説明

偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置

【課題】偽造カードの作成が困難で、例え偽造されても使用不可能とする、偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置を得る。
【解決手段】ホログラムマルチカードにあっては、ホログラム記録領域に当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と選択的に利用者本人の固有情報とを暗号化キー情報として空間光変調器により2次元コードパターンで記録して成る。記録再生装置にあっては、予め規定された波長,入射角度,偏光角度,位相,光強度を有した参照光と前記2次元コードパターンを有した物体光にてホログラムを記録するホログラム書込み手段と、カードに再生用参照光を照射して2次元コードパターンを再生することにより前記情報を読出すホログラム読出し手段と、ホログラムの経時変化に伴う回折光の強度変化を測定することによりカード発行時刻及び有効期限を求める時刻解析手段にて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムに暗号化キー情報を記録することにより偽造カードの作成を困難にさせ、例え偽造されても当該偽造カードの利用を阻止することができる、偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置に関するものである。なお、本明細書中におけるホログラムマルチカードとは、1枚のカードで複数用途での利用機能を持たせたホログラムカードを指す。
【背景技術】
【0002】
従来、景品と交換可能な計数データが記録されたカードとして、パチンコやスロットマシン等を設置した遊技場の景品カードがあり、商品と交換可能なポイントデータが記録されたカードとして、スーパー・量販店(例えば薬,家電,日用雑貨等)のポイントカードがある。また、商品の購入やサービスの利用が可能な金額データが記憶されたカードとして、プリペイドカードがある。
【0003】
上記各カードの表面には、計数データやポイントデータ及び金額データ等の情報(以後単に価値情報と言う)が磁気的手段にて表示され且つ記録されている。該磁気的手段による価値情報の読出しや書込みを行う装置(リーダー/ライター)は広範に普及しており、技術内容も公開されている。このため、該磁気的手段にあっては、装置を悪用して価値情報を改ざんし、景品や商品等を不正に多く取得するための偽造カードの作成が容易に行えるという欠点があった。該欠点を補完すべく、図柄等をホログラムにしてカード表面に設け、偽造カードによる不正防止を図っているものもある。
【0004】
しかし、大きな犯罪組織からすれば、上記ホログラムによる図柄等の偽造も比較的容易に行えるものと判断される。このため、例えば特開平10−021360号公報の『情報記録体、情報記録装置、及び情報記録体識別装置』では、カードの表面に磁気記録面とホログラム記録面を設け、該磁気記録面とホログラム記録面の少なくとも一方の記録面に暗号化符号を用いて固有情報を記録し、該固有情報読出し時においては、磁気記録面とホログラム記録面の少なくとも一方の記録面の暗号化符号を解除して固有情報を取出し、磁気記録面とホログラム記録面より取出した固有情報を照合して真偽判定を行うカード及びカードシステムについて記載されている。
【0005】
また、特開平11−102425号公報の『情報メディア、光記録方法、光記憶装置、光読み取り方法、光読み取り装置』では、カードの表面に設けたホログラム記録領域に、本人以外の者によりデータ情報が読み出されることを防止する鍵情報として、指紋,サイン,印影,顔貌,虹彩,暗証番号の何れか一つ以上を記録し、データ情報読出し時には前記鍵情報を含んだ参照光をホログラムに照射し、回折光より得られた再生像の状態を解析して真偽判定を行うカード及びカードシステムについて記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−021360
【特許文献2】特開平11−102425
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特開平10−021360号公報記載のものは、磁気記録面とホログラム記録面より取出した固有情報を照合して真偽判定を行うものであるが、磁気記録面より固有情報を取出すことは前述の如く容易であることから、ホログラム記録面より固有情報を取出すことの成否により偽造の成否が決まることになる。ところが大きな犯罪組織では、高度な専門知識を有した人材や装置が用意できることから、ホログラムを読出して暗号解析を行うことも不可能ではなく、該公報に記載の方法も万全ではないという問題点があった。また、磁気記録手段とホログラム記録手段の2種が必要なことから、カードや装置が高価になってしまうという問題点もあった。
【0008】
また、上記特開平11−102425号公報記載のものは、鍵情報をホログラムに記録し、データ情報読出し時に再生像の状態を解析して真偽判定を行うものであるが、指紋,サイン,印影,顔貌,虹彩,暗証番号の何れか一つ以上の鍵情報をデータ情報読出し時に再度読込む必要がある。このため、特に遊技場の景品カードに利用するには価値情報の書込みや読出しに時間が掛かるため、業務に遅延が生じてしまうと共に利用者に煩わしさを感じさせてしまうという問題点があった。また、偽造防止手段として鍵情報しかないという問題点もあった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、磁気的手段を用いることなく、ホログラムに暗号化キー情報を記録することにより偽造カードの作成を困難にさせ、例え偽造されても当該偽造カードの利用を阻止すなわち使用不可能とすることができる、偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のホログラムマルチカードにあっては、カードの表面の一部に書込みデータの保持時間調節と再書込み動作及び記録容量の大容量化が可能なホログラム記録材料によるホログラム記録領域を設け、該ホログラム記録領域に、データ情報として当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と選択的に利用者本人の固有情報とを暗号化キー情報として空間光変調器により2次元コードパターンで記録する。
【0011】
ホログラムマルチカードに記録する利用者本人の固有情報は、端末の生体センサで読取った利用者本人の生体情報のうち、指紋パターン,虹彩パターン,指・手のひらの静脈パターン,DNA情報等の何れか一つ以上とし、リアルタイムに照合してサーバー負荷を軽くする。
【0012】
また、本発明の記録再生装置にあっては、カード発行時刻及び有効期限を求めるべく予め規定された波長,入射角度,偏光角度,位相,光強度を有した参照光と上記2次元コードパターンを有した物体光にてカードにホログラムを記録するホログラム書込み手段と、前記カードに再生用参照光を照射して前記ホログラム書込み手段にて書込まれた2次元コードパターンを再生することにより当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と利用者本人の固有情報が含まれる場合に当該固有情報とを読出すホログラム読出し手段と、該ホログラム読出し手段で発生した回折光を電気信号に変換して位相検波を行い、更にホログラムの経時変化に伴う回折光の強度変化を測定することによりカード発行時刻及び有効期限を求める時刻解析手段にて構成する。
【0013】
上記ホログラム書込み手段において、物体光として当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報とを空間光変調器にて変調した2次元コードパターンとし、参照光として平行光又は選択的に利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報を空間光変調器にて変調した2次元コードパターンとし、ホログラム読出し手段において、再生用参照光は前記参照光に対応して平行光又は利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報を空間光変調器にて変調した2次元コードパターンとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置によれば、磁気的手段を用いることなく、データ情報として当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報とを暗号化キー情報として2次元コードパターンで記録するホログラフィ手段のみであるため、偽造カードの作成が非常に困難になるという効果を奏する。また、前記暗号化キー情報に利用者本人の固有情報として生体情報を選択的に含ませることにより、利用者本人以外の如何なる者もスキミング等による偽造が不可能になるという絶大なる効果を奏する。仮に前記2次元コードパターンで記録したホログラムを解読して偽造カードの作成を試みようとしても、ホログラム記録材料の経時変化により正規カードの発行時刻情報と偽造カード自体の発行時刻情報との整合性が取れなく偽造と判定されるため、更に強固な真偽判定が行えるという効果を奏する。また、前記2次元コードパターンによる暗号化キー情報とホログラム記録材料の経時変化によるカードの発行時刻情報が複合化した高セキュリティーカード及び高記憶容量カードが、安価なホログラフィ手段のみで作成できるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
【0016】
図2は本発明のホログラムマルチカードの外観図であり、カード13の表面の一部に書込みデータの保持時間調節と再書込み動作及び記録容量の大容量化(例えば1Mバイト以上)が可能なホログラム記録材料によるホログラム記録領域32を設け、該ホログラム記録領域32に、データ情報して当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と選択的に利用者本人の固有情報とを暗号化キー情報として空間光変調器による2次元コードパターンで記録する。価値情報とは、前述した景品カードにおける計数データやポイントカードにおけるポイントデータ及びプリペイドカードにおける金額データ等である。カードID情報とは、当該カード13に付与されたユニークなID番号である。カード発行時刻情報とは、当該カード13に前記情報を後述の記録再生装置にて書込んで発行した時刻であり、年月日と時間の両方又は何れか一方のデータである。なお、前記データ情報は、サーバー(図示せず)等にて記録管理されるものである。
【0017】
また、上記利用者本人の固有情報として、予めサーバーに蓄積され又は端末の生体センサで読取った利用者本人の生体情報のうち、指紋パターン,虹彩パターン,指・手のひらの静脈パターン,DNA情報等の何れか一つ以上を含ませることにより、利用者本人以外の如何なる者もスキミング等による偽造が不可能になる。
【0018】
図3は図2におけるA−A断面図であり、カード13のホログラム記録領域32のベース層33に穴37を設け、該穴37の上面にバッファ層34とホログラム層35と波長フィルター層36とを設ける。バッファ層34はホログラム層35が無機物質の場合、ベース層33に結晶が特定の方向に揃い難い場合があるため、ベース層33に接着し易くすると共にホログラム層35を保護する層である。また、ホログラム層35は後述の記録再生装置にて当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と選択的に利用者本人の固有情報とを暗号化キー情報として空間光変調器により2次元コードパターンによるホログラムを記録する感光材の層であり、波長フィルター層36はホログラム作成時において規定の波長を有したレーザー光を透過させると共に前記ホログラム層35を保護する層である。なお、上記説明ではホログラム記録領域32のベース層33に穴37を設けたが、ベース層33自体が透過性の優れた透明樹脂の場合には、穴37は無くても構わない。また、本明細書におけるホログラムとは、参照光と物体光が交わる部分に発生する干渉縞を屈折率分布としてホログラム層35の感光材に記録したものを指す。
【0019】
次に、図1は本発明のホログラムマルチカードの記録再生装置を構成する概略ブロック図であり、カード発行時刻及び有効期限を求めるべく予め規定された波長,入射角度,偏光角度,位相,光強度を有した参照光と上記2次元コードパターンを有した物体光にてカード13にホログラムを記録するホログラム書込み手段と、前記カード13に再生用参照光を照射して前記ホログラム書込み手段にて書込まれた2次元コードパターンを再生することにより当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と利用者本人の固有情報が含まれる場合に当該固有情報とを読出すホログラム読出し手段と、該ホログラム読出し手段で発生した回折光を電気信号に変換して位相検波を行い、更にホログラムの経時変化に伴う回折光の強度変化を測定することによりカード発行時刻及び有効期限を求める時刻解析手段にて構成する。
【0020】
ホログラム書込み手段は、主に書込み用レーザーダイオード1の光学系から構成される。まず、前記書込み用レーザーダイオード1から出射されたレーザー光は、半波長板2と偏光ビームスプリッター3及びコントローラー4により光強度が調節される。空間光変調器として例えばDMD(Digital Micromirror Device:米T・I社商標)10に入射される光の強度分布は、解析上の問題としてガウシアン分布であることが望ましく、レンズ5とピンホール6及びレンズ7により前記ガウシアン分布になるように形成される。次に、前記のように調節された光は、ミラー8を介してビームスプリッター9に入射され、書込み用DMD又はミラー11を介してカード13のホログラム記録領域32に入射される参照光と、DMD10を介してカード13のホログラム記録領域32に入射される物体光とに分離される。ここで、両光は前記カード13のホログラム記録領域32の位置で干渉し、その干渉縞のパターンすなわち2次元コードパターンがホログラム層35の感光材に記録されてホログラムが形成される。なお、DMD10とカード13の間にある虹彩絞り12及び書込み用DMD又はミラー11とカード13の間にある虹彩絞り12は、夫々DMD10及び書込み用DMD又はミラー11からの反射光の0次光成分のみを取出すために設置されるものである。
【0021】
図4はホログラムマルチカードへのホログラム記録を行う原理図であり、書込み用DMD又はミラー11を介してカード13のホログラム記録領域32に入射される光すなわち参照光40と、DMD10を介してカード13のホログラム記録領域32に入射される光すなわちDMDパターン38を有した物体光39とがホログラム記録領域32の位置で干渉し、2次元コードパターンがホログラム層35の感光材に記録されてホログラム41が形成される。なお、物体光40は当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報とをDMD10にて変調した2次元コードパターンを含んだ光であり、参照光39は書込み用ミラー11を介した平行光又は選択的に利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報を書込み用DMD11にて変調した2次元コードパターンを含んだ光である。
【0022】
ホログラム読出し手段は、主に読出し用レーザーダイオード14の光学系から構成される。まず、前記読出し用レーザーダイオード14から出射されたレーザー光は、半波長板15により偏光面が調節される。次に、読出し用DMD又はミラー16を介して再生用参照光がカード13のホログラム記録領域32に入射されると、該ホログラム記録領域32のホログラム41により回折して偏光ビームスプリッター18に入射される光とフォトディテクター17に入射される光に分離される。また、前記偏光ビームスプリッター18に入射された光は、ビームスプリッター20に入射される光とCCD19に入射される光に分離される。また、前記ビームスプリッター20に入射された光は、コーナーミラー22及び可動コーナーミラー23に入射される光とフォトディテクター21に入射される光に分離される。ここで、前記CCD19に入射された光によりDMDパターンが再生され、該DMDパターンより当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報とが読出される。なお、読出し用DMD又はミラー16とカード13の間にある虹彩絞り12は、該読出し用DMD又はミラー16からの反射光の0次光成分のみを取出すために設置されるものである。
【0023】
図5はホログラムマルチカードよりホログラム再生を行う原理図であり、カード13のホログラム記録領域32に入射される再生用参照光40aは、該ホログラム記録領域32のホログラム41により回折し、回折光42としてCCD19に入射されてDMDパターン43が再生され、当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報とが読出される。なお、再生用参照光40aは前記参照光40に対応して読出し用ミラー16を介した平行光又は利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報を読出し用DMD16にて変調した2次元コードパターンを含んだ光である。
【0024】
時刻解析手段は、上記ホログラム読出し手段と併用し、光を電気信号に変換して処理する電子回路で構成される。まず、上記読出し用レーザーダイオード14から出射されたレーザー光は、半波長板15により偏光面が調節され、カード13のホログラム記録領域32に入射される。該光はホログラム記録領域32のホログラム41を透過してそのままフォトディテクター17に入射される光と、ホログラム41により回折して偏光ビームスプリッター18に入射される光に分離さる。更に、前記偏光ビームスプリッター18に入射された光は、ビームスプリッター20に入射される光とCCD19に入射される光に分離される。更に、前記ビームスプリッター20に入射された光は、コーナーミラー22及び可動コーナーミラー23に入射される光とフォトディテクター21に入射される光に分離される。
【0025】
次に、上記フォトディテクター21に入射された光は電圧信号に変換された後、位相検波器24及び位相検波器26に入力される。更に、上記フォトディテクター17に入射された光は電圧信号に変換された後、基準周波数信号Vr (t)として位相検波器24に入力され、該基準周波数信号Vr (t)の位相を位相シフター25にて90°ずらした信号が位相検波器26に入力される。この結果、例えば位相検波器24からは入力信号のcos成分が出力され、位相検波器26からは入力信号のsin成分が出力される。
【0026】
次に、上記位相検波器24から出力された信号はフィルター27及びDCアンプ28を経由して信号解析部31に入力され、位相検波器26から出力された信号はフィルター29及びDCアンプ30を経由して信号解析部31に入力される。該信号解析部31では両信号を演算処理し、当該時刻におけるカード13の回折光強度を得ることができる。なお、上述した回路構成はいわゆるヘテロダイン回路であり、基準周波数信号Vr (t)とマッチした信号のみを取出すことができ、ノイズに対して強く高感度となる。
【0027】
上記回折光強度は、カード発行時刻及び有効期限を正確に求めるための重要な要素となるため、カード13から正確に測定する必要がある。ホログラム記録材料によっては、ホログラム41の干渉縞が収縮したり、屈折率分布の周期性が乱れたりすることがあり、カード13を記録再生装置に挿入した際にカード13の位置を光の波長オーダーで正確な位置及び角度で設置することは非常に困難である。このため、位相補正や波長補正を行う必要がある。該位相補正は空間光変調器にて行うものとする。また、波長補正はビームスプリッター20,コーナーミラー22,可動コーナーミラー23及びフォトディテクター21からなる光学系にて行う。可動コーナーミラー23が光の進行方向に前後すると、フォトディテクター21ではその移動量に応じた光強度変化を得る。これをインターフェログラムといい、該インターフェログラムをフーリエ変換分光法により解析することにより光のスペクトラムを得る。そして、該スペクトラムから正確な波長及び回折光強度を得ることができる。
【0028】
次に、時刻解析の原理を説明する。
【0029】
まず、前述のホログラム読出し手段の説明及び図5の説明で述べたように、カード13のホログラム記録領域32に再生用参照光40aを入射させると、ホログラム41にて回折した回折光42がCCD19に入射されてDMDパターン43が再生さる。該DMDパターン43は暗号化キー情報としての2次元コードパターンであり、当該カード13の価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報とが読出される。該情報の中でカード発行時刻T0が得られ、有効期限も得られる。
【0030】
カード13にDMD10よるDMDパターン38すなわち暗号化キー情報としての2次元コードパターンを記録する際の記録時間、記録角度及び記録光強度などの記録条件により、ホログラム読出し手段で発生する回折光強度は異なり、発行直後にホログラム41のDMDパターン43を読み出した際の最大回折光強度をP0とする。また、回折光強度が経時変化するホログラム記録材料を用いて再生時刻T1に読み出した際の回折光強度P1を得る。ここで、P1とP0の差から発行時刻を算出したものをTrとすると、T0とTrが等しいときのみ当該カード13は物理的空間で唯一のものとなり、正規カードと判定されることになる。また、T0とTrが等しくないとき当該カード13は偽造カードと判定されることになる。
【0031】
なお、上記ホログラム書込み手段とホログラム読出し手段と時刻解析手段とからなる記録再生装置を、遊技場のフロントコンピュータや上位サーバーに接続し、スーパー・量販店のPOS(Point of Seals)端末や上位サーバーに接続して管理することにより、更に偽造カードの検出が確実に行なわれることになる。
【0032】
なお、上記説明ではパチンコやスロットマシン等を設置した遊技場の景品カードや、スーパー・量販店のポイントカードや、プリペイドカードを対象として説明したが、他にキャッシュカード、クレジットカード、定期券、乗車券、入園券などあらゆるカードでも利用可能である。また、更なる記録容量の大容量化を行い、ホログラムマルチカードに記録する利用者本人の固有情報として、生体情報のほか更に顔や指紋等を記録することにより、パスポート・免許証等の各種身分証明や複数の金融機関及びクレジット会社間での相互利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のホログラムマルチカードの記録再生装置を構成する概略ブロック図である。
【図2】本発明のホログラムマルチカードの外観図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】ホログラムマルチカードへのホログラム記録を行う原理図である。
【図5】ホログラムマルチカードよりホログラム再生を行う原理図である。
【符号の説明】
【0034】
1 書込み用レーザーダイオード
2 半波長板
3 偏光ビームスプリッター
4 コントローラー
5 レンズ
6 ピンホール
7 レンズ
8 ミラー
9 ビームスプリッター
10 DMD
11 書込み用DMD又はミラー
12 虹彩絞り
13 カード
14 読出し用レーザーダイオード
15 半波長板
16 読出し用DMD又はミラー
17 フォトディテクター
18 偏光ビームスプリッター
19 CCD
20 ビームスプリッター
21 フォトディテクター
22 コーナーミラー
23 可動コーナーミラー
24 位相検波器
25 位相シフター
26 位相検波器
27 フィルター
28 DCアンプ
29 フィルター
30 DCアンプ
31 信号解析部
32 ホログラム記録領域
33 ベース層
34 バッファ層
35 ホログラム層
36 波長フィルター層
37 穴
38 DMDパターン
39 物体光
40 参照光
41 ホログラム
42 回折光
43 DMDパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラムマルチカードにあっては、カードの表面の一部に書込みデータの保持時間調節と再書込み動作及び記録容量の大容量化が可能なホログラム記録材料によるホログラム記録領域を設け、該ホログラム記録領域に、データ情報として当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と選択的に利用者本人の固有情報とを暗号化キー情報として空間光変調器により2次元コードパターンで記録して成ることを特徴とした、偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置。
【請求項2】
ホログラムマルチカードに記録する利用者本人の固有情報は、端末の生体センサで読取った利用者本人の生体情報のうち、指紋パターン,虹彩パターン,指・手のひらの静脈パターン,DNA情報等の何れか一つ以上とし、リアルタイムに照合してサーバー負荷を軽くしたことを特徴とした、請求項1に記載の偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置。
【請求項3】
記録再生装置にあっては、カード発行時刻及び有効期限を求めるべく予め規定された波長,入射角度,偏光角度,位相,光強度を有した参照光と上記2次元コードパターンを有した物体光にてカードにホログラムを記録するホログラム書込み手段と、前記カードに再生用参照光を照射して前記ホログラム書込み手段にて書込まれた2次元コードパターンを再生することにより当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報と利用者本人の固有情報が含まれる場合に当該固有情報とを読出すホログラム読出し手段と、該ホログラム読出し手段で発生した回折光を電気信号に変換して位相検波を行い、更にホログラムの経時変化に伴う回折光の強度変化を測定することによりカード発行時刻及び有効期限を求める時刻解析手段にて構成することを特徴とした、請求項1に記載の偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置。
【請求項4】
ホログラム書込み手段において、物体光として当該カードの価値情報とカードID情報とカード発行時刻情報とを空間光変調器にて変調した2次元コードパターンとし、参照光として平行光又は選択的に利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報を空間光変調器にて変調した2次元コードパターンとし、ホログラム読出し手段において、再生用参照光は前記参照光に対応して平行光又は利用者本人の固有情報を含む場合に当該固有情報を空間光変調器にて変調した2次元コードパターンとすることを特徴とした、請求項3に記載の偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置。
【請求項5】
ホログラムマルチカードに記録する利用者本人の固有情報は、生体情報のほか更に顔や指紋等を記録することにより、パスポート・免許証等の各種身分証明や複数の金融機関及びクレジット会社間での相互利用を可能とすることを特徴とした、請求項2に記載の偽造使用不可能なホログラムマルチカード及びその記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−102881(P2008−102881A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287014(P2006−287014)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(301046617)ペガサスネット株式会社 (34)
【出願人】(394007610)株式会社テルヤ (30)
【出願人】(501360979)
【Fターム(参考)】