保護パネル及び電子機器
【課題】表面側基板のスイッチ部が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができ、接点の耐久性が問題とならない、保護パネル及び電子機器を提供する。
【解決手段】周辺スイッチ用上部電極6Gと周辺スイッチ用下部電極5Gとに接触するとともに基材用接着層17の貫通孔10内に感圧導電部材25を配置し、周辺スイッチ12に作用する力が、上部電極基材と上部電極とを介して感圧導電部材に伝達され、電流が流れることにより上部電極と下部電極との間で導通が行われる。
【解決手段】周辺スイッチ用上部電極6Gと周辺スイッチ用下部電極5Gとに接触するとともに基材用接着層17の貫通孔10内に感圧導電部材25を配置し、周辺スイッチ12に作用する力が、上部電極基材と上部電極とを介して感圧導電部材に伝達され、電流が流れることにより上部電極と下部電極との間で導通が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ入力部と、その周辺に配置された周辺スイッチとを備える、保護パネル、及び、前記保護パネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ抵抗膜方式の入力部の周辺にスイッチ部を配置した保護パネル(当社でいうタッチウインドウ)は種々知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記スイッチ部は、表面側基板及び裏面側基板の周縁部に位置する接点同士を、両基板を接着する接着層に設けられた開口により所定間隔で対向させたものであり、表面側基板を前記開口内に大きく押し下げて接点同士を接触させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記保護パネルは、接点間に空間があるので、表面側基板のスイッチ部が経時的に大きく凹んでしまい、表面側基板が湾曲してしまい、外観が劣化するといった問題があるとともに、接点同士を接触させて入力するので、湾曲される接点の耐久性が問題となる。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、表面側基板のスイッチ部が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができるとともに、表面側接点部が大きく歪曲することもなく、接点の耐久性が問題とならない、保護パネル及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、タッチ入力部と、その周辺に配置された周辺スイッチとを備える保護パネルにおいて、
一方の面にタッチ入力部用上部透明電極と周辺スイッチ用上部電極とを有する上部電極基材と、
前記タッチ入力部用上部透明電極と前記周辺スイッチ用上部電極とが配置された面に対向する面に、前記タッチ入力部用上部透明電極と所定間隔をあけて対向して前記タッチ入力部を構成するタッチ入力部用下部透明電極と、前記周辺スイッチ用上部電極と所定間隔をあけて対向して前記周辺スイッチを構成する周辺スイッチ用下部電極とを有する下部電極基材と、
前記上部電極基材と前記下部電極基材とを周辺部で接着するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極とがそれぞれ露出する貫通孔を有する基材用接着層と、
前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間であって前記基材用接着層の前記貫通孔内に配置されかつ前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との少なくとも一方に接触している感圧導電部材とを備えて、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記感圧導電部材に伝達され、前記作用する力で、前記感圧導電部材内で導電性能が変化し、電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、保護パネルを提供する。
本発明の第2態様によれば、前記感圧導電部材は、複数の導電性粒子を分散含有する絶縁性塗膜で構成して、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記絶縁性塗膜に伝達され、前記作用する力で、前記絶縁性塗膜内の前記導電性粒子間で電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、第1の態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第3態様によれば、前記感圧導電部材は透光性を有するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極もそれぞれ透光性を有する、第1又は2の態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第4態様によれば、前記上部電極基材の表面側に配置される加飾シートをさらに備え、
前記周辺スイッチの入力部分が、前記加飾シートの絵柄で覆われている、第1〜3のいずれか1つの態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第5態様によれば、前記感圧導電部材と前記周辺スイッチ用上部電極との間、又は、前記感圧導電部材と前記周辺スイッチ用下部電極との間の少なくとも一方に、感度調整用隙間を備える、第1〜4のいずれか1つの態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第6態様によれば、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間の前記感圧導電部材の中間部に、感度調整用隙間を備える、第1〜4のいずれか1つの態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第7態様によれば、第1〜6のいずれか1つの態様に記載の前記保護パネルと、
前記保護パネルを支持する筐体と、
前記筐体内の前記保護パネルの前記タッチ入力部の内側に配置される表示装置とを備える、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上部電極基材及び下部電極基材との間の貫通孔内に感圧導電部材が配置されており、周辺スイッチの押圧時に貫通孔内の容積が僅かしか変化しないため、上部電極基材の周辺スイッチの部分が経時的に大きく凹み上部電極機材が湾曲してしまう事無く、外観の劣化を防止することができる。
また、周辺スイッチとして、押圧量に応じて感圧導電部材の導電性能が変化し、ON/OFFの検知だけではなく、押圧力の大きさ(変化)を検知することもできる。
また、感圧導電部材で上部電極基材の電極の湾曲を抑制するので、上部透明電極機材が恒常的に湾曲してしまうことがなく、接点の耐久性が問題とならない。
さらに、前記したように感圧導電部材が配置されており、周辺スイッチの押圧時に貫通孔内の容積が僅かしか変化しないため、上部電極基材を接点同士が接触するまで貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、小さな押圧力でもスイッチ入力が可能となる。
また、上部電極基材を接点接触するまで前記貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、上部電極基材を大きく変形させるに十分な開口サイズを必要としない。したがって、スイッチ部面積をより小さくすることができ、省スペース化が可能となる。
また、上部電極基材を接点接触するまで前記貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、上部電極基材を大きく変形させるに適した貫通孔の開口形状に限定されない。したがって、スイッチのデザインの自由度が大きくなる。
また、上部電極基材を接点接触するまで前記貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、指先よりも小さいサイズのスイッチとして構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるタッチ入力部周辺スイッチを有する携帯電話機の斜視図である。
【図2】図1の前記保護パネルの構成を示す、図1のII−II線の横断面図である。
【図3A】前記第1実施形態の前記保護パネルの裏面側基板の正面図である。
【図3B】前記第1実施形態の前記保護パネルの表面側基板の背面図である。
【図4】前記第1実施形態の前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図5A】本発明の第2実施形態にかかる保護パネルの正面図である。
【図5B】本発明の前記第2実施形態にかかる前記保護パネルの分解図である。
【図6A】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図6B】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図6C】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図6D】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる保護パネルを備える電子機器の一例としての携帯電話機1の全体斜視図である。図2は携帯電話機1の一部の横断底面図である。これらの図に示すように、携帯電話機1は、合成樹脂製の筐体2に、液晶又は有機ELなどの表示部3Aを有する表示装置3と、表示装置3を覆うように配置された保護パネルAと、複数の入力キー4となどを備えて構成されている。筐体2は、前面に表示窓用凹部2Aaなどが形成された表側筐体部2Aと、表示装置3などが装備される裏側筐体部2Bとを備えているが、これに限られるものではなく、一体の筐体部で構成してもよい。保護パネルAは、表示装置3の表示部3Aを保護するように表側筐体部2Aの表示窓用凹部2Aaに備えられている。
【0009】
表側筐体部2Aの表示窓用凹部2Aaは、保護パネルAの嵌め込みを許容する段差を有するように、表側筐体部2Aの表面からくぼませて形成されている。表示窓用凹部2Aaの底部は、裏側筐体部2Bに装備した表示装置3の表示部3Aを外部に臨ませる開口2aと、保護パネルAを支持する支持枠2bとを有するように形成されている。
【0010】
表示窓用凹部2Aaの形状又は大きさは、保護パネルAの形状又は大きさに応じて種々の変更が可能である。表示窓用凹部2Aaの深さは、保護パネルAの厚みなどに応じて種々の変更が可能である。表示窓用凹部2Aaにおける開口2aの形状又は大きさは、表示部3Aの形状又は大きさなどに応じて種々の変更が可能である。ここでは、表示窓用凹部2Aa、開口2a、表示部3A、及び保護パネルAの形状を矩形状又は略矩形状に設定している。また、表示窓用凹部2Aaの深さを、筐体2の表面と保護パネルAの表面とが同じ高さになるように設定しており、表示窓用凹部2Aaに保護パネルAがはめ込まれた状態では、保護パネルAの表面と筐体2の表面とが同一面を構成するようにしている。
【0011】
保護パネルAは、タッチ入力部Aaと、タッチ入力部Aaの周辺に配置された単数又は複数の周辺スイッチ12とを備えるように構成している。周辺スイッチ12の一例としては、アイコンスイッチ又はナビゲーションスイッチ等がある。タッチ入力部Aaは、一例として、アナログ抵抗膜方式のタッチ入力機能を備える部分であり、保護パネルAの表面に対するタッチ操作に基づいて、その操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知する機能を有する部分のことである。周辺スイッチ12は、一例として、携帯電話をかけるためのON/OFFスイッチ、若しくは、音楽を聴くためのON/OFFスイッチなどのON/OFFスイッチ、又は、押圧力を検出するスイッチなどの機能を有する感圧スイッチとして構成することができる。周辺スイッチ12は、タッチ入力部Aaの周辺ならば、タッチ入力部Aaの下側、上側と下側の両方、左側又は右側などに配置することができる。
【0012】
図2〜図3Bに示すように、保護パネルAは、裏面側基板5と、表面側基板6とを有している。
表面側基板6は、タッチ入力部用上部透明電極の一例としての矩形状の抵抗膜6Aが裏面側に形成されて、上部(透明)電極基材の一例として機能する。裏面側基板5は、タッチ入力部用下部透明電極の一例としての矩形状の抵抗膜5Aが表面側に形成されて、下部(透明)電極基材の一例として機能する。これらの裏面側基板5と表面側基板6との抵抗膜5A,6Aの間に、後述する複数の微細なドット状のスペーサ8を介して、空気層を有するように所定間隔を隔てて対向配置されている。そして、保護パネルAにおいて、矩形状の抵抗膜5A,6Aが対向する領域がタッチ入力部Aaとして機能する。
【0013】
図2〜図3Aに示すように、裏面側基板5には、ポリカーボネート樹脂(PC)、メタクリル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエステル樹脂、若しくは、ポリエチレン樹脂(PE)などの透明性、剛性、及び、加工性に優れる樹脂板が採用されている。特に、裏面側基板5としては、透明性に優れるポリカーボネート樹脂(PC)若しくはメタクリル樹脂(PMMA)を使用することが好ましい。裏面側基板5の樹脂板の厚みは、0.5〜3.0mmの範囲から選択することができ、特に0.8〜1.1mmとすることが好ましい。
【0014】
また、裏面側基板5には、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、若しくは、強化ガラスなどの強度及び透過率に優れるガラス板を採用してもよい。強度に優れるガラス板を裏面側基板5に採用すると、裏面側基板5の厚みを薄くすることによる保護パネルAの薄型化、並びに、その保護パネルAを備える携帯電話機1の薄型化を図ることができる。ガラス板の厚みは、0.2〜3.0mmの範囲から選択することができ、特に0.55〜1.0mmとすることが好ましい。
【0015】
裏面側基板5の表面側には、抵抗膜5Aとともに、抵抗膜5AのY軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー5Bと、抵抗膜5Aの周囲に位置する一対の引き回し回路5Cと、対応する貫通孔5aの形成箇所に位置する一対の電極5Dと、周辺スイッチ用下部電極の一例として機能する一対の端子電極5Gとなどが形成されている。裏面側基板5の表面側には、一例として、周縁部に枠状の接着層25が配置されているが、代わりに、表面側基板6の裏面側の周縁部に枠状の接着層25が配置されていてもよいし、裏面側基板5の表面側の周縁部と表面側基板6の裏面側の周縁部との両方に配置されていてもよい。なお、図4は、裏面側基板5の表面側の周縁部と表面側基板6の裏面側の周縁部との両方に絶縁性の接着層16,14がそれぞれ配置されて、接着層25を形成する場合を示している。図4において、13及び15は、裏面側基板5の表面側と表面側基板6の裏面側とにそれぞれ形成された絶縁性のレジストである。接着層16,14はレジスト13,15の上にそれぞれ形成されている。
なお、周辺スイッチ12の配線は、タッチ入力部Aaの透明電極と配線を共用することもできるし、又は、タッチ入力部Aaの透明電極とは独立した配線とすることもできる。
【0016】
裏面側基板5に前記抵抗膜5Aなどを直接形成する代わりに、以下のような方法もある。例えば、裏面側基板5とは別に一枚の透明絶縁フィルムを用意し、透明絶縁フィルムの表面側に、抵抗膜5Aと、一対のバスバー5Bと、一対の引き回し回路5Cと、一対の電極5Dと、一対の端子電極5Gと、枠状の接着層25を形成したのち、透明絶縁フィルムの裏面を裏面側基板5の表面に貼り付けることにより、裏面側基板5の表面側に、抵抗膜5Aと、一対のバスバー5Bと、一対の引き回し回路5Cと、一対の電極5Dと、一対の端子電極5Gと、枠状の接着層25とを備えるように構成してもよい。
【0017】
このように透明絶縁フィルムを使用する場合、透明絶縁フィルムには、ポリカーボネート系、ポリアミド系、若しくは、ポリエーテルケトン系などのエンジニアリングプラスチック、又は、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、若しくは、ポリブチレンテレフタレート系などの樹脂フィルムを使用することができる。
【0018】
図2〜図3Bに示すように、表面側基板6には、指などで押圧すると撓む性質を有する可撓性透明絶縁フィルムを採用している。可撓性透明絶縁フィルムには、ポリカーボネート系、ポリアミド系、若しくは、ポリエーテルケトン系などのエンジニアリングプラスチック、又は、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、若しくは、ポリブチレンテレフタレート系などの樹脂フィルムを使用することができる。表面側基板6の厚さの一例としては、100μmである。
【0019】
表面側基板6の裏面側には、抵抗膜6Aとともに、抵抗膜6AのX軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー6Bと、抵抗膜6Aの周囲に位置する一対の引き回し回路6Cと、対応する貫通孔5bと対向する一対の電極6Dと、周辺スイッチ用上部電極の一例として機能する一対の端子電極6Gとなどが形成されている。
【0020】
図2〜図3Bに示すように、各抵抗膜5A,6Aは、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、若しくは、インジウムチンオキサイド(ITO)などの金属酸化物膜、又は、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、又は、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、若しくは、パラジウムなどの金属膜で構成される透明導電膜である。なお、各抵抗膜5A,6Aを2層以上の多層に形成してもよい。各抵抗膜5A,6Aの形成方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、若しくは、CVD法などがある。
【0021】
各抵抗膜5A,6Aのうちのいずれか一方の表面に、それらの抵抗膜5A,6Aを対向させた際の誤接触を防止するための複数の微細なドット状のスペーサ8を形成することができる。ここでは、一例として、裏面側基板5の抵抗膜5Aに複数のスペーサ8を形成している。
【0022】
スペーサ8には、エポキシアクリレート系若しくはウレタンアクリレート系などの透明な光硬化性樹脂若しくは、ポリエステル系若しくはエポキシ系などの透明な熱硬化性樹脂を使用することができる。また、スペーサ8の形成方法には、スクリーン印刷などの印刷法若しくはフォトプロセスなどがある。
【0023】
バスバー5B,6Bと引き回し回路5C,6Cと電極5D,6Dとは、それぞれ、金、銀、銅、若しくは、ニッケルなどの金属、あるいは、カーボンなどの導電性を有するペーストを用いて形成することができる。各バスバー5B,6Bと各引き回し回路5C,6Cと電極5D,6Dとのそれぞれの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの印刷法、又は、フォトレジスト法、又は、刷毛塗法などがある。
【0024】
バスバー5B又は6Bは、裏面側基板5又は表面側基板6のなるべく端部に形成して、裏面側基板5及び表面側基板6の中央部に、各バスバー5B,6Bが形成されないエリアをできるだけ広く確保することが一般的である。各バスバー5B,6Bが形成されないエリア、つまり、入力エリア(タッチ入力部Aaを形成可能なエリア)若しくは表示エリアの広さ若しくは形状は、携帯電話機1などの電子機器Bにおける入力エリア若しくは表示エリアの広さ若しくは形状に応じて種々の変更が可能である。
【0025】
図3A,図3Bに示すように、裏面側基板5及び表面側基板6のそれぞれにおける一対の引き回し回路5C,6Cは、一方の引き回し回路5C,6Cが、対応するバスバー5B,6Bと電極5D,6Dとに対して最短の経路を通るように形成されている。他方の引き回し回路5C,6Cは、裏面側基板5及び表面側基板6の下縁に沿う回路部分5Ca,6Caを有するように形成されている。それらの各回路部分5Ca,6Caには、3つの端子電極5G,6Gと2つの抵抗体5H,6Hとが隣接する端子電極5G,6Gの間に抵抗体5H,6Hが位置するように所定間隔を隔てて形成されている。
【0026】
つまり、裏面側基板5及び表面側基板6には、それらの抵抗膜5A,6Aに電位差を有するように対応する引き回し回路5C,6Cを介して直列に接続される3組の端子電極5G,6Gが備えられている。1組の端子電極5G,6Gは1つの周辺スイッチ12の周辺スイッチ用下部電極の一例と周辺スイッチ用上部電極の一例とにそれぞれ対応している。 すなわち、裏面側基板5と表面側基板6とを接続した際に、各端子電極5G,6Gが所定間隔を隔てて対向するように配置されている。
【0027】
裏面側基板5と表面側基板6との間に配置される接着層25には、対向する端子電極5G,6Gの接触を可能にする感圧導電部材の一例としての周辺スイッチ用感圧部材17を収納する貫通孔10が形成されている。すなわち、図4に示すように、タッチ入力部Aaの周縁部のうちの図3Aの下側の周縁部には、裏面側基板5の表面と表面側基板6の裏面との間に配置され、かつ、枠状の接着層25を貫通する貫通孔10が形成されている。貫通孔10内に感圧導電性インキを印刷することにより、周辺スイッチ用感圧部材17を貫通孔10内に配置することができる。このようにして、各貫通孔10が配置された位置に1つの周辺スイッチ12が構成されることになる。この例では、3つの貫通孔10すなわち周辺スイッチ12が左右方向に所定間隔を隔てて一直線状に整列形成されている。
つまり、対向する端子電極5G,6Gにより、裏面側基板5及び表面側基板6の一方の電極5D(6D)間に電圧を印加した際に、他方の電極6D(5D)により検出される電圧に基づいて、それらの接点端子電極5G,6Gの接触の有無を検出する周辺スイッチ12が構成されている。
各端子電極5G,6Gの材料及び形成方法などは、抵抗膜5A,6Aと同様であり、抵抗膜5A,6Aを形成するときに同時に形成するようすれば、端子電極5G,6Gを形成するための特別な工程を設ける必要がなくなる。よって、各端子電極5G,6Gは、一例として、透明電極として透明導電膜で構成している。一例として、端子電極5G,6Gは、それぞれ、ITO膜を使う場合は厚みが1〜100μmであり、印刷インキを使う場合は厚みが1〜40μm程度であるとともに、下部透明電極5A及び上部透明電極6Aは、それぞれ、ITO膜の厚みが1〜100μmである。
各貫通孔10には、裏面側基板5上の端子電極5Gと表面側基板6上の端子電極6Gとが貫通孔10の下側端部と上側端部とにそれぞれ露出し、絶縁性の周辺スイッチ用感圧部材17が貫通孔10内に配置収納されて、周辺スイッチ用感圧部材17の下側端部が端子電極5Gに接触するとともに、周辺スイッチ用感圧部材17の上側端部が端子電極6Gに接触して、周辺スイッチ12を構成している。周辺スイッチ用感圧部材17には、後述するように複数の導電性粒子18を分散含有している。よって、ハードコート層9側から指などで押圧されると、ハードコート層9とデザインシート7と表面側基板6上の端子電極6Gとを介して、押圧力が、周辺スイッチ用感圧部材17に伝わり、表面側基板6上の端子電極6Gと裏面側基板5上の端子電極5Gとが電気的に導通されるように構成している。
1つの具体例としては、図4に示すように、貫通孔10の周囲では、貫通孔10内に先端が露出した裏面側基板5上の端子電極5Gの露出部以外の上には、下側のレジスト15が配置され、さらに、その上には、下側の接着固定用の糊16が配置されている。同様に、貫通孔10内に先端が露出した表面側基板6の端子電極6Gの露出部以外の下には、上側のレジスト13が配置され、さらに、その下には、上側の接着固定用の糊14が配置されている。下側の接着固定用の糊16と上側の接着固定用の糊14とは互いに接着して一体化する。下側のレジスト15と下側の接着固定用の糊16と上側のレジスト13と上側の接着固定用の糊14とは、それぞれ、絶縁性であることが好ましい。これらのレジスト及び糊は、それぞれ、印刷形成により配置するようにしてもよい。
以下、周辺スイッチ12の構造について詳細に説明する。
【0028】
各周辺スイッチ用感圧部材17は、絶縁性の基材部17a内に、分散された多数の電気導電性の導電性粒子18を含有する。
【0029】
例えば、周辺スイッチ用感圧部材17の基材部17aの厚さは、数十μm(例えば、40μm〜80μm)で、例えば、スクリーン印刷で形成するのが好ましい。周辺スイッチ用感圧部材17の厚さは、製造可能な見地から1μm以上であるのが好ましい。
【0030】
導電性粒子18としては、それ自体は変形せず、通電可能な導電性を有し、後述する量子トンネル効果が期待できるものであればよく、粒径は印刷に適した粒径であればよい。一例として、スクリーン印刷であれば、メッシュを抵抗なく通過できる粒径であればよい。導電性粒子18の具体的な材料の例としては、後述するQTCが挙げられる。導電性粒子18は、基材部17a内に、視認性に影響を与えず、通電可能な範囲で分散されている。
【0031】
周辺スイッチ用感圧部材17は、一例として、圧力の印加に伴って、周辺スイッチ用感圧部材17の内部に多数含まれる導電性の粒子である導電性粒子18間であって、近接している複数の導電性粒子18間で、直接的な接触の有無とは関係なく、トンネル電流が流れて、周辺スイッチ用感圧部材17は絶縁状態から通電状態に変化するものである。そのような周辺スイッチ用感圧部材17を構成する組成物の一例は、英国、ダーリントン(Darlington)のペラテック社(PERATECH LTD)から商品名「QTC」で入手可能な量子トンネル性複合材(Quantum Tunneling Composite)である。ここで、トンネル電流とは、導電性粒子18同士が直接的には接触してはいないが、ナノメートルオーダーで非常に近接している場合において、導電性粒子18間における電子の存在確率密度がゼロでないために、導電性粒子18から電子が染み出して電流が流れることを意味するものであり、量子力学でトンネル効果として説明される現象である。
【0032】
すなわち、ハードコート層9の表面(例えば図2のハードコート層9の上面)に指又はペンなどからの力が作用すると、作用する力がハードコート層9とデザインシート7と表面側基板6と端子電極6Gを厚み方向に貫通するように伝達されて周辺スイッチ用感圧部材17に伝わり、前記周辺スイッチ用感圧部材17内の前記複数の導電性粒子18間でトンネル効果が生じて、複数の導電性粒子18間でトンネル電流が流れて、前記上側の端子電極6Gと前記下側の端子電極5Gとの間で導通し、周辺スイッチ12のON動作として検出したり、場合によっては、周辺スイッチ12の厚さ方向(Z方向)に作用する押圧力の変化を抵抗値の変化として(電圧の変化に換算して)検出して、周辺スイッチ12での押圧力の大きさを検出することもできる。
【0033】
各貫通孔10の径は、1.0mm以上が好ましい。各貫通孔10の径が1.0mmよりも小さいと、スイッチとして操作できない一方、各貫通孔10の径の上限値は、パネルに配置できる大きさであればよく、また、その形状が自由に設定することが出来ればよい。
【0034】
なお、具体的には図示しないが、裏側筐体部2Bは、裏面側基板5の各貫通孔5a,5bと対向する位置に、4つのスプリングコネクターピン(図示せず)が装備されている。各スプリングコネクターピンは、表示装置3のインターフェース(図示せず)に通電接続されている。
【0035】
裏面側基板5及び表面側基板6の各電極5D,6Dは、裏面側基板5の各貫通孔5a,5bを利用して、対応するスプリングコネクターピンに通電接続されている。
【0036】
各貫通孔5a,5bには、導電ペーストからなる導電性接着剤(図示せず)が、対応する電極5D,6Dに通電可能に接するように注入され、頭付きの導電ピン(図示せず)が、その一端部が導電性接着剤に通電可能に接するように差し込まれて、各抵抗膜5A,6Aからのタッチ入力信号を表側筐体部2Aの裏側に取り出すことができるようにしている。そして、表側筐体部2Aと裏側筐体部2Bとを接合した際には、各導電ピンで、裏面側基板5の電極5D及び表面側基板6の電極6Dを対応するスプリングコネクターピンに接続する平面端子として機能させる。これにより、各抵抗膜5A,6Aからのタッチ入力信号を表示装置3に入力することができるようにしている。
【0037】
また、表面側基板6の表面側には、加飾シートの一例として機能するデザインシート7が貼り合わせられている。
図1〜図2に示すように、デザインシート7には、ポリカーボネート系、ポリアミド系、若しくは、ポリエーテルケトン系などのエンジニアリングプラスチック、又は、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、若しくは、ポリブチレンテレフタレート系などの透明フィルムを使用することができる。透明フィルムの厚みは、25〜200μmの範囲から選択することができる。
【0038】
デザインシート7の表面側にはハードコート層9が形成されて、デザインシート7を保護するようにしている。
【0039】
ハードコート層9に使用する材料としては、シロキサン系樹脂などの無機材料、あるいはアクリルエポキシ系、ウレタン系の熱硬化性樹脂若しくはアクリレート系の光硬化性樹脂などの有機材料がある。ハードコート層9の厚みは、1〜7μm程度が適当である。ハードコート層9の形成方法には、ロールコート、若しくは、スプレーコートなどのコート法、又は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの通常印刷法などを用いるとよい。
【0040】
裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが直接形成された透明シートでデザインシート7を構成し、そのデザインシート7の表面側にハードコート層9を直接形成してもよい。また、裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが直接形成された透明シートでデザインシート7を構成するとともに、その透明シートとは別の透明シートにハードコート層9を形成して、それらの両透明シートを貼り合わせてもよい。
【0041】
デザインシート7は、一例として、加飾層7Bと接着層7Cとで構成されている。
デザインシート7に、例えば、透明シート若しくはハードコート層9に凹凸加工を施す、あるいは、ハードコート層9中に体質顔料であるシリカ若しくはアルミナなどの微粒子を混ぜるなどの光反射防止のためのノングレア処理を施すようにしてもよい。
【0042】
加飾層7Bは、その中央に矩形状の透明部7aを有するように、その周縁に額縁状の加飾部7bを有するように形成されている。透明部7aの広さ若しくは形状は、裏面側基板5及び表面側基板6において各バスバー5B,6B若しくは各引き回し回路5C,6Cなどが形成されない入力エリア若しくは表示エリアの広さ若しくは形状、つまり、携帯電話機1などの電子機器Bにおける入力エリア若しくは表示エリアの広さ若しくは形状に応じて種々の変更が可能である。
前記周辺スイッチ12は加飾部7bで覆われており、各周辺スイッチ12に対応する部分に所望の絵柄を配置することができる。例えば、周辺スイッチ12が携帯電話をかけるためのON/OFFスイッチの場合には、周辺スイッチ12に対応する部分に電話のマークを配置する。また、周辺スイッチ12が音楽を聴くためのON/OFFスイッチの場合には、周辺スイッチ12に対応する部分に音符のマークを配置すればよい。
【0043】
このように加飾層7Bを形成することにより、表面側基板6の周縁部6Eには、裏面側基板5及び表面側基板6の各バスバー5B,6Bなどを覆い隠す加飾が施されることになる。これにより、筐体2の表示窓2Aに、裏面側基板5及び表面側基板6の各バスバー5B,6Bなどを覆い隠すための額縁部を形成する必要がなく、その分、携帯電話機1の薄型化を図ることができる。
【0044】
加飾層7Bには、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、若しくは、アルキド樹脂などをバインダとし、適切な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
【0045】
加飾層7Bの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの通常印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷り若しくは階調表現を行うには、オフセット印刷法若しくはグラビア印刷法が適している。
【0046】
加飾層7Bとしては、金属薄膜層からなるもの、あるいは、絵柄印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、加飾層7Bとして金属光沢を表現するものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、若しくは、鍍金法などにより形成される。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、若しくは、亜鉛などの金属、又は、これらの合金、又は、化合物を使用する。金属薄膜層の膜厚は、0.05μm程度とするのが一般的である。また、金属薄膜層を設ける際に、他の層との密着性を向上させるために、前アンカー層若しくは後アンカー層を設けてもよい。
【0047】
接着層7Cには、表面側基板6とデザインシート7とに適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、表面側基板6及びデザインシート7がポリカーボネート系若しくはポリアミド系である場合は、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、若しくは、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。また、表面側基板6及びデザインシート7がアクリル系若しくはポリエチレンテレフタレート系である場合は、塩化ビニル、酢酸ビニル、若しくは、アクリル系共重合体などを使用すればよい。
【0048】
接着層7Cの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの通常印刷法などを用いるとよい。
【0049】
表面側基板6としては、デザインシート7を備えないものであってもよい。デザインシート7を備えない場合には、表面側基板6の表面側にハードコート層9を形成又は配置してもよい。デザインシート7を備えない場合においてノングレア処理を施す場合には、表面側基板6の表面側若しくはハードコート層9に凹凸加工を施す、あるいは、ハードコート層9中に体質顔料であるシリカ若しくはアルミナなどの微粒子を混ぜるなどの方法がある。
前記第1実施形態の構成によれは、以下のような効果を奏することかできる。
まず、表面側基板6及び裏面側基板5との間の貫通孔10内に感圧導電部材の一例としての周辺スイッチ用感圧部材17が配置されており、周辺スイッチ12の押圧時に貫通孔10内の容積が大きく変化しないため、表面側基板6の周辺スイッチ12の部分が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができるまた、繰り返し使用に伴う劣化もなくなり、大きなへこみが形成されてしまうこともなく、平滑性に問題も生じない。
また、周辺スイッチ12として、接点同士を接触させるのではないため、ON/OFFの検知だけではなく、押圧力の大きさ(変化)を検知することもできる。例えば、カーソルキー部などに周辺スイッチ12を用いる場合、周辺スイッチ12を押すとき、周辺スイッチ12を押す力の大きさに応じてカーソルの移動スピードが速くなるといった機能などを持たせることができる。
また、周辺スイッチ用感圧部材17で表面側基板6の電極と裏面側基板5の電極とを電気的に接続させているため、接点同士を接触させて入力する必要がなく、接点が大きく湾曲されなくなるので、接点の耐久性も問題とならない。
さらに、前記したように周辺スイッチ用感圧部材17が配置されており、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、小さな押圧力でもスイッチ入力が可能となる。これに対して、従来では、接点同士が接触するまで表面側基板を開口内に大きく押し下げる必要があったので、押圧力が足りないと、確実にスイッチ入力できないという問題があった。
また、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、表面側基板6を大きく変形させるに十分な開口サイズを必要としない。したがって、スイッチサイズをより小さくすることができ、省スペース化が可能となる。例えば、従来は最低直径8mm程度はON/OFFスイッチとして必要であったのが、本実施形態では直径2mm程度以下まで小さくすることができる。
また、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、表面側基板6を大きく変形させるに適した貫通孔10の開口形状に限定されない。したがって、スイッチのデザインの自由度が大きくなる。これに対して、従来では、表面側基板を接点同士が接触するまで開口内に大きく押し下げる必要があるので、表面側基板を大きく変形させるに適した開口形状、例えば円形などに限定されてしまっていた。
また、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、指先よりも小さいサイズのスイッチとして構成することもできる。例えば、一つの感圧導電部分が指先よりも小さいスイッチ12を複数個並べて形成すれば、指先の微細な動きにより、複数個の小さいスイッチ12の感圧導電動作により、精密な入力も可能となる。
(第2実施形態)
周辺スイッチ12としては、第1実施形態のように透明抵抗膜5A,6Aと直列になるように引き回し回路5C,6Cを介して一対のバスバー5B,6Bに接続される端子電極5G,6Gを備えるものの他に、例えば、図5A及び図5Bのように、透明抵抗膜と並列になるように引き回し回路を介して一対のバスバー5Baに接続される端子電極5Gaを備えるものでもよい。これを本発明の第2実施形態にかかる保護パネルとして、以下に説明する。
図5A及び図5Bは、第2実施形態にかかる保護パネルの裏面側基板5の正面図と表面側基板6の背面図である。
【0050】
図5Bに示すように、表面側基板6において、透明抵抗膜6Aは、一対のバスバー6Bの間隔を下辺側に広げることにより、透明抵抗膜5Aとの対向領域6Aaの下辺に隣接する拡大領域6Abを有するように形成されている。そして、表面側基板6における一対の端子電極6Gに対する引き回し回路6Cは、一対のバスバー6Bからそれぞれ最短の経路を通るように形成されている。
図5Aに示すように、裏面側基板5においては、拡大領域6Abに対向する部分に、3つの端子電極5Gと2つの抵抗体5Hとが、X軸方向にかつ隣接する端子電極5Gの間に抵抗体5Hが位置するように所定間隔を隔てて形成されている。そして、裏面側基板5における一対の端子電極5Gに対する引き回し回路5Cは、透明抵抗膜5Aと3つの端子電極5G及び2つの抵抗体5Hとが並列になるような回路部分5Caを有するように形成されている。
【0051】
各端子電極5Gは、裏面側基板5と表面側基板6とを接続した際に、拡大領域6Abと所定間隔を隔てて対向するように配置されている。裏面側基板5の接着層25は、対向する端子電極5Gと透明抵抗膜6Aの拡大領域6Abとの接触を可能にする貫通孔10を有するように形成されている。すなわち、ここでは、貫通孔10内に露出する拡大領域6Abの一部が端子電極として機能する。
【0052】
つまり、対向する端子電極5Gと透明抵抗膜6Aの拡大領域6Abとにより、裏面側基板5及び表面側基板6の一方の端子電極5G(6Ab)間に電圧を印加した際に、他方の端子6Ab(5G)により検出される電圧に基づいて、それらの端子電極5Gaと拡大領域6Abとの接触の有無を検出する周辺スイッチ12が構成されている。
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は前記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
前記実施形態では、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極とに接触するように感圧導電部材を配置するように構成しているが、これに限定されるものではない。
例えば、上記した構成では、感圧スイッチとして敏感であるすぎるため、これを緩和する構成として、図6A及び図6Bに示すように、前記感圧導電部材の一例としての周辺スイッチ用感圧導電層17Bが、前記周辺スイッチ用上部電極の一例として機能する一対の端子電極6G又は前記周辺スイッチ用下部電極の一例として機能する一対の端子電極5Gのいずれか一方の電極上に形成され、他方の電極との間に若干の隙間(感度調整用隙間)40を持たせて、感度を鈍くする構成としてもよい。この構成によれば、隙間40が無くなるまで押圧されて、隙間40を挟んで対向していた電極6G又は5Gと感圧導電層17Bとが接触して電気的に導通することにより、前記感圧導電層17B内で電流が流れることにより端子電極5Gと6Gとの間で導通が行われる。この場合には、隙間40が無くならない程度の押圧では、端子電極5Gと6Gとの間で導通されないので、隙間40の間隔により、感度調整を行なうことが可能となる。感圧導電層17Bと端子電極6Gとの間に隙間40を設けるか、感圧導電層17Bと端子電極5Gとの間に隙間40を設けるかは任意である。ここで、隙間40(隙間41,42)の間隔としては、最大で、貫通穴の深さの半分程度であり、例えば、貫通穴の深さが40μm〜80μmの場合には、その半分である20μm〜40μmとするのが好ましい。
別の構成として、図6Cに示すように、前記感圧導電層17Bが前記周辺スイッチ用上側の端子電極6G及び前記周辺スイッチ用下側の端子電極5Gのそれぞれに形成され、感圧導電層17Bの中間に、若干の隙間(感度調整用隙間)41を持たせて、感度を鈍くする構成としてもよい。この構成によれば、隙間41が無くなるまで押圧されて、隙間41を挟んで対向していた感圧導電層17B同士が接触して電気的に導通することにより、前記感圧導電層17B内で電流が流れることにより端子電極5Gと6Gとの間で導通が行われる。この場合には、隙間41が無くならない程度の押圧では、端子電極5Gと6Gとの間で導通されないので、隙間41の間隔により、感度調整を行なうことが可能となる。つまり、この構成によれば、隙間41は、電極5G,6G間の中間点に形成されることになる。なお、この場合には、感圧導電層17Bの1層あたりの厚みが薄くすることができて、感圧導電層17Bがインキ塗膜の場合でも、その形成が容易になる。
別の構成として、図6Dに示すように、電極間の中間点に隙間を形成するときの別の変形例を例示する。前記感圧導電部材の一例である感圧導電層17Bが前記周辺スイッチ用上側の端子電極6G又は前記周辺スイッチ用下側の端子電極5Gのいずれか一方の電極に形成され、他方の電極には、感圧でない導電部材の一例としての導電層43が形成され、これら感圧導電部材の一例である感圧導電層17Bと感圧でない導電部材の一例としての導電層43との間に若干の隙間(感度調整用隙間)42を持たせて、感度を鈍くする構成としてもよい。この構成によれば、隙間42が無くなるまで押圧されて、隙間42を挟んで対向していた感圧導電層17Bと導電層43とが接触して電気的に導通することにより、前記感圧導電層17Bと導電層43内で電流が流れることにより端子電極5Gと6Gとの間で導通が行われる。この場合には、隙間42が無くならない程度の押圧では、端子電極5Gと6Gとの間で導通されないので、隙間42の間隔により、感度調整を行なうことが可能となる。感圧でない導電部材の例としては、カーボンペースト、Cuペースト、Agペースト、又は、Cu -Agミックスペーストなどが挙げられる。
また、例えば、一対のバスバーと端子電極5Gとが接続されていない、即ち全くの別回路で、周辺スイッチ12の端子電極を構成するようにしてもよい。
【0053】
例えば、必要に応じて、周辺スイッチ用感圧部材17と周辺スイッチ用端子電極などの、他の層との間には、密着性をより改善するため、導電性のあるプライマー層を介在させることもできる。
【0054】
周辺スイッチ用感圧部材17は、単層に限らず、複数層で構成することも可能である。
端子電極5G,6Gがそれぞれ透光性を有する透明導電電極であり、かつ、周辺スイッチ用感圧部材17が透明であり、表面意匠や基板が光を透過する構成である場合、又は、周辺スイッチ用感圧部材17内に透光用貫通孔をさらに形成する場合(周辺スイッチ用感圧部材17の感圧インキを環状又は枠状に配置する場合)には、裏面側にLEDなどの光源(図4の30参照)を配置して、スイッチONのときにLEDなどの光源を光らせて、スイッチ12でスイッチON状態を明示することもできる。
【0055】
また、例えば、感圧導電部材は、前記実施形態のように感圧導電性インキを印刷したもののほか、感圧導電性ゴム、若しくは、その他の圧電素子を貫通孔10内に配置するようにして構成してもよい。
【0056】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれ有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる保護パネル及び電子機器は、上部電極基材の周辺スイッチの部分が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができて、携帯電話、スマートフォン、PDA、携帯音楽プレイヤー(携帯型MD(PMD)など)、タブレット、携帯遊技機(携帯ゲーム機など)、電子辞書、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等に有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯電話機(電子機器の一例)
2 筐体
2A 表側筐体部
2Aa 表示窓用凹部
2B 裏側筐体部
3 表示装置
3A 表示部
5 裏面側基板(下部(透明)電極基材の一例)
5A 抵抗膜(タッチ入力部用下部透明電極の一例)
5B バスバー
5C 引き回し回路
5D 電極
5G 端子電極(周辺スイッチ用下部電極の一例)
6 表面側基板(上部(透明)電極基材の一例)
6A 抵抗膜(タッチ入力部用上部透明電極の一例)
6B バスバー
6C 引き回し回路
6D 電極
6G 端子電極(周辺スイッチ用上部電極の一例)
6E 周縁部
7 デザインシート(加飾シートの一例)
7B 加飾層
7C 接着層
10 貫通孔
12 周辺スイッチ
17 周辺スイッチ用感圧部材(感圧導電部材の一例)
17a 基材部
17B 導電層
18 導電性粒子
25 接着層
40,41,42 隙間
43 感圧でない導電部材の一例としての導電層
A 保護パネル
Aa タッチ入力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ入力部と、その周辺に配置された周辺スイッチとを備える、保護パネル、及び、前記保護パネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ抵抗膜方式の入力部の周辺にスイッチ部を配置した保護パネル(当社でいうタッチウインドウ)は種々知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記スイッチ部は、表面側基板及び裏面側基板の周縁部に位置する接点同士を、両基板を接着する接着層に設けられた開口により所定間隔で対向させたものであり、表面側基板を前記開口内に大きく押し下げて接点同士を接触させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記保護パネルは、接点間に空間があるので、表面側基板のスイッチ部が経時的に大きく凹んでしまい、表面側基板が湾曲してしまい、外観が劣化するといった問題があるとともに、接点同士を接触させて入力するので、湾曲される接点の耐久性が問題となる。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、表面側基板のスイッチ部が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができるとともに、表面側接点部が大きく歪曲することもなく、接点の耐久性が問題とならない、保護パネル及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、タッチ入力部と、その周辺に配置された周辺スイッチとを備える保護パネルにおいて、
一方の面にタッチ入力部用上部透明電極と周辺スイッチ用上部電極とを有する上部電極基材と、
前記タッチ入力部用上部透明電極と前記周辺スイッチ用上部電極とが配置された面に対向する面に、前記タッチ入力部用上部透明電極と所定間隔をあけて対向して前記タッチ入力部を構成するタッチ入力部用下部透明電極と、前記周辺スイッチ用上部電極と所定間隔をあけて対向して前記周辺スイッチを構成する周辺スイッチ用下部電極とを有する下部電極基材と、
前記上部電極基材と前記下部電極基材とを周辺部で接着するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極とがそれぞれ露出する貫通孔を有する基材用接着層と、
前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間であって前記基材用接着層の前記貫通孔内に配置されかつ前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との少なくとも一方に接触している感圧導電部材とを備えて、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記感圧導電部材に伝達され、前記作用する力で、前記感圧導電部材内で導電性能が変化し、電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、保護パネルを提供する。
本発明の第2態様によれば、前記感圧導電部材は、複数の導電性粒子を分散含有する絶縁性塗膜で構成して、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記絶縁性塗膜に伝達され、前記作用する力で、前記絶縁性塗膜内の前記導電性粒子間で電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、第1の態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第3態様によれば、前記感圧導電部材は透光性を有するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極もそれぞれ透光性を有する、第1又は2の態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第4態様によれば、前記上部電極基材の表面側に配置される加飾シートをさらに備え、
前記周辺スイッチの入力部分が、前記加飾シートの絵柄で覆われている、第1〜3のいずれか1つの態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第5態様によれば、前記感圧導電部材と前記周辺スイッチ用上部電極との間、又は、前記感圧導電部材と前記周辺スイッチ用下部電極との間の少なくとも一方に、感度調整用隙間を備える、第1〜4のいずれか1つの態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第6態様によれば、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間の前記感圧導電部材の中間部に、感度調整用隙間を備える、第1〜4のいずれか1つの態様に記載の保護パネルを提供する。
本発明の第7態様によれば、第1〜6のいずれか1つの態様に記載の前記保護パネルと、
前記保護パネルを支持する筐体と、
前記筐体内の前記保護パネルの前記タッチ入力部の内側に配置される表示装置とを備える、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上部電極基材及び下部電極基材との間の貫通孔内に感圧導電部材が配置されており、周辺スイッチの押圧時に貫通孔内の容積が僅かしか変化しないため、上部電極基材の周辺スイッチの部分が経時的に大きく凹み上部電極機材が湾曲してしまう事無く、外観の劣化を防止することができる。
また、周辺スイッチとして、押圧量に応じて感圧導電部材の導電性能が変化し、ON/OFFの検知だけではなく、押圧力の大きさ(変化)を検知することもできる。
また、感圧導電部材で上部電極基材の電極の湾曲を抑制するので、上部透明電極機材が恒常的に湾曲してしまうことがなく、接点の耐久性が問題とならない。
さらに、前記したように感圧導電部材が配置されており、周辺スイッチの押圧時に貫通孔内の容積が僅かしか変化しないため、上部電極基材を接点同士が接触するまで貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、小さな押圧力でもスイッチ入力が可能となる。
また、上部電極基材を接点接触するまで前記貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、上部電極基材を大きく変形させるに十分な開口サイズを必要としない。したがって、スイッチ部面積をより小さくすることができ、省スペース化が可能となる。
また、上部電極基材を接点接触するまで前記貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、上部電極基材を大きく変形させるに適した貫通孔の開口形状に限定されない。したがって、スイッチのデザインの自由度が大きくなる。
また、上部電極基材を接点接触するまで前記貫通孔内に大きく押し下げる必要がないので、指先よりも小さいサイズのスイッチとして構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるタッチ入力部周辺スイッチを有する携帯電話機の斜視図である。
【図2】図1の前記保護パネルの構成を示す、図1のII−II線の横断面図である。
【図3A】前記第1実施形態の前記保護パネルの裏面側基板の正面図である。
【図3B】前記第1実施形態の前記保護パネルの表面側基板の背面図である。
【図4】前記第1実施形態の前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図5A】本発明の第2実施形態にかかる保護パネルの正面図である。
【図5B】本発明の前記第2実施形態にかかる前記保護パネルの分解図である。
【図6A】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図6B】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図6C】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【図6D】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかる前記保護パネルのスイッチの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる保護パネルを備える電子機器の一例としての携帯電話機1の全体斜視図である。図2は携帯電話機1の一部の横断底面図である。これらの図に示すように、携帯電話機1は、合成樹脂製の筐体2に、液晶又は有機ELなどの表示部3Aを有する表示装置3と、表示装置3を覆うように配置された保護パネルAと、複数の入力キー4となどを備えて構成されている。筐体2は、前面に表示窓用凹部2Aaなどが形成された表側筐体部2Aと、表示装置3などが装備される裏側筐体部2Bとを備えているが、これに限られるものではなく、一体の筐体部で構成してもよい。保護パネルAは、表示装置3の表示部3Aを保護するように表側筐体部2Aの表示窓用凹部2Aaに備えられている。
【0009】
表側筐体部2Aの表示窓用凹部2Aaは、保護パネルAの嵌め込みを許容する段差を有するように、表側筐体部2Aの表面からくぼませて形成されている。表示窓用凹部2Aaの底部は、裏側筐体部2Bに装備した表示装置3の表示部3Aを外部に臨ませる開口2aと、保護パネルAを支持する支持枠2bとを有するように形成されている。
【0010】
表示窓用凹部2Aaの形状又は大きさは、保護パネルAの形状又は大きさに応じて種々の変更が可能である。表示窓用凹部2Aaの深さは、保護パネルAの厚みなどに応じて種々の変更が可能である。表示窓用凹部2Aaにおける開口2aの形状又は大きさは、表示部3Aの形状又は大きさなどに応じて種々の変更が可能である。ここでは、表示窓用凹部2Aa、開口2a、表示部3A、及び保護パネルAの形状を矩形状又は略矩形状に設定している。また、表示窓用凹部2Aaの深さを、筐体2の表面と保護パネルAの表面とが同じ高さになるように設定しており、表示窓用凹部2Aaに保護パネルAがはめ込まれた状態では、保護パネルAの表面と筐体2の表面とが同一面を構成するようにしている。
【0011】
保護パネルAは、タッチ入力部Aaと、タッチ入力部Aaの周辺に配置された単数又は複数の周辺スイッチ12とを備えるように構成している。周辺スイッチ12の一例としては、アイコンスイッチ又はナビゲーションスイッチ等がある。タッチ入力部Aaは、一例として、アナログ抵抗膜方式のタッチ入力機能を備える部分であり、保護パネルAの表面に対するタッチ操作に基づいて、その操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知する機能を有する部分のことである。周辺スイッチ12は、一例として、携帯電話をかけるためのON/OFFスイッチ、若しくは、音楽を聴くためのON/OFFスイッチなどのON/OFFスイッチ、又は、押圧力を検出するスイッチなどの機能を有する感圧スイッチとして構成することができる。周辺スイッチ12は、タッチ入力部Aaの周辺ならば、タッチ入力部Aaの下側、上側と下側の両方、左側又は右側などに配置することができる。
【0012】
図2〜図3Bに示すように、保護パネルAは、裏面側基板5と、表面側基板6とを有している。
表面側基板6は、タッチ入力部用上部透明電極の一例としての矩形状の抵抗膜6Aが裏面側に形成されて、上部(透明)電極基材の一例として機能する。裏面側基板5は、タッチ入力部用下部透明電極の一例としての矩形状の抵抗膜5Aが表面側に形成されて、下部(透明)電極基材の一例として機能する。これらの裏面側基板5と表面側基板6との抵抗膜5A,6Aの間に、後述する複数の微細なドット状のスペーサ8を介して、空気層を有するように所定間隔を隔てて対向配置されている。そして、保護パネルAにおいて、矩形状の抵抗膜5A,6Aが対向する領域がタッチ入力部Aaとして機能する。
【0013】
図2〜図3Aに示すように、裏面側基板5には、ポリカーボネート樹脂(PC)、メタクリル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエステル樹脂、若しくは、ポリエチレン樹脂(PE)などの透明性、剛性、及び、加工性に優れる樹脂板が採用されている。特に、裏面側基板5としては、透明性に優れるポリカーボネート樹脂(PC)若しくはメタクリル樹脂(PMMA)を使用することが好ましい。裏面側基板5の樹脂板の厚みは、0.5〜3.0mmの範囲から選択することができ、特に0.8〜1.1mmとすることが好ましい。
【0014】
また、裏面側基板5には、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、若しくは、強化ガラスなどの強度及び透過率に優れるガラス板を採用してもよい。強度に優れるガラス板を裏面側基板5に採用すると、裏面側基板5の厚みを薄くすることによる保護パネルAの薄型化、並びに、その保護パネルAを備える携帯電話機1の薄型化を図ることができる。ガラス板の厚みは、0.2〜3.0mmの範囲から選択することができ、特に0.55〜1.0mmとすることが好ましい。
【0015】
裏面側基板5の表面側には、抵抗膜5Aとともに、抵抗膜5AのY軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー5Bと、抵抗膜5Aの周囲に位置する一対の引き回し回路5Cと、対応する貫通孔5aの形成箇所に位置する一対の電極5Dと、周辺スイッチ用下部電極の一例として機能する一対の端子電極5Gとなどが形成されている。裏面側基板5の表面側には、一例として、周縁部に枠状の接着層25が配置されているが、代わりに、表面側基板6の裏面側の周縁部に枠状の接着層25が配置されていてもよいし、裏面側基板5の表面側の周縁部と表面側基板6の裏面側の周縁部との両方に配置されていてもよい。なお、図4は、裏面側基板5の表面側の周縁部と表面側基板6の裏面側の周縁部との両方に絶縁性の接着層16,14がそれぞれ配置されて、接着層25を形成する場合を示している。図4において、13及び15は、裏面側基板5の表面側と表面側基板6の裏面側とにそれぞれ形成された絶縁性のレジストである。接着層16,14はレジスト13,15の上にそれぞれ形成されている。
なお、周辺スイッチ12の配線は、タッチ入力部Aaの透明電極と配線を共用することもできるし、又は、タッチ入力部Aaの透明電極とは独立した配線とすることもできる。
【0016】
裏面側基板5に前記抵抗膜5Aなどを直接形成する代わりに、以下のような方法もある。例えば、裏面側基板5とは別に一枚の透明絶縁フィルムを用意し、透明絶縁フィルムの表面側に、抵抗膜5Aと、一対のバスバー5Bと、一対の引き回し回路5Cと、一対の電極5Dと、一対の端子電極5Gと、枠状の接着層25を形成したのち、透明絶縁フィルムの裏面を裏面側基板5の表面に貼り付けることにより、裏面側基板5の表面側に、抵抗膜5Aと、一対のバスバー5Bと、一対の引き回し回路5Cと、一対の電極5Dと、一対の端子電極5Gと、枠状の接着層25とを備えるように構成してもよい。
【0017】
このように透明絶縁フィルムを使用する場合、透明絶縁フィルムには、ポリカーボネート系、ポリアミド系、若しくは、ポリエーテルケトン系などのエンジニアリングプラスチック、又は、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、若しくは、ポリブチレンテレフタレート系などの樹脂フィルムを使用することができる。
【0018】
図2〜図3Bに示すように、表面側基板6には、指などで押圧すると撓む性質を有する可撓性透明絶縁フィルムを採用している。可撓性透明絶縁フィルムには、ポリカーボネート系、ポリアミド系、若しくは、ポリエーテルケトン系などのエンジニアリングプラスチック、又は、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、若しくは、ポリブチレンテレフタレート系などの樹脂フィルムを使用することができる。表面側基板6の厚さの一例としては、100μmである。
【0019】
表面側基板6の裏面側には、抵抗膜6Aとともに、抵抗膜6AのX軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー6Bと、抵抗膜6Aの周囲に位置する一対の引き回し回路6Cと、対応する貫通孔5bと対向する一対の電極6Dと、周辺スイッチ用上部電極の一例として機能する一対の端子電極6Gとなどが形成されている。
【0020】
図2〜図3Bに示すように、各抵抗膜5A,6Aは、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、若しくは、インジウムチンオキサイド(ITO)などの金属酸化物膜、又は、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、又は、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、若しくは、パラジウムなどの金属膜で構成される透明導電膜である。なお、各抵抗膜5A,6Aを2層以上の多層に形成してもよい。各抵抗膜5A,6Aの形成方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、若しくは、CVD法などがある。
【0021】
各抵抗膜5A,6Aのうちのいずれか一方の表面に、それらの抵抗膜5A,6Aを対向させた際の誤接触を防止するための複数の微細なドット状のスペーサ8を形成することができる。ここでは、一例として、裏面側基板5の抵抗膜5Aに複数のスペーサ8を形成している。
【0022】
スペーサ8には、エポキシアクリレート系若しくはウレタンアクリレート系などの透明な光硬化性樹脂若しくは、ポリエステル系若しくはエポキシ系などの透明な熱硬化性樹脂を使用することができる。また、スペーサ8の形成方法には、スクリーン印刷などの印刷法若しくはフォトプロセスなどがある。
【0023】
バスバー5B,6Bと引き回し回路5C,6Cと電極5D,6Dとは、それぞれ、金、銀、銅、若しくは、ニッケルなどの金属、あるいは、カーボンなどの導電性を有するペーストを用いて形成することができる。各バスバー5B,6Bと各引き回し回路5C,6Cと電極5D,6Dとのそれぞれの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの印刷法、又は、フォトレジスト法、又は、刷毛塗法などがある。
【0024】
バスバー5B又は6Bは、裏面側基板5又は表面側基板6のなるべく端部に形成して、裏面側基板5及び表面側基板6の中央部に、各バスバー5B,6Bが形成されないエリアをできるだけ広く確保することが一般的である。各バスバー5B,6Bが形成されないエリア、つまり、入力エリア(タッチ入力部Aaを形成可能なエリア)若しくは表示エリアの広さ若しくは形状は、携帯電話機1などの電子機器Bにおける入力エリア若しくは表示エリアの広さ若しくは形状に応じて種々の変更が可能である。
【0025】
図3A,図3Bに示すように、裏面側基板5及び表面側基板6のそれぞれにおける一対の引き回し回路5C,6Cは、一方の引き回し回路5C,6Cが、対応するバスバー5B,6Bと電極5D,6Dとに対して最短の経路を通るように形成されている。他方の引き回し回路5C,6Cは、裏面側基板5及び表面側基板6の下縁に沿う回路部分5Ca,6Caを有するように形成されている。それらの各回路部分5Ca,6Caには、3つの端子電極5G,6Gと2つの抵抗体5H,6Hとが隣接する端子電極5G,6Gの間に抵抗体5H,6Hが位置するように所定間隔を隔てて形成されている。
【0026】
つまり、裏面側基板5及び表面側基板6には、それらの抵抗膜5A,6Aに電位差を有するように対応する引き回し回路5C,6Cを介して直列に接続される3組の端子電極5G,6Gが備えられている。1組の端子電極5G,6Gは1つの周辺スイッチ12の周辺スイッチ用下部電極の一例と周辺スイッチ用上部電極の一例とにそれぞれ対応している。 すなわち、裏面側基板5と表面側基板6とを接続した際に、各端子電極5G,6Gが所定間隔を隔てて対向するように配置されている。
【0027】
裏面側基板5と表面側基板6との間に配置される接着層25には、対向する端子電極5G,6Gの接触を可能にする感圧導電部材の一例としての周辺スイッチ用感圧部材17を収納する貫通孔10が形成されている。すなわち、図4に示すように、タッチ入力部Aaの周縁部のうちの図3Aの下側の周縁部には、裏面側基板5の表面と表面側基板6の裏面との間に配置され、かつ、枠状の接着層25を貫通する貫通孔10が形成されている。貫通孔10内に感圧導電性インキを印刷することにより、周辺スイッチ用感圧部材17を貫通孔10内に配置することができる。このようにして、各貫通孔10が配置された位置に1つの周辺スイッチ12が構成されることになる。この例では、3つの貫通孔10すなわち周辺スイッチ12が左右方向に所定間隔を隔てて一直線状に整列形成されている。
つまり、対向する端子電極5G,6Gにより、裏面側基板5及び表面側基板6の一方の電極5D(6D)間に電圧を印加した際に、他方の電極6D(5D)により検出される電圧に基づいて、それらの接点端子電極5G,6Gの接触の有無を検出する周辺スイッチ12が構成されている。
各端子電極5G,6Gの材料及び形成方法などは、抵抗膜5A,6Aと同様であり、抵抗膜5A,6Aを形成するときに同時に形成するようすれば、端子電極5G,6Gを形成するための特別な工程を設ける必要がなくなる。よって、各端子電極5G,6Gは、一例として、透明電極として透明導電膜で構成している。一例として、端子電極5G,6Gは、それぞれ、ITO膜を使う場合は厚みが1〜100μmであり、印刷インキを使う場合は厚みが1〜40μm程度であるとともに、下部透明電極5A及び上部透明電極6Aは、それぞれ、ITO膜の厚みが1〜100μmである。
各貫通孔10には、裏面側基板5上の端子電極5Gと表面側基板6上の端子電極6Gとが貫通孔10の下側端部と上側端部とにそれぞれ露出し、絶縁性の周辺スイッチ用感圧部材17が貫通孔10内に配置収納されて、周辺スイッチ用感圧部材17の下側端部が端子電極5Gに接触するとともに、周辺スイッチ用感圧部材17の上側端部が端子電極6Gに接触して、周辺スイッチ12を構成している。周辺スイッチ用感圧部材17には、後述するように複数の導電性粒子18を分散含有している。よって、ハードコート層9側から指などで押圧されると、ハードコート層9とデザインシート7と表面側基板6上の端子電極6Gとを介して、押圧力が、周辺スイッチ用感圧部材17に伝わり、表面側基板6上の端子電極6Gと裏面側基板5上の端子電極5Gとが電気的に導通されるように構成している。
1つの具体例としては、図4に示すように、貫通孔10の周囲では、貫通孔10内に先端が露出した裏面側基板5上の端子電極5Gの露出部以外の上には、下側のレジスト15が配置され、さらに、その上には、下側の接着固定用の糊16が配置されている。同様に、貫通孔10内に先端が露出した表面側基板6の端子電極6Gの露出部以外の下には、上側のレジスト13が配置され、さらに、その下には、上側の接着固定用の糊14が配置されている。下側の接着固定用の糊16と上側の接着固定用の糊14とは互いに接着して一体化する。下側のレジスト15と下側の接着固定用の糊16と上側のレジスト13と上側の接着固定用の糊14とは、それぞれ、絶縁性であることが好ましい。これらのレジスト及び糊は、それぞれ、印刷形成により配置するようにしてもよい。
以下、周辺スイッチ12の構造について詳細に説明する。
【0028】
各周辺スイッチ用感圧部材17は、絶縁性の基材部17a内に、分散された多数の電気導電性の導電性粒子18を含有する。
【0029】
例えば、周辺スイッチ用感圧部材17の基材部17aの厚さは、数十μm(例えば、40μm〜80μm)で、例えば、スクリーン印刷で形成するのが好ましい。周辺スイッチ用感圧部材17の厚さは、製造可能な見地から1μm以上であるのが好ましい。
【0030】
導電性粒子18としては、それ自体は変形せず、通電可能な導電性を有し、後述する量子トンネル効果が期待できるものであればよく、粒径は印刷に適した粒径であればよい。一例として、スクリーン印刷であれば、メッシュを抵抗なく通過できる粒径であればよい。導電性粒子18の具体的な材料の例としては、後述するQTCが挙げられる。導電性粒子18は、基材部17a内に、視認性に影響を与えず、通電可能な範囲で分散されている。
【0031】
周辺スイッチ用感圧部材17は、一例として、圧力の印加に伴って、周辺スイッチ用感圧部材17の内部に多数含まれる導電性の粒子である導電性粒子18間であって、近接している複数の導電性粒子18間で、直接的な接触の有無とは関係なく、トンネル電流が流れて、周辺スイッチ用感圧部材17は絶縁状態から通電状態に変化するものである。そのような周辺スイッチ用感圧部材17を構成する組成物の一例は、英国、ダーリントン(Darlington)のペラテック社(PERATECH LTD)から商品名「QTC」で入手可能な量子トンネル性複合材(Quantum Tunneling Composite)である。ここで、トンネル電流とは、導電性粒子18同士が直接的には接触してはいないが、ナノメートルオーダーで非常に近接している場合において、導電性粒子18間における電子の存在確率密度がゼロでないために、導電性粒子18から電子が染み出して電流が流れることを意味するものであり、量子力学でトンネル効果として説明される現象である。
【0032】
すなわち、ハードコート層9の表面(例えば図2のハードコート層9の上面)に指又はペンなどからの力が作用すると、作用する力がハードコート層9とデザインシート7と表面側基板6と端子電極6Gを厚み方向に貫通するように伝達されて周辺スイッチ用感圧部材17に伝わり、前記周辺スイッチ用感圧部材17内の前記複数の導電性粒子18間でトンネル効果が生じて、複数の導電性粒子18間でトンネル電流が流れて、前記上側の端子電極6Gと前記下側の端子電極5Gとの間で導通し、周辺スイッチ12のON動作として検出したり、場合によっては、周辺スイッチ12の厚さ方向(Z方向)に作用する押圧力の変化を抵抗値の変化として(電圧の変化に換算して)検出して、周辺スイッチ12での押圧力の大きさを検出することもできる。
【0033】
各貫通孔10の径は、1.0mm以上が好ましい。各貫通孔10の径が1.0mmよりも小さいと、スイッチとして操作できない一方、各貫通孔10の径の上限値は、パネルに配置できる大きさであればよく、また、その形状が自由に設定することが出来ればよい。
【0034】
なお、具体的には図示しないが、裏側筐体部2Bは、裏面側基板5の各貫通孔5a,5bと対向する位置に、4つのスプリングコネクターピン(図示せず)が装備されている。各スプリングコネクターピンは、表示装置3のインターフェース(図示せず)に通電接続されている。
【0035】
裏面側基板5及び表面側基板6の各電極5D,6Dは、裏面側基板5の各貫通孔5a,5bを利用して、対応するスプリングコネクターピンに通電接続されている。
【0036】
各貫通孔5a,5bには、導電ペーストからなる導電性接着剤(図示せず)が、対応する電極5D,6Dに通電可能に接するように注入され、頭付きの導電ピン(図示せず)が、その一端部が導電性接着剤に通電可能に接するように差し込まれて、各抵抗膜5A,6Aからのタッチ入力信号を表側筐体部2Aの裏側に取り出すことができるようにしている。そして、表側筐体部2Aと裏側筐体部2Bとを接合した際には、各導電ピンで、裏面側基板5の電極5D及び表面側基板6の電極6Dを対応するスプリングコネクターピンに接続する平面端子として機能させる。これにより、各抵抗膜5A,6Aからのタッチ入力信号を表示装置3に入力することができるようにしている。
【0037】
また、表面側基板6の表面側には、加飾シートの一例として機能するデザインシート7が貼り合わせられている。
図1〜図2に示すように、デザインシート7には、ポリカーボネート系、ポリアミド系、若しくは、ポリエーテルケトン系などのエンジニアリングプラスチック、又は、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、若しくは、ポリブチレンテレフタレート系などの透明フィルムを使用することができる。透明フィルムの厚みは、25〜200μmの範囲から選択することができる。
【0038】
デザインシート7の表面側にはハードコート層9が形成されて、デザインシート7を保護するようにしている。
【0039】
ハードコート層9に使用する材料としては、シロキサン系樹脂などの無機材料、あるいはアクリルエポキシ系、ウレタン系の熱硬化性樹脂若しくはアクリレート系の光硬化性樹脂などの有機材料がある。ハードコート層9の厚みは、1〜7μm程度が適当である。ハードコート層9の形成方法には、ロールコート、若しくは、スプレーコートなどのコート法、又は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの通常印刷法などを用いるとよい。
【0040】
裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが直接形成された透明シートでデザインシート7を構成し、そのデザインシート7の表面側にハードコート層9を直接形成してもよい。また、裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが直接形成された透明シートでデザインシート7を構成するとともに、その透明シートとは別の透明シートにハードコート層9を形成して、それらの両透明シートを貼り合わせてもよい。
【0041】
デザインシート7は、一例として、加飾層7Bと接着層7Cとで構成されている。
デザインシート7に、例えば、透明シート若しくはハードコート層9に凹凸加工を施す、あるいは、ハードコート層9中に体質顔料であるシリカ若しくはアルミナなどの微粒子を混ぜるなどの光反射防止のためのノングレア処理を施すようにしてもよい。
【0042】
加飾層7Bは、その中央に矩形状の透明部7aを有するように、その周縁に額縁状の加飾部7bを有するように形成されている。透明部7aの広さ若しくは形状は、裏面側基板5及び表面側基板6において各バスバー5B,6B若しくは各引き回し回路5C,6Cなどが形成されない入力エリア若しくは表示エリアの広さ若しくは形状、つまり、携帯電話機1などの電子機器Bにおける入力エリア若しくは表示エリアの広さ若しくは形状に応じて種々の変更が可能である。
前記周辺スイッチ12は加飾部7bで覆われており、各周辺スイッチ12に対応する部分に所望の絵柄を配置することができる。例えば、周辺スイッチ12が携帯電話をかけるためのON/OFFスイッチの場合には、周辺スイッチ12に対応する部分に電話のマークを配置する。また、周辺スイッチ12が音楽を聴くためのON/OFFスイッチの場合には、周辺スイッチ12に対応する部分に音符のマークを配置すればよい。
【0043】
このように加飾層7Bを形成することにより、表面側基板6の周縁部6Eには、裏面側基板5及び表面側基板6の各バスバー5B,6Bなどを覆い隠す加飾が施されることになる。これにより、筐体2の表示窓2Aに、裏面側基板5及び表面側基板6の各バスバー5B,6Bなどを覆い隠すための額縁部を形成する必要がなく、その分、携帯電話機1の薄型化を図ることができる。
【0044】
加飾層7Bには、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、若しくは、アルキド樹脂などをバインダとし、適切な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。
【0045】
加飾層7Bの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの通常印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷り若しくは階調表現を行うには、オフセット印刷法若しくはグラビア印刷法が適している。
【0046】
加飾層7Bとしては、金属薄膜層からなるもの、あるいは、絵柄印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、加飾層7Bとして金属光沢を表現するものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、若しくは、鍍金法などにより形成される。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、若しくは、亜鉛などの金属、又は、これらの合金、又は、化合物を使用する。金属薄膜層の膜厚は、0.05μm程度とするのが一般的である。また、金属薄膜層を設ける際に、他の層との密着性を向上させるために、前アンカー層若しくは後アンカー層を設けてもよい。
【0047】
接着層7Cには、表面側基板6とデザインシート7とに適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、表面側基板6及びデザインシート7がポリカーボネート系若しくはポリアミド系である場合は、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、若しくは、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。また、表面側基板6及びデザインシート7がアクリル系若しくはポリエチレンテレフタレート系である場合は、塩化ビニル、酢酸ビニル、若しくは、アクリル系共重合体などを使用すればよい。
【0048】
接着層7Cの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくは、フレキソ印刷などの通常印刷法などを用いるとよい。
【0049】
表面側基板6としては、デザインシート7を備えないものであってもよい。デザインシート7を備えない場合には、表面側基板6の表面側にハードコート層9を形成又は配置してもよい。デザインシート7を備えない場合においてノングレア処理を施す場合には、表面側基板6の表面側若しくはハードコート層9に凹凸加工を施す、あるいは、ハードコート層9中に体質顔料であるシリカ若しくはアルミナなどの微粒子を混ぜるなどの方法がある。
前記第1実施形態の構成によれは、以下のような効果を奏することかできる。
まず、表面側基板6及び裏面側基板5との間の貫通孔10内に感圧導電部材の一例としての周辺スイッチ用感圧部材17が配置されており、周辺スイッチ12の押圧時に貫通孔10内の容積が大きく変化しないため、表面側基板6の周辺スイッチ12の部分が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができるまた、繰り返し使用に伴う劣化もなくなり、大きなへこみが形成されてしまうこともなく、平滑性に問題も生じない。
また、周辺スイッチ12として、接点同士を接触させるのではないため、ON/OFFの検知だけではなく、押圧力の大きさ(変化)を検知することもできる。例えば、カーソルキー部などに周辺スイッチ12を用いる場合、周辺スイッチ12を押すとき、周辺スイッチ12を押す力の大きさに応じてカーソルの移動スピードが速くなるといった機能などを持たせることができる。
また、周辺スイッチ用感圧部材17で表面側基板6の電極と裏面側基板5の電極とを電気的に接続させているため、接点同士を接触させて入力する必要がなく、接点が大きく湾曲されなくなるので、接点の耐久性も問題とならない。
さらに、前記したように周辺スイッチ用感圧部材17が配置されており、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、小さな押圧力でもスイッチ入力が可能となる。これに対して、従来では、接点同士が接触するまで表面側基板を開口内に大きく押し下げる必要があったので、押圧力が足りないと、確実にスイッチ入力できないという問題があった。
また、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、表面側基板6を大きく変形させるに十分な開口サイズを必要としない。したがって、スイッチサイズをより小さくすることができ、省スペース化が可能となる。例えば、従来は最低直径8mm程度はON/OFFスイッチとして必要であったのが、本実施形態では直径2mm程度以下まで小さくすることができる。
また、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、表面側基板6を大きく変形させるに適した貫通孔10の開口形状に限定されない。したがって、スイッチのデザインの自由度が大きくなる。これに対して、従来では、表面側基板を接点同士が接触するまで開口内に大きく押し下げる必要があるので、表面側基板を大きく変形させるに適した開口形状、例えば円形などに限定されてしまっていた。
また、表面側基板6を接点接触するまで前記貫通孔10内に大きく押し下げる必要がないので、指先よりも小さいサイズのスイッチとして構成することもできる。例えば、一つの感圧導電部分が指先よりも小さいスイッチ12を複数個並べて形成すれば、指先の微細な動きにより、複数個の小さいスイッチ12の感圧導電動作により、精密な入力も可能となる。
(第2実施形態)
周辺スイッチ12としては、第1実施形態のように透明抵抗膜5A,6Aと直列になるように引き回し回路5C,6Cを介して一対のバスバー5B,6Bに接続される端子電極5G,6Gを備えるものの他に、例えば、図5A及び図5Bのように、透明抵抗膜と並列になるように引き回し回路を介して一対のバスバー5Baに接続される端子電極5Gaを備えるものでもよい。これを本発明の第2実施形態にかかる保護パネルとして、以下に説明する。
図5A及び図5Bは、第2実施形態にかかる保護パネルの裏面側基板5の正面図と表面側基板6の背面図である。
【0050】
図5Bに示すように、表面側基板6において、透明抵抗膜6Aは、一対のバスバー6Bの間隔を下辺側に広げることにより、透明抵抗膜5Aとの対向領域6Aaの下辺に隣接する拡大領域6Abを有するように形成されている。そして、表面側基板6における一対の端子電極6Gに対する引き回し回路6Cは、一対のバスバー6Bからそれぞれ最短の経路を通るように形成されている。
図5Aに示すように、裏面側基板5においては、拡大領域6Abに対向する部分に、3つの端子電極5Gと2つの抵抗体5Hとが、X軸方向にかつ隣接する端子電極5Gの間に抵抗体5Hが位置するように所定間隔を隔てて形成されている。そして、裏面側基板5における一対の端子電極5Gに対する引き回し回路5Cは、透明抵抗膜5Aと3つの端子電極5G及び2つの抵抗体5Hとが並列になるような回路部分5Caを有するように形成されている。
【0051】
各端子電極5Gは、裏面側基板5と表面側基板6とを接続した際に、拡大領域6Abと所定間隔を隔てて対向するように配置されている。裏面側基板5の接着層25は、対向する端子電極5Gと透明抵抗膜6Aの拡大領域6Abとの接触を可能にする貫通孔10を有するように形成されている。すなわち、ここでは、貫通孔10内に露出する拡大領域6Abの一部が端子電極として機能する。
【0052】
つまり、対向する端子電極5Gと透明抵抗膜6Aの拡大領域6Abとにより、裏面側基板5及び表面側基板6の一方の端子電極5G(6Ab)間に電圧を印加した際に、他方の端子6Ab(5G)により検出される電圧に基づいて、それらの端子電極5Gaと拡大領域6Abとの接触の有無を検出する周辺スイッチ12が構成されている。
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は前記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
前記実施形態では、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極とに接触するように感圧導電部材を配置するように構成しているが、これに限定されるものではない。
例えば、上記した構成では、感圧スイッチとして敏感であるすぎるため、これを緩和する構成として、図6A及び図6Bに示すように、前記感圧導電部材の一例としての周辺スイッチ用感圧導電層17Bが、前記周辺スイッチ用上部電極の一例として機能する一対の端子電極6G又は前記周辺スイッチ用下部電極の一例として機能する一対の端子電極5Gのいずれか一方の電極上に形成され、他方の電極との間に若干の隙間(感度調整用隙間)40を持たせて、感度を鈍くする構成としてもよい。この構成によれば、隙間40が無くなるまで押圧されて、隙間40を挟んで対向していた電極6G又は5Gと感圧導電層17Bとが接触して電気的に導通することにより、前記感圧導電層17B内で電流が流れることにより端子電極5Gと6Gとの間で導通が行われる。この場合には、隙間40が無くならない程度の押圧では、端子電極5Gと6Gとの間で導通されないので、隙間40の間隔により、感度調整を行なうことが可能となる。感圧導電層17Bと端子電極6Gとの間に隙間40を設けるか、感圧導電層17Bと端子電極5Gとの間に隙間40を設けるかは任意である。ここで、隙間40(隙間41,42)の間隔としては、最大で、貫通穴の深さの半分程度であり、例えば、貫通穴の深さが40μm〜80μmの場合には、その半分である20μm〜40μmとするのが好ましい。
別の構成として、図6Cに示すように、前記感圧導電層17Bが前記周辺スイッチ用上側の端子電極6G及び前記周辺スイッチ用下側の端子電極5Gのそれぞれに形成され、感圧導電層17Bの中間に、若干の隙間(感度調整用隙間)41を持たせて、感度を鈍くする構成としてもよい。この構成によれば、隙間41が無くなるまで押圧されて、隙間41を挟んで対向していた感圧導電層17B同士が接触して電気的に導通することにより、前記感圧導電層17B内で電流が流れることにより端子電極5Gと6Gとの間で導通が行われる。この場合には、隙間41が無くならない程度の押圧では、端子電極5Gと6Gとの間で導通されないので、隙間41の間隔により、感度調整を行なうことが可能となる。つまり、この構成によれば、隙間41は、電極5G,6G間の中間点に形成されることになる。なお、この場合には、感圧導電層17Bの1層あたりの厚みが薄くすることができて、感圧導電層17Bがインキ塗膜の場合でも、その形成が容易になる。
別の構成として、図6Dに示すように、電極間の中間点に隙間を形成するときの別の変形例を例示する。前記感圧導電部材の一例である感圧導電層17Bが前記周辺スイッチ用上側の端子電極6G又は前記周辺スイッチ用下側の端子電極5Gのいずれか一方の電極に形成され、他方の電極には、感圧でない導電部材の一例としての導電層43が形成され、これら感圧導電部材の一例である感圧導電層17Bと感圧でない導電部材の一例としての導電層43との間に若干の隙間(感度調整用隙間)42を持たせて、感度を鈍くする構成としてもよい。この構成によれば、隙間42が無くなるまで押圧されて、隙間42を挟んで対向していた感圧導電層17Bと導電層43とが接触して電気的に導通することにより、前記感圧導電層17Bと導電層43内で電流が流れることにより端子電極5Gと6Gとの間で導通が行われる。この場合には、隙間42が無くならない程度の押圧では、端子電極5Gと6Gとの間で導通されないので、隙間42の間隔により、感度調整を行なうことが可能となる。感圧でない導電部材の例としては、カーボンペースト、Cuペースト、Agペースト、又は、Cu -Agミックスペーストなどが挙げられる。
また、例えば、一対のバスバーと端子電極5Gとが接続されていない、即ち全くの別回路で、周辺スイッチ12の端子電極を構成するようにしてもよい。
【0053】
例えば、必要に応じて、周辺スイッチ用感圧部材17と周辺スイッチ用端子電極などの、他の層との間には、密着性をより改善するため、導電性のあるプライマー層を介在させることもできる。
【0054】
周辺スイッチ用感圧部材17は、単層に限らず、複数層で構成することも可能である。
端子電極5G,6Gがそれぞれ透光性を有する透明導電電極であり、かつ、周辺スイッチ用感圧部材17が透明であり、表面意匠や基板が光を透過する構成である場合、又は、周辺スイッチ用感圧部材17内に透光用貫通孔をさらに形成する場合(周辺スイッチ用感圧部材17の感圧インキを環状又は枠状に配置する場合)には、裏面側にLEDなどの光源(図4の30参照)を配置して、スイッチONのときにLEDなどの光源を光らせて、スイッチ12でスイッチON状態を明示することもできる。
【0055】
また、例えば、感圧導電部材は、前記実施形態のように感圧導電性インキを印刷したもののほか、感圧導電性ゴム、若しくは、その他の圧電素子を貫通孔10内に配置するようにして構成してもよい。
【0056】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれ有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる保護パネル及び電子機器は、上部電極基材の周辺スイッチの部分が経時的に大きく凹むことがなく、外観の劣化を防止することができて、携帯電話、スマートフォン、PDA、携帯音楽プレイヤー(携帯型MD(PMD)など)、タブレット、携帯遊技機(携帯ゲーム機など)、電子辞書、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等に有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯電話機(電子機器の一例)
2 筐体
2A 表側筐体部
2Aa 表示窓用凹部
2B 裏側筐体部
3 表示装置
3A 表示部
5 裏面側基板(下部(透明)電極基材の一例)
5A 抵抗膜(タッチ入力部用下部透明電極の一例)
5B バスバー
5C 引き回し回路
5D 電極
5G 端子電極(周辺スイッチ用下部電極の一例)
6 表面側基板(上部(透明)電極基材の一例)
6A 抵抗膜(タッチ入力部用上部透明電極の一例)
6B バスバー
6C 引き回し回路
6D 電極
6G 端子電極(周辺スイッチ用上部電極の一例)
6E 周縁部
7 デザインシート(加飾シートの一例)
7B 加飾層
7C 接着層
10 貫通孔
12 周辺スイッチ
17 周辺スイッチ用感圧部材(感圧導電部材の一例)
17a 基材部
17B 導電層
18 導電性粒子
25 接着層
40,41,42 隙間
43 感圧でない導電部材の一例としての導電層
A 保護パネル
Aa タッチ入力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力部(Aa)と、その周辺に配置された周辺スイッチ(12)とを備える保護パネルにおいて、
一方の面にタッチ入力部用上部透明電極(6A)と周辺スイッチ用上部電極(6G)とを有する上部電極基材(6)と、
前記タッチ入力部用上部透明電極と前記周辺スイッチ用上部電極とが配置された面に対向する面に、前記タッチ入力部用上部透明電極と所定間隔をあけて対向して前記タッチ入力部を構成するタッチ入力部用下部透明電極(5A)と、前記周辺スイッチ用上部電極と所定間隔をあけて対向して前記周辺スイッチを構成する周辺スイッチ用下部電極(5G)とを有する下部電極基材(5)と、
前記上部電極基材と前記下部電極基材とを周辺部で接着するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極とがそれぞれ露出する貫通孔(10)を有する基材用接着層(25)と、
前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間であって前記基材用接着層の前記貫通孔内に配置されかつ前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との少なくとも一方に接触している感圧導電部材(17,17B
)とを備えて、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記感圧導電部材に伝達され、前記作用する力で、前記感圧導電部材内で導電性能が変化し、電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、保護パネル。
【請求項2】
前記感圧導電部材は、複数の導電性粒子(18)を分散含有する絶縁性塗膜(17)で構成して、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記絶縁性塗膜に伝達され、前記作用する力で、前記絶縁性塗膜内の前記導電性粒子間で電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、請求項1に記載の保護パネル。
【請求項3】
前記感圧導電部材は透光性を有するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極もそれぞれ透光性を有する、請求項1又は2に記載の保護パネル。
【請求項4】
前記上部電極基材の表面側に配置される加飾シート(7)をさらに備え、
前記周辺スイッチの入力部分が、前記加飾シートの絵柄で覆われている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護パネル。
【請求項5】
前記感圧導電部材(17B)と前記周辺スイッチ用上部電極との間、又は、前記感圧導電部材(17B)と前記周辺スイッチ用下部電極との間の少なくとも一方に、感度調整用隙間(40)を備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護パネル。
【請求項6】
前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間の前記感圧導電部材(17B)の中間部に、感度調整用隙間(41,42)を備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護パネル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の前記保護パネルと、
前記保護パネルを支持する筐体(2)と、
前記筐体内の前記保護パネルの前記タッチ入力部の内側に配置される表示装置(3)とを備える、電子機器。
【請求項1】
タッチ入力部(Aa)と、その周辺に配置された周辺スイッチ(12)とを備える保護パネルにおいて、
一方の面にタッチ入力部用上部透明電極(6A)と周辺スイッチ用上部電極(6G)とを有する上部電極基材(6)と、
前記タッチ入力部用上部透明電極と前記周辺スイッチ用上部電極とが配置された面に対向する面に、前記タッチ入力部用上部透明電極と所定間隔をあけて対向して前記タッチ入力部を構成するタッチ入力部用下部透明電極(5A)と、前記周辺スイッチ用上部電極と所定間隔をあけて対向して前記周辺スイッチを構成する周辺スイッチ用下部電極(5G)とを有する下部電極基材(5)と、
前記上部電極基材と前記下部電極基材とを周辺部で接着するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極とがそれぞれ露出する貫通孔(10)を有する基材用接着層(25)と、
前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間であって前記基材用接着層の前記貫通孔内に配置されかつ前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との少なくとも一方に接触している感圧導電部材(17,17B
)とを備えて、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記感圧導電部材に伝達され、前記作用する力で、前記感圧導電部材内で導電性能が変化し、電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、保護パネル。
【請求項2】
前記感圧導電部材は、複数の導電性粒子(18)を分散含有する絶縁性塗膜(17)で構成して、
前記周辺スイッチに対応する部分に力が作用すると、作用する力が、前記周辺スイッチ用上部電極を介して前記絶縁性塗膜に伝達され、前記作用する力で、前記絶縁性塗膜内の前記導電性粒子間で電流が流れることにより前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間で導通が行われる、請求項1に記載の保護パネル。
【請求項3】
前記感圧導電部材は透光性を有するとともに、前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極もそれぞれ透光性を有する、請求項1又は2に記載の保護パネル。
【請求項4】
前記上部電極基材の表面側に配置される加飾シート(7)をさらに備え、
前記周辺スイッチの入力部分が、前記加飾シートの絵柄で覆われている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護パネル。
【請求項5】
前記感圧導電部材(17B)と前記周辺スイッチ用上部電極との間、又は、前記感圧導電部材(17B)と前記周辺スイッチ用下部電極との間の少なくとも一方に、感度調整用隙間(40)を備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護パネル。
【請求項6】
前記周辺スイッチ用上部電極と前記周辺スイッチ用下部電極との間の前記感圧導電部材(17B)の中間部に、感度調整用隙間(41,42)を備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護パネル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の前記保護パネルと、
前記保護パネルを支持する筐体(2)と、
前記筐体内の前記保護パネルの前記タッチ入力部の内側に配置される表示装置(3)とを備える、電子機器。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【公開番号】特開2011−248420(P2011−248420A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117943(P2010−117943)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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