状態で、シートフレーム部15の機体外方側すなわち上方側に握り操作部34が位置する操作レバー35が備えられ、この操作レバー35は、基端部36に備えられた円筒状のボス部37が支軸38に回動自在に支持されて、支軸38の軸芯周りで揺動操作自在に構成されている。又、支軸38がシートフレーム部15に近接する状態で備えられ、ボス部37の外周部における径方向両側に摺接する状態でシートフレーム部15との間の隙間を閉塞するスポンジ材等からなるシール部材39が備えられている。
【0033】
又、操作レバー35が複数備えられ、複数の操作レバー35夫々のボス部37が同一の支軸38にその軸芯方向に近接して並設される状態で回動自在に支持され、シール部材39が、複数の操作レバー35の夫々のボス部37に摺接する状態で備えられている。
【0034】
説明を加えると、図2〜図4に示すように、運転座席7の車体進行方向に向かって左側(図2は正面視であるから右側に位置する)に3つの操作レバー35が横軸芯周りで前後揺動操作自在に備えられ、運転座席7の車体進行方向に向かって右側に2つの操作レバー35が横軸芯周りで前後揺動操作自在に備えられている。
【0035】
左側に位置する3つの操作レバー35として、走行車体3における伝動機構を内装したミッションケース3Aの変速部(図示せず)に対して連係リンク45aを介して連動連係され、動力取り出し軸(図示せず)の動力入り切りを操作するPTO入切用の操作レバー35a、ミッションケース3Aに対して連係リンク45bを介して連動連係され、動力取り出し軸の変速を行なうPTO変速用の操作レバー35b、及び、走行車体3における走行用伝動機構に備えられる副変速装置(図示せず)に対して連係リンク45cを介して連動連係される副変速用の操作レバー35cが備えられている。
【0036】
図4〜図6に示すように、これら3つの操作レバー35(35a,35b,35c)は、シートフレーム部15に形成された挿通孔33を挿通する状態で、シートフレーム部15の上方側に握り操作部34(34a,34b,34c)が位置する状態で設けられ、各操作レバー35(35a,35b,35c)の基端部36に備えられた円筒状のボス部37(37a,37b,37c)が同一の支軸38に回動自在に外嵌装着される状態で支持されている。
【0037】
右側に位置する2つの操作レバー35として、ミッションケース3Aの制御弁(図示せず)に対して連係リンク45dを介して連動連係され、車体後部に連結される作業装置(図示せず)を昇降操作するための作業装置昇降用の操作レバー35d、及び、ミッションケース3Aの変速部(図示せず)に対して連係リンク45eを介して連動連係され、一定速度で走行させるクルーズ状態とそれを解除する状態とに切り換え自在なクルーズ用の操作レバー35eが備えられている。
【0038】
これら2つの操作レバー35(35d,35e)は、左側の操作レバー35(35a,35b,35c)と同様に、シートフレーム部15に形成された挿通孔33を挿通する状態で、シートフレーム部15の上方側に握り操作部34(34d,34e)が位置する状態で設けられ、各操作レバー35d,35eの基端部36に備えられた円筒状のボス部37(37d,37e)が同一の支軸38に回動自在に外嵌装着される状態で支持されている。
【0039】
図6に示すように、左側に位置する3つの操作レバー35a,35b,35cを支持する支軸38は、左側の前後支持フレーム部16の途中部から機体横幅方向内方側に向かうように片持ち状に固定延設されている。又、シートフレーム部15における支軸38の上方側箇所に対応する位置に支軸38の長手方向に沿って長尺状となるような長孔状の挿通孔33が形成されている。
【0040】
尚、シートフレーム部15には、上述したような大型のメンテナンス作業用の開口40が長孔状の挿通孔33と一連に連なる状態で形成されているが、開口40の上方は閉塞板41により覆われる構成となっており、閉塞板41が取り付けられると長孔状の挿通孔33だけが形成されることになる。
【0041】
3つの操作レバー35a,35b,35c夫々のボス部37a,37b,37cが前記支軸38にその軸芯方向に近接して並設される状態で回動自在に支持される構成となっている。各操作レバー35a,35b,35cは基端側箇所が夫々のボス部37a,37b,37cに溶接固定されており、操作パネル31に形成された各別の案内孔42を挿通すべくボス部37a,37b,37cから異なる方向に延出する構成となっている。
【0042】
そして、図5及び図6に示すように、3つの操作レバー35a,35b,35cの夫々のボス部37a,37b,37cにおける径方向両側に摺接する状態で、且つ、シートフレーム部15の下面側に密接状態でシール部材39が取付けられ、このシール部材39により各ボス部37a,37b,37cとシートフレーム部15との間の隙間を閉塞するように構成されている。
【0043】
図6に示すように、シール部材39は、支軸38の軸芯位置よりも機体前部側に位置する前部側シール単位体39Aと、支軸38の軸芯位置よりも機体後部側に位置する後部側シール単位体39Bとに前後2分割される構成となっており、前部側シール単位体39Aが3つのボス部37a,37b,37cの外周部における前部側箇所に摺接する状態で設けられ、後部側シール単位体39Bが3つのボス部37a,37b,37cの外周部における後部側箇所に摺接する状態で設けられている。
【0044】
説明を加えると、前部側シール単位体39Aと後部側シール単位体39Bの夫々は、ボス部37a,37b,37cに対応する左側(図6では下側)箇所39A1,39B1では、3つのボス部37a,37b,37cの外周部に摺接する状態となっており、又、ボス部37a,37b,37cが存在しない支軸38の先端部外方側の箇所39A2,39B2は、ボス部37a,37b,37cの外周部よりも互いに近付く方向に延設されており、前部側シール単位体39Aと後部側シール単位体39Bとが突合せて接する状態で設けられ、挿通孔33を閉塞して各ボス部37a,37b,37cとシートフレーム部15との間に隙間が生じないように構成されている。
【0045】
図2〜図6に示すように、左側に位置するシール部材39は開口41の機体前後幅よりも広幅に形成され、右側に位置するシール部材39も開口41の機体前後幅に近い広幅に形成されており、防塵機能に加えて、ミッションケース3A等から発生する機体振動が運転座席7に伝わり難くなるように構成されている。
【0046】
尚、図示はしないが、運転座席7の右側に位置する2つの操作レバー35d,35eについても、左側の3つの操作レバー35a,35b,35cと同様な構成のシール部材39によって、ボス部37d,37eとシートフレーム部15との間を閉塞する構成となっている。そして、右側に位置する支軸38と左側に位置する支軸38は同一軸芯上に位置する状態で設けられる構成となっている。
但し、このような構成に代えて、右側に位置する支軸38と左側に位置する支軸38とを互いに異なる軸芯位置となるように設けるものでもよい。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、車体操縦部8の外方を覆うキャビンCを備える構成を示したが、キャビンCを備えない構成の作業車であってもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、シール部材39が前後に2分割される構成としたが、分割することなく一体的に形成された1つの単位体にてシール部材39を構成するものでもよく、又、3分割以上に分割形成されるものでもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、複数の操作レバー35(35a,35b,35c)夫々のボス部37(37a,37b,37c)が同一の支軸38にその軸芯方向に近接して並設される構成を示したが、1つの支軸38に1つの操作レバー35のボス部37を回動自在に備える構成としてもよい。
【0050】
(4)上記実施形態では、作業車としてトラクタを示したが、トラクタに限らず、コンバインや乗用型田植機等の他の種類の作業車であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、フレームに形成された挿通孔を挿通する状態で、フレームの機体外方側に握り操作部が位置する操作レバーが備えられた作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
7 運転座席
8 車体操縦部
9 支持枠
15 フレーム(シート台座部)(シートフレーム部)
33 挿通孔
34 握り操作部
35 操作レバー
36 基端部
37 ボス部
38 支軸
39 シール部材
C キャビン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに形成された挿通孔を挿通する状態で、前記フレームの機体外方側に握り操作部が位置する操作レバーが備えられ、この操作レバーは、基端部に備えられた円筒状のボス部が支軸に回動自在に支持されて、前記支軸の軸芯周りで揺動操作自在に構成されている作業車の防塵構造であって、
前記支軸が前記フレームに近接する状態で備えられ、
前記ボス部の外周部における径方向両側に摺接する状態で前記フレームとの間の隙間を閉塞するシール部材が備えられている作業車の防塵構造。
【請求項2】
前記操作レバーが複数備えられ、
前記複数の操作レバー夫々の前記ボス部が同一の前記支軸にその軸芯方向に近接して並設される状態で回動自在に支持され、
前記シール部材が、前記複数の操作レバーの夫々の前記ボス部に摺接する状態で備えられている請求項1記載の作業車の防塵構造。
【請求項3】
車体操縦部の上方を覆うキャビンが備えられ、
前記キャビンの支持枠が、前記車体操縦部の運転座席を載置支持するシート台座部を前記フレームとして一体的に備えて構成され、
前記支軸が前記キャビンの支持枠に固定状態で支持されている請求項1又は2記載の作業車の防塵構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−107600(P2013−107600A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256518(P2011−256518)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】