説明

保温器

胴体(21)と、蓋(23)と、加熱装置(25)とを備える保温器(20)において、該胴体(21)は、内壁(211)と、外壁(213)と、口部(215)とを具備し、該内壁(211)と該外壁(213)との間には介在層空間を有し、該蓋(23)は該口部(215)と結合し、該加熱装置(25)は、誘導コイル(251)と、リング状磁石(253)と、抵抗加熱器(255)とを具備し、該誘導コイル(251)は該内壁(211)に巻かれ、該リング状磁石(253)は該介在層空間に嵌め込まれ、且つ該介在層空間において往復移動することができ、該抵抗加熱器(255)は該誘導コイル(251)に電気的に接続され、且つ該内壁(211)と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保温器に関し、特に加熱機能を有する保温器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水は人々の日常生活の必需品であり、いざという時の必要に備えるためにいつでも飲み水を得ることができるように、多くの人は容器(例えば、水筒)で飲み水を入れることを選択する。しかしながら、普通の容器は保温機能を持っていないが、登山或いはキャンプする時、多くの食べ物の調理、例えばインスタントラーメン又はミルクなどにお湯をかけるには、何れもお湯を使うことが必要であるため、保温機能付き容器或いは保温器は、クライマーやよく旅行にでかける人にとっては非常に必要な製品である。
【0003】
図1に示されるように、図1は従来技術の保温器の概略図であり、図面において、保温器10は胴体12及び蓋14を含み、該胴体12は内壁121と、外壁123と、口部125とを有する。
【0004】
内壁121は内瓶と通称される。内壁121は水を入れるのに用いれる中空容器であり、該口部125は該内壁121の上方に設けられ、水は該口部125を介して内壁121の中に入れられる、外壁123は該内壁121の外側表面を被覆して、内壁121との間に密閉空間127が形成される。なお、保温効果を達するために、通常に該密閉空間127には断熱材を充填するか或いは該密閉空間127を真空にすることで、内壁121から外壁123への熱伝導を遮断する。そして、熱が内壁121の中に保留できるように内壁121の内側表面は通常に鏡面加工される。蓋14は該口部125と結合し、その密閉程度も保温器10の保温効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の保温器10が採用する保温方式はいかに瓶内の熱が外界に発散するのを避けるかということで、今まで何れの保温器10も保温器内の熱量が外に発散することを完全に遮断できない。従来技術の保温器10はしばらくの時間にわたると、その内部のお湯の温度は依然として明らかに下がるため、その保温効果はクライマーや旅行者の要求を満足できない。
【0006】
本発明は、自動加熱及び保温機能を有する保温器を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達するために、本発明の保温器は、内壁と、外壁と、口部とを具備し、上記内壁と上記外壁との間には介在層空間を有する胴体と、上記口部と結合する蓋と、上記内壁に巻かれた誘導コイルと、上記介在層空間に嵌め込まれ、上記介在層空間に往復移動可能なリング状磁石と、上記誘導コイルに電気的に接続され、上記内壁と接触する抵抗加熱器とを具備する加熱装置と、を備える。
【0008】
保温器が揺れると、その内部のリング状磁石も介在層空間において往復移動を行い、この場合、誘導コイルはリング状磁石の磁力線の変化によって誘導電流を発生し、該誘導電流が抵抗加熱器を通過すると熱エネルギーを生じて内壁を自発的に加熱して、内壁に盛れた水が一定の温度或いはより高い温度に維持することができるようにする。
【0009】
本発明の加熱装置は、上記保温器の温度に感応でき、かつ温度が設定温度より高い場合、上記誘導コイルと上記抵抗加熱器との間の電気的な接続を遮断する熱感応スイッチ、をさらに備えて、継続的に加熱することによって危険を産生することを避ける。また、本発明の加熱装置は、さらに整流器及び充電器を備え、上記整流器は上記誘導電流を整流し、上記充電器に出力して充電し且つ必要な時には、保温器の内部の水を再び加熱し或いは電源として他の電子製品に供給する。
【0010】
本発明の利点及び思想をさらに公開させるために、以下に図面を参考しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術の保温器の概略図。
【図2】本発明の保温器の第1実施例の図。
【図3】本発明の加熱装置の概略図。
【図4】本発明の保温器の第2実施例の図。
【図5】本発明の保温器の第3実施例の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2に示されるように、図2は、本発明の保温器の第1実施例の図であり、図面において、保温器20は胴体21と、蓋23と、加熱装置25とを含み、該ボトル21は内壁211と、外壁213と、口部215とを具備し、該内壁211と該外壁213との間には介在層空間217を有する。該蓋23は該口部215と結合し、該加熱装置25は誘導コイル251と、リング状磁石253と、抵抗加熱器255とを含み、誘導コイル251は該内壁211の外側表面に巻かれ、リング状磁石253は該介在層空間217に嵌め込まれ、該介在層空間217において上下往復移動を行うことができ、抵抗加熱器255は該誘導コイル251に電気的に接続され、且つ該内壁211と接触する。
【0013】
クライマーがバックパックを背負い、且つ該バックパックには該保温器20が有するとき、該保温器20はクライマーの進みによって揺れを発生し、このとき、保温器20の内部のリング状磁石253は介在層空間217において上下往復移動を行い、誘導コイル251にもリング状磁石253の磁力線の変化によって誘導電流を発生し、該誘導電流が抵抗加熱器255を通過すると、熱エネルギーが生じて内壁211を自発的に加熱する。従って、クライマーが進み続ければ、加熱装置25は、保温器20の水を一定の温度或いはより高い温度に維持できるように、内壁211に盛れた水を加熱し続ける。
【0014】
図3に示されるように、図3は、本発明の加熱装置の概略図であり、加熱装置25は、誘導コイル251と、リング状磁石253と、抵抗加熱器255の以外に、さらに熱感応スイッチ252と、整流器254と、充電器256とを具備する。該熱感応スイッチ252は該保温器20の温度に感応することができ、感応した温度が設定の温度より高い場合、該誘導コイル251と該抵抗加熱器255との間の電気的な接続を遮断して、継続的な加熱によって危険を生ずることを避ける。また、リング状磁石253は毎回の往復移動過程において、その移動の方向は反対で、誘導コイル251が誘導された電流の方向は絶え間なく変化することを引き起こすので、本発明において、まず、整流器254で該誘導電流を整流し、整流された電流を該充電器256に出力して充電を行い、必要な時には、内壁211の内部の水を再び加熱し或いは電源として他の電子製品に供給する。
【0015】
図4に示されるように、図4は、本発明の保温器の第2実施例の図であり、本実施例は第1実施例に基づいて変更するものであるので、以下、異なる部分について説明する。
【0016】
図面において、保温器20は、胴体21と、蓋23と、加熱装置25とを有し、胴体21は、内壁211と、外壁213と、口部215の以外に、更に該内壁211と該外壁213との間に形成された介在層空間217に設置された加熱室219を備え、同様に、該蓋23は該口部215と結合し、且つ該加熱装置25は、誘導コイル251と、長尺状磁石257と、抵抗加熱器255とを具備し、該誘導コイル251は該加熱室219の中に巻かれ、該長尺状磁石257は該誘導コイル251において、上下往復移動を行うことができ、抵抗加熱器255は該誘導コイル251に電気的に接続され、且つ該内壁211と接触する。
【0017】
本実施例の加熱原理は第1実施例と同じであるから、ここでは省略する。同様に、本実施例の加熱装置25にも、第1実施例のように、熱感応スイッチ252と、整流器254と、充電器256とを追加して(図3に示されるように)、保温器20の利用効率を高めることができる。
【0018】
図5に示されるように、図5は、本発明の保温器の第3実施例の図であり、本実施例は第1実施例に基づいて変更するものであるので、以下、異なる部分について説明する。
【0019】
図面において、保温器20は、胴体21と、蓋23と、加熱装置25とを有し、胴体21は、内壁211と、外壁213と、口部215とを具備し、蓋23は内部には加熱室231を具備し、該口部215と結合することができ、該加熱装置25は、誘導コイル251と、長尺状磁石257と、抵抗加熱器255とを具備し、該誘導コイル251は該加熱室231の中に巻かれ、該長尺状磁石257は該誘導コイル251において、上下往復移動を行うことができ、抵抗加熱器255は該誘導コイル251に電気的に接続され、且つ蓋23と口部215が結合するとき、該内壁211を加熱する。
【0020】
本実施例の加熱原理は第1実施例と同じであるから、ここでは省略する。同様に、本実施例の加熱装置25にも、第1実施例のように、熱感応スイッチ252と、整流器254と、充電器256とを追加して(図3に示されるように)、保温器20の利用効率を高めることができる。
【0021】
取り立てて言いたいことは、本発明の保温器は機械エネルギーを電気エネルギーに転換することで、容器内の水を自発的に加熱して保温効果を達成するため、本発明の胴体は必ず内壁と外壁の二重構造を具備する必要がなく、保温器にその中に上記加熱装置が収納される加熱室を提供できればよい。もちろん、胴体は従来技術のように、内壁と外壁の二重構造を採用して、保温効果を高めることもできる。
【0022】
上記説明は、ただ本発明の好適な実施例であり、本発明の実施範囲を限定するものではないが、当業者が本発明の精神に基づく様々な変更は、すべて本発明の精神と範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0023】
10 保温器
12 胴体
121 内壁
123 外壁
125 口部
127 介在層空間
14 蓋
20 保温器
21 胴体
211 内壁
213 外壁
215 口部
217 介在層空間
219 加熱室
23 蓋
231 加熱室
25 加熱装置
251 誘導コイル
252 熱感応スイッチ
253 リング状磁石
254 整流器
255 抵抗加熱器
256 充電器
257 長尺状磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁と、外壁と、口部とを具備し、上記内壁と上記外壁との間には介在層空間を有する胴体と、
上記口部と結合する蓋と、
上記内壁に巻かれた誘導コイルと、上記介在層空間に嵌め込まれ、上記介在層空間に往復移動可能なリング状磁石と、上記誘導コイルに電気的に接続され、上記内壁と接触する抵抗加熱器とを具備する加熱装置と、
を備える保温器。
【請求項2】
上記加熱装置は、上記保温器の温度に感応でき、かつ温度が設定温度より高い場合、上記誘導コイルと上記抵抗加熱器との間の電気的な接続を遮断する熱感応スイッチ、をさらに備える請求項1に記載の保温器。
【請求項3】
上記加熱装置はさらに整流器及び充電器を備え、上記整流器は上記誘導コイルに誘導される電流を整流し、上記充電器に出力して充電する請求項1に記載の保温器。
【請求項4】
内壁と、外壁と、口部とを具備し、上記内壁と上記外壁との間に介在層空間を有する胴体と、
上記口部と結合する蓋と、
上記介在層空間に設置された誘導コイルと、上記誘導コイルにおいて往復移動可能な長尺状磁石と、上記誘導コイルに電気的に接続され、上記内壁と接触する抵抗加熱器とを具備する加熱装置と、
を備える保温器。
【請求項5】
上記加熱装置は、上記保温器の温度に感応でき、かつ温度が設定温度より高い場合、上記誘導コイルと上記抵抗加熱器との間の電気的な接続を遮断する熱感応スイッチ、をさらに備える請求項4に記載の保温器。
【請求項6】
上記加熱装置はさらに整流器及び充電器を備え、上記整流器は上記誘導コイルに誘導される電流を整流し、上記充電器に出力して充電する請求項4に記載の保温器。
【請求項7】
口部を具備する胴体と、
上記口部と結合し、内部に加熱室が設けられた蓋と、
上記加熱室に設けられる誘導コイルと、上記誘導コイルにおいて往復移動可能な長尺状磁石と、上記誘導コイルに電気的に接続され、且つ上記蓋と上記口部が結合するとき上記内壁を加熱する抵抗加熱器とを具備する加熱装置と、
を備える保温器。
【請求項8】
上記加熱装置は、上記保温器の温度に感応でき、かつ温度が設定温度より高い場合、上記誘導コイルと上記抵抗加熱器との間の電気的な接続を遮断する熱感応スイッチ、をさらに備える請求項7に記載の保温器。
【請求項9】
上記加熱装置はさらに整流器及び充電器を備え、上記整流器は上記誘導コイルに誘導される電流を整流し、上記充電器に出力して充電する請求項7に記載の保温器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−509721(P2011−509721A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542497(P2010−542497)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/CN2008/070119
【国際公開番号】WO2009/089690
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510197623)
【Fターム(参考)】