説明

作業車両の原動部構造

【課題】ラジエーターの防塵網の略全面を清掃可能であり、防塵網に付着した塵埃などの除去効率を向上させた作業車両の原動部構造の提供である。
【解決手段】エンジン16冷却用ラジエーター5の外側に網部(ネット)3と該網部3の枠部2とからなるラジエーターカバー2,3を設け、該ラジエーターカバー2,3の網部3に沿って網部3の上下方向に直線的に移動可能な移動機構23を有する遮風プレート6を設ける。遮風プレート6は網部3の上下方向に往復運動するため、下方に移動する際には遮風プレート6自体の重みによって遮風プレート6下側の網部3に付着した塵埃が移動して除去効率が向上する。更に網部3の下端部に、ラジエーター5を迂回して冷却ファン1に至る吸気風路の吸気口60を設けると、遮風プレート6が下方に移動する際に遮風プレート6の重みにより下側に集まった塵埃を吸気口60から吸引して除去でき、塵埃等の除去効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンバインなどの作業車両の原動部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両の一例として、コンバインは、穀稈を刈取装置により刈り取って搬送し、フィードチェーンから脱穀装置に供給して、脱穀、選別し、脱穀選別された穀粒をグレンタンクに一時貯溜した後、グレンタンク内の穀粒をコンバインの外部に排出する構成である。したがって、コンバインの周囲には搬送、脱穀する際の藁屑や塵埃等が飛散して漂っており、またこのように飛散した藁屑などがコンバイン内に入り込むことで動力の伝動機構や電気系統等に不具合が生じる原因となることもある。
【0003】
そして、コンバインのエンジンルームの吸気側に配置するラジエーターカバーには、藁屑や塵埃等がエンジンルーム内に入り込むことを防止するために防塵網を取り付けている。しかし、吸気の際に防塵網に塵埃等が付着するため、これら塵埃等を清掃して目詰まりを防止し、エンジンの冷却効果を高める装置が開示されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、防塵網面上の付着物を回転駆動する遮蔽装置で除去すると共に、この遮蔽装置を風車で回転駆動させる構成とした防塵装置が開示されている。この遮蔽装置は扇状の塞部(プレート)を防塵網上で回転させることで防塵網上の付着物を取り除く構成である。また、下記特許文献2には、除塵網に清掃機構を設けて、エンジン近傍の温度変化に基づいて作動させる構成が示されている。この構成は、エンジン温度が高くなると除塵網の目詰まりを清掃作動によって解消し、オーバーヒートを未然に防止せんとするものである。
【特許文献1】特開2002−59748号公報
【特許文献2】特開昭60−159328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から、ラジエーターカバーの防塵ネットは、冷却風の吸気作用に伴い網面に付着する塵埃によって、外気の吸引作用が阻害され、エンジンのオーバーヒートに繋がる虞がある。したがって、このような不具合を防止するために、防塵ネットには清掃手段が設けられ、付着塵埃を取り除いて、外気の吸気作用を常に良好に保持して、効果的にラジエータを冷やしながらエンジンのオーバーヒートを未然に防止する手段が講じられている。
【0006】
そして、従来の清掃装置は、上記特許文献1及び2に開示されているように、清掃機構(プレート状の塞部やブラシ)を、網面上に回転、或いは往復揺動させる構成としている。したがって、これらの構成では、網面上におけるブラシの清掃範囲が円形の回転範囲、又は扇形の往復揺動範囲に限られた部分のみが清掃され、防塵ネットの略全面に渡って清掃できない。ラジエーターの冷却効果を良好に保つためには、より防塵ネットに付着した塵埃などの除去効率の向上が望まれる。
【0007】
本発明の課題は、ラジエーターの防塵網の略全面を清掃可能であり、防塵網に付着した塵埃などの除去効率を向上させてエンジンの冷却効率を高めた作業車両の防塵装置を有する原動部構造の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、冷却ファン(1)を備えたエンジン(16)と、冷却ファン(1)の外側に設けられたラジエーター(5)と、該ラジエーター(5)の外側に設けられ、該ラジエーター(5)へ供給される外気の濾過用の網部(3)および該網部(3)を取り付けた外枠を構成する枠部(2)とからなるラジエーターカバー(2,3)と、前記ラジエーターカバー(2,3)の網部(3)の内側面に接近して設けられ、網部(3)の目合いの一部を塞いで外気の通過を遮断する遮風プレート(6)と、該遮風プレート(6)を前記網部(3)の内側面に沿って網部(3)の高さ方向に上下に直線的に往復運動させる移動機構(23)とを設けた作業車両の原動部構造である。
請求項2記載の発明は、前記ラジエーターカバー(2,3)の網部(3)の下端部に、ラジエーター(5)を迂回して冷却ファン(1)に至る吸気風路の吸気口(60)を設けた請求項1記載の作業車両の原動部構造である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、網部3の目合いの一部を塞いで通過外気を遮断する遮風プレート6が網部3の内側面に沿って網部3の高さ方向に上下に直線的に往復運動することによって、外気の通過を遮断して網部3に吸着している塵埃を脱落しやすくすることができる。この場合、遮風プレート6は、網部3に対して、直線的に往復運動することによって網部3のほとんど全面に亘って移動できるから、網部3の通過外気を一時遮断して塵埃を脱落しやすくすることができる。したがって、従来のブラシなどによる回転のように、清掃範囲が限定されることはなく、清掃範囲を広くすることができる。
【0010】
更に、遮風プレート6は網部3の高さ方向に上下に直線的に往復運動するため、下方に移動する際には遮風プレート6自体の重みによって遮風プレート6の下側の網部3に付着した塵埃などが移動するため塵埃などの除去効率が向上する。
これによって、網部3における外気の通過状態を良好に維持して、ラジエーター5の冷却効果を維持し、エンジン16のオーバーヒートを防止して作業能率を高めることができる。
【0011】
そして、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、ラジエーターカバー2,3の網部3の下端部に、ラジエーター5を迂回して冷却ファン1に至る吸気風路の吸気口60を設けたことで、遮風プレート6が下方に移動する際に遮風プレート6の重みによって下側に集まった塵埃などを吸気口60から吸引して除去できるため、更に塵埃などの除去効率が向上する。したがって、より安定したラジエーター5の冷却効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
図1には本発明の一実施形態による原動部構造を備えたコンバインの右側面図を示し、図2には図1のコンバインの防塵装置の右側面図(外側から見た図)を示し、図3には図2の防塵装置の矢印S−S線断面矢視図を示す。
また、本明細書では、特に断りがない限り、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0013】
図1に示すように、コンバインの車体11の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行装置(以下、走行クローラと称す。)10を有する走行装置本体を配設し、車体11の前端側に分草杆13aを備えた刈取装置13が設けられている。刈取装置13は車体11の上方の支点を中心にして上下動する刈取装置支持フレーム(図示せず)で支持されているので、コンバインに搭乗したオペレータが運転台の操縦席14の操向レバー48を前後に傾倒操作することにより、刈取装置支持フレームと共に上下に昇降する構成である。
【0014】
車体11の上方には、刈取装置13から搬送されてくる穀稈をフィードチェーン(図示せず)により引き継いで搬送して脱穀、選別する脱穀装置(周知のとおり、図1においてグレンタンク12の裏側に隣接して設けている。)と該脱穀装置で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク12が載置され、グレンタンク12の後部に縦オーガ、横オーガからなる穀粒排出オーガ15を連接して、コンバインの外部に排出する構成としている。 すなわち、コンバインはオペレータが操縦席14においてHST主変速レバー42および副変速レバー43を操作し、エンジン16(エンジンルーム4内にある)の動力を図示しない走行トランスミッションケース内の主変速機を介して変速し、左右の走行クローラ10、10に伝動して任意の速度で走行する。
【0015】
また、コンバインは、オペレータが操縦席14において操向レバー48を左右に傾倒操作することにより各種旋回走行することができる。すなわち、操向レバー48をコンバインを旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、左右の走行クローラ10、10に速度差が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0016】
そして、エンジンルーム4は、図1に示すように前記操縦席14の下側に配置され、内側にエンジン16を搭載し、その外側に隣接させて冷却ファン1(図3)を軸架し、更に、その外側にはラジエーター5(図3)を装置した構成としている。そして、ラジエーターカバー2,3は、図2及び図3に示すように、前記エンジンルーム4の外側枠に沿わせて開閉自由に設けられ、すぐ内側にある前記ラジエーター5に臨ませるように、外枠を構成する枠部2にラジエーター5へ供給される外気の濾過用の防塵ネット(網部)3を張設して設けている。なお、防塵ネット3の部分は網に限らず、板に多数の穴を設けためくら鉄板のようなものなど、通気が可能な構成であれば良い。そして、前記冷却ファン1の吸引作用によって外気を除塵しながら防塵ネット3を通過させてエンジンルーム4に冷気の供給ができるようにエンジン冷却装置を構成している。
【0017】
そして、遮風プレート6は、図2及び図3に示すように、前記防塵ネット3の中央部の網面3a,上部の網面3bの目合いの一部を塞いで、一時的に外気の通過を遮断できる程度の横幅を持たせて前後に長く形成し、網面3a,3bの内側に接近させて配置している。
【0018】
つぎに、遮風プレート6の直線運動による該遮風プレート6の前端部の移動方向を案内するガイド装置7aは、ラジエーターカバー枠部2に連結し、上下方向(矢印A方向)に長手方向を有する長穴7Aを設けたプレートからなり、図2及び図3に示すように、前記ラジエーターカバー2,3の前部に遮風プレート6の移動方向(矢印A方向)と平行に配置し、前記遮風プレート6の前部に設けたスライド保持具18が長穴7A内をスライド可能に支持した構成である。
【0019】
このようにして、遮風プレート6は、ガイド装置7aにスライド保持具18を摺動可能に支持させて、前記防塵ネット3の網面3a,3bに沿って上下方向にスライドできる構成である。なお、ガイド装置7aは前方側のみならず、ラジエーターカバー2,3の前後方向の中間位置に縦桟を設けて補助的に上記ガイド装置7aと同様な構成の中間ガイド装置を設けても良い。
また、ガイド装置7aをラジエーターカバー2,3の上下両端に設け、遮風プレート6は前記防塵ネット3の網面3a,3bに沿って車体11に対して前後方向にスライドできる構成とすることも可能である。
【0020】
つぎに、上記遮風プレート6は、図2及び図3に示すように、前部プレート6aと後部プレート6bの前後二つに分割可能であり、該分割部で前部プレート6aと後部プレート6bは重複している。そして、前部プレート6aに長孔19を開孔し、後部プレート6bにはその長孔19に摺動自在に嵌合する摺動ピン20を設け、その部分(長孔19が存在する分割部)で伸縮自由で、且つ、折曲自在に連結した構成である。
【0021】
コンバインにおいて、エンジンルーム4は操縦席14の下部に配置されている場合が多いため、オペレータの乗降の妨げにならないように上側の前後幅が下側に比べて狭くなっていることが多い。また、エンジン冷却装置のレイアウト上、カバーの形状が限定される場合もある。したがって、必然的にラジエーターカバー2,3の形状も上下で前後幅が異なる場合もあり、このような場合はラジエーターカバー2,3の略全面を清掃することが困難である。
【0022】
しかし、本構成によれば、前記遮風プレート6は図2の仮想線で示すように上下方向に長いガイド装置7aの折れ曲がり部Kに達すると、前部プレート6aが後方側に移動して遮風プレート6の長手方向(車体11に対して前後方向)の全体長さが短くなり、更に前部プレート6aがガイド装置7aの一方の端部である終点位置(上端部)に達すると、後述する上下移動機構により、一方の後部プレート6bのみが上方向に移動し、前部プレート6aが連動して傾斜状態に倒れて変形した網面3bを塞いで通過外気を遮断できる構成である。このとき、遮風プレート6は、前部プレート6aと後部プレート6bとの分割部にある長孔19内を摺動ピン20が動くことで前後に伸長し、且つ、折曲自在になっている。
【0023】
そして、遮風プレート6は、図2の実線で示すように、車両の本体(車体)11の下方側から上方側に向けて、まず下方の防塵ネット3の網面ではないラジエーターカバー枠部2の板面上を通過して図示するように角部(図面右側、車両の本体(車体)11に対しては前方側の三角形の一角)の網面3b上で前部プレート6aが斜めに傾きながら移動することが出来る程度の長さに構成している。したがって、遮風プレート6は、斜めにカットされた形状に設けられている防塵ネット3であっても、その部分を移動して、通過する外気を一時的に遮断して付着している藁屑や塵等の塵埃の清掃ができる。
【0024】
そして、前記遮風プレート6は、図3に示すように、前部プレート6aと後部プレート6bとの間の連結部位(分割部)において、両プレート6a,6b間にスプリング8(図3には図示せず、図4にスプリング8を図示)を介装して、常に、スプリングの縮小方向へ付勢されている。したがって、遮風プレート6は、車両の本体11の下方側から上方側に向けて移動する間に、図2において、実線の位置から二点鎖線の位置へはスプリング8の張力に抗して移動し、逆の復帰行程では、スプリング8の張力で自動復帰が出来る。
【0025】
つぎに、遮風プレート6の前部プレート6aと後部プレート6bの上下移動機構について説明する。
まず、表面に螺旋状の溝を有するリードカム軸25は、図2に示すように、前記防塵ネット3の内側において、前記ラジエーターカバー2に取り付けられた上下の側枠に架渡しており、軸受けメタル35により回転自在に軸受け支持した構成としている。そして、このリードカム軸25に、後部プレート6bに固着したリードメタル27を螺合している。
【0026】
そして、電動モーター28をリードカム軸25の上側に配置して該電動モーター28のモーター軸に減速装置や伝動ギヤ29,30を噛合させて駆動装置23を構成し、上記リードカム軸25を正転、及び逆転に伝動する構成である。なお、上記電動モーター28は、スイッチ(図示せず)による操作で適宜オン,オフの切替操作ができる。
【0027】
図示していないが、上下リミットスイッチを前記リードカム軸25の両端部分に接近させて設け、すなわちリードカム軸25の両端部近傍に達したリードメタル27を検出できる位置に設けてもよい。そして、遮風プレート6が下、又は上の端部に達して上下リミットスイッチによりリードメタル27が検出されると、図示しないコントローラにより電動モーター28の回転方向を切り替える構成である。
なお、後述するが、表面に交差状の溝を有するリードカム軸25を用いると、電動モーター28の回転方向を切り替えることなく、一方向回転のみで遮風プレート6の往復移動が可能である。
【0028】
以上のように構成された防塵装置17によって、塵埃の多い圃場でコンバインが刈取脱穀作業を行った場合、またはコンバイン作業を長時間続けた場合等に、エンジンルーム4の外側に設けたラジエーターカバー2,3の防塵ネット3には藁屑や塵が付着して外気の吸引作用が阻害されることが多い。そこで、オペレーターが、刈取脱穀作業の開始時に、エンジン始動スイッチをオン操作すると、電動モーター28が始動して伝動ギヤ29,30を介してリードカム軸25が回転駆動し、リードメタル27を正転方向に駆動する。
【0029】
リードメタル27を正転方向に駆動することで、遮風プレート6は、図2に示すように、上記リードメタル27と共に上下方向(矢印A方向)に移動を開始して、スライド保持具18が、ガイド装置7aに支持されながら案内されて防塵ネット3の網面3a,3b上を移動する。そのとき、遮風プレート6は、連続的に移動する工程において、一時的に冷却ファン1の吸引作用で吸引されている外気が遮断されて空気の通過が止まり、防塵ネット3の網面3a,3b上に付着している塵埃が吸着力を失って落下することで、防塵ネット3が清掃され網面の目詰まりが解消される。
【0030】
そして、防塵ネット3の網面3a,3bの一部を塞ぐ程度の幅を持たせた遮風プレート6を、防塵ネット3の網面3a,3bに沿って上下方向に直線運動をする構成であるから、防塵ネット3を通過する外気を一時的に遮断して網面3a,3bに付着している塵埃を効果的に除去できる。そして、本実施形態によれば、遮風プレート6が、防塵ネット3に対して、上下方向に網面3a,3bに沿いながらほとんど全面に渡って移動可能であるため、防塵ネット3の略全面の塵埃を除去でき、防塵ネット3の目詰まりの防止が出来る。
【0031】
そして、本実施形態によれば、遮風プレート6を、ガイド装置7aにスライド可能に支持させると共に、軸受けされたリードカム軸25にリードメタル27を螺合した構成としたことから、上下方向への移動が安定して行われ、防塵ネット3の略全面に渡ってスムーズに移動し、一時的に防塵ネット3を通過する外気を遮断することができて、塵埃の取除作用を効果的に行うことができる。
【0032】
更に、本実施形態によれば、前後二つに分割した遮風プレート6を、伸縮自由で、且つ、折曲自在に連結し、上述のガイド装置7aにより案内されながら上下方向へ移動するため、変形した網面3b上も網面3bに沿って傾斜しながら移動可能であるため、防塵ネット3上の変形した網面3bの清掃も可能である。したがって、防塵ネット3の形状に限定されず、防塵ネット3の網面全面を清掃可能である。
【0033】
そして、遮風プレート6は、変形した網面3b上を傾斜して移動しながら、吸引外気を一時的に遮断して網面3bの塵埃を除去した後、復路において、前部プレート6aと後部プレート6bとは、相互間に、常時引っ張り合う方向(縮小方向)に付勢されたスプリングの張力により、傾斜状態の前部プレート6aが自動的に後部プレート6bと一直線状になるまで復帰できる。
【0034】
そして、このように遮風プレート6は防塵ネット3の網面3a,3bの高さ方向に上下に直線的に往復運動するため、下方に移動する際には遮風プレート6自体の重みによって遮風プレート6の下側の網面3a,3b上に付着した塵埃などが移動するため塵埃などの除去効率が向上する。
本構成を採用することにより、防塵ネット3における外気の通過状態を良好に維持して、ラジエーター5の冷却効果を維持し、エンジン16のオーバーヒートを防止して作業能率を高めることができる。
【0035】
また、ラジエーターカバー2,3の防塵ネット3の下端部に、ラジエーター5を迂回して冷却ファン1に至る吸気風路の吸気口60を設けても良い。
図2及び図3に示すように、防塵ネット3の下方の網面3aの下端部付近から下方内側に向けて、枠部2とラジエーター5との間に空間部を有する二重構造とした吸気口60を設ける。網面3aを通過し吸気口60から吸引された外気は矢印H方向に二重構造内の空間部を更に下方に流れてラジエーター5の下方に形成された吸気風路Fを通過し、冷却ファン1に至る。
【0036】
本構成を採用することにより、遮風プレート6が下方に移動する際に遮風プレート6の重みによって下側に集まった塵埃などを防塵ネット3の網面3aの下端部に設けられた吸気口60から吸引して除去できるため、更に塵埃などの除去効率が向上する。したがって、より安定したラジエーター5の冷却効果を得ることができる。
【0037】
図4(a)には図1のコンバインの防塵装置の遮風プレート6が車体11に対して前後方向に移動する場合の右側面図(外側から見た図)を示し、図4(b)には図4(a)の防塵装置の矢印S1−S1線断面矢視図を示し、図4(c)には図4(a)の防塵装置のリードメタル27付近の矢印S2−S2線断面矢視図(モーター28付近は省略)を示す。
【0038】
次に示す例として、防塵装置の遮風プレート6が車体11に対して前後方向に移動する構成とすることもできる。
【0039】
また、ラジエーター5へ供給される外気量を増やすために防塵ネット3の網面を増やして前記冷却ファン1の吸引作用によってより多くの外気を除塵しながら防塵ネット3を通過させてエンジンルーム4に冷気の供給ができるようにしてもよい。例えば、図4に示すように、網面3aの下方に更に網面3cを形成すると、ラジエーター5の冷却効果を一層向上させることができる。
【0040】
更に、遮風プレート6を上下方向に複数に分割し、3つの遮風プレート6c,6d,6eからなる構成としても良い。そして、遮風プレート6c,6d,6eが全て同時に移動する構成ではなく、独立して移動可能な構成としても良い。
すなわち、防塵ネット3の中央部の網面3a,上部の網面3b,下部の網面3cの目合いの一部を塞いで外気の通過を遮断する遮風プレート6を複数設けて、該複数の遮風プレート6を個別に防塵ネット3の網面3a,3b,3cの内側面に沿って直線的に往復運動させるための移動機構(駆動装置23)を設けた構成である。
なお、防塵ネット3は、前記網面3a,3b,3cの網面3a,3cは共にほぼ長方形、網面3bは台形の形状をしている。
【0041】
図4に示す防塵装置17も、基本的な駆動機構(移動機構)は図2及び図3に示す防塵装置17と同様な構成である。
図4に示す防塵装置17の遮風プレート6の前後方向の直線運動による移動方向を案内するガイド装置(図示せず)は、ラジエーターカバー枠部2に連結し、前後方向(図面の左右方向)に長手方向を有する長穴(図示せず)を設けたプレートからなり、図2及び図3に示す場合と同様に、前記ラジエーターカバー2,3の上部に水平に配置し、前記遮風プレート6の上部に設けたスライド保持具18が長穴内をスライド可能に支持した構成である。すなわち、図4に示す防塵装置17の遮風プレート6のガイド装置と図2に示す防塵装置17の遮風プレート6のガイド装置7aの基本構成は同じである。
このようにして、遮風プレート6は、上方のガイド装置にスライド保持具18を摺動可能に支持させて、前記防塵ネット3の網面3a,3b,3cに沿って横(車体11に対しては前後方向)にスライドできる構成である。
【0042】
つぎに、上記遮風プレート6は、図4に示すように、上部プレート6cと中間プレート6dと更に下部プレート6eの上下三つに分割可能であり、上部プレート6cと中間プレート6dの分割部で上部プレート6cと中間プレート6dは重複している。そして、上部プレート6cに長孔19を開孔し、中間プレート6dにはその長孔19に摺動自在に嵌合する摺動ピン20を設け、その部分(長孔19が存在する分割部)で伸縮自由で、且つ、折曲自在に連結した構成である。
更に、下部プレート6eは、上部プレート6c及び中間プレート6dとは別に、最下段の網面3cに沿って移動する構成である。
【0043】
そして、本構成によれば、前記遮風プレート6の上部プレート6cと中間プレート6dは図4に示すようにガイド装置の一方の端部である終点位置(図4(a)前方側のスライド保持具18の位置)に達すると、後述する横移動機構により、一方の中間プレート6dのみが横移動し、上部プレート6cが連動して傾斜状態に倒れて変形した網面3bを塞いで通過外気を遮断できる構成である。このとき、遮風プレート6は、上部プレート6cと中間プレート6dとの分割部にある長孔19内を摺動ピン20が動くことで上下に伸長し、且つ、折曲自在になっている。
【0044】
そして、遮風プレート6は、図4で示すように、車両の本体(車体)11の後方側から前方に向けて、まず下方の防塵ネット3の網面ではないラジエーターカバー枠部2の板面上を通過して図示するように角部(図面右側、車両の本体(車体)11に対しては前方側の三角形の一角)の網面3b上で上部プレート6cが斜めに傾きながら移動することが出来る程度の長さに構成している。したがって、遮風プレート6は、斜めにカットされた形状に設けられている防塵ネット3であっても、その部分を移動して、通過する外気を一時的に遮断して付着している藁屑や塵等の塵埃の清掃ができる。
【0045】
そして、前記遮風プレート6は、図4に示すように、上部プレート6cと中間プレート6dとの間の連結部位(分割部)において、両プレート6a,6b間にスプリング8を介装して、常に、スプリング8の縮小方向へ付勢されている。したがって、遮風プレート6は、車両の本体11の後方側から前方に向けて移動する間に、スプリング8の張力に抗して移動し、逆の復帰行程では、スプリング8の張力で自動復帰が出来る。
【0046】
つぎに、遮風プレート6の上部プレート6cと中間プレート6dの横移動機構について説明する。
まず、表面に螺旋状の溝を有するリードカム軸25aは、図4に示すように、前記防塵ネット3の内側において、前記ラジエーターカバー2に取り付けられた左右の側枠26a,26bに架渡しており、軸受けメタル35aにより回転自在に軸受け支持し、中間プレート6dに固着したリードメタル27aを螺合した構成としている。
【0047】
そして、電動モーター28aをリードカム軸25aの上側に配置して該電動モーター28aのモーター軸に減速装置や伝動ギヤ29a,30aを噛合させて、上記リードカム軸25aを正転、及び逆転に伝動する構成である。なお、電動モータ28や伝動ギヤ29a,30aなどはブラケット33a上に支持させている。また、上記電動モーター28aは、スイッチ(図示せず)による操作で適宜オン,オフの切替操作ができる。
【0048】
また、左右リミットスイッチ(図示せず)を前記リードカム軸25aの両端部分に接近させて設け、すなわちリードカム軸25aの両端部近傍に達したリードメタル27aを検出できる位置に設けている。そして、遮風プレート6が右(車体11に対して前方側)、又は左(車体11に対して後方側)の端部に達して左右リミットスイッチによりリードメタル27aが検出されると、図示しないコントローラにより電動モーター28aの回転方向を切り替える構成である。
なお、後述するが、表面に交差状の溝を有するリードカム軸25aを用いると、電動モーター28aの回転方向を切り替えることなく、一方向回転のみで遮風プレート6の往復移動が可能である。
【0049】
また、本構成によれば、前記リードカム軸(上部リードカム軸)25aと同様のリードカム軸(下部リードカム軸)25bを更に設けて、該下部リードカム軸25bを下部軸受けメタル35bにより回転自在に軸受け支持し、該下部リードカム軸25bに、下部プレート6eに固着した下部リードメタル27bを螺合し、電動モーター(上部電動モーター)28aとは別のモーター(下部電動モーター)28bを下部リードカム軸25bの上側に配置して該下部電動モーター28bのモーター軸に減速装置や下部伝動ギヤ29b,30bを噛合させて、上記下部リードカム軸25bを正転、及び逆転に伝動する構成である。すなわち、下部プレート6eに上部プレート6cと中間プレート6dの駆動機構(上部電動モーター28a,上部リードカム軸25a,伝動ギヤ29a,30a,上部リードメタル27a,上部軸受けメタル35aなどの駆動装置23a)と同じ機構(駆動装置23b)を設けた構成である。
【0050】
したがって、下部プレート6eは、上部プレート6c及び中央プレート6dとは独立して駆動可能である。
以上のように構成された防塵装置17によって、塵埃の多い圃場でコンバインが刈取脱穀作業を行った場合、またはコンバイン作業を長時間続けた場合等に、エンジンルーム4の外側に設けたラジエーターカバー2,3の防塵ネット3には藁屑や塵が付着して外気の吸引作用が阻害されることが多い。そこで、オペレーターが、刈取脱穀作業の開始時に、エンジン始動スイッチをオン操作すると、上部電動モーター28aが始動して上部伝動ギヤ29a,30aを介して上部リードカム軸25aが回転駆動し、上部リードメタル27aを正転方向に駆動するようにしても良いし、エンジン始動スイッチをオン操作後、上部電動モーター28aの駆動スイッチ(図示せず)を操作しても良い。
【0051】
また、下部電動モーター28bの駆動スイッチ(図示せず)を上部電動モーター28aの駆動スイッチ(図示せず)とは別に設けて、各モータ28を個別に駆動できるようにすればよい。各遮風プレート6c,6d,6eを個別に制御できるようにすることで、例えば、各遮風プレート6c,6d,6eのうち、塵埃の多い箇所に位置するプレートのみ動かすなど、より細かな防塵操作、清掃が可能となる。
【0052】
遮風プレート6の上部プレート6c及び中央プレート6dは、上部電動モーター28aが始動してリードメタル27aを正転方向に駆動することで、図4に示すように、上記リードメタル27aと共に横移動を開始して、上のスライド保持具18が、ガイド装置に支持されながら案内されて防塵ネット3の網面3a,3b上を移動する。そのとき、遮風プレート6は、連続的に移動する工程において、一時的に冷却ファン1の吸引作用で吸引されている外気が遮断されて空気の通過が止まり、防塵ネット3の網面3a,3b上に付着している塵埃が吸着力を失って落下することで、防塵ネット3が清掃され網面の目詰まりが解消される。
【0053】
そして、防塵ネット3の網面3a,3bの一部を塞ぐ程度の幅を持たせた遮風プレート6を、防塵ネット3の網面3a,3bに沿って横方向に直線運動をする構成であるから、防塵ネット3を通過する外気を一時的に遮断して網面3a,3bに付着している塵埃を効果的に除去できる。そして、本実施形態によれば、遮風プレート6が、防塵ネット3に対して、横方向(車体11に対して前後方向)に網面3a,3bに沿いながらほとんど全面に渡って移動可能であるため、防塵ネット3の略全面の塵埃を除去でき、防塵ネット3の目詰まりの防止が出来る。
【0054】
そして、本実施形態によれば、遮風プレート6を、上のガイド装置(図示せず)にスライド可能に支持させると共にリードカム軸25aにリードメタル27aを螺合して軸受け支持した構成としたことから、横方向への移動が安定して行われ、防塵ネット3の略全面に渡ってスムーズに移動し、一時的に防塵ネット3を通過する外気を遮断することができて、塵埃の取除作用を効果的に行うことができる。
【0055】
更に、本実施形態によれば、上下複数に分割した遮風プレート6を、伸縮自由で、且つ、折曲自在に連結し、上述のガイド装置により案内されながら横移動するため、変形した網面3b上も網面3bに沿って傾斜しながら移動可能であるため、防塵ネット3上の変形した網面3bの清掃も可能である。したがって、防塵ネット3の形状に限定されず、防塵ネット3の網面全面を清掃可能である。
そして、遮風プレート6は、変形した網面3b上を傾斜して移動しながら、吸引外気を一時的に遮断して網面3bの塵埃を除去した後、復路において、上部プレート6cと中間プレート6dとは、相互間に、常時引っ張り合う方向(縮小方向)に付勢されたスプリング8の張力により、傾斜状態の上部プレート6cが自動的に中間プレート6dと一直線状になるまで復帰できる。
【0056】
更に、下部プレート6eを上部プレート6cや中間プレート6dとは独立してスライド可能にすることにより、各遮風プレート6c,6d,6eを個別に制御することができ、例えば、塵埃の多い箇所に位置する遮風プレート6c,6d,6eのみ動かすなど、より細かな防塵操作、清掃が可能となる。また、上部電動モーター28aと下部電動モーター28bの回転数を変えることで各遮風プレート6c,6d,6eの移動速度を変更することも可能であり、塵埃の多い箇所に位置する遮風プレート6の移動速度を速め、塵埃の少ない箇所に位置する遮風プレート6の移動速度を遅くするなど、種々の使用方法が可能である。
なお、図2及び図3に示す防塵装置17においても、図4に示す防塵装置17と同様に、防塵ネット3を前後方向に長くして、前方側と後方側の遮風プレート6を個別に制御することができるように、前方側と後方側にそれぞれ独立して上下方向に移動可能な駆動装置23を複数設ける構成としても良い。
【0057】
図5(a)には図1のコンバインの防塵装置17の遮風プレート6が車体11に対して前後方向に移動する場合の左側面図(内側から見た図)を示し、図5(b)には図5(a)の防塵装置17の矢印S3方向から見た場合の矢視図を示し、図5(c)には図5(a)の防塵装置17の矢印S4−S4線断面矢視図(モーター28付近は省略)を示す。
図5には、上部プレート6c、中央プレート6d及び下部プレート6eが同時に移動する構成を示している。すなわち、図4に示す中央プレート6d及び下部プレート6eが一体として下部プレート6eを形成し、図4に示した電動モーター28a、上部伝動ギヤ29a,30a、上部リードカム軸25a、上部リードメタル27a、上部軸受けメタル35aなどの駆動装置23aによる駆動機構により、遮風プレート6全体を移動させる構成である。
【0058】
この場合、ラジエーターカバー2,3の上部のガイド装置7bの他に、ラジエーターカバー2,3の下部にもガイド装置7cを平行に配置し、前記遮風プレート6の上部と下部に設けたスライド保持具18,18が長穴(7B,7C)内をスライド可能に支持した構成である。なお、ガイド装置7b,7cは、図5に示すように、後述する変形した網面3bのある上部側を、方形の網面3bおよび3cが形成されている下側より短く構成している。
【0059】
このようにして、遮風プレート6は、上下一対のガイド装置7b,7cにスライド保持具18,18を摺動可能に支持させて、前記防塵ネット3の網面3a,3b,3cに沿って横(車体11に対しては前後方向)にスライドできる構成である。なお、ガイド装置7b,7cは上下のみならず、ラジエーターカバー2,3の上下中間位置にある横桟に補助的に上記ガイド装置7b,7cと同様な構成の中間ガイド装置を設けても良い。
【0060】
図5に示すリードカム軸25aは、上述のように、下部プレート6eに固着したリードメタル27aを螺合して回転自在に軸受け支持した構成としており、リードカム軸25aが回転するとリードメタル27aを介して遮風プレート6が横方向(車体11に対して前後方向)に移動する。このリードカム軸25aによるリードメタル27aの支持構成について、リードカム軸25aにリードメタル27aを差し込み、リードメタル27aの爪27aaがリードカム軸25aに係合するようにしても良い。
リードメタル27の爪27aaがリードカム軸25aに係合することによって、強固な支持構成となるため、確実に長い距離の往復運動が可能となり、このリードカム軸25aを一定方向に回転させることで、前後方向に一定速度で遮風プレート6を移動させることができる。
【0061】
また、図4に示した各遮風プレート6c,6d,6eを個別に制御できるようにした場合の防塵装置17においても、図4(c)に示すように、上下の各リードカム軸25a,25bにそれぞれリードメタル27a,27bを差し込み、リードメタル27a,27bの爪27aa,27baがリードカム軸25a,25bに係合するようにしても良い。
また、図4及び図5に示す防塵装置17において、表面に交差状の溝を有するリードカム軸25a(25b)を用いると、電動モーター28a(28b)の回転方向の切り替えが不要となり、コントローラ等の制御装置の構成が簡素になる。すなわち、一つの回転軸に、螺子溝として右ねじと左ねじの両方を形成し、互いの螺子溝の終端部(M)を滑らかにつないだ軸を用いた構成である。更に、リードカム軸25a(25b)に形成したリードカムの左右ねじのピッチを変えても良い。
【0062】
更に、遮風プレート6が防塵ネット3の内側面に沿って横方向又は縦方向に直線的に往復する際に移動方向を切り替えるためにリードカム軸25a(25b)が反転する時の位置検出用のセンサ(左右リミットスイッチなど)等も不要となり、簡素な構成となる。また、装置点数が多いと装置の故障が起こる可能性も高くなるが、装置点数を少なくすることで装置の故障の可能性を減少させることもできる。
また、リードカム軸25a(25b)に形成したリードカムの左右ねじのピッチを変えることで、遮風プレート6の往復時の移動速度を往路と復路で異ならせることが可能となる。したがって、防塵ネット3の網面3a,3b,3c上に付着した塵埃などのゴミを矢印B方向に寄せるときは速度を遅めにしてゆっくりと寄せて、戻るときは速度を速めて速やかに移動させることができる。
なお、図2及び図3に示す防塵装置17においても、図4及び図5に示す防塵装置17と同様に、表面に交差状の溝を有するリードカム軸25を用いた構成としても良い。
【0063】
図6(a)には図1のコンバインの防塵装置17の遮風プレート6が車体11に対して前後方向に移動する場合の右側面図(外側から見た図)を示し、図6(b)には図6(a)の防塵装置17の矢印S5−S5線断面矢視図を示し、図6(c)には図6(a)の防塵装置17の矢印S6−S6線断面矢視図を示す。
更に、上部電動モーター28a、上部伝動ギヤ29a,30a、上部リードカム軸25a、上部リードメタル27a、及び上部リードカム軸25aの上部軸受けメタル35aなどの駆動装置23aの部分をブラケット33aにより支持させて、サブアッセイ(一つの集合体として組み立てて一体化したもの)としてから、ラジエーターカバー2,3に組み付けできる構成としても良い。
【0064】
図4に示す下部電動モーター28b、下部伝動ギヤ29b,30b、下部リードカム軸25b、下部リードメタル27b、下部軸受けメタル35bなどの駆動装置23bの部分も同様に集合体として一体化しラジエーターカバー2,3に組み付けできる構成としても良い。
本構成を採用することにより、ラジエーターカバー2,3に遮風プレート6の駆動装置23を組立てることが簡単となり、これら装置等の組み替えやラジエーター5などのエンジン冷却装置の整備などを簡単に行うことができる。
なお、図2及び図3に示す防塵装置17においても、図6に示す防塵装置17と同様に、駆動装置23の部分も同様に集合体として一体化してから、ラジエーターカバー2,3に組み付けできる構成としても良い。
【0065】
また、コンバインの作業を開始するための作業クラッチ(刈取・脱穀クラッチ、図示せず)の入りによって、遮風プレート6がスライド(往復移動)を開始する構成としてもよい。
防塵ネット3の網面3a,3b,3c上に塵埃が多く付着する作業時のみ作動させることで、不要時には作動させず必要なときのみ作動させることにより、電動モーター28の耐久性向上や消費電力の低減、遮風プレート6が移動する際の騒音、振動などの低減を図ることができる。更に、作業時以外では作動させないようにすることで、原動部のメンテナンスを行う際に、よりコンバインの安全性も向上する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明はトラクタやコンバインを含む作業車両だけでなく、他の車両においても利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態による原動部構造を備えたコンバインの右側面図である。
【図2】図1のコンバインの防塵装置の右側面図である。
【図3】図2の防塵装置の矢印S−S線断面矢視図である。
【図4】図4(a)は図1のコンバインの防塵装置の遮風プレートが車体に対して前後方向に移動する場合の右側面図であり、図4(b)は図4(a)の防塵装置の矢印S1−S1線断面矢視図であり、図4(c)は図4(a)の防塵装置のリードメタル付近の矢印S2−S2線断面矢視図である。
【図5】図5(a)は図1のコンバインの防塵装置の遮風プレートが車体に対して前後方向に移動する場合の左側面図であり、図5(b)は図5(a)の防塵装置の矢印S3方向から見た場合の矢視図であり、図5(c)は図5(a)の防塵装置の矢印S4−S4線断面矢視図である。
【図6】図6(a)は図1のコンバインの防塵装置の遮風プレートが車体に対して前後方向に移動する場合の右側面図をであり、図6(b)は図6(a)の防塵装置の矢印S5−S5線断面矢視図でであり、図6(c)は図6(a)の防塵装置の矢印S6−S6線断面矢視図である。
【符号の説明】
【0068】
1 冷却ファン 1a 冷却ファンカバー
2 ラジエーターカバー枠部(枠部)
3 ラジエーターカバー防塵ネット(網部)
3a、3b、3c 網面
4 エンジンルーム 5 ラジエーター
6 遮風プレート 6a 前部プレート
6b 後部プレート 6c 上部プレート
6d 中間プレート 6e 下部プレート
7a ガイド装置(前) 7b ガイド装置(上)
7c ガイド装置(下) 7A,7B,7C 長穴
8 スプリング 10 走行クローラ
11 車体 12 グレンタンク
13 刈取装置 13a 分草杆
14 操縦席 15 排出オーガ
16 エンジン 17 防塵装置
18 スライド保持具 19 長孔
20 摺動ピン 23 駆動装置
25a,25b リードカム軸
26 側枠
27a,27b リードメタル
28a,28b 電動モーター
29a,29b,30a,30b 伝動ギヤ
33a,33b ブラケット
35a,35b 軸受けメタル
42 HST主変速レバー 43 副変速レバー
48 操向レバー 60 吸気口
F 吸気風路 K 折れ曲がり部
M 終端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ファン(1)を備えたエンジン(16)と、
冷却ファン(1)の外側に設けられたラジエーター(5)と、
該ラジエーター(5)の外側に設けられ、該ラジエーター(5)へ供給される外気の濾過用の網部(3)および該網部(3)を取り付けた外枠を構成する枠部(2)とからなるラジエーターカバー(2,3)と、
前記ラジエーターカバー(2,3)の網部(3)の内側面に接近して設けられ、網部(3)の目合いの一部を塞いで外気の通過を遮断する遮風プレート(6)と、
該遮風プレート(6)を前記網部(3)の内側面に沿って網部(3)の高さ方向に上下に直線的に往復運動させる移動機構(23)と
を設けたことを特徴とする作業車両の原動部構造。
【請求項2】
前記ラジエーターカバー(2,3)の網部(3)の下端部に、ラジエーター(5)を迂回して冷却ファン(1)に至る吸気風路の吸気口(60)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の原動部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−262747(P2009−262747A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114206(P2008−114206)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】