説明

保冷容器

【課題】食品の鮮度を保つ為に容器内に保冷材を入れると、冷気が容器内に均等に回らず、保冷材から遠い所にある食品が腐り易い。また、保冷材を適当な場所に保持する為に、容器とは異なる部材を装置すれば、コストが上がってしまう。
【解決手段】蓋の裏側に保冷材を取りつける。その為に、蓋は樹脂成形品とし、蓋と一体成形により、保冷材を保持するステーを装置する。
また、容器本体と蓋との嵌合部は、密閉する事により、さらに冷却効果を上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として食品を入れる容器や、弁当箱等に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋の裏側に、防虫剤や消臭剤等を取りつける為の部品を取り付けた製品は市販されているが、本発明の様に、蓋に特殊形状を一体成形したものは存在しない。
また、食品保存用の密閉容器は市販されているが、蓋に保冷材を取りつける事ができるものは存在しない。
【発明の開示】

【発明が解決しようとしている課題】
【0003】
生物を容器に入れて放置したり、弁当として持ち運ぶ場合など、気温が高い夏場は、食品が腐らない様に特に注意を要する。しかし、食品の鮮度を保つ為に容器内に保冷材を入れると、冷気が容器内に均等に回らず、保冷材から遠い所にある食品が腐り易い。
また、保冷材を適当な場所に保持する為に、容器とは異なる部材を装置すれば、コストが上がってしまう。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
蓋の裏側に保冷材を取りつける。その為に、蓋は樹脂成形品とし、蓋と一体成形により、保冷材を保持するステーを装置する。
また、容器本体と蓋は、密閉する事により、さらに冷却効果を上げる。
【発明の効果】
【0005】
容器内で、食品の上部に当る蓋の裏側に、保冷材を取りつける事により、重い冷気は下降し、暖かい空気は上昇する自然対流が発生する。その結果、容器内は均一に冷やされ、食品が腐る事を防止できる。
また、ステーを蓋に一体成形する事により、コストが上がるのを防ぐ事ができる。
尚、ステーの形状によっては、通常の型割り方法では樹脂成形が不可能であるが、特殊なスライド型等を使う事で解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明品の蓋の裏側に、保冷材を保持する為のステーを設ける。ステーの形状は、2本の板状部材で保冷材を挟み保持する構成や、ステーの先端部を折り曲げ、水平部分を設ける事で、保冷材を乗せる方法等がある。
蓋の裏側に保冷材が取りつけられている事により、冷気は容器内にまんべんなく行き渡り、冷却効果が増す。また、保冷材が直接食品に触れる事が無いので、衛生的である。
容器と蓋の嵌合部は、密閉構造とする事により、さらに冷却効果が増す。
【実施例】
【0007】
図1は本発明の蓋の断面図であり、図2は蓋の下面図である。蓋1の裏側、すなわち下側に、ステー2を2本、一体成形してある。ステー2の先端は、約90度に折り曲げられ、水平部分3を構成し、水平部分3に保冷材4を乗せる事により、保冷材4を保持できる。
保冷材4は、一般的に柔らかいので、前記水平部分3と、蓋1の裏側の間隔を狭くし、保冷材4を挟み込むように構成すれば、蓋1の開閉によって保冷材4が脱落する心配が無い。また、2本のステー2の設置間隔を狭くして、保冷材4を挟み込むように構成しても同じである。この状態で、蓋を容器に被せれば、自然対流により、容器内の食品に冷気が均一に行き渡る。以上が、請求項1の実施例である。
【0008】
図3は、請求項2の実施例であり、容器6に蓋1を取りつけた状態の断面図である。請求項1で保持した保冷材4の冷却効果を高める為には、容器6と蓋1の嵌合部を密閉し、冷気が逃げないようにする必要がある。その為に、蓋1の外周縁部5に下向きの凹部を形成し、容器6の側壁に隙間無く嵌合させる。また、バンドやバックル等の留具で蓋1を容器6に圧着しても同様の効果が得られる。尚、図3では、請求項1に関する内容は、省略してある。以上が、請求項2の実施例である。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明によれば、普通の食品保存容器を、コストをあまり上げずに、保冷容器として使う事が可能となり、また、保冷材を使用しない場合でも、通常の密閉容器として使用する事ができる為、極めて利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】請求項1の、断面図である。
【図2】請求項1の、下面図である。
【図3】請求項2の、断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1、本発明の、蓋
2、蓋に一体成形された、ステー
3、ステー下部に設けた、水平部分
4、糊状の物質を袋に詰めた、保冷部材
5、嵌合部
6、容器本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板が有り、上部が開口された容器に、樹脂製の蓋が着脱自在に装置された容器において、蓋の裏側、すなわち容器本体に被せた状態で下側に、保冷材などを吊り下げ保持する為のステーを、一体成形した事を特徴とする、保冷容器。吊り下げ保持する為のステーとは、下記のいずれかの構成を指す。
1、蓋の裏側から下向きに伸びる2本以上のステーを有し、その間隔は、付け根よりも先端の方を狭くする、または、ステーの側面に凹部や凸部を設ける。
2、蓋の裏側から下向きに伸びる2本以上のステーを有し、その間隔は、付け根よりも中央部が広くなり、先端は中央部よりも狭くする。
3、蓋の裏側から下向きに延びる1本以上のステーを有し、ステーの先端付近に、略水平部分を形成し、この略水平部分に、保冷材等を乗せる。
4、断面が円形や方形の筒型の部材を、蓋の裏側に略水平に一体成形する。また、この筒型の形状部分に、貫通孔やスリットを設けた構成も含む。
5、断面が円形や方形の筒型の部材を、蓋の裏側に略垂直下向きに伸びるように一体成形し、その筒型部分の内側の面積は、付け根よりも先端の方を小さくする、または、筒型部分の内側に、凹部や凸部を設ける事で、保冷材等を保持する。また、この筒型の形状部分に、貫通孔やスリットを設けた構成も含む。
【請求項2】
容器の側壁外周縁部と、蓋が嵌合する部分は、下記のいずれか、または、すべての構成により、略密閉されている事を特徴とする、請求項1に記載の保冷容器。
1、容器と蓋は、一方が凹形状で他方が凸形状、または、これに類する形状に構成され、蓋の上から加えた圧力により、隙間無く嵌合する。
2、容器と蓋の間に、軟質部材によるパッキンを装置する。
3、バンドやバックルやボタン等の留具により、蓋を容器に圧着して固定する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−182447(P2006−182447A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382825(P2004−382825)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(390007858)サナダ精工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】