説明

像加熱装置、軸受取付構造、およびC形止め輪

【課題】薄肉のローラの端部の強度を損なうことなくC形止め輪の凸部が穴部に強固に拘束され、C形止め輪に周方向の力が作用した際にC形止め輪が穴部から浮き上がりにくい像加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱アセンブリ1は、定着ローラ7に磁束を入射して誘導加熱可能である。遮蔽部材18は、定着ローラ7の端部側領域の内周面に沿って移動可能な磁束の遮蔽部材である。断熱ブッシュ70a、70b及びベアリング11a、11bによって定着ローラ7は回転自在に支持される。C形止め輪50は、弾性的に開閉可能であって、定着ローラ7に配置された複数の周方向の穴部に凸部を拘束させて定着ローラ7に外挿されて、断熱ブッシュ70a、70bの軸方向の移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉のローラを記録材に当接させてトナー画像の加熱処理を行う像加熱装置、詳しくはローラの端部に軸受構造を取付けてC形止め輪により軸方向に位置決めする構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー像を形成して記録材に転写した後に、トナー像が転写された記録材を像加熱装置の加熱ニップで挟持搬送して、画像を記録材に定着させる画像形成装置が広く用いられている。像加熱装置は、定着装置以外に、半定着又は定着済画像を加熱処理して所望の光沢を付与する光沢処理装置や、定着画像を再加熱して残留応力を解除する再加熱装置として実用化されている。
【0003】
図3に示すように、像加熱装置(100)は、金属で形成されたローラ(7)を加熱しておき、ローラ(7)に加圧部材(8)を圧接して形成される加熱ニップ(N)に、記録材を送り込んで挟持搬送させる。ローラ(7)の両端は、軸受構造(11a、11b、70a、70b)によって回転自在に支持される。
【0004】
特許文献1には、ローラに加圧部材を圧接して記録材の加熱ニップを形成する定着装置が示される。ここでは、ローラの端部に1つのT字型の切り欠き部と周方向の2つのI字型の穴部を配置している。弾性的に開閉可能なC形止め輪に3か所の凸部を形成してそれぞれを切り欠き部及び穴部に拘束させた状態で、C形止め輪がローラに外挿されている。C形止め輪は、凸部を穴部に挿入した状態でローラの外周面に装着される。C形止め輪は、軸受構造をローラの軸方向の所定位置に位置決めて、ローラが軸方向に抜け落ちることを阻止している。軸受構造は、ローラに外挿された断熱部材と断熱部材に外挿された軸受部材とで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−57644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ローラは、加熱の応答性を良くするために薄肉に形成されることが好ましい。しかし、ローラを薄肉に形成すると、特許文献1に示されるC形止め輪では、引っ掛りが浅くなって十分なホールド性を確保できない問題がある。
【0007】
図3に示すように、定着装置100は、装置側板12a、12bによって軸受構造(11b、70b、11a、70a)が内側へ脱落しないように保持されている。定着ローラ7は、軸受構造(11b、70b、11a、70a)に対してC形止め輪50b、50aを用いて長手方向に位置決めされている。
【0008】
このような構造において、従来は、特許文献1とほぼ同様に、軸受構造(11b、70b、11a、70a)の外側の端面を拘束するために、角線材を折り曲げ加工したC形止め輪50Eが使用されていた(図7の(a)参照)。角線材をV形状に折り曲げ加工した凸部を定着ローラ7の端部に形成した複数の周方向の穴部に深く進入させることで、軸受構造(11b、70b、11a、70a)から定着ローラ7が抜け落ちるのを防止していた。
【0009】
しかし、電磁誘導加熱方式における節電及び起動時間短縮を実現するため、定着ローラ7を薄肉化して熱容量を低減し、定着ローラ7の内周面に近接させて誘導加熱装置1を配置したところ、従来のC形止め輪50Eではホールド性が不足することが判明した。
【0010】
また、薄肉の定着ローラ7の場合、特許文献1のようなT字型の大きな開口部を設けると、ローラの端部の強度が著しく低下する問題もある。
【0011】
本発明は、薄肉のローラの端部の強度を損なうことなく、C形止め輪の凸部が穴部に強固に拘束され、C形止め輪に周方向の力が作用した際にC形止め輪が強固なホールド性を発揮できる像加熱装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の像加熱装置は、記録材に当接して回転するローラと、前記ローラの内側に配置されて前記ローラの加熱をするための加熱手段と、前記ローラの端部に外挿されて前記ローラを回転自在に支持する軸受構造と、前記ローラの回転軸線方向の所定位置に取り付けられて前記ローラの外周をC形の輪郭で拘束するC形止め輪とを備え、前記C形止め輪によって前記軸受構造に対する前記ローラの回転軸線方向の移動が規制されるものである。そして、前記C形止め輪を取り付けるための穴部が前記ローラに配置され、前記C形止め輪は、板状に形成されたC形の周方向における一端側で前記穴部に嵌められる一端部と、C形の周方向における前記一端部の反対側で前記穴部に嵌められる他端部とを有し、前記C形止め輪の周方向の移動に伴って前記穴部の縁に当接する前記一端部と前記他端部の部分の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の像加熱装置では、ローラの端部にT字型の切り欠き部を設ける必要が無いため、T字型の切り欠き部を設けた場合よりもローラの端部の強度が高まる。加えて、穴部の縁に当接する一端部と他端部の部分の輪郭がいずれも周方向において凹んでいる凹形状であるため、C形止め輪に周方向の力が作用した際に、一端部と他端部が浮き上がりにくい。一端部と他端部の部分の輪郭と穴部の間の当接圧力が一端部と他端部を穴部に沈み込ませる方向の分力を発生するからである。
【0014】
したがって、薄肉のローラの端部の強度を損なうことなくC形止め輪の凸部が穴部に強固に拘束され、C形止め輪に周方向の力が作用した際にC形止め輪が穴部から浮き上がりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】定着装置の軸垂直方向の断面構成の説明図である。
【図3】定着装置の軸平行方向の断面構成の説明図である。
【図4】遮蔽部材18の動作の説明図である。
【図5】実施例1における定着ローラの組み立て状態の斜視図である。
【図6】実施例1のC形止め輪を定着ローラに組み立てた状態の説明図である。
【図7】従来のC形止め輪と実施例1のC形止め輪の性能比較の説明図である。
【図8】従来と実施例1とにおける凸部の形状の比較の説明図である。
【図9】従来と実施例1とにおける凸部の当接圧力の比較の説明図である。
【図10】凸部の傾き角度の説明図である。
【図11】実施例2のC形止め輪の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、薄肉の加熱ローラの端部にC形の板金リングを装着して軸受構造を位置決める限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0017】
従って、加熱ローラと加圧回転体を圧接して記録材の加熱ニップが形成される像加熱装置であれば、加圧回転体はベルト部材であってもローラ部材であってもよい。加熱ローラの加熱方式は、誘導加熱に限らず、抵抗加熱、輻射加熱でもよい。像加熱装置を搭載する画像形成装置は、帯電方式、露光方式、現像方式、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型/枚葉搬送型の区別無く実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0018】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置200は、中間転写ベルト210に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部221、222、223、224を配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。画像形成部221、222、223、224は、それぞれの現像装置で用いるトナーの色が異なる以外は、実質的に同一に構成される。
【0019】
画像形成部221では、感光ドラム211にイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。画像形成部222では、画像形成部221と同様な手順でマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。画像形成部223、224では、画像形成部221と同様な手順でシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。
【0020】
中間転写ベルト210に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。記録材Pは、記録材カセット201からピックアップローラ202によって引き出され、分離ローラ203で1枚ずつに分離してレジストローラ204へ給送される。レジストローラ204は、中間転写ベルト210のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り込む。
【0021】
四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、中間転写ベルト210から曲率分離して定着装置100へ送り込まれる。定着装置100は、記録材Pを加熱加圧して、トナーを融解して、記録材Pの表面に画像を定着させる。その後、記録材Pが機体外へ排出される。
【0022】
<定着装置>
図2は定着装置の軸垂直方向の断面構成の説明図である。図3は定着装置の軸平行方向の断面構成の説明図である。
【0023】
図2に示すように、加熱手段の一例である加熱アセンブリ1は、定着ローラ7内に配設した誘導加熱装置である。加熱アセンブリ1は、励磁コイル5、第一磁性体コア6a、第一磁性体コア6b等をホルダー2に組み立てて一体の交換アセンブリを形成している。励磁コイル5に高周波電流が供給されることにより、加熱アセンブリ1から発生する磁束の作用で、定着ローラ7が誘導加熱(うず電流損によるジュール加熱又はIH加熱)される。
【0024】
定着ローラ7は、電磁誘導に応答して発熱する薄肉の中空円筒状のローラであって、鉄、ニッケル、コバルトなどの金属を用いることができる。定着ローラ7の肉厚は、略0.3〜2mm程度にすることで熱容量を低減し、強磁性体(透磁率の大きい)の金属材料を使うことで、励磁コイル5から発生してコア6a、6bに案内される磁束をより多く定着ローラ7に入射させている。発熱に関与する磁束密度を高くすることで、効率的に定着ローラ7にうず電流を発生させて発熱させている。定着ローラ7の外側表面には、一般にはフッ素樹脂のPTFE10〜50μmやPFA10〜50μmで構成されるトナー離型層がある。また、トナー離型層の内側に、弾性層としてのゴム層を設ける構成にしても良い。
【0025】
加圧ローラ8は、定着ローラ7の下側に定着ローラ7に平行に配列した弾性ローラであって、定着ローラ7の矢印A方向の回転駆動に従動して、矢印B方向に回転する。加圧ローラ8は、鉄製の芯金8aの外周に弾性層としてのシリコーンゴム層8bを設け、弾性層の外側にトナー離型層8cを設けた構成である。
【0026】
加熱アセンブリ1の励磁コイル5への電力供給によって定着ローラ7が誘導加熱されて所定の定着温度に温調されている状態で、定着ローラ7が回転駆動されて加圧ローラ8が従動回転している。このとき、図1に示す画像形成装置200の二次転写部T2において転写された未定着トナー像tを担持した記録材Sが記録材搬送路Hを矢印C方向から定着装置100の加熱ニップNに導入される。記録材Sは、加熱ニップNで挟持搬送される過程で、表面の未定着トナー画像tが、定着ローラ7の熱とニップ圧で記録材S面に定着される。記録材Sに担持されていた未定着トナー像が定着ローラ7から印加された熱エネルギで溶融する一方、かかる溶融トナーが加圧ローラ8の圧接力で押し潰されて記録材Sの繊維間に浸透し、これにより、記録材Sに対するトナー像の定着がなされる。分離爪14は、定着ニップ部Nを通過した記録材Sを定着ローラ7から機械的に分離させて定着ローラ7に巻き付くのを阻止している。
【0027】
加熱アセンブリ1は、定着ローラ7を長手方向に貫通して非回転に配置されたステイ3にホルダー2を支持させている。ホルダー2には、励磁コイル5と磁性体コア6a、6bが格納される。ホルダー2は、耐熱性樹脂で横断面略半円樋型に形成され、半円筒面側を記録材導入側に指向させた角度姿勢で、定着ローラ内面に非接触に所定の間隔を確保して配設される。ホルダー2は、耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加した非磁性材料の成型体である。ホルダー2には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの非磁性材料が適している。
【0028】
ホルダー2の中央部には、ホルダーに沿って第一磁性体コア6aを複数配設して保持させてある。第一磁性体コア6aを挟むように、2つの第二磁性体コア6b、6bを複数配置して保持させてある。第一磁性体コア6aおよび第二磁性体コア6bは、磁気回路の効率を上げるためと磁気遮蔽のために配置される。第一磁性体コア6aおよび第二磁性体コア6bには、高透磁率かつ低損失のものを用いることが好ましく、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアの磁性材料を使用してもよい。
【0029】
励磁コイル5は、磁性体コア6aを巻き中心部にして配設される。励磁コイル5は、加熱に十分な交番磁束を発生するため、抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。ここでは、励磁コイル5のコイル線材は、外径0.17mm、140本、総外径4mmのリッツ線である。励磁コイル5が昇温した場合を考えて、リッツ線の絶縁被覆には耐熱性の材料を使用した。第一磁性体コア6a、および第二磁性体コア6b、6bを定着ローラ7の内周面の近傍に配置することで、励磁コイル5から発生する磁束を定着ローラ7の発熱層内により多く通過させることができ、定着ローラ7の発熱効率が高まる。
【0030】
ホルダーフタ4は、横断面略半円樋型であり、内側に第一磁性体コア6aと励磁コイル5を配設したホルダー2に嵌着される。ホルダーフタ4の材質はホルダー2と同じである。ホルダー2とホルダーフタ4の間に第一磁性体コア6aと励磁コイル5が抑え込まれて保持される。
【0031】
図3に示すように、ホルダー2は、両端部が装置側板12a、12bの外側に設けたホルダー支持板30a、30bに非回転に支持される。円筒管の定着ローラ7は、断熱ブッシュ70a、70b及びベアリング11a、11bを介して、左右の装置側板12a、12bの間に回転自在に保持されている。定着ローラ7は、一方の端部に固定された定着ローラギア10に駆動機構Mから回転力が伝達されることで、所定の周速度にて回転駆動される。
【0032】
加圧ローラ8の芯金8aは、加圧ローラ支持フレーム12c、12dに設けたベアリング15a、15bによって回転自在に保持される。加圧ローラ支持フレーム12c、12dは、不図示の付勢機構(加圧バネ)により、定着ローラ7の下面に対して加圧ローラ8を所定の押圧力にて圧接させて、搬送方向に所定長さを有する加熱ニップNを形成させている。
【0033】
定着ローラ7の長手方向の略中央部位に対向させて温調用サーミスタ16が配置される。制御回路17は、温調用サーミスタ16の検出信号に基づいて定着ローラ7を所定の定着温度(目標温度)に温調する。制御回路17は、定着ローラ7の表面温度が所定の定着温度に維持されるように、温調制御プログラムに従って電力制御装置(励磁回路)13による励磁コイル5への供給電力を制御する。
【0034】
定着装置100に対する記録材Sの通紙は、中央基準搬送でなされる。通紙センターラインCLは、中央基準搬送のセンターラインである。定着装置100においては、通紙可能な最大サイズ紙幅W1はA4横送りの幅(297mm)、小サイズ紙幅W2はA4縦送りの幅(210mm)である。最大サイズ紙幅W1が通常紙サイズ幅であるため、以下、W1を通常紙サイズ幅と記す。
【0035】
ホルダー2の長手方向に沿って第一磁性体コア6aを配設した長さ寸法は、通常紙サイズ幅W1と略同じで、A4サイズ横送り幅に対応位置している。第二磁性体コア6b、6bを配設した長さ寸法も、通常紙サイズ幅W1と略同じで、A4サイズ横送り幅に対応している。
【0036】
両端の非通紙部W3は、小サイズ紙幅W2の記録材Sを通紙したときに定着ニップ部Nに生じる非通紙部であり、最大サイズ紙幅W1と小サイズ紙幅W2との差領域である。非通紙部W3にはシャッターサーミスタ22が対向配置され、非通紙部W3の外側にはシャッターサーミスタ23が対向配置されている。
【0037】
制御回路17は、シャッターサーミスタ22、23の検出結果に応じて、定着ローラ7の温調の目標温度を決定する。制御回路17は、シャッターサーミスタ22、23の検出温度が許容範囲を超えると、加熱アセンブリ1と定着ローラ7の隙間に配置された遮蔽部材18を移動させて磁束を遮蔽する。
【0038】
<磁束の遮蔽部材>
図4は遮蔽部材18の動作の説明図である。図3に示すように、遮蔽部材18は、励磁コイル5から定着ローラ7へ作用する磁束の一部を遮蔽するシャッターであって、遮蔽部18aが交番磁束を遮蔽することで、両端の非通紙部W3の過熱が緩和される。
【0039】
駆動モータ21は、ギア列24を介して駆動ギア20を回転させて遮蔽部材18を移動させる。遮蔽部材18は、一端部が駆動ギア20に取り付けられ、駆動ギア20の回転に伴って周方向に移動する。駆動ギア20には、磁束を遮蔽する位置二箇所と磁束を遮蔽しない退避位置とに位置検出用のスリットを設けている。遮蔽部材18の位置は、ギアポジションセンサ19によって検出される。
【0040】
遮蔽部材18は、自身の昇温を防止するために、誘導電流を流す導電体であって固有抵抗の小さい非磁性材料である銅、アルミニウム、銀若しくはその合金、または材料の抵抗が大きいフェライト等が適している。鉄やニッケルのような磁性材料でも、円孔やスリットなどの通孔を形成して渦電流による発熱を抑えることで使用が可能である。遮蔽部材18は、記録材Sの搬送方向と直交する方向(定着ローラ7の長手方向)に形状を変化させて、支持部18bにより連結支持された両端部分を突起状に定着ローラ7の円周方向に伸長させて遮蔽部18aとしている。
【0041】
制御回路17は、ギアポジションセンサ19が検出する遮蔽部材18の位置信号と、加熱ニップNに給送される記録材Sのサイズを検出するサイズ検出センサ(図示せず)の検出信号に基づいて駆動モータ21を回転駆動する。制御回路17は、磁束遮蔽を必要と想定される記録材サイズに応じて遮蔽部18aの長手方向の幅及び位置を決定して、遮蔽部材18を定着ローラ7の内周面に沿って周方向へ移動させる。退避位置(ホームポジション)から遮蔽位置へ、または遮蔽位置から退避位置へ遮蔽部材18を回転移動させる。
【0042】
図4の(a)に示すように、遮蔽部材18は、最大サイズ紙幅W1で画像形成を行う際は、定着ローラ7内において加熱アセンブリ1の励磁コイル5とは反対側の退避位置に保持される。退避位置は、加熱アセンブリ1から定着ローラ7に磁束が実質的に作用しない位置である。遮蔽部材18が退避位置にあるとき、第一磁性体コア6a及び第二磁性体コア6bに導かれて定着ローラ7へ入射する交番磁束は、長手方向全域で遮蔽されることなく、定着ローラ7の長手方向全域を誘導加熱する。
【0043】
図4の(b)に示すように、遮蔽部材18は、小サイズ紙幅W2で画像形成を行う際は、定着ローラ7内において加熱アセンブリ1のコイル5側の遮蔽位置に保持される。遮蔽位置は、加熱アセンブリ1から定着ローラ7に作用する磁束を、遮蔽部18aが非通紙部W3で一部遮蔽する。遮蔽部材18を小サイズ記録材の非通紙部W3を遮蔽する形状にすることで、小サイズ記録材が連続して搬送された際に、定着ローラ7端部の非通紙部W3の過昇温を防止できる。遮蔽部材18が遮蔽位置にあるとき、定着ベルト7に向かう交番磁束の一部(長手方向端部領域)は、遮蔽部18aに遮蔽されるので、定着ローラ7の非通紙部W3の発熱が抑制される。
【0044】
尚、両方の非通紙部W3の過剰な昇温を抑制する仕組みは、遮蔽部材18には限らない。磁性体コア6aを励磁コイル5に対して相対移動可能に配置することで、励磁コイル5から定着ローラ7への磁束経路を変更させ、定着ローラ7の長手方向に関する磁束密度分布を調整してもよい。
【0045】
ところで、電磁誘導加熱方式における節電及び起動時間短縮を実現するため、定着ローラ7を薄肉化して熱容量を低減し、定着ローラ7の内周面に近接させて誘導加熱装置1を配置したところ、従来のC形止め輪50Eのホールド性が低下する傾向が確認された。そのため、このような構成に対しては新たな対策が望まれている。
【0046】
以下の実施例では、図7の(b)に示すように、内周面に近傍する誘導加熱装置(遮蔽部材18)があった場合でも、C形止め輪50と誘導加熱装置1とのクリアランスを確保しつつ、十分な強度で係止できるC形止め輪50を提供している。これにより、薄肉の定着ローラ7の板厚分で凸部を製作することができ、係止性能を損なうことなく、定着ローラ7の内径に近接する部品がある場合でも十分なクリアランスを確保できるようになった。
【0047】
<実施例1>
図5は実施例1における定着ローラの組み立て状態の斜視図である。図6は実施例1のC形止め輪を定着ローラに組み立てた状態の説明図である。
【0048】
図5に示すように、誘導加熱装置の一例である加熱アセンブリ1は、ローラの一例である定着ローラ7に磁束を入射して誘導加熱可能である。加熱部材の一例である遮蔽部材18は、定着ローラ7の内周面に対向して配置され、定着ローラ7の端部側領域の内周面に沿って移動可能な磁束の遮蔽部材である。遮蔽部材18は、定着ローラ7の加熱を調整可能である。
【0049】
軸受構造は、軸受取付構造を用いて定着装置100に組み立てられており、定着ローラ7の端部に外挿されて定着ローラ7を回転自在に支持する。断熱部材の一例である断熱ブッシュ70a、70bは、定着ローラ7の端部に外挿されて定着ローラ7からの熱漏れを軽減する。軸受部材の一例であるベアリング11a、11bは、断熱ブッシュ70a、70bに外挿されて断熱ブッシュ70a、70bを回転自在に支持する。C形止め輪50は、図7の実施例1の図を参照してわかるように、周方向における一端部U1と、他端部U4との間隔を弾性的に変更可能である。そして、このU1とU4とを同じ穴部にひっかけると共に、定着ローラ7に配置された複数の周方向の穴部に凸部を拘束させて定着ローラ7に外挿されている。C形止め輪50は、定着ローラ7の回転軸線方向の所定位置に取り付けられて定着ローラ7の外周をC形の輪郭で拘束して、軸受構造の軸方向の移動を規制する。
【0050】
軸受構造(11b、70b)を定着ローラ7上で軸方向に位置決めるために、C形止め輪50bが使用されている。ワッシャー60は、断熱ブッシュ70bとC形止め輪50bの間に配置され、断熱ブッシュ70bの削れを防止している。定着ローラ7の端部に複数の周方向の穴部Qが形成され、C形止め輪50bは、穴部Q内に凸部を挿入した状態で定着ローラ7に取り付けられている。C形止め輪50bは、軸受構造(11b、70b)の外側の端面を拘束して、定着ローラ7の端部に位置決めている。軸受構造(11b、70b)から外部に突出している定着ローラ7の端部に、C形止め輪50が、三点の凸部をそれぞれ定着ローラ7の穴部に挿入して、周面で三点支持されている。軸受構造は、断熱ブッシュ70bにベアリング11bを外挿して構成されている。図3に示すC形止め輪50a、50bは同一の部材であるため、以下の説明では、まとめてC形止め輪50として表す。
【0051】
図6に示すように、C形止め輪50は、板金材料から最終的な輪郭を切り抜いて形成された板状の部材であり、ローラの端部を囲んで配置された複数の周方向に細長い穴部に凸部を拘束させてローラに外挿される。C形止め輪50は、ローラの外周面を周回して周方向に対向する一対の凸部において開閉可能に形成されている。C形止め輪50は、板状に形成されたC形の周方向における一端側で穴部に嵌められる一端部と、C形の周方向における一端部の反対側で穴部に嵌められる他端部とを有する。C形止め輪50の周方向の移動に伴って穴部の縁に当接する一端部と他端部の部分の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状である。この凹形状は、U字の凹形状や、V字の凹形状である。
【0052】
電磁誘導加熱方式を用いて省エネ及び装置起動時間の短縮化などを実現させるため、実施例1の定着ローラ7の肉厚は、従来の1.0mmから0.65mmに薄肉化して熱容量を低減している。また、遮蔽部材18と定着ローラ7の内周面とのクリアランスCLを、従来の1.6mmから、ハッチングで示すように1.2mmにまで狭くした。クリアランスCLが狭いほど、図3に示す励磁コイル5、第一磁性体コア6a、第二磁性体コア6bの磁束を定着ローラ7の金属層により多く拘束させて、発熱効率が向上する。
【0053】
定着ローラ7の周面にC形止め輪50を取り付けるための周方向に細長い穴部(スリット)Qを3か所設けている。穴部Qの周方向の溝長さ8.0mm、軸方向の溝幅1.2mmである。C形止め輪50は、穴部Qに4つの凸部U1、U2、U3、U4を挿入した状態で定着ローラ7に取り付けられている。C形止め輪50の凸部U1、U2、U3、U4は、定着ローラ7の外周面からの高さが1mmに設計されているため、定着ローラ7の肉厚0.65mmを差し引いた内周面からの突き出し高さは0.35mmである。これにより、回転する遮蔽部材18と凸部U1、U2、U3、U4のクリアランスは、クリアランスCL=1.2mmから突き出し高さ0.35mmを差し引いた0.85mmが確保されている。
【0054】
実施例1では、C形止め輪50は、厚さ0.8mmのステンレスバネ鋼材の薄板をプレス金型で打ち抜き加工して最終的な輪郭形状に仕上げている。少数を製作する場合は、レーザー加工によって、薄板から最終的な輪郭形状を切り抜いて形成してもよい。
【0055】
C形止め輪50は、C形止め輪50に開口を形成して、開口において一対の凸部U1、U4を対向させている。開口部分で打ち抜きの金型の強度を確保するためである。また、内側へ弾性的に変形する余地を確保して定着ローラ7の周面に密着させるためである。後工程(ベーキング等)で閉じ形状にすることもできるが、板を塑性変形させることとなるため、金属疲労の観点からは望ましくない。
【0056】
<従来のC形止め輪との比較>
図7は従来のC形止め輪と実施例1のC形止め輪の性能比較の説明図である。図8は従来と実施例1とにおける凸部の形状の比較の説明図である。図9は従来と実施例1とにおける凸部の当接圧力の比較の説明図である。図10は凸部の傾き角度の説明図である。図7、8、9中、(a)は従来のC形止め輪、(b)は実施例1のC形止め輪である。図7、8、9中、比較のため、従来の角線材のものと実施例1のプレス材のものとで、C形止め輪の定着ローラの内面(内周面)からの突出量を同等の関係にして示している。
【0057】
特許文献1に示される2種類のC形止め輪のうち、ローラの内側に凸部が大きく突き出したC形止め輪は、加熱部材に干渉するため採用できない。特許文献1に示される別のC形止め輪は、凸部が、穴部の端部の縁に当接した際に凸部を穴部から押し出す方向の分力が発生する輪郭形状であるため、C形止め輪とローラの周方向の相対移動に発生すると穴部から浮き上がって空転する可能性がある。
【0058】
図7の(a)に示すように、従来は、特許文献1とほぼ同様に、軸受構造(11)の外側の端面を拘束するために、角線材を折り曲げ加工したC形止め輪50Eが使用されていた。角線材のC形止め輪50Eは、角線材1mmからワイヤーフォーミング法により製作されていた。
【0059】
中央の凸部V2は、V形状で、先端が定着ローラ7の内径側に進入している。これにより、C形止め輪50Eがスペーサ60の側面と干渉して、定着ローラ7がベアリング11から外れるのを防止している。ここで、凸部V2を高くして、定着ローラ7の内周面から大きく突出させれば、C形止め輪50Eは、定着ローラ7から外れにくくなる。しかし、この場合、内側にクリアランスが確保できないため、定着ローラ7の内周面に近接して遮蔽部材18を移動することができなくなる。
【0060】
C形止め輪50Eは、定着ローラ7にC形止め輪50Eを締め付ける構成をとるため、バネ性を持たせる必要があり、C形止め輪50Eの開口部を閉じ形状に製作しなければならない。製作の際、C形止め輪50Eは、ワイヤーフォーミングで製作を行うが、定着ローラ7と遮蔽部材18のクリアランスの関係上、穴部に挿入される凸部V1、V2、V3は、V形状の輪郭を持たせて製作しなければならない。
【0061】
図8の(a)に示すように、凸部V2(V1、V3)がV形状の場合、C形止め輪50Eは、軸アライメントのズレでスラスト力が掛かって停止し、再駆動を掛けた場合に、図5に示す断熱ブッシュ70bとスペーサ60が空転する可能性がある。このとき、定着ローラ7と通常連れ回っているC形止め輪50Eに引き剥がす方向の力(ブレーキ)を加えてしまう。C形止め輪50Eでは、定着ローラ7の穴部Qに係止する際、凸部V2(V1、V3)の掛かり量が少ない。掛かり量が少ないため、定着ローラ7と加圧ローラ8の軸アライメントが崩れて定着ローラ7にスラスト力が発生した場合に、C形止め輪50Eの開口部が開いて全体が外れる可能性がある。従来の角線材のC形止め輪50Eは、定着装置100の起動時、凸部V1、V2、V3の穴部Qに対する掛かり部にかかるせん断力は、約40N/mmであった。
【0062】
従来のC形止め輪50Eにおける検討では、軸アライメントが約0.5°ずれたことによるC形止め輪に係るスラスト力は約294Nであった。定着装置100の駆動の瞬間、スラスト力を約294Nかけた状態で、スペーサ60との静止摩擦係数によって、C形止め輪50には引き剥がす方向の力(ブレーキ)が約5Nかかる。それに対し、C形止め輪50Eが開く耐力は約1.8Nとなっているため、開口部が開いて全体が外れる可能性があった。
【0063】
図9の(a)に示すように、定着ローラ7の端面Iの回転方向に対し、凸部V2の端面Lに外向きの力Fsinθ−aが加わる角度になってしまうため、V形状は定着ローラ7周方向に対して乗り上げやすい形状である。
【0064】
図7の(b)に示すように、これに対して、実施例1では、C形止め輪50は、穴部Qに4つの凸部U1、U2、U3、U4を挿入した状態で定着ローラ7に取り付けられている。穴部Qは、定着ローラ7の120度ごとの角度位置に等しい長さで形成されているため、C形止め輪50は、3つのどの角度位置でも取り付け可能になっている。C形止め輪50は、一対の凸部U1、U4の他に定着ローラ7の120度ごとの2つの角度位置に対応させた一組の凸部U2、U3を有する。一対の凸部U1、U4を任意の1つの穴部Qに進入させて、一組の凸部U2、U3を残りの穴部Qに進入させることにより定着ローラ7の周面に三点支持される。なお、実施例1では、穴部Qの厚み方向断面は実質的に直角になるようにカットされている。
【0065】
実施例1における検討では、定着装置100の駆動の瞬間、スラスト力を約294Nかけた状態で、スペーサ60との静止摩擦係数によって、C形止め輪50には引き剥がす方向の力(ブレーキ)が約7Nかかる。それに対し、C形止め輪50の引き剥がし耐力は60N以上となっている。そのため、C形止め輪50は、開口が開くことなく定着ローラ7の周方向に係止でき、従来のものに比較してスラスト耐力も向上している。
【0066】
図8の(b)に示すように、穴部Qに対する掛かり量の面積を従来よりも約1.7倍に増やした結果、凸部U1、U2、U3、U4の掛かり部にかかるせん断力は、約25N/mmに軽減された。
【0067】
図9の(b)に示すように、定着ローラ7の穴部Qの端面Iの回転方向に対し、凸部U2の端面Lに内向きの力Fsinθ−bが加わる角度にすることで、定着ローラ7の周方向に対して食いつく形状(くさび形状)である。これにより、C形止め輪50の開口が開かなくなるため、閉じ形状に製作する必要が無い。くさび形状と穴部Qの当接角度θ(図9b)は7°とした。図10に示すように、当接角度は、斜線部内に設定すればくさび形状の効果が得られる。
【0068】
<実施例2>
図11は実施例2のC形止め輪の平面図である。図11に示すように、C形止め輪50は、板状に形成されたC形の周方向における一端側で穴部に嵌められる一端部(U1)と、C形の周方向における一端部の反対側で穴部に嵌められる他端部(U4)とを有する。C形止め輪50の周方向の移動に伴って穴部の縁に当接する一端部と他端部の部分の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状である。
【0069】
また、C形止め輪50は、板状に形成されたC形の周方向における中間位置で穴部Qに嵌めるための内側に向かって突出する凸部U2、U3を有する。C形の周方向における凸部U2、U3の両端部の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状である。そして、C形止め輪50の周方向の移動に伴って一端部(U1)と他端部(U4)が穴部内を移動する範囲では、凸部U2、U3は、挿入された穴部内においてローラに当接することなく周方向に移動可能な輪郭形状及び周方向の長さに設計されている。
【0070】
C形止め輪50の開口部に位置する凸部U4の端面と定着ローラ7の穴部Qの端面が接して回転する際、C形止め輪50の別の凸部U2、U3の端面と穴部Qの端面の間に隙間Zができている。そのように、凸部U2、U3の周方向の長さと、穴部Qの周方向の長さ及び配置が設計されている。
【0071】
凸部U4に対向する凸部U1についても別の凸部U2、U3との間で同様な関係を持たせている。凸部U1の端面と穴部Qの端面が接した際に、別の凸部U2、U3の端面と穴部Qの端面の間に隙間Zができる。そのように、凸部U2、U3の周方向の長さと、穴部Qの周方向の長さ及び配置が設計されている。
【0072】
その結果、定着ローラ7の周方向のいずれの方向にC形止め輪50が相対回転する場合でも、C形止め輪50の端部に位置する凸部U1又はU4が穴部Qの端面に当接して、別の凸部U2、U3の端面と穴部Qの端面とが当接することを妨げる。これにより、C形止め輪50には、いずれの場合にも開口を閉じて定着ローラ7を締め付ける方向の力が作用して、開口部が開くのを防止できる。
【0073】
これに対して、図7の(a)に示す従来のC形止め輪50では、C形止め輪50Eの凸部V2と穴部Qの端面が接して回転する際に、当接部を中心にしてC形止め輪50Eの両端が開く力が掛かる。このため、C形止め輪50Eの両端の凸部V1、V3が定着ローラ7の穴部Qから浮き上がる可能性がある。
【0074】
<実施例3>
実施例1では、電磁誘導加熱方式の定着装置について説明したが、本発明の像加熱装置、軸受取付構造、およびC形止め輪は、ハロゲンヒータ等の他の加熱方式を採用した定着装置でも有効である。
【0075】
また、本発明は、記録材品位を向上させるカール除去装置、記録材の光沢付与装置、トナー像が形成される前の記録材を加熱して乾燥される記録材乾燥装置等、印刷機、プリンタ、画像形成装置において記録材を搬送する紙搬送装置に広く利用できる。
【0076】
また、本発明の軸受取付構造およびC形止め輪は、薄肉のパイプにベアリングを位置決めする、その他の一般的な機械装置においても広く利用できる。本発明のC形止め輪は、回転または固定軸上に保持される部材をその軸方向に位置規制する用途であれば、定着装置に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
1 加熱アセンブリ、2 ホルダー、3 ステイ、4 ホルダーフタ
5 励磁コイル、6a 第一磁性コア、6b 第二磁性コア
7 定着ローラ、8 加圧ローラ、9 コイル供給線
10 定着ローラギア、11a、11b ベアリング
12a、12b 側板、13 電力制御装置、14 分離爪
15a、15b 加圧ローラベアリング、16 サーミスタ
17 制御回路、18 遮蔽部材、19 ギアポジションセンサ
20 駆動ギア、21 駆動モータ、22 第一シャッターサーミスタ
23 第二シャッターサーミスタ、50、50a、50b C形止め輪
60 ワッシャー、70a、70b 断熱ブッシュ、100 定着装置
W1 最大サイズ幅、W2 小サイズ幅、W3 非通紙部
U1、U2、U3、U4 凸部、CL クリアランス



【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に当接して回転するローラと、前記ローラの内側に配置されて前記ローラの加熱をするための加熱手段と、前記ローラの端部に外挿されて前記ローラを回転自在に支持する軸受構造と、前記ローラの回転軸線方向の所定位置に取り付けられて前記ローラの外周をC形の輪郭で拘束するC形止め輪と、を備え、前記C形止め輪によって前記軸受構造に対する前記ローラの回転軸線方向の移動が規制される像加熱装置において、
前記C形止め輪を取り付けるための穴部が前記ローラに配置され、
前記C形止め輪は、板状に形成されたC形の周方向における一端側で前記穴部に嵌められる一端部と、C形の周方向における前記一端部の反対側で前記穴部に嵌められる他端部と、を有し、
前記穴部の縁に当接する前記一端部と前記他端部の部分の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状であることを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
記録材に当接して回転するローラと、前記ローラの内側に配置されて前記ローラの加熱をするための加熱手段と、前記ローラの端部に外挿されて前記ローラを回転自在に支持する軸受構造と、前記ローラの回転軸線方向の所定位置に取り付けられて前記ローラの外周をC形の輪郭で拘束するC形止め輪と、を備え、前記C形止め輪によって前記軸受構造に対する前記ローラの回転軸線方向の移動が規制される像加熱装置において、
前記C形止め輪を取り付けるための穴部が前記ローラに配置され、
前記C形止め輪は、板状に形成されたC形の周方向における中間位置で前記穴部に嵌めるための内側に向かって突出する凸部を有し、
C形の周方向における前記凸部の両端部の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状であることを特徴とする像加熱装置。
【請求項3】
前記穴部は、前記ローラの周方向の120度ごとの角度位置に等しい長さで周方向に長く形成され、
前記C形止め輪は、前記一端部と前記他端部の他に前記ローラの周方向の120度ごとの2つの角度位置に対応させた一組の凸部を有し、前記一端部と前記他端部とを任意の1つの前記穴部に嵌めて、前記一組の凸部を残りの前記穴部に嵌めることにより前記ローラに三点支持されることを特徴とする請求項1記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記C形止め輪の周方向の移動に伴って前記一端部と前記他端部とが前記穴部内を移動する範囲では、前記一組の凸部は、挿入された前記穴部内において前記ローラに当接しないように周方向の長さが設定されていることを特徴とする請求項3記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記軸受構造は、前記ローラの端部に外挿されて前記ローラからの熱漏れを軽減する断熱部材と、前記断熱部材に外挿されて前記断熱部材を回転自在に支持する軸受部材とからなり、
前記ローラは、前記ローラに磁束を入射して誘導加熱する誘導加熱装置により誘導加熱可能であって、
前記加熱手段は、前記ローラの端部側の領域の内周面に沿って移動可能な前記磁束の遮蔽部材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
記録材に当接して回転するローラと、前記ローラの端部に外挿されて前記ローラを回転自在に支持する軸受構造と、前記ローラの回転軸線方向の所定位置に取り付けられて前記ローラの外周をC形の輪郭で拘束するC形止め輪と、を備え、前記C形止め輪によって前記軸受構造に対する前記ローラの回転軸線方向の移動が規制される像加熱装置において、
前記C形止め輪を取り付けるための穴部が前記ローラに配置され、
前記C形止め輪は、板状に形成されたC形の周方向における一端側で前記穴部に嵌められる一端部と、C形の周方向における前記一端部の反対側で前記穴部に嵌められる他端部と、を有し、
前記穴部の縁に当接する前記一端部と前記他端部の部分の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状であることを特徴とする軸受取付構造。
【請求項7】
周方向に細長く形成された穴部を有する円筒状のローラの回転軸線方向の所定位置に取り付けられてローラの外周をC形の輪郭で拘束するC形止め輪において、
板状に形成されたC形の周方向における一端側で前記穴部に嵌められる一端部と、C形の周方向における前記一端部の反対側で同一の前記穴部に嵌められる他端部と、を有し、
前記穴部の縁に当接する前記一端部と前記他端部の部分の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状であることを特徴とするC形止め輪。
【請求項8】
周方向に長く形成された穴部を有する円筒状のローラの回転軸線方向の所定位置に取り付けられてローラの外周をC形の輪郭で拘束するC形止め輪において、
板状に形成されたC形の周方向における中間位置で前記穴部に嵌めるための内側に向かって突出する凸部を有し、
C形の周方向における前記凸部の両端部の輪郭は、いずれも周方向において凹んでいる凹形状であることを特徴とするC形止め輪。
【請求項9】
前記一端部と前記他端部の他に前記ローラの周方向の120度ごとの2つの角度位置に対応させた一組の凸部を有し、前記一端部と前記他端部とを1つの前記穴部に嵌めて、前記一組の凸部を前記ローラに形成された別の2つの穴部にそれぞれ嵌めることにより前記ローラに三点支持されることを特徴とする請求項7記載のC形止め輪。
【請求項10】
前記C形止め輪の周方向の移動に伴って前記一端部と前記他端部とが1つの前記穴部内を移動する範囲では、前記一組の凸部は、挿入されたそれぞれの穴部内において前記ローラに当接しないように周方向の長さが設定されていることを特徴とする請求項9記載のC形止め輪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−7888(P2013−7888A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140350(P2011−140350)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】