説明

使用済トナーカートリッジ解体処理装置

【課題】使用済トナーカートリッジを、安全にかつ効率良く、しかも低コストで解体することができる装置を提供する。
【解決手段】入口1a及び出口1bを有するハウジング1を備える。ハウジング内に、入口から投入された使用済トナーカートリッジCを、押し切りによって複数の破砕片に解体し、排出する破砕ユニット2と、破砕ユニットから破砕片を受けて出口まで搬送するベルトコンベヤ9と、ベルトコンベヤ上の破砕ユニットの下流側に配置されたエアージェット洗浄ユニット10が配置される。エアージェット洗浄ユニットは、ベルトコンベヤの搬送面の上方空間を取り囲み、破砕片が通過可能なトンネル11と、トンネル内壁面に設けられたエアーノズル12を有する。エアージェット洗浄ユニットは、常時、ハウジング内の空気を外部に吸引排気するとともに、ベルトコンベヤ上を搬送される破砕片に対し、エアーノズルから圧縮空気を噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済トナーカートリッジを解体処理する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機やプリンター等に搭載されるトナーカートリッジは、カートリッジ内のトナーが無くなると、使用済トナーカートリッジとして廃棄処分される。使用済トナーカートリッジは、従来、産業廃棄物として地下に埋めることによって廃棄されていたが、近年では、環境保護および資源リサイクルの観点から、解体処理され、残留トナーを回収しつつ、プラスチック材料と金属材料とに分離されたうえで、再利用されるようになってきている。
【0003】
この使用済トナーカートリッジの解体処理は、従前は、専ら人手によってなされていたが、トナーの残留したカートリッジを工具を用いて分解した後、トナーを回収しながらパーツを分離する作業は、非常に手間がかかり、また作業者の健康を害するおそれもある。そのため、最近では、この作業を機械化するための装置がいくつか提案されている。
【0004】
そして、この種の装置の多くは、使用済トナーカートリッジの破砕、残留トナーの回収、および各破砕片に付着したトナーの除去、回収までの工程を、自動的に行うように構成されている。
ところで、これらの装置においては、トナーが装置外部に飛散することを防止すべく、全ての工程が、ほぼ密閉状態に維持されたハウジング内で実行される。しかし、このような密閉された空間内にトナーが飛散すると、トナーが粉塵化して、破砕時に生じる火花等をきっかけにして、粉塵爆発が起こる危険性が高くなる。そのため、これを回避するための方策が必要とされる。
【0005】
そして、従来のこの種の装置として、例えば、破砕室内に不活性ガス雰囲気を保持したものや(例えば、特許文献1参照)、トナーカートリッジを破砕する前に、トナーカートリッジ内の残留トナーを高圧蒸気で加熱溶融してトナーカートリッジ内に付着させた後、冷却し、トナーの粉塵化を防止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、前者においては、不活性ガスを大量に使用し、また、そのための不活性ガスの供給装置を備える必要があり、解体処理のコストが上昇し、リサイクルの採算がとれなくなるという問題があった。また、後者においては、残留トナーの加熱溶融、およびその後の冷却に長時間を要し、解体処理の効率が非常に悪く、さらには、解体後のプラスチック部材にトナーが溶着したままなので、プラスチック部材の再利用が容易でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−79125号公報
【特許文献3】特開2008−23474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、使用済トナーカートリッジを、安全にかつ効率良く、しかも低コストで解体処理できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、使用済トナーカートリッジを解体処理する装置であって、入口および出口を備えたハウジングと、前記ハウジング内に配置され、前記入口から投入された使用済トナーカートリッジを、押し切りによって複数の破砕片に解体し、排出する破砕ユニットと、を備え、前記破砕ユニットは、前記使用済トナーカートリッジが所定位置に載置されるテーブルを備え、前記テーブルは、前記所定位置に載置された前記使用済トナーカートリッジを横切ってのびる少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部は、前記使用済トナーカートリッジと交差する端縁の少なくとも一方が直線状に形成されており、前記破砕ユニットは、さらに、前記開口部の複数の前記直線状の端縁に上向きに取り付けられた固定刃と、前記テーブルの上方において上下運動可能に配置されたブロックと、前記ブロックを上下運動させるブロック駆動機構と、前記ブロックの下面における前記固定刃に対向する位置に取り付けられた可動刃と、を備え、前記ブロックは、前記可動刃が前記所定位置に載置された前記使用済トナーカートリッジの上方に間隔をあけて位置する待機位置と、前記可動刃が前記テーブルの開口部内に進入し、前記固定刃との協働によって前記使用済トナーカートリッジを押し切りする断裁位置との間で運動可能になっており、前記装置は、さらに、前記ハウジング内に配置されるとともに、前記ハウジングの入口側から前記破砕ユニットのテーブルの下方を横切って前記ハウジングの出口側までのび、前記破砕ユニットから前記破砕片を受けて前記出口まで搬送するベルトコンベヤと、前記ベルトコンベヤ上における前記破砕ユニットの下流側に配置されたエアージェット洗浄ユニットと、を備え、前記エアージェット洗浄ユニットは、前記ベルトコンベヤの搬送面の上方空間を取り囲み、前記ベルトコンベヤ上を搬送される前記破砕片が内部を通過するトンネルと、前記トンネルの内壁面に互いに間隔をあけて設けられ、前記ベルトコンベヤの搬送面に向けられた複数のエアーノズルと、圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から前記エアーノズルに圧縮空気を供給する給気ダクトと、前記給気ダクトの途中に設けられ、圧縮空気の流量を制御する制御バルブと、前記トンネルの壁に設けられた少なくとも1つの排気口と、前記ハウジングの外部に空気を排出するための排気ファンと、前記排気口および前記排気ファンを接続する排気ダクトと、前記排気ダクトの途中に配置された集塵機と、を備え、前記排気ファンが前記装置の作動中は常時作動することによって、常に、前記ハウジング内の空気が前記トンネルの入口および出口から前記ハウジングの外部に吸引排気されるとともに、前記ベルトコンベヤ上を搬送される前記破砕片に対し、所定のタイミングで、前記エアーノズルによる圧縮空気の噴射がなされるものであることを特徴とする装置を構成したものである。
【0010】
上記構成において、好ましくは、前記テーブルの開口部は、前記所定位置に載置された前記使用済トナーカートリッジを直角に横切ってのびる単一の長方形状の開口部であり、前記固定刃は、前記開口部の前記使用済トナーカートリッジと直交する一対の対辺にそれぞれ取り付けられている。この場合、前記開口部の一対の対辺間の間隔は、前記使用済トナーカートリッジの長手方向の長さのほぼ1/3であることが好ましい。
【0011】
上記構成において、また、前記エアージェット洗浄ユニットのトンネルの壁の少なくとも一部が、前記ハウジングの一部を形成していることが好ましい。
また、前記複数のエアーノズルが、前記ベルトコンベヤに沿って、少なくとも1列に並んで配置されていることが好ましい。
【0012】
また、前記装置は、前記ベルトコンベヤの搬送面を振動させる振動機構を備えていることが好ましい。
また、前記装置は、前記ハウジングの内部であって、前記エアージェット洗浄ユニットのトンネルの出口の外側に配置され、前記トンネルから出てきた前記破砕片に向けて静電気除去用エアーを噴射する少なくとも1つのエアーガンを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハウジングの入口から投入された使用済トナーカートリッジを、破砕ユニットにより、押し切りによって複数の破砕片に解体し、それらの破砕片をベルトコンベヤによってハウジングの出口まで搬送するようにし、ベルトコンベヤ上の破砕ユニットの下流側には、ベルトコンベヤの搬送面の上方空間を取り囲み、破砕片が通過可能なトンネルと、トンネル内壁面に設けられたエアーノズルを有するエアージェット洗浄ユニットを配置し、エアージェット洗浄ユニットによって、常時ハウジング内の空気を外部に吸引排気するとともに、ベルトコンベヤ上を搬送される破砕片に対して圧縮空気を噴射するようにしている。
【0014】
こうして、使用済トナーカートリッジを押し切りによって破砕するので、破砕時に、粉塵爆発を誘発する火花の発生することが防止される。また、解体処理の間は、常にハウジング内の空気が外部に吸引排気され、ハウジング内のトナー濃度が爆発下限界(火災の伝播を生じる粉塵の最低濃度)より低くなるように維持されるので、粉塵爆発の発生が確実に防止される。また、破砕片に付着したトナーの大部分を、圧縮空気の噴射によって剥離浮遊させて回収し、破砕片を十分に洗浄できるので、解体処理後の手作業によるプラスチック材料と金属材料との分離が容易に行え、さらには、それらの材料を再利用することができる。
さらに、押し切りによって破砕し、ハウジング内の空気を吸引排気しながら、圧縮空気の噴射によって洗浄を行うという、極めて簡単な構成としているので、解体処理装置の製造コストおよびランニングコストは、従来の装置に比べて大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1実施例による使用済トナーカートリッジ解体処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した解体処理装置の排気およびトナー回収系の概略構成を示す図である。
【図3】使用済トナーカートリッジが破砕ユニットのテーブルの所定位置に載置された状態を示す平面図である。
【図4】破砕ユニットのブロックの動作を説明する図であり、(A)はブロックが待機位置にある状態を示し、(B)はブロックが断裁位置にある状態を示している。
【図5】(A)は、使用済トナーカートリッジの破砕前の状態を示す斜視図であり、(B)は、使用済トナーカートリッジの破砕後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。図1は、本発明の1実施例による使用済トナーカートリッジ解体処理装置の概略構成を示す図であり、図2は、図1に示した解体処理装置の排気およびトナー回収系の概略構成を示す図である。なお、図面の明瞭化のために、図1中、排気系の構成の一部を省略した。
【0017】
図1および図2を参照して、本発明による使用済トナーカートリッジ解体処理装置は、入口1aおよび出口1bを備えたハウジング1と、ハウジング1内に配置され、入口1aから投入された使用済トナーカートリッジCを、押し切りによって複数の破砕片に解体し、排出する破砕ユニット2を備えている。
【0018】
破砕ユニット2は、使用済トナーカートリッジCが所定位置に載置されるテーブル3を備えている。この実施例では、使用済トナーカートリッジCは、その長辺側がハウジング1の入口1aに平行になる姿勢で入口1aから投入され、テーブル3の所定位置に載置されるようになっている。
【0019】
図3(A)に示すように、テーブル3の前記所定位置には、使用済トナーカートリッジCを直角に横切ってのびる単一の長方形状の開口部4が形成されている。そして、開口部4の使用済トナーカートリッジCと直交する一対の対辺4a、4bに、それぞれ、固定刃5a、5bが上向きに取り付けられている。この場合、開口部4の一対の対辺4a、4b間の間隔は、使用済トナーカートリッジCの長手方向の長さのほぼ1/3になっていることが好ましい。
【0020】
本発明の別の好ましい実施例では、図3(B)に示すように、テーブル3に、使用済トナーカートリッジCを直角に横切ってのびる2つの長方形状の開口部4’、4”が形成され、開口部4’、4”のそれぞれの使用済トナーカートリッジCと直交する一対の対辺4a’、4b’;4a”、4b”に、それぞれ、固定刃5a’、5b’;5a”、5b”が上向きに取り付けられている。
【0021】
テーブルの開口部テーブル3の開口部4の構成は図3に示した実施例に限定されない。すなわち、テーブルは、所定位置に載置された使用済トナーカートリッジを横切ってのびる少なくとも1つの開口部を有し、開口部は、使用済トナーカートリッジと交差する端縁の少なくとも一方が直線状に形成されていればよい。そして、固定刃は、開口部の複数の直線状の端縁に取り付けられる。
【0022】
破砕ユニット2は、また、テーブル3の上方において上下運動可能に配置されたブロック6と、ブロック6を上下運動させるブロック駆動機構7と、ブロック6の下面における固定刃5a、5bに対向する位置に取り付けられた可動刃8a、8bを備えている。
ブロック駆動機構7は、この実施例では、油圧ユニット7aおよび油圧シリンダ7bを有する公知の適当な油圧駆動機構からなっている。
【0023】
そして、ブロック6は、可動刃8a、8bが所定位置に載置された使用済トナーカートリッジの上方に間隔をあけて位置する待機位置(図4(A)参照)と、可動刃8a、8bがテーブル3の開口部4内に進入し、一定の圧力(この実施例では、5MPa〜12MPa)下に固定刃5a、5bをテーブル3上の使用済トナーカートリッジに押しつけ、固定刃5a、5bとの協働によって使用済トナーカートリッジを押し切りする断裁位置(図4(B)参照)との間で運動可能になっている。
この場合、断裁位置では、ブロック6およびテーブル3間に一定の間隔が保持され、使用済トナーカートリッジCのテーブル3上に残された部分が、ブロック6による適度の圧接によって破砕されるが、ブロック6によって押し潰されてしまわないようになっている。
【0024】
こうして、この実施例では、使用済トナーカートリッジCは、図5に示すように、破砕ユニット2によって、3つの破砕片C〜Cに解体される。
本発明によれば、使用済トナーカートリッジCを押し切りによって破砕するので、破砕時に、粉塵爆発を誘発し得る火花が発生することはない。
【0025】
使用済トナーカートリッジ解体処理装置は、さらに、ハウジング1内に配置されるとともに、ハウジング1の入口1a側から破砕ユニット2のテーブル3の下方を横切ってハウジング1の出口1b側までのび、破砕ユニット2から破砕片を受けて出口1bまで搬送するベルトコンベヤ9と、ベルトコンベヤ9上における破砕ユニット2の下流側に配置されたエアージェット洗浄ユニット10を備えている。また、ベルトコンベヤ9の出口1bの端と、出口1bとの間には、洗浄された破砕片を回収するためのプラスチック/金属回収箱1cが配置されている。
【0026】
エアージェット洗浄ユニット10は、ベルトコンベヤ9の搬送面の上方空間を取り囲み、ベルトコンベヤ9上を搬送される破砕片が内部を通過するトンネル11を備えている。この場合、トンネル11の全体がハウジング1内に配置されていてもよいが、装置の構造の単純化のためには、トンネル11の壁の少なくとも一部がハウジング1の壁の一部を形成していることが好ましく、さらに好ましくは、この実施例のように、トンネル11の壁の全体がハウジング1の壁の一部を形成している。
【0027】
また、トンネル11の内壁面には、複数のエアーノズル12が、互いに間隔をあけて設けられ、ベルトコンベヤ9の搬送面に向けられている。
この実施例では、エアーノズル12は、トンネル11の天井面に、ベルトコンベヤ9に沿って、2列に並んで配置されている。
【0028】
エアージェット洗浄ユニット10は、また、圧縮空気供給源13と、圧縮空気供給源13からエアーノズル12に圧縮空気を供給する給気ダクト14と、給気ダクト14の途中に設けられ、圧縮空気の流量を制御する制御バルブ15を備えている。
この実施例では、圧縮空気供給源13は、コンプレッサー13a、レギュレータ13bおよび圧縮空気貯蔵タンク13cからなっており、制御バルブ15はダイヤフラム式電磁弁からなっている。制御バルブ15の開閉はシーケンサー16によって制御される。
【0029】
こうして、制御バルブ15が一定のタイミングで開閉されることによって、圧縮空気貯蔵タンク13cに貯蔵された圧縮空気(この実施例では、0.5〜0.6MPa)が、エアーノズル12から一定の時間間隔(この実施例では、3〜5秒間隔)で噴射される。この実施例では、エアーノズル12から音速に近い速度(〜250m/秒)で圧縮空気が噴射される。
【0030】
エアージェット洗浄ユニット10は、さらに、トンネル11の壁に設けられた少なくとも1つの排気口17(この実施例では、図2に示すように、トンネル11の上壁の入口側および出口側に各1つ)と、解体処理装置の外部に空気を排出するための排気ファン18と、排気口17および排気ファン18を接続する排気ダクト19と、排気ダクト19の途中に配置された集塵機20を備えている。
【0031】
排気ファン18は解体処理装置の作動中は常時作動し、それによって、常に、解体処理装置内の空気がトンネル11の出入口から解体処理装置の外部に吸引排気されるようになっている。
この場合、排気ファン18の排気量が、解体処理装置の動作中に、エアジェット洗浄ユニット10のトンネル11の出入口から排気口17、よってハウジング1の入口1aおよび出口1bから排気口17に向う気流が常時発生せしめられ、それによって、ハウジング1内のトナー濃度が爆発下限界(火災の伝播を生じる粉塵の最低濃度)より低くなるような大きさに設定される。
【0032】
集塵機20は、この実施例では、パルスジェット式洗浄機能を備えた乾式濾過集塵機からなっている。そして、集塵機20に内蔵された濾布によってハウジング1内からの排気中のトナーが捕集され、濾布に一定量のトナーが捕集されると、エアーパルスによって濾布からトナーが払い落とされ、集塵機20の下部に配置されたトナー回収ボトル22に回収される。
集塵機20および排気ファン18間には、さらにフィルター21が配置される。そして、集塵機20およびフィルター21を経て浄化された空気は、外部に排出される。
なお、通常は、集塵機20だけで十分な空気清浄能力が得られ、フィルター21は必要に応じて配置される。
【0033】
次に、本発明の使用済トナーカートリッジ解体処理装置の動作を簡単に説明する。
解体処理装置が作動を開始すると、まず、作業者の手作業で、ハウジング1の入口1aから使用済トナーカートリッジCが投入され、破砕ユニット2のテーブル3上の所定位置に載置される。使用済トナーカートリッジCは、破砕ユニット2によって押し切りされて、3つの破砕片に解体され、一部は、テーブル3の開口部4を通じてベルトコンベヤ9の搬送面上に自然落下し、残りは、作業者の手でテーブル3上からベルトコンベヤ9の搬送面上に落とされる。
【0034】
次いで、破砕片は、ベルトコンベヤ9上を搬送されてエアージェット洗浄ユニット10のトンネル11を通過する。この通過の間に、トンネル11の各エアーノズル12から破砕片に対して一定の時間間隔で圧縮空気が吹き付けられ、ベルトコンベヤ9の搬送面上に散乱したトナーが浮遊せしめられると共に、破砕片に付着したトナーが剥離されて浮遊せしめられ、トンネル11内の気流に乗って排気口12から吸引され、集塵機20に捕集され、その後、トナー回収タンク22内に回収される。
【0035】
圧縮空気の噴射によって十分に洗浄された破砕片は、ベルトコンベヤ9上をハウジング1の出口1bまで搬送され、プラスチック/金属材料回収箱1c内に回収される。プラスチック/金属材料回収箱1cに一定量の破砕片が蓄積されると、解体処理装置が停止せしめられ、プラスチック/金属材料回収箱1cが出口1bから取り出される。樹脂/金属回収箱1cに回収された破砕片は、その後の手作業でプラスチック材料と金属材料に分離される。
【0036】
以上、本発明の好ましい1実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されない。
例えば、本発明の別の好ましい実施例によれば、ベルトコンベヤの搬送面を振動させる振動機構が設けられる。それによって、ベルトコンベヤ上を搬送される破砕片が振動し、破砕片に付着したトナーの剥離が促進される。
さらに別の好ましい実施例によれば、ハウジングの内部であって、エアージェット洗浄ユニットのトンネルの出口の外側に、トンネルから出てきた破砕片に向けて静電気除去用エアーを噴射する少なくとも1つのエアーガンが配置される。
【符号の説明】
【0037】
1 ハウジング
1a 入口
1b 出口
1c プラスチック/金属材料回収箱
2 破砕ユニット
3 テーブル
4 開口部
5a、5b 固定刃
6 ブロック
7 ブロック駆動機構
7a 油圧ユニット
7b 油圧シリンダ
8a、8b 可動刃
9 ベルトコンベヤ
10 エアージェット洗浄ユニット
11 トンネル
12 エアーノズル
13 圧縮空気供給源
13a コンプレッサ
13b レギュレータ
13c 圧縮空気貯蔵タンク
14 給気ダクト
15 制御バルブ
16 シーケンサー
17 排気口
18 排気ファン
19 排気ダクト
20 集塵機
21 フィルター
22 トナー回収タンク
C 使用済トナーカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済トナーカートリッジを解体処理する装置であって、
入口および出口を備えたハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記入口から投入された使用済トナーカートリッジを、押し切りによって複数の破砕片に解体し、排出する破砕ユニットと、を備え、
前記破砕ユニットは、
前記使用済トナーカートリッジが所定位置に載置されるテーブルを備え、前記テーブルは、前記所定位置に載置された前記使用済トナーカートリッジを横切ってのびる少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部は、前記使用済トナーカートリッジと交差する端縁の少なくとも一方が直線状に形成されており、
前記破砕ユニットは、さらに、
前記開口部の複数の前記直線状の端縁に上向きに取り付けられた固定刃と、
前記テーブルの上方において上下運動可能に配置されたブロックと、
前記ブロックを上下運動させるブロック駆動機構と、
前記ブロックの下面における前記固定刃に対向する位置に取り付けられた可動刃と、を備え、前記ブロックは、前記可動刃が前記所定位置に載置された前記使用済トナーカートリッジの上方に間隔をあけて位置する待機位置と、前記可動刃が前記テーブルの開口部内に進入し、前記固定刃との協働によって前記使用済トナーカートリッジを押し切りする断裁位置との間で運動可能になっており、
前記装置は、さらに、
前記ハウジング内に配置されるとともに、前記ハウジングの入口側から前記破砕ユニットのテーブルの下方を横切って前記ハウジングの出口側までのび、前記破砕ユニットから前記破砕片を受けて前記出口まで搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤ上における前記破砕ユニットの下流側に配置されたエアージェット洗浄ユニットと、を備え、
前記エアージェット洗浄ユニットは、
前記ベルトコンベヤの搬送面の上方空間を取り囲み、前記ベルトコンベヤ上を搬送される前記破砕片が通過可能なトンネルと、
前記トンネルの内壁面に互いに間隔をあけて設けられ、前記ベルトコンベヤ上の前記破砕片に圧縮空気を噴射する複数のエアーノズルと、
圧縮空気供給源と、
前記圧縮空気供給源から前記エアーノズルに圧縮空気を供給する給気ダクトと、
前記給気ダクトの途中に設けられた制御バルブと、
前記トンネルの壁に設けられた少なくとも1つの排気口と、
前記ハウジングの外部に空気を排出するための排気ファンと、
前記排気口および前記排気ファンを接続する排気ダクトと、
前記排気ダクトの途中に配置され、排気中のトナーを回収する集塵機と、を備え、前記排気ファンが前記装置の作動中は常時作動することによって、常に、前記ハウジング内の空気が前記トンネルの入口および出口から前記ハウジングの外部に吸引排気されるとともに、前記ベルトコンベヤ上を搬送される前記破砕片に対し、所定のタイミングで、前記エアーノズルによる圧縮空気の噴射がなされるものであることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記テーブルの開口部は、前記所定位置に載置された前記使用済トナーカートリッジを直角に横切ってのびる単一の長方形状の開口部であり、前記固定刃は、前記開口部の前記使用済トナーカートリッジと直交する一対の対辺にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口部の一対の対辺間の間隔は、前記使用済トナーカートリッジの長手方向の長さのほぼ1/3であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記エアージェット洗浄ユニットのトンネルの壁の少なくとも一部が、前記ハウジングの一部を形成していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記複数のエアーノズルが、前記ベルトコンベヤに沿って、少なくとも1列に並んで配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記ベルトコンベヤの搬送面を振動させる振動機構を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジングの内部であって、前記エアージェット洗浄ユニットのトンネルの出口の外側に配置され、前記トンネルから出てきた前記破砕片に向けて静電気除去用エアーを噴射する少なくとも1つのエアーガンを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−733(P2013−733A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138105(P2011−138105)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(507330578)株式会社ダイトク (7)
【Fターム(参考)】