保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法
【課題】異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にする。
【解決手段】予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部13と、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別部12と、判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部13を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存メモリ4に送る区切り選択部15とを備える。
【解決手段】予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部13と、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別部12と、判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部13を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存メモリ4に送る区切り選択部15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを保存するための保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生産管理の現場では、生産ラインの改善および生産ライン内の工程の作りこみが、生産性の向上を目的にして行なわれている。一般的に生産ラインの改善は、改善担当者が生産ライン内で発生した何らかの異常に目を付け、上記異常の原因を調べることによって上記異常の原因を取り除き、上記異常を再発させないように処置することによって行うものである。また、生産ライン内の工程の作りこみは、上記異常を工程の設計に反映させ、上記異常を発生させないように行うものである。上述した生産ラインの改善および生産ライン内の工程の作りこみで最初に必要になるのは、どのような異常がなぜ起きたのかという状況を把握することである。
【0003】
上記状況を把握する手段としては、改善担当者が作業者から上記状況をヒアリングする方法もあるが、最も有効な方法は、改善担当者が直接に上記状況を目で確認することである。改善担当者が異常を目で確認することは、異常が慢性的に発生している場合には発生頻度の点から比較的容易かもしれないが、突発的な異常を改善担当者が目で確認するためには、担当する生産ライン内のあらゆる状況を改善担当者が常に監視し続ける必要がある。しかしながら、担当する生産ライン内のあらゆる状況を改善担当者が常に監視し続けることは、時間的に困難である。また、改善担当者はコスト的に複数の生産ラインを担当することが一般的であるので、担当する生産ライン内のあらゆる状況を改善担当者が常に監視し続けることは、空間的にも困難である。
【0004】
以上の理由から、改善担当者が直接に上記状況を目で確認する方法として、生産ライン内をビデオカメラなどで撮影し、撮影した映像(動画)を後に改善担当者が確認することよって、上記状況を改善担当者が目で確認することが有効であると考えられている。実際には、ビデオカメラなどで操業時間中の生産ラインを撮影し続け、撮影した動画のすべてを保存しておき、異常が発生した時刻の付近の動画を再生することになる。しかしながら、以上の構成では、動画データを要不要に関係なく保存し続けるので、動画データを保存する記憶装置のメモリの容量を逼迫させることになる。また、記憶装置のメモリ中の動画データ量が膨大になることによって、一般的にアクセス速度が低下する問題も発生する。
【0005】
以上の問題を解決するための方法として、例えば特許文献1では、異常発生を検出した場合に、異常発生後の一定時間の動画を長期保存する監視システムが開示されている。しかしながら、特許文献1の監視システムでは、異常発生の原因を知るために重要な異常発生前の情報を得ることができないので、異常発生の原因を突き止めることができないという問題点がある。
【0006】
そこで、さらに特許文献1の監視システムの問題点を解決するための方法として、例えば、特許文献2では、異常発生を検出した場合に、異常発生の時点より一定時間前の部分から最新部分までの動画データを長期記憶するデータ配信方式が開示されている。また、特許文献3では、異常発生を検出した場合に、異常発生の時点より一定時間(T)だけ前の時点を動画データの長期記憶の開始時点として、異常発生前後の動画データを長期記憶する映像データ保存装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−320700号公報(平成13年11月16日公開)
【特許文献2】特開2001−326926号公報(平成13年11月22日公開)
【特許文献3】特開平6−266774号公報(平成6年9月22日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のデータ配信方式および映像データ保存装置では、異常発生前の動画データをどの程度遡って長期記憶させるのかの区切りを、異常の種類に関係なく予め定めた時間によって決めている。しかしながら、異常の種類によって、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が異常の発生前のどの時点に存在するのかは大きく異なる。従って、上記従来のデータ配信方式および映像データ保存装置を生産ライン内の監視に用いた場合には、異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画を的確に選び取って保存できない可能性が高い。詳しくは、異常の種類によっては異常発生の直前に手がかりになる情報が存在するとは限らないので、動画データを保存する指定時間が短すぎる場合には、異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画データを保存できない問題が生じる。また、指定期間をより長くすることによって異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画データの保存漏れを防ごうとした場合でも、異常の種類によっては異常発生の直前に手がかりになる情報が存在することもあるので、指定期間が長すぎることによって異常発生の手がかりになる情報に関係のない動画データまでを保存してしまう問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選び取って保存することを可能にする保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保存動画選択装置は、上記課題を解決するために、所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画データの上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択装置であって、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部と、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別手段と、判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するためのメモリに送る区切り選択手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の保存動画選択方法は、上記課題を解決するために、所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択方法であって、トリガ種類判別手段によって、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別工程と、区切り選択手段によって、判別した上記トリガの種類に基づいて、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画の上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するための長期保存メモリに送る区切り選択工程とを含むことを特徴としている。
【0011】
上記の発明によれば、トリガ種類判別手段で判別したトリガの種類に基づいて、区切り設定格納部に予め格納されているトリガの種類ごとの長期保存を行う動画データの区切りの条件を参照して区切り選択手段が上記区切りを得るので、トリガの種類ごとに上記区切りを得ることが可能になる。よって、トリガの種類ごとに上記区切り分の動画データを長期保存メモリに送って保存することが可能になる。従って、上記区切りの条件として、トリガの種類ごとに、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる可能性の高い区切りが対応付けられるようにすれば、トリガの種類ごとに異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データをより的確に選びとって、長期保存メモリに保存することが可能になる。その結果、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0012】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記現場が製品の製造現場であった場合に、製品の製造に関わる状況の変化の情報である製造関連情報を取得する製造関連情報取得手段と、予めトリガの種類ごとに、上記製造関連情報に基づいた単位で長期保存を行う動画の上記範囲の候補である区切りの条件を設定し、上記区切り設定格納部に格納する区切り設定手段とをさらに備えることが好ましい。
【0013】
これにより、トリガの種類ごとに、製造関連情報取得手段が取得した製品の製造に関わる状況の変化の情報に基づいた単位で長期保存を行う動画の区切りの条件を区切り設定手段が設定する構成になるので、トリガの種類ごとに、製品の製造に関わる状況の変化の情報に基づいた単位で、動画データを長期保存メモリに送って保存することが可能になる。従って、所定のトリガの発生に明らかに関係のない上記単位の区切りを除くようにすれば、トリガの種類ごとに異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データをより的確に選びとって、長期保存メモリに保存することが可能になる。その結果、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0014】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記製造関連情報に基づいた単位は、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの組み合わせで得られる範囲であることが好ましい。
【0015】
これにより、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの組み合わせで得られる範囲を製造関連情報に基づいた単位にすることができる。
【0016】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記区切り選択手段により前記長期保存するためのメモリに送られる動画データを、ユーザからの入力に応じて実際に上記メモリに送るか否かの決定を行う保存動画決定手段をさらに備えることが好ましい。
【0017】
これにより、前記区切り選択手段により前記長期保存するためのメモリに送られる動画データを、ユーザからの入力に応じて上記メモリに送るか否かの決定を行うことができるので、ユーザが必要ないと判断した動画データを上記メモリに保存しないようにできる。よって、必要のない動画データによって上記メモリの容量を逼迫させることを防ぐことが可能になる。
【0018】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記区切り選択手段により選択された前記区切りを、ユーザからの入力に応じて再設定する区切り再設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0019】
これにより、区切り選択手段により選択された区切りを、ユーザからの入力に応じて区切り再設定手段によって再設定することができるので、長期保存するためのメモリに保存する前に、ユーザによって区切りの範囲を調整することが可能になる。よって、異常発生の原因を知るために区切り選択手段により選択された区切りを越えた範囲が必要な場合に、必要な範囲を上記メモリに保存することが可能なる。従って、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0020】
本発明の保存動画選択システムは、上記課題を解決するために、前記のいずれかの保存動画選択装置と、所定の現場を撮影する撮影装置と、上記撮影装置によって撮影された上記所定の現場の動画データを一時的に保存するための一時保存メモリと、上記保存動画選択装置によって選択された前記区切り分の動画を長期保存するための長期保存メモリとを備えることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0022】
ところで、上記保存動画選択装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、保存動画選択装置としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されている。
【0023】
これらのプログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、保存動画選択装置として動作する。したがって、上記保存動画選択装置と同様に、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、トリガ種類判別手段で判別したトリガの種類に基づいて、区切り設定格納部に予め格納されているトリガの種類ごとの長期保存を行う動画データの区切りの条件を参照して区切り選択手段が上記区切りを得るので、トリガの種類ごとに上記区切り分の動画データを長期保存メモリに送って保存することが可能になる。従って、上記区切りの条件として、トリガの種類ごとに、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる可能性の高い区切りが対応付けられるようにすれば、トリガの種類ごとに異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データをより的確に選びとって、長期保存メモリに保存することが可能になる。
【0025】
したがって、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、一例として、n個の工程からなる生産ラインを有する動画像保存システムに適用される、動画像保存装置について説明する。なお、上記工程は手組工程であってもよいし、オートメーション工程であってもよい。
【0027】
最初に、図2を用いて本実施の形態に係る動画像保存システム(保存動画選択システム)1の概略的な構成についての説明を行う。図2は、動画像保存システム1の実施の一形態を示す概略図である。図2に示す例では、動画像保存システムは、作業者の手作業により製品を製造するn個の工程(工程1〜工程n、図2ではn=4)を含む生産ラインに対して、ビデオカメラ(撮影装置)2、一時保存メモリ3、長期保存メモリ4、動画像保存装置(保存動画選択装置)5、および製造関連情報検出装置6を備えている。なお、本実施の形態ではビデオカメラ2および製造関連情報検出装置6は、各工程に対して備えられている(図2ではビデオカメラ2および製造関連情報検出装置6が4つずつ備えられている)。
【0028】
各工程には作業場所と作業手順が定められており、それぞれの作業場所に作業台および治工具などが設置されている。または、作業者が操作する生産設備が設置されていてもよい。工程1〜工程nは、製造対象物の流れの上流から下流に向けてこの順序で配置されており、製造対象物が先頭工程(工程1)から最終工程(工程n)までを経て、すべての工程の作業が順に実行されると製品が完成する。つまり、先頭工程の開始がある製品の製造の開始にあたり、最終工程の終了がある製品の製造の終了にあたる。なお、各工程には作業者が配置されるが、生産ライン全体に配置する作業者の人数や、一人の作業者が担当する工程の数には様々な形態が存在する。
【0029】
ビデオカメラ2は、生産ライン(現場)での作業を撮影するものである。具体的には、ビデオカメラ2が工程ごとに備えられている場合には、工程内での作業全般を撮影可能なように配置される。また、ビデオカメラ2が複数の工程ごとに備えられている場合には、上記複数の工程での作業全般を撮影可能なように配置される。
【0030】
一時保存メモリ3は、ビデオカメラ2によって撮影された動画データを一時的に記録しておくための記憶装置である。一時保存メモリ3では、動画データを記録し続けていくと、一時保存メモリ3の容量を逼迫させることになる。また、一時保存メモリ3中の動画データ量が膨大になることによって、アクセス速度が低下したりする。従って、一時保存メモリ3では、記録される動画データの容量が一定の容量を超えるごとに動画データを新たに上書き記録していくようになっている。例えば、一時保存メモリ3としてはRAM、HDD、フラッシュメモリ、またはDVDなどがある。なお、一時保存メモリ3としては、データ消去および再書き込み可能なものが好ましい。
【0031】
長期保存メモリ4は、一時保存メモリ3中の動画データから、後述する動画像保存装置5によって選択された一部の範囲(区切り)の動画データを記録(保存)しておくための記憶装置である。例えば、長期保存メモリ3としてはHDD、RAM、フラッシュメモリ、またはDVDなどがある。なお、長期保存メモリ4としては、CD−RおよびDVD−Rのように一度書き込むと上書きできないものであってもよい。
【0032】
動画像保存装置5は、後述する製造関連情報検出装置6で検出したトリガの種類(トリガ種類)に基づいて、一時保存メモリ3中の動画データから、長期保存メモリ4に保存する動画データの範囲(区切り)を選択し、上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存させるものである。本実施の形態で言うところのトリガとは、一時保存メモリ3中の一部(選択された区切り分)の動画データを長期保存メモリ4に保存するきっかけである。そして、上記トリガとは、製造関連情報検出装置6での直行率、仕掛かり在庫量、もしくは設備稼働率などの変化点の検知、または異常、模範作業、設備故障、もしくは作業者交代などのイベントの検知に相当する。以下で上記変化点と上記イベントとについては詳細に説明を行う。
【0033】
まず、上記変化点について説明を行う。直行率とは、最終検査で不具合が発生せず、そのまま市場へ出荷できるであって、直行率の変化点とは、上記直行率に所定の値以上の変化が生じた時点のことである。なお、上記直行率が急に下がっている(所定の値以上の変化が生じている)場合には、生産ラインで不良品が急に増えているということなので、生産ラインで何らかの異常が発生している可能性が高いといえる。また、仕掛かり在庫量とは、各工程間に存在する製造途中の製品の在庫量であって、仕掛かり在庫量の変化点とは、上記仕掛かり在庫量に所定の値以上の変化が生じた時点のことである。なお、仕掛かり在庫量が急に増えている(所定の値以上の変化が生じている)場合には、仕掛かり在庫量が急に増えた工程間の後の工程で何らかの異常が発生している可能性が高いといえる。そして、設備稼働率とは、各工程での設備の稼動率であって、設備稼働率の変化点とは、上記設備稼働率に所定の値以上の変化が生じた時点のことである。なお、設備稼働率が急に下がっている(所定の値以上の変化が生じている)場合には、設備稼働率が急に減った工程、または設備稼働率が急に減った工程の後の工程で何らかの異常が発生している可能性が高いといえる。このように、上記変化点の検知を異常発生の指標として有効に利用することができる。なお、上記所定の値とは、任意に設定可能な値である。
【0034】
続いて、上記イベントについて説明を行う。異常とは、生産ライン中での通常とは異なる状況または事象などのことであって、異常が検知された場合には、異常が検知された工程で何らかの問題が発生している可能性がある。また、模範作業とは、工程の作業時間がこれまでで最短であった場合のことである。なお、模範作業が検知された場合には、模範作業が検知された工程に異常は発生していないが、工程の改善の手がかりになる事象が発生している可能性が高い。さらに、設備の故障とは、工程中の設備の故障であって、設備の故障が検知された場合には、設備の故障が検知された工程で異常が発生していることになる。そして、作業者交代とは、工程中の作業者交代のことである。なお、作業者交代が検知された場合には、作業者が交代した工程で異常は発生していないが、作業者の交代という変化によって異常が発生する可能性が高くなっている。このように、上記イベントの検知を異常発生の指標(または工程の改善の手がかり)として有効に利用することができる。
【0035】
そして、製造関連情報検出装置6は、生産ライン(現場)での工程毎、または一定範囲のエリアごとに設置されており、工程毎にトリガを検出する処理を行う。具体的には、製造関連情報検出装置6は、例えばRFIDリーダ、カメラ、スイッチ、光電センサ、近接センサ、およびバーコードリーダなどによって構成される。例えば、上記イベントまたは上記変化点を人が検知した場合に、スイッチをONにすることによって、製造関連情報検出装置6が上記イベントを検知する構成であってもよい。また、上記作業者の交代などは、RFIDリーダにより作業者ごとに固有のRFIDタグを読取ることによって検知する構成であってもよいし、工程の開始時刻および終了時刻は、RFIDリーダにより製品ごとに固有のRFIDタグ読取ることによって検出する構成であってもよい。他にも、光電センサまたは近接センサを用いることによって、作業の有無を検知して工程の開始および終了時刻を検出する構成であってもよい。また、作業者に固有のバーコードを、工程の開始時および終了時にバーコードリーダに読取らせることによって、工程の開始時刻および終了時刻を検出する構成であってもよい。さらに、設備の故障などは、設備から直接に電圧の変化の情報などを製造関連情報検出装置6が読取ることによって、設備の故障などを検出する構成であってもよい。また、直行率、仕掛かり在庫量、および設備稼働率などの情報を集積しているコンピュータから直行率、仕掛かり在庫量、および設備稼働率などの情報を製造関連情報検出装置6が読取ることによって、上記変化点を検出する構成であってもよい。他にも、上記イベントの検知は、例えば特開平8−227462号公報に示されている動画像の変化点検出法などによって変化点を検出することによって行う構成であってもよい。
【0036】
なお、本実施の形態では、ビデオカメラ2および製造関連情報検出装置6は、各工程に対して備えられる構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、ビデオカメラ2および/または製造関連情報検出装置6が複数の工程ごとに備えられる構成であってもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、一時保存メモリ3および長期保存メモリ4は、動画像保存装置5の外部に備えられる構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が一時保存メモリ3および/または長期保存メモリ4を備える構成であってもよい。
【0038】
なお、本実施の形態では、改善担当者(ユーザ)が視認によってトリガを見つけ、時間的に遅れて製造関連情報検出装置6にトリガ検出の入力などをする場合に、トリガ発生時に遡った時刻などを入力することによって、トリガ発生時に製造関連情報検出装置6でトリガを検出したかのように処理をさせる構成であってもよい。
【0039】
次に、図1を用いて動画像保存装置5の構成の概要について説明を行う。図1は本実施の形態における動画像保存装置5の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【0040】
図1に示すように、動画像保存装置5は、トリガ情報検取得部11、トリガ種類判別部(トリガ種類判別手段)12、区切り設定格納部13、条件設定部14、区切り選択部(区切り選択手段)15、表示部16、区切り再設定部(区切り再設定手段)17および区切り決定部(区切り決定手段)18を備えている。
【0041】
まず、トリガ情報取得部11は、製造関連情報検出装置6で検出したトリガの情報を取得するものである。また、トリガ種類判別部12は、トリガ情報取得部11で取得したトリガ情報からトリガ種類を判別するものである。
【0042】
続いて、区切り設定格納部13は、予めトリガ種類ごとに、長期保存メモリ4に保存を行う動画データの範囲の候補である区切りの条件を格納しているものである。上記条件としては、例えば図3に示すようなテーブルを用いることができる。以下では、図3のテーブルを一例として、区切り設定格納部13に格納されるテーブルについての説明を行う。図3のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられている。図3のテーブルに設定されるトリガ種類としては、上述した直行率の変化点検知、仕掛かり在庫量の変化点検知、設備稼働率の変化点検知、異常検知、模範作業検知、設備の故障検知、および作業者交代検知などがある。また、図3のテーブルでは、保存開始候補点をトリガ検出時点を起点として設定された時間だけ遡った時点としており、保存終了候補点をトリガ検出時点を起点として設定された時間だけ進んだ時点としている。なお、上記設定は、保存開始候補点と保存終了候補点とによって区切られる動画データ中に、異常発生の手がかり、または工程の改善の手がかりになる動画データが含まれる可能性が高くなるように、トリガ種類に応じて予め行なわれるものである。なお、図3のテーブルでは時間を単位としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、動画像のフレーム数を単位としてもよい。
【0043】
また、図3のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられているが、必ずしもこれに限らず、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が列単位で対応付けられていてもよい。
【0044】
なお、本実施の形態では、上記条件としてテーブルを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、トリガの種類ごとに保存開始候補点および保存終了候補点が対応づけられている構成でありさえすればよい。
【0045】
また、条件設定部14は、ユーザからの入力に応じて区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行うものである。上記条件としてテーブルを用いる場合には、テーブル中のトリガ種類の変更、またはトリガ種類ごとの保存開始候補点および保存終了候補点の対応付けの変更などを行うものである。以下では、図4を用いて、条件設定部14による上記条件の変更についての説明を行う。図4は、条件設定部14の設定画面を示した図である。上記設定画面には、トリガ種類、保存開始点、および保存終了点の入力が可能になっており、上記設定画面に入力された結果に応じて条件設定部14が、区切り設定格納部13に格納されているテーブルのデータを変更することになる。なお、図4では保存開始点および保存終了点を時間単位で入力する構成になっているが、テーブル中の保存開始点および保存終了点の単位がフレーム数の場合には、フレーム数を入力する構成になる。
【0046】
続いて、区切り選択部15は、トリガ種類に基づいて区切り設定格納部13を参照してトリガを含む動画データの範囲(区切り)を選択し、選択した上記区切り分の動画データを区切り決定部18に送るものである。例えば、区切り設定格納部13に図3のテーブルが格納されているものとして、トリガ種類が「異常検知」であった場合の区切り選択部15での処理について以下で詳しく説明する。まず、区切り選択部15は、トリガ種類判別部12からトリガの種類が「異常検知」であるという情報(トリガ種類情報)を取得する。続いて、区切り選択部15は取得したトリガ種類情報「異常検知」に基づいて、区切り設定格納部13に格納されている図3のテーブルを参照し、図3のテーブルの「異常検知」に対応する保存開始候補点「−6.5」と保存終了候補点「+2.0」との情報を得る。そして、区切り選択部15は、一時保存メモリ3に記録されている動画データから、「異常検知」時を起点とした6.5分前から2分後までの動画データ(区切り分の動画データ)を取得し、表示部16および区切り決定部18に送る。なお、実際のトリガ検出(「異常検知」)時と一時保存メモリ3中の時間の単位またはフレーム数などとは、クロックなどを利用することで対応づけられており、区切り設定格納部13は、実際の「異常検知」時をもとに一時保存メモリ3中での時間の単位またはフレーム数などを特定して上記起点を決めている。以下に、実際のトリガ検出時と一時保存メモリ3中の時間の単位とを対応づける構成の具体的な例を示す。まず、一時保存メモリ3としてHDDを用いる場合には、動画像の一時保存を複数のファイル(可能ならば1つのファイルであってもよい)に行う。そして、各ファイルとそのファイル内の先頭と最後との画像の時刻が分かるようにテーブルなどで保存しておく。これによって、指定した時刻の画像がどのファイルに含まれるかを上記テーブルで参照して目的のファイルを特定し、指定時刻とファイルの先頭時刻との差分からファイルのどの部分が指定した時刻の画像であるのかを割り出すことによって、実際のトリガ検出時と一時保存メモリ3(HDD)中の時間の単位とを対応づけることが可能になる。なお、「異常検知」時を示す情報はトリガ情報に含まれており、例えばトリガ種類情報とともにトリガ種類判別部12から区切り設定格納部13に送られてもよいし、トリガ情報取得部11から区切り設定格納部13に送られてもよい。
【0047】
表示部16は、区切り選択部15から送られてきた上記区切り分の動画データを保存候補動画として表示するものである。
【0048】
区切り再設定部17は、ユーザからの入力に応じて、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の変更を行うものである。例えば、表示部16に表示された上記保存候補動画を確認したユーザが、上記保存候補動画の範囲よりも広い範囲、または狭い範囲の動画データを長期保存メモリ4に保存しようとした場合には、区切り再設定部17に新しい範囲を入力する。そして、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17は一時保存メモリ3から取得し、区切り決定部18に送る。なお、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17が表示部16に送って表示させる構成であってもよい。この場合、表示部16に表示された新たな保存候補動画を確認したユーザが、区切り再設定部17にさらに新しい範囲を入力する構成であってもよい。なお、上記新しい範囲の入力の例としては、保存候補動画の開始点または終了点から、何分前後させる、もしくは何フレーム前後させるなどの入力を行う構成があげられる。
【0049】
区切り決定部18は、ユーザからの入力に応じて、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の動画データを長期保存メモリ4に保存するか否かの決定を行うものである。例えば、表示部16に表示された上記保存候補動画を確認したユーザが、上記保存候補動画の動画データを長期保存メモリ4に保存する旨の入力をした場合には、上記保存候補動画の動画データを長期保存メモリ4に保存する。そして、保存する旨の入力をしなかった場合には、上記保存候補動画の動画データを消去する。
【0050】
次に、図5を用いて、動画像保存システム1の動作フローについて説明を行う。図5は、動画像保存システム1での動作フローの一例を示す図である。
【0051】
まず、ステップS1では、ビデオカメラ2が生産ラインの現場の撮影を行う。続いてステップS2では、ビデオカメラ2によって撮影された上記現場の動画データを一時保存メモリ3に記録し、ステップS3に移る。ステップS3では、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出された場合(ステップS3でYes)には、ステップS4に移る。また、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出されなかった場合(ステップS3でNo)には、ステップS6に移る。
【0052】
ステップS4では、動画像保存装置5によって、一時保存メモリ3に記録されている動画データのうち、長期保存メモリ4に保存する動画データの範囲(区切り)を選択する。続いて、ステップS5では、動画像保存装置5によって、選択された区切り分の動画データを長期保存メモリ4に記録(保存)し、ステップS6に移る。ステップS6では、ビデオカメラ2による上記現場の撮影が終了(撮影終了)であった場合(ステップS6でYes)には、フローを終了する。また、撮影終了でなかった場合(ステップS6でNo)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。上記撮影終了のタイミングとしては、生産ラインの現場の撮影時間として予め設定されていた時間に達したことであってもよいし、ユーザがビデオカメラ2の電源をOFFにしたことなどであってもよい。なお、本フローでは省略したが、一時保存メモリ3に記録された動画データの容量が一定の容量を超えると、一時保存メモリ3に記録された動画データは新たな動画データによって上書きされる構成であってもよい。
【0053】
次に、図6を用いて、動画像保存装置5での動作フローについて説明を行う。図6は、動画像保存装置5での動作フローの一例を示す図である。
【0054】
まず、ステップS11では、区切り設定格納部13に格納されている条件(例としてテーブルとする)を変更する場合(ステップS11でYes)には、ステップS12に移る。また、区切り設定格納部13に格納されているテーブルを変更しない場合(ステップS11でNo)には、ステップS13に移る。ステップS12では、条件設定部14により区切り設定格納部13に格納されているテーブルのデータを変更し、ステップS13に移る。
【0055】
ステップS13では、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出された場合(ステップS13でYes)には、ステップS14に移る。また、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出されなかった場合(ステップS13でNo)には、フローを終了する。ステップS14では、製造関連情報検出装置6から、トリガ情報取得部11によってトリガ情報を取得し、トリガ種類判別部12に送る。続いて、ステップS15では、トリガ情報取得部11から送られてきたトリガ情報をもとに、トリガ種類判別部12がトリガの種類を判別する。そして、トリガ種類判別部12が区切り選択部15にトリガ種類情報を送り、ステップS16に移る。
【0056】
ステップS16では、区切り選択部15が、トリガ種類判別部12から送られてきたトリガ種類情報に基づいて区切り設定格納部13のテーブルを参照する。続いて、ステップS17では、上記参照によって得られたトリガを含む動画データの範囲(区切り候補)の情報に従って、一時保存メモリ3から上記区切り分の動画データを選択して取得する。そして、ステップS18では、上記区切り分の動画データが、区切り選択部15から表示部16に送られて表示され、ステップS19に移る。
【0057】
ステップS19では、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の変更を行う(区切り範囲の変更を行う)旨の入力が、ユーザによって区切り再設定部17に行なわれた場合(ステップS19でYes)には、ステップS20に移る。また、区切り範囲の変更を行う旨の入力が、ユーザによって区切り再設定部17に行なわれなかった場合(ステップS19でNo)には、ステップS21に移る。そして、ステップS20では、区切り再設定部17によって、ユーザからの入力に応じた区切り範囲の変更を行い、ステップS21に移る。
【0058】
ステップS21では、上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存するか否かの決定を、ユーザからの入力に応じて区切り決定部18が行う。区切り決定部18によって上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存する決定が行なわれた場合(ステップS21でYes)には、ステップS22に移る。また、上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存する決定が行なわれなかった場合(ステップS21でNo)には、フローを終了する。そして、ステップS22では、区切り決定部18によって、上記区切り分の動画を長期保存メモリ4に記録し、フローを終了する。
【0059】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置5が条件設定部14を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が条件設定部14を備えず、予め区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行わない構成であってもよい。この場合、図6のフローのステップS11およびステップS12を行わない構成にすればよい。
【0060】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置5が表示部16を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が表示部16を備えない構成であってもよい。この場合、上記保存候補動画を表示しない構成であってもよいし、動画像保存装置5の外部の表示装置に区切り選択部15から上記区切り分の動画データを送って保存候補動画を表示する構成であってもよい。
【0061】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置5が区切り再設定部17を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が区切り再設定部17を備えない構成であってもよい。この場合、図6のフローのステップS19およびステップS20を行わない構成にすればよい。
【0062】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置5が区切り決定部18を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が区切り決定部18を備えない構成であってもよい。この場合、図6のフローのステップS21およびステップS22を行わない構成にして、ステップS18またはステップS20でフローを終了するようにすればよい。
【0063】
本実施の形態の動画像保存装置5は、所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する動画像保存装置であって、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部13と、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別部12と、判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部13を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存メモリ4に送る区切り選択部15とを備えることを特徴としている。
【0064】
以上の構成によれば、必要な動画像データを選択して保存するため、長期保存メモリ4の保存領域の効率的な利用が可能になる。また、必要な動画像データを選択して保存するため、ユーザが後から必要な動画像を切り出して編集する作業を著しく削減することができる。さらに、製造関連情報に関連した意味のある単位で動画を長期保存メモリ4に保存できるため、本当に必要な場面を消去してしまったり、不要な場面を多く保存してしまったりすることを抑制できる。従って、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選び取って保存することが可能になる。
【0065】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図7ないし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、動画像保存装置10を動画像保存システム1に適用する場合には、動画像保存装置10を動画像保存装置5の代わりに備える構成にすればよい。ただし、動画像保存装置10を動画像保存システム1に適用する場合には、製造関連情報検出装置6がトリガ以外の製造関連情報も検出することが異なっている。ここで言うところの製造関連情報については後に詳述する。
【0066】
最初に、前記実施の形態1と異なる製造関連情報検出装置6の働きについて説明を行う。本実施の形態の製造関連情報検出装置6は、上述したように、トリガ以外の製造関連情報も検出する点が異なっている。ここで言うところの製造関連情報とは、前述した模範作業といった作業実績の情報である作業実績情報、前述した異常を検知した情報である異常検知情報、人(Man),材料(Material),方法(Method),装置(Machine)の変化の情報である4M変化情報、シリアル番号、型式番号、製造番号、ロット番号、受注番号、または発注元の顧客コードなどの情報である製品情報、現場の温度、湿度などといった環境の変化の情報である環境変化情報などである。なお、製造関連情報にはトリガも含まれている。製造関連情報の具体的な例をあげると、工程の作業開始、工程の作業終了、N個前の工程の作業開始、N個後の工程の作業終了、オーダ(製品1つの製造、または製品ロット1つ分の製造)の着手、オーダの完了、N個前のオーダの作業、N個後のオーダの作業、製品の設備利用開始、製品の設備利用終了、N個前の製品の設備利用開始、N個後の製品の設備利用終了、交代前の作業者の作業開始、交代前の作業者の作業終了、交代後の作業者の作業開始、交代後の作業者の作業終了、設備故障の復旧時、またはトリガ発生時などの情報がある。なお、Nは自然数であって任意に設定可能なものである。
【0067】
なお、本実施の形態では、改善担当者(ユーザ)が視認によって製造関連情報を検出し、時間的に遅れて製造関連情報検出装置6に製造関連情報検出の入力などをする場合に、製造関連情報発生時に遡った時刻などを入力することによって、製造関連情報発生時に製造関連情報検出装置6で製造関連情報を検出したかのように処理をさせる構成であってもよい。
【0068】
次に、図7を用いて動画像保存装置10の構成の概要について説明を行う。図7は本実施の形態における動画像保存装置10の実施の一形態を示す機能ブロック図である。図7に示すように、動画像保存装置10は、動画像保存装置5の構成に対して製造関連情報取得部21、および区切り設定部22をさらに備えている。
【0069】
まず、製造関連情報取得部21は、製造関連情報検出装置6が検出した製造関連情報を取得するものである。また、製造関連情報取得部21は、製造関連情報が検出された時点に対応する一時保存メモリ3中の動画データの時間またはフレーム数などの情報を取得するものである。
【0070】
区切り設定部22は、トリガ種類ごとに、上記製造関連情報に基づいた単位で長期保存メモリ4に保存を行う動画データの区切りの条件を区切り設定格納部13に格納するものである。ここで言うところの製造関連情報に基づいた単位とは、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの製造関連情報の組み合わせで得られる範囲のことである。なお、上記条件としては、例えば図8(a)および図8(b)に示すようなテーブルを用いることができる。
【0071】
以下では、図8(a)および図8(b)のテーブルを一例として、区切り設定格納部13に格納するテーブルについての説明を行う。図8(a)および図8(b)は、動画像保存装置10の区切り設定格納部13に格納されるテーブルの一例を示す図である。まず、図8(a)のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられている。図8(a)のテーブルに設定されるトリガ種類は、前記の実施の形態1で示したものと同様のものである。また、図8(a)のテーブルに設定される保存開始候補点および保存終了候補点は、上述した製造関連情報のいずれかがそれぞれ用いられる。続いて、図8(b)のテーブルでは、保存開始候補点および保存終了候補点に対応する一時保存メモリ3中の動画データのフレーム数が並べられている。
【0072】
なお、便宜上、図8(a)のトリガ種類「異常検知」に対応するテーブルのみを図8(b)に示しているが、上記条件としてテーブルを用いる場合には、実際には図8(a)のテーブルのトリガ種類ごとに図8(b)のテーブルと同様のテーブルが区切り設定部22によって作成される。また、図8(b)のテーブルではフレーム数を単位としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、時間を単位としてもよい。
【0073】
なお、図8(a)のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられているが、必ずしもこれに限らず、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が列単位で対応付けられていてもよい。
【0074】
なお、本実施の形態では、上記条件としてテーブルを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、トリガの種類ごとに保存開始候補点および保存終了候補点が対応づけられている構成でありさえすればよい。
【0075】
続いて、図9を用いて、区切り設定部22による上記条件の設定についての説明を行う。図9は、区切り設定部22の設定画面を示した図である。上記設定画面には、トリガ種類、保存開始点、および保存終了点の入力が可能になっている。上記設定画面に入力が可能なトリガ種類は、前記の実施の形態1で示したトリガ種類と同様である。また、上記設定画面に入力が可能な保存開始点、および保存終了点は、上述した製造関連情報のいずれかがそれぞれ用いられる。そして、図8(a)のテーブルを例にすると、上記設定画面に入力したトリガ種類が区切り設定部22によって、図8(a)のテーブルのトリガ種類の項目に設定され、上記設定画面に入力した保存開始点、および保存終了点が区切り設定部22によって、それぞれ図8(a)のテーブルの保存開始候補点、および保存終了候補点の項目に設定される。なお、トリガ種類、保存開始点、および保存終了点の組み合わせの設定は、複数の組み合わせを設定することが可能であり、図8(a)に示したように設定した複数種類の組み合わせがテーブルに設定される。
【0076】
本実施の形態の区切り設定格納部13は、区切り設定部22で設定された上記条件(例として、区切り設定部22で作成されたテーブルとする)を格納しているものである。また、本実施の形態の条件設定部14は、ユーザからの入力に応じて区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行うものである。上記条件としてテーブルを用いる場合には、テーブル中のトリガ種類の変更、またはトリガ種類ごとの保存開始候補点および保存終了候補点の対応付けの変更などを行うものである。以下では、条件設定部14による上記条件の変更についての説明を行う。条件設定部14の設定画面は図示しないが、図9の設定画面と同様の画面になる。条件設定部14の設定画面には、図9の設定画面と同様のトリガ種類、保存開始点、および保存終了点が入力可能になっており、条件設定部14の設定画面に入力された結果に応じて条件設定部14が、区切り設定格納部13に格納されているテーブルのデータを変更することになる。
【0077】
続いて、本実施の形態の区切り選択部15は、トリガ種類に基づいて区切り設定格納部13を参照してトリガを含む動画データの範囲(区切り)を選択し、選択した上記区切り分の動画データを区切り決定部18に送るものである。例えば、区切り設定格納部13に図8(a)および図8(b)のテーブルが格納されているものとして、トリガ種類が「異常検知」であった場合の区切り選択部15での処理について以下で詳しく説明する。まず、区切り選択部15は、トリガ種類判別部12からトリガの種類(トリガ種類)が「異常検知」であるという情報(トリガ種類情報)を取得する。続いて、区切り選択部15は取得したトリガ種類情報「異常検知」に基づいて、区切り設定格納部13に格納されている図8(a)のテーブルを参照し、まず、図8(a)のテーブルの「異常検知」に対応する保存開始候補点「工程の開始」と保存終了候補点「工程の終了」との情報を得る。そして、保存開始候補点「工程の開始」と保存終了候補点「工程の終了」とに対応する図8(b)のテーブルのデータのうち、「異常検知」のトリガ発生時を間に含む「工程の開始」のフレーム数と「工程の終了」とのフレーム数を区切り選択部15が取得する。さらに、区切り選択部15は、一時保存メモリ3に記録されている動画データから、保存開始候補点のフレーム数を始点とし、保存終了候補点のフレーム数を終点とした範囲の動画データ(区切り分の動画データ)を取得し、表示部16および区切り決定部18に送る。なお、実際のトリガ検出(「異常検知」)時と一時保存メモリ3中の時間の単位またはフレーム数などとは、クロックなどを利用することで対応づけられており、区切り設定格納部13は、実際の「異常検知」時をもとに一時保存メモリ3中での時間の単位またはフレーム数などを特定して上記起点を決めている。なお、「異常検知」時を示す情報はトリガ情報に含まれており、例えばトリガ種類情報とともにトリガ種類判別部12から区切り設定格納部13に送られてもよいし、トリガ情報取得部11から区切り設定格納部13に送られてもよい。
【0078】
また、本実施の形態の区切り再設定部17は、ユーザからの入力に応じて、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の変更を行うものである。例えば、表示部16に表示された上記保存候補動画を確認したユーザが、上記保存候補動画の範囲よりも広い範囲、または狭い範囲の動画データを長期保存メモリ4に保存しようとした場合には、区切り再設定部17に新しい範囲を入力する。そして、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17は一時保存メモリ3から取得し、区切り決定部18に送る。なお、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17が表示部16に送って表示させる構成であってもよい。この場合、表示部16に表示された新たな保存候補動画を確認したユーザが、区切り再設定部17にさらに新しい範囲を入力する構成であってもよい。なお、上記新しい範囲の入力の例としては、保存候補動画の開始点または終了点から、何分前後させる、もしくは何フレーム前後させるなどの入力を行う構成であってもよいし、もう1工程余分に前後させるなど、製造関連情報単位で前後させるようにする構成であってもよい。
【0079】
なお、本実施の形態では、製造関連情報検出装置6が検出した製造関連情報を製造関連情報取得部21が取得する構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、ビデオカメラ2による撮影で得た動画データ、または一時保存メモリに記録されている動画データから、上述した動画像の変化点検出法などによって変化点を検出することによって製造関連情報を製造関連情報取得部21が取得する構成であってもよい。
【0080】
次に、図10(a)〜図10(f)を用いて、区切り選択部15によって、トリガ種類に応じて選択される製造関連情報に基づいた単位の区切りについて説明を行う。図10(a)〜図10(f)は、区切り選択部15によって選択される区切りの例を示した図である。
【0081】
まず、図10(a)〜図10(c)は、トリガ種類「異常検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(a)では、区切りが「異常検知」時を含む1つの工程分になっている。よって、「異常検知」で検知される異常が、1つの工程内に異常発生の手がかりが存在する可能性の高い異常であった場合には、図10(a)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画データを的確に選択することができる。また、異常の種類によっては、異常発生の手がかりが存在する可能性の高い上記区切りが異なるので、図10(b)または図10(c)のように異常の種類に応じて区切りの範囲を変更すればよい。具体的には、図10(b)では、区切りが「異常検知」時を含む工程の1つ前の工程から続く2つの工程分になっており、図10(c)では、区切りが「異常検知」時を含む製品の製造開始時から終了時までになっている。
【0082】
また、図10(d)は、トリガ種類「設備故障検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(d)では、区切りが「設備故障検知」時を含む1つ前の製品が設備利用開始時からトリガ検出(設備故障検知)時までになっている。設備故障が発生した場合には、設備故障の発生の手がかりが存在する可能性の高いと考えられる期間、すなわち、図10(d)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、設備故障発生の手がかりになる情報が含まれる動画データを的確に選択することができる。さらに、図10(e)は、トリガ種類「作業者交代検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(e)では、区切りが「作業者交代検知」時を含む交代前の作業者の作業開始時から交代後の作業者の作業終了時までになっている。作業交代時には何らかの異常が発生しやすいので、交代前の作業者の作業開始時から交代後の作業者の作業終了時までの期間、すなわち、図10(e)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、異常発生の手がかりになる情報が含まれる可能性のある動画データを的確に選択することができる。そして、図10(f)は、トリガ種類「模範作業検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(f)では、区切りが「模範作業検知」時を含む1つの工程の開始時からトリガ検出(模範作業検知)時までになっている。模範作業が発生した場合には、模範作業を行った期間である「模範作業検知」時を含む1つの工程の開始時から模範作業検知時まで、すなわち、図10(f)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、模範作業の手本にする動画データ、または工程改善の手がかりになる情報が含まれる動画データを的確に選択することができる。
【0083】
以上のように、本実施の形態の区切り選択部15では、検出したトリガ種類に応じて異常発生の原因を知る手がかり、または工程改善の手がかりになる情報が含まれる可能性の高い範囲の動画データを選択することになる。
【0084】
次に、図11を用いて、動画像保存装置10での区切り設定格納部13のテーブルの設定を行うまでの動作フローについて説明を行う。図11は、動画像保存装置10での区切り設定格納部13のテーブルの設定を行うまでの動作フローの一例を示す図である。
【0085】
まず、ステップS31では、区切り設定部22でトリガの種類、保存開始候補点、および保存終了候補点として用いる情報の設定を行い、ステップS32に移る。ステップS32では、製造関連情報取得部21が製造関連情報を取得する。続いてステップS33では、取得した製造関連情報を含む動画データのフレーム数を製造関連情報取得部21が取得し、ステップS34に移る。
【0086】
ステップS34では、設定された保存開始候補点および保存終了候補点のそれぞれに対応した動画データのフレーム数を区切り設定部22が取得する。続いて、ステップS35では、設定されたトリガの種類、保存開始候補点、および保存終了候補点と、取得した保存開始候補点および保存終了候補点のそれぞれに対応した動画データのフレーム数に基づいて、区切り設定部22でテーブルを作成する。そして、ステップS36では、作成したテーブルを区切り設定部22が区切り設定格納部13に格納する。
【0087】
なお、本実施の形態においては、ステップS32に続いてステップS33を行う構成になっているが、必ずしもこれに限らず、例えばステップS32とステップS33とが並行して行なわれる構成であってもよい。
【0088】
また、本実施の形態においては、フレーム数を単位としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、時間を単位としてもよい。
【0089】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置10が条件設定部14を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が条件設定部14を備えず、区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行わない構成であってもよい。
【0090】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置10が表示部16を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が表示部16を備えない構成であってもよい。この場合、上記保存候補動画を表示しない構成であってもよいし、動画像保存装置10の外部の表示装置に区切り選択部15から上記区切り分の動画データを送って保存候補動画を表示する構成であってもよい。
【0091】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置10が区切り再設定部17を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が区切り再設定部17を備えない構成であってもよい。
【0092】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置10が区切り決定部18を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が区切り決定部18を備えない構成であってもよい。
【0093】
最後に、動画像保存システム1が備える動画像保存装置5・10の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0094】
すなわち、動画像保存装置5・10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである動画像保存装置5・10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記動画像保存装置5・10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0095】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0096】
また、動画像保存装置5・10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0097】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明の保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法は、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にする。したがって、本発明は、様々な現場における異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを保存するための装置に関連する産業分野に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明における動画像保存装置の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明における動画像保存システムの実施の一形態を示す概略図である。
【図3】上記動画像保存装置の区切り設定格納部に格納されるテーブルの一例を示す図である。
【図4】上記動画像保存装置の条件設定部の設定画面を示した図である。
【図5】上記動画像保存システムでの動作フローの一例を示す図である。
【図6】上記動画像保存装置での動作フローの一例を示す図である。
【図7】本発明における動画像保存装置の他の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図8】(a)および(b)は上記動画像保存装置の区切り設定格納部に格納されるテーブルの一例を示す図である。
【図9】上記動画像保存装置の区切り設定部の設定画面を示した図である。
【図10】(a)〜(f)は上記動画像保存装置の区切り選択部によって選択される区切りの例を示した図である。
【図11】上記動画像保存装置での区切り設定格納部のテーブルの設定を行うまでの動作フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 動画像保存システム(保存動画選択システム)
2 ビデオカメラ(撮影装置)
3 一時保存メモリ
4 長期保存メモリ
5 動画像保存装置(保存動画選択装置)
6 製造関連情報検出装置
10 動画像保存装置(保存動画選択装置)
11 トリガ情報取得部
12 トリガ種類判別部(トリガ種類判別手段)
13 区切り設定格納部
14 条件設定部
15 区切り選択部(区切り選択手段)
16 表示部
17 区切り再設定部(区切り再設定手段)
18 区切り決定部(区切り決定手段)
21 製造関連情報取得部(製造関連情報取得手段)
22 区切り設定部(区切り設定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを保存するための保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生産管理の現場では、生産ラインの改善および生産ライン内の工程の作りこみが、生産性の向上を目的にして行なわれている。一般的に生産ラインの改善は、改善担当者が生産ライン内で発生した何らかの異常に目を付け、上記異常の原因を調べることによって上記異常の原因を取り除き、上記異常を再発させないように処置することによって行うものである。また、生産ライン内の工程の作りこみは、上記異常を工程の設計に反映させ、上記異常を発生させないように行うものである。上述した生産ラインの改善および生産ライン内の工程の作りこみで最初に必要になるのは、どのような異常がなぜ起きたのかという状況を把握することである。
【0003】
上記状況を把握する手段としては、改善担当者が作業者から上記状況をヒアリングする方法もあるが、最も有効な方法は、改善担当者が直接に上記状況を目で確認することである。改善担当者が異常を目で確認することは、異常が慢性的に発生している場合には発生頻度の点から比較的容易かもしれないが、突発的な異常を改善担当者が目で確認するためには、担当する生産ライン内のあらゆる状況を改善担当者が常に監視し続ける必要がある。しかしながら、担当する生産ライン内のあらゆる状況を改善担当者が常に監視し続けることは、時間的に困難である。また、改善担当者はコスト的に複数の生産ラインを担当することが一般的であるので、担当する生産ライン内のあらゆる状況を改善担当者が常に監視し続けることは、空間的にも困難である。
【0004】
以上の理由から、改善担当者が直接に上記状況を目で確認する方法として、生産ライン内をビデオカメラなどで撮影し、撮影した映像(動画)を後に改善担当者が確認することよって、上記状況を改善担当者が目で確認することが有効であると考えられている。実際には、ビデオカメラなどで操業時間中の生産ラインを撮影し続け、撮影した動画のすべてを保存しておき、異常が発生した時刻の付近の動画を再生することになる。しかしながら、以上の構成では、動画データを要不要に関係なく保存し続けるので、動画データを保存する記憶装置のメモリの容量を逼迫させることになる。また、記憶装置のメモリ中の動画データ量が膨大になることによって、一般的にアクセス速度が低下する問題も発生する。
【0005】
以上の問題を解決するための方法として、例えば特許文献1では、異常発生を検出した場合に、異常発生後の一定時間の動画を長期保存する監視システムが開示されている。しかしながら、特許文献1の監視システムでは、異常発生の原因を知るために重要な異常発生前の情報を得ることができないので、異常発生の原因を突き止めることができないという問題点がある。
【0006】
そこで、さらに特許文献1の監視システムの問題点を解決するための方法として、例えば、特許文献2では、異常発生を検出した場合に、異常発生の時点より一定時間前の部分から最新部分までの動画データを長期記憶するデータ配信方式が開示されている。また、特許文献3では、異常発生を検出した場合に、異常発生の時点より一定時間(T)だけ前の時点を動画データの長期記憶の開始時点として、異常発生前後の動画データを長期記憶する映像データ保存装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−320700号公報(平成13年11月16日公開)
【特許文献2】特開2001−326926号公報(平成13年11月22日公開)
【特許文献3】特開平6−266774号公報(平成6年9月22日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のデータ配信方式および映像データ保存装置では、異常発生前の動画データをどの程度遡って長期記憶させるのかの区切りを、異常の種類に関係なく予め定めた時間によって決めている。しかしながら、異常の種類によって、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が異常の発生前のどの時点に存在するのかは大きく異なる。従って、上記従来のデータ配信方式および映像データ保存装置を生産ライン内の監視に用いた場合には、異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画を的確に選び取って保存できない可能性が高い。詳しくは、異常の種類によっては異常発生の直前に手がかりになる情報が存在するとは限らないので、動画データを保存する指定時間が短すぎる場合には、異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画データを保存できない問題が生じる。また、指定期間をより長くすることによって異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画データの保存漏れを防ごうとした場合でも、異常の種類によっては異常発生の直前に手がかりになる情報が存在することもあるので、指定期間が長すぎることによって異常発生の手がかりになる情報に関係のない動画データまでを保存してしまう問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選び取って保存することを可能にする保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保存動画選択装置は、上記課題を解決するために、所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画データの上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択装置であって、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部と、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別手段と、判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するためのメモリに送る区切り選択手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の保存動画選択方法は、上記課題を解決するために、所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択方法であって、トリガ種類判別手段によって、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別工程と、区切り選択手段によって、判別した上記トリガの種類に基づいて、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画の上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するための長期保存メモリに送る区切り選択工程とを含むことを特徴としている。
【0011】
上記の発明によれば、トリガ種類判別手段で判別したトリガの種類に基づいて、区切り設定格納部に予め格納されているトリガの種類ごとの長期保存を行う動画データの区切りの条件を参照して区切り選択手段が上記区切りを得るので、トリガの種類ごとに上記区切りを得ることが可能になる。よって、トリガの種類ごとに上記区切り分の動画データを長期保存メモリに送って保存することが可能になる。従って、上記区切りの条件として、トリガの種類ごとに、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる可能性の高い区切りが対応付けられるようにすれば、トリガの種類ごとに異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データをより的確に選びとって、長期保存メモリに保存することが可能になる。その結果、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0012】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記現場が製品の製造現場であった場合に、製品の製造に関わる状況の変化の情報である製造関連情報を取得する製造関連情報取得手段と、予めトリガの種類ごとに、上記製造関連情報に基づいた単位で長期保存を行う動画の上記範囲の候補である区切りの条件を設定し、上記区切り設定格納部に格納する区切り設定手段とをさらに備えることが好ましい。
【0013】
これにより、トリガの種類ごとに、製造関連情報取得手段が取得した製品の製造に関わる状況の変化の情報に基づいた単位で長期保存を行う動画の区切りの条件を区切り設定手段が設定する構成になるので、トリガの種類ごとに、製品の製造に関わる状況の変化の情報に基づいた単位で、動画データを長期保存メモリに送って保存することが可能になる。従って、所定のトリガの発生に明らかに関係のない上記単位の区切りを除くようにすれば、トリガの種類ごとに異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データをより的確に選びとって、長期保存メモリに保存することが可能になる。その結果、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0014】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記製造関連情報に基づいた単位は、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの組み合わせで得られる範囲であることが好ましい。
【0015】
これにより、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの組み合わせで得られる範囲を製造関連情報に基づいた単位にすることができる。
【0016】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記区切り選択手段により前記長期保存するためのメモリに送られる動画データを、ユーザからの入力に応じて実際に上記メモリに送るか否かの決定を行う保存動画決定手段をさらに備えることが好ましい。
【0017】
これにより、前記区切り選択手段により前記長期保存するためのメモリに送られる動画データを、ユーザからの入力に応じて上記メモリに送るか否かの決定を行うことができるので、ユーザが必要ないと判断した動画データを上記メモリに保存しないようにできる。よって、必要のない動画データによって上記メモリの容量を逼迫させることを防ぐことが可能になる。
【0018】
また、本発明の保存動画選択装置では、前記区切り選択手段により選択された前記区切りを、ユーザからの入力に応じて再設定する区切り再設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0019】
これにより、区切り選択手段により選択された区切りを、ユーザからの入力に応じて区切り再設定手段によって再設定することができるので、長期保存するためのメモリに保存する前に、ユーザによって区切りの範囲を調整することが可能になる。よって、異常発生の原因を知るために区切り選択手段により選択された区切りを越えた範囲が必要な場合に、必要な範囲を上記メモリに保存することが可能なる。従って、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0020】
本発明の保存動画選択システムは、上記課題を解決するために、前記のいずれかの保存動画選択装置と、所定の現場を撮影する撮影装置と、上記撮影装置によって撮影された上記所定の現場の動画データを一時的に保存するための一時保存メモリと、上記保存動画選択装置によって選択された前記区切り分の動画を長期保存するための長期保存メモリとを備えることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することが可能になる。
【0022】
ところで、上記保存動画選択装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、保存動画選択装置としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されている。
【0023】
これらのプログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、保存動画選択装置として動作する。したがって、上記保存動画選択装置と同様に、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、トリガ種類判別手段で判別したトリガの種類に基づいて、区切り設定格納部に予め格納されているトリガの種類ごとの長期保存を行う動画データの区切りの条件を参照して区切り選択手段が上記区切りを得るので、トリガの種類ごとに上記区切り分の動画データを長期保存メモリに送って保存することが可能になる。従って、上記区切りの条件として、トリガの種類ごとに、異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる可能性の高い区切りが対応付けられるようにすれば、トリガの種類ごとに異常発生の原因を知るための手がかりになる情報が含まれる動画データをより的確に選びとって、長期保存メモリに保存することが可能になる。
【0025】
したがって、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、一例として、n個の工程からなる生産ラインを有する動画像保存システムに適用される、動画像保存装置について説明する。なお、上記工程は手組工程であってもよいし、オートメーション工程であってもよい。
【0027】
最初に、図2を用いて本実施の形態に係る動画像保存システム(保存動画選択システム)1の概略的な構成についての説明を行う。図2は、動画像保存システム1の実施の一形態を示す概略図である。図2に示す例では、動画像保存システムは、作業者の手作業により製品を製造するn個の工程(工程1〜工程n、図2ではn=4)を含む生産ラインに対して、ビデオカメラ(撮影装置)2、一時保存メモリ3、長期保存メモリ4、動画像保存装置(保存動画選択装置)5、および製造関連情報検出装置6を備えている。なお、本実施の形態ではビデオカメラ2および製造関連情報検出装置6は、各工程に対して備えられている(図2ではビデオカメラ2および製造関連情報検出装置6が4つずつ備えられている)。
【0028】
各工程には作業場所と作業手順が定められており、それぞれの作業場所に作業台および治工具などが設置されている。または、作業者が操作する生産設備が設置されていてもよい。工程1〜工程nは、製造対象物の流れの上流から下流に向けてこの順序で配置されており、製造対象物が先頭工程(工程1)から最終工程(工程n)までを経て、すべての工程の作業が順に実行されると製品が完成する。つまり、先頭工程の開始がある製品の製造の開始にあたり、最終工程の終了がある製品の製造の終了にあたる。なお、各工程には作業者が配置されるが、生産ライン全体に配置する作業者の人数や、一人の作業者が担当する工程の数には様々な形態が存在する。
【0029】
ビデオカメラ2は、生産ライン(現場)での作業を撮影するものである。具体的には、ビデオカメラ2が工程ごとに備えられている場合には、工程内での作業全般を撮影可能なように配置される。また、ビデオカメラ2が複数の工程ごとに備えられている場合には、上記複数の工程での作業全般を撮影可能なように配置される。
【0030】
一時保存メモリ3は、ビデオカメラ2によって撮影された動画データを一時的に記録しておくための記憶装置である。一時保存メモリ3では、動画データを記録し続けていくと、一時保存メモリ3の容量を逼迫させることになる。また、一時保存メモリ3中の動画データ量が膨大になることによって、アクセス速度が低下したりする。従って、一時保存メモリ3では、記録される動画データの容量が一定の容量を超えるごとに動画データを新たに上書き記録していくようになっている。例えば、一時保存メモリ3としてはRAM、HDD、フラッシュメモリ、またはDVDなどがある。なお、一時保存メモリ3としては、データ消去および再書き込み可能なものが好ましい。
【0031】
長期保存メモリ4は、一時保存メモリ3中の動画データから、後述する動画像保存装置5によって選択された一部の範囲(区切り)の動画データを記録(保存)しておくための記憶装置である。例えば、長期保存メモリ3としてはHDD、RAM、フラッシュメモリ、またはDVDなどがある。なお、長期保存メモリ4としては、CD−RおよびDVD−Rのように一度書き込むと上書きできないものであってもよい。
【0032】
動画像保存装置5は、後述する製造関連情報検出装置6で検出したトリガの種類(トリガ種類)に基づいて、一時保存メモリ3中の動画データから、長期保存メモリ4に保存する動画データの範囲(区切り)を選択し、上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存させるものである。本実施の形態で言うところのトリガとは、一時保存メモリ3中の一部(選択された区切り分)の動画データを長期保存メモリ4に保存するきっかけである。そして、上記トリガとは、製造関連情報検出装置6での直行率、仕掛かり在庫量、もしくは設備稼働率などの変化点の検知、または異常、模範作業、設備故障、もしくは作業者交代などのイベントの検知に相当する。以下で上記変化点と上記イベントとについては詳細に説明を行う。
【0033】
まず、上記変化点について説明を行う。直行率とは、最終検査で不具合が発生せず、そのまま市場へ出荷できるであって、直行率の変化点とは、上記直行率に所定の値以上の変化が生じた時点のことである。なお、上記直行率が急に下がっている(所定の値以上の変化が生じている)場合には、生産ラインで不良品が急に増えているということなので、生産ラインで何らかの異常が発生している可能性が高いといえる。また、仕掛かり在庫量とは、各工程間に存在する製造途中の製品の在庫量であって、仕掛かり在庫量の変化点とは、上記仕掛かり在庫量に所定の値以上の変化が生じた時点のことである。なお、仕掛かり在庫量が急に増えている(所定の値以上の変化が生じている)場合には、仕掛かり在庫量が急に増えた工程間の後の工程で何らかの異常が発生している可能性が高いといえる。そして、設備稼働率とは、各工程での設備の稼動率であって、設備稼働率の変化点とは、上記設備稼働率に所定の値以上の変化が生じた時点のことである。なお、設備稼働率が急に下がっている(所定の値以上の変化が生じている)場合には、設備稼働率が急に減った工程、または設備稼働率が急に減った工程の後の工程で何らかの異常が発生している可能性が高いといえる。このように、上記変化点の検知を異常発生の指標として有効に利用することができる。なお、上記所定の値とは、任意に設定可能な値である。
【0034】
続いて、上記イベントについて説明を行う。異常とは、生産ライン中での通常とは異なる状況または事象などのことであって、異常が検知された場合には、異常が検知された工程で何らかの問題が発生している可能性がある。また、模範作業とは、工程の作業時間がこれまでで最短であった場合のことである。なお、模範作業が検知された場合には、模範作業が検知された工程に異常は発生していないが、工程の改善の手がかりになる事象が発生している可能性が高い。さらに、設備の故障とは、工程中の設備の故障であって、設備の故障が検知された場合には、設備の故障が検知された工程で異常が発生していることになる。そして、作業者交代とは、工程中の作業者交代のことである。なお、作業者交代が検知された場合には、作業者が交代した工程で異常は発生していないが、作業者の交代という変化によって異常が発生する可能性が高くなっている。このように、上記イベントの検知を異常発生の指標(または工程の改善の手がかり)として有効に利用することができる。
【0035】
そして、製造関連情報検出装置6は、生産ライン(現場)での工程毎、または一定範囲のエリアごとに設置されており、工程毎にトリガを検出する処理を行う。具体的には、製造関連情報検出装置6は、例えばRFIDリーダ、カメラ、スイッチ、光電センサ、近接センサ、およびバーコードリーダなどによって構成される。例えば、上記イベントまたは上記変化点を人が検知した場合に、スイッチをONにすることによって、製造関連情報検出装置6が上記イベントを検知する構成であってもよい。また、上記作業者の交代などは、RFIDリーダにより作業者ごとに固有のRFIDタグを読取ることによって検知する構成であってもよいし、工程の開始時刻および終了時刻は、RFIDリーダにより製品ごとに固有のRFIDタグ読取ることによって検出する構成であってもよい。他にも、光電センサまたは近接センサを用いることによって、作業の有無を検知して工程の開始および終了時刻を検出する構成であってもよい。また、作業者に固有のバーコードを、工程の開始時および終了時にバーコードリーダに読取らせることによって、工程の開始時刻および終了時刻を検出する構成であってもよい。さらに、設備の故障などは、設備から直接に電圧の変化の情報などを製造関連情報検出装置6が読取ることによって、設備の故障などを検出する構成であってもよい。また、直行率、仕掛かり在庫量、および設備稼働率などの情報を集積しているコンピュータから直行率、仕掛かり在庫量、および設備稼働率などの情報を製造関連情報検出装置6が読取ることによって、上記変化点を検出する構成であってもよい。他にも、上記イベントの検知は、例えば特開平8−227462号公報に示されている動画像の変化点検出法などによって変化点を検出することによって行う構成であってもよい。
【0036】
なお、本実施の形態では、ビデオカメラ2および製造関連情報検出装置6は、各工程に対して備えられる構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、ビデオカメラ2および/または製造関連情報検出装置6が複数の工程ごとに備えられる構成であってもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、一時保存メモリ3および長期保存メモリ4は、動画像保存装置5の外部に備えられる構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が一時保存メモリ3および/または長期保存メモリ4を備える構成であってもよい。
【0038】
なお、本実施の形態では、改善担当者(ユーザ)が視認によってトリガを見つけ、時間的に遅れて製造関連情報検出装置6にトリガ検出の入力などをする場合に、トリガ発生時に遡った時刻などを入力することによって、トリガ発生時に製造関連情報検出装置6でトリガを検出したかのように処理をさせる構成であってもよい。
【0039】
次に、図1を用いて動画像保存装置5の構成の概要について説明を行う。図1は本実施の形態における動画像保存装置5の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【0040】
図1に示すように、動画像保存装置5は、トリガ情報検取得部11、トリガ種類判別部(トリガ種類判別手段)12、区切り設定格納部13、条件設定部14、区切り選択部(区切り選択手段)15、表示部16、区切り再設定部(区切り再設定手段)17および区切り決定部(区切り決定手段)18を備えている。
【0041】
まず、トリガ情報取得部11は、製造関連情報検出装置6で検出したトリガの情報を取得するものである。また、トリガ種類判別部12は、トリガ情報取得部11で取得したトリガ情報からトリガ種類を判別するものである。
【0042】
続いて、区切り設定格納部13は、予めトリガ種類ごとに、長期保存メモリ4に保存を行う動画データの範囲の候補である区切りの条件を格納しているものである。上記条件としては、例えば図3に示すようなテーブルを用いることができる。以下では、図3のテーブルを一例として、区切り設定格納部13に格納されるテーブルについての説明を行う。図3のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられている。図3のテーブルに設定されるトリガ種類としては、上述した直行率の変化点検知、仕掛かり在庫量の変化点検知、設備稼働率の変化点検知、異常検知、模範作業検知、設備の故障検知、および作業者交代検知などがある。また、図3のテーブルでは、保存開始候補点をトリガ検出時点を起点として設定された時間だけ遡った時点としており、保存終了候補点をトリガ検出時点を起点として設定された時間だけ進んだ時点としている。なお、上記設定は、保存開始候補点と保存終了候補点とによって区切られる動画データ中に、異常発生の手がかり、または工程の改善の手がかりになる動画データが含まれる可能性が高くなるように、トリガ種類に応じて予め行なわれるものである。なお、図3のテーブルでは時間を単位としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、動画像のフレーム数を単位としてもよい。
【0043】
また、図3のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられているが、必ずしもこれに限らず、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が列単位で対応付けられていてもよい。
【0044】
なお、本実施の形態では、上記条件としてテーブルを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、トリガの種類ごとに保存開始候補点および保存終了候補点が対応づけられている構成でありさえすればよい。
【0045】
また、条件設定部14は、ユーザからの入力に応じて区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行うものである。上記条件としてテーブルを用いる場合には、テーブル中のトリガ種類の変更、またはトリガ種類ごとの保存開始候補点および保存終了候補点の対応付けの変更などを行うものである。以下では、図4を用いて、条件設定部14による上記条件の変更についての説明を行う。図4は、条件設定部14の設定画面を示した図である。上記設定画面には、トリガ種類、保存開始点、および保存終了点の入力が可能になっており、上記設定画面に入力された結果に応じて条件設定部14が、区切り設定格納部13に格納されているテーブルのデータを変更することになる。なお、図4では保存開始点および保存終了点を時間単位で入力する構成になっているが、テーブル中の保存開始点および保存終了点の単位がフレーム数の場合には、フレーム数を入力する構成になる。
【0046】
続いて、区切り選択部15は、トリガ種類に基づいて区切り設定格納部13を参照してトリガを含む動画データの範囲(区切り)を選択し、選択した上記区切り分の動画データを区切り決定部18に送るものである。例えば、区切り設定格納部13に図3のテーブルが格納されているものとして、トリガ種類が「異常検知」であった場合の区切り選択部15での処理について以下で詳しく説明する。まず、区切り選択部15は、トリガ種類判別部12からトリガの種類が「異常検知」であるという情報(トリガ種類情報)を取得する。続いて、区切り選択部15は取得したトリガ種類情報「異常検知」に基づいて、区切り設定格納部13に格納されている図3のテーブルを参照し、図3のテーブルの「異常検知」に対応する保存開始候補点「−6.5」と保存終了候補点「+2.0」との情報を得る。そして、区切り選択部15は、一時保存メモリ3に記録されている動画データから、「異常検知」時を起点とした6.5分前から2分後までの動画データ(区切り分の動画データ)を取得し、表示部16および区切り決定部18に送る。なお、実際のトリガ検出(「異常検知」)時と一時保存メモリ3中の時間の単位またはフレーム数などとは、クロックなどを利用することで対応づけられており、区切り設定格納部13は、実際の「異常検知」時をもとに一時保存メモリ3中での時間の単位またはフレーム数などを特定して上記起点を決めている。以下に、実際のトリガ検出時と一時保存メモリ3中の時間の単位とを対応づける構成の具体的な例を示す。まず、一時保存メモリ3としてHDDを用いる場合には、動画像の一時保存を複数のファイル(可能ならば1つのファイルであってもよい)に行う。そして、各ファイルとそのファイル内の先頭と最後との画像の時刻が分かるようにテーブルなどで保存しておく。これによって、指定した時刻の画像がどのファイルに含まれるかを上記テーブルで参照して目的のファイルを特定し、指定時刻とファイルの先頭時刻との差分からファイルのどの部分が指定した時刻の画像であるのかを割り出すことによって、実際のトリガ検出時と一時保存メモリ3(HDD)中の時間の単位とを対応づけることが可能になる。なお、「異常検知」時を示す情報はトリガ情報に含まれており、例えばトリガ種類情報とともにトリガ種類判別部12から区切り設定格納部13に送られてもよいし、トリガ情報取得部11から区切り設定格納部13に送られてもよい。
【0047】
表示部16は、区切り選択部15から送られてきた上記区切り分の動画データを保存候補動画として表示するものである。
【0048】
区切り再設定部17は、ユーザからの入力に応じて、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の変更を行うものである。例えば、表示部16に表示された上記保存候補動画を確認したユーザが、上記保存候補動画の範囲よりも広い範囲、または狭い範囲の動画データを長期保存メモリ4に保存しようとした場合には、区切り再設定部17に新しい範囲を入力する。そして、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17は一時保存メモリ3から取得し、区切り決定部18に送る。なお、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17が表示部16に送って表示させる構成であってもよい。この場合、表示部16に表示された新たな保存候補動画を確認したユーザが、区切り再設定部17にさらに新しい範囲を入力する構成であってもよい。なお、上記新しい範囲の入力の例としては、保存候補動画の開始点または終了点から、何分前後させる、もしくは何フレーム前後させるなどの入力を行う構成があげられる。
【0049】
区切り決定部18は、ユーザからの入力に応じて、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の動画データを長期保存メモリ4に保存するか否かの決定を行うものである。例えば、表示部16に表示された上記保存候補動画を確認したユーザが、上記保存候補動画の動画データを長期保存メモリ4に保存する旨の入力をした場合には、上記保存候補動画の動画データを長期保存メモリ4に保存する。そして、保存する旨の入力をしなかった場合には、上記保存候補動画の動画データを消去する。
【0050】
次に、図5を用いて、動画像保存システム1の動作フローについて説明を行う。図5は、動画像保存システム1での動作フローの一例を示す図である。
【0051】
まず、ステップS1では、ビデオカメラ2が生産ラインの現場の撮影を行う。続いてステップS2では、ビデオカメラ2によって撮影された上記現場の動画データを一時保存メモリ3に記録し、ステップS3に移る。ステップS3では、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出された場合(ステップS3でYes)には、ステップS4に移る。また、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出されなかった場合(ステップS3でNo)には、ステップS6に移る。
【0052】
ステップS4では、動画像保存装置5によって、一時保存メモリ3に記録されている動画データのうち、長期保存メモリ4に保存する動画データの範囲(区切り)を選択する。続いて、ステップS5では、動画像保存装置5によって、選択された区切り分の動画データを長期保存メモリ4に記録(保存)し、ステップS6に移る。ステップS6では、ビデオカメラ2による上記現場の撮影が終了(撮影終了)であった場合(ステップS6でYes)には、フローを終了する。また、撮影終了でなかった場合(ステップS6でNo)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。上記撮影終了のタイミングとしては、生産ラインの現場の撮影時間として予め設定されていた時間に達したことであってもよいし、ユーザがビデオカメラ2の電源をOFFにしたことなどであってもよい。なお、本フローでは省略したが、一時保存メモリ3に記録された動画データの容量が一定の容量を超えると、一時保存メモリ3に記録された動画データは新たな動画データによって上書きされる構成であってもよい。
【0053】
次に、図6を用いて、動画像保存装置5での動作フローについて説明を行う。図6は、動画像保存装置5での動作フローの一例を示す図である。
【0054】
まず、ステップS11では、区切り設定格納部13に格納されている条件(例としてテーブルとする)を変更する場合(ステップS11でYes)には、ステップS12に移る。また、区切り設定格納部13に格納されているテーブルを変更しない場合(ステップS11でNo)には、ステップS13に移る。ステップS12では、条件設定部14により区切り設定格納部13に格納されているテーブルのデータを変更し、ステップS13に移る。
【0055】
ステップS13では、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出された場合(ステップS13でYes)には、ステップS14に移る。また、製造関連情報検出装置6によってトリガが検出されなかった場合(ステップS13でNo)には、フローを終了する。ステップS14では、製造関連情報検出装置6から、トリガ情報取得部11によってトリガ情報を取得し、トリガ種類判別部12に送る。続いて、ステップS15では、トリガ情報取得部11から送られてきたトリガ情報をもとに、トリガ種類判別部12がトリガの種類を判別する。そして、トリガ種類判別部12が区切り選択部15にトリガ種類情報を送り、ステップS16に移る。
【0056】
ステップS16では、区切り選択部15が、トリガ種類判別部12から送られてきたトリガ種類情報に基づいて区切り設定格納部13のテーブルを参照する。続いて、ステップS17では、上記参照によって得られたトリガを含む動画データの範囲(区切り候補)の情報に従って、一時保存メモリ3から上記区切り分の動画データを選択して取得する。そして、ステップS18では、上記区切り分の動画データが、区切り選択部15から表示部16に送られて表示され、ステップS19に移る。
【0057】
ステップS19では、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の変更を行う(区切り範囲の変更を行う)旨の入力が、ユーザによって区切り再設定部17に行なわれた場合(ステップS19でYes)には、ステップS20に移る。また、区切り範囲の変更を行う旨の入力が、ユーザによって区切り再設定部17に行なわれなかった場合(ステップS19でNo)には、ステップS21に移る。そして、ステップS20では、区切り再設定部17によって、ユーザからの入力に応じた区切り範囲の変更を行い、ステップS21に移る。
【0058】
ステップS21では、上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存するか否かの決定を、ユーザからの入力に応じて区切り決定部18が行う。区切り決定部18によって上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存する決定が行なわれた場合(ステップS21でYes)には、ステップS22に移る。また、上記区切り分の動画データを長期保存メモリ4に保存する決定が行なわれなかった場合(ステップS21でNo)には、フローを終了する。そして、ステップS22では、区切り決定部18によって、上記区切り分の動画を長期保存メモリ4に記録し、フローを終了する。
【0059】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置5が条件設定部14を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が条件設定部14を備えず、予め区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行わない構成であってもよい。この場合、図6のフローのステップS11およびステップS12を行わない構成にすればよい。
【0060】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置5が表示部16を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が表示部16を備えない構成であってもよい。この場合、上記保存候補動画を表示しない構成であってもよいし、動画像保存装置5の外部の表示装置に区切り選択部15から上記区切り分の動画データを送って保存候補動画を表示する構成であってもよい。
【0061】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置5が区切り再設定部17を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が区切り再設定部17を備えない構成であってもよい。この場合、図6のフローのステップS19およびステップS20を行わない構成にすればよい。
【0062】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置5が区切り決定部18を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置5が区切り決定部18を備えない構成であってもよい。この場合、図6のフローのステップS21およびステップS22を行わない構成にして、ステップS18またはステップS20でフローを終了するようにすればよい。
【0063】
本実施の形態の動画像保存装置5は、所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する動画像保存装置であって、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部13と、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別部12と、判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部13を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存メモリ4に送る区切り選択部15とを備えることを特徴としている。
【0064】
以上の構成によれば、必要な動画像データを選択して保存するため、長期保存メモリ4の保存領域の効率的な利用が可能になる。また、必要な動画像データを選択して保存するため、ユーザが後から必要な動画像を切り出して編集する作業を著しく削減することができる。さらに、製造関連情報に関連した意味のある単位で動画を長期保存メモリ4に保存できるため、本当に必要な場面を消去してしまったり、不要な場面を多く保存してしまったりすることを抑制できる。従って、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選び取って保存することが可能になる。
【0065】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図7ないし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、動画像保存装置10を動画像保存システム1に適用する場合には、動画像保存装置10を動画像保存装置5の代わりに備える構成にすればよい。ただし、動画像保存装置10を動画像保存システム1に適用する場合には、製造関連情報検出装置6がトリガ以外の製造関連情報も検出することが異なっている。ここで言うところの製造関連情報については後に詳述する。
【0066】
最初に、前記実施の形態1と異なる製造関連情報検出装置6の働きについて説明を行う。本実施の形態の製造関連情報検出装置6は、上述したように、トリガ以外の製造関連情報も検出する点が異なっている。ここで言うところの製造関連情報とは、前述した模範作業といった作業実績の情報である作業実績情報、前述した異常を検知した情報である異常検知情報、人(Man),材料(Material),方法(Method),装置(Machine)の変化の情報である4M変化情報、シリアル番号、型式番号、製造番号、ロット番号、受注番号、または発注元の顧客コードなどの情報である製品情報、現場の温度、湿度などといった環境の変化の情報である環境変化情報などである。なお、製造関連情報にはトリガも含まれている。製造関連情報の具体的な例をあげると、工程の作業開始、工程の作業終了、N個前の工程の作業開始、N個後の工程の作業終了、オーダ(製品1つの製造、または製品ロット1つ分の製造)の着手、オーダの完了、N個前のオーダの作業、N個後のオーダの作業、製品の設備利用開始、製品の設備利用終了、N個前の製品の設備利用開始、N個後の製品の設備利用終了、交代前の作業者の作業開始、交代前の作業者の作業終了、交代後の作業者の作業開始、交代後の作業者の作業終了、設備故障の復旧時、またはトリガ発生時などの情報がある。なお、Nは自然数であって任意に設定可能なものである。
【0067】
なお、本実施の形態では、改善担当者(ユーザ)が視認によって製造関連情報を検出し、時間的に遅れて製造関連情報検出装置6に製造関連情報検出の入力などをする場合に、製造関連情報発生時に遡った時刻などを入力することによって、製造関連情報発生時に製造関連情報検出装置6で製造関連情報を検出したかのように処理をさせる構成であってもよい。
【0068】
次に、図7を用いて動画像保存装置10の構成の概要について説明を行う。図7は本実施の形態における動画像保存装置10の実施の一形態を示す機能ブロック図である。図7に示すように、動画像保存装置10は、動画像保存装置5の構成に対して製造関連情報取得部21、および区切り設定部22をさらに備えている。
【0069】
まず、製造関連情報取得部21は、製造関連情報検出装置6が検出した製造関連情報を取得するものである。また、製造関連情報取得部21は、製造関連情報が検出された時点に対応する一時保存メモリ3中の動画データの時間またはフレーム数などの情報を取得するものである。
【0070】
区切り設定部22は、トリガ種類ごとに、上記製造関連情報に基づいた単位で長期保存メモリ4に保存を行う動画データの区切りの条件を区切り設定格納部13に格納するものである。ここで言うところの製造関連情報に基づいた単位とは、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの製造関連情報の組み合わせで得られる範囲のことである。なお、上記条件としては、例えば図8(a)および図8(b)に示すようなテーブルを用いることができる。
【0071】
以下では、図8(a)および図8(b)のテーブルを一例として、区切り設定格納部13に格納するテーブルについての説明を行う。図8(a)および図8(b)は、動画像保存装置10の区切り設定格納部13に格納されるテーブルの一例を示す図である。まず、図8(a)のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられている。図8(a)のテーブルに設定されるトリガ種類は、前記の実施の形態1で示したものと同様のものである。また、図8(a)のテーブルに設定される保存開始候補点および保存終了候補点は、上述した製造関連情報のいずれかがそれぞれ用いられる。続いて、図8(b)のテーブルでは、保存開始候補点および保存終了候補点に対応する一時保存メモリ3中の動画データのフレーム数が並べられている。
【0072】
なお、便宜上、図8(a)のトリガ種類「異常検知」に対応するテーブルのみを図8(b)に示しているが、上記条件としてテーブルを用いる場合には、実際には図8(a)のテーブルのトリガ種類ごとに図8(b)のテーブルと同様のテーブルが区切り設定部22によって作成される。また、図8(b)のテーブルではフレーム数を単位としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、時間を単位としてもよい。
【0073】
なお、図8(a)のテーブルでは、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が行単位で対応付けられているが、必ずしもこれに限らず、トリガ種類ごとに上記区切りの開始点である保存開始候補点および上記区切りの終了点である保存終了候補点が列単位で対応付けられていてもよい。
【0074】
なお、本実施の形態では、上記条件としてテーブルを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、トリガの種類ごとに保存開始候補点および保存終了候補点が対応づけられている構成でありさえすればよい。
【0075】
続いて、図9を用いて、区切り設定部22による上記条件の設定についての説明を行う。図9は、区切り設定部22の設定画面を示した図である。上記設定画面には、トリガ種類、保存開始点、および保存終了点の入力が可能になっている。上記設定画面に入力が可能なトリガ種類は、前記の実施の形態1で示したトリガ種類と同様である。また、上記設定画面に入力が可能な保存開始点、および保存終了点は、上述した製造関連情報のいずれかがそれぞれ用いられる。そして、図8(a)のテーブルを例にすると、上記設定画面に入力したトリガ種類が区切り設定部22によって、図8(a)のテーブルのトリガ種類の項目に設定され、上記設定画面に入力した保存開始点、および保存終了点が区切り設定部22によって、それぞれ図8(a)のテーブルの保存開始候補点、および保存終了候補点の項目に設定される。なお、トリガ種類、保存開始点、および保存終了点の組み合わせの設定は、複数の組み合わせを設定することが可能であり、図8(a)に示したように設定した複数種類の組み合わせがテーブルに設定される。
【0076】
本実施の形態の区切り設定格納部13は、区切り設定部22で設定された上記条件(例として、区切り設定部22で作成されたテーブルとする)を格納しているものである。また、本実施の形態の条件設定部14は、ユーザからの入力に応じて区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行うものである。上記条件としてテーブルを用いる場合には、テーブル中のトリガ種類の変更、またはトリガ種類ごとの保存開始候補点および保存終了候補点の対応付けの変更などを行うものである。以下では、条件設定部14による上記条件の変更についての説明を行う。条件設定部14の設定画面は図示しないが、図9の設定画面と同様の画面になる。条件設定部14の設定画面には、図9の設定画面と同様のトリガ種類、保存開始点、および保存終了点が入力可能になっており、条件設定部14の設定画面に入力された結果に応じて条件設定部14が、区切り設定格納部13に格納されているテーブルのデータを変更することになる。
【0077】
続いて、本実施の形態の区切り選択部15は、トリガ種類に基づいて区切り設定格納部13を参照してトリガを含む動画データの範囲(区切り)を選択し、選択した上記区切り分の動画データを区切り決定部18に送るものである。例えば、区切り設定格納部13に図8(a)および図8(b)のテーブルが格納されているものとして、トリガ種類が「異常検知」であった場合の区切り選択部15での処理について以下で詳しく説明する。まず、区切り選択部15は、トリガ種類判別部12からトリガの種類(トリガ種類)が「異常検知」であるという情報(トリガ種類情報)を取得する。続いて、区切り選択部15は取得したトリガ種類情報「異常検知」に基づいて、区切り設定格納部13に格納されている図8(a)のテーブルを参照し、まず、図8(a)のテーブルの「異常検知」に対応する保存開始候補点「工程の開始」と保存終了候補点「工程の終了」との情報を得る。そして、保存開始候補点「工程の開始」と保存終了候補点「工程の終了」とに対応する図8(b)のテーブルのデータのうち、「異常検知」のトリガ発生時を間に含む「工程の開始」のフレーム数と「工程の終了」とのフレーム数を区切り選択部15が取得する。さらに、区切り選択部15は、一時保存メモリ3に記録されている動画データから、保存開始候補点のフレーム数を始点とし、保存終了候補点のフレーム数を終点とした範囲の動画データ(区切り分の動画データ)を取得し、表示部16および区切り決定部18に送る。なお、実際のトリガ検出(「異常検知」)時と一時保存メモリ3中の時間の単位またはフレーム数などとは、クロックなどを利用することで対応づけられており、区切り設定格納部13は、実際の「異常検知」時をもとに一時保存メモリ3中での時間の単位またはフレーム数などを特定して上記起点を決めている。なお、「異常検知」時を示す情報はトリガ情報に含まれており、例えばトリガ種類情報とともにトリガ種類判別部12から区切り設定格納部13に送られてもよいし、トリガ情報取得部11から区切り設定格納部13に送られてもよい。
【0078】
また、本実施の形態の区切り再設定部17は、ユーザからの入力に応じて、区切り選択部15で選択された上記区切りの範囲の変更を行うものである。例えば、表示部16に表示された上記保存候補動画を確認したユーザが、上記保存候補動画の範囲よりも広い範囲、または狭い範囲の動画データを長期保存メモリ4に保存しようとした場合には、区切り再設定部17に新しい範囲を入力する。そして、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17は一時保存メモリ3から取得し、区切り決定部18に送る。なお、区切り再設定部17に入力された新しい範囲に応じた動画データを、区切り再設定部17が表示部16に送って表示させる構成であってもよい。この場合、表示部16に表示された新たな保存候補動画を確認したユーザが、区切り再設定部17にさらに新しい範囲を入力する構成であってもよい。なお、上記新しい範囲の入力の例としては、保存候補動画の開始点または終了点から、何分前後させる、もしくは何フレーム前後させるなどの入力を行う構成であってもよいし、もう1工程余分に前後させるなど、製造関連情報単位で前後させるようにする構成であってもよい。
【0079】
なお、本実施の形態では、製造関連情報検出装置6が検出した製造関連情報を製造関連情報取得部21が取得する構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、ビデオカメラ2による撮影で得た動画データ、または一時保存メモリに記録されている動画データから、上述した動画像の変化点検出法などによって変化点を検出することによって製造関連情報を製造関連情報取得部21が取得する構成であってもよい。
【0080】
次に、図10(a)〜図10(f)を用いて、区切り選択部15によって、トリガ種類に応じて選択される製造関連情報に基づいた単位の区切りについて説明を行う。図10(a)〜図10(f)は、区切り選択部15によって選択される区切りの例を示した図である。
【0081】
まず、図10(a)〜図10(c)は、トリガ種類「異常検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(a)では、区切りが「異常検知」時を含む1つの工程分になっている。よって、「異常検知」で検知される異常が、1つの工程内に異常発生の手がかりが存在する可能性の高い異常であった場合には、図10(a)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、異常発生の手がかりになる情報が含まれる動画データを的確に選択することができる。また、異常の種類によっては、異常発生の手がかりが存在する可能性の高い上記区切りが異なるので、図10(b)または図10(c)のように異常の種類に応じて区切りの範囲を変更すればよい。具体的には、図10(b)では、区切りが「異常検知」時を含む工程の1つ前の工程から続く2つの工程分になっており、図10(c)では、区切りが「異常検知」時を含む製品の製造開始時から終了時までになっている。
【0082】
また、図10(d)は、トリガ種類「設備故障検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(d)では、区切りが「設備故障検知」時を含む1つ前の製品が設備利用開始時からトリガ検出(設備故障検知)時までになっている。設備故障が発生した場合には、設備故障の発生の手がかりが存在する可能性の高いと考えられる期間、すなわち、図10(d)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、設備故障発生の手がかりになる情報が含まれる動画データを的確に選択することができる。さらに、図10(e)は、トリガ種類「作業者交代検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(e)では、区切りが「作業者交代検知」時を含む交代前の作業者の作業開始時から交代後の作業者の作業終了時までになっている。作業交代時には何らかの異常が発生しやすいので、交代前の作業者の作業開始時から交代後の作業者の作業終了時までの期間、すなわち、図10(e)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、異常発生の手がかりになる情報が含まれる可能性のある動画データを的確に選択することができる。そして、図10(f)は、トリガ種類「模範作業検知」の場合に選択される区切りの例を示したものである。図10(f)では、区切りが「模範作業検知」時を含む1つの工程の開始時からトリガ検出(模範作業検知)時までになっている。模範作業が発生した場合には、模範作業を行った期間である「模範作業検知」時を含む1つの工程の開始時から模範作業検知時まで、すなわち、図10(f)に示す区切りを区切り選択部15が選択することによって、模範作業の手本にする動画データ、または工程改善の手がかりになる情報が含まれる動画データを的確に選択することができる。
【0083】
以上のように、本実施の形態の区切り選択部15では、検出したトリガ種類に応じて異常発生の原因を知る手がかり、または工程改善の手がかりになる情報が含まれる可能性の高い範囲の動画データを選択することになる。
【0084】
次に、図11を用いて、動画像保存装置10での区切り設定格納部13のテーブルの設定を行うまでの動作フローについて説明を行う。図11は、動画像保存装置10での区切り設定格納部13のテーブルの設定を行うまでの動作フローの一例を示す図である。
【0085】
まず、ステップS31では、区切り設定部22でトリガの種類、保存開始候補点、および保存終了候補点として用いる情報の設定を行い、ステップS32に移る。ステップS32では、製造関連情報取得部21が製造関連情報を取得する。続いてステップS33では、取得した製造関連情報を含む動画データのフレーム数を製造関連情報取得部21が取得し、ステップS34に移る。
【0086】
ステップS34では、設定された保存開始候補点および保存終了候補点のそれぞれに対応した動画データのフレーム数を区切り設定部22が取得する。続いて、ステップS35では、設定されたトリガの種類、保存開始候補点、および保存終了候補点と、取得した保存開始候補点および保存終了候補点のそれぞれに対応した動画データのフレーム数に基づいて、区切り設定部22でテーブルを作成する。そして、ステップS36では、作成したテーブルを区切り設定部22が区切り設定格納部13に格納する。
【0087】
なお、本実施の形態においては、ステップS32に続いてステップS33を行う構成になっているが、必ずしもこれに限らず、例えばステップS32とステップS33とが並行して行なわれる構成であってもよい。
【0088】
また、本実施の形態においては、フレーム数を単位としているが、必ずしもこれに限らず、例えば、時間を単位としてもよい。
【0089】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置10が条件設定部14を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が条件設定部14を備えず、区切り設定格納部13に格納されている上記条件の変更を行わない構成であってもよい。
【0090】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置10が表示部16を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が表示部16を備えない構成であってもよい。この場合、上記保存候補動画を表示しない構成であってもよいし、動画像保存装置10の外部の表示装置に区切り選択部15から上記区切り分の動画データを送って保存候補動画を表示する構成であってもよい。
【0091】
なお、本実施の形態においては、動画像保存装置10が区切り再設定部17を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が区切り再設定部17を備えない構成であってもよい。
【0092】
また、本実施の形態においては、動画像保存装置10が区切り決定部18を備える構成になっているが、必ずしもこれに限らない。例えば、動画像保存装置10が区切り決定部18を備えない構成であってもよい。
【0093】
最後に、動画像保存システム1が備える動画像保存装置5・10の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0094】
すなわち、動画像保存装置5・10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである動画像保存装置5・10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記動画像保存装置5・10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0095】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0096】
また、動画像保存装置5・10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0097】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明の保存動画選択装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、保存動画選択システムならびに保存動画選択方法は、異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを、より的確に選びとって保存することを可能にする。したがって、本発明は、様々な現場における異常発生の原因を知る手がかりになる情報が含まれる動画データを保存するための装置に関連する産業分野に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明における動画像保存装置の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明における動画像保存システムの実施の一形態を示す概略図である。
【図3】上記動画像保存装置の区切り設定格納部に格納されるテーブルの一例を示す図である。
【図4】上記動画像保存装置の条件設定部の設定画面を示した図である。
【図5】上記動画像保存システムでの動作フローの一例を示す図である。
【図6】上記動画像保存装置での動作フローの一例を示す図である。
【図7】本発明における動画像保存装置の他の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図8】(a)および(b)は上記動画像保存装置の区切り設定格納部に格納されるテーブルの一例を示す図である。
【図9】上記動画像保存装置の区切り設定部の設定画面を示した図である。
【図10】(a)〜(f)は上記動画像保存装置の区切り選択部によって選択される区切りの例を示した図である。
【図11】上記動画像保存装置での区切り設定格納部のテーブルの設定を行うまでの動作フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 動画像保存システム(保存動画選択システム)
2 ビデオカメラ(撮影装置)
3 一時保存メモリ
4 長期保存メモリ
5 動画像保存装置(保存動画選択装置)
6 製造関連情報検出装置
10 動画像保存装置(保存動画選択装置)
11 トリガ情報取得部
12 トリガ種類判別部(トリガ種類判別手段)
13 区切り設定格納部
14 条件設定部
15 区切り選択部(区切り選択手段)
16 表示部
17 区切り再設定部(区切り再設定手段)
18 区切り決定部(区切り決定手段)
21 製造関連情報取得部(製造関連情報取得手段)
22 区切り設定部(区切り設定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択装置であって、
予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部と、
検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別手段と、
判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するためのメモリに送る区切り選択手段とを備えることを特徴とする保存動画選択装置。
【請求項2】
前記現場が製品の製造現場であった場合に、製品の製造に関わる状況の変化の情報である製造関連情報を取得する製造関連情報取得手段と、
予めトリガの種類ごとに、上記製造関連情報に基づいた単位で長期保存を行う動画の上記範囲の候補である区切りの条件を設定し、上記区切り設定格納部に格納する区切り設定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の保存動画選択装置。
【請求項3】
前記製造関連情報に基づいた単位は、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの組み合わせで得られる範囲であることを特徴とする請求項2に記載の保存動画選択装置。
【請求項4】
前記区切り選択手段により前記長期保存するためのメモリに送られる動画データを、ユーザからの入力に応じて実際に上記メモリに送るか否かの決定を行う保存動画決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の保存動画選択装置。
【請求項5】
前記区切り選択手段により選択された前記区切りを、ユーザからの入力に応じて再設定する区切り再設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保存動画選択装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の保存動画選択装置と、
所定の現場を撮影する撮影装置と、
上記撮影装置によって撮影された上記所定の現場の動画データを一時的に保存するための一時保存メモリと、
上記保存動画選択装置によって選択された前記区切り分の動画を長期保存するための長期保存メモリとを備えることを特徴とする保存動画選択システム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の保存動画選択装置の備える前記各手段としてコンピュータを動作させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
所定の現場を撮影して一時保存した動画のデータの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択方法であって、
トリガ種類判別手段によって、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別工程と、
区切り選択手段によって、判別した上記トリガの種類に基づいて、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するための長期保存メモリに送る区切り選択工程とを含むことを特徴とする保存動画選択方法。
【請求項1】
所定の現場を撮影して一時保存した動画データの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択装置であって、
予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部と、
検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別手段と、
判別した上記トリガの種類に基づいて上記区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するためのメモリに送る区切り選択手段とを備えることを特徴とする保存動画選択装置。
【請求項2】
前記現場が製品の製造現場であった場合に、製品の製造に関わる状況の変化の情報である製造関連情報を取得する製造関連情報取得手段と、
予めトリガの種類ごとに、上記製造関連情報に基づいた単位で長期保存を行う動画の上記範囲の候補である区切りの条件を設定し、上記区切り設定格納部に格納する区切り設定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の保存動画選択装置。
【請求項3】
前記製造関連情報に基づいた単位は、少なくとも製品の製造に関わる状況の変化時、上記変化時とは異なる製品の製造に関わる状況の変化時、または前記トリガの発生時のうちのいずれか2つの組み合わせで得られる範囲であることを特徴とする請求項2に記載の保存動画選択装置。
【請求項4】
前記区切り選択手段により前記長期保存するためのメモリに送られる動画データを、ユーザからの入力に応じて実際に上記メモリに送るか否かの決定を行う保存動画決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の保存動画選択装置。
【請求項5】
前記区切り選択手段により選択された前記区切りを、ユーザからの入力に応じて再設定する区切り再設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保存動画選択装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の保存動画選択装置と、
所定の現場を撮影する撮影装置と、
上記撮影装置によって撮影された上記所定の現場の動画データを一時的に保存するための一時保存メモリと、
上記保存動画選択装置によって選択された前記区切り分の動画を長期保存するための長期保存メモリとを備えることを特徴とする保存動画選択システム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の保存動画選択装置の備える前記各手段としてコンピュータを動作させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
所定の現場を撮影して一時保存した動画のデータの一部を長期保存するきっかけであるトリガを検出した場合に、上記動画の上記トリガ以前の部分を含む一部の範囲の動画データを選択的に長期保存する保存動画選択方法であって、
トリガ種類判別手段によって、検出した上記トリガの種類を判別するトリガ種類判別工程と、
区切り選択手段によって、判別した上記トリガの種類に基づいて、予めトリガの種類ごとに、長期保存を行う動画データの上記範囲の候補である区切りの条件を格納している区切り設定格納部を参照して上記トリガを含む上記区切りを選択し、選択した上記区切り分の動画データを、長期保存するための長期保存メモリに送る区切り選択工程とを含むことを特徴とする保存動画選択方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−11056(P2008−11056A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178228(P2006−178228)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]