説明

偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、画像表示装置、液晶パネルおよび液晶表示装置

【課題】光学特性およびその均一性をさらに向上させることが可能な偏光子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の偏光子の製造方法は、親水性ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程(A)、延伸工程(B)、および染色工程(C)を含む。膨潤工程(A)は、無延伸膨潤工程(A1)および延伸膨潤工程(A2)を含み、これらを染色工程(C)に先立ち行う。必要に応じ架橋工程(D)、洗浄工程(E)等を含んでも良い。無延伸膨潤工程(A1)、延伸膨潤工程(A2)、染色工程(C)、架橋工程(D)、および洗浄工程(E)をこの順序で行い、延伸工程(B)は、染色工程(C)または架橋工程(D)と同時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、画像表示装置、液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板は、各種画像表示装置に用いられており、特に液晶表示装置(LCD)においては必須の構成部材である。偏光板は、偏光子の少なくとも一方の表面に保護層を配置して構成することが一般的である。
【0003】
偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム等の親水性フィルムを延伸する延伸工程と、前記親水性フィルムを二色性物質で染色する染色工程とを含む製造方法により製造される。しかし、製造される偏光子は、位相差ムラ、二色性物質の含有量ムラ等により、光学特性が不均一になるおそれがある。このため、厚みがなるべく均一である親水性フィルムを用いることが提案されているが、前記問題の解決方法としては十分ではない。
【0004】
また、偏光子の製造方法において、前記延伸工程および染色工程に先立ち、前記親水性フィルムを水や水溶液などにより膨潤させる膨潤工程を用いることが行われている(特許文献1および2等)。前記膨潤工程を行う目的は、例えば、前記親水性フィルム表面の異物除去、前記親水性フィルム中の可塑剤除去、前記染色工程における易染色性の付与、前記親水性フィルムの可塑化などである。しかし、前記膨潤工程において、膨潤工程の初期段階で発生した膨潤ムラが、その後の工程で残存してしまうおそれがある。残存した膨潤ムラは、製造される偏光子の光学特性の均一性を低下させる要因となる。
【0005】
前記膨潤ムラを抑制するために、親水性フィルムの膨潤工程を複数の段階に分け、初期段階で低温の浴液に浸漬させ、後段になるにつれて次第に高温の浴液に浸漬させる方法が行われている(特許文献2)。この方法によれば、初期段階での膨潤の進行が緩和されて膨潤ムラが抑制され、かつ、後段で前記親水性フィルムを十分に膨潤させることができる。このため、光学特性の均一性に優れた偏光子を得ることが可能である。しかし、この方法は、前記膨潤工程において、複数の浴液をそれぞれ異なった温度に設定する必要があるため、前記浴液の温度管理の手間やコストの問題がある。
【特許文献1】特開2005−227648号公報
【特許文献2】特開2006−267153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
偏光子の製造方法における前記膨潤工程で、前記親水性フィルムの膨潤量が少ないと、染色性、延伸性等が十分に向上せず、偏光子の光学特性が低下するおそれがある。膨潤量を上げるためには、例えば、前記親水性フィルムの膨潤液への接触時間を長くしたり、膨潤液の温度を上げたりする方法がある。しかし、このようにして前記親水性フィルムを膨潤させても、前述のような膨潤ムラの問題がある。前記膨潤工程においては、前記親水性フィルムを延伸しながら膨潤させる方法、および前記親水性フィルムを延伸せずに膨潤のみさせる方法があるが、いずれの方法も、前記膨潤ムラの問題を解決するためには十分ではない。また、特許文献2に記載の方法では、前述の通り、手間やコストの問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、簡便に行うことが可能で、しかも製造される偏光子の光学特性および光学特性の均一性をさらに向上させることが可能な偏光子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の偏光子の製造方法は、
(A)親水性ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程、
(B)前記親水性ポリマーフィルムを延伸する延伸工程、および
(C)前記親水性ポリマーフィルムを二色性物質により染色する染色工程、
を含み、前記膨潤工程(A)を前記染色工程(C)に先立ち行う、偏光子の製造方法であって、
前記膨潤工程(A)は、
(A1)前記親水性ポリマーフィルムを延伸せずに膨潤させる無延伸膨潤工程、および
(A2)前記親水性ポリマーフィルムを延伸しながら膨潤させる延伸膨潤工程、
を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の偏光子は、前記本発明の製造方法により製造される偏光子である。
【0010】
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が配置された偏光板であって、前記偏光子が前記本発明の偏光子である。
【0011】
本発明の画像表示装置は、前記本発明の偏光子または前記本発明の偏光板を含む画像表示装置である。
【0012】
本発明の液晶パネルは、液晶セルと偏光板とを含み、前記液晶セルの片側または両側に前記偏光板を配置した液晶パネルであって、前記偏光板が前記本発明の偏光板である。
【0013】
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の偏光子、前記本発明の偏光板、または前記本発明の液晶パネルを含む液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明者等は、前記目的を達成するために、一連の研究を重ねた。その研究過程で、前記親水性ポリマーフィルムを延伸せずに膨潤させる無延伸膨潤工程と、前記親水性ポリマーフィルムを延伸しながら膨潤させる延伸膨潤工程との両方を併用することにより、製造される偏光子の光学特性および光学特性の均一性がさらに向上することを見出した。詳しい機構は不明であるが、例えば、無延伸膨潤工程または延伸膨潤工程を単独で用いるよりも、両工程を併用する方が、前記親水性ポリマーフィルムが十分に膨潤するとともに、前記親水性ポリマーフィルムの延伸性の向上に伴い配向性が向上し、染色性等もさらに向上すると推測される。本発明の偏光子の製造方法は、前記無延伸膨潤工程(A1)と前記延伸膨潤工程(A2)において、前記親水性ポリマーフィルムに接触させる液の温度を、それぞれ別個に厳密に管理する必要がない。このため、本発明の偏光子の製造方法は、簡便に行うことが可能であり、かつ、光学特性および光学特性の均一性に優れた偏光子を製造することができる。本発明の偏光子および偏光板は、光学特性および光学特性の均一性に優れるために、液晶パネル、液晶表示装置、およびその他の各種画像表示に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の偏光子の製造方法は、前述のとおり、膨潤工程(A)、延伸工程(B)、および染色工程(C)を含み、前記膨潤工程(A)を前記染色工程(C)に先立ち行い、前記膨潤工程(A)が、無延伸膨潤工程(A1)、および延伸膨潤工程(A2)を含む。これ以外は、本発明の偏光子の製造方法は特に制限されないが、例えば、
(D)前記染色工程(C)により染色した前記親水性ポリマーフィルムを架橋処理する架橋工程、
をさらに含むことが好ましい。また、本発明の偏光子の製造方法は、例えば、
(E)前記親水性ポリマーフィルムを洗浄する洗浄工程、
をさらに含むことが好ましい。
【0016】
本発明において、前記親水性ポリマーフィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムが好ましく、前記二色性物質は、ヨウ素が好ましい。
【0017】
本発明においては、例えば、前記親水性ポリマーフィルムが帯状のフィルムであり、これを連続的に送出しながら本発明の偏光子の製造方法に含まれる前記各工程を連続的に行うと、偏光子の製造効率の観点から好ましい。このような方法は、例えば、いわゆるRoll to Roll法またはそれに準じた方式で行うことができる。しかし、本発明の偏光子の製造方法はこれに限定されず、例えば、いわゆるバッチ処理等の非連続な方法で行っても良い。
【0018】
本発明の偏光子の製造方法は、例えば、前記工程(A1)、(A2)および(B)〜(E)のうち少なくとも1つを、前記親水性ポリマーフィルムを浴液に浸漬させることにより行うことができるが、他の方法により行っても良い。例えば、本発明の偏光子の製造方法は、前記工程(A1)、(A2)および(B)〜(E)のうち少なくとも1つを、気相中で前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面を液に接触させることにより行うことができる。前記液と前記面との接触は、例えば、前記液を前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に噴霧することにより行うことが好ましい。このような方法によれば、大型の偏光子の製造にも対応しやすい。なお、本発明に用いる液は、例えば、後述の膨潤液、染色液、架橋液、洗浄液等が挙げられる。
【0019】
つぎに、本発明の偏光子の製造方法について、例を挙げて、以下に説明する。本発明の製造方法は、親水性ポリマーフィルムを材料とし、例えば、膨潤工程(A)、延伸工程(B)、染色工程(C)、架橋工程(D)、洗浄工程(E)等の一連の工程を有し、前記膨潤工程(A)は、無延伸膨潤工程(A1)と延伸膨潤工程(A2)とを含む。
【0020】
[1]親水性ポリマーフィルム
前記親水性ポリマーフィルムとしては、特に制限されず、従来公知のフィルムが使用できる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィレム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム等の親水性ポリマーフィルム等が挙げられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム、延伸配向されたポリビニレン系フィルム等も使用できる。これらの中でも、後述する二色性物質であるヨウ素による染色性に優れることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。
【0021】
前記PVA系ポリマーフィルムの原料ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに対して、少量の不飽和カルボン酸や不飽和スルホン酸等の共重合可能なモノマーを共重合したポリマー等が挙げられる。前記PVA系ポリマーの重合度は、特に制限されないが、水に対する溶解度の点等から、500〜10000の範囲が好ましく、より好ましくは、1000〜6000である。また、ケン化度は、75モル%以上が好ましく、より好ましくは、98〜100モル%である。
【0022】
前記親水性ポリマーフィルム(例えば、PVA系フィルム)の大きさは、特に制限されないが、厚みは、例えば、15〜110μmの範囲であり、好ましくは、38〜110μmの範囲であり、より好ましくは、50〜100μmであり、さらに好ましくは、60〜80μmである。本発明の製造方法をRoll to Roll法等の連続処理で実施する場合は、前記親水性ポリマーフィルム(例えば、PVA系フィルム)は、ロールに巻回した原反フィルムの形態が好ましく、この場合、フィルムを搬送しながら、各工程で処理が施される。また、本発明の製造方法が、バッチ処理で実施される場合は、所定の大きさにカットした親水性ポリマーフィルム(例えば、PVA系フィルム)が使用される。
【0023】
[2]膨潤工程(A)
前記染色工程(C)に先立ち、前記膨潤工程(A)を行う。これにより、前記親水性ポリマーフィルムの前記染色工程(C)における染色性をさらに向上させることができる。また、前記膨潤工程(A)を、前記延伸工程(B)に先立ち行うことで、前記親水性ポリマーフィルムの前記延伸工程(B)における配向性をさらに向上させることもできる。前記膨潤工程(A)は、前記無延伸膨潤工程(A1)および前記延伸膨潤工程(A2)を含む。前記無延伸膨潤工程(A1)および前記延伸膨潤工程(A2)は、どちらを先に行っても良い。前記無延伸膨潤工程(A1)を、前記延伸膨潤工程(A2)に先立ち行うことが、前記親水性ポリマーフィルムの延伸時における配向性をさらに向上させる観点から好ましい。また、前記無延伸膨潤工程(A1)および前記延伸膨潤工程(A2)は、それぞれ、1回ずつ行っても良いが、複数回行っても良い。例えば、前記無延伸膨潤工程(A1)を複数回行った後に前記延伸膨潤工程(A2)を複数回行っても良いし、前記無延伸膨潤工程(A1)と前記延伸膨潤工程(A2)とを交互に行っても良い。以下、前記無延伸膨潤工程(A1)および前記延伸膨潤工程(A2)の各工程について説明する。
【0024】
[2−1]無延伸膨潤工程(A1)
前記親水性ポリマーフィルムを、膨潤液に接触させて膨潤させる。このときは、前記親水性ポリマーフィルムに対し、延伸を行わない。前記膨潤液としては、例えば、水、グリセリン水溶液等が使用できる。
【0025】
前記親水性ポリマーフィルムを前記膨潤液に接触させる方法は、特に制限されないが、例えば、前記膨潤液を含む膨潤浴に浸漬させる方法でも良い。前記膨潤浴(膨潤液)の温度は、特に制限されないが、例えば、20〜45℃の範囲であり、好ましくは25〜40℃の範囲であり、より好ましくは27〜37℃の範囲である。前記膨潤浴への浸漬時間(前記膨潤液との接触時間)は、特に制限されないが、例えば、10〜60秒の範囲であり、好ましくは、20〜60秒の範囲であり、より好ましくは、30〜60秒の範囲である。前記無延伸膨潤工程(A1)による処理後における前記親水性ポリマーフィルムの含水率(水分含有率)は、特に制限されないが、例えば、10〜35質量%であり、好ましくは20〜35質量%であり、より好ましくは30〜35質量%である。
【0026】
前記親水性ポリマーフィルムを前記膨潤液に接触させる方法は、例えば、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に前記膨潤液を噴霧する方法でも良い。前記親水性ポリマーフィルムに前記膨潤液を噴霧する手段としては、任意の適切な噴霧装置を用いることができる。前記噴霧装置としては、例えば、扶桑精機(株)製の商品名「MKシリーズ」、DeVILBISS社製の商品名「T−AFPV」、ACCUSPRAY社製の商品名「56シリーズ」等が挙げられる。前記噴霧装置において、噴霧用ノズルの数は、例えば、1〜10個の範囲であり、好ましくは、1〜8個の範囲であり、より好ましくは、1〜4個の範囲である。前記噴霧用ノズルの孔径は、例えば、0.3〜2mmの範囲であり、好ましくは、0.5〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは、0.75〜1mmの範囲である。前記噴霧用ノズル1個当たりの流量は、例えば、10〜1200mL/秒の範囲であり、好ましくは、10〜700mL/秒の範囲であり、より好ましくは、50〜400mL/秒の範囲である。噴霧空気圧力は、例えば、0.03〜3MPaの範囲であり、好ましくは、0.1〜1MPaの範囲であり、より好ましくは、0.2〜0.5MPaの範囲である。噴霧角度は、例えば、45°〜135°の範囲であり、好ましくは、60°〜120°の範囲であり、より好ましくは、80°〜100°の範囲である。
【0027】
前記液の噴霧において、前記噴霧用ノズルと前記親水性ポリマーフィルムとの間の距離は、前記噴霧圧力等に応じて適宜に決定することができるが、15cm以下の範囲が好ましい。前記距離を前記範囲とすることで、前記液をロスなく、確実に前記親水性ポリマーフィルムに接触させることができる。
【0028】
また、前記親水性ポリマーフィルムへの前記膨潤液の噴霧量は、特に制限されないが、0.06〜0.19mL/cmの範囲が好ましい。前記膨潤液の温度および前記膨潤液の噴霧時間(前記親水性ポリマーフィルムと前記膨潤液との接触時間)は、特に制限されないが、例えば、前記膨潤浴に浸漬させる場合と同様である。
【0029】
また、前記膨潤液の接触は、前記親水性ポリマーフィルムへの前記膨潤液の塗布により行ってもよい。前記親水性ポリマーフィルムへの前記液の接触時間、液温等は、特に制限されないが、例えば、前記液を噴霧する場合と同様である。前記親水性ポリマーフィルムに前記液を塗布する手段としては、ロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等、従来公知の手段を取ることができる。なお、前記膨潤液の接触においては、前記膨潤液の噴霧と塗布とを併用してもよい。
【0030】
[2−2]延伸膨潤工程(A2)
前記親水性ポリマーフィルムを、膨潤液に接触させて膨潤させる。このとき、同時に、前記親水性ポリマーフィルムに対し延伸を行う。本工程は、前述のとおり、前記無延伸膨潤工程(A1)の前に行っても後に行っても良いが、前記無延伸膨潤工程(A1)の後に行うことが好ましい。前記膨潤液としては、例えば、水、グリセリン水溶液等が使用できる。
【0031】
前記親水性ポリマーフィルムを前記膨潤液に接触させる方法は、特に制限されないが、例えば、前記膨潤液を含む膨潤浴に浸漬させる方法でも良い。前記膨潤浴(膨潤液)の温度は、特に制限されないが、例えば、20〜45℃の範囲であり、好ましくは25〜40℃の範囲であり、より好ましくは27〜37℃の範囲である。前記膨潤浴への浸漬時間(前記膨潤液との接触時間)は、特に制限されないが、例えば、10〜60秒の範囲であり、好ましくは、20〜60秒の範囲であり、より好ましくは、30〜60秒の範囲である。前記延伸膨潤工程(A2)による処理後における前記親水性ポリマーフィルムの含水率(水分含有率)は、特に制限されないが、例えば、10〜35質量%であり、好ましくは20〜35質量%であり、より好ましくは30〜35質量%である。
【0032】
前記親水性ポリマーフィルムを前記膨潤液に接触させる方法は、例えば、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に前記膨潤液を噴霧または塗布する方法でも良く、塗布と噴霧を併用してもよい。前記膨潤液の液温、前記親水性ポリマーフィルムと前記膨潤液との接触時間等は、特に制限されないが、例えば、前記膨潤浴に浸漬させる場合と同様である。噴霧手段、塗布手段等は、特に制限されないが、例えば、前記無延伸膨潤工程(A1)と同様である。
【0033】
延伸は、親水性ポリマーフィルムの長手方向(MD)の一軸延伸であることが、Roll to Roll法等の連続的処理に適するという観点から好ましいが、これに限定されず、例えば、幅方向の一軸延伸でも良い。前記親水性ポリマーフィルムを一軸延伸する手段としては、ロール延伸機、テンター延伸機、手延伸機等の任意の適切な延伸機を用いることができる。特に、前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の延伸処理は、例えば、従来公知のテンター延伸機等を用いて実施することができる。また、一軸延伸によれば、延伸方向に偏光子の吸収軸を生じさせることができるが、吸収軸を適切に生じさせることができれば二軸延伸でも良い。本工程における延伸倍率、すなわち、未処理の前記親水性ポリマーフィルムと延伸後の前記親水性ポリマーフィルムとの延伸方向寸法比は、特に制限されない。前記延伸倍率は、長手方向(MD)一軸延伸の場合、例えば、1.5〜5倍の範囲であり、好ましくは、1.8〜4倍の範囲であり、より好ましくは、2〜3倍の範囲である。前記延伸倍率は、幅方向一軸延伸の場合、例えば、1.5〜5倍の範囲であり、好ましくは、1.8〜4倍の範囲であり、より好ましくは、2〜3倍の範囲である。なお、本発明で、親水性ポリマーフィルムについて「未処理」とは、延伸処理および膨潤処理を含めて何らの処理を行っていない状態(原反)をいう。
【0034】
本発明の偏光子の製造方法は、前述のとおり、前記無延伸膨潤工程(A1)と前記延伸膨潤工程(A2)とで膨潤液の温度を別個に厳密に制御する必要がないため、簡便に行うことができる。前記膨潤液の温度は、前述のとおり特に制限されないが、例えば、前記無延伸膨潤工程(A1)と前記延伸膨潤工程(A2)との両方において、前記膨潤液の温度を室温に等しい温度で行うこともできる。
【0035】
[3]延伸工程(B)
前記延伸工程(B)は、他の工程とは別個独立に行っても良いが、他の工程のうち少なくとも一つと同時に行うことが、製造効率、偏光子の光学特性等の観点から好ましい。例えば、前記染色工程(C)および前記架橋工程(D)の少なくとも一方において、同時に前記親水性ポリマーフィルムを延伸することにより、前記延伸工程(B)を行っても良い。また、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)において延伸することをもって前記延伸工程(B)とし、それ以外に前記親水性ポリマーフィルムの延伸を行わないこともできる。したがって、前記延伸工程(B)は、必要に応じ、膨潤液、染色液、架橋液等の液中で行っても良いし、気相中で行っても良い。好適な延伸倍率も特に制限されず、前記延伸工程(B)を行う状況に応じて適宜設定可能である。延伸手段は特に制限されないが、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)で説明したものが挙げられる。延伸方向も特に制限されないが、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)での説明と同様、長手方向一軸延伸でも、幅方向一軸延伸でも、二軸延伸でも良い。さらに、前記延伸工程(B)を行う回数は、特に制限されず、1回でも良いし複数回でも良い。
【0036】
[4]染色工程(C)
前記膨潤工程(A)により膨潤処理した前記親水性ポリマーフィルムに、二色性物質を含む染色液を接触させ、前記二色性物質による染色を行う。このとき、同時に前記親水性ポリマーフィルムを延伸しても良いし、延伸しなくても良い。
【0037】
前記二色性物質は、特に制限されないが、例えばヨウ素が好ましい。溶媒としては、例えば水が好ましく、水と相溶性のある有機溶媒を少量添加しても良い。前記染色液中のヨウ素濃度は、特に制限されないが、例えば、溶媒100質量部当たり0.1〜1.0質量部である。また、例えば、染色効率を高めるために、前記染色液中に、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどのヨウ化物等の助剤を添加しても良い。これら助剤は単独で用いても複数種類併用しても良い。前記助剤の添加量は特に制限されないが、溶媒100質量部当たり、例えば0.02〜20質量部、好ましくは2〜10質量部である。また、例えば、ヨウ素とヨウ化カリウムとを組み合わせて使用する場合、前記溶液におけるヨウ素(A)とヨウ化カリウム(B)の割合(A:B(質量比))は、例えば、1:5〜1:100の範囲であり、好ましくは、1:7〜1:50であり、より好ましくは、1:10〜1:30の範囲である。
【0038】
前記親水性ポリマーフィルムを前記染色液に接触させる方法は、特に制限されないが、例えば、前記染色液を含む染色浴に浸漬させる方法でも良い。前記親水性ポリマーフィルムの、前記染色浴への浸漬時間(前記染色液への接触時間)は、特に制限されないが、例えば、18〜120秒の範囲であり、好ましくは、18〜90秒の範囲であり、より好ましくは、25〜60秒の範囲である。また、前記染色浴(染色液)の温度は、特に制限されないが、例えば、5〜42℃の範囲であり、好ましくは、10〜35℃の範囲であり、より好ましくは、12〜30℃の範囲である。この温度は、前記膨潤工程(A)における膨潤液の温度と同じであっても良い。例えば、前記膨潤液と前記染色液の温度をいずれも室温と等しい温度とすれば、本発明の偏光子の製造方法を簡便に効率よく行うことができる。また、前記染色液の温度は、染色効率等の観点から、例えば、前記膨潤工程(A)における膨潤液の温度よりも3〜15℃低く設定しても良く、好ましくは、5〜12℃低く設定し、より好ましくは、8〜10℃低く設定する。
【0039】
前記親水性ポリマーフィルムを前記染色液に接触させる方法は、例えば、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に前記染色液を噴霧または塗布する方法でも良く、塗布と噴霧を併用してもよい。前記染色液の液温、前記親水性ポリマーフィルムと前記染色液との接触時間等は、特に制限されないが、例えば、前記染色浴に浸漬させる場合と同様である。噴霧手段、塗布手段等は、特に制限されないが、例えば、前記無延伸膨潤工程(A1)と同様である。
【0040】
染色工程(C)において、同時に延伸を行う場合、延伸倍率は特に制限されないが、未処理の親水性ポリマーフィルム(原反)との延伸方向寸法比で、例えば2〜6倍であり、好ましくは2.5〜5.5倍であり、より好ましくは3〜5倍である。延伸手段は特に制限されないが、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)で説明したものが挙げられる。延伸方向も特に制限されないが、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)での説明と同様、長手方向一軸延伸でも、幅方向一軸延伸でも、二軸延伸でも良い。
【0041】
なお、従来技術では、染色液を用いて親水性ポリマーフィルムを膨潤させることにより、膨潤工程と染色工程を同時に行うことがある。しかし、本発明では、染色工程(C)は、前記無延伸膨潤工程(A1)および延伸膨潤工程(A2)とは別個であるものとする。
【0042】
また、染色工程(C)を行う回数も特に制限されず、1回でも複数回でも良い。例えば、染色のみを行い延伸を行わない工程と、染色および延伸を同時に行う工程とを併用しても良い。
【0043】
[5]架橋工程(D)
前記染色工程(C)により染色処理した前記親水性ポリマーフィルムに、架橋剤を含む架橋液を接触させ、架橋処理を行う。この処理により、染色に用いた前記二色性物質が、さらに偏光子中に固定化されやすくなる。このとき、同時に前記親水性ポリマーフィルムを延伸しても良いし、延伸しなくても良い。
【0044】
前記架橋剤としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ホウ酸、ホウ砂、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のホウ素化合物等があげられる。これらは一種類で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。前記架橋浴の溶液としては、前記架橋剤を溶媒に溶解した溶液が使用できる。前記溶媒としては、例えば、水が使用できるが、さらに水と相溶性のある有機溶媒を含んでもよい。
【0045】
前記溶液における架橋剤の濃度は、特に制限されないが、例えば、前記溶媒(例えば、水)100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、1.5〜8重量部の範囲であり、さらに好ましくは、2〜6重量部の範囲である。
【0046】
前記架橋剤含有溶液は、偏光子の面内の均一な特性が得られる点から、前記ホウ酸化合物の他に、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を含んでいてもよい。これらの中でもホウ酸とヨウ化カリウムとの組み合わせが好ましい。前記溶液における前記助剤の含有量は、例えば、0.05〜15重量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜8重量%の範囲である。
【0047】
前記親水性ポリマーフィルムを前記架橋液に接触させる方法は、特に制限されないが、例えば、前記架橋液を含む架橋浴に浸漬させる方法でも良い。前記親水性ポリマーフィルムの、前記架橋浴への浸漬時間(前記架橋液への接触時間)は、特に制限されないが、例えば、1〜900秒間であり、好ましくは、5〜600秒間であり、より好ましくは、12〜120秒間であり、特に好ましくは、18〜60秒間である。また、前記架橋浴(架橋液)の温度は、特に制限されないが、例えば、20〜70℃の範囲であり、好ましくは40〜60℃の範囲である。
【0048】
前記親水性ポリマーフィルムを前記架橋液に接触させる方法は、例えば、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に前記架橋液を噴霧または塗布する方法でも良く、塗布と噴霧を併用してもよい。前記架橋液の液温、前記親水性ポリマーフィルムと前記架橋液との接触時間等は、特に制限されないが、例えば、前記架橋浴に浸漬させる場合と同様である。噴霧手段、塗布手段等は、特に制限されないが、例えば、前記無延伸膨潤工程(A1)と同様である。
【0049】
架橋工程(D)において、同時に延伸を行う場合、延伸倍率は特に制限されないが、未処理の親水性ポリマーフィルム(原反)との延伸方向寸法比で、例えば3〜8倍であり、好ましくは3.5〜7倍であり、より好ましくは4〜6倍である。延伸手段は特に制限されないが、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)で説明したものが挙げられる。延伸方向も特に制限されないが、例えば、前記延伸膨潤工程(A2)での説明と同様、長手方向一軸延伸でも、幅方向一軸延伸でも、二軸延伸でも良い。
【0050】
また、架橋工程(D)を行う回数も特に制限されず、1回でも複数回でも良い。例えば、架橋のみを行い延伸を行わない工程と、架橋および延伸を同時に行う工程とを併用しても良い。
【0051】
[6]洗浄工程(E)
前記親水性ポリマーフィルムを前記染色工程(C)により処理した後、好ましくはさらに前記架橋工程(D)により処理した後、洗浄液に接触させて洗浄する。この処理により、例えば、余分な二色性物質、架橋剤等の不要物質を除去することができる。前記洗浄液は特に制限されないが、例えば、水でも良いし、水溶液でも良い。また、水と相溶性のある溶媒を少量添加しても良い。水溶液の場合、溶質は特に制限されないが、例えば、ヨウ化カリウム等のヨウ化物が挙げられる。前記溶質の添加量は特に制限されないが、溶媒100質量部に対し、例えば0.1〜10質量部である。また、硫酸亜鉛や塩化亜鉛物等の助剤をさらに添加しても良い。
【0052】
前記親水性ポリマーフィルムを前記洗浄液に接触させる方法は、特に制限されないが、例えば、前記洗浄液を含む洗浄浴に浸漬させる方法でも良い。前記親水性ポリマーフィルムの、前記洗浄浴への浸漬時間(前記洗浄液への接触時間)は、特に制限されないが、例えば、1〜60秒の範囲である。また、前記洗浄浴(洗浄液)の温度は、特に制限されないが、例えば10〜60℃、好ましくは30〜40℃である。
【0053】
前記親水性ポリマーフィルムを前記洗浄液に接触させる方法は、例えば、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に前記洗浄液を噴霧または塗布する方法でも良く、塗布と噴霧を併用してもよい。前記洗浄液の液温、前記親水性ポリマーフィルムと前記洗浄液との接触時間等は、特に制限されないが、例えば、前記洗浄浴に浸漬させる場合と同様である。噴霧手段、塗布手段等は、特に制限されないが、例えば、前記無延伸膨潤工程(A1)と同様である。
【0054】
前記洗浄工程(E)の後、必要に応じ、乾燥工程を行っても良い。乾燥方法は特に制限されず、例えば、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等が挙げられる。乾燥手段も特に制限されないが、例えば、乾燥炉(オーブン)、送風機等の乾燥手段が挙げられる。乾燥温度も特に制限されないが、例えば、10〜150℃、好ましくは、20〜80℃、より好ましくは、25〜80℃、さらに好ましくは、30〜75℃、特に好ましくは、35〜70℃である。
【0055】
以上、膨潤工程(A)、延伸工程(B)、染色工程(C)、架橋工程(D)、洗浄工程(E)および乾燥工程について、説明した。これらの工程は、別々に実施してもよいが、一工程にまとめることが可能な工程は、まとめて実施してもよい。例えば、前述のとおり、延伸工程(B)は、他の工程と同時に行うことが好ましい。また、例えば、前記工程(A)〜(E)の各工程終了ごとに、前記乾燥工程を実施してもよい。
【0056】
このような一連の工程を経て、光学特性に優れた偏光子を製造することができる。偏光子は、通常、所定の大きさにカットして使用される。
【0057】
なお、製造された偏光子の延伸倍率は特に制限されないが、高偏光度の偏光子を得る観点からは低すぎないことが好ましく、偏光子の破断等の不良を防止する観点からは、高すぎないことが好ましい。前記延伸倍率は、長手方向一軸延伸の場合、未処理の親水性ポリマーフィルム(原反)との長さの比(延伸方向寸法比)で、例えば3〜7倍、好ましくは5〜6.5倍である。前記延伸倍率は、幅方向一軸延伸の場合、未処理の親水性ポリマーフィルムとの幅の比(延伸方向寸法比)で、例えば、2〜12倍の範囲であり、好ましくは、3〜10倍の範囲であり、より好ましくは、4〜8倍の範囲である。
【0058】
[7]Roll to Roll法および親水性ポリマーフィルムの浴液への浸漬による、偏光子の製造方法
図1に、本発明の偏光子の製造方法を実施するための装置の一例を示す。図示のとおり、この装置は、フィルム送出部12、無延伸膨潤槽101、延伸膨潤槽102、染色槽103、架橋槽104、洗浄槽105および偏光子巻取り部13が、この順序で直列に配置されて構成されている。無延伸膨潤槽101の上方には、駆動ロール121および121’が配置されている。延伸膨潤槽102の上方には、駆動ロール122および122’が配置されている。染色槽103の上方には、駆動ロール123および123’が配置されている。架橋槽104の上方には、駆動ロール124および124’が配置されている。洗浄槽105の上方には、駆動ロール125および125’が配置されている。前記各槽の内部は、浴液111〜115で満たされている。具体的には、無延伸膨潤槽101内部は、膨潤液111で満たされ、その中にガイドロール131および131’が配置されている。延伸膨潤槽102内部は、膨潤液112で満たされ、その中にガイドロール132および132’が配置されている。染色槽103内部は、染色液113で満たされ、その中にガイドロール133および133’が配置されている。架橋槽104内部は、架橋液114で満たされ、その中にガイドロール134および134’が配置されている。洗浄槽105内部は、洗浄液115で満たされ、その中にガイドロール135および135’が配置されている。浴液111〜115は、特に制限されないが、例えば前述のとおりである。前記フィルム送出部12には、帯状(長尺状)の親水性ポリマーフィルム11がロール状に巻かれている。前記偏光子巻取り部13は、製造された偏光子11’を巻き取ることができる。前記駆動ロール121〜125’は、それぞれ2つが一対となって構成されている。前記2つのロール(ローラー)の間に親水性ポリマーフィルム11(偏光子11’)を挟み、前記ロール(ローラー)の駆動力により、親水性ポリマーフィルム11をフィルム送出部12から連続的に送出して搬送することができる。図1において、親水性ポリマーフィルム11は、フィルム送出部12から送出されると、駆動ロール121、ガイドロール131、ガイドロール131’、駆動ロール121’、駆動ロール122、ガイドロール132、ガイドロール132’、駆動ロール122’、駆動ロール123、ガイドロール133、ガイドロール133’、駆動ロール123’、駆動ロール124、ガイドロール134、ガイドロール134’、駆動ロール124’、駆動ロール125、ガイドロール135、ガイドロール135’、および駆動ロール125’をこの順序で通過し、偏光子11’となって偏光子巻取り部13に巻き取られるように配置されている。前記駆動ロール121〜125’は、それぞれ個別に回転速度を調節することができる。前記回転速度の調節により、親水性ポリマーフィルム11の適切な箇所に適切な張力をかけ、あるいは張力をかけないことができる。
【0059】
図1の装置を用いた本発明の偏光子の製造方法は、例えば、以下のようにして行う。すなわち、まず、駆動ロール121〜125’を駆動させ、親水性ポリマーフィルム11をフィルム送出部12から連続的に送出して搬送する。つぎに、親水性ポリマーフィルム11がガイドロール131および131’を通過するときに、無延伸膨潤槽101内部で膨潤液111に浸漬させることにより無延伸膨潤工程(A1)を行う。このときは、前記駆動ロールの回転速度の調整により、親水性ポリマーフィルム11に張力をかけず、延伸を行わない。つぎに、親水性ポリマーフィルム11がガイドロール132および132’を通過するときに、延伸膨潤槽102内部で膨潤液112に浸漬させることにより延伸膨潤工程(A2)を行う。このときは、前記駆動ロールの回転速度の調整により、親水性ポリマーフィルム11に張力をかけて、搬送方向すなわち長手方向(MD)に一軸延伸を行う。この延伸をもって延伸工程(B)としても良いし、また、以下の工程を行うと同時に適宜延伸を行い、延伸工程(B)としても良い。つぎに、親水性ポリマーフィルム11がガイドロール133および133’を通過するときに、染色槽103内部で染色液113に浸漬させることにより染色工程(C)を行う。このときは、前記駆動ロールの回転速度の調整により、親水性ポリマーフィルム11に張力をかけて、搬送方向すなわち長手方向(MD)に一軸延伸を行っても良いし、延伸を行わなくても良い。さらに、親水性ポリマーフィルム11がガイドロール134および134’を通過するときに、架橋槽104内部で架橋液114に浸漬させることにより架橋工程(D)を行う。このときは、前記駆動ロールの回転速度の調整により、親水性ポリマーフィルム11に張力をかけて、搬送方向すなわち長手方向(MD)に一軸延伸を行っても良いし、延伸を行わなくても良い。さらに、親水性ポリマーフィルム11がガイドロール135および135’を通過するときに、洗浄槽105内部で洗浄液115に浸漬させることにより洗浄工程(E)を行う。そして、製造した偏光子11’を、偏光子巻取り部13により巻き取る。また、例えば、図1の装置において、駆動ロール125’と偏光子巻取り部13との間に、乾燥炉(オーブン)、送風機等の乾燥手段(図示せず)が備えられ、これにより、前記巻き取り工程に先立ち乾燥工程を行っても良い。
【0060】
このようにして、図1の装置を用いた偏光子の製造方法を実施することができる。各工程における条件、例えば浴液111〜115の温度、浸漬時間、延伸倍率等は、特に制限されないが、例えば、前述のとおりである。また、本発明の偏光子の製造方法は、これに限定されず、例えば前述のとおり、バッチ処理や各液を親水性ポリマーフィルムに噴霧する方式等を用いても良い。
【0061】
[8]偏光子
本発明の偏光子は、本発明の偏光子の製造方法により製造されることで、優れた光学特性および光学特性の均一性を得ることができるが、これ以外の任意の製造方法により製造しても良い。その厚みは、特に制限されないが、例えば5〜80μmである。
【0062】
[9]偏光板
本発明の偏光子は、その少なくとも一方の表面に保護層を配置して本発明の偏光板とすることができる。前記保護層は、例えば、透明であることが好ましい。このような透明保護層は、例えばポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層として形成することが可能である。透明保護層を形成する透明なポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いることができるが、光学的透明度、機械的強度、熱的安定性、水分遮断性等に優れるものが好ましい。
【0063】
前記透明保護層を形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースやトリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいはこれらポリマーの混合物なども、前記透明保護層を形成する材料として例示することができる。さらに、前記透明保護層は、例えば、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型又は紫外線硬化型樹脂の硬化層として形成することも可能である。
【0064】
なお、偏光子の両面に透明保護層を形成する場合、各透明保護層を同一の材料から形成しても良いし、異なる材料から形成することも可能である。また、透明保護層の厚みは、特に制限されないが、例えば500μm以下、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μmである。さらに、透明保護層の偏光子と接触しない側の面に、例えばアルカリでのケン化処理、プラズマ処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、高周波処理、電子線処理等を施すことにより、表面の傷付き防止等を目的としたハードコート層、偏光子表面での外光の反射防止を目的とした反射防止層、隣接層との密着防止を目的としたスティッキング防止層、偏光子の透過光を拡散して視野角を拡大するための拡散層、偏光子表面での外光の反射防止等を目的として微細な凹凸構造が付与されたアンチグレア層などを設けることも可能である。
【0065】
前記透明保護層としては、偏光特性や耐久性などの観点から、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましく用いられ、特にトリアセチルセルロースフィルムを偏光子に貼り合わせるのが好ましい。偏光子と透明保護層(透明保護フィルム)との貼り合わせには、例えば、接着剤としてポリビニルアルコール(PVA)系樹脂と架橋剤を用いることができる。前記PVA系樹脂としては、例えば、無置換のPVA樹脂や、反応性の高い官能基を有するPVA樹脂が好ましい。特に、反応性の高い官能基を有するPVA樹脂(例えば、アセトアセチル基変性したポリビニルアルコール樹脂)は、偏光板の耐久性が向上するという観点から好ましい。
【0066】
前記架橋剤としては、例えば、(1)エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類(特に、ヘキサメチレンジアミンが好ましい)、(2)トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類、(3)エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類、(4)ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類、(5)グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類(特に、グリオキサールが好ましい)、(6)アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロールメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂(特に、アルキル化メチロールメラミンが好ましい)、(7)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属または三価金属の塩およびその酸化物を挙げることができる。
【0067】
[10]位相差層を含む偏光板(楕円偏光板)
本発明の偏光板は、例えば、さらに、位相差層を含むことが好ましい。例えば、前記保護層が位相差を有し、前記位相差層を兼ねていても良い。また、前記保護層と前記位相差層が別の層であっても良い。なお、位相差層を含む偏光板は、例えば楕円偏光板などと呼ばれる。また、本発明の偏光板は、例えば、液晶セルの片側または両側に配置して本発明の液晶パネルを構成することができる。
【0068】
[11]画像表示装置、液晶パネル、液晶表示装置
本発明の偏光子または偏光板は、液晶表示装置(LCD)を初めとして、ELD、PDPなど各種画像表示装置の構成部品として好ましく用いることができる。例えば、前記の通り、本発明の液晶パネルは、本発明の偏光板を液晶セルの片側または両側に配置した構造であり、本発明のLCDは、本発明の偏光子、本発明の偏光板、または本発明の液晶パネルを含む構造である。また、本発明のLCDは、透過型や反射型あるいは透過・反射両用型等の従来に準じた適宜な構造とすることができる。LCDを形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであっても良い。また、液晶セルの両側に本発明の偏光板を配置する場合、それらは同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。さらに、LCDの形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、拡散板やバックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
【実施例】
【0069】
本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。
【0070】
(実施例)
幅180mm×長さ50mm、厚み75μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルム(株式会社クラレ製、商品名VF−PS)を準備した。このPVAフィルムに対し、無延伸膨潤工程(A1)を1回、延伸膨潤工程(A2)を1回、染色工程(C)を1回、架橋工程(D)を2回、洗浄工程(E)を1回、この順序で行った。無延伸膨潤工程(A1)および延伸膨潤工程(A2)における浸漬時間は各30秒間とし、延伸膨潤工程(A2)における延伸倍率は2.2倍とした。2回目の架橋工程(D)のとき、同時に前記PVAフィルムを延伸することにより延伸工程(B)を行った。前記洗浄工程(E)の後、前記PVAフィルムを60℃のオーブン中で4分間乾燥させた。このようにして、本実施例の偏光子を得た。前記工程(A1)〜(E)は、全て浴中で行った。延伸は、手延伸機を用いて浴中で行い、延伸方向は、前記PVAフィルム長さ方向への一軸延伸とした。下記表1に、前記各工程の具体的な条件を示す。なお、下記表1において、延伸倍率は、未処理のPVAフィルムの長さ(50mm)と、各工程後の長さとの比、すなわち延伸方向寸法比である。また、1回目の架橋工程(D)において、延伸倍率が3.3倍から3.6倍に増大しているが、これは、浴液への浸漬によりPVAフィルムが膨潤して長さ方向寸法が増大したためである。
【表1】

【0071】
(比較例1)
無延伸膨潤工程(A1)を行わない以外は実施例と同様にして偏光子を製造した。
【0072】
(比較例2)
無延伸膨潤工程(A1)を行わず、かつ延伸膨潤工程(A2)において延伸速度を1/2とすることにより延伸膨潤工程(A2)における浸漬時間を60秒間としたことを除いては、実施例と同様にして偏光子を製造した。比較例2の膨潤工程における全浸漬時間は、実施例と同じ60秒間であった。
【0073】
(光学特性および光学特性の均一性評価)
実施例および比較例の偏光子について、以下のようにして、光学特性および光学特性の均一性(バラツキ)を評価した。
【0074】
まず、図2に示すとおり、実施例および比較例の偏光子から、それぞれ5箇所、サンプルを切り出した。同図において、20は実施例または比較例の偏光子を示し、1〜5は、偏光子20からのサンプル切り出し箇所を示し、aおよびbは、延伸方向を示す。図示のとおり、サンプル1〜5は、偏光子20の延伸方向に沿って直列に、番号順に5箇所切り出し、サンプル3を偏光子20のほぼ中央から切り出すようにした。各サンプルは、30mm×30mmの正方形とし、隣接したサンプルとの距離(切り出し間隔)は30mmとした。そして、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、商品名V7100)を用いて、測定波長550nmにおける、これらのサンプルの単体透過率および偏光度を測定した。なお、偏光度は、単体透過率、平行透過率および直行透過率から算出した値である。さらに、実施例および各比較例についてこの評価を各々5回試行し、得られた単体透過率および偏光度のデータを基に評価を行った。
【0075】
試行回毎に切り出した5サンプルの単体透過率の標準偏差を算出し、単体透過率バラツキの評価指標とした。表2に、実施例および比較例の偏光子における単体透過率バラツキの評価結果を示す。
【0076】
【表2】

【0077】
表2に示すとおり、実施例の偏光子は、サンプル1〜5における単体透過率のバラツキ(単体透過率の標準偏差)が、最大でも0.226であった。これに対し、比較例1では、サンプル1〜5における単体透過率のバラツキが最大で0.420であり、比較例2では最大で0.353であった。このことから、実施例では、比較例に対し光学特性が均一な偏光子が製造できたことが分かる。また、図2のサンプル切り出し位置3におけるサンプルの評価について、単体透過率の結果を表3に、偏光度の結果を表4に示し、図3に偏光度と単体透過率の関係(T−P曲線)を示す。同図において、横軸は単体透過率(%)であり、縦軸は偏光度(%)である。表3の平均値に示すように、実施例は、各比較例に比べて単体透過率の平均値が高い。また、表4の偏光度の評価結果が示すように、実施例は、各比較例に比べて偏光度の平均値が高く、標準偏差が非常に小さい。このことは、図3において、実施例の偏光子のプロットが、各比較例の偏光子よりも右上にシフトしていることに表れている。すなわち、本発明の製造方法によれば、偏光子の光学特性が向上し、さらに、均一な光学特性を有する偏光子を安定的に製造できることが確認された。
【0078】
【表3】

【表4】

【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明の製造方法によれば、製造される偏光子の光学特性および光学特性の均一性をさらに向上させることが可能である。本発明の偏光子およびそれを用いた本発明の偏光板は、光学特性および光学特性の均一性に優れるために、液晶パネル、液晶表示装置、およびその他の各種画像表示に好適に用いることができる。その用途は限定されず、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等、広い分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の偏光子の製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。
【図2】図2は、実施例および比較例の偏光子の測定サンプル切り出しを示す概略図である。
【図3】図3は、実施例および比較例の偏光子における単体透過率と偏光度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
11 親水性ポリマーフィルム
11’ 偏光子
12 フィルム送出部
13 偏光子巻取り部
101 無延伸膨潤槽
102 延伸膨潤槽
103 染色槽
104 架橋槽
105 洗浄槽
121〜125’ 駆動ロール
131〜135’ ガイドロール
20 偏光子
1〜5 偏光子測定サンプル切り出し箇所
a、b 延伸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)親水性ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程、
(B)前記親水性ポリマーフィルムを延伸する延伸工程、および
(C)前記親水性ポリマーフィルムを二色性物質により染色する染色工程、
を含み、前記膨潤工程(A)を前記染色工程(C)に先立ち行う、偏光子の製造方法であって、
前記膨潤工程(A)は、
(A1)前記親水性ポリマーフィルムを延伸せずに膨潤させる無延伸膨潤工程、および
(A2)前記親水性ポリマーフィルムを延伸しながら膨潤させる延伸膨潤工程、
を含むことを特徴とする偏光子の製造方法。
【請求項2】
前記無延伸膨潤工程(A1)を、前記延伸膨潤工程(A2)に先立ち行う請求項1記載の偏光子の製造方法。
【請求項3】
前記無延伸膨潤工程(A1)における膨潤処理時間が10〜60秒の範囲である請求項1または2記載の偏光子の製造方法。
【請求項4】
(D)前記染色工程(C)により染色した前記親水性ポリマーフィルムを架橋処理する架橋工程、
をさらに含む請求項1から3のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
【請求項5】
前記延伸工程(B)を、他の工程のうち少なくとも一つと同時に行う請求項1から4のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
【請求項6】
前記工程(A1)、(A2)および(B)〜(D)のうち少なくとも1つを、気相中で前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面を液に接触させることにより行う請求項1から5のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
【請求項7】
前記液を前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に噴霧することにより、前記液と前記面とを接触させる請求項6記載の偏光子の製造方法。
【請求項8】
前記工程(A1)、(A2)および(B)〜(D)のうち少なくとも1つを、前記親水性ポリマーフィルムを浴液に浸漬させることにより行う請求項1から7のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
【請求項9】
前記親水性ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール系フィルムであり、前記二色性物質がヨウ素である請求項1から8のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法により製造される偏光子。
【請求項11】
偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が配置された偏光板であって、前記偏光子が請求項10記載の偏光子である偏光板。
【請求項12】
さらに、位相差層を含む請求項11記載の偏光板。
【請求項13】
請求項10記載の偏光子または請求項11もしくは12記載の偏光板を含む画像表示装置。
【請求項14】
液晶セルと偏光板とを含み、前記液晶セルの片側または両側に前記偏光板を配置した液晶パネルであって、前記偏光板が請求項11または12記載の偏光板である液晶パネル。
【請求項15】
請求項10記載の偏光子、請求項11もしくは12記載の偏光板、または請求項14記載の液晶パネルを含む液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−14873(P2009−14873A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174590(P2007−174590)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】