説明

健康食品及び睡眠誘発用サプリメント

【課題】経口的に摂取することにより生体リズムを調節し、しかも睡眠を誘発、促進し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に有効な健康食品および該健康食品からなる睡眠誘発用サプリメントを提供する。
【解決手段】ココヤシの花序から採取した樹液を発酵してなるココ酢を主成分とする健康食品。又、このココ酢を濃縮し、この濃縮成分を主成分とし、製剤用助剤を加えた粉末剤、錠剤、ドリンク剤またはカプセル剤の形態からなる健康食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口的に摂取することにより生体リズムを調節し、しかも速やかな睡眠を誘発、促進し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に有効な健康食品及び睡眠誘発用サプリメントに関する。
【背景技術】
【0002】
エビやホタテなどの魚介類や米酢や黒酢などの酢類に多く含まれるアミノ酸の一種であるグリシンは、生体リズムの調節に関係するといわれている脳の松果体に効率よく蓄積され、しかも松果体を介して睡眠の神経性調節に寄与することが認められている。
【0003】
そのため、最近では、このグリシンを積極的に体内に取り込むべく、当該グリシンを含有する健康食品が開発されている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
【非特許文献1】味の素KK健康基盤食品「グリナ」(http://www.ajinomoto-ff.com/glvna/about/index.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エビやホタテからアミノ酸を抽出するには、例えば、エビやホタテの肉の煮汁や蒸煮汁を濃縮後ろ過し、ろ液をプロテアーゼにより酵素分解処理後更に濃縮し、グルコースやフルクトースなどの糖類を添加すると共に加熱褐変処理するなどの複雑な作業が必要となる。
【0006】
又、米酢や黒酢などの酢類にもアミノ酸は多く含まれるが、原料となる米酢や黒酢を得るためには、穀物中のデンプンを発酵させて糖分とし、これを更に発酵させて酢を得るといった長期間の発酵課程を必要とするため、原料自体の製造コストが高くなるといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ココヤシの花序から採取した樹液を発酵してなるココ酢を主成分として配合したことを特徴とする本発明の健康食品及び睡眠誘発用サプリメントを開発するに至ったのである。
【0008】
又、本発明者は、特に、ココヤシの花序から採取した樹液を発酵してなるココ酢を濃縮し、この濃縮成分を主成分として配合することにより、一層優れた本発明の健康食品及び睡眠誘発用サプリメントを開発するに至ったのである。
【0009】
即ち、本発明者は、ココ酢にはグリシンを含む比較的豊富なアミノ酸が含まれており、このようなココ酢の成分を主成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、生体リズムの恒常化を促進し、又、睡眠を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減などを可能にする睡眠誘発用サプリメントを得ることができるとの知見を得たのである。
【0010】
また、本発明者は、特に、ココ酢にはグリシンを含む比較的豊富なアミノ酸が含まれており、又、ココ酢の大部分が水分である点に着目し、ココ酢の水分を飛ばして含有成分を濃縮すれば、比較的簡単に高濃度のアミノ酸を得られるとの知見を得、このようなココ酢の濃縮成分を主成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、生体リズムの恒常化を一層促進し、又、速やかな睡眠を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減などを一層可能にする睡眠誘発用サプリメントを得ることができるとの知見を得たのである。
【0011】
本発明者は、同時に、ココ酢には、アミノ酸のみならず、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン及び鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココ酢、或いはこのココ酢の濃縮成分を主成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、ミネラル不足に起因する種々の疾患の予防・改善も可能にすることができるとの知見も得たのである。
【0012】
又、本発明者は、ココヤシの花序から採取した樹液には糖分が多く含まれることから、その発酵は迅速に進み、単に2〜3日放置するだけでも速やかにココ酢となることから、当該ココ酢の製造コストは米巣や黒酢などと比較して安価なものとなり、よって、このようなココ酢、或いはこのココ酢の濃縮成分を主成分とすれば比較的安価な健康食品及び睡眠誘発用サプリメントとなるとの知見も得たのである。
【0013】
本発明は、前記知見に基づき完成されたものであって、経口的に摂取することにより生体リズムを調節し、しかも睡眠を誘発、促進し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に有効な健康食品及び睡眠誘発用サプリメントを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明に係る健康食品は、ココヤシの花序から採取した樹液を発酵してなるココ酢を主成分として配合したことを特徴とするものである。
【0015】
この場合において、前記目的を一層効果的に達成するために、本発明に係る健康食品は、ココヤシの花序から採取した樹液を発酵してなるココ酢を濃縮し、この濃縮成分を主成分として配合したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の健康食品の原料として、このような「ココ酢」を用いた理由は、上述の如く、ココ酢には、グリシンを含む比較的大量のアミノ酸が含まれており、当該ココ酢の大部分が水分であることから、当該ココ酢の水分を飛ばして含有成分を濃縮すれば、比較的簡単に高濃度のアミノ酸が得られるからである。
【0017】
又、ココ酢には、アミノ酸のみならず、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココ酢を主成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、ミネラル不足も緩和することができたり、或いはこのココ酢の濃縮成分を主成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、いずれの場合もミネラル不足も緩和することができるのである。
【0018】
更に、ココヤシの花序から採取した樹液には糖分が多く含まれることから、その発酵は迅速に進み、単に2〜3日放置するだけでも速やかにココ酢となることから、当該ココ酢の製造コストは米巣や黒酢などと比較して安価なものとなり、よって、このココ酢の濃縮成分を主成分とすれば比較的安価な健康食品となり得るからである。
【0019】
加えて、ココ酢に含まれるミネラル成分は、いわゆる還元剤の役割を果たし、アミノ酸の劣化を防ぐことから、長期間にわたって、アミノ酸のフレッシュな状態を維持することができるのである。
【0020】
本発明に係る健康食品においては、前記ココ酢を主成分としたり、或いはこのココ酢の濃縮成分を主成分として配合したことを特徴とするものであり、このココ酢を濃縮する手段としては、含有されるアミノ酸を著しく変質させるものでなければ、特に限定されるものではなく、天日乾燥や加熱乾燥により、ココ酢中の水分を飛ばして濃縮しても良いが、本発明の健康食品の品質を一層向上させるために、濃縮の際に、外気(酸素)に極力触れない作業条件や低温条件下で行うことが好ましく、例えば、減圧乾燥や窒素雰囲気下更に低温条件下、或いはフリーズドライ等のアミノ酸やミネラル成分の活性を劣化することのない条件で乾燥することが好ましい。
【0021】
又、濃縮の程度としては、その後の健康食品としての形態に応じて適宜調節すれば良いのであり、ある程度の水分を飛ばした濃縮液の状態としても良く、完全に水分を飛ばして粉末状としても良いのである。
【0022】
そして、本発明における健康食品においては、前記ココ酢を主成分としたり、或いはこのココ酢の濃縮成分を主成分とするものであるが、ここにおいて、主成分とは、このようなココ酢のみで健康食品を形成したり、或いはこのようなココ酢に他の有効成分を配合しても良いとの意味であり、従って、本発明の健康食品には、ココ酢に含まれるアミノ酸及び各種のミネラル成分が豊富に含有されることになるのであるが、更に、糖、アルコール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ビタミン、微量元素、神経伝達物質又は植物抽出物などの添加剤を適宜配合しても良いのである。
【0023】
これらの添加剤としては、具体的に例えば、アセチルコリンの分泌を促すDHA(ドコサヘキサエン酸)、神経細胞からの命令を他へ伝えるビタミンB12、活性酸素を還元化するビタミンE、アセチルコリンの合成を促すと共に鉄分の吸収を促進するビタミンC、アセチルコリン生成を助長するパンテント酸カルシウム、血液中のコレステロール量を整える乳酸菌、脳血流の増加を促進するクエン酸第一鉄ナトリウムやイチョウ葉エキス、血流を良くするニンニク末、その他亜鉛やカキ殻粉末などのミネラル成分を挙げることができる。
【0024】
又、その他の活性成分として、ロディオラ、チョウセンニンジン、チョウセンゴミシ、スマ、カモミール、シダレヤナギ、マオウ、トケイソウ、カバカバ、オトギリソウ、カノコソウ、ニンニク、レイシタケ及び/又はガラナからの活性物質、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、タウリン、セリン、カルニチン、フェニルアラニン、メラトニン、チロシン、テアニン、エタノール、クレアチンクエン酸、クレアチンピルビン酸、バルビツル酸(誘導体)、並びにそれらの混合物などを適宜選択して配合することもできる。
【0025】
本発明における健康食品は、最終的には、例えば、粉末剤、錠剤、ドリンク剤及びカプセル剤等として成形され、その商品形態としては特に制限されるものではないが、空気中に暴露した状態で長期間保存すると、酸化・変質する虞があることから、特に、カプセルに封入したカプセル型健康食品とすることが好ましい。
【0026】
この健康食品を充填するカプセル基剤としては、現在、一般的に使用されている既知のカプセル基剤を好適に用いることができ、例えば、ゼラチン製の硬質カプセルに封入したり、ゼラチンにグリセリンなどを加えて柔軟にした2枚のゼラチン基剤の間にココナッツ水の濃縮成分を置き、型にのせ、温時圧搾して球形若しくは楕円体に成型したりする方法が挙げられる。
【0027】
なお、本発明においては、それぞれの商品形態に応じて、特に適切な製剤用助剤を適宜配合してもよく、この製剤用助剤としては、メチルセルロースなどの炭水化物や、SiO2、ステアリン酸塩、可溶化剤、染料、香味料、防腐剤、分離剤又は滑沢剤などから選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。
【0028】
そして、本発明に係る睡眠誘発用サプリメントにおいては、生体リズムの恒常化を促進し、又、睡眠を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減などを可能にすることから、本発明に係る健康食品を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、前記構成を有する新規な健康食品であり、ココ酢を主成分としたり、或いはこのココ酢の濃縮成分を主成分として配合したことを特徴とするものである。
【0030】
即ち、本発明の健康食品は、その原料として、「ココ酢」を用いており、このココ酢には、グリシンを含む比較的多量のアミノ酸が含まれており、当該ココ酢の大部分を占める水分を飛ばして含有成分を、特に、濃縮すれば、比較的簡単に高濃度のアミノ酸が得られるのである。
【0031】
そして、このココ酢には、アミノ酸のみならず、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココ酢の成分を主成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、ミネラル不足も緩和することができるのである。
【0032】
又、ココヤシの花序から採取した樹液には糖分が多く含まれることから、その発酵は迅速に進み、単に2〜3日放置するだけでも速やかにココ酢となることから、当該ココ酢の製造コストは米巣や黒酢などと比較して安価なものとなり、よって、このココ酢の濃縮成分を有効成分とすれば比較的安価な健康食品となり得るのである。
【0033】
さらに、ココ酢に含まれるミネラル成分は、いわゆる還元剤の役割を果たし、アミノ酸の劣化を防ぐことから、長期間にわたって、アミノ酸のフレッシュな状態を維持することができるのである。
【0034】
そして、本発明に係る睡眠誘発用サプリメントにおいては、本発明に係る健康食品が生体リズムの恒常化を促進し、又、睡眠を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減などを可能にすることから、睡眠を誘発するなどの効果を奏するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
本実施例において使用したココ酢100g当たりに含有されるアミノ酸を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1の値から、ココ酢には比較的高濃度のアミノ酸が含まれていることを確認することができる。
【0039】
そして、本実施例においては、このココ酢を減圧乾燥させ、完全に水分を飛ばすことにより、ココ酢の濃縮成分(粉末)を得た。
【0040】
次に、寝つきが悪い、起床が困難などの日常の睡眠に問題を感じている男女20人に対し、就寝30分前に前記ココ酢の濃縮成分(粉末)1.5gを一週間にわたって摂取してもらったところ、ほぼ全員から、寝つきがよくなった、起床時の疲労感が無くなったなどの回答が得られた。
【0041】
又、日常の睡眠に特に問題が無い男女20人に対し、就寝30分前に前記ココ酢の濃縮成分(粉末)1.5gを一週間にわたって摂取してもらったところ、ほぼ全員から、日中の疲労感、眠気などが軽減されたとの回答が得られた。
【0042】
これらの結果より、本発明のココ酢の濃縮成分(粉末)を有効成分とする健康食品を経口的に摂取することにより生体リズムが調節され、速やかな睡眠を促し、起床時のすっきり感の向上や疲労低減に有効であることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココヤシの花序から採取した樹液を発酵してなるココ酢を主成分とすることを特徴とする健康食品。
【請求項2】
ココ酢を濃縮し、この濃縮成分を主成分とする請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の健康食品が粉末剤、錠剤、ドリンク剤又はカプセル剤のいずれかの形態に形成されてなる請求項1に記載の健康食品。
【請求項4】
製剤用助剤として、メチルセルロースなどの炭水化物、SiO2、ステアリン酸塩、可溶化剤、染料、香味料、防腐剤、分離剤又は滑沢剤から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の健康食品を用いることを特徴とする睡眠誘発用サプリメント。

【公開番号】特開2007−238520(P2007−238520A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64407(P2006−64407)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(505107631)株式会社上田ホールディングス (14)
【Fターム(参考)】