説明

偏光板

本発明は、偏光板及び液晶表示装置に関する。本発明は、より軽くて、薄い厚さを有しながらも、耐久性、耐水性、作業性、粘着性及び光漏れ抑制能などの物性に優れた偏光板とそれを含む液晶表示装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD;liquid crystal display)は、電力消耗が少なく、平面的に薄く作ることができる長所を有し、多様な分野で活用されている表示装置である。
【0003】
液晶表示装置は、透明基板の間に存在する液晶を含む液晶パネルと;前記液晶パネルの両側に付着する偏光板と;を含む。
【0004】
偏光板は、一般的に図1に示されたような構造を有している。すなわち、偏光板1は、偏光子11と;前記偏光子11の両面に付着している保護フィルム12a、12bと;を含むことができる。また、偏光板1は、保護フィルム12bの下部に形成され、液晶パネルとの付着に使用される粘着剤層13を含み、前記粘着剤層13の下部に形成された離型フィルム14をさらに含むこともできる。また、図示してはいないが、偏光板には、反射防止フィルムなどのような追加的な機能性フィルムが含まれてもよい。
【0005】
このような従来の偏光板構造において、さらに薄い厚さを有し、軽量化された装置を提供するために、例えば、特許文献1のように、既存に偏光子11の両面に形成された保護フィルム12a、12bのうち1つを省略し、偏光板を構成しようとする試みがあった。
【0006】
しかし、保護フィルムを使用せず、目的する性能を満足する偏光板を提供することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−014226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、偏光子と;前記偏光子の少なくとも一面に付着していて、また、第1表面と第2表面を有し、前記第1表面及び第2表面は、互いに異なる引張弾性率を示す粘着剤層と;を含む偏光板に関する。
【0010】
以下、本発明の偏光板をさらに詳しく説明する。
1つの例示において、前記粘着剤層の第1表面が偏光子に付着していて、第2表面は、偏光板を液晶パネルに付着させるための粘着表面であることができる。また、上記で第1表面が第2表面に比べて高い引張弾性率を示すことができる。
【0011】
偏光子は、様々な方向に振動しながら入射される光から一方の方向に振動する光だけを抽出することができる機能性フィルムまたはシートである。従来の偏光板構造では、このような偏光子は、通常、両面にTAC(triacetyl cellulose)フィルムのような保護フィルムが付着した状態で使用されてきた。本発明の偏光板では、上記のような保護フィルムのうち少なくとも1つ以上の保護フィルムが省略されている。すなわち、本発明において、前記偏光子は、少なくとも一面に保護フィルムが付着していない偏光子であり、前記粘着剤層は、前記偏光子の保護フィルムが付着していない面に付着しているものであることができる。また、上記のような粘着剤層は、本発明の偏光板は、液晶表示パネルに付着するための粘着剤層であることができる。
【0012】
図2は、1つの例示的な本発明の偏光板2を示す断面図である。図2のように、偏光板2は、偏光子21と;前記偏光子21の一面に形成された粘着剤層22と;を含むことができる。図2の例示で、偏光子21の粘着剤層22が形成されていない面には、保護フィルム23が付着している。しかし、図2の偏光板2は、本発明の1つの例示であり、本発明では、例えば、偏光子の両面で保護フィルムの付着が省略されてもよい。
【0013】
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子のようにこの分野で公知されている一般的な偏光子を使用することができる。このような偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている形態であることができる。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアセテート系樹脂をゲル化して得ることができる。ポリビニルアセテート系樹脂としては、ビニルアセテートの単独重合体;及びビニルアセテート及び上記と共重合可能な他の単量体の共重合体などを使用することができる。ビニルアセテートと共重合可能な単量体の例としては、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類及びアンモニウム基を有するアクリルアミド類などの一種または二種以上の混合を挙げることができるが、これに限定されるものではない。ポリビニルアルコール系樹脂のゲル化度は、通常85モル%〜100モル%程度、好ましくは、98モル%以上であることができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、追加に変性されていることもでき、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールまたはポリビニルアセタルなども使用されることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは、1,500〜5,000程度であることができる。
【0014】
偏光子は、ポリビニルアルコールなどの親水性樹脂で製造されるので、一般的に水分に脆弱な特性を示す。また、偏光子は、延伸工程を経て製造されるので、加湿条件の下では、収縮などが起きやすく、これにより、偏光板の光学特性などが悪くなる問題点がある。これにより、従来の偏光板構造では、偏光子の強度補強などのために、図1に示されたように、TACフィルムなどとして代表される保護フィルムを前記偏光子の両面に形成することが一般的である。もし、保護フィルムを使用しない場合には、偏光子の脆弱な寸法安定性に起因して偏光板の耐久性や光学的物性が劣化する。
【0015】
本発明では、偏光子で保護フィルムを省略し、前記偏光子に粘着剤層を形成するものの、前記粘着剤層の両面での弾性率特性を異にして、前述の問題点を解決することができる。また、保護フィルムの除去によってさらに薄くて且つ軽い偏光板を提供することができ、このような偏光板は、本明細書で薄形偏光板(thin polarizer)として呼称されることもできる。
【0016】
すなわち、前記偏光子は、少なくとも一面に保護フィルムが付着していない偏光子であり、前記粘着剤層の第1表面、すなわちさらに高い引張弾性率を有する表面は、前記偏光子の保護フィルムが付着していない面に付着していてもよい。
【0017】
図3は、第1表面31と第2表面32を有する粘着剤層3を例示的に示す。
上記のように、粘着剤層において偏光子に付着する第1表面の引張弾性率を高く設定し、高温または高湿条件のような苛酷条件で偏光子の収縮または膨脹現象を抑制することができる。また、偏光板を液晶パネルのガラス基板などに付着する第2表面は、低い引張弾性率を有するようにして、被着体に対して優れた濡れ性を有するようにすることができる。
【0018】
1つの例示で、前記第1表面は、25℃での引張弾性率が1MPa〜1,000MPa、好ましくは、10MPa〜900MPa、より好ましくは、250MPa〜900MPaであることができる。また、1つの例示で前記第2表面は、25℃での引張弾性率が0.01MPa〜1.0MPa、好ましくは、0.02MPa〜0.8MPa、より好ましくは、0.03MPa〜0.7MPaであることができる。第1及び第2表面の引張弾性率を前述の範囲にそれぞれ制御し、粘着剤層が苛酷条件で偏光子の収縮または膨脹を効果的に抑制し、同時にガラス基板などの被着体に対して優れた濡れ性を示すようにすることができる。
【0019】
上記のように、両面で引張弾性率が異なるように現われる粘着剤層を構成する方式は、特に限定されない。1つの例示で前記粘着剤層は、互いに引張弾性率が異なる2種類以上の粘着剤層が積層されて構成される多層構造の粘着剤層であることができる。
【0020】
例えば、図4に示されたように、前記粘着剤層4は、第1表面31を形成する第1粘着剤層41と;第2表面32を形成する第2粘着剤層42と;を含むことができ、それぞれの粘着剤層41、42の引張弾性率を異なるように制御することによって、両表面での引張弾性率が異なる粘着剤層を具現することができる。粘着剤層は、図4のような2層構造はもちろん、場合によっては、3層以上の多層構造で形成されることができるが、偏光板の薄形化効率を考慮して2層構造で形成されることが好ましい。
【0021】
粘着剤層は、例えば、全体厚さが約10μm〜80μm、好ましく20μm〜60μm、より好ましくは、30μm〜60μmの範囲内であることができる。粘着剤層の全体厚さを上記のように調節することによって、薄い厚さを有しながらも苛酷条件での耐久性などの物性に優れた偏光板の提供が可能である。また、粘着剤層が、図4のような2層構造の場合、第1粘着剤層は、4μm〜50μmの厚さを有し、第2粘着剤層は、5μm〜50μmの厚さを有することができる。第1粘着剤層の厚さを4μm以上であり、また、50μm以下に調節し、偏光子の収縮または膨脹などを効果的に防止することができる。また、第2粘着剤層の厚さを5μm以上であり、また、50μm以下に調節し、粘着剤層の濡れ性や、偏光板の耐久性を効果的に維持することができる。
【0022】
本発明で粘着剤層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、通常的な常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または光硬化型粘着剤組成物を硬化させて形成することができる。また、多層構造の粘着剤層を具現しようとする場合には、粘着剤組成物のコーティング及び硬化工程を順次に繰り返すか、あるいは、別に製造された粘着剤層をラミネートする方式を使用することができる。上記で粘着剤組成物の硬化は、光を照射するか、所定温度で粘着剤組成物を維持するか、または適切な湿気を加えることによって、物理的作用または化学反応によって粘着剤組成物に粘着特性を発現させた状態を意味する。
【0023】
1つの例示で粘着剤層が多層構造で形成される場合、偏光子側に配置される粘着剤層、例えば、前記2層構造での第1粘着剤層は、光硬化型粘着剤組成物で構成される粘着剤層であることが好ましいが、これに限定されるものではない。用語「光硬化型粘着剤組成物」は、例えば、紫外線や電子線などのような電磁気波の照射によって架橋または重合反応が誘導されて硬化されることができる粘着剤組成物を意味することができる。
【0024】
1つの例示で、前記粘着剤層は、いわゆる相互浸透高分子ネットワーク(Interpenetrating Polymer Network;以下、「IPN」と称することがある。)を含むことができる。用語「IPN」は、粘着剤層内に少なくとも2種類の以上の架橋構造が存在する状態を意味することができ、1つの例示で前記架橋構造は、互いに絡んでいる状態(entanglement)、または互いに連結(linking)または浸透(penetrating)している状態で存在することができる。粘着剤層がIPNを含む場合、苛酷条件で耐久性に優れていて、また、作業性、光学特性及び光漏れ抑制能に優れた偏光板が具現されることができる。
【0025】
粘着剤層がIPN構造を含む場合、前記粘着剤層は、例えば、多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体の架橋構造及び重合された多官能性アクリレートの架橋構造を含むことができる。
【0026】
上記で多官能性架橋剤によって架橋されるアクリル重合体としては、例えば、重量平均分子量(M:Weight Average Molecular Weight)が50万以上のアクリル重合体を使用することができる。上記で重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定された標準ポリスチレンに対する換算数値である。また、本明細書では、特に他の規定がない限り、用語「分子量」は、「重量平均分子量」を意味する。重合体の分子量を50万以上にして、苛酷条件下で優れた耐久性を有する粘着剤層を形成することができる。前記分子量の上限は、特に限定されず、例えば、粘着剤の耐久性や、組成物のコーティング性を考慮して、250万以下の範囲に調節することができる。
【0027】
1つの例示で前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体を重合単位で含む重合体であることができ、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体50重量部〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1重量部〜50重量部を重合された形態で含む重合体であることができる。上記で「架橋性単量体」は、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合されることができる単量体であって、共重合後に重合体の側鎖または末端に架橋性官能基を提供することができる単量体を意味する。また、本明細書では、特に他の規定がない限り、単位「重量部」は、重量比率を意味する。重合体に含まれる単量体の重量比率を上記のように調節し、初期接着力や耐久性に優れた粘着剤を提供することができる。
【0028】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用することができ、粘着剤の凝集力、ガラス転移温度または粘着性を考慮して、炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。このような単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートを挙げることができ、上記のうち一種または二種以上の混合を使用することができる。
【0029】
架橋性単量体は、粘着剤の耐久性、粘着力及び凝集力を調節する役目をすることができ、例えば、重合体にヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基またはアミノ基のような窒素含有官能基などを提供することができ、また、前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合が可能な単量体が使用されることができる。この分野には、上記のような役目をする多様な単量体が公知されていて、本発明では、このような単量体がすべて使用されることができる。架橋性単量体の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのようなヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などのカルボキシル基含有単量体または(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどの窒素含有単量体などを挙げることができ、上記のうち一種または二種以上の混合を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
アクリル重合体には、必要に応じて下記化学式1で表示される単量体が重合された形態でさらに含まれることができる。このような単量体は、ガラス転移温度の調節及びその他機能性付与を目的にして付加することができる。
【0031】
【化1】

【0032】
上記式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素またはアルキルを示し、Rは、シアノ;アルキルで置換または非置換されたフェニル;アセチルオキシ;またはCORを示し、この際、Rは、アルキルまたはアルコキシアルキルで置換または非置換されたアミノまたはグリシジルオキシを示す。
【0033】
上記式のR〜Rの定義でアルキルまたはアルコキシは、炭素数1〜8のアルキルまたはアルコキシを意味し、好ましくは、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシである。
【0034】
上記化学式1の単量体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体または架橋性単量体の重量に対して20重量部以下で含まれることができるが、これは、目的によって変更されることができる。
【0035】
上記のようなアクリル重合体は、前述の各成分を含む単量体の混合物を溶液重合、光重合、塊状(bulk)重合、懸濁(suspension)重合または乳化(emulsion)重合のような通常の重合方式に適用して製造することができる。
【0036】
粘着剤層内で上記のようなアクリル重合体を架橋させている多官能性架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤及び金属キレート架橋剤のような一般的な架橋剤を使用することができ、イソシアネート架橋剤の使用が好ましいことができるが、これに限定されるものではない。イソシアネート架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物や、あるいは、前記多官能性イソシアネート化合物をトリメチロールプロパンなどのようなポリオール化合物と反応させた化合物などを挙げることができ、エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N’、N’及びグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選択された1つ以上を挙げることができ、アジリジン架橋剤としては、N、N’−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N’−ジフェニルメタン−4、4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された1つ以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0037】
上記のような多官能性架橋剤は、例えば、前述のアクリル重合体100重量部に対して0.01重量部〜10重量部、より好ましくは、0.01重量部〜5重量部で粘着剤に含まれていてもよい。このような範囲で粘着剤の凝集力や耐久性を優秀に維持することができる。
【0038】
上記のような多官能性架橋剤は、例えば、熟成工程のような粘着剤層の形成過程でアクリル重合体の架橋性官能基と反応し、前記重合体を架橋させることができる。
【0039】
IPN構造の粘着剤層では、前記多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体により具現される架橋構造とともに重合された多官能性アクリレートによる架橋構造が含まれていてもよい。
【0040】
多官能性アクリレートとしては、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物なら、制限なく使用することができる。例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycoladipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9、9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などのような2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの6官能型アクリレートなどを使用することができ、場合によって、この分野で光硬化型オリゴマーとして知られているものであって、各種のウレタンアクリレート、ポリカーボネートアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートまたはエポキシアクリレートなども使用されることができる。
【0041】
上記のような多官能性アクリレートは、一種または二種以上が混合されて使用されることができ、分子量が1,000未満であり、3官能性以上のアクリレートを使用することが耐久性具現側面において好ましいが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記多官能性アクリレートとして、骨格構造中に環構造を含むものを使用することが好ましい。このようなアクリレートを使用することによって、偏光子の収縮または膨脹をさらに効果的に抑制することができ、また、光漏れ抑制効果が向上することができる。多官能性アクリレートに含まれる環構造は、炭素環式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれでもよい。環構造を含む多官能性アクリレートの例としては、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有する単量体及びイソシアネート変性ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)などの6官能型アクリレートなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0043】
粘着剤層内で前記多官能性アクリレートは、アクリル重合体100重量部に対して、20重量部〜200重量部で含まれることができ、これにより、粘着剤層の引張弾性率をさらに効果的に調節し、また、耐久性を優秀に維持することができる。
【0044】
粘着剤層は、また、シランカップリング剤をさらに含むことができる。シランカップリング剤は、粘着剤の密着性及び接着安定性を向上させて、耐熱性及び耐湿性を改善し、また、苛酷条件で粘着剤が長期間放置された場合にも、接着信頼性を向上させる作用をする。シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシラン、γ−アセトアセテートプロピルトリエトキシシラン、β−シアノアセチルトリメトキシシラン、β−シアノアセチルトリエトキシシラン、アセトキシアセトトリメトキシシランなどを使用することができ、上記のうち一種または二種以上の混合を使用することができる。本発明では、アセトアセテート基またはβ−シアノアセチル基を有するシラン系カップリング剤を使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。粘着剤層内でシランカップリング剤は、アクリル重合体100重量部に対して0.01重量部〜5重量部、好ましくは、0.01重量部〜1重量部で含まれることができ、これにより、粘着力及び耐久性を効果的に維持することができる。
【0045】
前記粘着剤層は、また、粘着性付与樹脂をさらに含むことができる。粘着性付与樹脂としては、例えば、ヒドロカーボン系樹脂またはその水素添加物、ロジン樹脂またはその水素添加物、ロジンエステル樹脂またはその水素添加物、テルペン樹脂またはその水素添加物、テルペンフェノール樹脂またはその水素添加物、重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂などの一種または二種以上の混合を使用することができる。粘着性付与樹脂は、アクリル重合体100重量部に対して、1重量部〜100重量部の量で含まれることができる。
【0046】
前記粘着剤層は、また、発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0047】
上記のような粘着剤層を形成する方法は、特に限定されない。1つの例示で、前記粘着剤層は、前述の各成分を配合し、粘着剤組成物を製造した後、上記を前記偏光子または適切な工程基材にバーコーターまたはコンマコーターなどの通常の手段で塗布し、硬化させる方式を使用することができる。また、粘着剤組成物を硬化させる方法は、特に限定されず、例えば、前記アクリル重合体及び多官能性架橋剤の架橋反応が進行され得るように適正温度で熟成させる方式と前記多官能性アクリレートの重合が可能となるように電磁気波を照射する工程を順次または同時に行うことによって硬化させることができる。上記で電磁気波の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenon lamp)などの手段を使用して行うことができる。また、電磁気波の照射条件は、諸物性を損傷させることなく、多官能性アクリレートの重合が適切に行われることができるように制御されたら、特に限定されず、例えば、照度を50mW/cm〜2,000mW/cmに制御し、光量を10mJ/cm〜1,000mJ/cmに制御し、適切な時間の間に照射することができる。
【0048】
一方、前記電磁気波の照射による硬化工程の効率を考慮して、前記粘着剤組成物には、光開始剤が含まれることができる。光開始剤としては、電磁気波の照射によってラジカルを生成し、硬化反応を開始させることができるものなら、特に限定されず、使用することができる。例えば、光開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2、2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4、4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタル、アセトフェノンジメチルケタル、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどを使用することができる。本発明では、上記のうち一種または二種以上を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
光開始剤は、前記アクリル重合体100重量部に対して、0.2重量部〜20重量部、好ましくは、0.2重量部〜10重量部、さらに好ましくは、0.2重量部〜5重量部で含まれることができる。前記光開始剤は、多官能性アクリレート100重量部に対して0.2重量部〜20重量の量で含まれることができる。このような調節を通じて多官能性アクリレートの反応を効果的に誘導し、また、硬化後に残存成分に起因して粘着剤物性が悪くなることを防止することができる。
【0050】
本発明で前記粘着剤層は、また、熱硬化型または常温硬化型粘着剤組成物を使用して形成することもでき、この場合、粘着剤層は、多官能性架橋剤により架橋されたアクリル重合体を含むことができる。
【0051】
上記でアクリル重合体は、前述の光硬化型組成物で使用されるものと同様に、分子量が50万以上であり、また、250万以下であり、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体を重合単位で含む重合体、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系単量体80重量部〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1重量部〜20重量部を重合単位で含む重合体を使用することができる。上記で(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の具体的な種類や前記重合体の製造方法は、前述した通りである。また、前記重合体にも、前記化学式1のような機能性単量体が含まれることもできる。
【0052】
また、前記粘着剤層内でアクリル重合体を架橋させる多官能性架橋剤として、前述したようなイソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤または金属キレート架橋剤を使用することができる。このような架橋剤は、前記アクリル重合体100重量部に対して0.01重量部〜10重量部、好ましくは、0.01〜5重量部の範囲で粘着剤層の引張弾性率、耐久性及び凝集性などを考慮して適切な含量で含まれることができる。
【0053】
上記のような粘着剤層を形成する方式は、電磁気波の照射による硬化工程を行わない点を除いて、前述した光硬化型粘着剤の場合と同様である。すなわち、必要な成分を適切に配合して粘着剤組成物を製造し、これを適切な基材上に塗布し、硬化させて粘着剤層を形成することができる。上記のような熱硬化型粘着剤組成物にも、必要に応じて、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤がさらに含まれることができる。
【0054】
本発明で粘着剤層が2層以上の多層構造で構成される場合、前記多層構造を構成する粘着剤層は、前述した熱硬化型、常温硬化型、湿気硬化型または光硬化型接着剤組成物のうち適切な種類を使用して形成するが、同一であるかあるいは異なる種類を使用して形成されてもよい。
【0055】
1つの例示で粘着剤層が第1表面を形成する第1粘着剤層と;第2表面を形成する第2粘着剤層と;を含み、前記第1表面が偏光子に付着される場合、前記第1光硬化型粘着剤組成物として、IPN構造を具現する粘着剤組成物を使用して形成することが好ましく、これにより、1つの例示で前記第1粘着剤層は、多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造と重合された多官能性アクリレートを含む架橋構造を含むことができる。
【0056】
1つの例示で上記のような粘着剤層は、接着剤層を介して偏光子に付着することができる。1つの例示で、前記偏光板は、前記偏光子の一面、具体的には、保護フィルムが形成されていない面に直接付着している接着剤層をさらに含み、前記粘着剤層は、前記接着剤層上に直接付着していてもよい。本発明で用語「Aに直接付着したB」は、AとBとの間に他の層が存在しない場合を意味する。
【0057】
接着剤層では、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤;アクリル系接着剤;ビニルアセテート系接着剤;ウレタン系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリオレフィン系接着剤;ポリビニルアルキルエーテル系接着剤;ゴム系接着剤;塩化ビニル−ビニルアセテート系接着剤;スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)接着剤;スチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(SEBS)系接着剤;エチレン系接着剤;及びアクリル酸エステル系接着剤などの一種または二種以上を使用することができる。上記のような接着剤層は、例えば、水系、溶剤系または無溶剤系接着剤組成物を使用して形成することができる。また、前記接着剤組成物は、熱硬化型、常温硬化型、湿気硬化型または光硬化型接着剤組成物であることができ、本発明では、好ましくは、光硬化型、より好ましくは、紫外線硬化型接着剤組成物を使用して前記接着剤層を形成することができるが、これに限定されるものではない。また、前記接着剤層の好ましい例示としては、水系ポリビニルアルコール系接着剤;無溶剤形アクリル系接着剤;または無溶剤形ビニルアセテート系接着剤などを挙げることができる。
【0058】
偏光子に上記のような接着剤層を形成する方法は、特に限定されず、例えば、接着剤組成物を偏光子に塗布し、さらに粘着剤層をラミネートした後、前記塗布された接着剤組成物を硬化させる方式を使用することができる。
【0059】
前記接着剤層は、厚さが10nm〜600nmであり、好ましくは、15nm〜500nmであり、より好ましくは、15nm〜450nmであることができる。接着剤層の厚さを10nm以上に調節し、偏光板の耐水性を優秀に維持することができ、また、600nm以下に調節し、均一な接着剤層の形成が可能である
【0060】
本発明の偏光板は、また、偏光子の一面、具体的には、前記粘着剤層が付着している面とは反対面に付着した保護フィルムをさらに含むことができる。保護フィルムとしては、例えば、TACフィルムなどのようなセルロース系フィルム;PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステル系フィルム;ポリカーボネート系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;アクリル系フィルム及び/またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シクロ系やノルボルネン構造を含むポリオレフィンフィルムまたはエチレン−プロピレン共重合体フィルムなどのポリオレフィン系フィルムなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。前記保護フィルムは、例えば、前述の接着剤層を介して偏光子に付着することができる。
【0061】
偏光板は、また、前記粘着剤層の下部に付着している離型フィルムをさらに含むことができる。離型フィルムとしては、この分野の通常の構成を採用することができる。
【0062】
偏光板は、また、必要に応じて、反射防止層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムよりなる群から選択された1つ以上の機能性層をさらに含むこともできる。
【0063】
本発明は、また、液晶パネル及び前記液晶パネルの一面または両面に付着している本発明による偏光板を含む液晶表示装置に関する。
【0064】
液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は、特に限定されない。例えば、その種類に限定されず、TN(twisted nematic)型、STN(supertwisted nematic)型、F(ferroelectic)型またはPD(polymerdispersed)型のような受動マトリックス方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)のような能動マトリックス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネル及び垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルがすべて適用されることができる。
【0065】
また、液晶表示装置を構成するその他構成、例えば、上部及び下部基板(例えば、カラーフィルター基板またはアレイ基板)などの種類も特に限定されず、この分野に公知されている構成が制限なく採用されることができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、さらに軽くて且つ薄い厚さを有しながらも、苛酷条件での耐久性、耐水性、耐久性、作業性、粘着性及び光漏れ抑制能などの物性に優れた偏光板とそれを含む液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】従来の偏光板を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明の1つの例示的な偏光板を示す断面図である。
【図3】本発明の粘着剤層の例示を示す断面図である。
【図4】本発明の粘着剤層の例示を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例に限定されるものではない。
【0069】
製造例1:アクリル重合体(A)の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易となるように冷却装置が設置された1L反応器に、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)2重量部を投入した。次いで、反応器に溶剤としてエチルアセテート(EAc;ethylaceate)180重量部を投入し、酸素除去のために窒素ガスを60分間パージングした。その後、反応器の温度を67℃に維持し、反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させた。反応後に、エチルアセテートで希釈し、固形分濃度が30重量%であり、重量平均分子量が100万であり、分子量分布が4.9であるアクリル重合体(A)を製造した。
【0070】
製造例2〜5:アクリル重合体(B)〜(D)の製造
単量体組成を下記表1のように変更したことを除いて、製造例1の方式に準じて、アクリル重合体(B)〜(D)を製造した。製造された重合体の重量平均分子量及び分子量分布を下記表1にまとめた。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例1
〔第1粘着剤層の製造〕
アクリル重合体(A)100重量部、多官能性架橋剤(TDI系イソシアネート、Coronate L、日本ポリウレタン(日本国)社製)3重量部、多官能性アクリレート(3官能性ウレタンアクリレート、Aronix M−315)100重量部、光開始剤(Irg 184、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバスペシャルティケミカルズ(スイス)製)3重量部及びシランカップリング剤(M812、β−シアノアセチル基を有するシランカップリング剤、LG化学(韓国)製)0.1重量部を、固形分濃度を30重量%となるように溶剤に配合し、第1粘着剤組成物を製造した。次いで、製造された粘着剤組成物を離型処理されたPET(poly(ethylene terephthalate))離型フィルム(厚さ:38μm、MRF−38、三菱社製)の離型処理面に乾燥後の厚さが25μmとなるようにコーティングし、110℃のオーブンで3分間乾燥させた。次いで、乾燥したコーティング層に追加に離型処理されたPET離型フィルム(厚さ:38μm、MRF−38、三菱社製)の離型処理面をラミネートする。次いで、下記条件でUV(ultraviolet ray)を照射し、2枚のPET離型フィルムの間で第1粘着剤層を形成した。形成された第1粘着剤層の引張弾性率(25℃)は、300MPaであった。本実施例で引張弾性率は、後述する方式によって測定される。
〈UVの照射条件〉
紫外線照射器:高圧水銀ランプ
照射条件:
照度:600mW/cm
光量:150mJ/cm
【0073】
〔第2粘着剤層の製造〕
アクリル重合体(A)100重量部、多官能性架橋剤(TDI系イソシアネート、Coronate L、日本ポリウレタン(日)社製)0.01重量部及びシランカップリング剤(M812、β−シアノアセチル基を有するシランカップリング剤、LG化学(韓国)製)0.1重量部を、固形分濃度を30重量%となるように溶剤に配合し、第2粘着剤組成物を製造した。次いで、製造された粘着剤組成物を離型処理されたPET離型フィルム(厚さ:38μm、MRF−38、三菱社製)の離型処理面に乾燥後の厚さが25μmとなるようにコーティングし、110℃のオーブンで3分間乾燥させて第2粘着剤層を形成し、上記に離型処理されたPET離型フィルム(厚さ:38μm、MRF−38、三菱社製)を追加にラミネートした。形成された第2粘着剤層の引張弾性率(25℃)は、0.06MPaであった。
次いで、前記製造された第1粘着剤層と前記第2粘着剤層を互いにラミネートし、2層構造の粘着剤層を形成した。
【0074】
〔偏光板の製造〕
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸し、ヨードで染色した後、ホウ酸(boric acid)水溶液で処理して偏光子を製造した。次いで、偏光子の一面に60μm厚さのTAC(Triacetyl cellulose)フィルムを水系ポリビニルアルコール系接着剤で付着した。次いで、前記ポリビニルアルコール系偏光子においてTACフィルムが付着していない面に水系ポリビニルアルコール系接着剤を使用して前記製造された2層構造の粘着剤層をラミネートして偏光板を製造した。この過程で、第1粘着剤層がポリビニルアルコール系偏光子側に配置されるようにした(偏光板構造:TACフィルム→水系ポリビニルアルコール系接着剤→偏光子→水系ポリビニルアルコール系接着剤→第1粘着剤層→第2粘着剤層→PET離型フィルム)。
【0075】
実施例2〜7及び比較例1〜5
第1及び第2粘着剤層の構成を下記表2及び表3のように変更したことを除いて、実施例1と同一の方式で偏光板を製造した。但し、比較例の場合、2層構造の粘着剤を使用せず、第1粘着剤の単層構造の粘着剤を使用した。
【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
〈物性評価〉
1.引張弾性率の評価
本明細書で粘着剤の引張弾性率は、ASTM D638で規定された方式によって引張による応力−変形試験法を通じて測定するか、直接引張弾性率を測定しにくい場合には、下記方式で貯蔵弾性率を測定し、下記換算式によって換算して求める。具体的には、実施例または比較例で製造されるものであって、PET離型フィルム(厚さ:38μm、MRF−38)、粘着剤層及びPET離型フィルム(厚さ:38μm、MRF−38)の積層構造を有するサンプルを長さ7cm、幅1cmのサイズのdog bone typeの試験片に裁断し、試験片の両末端を引張実験用ジグ(Jig)で固定し、前記ASTM D638によって引張弾性率を測定する。このような引張弾性率の測定条件は、下記の通りである。
〈引張弾性率の測定条件〉
測定機器:UTM(Universal Testing Machine)
装備Model:Zwick Roell Z010、Instron社製
測定条件:
Load cell:500N
引張速度:3mm/sec
【0079】
〈貯蔵弾性率の測定及び引張弾性率への換算〉
粘着剤層を15cm×25cm×25μm(横×縦×厚さ)のサイズに裁断し、裁断された粘着剤層を5層に積層させる。次いで、積層された粘着剤層を直径が8mmの円形に裁断した後、ガラスを利用して、圧縮した状態で、一晩放置し、各層間の界面でのウェット性(wetting)を向上させることによって、積層時に生じた気泡を除去して試料を製造する。次いで、試料をパラレルプレート(parallel plate)上に載置し、ギャップを調整した後、Normal & Torqueのゼロ点を合わせて、Normal forceの安定化を確認した後、下記条件で貯蔵弾性率を測定し、下記換算式によって引張弾性率を求める。
【0080】
〔測定機器及び測定条件〕
測定機器:ARES−RDA、TA Instruments Inc. with forced convection oven
測定条件:
形状:8mm 平行板
間隔:略1mm
試験タイプ: dynamic strain frequency sweep
歪み=10.0[%]、 温度:30℃
開始時周波数(initial frequency):0.4rad/s、
終了時周波数(final frequency):100rad/s
【0081】
〈換算式〉
E=3G
前記換算式でEは、引張弾性率を示し、Gは、貯蔵弾性率を示す。
【0082】
2.剥離力及び再剥離性評価
偏光板を25mm×100mm(幅×長さ)のサイズに裁断し、試験片を製造した。次いで、試験片からPET離型フィルムを剥離し、ラミネータで無アルカリガラスに粘着剤層を介して偏光板試験片を付着した。次いで、オートクレーブ(50℃、0.5気圧)で約20分間圧着処理し、恒温恒湿条件(23℃、50%相対湿度)で25時間保管した。次いで、TA機器(texture analyser、ステイブルマイクロシステム(英国)社製)を使用して、前記偏光板を無アルカリガラスから300mm/minの剥離速度及び180度の剥離角度で剥離しながら剥離力を測定した。また、再剥離性は、下記基準で評価した。
〈再剥離性評価基準〉
○:付着1日後に剥離力が800N/25mm以下
△:付着1日後に剥離力が1,000N/25mm以上
×:付着1日後に剥離力が2,000N/25mm以上
【0083】
3.耐久信頼性評価
実施例及び比較例で製造された偏光板を90mm×170mm(横×縦)のサイズに裁断した試験片を各実施例及び比較例別に2枚準備した。次いで、2枚の試験片をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm=横×縦×厚さ)の両面に付着するが、光学吸収軸が互いにクロスするように付着し、サンプルを製造した。付着時に加えられた圧力は、約5Kg/cmであり、気泡または異物が界面に発生しないようにクリーンルームで作業を行った。
サンプルの耐湿熱特性は、サンプルを60℃の温度及び90%の相対湿度の条件下で1,000時間放置した後、粘着界面での気泡または剥離の発生有無を観察した。
また、耐熱特性は、サンプルを80℃の温度条件下で1,000時間放置した後、粘着界面での気泡または剥離の発生有無を観察した。
耐湿熱または耐熱耐久信頼性の測定直前に製造されたサンプルを常温で24時間放置し、評価を進行した。評価条件は、下記のようである。
〈耐久信頼性評価基準〉
○:気泡及び剥離発生なし
△:気泡及び/または剥離が少し発生
×:気泡及び/または剥離が多量発生
【0084】
4.耐水性評価
実施例及び比較例で製造された偏光板を90mm×170mm(横×縦)のサイズに裁断した試験片をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm=横×縦×厚さ)の片面に付着し、サンプルを製造した。付着時に加えられた圧力は、約5Kg/cmであり、気泡または異物が界面に発生しないようにクリーンルームで作業を行った。次いで、製造されたサンプルを60℃の温度に水に投入し、24時間放置した後、取り出して、気泡または剥離の発生有無を観察し、下記基準によって耐水性を評価した。
〈耐水性評価基準〉
○:気泡及び剥離発生なし
△:気泡及び/または剥離が少し発生
×:気泡及び/または剥離が多量発生
【0085】
5.光透過均一性評価
実施例及び比較例で製造した偏光板を22インチLCDモニター(LG Philips LCD社製)に光学吸収軸が互いにクロスした状態で付着し、恒温恒湿条件(23℃、50%相対湿度)で24時間保管し、80℃の温度で200時間放置した。その後、暗室でバックライトを利用して前記モニターに光を照射し、光透過性の均一性を下記の基準によって評価した。
〈光透過均一性評価基準〉
◎:モニターの4周辺部で光透過性の不均一現象が目視で判断されない場合
○:モニターの4周辺部で光透過性の不均一現象が目視で少し観察される場合
△:モニターの4周辺部で光透過性の不均一現象が目視で多少観察される場合
×:モニターの4周辺部で光透過性の不均一現象が目視で多量観察される場合
【0086】
6.重量平均分子量及び分子量分布評価
アクリル重合体の重量平均分子量及び分子量分布は、GPCを使用して、以下の条件で測定した。検量線の製作には、Agilent systemの標準ポリスチレンを使用して、測定結果を換算した。
〈重量平均分子量測定条件〉
測定器:Agilent GPC(Agilent 1200 series, 米国)
カラム:PL Mixed B 2個連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
濃度:〜2mg/mL(100μL injection)
【0087】
前記測定結果を下記表4にまとめて記載した。
【0088】
【表4】

【符号の説明】
【0089】
1、2 偏光板
3、4、13、22 粘着剤層
11、21 偏光子
12a、12b、23 保護フィルム
31 第1表面
32 第2表面
41 第1粘着剤層
42 第2粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と;前記偏光子の少なくとも一面に付着していて、また、第1表面と第2表面を有し、前記第1表面及び第2表面は、互いに異なる引張弾性率を示す粘着剤層と;を含む偏光板。
【請求項2】
粘着剤層の第1表面が偏光子に付着していて、第2表面は、偏光板を液晶パネルに付着させるための粘着表面である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
第1表面が第2表面に比べて高い引張弾性率を示す、請求項2に記載の偏光板。
【請求項4】
偏光子は、少なくとも一面に保護フィルムが付着していない偏光子であり、粘着剤層の第1表面は、前記偏光子の保護フィルムが付着していない面に付着している、請求項2に記載の偏光板。
【請求項5】
偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光子である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項6】
第1表面は、25℃での引張弾性率が1MPa〜1,000MPaである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
第2表面は、25℃での引張弾性率が0.01MPa〜1.0MPaである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
粘着剤層は、第1表面を形成する第1粘着剤層と;第2表面を形成する第2粘着剤層と;を含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
粘着剤層は、厚さが10μm〜80μmである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
第1粘着剤層は、多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造及び重合された多官能性アクリレートを含む架橋構造を含む、請求項8に記載の偏光板。
【請求項11】
偏光子の少なくとも一面に直接付着している接着剤層をさらに含み、粘着剤層の第1表面は、前記接着剤層に直接付着している、請求項1に記載の偏光板。
【請求項12】
接着剤層は、ポリビニルアルコール系接着剤;アクリル系接着剤;ビニルアセテート系接着剤;ウレタン系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリオレフィン系接着剤;ポリビニルアルキルエーテル系接着剤;ゴム系接着剤;塩化ビニル−ビニルアセテート系接着剤;スチレン−ブタジエン−スチレン接着剤;スチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物系接着剤;エチレン系接着剤;及びアクリル酸エステル系接着剤よりなる群から選択された1つ以上を含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項13】
接着剤層は、熱硬化型接着剤組成物、常温硬化型接着剤組成物、湿気硬化型接着剤組成物または光硬化型接着剤組成物を硬化された状態で含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項14】
偏光子の粘着剤層が付着していない面に付着した保護フィルムをさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
液晶パネルと;前記液晶パネルの一面または両面に付着している請求項1に記載の偏光板と;を含む液晶表示装置。
【請求項16】
液晶パネルが受動マトリックス方式のパネル;能動マトリックス方式のパネル;横電界型パネルまたは垂直配向型パネルである、請求項15に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−520705(P2013−520705A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554944(P2012−554944)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001402
【国際公開番号】WO2011/105874
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】