説明

併用療法においてヒストンデアセチラーゼ阻害剤を使用し、バイオマーカーをモニタする方法

細胞DNA修復活性を低下させるために、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤を使用する方法、少なくとも1種のバイオマーカーを使用して、細胞DNA修復活性の減少をモニタする方法、併用療法において細胞DNA修復活性を低下させるために、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤を使用することによって、癌を治療する方法、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、RAD51が関与するDNA修復メカニズムを妨害する併用治療の方法、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の第一投与と少なくとも1種の他の治療措置の第二の処置との間の導入時間を予測する方法、および併用療法用の医薬組成物を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNAの非相同末端結合における欠損に関連する疾患、障害、または状態を治療する方法であって、
(a)DNAの非相同末端結合における欠損に関連する疾患、障害または状態を患う患者に、少なくとも1種の治療的に有効な量のRAD51の活性を阻害する、RAD51病巣の形成を妨げる、またはDNAの相同的組換えのための機能的修復複合体の構築を妨げる薬剤を投与することと、
(b)前記患者に、細胞DNAを損傷することができる治療を投与することと、
を含む方法。
【請求項2】
RAD51の活性を阻害する、RAD51病巣の形成を妨げる、またはDNAの相同的組換えのための機能的修復複合体の構築を妨げる前記少なくとも1種の薬剤が、治療的に効果的なヒストンデアセチラーゼ阻害剤、またはその医薬的に許容しうる誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
DNAの非相同末端結合における前記欠損が、Ku70、Ku80、Ku86、Ku、PRKDC、LIG4、XRCC4、DCLRE1CおよびXLFからなる群から選択される遺伝子における欠損を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患、障害または状態が、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、胃癌、胃腸間質性腫瘍、すい臓癌、胚細胞性腫瘍、肥満細胞腫瘍、神経芽細胞腫、肥満細胞症、精巣癌、神経膠芽腫、星状細胞腫、リンパ腫、メラノーマ、骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄形成異常症候群、慢性骨髄性白血病、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、およびB細胞リンパ腫から選択される癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
RAD51の発現レベルが所定の範囲内である時に、細胞DNAを損傷することができる前記治療を投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の前記治療的に有効な量が、約0.2mg〜約2000mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、式(I):
【化1】

(式中、
は、水素またはアルキルであり、
Xは、−O−、−NR−、または−S(O)(ここで、nは0〜2であり、Rは水素またはアルキルである)であり、
Yは、任意にシクロアルキルで置換されたアルキレン、任意に置換されたフェニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、任意に置換されたフェニルアルキルチオ、任意に置換されたフェニルアルキルスルホニル、ヒドロキシ、または任意に置換されたフェノキシであり、
Arは、フェニレンまたはヘテロアリーレンであって、ここで前記Arは、任意に、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルから独立して選択される1個または2個の基で置換され、
は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、または任意に置換されたフェニルであり、
Arは、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルアルキルである。)
の構造を有し、かつその単一の立体異性体、単一の幾何異性体またはその混合物、あるいはその医薬的に許容しうる塩である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
RAD51の発現レベルの前記所定の範囲が、前記少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の前記投与前のRAD51の発現レベルと比較して、約70%未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
細胞DNAを損傷することができる前記治療が、放射線療法、または医薬的に有効な量の少なくとも1種の抗癌剤の投与、癌治療のための公知の組合せスキーム、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
細胞DNAを損傷することができる前記治療が、放射線療法である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗癌剤が、細胞障害性薬剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質転移酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、血管新生阻害剤、細胞増殖および生存シグナル経路の阻害剤、アポトーシス誘発剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、ビホスホネート、またはこれらの任意の組合せである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
癌を治療する方法であって、
(a)癌を患う患者に、治療的に有効な量の少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤またはその医薬的に許容しうる誘導体を投与することと、
(b)所定のバイオマーカーの発現レベルが所定の範囲内である時に、少なくとも1種の他の抗癌治療を投与することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記癌が、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、胃癌、胃腸間質性腫瘍、すい臓癌、胚細胞性腫瘍、肥満細胞腫瘍、神経芽細胞腫、肥満細胞症、精巣癌、神経膠芽腫、星状細胞腫、リンパ腫、メラノーマ、骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄形成異常症候群および慢性骨髄性白血病からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、式(I):
【化2】

(式中、
は、水素またはアルキルであり、
Xは、−O−、−NR−、または−S(O)(ここで、nは0〜2であり、Rは水素またはアルキルである)であり、
Yは、任意にシクロアルキルで置換されたアルキレン、任意に置換されたフェニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、任意に置換されたフェニルアルキルチオ、任意に置換されたフェニルアルキルスルホニル、ヒドロキシ、または任意に置換されたフェノキシであり、
Arは、フェニレンまたはヘテロアリーレンであって、ここで前記Arは、任意に、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルから独立して選択される1個または2個の基で置換され、
は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、または任意に置換されたフェニルであり、
Arは、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルアルキルである。)
の構造を有し、かつその単一の立体異性体、単一の幾何異性体またはその混合物、あるいはその医薬的に許容しうる塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のバイオマーカーが、RAD51である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記所定のバイオマーカーが、RAD51病巣の混乱である、請求項20に記載の方法。
【請求項17】
バイオマーカーの発現レベルの前記所定の範囲が、前記少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の前記投与前のバイオマーカーの発現レベルと比較して、70%未満である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の他の抗癌治療が、放射線療法、外科手術、遺伝子治療、siRNAまたはRNAi療法、治療的に有効な量の少なくとも1種の抗癌剤の投与、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
DNAの非相同末端結合における欠損に関連する疾患、障害または状態を治療する方法であって、
a)DNAの非相同末端結合における欠損に関連する疾患、障害または状態を患う患者に、少なくとも1種の治療的に有効な量のBRCA1の活性を阻害する、BRCA1およびRAD51の相互作用を妨げる、またはBRCA1が関係する相同的組換えのための機能的修復複合体の構築を妨げる薬剤を投与することと、
b)前記患者に、細胞DNAを損傷することができる治療を投与することと、
を含む方法。
【請求項20】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を使用する方法であって、
(a)対象に、治療的に有効な量の少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤またはその医薬的に許容しうる誘導体を投与することと、
(b)前記対象の少なくとも1つの細胞における所定のバイオマーカーの発現レベルの変化をモニタすることと、
(c)前記バイオマーカーの発現レベルが所定の範囲内の時に、少なくとも1種の他の治療措置を投与することと、
を含む方法。
【請求項21】
RAD51が過剰発現した疾患、障害または状態を治療する方法であって、
(a)RAD51が過剰発現した疾患、障害または状態にある患者に、少なくとも1種の治療的に有効な量のRAD51の活性を阻害する、RAD51病巣の形成を妨げる、またはDNAの相同的組換えのための機能的修復複合体の構築を妨げる薬剤を投与することと、
(b)前記患者に、細胞DNAを損傷することができる治療を投与することと、
を含む方法。
【請求項22】
(a)少なくとも1種の治療的に有効な量のRAD51の活性を阻害する、RAD51病巣の形成を妨げる、またはDNAの相同的組換えのための機能的修復複合体の構築を妨げる薬剤の第一放出のための第一コーティングと、
(b)少なくとも1種の他の治療剤の第二放出のための第二コーティングと、
を含む医薬組成物。
【請求項23】
RAD51の活性を阻害する前記薬剤が、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、またはその医薬的に許容しうる誘導体である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、式(I):
【化3】

(式中、
は、水素またはアルキルであり、
Xは、−O−、−NR−または−S(O)(ここで、nは0〜2であり、Rは水素またはアルキルである)であり、
Yは、任意にシクロアルキルで置換されたアルキレン、任意に置換されたフェニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、任意に置換されたフェニルアルキルチオ、任意に置換されたフェニルアルキルスルホニル、ヒドロキシ、または任意に置換されたフェノキシであり、
Arは、フェニレンまたはヘテロアリーレンであり、ここで前記Arは、任意に、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルから独立して選択される1個または2個の基で置換され、
は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、または任意に置換されたフェニルであり、
Arは、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルアルキルである。)
の構造を有し、かつその単一の立体異性体、単一の幾何異性体、またはその混合物、あるいはその医薬的に許容しうる塩である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
癌治療を必要とする患者のために癌治療を選択する方法であって、
a)患者からの少なくとも1個の細胞におけるRAD51mRNAの発現レベル、またはRAD51タンパク質レベルを決定することと、
b)生体試料中のRAD51mRNAの発現レベルまたはRAD51タンパク質のレベルが、所定のRAD51mRNAの発現レベルまたはRAD51のレベルを超える場合、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ阻害剤が治療に効果的であることを示唆することと、
を含む方法。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−514777(P2010−514777A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544149(P2009−544149)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/086874
【国際公開番号】WO2008/082856
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(509181220)ファーマサイクリックス,インク. (7)
【Fターム(参考)】