説明

個人認証システム

【課題】認証精度をより高めることが可能な個人認証システムを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る個人認証システム1は、個人認証を行う個人認証システムにおいて、人の歩行に起因して生じる電気信号を検出するための電極11を含み、当該電気信号に応じた歩行信号を検知する歩行信号検知手段10と、特定の電波を送信し、当該電波の人に対する反射波を受信するための送受信器31を含み、人の動きに起因して変化する当該反射波に応じた動体信号を検知する動体信号検知手段30と、歩行信号と動体信号とを比較し、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行う歩行信号判定手段50と、歩行信号が動体信号に対応する人によるものである場合に、予め記録された個人認証用歩行信号と歩行信号とを照合し、個人認証を行う認証手段80とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の歩行に起因して生じる電気信号を用いて個人認証を行う個人認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
個人認証の方式として、指紋を用いる方式、画像を用いる方式、音声を用いる方式、及び、RFIDタグを用いる方式など様々な方式が考案されている。また、特許文献1では、人の歩行に起因して生じる電気信号(歩行信号)を用いる方式が考案されている。この方式によれば、人の歩行は、個々でそれぞれ異なるリズムを備え、個々でそれぞれ異なる固有のパターンを有するので、人の歩行に起因して生じる電気信号のパターンを用いて個人認証を行うことが可能であるとされている。
【0003】
そこで、特許文献1では、個人認証に用いられる電気信号のパターンであって、人の歩行に起因して生じる電気信号のパターンを非接触で検出するための非接触歩行検出方法が開示されている。この非接触歩行検出方法では、人の歩行路に近接して電極を設け、人の歩行に起因して変化する電極の浮遊容量、すなわち電気信号(誘導電流)を検出し、この電気信号のパターンを導出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−110072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触歩行検出方法では、人の歩行に起因して生じる電気信号を受けるだけであるので、同様の方法を利用すれば、第三者によって個人の歩行に起因して生じる電気信号のパターンを傍受することが可能である。その結果、予め傍受した電気信号を擬似的に再現し、利用することにより、第三者による成り済ましが可能となってしまう。そのため、人の歩行に起因して生じる電気信号を用いる個人認証の方式では、認証精度が極めて高いとは言い難いものであった。
【0006】
そこで、本発明は、認証精度をより高めることが可能な個人認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の個人認証システムは、個人認証を行う個人認証システムにおいて、人の歩行に起因して生じる電気信号を検出するための電極を含み、当該電気信号に応じた歩行信号を検知する歩行信号検知手段と、特定の電波を送信し、当該電波の人に対する反射波を受信するための送受信器を含み、人の動きに起因して変化する当該反射波に応じた動体信号を検知する動体信号検知手段と、歩行信号と動体信号とを比較し、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行う歩行信号判定手段と、歩行信号が動体信号に対応する人によるものである場合に、予め記録された個人認証用歩行信号と歩行信号とを照合し、個人認証を行う認証手段と、を備える。
【0008】
この個人認証システムによれば、歩行信号検知手段によって、人の歩行に起因して生じる歩行信号(電気信号)を検知すると共に、動体信号検知手段によって、自ら送信した特定の電波の反射波を受信し、人の動きに起因して変化する当該反射波に応じた動体信号を検知する。ここで、動体信号は、その都度、自ら送信する特定の電波の反射波に応じた信号であるので、予め傍受して擬似的に再現することは不可能である。したがって、歩行信号判定手段によって、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行い、歩行信号が動体信号に対応する人によるものである場合に、認証手段による個人認証を行うことにより、予め傍受して擬似的に再現された歩行信号を用いた個人認証を防止することができる。故に、個人認証システムの認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましを防止することができる。
【0009】
上記した動体信号検知手段における送受信器は、特定の電波を送信の度に変更することが好ましい。更には、上記した動体信号検知手段における送受信器は、特定の電波の周波数を送信の度に変更することが好ましい。
【0010】
これによれば、動体信号をも擬似的に再現しようとする第三者に対して、より効果を奏する。これによれば、特定の電波が送信の度に変更されるので、特定の電波の反射波もその都度変更される。そのため、前回の反射波を予め傍受して擬似的に再現したとしても、動体信号検知手段は、今回の特定の送信電波の反射波を受信できないこととなり、この反射波に応じた動体信号を検知できないこととなる。その結果、歩行信号判定手段によって歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるとの判定がなされず、個人認証を防止することができる。故に、個人認証システムの認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましをより防止することができる。
【0011】
また、上記した歩行信号判定手段は、歩行信号及び動体信号の周期、振幅変化、及び、検知時間のうちの少なくとも何れかに基づいて、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行うことが好ましい。
【0012】
歩行信号の周期は、人の歩行速度と関連する。また、歩行信号の振幅は、足の離地の際の速度と関連し、歩行始めから歩行停止直前まで変化を有する。歩行速度や足の離地の際の速度は、人の歩行の癖などに応じて唯一無二のものであるので、歩行信号の周期及び振幅変化は唯一無二のものである。したがって、これによれば、歩行信号判定手段による判定精度を高めることができる。その結果、個人認証システムの認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましをより防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、個人認証システムの認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る個人認証システムを示す図である。
【図2】本実施形態の個人認証システムにおける歩行信号検知部及び動体信号検知部の配置の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の個人認証システムにおける歩行信号検知部によって検知する歩行信号(電圧信号)の波形を示す図である。
【図4】本実施形態の個人認証システムによる個人認証処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の変形例に係る個人認証システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る個人認証システムを示す図である。図1に示す個人認証システム1は、歩行信号検知部10と、動体信号検知部30と、認証ECU(Electronic Control Unit)40とを備えている。
【0017】
歩行信号検知部10は、例えば、図2に示すように、車両における運転席側ドアの内側に配置されており、車両に接近する人Hの歩行に起因して生じる電気信号に応じた歩行信号を検知する。歩行信号検知部10は、電極11と、歩行信号検知ECU(Electronic Control Unit)20とを備えている。
【0018】
電極11は、例えば、フィルム状の透明電極であり、車両における窓ガラスやバンパー等の絶縁体部分の表面又は内面に配置されている。本実施形態では、電極11は、図2に示すように、運転席側ドアの窓ガラスに貼り付けられている。なお、電極11は、車両における導体部分にフィルム状の絶縁体を貼り付け、この絶縁体の上に貼り付けられてもよい。この場合、電極11は、金属電極などであってもよい。電極11は、人Hの動作に伴う電位の変動、例えば静電容量の変動を検出し、それに応じた電気信号、すなわち電流信号を歩行信号検知ECU20へ送信する。
【0019】
歩行信号検知ECU20は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read OnlyMemory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。このような構成により、歩行信号検知ECU20には、電流電圧変換部22、フィルタ部23、記録部24、及び、演算部25が構築されている。
【0020】
電流電圧変換部22は、電極11から電流信号を受け、この電流信号を電圧信号に変換し、フィルタ部23へ送信する。
【0021】
フィルタ部23は、例えば、カットオフ周波数20Hzのローパスフィルタであり、電流電圧変換部22からの電圧信号における商用周波数成分(50Hz又は60Hz成分)を除去する。これによって、商用電力に起因するノイズ成分が除去され、約20Hz以下の人間の動作により生じる電圧信号のみを抽出することとなる。フィルタ部23は、ノイズ成分を除去した電圧信号を記録部24へ送信する。
【0022】
記録部24は、A/Dコンバータを含んでおり、フィルタ部23からの電圧信号をディジタル化した後、逐次に記録する。
【0023】
図3に、記録部24に記録された電圧信号、すなわち、車両周りでの人の歩行動作を検出した電圧信号の波形の一例を示す。図3における横軸はサンプリングデータ数、すなわち時間を示す。図3では、時点t1〜t2において被験者は直立で停止しており、時点t2で歩行を初め、時点t3で歩行を停止し、再び時点t4まで直立で停止した。ここで、時点t2〜t3において被験者は約8歩の歩行動作を行った。
【0024】
図3によれば、歩行動作停止状態では電圧信号がほぼ平坦であるが、歩行動作が始まるとパルス状の電圧信号、すなわち歩行信号が観測されている。この歩行信号は、足が離地する際に発生したものである。
【0025】
このように、歩行動作中に観測される歩行信号のピーク値、すなわち振幅は、最初は小さいが、次第に大きくなり、停止の直前になって再び減少する。この振幅の大きさは、足の離地の際の速度と対応し、足の離地の速度が歩行始めと歩行停止直前とでは遅くなることにより小さく検出されている。換言すれば、歩行信号の振幅の大きさは、歩行速度が速いと大きくなり、歩行速度が遅いと小さくなる。このように、歩行信号は、人の歩行の癖などに応じた振幅変化を有しており、この振幅変化は、唯一無二のものである。
【0026】
また、歩行信号の数をカウントすることにより、被験者の歩数を検出することができると共に、歩行信号の周期を求めることにより、被験者の歩行速度を検出することができる。
【0027】
演算部25は、記録部24に記録された歩行信号の振幅変化及び周期、並びに検知時間などを求める。演算部25は、求めた歩行信号の振幅変化及び周期、並びに検知時間と、歩行信号とを認証ECU40へ送信する。
【0028】
一方、動体信号検知部30は、車両周辺の動く物体を検知するものであり、例えば、電磁式センサである。本実施形態では、電磁式センサとしてモーションセンサを例示する。モーションセンサとは、例えばUWB方式やドップラー方式などにより、周囲に発した電波(マイクロ波など)の反射波を解析することにより、動体を検知するものである。なお、モーションセンサは、検知対象を限定し、波形をフィルタリングすることで、人物の心拍(鼓動)や呼吸などの検知も可能である。
【0029】
動体信号検知部30は、例えば、図2に示すように、車両における運転席側ドアの内側に配置されており、その動体検知範囲は、歩行信号検知部10の歩行信号検知範囲と同一となるように設定されている。動体信号検知部30は、送受信器31と、動体信号検知ECU(Electronic Control Unit)32とを備えている。
【0030】
送受信器31は、特定の電波を送信し、この電波の反射波を受信する。送受信器31は、特定の電波を送信の度に変更することが好ましい。例えば、送受信器31は、特定の電波の周波数を送信の度に変更する。送受信器31は、受信した反射波を動体信号検知ECU32へ送信する。
【0031】
動体信号検知ECU32は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read OnlyMemory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。このような構成により、動体信号検知ECU32には、記録部33、演算部34が構築されている。
【0032】
記録部33は、A/Dコンバータを含んでおり、送受信器31からの反射波をディジタル化した後、逐次に記録する。反射対象物体が動体である場合、反射波には、動体の動きに応じてパルス状の信号、すなわち動体信号が発生する。すなわち、反射対象物体が人である場合、反射波には、上記した歩行信号と同一の振幅変化及び同一の周期を有する動体信号が発生することとなる。また、動体信号の検知時間は、歩行信号の検知時間に一致することとなる。
【0033】
演算部34は、記録部33に記録された動体信号の振幅変化及び周期、並びに検知時間などを求める。演算部34は、求めた動体信号の振幅変化及び周期、並びに検知時間と、動体信号とを認証ECU40へ送信する。
【0034】
認証ECU40は、演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM(Read OnlyMemory)、演算結果などの各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。このような構成により、認証ECU40には、歩行信号判定部50と、フィルタ部60と、DB部70と、認証部80とが構築されている。
【0035】
歩行信号判定部50は、歩行信号検知部10によって検知した歩行信号が、動体信号検知部30によって検知した動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行う。具体的には、歩行信号判定部50は、歩行信号の検知時間と動体信号の検知時間とが一致するか否か、歩行信号の周期と動体信号の周期とが同期するか否か、歩行信号の振幅変化と動体信号の振幅変化とが類似するか否か、を判定する。歩行信号判定部50は、検知時間が一致し、周期が同期し、振幅変化が類似する場合に、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであると判定する。
【0036】
フィルタ部60は、歩行信号検知部10からの歩行信号を、動体信号検知部30からの動体信号によりフィルタリングする。これにより、歩行信号における歩行以外の移動体によるノイズ成分を除去することができ、人の歩行に起因する歩行信号を認識し易くすることができる。
【0037】
DB部70は、認証用歩行信号を予め記録している。例えば、予め歩行信号検知部10によって個人の歩行信号を測定し、測定した歩行信号を認証用歩行信号としてDB部70に記録する。
【0038】
認証部80は、歩行信号判定部50によって歩行信号が動体信号に対応する人によるものであると判定された場合に、DB部70に予め記録している認証用歩行信号と検知した歩行信号とを照合し、個人認証を行う。
【0039】
次に、本実施形態の個人認証システム1の動作を説明する。図4は、本実施形態の個人認証システムによる個人認証処理を示すフローチャートである。
【0040】
まず、歩行信号検知部10によって歩行信号検知を行うと共に、動体信号検知部30によって動体信号検知を行い(S01)、人の歩行による歩行信号が検知されたか否かの判定を行う(S02)。歩行信号が検知された場合、歩行信号検知部10によって、歩行信号の振幅変化及び周期、並びに検知時間を求める(S03)。また、動体信号検知部30によって、動体信号の振幅変化及び周期、並びに検知時間を求める(S04)。
【0041】
次に、歩行信号判定部50によって、歩行信号の検知時間と動体信号の検知時間とが一致するか否か、歩行信号の周期と動体信号の周期とが同期するか否か、歩行信号の振幅変化と動体信号の振幅変化とが類似するか否か、を判定する(S05)。検知時間が一致し、周期が同期し、振幅変化が類似する場合、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであると判定し、個人認証処理へ移行する。
【0042】
個人認証処理では、まず、フィルタ部60によって、歩行信号を動体信号によりフィルタリングし、歩行信号におけるノイズ成分を除去する(S06)。そして、認証部80によって、DB部70に予め記録している認証用歩行信号と検知した歩行信号とを照合し(S07)、検知した歩行信号が認証用歩行信号と一致する場合に認証OKと判断する(S08)。一方、検知した歩行信号が認証用歩行信号と一致しない場合には、認証NGと判断する(S09)。
【0043】
なお、ステップS02において、歩行信号が検知されなかった場合、認証NGと判断し(S09)、終了する。
【0044】
また、ステップS05において、検知時間が一致しない場合、周期が同期しない場合、又は、振幅変化が類似しない場合、認証NGと判断し(S09)、終了する。第三者によって歩行信号が予め傍受され、擬似的に再現された擬似歩行信号が車両に送信された場合、このステップS05において、周期が同期しなかったり、振幅変化が類似しなかったりすることとなり、歩行信号判定部50によって判別可能となる。これにより、第三者による成り済ましなどの不正なアクセスを排除することが可能となる。
【0045】
このように、本実施形態の個人認証システム1によれば、歩行信号検知部10によって、人の歩行に起因して生じる歩行信号(電気信号)を検知すると共に、動体信号検知部30によって、自ら送信した特定の電波の反射波を受信し、人の動きに起因して変化する当該反射波に応じた動体信号を検知する。ここで、動体信号は、その都度、自ら送信する特定の電波の反射波に応じた信号であるので、予め傍受して擬似的に再現することは不可能である。したがって、歩行信号判定部50によって、歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行い、歩行信号が動体信号に対応する人によるものである場合に、認証部80による個人認証を行うことにより、予め傍受して擬似的に再現された歩行信号を用いた個人認証を防止することができる。故に、個人認証システム1の認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましを防止することができる。
【0046】
また、本実施形態の個人認証システム1によれば、動体信号検知部30における送受信器31が特定の電波を送信の度に変更するので、動体信号をも擬似的に再現しようとする第三者に対して、より効果を奏する。特定の電波が送信の度に変更されるので、特定の電波の反射波もその都度変更される。そのため、前回の反射波を予め傍受して擬似的に再現したとしても、動体信号検知部30は、今回の特定の送信電波の反射波を受信できないこととなり、この反射波に応じた動体信号を検知できないこととなる。その結果、歩行信号判定部50に歩行信号が動体信号に対応する人によるものであるとの判定がなされず、認証NGと判断され、第三者による成り済ましなどの不正なアクセスを排除することができる。故に、個人認証システム1の認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましをより防止することができる。
【0047】
また、本実施形態の個人認証システム1によれば、歩行信号判定部50が、歩行信号及び動体信号の周期、振幅変化、及び、検知時間のうちの少なくとも何れかに基づいて判定を行う。歩行信号の周期及び振幅変化は上記したように唯一無二のものであるので、歩行信号判定部50による判定精度を高めることができる。その結果、個人認証システム1の認証精度をより高めることができ、第三者による成り済ましをより防止することができる。
【0048】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、フィルタ部60を備える個人認証システム1を例示したが、本発明に係る個人認証システムは、フィルタ部60を備えなくてもよい。動体信号により歩行信号をフィルタリングせずとも、すなわち、歩行信号における歩行以外の移動体によるノイズ成分を除去せずとも、人の歩行に起因する歩行信号は十分認識可能である。
【0049】
また、本実施形態では、歩行信号検知部10は電極11を1つだけ備えたが、複数の電極を備えてもよい。この変形例を図5に示す。本発明の変形例に係る個人認証システム1Aは、歩行信号検知部10に代えて歩行信号検知部10Aを備え、歩行信号検知部10Aは複数の電極10Aa〜10Adを備える。この場合、歩行信号検知部10Aは、歩行信号検知ECU20に代えて、結合部21を更に備える歩行信号検知ECU20Aを備える。結合部21は、複数の電極10Aa〜10Adから電流信号を受け、これらの電流信号をまとめて出力する。一般に、単一の電極からの電流信号はpA程度の微弱な電流値であるので、単一の電極からの電流信号をそのまま用いると、ノイズの影響が大きかったり、検出エリアが制限されたりしてしまう虞がある。しかしながら、本変形例では、結合部21によって複数の電極からの電気信号をまとめることにより、ノイズの影響を低減し、広範囲の検出を可能にする。
【0050】
また、本実施形態では、電極は車両のボディパネルや、ボディパネルパーツであることが好ましい。ボディパネルパーツとしては、ドアパネル、ボンネットパネル、及び、トランクパネル等が考えられる。この場合、車両における金属ボディパネルや金属ボディパネルパーツは、接地電位や、他の電位に対してフローティングされていることが重要である。これによれば、別途電極を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0051】
1…個人認証システム、10,10A…歩行信号検知部(歩行信号検知手段)、11,10Aa-10Ad…電極、20,20A…歩行信号検知ECU、21…結合部、22…電流電圧変換部、23…フィルタ部、24…記録部、25…演算部、30…動体信号検知部(動体信号検知手段)、31…送受信器、32…動体信号検知ECU、33…記録部、34…演算部、40…認証ECU、50…歩行信号判定部(歩行信号判定手段)、60…フィルタ部、70…DB部、80…認証部(認証手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人認証を行う個人認証システムにおいて、
人の歩行に起因して生じる電気信号を検出するための電極を含み、当該電気信号に応じた歩行信号を検知する歩行信号検知手段と、
特定の電波を送信し、当該電波の人に対する反射波を受信するための送受信器を含み、人の動きに起因して変化する当該反射波に応じた動体信号を検知する動体信号検知手段と、
前記歩行信号と前記動体信号とを比較し、前記歩行信号が前記動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行う歩行信号判定手段と、
前記歩行信号が前記動体信号に対応する人によるものである場合に、予め記録された個人認証用歩行信号と前記歩行信号とを照合し、個人認証を行う認証手段と、
を備える、個人認証システム。
【請求項2】
前記動体信号検知手段における前記送受信器は、前記特定の電波を送信の度に変更する、
請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記動体信号検知手段における前記送受信器は、前記特定の電波の周波数を送信の度に変更する、
請求項2に記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記歩行信号判定手段は、前記歩行信号及び前記動体信号の周期、振幅変化、及び、検知時間のうちの少なくとも何れかに基づいて、前記歩行信号が前記動体信号に対応する人によるものであるか否かの判定を行う、
請求項1に記載の個人認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−164993(P2011−164993A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27924(P2010−27924)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】