説明

偏心型減速機

【課題】ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される偏心型減速機において、ケースの軸方向の長さを短くすることができ、ケースの加工機械の制限を受けてしまうことを抑制する。
【解決手段】リング状に形成された第1シール部材20は、ケース他端側端部11aの端面32において周方向に亘って延びるように凹み形成された第1シール用凹部34に配置される。第1シール部材20は、フランジ一端側端部12aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面とケース他端側端部11aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面とに対して当接して固定され、ケース11内の潤滑油を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動減速機構がケースの内側に配置され、電動機が取り付けられるモータフランジがケースの開口部を覆うように取り付けられ、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される偏心型減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業用機械等においては、大きい減速比を実現可能な減速機として、揺動減速機構を備える偏心型減速機が用いられている。このような偏心型減速機として、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示された偏心型減速機においては、揺動減速機構は、ピニオン(17、18)として設けられた外歯歯車とクランク軸(37)とを備えて構成され、円筒体(11)として設けられたケースの内側に配置されている。このケースには、その開口部を覆うように、電動機が取り付けられた上カバー(14)として設けられたモータフランジが取り付けられている。そして、ケースの端部の内周とモータフランジの端部との間には、ケース内の潤滑油をケースとモータフランジとの間で封止するシール部材としてOリングシールが配置されている。
【0003】
また、特許文献1に開示された偏心型減速機においては、クランク軸の一端側及び他端側を回転自在に保持する基部キャリア及び端部キャリアを有するキャリアと出力軸とが、基台部(22)及び端板部(23)を有するキャリア(20)として設けられている。尚、基部キャリア及び出力軸が基台部(22)として、端部キャリアが端板部(23)として、それぞれ設けられている。そして、特許文献1に開示の偏心型減速機では、揺動減速機構とキャリアと出力軸とが、ケースに対して、一対の軸受(21)として設けられた一対の主軸受を介して、回転自在に保持されている。一対の主軸受のうちの一方は、端部キャリアの外周とケースの内周との間に配置され、この主軸受と前述のOリングシールとがケースの内周においてケースの軸方向に沿って並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4004256号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偏心型減速機においては、より大きい減速比を実現して出力トルクの向上を図ることが求められるとともに、軸方向(偏心型減速機の回転中心線の方向)と垂直な径方向における小型化(小径化)を図ることも求められる傾向にある。このことから、偏心型減速機においては、揺動減速機構及びキャリアが内側に配置されるケースの小径化を図るとともに大きい減速比を確保するため、ケースの軸方向(偏心型減速機の回転中心線と同一の方向)の長さが長くなり易い傾向にある。しかし、ケースの軸方向の長さが長くなってしまうと、筒状に形成されるとともに内歯が内周に配置されるケースを加工可能な仕様を備える加工機械が制限され、加工が困難になってしまう虞がある。一方、特許文献1に開示された偏心型減速機においては、ケース内の潤滑油をケースとモータフランジとの間で封止するシール部材が、ケースの端部の内周とモータフランジの端部との間に配置されている。そして、このシール部材と主軸受のうちの一方とがケースの内周においてケースの軸方向に沿って並んで配置されている。このため、ケースが軸方向に長くなってしまい易く、加工機械の制限を受け易いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジ
との間で封止される偏心型減速機において、ケースの軸方向の長さを短くすることができ、ケースの加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる偏心型減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1発明に係る偏心型減速機は、筒状に形成されるとともに内歯が内周に配置されたケースと、前記内歯に噛み合う外歯が外周に設けられた外歯歯車、及び、前記外歯歯車を偏心させて回転させるクランク軸、を有し、前記ケースの内側に配置される揺動減速機構と、前記クランク軸の一端側を回転自在に保持する基部キャリア、前記クランク軸の他端側を回転自在に保持する端部キャリア、及び、前記基部キャリアと前記端部キャリアとの間に配置されて前記基部キャリアと前記端部キャリアとを連結する支柱、を有し、前記ケースの内側に配置されるキャリアと、前記基部キャリアに固定され、ピニオンが取り付けられる出力軸と、電動機からの駆動力が入力される入力軸が内側に配置され、前記電動機が取り付けられるとともに前記ケースに対して当該ケースの開口部を覆うように取り付けられるモータフランジと、前記端部キャリアの外周と前記ケースの他端側における内周との間に配置され、前記ケースに対して前記キャリアを回転自在に保持する第1主軸受と、前記出力軸の外周と前記ケースの一端側における内周との間に配置され、前記ケースに対して前記出力軸を回転自在に保持する第2主軸受と、を備えている。そして、第1発明に係る偏心型減速機は、前記モータフランジの一端側の端部であるフランジ一端側端部の端面と前記ケースの他端側の端部であるケース他端側端部の端面とのうちの少なくともいずれか一方において周方向に亘って延びるように凹み形成された第1シール用凹部に配置され、リング状に形成された第1シール部材を更に備え、前記第1シール部材は、前記フランジ一端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面と前記ケース他端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面とに対して当接して固定され、前記ケース内の潤滑油を封止することを特徴とする。
【0008】
この発明によると、フランジ一端側端部の端面とケース他端側端部の端面とのうちの少なくとも一方に形成された第1シール用凹部に配置されたリング状の第1シール部材によって、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される。そして、第1シール部材は、フランジ一端側端部及びケース他端側端部のそれぞれに対して、ケースの軸方向に垂直な平面で当接して固定される。このため、フランジ一端側端部及びケース他端側端部において、これらの端面及び第1シール用凹部が位置する領域を効率よく活用して第1シール部材を配置して固定することができる。これにより、ケース内の潤滑油をケースとモータフランジとの間で封止する第1シール部材が、特許文献1に開示の従来の偏心型減速機のようにケースの端部の内周とモータフランジの端部との間に配置されることがない。そして、端部キャリアの外周とケースの内周との間に配置された第1主軸受と第1シール部材とがケースの内周においてケースの軸方向に沿って並んで配置されてしまうこともない。このため、ケースが軸方向に長くなってしまうことを抑制でき、ケースの軸方向の長さを短くすることができる(短軸化できる)。また、ケースを短軸化できるため、ケースの加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる。これにより、偏心型減速機において、より大きな減速比に設定して出力トルクの向上を図るとともに小径化を図った場合であっても、ケースの短軸化が図られるため、従来と同様の仕様の加工機械を用いてケースの加工を行うことができる。
【0009】
従って、本発明によると、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される偏心型減速機において、ケースの軸方向の長さを短くすることができ、ケースの加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる。
【0010】
第2発明に係る偏心型減速機は、第1発明の偏心型減速機において、前記フランジ一端側端部の外周側と前記ケース他端側端部の外周側とのうちの一方には、周方向に亘って延
びるように形成されるとともに段状に凹み形成された第1嵌合用凹み部が設けられ、前記フランジ一端側端部の外周側と前記ケース他端側端部の外周側とのうちの他方には、周方向に亘って延びる凸状に形成されるとともに、前記第1嵌合用凹み部に対してその外側で嵌め合う第1嵌合用凸部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明によると、フランジ一端側端部の外周側及びケース他端側端部の外周側において、一方に第1嵌合用凹み部が設けられ、他方に第1嵌合用凹み部に外側で嵌め合う第1嵌合用凸部が設けられる。そして、ケースとモータフランジとを固定して組み立てる際には、第1嵌合用凹み部と第1嵌合用凸部との嵌め合い箇所で位置決めされ、容易に組み立てが行われる。また、ケースとモータフランジとの嵌め合い箇所が、ケース及びモータフランジに対して、特許文献1に開示の従来の偏心型減速機のように内周側に配置されず、外周側に配置されている。このため、ケース及びモータフランジの嵌め合い箇所と第1主軸受とがケースの内周においてケースの軸方向に沿って並んで配置されてしまうことがない。これにより、ケースの軸方向の長さを更に短くすることができる。
【0012】
第3発明に係る偏心型減速機は、第2発明の偏心型減速機において、前記第1嵌合用凹み部は前記ケース他端側端部の外周側に設けられ、前記第1嵌合用凸部は前記フランジ一端側端部の外周側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、ケース及びモータフランジの外周側において、第1嵌合用凹み部がケース他端側端部に設けられ、第1嵌合用凸部がフランジ一端側端部に設けられる。このため、ケース及びモータフランジの嵌め合い箇所において、ケース側に凹み部が設けられるため、第1嵌合用凸部がケース側で第1嵌合用凹み部がモータフランジ側に設けられる場合に比して、更にケースの軸方向の長さを短くすることができる。
【0014】
第4発明に係る偏心型減速機は、第1発明の偏心型減速機において、前記第1主軸受は、その外輪の外周が前記ケース他端側端部の内周に当接するとともに前記フランジ一端側端部の内周にも当接するように配置されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、第1主軸受は、外輪の外周がケース他端側端部の内周に当接するよう配置される。そして、ケースとモータフランジとを固定して組み立てる際には、ケース他端側端部の端面と第1主軸受の外輪の外周とに亘って凹むように区画された領域に対してフランジ一端側端部の内周側が嵌め合うようにして位置決めされ、容易に組み立てが行われる。このため、フランジ一端側端部の内周にも当接する第1主軸受の外輪の外周が有効的に活用されることで、ケースとモータフランジとの嵌め合い箇所が構成されることになる。これにより、特許文献1に開示の従来の偏心型減速機のようにケース及びモータフランジの嵌め合い箇所と第1主軸受とがケースの内周においてケースの軸方向に沿って別個に独立した状態で並んで配置されてしまうことがない。このため、第1主軸受の外輪の外周をケース及びモータフランジの嵌め合い箇所の一部として有効的に活用でき、ケースの軸方向の長さを更に短くすることができる。
【0016】
第5発明に係る偏心型減速機は、第1発明乃至第4発明のいずれかの偏心型減速機において、前記出力軸の外周に取り付けられて前記第2主軸受の一端側を支持する軸受保持部材と、前記軸受保持部材の外周に対して当接して前記ケース内の潤滑油を封止する第2シール部材と、前記ケースの一端側の端部であるケース一端側端部に取り付けられるとともに、前記第2シール部材を保持するシールハウジングと、前記ケース一端側端部の端面と前記シールハウジングの他端側の端部であるハウジング他端側端部の端面とのうちの少なくともいずれか一方において周方向に亘って延びるように凹み形成された第2シール用凹部に配置され、リング状に形成された第3シール部材と、を更に備え、前記第3シール部材は、前記ケース一端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面と前記ハウジング
他端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面とに対して当接して固定され、前記ケース内の潤滑油を封止することを特徴とする。
【0017】
この発明によると、ケース一端側端部の端面とハウジング他端側端部の端面とのうちの少なくとも一方に形成された第2シール用凹部に配置されたリング状の第3シール部材によって、ケース内の潤滑油がケースとシールハウジングとの間で封止される。そして、第3シール部材は、ケース一端側端部及びハウジング他端側端部のそれぞれに対して、ケースの軸方向に垂直な平面で当接して固定される。このため、ケース一端側端部及びハウジング他端側端部において、これらの端面及び第2シール用凹部が位置する領域を効率よく活用して第3シール部材を配置して固定することができる。これにより、ケース内の潤滑油をケースとシールハウジングとの間で封止する第3シール部材が、ケースの端部の内周とシールハウジングの端部との間に配置されることがない。そして、出力軸の外周とケースの内周との間に配置された第2主軸受と第3シール部材とがケースの内周においてケースの軸方向に沿って並んで配置されてしまうこともない。このため、ケースが軸方向に長くなってしまうことを更に抑制でき、ケースの軸方向の長さを更に短くすることができる。
【0018】
第6発明に係る偏心型減速機は、第5発明の偏心型減速機において、前記ケース一端側端部の外周側と前記ハウジング他端側端部の外周側とのうちの一方には、周方向に亘って延びるように形成されるとともに段状に凹み形成された第2嵌合用凹み部が設けられ、前記ケース一端側端部の外周側と前記ハウジング他端側端部の外周側とのうちの他方には、周方向に亘って延びる凸状に形成されるとともに、前記第2嵌合用凹み部に対してその外側で嵌め合う第2嵌合用凸部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明によると、ケース一端側端部の外周側及びハウジング他端側端部の外周側において、一方に第2嵌合用凹み部が設けられ、他方に第2嵌合用凹み部に外側で嵌め合う第2嵌合用凸部が設けられる。そして、ケースとシールハウジングとを固定して組み立てる際には、第2嵌合用凹み部と第2嵌合用凸部との嵌め合い箇所で位置決めされ、容易に組み立てが行われる。また、ケースとシールハウジングとの嵌め合い箇所が、ケース及びシールハウジングに対して、内周側に配置されず外周側に配置されている。このため、ケース及びシールハウジングの嵌め合い箇所と第2主軸受とがケースの内周においてケースの軸方向に沿って並んで配置されてしまうことがない。これにより、ケースの軸方向の長さを更に短くすることができる。
【0020】
第7発明に係る偏心型減速機は、第6発明の偏心型減速機において、前記第2嵌合用凹み部は前記ケース一端側端部の外周側に設けられ、前記第2嵌合用凸部は前記ハウジング他端側端部の外周側に設けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明によると、ケース及びシールハウジングの外周側において、第2嵌合用凹み部がケース一端側端部に設けられ、第2嵌合用凸部がハウジング他端側端部に設けられる。このため、ケース及びシールハウジングの嵌め合い箇所において、ケース側に凹み部が設けられるため、第2嵌合用凸部がケース側で第2嵌合用凹み部がシールハウジング側に設けられる場合に比して、更にケースの軸方向の長さを短くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される偏心型減速機において、ケースの軸方向の長さを短くすることができ、ケースの加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る偏心型減速機を示す正面図であり、一部切欠き断面を含む図である。
【図2】図1における一部を拡大した断面図であって、第1シール部材及びその近傍の部分を示す拡大断面図である。
【図3】図1における一部を拡大した断面図であって、第2シール部材及び第3シール部材とその近傍の部分とを示す拡大断面図である。
【図4】従来技術に係る偏心型減速機を示す正面図であり、一部切欠き断面を含む図である。
【図5】図2に対応する拡大断面図と、図4における一部を拡大した断面図であってシール部材及びその近傍の部分を示す拡大断面図とを比較して示す図である。
【図6】図3に対応する拡大断面図と、図4における一部を拡大した断面図であってシール部材及びその近傍の部分を示す拡大断面図とを比較して示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る偏心型減速機を示す正面図であり、一部切欠き断面を含む図である。
【図8】図7における一部を拡大した断面図であって、第1シール部材及びその近傍の部分を示す拡大断面図である。
【図9】変形例に係る偏心型減速機の断面の一部を拡大して示す断面図であって、第3シール部材及びその近傍の部分を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態に係る偏心型減速機は、風車、建設機械、産業用ロボット、種々の工作機械等の各種産業用機械、各種車両、等において広く適用することができる。尚、例えば、風車においては、近年、ブレード(羽根)の直径が大きくなる傾向にあることから、風向きに合わせて風車のナセルを旋回させるためのヨー駆動装置やブレードのピッチ角を制御するためのピッチ駆動装置として、径方向の寸法の大型化を抑制しつつ且つ高出力仕様の減速機が要求される状況にある。このため、本実施形態に係る偏心型減速機は、風車用ヨー駆動装置或いは風車用ピッチ駆動装置として用いられると好適である。また、この例に限らず、本実施形態に係る偏心型減速機は、揺動減速機構がケースの内側に配置され、電動機が取り付けられるモータフランジがケースの開口部を覆うように取り付けられ、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される偏心型減速機に関して、広く適用することができるものである。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る偏心型減速機1を示す正面図であり、一部切欠き断面を含む図である。偏心型減速機1は、例えば、風車のナセルを旋回させる風車用ヨー駆動装置として用いられ、上側に配置される電動機100(図1では一部のみを図示)から入力された回転を減速して伝達して出力する。そして、偏心型減速機1は、ケース11、モータフランジ12、入力軸13、揺動減速機構14、キャリア15、出力軸16、第1主軸受17、第2主軸受18、シールハウジング19、第1シール部材20、第2シール部材21、第3シール部材22、軸受保持部材23、等を備えて構成されている。
【0026】
図1に示すように、偏心型減速機1は、下側に配置された一端側においてケース11から突出するように位置する出力軸16にピニオン101が取り付けられ、上側に配置された他端側においてモータフランジ12に対して電動機100が取り付けられる。尚、図1では、ピニオン101を模式的に示している。そして、偏心型減速機1においては、上側に配置された電動機100から入力された回転駆動力をモータフランジ12の内側に配置された入力軸13(図中破線で示す)及び遊星歯車機構(図示せず)、ケース11の内側に配置された揺動減速機構14及びキャリア15を介して伝達して出力軸16に取り付けられたピニオン101に出力する。偏心型減速機1が風車用ヨー駆動装置として用いられ
る場合には、偏心型減速機1は、ピニオン101が風車のタワーの上部に固定された歯車と噛み合うように配置される。そして、電動機100からの駆動力に伴って偏心型減速機1が作動してピニオン101が回転することで、風車のナセルが旋回する。尚、以下の説明においては、偏心型減速機1にて、出力軸16が配置される下側である出力側を一端側として、電動機100が配置される上側である入力側を他端側として説明する(第2実施形態の説明も同様とする)。
【0027】
図1に示すように、ケース11は、両端部が開口した筒状に形成されており、一端側の開口部からは出力軸16が突出し、他端側の開口部はモータフランジ12により覆われている。そして、ケース11は、内周に複数のピン内歯24が配置され、内部には揺動減速機構14等が配置されている。また、揺動減速機構14及びキャリア15と出力軸16とは、偏心型減速機1の回転中心線P(図1において一点鎖線で図示)の方向と同一の方向であるケース11の軸方向(以下、「ケース11の軸方向P」ともいう)に沿って配置されている。尚、ケース11の内部は外部に対して後述する第1乃至第3シール部材(20、21、22)等によって密封されており、この密封されたケース11の内部には潤滑油が充填されている。
【0028】
また、ピン内歯(本実施形態における内歯)24は、複数設けられており、ケース11の内周に形成されたピン溝に嵌め込まれて取り付けられた状態でケース11の内周に配置されている。ピン内歯24は、ピン状の部材(丸棒状の部材)として形成され、その長手方向がケース11の軸方向Pと平行に位置するように配置されるとともに、ケース11の内周において周方向に沿って等間隔で配列され、後述する揺動減速機構14の外歯歯車の外歯と噛み合うように構成されている。
【0029】
入力軸13は、電動機100の出力軸(図示せず)と連結されており、電動機100からの駆動力がその他端側に入力される軸状の部材として設けられ、回転中心線P上に配置されている。また、入力軸13の一端側には、図示しない遊星歯車機構が連結されている。そして、この遊星歯車機構は出力側が更に入力ギア27に連結されている。
【0030】
モータフランジ12は、ケース11の他端側の開口部を覆う蓋状の部材として形成されており、一端側に向かって段状に拡径する外形となるように形成された筒状体として設けられている。このモータフランジ12の内側には入力軸13が配置されている。また、モータフランジ12の一端側の端部であるフランジ一端側端部12aは、ケース11の他端側の端部であるケース他端側端部11aに対してボルト31により固定されている。これにより、モータフランジ12がケース11に対してこのケース11の他端側の開口部を覆うように取り付けられている。一方、モータフランジ12の他端側には、電動機100が取り付けられている。
【0031】
揺動減速機構14は、クランク軸25や外歯歯車等を備えて構成されている。尚、図1では、クランク軸25の他端側の一部を除いて(即ち、クランク軸25の大部分と外歯歯車とについて)、破線の斜線で示し、詳細な図示を省略している。また、揺動減速機構14のクランク軸25と入力軸13との間には、前述の遊星歯車機構(図示せず)、入力ギア27、及びスパーギア26が設けられ、揺動減速機構14には、電動機100からの駆動力が、入力軸13、遊星歯車機構、入力ギア27、及びスパーギア26を介して伝達されるように構成されている。尚、入力ギア27は、軸状の歯車部材として設けられ、回転中心線P上に配置されている。入力ギア27には、その一端側にはスパーギア26に噛み合う歯車部分が形成され、これにより、入力ギア27は、遊星歯車機構を介して減速して伝達された電動機100からの駆動力をスパーギア26に入力するように構成されている。また、スパーギア26は、入力ギア27の歯車部分と噛み合うように入力ギア27の周囲に複数個(例えば、3個)配置されており、入力ギア27に対して偏心型減速機1の径
方向(回転中心線Pに対して垂直な方向)に位置している。スパーギア26は、中央部分に貫通孔が形成され、この貫通孔にてクランク軸25の他端側の端部に対してスプライン結合により固定されている。
【0032】
揺動減速機構14のクランク軸25は、回転中心線Pを中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数(例えば、3つ)配置されており、その軸方向が回転中心線Pと平行になるように配置されている。各クランク軸25は、外歯歯車に形成されたクランク用孔(図示せず)をそれぞれ貫通するように配置されており、回転することで外歯歯車を偏心させて回転させる軸部材として設けられている。そして、クランク軸25は、自らの回転(自転)に伴う外歯歯車の回転とともに、公転動作を行うことになる。尚、クランク軸25には、特許文献1に開示されたクランク軸と同様に、直列に配置された複数(例えば、2つ)の偏心部が設けられている。各偏心部は、軸方向と垂直な断面が円形断面となるように形成され、それぞれの中心位置がクランク軸25の回転中心線に対して偏心するように設けられている。また、クランク軸25の一端側及び他端側は、それぞれクランク軸軸受を介してキャリア15に対して回転自在に保持されている。尚、図1ではクランク軸軸受の図示を省略しているが、クランク軸軸受は、例えば、円錐ころ軸受として設けられている。
【0033】
揺動減速機構14の外歯歯車は、特許文献1に開示された外歯歯車と同様に構成されている。そして、この外歯歯車は、複数(例えば、2つ)設けられ、平行に配置された状態でケース11内に収納されている。外歯歯車には、各クランク軸25が軸受を介して貫通するクランク用孔、及び後述する各支柱30が遊嵌状態で貫通する支柱貫通孔が、外歯歯車の周方向に沿って交互に複数形成されている。また、外歯歯車のそれぞれの外周には、ピン内歯24に噛み合う外歯が設けられている。外歯歯車の外歯の歯数は、ピン内歯24の歯数よりも1個又は複数個少なくなるように設けられている。このため、クランク軸25が回転すると、噛み合う外歯とピン内歯24との噛み合いがずれ、外歯歯車が偏心して揺動回転するように構成されている。
【0034】
キャリア15は、ケース11の内側に配置され、基部キャリア28、端部キャリア29、及び支柱30を備えて構成されている。基部キャリア28は、その一端側において出力軸16が一体に形成されてケース11内に配置されている(出力軸16は一体に形成されることで基部キャリア28に固定されている)。基部キャリア28は、その他端側において周方向に沿って複数のクランク保持穴28aが形成され、このクランク保持穴28aによって各クランク軸25の一端側をクランク軸軸受を介して回転自在に保持している。端部キャリア29は、支柱30を介して基部キャリア28と連結され、円板状の部材として設けられている。端部キャリア29には、クランク軸25の他端側が配置される貫通孔としてクランク貫通孔29aが周方向に沿って複数形成されている。このクランク貫通孔29aにおいて、クランク軸25の他端側がクランク軸軸受を介して回転自在に保持されている。
【0035】
支柱30は、基部キャリア28と端部キャリア29との間に配置された柱状部分として設けられ、この支柱30によって基部キャリア28と端部キャリア29とが連結されている。支柱30は、回転中心線Pを中心とした周方向に沿って複数(例えば、3つ)配置され、その軸方向が回転中心線Pと平行となるように配置されている。また、支柱30とクランク軸25とは、回転中心線Pを中心とした周方向に沿って交互に配置されている。各支柱30は、基部キャリア28に一体に形成され、基部キャリア28の他端側において突出するように設けられている。尚、基部キャリア28と端部キャリア29とは、支柱30とこの支柱30に挿入される図示しないボルトとを介して結合される。
【0036】
第1主軸受17は、端部キャリア29の外周とケース11の他端側における内周との間
に配置され、ケース11に対してキャリア15を回転自在に保持するように構成されている。この第1主軸受17は、外輪がケース11の他端側の内周に嵌め込まれるとともに内輪が端部キャリア29の外周に嵌め込まれた玉軸受として設けられている。尚、第1主軸受17は、その一端側の位置は、ケース11の他端側の内周に形成された段部に外輪が係合することで規定され、その他端側の位置は、端部キャリア29の外周の他端側に形成された縁部に内輪が係合することで規定されている。
【0037】
第2主軸受18は、出力軸16の外周とケース11の一端側における内周との間に配置され、ケース11に対して出力軸16を回転自在に保持するように構成されている。この第2主軸受18は、外輪がケース11の一端側の内周に嵌め込まれるとともに内輪が出力軸16の外周に嵌め込まれた円錐ころ軸受として設けられている。また、第2主軸受18の一端側には、リング状に形成された軸受保持部材23が配置されている。この軸受保持部材23は、出力軸16の外周に取り付けられて第2主軸受18の一端側を支持するように構成されている。尚、軸受保持部材23は、例えば、螺合することで出力軸16に取り付けられる。そして、第2主軸受18は、その一端側の位置は、軸受保持部材23の他端側の端部に当接することで規定され、その他端側の位置は、ケース11の一端側の内周に形成された段部に外輪が係合することで規定されている。
【0038】
次に、第1乃至第3シール部材(20、21、22)と、偏心型減速機1におけるこれらのシール部材(20〜22)が配置される箇所の近傍部分における構成とについて、詳しく説明する。図2は、図1における一部を拡大した断面図であって、第1シール部材20及びその近傍の部分を示す拡大断面図である。
【0039】
図2によく示すように、ケース他端側端部11aとフランジ一端側端部12aとはボルト31で結合されている。そして、ケース他端側端部11aの端面32とフランジ一端側端部12aの端面33とは、対向して当接した状態で配置されている。端面32及び端面33は、いずれもケース11の軸方向Pに垂直な平面として形成されている。また、ケース他端側端部11aの端面32には、周方向に亘って延びるように凹み形成された第1シール用凹部34が形成されている。この第1シール用凹部34は、端面32において環状に配置され、周方向と垂直な断面において矩形断面を有する溝状の部分として形成されている。そして、第1シール用凹部34における溝状の部分としての底面は、ケース11の軸方向Pに垂直な平面として形成されている。
【0040】
また、ケース他端側端部11aの外周側の縁部分には、周方向に亘って延びるように形成されるとともに段状に凹み形成された第1嵌合用凹み部35が設けられている。そして、フランジ一端側端部12aの外周側には、周方向に亘って延びる凸状に形成されるとともに、第1嵌合凹み部35に対してその外側で嵌め合う第1嵌合用凸部36が設けられている。このように、ケース他端側端部11aとフランジ一端側端部12aとは、環状に配置された第1嵌合用凹み部35と第1嵌合用凸部36とにおいて、外周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されている。
【0041】
第1シール部材20は、リング状に形成された略円形断面又は略楕円形断面のOリングシール部材として設けられており、第1シール用凹部34に嵌め込まれた状態で配置されている。即ち、第1シール部材20は、その直径寸法が第1シール用凹部34の直径寸法に対応するように設けられている。そして、第1シール部材20は、フランジ一端側端部12aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(本実施形態では端面33)と、ケース他端側端部11aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(本実施形態では第1シール用凹部34の底面)とに対して、当接して固定されている。これにより、ケース11とモータフランジ12との間においてケース11内の潤滑油がケース11内に封止されている。
【0042】
図3は、図1における一部を拡大した断面図であって、第2シール部材21及び第3シール部材22とその近傍の部分とを示す拡大断面図である。図1及び図3に示すように、第2シール部材21は、リング状に形成され、その内周に設けられたリップ部が軸受保持部材23の外周に対して当接してケース11内の潤滑油をケース11内に封止するように構成されている。また、シールハウジング19は、リング状の部材として形成され、ケース11の一端側の端部であるケース一端側端部11bに取り付けられるとともに、第2シール部材21を保持するように構成されている。尚、第2シール部材21は、その外周がシールハウジング19の内周に密着した状態で、シールハウジング19に保持されている。
【0043】
シールハウジング19とケース一端側端部11bとはボルト37で結合されている。そして、シールハウジング19の他端側の端部であるハウジング他端側端部19aの端面38とケース一端側端部11bの端面39とは、対向して当接した状態で配置されている。端面38及び端面39は、いずれもケース11の軸方向Pに対して垂直な平面として形成されている。また、ケース一端側端部11bの端面39には、周方向に亘って延びるように凹み形成された第2シール用凹部40が形成されている。この第2シール用凹部40は、端面39において環状に配置され、周方向と垂直な断面において矩形断面を有する溝状の部分として形成されている。そして、第2シール用凹部40における溝状の部分としての底面(図3では矩形断面における上側に配置された状態で図示されている)は、ケース11の軸方向Pに垂直な平面として形成されている。
【0044】
また、ケース一端側端部11bの外周側の縁部分には、周方向に亘って延びるように形成されるとともに段状に凹み形成された第2嵌合用凹み部41が設けられている。そして、ハウジング他端側端部19aの外周側には、周方向に亘って延びる凸状に形成されるとともに、第2嵌合凹み部41に対してその外側で嵌め合う第2嵌合用凸部42が設けられている。このように、ケース一端側端部11bとハウジング他端側端部19aとは、環状に配置された第2嵌合用凹み部41と第2嵌合用凸部42とにおいて、外周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されている。
【0045】
第3シール部材22は、リング状に形成された略円形断面又は略楕円形断面のOリングシール部材として設けられており、第3シール用凹部40に嵌め込まれた状態で配置されている。即ち、第3シール部材22は、その直径寸法が第2シール用凹部40の直径寸法に対応するように設けられている。そして、第3シール部材22は、ケース一端側端部11bにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(本実施形態では第2シール用凹部40の底面)と、ハウジング他端側端部19aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(本実施形態では端面38)とに対して、当接して固定されている。これにより、ケース11とシールハウジング19との間においてケース11内の潤滑油がケース11内に封止されている。
【0046】
次に、上述した偏心型減速機1の作動について説明する。偏心型減速機1は、電動機100の運転が行われることにより作動する。電動機100の運転が開始されると、入力軸13及び図示しない遊星歯車機構を介して駆動される入力ギア27が回転する。入力ギア27が回転すると、入力ギア27に噛み合う各スパーギア26が回転し、各スパーギア26が固定された各クランク軸25が回転する。この回転に伴って、クランク軸25の偏心部から外歯歯車に対して荷重が作用し、外歯歯車がピン内歯24と噛み合いをずらしながら揺動するように偏心して回転する。そして、外歯歯車の偏心回転に伴って、外歯歯車に対して回転保持されたクランク軸25が自転しながら回転中心線Pを中心として公転動作を行う。このクランク軸25の公転動作により、クランク軸25を回転自在に保持するキャリア15とともに、出力軸16が回転し、大きなトルクがピニオン101から出力され
ることになる。そして、ケース11内の潤滑油は、第1シール部材20、第2シール部材21、第3シール部材22等によって封止されている。
【0047】
ここで、偏心型減速機1と従来技術に係る偏心型減速機とを比較し、ケース11の軸方向Pの長さの違いについて説明する。図4は、従来技術に係る偏心型減速機110を示す正面図であり、一部切欠き断面を含む図である。図4に示す偏心型減速機110においては、偏心型減速機1との対応関係を分かり易くする観点から、説明の便宜上、シール部材111及びシール部材112以外の構成要素については、偏心型減速機1と同一の符号を用いて図示している。尚、図4に示す偏心型減速機110のシール部材111は、フランジ一端側端部12aとケース他端側端部11aとの間においてケース11内の潤滑油をケース11内に封止している。シール部材112は、ケース一端側端部11bとハウジング他端側端部19aとの間においてケース11内の潤滑油を封止している。
【0048】
図5は、図2に対応する拡大断面図(図5(a))と、図4における一部を拡大した断面図であってシール部材111及びその近傍の部分を示す拡大断面図(図5(b))とを比較して示す図である。図5(a)に示すように、本実施形態の偏心型減速機1では、第1シール部材20は、ケース他端側端部11a及びフランジ一端側端部12aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面にそれぞれ当接して固定されている。そして、ケース他端側端部11aとフランジ一端側端部12aとは、第1嵌合用凹み部35及び第1嵌合用凸部36にて、外周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されている。
【0049】
一方、従来技術に係る偏心型減速機110では、図5(b)に示すように、シール部材111は、ケース他端側端部11aの内周とフランジ一端側端部12aとの間に配置されている。即ち、シール部材111は、ケース他端側端部11a及びフランジ一端側端部12aにおけるケース11の軸方向Pに平行な円筒面に対してそれぞれ当接して固定されている。また、ケース他端側端部11aとフランジ一端側端部12aとは、第1主軸受17が配置される内周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されている。
【0050】
従って、図5(a)及び(b)に示すように、偏心型減速機1と偏心型減速機110とを比較すると、第1主軸受17の外輪における一端側の端面17aとケース他端側端部11aの端面32との間の距離において、図中の両端矢印で示すように、長さ寸法L1の違いが生じることになる。即ち、偏心型減速機1のケース11は、偏心型減速機110のケース11に対して、ケース11の他端側において、ケース11の軸方向Pにおける長さが長さ寸法L1だけ短くなるように構成されている。
【0051】
図6は、図3に対応する拡大断面図(図6(a))と、図4における一部を拡大した断面図であってシール部材112及びその近傍の部分を示す拡大断面図(図6(b))とを比較して示す図である。図6(a)に示すように、本実施形態の偏心型減速機1では、第3シール部材22は、ケース一端側端部11b及びハウジング他端側端部19aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面にそれぞれ当接して固定されている。そして、ケース一端側端部11bとハウジング他端側端部19aとは、第2嵌合用凹み部41及び第2嵌合用凸部42にて、外周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されている。
【0052】
一方、従来技術に係る偏心型減速機110では、図6(b)に示すように、シール部材112は、ケース一端側端部11bの内周とハウジング他端側端部19aとの間に配置されている。即ち、シール部材112は、ケース一端側端部11b及びハウジング他端側端部19aにおけるケース11の軸方向Pに平行な円筒面に対してそれぞれ当接して固定されている。また、ケース一端側端部11bとハウジング他端側端部19aとは、第2主軸受18が配置される内周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されている。
【0053】
従って、図6(a)及び(b)に示すように、偏心型減速機1と偏心型減速機110とを比較すると、第2主軸受18の外輪における他端側の端面18aとケース一端側端部11bの端面39との間の距離において、図中の両端矢印で示すように、長さ寸法L2の違いが生じることになる。即ち、偏心型減速機1のケース11は、偏心型減速機110のケース11に対して、ケース11の一端側において、ケース11の軸方向Pにおける長さが長さ寸法L2だけ短くなるように構成されている。従って、ケース11の一端側における長さ寸法の違いも合わせると、偏心型減速機1のケース11は、偏心型減速機110のケース11に対して、ケース11の軸方向Pにおける長さが合計で長さ寸法(L1+L2)だけ短くなるように構成されている。
【0054】
以上説明した偏心型減速機1によると、ケース他端側端部11aの端面32に形成された第1シール用凹部34に配置されたリング状の第1シール部材20によって、ケース11内の潤滑油がケース11とモータフランジ12との間で封止される。そして、第1シール部材20は、フランジ一端側端部12a及びケース他端側端部11aのそれぞれに対して、ケース11の軸方向Pに垂直な平面で当接して固定される。このため、フランジ一端側端部12a及びケース他端側端部11aにおいて、これらの端面(32、33)及び第1シール用凹部34が位置する領域を効率よく活用して第1シール部材20を配置して固定することができる。これにより、ケース11内の潤滑油をケース11とモータフランジ12との間で封止する第1シール部材20が、ケース11の端部の内周とモータフランジ12の端部との間に配置されることがない。そして、端部キャリア29の外周とケース11の内周との間に配置された第1主軸受17と第1シール部材20とがケース11の内周においてケース11の軸方向Pに沿って並んで配置されてしまうこともない。このため、ケース11が軸方向に長くなってしまうことを抑制でき、ケース11の軸方向Pにおける長さを短くすることができる(短軸化できる)。また、ケース11を短軸化できるため、ケース11の加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる。これにより、偏心型減速機1において、より大きな減速比に設定して出力トルクの向上を図るとともに小径化を図った場合であっても、短軸化が図られるため、従来と同様の仕様の加工機械を用いてケース11の加工を行うことができる。
【0055】
従って、本実施形態によると、ケース11内の潤滑油がケース11とモータフランジ12との間で封止される偏心型減速機1において、ケース11の軸方向Pにおける長さを短くすることができ、ケース11の加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる。
【0056】
また、偏心型減速機1によると、フランジ一端側端部12aの外周側及びケース他端側端部11aの外周側において、一方に第1嵌合用凹み部35が設けられ、他方に第1嵌合用凹み部35に外側で嵌め合う第1嵌合用凸部36が設けられる。そして、ケース11とモータフランジ12とを固定して組み立てる際には、第1嵌合用凹み部35と第1嵌合用凸部36との嵌め合い箇所で位置決めされ、容易に組み立てが行われる。また、ケース11とモータフランジ12との嵌め合い箇所が、ケース11及びモータフランジ12に対して、内周側に配置されず、外周側に配置されている。このため、ケース11及びモータフランジ12の嵌め合い箇所と第1主軸受17とがケース11の内周においてケース11の軸方向Pに沿って並んで配置されてしまうことがない。これにより、ケース11の軸方向Pにおける長さを更に短くすることができる。そして、偏心型減速機1では、第1嵌合用凹み部35がケース他端側端部11aに設けられ、第1嵌合用凸部36がフランジ一端側端部12aに設けられる。このため、ケース11及びモータフランジ12の嵌め合い箇所において、ケース11側に凹み部が設けられるため、第1嵌合用凸部36がケース11側で第1嵌合用凹み部35がモータフランジ12側に設けられる場合に比して、更にケース11の軸方向Pにおける長さを短くすることができる。
【0057】
また、偏心型減速機1によると、ケース一端側端部11bの端面39に形成された第2シール用凹部40に配置されたリング状の第3シール部材22によって、ケース11内の潤滑油がケース11とシールハウジング19との間で封止される。そして、第3シール部材22は、ケース一端側端部11b及びハウジング他端側端部19aのそれぞれに対して、ケース11の軸方向Pに垂直な平面で当接して固定される。このため、ケース一端側端部11b及びハウジング他端側端部19aにおいて、これらの端面(38、39)及び第2シール用凹部40が位置する領域を効率よく活用して第3シール部材22を配置して固定することができる。これにより、ケース11内の潤滑油をケース11とシールハウジング19との間で封止する第3シール部材22が、ケース11の端部の内周とシールハウジング19の端部との間に配置されることがない。そして、出力軸16の外周とケース11の内周との間に配置された第2主軸受18と第3シール部材22とがケース11の内周においてケース11の軸方向Pに沿って並んで配置されてしまうこともない。このため、ケース11が軸方向に長くなってしまうことを更に抑制でき、ケース11の軸方向Pにおける長さを更に短くすることができる。
【0058】
また、偏心型減速機1によると、ケース一端側端部11bの外周側及びハウジング他端側端部19aの外周側において、一方に第2嵌合用凹み部41が設けられ、他方に第2嵌合用凹み部41に外側で嵌め合う第2嵌合用凸部42が設けられる。そして、ケース11とシールハウジング19とを固定して組み立てる際には、第2嵌合用凹み部41と第2嵌合用凸部42との嵌め合い箇所で位置決めされ、容易に組み立てが行われる。また、ケース11とシールハウジング19との嵌め合い箇所が、ケース11及びシールハウジング19に対して、内周側に配置されず外周側に配置されている。このため、ケース11及びシールハウジング19の嵌め合い箇所と第2主軸受18とがケース11の内周においてケース11の軸方向Pに沿って並んで配置されてしまうことがない。これにより、ケース11の軸方向Pにおける長さを更に短くすることができる。そして、偏心型減速機1では、第2嵌合用凹み部41がケース一端側端部11bに設けられ、第2嵌合用凸部42がハウジング他端側端部19aに設けられる。このため、ケース11及びシールハウジング19の嵌め合い箇所において、ケース11側に凹み部が設けられるため、第2嵌合用凸部42がケース11側で第2嵌合用凹み部41がシールハウジング19側に設けられる場合に比して、更にケース11の軸方向Pにおける長さを短くすることができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態に係る偏心型減速機2を示す正面図であり、一部切欠き断面を含む図である。偏心型減速機2は、例えば、風車用ヨー駆動装置として用いられ、上側に配置される電動機100(図2では一部のみを図示)から入力された回転を減速して伝達して出力する。そして、偏心型減速機2は、第1実施形態の偏心型減速機1と同様に、ケース11、モータフランジ12、入力軸13、揺動減速機構14、キャリア15、出力軸16、第1主軸受17、第2主軸受18、シールハウジング19、第1シール部材20、第2シール部材21、第3シール部材22、軸受保持部材23、等を備えて構成されている。尚、図7では、ケース11及び出力軸16の一端側の図示を省略しており、第2主軸受18、第2シール部材21及び第3シール部材22等の図示も省略している。但し、偏心型減速機2は、ケース他端側端部11a及びフランジ一端側端部12aの構成の一部において第1実施形態とは異なっている。以下、第1実施形態と同様の構成については図面において同一の符号を付して説明を省略し、ケース他端側端部11a及びフランジ一端側端部12aにおける第1実施形態とは構成の異なる箇所について説明する。
【0060】
図8は、図7における一部を拡大した断面図であって、第1シール部材20及びその近傍の部分を示す拡大断面図である。図2によく示すように、偏心型減速機2においては、偏心型減速1と同様に、第1シール部材20は、フランジ一端側端部12aにおけるケー
ス11の軸方向Pに垂直な平面(端面33)と、ケース他端側端部11aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(第1シール用凹部34の底面)とに対して、当接して固定されている。しかし、偏心型減速機2では、第1嵌合用凹み部35及び第1嵌合用凸部36が設けられておらず、ケース他端側端部11aとフランジ一端側端部12aとは、外周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されていない。そして、第1主軸受17は、その外輪の外周17bがケース他端側端部11aの内周に当接するとともにフランジ一端側端部12aの内周にも当接するように配置されている。このため、偏心型減速機2では、第1主軸受17の外輪の外周17bとケース他端側端部11aの端面32とに対して、フランジ一端側端部12aが内周側で案内されて嵌め合うように構成されている。
【0061】
上述した偏心型減速機2によると、第1実施形態の偏心型減速機1と同様に、第1シール部材20がフランジ一端側端部12a及びケース他端側端部11aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な各平面に対して、当接して固定される。このため、ケース11内の潤滑油がケース11とモータフランジ12との間で封止される偏心型減速機2において、ケース11の軸方向Pにおける長さを短くすることができ、ケース11の加工機械の制限を受けてしまうことを抑制することができる。
【0062】
また、偏心型減速機2によると、第1主軸受17は、外輪の外周17bがケース他端側端部11aの内周に当接するよう配置される。そして、ケース11とモータフランジ12とを固定して組み立てる際には、ケース他端側端部11aの端面32と第1主軸受17の外輪の外周17bとに亘って凹むように区画された領域に対してフランジ一端側端部12aの内周側が嵌め合うようにして位置決めされ、容易に組み立てが行われる。このため、フランジ一端側端部12aの内周にも当接する第1主軸受17の外輪の外周17bが有効的に活用されることで、ケース11とモータフランジ12との嵌め合い箇所が構成されることになる。これにより、ケース11及びモータフランジ12の嵌め合い箇所と第1主軸受17とがケース11の内周においてケース11の軸方向Pに沿って別個に独立した状態で並んで配置されてしまうことがない。このため、第1主軸受17の外輪の外周17bをケース11及びモータフランジ12の嵌め合い箇所の一部として有効的に活用でき、ケース11の軸方向Pにおける長さを更に短くすることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更して実施することができる。
【0064】
(1)本実施形態では、第1シール用凹部がケース他端側端部の端面に形成されている場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、第1シール用凹部は、ケース他端側端部の端面とフランジ一端側端部の端面とのうちの少なくともいずれか一方に形成されていればよい。また、本実施形態では、第2シール用凹部がケース一端側端部の端面に形成されている場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、第2シール用凹部は、ケース一端側端部の端面とハウジング他端側端部の端面とのうちの少なくともいずれか一方に形成されていればよい。また、本実施形態では、第1シール用凹部及び第2シール用凹部が、溝状の部分として凹み形成されている場合を説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、第1シール用凹部及び第2シール用凹部は、ケース、モータフランジ、シールハウジングの端部の内周側において段状の部分として凹み形成されているものであってもよい。
【0065】
(2)第1実施形態では、第1嵌合用凹み部及び第1嵌合用凸部がケース及びモータフランジの外周側に設けられる場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、ケースとモータフランジとを結合するボルトの位置と第1シール部材の位置とがケース及びモータフランジの径方向において適宜調整されることで、第1嵌合用凹み部及び第1
嵌合用凸部がケース及びモータフランジの内周側に設けられるものであってもよい。また、第1実施形態では、第1嵌合用凹み部がケース他端側端部に設けられて第1嵌合用凸部がフランジ一端側端部に設けられた場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、第1嵌合用凹み部がフランジ一端側端部に設けられて第1嵌合用凸部がケース他端側端部に設けられるものであってもよい。
【0066】
(3)第1実施形態では、第2嵌合用凹み部及び第2嵌合用凸部がケース及びシールハウジングの外周側に設けられる場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、ケースとシールハウジングとを結合するボルトの位置と第3シール部材の位置とがケース及びシールハウジングの径方向において適宜調整されることで、第2嵌合用凹み部及び第2嵌合用凸部がケース及びシールハウジングの内周側に設けられるものであってもよい。また、本実施形態では、第2嵌合用凹み部がケース一端側端部に設けられて第2嵌合用凸部がハウジング他端側端部に設けられた場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、第2嵌合用凹み部がハウジング他端側端部に設けられて第2嵌合用凸部がケース一端側端部に設けられるものであってもよい。
【0067】
(4)また、第2嵌合用凹み部及び第2嵌合用凸部が設けられていない偏心型減速機を実施することもできる。図9は、変形例に係る偏心型減速機の断面の一部を拡大して示す断面図であって、図3に対応させて第3シール部材22及びその近傍の部分を示す拡大断面図である。尚、図9に示す変形例の以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成については図面において同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図9に示す変形例に係る偏心型減速機においては、偏心型減速機1と同様に、第3シール部材22は、ケース一端側端部11bにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(第2シール用凹部40の底面)と、ハウジング他端側端部19aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な平面(端面38)とに対して、当接して固定されている。しかし、図9の変形例に係る偏心型減速機では、第2嵌合用凹み部41及び第2嵌合用凸部42が設けられておらず、ケース一端側端部11bとハウジング他端側端部19aとは、外周側で互いに案内されて嵌め合うように構成されていない。そして、第2主軸受18は、その外輪の外周18bがケース一端側端部11bの内周に当接するとともにハウジング他端側端部19aの内周にも当接するように配置されている。このため、図9の変形例に係る偏心型減速機では、第2主軸受18の外輪の外周18bとケース一端側端部11bの端面39とに対して、ハウジング他端側端部19aが内周側で案内されて嵌め合うように構成されている。
【0069】
図9に示す変形例に係る偏心型減速機によると、第1実施形態の偏心型減速機1と同様に、第3シール部材22がケース一端側端部11b及びハウジング他端側端部19aにおけるケース11の軸方向Pに垂直な各平面に対して、当接して固定される。このため、ケース11の一端側での軸方向Pにおける長さを短くすることができる。
【0070】
また、図9に示す変形例に係る偏心型減速機によると、第2主軸受18は、外輪の外周18bがケース一端側端部11bの内周に当接するよう配置される。そして、ケース11とシールハウジング19とを固定して組み立てる際には、ケース一端側端部11bの端面39と第2主軸受18の外輪の外周18bとに亘って凹むように区画された領域に対してハウジング他端側端部19aの内周側が嵌め合うようにして位置決めされ、容易に組み立てが行われる。このため、ハウジング他端側端部19aの内周にも当接する第2主軸受18の外輪の外周18bが有効的に活用されることで、ケース11とシールハウジング19との嵌め合い箇所が構成されることになる。これにより、ケース11及びシールハウジング19の嵌め合い箇所と第2主軸受18とがケース11の内周においてケース11の軸方向Pに沿って別個に独立した状態で並んで配置されてしまうことがない。このため、第2
主軸受18の外輪の外周18bをケース11及びシールハウジング19の嵌め合い箇所の一部として有効的に活用でき、ケース11の軸方向Pにおける長さを更に短くすることができる。
【0071】
(5)本実施形態では、軸受保持部材がピニオンとは別体に形成された部材として設けられている場合を説明したが、この通りでなくてもよく、軸受保持部材がピニオンと一体に形成された部材として設けられているものであってもよい。
【0072】
(6)また、クランク軸やキャリア等については、種々形態を変更して実施することができる。例えば、クランク軸が回転中心線上に配置されたセンタクランクタイプの偏心型減速機に本発明が適用されてもよい。また、出力軸については、キャリアと一体でなくキャリアとは別部材として設けられてもよい。また、基部キャリアと端部キャリアとを連結する支柱は、基部キャリアに一体に形成されていなくてもよく、基部キャリアとは別部材として形成されていてもよい。また、クランク軸及び支柱の数や、クランク軸の偏心部の個数や外歯歯車の枚数については、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、揺動減速機構がケースの内側に配置され、電動機が取り付けられるモータフランジがケースの開口部を覆うように取り付けられ、ケース内の潤滑油がケースとモータフランジとの間で封止される偏心型減速機として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 偏心型減速機
11 ケース
11a ケース他端側端部
12 モータフランジ
12a フランジ一端側端部
13 入力軸
14 揺動減速機構
15 キャリア
16 出力軸
17 第1主軸受
18 第2主軸受
20 第1シール部材
24 ピン内歯(内歯)
25 クランク軸
28 基部キャリア
29 端部キャリア
30 支柱
32 ケース他端側端部の端面
33 フランジ一端側端部の端面
34 第1シール用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されるとともに内歯が内周に配置されたケースと、
前記内歯に噛み合う外歯が外周に設けられた外歯歯車、及び、前記外歯歯車を偏心させて回転させるクランク軸、を有し、前記ケースの内側に配置される揺動減速機構と、
前記クランク軸の一端側を回転自在に保持する基部キャリア、前記クランク軸の他端側を回転自在に保持する端部キャリア、及び、前記基部キャリアと前記端部キャリアとの間に配置されて前記基部キャリアと前記端部キャリアとを連結する支柱、を有し、前記ケースの内側に配置されるキャリアと、
前記基部キャリアに固定され、ピニオンが取り付けられる出力軸と、
電動機からの駆動力が入力される入力軸が内側に配置され、前記電動機が取り付けられるとともに前記ケースに対して当該ケースの開口部を覆うように取り付けられるモータフランジと、
前記端部キャリアの外周と前記ケースの他端側における内周との間に配置され、前記ケースに対して前記キャリアを回転自在に保持する第1主軸受と、
前記出力軸の外周と前記ケースの一端側における内周との間に配置され、前記ケースに対して前記出力軸を回転自在に保持する第2主軸受と、
を備えた偏心型減速機であって、
前記モータフランジの一端側の端部であるフランジ一端側端部の端面と前記ケースの他端側の端部であるケース他端側端部の端面とのうちの少なくともいずれか一方において周方向に亘って延びるように凹み形成された第1シール用凹部に配置され、リング状に形成された第1シール部材を更に備え、
前記第1シール部材は、前記フランジ一端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面と前記ケース他端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面とに対して当接して固定され、前記ケース内の潤滑油を封止することを特徴とする、偏心型減速機。
【請求項2】
請求項1に記載の偏心型減速機であって、
前記フランジ一端側端部の外周側と前記ケース他端側端部の外周側とのうちの一方には、周方向に亘って延びるように形成されるとともに段状に凹み形成された第1嵌合用凹み部が設けられ、
前記フランジ一端側端部の外周側と前記ケース他端側端部の外周側とのうちの他方には、周方向に亘って延びる凸状に形成されるとともに、前記第1嵌合用凹み部に対してその外側で嵌め合う第1嵌合用凸部が設けられていることを特徴とする、偏心型減速機。
【請求項3】
請求項2に記載の偏心型減速機であって、
前記第1嵌合用凹み部は前記ケース他端側端部の外周側に設けられ、前記第1嵌合用凸部は前記フランジ一端側端部の外周側に設けられていることを特徴とする、偏心型減速機。
【請求項4】
請求項1に記載の偏心型減速機であって、
前記第1主軸受は、その外輪の外周が前記ケース他端側端部の内周に当接するとともに前記フランジ一端側端部の内周にも当接するように配置されていることを特徴とする、偏心型減速機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の偏心型減速機であって、
前記出力軸の外周に取り付けられて前記第2主軸受の一端側を支持する軸受保持部材と、
前記軸受保持部材の外周に対して当接して前記ケース内の潤滑油を封止する第2シール部材と、
前記ケースの一端側の端部であるケース一端側端部に取り付けられるとともに、前記第
2シール部材を保持するシールハウジングと、
前記ケース一端側端部の端面と前記シールハウジングの他端側の端部であるハウジング他端側端部の端面とのうちの少なくともいずれか一方において周方向に亘って延びるように凹み形成された第2シール用凹部に配置され、リング状に形成された第3シール部材と、
を更に備え、
前記第3シール部材は、前記ケース一端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面と前記ハウジング他端側端部における前記ケースの軸方向に垂直な平面とに対して当接して固定され、前記ケース内の潤滑油を封止することを特徴とする、偏心型減速機。
【請求項6】
請求項5に記載の偏心型減速機であって、
前記ケース一端側端部の外周側と前記ハウジング他端側端部の外周側とのうちの一方には、周方向に亘って延びるように形成されるとともに段状に凹み形成された第2嵌合用凹み部が設けられ、
前記ケース一端側端部の外周側と前記ハウジング他端側端部の外周側とのうちの他方には、周方向に亘って延びる凸状に形成されるとともに、前記第2嵌合用凹み部に対してその外側で嵌め合う第2嵌合用凸部が設けられていることを特徴とする、偏心型減速機。
【請求項7】
請求項6に記載の偏心型減速機であって、
前記第2嵌合用凹み部は前記ケース一端側端部の外周側に設けられ、前記第2嵌合用凸部は前記ハウジング他端側端部の外周側に設けられていることを特徴とする、偏心型減速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−21659(P2011−21659A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166358(P2009−166358)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】