説明

偽造防止印刷物及びこれを用いた検証方法

【課題】印刷されたコードマーク等から可視光や赤外線により容易に情報が読み取られたい改ざんされることなく、真偽の判定を行うための操作が簡単かつ確実に出来る、機械読み取り可能な偽造防止印刷物及びこれを用いた検証方法の提供。
【解決手段】400〜1400nmの可視光線および近赤外線における反射率が70%以上の反射性基材の上に、目視において同じ色で、かつ、400nm〜780nmの可視光線の長波長領域から780〜1400nmの近赤外線波長領域の光線の吸収特性が異なる、少なくとも3種類の黒色の印刷インキが、検証用印刷画像のパターン状に設けられており、それぞれ重ならない部分があることを特徴とする偽造防止印刷物及びこれを用いた検証方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械読み取り可能な偽造防止印刷物及びこれを用いた検証方法に関する。より詳しくは、可視光の長波長領域から赤外線領域の反射光線により構成される画像により読み取り可能なマークを有する偽造防止印刷物に係わり、特に印刷情報が、目視においては同じに見える3種類の黒色のインキで構成され、かつ、可視光の長波長領域から赤外線領域の吸収特性がそれぞれ異なる偽造防止印刷物及びこれを用いた検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から株券、債券、小切手、商品券、宝くじ、定期券等の証券類に記載される情報を機械により読み取る手段として、バーコードやOCR文字等の機械読み取り可能なコードマークが設けられることが多く、このコードマークは、通常、近赤外線領域の光を反射する基材面に、近赤外線領域の光を吸収するカーボンブラック等を含むインキ(黒色印刷インキ)を用いて形成される。
【0003】
上記の方法では,白色のインキ及び黒色のインキの赤外線反射性および赤外線吸収性を利用し、機械的に読み取り可能な情報をバーコードのパターン状のマークとして媒体などに付与し、これに赤外線を照射して、マークを走査し、その反射赤外光の強度を測定することにより記録された情報を読み取っている。この際、情報が不正に読み取られないように可視光を遮断し、赤外線を透過する隠蔽層を形成し、可視光により容易に情報が読み取られることを防止する。
【0004】
しかしながら、上記インキで情報が形成してあり、その情報部分で赤外線を吸収するようにした印刷物は、インキが入手しやすい上に、赤外領域にある広い波長範囲の種々の赤外線を利用して容易に検知できるといった利点があるが、その利点が逆に作用し、判読され易いといった欠点も有していた。すなわち、赤外線カメラ等の赤外線情報読み取り装置で容易に読み取ることができてしまい、コードマーク等の隠蔽情報の存在が判別されてしまう。そのため、赤外線カメラで読み取られた情報を基に偽造が行われたり、その読み取り結果に基づいて光吸収性のある部分をつなぎ合わせたり、貼り合わせたりすることによって、改ざんが行われてしまうことがあり、問題となっている。
【0005】
隠蔽情報の存在が判別されることによる偽造や改ざんの防止のために、互いに分光特性が異なる3種類の黒色の印刷インキを用いてコードマーク等を印刷することで上記問題を解決することが提案されているが、この場合は2種類以上の光源もしくはフィルターを用いて黒色印刷インキで印刷された画像を一つの白黒画面にて捉え、その中のそれぞれの画像を読み取ることで真偽を判定することになる。同様に分光吸収特性の異なる3種類の黒色の印刷インキで画像を設けることで、さらに偽造防止効果を向上させることもできるが、この場合も一つの画面中に捉えられた画像のそれぞれを読み取って真偽判定を行わなければならず、真偽の判定を行うための操作が非常に難しくなってしまうという問題が残る。
【特許文献1】特開2000−309736号公報
【特許文献2】特開2005−246719号公報
【特許文献3】特開2007−030448号公報
【特許文献4】特開2007−136983号公報
【特許文献5】特開2007−223285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来技術の問題点の解決、すなわち、印刷されたコードマーク等から可視光や赤外線により容易に情報が読み取られることなく、真偽の判定を行うための操作が簡単かつ確実に出来る、機械読み取り可能な偽造防止印刷物及びこれを用いた検証方法の提供が課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、400〜1400nmの可視光線および近赤外線における反射率が70%の反射性基材の上に、目視において同じ色で、かつ、400nm〜780nmの可視光線の長波長領域から780〜1400nmの近赤外線波長領域の光線の吸収特性がそれぞれ異なる、少なくとも3種類の黒色の印刷インキが、検証用画像のパターン状に設けられており、少なくともそれぞれ重ならない部分があることを特徴とする偽造防止印刷物である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記3種類の黒色インキのうち、400〜1400nmの可視光波長域または赤外波長域に2種類の黒色インキの両方を同時に読み取れる波長域があり、該波長域での反射強度からの構成により、前記2種類の印刷画像が一纏まりの画像に見えるようにパターンが設けてあることを特徴とする請求項1に記載の機械読み取り可能な偽造防止印刷物である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の偽造防止印刷物の印刷面に照射し、各検証用印刷画像を構成する黒色の印刷インキの吸収特性のそれぞれ異なる波長域を透過するバンドパスフィルター2枚と、吸収特性の同じ波長域を透過するバンドパスフィルターを介して、可視光線の長波長側から近赤外線の反射状態を、情報読み取り装置によってそれぞれ読み取り、しかる後に読み取りによって得られた各反射画像情報に色情報を付加してから、それらを合成してカラー画像とし、それを基に検証用印刷画像の内容を検証できるようにしたことを特徴とする偽造防止印刷物の検証方法である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の偽造防止印刷物の印刷面に、各検証用印刷画像を構成する黒色の印刷インキの、吸収特性の同じ波長域の光と、吸収特性のそれぞれ異なる2つの波長領域の光を照射し、しかる後にその反射状態を情報読み取り装置によって読み取る工程を各検証用印刷画像に対して行い、さらに、読み取りによって得られた各反射画像情報に色情報を付加してから、それらを合成してカラー画像とし、それを基に印刷画像の内容を検証できるようにしたことを特徴とする偽造防止印刷物の検証方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0012】
本発明の偽造防止印刷物は、可視光領域の長波長側から近赤外領域における吸収特性が異なる3種類の黒色の印刷インキを用いて文字、コード等の検証用印刷画像が設けられているので、目視では同色で区別がつかない。そして、このような偽造防止印刷物は、本発明の検証方法により検証用画像に対応する反射画像情報を一つのカラー画像として表示することができるので、それを基に検証用の印刷画像の内容が容易かつ的確に検証できるようになり、一瞬で真偽の判定が有効に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の偽造防止印刷物の一実施例を示す平面図である。図2は図1の偽造防止
印刷物1のX−X’線における概略の断面構成を示す説明図である。図3は、偽造防止印刷物における検証用印刷画像に対応する赤外反射画像を抽出する基本的な説明図であり、図4および図5は、図1の偽造防止印刷物における検証用印刷画像に対応する3種類の反射画像を1度に抽出するときの様子を示す説明図である。また、図6は偽造防止印刷物から得られた各反射画像情報に基づく映像をモニター画面上に表示しているときの説明図であり、図7は図6で抽出された映像の合成の様子を表している説明図である。さらにまた、図8は、図1の情報印刷物における3種類の黒色印刷インキを印刷した部分の各分光特性と検証する波長域を説明するためのグラフである。
【0015】
図1に示す偽造防止印刷物1は、その最表面の部分に、絵柄画像11と目視にて黒色で印刷された検証用画像13、14、15とが目視可能な状態で配置されている。そして図2に示すように、反射性基材12上には、可視領域の長波長側から近赤外線領域の吸収特性が異なり、目視にて同色に見える黒色の印刷インキで印刷してなる検証用印刷画像13、14、15が形成されている。
【0016】
各検証用印刷画像13、14、15は、可視光領域の長波長側から赤外領域における分光特性がそれぞれ異なり、目視では同色に見える黒色の印刷インキにより印刷されてなるものである。より具体的な例としては、可視光から近赤外領域における吸収がある黒色の印刷インキ13、可視光を吸収し近赤外線領域を吸収しない黒色の印刷インキ14、可視光領域の長波長側から近赤外領域を吸収しない黒色の印刷インキ15の3種類の黒色の印刷インキにより、各検証用印刷画像13、14、15が形成されている。
【0017】
本発明において、反射性基材12とは、少なくとも可視光領域の長波長側から近赤外線を反射する性質を持つ基材である。特には各検証用印刷画像13、14、15による可視光領域の長波長側から近赤外線領域の反射率性と比べて、かなり高いものが好適である。
【0018】
可視光の波長は一般に、人間が見ることが出来る光を指し、波長の境界は文献により、多少異なるが、380〜780nmを指すことが多く、また、近赤外線の波長とは780nm〜2.5μm付近の範囲を言うことが多い。本発明における、可視光領域の長波長側とは、具体的には600nmより長波長領域を指している。一般的に、最も良く使用される黒色の印刷インキはカーボンブラックを用いたもので、可視光線から近赤外線の高い吸収を示す。その他の黒色インキでも、目視で黒色に見せるために通常は、可視光の全波長領域に高い吸収性を持っている。本発明の偽造防止印刷物1は可視光領域の長波長側に吸収を持たない黒色の印刷インキを使用しているため、通常の黒色インキであろうと思い込みで真似しても、この性能の差までを同じように真似をすることは難しいため、偽造が困難である。
【0019】
図3は、赤外の反射画像情報の抽出の基本的な一例の概念図を示している。光源31から可視領域から近赤外光領域の光を照射し、可視光領域カットフィルター32によって可視光のみ遮断して、近赤外光を透過させ、情報読み取り装置33で近赤外光のみ受光し、モニター34に受光した画像情報を表示させ、赤外画像を得る。
【0020】
図4は、図1に示す偽造防止印刷物における検証用印刷画像に対応する反射画像情報を抽出している一例の説明図である。反射画像情報の抽出に当たっては、まず、偽造防止印刷物1の印刷面に光源31から照射した光の反射状態を、各検証用印刷画像を構成する3種類の黒色の印刷インキの吸収特性が同じ波長領域を透過するバンドパスフィルター51、および吸収特性の異なる波長領域を透過するバンドパスフィルター52、53のそれぞれを介して可視光から赤外線の領域の情報読み取り装置41、42、43によって情報を読み取る。
【0021】
具体的には、光源31から偽造防止印刷物1に対して可視光線から近赤外線の波長の光を照射し、まず、その反射光の30%を反射し、70%を透過する30R/70Tビームスプリッター54まで導き、そこで反射した光はカメラ41側に、透過した光はビームスプリッター55側に導く。次にビームスプリッター54を透過した光の50%を反射し、50%を透過する50R/50Tビームスプリッター55まで導き、さらにそこを透過した光は情報読み取り装置43側に、反射した光は情報読み取り装置42側にそれぞれ導くようにして3分割する。そして、それぞれに分割された光を各検証用印刷画像を構成する各検証用印刷画像の吸収特性の同じ波長領域を透過するバンドパスフィルター51、および吸収特性の異なる波長域を透過するバンドパスフィルター52、53を介して読み取り装置41、42、43で読み取り、反射画像情報を抽出する。
【0022】
図6は偽造防止印刷物から得られた各反射画像情報に基づく映像をモニター画面上に表示している説明図である。前記の抽出された各反射画像情報を情報読み取り装置41、42、43のモニターに映し出している時の状況を示している。
【0023】
図5では本発明の偽造防止印刷物1の反射画像情報の抽出を上述した一例以外の方法によって行っている例を示している。ここに示す方法においては、反射画像情報の抽出に当たって、まず、偽造防止印刷物1の印刷面に、各検証用印刷画像を構成する黒色の印刷インキの吸収特性が異なる波長領域の光を発光する2つの光源、および吸収特性の同じ波長領域の光を発光する1つの光源から照射し、しかる後にその反射状態を情報読み取り装置33により読み取り、反射画像情報を抽出する工程を各検証用印刷画像に対して行い、それぞれの反射画像情報の抽出を行う。
【0024】
より具体的には、まず、偽造防止印刷物1を検証用印刷画像を構成する3種類の黒色の印刷インキの吸収特性の同じ波長領域を発光する光源35を照射し、しかる後にその反射状態を可視光領域の長波長側より短い波長、例えば600nm以下の波長をカットする可視光カットフィルター32を介して情報読み取り装置33により読み取り、反射画像情報を抽出する。続いて、検証用印刷画像15を構成する黒色の印刷インキの吸収特性の異なる波長を発光する光源36を照射し、しかる後にその反射状態を可視光域カットフィルター32を介して情報読み取り装置33により読み取り、反射画像情報を抽出する。そして最後に、光源36とは別の、検証用印刷画像を構成する黒色印刷インキの吸収特性の異なるもう一つの波長を発光する光源37を照射し、しかる後にその反射状態を可視光域カットフィルター32を介して情報読み取り装置33により読み取り、反射画像情報を抽出する。
【0025】
このようにして抽出された各反射画像情報を赤外線情報読み取り装置34のモニターに映し出している時の状況を示しているのが図6である。
【0026】
以上の方法で、図3に示した方式と同様に、各々の黒色印刷インキからなる検証用印刷画像の反射画像情報に基づく映像を見ることができる。
【0027】
以上のようにして偽造防止印刷物1中に印刷されている検証用印刷画像の反射画像情報が抽出されたら、その反射画像情報に色情報を付加してからそれらを合成してカラー画像とし、それを基に目視では区別のつかない検証用印刷画像の存在とその内容を検証し、印刷物の判別を行う。
【0028】
図7には、抽出された各反射画像情報への色情報の付加の様子とカラー画像の合成の概念図が示してある。カラー画像の合成には印刷インキを掛け合わせる場合と同じように減色法を用いる。このようにして映像化され、色付けされて合成されたカラー画像が映し出されているモニター画面7を見ることで、3種類の黒色印刷インキからなる各検証用印刷
画像を区別できると同時に合成されたカラー画像を見るだけで印刷物の真偽判定が可能になる。
【0029】
図8には、それぞれの黒色印刷インキにおける反射率と波長の関係を示す一例がグラフに示してある。各インキの反射率は、可視光の長波長領域から赤外領域までを反射する基材上に形成した黒色印刷インキからなる検証用印刷画像を測定したときのものである。それぞれの黒色印刷インキは、図8に示すように、その吸収特性61、62、63はそれぞれの黒色インキの吸収特性と明らかに重ならない波長領域を、可視光領域の長波長側から近赤外領域に持つようになっている。例えば、このインキを使用し、図4で示す反射画像の抽出を行う場合、バンドパスフィルター52、53、54は、図8の71、72、73付近の波長の光を透過するフィルターを用い、図5に示す反射画像の抽出を行う場合には、光源35、36、37の発光波長を図8の71、72、73付近にすることで、判別時には鮮明なカラー画像により所期の判別が容易かつ的確に行えるようになる。
【0030】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0031】
反射性基材として上質紙上にオフセット印刷法により、下記プロセスインキを用いて絵柄を印刷した後、第1の黒色インキを使用し、検証用印刷画像を印刷した。第1の黒色印刷インキとは吸収特性の異なる波長領域を持つ第2の黒色印刷インキで別の検証用画像を印刷し、さらに、第1の黒色印刷インキと第2の黒色印刷インキとは吸収特性の異なる波長領域を持つ第3の黒色印刷インキで印刷し、機械読み取り可能な偽造防止印刷物を得た。
[プロセスインキ]
UV161 紅 S(T&K TOKA社製)
UV161 黄 S(T&K TOKA社製)
[第1の黒色印刷インキ]
UV161 墨 S(T&K TOKA社製)
[第2の黒色印刷インキ]
カイ UV HR FLコンク墨(T&K TOKA社製)
[第3の黒色印刷インキ]
ペリレン系黒色顔料 15部
UV161 メジウムS 85部(T&K TOKA社製)
【実施例2】
【0032】
次に、上記偽造防止印刷物に白熱灯から光を照射し、その反射光を30%反射し、70%を透過するビームスプリッターで2分割し、さらに透過光を50%反射し、50%を透過するビームスプリッターで2分割することで、反射光を3分割した。そして、それぞれ分割された反射光にそれぞれの黒色印刷インキの吸収特性の同じ波長領域の光を透過する狭帯域干渉フィルター(バンドパスフィルター)および、それぞれの黒色印刷インキの吸収特性の異なる波長領域の光を透過する狭帯域干渉フィルター(バンドパスフィルター)を通してそれぞれ3つのCCDカメラで画像情報の抽出を行った。なお、CCDカメラは赤外線カットフィルターが付いていないものを使用した。こうして抽出した3つの反射画像情報のそれぞれに赤色、黄色、青色の色情報を付加し、色の減色法に基づいたカラー画像の合成を行い、モニター画面上に表示させた。
【0033】
前記偽造防止印刷物を見ると、目視では表面の絵柄と黒色印刷インキが見えたが、上記判別方法によれば抽出した検証印刷画像情報に基づき別のカラー画像を合成し、表示させるため、画像の濃淡だけでなく、色の差も加わって、複雑な検証用印刷画像を有している印刷物であっても、真偽判定を的確に行うことができた。
【実施例3】
【0034】
前記実施例1の偽造防止印刷物にそれぞれ検証用印刷画像を構成する黒色印刷インキの吸収特性の同じ600nmを発光するLED、および、吸収特性の異なる波長領域700nmと800nmとを発光するLEDを順次照射し、その反射光を600nm以下をカットするローパスフィルターを通して前記CCDカメラで撮影を行った。このような撮影によって得られた各反射画像情報のそれぞれに赤色、黄色、青色の色情報を付加し、色の減色法に基づいた色再現を行い、1つのカラー画像に合成させ、モニター画面上に表示させた。
【0035】
実施例1でできた偽造防止印刷物を見ると、目視では表面の絵柄と区別のつかない黒色インキが見えたが、上記実施例2および実施例3の判別方法によれば黒色の印刷インキから抽出した反射画像情報に基づいてカラー画像を合成し表示させるため、複雑な検証用印刷画像を有している印刷物であっても、一瞬で真偽判定を的確に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の偽造防止印刷物の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の偽造防止印刷物のX−X’線における断面模式図である。
【図3】図1の機械読み取り可能な情報印刷物の一実施形態を長波長側の赤外線カメラで観察した平面図である。
【図4】図1に示す偽造防止印刷物における検証用印刷画像に対応する反射画像情報を抽出しているときの様子を示す説明図である。
【図5】図1に示す偽造防止印刷物における検証用印刷画像に対応する反射画像情報を抽出しているときの他の様子を示す説明図である。
【図6】偽造防止印刷物から得られた各反射画像情報に基づく映像をモニター画面上に表示している説明図である。
【図7】抽出された各反射画像情報への色情報の付加の様子とカラー画像の合成を示す説明図である。
【図8】本発明の機械読み取り可能な情報印刷物の一実施形態における3種類の黒色印刷インキを用いた印刷物の反射率と波長の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1 偽造防止印刷物
4、5、6 検証用印刷画像が映し出されたモニター画面
7 カラー画像が映しだされたモニター画面
8 黒色印刷インキの分光特性を示すグラフ
11 絵柄画像
12 反射性基材
13 第1の黒色の印刷インキ
14 第2の黒色の印刷インキ
15 第3の黒色の印刷インキ
31 光源
32 可視光域カットフィルター
33、41、42、43 カメラ
34 モニター
35、36、37 光源
41、42、43 情報読み取り装置
51、52、53 バンドパスフィルター
54 30R/70Tビームスプリッター
55 50R/50Tビームスプリッター
61、62、63 黒色印刷インキの各吸収特性
71、72、73 情報読み取り波長の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
400〜1400nmの可視光線および近赤外線における反射率が70%以上の反射性基材の上に、目視において同じ色で、かつ、400nm〜780nmの可視光線の長波長領域から780〜1400nmの近赤外線波長領域の光線の吸収特性がそれぞれ異なる、少なくとも3種類の黒色の印刷インキが、検証用画像のパターン状に設けられており、少なくともそれぞれ重ならない部分があることを特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項2】
前記3種類の黒色インキのうち、400〜1400nmの可視光波長域または赤外波長域に2種類の黒色インキの両方を同時に読み取れる波長域があり、該波長域での反射強度からの構成により、前記2種類の印刷画像が一纏まりの画像に見えるようにパターンが設けてあることを特徴とする請求項1に記載の機械読み取り可能な偽造防止印刷物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の偽造防止印刷物の印刷面に照射し、可視光線の長波長側領域から近赤外線領域の光線の反射状態を、各検証用印刷画像を構成する黒色の印刷インキの、吸収特性のそれぞれ異なる波長域を透過するバンドパスフィルター2枚と、吸収特性の同じ波長域を透過するバンドパスフィルターを介して、可視光線の長波長側から近赤外線の反射状態を、情報読み取り装置によってそれぞれ読み取り、しかる後に読み取りによって得られた各反射画像情報に色情報を付加してから、それらを合成してカラー画像とし、それを基に検証用印刷画像の内容を検証できるようにしたことを特徴とする偽造防止印刷物の検証方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の偽造防止印刷物の印刷面に、各検証用印刷画像を構成する黒色の印刷インキの、吸収特性の同じ波長域の光と、吸収特性のそれぞれ異なる2つの波長領域の光を照射し、しかる後にその反射状態を情報読み取り装置によって読み取る工程を各検証用印刷画像に対して行い、さらに、読み取りによって得られた各反射画像情報に色情報を付加してから、それらを合成してカラー画像とし、それを基に印刷画像の内容を検証できるようにしたことを特徴とする偽造防止印刷物の検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−149068(P2009−149068A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304048(P2008−304048)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】