説明

作業車両の制御装置

【課題】作業を容易に開始することができる作業車両の制御装置を提供する。
【解決手段】走行ペダルが非操作(PT≦PT1)で回転数Nが所定値N1以下の状態が所定時間継続されると、ブレーキロックと同時にラムシリンダをロックするようにしたので、煩雑なスイッチ操作をすることなくラムシリンダをロックすることができ、作業を容易に開始することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールショベル等に設けられる油圧ブレーキの作動を制御する作業車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホイールショベル等の作業車両には、ブレーキペダルの操作によりブレーキバルブを駆動してブレーキ力を付与するサービスブレーキが設けられる。このブレーキは、作業時に作業ブレーキとして用いることができ、その場合にはブレーキスイッチの操作によりサービスブレーキを継続して動作させる。すなわちブレーキを油圧ロックする。この種のブレーキ装置については、例えば以下の先行技術文献に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−184169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようにブレーキスイッチの操作によりブレーキをロックする場合、オペレータが操作レバーから手を離してブレーキスイッチを操作する必要があり、操作が煩雑となって好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による作業車両の制御装置は、走行時にブレーキペダルの操作に応じたブレーキ力を発生する油圧ブレーキと、油圧ブレーキを油圧ロックする、および油圧ロックを解除するブレーキロック手段と、車両の車輪または車軸を支持する油圧シリンダと、油圧シリンダを油圧ロックする、および油圧ロックを解除するシリンダロック手段と、ブレーキペダルの操作を検出するブレーキペダル操作検出手段と、ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの予め設定された踏み込み操作(以下、設定踏み込み操作)が検出されると、油圧ブレーキを油圧ロックするようにブレーキロック手段を制御するとともに、油圧ブレーキが油圧ロックされると、油圧シリンダを油圧ロックするようにシリンダロック手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車両の制御装置において、車速を検出する車速検出手段をさらに備え、制御手段は、ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの設定踏み込み操作が検出され、かつ車速検出手段により車両の停止もしくは所定速度以下の走行が検出されると、油圧ブレーキを油圧ロックするようにブレーキロック手段を制御することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載の作業車両の制御装置において、走行ペダルの操作を検出する走行ペダル操作検出手段と、車速を検出する車速検出手段とをさらに備え、制御手段は、走行ペダル操作検出手段により走行ペダルの非操作が検出され、かつ、車速検出手段により車両の停止もしくは所定速度以下の走行が検出されると、油圧シリンダを油圧ロックするようにシリンダロック手段を制御することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の作業車両の制御装置において、制御手段は、走行ペダル操作検出手段により走行ペダルの非操作が検出され、かつ、車速検出手段により車両の停止もしくは所定速度以下の走行が検出された状態が所定時間継続すると、油圧シリンダを油圧ロックするようにシリンダロック手段を制御することを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、制御手段は、油圧ブレーキを油圧ロックした後、ブレーキペダル操作検出手段により設定踏み込み操作以外が検出され、その後、設定踏み込み操作が検出されると、油圧ブレーキの油圧ロックを解除するようにブレーキロック手段を制御することを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、制御手段により油圧ブレーキをロックする自動ロックモードと、制御手段によらずに油圧ブレーキをロックする手動ロックモードとを切り換えるモード切換手段を有することを特徴とする。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、ブレーキペダルの操作によらず、油圧ブレーキを継続して動作させてブレーキを油圧ロック状態とする作業ブレーキの作動、解除と、駐車ブレーキの作動、解除とを選択する選択部材を有し、制御手段は、選択手段により作業ブレーキが選択されたとき、および選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択された状態でブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの設定踏み込み操作が検出されると油圧ブレーキを油圧ロックし、その後、選択部材により駐車ブレーキの作動が選択されるか、または選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの作動が選択され、その後、作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択されると油圧ブレーキの油圧ロックを解除するようにブレーキロック手段を制御することを特徴とする。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、ブレーキペダルの操作によらず、油圧ブレーキを継続して動作させてブレーキを油圧ロック状態とする作業ブレーキの作動、解除と、駐車ブレーキの作動、解除とを選択する選択部材を有し、制御手段は、選択手段により作業ブレーキが選択されたとき、および選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択された状態でブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの設定踏み込み操作が検出されると油圧ブレーキを油圧ロックし、その後、選択部材により駐車ブレーキの作動が選択されるか、または選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの作動が選択され、その後、作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択されると油圧ブレーキの油圧ロックを解除するとともに、油圧ブレーキを油圧ロックした後、油圧シリンダが油圧ロックされると油圧ブレーキの油圧ロックが解除されない限り油圧シリンダの油圧ロックを解除しないようにブレーキロック手段およびシリンダロック手段を制御することを特徴とする。
(9) 請求項9の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、制御手段は、ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの予め設定された踏み込み操作が検出されると、油圧ブレーキを油圧ロックし、その後、油圧シリンダが油圧ロックされると油圧ブレーキの油圧ロックが解除されない限り油圧シリンダの油圧ロックを解除しないようにブレーキロック手段およびシリンダロック手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ブレーキペダルの予め設定された踏み込み操作が検出されると、油圧ブレーキを油圧ロックするとともに、車両の車輪または車軸を支持する油圧シリンダを油圧ロックするようにしたので、ブレーキスイッチの切換等の煩雑な操作が不要であり、操作レバーから手を離すことなく容易にブレーキロックおよびシリンダロックすることができ、作業を容易に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る作業車両の制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図2】図1の制御装置の構成を示すブロック図。
【図3】図2の要部詳細を示すブロック図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る作業車両の制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図5】図4の制御装置の構成を示すブロック図。
【図6】図5の要部詳細を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
以下、図1〜図3を参照して本発明による作業車両の制御装置の第1の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態に係る制御装置は油圧ブレーキを制御する。図1は、第1の実施の形態に係る制御装置の全体構成を示す油圧回路図である。油圧ブレーキは、例えばホイールショベル等、タイヤを装備して一般道路を走行する作業車両に設けられ、走行時にブレーキペダル1の操作量に応じたブレーキ力を発生するサービスブレーキである。図1において、ブレーキバルブ2はブレーキペダル1の操作により切り換えられ、油圧源3からの圧油はブレーキバルブ2を介してブレーキシリンダ4,5に導かれる。これによりブレーキシリンダ4,5がストロークして図示しないブレーキディスクが駆動され、車両を停止もしくは減速させるようなブレーキ力が付与される。なお、ブレーキシリンダ4,5はそれぞれ前輪用および後輪用のブレーキシリンダである。
【0009】
ブレーキバルブ2のパイロットポートは電磁切換弁6を介してパイロット油圧源(油圧ポンプ7)またはタンクに接続されている。電磁切換弁6は制御装置10からの信号、すなわち後述するブレーキ作動信号により位置イに切り換えられ、ブレーキ解除信号により位置ロに切り換えられる。
【0010】
電磁切換弁6が位置イに切り換えられると油圧ポンプ7からのパイロット圧がブレーキバルブ2のパイロットポートに作用する。これによりブレーキバルブ2は位置イに切り換えられ、油圧源3からの圧油がブレーキシリンダ4,5にそれぞれ作用し、サービスブレーキが油圧ロックする。なお、油圧ロックとは、ブレーキペダル1の操作に拘わらず油圧源3からの圧油をシリンダ4,5に作用させて、油圧ブレーキの作動を継続させた状態をいう。この油圧ロック状態ではブレーキペダル1の操作は不要であり、油圧ロックされたブレーキは作業ブレーキとして機能する。一方、電磁切換弁6が位置ロに切り換えられるとブレーキバルブ2のパイロットポートにタンク圧が作用する。これによりブレーキバルブ2は位置ロに切り換えられ、ブレーキシリンダ4,5にそれぞれタンク圧が作用し、作業ブレーキが解除(油圧ロックが解除)される。
【0011】
図2は制御装置10の構成を示すブロック図である。制御装置10には車速と相関関係を有するトランスミッションの回転数Nを検出する回転数センサ21と、ブレーキシリンダ4,5に作用する圧力、すなわちブレーキペダル1の操作圧PBを検出する圧力センサ22と、ブレーキペダル1の下方に設けられ、ブレーキペダル1の所定以上の踏み込み操作を検出する近接スイッチ23と、ブレーキロックを自動で行うか手動で行うかを選択する切換スイッチ24と、駐車ブレーキと作業ブレーキの作動,解除を選択するブレーキスイッチ25とがそれぞれ接続されている。
【0012】
近接スイッチ23は、ブレーキペダル1が最大に踏み込み操作されるとオンし、最大踏み込み操作をやめるとオフする。切換スイッチ24は自動位置に切り換えられるとオンし、手動位置に切り換えられるとオフする。ブレーキスイッチ25はオフ位置、駐車位置、および作業位置に切換可能であり、オフ位置に切り換えられると作業ブレーキ(図1)と駐車ブレーキ(不図示)とを解除し、駐車位置に切り換えられると駐車ブレーキを作動し、作業位置に切り換えられると作業ブレーキを作動する。
【0013】
各センサ21,22および各スイッチ23〜25からの信号は制御装置10の入力回路11に入力される。入力回路11はブレーキスイッチ25の切換位置を判定する。ブレーキスイッチ25がオフ位置に切り換えられると、前回ブレーキ出力判定回路12で前回のブレーキ出力がオンかオフかを判定する。この判定はロック解除判定回路13およびブレーキロック判定回路14からの信号により行う。そして、前回のブレーキ出力がオフと判定されるとブレーキロック判定回路14で後述するブレーキロック判定処理を行い、オンと判定されるとロック解除判定回路13で後述するロック解除判定処理を行う。
【0014】
切換回路15ではブレーキスイッチ25および判定回路13,14からの信号に応じてスイッチを位置aまたは位置bに切り換える。すなわちブレーキスイッチ25がオフ位置で判定回路13,14からオン信号が出力されると切換回路15のスイッチを位置aに切り換え、判定回路13,14からオフ信号が出力されると位置bに切り換える。ブレーキスイッチ25が駐車位置に切り換えられると判定回路13,14からの信号に拘わらず切換回路15のスイッチを位置bに切り換え、作業位置に切り換えられると判定回路13,14からの信号に拘わらず位置aに切り換える。切換回路15のスイッチが位置aに切り換えられると出力回路16からブレーキ作動信号が出力され、位置bに切り換えられると出力回路17からブレーキ解除信号が出力される。
【0015】
図3(a)はロック解除判定回路13における処理の詳細を示すブロック図であり、図3(b)はブレーキロック判定回路14における処理の詳細を示すブロック図である。図3(b)に示すようにブレーキロック判定回路14はブレーキフラグのオンオフ、切換スイッチ24のオンオフ、トランスミッションの回転数N、ブレーキペダル1の操作圧PB、およびタイマの計時時間に応じてブレーキオン信号またはブレーキオフ信号を出力する。すなわちブレーキフラグがオフでブレーキ操作圧PBが所定値PB1未満のとき、ブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグをオンする(14a)。所定値PB1はブレーキペダル1が最大に踏み込まれたときの操作圧力に相当する。ブレーキフラグがオフでブレーキ操作圧PBが所定値PB1以上のとき、ブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグをオフする(14b)。このブレーキフラグはブレーキペダル1の操作によってブレーキが油圧ロック状態または解除状態になったとき、そのブレーキペダル1の継続操作によってブレーキが不用意に再び解除状態またはロック状態になるのを防止するもので、その詳細については後述する。
【0016】
ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオフ(手動)のとき、および切換スイッチ24がオン(自動)であっても回転数Nが所定値N2より大きいときは、ブレーキオフ信号を出力し、タイマをリセットする(14c,14d)。ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオンのとき、回転数Nが所定値N1より大きく、かつ所定値N2以下のときは、ブレーキオフ信号を出力する(14e)。なお、所定値N1は低速走行時の車速(例えば5km/h程度)に相当し、所定値N2は低速走行より速い車速(例えば10km/h程度)に相当する。ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオン、かつ、回転数Nが所定値N1以下でブレーキ操作圧PBが所定値PB1未満のとき、ブレーキオフ信号を出力し、タイマをリセットする(14f)。ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオン、かつ回転数Nが所定値N1以下でブレーキ操作圧PBが所定値PB1以上のとき、ブレーキオフ信号を出力するとともにタイマを起動する(14g)。そして、この状態が所定時間継続するとブレーキオン信号を出力し、ブレーキフラグをオフする(14h)。
【0017】
図3(a)に示すようにロック解除判定回路13はブレーキフラグのオンオフ、切換スイッチ24のオンオフ、近接スイッチ23のオンオフ、およびタイマの計時時間に応じてブレーキオン信号またはブレーキオフ信号を出力する。すなわちブレーキフラグがオフで近接スイッチ24がオフのとき、ブレーキオン信号を出力し、ブレーキフラグをオンする(13a)。ブレーキフラグがオフで近接スイッチ24がオンのとき、ブレーキオン信号を出力し、ブレーキフラグをオフする(13b)。
【0018】
ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオフのとき、ブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグをオフする(13c)。ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオン、かつ近接スイッチ23がオフのとき、ブレーキオン信号を出力し、タイマをリセットする(13d)。ブレーキフラグがオンで切換スイッチ24がオン、かつ近接スイッチ23がオンのとき、ブレーキオン信号を出力するとともにタイマを起動する(13e)。そして、この状態が所定時間継続するとブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグをオフする(13f)。
【0019】
次に、第1の実施の形態に係る制御装置の主要な動作を説明する。
まず、初期状態としてブレーキが油圧ロックされていない状態(解除)(例えば、キースイッチオンでエンジンが駆動する前の状態(非駆動状態)、ブレーキフラグもオフ)から説明する。この状態からブレーキを油圧ロックする場合は、図3(b)による。初期状態では、ブレーキフラグはオフであり、ブレーキペダル1が非操作であればブレーキ操作圧PBは所定値PB1未満である。このため、ブレーキオフ信号が出力され、ブレーキフラグはオンとなる(14a)。また、この初期状態でたとえブレーキペダル1を操作した状態であっても、エンジン駆動前の状態であり、ブレーキ操作圧PBが立たないため、(14a)の状態が選択される。なお、(14b)は、エンジンの駆動時に後述するブレーキの油圧ロックが解除したとき(13f)にブレーキペダル1の操作が継続された場合に、その操作の継続によって再び油圧ロックがかかることを防止するために設けられるものであり、詳細は後述する。
【0020】
初期状態からエンジンが駆動し、この状態で通常走行をする場合、切換スイッチ24を手動位置に切り換え、ブレーキスイッチ25をオフ位置に切り換える。これによりブレーキロック判定回路14からブレーキオフ信号が出力され、タイマはリセットされる(14c)。そして、制御装置10の出力回路17からブレーキ解除信号が出力され、電磁切換弁6が位置ロに切り換えられる。このためブレーキバルブ2にはパイロット圧が作用することなく、ブレーキロック(作業ブレーキ)が解除される。この場合、ブレーキバルブ2はブレーキペダル1の操作量に応じて位置イ側に切り換えられ、サービスブレーキを作動することができる。この通常走行時等、作業ブレーキの自動制御を行わない場合は、ブレーキロック判定回路14は(14c)の状態にある。
【0021】
駐車ブレーキを作動する場合にはブレーキスイッチ25を駐車位置に切り換える。これにより切換回路15のスイッチが強制的に位置bに切り換えられ、制御装置10の出力回路17からブレーキ解除信号が出力される。その結果、作業ブレーキが解除され、駐車ブレーキが作動する。手動で作業ブレーキを作動する場合にはブレーキスイッチ25を作業位置に切り換える。これにより切換回路15のスイッチが強制的に位置aに切り換えられ、制御装置10の出力回路16からブレーキ作動信号が出力される。その結果、作業ブレーキが作動し、駐車ブレーキが解除される。
【0022】
一方、作業ブレーキを自動制御する場合は、切換スイッチ24を自動位置に切り換える。前述したように(14a)により、ブレーキフラグはオン、切換スイッチ24がオンとなり、回転数Nおよびブレーキペダル1の操作状態(PB)に応じて(14h〜14d)が出力される。そしてブレーキペダル1が最大に踏み込み操作されていなければ、回転数Nに応じて(14f〜14d)が選択され、いずれの場合もブレーキオフ信号が出力され、電磁切換弁6が位置ロに切り換えられる。このためブレーキバルブ2が位置ロに切り換えられ、作業ブレーキが解除される。そして、回転数NがN1以下状態でブレーキペダル1を最大に踏み込み操作するとタイマが起動し(14g)、所定時間その踏み込み状態が継続されるとブレーキオン信号が出力され、ブレーキフラグがオフされる(14h)。その結果、電磁切換弁6が位置イに切り換えられ、ブレーキバルブ2が位置イに切り換えられて作業ブレーキが作動する。このため走行を終了して作業を開始する際にブレーキスイッチ25を操作する必要がなく、煩雑な操作が不要となる。
【0023】
なお、タイマの計時中にブレーキペダル1の操作をやめるとタイマがリセットされ(14f)、その後、ブレーキペダル1が最大踏み込み操作されるとタイマが起動する。また、回転数Nが所定値N1を越えるとタイマのカウントが停止し(14e)、所定値N2以上になるとタイマがリセットされる(14d)。切換スイッチ24をオフしたときもタイマがリセットされる(14c)。ブレーキスイッチ25をオフ位置以外に操作し、再びオフ位置に操作したときは、ブレーキロックの制御自体がリセットされる。
【0024】
ブレーキロック判定回路14の処理によりブレーキがロックすると(14h)、そのロック状態にあるブレーキの解除を判定するロック解除判定回路13からブレーキのロック状態維持(ブレーキオン信号)およびロック状態解除(ブレーキオフ信号)が出力される(13a〜13f)。ブレーキロック判定回路14によるブレーキロックの状態(14h)では、ブレーキフラグはオフされているので、ブレーキフラグオフの状態でロック解除判定回路13に入る。そしてブレーキのロック解除動作、すなわちブレーキペダル1の最大踏み込み操作がなされていないときは、近接スイッチ23はオフし、ブレーキオン信号が出力されてブレーキのロック状態は維持され、ブレーキフラグがオンする(13a)。そしてブレーキロックを解除するべく、ブレーキペダル1を最大に踏み込み操作すると近接スイッチ23がオンするので、切換スイッチ24がオンであればタイマが起動し(13e)、所定時間が計時されるとブレーキオフ信号が出力され、ブレーキフラグがオフされる(13f)。その結果、電磁切換弁6が位置ロに切り換えられ、ブレーキロックが解除される。このため作業を終了して走行を開始する際にブレーキスイッチ25を操作する必要がなく、煩雑な操作が不要となる。また、切換スイッチ24がオフされてもブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグをオフする(13c)
【0025】
なお、タイマの計時中にブレーキペダル1の操作をやめると近接スイッチ23がオフしてタイマがリセットされる(13d)。その後、ブレーキペダル1が最大に踏み込み操作されると近接スイッチ23がオンしてタイマが起動する。ブレーキスイッチ25をオフ位置以外に操作し、再びオフ位置に操作したときはブレーキロックの制御自体がリセットされる。
【0026】
ブレーキロック判定回路14により、ブレーキペダル1の操作によってブレーキロック状態になったとき(14h、ブレーキフラグオフ)、そのままブレーキペダル1の踏み込み操作が継続された場合は、ロック解除判定回路13で、ブレーキフラグオフ、近接スイッチ23がオンとして、ブレーキロック状態が継続するようにブレーキオン信号を出力し、ブレーキフラグをオフ(13b)して、ブレーキロックが解除されないようにしている。そして、この状態からブレーキペダル1の操作をやめると、ロック解除判定回路13で再び、ブレーキフラグオフ、近接スイッチ23がオフとしてブレーキオン信号を出力し、ブレーキフラグをオン(13a)してブレーキロック状態を維持しつつ、上述のように解除判定が行われる。
【0027】
また、ロック解除判定回路13により、ブレーキペダル1の操作によってロック解除状態となったとき(13f、ブレーキフラグオフ)、そのままブレーキペダル1の踏み込み操作が継続された場合は、ブレーキロック判定回路14で、ブレーキフラグオフ、ブレーキ操作圧PBが所定値PB1以上として、ブレーキロック解除状態が継続するようにブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグをオフ(14b)してブレーキがロックされないようにしている。そしてこの状態からブレーキペダル1の操作をやめると、ロック判定回路14で再び、ブレーキフラグオフ、ブレーキ操作圧PBが所定値PB1未満としてブレーキオフ信号を出力し、ブレーキフラグオン(14a)としてロック解除状態を維持しつつ上述のようにロック判定が行われる。
【0028】
以上の第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)圧力センサ22および近接スイッチ23によりブレーキペダル1の最大踏み込み操作を検出し、ブレーキペダル1の最大踏み込み操作を条件として油圧ブレーキを自動的にロックするとともに、ブレーキロックを自動的に解除するようにした。すなわちブレーキスイッチ25がオフ位置、切換スイッチ24がオン、回転数Nが所定値N1以下、かつブレーキペダル1が最大踏み込み操作された状態(ブレーキロック作動条件成立)が所定時間継続されるとブレーキをロックするようにした。また、ブレーキスイッチ25がオフ位置、切換スイッチ24がオン、かつブレーキペダル1が最大踏み込み操作された状態(ブレーキロック解除条件成立)が所定時間継続されるとブレーキロックを解除するようにした。これにより操作レバーから手を離すことなくペダル操作のみによって作業ブレーキを作動および解除することができ、煩雑な操作が不要となる。
【0029】
(2)回転数Nが所定値N1以下、すなわち車速が所定値(5km/h)以下をロック作動条件としたので、低速走行時以外ではブレーキがロックされることはなく、車両の急停止を防止できる。
(3)ロック作動条件が所定時間継続したとき、およびロック解除条件が所定時間継続したときに作業ブレーキを作動および解除するようにした。これにより瞬間的に条件が成立した場合であってもブレーキがロックおよび解除することはなく、不所望な作業ブレーキの作動を防止できる。
(4)ブレーキがロックしている状態では、近接スイッチ23によりブレーキペダル1の最大踏み込み操作を検出するので、ブレーキシリンダ4,5に作用する圧力が最大の場合でも最大踏み込み操作を検出することができる。
(5)ブレーキロックが解除されている状態では、圧力センサ22によりブレーキペダル1の最大踏み込み操作を検出するので、ロック作動条件としてのペダル操作量とロック解除条件としてのペダル操作量とを異なった値に設定することができる。例えば、ロック作動条件としてのペダル操作量をロック解除条件としてのペダル操作量よりも大きな値に設定することができる。
(6)切換スイッチ24が自動位置に切り換えられるとブレーキを自動ロックし(自動ロックモード)、手動位置に切り換えられるとブレーキロックの自動ロックを中止するようにした(手動ロックモード)。これによりオペレータの好みにより手動でブレーキをロックおよび解除することができる。
(7)ブレーキスイッチ25の操作によりブレーキロックの自動制御をリセットするようにしたので、リセットスイッチを省略することができる。
【0030】
−第2の実施の形態−
図4〜図6を参照して本発明による作業車両の制御装置の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態のブレーキロックの制御に加え、ラムシリンダを制御する。図4は、第2の実施の形態に係るラムシリンダ制御装置の全体構成を示す油圧回路図である。この制御装置は図1のブレーキ装置とともにホイールショベル等の作業車両に設けられる。
【0031】
図4に示すように車両の左右両側にタイヤ31を装備したアクスル32と車体フレーム(不図示)の間には伸縮可能な左右一対のラムシリンダ33が介装されている。ラムシリンダ33は、シリンダチューブ側が車体フレームにピン等により連結され、シリンダロッド側はその先端がピン等で連結されずにアクスル32に当接するように設けられる。そしてこのラムシリンダ33を後述するようにロックすることでアクスル32の揺動を禁止してアクスル32を支持する。各ラムシリンダ33はそれぞれパイロットチェック弁34を介してタンクに接続されている。各パイロットチェック弁34のパイロットポートは電磁切換弁35を介してパイロット油圧源(油圧ポンプ36)またはタンクに接続されている。電磁切換弁35は制御装置40からの信号、すなわちロック解除信号により位置イに切り換えられ、ロック作動信号により位置ロに切り換えられる。
【0032】
電磁切換弁35が位置イに切り換えられると油圧ポンプ36からのパイロット圧がパイロットチェック弁34のパイロットポートに作用する。これによりパイロットチェック弁34は開放弁として機能し、ラムシリンダ33の伸縮が許容される(ロック解除)。ラムシリンダ33がロック解除状態にあるとき、シリンダ33はタンクと連通し、アクスル32の揺動に追従して伸縮する。一方、電磁切換弁35が位置ロに切り換えられるとパイロットチェック弁34のパイロットポートにはタンク圧が作用する。これによりパイロットチェック弁34はチェック弁として機能し、ラムシリンダ33の伸縮が禁止される(ロック作動)。ラムシリンダ33がロック作動状態にあるとき、シリンダ33とタンクとが遮断され、シリンダ33の伸縮を禁止するとともにアクスル32の揺動を禁止する。これにより車両の揺れを防止し、安定した掘削作業等を行うことができる。
【0033】
図5は制御装置40の構成を示すブロック図である。なお、図2と同一の箇所には同一の符号を付す。制御装置40には走行ペダル(アクセルペダル)の操作量に応じた圧力PTを検出する圧力センサ51と、回転数センサ21と、切換スイッチ24と、ブレーキスイッチ25と、制御装置10とがそれぞれ接続されている。これらセンサ51,21およびスイッチ24,25からの信号と、制御装置10からのブレーキ信号(ブレーキ作動信号、ブレーキ解除信号)はそれぞれ制御装置40の入力回路41に入力される。
【0034】
入力回路41はブレーキスイッチ25の切換位置を判定する。ブレーキスイッチ25がオフ位置に切り換えられると、前回ラムロック出力判定回路42で前回のラムロック出力がオンかオフかを判定する。この判定はロック解除判定回路43およびラムロック判定回路44からの信号により行う。そして、前回のラムロック出力がオフと判定されるとラムロック判定回路44で後述するラムロック判定処理を行い、オンと判定されるとロック解除判定回路43で後述するロック解除判定処理を行う。
【0035】
切換回路45ではブレーキスイッチ25および判定回路43,44からの信号に応じてスイッチを位置aまたは位置bに切り換える。すなわちブレーキスイッチ25がオフ位置で判定回路43,44からオン信号が出力されると切換回路45のスイッチを位置aに切り換え、判定回路43,44からオフ信号が出力されると位置bに切り換える。ブレーキスイッチ25が駐車位置または作業位置に切り換えられると判定回路43,44からの信号に拘わらず切換回路45のスイッチを位置aに切り換える。切換回路45のスイッチが位置aに切り換えられると出力回路46からラムロック作動信号が出力され、位置bに切り換えられると出力回路47からラムロック解除信号が出力される。
【0036】
図6(a)はロック解除判定回路43における処理の詳細を示すブロック図であり、図6(b)はラムロック判定回路44における処理の詳細を示すブロック図である。図6(b)に示すようにラムロック判定回路44は切換スイッチ24のオンオフ、走行ペダルの操作圧PT、トランスミッションの回転数N、およびタイマの計時時間に応じてラムロックオン信号またはラムロックオフ信号を出力する。すなわち切換スイッチ24がオフ(手動)のとき、ラムロックオフ信号を出力し、タイマをリセットする(44a)。切換スイッチ24がオン(自動)で走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1より大きいときはラムロックオフ信号を出力し、タイマをリセットする(44b)。所定値PT1は走行ペダルの操作/非操作を判定するような値に設定される。
【0037】
切換スイッチ24がオンで走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1以下(走行ペダル非操作)のとき、回転数Nが所定値N2より大きければラムロックオフ信号を出力し、タイマをリセットする(44c)。切換スイッチ24がオンで走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1以下のとき、回転数Nが所定値N1より大きくかつ所定値N2以下であれば、ラムロックオフ信号を出力する(44d)。切換スイッチ24がオンで走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1以下のとき、回転数Nが所定値N1以下であれば(停車もしくは低速走行)、ラムロックオフ信号を出力し、タイマを起動する(44f)。そして、この状態が所定時間継続するとラムロックオン信号を出力する(44g)。なお、所定時間は、例えばブレーキ作動時の所定時間(図3の14h)に等しく設定される。
【0038】
図6(a)に示すようにロック解除判定回路43はブレーキ出力のオンオフ、切換スイッチ24のオンオフ、走行ペダルの操作圧PT、およびタイマの計時時間に応じてラムロックオン信号またはラムロックオフ信号を出力する。すなわち切換スイッチ24がオフのとき、ラムロックオフ信号が出力される(43a)。切換スイッチ24がオンのとき、走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1以下であれば、ラムロックオン信号を出力し、タイマをリセットする(43b)。
【0039】
切換スイッチ24がオンで走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1より大きければ、ラムロックオン信号を出力し、タイマを起動する(43c)。タイマが所定時間を計時したとき、ブレーキオン信号(ブレーキ作動信号)が出力されていれば、ラムロックオン信号を出力し(43d)、ブレーキオフ信号(ブレーキ解除信号)が出力されていれば、ラムロックオフ信号を出力する(43e)。なお、所定時間は、例えばブレーキ解除時の所定時間(図3の13f)と等しく設定される。
【0040】
次に、第2の実施の形態に係る制御装置の主要な動作を説明する。
通常走行時には切換スイッチ24を手動位置に切り換え、ブレーキスイッチ25をオフ位置に切り換える。これにより第1の実施の形態と同様、作業ブレーキが解除され、ブレーキペダル1の操作量に応じたサービスブレーキを作動することができる。このとき、ラムロック判定回路44からラムロックオフ信号が出力され、タイマがリセットされる(44a)。そして制御装置40の出力回路47からラムロック解除信号が出力され、電磁切換弁35が位置イに切り換えられる。このためパイロットチェック弁34のパイロットポートに油圧ポンプ36からのパイロット圧が作用し、ラムロックが解除される。その結果、ラムシリンダ33の伸縮が許容され、ラムシリンダ33はアクスル32の揺動に追従して伸縮する。
【0041】
切換スイッチ24を手動位置に切り換えた状態で、ブレーキスイッチ25を作業位置に切り換えると作業ブレーキが作動する。このとき入力回路41からの信号により切換回路45のスイッチは位置aに切り換えられ、ラムシリンダ33がロックされる。また、ブレーキスイッチ25を駐車位置に切り換えると駐車ブレーキが作動し、切換回路45のスイッチは位置aに切り換えられ、ラムシリンダ33がロックされる。すなわち切換スイッチ24を手動位置に切り換え、ブレーキスイッチ25を作業位置または駐車位置に切り換えると、ラムシリンダ33を手動でロックすることができる。
【0042】
一方、ブレーキスイッチ25をオフ位置に切り換え、かつ切換スイッチ24を自動位置に切り換えると、第1の実施の形態と同様に作業ブレーキの作動が自動制御される。すなわちブレーキペダル1の最大踏み込み操作が所定時間継続されると油圧ブレーキがロックされる。このとき走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1より大きければ、ラムロックオフ信号が出力され、タイマがリセットされる(44b)。その結果、電磁切換弁35が位置イに切り換えられ、ラムロックが自動的に解除される。走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1以下の場合には、回転数Nに応じてラムロックの作動が自動制御される。すなわち、回転数Nが所定値N1より大きければ、ラムロックオフ信号が出力され(44c,44d)、ラムロックが解除される。回転数Nが所定値N1以下になるとタイマが起動し(44f)、この状態が所定時間継続されるとラムロック判定回路44からラムロックオン信号が出力される(44g)。その結果、電磁切換弁35が位置ロに切り換えられ、パイロットチェック弁34へのパイロットの作用が停止し、ラムシリンダ33がロックされる。このためラムシリンダ33をロックする際に煩雑なスイッチ操作が不要となり、掘削作業等を容易に行うことができる。
【0043】
なお、タイマの計時中に走行ペダルを操作するとタイマがリセットされ(44b)、その後、走行ペダルを非操作するとタイマが起動する。また、回転数Nが所定値N1を越えるとタイマのカウントが停止し(44d)、所定値N2以上になるとタイマがリセットされる(44c)。切換スイッチ24をオフしたときもタイマがリセットされる(44a)。ブレーキスイッチ25をオフ位置以外に操作し、再びオフ位置に操作したときは、ラムロックの制御自体がリセットされる。
【0044】
ラムロック判定回路44の処理によりラムシリンダ33がロックすると(44g)、そのロック状態にあるラムシリンダ33の解除を判定するロック解除判定回路43からロック状態維持(ラムロックオン信号)およびロック状態解除(ラムロックオフ信号)が出力される(43a〜43e)。このとき、ラムロックの作動直後は走行ペダルの操作圧PTが所定値PT1以下であり、ロック状態が維持され、タイマがリセットされる(43b)。走行ペダルの踏み込み操作により操作圧PTが所定値PT1より大きくなると、ラムロック状態でタイマが起動する(43c)。この状態が所定時間継続されたとき、前述した制御装置10からブレーキオフ信号が出力されていると、ロック解除判定回路43からラムロックオフ信号が出力される(43e)。その結果、電磁切換弁35が位置イに切り換えられ、ラムロックが解除される。このためラムロックを解除する際に煩雑なスイッチ操作が不要となる。これに対し、タイマが所定時間を計時後に制御装置10からブレーキオン信号が出力されていると、ラムロックオン信号が継続して出力され、ラムロック状態が維持される(43d)。その結果、ブレーキロックが解除されないと、タイマが所定時間を計時してもラムロックは解除されないので、安定した姿勢で作業を継続することができる。
【0045】
なお、タイマの計時中に走行ペダルの操作をやめるとタイマがリセットされ(43b)、その後、走行ペダルを操作するとタイマが起動する。ブレーキスイッチ25をオフ位置以外に操作し、再びオフ位置に操作したときは、ラムロックの制御自体がリセットされる。ラムロックの作動時に切換スイッチ24をオフすると、ラムロックオフ信号が出力され、ラムロックが解除される(43a)。
【0046】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で述べた作用効果に加え、さらに以下のような作用効果を奏する。
(1)走行ペダルが非操作(PT≦PT1)で回転数Nが所定値N1以下の状態が所定時間継続されると、ブレーキロックと同時にラムシリンダ33をロックするようにしたので、煩雑なスイッチ操作をすることなくラムシリンダ33をロックすることができ、作業を容易に開始することができる。
(2)ブレーキがロックおよびラムシリンダ33がロックされた状態で走行ペダルが所定時間継続して操作され、かつ、ブレーキロックが解除されると、ラムロックを解除するようにしたので、煩雑なスイッチ操作をすることなくラムロックを解除することができる。この場合、ブレーキロックが解除されたことを条件としてラムロックが解除されるので、作業ブレーキが作動した状態でラムロックが解除されることはなく、安定した姿勢で作業を継続することができる。
【0047】
(3)走行ペダルが非操作で回転数Nが所定値N1以下の状態が所定時間継続した後にラムシリンダ33をロックし、走行ペダルの操作状態が所定時間継続した後にラムシリンダ33を解除するので、不所望なラムシリンダ33のロックおよび解除を防止できる。
(4)切換スイッチ24の操作によりラムロックを手動で解除可能としたので、オペレータの要求に応じて即座にラムロックを解除することができる。
(5)ブレーキスイッチ25の操作によりラムシリンダ33をロックおよび解除するので、ブレーキロックとラムロックを一度に作動することができる。
【0048】
なお、ラムシリンダ33を手動でロックするためのスイッチを設けてもよい。例えば切換スイッチ24を自動、手動(ラムロック作動)、手動(ラムロック解除)の3位置に切換可能なスイッチとし、手動(ラムロック作動)位置に切り換えられるとラムシリンダ33をロックし、手動(ラムロック解除)位置に切り換えられるとラムシリンダ33を解除するようにしてもよい。これにより手動でラムシリンダ33をロックおよび解除することができる。
【0049】
ブレーキロックの際にラムシリンダ33を同時にロックするようにしてもよい。この場合、ラムロック判定回路44でブレーキ出力のオンオフを判定し、例えばブレーキスイッチ25がオフで切換スイッチ24がオン、かつブレーキ出力がオン(ブレーキロック)のとき、ラムロックオン信号を出力するようにすればよい。これによりブレーキロックと同時にラムロックがなされ、即座に安定した姿勢で作業を開始することができる。また、反対にブレーキロック判定回路14でラムロック出力のオンオフを判定し、ブレーキスイッチ25がオフで切換スイッチ24がオン、かつラムロック出力がオン(ラムロック)のとき、ブレーキオン信号を出力するようにしてもよい。
【0050】
制御装置10,40にパイロットランプを接続し、制御装置10,40からのブレーキオンオフ信号およびラムロックオンオフ信号に応じてパイロットランプを点消灯させるようにしてもよい。これによりオペレータはブレーキロックおよびラムロックの状態を認識することができる。
【0051】
走行ペダルの非操作が所定時間継続後にラムシリンダ33をロックし、走行ペダルの操作が所定時間継続後にラムシリンダ33を解除するようにしたが、例えばダイヤル操作などによりオペレータが所定時間を任意に設定するようにしてもよい。これによりオペレータのフィーリングに合わせてラムロックを作動および解除することができる。同様に、ブレーキロック作動条件成立およびブレーキロック解除条件成立後の所定時間をオペレータの好みにより変更可能としてもよい。なお、所定時間は0でもよく、この場合にはタイマを省略してもよい。
【0052】
上記実施の形態では、制御装置10からの信号により電磁切換弁6を切り換えてブレーキバルブ2にパイロット圧を供給し、ブレーキシリンダ4,5に油圧源3からの圧油を作用させるようにしたが、ブレーキペダル1の予め設定された踏み込み操作(例えば最大踏み込み操作)が検出されたときに油圧ブレーキを油圧ロックするのであれば、制御手段(制御装置10)、油圧ブレーキ、およびブレーキロック手段の構成はいかなるものでもよい。この場合、予め設定された踏み込み操作は、最大踏み込み操作以外でもよい。
【0053】
車体フレームとアクスル32の間にラムシリンダ33を設け(図4)、制御装置40からの信号によりパイロットチェック弁34を切り換えてラムシリンダ33をロックおよび解除するようにしたが、油圧ブレーキがロックされるとラムシリンダをロックするのであれば、あるいは走行ペダルの非操作と車両の停止もしくは低速走行が検出されたときにラムシリンダ33をロックするのであれば、制御手段(制御装置40)、油圧シリンダロック手段の構成はいかなるものでもよい。また、ブレーキペダル1の最大踏み込み操作により油圧ブレーキをロックし、その後、ラムシリンダ33がロックされるとブレーキロックが解除されない限りラムロックを解除しないように構成するのであれば、制御装置40の構成は上述したものに限らない。
【0054】
車両の車輪または車軸を支持する油圧シリンダとしてラムシリンダ33を用いたが、ラムシリンダ33の代わりにサスペンションシリンダを用いることもできる。この場合、油圧シリンダの油室(ロッド室,ボトム室)を管路を介して互いに連通し、この管路にアキュムレータを接続するとともに、各油室からの油の流れを許容および禁止する弁装置(例えばパイロットチェック弁)を設け、パイロットチェック弁の切換によりサスペンションシリンダをロックおよび解除するようにすればよい。
【0055】
圧力センサ22により検出された圧力PBおよび近接スイッチ23のオンオフによりブレーキペダル1の最大踏み込み操作を検出するようにしたが、ブレーキペダル操作検出手段の構成はこれに限らない。また、走行ペダルの操作量に応じた圧力PTを検出して走行ペダルの操作を検出するようにしたが、走行ペダル操作検出手段の構成はこれに限らない。トランスミッションの回転数Nを検出して車速を検出するようにしたが、車速検出手段の構成はこれに限らない。切換スイッチ24の切換により油圧ブレーキを自動ロックする自動ロックモードと油圧ブレーキの自動ロックを中止する手動ロックモードとに切換可能としたが、切換スイッチ以外のモード切換手段を用いてもよい。選択部材としてのブレーキスイッチ25の構成はいかなるものであってもよい。
【0056】
以上の制御装置はホイールショベルに適用したが、他の作業車両にも適用することができる。すなわち本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の制御装置に限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1 ブレーキペダル
2 ブレーキバルブ
4,5 ブレーキシリンダ
6 電磁切換弁
10 制御装置
21 回転数センサ
22 圧力センサ
23 近接スイッチ
24 切換スイッチ
25 ブレーキスイッチ
33 ラムシリンダ
34 パイロットチェック弁
35 電磁切換弁
40 制御装置
51 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行時にブレーキペダルの操作に応じたブレーキ力を発生する油圧ブレーキと、
前記油圧ブレーキを油圧ロックする、および油圧ロックを解除するブレーキロック手段と、
車両の車輪または車軸を支持する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダを油圧ロックする、および油圧ロックを解除するシリンダロック手段と、
前記ブレーキペダルの操作を検出するブレーキペダル操作検出手段と、
前記ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの予め設定された踏み込み操作(以下、設定踏み込み操作)が検出されると、前記油圧ブレーキを油圧ロックするように前記ブレーキロック手段を制御するとともに、前記油圧ブレーキが油圧ロックされると、前記油圧シリンダを油圧ロックするように前記シリンダロック手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両の制御装置において、
車速を検出する車速検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの設定踏み込み操作が検出され、かつ前記車速検出手段により車両の停止もしくは所定速度以下の走行が検出されると、前記油圧ブレーキを油圧ロックするように前記ブレーキロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作業車両の制御装置において、
走行ペダルの操作を検出する走行ペダル操作検出手段と、
車速を検出する車速検出手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記走行ペダル操作検出手段により走行ペダルの非操作が検出され、かつ、前記車速検出手段により車両の停止もしくは所定速度以下の走行が検出されると、前記油圧シリンダを油圧ロックするように前記シリンダロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の作業車両の制御装置において、
前記制御手段は、前記走行ペダル操作検出手段により走行ペダルの非操作が検出され、かつ、前記車速検出手段により車両の停止もしくは所定速度以下の走行が検出された状態が所定時間継続すると、前記油圧シリンダを油圧ロックするように前記シリンダロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、
前記制御手段は、前記油圧ブレーキを油圧ロックした後、前記ブレーキペダル操作検出手段により設定踏み込み操作以外が検出され、その後、設定踏み込み操作が検出されると、前記油圧ブレーキの油圧ロックを解除するように前記ブレーキロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、
前記制御手段により前記油圧ブレーキをロックする自動ロックモードと、前記制御手段によらずに前記油圧ブレーキをロックする手動ロックモードとを切り換えるモード切換手段を有することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、
ブレーキペダルの操作によらず、前記油圧ブレーキを継続して動作させてブレーキを油圧ロック状態とする作業ブレーキの作動、解除と、駐車ブレーキの作動、解除とを選択する選択部材を有し、
前記制御手段は、前記選択手段により作業ブレーキが選択されたとき、および前記選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択された状態で前記ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの設定踏み込み操作が検出されると前記油圧ブレーキを油圧ロックし、その後、前記選択部材により駐車ブレーキの作動が選択されるか、または前記選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの作動が選択され、その後、作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択されると前記油圧ブレーキの油圧ロックを解除するように前記ブレーキロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、
ブレーキペダルの操作によらず、前記油圧ブレーキを継続して動作させてブレーキを油圧ロック状態とする作業ブレーキの作動、解除と、駐車ブレーキの作動、解除とを選択する選択部材を有し、
前記制御手段は、前記選択手段により作業ブレーキが選択されたとき、および前記選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択された状態で前記ブレーキペダル操作検出手段によりブレーキペダルの設定踏み込み操作が検出されると前記油圧ブレーキを油圧ロックし、その後、前記選択部材により駐車ブレーキの作動が選択されるか、または前記選択部材により作業ブレーキおよび駐車ブレーキの作動が選択され、その後、作業ブレーキおよび駐車ブレーキの解除が選択されると前記油圧ブレーキの油圧ロックを解除するとともに、
前記油圧ブレーキを油圧ロックした後、前記油圧シリンダが油圧ロックされると前記油圧ブレーキの油圧ロックが解除されない限り前記油圧シリンダの油圧ロックを解除しないように前記ブレーキロック手段および前記シリンダロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の作業車両の制御装置において、
前記制御手段は、前記ブレーキペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルの予め設定された踏み込み操作が検出されると、前記油圧ブレーキを油圧ロックし、その後、前記油圧シリンダが油圧ロックされると前記油圧ブレーキの油圧ロックが解除されない限り前記油圧シリンダの油圧ロックを解除しないように前記ブレーキロック手段および前記シリンダロック手段を制御することを特徴とする作業車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−37441(P2011−37441A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224856(P2010−224856)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【分割の表示】特願2004−184697(P2004−184697)の分割
【原出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】