説明

充填包装機の枚葉袋2枚取り検知装置

【課題】枚葉袋の充填包装機に於いて、給袋装置から受渡し装置にて把持装置に供給するに際に、枚葉袋の2枚取の有無を検知してそれによって生ずるトラブルを防止することを目的とする。
【解決手段】給袋装置から受渡し装置にて把持装置に供給するに際し、受渡し装置において枚葉袋を挟持した際の挟持ブロック間の隙間を検出するセンサーと、その検出信号に基づいて枚葉袋の2枚取の有無を判断し、それ以降の諸動作を制御する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枚葉袋を用いる充填包装機に於ける枚葉袋の2枚取の有無を検知する装置に関し、さらに詳しくは、給袋装置から受渡し装置にて把持装置に供給するに際に、受渡し装置にて挟持された枚葉袋の2枚取の有無を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等の枚葉袋への充填包装機の基本的な構成は図1に示すように、枚葉袋1を給袋装置Aの吸盤3で吸着して持上げ、把持装置Bのチャックに受渡し装置で供給す給袋工程(I)、把持された枚葉袋の表面に製造年月日を捺印する捺印工程(II)、枚葉袋の口を吸盤4で開ける開袋工程(III)、充填装置Eにより枚葉袋1内に具材及び内容物を充填する充填工程(IV)、(V)、シール装置Fにより袋口を密封する第1次シール工程(VI)、第2次シール工程(VII)、包装が完了した枚葉袋を外部へ排出する排出工程(VIII)等で構成されている。
上記充填包装機の給袋工程(I)に於いては、さまざまな提案がなされ、図8のように供給装置に載置され枚葉袋を確実に一枚ずつ受渡しするための提案がなされている。さらに別の提案では特許文献1などがある。供給装置で枚葉袋を確実に分離供給することがさまざまに行なわれている。それにもかかわらず、分離が完全でなく、2枚取りが発生してしまう為に例えば、特許文献2などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−11837号公報
【特許文献2】実開平5−75110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、給袋装置から供給された枚葉袋を確実にセパレートすることは、枚葉袋の表面の材質は言うに及ばす、資材の製造工程でのコンディション、さらに枚葉袋を使用する日の気温や湿度が大きく関係することが経験的に分かっている。さらに2枚取りが発生した際には2枚のうちの一枚が運良く開口されて充填、シールの工程を経たとしても問題が生じる場合がある。日付のない商品が発生することと、シールが不完全な商品が発生することである。
これらの商品は事前に感知して取り除く必要があり、枚葉袋を供給する際に2枚取の有無を検知してそれによって生ずるトラブルを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は枚葉袋を用いる充填包装機の枚葉袋2枚取り検知装置であり、把持装置で把持された枚葉袋の袋口を一対の吸盤で真空吸着して開口して充填密封する充填包装機に於いて、給袋装置から受渡し装置にて把持装置に供給するに際し、受渡し装置において枚葉袋を挟持した際の挟持ブロック間の隙間を検出するセンサーと、その検出信号に基づいて枚葉袋の2枚取の有無を判断し、それ以降の諸動作を制御することを特徴とする。
したがって、給袋装置からターンテーブルに設けられた把持装置に受渡しをする際に2枚取りを検知してその後の諸動作を制御することができるものである。
【0006】
さらに、前記挟持ブロックは位置ズレ防止の弾性体のグリップを有し、挟持した際の挟持ブロックの間の隙間の検出は、前記弾性体が変形して挟持した位置をゼロ点とし、前記検出センサーは前記弾性体を有さないセンサー当たりで隙間を検出するようにすると枚葉袋の移載時に枚葉袋が位置ズレをおこさずに移載することができる。
【0007】
また、前記挟持した際の挟持ブロック間の隙間を検出するセンサーは接触型変位センサーを用い、挟持ブロックの一方には変形をしないセンサー当たりを設け、他方の挟持ブロックにはセンサーのアクチュエーターが前記センサー当たりに垂直に当接するようにセンサーが取り付けてあると、センサーの測定値が正確に測定できる。
【0008】
給袋装置から一枚の枚葉袋がバキュームパットで枚葉袋の上部を吸着分離され、その上部を受渡し装置の挟持ブロックで挟持された状態で充填包装機の把持装置に供給される。
その後は日付捺印、開口、充填、シール、排出の工程を行なうが、供給装置から枚葉袋がブロッキング等の理由で2枚の枚葉袋が把持装置に供給されると、日付の捺印は一方の枚葉袋のみにおこなわれる。その後の開口工程で日付が無い枚葉袋が開口されるとその後の充填工程、シール工程、排出工程が行なわれると日付なしの商品が発生することになる。また、この商品はシール工程で4枚のシートをシールするのでシール状況が不完全である可能性が高い。しかし、受渡し装置の挟持ブロックで挟持した隙間を毎回測定することから2枚取りを把持装置に供給する際に挟持ブロックの隙間が理論上は通常の2倍になることから2枚取りを検出できるので日付なし商品やシールの不完全な商品を製造することなく、事前に対応できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給袋装置から受渡し装置にて把持装置に供給するに際し、受渡し装置において枚葉袋を挟持した際の挟持ブロック間の隙間を検出するので、その検出信号に基づいて2枚取りが判定できる。2枚取りの場合はパウチの厚みが単純に2倍になることにより判別が可能である。また、それ以降の動作は充填包装機に既に備わっている機能を用いればよく、例えば枚葉袋無しの信号を与えればその後の動作はしなくなる。
また、受渡し装置の挟持ブロックには給袋装置にて整列されていた枚葉袋の位置をそのままに維持する為に弾性体のグリップが設けられている。挟持ブロックが閉じた際に弾性体は変形して枚葉袋を挟持するが枚葉袋が無い状態で閉じたブロックの隙間をゼロ点とすることでより正確に隙間を測定することが出来る。
これらにより2枚取りを防止することはできないが、2枚取りにより生じる日付なし商品、シール不良の可能性のある商品が発生することを防止できると同時に良品、不良品の判定が高精度で行なえるので誤作動による作業能率の低下をきたさない。結果として作業能率を向上させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に用いられる代表的な枚葉袋を用いる充填包装機の構成を説明する斜視説明図である。
【図2】図2は、枚葉袋を用いる充填包装機の把持装置の一例で開口された枚葉袋を示す斜視説明図である。
【図3】図3は、給袋装置から受渡し装置にて把持装置に枚葉袋を供給する説明図である。
【図4】図4は、受渡し装置の一実施例を示す斜視説明図である。
【図5】図5は、2枚取りの枚葉袋に充填した際の説明図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例を示す受渡し装置の枚葉袋の挟持ブロックの斜視説明図並びに側面説明図である。
【図7】図7は、 本発明の一実施例を示す受渡し装置の枚葉袋の挟持ブロックの動作を説明するタイミングチャート図である。
【図8】図8は、給袋装置から枚葉袋を一枚ずつ取り上げるセパレート動作を説明する参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0012】
2枚のシートの三方がシールされ、未シールの一方のみが開放している袋、又は一枚のシートが折り曲げられて両側がシールされた袋で、充填口のみが開放している樹脂製の容器は枚葉袋と呼ばれて広く用いられている。
枚葉袋への自動充填包装機の基本的な構成は図1に示すように、枚葉袋を給袋装置Aの吸盤3で吸着して持上げ、把持装置Bのチャック2、2に受渡し装置で供給す給袋工程(I)、把持された枚葉袋1の表面に製造年月日を捺印する捺印工程(II)、枚葉袋1の口を吸盤4で開口させる開袋工程(III)、充填装置Eにより枚葉袋1内に具材及び内容物を充填する充填工程(IV)、(V)、シール装置Fにより袋口を密封する第1次シール工程(VI)、第2次シール工程(VII)、包装が完了した枚葉袋1を外部へ排出する排出工程(VIII)等で構成されている。
シール工程は、充填が完了した枚葉袋1を例えば真空包装機へ受渡して真空チャンバでシールすることも出来る。
[第1の実施形態]
【0013】
図1で自動充填包装機の基本的な構成を説明したが、給袋工程(I)について図2、図3、図4を用いて詳細に説明する。
図2は、枚葉袋1を用いる充填包装機の把持装置Bの一例で開口された枚葉袋1を示す斜視説明図である。充填包装機のメインのターンテーブルTには動作ステーションの数だけ把持装置Bが設けられ、枚葉袋1の両側をチャック2,2で把持して充填に際して開口された状態を示している。図1では把持装置Bが8箇所装備されている。
図4は、受渡し装置Gの一実施例を示す斜視説明図であり、図3は、給袋装置Aから受渡し装置Gにて把持装置Bに枚葉袋1を供給する一実施例の説明図であり、図4を側面から見た説明図である。
給袋装置Aの載置台に水平に枚葉袋1を載置(供給)する。枚葉袋1は最上段が一定になるようにリフター11で使用した分を上昇させて常に一定の高さとなるように制御されている。最上段の枚葉袋1は開口側を吸盤3,3で吸い付けて海老折の要領で最上段の枚葉袋1の開口側を起こして分離する。分離した開口側を受渡し装置Gの挟持ブロック5、5で掴む。受渡し装置Gに挟持された後、給袋装置Aの吸盤3は真空を開放する。受渡し装置Gは枚葉袋1を挟んで本体ターンテーブルTの把持装置Bの開いたチャック2,2に枚葉袋1を移動させる。把持装置Bのチャック2,2が枚葉袋1を保持すると受渡し装置Gの挟持ブロック5、5は開放して枚葉袋1を放して給袋装置Aの待機場所に戻る。これらの一連の動作を行なうようになっている。
【0014】
今回の説明は枚葉袋1を水平載置の説明を行なったが、枚葉袋1を垂直に載置して水平方向に移動させて進行方向の前面から分離供給する方法でも同様に行なうことができる。
図5は、2枚取りの枚葉袋1、1に充填した際の説明図で、2枚取りされた枚葉袋1が異常に開口されたために充填物が枚葉袋1の間を通過して充填包装機のベッドに落下する様子を示している。
2枚の枚葉袋の日付は、日付工程では捺印機の設置してある外側の枚葉袋1だけに捺印されている。偶然に開口が日付が捺印されていない枚葉袋1を開口した場合には充填物は枚葉袋1に正常に収まり、捺印の無い製品が生まれることになる。
【0015】
図6は、本発明の一実施例を示す受渡し装置Gの枚葉袋1の挟持ブロック5の斜視説明図並びに側面説明図である。
(A)は挟持ブロック5の一対を示し、(B)は側面でブロックの開閉を示し、(C)は挟持ブロック5が閉じて、接触型変位センサー8のアクチュエーター9が他方のブロックのセンサー当たり6に接触していることを示した説明図である。
挟持ブロックA5Aにはセンサー当たり6と枚葉袋1の位置ズレ防止の弾性体のグリップ7が配設してある。他方、挟持ブロックB5BにはブロックA5Aのセンサー当たりに垂直にセンサー8のアクチュエーター9が当接する様に接触型変位センサー8がセンサー取り付けブロック12により取り付けられている。なお、枚葉袋1の位置ズレ防止の弾性体のグリップ7はブロックA5Aだけでなく、ブロックB5Bに配置してあっても良い。
【0016】
図7は、一実施例を示す受渡し装置Gの枚葉袋1の挟持ブロック5の動作を説明するタイミングチャート図であり、受渡し装置Gの挟持ブロック5の位置と挟持ブロック5の開閉及び2枚取りセンサー8の判定のタイミングを示したものである。
マガジンで分離された枚葉袋1を挟持ブロック5で挟んで把持装置Gのチャック2に受け渡す迄の間に判定を行なうことを示している。なお、判定は給袋装置Aから枚葉袋1を挟んでチャック2に移動する前に判定することがより安定して検出できるのでより好ましい。
[第2の実施形態]
【0017】
枚葉袋1(パウチともいう)の寸法が幅200mm長さ300mmで材質が外層が延伸ナイロンで内層がポリエチレンを第一の実施形態の充填包装機の給袋装置Aのマガジン10に平積みで供給した。
マガジン10のリフター11が上昇して、設定された位置にて上昇を停止した。その後、供給装置Aの吸盤3、3でパウチの上半身の開口部側を吸着する。吸盤3,3はパウチの上半身を海老折りする状態で最上面の一枚を分離して開口部を略直立させる。略直立させたパウチの開口部を受渡し装置Gの挟持ブロック5、5で挟持する。挟持ブロックがパウチを挟持すると吸盤3,3の真空を解除する。挟持ブロック5で挟持した際に、挟持ブロックB5BにはブロックA5Aのセンサー当たり6に垂直にセンサー8のアクチュエーター9が当接する様に接触型変位センサー8がセンサー取り付けブロック12により取り付けられているので、接触型変位センサー8のアクチュエーター9がパウチを介してセンサー当たり6に接触してパウチの厚みを毎回測定することになる。
【0018】
挟持ブロックA5Aにはセンサー当たり6と枚葉袋1の位置ズレ防止の弾性体のグリップ7が配設してあるのでパウチはしっかりと位置を保持した状態でマガジンからターンテーブルTに取り付けられた把持装置Bの開放されたチャック2,2の隙間に移載する。チャック2,2が閉じてパウチの両側面をチャッキングすると挟持ブロック5、5は開放してパウチを放して受け渡す。その後、受渡し装置Gは給袋装置A側に戻り、次の動作を待機する。
挟持ブロック5には位置ズレ防止のグリップ7が取り付けられているが、グリップ7は圧縮され、一定となるので取り付けられた接触型変位センサー8は変形しないセンサー当たり6との隙間を計測するので常に一定の値を得ることができる。使用したパウチのフィルムは65ミクロンであり、パウチの厚みは2枚重ねになるため事前の測定値は概ね130ミクロンであった。
【0019】
今回採用した接触型変位センサー8はオムロンスマートセンサーヘッド部の型番ZX−TDS10アンプ部の型番ZX−TDA11を用いた。
挟持ブロック5で挟持した際の測定を500枚を3回行なって記録した。結果は、MAX156ミクロン、MIN114ミクロン、平均132ミクロンであった。
そこで、2枚取りの判定の設定値を一枚の測定値のおおよそ1.5倍の180から190ミクロンの数値以上とした。
2枚取りが検出されると充填包装機のパウチ無しの信号を送るように改造した。充填包装機は、2枚取りの場合は次工程の動作を行なわないので不良の製品を作ることはない。なお、パウチ無しの信号も挟持ブロックの測定値で検出することが可能であるが、既にパウチなし検出装置が組み込まれているので今回は対応を行なわなかった。これらの設定にて製造したところ、2枚取りを確実に検出することが出来た。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
枚葉袋を使用する充填装置において2枚取りは避けがたい現象であり、2枚取りをなくことは必要ではあるが、不良品を発生させない対策として採用できるものである。
【符号の説明】
【0021】
A 給袋装置
B 把持装置
C 捺印装置
D 開口装置
E 充填装置
F シール装置
G 受渡し装置
T ターンテーブル
1 枚葉袋
2 チャック(把持装置)
3 吸盤(供給装置)
4 吸盤(開口装置)
5 挟持ブロック
5A 挟持ブロックA
5B 挟持ブロックB
6 センサー当たり
7 グリップ(挟持ブロック)
8 接触型変位センサー
9 アクチエィター(接触型変位センサー)
10 マガジン
11 リフター
12 センサー取り付けブロック



【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持装置で把持された枚葉袋の袋口を一対の吸盤で真空吸着して開口して充填密封する充填包装機に於いて、給袋装置から受渡し装置にて把持装置に供給するに際し、受渡し装置において枚葉袋を挟持した際の挟持ブロック間の隙間を検出するセンサーと、その検出信号に基づいて枚葉袋の2枚取りの有無を判断し、それ以降の諸動作を制御することを特徴とする充填包装機の枚葉袋2枚取り検知装置。
【請求項2】
前記挟持ブロックは位置ズレ防止の弾性体のグリップを有し、挟持した際の挟持ブロックの間の隙間の検出は、前記弾性体が変形して挟持した位置をゼロ点とし、前記検出センサーは前記弾性体を有さないセンサー当たりで隙間を検出する請求項1記載の充填包装機の枚葉袋2枚取り検知装置。
【請求項3】
前記挟持した際の挟持ブロック間の隙間を検出するセンサーは接触型変位センサーを用い、挟持ブロックの一方には変形をしないセンサー当たりを設け、他方の挟持ブロックにはセンサーのアクチュエーターが前記センサー当たりに垂直に当接するようにセンサーが取り付けてある請求項1又は2記載の充填包装機の枚葉袋2枚取り検知装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−91497(P2013−91497A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232599(P2011−232599)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】