説明

充填成形装置及び充填成形方法

【課題】簡素かつ低コストな構成でキャビティ内の気体の滞留を抑制し、成型品への気泡の混入を防止できる充填成形装置を提供する。
【解決手段】真空引き装置によって通気路62を真空引きし、開閉ピン6を下降させ吸気口63を材料供給口22aに突出させて、通気路62と材料供給口22aを連通状態とする。これにより、充填前のキャビティ7が予め真空状態とされる。その後、開閉ピン6を上昇させて吸気口63を開閉スリーブ5に収納した後、開閉スリーブ5を上昇させてキャビティ7に成形材料を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂又は金属材料の射出成形等において、成形品への気泡の混入を防止できる充填成形装置及び充填成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形において成形材料を金型内に射出する際、キャビティ内外の空気や成形材料から発生するガスがキャビティ内に滞留すると、気泡となって成形品に混入し、外観不良や内部欠陥の原因となることがある。かかる不具合を解消するために、特許文献1には、金型に形成された真空引き通路及び吸引ノズルを介して成形材料の射出時にキャビティ内を真空引きする射出成形装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置にあっては、金型に真空引き通路を形成する必要上、金型の構造が複雑となり、コストアップを招来する。また、金型の真空引き通路から成形材料が流出するため、成型品に不要なランナー、バリ等が生ずる。また、真空引き通路に流出し詰まった成形材料により、キャビティ内を真空引きする機能が有効に働かなくなる。特に低粘性の成形材料を使用する場合、真空引き通路への成形材料の詰まりは顕著なものとなり、金型のメインテナンスを頻繁に行ない、詰まった成形材料を除去しなければならなくなる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、簡素かつ低コストな構成でキャビティ内の気体の滞留を抑制し、成型品への気泡の混入を防止できる充填成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、成形材料が充填されるキャビティを区画する金型と、前記金型の材料供給口を介して前記キャビティ内に成形材料を充填するノズルとを備えた充填成形装置において、前記ノズルは、前記材料供給口と連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる通気路を有し、前記通気路を真空引きする真空引き装置をさらに備え、前記真空引き装置によって真空引きされた前記通気路を前記材料供給口と連通状態とすることにより真空状態とした前記キャビティに、成形材料を充填することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の充填成形装置において、前記ノズルは、筒状のノズル本体と、前記ノズル本体の内部に摺動自在に組み込まれる開閉スリーブと、前記開閉スリーブの内部に摺動自在に組み込まれる開閉ピンを有し、前記ノズル本体と前記開閉スリーブとの間には成形材料を供給するための材料供給路が形成され、前記開閉スリーブが摺動することにより前記材料供給路と前記材料供給口とが連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられ、前記開閉スリーブと前記開閉ピンとの間には第1通気路が形成され、前記開閉ピンは、前記第1通気路と連通される排気口と、前記開閉スリーブに対して該開閉ピンが摺動することにより、前記材料供給口と連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる吸気口と、前記吸気口と前記排気口とを連通させる第2通気路を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の充填成形装置において、前記吸気口は、前記開閉ピンの先端部の外側面に形成され、前記開閉ピンの先端部が前記材料供給口に突出することにより前記吸気口が開放され、前記開閉ピンの先端部が前記開閉スリーブに収納されることにより前記吸気口が閉鎖されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の充填成形装置において、前記開閉スリーブの先端部は、テーパー状に形成され、前記ノズル本体は、前記開閉スリーブの先端部に対応するすり鉢状の弁座を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の充填成形装置において、前記開閉スリーブの先端部の内径と前記開閉ピンの外径が同一であることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の充填成形装置において、前記ノズル本体と前記金型との間隙及び前記金型を構成する雄金型と雌金型との間隙には、封止部材が介挿されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1に記載の充填成形装置において、前記ノズルは、筒状のノズル本体と、前記ノズル本体の内部に摺動自在に組み込まれる開閉スリーブと、前記開閉スリーブの内部に摺動自在に組み込まれる開閉ピンを有し、前記ノズル本体と前記開閉スリーブとの間には前記通気路が形成され、前記開閉スリーブが摺動することにより前記通気路と前記材料供給口とが連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられ、前記開閉スリーブと前記開閉ピンとの間には成形材料を供給するための第1材料供給路が形成され、前記開閉ピンは、前記第1材料供給路と連通される第1供給口と、前記開閉スリーブに対して該開閉ピンが摺動することにより、前記材料供給口と連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる第2供給口と、前記第1供給口と前記第2供給口とを連通させる第2材料供給路を有することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の充填成形装置において、前記通気路に圧縮気体を逆噴射させる圧縮気体噴出装置をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、ノズルに形成されている通気路を真空引きし、型締めされた金型の材料供給口に前記ノズルを当接させ、前記通気路と前記材料供給口を連通させることによりキャビティ内の気体を吸引する気体吸引工程と、前記通気路を閉鎖する通気路閉鎖工程と、前記通気路閉鎖工程によって真空状態が維持されているキャビティ内に前記ノズルから成形材料を充填する材料充填工程と、前記ノズルを閉鎖して前記キャビティ内に充填されている成形材料を硬化させる材料硬化工程と、前記ノズルを前記金型から離脱させ、型開きを行った後、成型品を離型する離型工程と、前記通気路に圧縮気体を供給し、前記通気路を開放することにより前記圧縮気体を逆噴射させて、前記通気路に残留した成形材料の残滓を排出する逆噴射工程とを有することを特徴とする充填成型方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、真空引きされている通気路を材料供給口と連通させることにより、成形材料を充填する前のキャビティ内を予め真空状態とすることができる。これにより、キャビティ内の気体の滞留を抑制し、成型品への気泡の混入を防止できる。また、ノズルの通気路を介して金型の材料供給口から真空引きを行うので、既存の金型をそのまま流用して低コストに真空充填成形をすることができ、また金型のメインテナンスも従来と同程度に抑制できる。
【0016】
請求項2の発明によれば、開閉ピンを摺動させて吸気口を材料供給口と連通状態にすることにより、キャビティ内の気体を吸気口、第1通気路、排気口及び第2通気路を介して真空引き装置に吸引させることができる。そして、吸気口を材料供給と非連通状態とした後、開閉スリーブを摺動させて材料供給路と材料供給口とを連通状態にすることにより、キャビティ内に成形材料を充填することができる。これにより、開閉ピン及び開閉スリーブを摺動させることにより、真空充填成形を行うことが可能となり、簡素な構成及び動作で請求項1に記載の充填成形装置を実現できるようになる。
【0017】
請求項3の発明によれば、吸気口は、開閉ピンの先端部の外側面に形成されているので、開閉ピンの摺動に連動して吸気口が開放又は閉鎖される。これにより、一層簡素な構成で請求項2に記載の充填成形装置を実現できるようになる。
【0018】
請求項4の発明によれば、開閉スリーブの先端部とノズル本体の弁座によって構成されるニードル弁構造によって、開閉スリーブの下降時に材料供給路を密閉し、成形材料の漏洩を確実に防止することができる。また、開閉スリーブの上昇時にはすり鉢状の弁座の内面に沿って成形材料が円滑に流れるので、成形材料の一部が弁座の近傍に滞留する虞が少なくなる。
【0019】
請求項5の発明によれば、開閉スリーブの先端部の内径と開閉ピンの外径が同一であるので、開閉スリーブの先端部の内側面と開閉ピンの外側面との隙間が少なくなり、この隙間から成形材料が吸気口及び第2通気路に逆流することを抑制できる。これにより、成形材料が吸気口及び第2通気路に詰まってキャビティ内を真空引きする機能が有効に働かなくなることを抑制できる。
【0020】
請求項6の発明によれば、ノズル本体と金型との間隙及び金型を構成する雄金型と雌金型との間隙には、封止部材が介挿されているので、真空引きの際に上記間隙から空気が吸い込まれることを防止して、吸引効率を高めることができる。また、充填の際に上記間隙から成形材料が漏出することを防止できる。
【0021】
請求項7の発明によれば、開閉スリーブを摺動させて通気路を材料供給口と連通状態にすることにより、真空引き装置に吸引させることができる。そして、通気路を材料供給と非連通状態とした後、開閉ピンを摺動させて第2供給口と材料供給口とを連通状態にすることにより、第1材料供給路、第1供給口、第1材料供給路及び第2供給口を介して、キャビティ内に成形材料を充填することができる。これにより、開閉ピン及び開閉スリーブを摺動させることにより、真空充填成形を行うことが可能となり、簡素な構成で請求項1に記載の充填成形装置を実現できるようになる。
【0022】
請求項8の発明によれば、成形材料として極めて低粘度な樹脂等が用いられ、通気路に成形材料が僅かながらも逆流する場合であっても、通気路に圧縮気体を逆噴射させることにより、通気路に逆流した成形材料の残滓を排除できる。これにより、成形材料が通気路に詰まってキャビティ内を真空引きする機能が有効に働かなくなることを確実に抑制できる。
【0023】
請求項9の発明によれば、気体吸引工程によって通気路からキャビティ内の気体を吸引して予め真空状態とされているキャビティ内に、成形材料が充填される(材料充填工程)ので、キャビティ内の気体の滞留が抑制され、成型品への気泡の混入を防止できる。また、成形材料が充填される前に、通気路が閉鎖される(通気路閉鎖工程)ので、成形材料が通気路に逆流することを抑制できる。また、成形材料として極めて低粘度な樹脂等が用いられ、通気路に成形材料が僅かながらも逆流する場合であっても、通気路を開放した後、逆噴射工程において通気路に圧縮気体を供給することにより、通気路に残留した成形材料の残滓を排出するので、通気路に逆流した成形材料の残滓を排除できる。これにより、成形材料が通気路に詰まってキャビティ内を真空引きする機能が有効に働かなくなることを確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による充填成形装置の一例である射出成形装置の構成を示す断面図。
【図2】同装置のノズルの構成を示す組み立て斜視図。
【図3】ノズル先端の近傍の構成を示す断面図。
【図4】同ノズルに組み込まれる開閉スリーブ及び開閉ピンの構成を示す斜視図。
【図5】第1通気路が接続される気圧回路の構成を示す図。
【図6】待機状態にある射出成形装置を示す断面図。
【図7】型閉じ状態にある射出成形装置を示す断面図。
【図8】吸引工程にある射出成形装置を示す断面図。
【図9】通気路閉鎖工程にある射出成形装置を示す断面図。
【図10】材料充填工程にある射出成形形装置を示す断面図。
【図11】材料硬化工程にある射出成形装置を示す断面図。
【図12】離型工程にある射出成形装置を示す断面図。
【図13】逆噴射工程にある射出成形装置を示す断面図。
【図14】開閉スリーブ及び開閉ピンの別な構成を示す斜視図。
【図15】開閉スリーブ及び開閉ピンのさらに別な構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態による充填成形装置の一例として射出成形装置について図面を参照して説明する。図1は射出成形装置の構成を示している。射出成形装置1は、成形材料が充填されるキャビティ7を区画する固定金型2及び移動金型3と、キャビティ7内に成形材料を射出充填するノズル4等によって構成されている。本実施形態においては、固定金型2を雄金型、移動金型3を雌金型としているが、固定金型を雌金型、移動金型を雄金型としてもよい。
【0026】
固定金型2は、金型本体21と、金型本体21に組み込まれ、成形材料を射出充填する際にノズル4の先端が当接されるスプルーブッシュ22を有している。スプルーブッシュ22には材料供給口22aが形成されている。本実施形態においては、スプルーブッシュ22を交換可能なように金型本体21とは別部品として構成しているが、スプルーブッシュ22を金型本体21と一体化して、材料供給口22aを金型本体21に形成する、いわゆるダイレクトゲートとして構成されていてもよい。また、移動金型にスプルーブッシュを組み込む形態であってもよい。
【0027】
移動金型3は、固定金型2に対して図中上下方向に移動して型閉じ及び型開きを行う。移動金型3には、成型品を離型するためのエジェクタピン(図示せず)等が設けられている。固定金型2と移動金型3との当接面には、必要に応じてシート状の封止部材を介挿されている。
【0028】
ノズル4は、キャビティ7内に成形材料を充填するために、スプルーブッシュ22に当接された後、材料供給口22aに熱硬化性液状成形材料8を射出する。ノズル4の材料供給路41aに供給される熱硬化性液状成形材料8は、材料貯蔵装置(図示せず)に貯蔵され、材料供給装置(図示せず)によって加圧されて供給される。材料貯蔵装置は、成形材料の初期の形状が液状であれ、固形状であれ、成形材料の貯蔵可能なものであれば特に限定はない。必要に応じて材料貯蔵装置に貯蔵されている成形材料を脱気処理するのが望ましい。また、材料の特性に応じて所定の温度範囲に保持される。材料供給装置には、スクリューを用いた推進機構又はピストンを用いた加圧機構などを使用するものが挙げられる。従来法を用いればよく特に限定はない。成形材料が溶融状態又は液状である場合、この段階でも脱気処理できる。
【0029】
ここで、本実施形態の射出成形装置1において、使用される成形材料について説明する。射出成形装置1は、粘度が10Pa・sから120Pa・sの範囲にあるエポキシ樹脂などの低粘性の熱硬化性樹脂などに対して特に有用であるが、これに限られない。他にも、適用可能な成形材料としては、熱可塑性樹脂などの各種の有機系高分子材料、シリコーン樹脂などの樹脂類、アルミニウム合金、マグネシウム合金などのダイキャスト材料が挙げられる。これら成形材料には、流動性及び装置の保全性を損なわない範囲で、顔料、可塑剤、難燃剤、シリカ、チタニアなどのフィラー類などの各種の添加剤が加えられてもよい。
【0030】
図2は、ノズル4の構成の一部(外側部分)を示している。本実施形態の射出成形装置1は、熱硬化性液状成形材料8をキャビティ7内に射出して成形する装置であるため、熱硬化性液状成形材料8がノズル4の内部で硬化しないように、ノズル4を冷却する機構が設けられている。以下、ノズル4の構成について詳述する。ノズル4は、成形材料8を供給するための材料供給路41aが形成されたノズル本体41と、ノズル本体41の先端近傍のリング装着溝41dに装着されるOリング42と、ノズル本体41を支持する筒状部材43と、筒状部材43の先端に装着される封止部材44と、封止部材44を筒状部材43の先端に固定するためのキャップ45等によって構成されている。
【0031】
ノズル本体41には、材料供給路41aと、ノズル4を冷却するための冷却水が循環される冷却水溝(往路溝)41b、冷却水溝(復路溝)41c及び冷却水溝(連通溝)41eと、Oリング42が装着されるリング装着溝41d等が形成されている。材料供給路41aは、ノズル本体41の内部を貫いて形成されている(図1参照)。往路溝41b、復路溝41c及び連通溝41e等によってノズル本体41の冷却機構が構成されている。往路溝41bは、ノズル本体41の根元部から先端部に亘って、復路溝41cは、ノズル本体41の先端部から根元部に亘ってそれぞれ螺旋状に形成されている。ノズル本体41の先端部に形成されている連通溝41eによって往路溝41bと復路溝41cとが連通されている。
【0032】
往路溝41bと復路溝41cとは、ノズル本体41の外側面において交互に、すなわち2条の螺旋状に形成されている。往路溝41bと筒状部材43の内側面によって囲まれた冷却水路には、筒状部材43を介して供給される冷却水(冷水)が流れる。一方、復路溝41cと筒状部材43の内側面によって囲まれた冷却水路には、ノズル本体41等との間の熱交換により温められた冷却水(温水)が流れ、筒状部材43を介して排出される。冷却水が往路溝41b、連通溝41e及び復路溝41cを流れる間に、ノズル本体41等との間で熱交換がなされ、熱硬化性液状成形材料8が短時間で硬化しない温度までノズル本体41等が冷却される。なお、ノズル本体41と筒状部材43との隙間に浸入した冷却水は、リング装着溝41dに装着されたOリング42によって封止され、ノズル4の外部に漏れ出すことはない。
【0033】
筒状部材43の根元部には、往路溝41bと筒状部材43の内側面によって囲まれた冷却水路に冷却水(冷水)を供給するための冷水供給水路43a、及び、復路溝41cと筒状部材43の内側面によって囲まれた冷却水路から冷却水(温水)をノズル4の外部に排出するための温水排出水路43bが形成されている。冷水供給水路43aと往路溝41b及び温水排出水路43bと復路溝41cが、筒状部材43の根元部においてそれぞれ連通されている。
【0034】
封止部材44の中央部には、ノズル本体41の材料供給路41a及びスプルーブッシュ22の材料供給口22aと連通する連通穴44aが形成されている。封止部材44は、スプルーブッシュ22とノズル本体41との間で単位時間内に交換される熱量を制限して材料供給路41a内における熱硬化性液状成形材料8の硬化を抑制できる程度に十分な断熱性と、スプルーブッシュ22とノズル本体41との隙間から熱硬化性液状成形材料8が漏れ出すことを防止できる程度に十分な弾性を有する素材で形成されている。この封止部材44を形成する材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、フッ化エチレン等の耐薬品性、耐熱性に優れた高分子材料が挙げられる。封止部材44は、上記断熱性と弾性を確保するために十分な厚み(例えば、1〜5mm程度)に設定され、キャップ45によって筒状部材43の先端部に固定されている。筒状部材43の先端部には、キャップ45を装着するための雄ねじが形成されている。ノズル4がスプルーブッシュ22に当接されるとき、ノズル4には大きな力が生ずるので、必要に応じていわゆるダブルナットでキャップ45が固定される。そして、筒状部材43にノズル本体41が挿入されると、ノズル本体41の先端が封止部材44と密着される。
【0035】
図3は、ノズル4の先端近傍を示している。筒状のノズル本体41の内部には、材料供給路41aが形成され、開閉スリーブ5及び開閉ピン6が組み込まれる。開閉スリーブ5は、ノズル本体41に対して摺動自在に組み込まれ、材料供給路41aと材料供給口22aとを連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えることにより、材料供給路41aを開閉する。開閉ピン6は、開閉スリーブ5に対して摺動自在に組み込まれる。なお、ノズル4には、ノズル4自身、開閉スリーブ5及び開閉ピン6を上下方向に駆動するための昇降装置(図示せず)が設けられている。昇降装置の動力源としては、空気圧、油圧又は電力等を用いることができるが、これらに限定されることはない。
【0036】
図4は、ノズル本体41に摺動自在に組み込まれる開閉スリーブ5及び開閉ピン6の構成を示している。開閉スリーブ5の先端部51は、テーパー状に形成され、材料供給路41aを開閉するためのニードル弁を構成する。一方、ノズル本体41の内部は、図3等に示すように開閉スリーブ5の先端部51に対応するすり鉢状の弁座41fを有している。すなわち、開閉スリーブ5がノズル本体41に対して摺動することにより、先端部51のニードル弁が開閉され、材料供給路41aと材料供給口22aとが連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる。特に、開閉スリーブ5の下方に駆動されると、開閉スリーブ5の移動する方向に対して非平行に形成されている先端部51とノズル本体41の弁座41fとの接触圧力が高められ、成形材料の漏洩や、材料供給路41aへの空気の侵入が効果的に防止できる。
【0037】
先端部51の近傍を除いて開閉スリーブ5の内径は、開閉ピン6の外径よりも大きく形成されており、開閉スリーブ5の内側面と開閉ピン6の外側面との隙間に第1通気路52が形成されている。先端部51の近傍において、開閉スリーブ5の内径は、開閉ピン6の外径と同一に形成されている。すなわち、第1通気路52は、開閉スリーブ5の先端部51の手前で留められている。ここで、開閉スリーブ5の内径が開閉ピン6の外径と同一であるとは、開閉スリーブ5の内側面と開閉ピン6の外側面との間に開閉ピン6の摺動を妨げない程度の僅かな隙間が形成されている状態をいう。また、この僅かな隙間は、低粘度の熱硬化性液状成形材料8がほとんど侵入できない程度の隙間をいうものとする。
【0038】
開閉ピン6は、細長い円筒状に形成されている。開閉ピン6の形状は、円筒状に制限されるものではないが、昇降装置に駆動されて摺動するため、強度が確保される程度に充分に太いことが望ましい。開閉ピン6の材質は、充分硬質で一定の靭性を持つものであれば特に限定されない。開閉スリーブ5の先端部51から突出した開閉ピン6の先端の位置ずれを防止するために、開閉スリーブ5の内側面に開閉ピン6をガイドする構造を形成してもよい。開閉ピン6の先端部には、排気口61、第2通気路62、吸気口63が形成されている。排気口61及び吸気口63は、開閉ピン6の外側面を貫いて形成されている。排気口61は、開閉ピン6が下降したときにあっても、第1通気路52と連通状態が維持される位置に形成されている。吸気口63は、開閉ピン6が下降したときに、スプルーブッシュ22の材料供給口22aに突出して連通され、かつ開閉ピン6が上昇したときに、開閉スリーブ5の内部に収納されて閉鎖され、材料供給口22aとは非連通とされる位置、例えば開閉ピン6の下端から3mm程度上方に形成されている。排気口61及び吸気口63は、それぞれ複数個設けられていてもよい。第2通気路62は、排気口61と吸気口63を連通させるように、開閉ピン6の中心すなわち開閉ピン6の内部に形成されている。第1通気路52、第2通気路62、排気口61及び吸気口63の流路断面積は、キャビティ7内の気体を短時間に排出できる程度に確保されている。例えば本実施形態においては、第1通気路52、第2通気路62、排気口61及び吸気口63の直径は、1mm程度に設定されている。
【0039】
図5は、第1通気路52が接続される気圧回路の構成を示している。第1通気路52は、三方切替弁91を介して真空ポンプ(真空引き装置)92及び圧縮ポンプ(圧縮気体噴出装置)93に接続されている。三方切替弁91を真空ポンプ92の側に切り替えると、第1通気路52が真空ポンプ92に接続され、真空ポンプ92は、第1通気路52内の気体を吸引する。また、三方切替弁91を圧縮ポンプ93の側に切り替えると、圧縮ポンプ93は、第1通気路52内に圧縮空気を供給する。
【0040】
以上のように構成された射出成形装置1の動作について、図6乃至図13を参照して説明する。図6は、待機状態にある射出成形装置1を示している。この状態では、移動金型3が固定金型2の下方に開かれ、ノズル4が固定金型2の上方に位置されている。また、開閉スリーブ5及び開閉ピン6は、閉じられている。また、三方切替弁91は真空ポンプ92の側に切り替えられ、第1通気路52、排気口61、第2通気路62及び吸気口63は真空引きされている。
【0041】
待機状態から図7に示すように、移動金型3が上昇して型閉めがなされ、ノズル4が下降してスプルーブッシュ22に当接されて、キャビティ7及び材料供給口22aが気密状態とされた後、図8に示すように開閉ピン6が下降してスプルーブッシュ22の材料供給口22aに突出され吸気口63が開放されると、スプルーブッシュ22の材料供給口22aが吸気口63、第2通気路62、排気口61及び第1通気路52が連通され、キャビティ7内の空気が真空ポンプ92によって吸引され、キャビティ7内が減圧される。(吸引工程)。こうしてキャビティ7内を真空状態とした後、図9に示すように、開閉ピン6が上昇して吸気口63は、開閉スリーブ5に一旦格納され閉鎖される(通気路閉鎖工程)。これにより、キャビティ7内の真空状態が維持される。なお、図8においてキャビティ7内を真空状態とするのに要する時間は、キャビティ7の容積及び真空ポンプ92の能力等に依存する。
【0042】
そして、図10に示すように、開閉スリーブ5が上昇すると、材料供給路41aから流れ込んだ熱硬化性液状成形材料8がノズル4の先端及び材料供給口22aを介してキャビティ7内に射出充填される(材料充填工程)。このとき、図8、9に示したように、キャビティ7内が予め真空状態とされているため、材料供給装置によって加圧されている熱硬化性液状成形材料8との圧力差によって、熱硬化性液状成形材料8の充填は迅速かつ円滑になされる。また、キャビティ7の隅に空気が滞留することもないため、成型品への気泡の混入を防止できる。また、吸気口63が、開閉スリーブ5に格納されて閉鎖されているので、熱硬化性液状成形材料8が吸気口63から第2通気路62等に逆流する虞はほとんどない。また、開閉ピン6の内部に第2通気路62が形成されているので、吸気口63から第2通気路62、排気口61を経て第1通気路52に至る経路を長くかつ屈曲させることができ、これにより開閉ピン6と開閉スリーブ5との間の気密性・密閉性を高めることができる。
【0043】
その後、図11に示すように、開閉スリーブ5が下降すると、材料供給路41aが閉鎖されると共に、開閉スリーブ5の先端部によって熱硬化性液状成形材料8が押圧され、キャビティ7内の圧力が高められる。一方、固定金型2及び移動金型3には熱硬化性液状成形材料8を硬化させるための熱が供給され、熱硬化性液状成形材料8が硬化する(材料硬化工程)。熱硬化性液状成形材料8が硬化すると、図12に示すように、ノズル4を固定金型2から離脱させると共に、移動金型3を下降させて型開きを行った後、成型品を離型する(離型工程)。離型の際には、スプルーロックピン、エジェクターピンなどによって突き出されてもよいが、この場合、スプルーロックピン、エジェクターピンなどが出没する箇所は封止部材により、材料漏れや空気混入がないように封止しておくのが望ましい。
【0044】
熱硬化性液状成形材料8の粘度が極めて低い場合にあっては、材料充填工程及び材料硬化工程において、ノズル4の先端近傍にある熱硬化性液状成形材料8が、開閉スリーブ5の内側面と開閉ピン6の外側面との間の僅かな隙間から侵入(逆流)し、残滓となって滞留する虞がある。そこで、本実施形態の射出成形装置1においては、必要に応じて三方切替弁91を圧縮ポンプ93の側に切り替えて圧縮ポンプ93から第1通気路52内に圧縮空気を供給すると共に、図13に示すにように、開閉ピン6が下降して外界の受け皿100の上方に突出され、吸気口63が開放される。これにより、第1通気路52内の圧縮空気が排気口61、第2通気路62及び吸気口63を通過して、吸気口63から逆噴射される(逆噴射工程)。これにより、吸気口63の近傍及び第2通気路62等に侵入していた僅かな熱硬化性液状成形材料8の残滓もノズル4の外部に排出され、予めノズル4の下方に移動された受け皿100に溜められる。この後、必要に応じて開閉ピン6の先端部を水又はアルコール等の有機溶剤で洗浄してもよい。なお、この逆噴射工程は、1サイクル毎に実行しなければならないものではなく、必要に応じて数サイクル毎に実行するようにしてもよい。また、仮に逆噴射工程において第2通気路62等に侵入した全ての熱硬化性液状成形材料8の残滓を排出できない場合であっても、開閉ピン6の内部に第2通気路62を形成することにより、吸気口63から第1通気路52に至る経路を長くかつ屈曲して形成しているので、次の成形サイクルにおいて熱硬化性液状成形材料8の残滓が第1通気路52に吸い込まれる虞を抑制できる。
【0045】
以上のように、本実施形態の射出成形装置1によれば、真空引きされている通気路52、62を材料供給口22aと連通させることにより、熱硬化性液状成形材料8を射出する前のキャビティ7内を予め真空状態とすることができる。これにより、キャビティ7内の気体の滞留を抑制し、成型品への気泡の混入を防止できる。また、ノズル4の通気路52、62を介して金型の材料供給口22aから真空引きを行うので、既存の金型をそのまま流用して低コストに真空射出成形をすることができ、また金型のメインテナンスも従来と同程度に抑制できる。
【0046】
また、開閉ピン6を摺動させて吸気口63を材料供給口22aと連通状態にすることにより、キャビティ7内の気体を吸気口63、第1通気路62、排気口61及び第2通気路52を介して真空ポンプ92に吸引させることができる。そして、吸気口63を材料供給口22aと非連通状態とした後、開閉スリーブ5を摺動させて材料供給路41aと材料供給口22aとを連通状態にすることにより、キャビティ7内に熱硬化性液状成形材料8を射出することができる。これにより、開閉ピン6及び開閉スリーブ5を摺動させることにより、真空射出成形を行うことが可能となり、簡素な構成及び動作で優れた射出成形装置を実現できるようになる。
【0047】
また、吸気口63は、開閉ピン6の先端部の外側面に形成されているので、開閉ピン6の摺動に連動して吸気口63が開放又は閉鎖される。これにより、一層簡素な構成で優れた射出成形装置を実現できるようになる。また、開閉スリーブ5の先端部51とノズル本体41の弁座によって構成されるニードル弁構造によって、開閉スリーブ5の下降時に材料供給路41aを密閉し、熱硬化性液状成形材料8の漏洩を確実に防止することができる。また、開閉スリーブ5の上昇時にはすり鉢状の弁座41fの内面に沿って熱硬化性液状成形材料8が円滑に流れるので、熱硬化性液状成形材料8の一部が弁座41fの近傍に滞留する虞が少なくなる。
【0048】
また、開閉スリーブ5の先端部51の内径と開閉ピン6の外径が同一であるので、開閉スリーブ5の先端部51の内側面と開閉ピン6の外側面との隙間が少なくなり、この隙間から熱硬化性液状成形材料8が吸気口63及び第2通気路62に逆流することを抑制できる。これにより、熱硬化性液状成形材料8が吸気口63及び第2通気路62に詰まってキャビティ7内を真空引きする機能が有効に働かなくなることを抑制できる。また、ノズル本体41とスプルーブッシュ22との間隙及び金型を構成する固定金型2と移動金型3との間隙には、封止部材が介挿されているので、真空引きの際に上記間隙から空気が吸い込まれることを防止して、吸引効率を高めることができる。また、射出の際に上記間隙から熱硬化性液状成形材料8が漏出することを防止できる。
【0049】
また、成形材料として極めて低粘度な熱硬化性液状成形材料8等が用いられ、通気路に熱硬化性液状成形材料8が僅かながらも逆流する場合であっても、通気路52、62に圧縮気体を逆噴射させることにより、通気路52、62に逆流した熱硬化性液状成形材料8の残滓を排除できる。これにより、熱硬化性液状成形材料8が通気路52、62に詰まってキャビティ7内を真空引きする機能が有効に働かなくなることを確実に抑制できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも真空ポンプ92等の真空引き装置によって真空引きされた通気路62を材料供給口22aと連通状態とすることにより、予め真空状態としたキャビティ7に成形材料を充填するように構成されていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、射出成形に限らず、トランスファー成形、注型成形などの他の充填成形法にも適用可能である。
【0051】
また、開閉スリーブ5及び開閉ピン6の形態は、図4に示したものに限られない。例えば、成形材料の粘度が十分に高い場合にあっては、図14に示すように、第2通気路62を開閉ピン6の外側面に溝状に形成してもよい。また、図15に示すように、第2通気路53を開閉スリーブ5の先端部51の内側面に溝状に形成してもよい。第2通気路53、62の個数は特に制限されない。
【0052】
また、熱硬化性液状成形材料8に替えて、例えば温度の管理が容易な樹脂を用いる場合には、ノズル本体41と開閉スリーブ5との間に通気路を、開閉スリーブ5と開閉ピン6の間に第1材料供給路をそれぞれ設けてもよい。樹脂の粘性が充分低く、材料供給路に詰まる虞がなければ、さらに開閉ピン6に第1材料供給路と連通される第1供給口、材料供給口22aに出没可能な第2供給口及び第1供給口と第2供給口を連通させる第2材料供給路が形成され、開閉スリーブ5を摺動させて通気路を材料供給口22aと連通状態にして真空ポンプ92に吸引させた後、開閉ピン6を摺動させて材料供給路と材料供給口22aとを連通状態にすることにより、キャビティ7内に成形材料を射出充填することができる。また、中実の開閉ピンを上昇させて材料供給路(又は通気路)を連通状態にする形態も考えられる。例えば、開閉ピンの先端をテーパー状に形成し、開閉スリーブの内側面にこれに対応する弁座を形成することにより2重構造のニードル弁を構成し、材料供給路の開閉を行うものとしてもよい。これらの場合においては、開閉ピンの構造を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 射出成形装置(充填成形装置)
2 固定金型
3 移動金型
4 ノズル
5 開閉スリーブ
6 開閉ピン
7 キャビティ
22 スプルーブッシュ
22a 材料供給口
41 ノズル本体
41a 材料供給路
52 第1通気路
61 排気口
62 第2通気路
63 吸気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料が充填されるキャビティを区画する金型と、前記金型の材料供給口を介して前記キャビティ内に成形材料を充填するノズルとを備えた充填成形装置において、
前記ノズルは、前記材料供給口と連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる通気路を有し、
前記通気路を真空引きする真空引き装置をさらに備え、
前記真空引き装置によって真空引きされた前記通気路を前記材料供給口と連通状態とすることにより真空状態とした前記キャビティに、成形材料を充填することを特徴とする充填成形装置。
【請求項2】
前記ノズルは、筒状のノズル本体と、前記ノズル本体の内部に摺動自在に組み込まれる開閉スリーブと、前記開閉スリーブの内部に摺動自在に組み込まれる開閉ピンを有し、
前記ノズル本体と前記開閉スリーブとの間には成形材料を供給するための材料供給路が形成され、前記開閉スリーブが摺動することにより前記材料供給路と前記材料供給口とが連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられ、
前記開閉スリーブと前記開閉ピンとの間には第1通気路が形成され、
前記開閉ピンは、前記第1通気路と連通される排気口と、前記開閉スリーブに対して該開閉ピンが摺動することにより、前記材料供給口と連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる吸気口と、前記吸気口と前記排気口とを連通させる第2通気路を有することを特徴とする請求項1に記載の充填成形装置。
【請求項3】
前記吸気口は、前記開閉ピンの先端部の外側面に形成され、
前記開閉ピンの先端部が前記材料供給口に突出することにより前記吸気口が開放され、前記開閉ピンの先端部が前記開閉スリーブに収納されることにより前記吸気口が閉鎖されることを特徴とする請求項2に記載の充填成形装置。
【請求項4】
前記開閉スリーブの先端部は、テーパー状に形成され、前記ノズル本体は、前記開閉スリーブの先端部に対応するすり鉢状の弁座を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の充填成形装置。
【請求項5】
前記開閉スリーブの先端部の内径と前記開閉ピンの外径が同一であることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の充填成形装置。
【請求項6】
前記ノズル本体と前記金型との間隙及び前記金型を構成する雄金型と雌金型との間隙には、封止部材が介挿されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の充填成形装置。
【請求項7】
前記ノズルは、筒状のノズル本体と、前記ノズル本体の内部に摺動自在に組み込まれる開閉スリーブと、前記開閉スリーブの内部に摺動自在に組み込まれる開閉ピンを有し、
前記ノズル本体と前記開閉スリーブとの間には前記通気路が形成され、前記開閉スリーブが摺動することにより前記通気路と前記材料供給口とが連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられ、
前記開閉スリーブと前記開閉ピンとの間には成形材料を供給するための第1材料供給路が形成され、前記開閉ピンは、前記第1材料供給路と連通される第1供給口と、前記開閉スリーブに対して該開閉ピンが摺動することにより、前記材料供給口と連通状態又は非連通状態に選択的に切り替えられる第2供給口と、前記第1供給口と前記第2供給口とを連通させる第2材料供給路を有することを特徴とする請求項1に記載の充填成形装置。
【請求項8】
前記通気路に圧縮気体を逆噴射させる圧縮気体噴出装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の充填成形装置。
【請求項9】
ノズルに形成されている通気路を真空引きし、型締めされた金型の材料供給口に前記ノズルを当接させ、前記通気路と前記材料供給口を連通させることによりキャビティ内の気体を吸引する気体吸引工程と、
前記通気路を閉鎖する通気路閉鎖工程と、
前記通気路閉鎖工程によって真空状態が維持されているキャビティ内に前記ノズルから成形材料を充填する材料充填工程と、
前記ノズルを閉鎖して前記キャビティ内に充填されている成形材料を硬化させる材料硬化工程と、
前記ノズルを前記金型から離脱させ、型開きを行った後、成型品を離型する離型工程と、
前記通気路に圧縮気体を供給し、前記通気路を開放することにより前記圧縮気体を逆噴射させて、前記通気路に残留した成形材料の残滓を排出する逆噴射工程とを有することを特徴とする充填成型方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−218705(P2011−218705A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91796(P2010−91796)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(390025140)株式会社小松ライト製作所 (71)
【Fターム(参考)】